JP2021008313A - 真空断熱材が使用され、蓄熱材を備えた断熱容器 - Google Patents

真空断熱材が使用され、蓄熱材を備えた断熱容器 Download PDF

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【課題】真空断熱材が使用され、蓄熱材を備えた断熱容器において、当該断熱容器の内部に配置されたICタグを外部から直接読み取ることが可能な電波透過性を備えた断熱容器を提供する。【解決手段】断熱容器100において、断熱容器本体200を形成する複数の真空断熱パネルは断熱空間400を形成し、その全体が取り囲まれる。真空断熱パネルは、芯材、外包材から構成される真空断熱材を備える。外包材は電波透過性非金属部材で構成され、隣接する真空断熱パネルは、その外包材同士が密着又は近接するように配置される。蓄熱材収納体600は、電波透過性を有する、蓄熱材および蓄熱材容器から構成され、複数の蓄熱材収納体600は、複数の真空断熱パネルの断熱空間400側の面に沿って断熱空間400全体を取り囲むように配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、真空断熱材が使用され、蓄熱材を備えた断熱容器に関する。
断熱材を用いた断熱容器は、主に、保冷車等のような保冷機能を持たない輸送手段により、物品を保冷しながら輸送する用途や、一定温度帯を維持しながらに輸送する用途に使用される。また、このような保冷や一定温度帯の維持のために、保冷材や保温材といったいわゆる蓄熱材を断熱容器に物品と一緒に収納することがある。一方、断熱容器を構成するパネルに真空断熱材を使用することにより、パネルの板厚を薄くしても厚手の発泡断熱材と同等の断熱性能が得られることにより、断熱容器のサイズをコンパクトにし、輸送効率や保管効率を向上させることができる。
ところで、真空断熱材は、内部に芯材を入れた外包材の内部気圧を外部気圧よりも低く保つことにより、断熱性を得るものであるため、外包材の内部への空気や水分の侵入を防ぐバリア性が要求される。このため、真空断熱材の外包材には、通常、バリア性に優れ、容易に入手可能なアルミ箔、またはアルミ蒸着フィルムが多用される。また、遮熱シートにも、太陽光等の輻射熱に対する遮熱効果が高く、入手容易なアルミ箔、またはアルミ蒸着フィルムも使用したものが用いられる。
特開2000−203665号公報 特許第3763317号
断熱容器のパネルに真空断熱材を使用する場合、外包材に孔が開く等して破損すると内部に空気が入り込み、断熱性能が急激に低下してしまうため、その周囲を発泡断熱材等で囲むことにより板状のパネル形状に仕上げ、真空断熱材の保護性能を持たせている。よって、従来の断熱容器では、断熱容器の内部に非接触通信が可能なICタグ等を入れた場合でも、真空断熱材が配置されていないパネル同士の隣接部付近に電波を透過させることによって断熱容器の外部から当該ICタグ等を読み取ることが比較的、容易にできる。
しかし、昨今、より高い断熱性を実現するため、真空断熱材を可能な限りパネルの外周付近まで配置する技術が用いられるようになり、断熱容器の外表面の大部分が真空断熱材の外包材であるアルミ箔等で覆われるようになった結果、断熱容器の内部に入れたICタグ等が、電磁遮蔽により断熱容器の外部から読み取れないという問題が生じている。さらには、当該断熱容器の内部に、蓄熱効果を最大限発揮させるために蓄熱材を隙間なく配置した場合、当該蓄熱材やこれを保持する容器が電磁遮蔽性を有すると、同様に断熱容器の外部からのICタグ等の読み取りを阻害する問題があった。
本開示は、真空断熱材が使用され、蓄熱材を備えた断熱容器において、当該断熱容器の内部に配置されたICタグを外部から直接読み取ることが可能な電波透過性を備えた断熱容器を提供することを課題とする。
本開示は、複数の真空断熱パネルを備えた断熱容器本体と、複数の蓄熱材収納体から構成される断熱容器であって、前記断熱容器本体を形成する前記複数の真空断熱パネルは断熱空間を形成し、かつ、前記断熱空間の全体が前記複数の真空断熱パネルによって取り囲まれ、前記真空断熱パネルは、芯材および当該芯材を被覆する外包材から構成される真空断熱材を備え、前記外包材は、電波透過性の非金属部材で構成され、かつ、互いに隣接する前記真空断熱パネルは、その前記外包材同士が密着又は近接するように配置され、前記蓄熱材収納体は、電波透過性を有する蓄熱材、および、当該蓄熱材を収納する電波透過性を有する蓄熱材容器から構成され、前記複数の蓄熱材収納体は、前記複数の真空断熱パネルの前記断熱空間側の面に沿って前記断熱空間全体を取り囲むように配置されている。
本実施の形態による断熱容器において、前記複数の蓄熱材収納体は、前記断熱空間の表面積をS1とし、前記蓄熱材収納体と前記断熱空間とが接する面積をS2とするとき、S2のS1に対する比が0.8以上であってもよい。
本実施の形態による断熱容器において、前記断熱空間全体を取り囲むように配置されている前記複数の蓄熱材収納体は、前記真空断熱パネルを前記断熱空間とは反対側に向けて支える構造を備えていてもよい。
本実施の形態による断熱容器において、前記断熱空間全体を取り囲むように配置されている前記複数の蓄熱材収納体は、少なくとも側面を構成する部分について自立して前記断熱空間を形成する構造を備えていてもよい。
本開示により、真空断熱材が使用され、蓄熱材を備えた断熱容器において、当該断熱容器の内部に配置されたICタグを外部から直接読み取ることが可能な電波透過性を備えた断熱容器を提供することができる。
第1実施形態の断熱容器を説明する斜視図である。 第1実施形態の断熱容器の天面パネルを外したときの平面図および側面から見た断面図である。 図2(a)のE部の拡大平面図である。 第1実施形態の蓄熱材を説明する斜視図である。 第2実施形態の断熱容器における、図2と同様の平面図および側面断面図である。 第3実施形態の断熱容器における、図2と同様の平面図である。 図2と同様の平面図に対応した、異なる2側面から見た断面図である。
1.第1実施形態
(a)断熱容器の構造
以下、図面等を参照して、本開示の断熱容器の第1実施形態および他の実施形態について説明する。ただし、本開示の断熱容器は、この例や後述する実施形態に限定されない。なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
