JP2019099505A - 脳血管障害治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな脳血管障害治療剤の提供。【解決手段】式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する脳血管障害治療剤。(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する。)【選択図】なし
Description
本発明はアスタキサンチン誘導体を含有する脳血管障害治療剤に関する。
下記化学構造式を有する3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン(一般名「エダラボン」、商品名「ラジカット(登録商標)」:三菱ウェルファーマ株式会社製造・販売。以下単に「エダラボン」という。)は、脳血管障害の各種動物モデル実験で優れた有効性が認められ、脳血管障害時の治療薬として、脳機能正常化作用(特許文献1)や過酸化脂質生成抑制作用(特許文献2)が認められている。
エダラボンを有効成分とした注射剤の開発も行われており(特許文献3、4)、特に特許文献4では、溶解補助剤としてエタノールを、安定化剤としてエデト酸2ナトリウムなどのキレート剤を、それぞれ使用し、注射剤の製剤化に対する困難性を克服しようとしている(特許文献4の試験例1、2)。
しかしながら、特許文献4にも記載のとおり、エダラボンは水に溶けにくく水溶液中の濃度上昇に伴い化学的安定性が低下し、粉末状態と比較すると水溶液中では酸化を受け分解しやすいという性質を有しており(特許文献4の第2頁第48〜50行目)、エダラボンに代替しうる新薬であってエダラボンと同等またはそれ以上の治療効果を有する新薬の開発が望まれている。
本発明の主な目的は、エダラボンに代替可能でそれと同等またはそれ以上の治療効果を有する脳血管障害治療剤を提供することにある。
本発明の主な目的は、エダラボンに代替可能でそれと同等またはそれ以上の治療効果を有する脳血管障害治療剤を提供することにある。
本発明者らは、脳血管障害治療剤の治療薬として新たな治療薬を見出すべく鋭意検討した結果、式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩が脳血管障害治療剤に対し優れた治療効果を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明〔1〕〜〔3〕を提供するものである。
〔1〕式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する脳血管障害治療剤。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を意味する。)
〔2〕脳血管障害治療剤製造のための、前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩の使用。
〔3〕前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩の有効量を投与することを特徴とする脳血管障害の治療方法。
〔3〕前記式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩の有効量を投与することを特徴とする脳血管障害の治療方法。
本発明の式(I)で示されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、ヒト、犬、猫、馬などの各種動物全般の脳血管障害に対し優れた有効性を有するものであり、式(I)で示されるアスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は脳血管障害治療剤として優れたものである。
本発明の脳血管障害治療剤は、前記式(I)で表されるトランス−アスタキサンチン誘導体、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を有効成分として含有する。「脳血管障害」は、血管の閉塞や狭窄による血流の悪化や血管が破れて生じる脳の傷害であり、血流の悪化により発生する虚血性脳血管障害や、血管が破れて生じる出血性脳血管障害を代表例としてあげることができる。虚血性脳血管障害としては、脳梗塞(具体的には脳血栓、脳塞栓など)やその前兆と考えられる一過性脳虚血発作があげられる。出血性脳血管障害としては、脳内出血やくも膜下出血をあげることができる。
本発明においてより好ましい効果を期待できる脳血管障害としては脳梗塞をあげることができる。
本発明においてより好ましい効果を期待できる脳血管障害としては脳梗塞をあげることができる。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、それぞれ同じまたは異なって1〜6の整数を示す。)
式(I)の化合物の中では、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2がそれぞれ3の整数を示す場合が好ましい。
式(I)にかかる化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物およびそれらの光学異性体は、分子内にカルボキシル基を有することから望まれる塩基物質或いは塩基化合物と通常の塩形成反応をさせることにより薬学上許容される塩を形成することができる。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、リシン塩、オルニチン塩、アルギニン塩のようなアミノ酸塩を挙げることができ、中でもリシン塩を好ましいものとして挙げることができる。
