JP2021008404A - 変形性関節症改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな変形性関節症改善剤の提供。【解決手段】式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する変形性関節症改善剤。(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する。)【選択図】なし
Description
本発明はアスタキサンチン誘導体を含有する変形性関節症改善剤に関する。
アスタキサンチンは潜在的に強い抗炎症作用を有することが広く知られている。たとえば特許文献1〜5のパテントファミリーでは、ω−3脂肪酸含有脂質、中性脂肪、α−トコフェロール等の抗酸化物質、アスタキサンチン等の色素、亜鉛等の金属を含むオキアミおよび/または海洋生物の抽出物油の高濃度カプセルを、変形性関節症の患者グループに経口投与し、その多数人において、痛みの著しい緩和効果および大きい関節(下部背骨、膝、肩)の柔軟性の著しい改善効果があったことを報告している(各文献の実施例2参照)。
しかしながら、上記特許文献1〜5のような天然物は当該天然物由来の不純物が含まれることや難溶解性などの問題を有しており、変形性関節症というような、加齢とともに誰にでも起こりうる症状に対しては、さらなる改善効果が求められる。
本発明の主な目的は、変形性関節症に対しさらなる改善効果を有する変形性関節症改善剤を提供することにある。
本発明の主な目的は、変形性関節症に対しさらなる改善効果を有する変形性関節症改善剤を提供することにある。
本発明者らは、変形性関節症の改善薬として新たな治療薬を見出すべく鋭意検討した結果、式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩が変形性関節症に対し優れた治療効果を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明〔1〕〜〔3〕を提供するものである。
〔1〕式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する変形性関節症改善剤。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する。)
〔2〕変形性関節症改善剤製造のための、前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩の使用。
〔3〕前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩の有効量を投与することを特徴とする変形性関節症の治療方法。
〔3〕前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩の有効量を投与することを特徴とする変形性関節症の治療方法。
本発明の式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、ヒト、犬、猫、馬などの各種動物全般の変形性関節症に対し優れた有効性を有するものであり、式(I)で示されるアスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は変形性関節症改善剤として優れたものである。
本発明の変形性関節症改善剤は、前記式(I)で表されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を有効成分として含有する。「変形性関節症」は主に、手首、肘、肩、首、腰、股、膝、足首等の関節に発症する慢性の関節炎を伴う関節疾患であり、関節の構成要素の進行変性により、軟骨の破壊と骨、軟骨の増殖性変化を来たす疾患である。本発明に関わる変形性関節症の改善は、特に変形性膝関節症において顕著な効果を期待することができる。変形性関節症の「改善」とは、変形性関節症の症状そのものの改善のみならず、変形性関節症に起因する痛みの緩和または鎮痛を含む意味である。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を示す。)
式(I)の化合物の中では、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2がそれぞれ3の整数を示す場合が好ましい。
式(I)にかかる化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物およびそれらの光学異性体は、分子内にカルボキシル基を有することから望まれる塩基物質或いは塩基化合物と通常の塩形成反応をさせることにより薬学上許容される塩を形成することができる。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、リシン塩、オルニチン塩、アルギニン塩のようなアミノ酸塩を挙げることができ、中でもリシン塩を好ましいものとして挙げることができる。
式(I)の化学構造式において、アスタキサンチン基本骨格中の中鎖炭素鎖部分における二重結合部分は化学構造上トランスおよびシスの幾何異性体の構造を取り得る。本発明にかかる有効成分については、式(I)のトランス体のみならず、以下の式(Ia)や式(Ib)に代表されるシス体も本発明にかかる変形性関節症改善剤の有効成分として挙げることができる。本発明の変形性関節症改善剤については、式(I)のトランス体やその幾何異性体であるシス体の各種混合比での混合物並びにトランス体とシス体の混合物も有効成分として含むものである。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
また、式(I)の化合物、その幾何異性体およびそれら幾何異性体の混合物は、以下に代表される光学異性体(IA)を包含し得るものであり、その対掌体やそれらの混合物、ジアステレオマーも全て本発明にかかる変形性関節症改善剤の有効成分として包含する。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物およびそれらの光学異性体の中では、上記の式(IA)のトランス体の化合物が好ましい。
また、上記式(IA)のトランス体の化合物中でも、m1およびm2はそれぞれ1の整数を意味しn1およびn2はそれぞれ3の整数を意味する化合物が好ましい。
また、上記式(IA)のトランス体の化合物中でも、m1およびm2はそれぞれ1の整数を意味しn1およびn2はそれぞれ3の整数を意味する化合物が好ましい。
前記のように、式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体またはその塩がより好ましく、さらに式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体に対応する光学活性シス−アスタキサンチン誘導体およびその塩を実質的に含有しない高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体またはその塩がさらに好ましい。ここで、本発明にかかる変形性関節症改善剤の有効成分を「高純度」で含有するとは、当該有効成分中の純度が少なくとも95%以上、好ましくは98%以上である場合をいう。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それらの光学異性体およびそれらの塩は、国際公開第2015/178404号明細書に記載の製造方法や同方法と公知の方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。それらの製造方法の中で、式(I)の化合物の幾何異性体、それらの光学異性体の製造方法について上記式(IA)の光学異性体の製造方法を代表として以下に説明する。
(1A) 脱保護反応
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基を意味する。)
原料化合物である式(II)の化合物の保護基を脱離することにより、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を製造することができる。
当該脱離反応は、保護基の通常の脱離反応が使用でき、具体的には、酸による脱離反応をあげることができる。