なお、本明細書において、理解を容易にするために、断熱容器100における方向や位置を下記のように記載する場合がある。
図1において、底面パネル160のパネル面に垂直な、底面パネル160から天面パネル110に向かう方向を+Z方向または上方とし、+Z方向に対する反対方向を−Z方向または下方とする。+Z方向および/または−Z方向を単にZ方向と称することもある。+Z方向に垂直な平面である水平面の内、背面パネル140のパネル面に垂直な、背面パネル140から正面パネル120に向かう方向を+X方向または手前側とし、+X方向に対する反対方向を−X方向または奥側とする。+X方向および/または−X方向を単にX方向または水平方向と称することもある。+X方向に直行する左面パネル130のパネル面に垂直な、左面パネル130から右面パネル150に向かう方向を+Y方向または右側とし、+Y方向に対する反対方向を−Y方向または左側とする。+Y方向および/または−Y方向を単にY方向または水平方向と称することもある。
各パネルの主面をパネル面とし、主面以外の面を端面とする。各パネルの断熱空間側のパネル面側をパネルの内側、断熱空間側のパネル面側と反対のパネル面側をパネルの外側とする。
本開示の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態の断熱容器100を説明する斜視図である。図2(a)は、断熱容器100の天面パネル110および天面パネル110を覆う遮熱シート上部300aを取り外したときの、物品800等を省略した、+Z方向から見た断熱容器100の平面図である。また、図2(b)は、断熱容器100のY軸に沿った略中心付近において、Y軸に垂直な平面で断熱容器100を切ったときの、+Y方向から見た断熱容器100の側面断面図である。また、図3は、図2(a)の左面パネル130と背面パネル140との隣接部付近を示すE部の拡大平面図である。
断熱容器100は、例えば、保冷または保温により一定温度の保持が必要な物品の保管や輸送等に使用される容器である。断熱容器100は、図1に示すように略直方体形状であり、同じく略直方体形状の断熱容器本体200の外側全体が遮熱シート300により覆われた構造となっている。また、断熱容器本体200は、後述するように6枚の断熱性を有するパネル110、120、130、140、150および160と、各パネルの内側に配置された同じく6個の蓄熱材収納体610、620、630、640、650および660とを備えている。さらに、断熱容器100の内部には、ICタグ900が取り付けられた物品800が収納され、断熱容器100の外部から、読取装置910により所定の周波数の電波を発信、受信することによって、ICタグ900に記録された情報を読み取ることができる。以下、断熱容器本体200と蓄熱材収納体600の詳細を説明する。
(b)断熱容器本体
断熱容器本体200は、底面パネル160、正面パネル120、左面パネル130、背面パネル140、右面パネル150、および天面パネル110に囲まれている。なお、正面パネル120、左面パネル130、背面パネル140および右面パネル150は、側面パネル170とも称する。すなわち、側面パネル170は、正面パネル120、左面パネル130、背面パネル140および右面パネル150のいずれかのパネルを指す。なお、仮に、側面のパネルが4枚ではなく5枚以上であっても、同様に、いずれかのパネルを側面パネル170と称する。また、側面パネル170、底面パネル160および天面パネル110は、いずれも真空断熱パネル500から構成される。
正面パネル120は、背面パネル140にパネル面が平行な状態で対向し、閉じた状態における天面パネル110、底面パネル160、左面パネル130および右面パネル150にパネル面が垂直な位置関係で隣接している。また、左面パネル130は、右面パネル150にパネル面が平行な状態で対向し、閉じた状態における天面パネル110、底面パネル160、背面パネル140および正面パネル120にパネル面が垂直な位置関係で隣接している。また、背面パネル140は、閉じた状態における天面パネル110、底面パネル160、右面パネル150および左面パネル130にパネル面が垂直な位置関係で隣接している。
天面パネル110は、−X方向側の先端が背面パネル140の+Z方向側の先端に対して開閉可能に接続しており、天面パネル110と背面パネル140との接続部であるヒンジ部110aを介して、天面パネル110を開閉することができる。図1では、天面パネル110が開いた状態を示しているが、当該天面パネル110を閉じた場合には、断熱容器本体200の内部が略密閉され、断熱容器の外部との熱交換が極力抑制された断熱空間400を形成する。なお、ヒンジ部110aは、天面パネル110と背面パネル140とが実際に折り曲げ可能に接続されていてもよく、天面パネル110と背面パネル140とは分離されていて、外側を覆う遮熱シート300によって折り曲げられる構成であってもよい。
この場合、天面パネル110および背面パネル140は、遮熱シート300と面ファスナー等を介して着脱可能に接続されてもよく、着脱不可能に縫合等されていてもよい。また、本実施形態では、開閉可能なパネルを天面パネル110としているが、開閉可能なパネルはこれに限らず、側面パネル170のいずれかであってもよく、複数の側面パネル170、または側面パネル170と天面パネル110の両方が開閉可能な構成であってもよい。
図2に示すように、各々の側面パネル170は、その一端側のパネル面と、隣接する側面パネル170の端面とが当接し、その他端側の端面と、隣接する側面パネル170のパネル面とが当接する関係を有している。すなわち、正面パネル120の−Y方向側のパネル面と、隣接する左面パネル130の+X方向側の端面とが当接し、正面パネル120の+Y方向側の端面と、隣接する右面パネル150の+X方向側のパネル面とが当接している。