式(I)の化学構造式において、アスタキサンチン基本骨格中の中鎖炭素鎖部分における二重結合部分は化学構造上トランスおよびシスの幾何異性体の構造を取り得る。本発明にかかる有効成分については、式(I)のトランス体のみならず、以下の式(Ia)や式(Ib)に代表されるシス体も本発明にかかる脳血管障害治療剤の有効成分として挙げることができる。本発明の脳血管障害治療剤については、式(I)のトランス体やその幾何異性体であるシス体の各種混合比での混合物並びにトランス体とシス体の混合物も有効成分として含むものである。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
また、式(I)の化合物、その幾何異性体およびそれら幾何異性体の混合物は、以下に代表される光学異性体(IA)を包含し得るものであり、その対掌体やそれらの混合物、ジアステレオマーも全て本発明にかかる脳血管障害治療剤の有効成分として包含する。
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物およびそれらの光学異性体の中では、上記の式(IA)のトランス体の化合物が好ましい。
また、上記式(IA)のトランス体の化合物中でも、m1およびm2はそれぞれ1の整数を意味しn1およびn2はそれぞれ3の整数を意味する化合物が好ましい。
また、上記式(IA)のトランス体の化合物中でも、m1およびm2はそれぞれ1の整数を意味しn1およびn2はそれぞれ3の整数を意味する化合物が好ましい。
前記のように、式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体またはその塩がより好ましく、さらに式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体に対応する光学活性シス−アスタキサンチン誘導体およびその塩を実質的に含有しない高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体またはその塩がさらに好ましい。ここで、本発明にかかる脳血管障害治療剤の有効成分を「高純度」で含有するとは、当該有効成分中の純度が少なくとも95%以上、好ましくは98%以上である場合をいう。
本発明にかかる式(I)の化合物、その幾何異性体、それらの光学異性体およびそれらの塩は、国際公開第2015/178404号明細書に記載の製造方法や同方法と公知の方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。それらの製造方法の中で、式(I)の化合物の幾何異性体、それらの光学異性体の製造方法について上記式(IA)の光学異性体の製造方法を代表として以下に説明する。
(1A) 脱保護反応
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基を意味する。)
原料化合物である式(II)の化合物の保護基を脱離することにより、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を製造することができる。
当該脱離反応は、保護基の通常の脱離反応が使用でき、具体的には、酸による脱離反応をあげることができる。
保護基としては、第三級ブチル基、トリメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基等をあげることができ、好適なものとしては第三級ブチル基、トリメチルシリル基等をあげることができる。
保護基としては、第三級ブチル基、トリメチルシリル基、テトラヒドロピラニル基等をあげることができ、好適なものとしては第三級ブチル基、トリメチルシリル基等をあげることができる。
酸による脱離反応の場合には、式(II)の化合物を不活性な溶媒中、酸を加え反応させることにより、目的とする式(IA)の化合物を製造することができる。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルのような有機酸エステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のような有機酸類;水;またはこれらの溶媒の混合溶媒をあげることでき、好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類、アルコール類、有機酸類、アミド類、水、またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、更に好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類、有機酸類、エーテル類、水またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、最も好適には、ハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ギ酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または水とこれらの有機溶媒の混合溶媒(保護基がC1−C6アルキル基である場合)をあげることができる。
