JP2021007086A - 加熱部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造不良の発生を抑制する。【解決手段】1面目導電体層及び2面目導電体層は、ヒータ基板に導電体材料を塗布して焼成して形成され、1面目発熱体層及び2面目発熱体層は、ヒータ基板に発熱体材料を塗布して焼成して形成され、1面目ガラス層及び2面目ガラス層は、ヒータ基板にガラス材を塗布して焼成して形成される。1面目導電体層を第1面に塗布する第1工程と(ステップS1)、第1工程の実行後に2面目導電体層を第2面に塗布する第2工程と(ステップS2)、第2工程の実行後に2面目導電体層を焼成する第3工程と(ステップS2)、を実行可能である。少なくとも第3工程は、ヒータ基板の1面目導電体層及び1面目導電体層に接触しない部分を支持した状態で実行する。【選択図】図4

Description

本発明は、記録材にトナー像を定着させる定着装置に用いられる加熱部材の製造方法に関する。
定着装置として、記録材を加熱するための定着ベルトをヒータにより加熱する構成が従来から知られている。また、加熱部材であるヒータとして、基板の両面に互いに長さが異なる発熱体を配置し、記録材のサイズに合わせた加熱が可能な構成が提案されている(特許文献1)。ヒータは、基板上に設けられた発熱体と、発熱体を基板上に設けられた電極に接続する導電体と、発熱体を覆うガラス層とを有している。
特開2016−24321号公報
このヒータを製造する際には、例えば、導電体の材料のペーストを細長い絶縁性のセラミック基板の上にスクリーン印刷し、乾燥し、焼成して導電体を形成し、次いで発熱体の材料のペーストを基板上にスクリーン印刷し、乾燥し、焼成して発熱体を形成する。最後にガラス層の材料のペーストを基板上にスクリーン印刷し、乾燥し、焼成してガラス層を形成する。また、両面ヒータでは、例えば、1面目と2面目の導電体を形成し、1面目と2面目の発熱体を形成し、最後に1面目と2面目のガラス層を形成する。また、このようなヒータを焼成する場合、例えば、材料のペーストを乾燥させた基板を搬送ベルトの上面に載置して、搬送ベルトにより焼成用の焼成炉に進入させて、焼成炉内で基板を焼成する方法が考えられる。
しかしながら、上述した両面に発熱体が設けられたヒータでは、基板の1面目の焼成が終わった後、反対側の2面目の焼成を行うために、基板をひっくり返すため、先に製造した1面目が焼成装置の搬送ベルトに接触することになる。この2面目の焼成の際、1面目に形成されたものに搬送ベルト上の不純物が混入したり、搬送ベルトの上面の形状がこの1面目に形成されたものに転写されたりして、ヒータの製造不良が発生する虞がある。
本発明は、製造不良の発生を抑制可能な加熱部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の加熱部材の製造方法は、基板と、前記基板の第1面に設けられ、通電により発熱する第1発熱体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を電源に接続するための第1導電体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を覆う第1ガラス層と、前記基板の前記第1面とは反対の第2面に設けられ、通電により発熱する第2発熱体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を電源に接続するための第2導電体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を覆う第2ガラス層と、を有し、定着ベルトの内周面に当接されて前記定着ベルトを加熱する加熱部材の製造方法であって、前記第1導電体及び前記第2導電体は、前記基板に導電体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1発熱体及び前記第2発熱体は、前記基板に発熱体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1ガラス層及び前記第2ガラス層は、前記基板にガラス材を塗布して焼成して形成され、前記第1導電体を前記第1面に塗布する第1工程と、前記第1工程の実行後に前記第2導電体を前記第2面に塗布する第2工程と、前記第2工程の実行後に前記第2導電体を焼成する第3工程とを実行可能であり、少なくとも前記第3工程は、前記基板の前記第1導電体及び前記第2導電体に接触しない部分を支持した状態で実行することを特徴とする。