同様に、左面パネル130の−X方向側のパネル面と、隣接する背面パネル140の−Y方向側の端面とが当接し、背面パネル140の+Y方向側のパネル面と、隣接する右面パネル150の−X方向側の端面とが当接し、右面パネル150の+X方向側のパネル面と、隣接する正面パネル120の+Y方向側の端面とが当接している。このような配置にしておくと、断熱容器本体200を図2のような平面図として見た場合に、側面パネル170を同一寸法とした略長方形の構成とすることができる。側面パネル170をすべて同一サイズとしておけば、パネルを交換する際の予備パネルの準備を少なくすることができ、経済的である。
(c)真空断熱パネルおよび真空断熱材
断熱容器本体200を構成する6枚のパネルである、4枚の側面パネル170、底面パネル160および天面パネル110は、それぞれ真空断熱パネル500から構成されている。すなわち、断熱容器本体200は、複数の真空断熱パネル500が組み合わされて形成されている。また、本実施形態では真空断熱パネル500は、真空断熱材から構成されている。真空断熱材である真空断熱パネル500は、図3には、図2(a)で示す左面パネル130と背面パネル140との隣接部付近のE部を拡大した平面図であるが、左面パネル130および背面パネル140のいずれも、芯材510と、これの周囲を被覆する外包材520とから構成される。複数の真空断熱パネル500は断熱空間400を形成し、かつ、断熱空間400の全体が複数の真空断熱パネル500である6枚のパネルによって取り囲まれている。真空断熱パネル500は、芯材510および芯材510を被覆する外包材520から構成される真空断熱材を備え、外包材520は、電波透過性の非金属部材で構成され、かつ、互いに隣接する真空断熱パネル500は、その外包材520同士が密着又は近接するように配置されている。
図3には、図2(a)で示す左面パネル130と背面パネル140との隣接部付近のE部を拡大した平面図であるが、この図では、左面パネル130と背面パネル140である真空断熱パネル500同士が、隙間Gを隔てて配置されている。真空断熱パネル500同士は、隙間Gの幅Wが0すなわち外包材520同士が密着していてもよく、図3のように隙間Gが一定の幅Wを有していてもよい。この隙間Gは、真空断熱パネル500同士の隔たりを意味するのであり、物理的に空隙が生じていることだけを意味しない。すなわち、この隙間Gは、真空断熱材以外の何らかの異物で充填されていてもよい。
具体的には、幅Wは、隙間Gに隣接する真空断熱パネル500の厚みT(隙間Gに面する部分における真空断熱パネル500の厚み)の1/10以下であることが好ましい(W≦1/10×T)。これにより、仮に真空断熱パネル500同士の隙間Gに電波の透過を阻害する物体が存在する場合でも、ICタグと読取装置との間での無線通信を円滑に行うことができる。なお、全ての真空断熱パネル500同士の間に隙間Gが形成されていなくても良い。例えば一部(2つ以上)の真空断熱パネル500同士の間に隙間Gが形成され、他の一部(2つ以上)の真空断熱パネル500同士は互いに密着していても良い。
芯材510としては、多孔質のウレタンフォームのような樹脂発泡材や、繊維材であるグラスウール、ロックウール、セラミックファイバー等を用いる方法もあるが、本実施形態では、粉末シリカなどの粉体を用いた多孔質構造の芯材(ヒュームドシリカ)を使用している。これにより、芯材510を型成型できることから、真空断熱パネル500の形状に対応した正確な板状に仕上げることが可能となる。
また、芯材510を被覆する外包材520として、例えば、エバール(登録商標)のような、ガスバリア性の高いエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂から構成されるフィルムに、無機層としてアルミニウム酸化物、ケイ素酸化物のいずれか、または両方を蒸着したもの、または、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂から構成されるフィルムに対して、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物のいずれか、または両方を蒸着した別個のフィルムを積層したものを挙げることができる。
なお、外包材520のガスバリア性は、酸素透過度が0.5cc・m-2・day-1以下、中でも0.1cc・m-2・day-1以下であってもよい。また、水蒸気透過度が0.2cc・m-2・day-1以下、中でも0.1cc・m-2・day-1以下であってもよい。また、真空断熱材としての真空断熱パネル500の内部真空度は、例えば5Pa以下であってもよい。真空断熱パネル500の初期熱伝導率は、例えば25℃環境下で15mW・m-1・K-1以下、中でも10mW・m-1・K-1以下、特に5mW・m-1・K-1以下であってもよい。
外包材520は、板状に成型された芯材の全体を隙間なく被覆されたとき、最終的な外包材どうしの接合部分、いわゆる耳部分が発生する。この部分は折り返して芯材510を被覆している外包材520と重なるようにして固定する。なお、このような外包材の耳部分は、できるだけ、パネルの外側に配置されるようにすることが好ましい。パネルの内側、すなわち断熱空間側に配置された場合、当該耳部分が、真空断熱パネル500の放熱板のような機能を果たし、断熱空間の保冷性に不利となり得るからである。
このような外包材520を用いた場合、アルミ蒸着フィルムを用いた場合に比べ、バリア性、熱線遮蔽性が低下する可能性があるが、無機層の蒸着条件最適化によりバリア性の低下を抑制した外包材とすることができる。また、ガスバリア性の高いエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂から構成されるフィルム層を含むことで耐屈曲性が良好な外包材が得られるため、端部形状がグラスウール等よりもはっきりと直角状に形成できるヒュームドシリカ芯材と組合せることで、真空断熱パネル500としての形状精度、形状安定性が良好となる。よって、例えば、図2(a)のように、左面パネル130の−X方向側のパネル面と背面パネル140の−Y方向側の端面との当接部の密着性を向上でき、その結果、断熱容器本体200としての気密性向上および断熱性能向上につながる。更に、ヒュームドシリカ自体がゲッター材(吸着材)として作用するため、長期間に渡って性能劣化が抑えられる。