使用され得る酸は、通常の反応において、酸として使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、燐酸のような無機酸;酢酸、ギ酸、蓚酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸;塩化亜鉛、四塩化スズ、ボロントリクロリド、ボロントリフルオリド、ボロントリブロミドのようなルイス酸;または酸性イオン交換樹脂であり得、好適には、無機酸または有機酸であり、最も好適には、塩酸、酢酸、ギ酸およびトリフルオロ酢酸をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する酸、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(II)の化合物の使用重量に対し10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。酸の使用量は、原料である式(II)の化合物に対し、無機酸であれば、通常5倍乃至50倍モル量、好適には10倍乃至30倍モル量使用すればよく、有機酸であれば、通常100倍乃至1000倍モル量、好適には200倍乃至600倍モル量使用すればよい。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテルのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;ギ酸エチル、ギ酸イソプロピル、ギ酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルのような有機酸エステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のような有機酸類;水;またはこれらの溶媒の混合溶媒をあげることでき、好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、エーテル類、アルコール類、有機酸類、アミド類、水、またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、更に好適には、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類、有機酸類、エーテル類、水またはこれらの溶媒の混合溶媒であり、最も好適には、ハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ギ酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または水とこれらの有機溶媒の混合溶媒(保護基がC1−C6アルキル基である場合)をあげることができる。
使用され得る酸は、通常の反応において、酸として使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、燐酸のような無機酸;酢酸、ギ酸、蓚酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸;塩化亜鉛、四塩化スズ、ボロントリクロリド、ボロントリフルオリド、ボロントリブロミドのようなルイス酸;または酸性イオン交換樹脂であり得、好適には、無機酸または有機酸であり、最も好適には、塩酸、酢酸、ギ酸およびトリフルオロ酢酸をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する酸、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(II)の化合物の使用重量に対し10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。酸の使用量は、原料である式(II)の化合物に対し、無機酸であれば、通常5倍乃至50倍モル量、好適には10倍乃至30倍モル量使用すればよく、有機酸であれば、通常100倍乃至1000倍モル量、好適には200倍乃至600倍モル量使用すればよい。
以上の脱保護反応により得られる生成物は、前記の9−シス体や13−シス体等の幾何異性体を含有し得るので、カラムクロマトグラフィー、再沈殿や結晶化等の分離、精製手段を目的に応じて適宜組み合わせることにより、同幾何異性体を分離、除去し、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を高純度で単離、製造することができる。
また、分離した前記シス体は、上記の如き精製、分離方法を適宜組み合わせることにより単離取得することができる。
また、分離した前記シス体は、上記の如き精製、分離方法を適宜組み合わせることにより単離取得することができる。
(1B) シス体からトランス体への変換方法
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有する。)
本製造法で使用される代表的シス体は上記のごとき式(IAa)および(IAb)の化合物であり、これらは、単独の原料化合物として、或いはシス体の混合物として、或いはシス体を過剰に含むトランス体との混合物として不活性な溶媒に溶解後、ヨウ素等の転換試薬を用いて反応させることにより目的とする式(IA)の高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体を製造することができる。
使用される溶媒は、本反応に不活性なものであれば特に限定はされず、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、水等をあげることができる。
上記転換試薬として好適に使用されるものしては、ヨウ素をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する転換試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(IAa)または式(IAb)の化合物の使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。転換試薬の使用量は、原料である式(IAa)または式(IAb)の化合物に対し通常0.01倍モル量以上、好適には0.1倍モル量以上使用すればよい。