保護基としては、第三級ブチル基、トリメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基等をあげることができ、好適なものとしては第三級ブチル基、トリメチルシリル基等をあげることができる。
保護基としては、第三級ブチル基、トリメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基等をあげることができ、好適なものとしては第三級ブチル基、トリメチルシリル基等をあげることができる。
酸による脱離反応の場合には、式(II)の化合物を不活性な溶媒中、酸を加え反応させることにより、目的とする式(IA)の化合物を製造することができる。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルのような有機酸エステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のような有機酸類;水;またはこれらの溶媒の混合溶媒をあげることでき、好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類、アルコール類、有機酸類、アミド類、水、またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、更に好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類、有機酸類、エーテル類、水またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、最も好適には、ハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ギ酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または水とこれらの有機溶媒の混合溶媒(保護基がC1−C6アルキル基である場合)をあげることができる。
使用され得る酸は、通常の反応において、酸として使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、燐酸のような無機酸;酢酸、ギ酸、蓚酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸;塩化亜鉛、四塩化スズ、ボロントリクロリド、ボロントリフルオリド、ボロントリブロミドのようなルイス酸;または酸性イオン交換樹脂であり得、好適には、無機酸または有機酸であり、最も好適には、塩酸、酢酸、ギ酸およびトリフルオロ酢酸をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する酸、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(II)の化合物の使用重量に対し10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。酸の使用量は、原料である式(II)の化合物に対し、無機酸であれば、通常5倍乃至50倍モル量、好適には10倍乃至30倍モル量使用すればよく、有機酸であれば、通常100倍乃至1000倍モル量、好適には200倍乃至600倍モル量使用すればよい。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルのような有機酸エステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のような有機酸類;水;またはこれらの溶媒の混合溶媒をあげることでき、好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類、アルコール類、有機酸類、アミド類、水、またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、更に好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類、有機酸類、エーテル類、水またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、最も好適には、ハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ギ酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または水とこれらの有機溶媒の混合溶媒(保護基がC1−C6アルキル基である場合)をあげることができる。
使用され得る酸は、通常の反応において、酸として使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、燐酸のような無機酸;酢酸、ギ酸、蓚酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸;塩化亜鉛、四塩化スズ、ボロントリクロリド、ボロントリフルオリド、ボロントリブロミドのようなルイス酸;または酸性イオン交換樹脂であり得、好適には、無機酸または有機酸であり、最も好適には、塩酸、酢酸、ギ酸およびトリフルオロ酢酸をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する酸、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(II)の化合物の使用重量に対し10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。酸の使用量は、原料である式(II)の化合物に対し、無機酸であれば、通常5倍乃至50倍モル量、好適には10倍乃至30倍モル量使用すればよく、有機酸であれば、通常100倍乃至1000倍モル量、好適には200倍乃至600倍モル量使用すればよい。
以上の脱保護反応により得られる生成物は、前記の9−シス体や13−シス体等の幾何異性体を含有し得るので、カラムクロマトグラフィー、再沈殿や結晶化等の分離、精製手段を目的に応じて適宜組み合わせることにより、同幾何異性体を分離、除去し、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を高純度で単離、製造することができる。
また、分離した前記シス体は、上記の如き精製、分離方法を適宜組み合わせることにより単離取得することができる。
また、分離した前記シス体は、上記の如き精製、分離方法を適宜組み合わせることにより単離取得することができる。
(1B) シス体からトランス体への変換方法
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
本製造法で使用される代表的シス体は上記のごとき式(IAa)および(IAb)の化合物であり、これらは、単独の原料化合物として、或いはシス体の混合物として、或いはシス体を過剰に含むトランス体との混合物として不活性な溶媒に溶解後、ヨウ素等の転換試薬を用いて反応させることにより目的とする式(IA)の高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体を製造することができる。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はされず、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、水等をあげることができる。
上記転換試薬として好適に使用されるものしては、ヨウ素をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する転換試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(IAa)または式(IAb)の化合物の使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。転換試薬の使用量は、原料である式(IAa)または式(IAb)の化合物に対し通常0.01倍モル量以上、好適には0.1倍モル量以上使用すればよい。