真空断熱材を上記のような芯材510および外包材520の構成とすることにより、当該真空断熱材で形成された真空断熱パネル500は、電波透過性を有する。芯材510を構成するヒュームドシリカや、外包材520を構成するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂から構成されるフィルムや、蒸着されるアルミニウム酸化物やケイ素酸化物は非金属部材であり、基本的に電波透過を阻害しないからである。このため、例えば断熱容器本体200の内部にICタグ900を直接取り付けたり、収納した物品800にICタグ900を取り付けた場合には、図1に示すように断熱容器100の外部から読取装置910による、非接触通信によるICタグ900の情報の読み取りが可能となる。
なお、ICタグ900は、非接触ICタグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、RFタグ等とも呼ばれ、ICチップと無線アンテナを樹脂やガラス等で封止してタグ状に形成した超小型の通信端末である。ICタグは、ICチップに所定の情報を記録して対象物にタグを取り付け、記録した情報を無線通信により読取装置側で読み取ることにより、ICチップに記録された情報を認識、表示するものである。またICタグ900は、電源を内蔵した能動型(アクティブタイプ)のものと電源を内蔵しない受動型(パッシブタイプ)のものとが存在するが、パッシブタイプのものを用いることが好ましい。また、ICタグ900は、使用する交信周波数によって、135kHzや13.56MHzの周波数帯を使用する電磁誘導方式であっても良く、UHF(900MHz)帯や2.45GHz等の周波数帯を使用する電波方式であっても良い。
(d)蓄熱材収納体
図1および図2(a)、(b)に示すように、断熱容器本体200の各パネルの内側の面に沿って、寸法以外が同一構成の蓄熱材収納体600が配置されている。具体的には、底面パネル160、正面パネル120、左面パネル130、背面パネル140、右面パネル150、および天面パネル110のそれぞれの内側の面に沿って、底面蓄熱材収納体660、正面蓄熱材収納体620、左面蓄熱材収納体630、背面蓄熱材収納体640、右面蓄熱材収納体650および天面蓄熱材収納体610が配置されている。これらの蓄熱材収納体600は、電波透過性を有している。
各真空断熱パネル500と、これに対応した蓄熱材収納体600とは、パネル面が略平行となるように配置されるため、正面蓄熱材収納体620は、背面蓄熱材収納体640にパネル面が平行な状態で対向し、閉じた状態における天面蓄熱材収納体610、底面蓄熱材収納体660、左面蓄熱材収納体630および右面蓄熱材収納体650にパネル面が垂直な位置関係で隣接している。また、左面蓄熱材収納体630は、右面蓄熱材収納体650にパネル面が平行な状態で対向し、閉じた状態における天面蓄熱材収納体610、底面蓄熱材収納体660、背面蓄熱材収納体640および正面蓄熱材収納体620にパネル面が垂直な位置関係で隣接している。また、背面蓄熱材収納体640は、閉じた状態における天面蓄熱材収納体610、底面蓄熱材収納体660、右面蓄熱材収納体650および左面蓄熱材収納体630にパネル面が垂直な位置関係で隣接している。
図2(a)に示すように、各々の蓄熱材収納体600は、その一端側の端面と、隣接する蓄熱材収納体600のパネル面とが当接し、その他端側のパネル面と、隣接する蓄熱材収納体600の端面とが当接する関係を有している。すなわち、正面蓄熱材収納体620の−Y方向側の端面と、隣接する左面蓄熱材収納体630の+X方向側のパネル面とが当接し、正面蓄熱材収納体620の+Y方向側のパネル面と、隣接する右面蓄熱材収納体650の+X方向側の端面とが当接している。
同様に、左面蓄熱材収納体630の−X方向側の端面と、隣接する背面蓄熱材収納体640の−Y方向側のパネル面とが当接し、背面蓄熱材収納体640の+Y方向側の端面と、隣接する右面蓄熱材収納体650の−X方向側のパネル面とが当接し、右面蓄熱材収納体650の+X方向側の端面と、隣接する正面蓄熱材収納体620の+Y方向側のパネル面とが当接している。このような配置にしておくと、真空断熱パネル500の場合と同様、断熱容器本体200を図2(a)のような平面図として見た場合に、蓄熱材収納体600を同一寸法とした略長方形の構成とすることができる。蓄熱材収納体600をすべて同一サイズとしておけば、パネルを交換する際の予備パネルの準備を少なくすることができ、経済的である。
また、図2(a)で明確に示されているが、隣接する真空断熱パネル500同士の当接関係と、これに対応する、隣接する蓄熱材収納体600同士の当接関係とが異なるように配置されている。すなわち、正面パネル120の−Y方向側のパネル面と、隣接する左面パネル130の+X方向側の端面とが当接しているが、これに対応する正面蓄熱材収納体620の−Y方向側のパネル面と、隣接する左面蓄熱材収納体630の+X方向側の端面とは当接せず、正面蓄熱材収納体620のパネル面と、右面蓄熱材収納体650の端面とが当接している。他の真空断熱パネル500同士と蓄熱材収納体600同士についても同様の関係がある。
ここで、正面パネル120の−Y方向側のパネル面と、隣接する左面パネル130の+X方向側の端面とが当接し、かつ、これに対応する正面蓄熱材収納体620の−Y方向側のパネル面と、隣接する左面蓄熱材収納体630の+X方向側の端面とが当接する位置関係であった場合を考える。万一、正面パネル120が左面パネル130との隣接部付近で局部的に左面パネル130に対して+X方向側にずれて配置されたとき、正面パネル120の−Y方向側のパネル面と、左面パネル130の+X方向側の端面との間に隙間が生じる。しかも、これに対応する正面蓄熱材収納体620の−Y方向側のパネル面と、左面蓄熱材収納体630の+X方向側の端面との間にも同様に隙間が生じるため、断熱容器100の正面パネル120と左面パネル130との隣接部付近で極端に気密性が失われ、断熱性能の低下のおそれがある。
これに対して、本実施形態では、正面パネル120が左面パネル130との隣接部付近で局部的に左面パネル130に対して+X方向側にずれて配置されたとき、正面パネル120の−Y方向側のパネル面と、左面パネル130の+X方向側の端面との間に隙間が生じる。しかしながら、正面蓄熱材収納体620の−Y方向側の端面は、左面蓄熱材収納体630の+X方向側のパネル面と当接しながらX方向に沿ったずれが生じるだけで、正面蓄熱材収納体620の厚さを超えるようなずれが起きない限り隙間は生じない。よって、本実施形態は、真空断熱パネル500同士が離れるようなずれに対しても、その付近の蓄熱材収納体600同士が離れるずれが生じ難く、気密性を確保しやすい点で有利といえる。