上記転換試薬として好適に使用されるものしては、ヨウ素をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する転換試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、通常式(IAa)または式(IAb)の化合物の使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。転換試薬の使用量は、原料である式(IAa)または式(IAb)の化合物に対し通常0.01倍モル量以上、好適には0.1倍モル量以上使用すればよい。
以上の転換反応により得られる生成物において、前記9−シス体や13−シス体等の幾何異性体を分離する方法としては、カラムクロマトグラフィー、再沈殿や結晶化等の方法をあげることができ、目的に応じてこれらの方法を適宜組み合わせることにより、同幾何異性体を分離し、目的とする式(IA)の光学活性のトランス−アスタキサンチン誘導体を高純度で単離、製造することができる。
また、分離されたシス体も上記の分離手段を適宜組み合わせて用いることにより、夫々のシス体として単離、製造することができる。
また、分離されたシス体も上記の分離手段を適宜組み合わせて用いることにより、夫々のシス体として単離、製造することができる。
次に上記の原料化合物(II)の代表的製造方法を以下に説明する。
(2A) 3S,3’S−アスタキサンチンに側鎖部分全体を直接結合させる方法
(式中、m1およびn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基)を意味する。)
3S,3’S−アスタキサンチンを不活性な溶媒に溶解後、縮合試薬存在下、式(I)の化合物における側鎖部分にあたる式(III)の化合物を反応させることにより、式(II)の化合物を製造することができる。
溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶媒をあげることができる。
縮合試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては水溶性カルボジイミド塩酸塩(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド等をあげることができる。縮合試薬の使用量は、原料である3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル量〜20倍モル量使用すればよい。
側鎖部分にあたる式(III)の化合物については、3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル〜20倍モル量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する縮合試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、3S,3’S−アスタキサンチンの使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。
縮合試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては水溶性カルボジイミド塩酸塩(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド等をあげることができる。縮合試薬の使用量は、原料である3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル量〜20倍モル量使用すればよい。
側鎖部分にあたる式(III)の化合物については、3S,3’S−アスタキサンチンに対し通常2倍モル量以上、好適には2.5倍モル〜20倍モル量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する縮合試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間である。溶媒の使用量は、3S,3’S−アスタキサンチンの使用重量に対し通常10倍乃至50倍容量を使用すればよく、好適には30倍容量使用すればよい。
得られる式(II)の化合物は、通常、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の精製手段を適宜組み合わせることにより精製、単離することができる。
なお、側鎖部分全体は、以下の方法により製造することができる。
なお、側鎖部分全体は、以下の方法により製造することができる。
(2A−1)
(式中、m1、およびn1は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基)を意味する。)
式(IV)の化合物にカルボニルジイミダゾール(V)および式(VII)の化合物を順次反応することにより目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
具体的には、式(IV)の化合物を不活性な溶媒中、カルボニルジイミダゾール(V)を塩基等の試薬の存在下或いは非存在下反応させることにより、中間物である式(VI)の化合物を得ることができる。さらに、式(VII)の化合物を塩基等の試薬の存在下トリメチルシリルクロリドと反応させ、次いで式(VI)の化合物と反応させることにより、目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
具体的には、式(IV)の化合物を不活性な溶媒中、カルボニルジイミダゾール(V)を塩基等の試薬の存在下或いは非存在下反応させることにより、中間物である式(VI)の化合物を得ることができる。さらに、式(VII)の化合物を塩基等の試薬の存在下トリメチルシリルクロリドと反応させ、次いで式(VI)の化合物と反応させることにより、目的とする式(III)の化合物を製造することができる。