上記転換試薬として好適に使用されるものしては、ヨウ素をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する転換試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(IAa)または式(IAb)の化合物の使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。転換試薬の使用量は、原料である式(IAa)または式(IAb)の化合物に対し通常0.01倍モル量以上、好適には0.1倍モル量以上使用すればよい。
以上の転換反応により得られる生成物において、前記9−シス体や13−シス体等の幾何異性体を分離する方法としては、カラムクロマトグラフィー、再沈殿や結晶化等の方法をあげることができ、目的に応じてこれらの方法を適宜組み合わせることにより、同幾何異性体を分離し、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を高純度で単離、製造することができる。
また、分離されたシス体も上記の分離手段を適宜組み合わせて用いることにより、夫々のシス体として単離、製造することができる。
また、分離されたシス体も上記の分離手段を適宜組み合わせて用いることにより、夫々のシス体として単離、製造することができる。
次に上記の原料化合物(II)の代表的製造方法を以下に説明する。
(2A) 3S,3’S−アスタキサンチンに側鎖部分全体を直接結合させる方法
(式中、m1およびn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基)を意味する。)
3S,3’S−アスタキサンチンを不活性な溶媒に溶解後、縮合試薬存在下、式(I)の化合物における側鎖部分にあたる式(III)の化合物を反応させることにより、式(II)の化合物を製造することができる。
溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶媒をあげることができる。
縮合試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては水溶性カルボジイミド塩酸塩(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド等をあげることができる。縮合試薬の使用量は、原料である3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル量〜20倍モル量使用すればよい。
側鎖部分にあたる式(III)の化合物については、3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル〜20倍モル量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する縮合試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、3S,3’S−アスタキサンチンの使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。
縮合試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては水溶性カルボジイミド塩酸塩(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド等をあげることができる。縮合試薬の使用量は、原料である3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル量〜20倍モル量使用すればよい。
側鎖部分にあたる式(III)の化合物については、3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル〜20倍モル量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する縮合試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、3S,3’S−アスタキサンチンの使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。
得られる式(II)の化合物は、通常、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の精製手段を適宜組み合わせることにより精製、単離することができる。
なお、側鎖部分全体は、以下の方法により製造することができる。
なお、側鎖部分全体は、以下の方法により製造することができる。
(2A−1)
(式中、m1およびn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基)を意味する。)
式(IV)の化合物にカルボニルジイミダゾール(V)および式(VII)の化合物を順次反応することにより目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
具体的には、式(IV)の化合物を不活性な溶媒中、カルボニルジイミダゾール(V)を塩基等の試薬の存在下或いは非存在下反応させることにより、中間物である式(VI)の化合物を得ることができる。さらに、式(VII)の化合物を塩基等の試薬の存在下トリメチルシリルクロリドと反応させ、次いで式(VI)の化合物と反応させることにより、目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
具体的には、式(IV)の化合物を不活性な溶媒中、カルボニルジイミダゾール(V)を塩基等の試薬の存在下或いは非存在下反応させることにより、中間物である式(VI)の化合物を得ることができる。さらに、式(VII)の化合物を塩基等の試薬の存在下トリメチルシリルクロリドと反応させ、次いで式(VI)の化合物と反応させることにより、目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
式(VI)の化合物を得る工程では、溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(IV)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至30倍容量、好適には15倍容量を使用すればよい。
塩基試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。
目的とする式(III)の化合物を得る工程では、トリメチルシリルクロリドと式(VII)の化合物を反応させる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ピリジン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至50倍容量、好適には20倍容量を使用すればよい。
塩基としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。塩基、試薬の使用量は、原料である式(VI)の化合物に対し通常2倍モル以上、好適には2.5倍モル乃至5.0倍モル使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至5日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。次いで式(VI)の化合物を加え、反応させるときの反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至60℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至4日間をあげることができる。
塩基試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。
目的とする式(III)の化合物を得る工程では、トリメチルシリルクロリドと式(VII)の化合物を反応させる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ピリジン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至50倍容量、好適には20倍容量を使用すればよい。