図2(b)は、図2(a)に示す断熱容器100のY軸に沿った略中心付近において、Y軸に垂直な平面で断熱容器100を切ったときのA−A断面を、+Y方向から見た断熱容器100の側面断面図である。図2(a)で省略した天面パネル110および天面パネル110を覆う遮熱シート上部300aを含めた断面を示している。
図2(b)に示すように、断熱容器本体200の天面パネル110および底面パネル160の各々の内側の面に沿って、天面蓄熱材収納体610および底面蓄熱材収納体660が配置されているが、これらは、天面パネル110を閉じているときには、正面蓄熱材収納体620、左面蓄熱材収納体630、背面蓄熱材収納体640、および図示しない右面蓄熱材収納体650に、その端面が囲まれるように当接している。ただし、各蓄熱材収納体600の隣接する蓄熱材収納体600との当接関係や配置は、上記に示したものには限定されず、任意の当接関係や配置を選択することができる。
図4は、背面蓄熱材収納体640を例にとり、蓄熱材収納体600の構成を説明する斜視図である。蓄熱材収納体600は、蓄熱材720を収納するための蓄熱材容器710と、この中に収納された蓄熱材720とから構成されるものである。一般的には、蓄熱材720を単独で冷却装置または加温装置にセットしたり、劣化した蓄熱材720を別のものと交換することを考慮して、図4に示すように、蓄熱材容器710の一部に開閉部710aが設けられ、蓄熱材720が蓄熱材容器710に対して出し入れできるように構成されることが多い。しかし、このような構成に限らず、蓄熱材容器710と蓄熱材720とが分離できない構造のものも、蓄熱材収納体600に含むものとする。
なお、複数の真空断熱パネル500の断熱空間400側の面に沿って断熱空間400の全体を取り囲むように配置されている複数の蓄熱材収納体600において、断熱空間400の表面積をS1とし、蓄熱材収納体600と断熱空間400とが接する面積をS2とするとき、S2のS1に対する比が0.8以上あることが好ましい。蓄熱材収納体600が、断熱空間400の大部分を取り囲む構造とすることにより、蓄熱材720から発生する冷却または加熱された雰囲気を通じて、断熱空間の外表面のほぼ全域にわたり、効率的に収納物品を冷却または加熱することができるからである。さらに、本実施形態では、蓄熱材収納体600が電波透過性を有していることにより、蓄熱材収納体600が、断熱空間400の大部分を取り囲む構造としても、断熱容器100の外部の読取装置と内部のICタグとの非接触通信に支障が起きることが抑制できる。
(i)蓄熱材
本開示で使用する蓄熱材は、蓄熱剤、蓄冷材、蓄冷剤、保冷材、保冷剤、保温材または保温剤と表記されるものをも含む。蓄熱材は、それ自身が一定時間、一定温度を保持し得る機能を有するもので、蓄熱材が所定温度に維持されることにより、断熱容器内部の雰囲気温度を一定時間の間、略一定温度に維持することが可能となる。主に、常温よりも低温に維持する目的で使用されるものを保冷材、常温以上の一定温度に維持する目的で使用されるものを保温材と称することが多い。
蓄熱材は、蓄熱する方式により、物質の相変化、転移に伴う転移熱を利用して、これを熱エネルギーとして蓄えて利用する潜熱蓄熱方式、物質の比熱を利用して、比熱の大きい物質に熱エネルギーを蓄えて利用する顕熱蓄熱方式、吸収、混合、水和等の化学反応時の吸熱、発熱を利用した化学蓄熱方式がある。部材のコストや安全性、温度の安定性等の観点から、断熱容器の内部の保冷、保温用途としては、潜熱蓄熱方式を用いた蓄熱材が多く用いられている。潜熱蓄熱方式では、様々な公知の方法が知られており、例えば冷蔵温度帯以下の一定温度に保つ場合には、ポリアクリル酸ナトリウム等の高吸湿性の高分子樹脂に水と添加物を含ませ、ゲル状にしたものが多く用いられる。また、冷蔵温度帯以上の一定温度に保つ場合には、各種パラフィンや酢酸ナトリウム三水塩、硝酸塩、硫酸塩、ポリエチレングリコール等を主成分とし、これに添加物を適宜調合して、相転移が起きる凝固点、融解点を所定温度になるように調整したものが多く用いられる。
ここで、水を主成分とする蓄熱材、すなわち氷から水への相変化に伴う転移熱を利用する蓄熱材は、含有する水分の影響により、電波透過性が阻害される。一般に、可視光領域の周波数よりも低い周波数帯であるHF帯やUHF帯の電波は、水中における散乱の影響を強く受け、極端に減衰することが知られている。本開示では、蓄熱材720を含む複数の蓄熱材収納体600が、複数の真空断熱パネル500の断熱空間400側の面に沿って断熱空間400の全体を取り囲むように配置されるため、断熱容器100の電波透過性を確保するために、蓄熱材720には、水を主成分とするものの使用は不適当である。
そこで、本実施形態では、水を主成分としないもの、例えばパラフィン系やポリエチレングリコール系、無機塩材料を主成分とする潜熱蓄熱方式を用いた蓄熱材を使用する。中でも、パラフィン系材料を主成分とする蓄熱材は、蓄熱密度が高く、繰り返しの相変化に対して劣化しにくい等の利点があり、固体および液体のいずれに相変化しても、水と比較した場合、電波透過性の阻害が抑制されるという特徴を有する。
また、蓄熱材720は、できる限り、これを収納する蓄熱材容器710の寸法に近い大きさであることが好ましい。例えば、図3の例では、蓄熱材720の固体時のXZ平面に沿った面の面積の、蓄熱材容器710のXZ平面に沿った面の面積に対する比が、0.5以上あることが好ましく、0.8以上あることがさらに好ましい。できるだけ、断熱容器100の断熱空間400と接する蓄熱材720の表面積を大きくする方が保冷、保温効率を向上させる上で有利だからである。また、蓄熱材のロット管理や、有効期間等を特定するために、蓄熱材の表面にアルミ製等のラベルを貼ることがあるが、電波透過性に悪影響を及ぼしうるため、できるだけ使用しないことが好ましく、仮に使用する場合でも、極力小さい面積となるように配慮する必要がある。
(ii)蓄熱材容器