式(VI)の化合物を得る工程では、溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(IV)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至30倍容量、好適には15倍容量を使用すればよい。
塩基試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。
目的とする式(III)の化合物を得る工程では、トリメチルシリルクロリドと式(VII)の化合物を反応させる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ピリジン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至50倍容量、好適には20倍容量を使用すればよい。
塩基としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。塩基、試薬の使用量は、原料である式(VI)の化合物に対し通常2倍モル以上、好適には2.5倍モル乃至5.0倍モル使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至5日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。次いで式(VI)の化合物を加え、反応させるときの反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至60℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至4日間をあげることができる。
塩基試薬としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。
目的とする式(III)の化合物を得る工程では、トリメチルシリルクロリドと式(VII)の化合物を反応させる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ピリジン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常5倍乃至50倍容量、好適には20倍容量を使用すればよい。
塩基としては、通常の縮合反応に使用されるものを使用することができ、具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。塩基、試薬の使用量は、原料である式(VI)の化合物に対し通常2倍モル以上、好適には2.5倍モル乃至5.0倍モル使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至30℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分間乃至5日間であり、好適には、30分間乃至2日間をあげることができる。次いで式(VI)の化合物を加え、反応させるときの反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、10℃乃至60℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至4日間をあげることができる。
(2B) 3S,3’S−アスタキサンチンに側鎖部分のパーツを順次結合させる方法
(式中、m1、m2、n1およびn2は、前記と同じ意味を有し、Rは保護基(例えば、第三級ブチル基或いはトリメチルシリル基)を意味する。)
本製造方法については、基本、一般式(VII)で示される化合物とカルボニルジイミダゾール(V)を反応させて得られる側鎖部分のパーツ(VIII)を3S,3’S−アスタキサンチンに結合させ、次に、得られた生成物(IX)に側鎖部分のパーツ(XI)を結合させることにより達成できる。
カルボニルジイミダゾール(V)を使用した工程では上記(2A−1)の製造法に示した各種反応条件を同様に使用すればよい。
溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常2倍乃至30倍容量を使用すればよく、好適には7倍容量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間をあげることができる。塩基はトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
得られる側鎖部分のパーツ(VIII)と3S,3’S−アスタキサンチンとの結合反応については、上記の2Aの反応と同様に反応させることにより、式(IX)の化合物を製造することができる。
溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等の有機溶媒をあげることができ、これら有機溶媒の使用量は式(VII)の化合物の使用重量に対し通常2倍乃至30倍容量を使用すればよく、好適には7倍容量使用すればよい。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、−10℃乃至100℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至5日間をあげることができる。塩基はトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等をあげることができる。
得られる側鎖部分のパーツ(VIII)と3S,3’S−アスタキサンチンとの結合反応については、上記の2Aの反応と同様に反応させることにより、式(IX)の化合物を製造することができる。