塩基としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。塩基、試薬の使用量は、原料である式(VI)の化合物に対し通常2倍モル以上、好適には2.5倍モル乃至5.0倍モル使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至5日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。次いで式(VI)の化合物を加え、反応させるときの反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至60℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至4日間をあげることができる。
(2B) 3S,3’S−アスタキサンチンに側鎖部分のパーツを順次結合させる方法
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基或いはトリメチルシリル基)を意味する。)
本製造方法については、基本、一般式(VII)で示される化合物とカルボニルジイミダゾール(V)を反応させて得られる側鎖部分のパーツ(VIII)を3S,3’S−アスタキサンチンに結合させ、次に、得られた生成物(IX)に側鎖部分のパーツ(XI)を結合させることにより達成できる。
カルボニルジイミダゾール(V)を使用した工程では上記(2A−1)の製造法に示した各種反応条件を同様に使用すればよい。
溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常2倍乃至30倍容量を使用すればよく、好適には7倍容量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間をあげることができる。塩基はトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
得られる側鎖部分のパーツ(VIII)と3S,3’S−アスタキサンチンとの結合反応については、上記の2Aの反応と同様に反応させることにより、式(IX)の化合物を製造することができる。
溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常2倍乃至30倍容量を使用すればよく、好適には7倍容量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間をあげることができる。塩基はトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
得られる側鎖部分のパーツ(VIII)と3S,3’S−アスタキサンチンとの結合反応については、上記の2Aの反応と同様に反応させることにより、式(IX)の化合物を製造することができる。
目的とする一般式(II)を得る工程は、上記で得られた一般式(IX)を有する化合物に一般式(XI)を反応させることにより達成できる。本反応は上記一般式(VIII)を製造する方法に準じて行われる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至40℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至30時間をあげることができる。
なお、一般式(XI)を有する化合物を製造する方法は、(1)Rがt―ブチル基の場合は一般的に知られたアミノ酸のt−ブチルエステルを合成する方法に準じて達成でき、(2)Rがトリメチルシリル基の場合は、一般式(X)を有する化合物とトリメチルシリルクロリドを不活性溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより達成できる(前記一般式(III)の化合物を作る方法に準じて達成できる)。(2)の反応は一般的に知られたヒドロキシル基やカルボキシル基をシリル化する方法に準じて達成できる。なお、一般式(XI)におけるRがトリメチルシリル基の場合は一般式(II)を生成する反応の後処理に水或いは弱酸性水を使用することにより、トリメチルシリル基を容易に脱離させることが出来る。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至40℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至30時間をあげることができる。
なお、一般式(XI)を有する化合物を製造する方法は、(1)Rがt―ブチル基の場合は一般的に知られたアミノ酸のt−ブチルエステルを合成する方法に準じて達成でき、(2)Rがトリメチルシリル基の場合は、一般式(X)を有する化合物とトリメチルシリルクロリドを不活性溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより達成できる(前記一般式(III)の化合物を作る方法に準じて達成できる)。(2)の反応は一般的に知られたヒドロキシル基やカルボキシル基をシリル化する方法に準じて達成できる。なお、一般式(XI)におけるRがトリメチルシリル基の場合は一般式(II)を生成する反応の後処理に水或いは弱酸性水を使用することにより、トリメチルシリル基を容易に脱離させることが出来る。
得られた生成物を、通常のカラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の精製手段を適宜組わせて使用することにより、目的とする式(II)の化合物を製造することができる。
式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体は、後記実施例に示すように、変形性関節症の症状の改善、特に優れた痛みの緩和または鎮痛効果を有する。
ここで変形性関節症は、前記の如く手首、肘、肩、首、腰、股、膝、足首等種々の関節に発症し、本発明ではいずれの変形性関節症にも有効であるが、変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性脊椎症により有効であり、変形性膝関節症に特に有効である。また、変形性関節症の症状としては、痛み、腫れ、関節の変形、筋力低下等が挙げられ、本発明においては全ての症状の改善に有効であるが、特に痛みの改善効果に優れている。
ここで変形性関節症は、前記の如く手首、肘、肩、首、腰、股、膝、足首等種々の関節に発症し、本発明ではいずれの変形性関節症にも有効であるが、変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性脊椎症により有効であり、変形性膝関節症に特に有効である。また、変形性関節症の症状としては、痛み、腫れ、関節の変形、筋力低下等が挙げられ、本発明においては全ての症状の改善に有効であるが、特に痛みの改善効果に優れている。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれら塩は、注射剤、経口剤、生体内留置など、通常、医療現場や食品分野で利用されている方法なら、特に限定されずに投与可能である。投与時期は食前、食後、食間、就寝前のいずれでもよいし、またはこれらを組み合わせてもよい。1日の投与回数も特に限定されない。
注射剤については、薬学的に許容される、浸透圧調節剤、安定化剤、可溶化剤、PH調節剤等を適宜組み合わせて用い、通常の製剤化技術により製造することができる。
経口剤については錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等いずれの形態で投与されてもよく、薬学的に許容される、賦形剤、崩壊剤、結合剤等の医薬添加剤と適宜混合し、通常の製剤化技術を用いることにより製造することができる。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれら塩は、既存医薬品のように、注射剤として投与されてもよいし、内服剤として投与されてもよいし、外用剤として投与されてもよいし、局所投与形態で投与されてもよい。
注射剤については、薬学的に許容される、浸透圧調節剤、安定化剤、可溶化剤、PH調節剤等を適宜組み合わせて用い、通常の製剤化技術により製造することができる。