図4に示す蓄熱材容器710は、箱型の硬質樹脂から構成される開閉部710aのついた容器である。開閉部710aを開けて固体状、液体状またはゲル状の蓄熱材720を出し入れすることができる。蓄熱材容器710はこのような硬質樹脂のものに限らず、軟質樹脂、不織布、繊維、網目状の樹脂等から構成されてもよく、可撓性を有する袋状に構成されてもよい。この場合、上面あるいは左右面に開口部が設けられ、蓄熱材720を入れた後、面ファスナーやチャック等で蓄熱材720の脱落防止が図られていることが好ましい。蓄熱材容器710は、対応する真空断熱パネル500に対して、例えば面ファスナーで着脱可能に取り付けられてもよく、紐やベルト、金具等により真空断熱パネル500に引掛ける方式で取り付けられていてもよい。
また、蓄熱材容器710は、真空断熱パネル500に対しては取り付けられず、隣接する蓄熱材容器710同士が互いに着脱可能または着脱不可能に係止される構造であってもよい。本実施形態では、蓄熱材容器710の真空断熱パネル500に当接する側の面と、対応する真空断熱パネル500のパネル面とに、図示しない面ファスナーが設けられている。これにより、特に、天面パネル110を開いたとき、天面パネル110と対応した天面蓄熱材収納体610を、当該天面パネル110と一体的に動かすことができる。
一方、蓄熱材容器710は、蓄熱材720が電波透過性を有する材料で構成されているのと同様に、電波透過性を有することが必要である。蓄熱材容器710に蓄熱材720を収納した蓄熱材収納体600は、上述するとおり、複数の真空断熱パネル500の断熱空間400側の面に沿って断熱空間400の全体を取り囲むように配置されることから、蓄熱材収納体600を構成する蓄熱材720のみならず、蓄熱材容器710にも、電波透過性が必須となるからである。蓄熱材容器710が上述するような樹脂、布地等で形成される場合は、電波透過性を阻害するおそれはないが、金属や導電性を有するグラファイト、カーボンファイバー等を使用したものは電磁遮蔽性が高まるので好ましくない。
このような蓄熱材容器710として使用できる材料は、硬質の容器とする場合は、例えば、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の硬質樹脂、繊維強化樹脂等が挙げられる。また、可撓性のある柔軟な容器とする場合は、上記に挙げた樹脂を薄くしたものや、不織布、布地等を用いることもできる。
(e)遮熱シート
図1および図2に示すように、断熱容器本体200の全体を覆うように、各パネルの外面に隣接した遮熱シート300が設けられている。ただし、遮熱シート300は、太陽光が直接当たる可能性が低い底面パネル160を除く、天面パネル110および側面パネル170のみを覆うように、各パネルの外面に隣接して設けることもできる。すなわち、遮熱シート300は、断熱容器本体200の全体または一部を覆うように配置され得る。また、図1に示すように、断熱容器本体200の天面パネル110は開閉可能であるため、遮熱シート300は、天面パネル110の開閉に追従して、天面パネル110の外面を覆う遮熱シート上部300aと、側面パネル170を覆う遮熱シート下部300bとが、分離可能に構成されている。
言い換えると、真空断熱パネル500である天面パネル110は、隣接する真空断熱パネル500である背面パネル140とヒンジ部110aで接しながら開閉できる、開閉可能な真空断熱パネル500である。また、遮熱シート300は、開閉可能な天面パネル110以外の真空断熱パネル500の全体または一部を覆う第1部分である遮熱シート上部300aと、開閉可能な天面パネル110を覆う第2部分である遮熱シート下部300bとに、分離可能に形成されている。
分離可能な構成とは、遮熱シート上部300aと、側面パネル170を覆う遮熱シート下部300bとが、ヒンジ部110aを介してつながっており、ヒンジ部110a以外の箇所が面ファスナーやチャック等で分離可能な構成であってもよく、ヒンジ部110aの部分も含めて面ファスナーやチャック等で分離可能な構成であってもよい。さらには、4枚の側面パネル170の間でも、任意の位置で面ファスナーやチャック等で分離可能な構成を有していてもよい。このように、遮熱シート300に分離可能な構成を適宜設けることにより、断熱容器本体200への遮熱シート300の取り付けおよび取り外しの作業性を向上させることができる。
なお、遮熱シート300を真空断熱パネルの外側に隣接配置させる手段として、例えば真空断熱パネルの外面の所定箇所と、これに対応する位置の遮熱シート300とに、それぞれ、面ファスナーの雄雌部を配置しておいてもよい。こうすれば、遮熱シート300を断熱容器本体200に被せた断熱容器100としたときに、各真空断熱パネルから遮熱シート300がずれてしまうことを抑制できる。
なお、このような遮熱シート300はなくても構わないが、もしも、遮熱シート300を、断熱容器本体200を覆うように設ける場合は、遮熱シート300自体が電波透過性を阻害しない材質、構造である必要がある。断熱容器本体200および蓄熱材収納体600が電波透過性を有するように構成しているため、遮熱シート300を使用する場合には、当該遮熱シート300にも電波透過性を持たせることによって、断熱容器100の内部に収納したICタグを、断熱容器100の外部から、読取装置を用いて非接触通信で読み取ることができるからである。
(f)第1実施形態の断熱容器について
以上のように、第1実施形態の断熱容器100は、複数の真空断熱パネル500を備えた断熱容器本体200と、複数の蓄熱材収納体600から構成される断熱容器であって、断熱容器本体200を形成する複数の真空断熱パネル500は断熱空間400を形成し、かつ、断熱空間400の全体が複数の真空断熱パネル500によって取り囲まれている。また、各々の真空断熱パネル500は、芯材510および芯材510を被覆する外包材520から構成される真空断熱材を備え、外包材520は、電波透過性の非金属部材で構成され、かつ、互いに隣接する真空断熱パネル500は、その外包材520同士が密着又は近接するように配置され、蓄熱材収納体600は、電波透過性を有する蓄熱材720、および、蓄熱材720を収納する電波透過性を有する蓄熱材容器710から構成され、複数の蓄熱材収納体600は、複数の真空断熱パネル500の断熱空間400側の面に沿って断熱空間400全体を取り囲むように配置されている。