目的とする一般式(II)を得る工程は、上記で得られた一般式(IX)を有する化合物に一般式(XI)を反応させることにより達成できる。本反応は上記一般式(VIII)を製造する方法に準じて行われる。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至40℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至30時間をあげることができる。
なお、一般式(XI)を有する化合物を製造する方法は、(1)Rがt―ブチル基の場合は一般的に知られたアミノ酸のt−ブチルエステルを合成する方法に準じて達成でき、(2)Rがトリメチルシリル基の場合は、一般式(X)を有する化合物とトリメチルシリルクロリドを不活性溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより達成できる(前記一般式(III)の化合物を作る方法に準じて達成できる)。(2)の反応は一般的に知られたヒドロキシル基やカルボキシル基をシリル化する方法に準じて達成できる。なお、一般式(XI)におけるRがトリメチルシリル基の場合は一般式(II)を生成する反応の後処理に水或いは弱酸性水を使用することにより、トリメチルシリル基を容易に脱離させることが出来る。
反応温度は、反応させる原料化合物や使用する試薬、溶媒等により異なるが、通常、−20℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至40℃である。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分間乃至10日間であり、好適には、30分間乃至30時間をあげることができる。
なお、一般式(XI)を有する化合物を製造する方法は、(1)Rがt―ブチル基の場合は一般的に知られたアミノ酸のt−ブチルエステルを合成する方法に準じて達成でき、(2)Rがトリメチルシリル基の場合は、一般式(X)を有する化合物とトリメチルシリルクロリドを不活性溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより達成できる(前記一般式(III)の化合物を作る方法に準じて達成できる)。(2)の反応は一般的に知られたヒドロキシル基やカルボキシル基をシリル化する方法に準じて達成できる。なお、一般式(XI)におけるRがトリメチルシリル基の場合は一般式(II)を生成する反応の後処理に水或いは弱酸性水を使用することにより、トリメチルシリル基を容易に脱離させることが出来る。
得られた生成物を、通常のカラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の精製手段を適宜組わせて使用することにより、目的とする式(II)の化合物を製造することができる。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤として投与可能であり、また、注射剤としても投与可能である。
上記の経口剤については、薬学的に許容される、賦形剤、崩壊剤、結合剤等の医薬添加剤と適宜混合し、通常の製剤化技術を用いることにより製造することができる。また、前記の注射剤については、薬学的に許容される浸透圧調節剤、安定化剤、可溶化剤、pH調節剤を適宜組み合わせて用い、通常の製剤化技術により製造することができる。
上記の経口剤については、薬学的に許容される、賦形剤、崩壊剤、結合剤等の医薬添加剤と適宜混合し、通常の製剤化技術を用いることにより製造することができる。また、前記の注射剤については、薬学的に許容される浸透圧調節剤、安定化剤、可溶化剤、pH調節剤を適宜組み合わせて用い、通常の製剤化技術により製造することができる。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩を注射剤として投与する場合には、通常成人に対し1日あたり5.0mg〜80.0mgを静脈内に投与すればよく、症状に応じて適宜増減すればよい。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、上記の投与量の範囲においては、安全性においても特に問題はない。
本発明に係る式(I)の化合物、その幾何異性体、それら幾何異性体の混合物、それらの光学異性体またはそれらの塩は、上記の投与量の範囲においては、安全性においても特に問題はない。
以下、本発明の実施例について説明する。
ただし、本発明の範囲は下記実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例では、脳血管障害の代表的モデルの一つである一過性局所脳虚血再灌流障害を誘発した脳梗塞ラットモデルを用い、神経症状悪化及び脳梗塞体積増加に対する抑制作用を検討した。
ただし、本発明の範囲は下記実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例では、脳血管障害の代表的モデルの一つである一過性局所脳虚血再灌流障害を誘発した脳梗塞ラットモデルを用い、神経症状悪化及び脳梗塞体積増加に対する抑制作用を検討した。
(1)モデル作製
Crlj:Wistarラットを準備し、イソフルラン吸入麻酔下にて、正中線に沿って頸部の皮膚切開を加え、左頸部より総頸動脈、外頸動脈および内頸動脈を露出させた。総頸動脈および外頸動脈を糸で結紮した。予めシリコンコーティングした4号のナイロン糸(栓子)を外頸動脈と内頸動脈の分岐部より挿入し、左中大脳動脈(MCA;Middle Cerebral Artery)を閉塞した。左MCA閉塞後、頸部皮膚の縫合を行い、麻酔から解放した。イソフルランの吸入麻酔下にて、再開通前に左総頸動脈、左外頸動脈および左内頸動脈を露出させ、MCA閉塞後120分で栓子を抜き、左MCAの血流を再開させた。その後、頸部皮膚の縫合を行い、麻酔から解放した。