本発明の加熱部材の製造方法は、基板と、前記基板の第1面に設けられ、通電により発熱する第1発熱体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を電源に接続するための第1導電体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を覆う第1ガラス層と、前記基板の前記第1面とは反対の第2面に設けられ、通電により発熱する第2発熱体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を電源に接続するための第2導電体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を覆う第2ガラス層と、を有し、定着ベルトの内周面に当接されて前記定着ベルトを加熱する加熱部材の製造方法であって、前記第1発熱体及び前記第2発熱体は、前記基板に発熱体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1導電体及び前記第2導電体は、前記基板に導電体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1ガラス層及び前記第2ガラス層は、前記基板にガラス材を塗布して焼成して形成され、前記第1発熱体を前記第1面に塗布する第4工程と、前記第4工程の実行後に前記第2発熱体を前記第2面に塗布する第5工程と、前記第5工程の実行後に前記第2発熱体を焼成する第6工程とを実行可能であり、少なくとも前記第6工程は、前記基板の前記第1発熱体及び前記第2発熱体に接触しない部分を支持した状態で実行することを特徴とする。
本発明の加熱部材の製造方法は、基板と、前記基板の第1面に設けられ、通電により発熱する第1発熱体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を電源に接続するための第1導電体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を覆う第1ガラス層と、前記基板の前記第1面とは反対の第2面に設けられ、通電により発熱する第2発熱体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を電源に接続するための第2導電体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を覆う第2ガラス層と、を有し、定着ベルトの内周面に当接されて前記定着ベルトを加熱する加熱部材の製造方法であって、前記第1導電体及び前記第2導電体は、前記基板に導電体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1発熱体及び前記第2発熱体は、前記基板に発熱体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1ガラス層及び前記第2ガラス層は、前記基板にガラス材を塗布して焼成して形成され、前記第1ガラス層を前記第1面に塗布する第7工程と、前記第7工程の実行後に前記第2ガラス層を前記第2面に塗布する第8工程と、前記第8工程の実行後に前記第2ガラス層を焼成する第9工程とを実行可能であり、少なくとも前記第9工程は、前記基板の前記第1ガラス層及び前記第2ガラス層に接触しない部分を支持した状態で実行することを特徴とする。
本発明によれば、製造不良の発生を抑制することができる。
第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。 第1の実施形態に係る定着装置の概略構成断面図。 (a)第1の実施形態に係るヒータの裏面側を示す概略図、(b)同じくヒータの表面側を示す概略図、(c)(a)のA‐A断面図。 第1の実施形態に係るヒータの製造方法を示すフローチャート。 第1の実施形態に係るヒータの断面図。 第1の実施形態に係る焼成装置の平面図。 第1の実施形態に係る焼成装置の断面図。 第2の実施形態に係るヒータの製造方法を示すフローチャート。 第2の実施形態に係るヒータの断面図。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1〜図7を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
図1に示す画像形成装置100は、装置本体内に4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成部PY、PM、PC、PKを有する電子写真方式のフルカラープリンタである。本実施形態では、画像形成部PY、PM、PC、PKを後述する中間転写ベルト8の回転方向に沿って配置した中間転写タンデム方式としている。画像形成装置100は、装置本体に接続された原稿読み取り装置(図示せず)又は装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材Sに形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
まず、画像形成装置100の記録材の搬送プロセスについて説明する。記録材Sは、カセット62内に積載される形で収納されており、給送ローラ63により画像形成タイミングに合わせて1枚ずつ搬送パス64に給送される。また、不図示の手差しトレイに積載された記録材Sが1枚ずつ搬送パス64に給送されてもよい。記録材Sは搬送パス64の途中に配置されたレジストレーションローラ65へ搬送されると、レジストレーションローラ65により記録材Sの斜行補正やタイミング補正が行われた後に二次転写部T2へと送られる。二次転写部T2は、後述するように、中間転写ベルト8の二次転写内ローラ66に張架された部分と二次転写外ローラ67とにより形成される転写ニップ部である。二次転写部T2では、二次転写内ローラ66に二次転写電圧が印加されることで、トナー像が中間転写ベルト8から記録材Sへ二次転写される。