よって、本実施形態の断熱容器100は、真空断熱材を使用していることと、内部にほぼ全体を蓄熱材が覆う構造とすることにより、全体として十分な断熱性能を確保できる上に、断熱容器100の内部に配置されたICタグを外部から直接読み取ることが可能な電波透過性を備えている。
2.第2実施形態
次に、本開示の第2実施形態について説明する。図5(a)は、本実施形態の断熱容器101の天面パネル110および天面パネル110を覆う遮熱シート上部300aを取り外したときの、+Z方向から見た断熱容器101の平面図である。また、図5(b)は、断熱容器101のY軸に沿った略中心付近において、Y軸に垂直な平面で断熱容器101を切ったときの、+Y方向から見た断熱容器101の側面断面図である。なお、断熱容器本体構造は断熱容器本体200の構造と同一である。
図5(a)、(b)に示すように、断熱容器本体の各パネルの内側の面に沿って、寸法以外が同一構成の蓄熱材収納体601が配置されている。具体的には、底面パネル160、正面パネル120、左面パネル130、背面パネル140、右面パネル150、および天面パネル110のそれぞれの内側の面に沿って、底面蓄熱材収納体661、正面蓄熱材収納体621、左面蓄熱材収納体631、背面蓄熱材収納体641、右面蓄熱材収納体651および天面蓄熱材収納体611が配置されている。これらの蓄熱材収納体601は、電波透過性を有している。
本実施形態の蓄熱材収納体601が、第1実施形態の蓄熱材収納体600と異なる点は、
板状に形成された各々の蓄熱材収納体601の外周部分の端面に、所定角度の斜面が形成されていることである。例えば図5(a)の正面蓄熱材収納体621は、その−Y方向側の端面には、−Y方向側に向かうにつれ、+X方向側に向かう一定の傾斜が付けられており、反対側の+Y方向側の端面には、+Y方向側に向かうにつれ、+X方向側に向かう一定の傾斜が付けられている。その傾斜角は例えば45°とすることができる。同様に、左面蓄熱材収納体631、背面蓄熱材収納体641および右面蓄熱材収納体651についても外周部の端面に同程度の傾斜が付けられている。
一方、図5(b)は、図5(a)に示す断熱容器101のY軸に沿った略中心付近において、Y軸に垂直な平面で断熱容器101を切ったときのB−B断面を、+Y方向から見た断熱容器101の側面断面図である。図5(a)で省略した天面パネル110および天面パネル110を覆う遮熱シート上部300aを含めた断面を示している。ここで、図4(b)の正面蓄熱材収納体621は、その+Z方向側の端面には、+Z方向側に向かうにつれ、+X方向側に向かう一定の傾斜が付けられており、反対側の−Z方向側の端面には、−Z方向側に向かうにつれ、+X方向側に向かう一定の傾斜が付けられている。その傾斜角も例えば45°とすることができる。同様に、天面蓄熱材収納体611、背面蓄熱材収納体641および底面蓄熱材収納体661についても外周部の端面に同程度の傾斜が付けられている。
このように、本実施形態の蓄熱材収納体601は、6枚とも外周部の端面に同様の一定の傾斜が設けられた構成となっており、これらの6枚の蓄熱材収納体601が略直方体を形成するように組合わせられたとき、互いに隣接する蓄熱材収納体601の端面同士が略同一の傾斜であることにより密着し、気密性を保ちながら箱型形状を構成することができる。また、このような構成により、組合わせられた蓄熱材収納体601は、外側から内側へ向けて押される外力に対して、外側に押し返す剛性を得ることになる。
例えば、図5(a)において、正面蓄熱材収納体621を+X方向側から−X方向側に押す外力が作用したとすると、その外力は、正面蓄熱材収納体621の−Y方向側の端面および+Y方向側の端面において、左面蓄熱材収納体631を−X方向側および−Y方向側に押す力となり、右面蓄熱材収納体651を−X方向側および+Y方向側に押す力となる。ここで、左面蓄熱材収納体631および右面蓄熱材収納体651は、外側の左面パネル130および右面パネル150から押し返され、正面蓄熱材収納体621は、その反作用として、Y軸方向の力が打ち消され、+X方向側に押し返される。
本実施形態では、このように、蓄熱材収納体601自体に剛性をもたせ、断熱容器本体200を内側から支える機能を有している。したがって、断熱容器本体200を構成する真空断熱パネル500の剛性を多少低く設計しても、内部に構成された複数の蓄熱材収納体601の組み合わせ構造により、断熱容器100の全体としての強度を十分に備えることができ、断熱容器本体200および真空断熱パネル500の設計自由度を広げることができる。
3.第3実施形態
次に、本開示の第3実施形態について説明する。図6は、本実施形態の断熱容器102の天面パネル110および天面パネル110を覆う遮熱シート上部300aを取り外したときの、+Z方向から見た断熱容器102の平面図である。また、図7(a)は、断熱容器102のY軸に沿った右面パネル150の略中心付近において、Y軸に垂直な平面で断熱容器102を切ったときの、+Y方向から見た断熱容器102のC−C断面における側面断面図である。同じく、図7(b)は、断熱容器102のX軸に沿った正面パネル120の略中心付近において、X軸に垂直な平面で断熱容器102を切ったときの、+X方向から見た断熱容器102のD−D断面における側面断面図である。なお、当該側面断面図は、断熱容器本体と遮熱シートを省略している。また、断熱容器本体構造は断熱容器本体200の構造と同一である。
図6に示すように、断熱容器本体の各パネルの内側の面に沿って、寸法以外が同一構成の蓄熱材収納体602が配置されている。具体的には、底面パネル160、正面パネル120、左面パネル130、背面パネル140、右面パネル150、および天面パネル110のそれぞれの内側の面に沿って、底面蓄熱材収納体662、正面蓄熱材収納体622、左面蓄熱材収納体632、背面蓄熱材収納体642、右面蓄熱材収納体652および天面蓄熱材収納体612が配置されている。これらの蓄熱材収納体602は、電波透過性を有している。
本実施形態の蓄熱材収納体602が、第1実施形態の蓄熱材収納体600と異なる点は、