経口剤については錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等いずれの形態で投与されてもよく、薬学的に許容される、賦形剤、崩壊剤、結合剤等の医薬添加剤と適宜混合し、通常の製剤化技術を用いることにより製造することができる。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれら塩は、既存医薬品のように、注射剤として投与されてもよいし、内服剤として投与されてもよいし、外用剤として投与されてもよいし、局所投与形態で投与されてもよい。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれら塩は、他の薬物や医薬品添加剤と混合され併用投与されてもよい。
他の薬物は特に限定されず、通常医薬品として使用可能な薬物、例えばヒアルロン酸、消化剤、整腸剤、抗潰瘍剤、抗生物質、ホルモン、酵素、ステロイド、内分泌系用薬、循環器系剤、抗リウマチ剤、抗炎症剤、鎮痛剤、解熱剤、抗アレルギー剤、抗腫瘍剤、更にはインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子等のペプチド等が使用されてもよい。
医薬品添加剤も特に限定されず、通常医薬品として使用可能なものが使用されればよい。
他の薬物は特に限定されず、通常医薬品として使用可能な薬物、例えばヒアルロン酸、消化剤、整腸剤、抗潰瘍剤、抗生物質、ホルモン、酵素、ステロイド、内分泌系用薬、循環器系剤、抗リウマチ剤、抗炎症剤、鎮痛剤、解熱剤、抗アレルギー剤、抗腫瘍剤、更にはインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子等のペプチド等が使用されてもよい。
医薬品添加剤も特に限定されず、通常医薬品として使用可能なものが使用されればよい。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を注射剤として投与する場合には、通常成人に対し1日あたり5.0mg〜20.0mgを静脈内に投与すればよく、症状に応じて適宜増減すればよい。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、上記の投与量の範囲においては、安全性においても特に問題はない。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、上記の投与量の範囲においては、安全性においても特に問題はない。
以下、本発明の実施例について説明する。
ただし、本発明の範囲は下記実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例では、モノヨード酢酸ナトリウム塩(MIA)を用いて変形性関節症(OA)を誘発したラットモデルを用いた鎮痛試験を実施した。
ただし、本発明の範囲は下記実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例では、モノヨード酢酸ナトリウム塩(MIA)を用いて変形性関節症(OA)を誘発したラットモデルを用いた鎮痛試験を実施した。
(1)モデル作製
Crl:CD(SD)ラットを準備し、吸入麻酔剤として日本薬局方イソフルラン(マイラン製薬社製)を準備した。吸入麻酔剤の2%吸入麻酔下で、ラットの右側膝関節腔内に、モノヨード酢酸ナトリウム塩(MIA、Sigma-Aldrich社製)を50μL(2mg/site)投与し、変形性関節症(OA)を誘発した。
Crl:CD(SD)ラットを準備し、吸入麻酔剤として日本薬局方イソフルラン(マイラン製薬社製)を準備した。吸入麻酔剤の2%吸入麻酔下で、ラットの右側膝関節腔内に、モノヨード酢酸ナトリウム塩(MIA、Sigma-Aldrich社製)を50μL(2mg/site)投与し、変形性関節症(OA)を誘発した。
(2)投与液調製および投与
被験物質(化合物X)として、上記式(IA)の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体のリシン塩(m1、m2はそれぞれ1の整数、n1およびn2はそれぞれ3の整数、純度97.6%)を使用した。化合物Xは下記製造例の記載に従い製造した。化合物Xの必要量を秤量し、生理食塩液を加え所定量になるようにメスアップし、0.1、1および10mg/mLに調製したものを、投与液として使用した。投与時の投与液それぞれの最終濃度は0.01、0.1および1mg/膝となる。対照群(コントロール群)として生理食塩水を用いた。
各投与液100μLを、注射剤として、MIA投与7日後から週2回の頻度で4週間にわたり膝関節腔内に投与した。
被験物質(化合物X)として、上記式(IA)の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体のリシン塩(m1、m2はそれぞれ1の整数、n1およびn2はそれぞれ3の整数、純度97.6%)を使用した。化合物Xは下記製造例の記載に従い製造した。化合物Xの必要量を秤量し、生理食塩液を加え所定量になるようにメスアップし、0.1、1および10mg/mLに調製したものを、投与液として使用した。投与時の投与液それぞれの最終濃度は0.01、0.1および1mg/膝となる。対照群(コントロール群)として生理食塩水を用いた。
各投与液100μLを、注射剤として、MIA投与7日後から週2回の頻度で4週間にわたり膝関節腔内に投与した。
(3)化合物Xの製造例
以下の記載における化学構造式中のアスタキサンチン骨格中鎖炭素鎖部分における幾何異性体は便宜的に全トランス体の化学構造式で示す。
以下の記載における化学構造式中のアスタキサンチン骨格中鎖炭素鎖部分における幾何異性体は便宜的に全トランス体の化学構造式で示す。
(3.1)4−(イミダゾール−1−イルカルボニルアミノ)酪酸t−ブチル(本化学名中、tは第三級を意味する。以下、同様とする。)の合成:
カルボニルジイミダゾール(9.95kg)に塩化メチレン(79.6kg)を加えて、撹拌し、4−アミノ酪酸t−ブチル塩酸塩(8.0kg)の塩化メチレン(53.1kg)溶液を−5〜5℃で加え、反応混合物を同温度で30分間撹拌した。15〜25℃に加温し、同温度で1時間撹拌した。反応混合物に、水(40kg)を加えて、撹拌し、有機層を分離した。得られた溶液を5%食塩水(42.1kg)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、標記粗生成物(濃縮残分、10.4kg)を得た。
NMRスペクトル(δppm、CDCl3):8.22(1H、s)、7.92(1H、br)、7.28(1H、d、J=0.8Hz)7.05(1H、d、J=0.8Hz)、3.45(2H、dt、J=6.0、6.0Hz)、2.40(2H、t、J=6.4)、1.92(2H、tt、J=6.4、6.4Hz)、1.44(9H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):254.00(M+H)+。
NMRスペクトル(δppm、CDCl3):8.22(1H、s)、7.92(1H、br)、7.28(1H、d、J=0.8Hz)7.05(1H、d、J=0.8Hz)、3.45(2H、dt、J=6.0、6.0Hz)、2.40(2H、t、J=6.4)、1.92(2H、tt、J=6.4、6.4Hz)、1.44(9H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):254.00(M+H)+。
(3.2)4−(3−カルボキシメチルウレイド)酪酸t−ブチルの合成:
4−(イミダゾール−1−イルカルボニルアミノ)酪酸t−ブチル(上記(3.1)の化合物)(10.4kg)に塩化メチレン(185.7kg)、グリシン(7.4kg)、トリエチルアミン(8.3kg)を加えて、撹拌し、−5〜5℃でクロロトリメチルシラン(8.9kg)を加え、該反応混合物を15〜30℃で60時間撹拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、酢酸エチル(208kg)、塩酸(5.66kg)と20%食塩水(106kg)の混合液を加えて、撹拌し、有機層を分離した。得られた溶液を塩酸(5.66kg)と20%食塩水(106kg)の混合液で洗浄した。水層を酢酸エチル(57.4kg)で抽出し、有機層と抽出液を合わせた。得られた溶液を20%食塩水(100kg)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。酢酸エチル(14.4kg)を加えて、撹拌し、45〜55℃で均一溶液とした。該溶液を20〜30℃に冷却し、n−ヘプタン(108.7kg)を滴下し、結晶の析出を確認後、1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、標記化合物(7.98kg、純度99.2%)を白色結晶として得た。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−Triart C18 ExRS 及び移動相:アセトニトリル/pH8のリン酸塩緩衝液=3/7、流速:1mL/min、検出波長:210nm)を用いて、決定した。
NMRスペクトル(δppm、CDCl3):6.16(1H、t、J=5.6Hz)、6.01(1H、t、J=5.6Hz)、3.67(2H、d、J=6.0Hz)、2.97(2H、dt、J=6.4、6.4Hz)、2.17(2H、t、J=7.2Hz)、1.56(2H、tt、J=7.2、7.2Hz)、1.39(9H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):260.92(M+H)+。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−Triart C18 ExRS 及び移動相:アセトニトリル/pH8のリン酸塩緩衝液=3/7、流速:1mL/min、検出波長:210nm)を用いて、決定した。
NMRスペクトル(δppm、CDCl3):6.16(1H、t、J=5.6Hz)、6.01(1H、t、J=5.6Hz)、3.67(2H、d、J=6.0Hz)、2.97(2H、dt、J=6.4、6.4Hz)、2.17(2H、t、J=7.2Hz)、1.56(2H、tt、J=7.2、7.2Hz)、1.39(9H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):260.92(M+H)+。
(3.3)4−(3−{4−[18−(4(S)−[3−(3−t−ブトキシカルボニルプロピル)ウレイドアセトキシ]−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸t−ブチルの合成:
3(S),3’(S)−アスタキサンチン(1.8kg)、4−(3−カルボキシメチルウレイド)酪酸t−ブチル(上記(3.2)の化合物)(2.75kg)に、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(2.95kg)及び塩化メチレン(71.6kg)を加えて、撹拌し、溶液とした。該溶液に−5〜5℃で1−(3-ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(4.63kg)を加え、同温度で4時間撹拌した。反応混合物に水(3.6kg)を加えて、撹拌し、更に、酢酸エチル(48.4kg)を加えて、撹拌し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣に酢酸エチル(48.4kg)、水(45kg)を加えて、撹拌し、有機層を分離した。得られた溶液を塩酸水(0.3M、46.4kg)で3回、10%食塩水(45.9kg)、炭酸水素ナトリウム水溶液(約7%、48.2kg)、20%食塩水(45kg)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下にて濃縮乾固し、標記化合物(濃縮残渣、3.26kg、純度98.1%)を得た。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
NMRスペクトル(δppm、CDCl3):6.18−6.72(14H、m)、5.56(2H、dd、J=6.4、13.2Hz)、5.04(2H、t、J=5.3Hz)、4.81(2H、t、5.7Hz)、4.25(2H、dd、J=18.1、6.6Hz)、4.03(2H、dd、J=18.3、4.6Hz)、3.19−3.26(4H、m)、2.29(4H、t、J=7.3Hz)、2.02−2.13(4H、m)、1.99(12H、s)、1.90(3H、s)、1.76−1.83(4H、m)、1.44(18H、s)、1.34(6H、s)、1.23(6H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):1081.88(M+H)+、1103.67(M+Na)+。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
NMRスペクトル(δppm、CDCl3):6.18−6.72(14H、m)、5.56(2H、dd、J=6.4、13.2Hz)、5.04(2H、t、J=5.3Hz)、4.81(2H、t、5.7Hz)、4.25(2H、dd、J=18.1、6.6Hz)、4.03(2H、dd、J=18.3、4.6Hz)、3.19−3.26(4H、m)、2.29(4H、t、J=7.3Hz)、2.02−2.13(4H、m)、1.99(12H、s)、1.90(3H、s)、1.76−1.83(4H、m)、1.44(18H、s)、1.34(6H、s)、1.23(6H、s)。
マススペクトル(+ESI、m/z):1081.88(M+H)+、1103.67(M+Na)+。
(3.4)4−(3−{4(S)−[18−(4−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸の合成:
4−(3−{4−[18−(4(S)−[3−(3−t−ブトキシカルボニルプロピル)ウレイドアセトキシ]−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸t−ブチル(上記(3.3)の化合物)(18.12g)にギ酸(272mL)を加えて、25〜35℃で1時間撹拌した。反応混合物を水(1087mL)に加えて、撹拌し、酢酸エチル(1087mL)を加えて、撹拌し、有機層を分離した。有機層を水(543mL)で2回、10%食塩水(543.4g)で2回、順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。濃縮残渣をテトラヒドロフラン(81.1mL)、水(8.11mL)で溶解し、該溶液にアセトニトリル(486.8mL)を滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、標記化合物(4.48g、純度90.7%)を暗紫〜暗赤色固体として得た。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
(3.5)4−(3−{4(S)−[18−(4−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸の合成:
4−(3−{4(S)−[18−(4−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸(上記(3.4)の粗生成物)(4.0g)に、テトラヒドロフラン(18.4mL)、水(2.0mL)を加え、撹拌し、溶解した。該溶液にアセトニトリル(60mL)を滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、暗紫〜暗赤色固体を得た(3.31g、純度96.9%)。得られた固体(3.26g)に、テトラヒドロフラン(15.0mL)、水(1.6mL)を加え、撹拌し、溶解した。該溶液にアセトニトリル(49mL)を滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、暗紫〜暗赤色固体を得た(2.93g、純度98.9%)。得られた固体(2.38g)に、テトラヒドロフラン(10.9mL)、水(1.2mL)を加え、撹拌し、溶解した。該溶液にアセトニトリル(36mL)を滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、標記化合物(2.18g、純度99.3%)を暗紫〜暗赤色固体として得た。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