Crlj:Wistarラットを準備し、イソフルラン吸入麻酔下にて、正中線に沿って頸部の皮膚切開を加え、左頸部より総頸動脈、外頸動脈および内頸動脈を露出させた。総頸動脈および外頸動脈を糸で結紮した。予めシリコンコーティングした4号のナイロン糸(栓子)を外頸動脈と内頸動脈の分岐部より挿入し、左中大脳動脈(MCA;Middle Cerebral Artery)を閉塞した。左MCA閉塞後、頸部皮膚の縫合を行い、麻酔から解放した。イソフルランの吸入麻酔下にて、再開通前に左総頸動脈、左外頸動脈および左内頸動脈を露出させ、MCA閉塞後120分で栓子を抜き、左MCAの血流を再開させた。その後、頸部皮膚の縫合を行い、麻酔から解放した。
(2)投与液調製および投与
被験物質(化合物Xとして)、4−(3−{4−[18−(4−[3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ]−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナエニル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニルオキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸 二リジン塩(国際公開第2015/178404号明細書の実施例(23)の化合物、幾何異性体の比率はトランス体:シス体=53.4318%:41.2582%)を使用した。
化合物Xの必要量を秤量し、最終濃度が1.0mg/mLとなるように生理食塩液を加えてメスアップし、転倒混和して溶解した(1.0mg/mL投与液)。陰性対照物質として生理食塩水を用いた。陽性対照物質としてエダラボン(ラジカット(登録商標)注30mg(6mg/kg/hour))を用いた。
各投与液は、大腿静脈へのカニュレーションを通して、4mL/kg/hour用量でMCI閉塞5分前から6時間かけて持続投与を行った。ラットへの投与量はそれぞれ、化合物X投与群で24mg/kgであり、エダラボン投与群で36mg/kgであった。
被験物質(化合物Xとして)、4−(3−{4−[18−(4−[3−(3−カルボキシプロピル)ウレイドアセトキシ]−2,6,6−トリメチル−3−オキソシクロヘキサ−1−エニル)−3,7,12,16−テトラメチルオクタデカ−1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナエニル]−3,5,5−トリメチル−2−オキソシクロヘキサ−3−エニルオキシカルボニルメチル}ウレイド)酪酸 二リジン塩(国際公開第2015/178404号明細書の実施例(23)の化合物、幾何異性体の比率はトランス体:シス体=53.4318%:41.2582%)を使用した。
化合物Xの必要量を秤量し、最終濃度が1.0mg/mLとなるように生理食塩液を加えてメスアップし、転倒混和して溶解した(1.0mg/mL投与液)。陰性対照物質として生理食塩水を用いた。陽性対照物質としてエダラボン(ラジカット(登録商標)注30mg(6mg/kg/hour))を用いた。
各投与液は、大腿静脈へのカニュレーションを通して、4mL/kg/hour用量でMCI閉塞5分前から6時間かけて持続投与を行った。ラットへの投与量はそれぞれ、化合物X投与群で24mg/kgであり、エダラボン投与群で36mg/kgであった。
(3)神経症状の観察
(3.1)神経症状スコアの記録
虚血24時間後に、以下に記す神経症状を個体別にスコア化し、トータルスコアを記録した。
(3.1.1)前肢麻痺:ラットの尾を持ち、床から10cm程度持ち上げた際の右前肢の屈曲の程度を観察する。
0:屈曲の左右差がない。
1:軽度の屈曲がある。
2:90度程度の屈曲がある。
3:運動不可能である。
(3.1.2)後肢麻痺:安静時に、ラットの後肢を引っ張った際の後肢を元に戻す力を観察する。
0:左右後肢に筋力差がない。
1:左右後肢に筋力差がある。
2:不自然な状態になるが刺激により元に戻す。
3:不自然な状態になり刺激に無反応である。
(3.1.3)回転運動:ラットの尾を持ち、前肢を床面に付けた状態での回転運動を観察する。
0:前方に移動する。
1:主として前方に移動するが、右回りに回転する。
2:主として右回りに回転し、前方にも移動する。
3:右回りにのみ回転する。
(3.1.4)lateral push:安静時に、左右片側ずつ、ラット体側面を押した場合の抵抗性を観察する。
0:左右差がない。
1:体勢は崩れないが、左からの刺激に弱い。
2:左からの刺激により、後肢の維持が困難である。
3:左からの刺激により倒れる。
(3.1.5)一般状態:安静状態でのラットの体姿勢を観察する。
0:正常動物と差がない。
1:左肢が体の外に出ている。
2:右側に傾いている。
3:右側にかなり傾いている。
(3.1)神経症状スコアの記録
虚血24時間後に、以下に記す神経症状を個体別にスコア化し、トータルスコアを記録した。
(3.1.1)前肢麻痺:ラットの尾を持ち、床から10cm程度持ち上げた際の右前肢の屈曲の程度を観察する。
0:屈曲の左右差がない。
1:軽度の屈曲がある。
2:90度程度の屈曲がある。
3:運動不可能である。
(3.1.2)後肢麻痺:安静時に、ラットの後肢を引っ張った際の後肢を元に戻す力を観察する。
0:左右後肢に筋力差がない。
1:左右後肢に筋力差がある。
2:不自然な状態になるが刺激により元に戻す。
3:不自然な状態になり刺激に無反応である。
(3.1.3)回転運動:ラットの尾を持ち、前肢を床面に付けた状態での回転運動を観察する。