板状に形成された各々の蓄熱材収納体602の外周部分に、隣接する蓄熱材収納体602と嵌合および係止できるように所定の凹凸が形成されていることである。例えば図7(a)の右面蓄熱材収納体652は、その+X方向側の端面には、+X方向側に張り出す右面蓄熱材収納体凸部652bおよび652dと、−X方向側に窪む右面蓄熱材収納体凹部652a、652cおよび652eとが形成されている。また、これらと嵌合するように、隣接する正面蓄熱材収納体凸部622f、622hおよび622jが形成されている。また、同様に、右面蓄熱材収納体652の−X方向側の端面には、−X方向側に張り出す右面蓄熱材収納体凸部652gおよび652iと、+X方向側に窪む右面蓄熱材収納体凹部652f、652hおよび652jとが形成されている。また、これらと嵌合するように、隣接する背面蓄熱材収納体凸部642a、642bおよび642cが形成されている。
一方、図7(b)の正面蓄熱材収納体622も同様の形状を備えており、その−Y方向側の端面には、−Y方向側に張り出す正面蓄熱材収納体凸部622a、622cおよび622deと、+Y方向側に窪む正面蓄熱材収納体凹部622bおよび622dとが形成されている。また、これらと嵌合するように、隣接する左面蓄熱材収納体凸部632aおよび632bが形成されている。また、同様に、正面蓄熱材収納体622の+Y方向側の端面には、+Y方向側に張り出す正面蓄熱材収納体凸部622f、622hおよび622jと、−Y方向側に窪む正面蓄熱材収納体凹部622gおよび622iとが形成されている。また、これらと嵌合するように、隣接する右面蓄熱材収納体凸部652b、652dが形成されていることは前述のとおりである。この構成は、左面蓄熱材収納体632と背面蓄熱材収納体642、および、背面蓄熱材収納体642と右面蓄熱材収納体652との間についても同様である。
このように、本実施形態の蓄熱材収納体602は、側面を構成する4枚の蓄熱材収納体602が、互いに水平方向の端面に凹凸形状を有し、互いに嵌合および係止することで断熱空間400を囲む構造が剛性をもって維持される。したがって、この場合、何らかの外力が真空断熱パネル500を断熱空間400側に向けて押すように作用しても、当該蓄熱材収納体602同士の嵌合構造により剛性が得られ、断熱容器本体200を内側から支える機能を有している。したがって、断熱容器本体200を構成する真空断熱パネル500の剛性を多少低く設計しても、内部に構成された複数の蓄熱材収納体602の組み合わせ構造により、断熱容器102の全体としての強度を十分に備えることができ、第2実施形態の場合と同様、断熱容器本体200および真空断熱パネル500の設計自由度を広げることができる。
さらには、本実施形態においては、少なくとも側面を構成する4枚の蓄熱材収納体602が、周囲の真空断熱パネル500の支えがなくても自立した状態で当該側面形状を維持できる。また、天面蓄熱材収納体612および底面蓄熱材収納体662を、隣接する蓄熱材収納体602と同様の嵌合構造となるように形成しておけば、蓄熱材収納体602が形成する6面の直方体形状全体を、自立可能に構成することもできる。このようにすれば、なお一層、断熱容器本体200および真空断熱パネル500の設計自由度を拡張することができる。
100 断熱容器
110 天面パネル
110a ヒンジ部
120 正面パネル
130 左面パネル
140 背面パネル
150 右面パネル
160 底面パネル
170 側面パネル
200 断熱容器本体
300 遮熱シート
300a 遮熱シート上部
300b 遮熱シート下部
400 断熱空間
500 真空断熱パネル
510 芯材
520 外包材
600、601、602 蓄熱材収納体
610、611、612 天面蓄熱材収納体
611a 天面蓄熱材収納体斜面部
620、621、622 正面蓄熱材収納体
621a 正面蓄熱材収納体斜面部
622a、622c、622e、622f、622h、622j 正面蓄熱材収納体凸部
622b、622d、622g、622i 正面蓄熱材収納体凹部
630、631、632 左面蓄熱材収納体
632a、632b 左面蓄熱材収納体凸部
640、641、642 背面蓄熱材収納体
642a、642b、642c 背面蓄熱材収納体凸部
650、651、652 右面蓄熱材収納体
652a、652c、652e、652f、652h、652j 右面蓄熱材収納体凹部
652b、652d、652g、652i 右面蓄熱材収納体凸部
660、661、662 底面蓄熱材収納体
710 蓄熱材容器
710a 開閉部
720 蓄熱材
800 物品
900 ICタグ
910 読取装置

Claims (4)

  1. 複数の真空断熱パネルを備えた断熱容器本体と、
    複数の蓄熱材収納体から構成される断熱容器であって、
    前記断熱容器本体を形成する前記複数の真空断熱パネルは断熱空間を形成し、かつ、前記断熱空間の全体が前記複数の真空断熱パネルによって取り囲まれ、
    前記真空断熱パネルは、芯材および当該芯材を被覆する外包材から構成される真空断熱材を備え、前記外包材は、電波透過性の非金属部材で構成され、かつ、互いに隣接する前記真空断熱パネルは、その前記外包材同士が密着又は近接するように配置され、
    前記蓄熱材収納体は、電波透過性を有する蓄熱材、および、当該蓄熱材を収納する電波透過性を有する蓄熱材容器から構成され、
    前記複数の蓄熱材収納体は、前記複数の真空断熱パネルの前記断熱空間側の面に沿って前記断熱空間全体を取り囲むように配置されている、断熱容器。
  2. 前記複数の蓄熱材収納体は、前記断熱空間の表面積をS1とし、前記蓄熱材収納体と前記断熱空間とが接する面積をS2とするとき、S2のS1に対する比が0.8以上である、請求項1に記載の断熱容器。
  3. 前記断熱空間全体を取り囲むように配置されている前記複数の蓄熱材収納体は、前記真空断熱パネルを前記断熱空間とは反対側に向けて支える構造を備えている、請求項1または2に記載の断熱容器。
  4. 前記断熱空間全体を取り囲むように配置されている前記複数の蓄熱材収納体は、少なくとも側面を構成する部分について自立して前記断熱空間を形成する構造を備えている、請求項1または2に記載の断熱容器。
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