なお、生成物の純度は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC−TriartC18 ExRS 及び移動相:0.025%トリフルオロ酢酸入りアセトニトリル/0.025%トリフルオロ酢酸水=30〜98/70〜2、流速:1mL/min、検出波長:474nm)を用いて、決定した。
(3.6)4−(3−{4(S)−[18−(4−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸二リシン塩;化合物Xの合成:
4−(3−{4(S)−[18−(4−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸(上記(3.5)の化合物)(0.50g、)に、エタノール(10mL)、水(0.5mL)を加えて撹拌した。該懸濁溶液にL−リシン1水和物(0.174g、)の水(2mL)溶液を室温で加えた。該反応混合物に水(7.5mL)を加えて、撹拌し、溶解した。該反応混合物にエタノール(32mL)を室温で滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、標記化合物(0.47g、純度98.6%、光学純度99.0%de)を暗紫〜暗赤色固体として得た。
なお、生成物の純度は、上記同様に高速液体クロマトグラフィーを用いて決定した。光学純度は高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC CHIRAL ART Amylose・SA (5μm, 4.6mmI.D.x250mm)、カラム温度:25℃及び移動相:THF/水/TFA (40:60:0.1)、流速:1mL/min、検出波長:474nm、カラム保持時間:15.4分(S、S)、17.6分(meso)、20.6分(R、R))を用いて、決定した。
4−(3−{4(S)−[18−(4−{3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ}−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1(E),3(E),5(E),7(E),9(E),11(E),13(E),15(E),17(E)−ノナニエル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニル−1(S)−オキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸(上記(3.5)の化合物)(0.50g、)に、エタノール(10mL)、水(0.5mL)を加えて撹拌した。該懸濁溶液にL−リシン1水和物(0.174g、)の水(2mL)溶液を室温で加えた。該反応混合物に水(7.5mL)を加えて、撹拌し、溶解した。該反応混合物にエタノール(32mL)を室温で滴下し、固体の析出を確認した後、1時間撹拌した。析出した固体を濾取、乾燥し、標記化合物(0.47g、純度98.6%、光学純度99.0%de)を暗紫〜暗赤色固体として得た。
なお、生成物の純度は、上記同様に高速液体クロマトグラフィーを用いて決定した。光学純度は高速液体クロマトグラフィー(カラム:株式会社ワイエムシィ製 YMC CHIRAL ART Amylose・SA (5μm, 4.6mmI.D.x250mm)、カラム温度:25℃及び移動相:THF/水/TFA (40:60:0.1)、流速:1mL/min、検出波長:474nm、カラム保持時間:15.4分(S、S)、17.6分(meso)、20.6分(R、R))を用いて、決定した。
(4)疼痛測定1
(4.1)左右後肢の重量測定
左右足の重量を、週1回の頻度で(被験物質週2回投与:2回目の投与は1回目の投与から3日後)、7日後、14日後、21日後、28日後の4週間にわたり測定した。測定装置としてIncapacitance Tester(Linton Instrument社製)を用いた。重量測定では、動物を専用フォルダ内に入れ、2箇所に装備されたウェイトメーター上に左右後肢をそれぞれ乗せて測定を行った。そして左足の重量と右足の重量との比(重量負荷比)を算出し疼痛の度合いを評価した。
(4.1)左右後肢の重量測定
左右足の重量を、週1回の頻度で(被験物質週2回投与:2回目の投与は1回目の投与から3日後)、7日後、14日後、21日後、28日後の4週間にわたり測定した。測定装置としてIncapacitance Tester(Linton Instrument社製)を用いた。重量測定では、動物を専用フォルダ内に入れ、2箇所に装備されたウェイトメーター上に左右後肢をそれぞれ乗せて測定を行った。そして左足の重量と右足の重量との比(重量負荷比)を算出し疼痛の度合いを評価した。
(4.2)左右後肢の重量測定結果
結果を表1および図1に示した。
コントロール群の投与前、7日後、14日後、21日後および28日後の重量負荷比は0.60、0.61、0.58および0.61であった。化合物X投与群の投与前、7日後、14日後、21日後および28日後の重量負荷比は、化合物X濃度が0.01mg/膝において0.60、0.62、0.60、0.60および0.59であり、化合物X濃度が0.1mg/膝において0.60、0.63、0.61、0.63および0.64であり、化合物X濃度が1mg/膝において0.60、0.61、0.63、0.65および0.66であった。化合物X濃度が0.1mg/膝および1mg/膝の化合物X投与群において14日後、21日後および28日後でコントロール群と比較して有意な高値が示された。
なお、表1中、重量負荷比の各算出値はラット10匹の平均値±標準誤差を示している。表1および図1中、「*」はP値<0.05である(コントロール群と化合物X投与群との間のP値が5%未満である)ことを、「**」はP値<0.01である(コントロール群と化合物X投与群との間のP値が1%未満である)ことを、それぞれ意味している。
結果を表1および図1に示した。
コントロール群の投与前、7日後、14日後、21日後および28日後の重量負荷比は0.60、0.61、0.58および0.61であった。化合物X投与群の投与前、7日後、14日後、21日後および28日後の重量負荷比は、化合物X濃度が0.01mg/膝において0.60、0.62、0.60、0.60および0.59であり、化合物X濃度が0.1mg/膝において0.60、0.63、0.61、0.63および0.64であり、化合物X濃度が1mg/膝において0.60、0.61、0.63、0.65および0.66であった。化合物X濃度が0.1mg/膝および1mg/膝の化合物X投与群において14日後、21日後および28日後でコントロール群と比較して有意な高値が示された。
なお、表1中、重量負荷比の各算出値はラット10匹の平均値±標準誤差を示している。表1および図1中、「*」はP値<0.05である(コントロール群と化合物X投与群との間のP値が5%未満である)ことを、「**」はP値<0.01である(コントロール群と化合物X投与群との間のP値が1%未満である)ことを、それぞれ意味している。
(5)疼痛測定2
(5.1)疼痛閾値(機械刺激)測定
右足蹠の疼痛閾値(g)を左右後肢の重量測定日と同日に、1匹あたり1回測定した。測定装置としてDynamic Plantar Aesthesiometer(Cat.No.37400、Ugo Basile社製)を用いた。機械刺激の条件は、最大圧力を30.0gに、最大圧力まで到達する時間を40秒に、それぞれ設定した。
統計学的解析は測定時点毎にStudentのt検定を行った。いずれも、両側で危険率5%未満(P<0.05)を有意差ありと判定した。結果は全て平均値±標準誤差で示した。解析ソフトはSAS 9.1.3(SAS Institute Japan株式会社)を用いたEXSUS Version 7.7.1(株式会社CACクロア)を使用した。
(5.1)疼痛閾値(機械刺激)測定