0:前方に移動する。
1:主として前方に移動するが、右回りに回転する。
2:主として右回りに回転し、前方にも移動する。
3:右回りにのみ回転する。
(3.1.4)lateral push:安静時に、左右片側ずつ、ラット体側面を押した場合の抵抗性を観察する。
0:左右差がない。
1:体勢は崩れないが、左からの刺激に弱い。
2:左からの刺激により、後肢の維持が困難である。
3:左からの刺激により倒れる。
(3.1.5)一般状態:安静状態でのラットの体姿勢を観察する。
0:正常動物と差がない。
1:左肢が体の外に出ている。
2:右側に傾いている。
3:右側にかなり傾いている。
(3.2)虚血24時間後の神経症状スコア
虚血24時間後の神経症状スコアを表1に示した。
媒体投与群(G1)と比較して、化合物X投与群(G2)において神経症状スコアに対する有意な改善効果(P=0.0070)が認められた。エダラボン投与群(G3)においては有意な改善効果は認められなかった。
虚血24時間後の神経症状スコアを表1に示した。
媒体投与群(G1)と比較して、化合物X投与群(G2)において神経症状スコアに対する有意な改善効果(P=0.0070)が認められた。エダラボン投与群(G3)においては有意な改善効果は認められなかった。
(4)脳梗塞巣体積の測定
(4.1)脳梗塞巣体積の算出
神経症状観察後に、ペントバルビタールナトリウム(約50mg/kg腹腔内投与)による麻酔下で動物を断頭し、全脳を摘出して厚さ2mmの脳切片を作製した。脳切片を、1w/v%の2,3,5−Triphenyltetrazolium chlorid溶液に室温で浸漬・染色して写真撮影を行った。得られた写真を画像解析により、脳梗塞巣面積を実測値で求め、その値より脳梗塞巣体積を算出した。梗塞巣容積は、各梗塞面積(総梗塞巣、大脳皮質梗塞巣及び基底核梗塞巣)と断面厚(2mm)の積を算出し、単位はmm3で表した。算出結果を表2に示す。
(4.1)脳梗塞巣体積の算出
神経症状観察後に、ペントバルビタールナトリウム(約50mg/kg腹腔内投与)による麻酔下で動物を断頭し、全脳を摘出して厚さ2mmの脳切片を作製した。脳切片を、1w/v%の2,3,5−Triphenyltetrazolium chlorid溶液に室温で浸漬・染色して写真撮影を行った。得られた写真を画像解析により、脳梗塞巣面積を実測値で求め、その値より脳梗塞巣体積を算出した。梗塞巣容積は、各梗塞面積(総梗塞巣、大脳皮質梗塞巣及び基底核梗塞巣)と断面厚(2mm)の積を算出し、単位はmm3で表した。算出結果を表2に示す。
(4.2)脳梗塞巣体積の測定結果
表2に示すとおり、MCA閉塞後24時間後の脳梗塞巣体積は、媒体投与群(G1)と比較して、化合物X投与群(G2)において総梗塞巣容積、基底核梗塞巣容積及び大脳皮質梗塞巣容積に対する優位な抑制効果(P=0.0002、P=0.0005及びP=0.0003)が認められた。エダラボン投与群(G3)においては総梗塞巣容積及び基底核梗塞巣容積に対する優位な抑制効果(P=0.0442及びP=0.0082)が認められた。
表2に示すとおり、MCA閉塞後24時間後の脳梗塞巣体積は、媒体投与群(G1)と比較して、化合物X投与群(G2)において総梗塞巣容積、基底核梗塞巣容積及び大脳皮質梗塞巣容積に対する優位な抑制効果(P=0.0002、P=0.0005及びP=0.0003)が認められた。エダラボン投与群(G3)においては総梗塞巣容積及び基底核梗塞巣容積に対する優位な抑制効果(P=0.0442及びP=0.0082)が認められた。
(5)まとめ
本実施例の結果をまとめると以下のとおりである。
一過性脳虚血モデルラットを用い、神経症状スコア及び脳梗塞巣の体積を指標に化合物Xの脳梗塞に対する作用を検討した。化合物X投与群では、静注投与により、神経症状を有意に改善し脳梗塞巣体積を有意に抑制した。またこの作用は、エダラボンを超えるものであった。このことにより、化合物Xは脳血管障害に対し、エダラボンに代替可能でそれ以上の治療効果を有することが確認された。
本実施例の結果をまとめると以下のとおりである。
一過性脳虚血モデルラットを用い、神経症状スコア及び脳梗塞巣の体積を指標に化合物Xの脳梗塞に対する作用を検討した。化合物X投与群では、静注投与により、神経症状を有意に改善し脳梗塞巣体積を有意に抑制した。またこの作用は、エダラボンを超えるものであった。このことにより、化合物Xは脳血管障害に対し、エダラボンに代替可能でそれ以上の治療効果を有することが確認された。
Claims (7)
- 式(I)において、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2はそれぞれ3の整数である請求項1記載の脳血管障害治療剤。
- 塩がリシン塩である請求項1または2記載の脳血管障害治療剤。
- 式(IA)において、m1およびm2がそれぞれ1の整数であり、n1およびn2がそれぞれ3の整数である請求項4記載の脳血管障害治療剤。
- 式(IA)で示される光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体に対応する光学活性シス−アスタキサンチン誘導体およびその塩を実質的に含有しない、請求項4または5記載の脳血管障害治療剤。
- 塩がリシン塩である請求項4〜6のいずれか1項記載の高純度の光学活性トランス−アスタキサンチン誘導体の塩を含有する脳血管障害治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017232236A JP2019099505A (ja) | 2017-12-04 | 2017-12-04 | 脳血管障害治療剤 |
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