右足蹠の疼痛閾値(g)を左右後肢の重量測定日と同日に、1匹あたり1回測定した。測定装置としてDynamic Plantar Aesthesiometer(Cat.No.37400、Ugo Basile社製)を用いた。機械刺激の条件は、最大圧力を30.0gに、最大圧力まで到達する時間を40秒に、それぞれ設定した。
統計学的解析は測定時点毎にStudentのt検定を行った。いずれも、両側で危険率5%未満(P<0.05)を有意差ありと判定した。結果は全て平均値±標準誤差で示した。解析ソフトはSAS 9.1.3(SAS Institute Japan株式会社)を用いたEXSUS Version 7.7.1(株式会社CACクロア)を使用した。
(5.2)疼痛閾値(機械刺激)測定結果
結果を表2および図2に示した。
コントロール群の投与前、7日後、14日後、21日後および28日後の疼痛閾値は11.3、10.4、10.2、10.0および9.9gであった。化合物X投与群の投与前、7日後、14日後、21日後および28日後の疼痛閾値は、化合物X濃度が0.01mg/膝において11.3、10.9、11.0、10.6および10.5gであり、化合物X濃度が0.1mg/膝群において11.3、11.0、11.4、11.8および12.1であり、化合物X濃度が1mg/膝において11.4、10.5、11.1、13.3および13.4であった。化合物X濃度が0.1mg/膝および1mg/膝の化合物X投与群において21日後および28日後でコントロール群と比較して有意な高値が示された。
なお、表2中、疼痛閾値の各測定値はラット10匹の平均値±標準誤差を示している。表2および図2中、「*」はP値<0.05である(コントロール群と化合物X投与群との間のP値が5%未満である)ことを、「**」はP値<0.01である(コントロール群と化合物X投与群との間のP値が1%未満である)ことを、それぞれ意味している。
結果を表2および図2に示した。
コントロール群の投与前、7日後、14日後、21日後および28日後の疼痛閾値は11.3、10.4、10.2、10.0および9.9gであった。化合物X投与群の投与前、7日後、14日後、21日後および28日後の疼痛閾値は、化合物X濃度が0.01mg/膝において11.3、10.9、11.0、10.6および10.5gであり、化合物X濃度が0.1mg/膝群において11.3、11.0、11.4、11.8および12.1であり、化合物X濃度が1mg/膝において11.4、10.5、11.1、13.3および13.4であった。化合物X濃度が0.1mg/膝および1mg/膝の化合物X投与群において21日後および28日後でコントロール群と比較して有意な高値が示された。
なお、表2中、疼痛閾値の各測定値はラット10匹の平均値±標準誤差を示している。表2および図2中、「*」はP値<0.05である(コントロール群と化合物X投与群との間のP値が5%未満である)ことを、「**」はP値<0.01である(コントロール群と化合物X投与群との間のP値が1%未満である)ことを、それぞれ意味している。
(6)まとめ
本実施例の結果をまとめると以下のとおりである。
ラットMIA誘発OAモデルを用い、重量負荷比および疼痛閾値に対する化合物Xの作用を検討した。全ての個体において、重量負荷比および疼痛閾値の低下が認められたことから、モデル動物が適切に作製されたと判断した。上記の病態モデルで認められた重量負荷比および疼痛閾値の減少に対し、化合物Xは投与開始3週後(21日後)から4週まで(28日後)で有意な抑制作用を示した。
本実施例の結果をまとめると以下のとおりである。
ラットMIA誘発OAモデルを用い、重量負荷比および疼痛閾値に対する化合物Xの作用を検討した。全ての個体において、重量負荷比および疼痛閾値の低下が認められたことから、モデル動物が適切に作製されたと判断した。上記の病態モデルで認められた重量負荷比および疼痛閾値の減少に対し、化合物Xは投与開始3週後(21日後)から4週まで(28日後)で有意な抑制作用を示した。
Claims (7)
- 式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する変形性関節症改善剤。
- 式(I)において、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2はそれぞれ3の整数である請求項1記載の変形性関節症改善剤。
- 塩がリシン塩である請求項1または2記載の変形性関節症改善剤。
- 式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物またはそれらの塩を含有する変形性関節症改善剤。
- 式(IA)において、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2がそれぞれ3の整数である請求項4記載の変形性関節症改善剤。
- 式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体に対応する光学活性シス−アスタキサンチン誘導体およびその塩を実質的に含有しない、請求項4または5記載の変形性関節症改善剤。
- 塩がリシン塩である請求項4〜6のいずれか1項記載の高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体の塩を含有する変形性関節症改善剤。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017185873A JP2021008404A (ja) | 2017-09-27 | 2017-09-27 | 変形性関節症改善剤 |
PCT/JP2018/035563 WO2019065674A1 (ja) | 2017-09-27 | 2018-09-26 | 変形性関節症改善剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017185873A JP2021008404A (ja) | 2017-09-27 | 2017-09-27 | 変形性関節症改善剤 |
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---|---|---|---|
JP2017185873A Pending JP2021008404A (ja) | 2017-09-27 | 2017-09-27 | 変形性関節症改善剤 |
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BR112021024398A2 (pt) * | 2019-06-06 | 2022-01-18 | Hoffmann La Roche | Processo alternativo para a preparação de ácido 4-fenil-5-alcoxicarbonil-2-tiazol-2-il-1,4-di-hidropirimidin-6-il]metil]-3-oxo-5,6,8,8a-tetra-hidro-1h-imidazo[1,5-a]pirazin-2-il]-carboxílico |
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CA2948605C (en) * | 2014-05-20 | 2019-12-24 | Fuji Chemical Industries Co., Ltd. | Carotenoid derivative, pharmaceutically acceptable salt thereof, or pharmaceutically acceptable ester or amide thereof |
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2017
- 2017-09-27 JP JP2017185873A patent/JP2021008404A/ja active Pending
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2018
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WO2019065674A1 (ja) | 2019-04-04 |
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