上記した二次転写部T2までの記録材Sの搬送プロセスに対して、同様のタイミングで二次転写部T2まで送られて来るトナー像の形成プロセスについて説明する。まず、画像形成部PY〜PKについて説明する。ただし、画像形成部PY〜PKは、現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外、ほぼ同一に構成される。そこで、以下では代表してイエローの画像形成部PYを例に説明し、その他の画像形成部PM、PC、PKについては説明を省略する。
画像形成部PYは、主に感光ドラム1Y、帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y等から構成される。回転駆動される像担持体としての感光ドラム(円筒状の感光体)1Yの表面は、帯電装置2Yにより予め表面を一様に帯電され、その後、画像情報の信号に基づいて駆動される露光装置3Yによって静電潜像が形成される。次に、感光ドラム1Y上に形成された静電潜像は、現像装置4Yによってトナーにより現像され、トナー像として可視像化される。その後、感光ドラム1Yと中間転写ベルト8を挟んで対向配置される一次転写ローラ5Yにより所定の加圧力および一次転写バイアスが与えられ、感光ドラム1Y上に形成されたトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後の感光ドラム1Y上に僅かに残る転写残トナーは、不図示のクリーニングブレードなどにより除去され、再び次の画像形成プロセスに備える。
中間転写体としての中間転写ベルト8は、テンションローラ10、二次転写内ローラ66、および駆動ローラ7によって張架されている。そして、中間転写ベルト8は、駆動ローラ7によって図中矢印R2方向へと移動するように駆動される。上述の画像形成部PY〜PKにより処理される各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト8上に一次転写された移動方向上流の色のトナー像上に順次重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト8上に形成され、二次転写部T2へと搬送される。なお、二次転写部T2を通過した後の転写残トナーは、転写クリーナ装置11によって中間転写ベルト8から除去される。
以上、それぞれ説明した搬送プロセスおよび画像形成プロセスにより、中間転写ベルト8から記録材Sにトナー像が二次転写される。その後、記録材Sは定着装置30へと搬送され、定着装置30により加熱及び加圧されることにより、トナー像が記録材S上に溶融固着される。こうしてトナー像が定着された記録材Sは、排出ローラ69により排出トレイ601上に排出される。なお、画像形成装置100は上記した画像形成動作などの各種制御を行うための制御部300を備えている。また、上述の一連の画像形成動作は、装置本体の上面の操作部、或いは、ネットワークを経由した各入力信号に従って制御部300が制御している。
[定着装置]
次に、本実施形態の定着装置30について、図2を用いて説明する。ここで、定着装置は、急速温度上昇によるウォームアップタイムの短縮と多様なサイズの記録材への対応が求められている。ウォームアップタイムを短縮すべく定着装置のヒータの熱容量を小さくする場合、最大サイズの記録材の幅に合わせた長さの発熱体のみを設けたヒータが考えられる。但し、定着ニップ部で記録材が通過する通過領域に対して、定着ニップ部で記録材が通過しない非通過領域の温度が高くなり過ぎてしまう。このため、従来から非通過領域の温度上昇を抑制することが求められている。本実施形態では、定着装置30のヒータ600を複数の記録材のサイズに対応した複数の発熱体を有する構成とすることで、非通過領域の温度上昇を抑制するようにしている。
図2に示すように、本実施形態の定着装置30は、定着ベルトユニット60と、加圧ローラ70とを備え、画像形成装置100(図1参照)の装置本体に着脱可能に設けられている。定着ベルトユニット60は、詳しくは後述するが、定着ベルト650と、ヒータ600とを有し、ヒータ600により定着ベルト650が加熱される。
ニップ形成部材及び回転体としての加圧ローラ70は、装置本体に回転可能に支持されている。また、加圧ローラ70は、その長手方向が定着ベルトユニット60に対し平行となるように配置され、定着ベルトユニット60の定着ベルト650の外周面に当接して、定着ベルトユニット60に加圧されるように設けられている。加圧ローラ70は、例えば金属製(例えばステンレス)の芯金71の外周に、厚さ約3mmのシリコーンゴム等の弾性層72、さらに弾性層72の外周に厚さ約40μmのPTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂からなる離型層73を有するものである。加圧ローラ70は、芯金71の両端部が定着装置30の不図示の装置フレームの側板間に回転可能に軸受保持されることで装置フレームに回転可能に支持される。
定着ベルト650と加圧ローラ70との間には、後述するように定着ニップ部Nが形成されている。それ故、不図示のモータにより加圧ローラ70が回転されると、この定着ニップ部Nで生じる摩擦力によって、加圧ローラ70の回転力が定着ベルト650に伝達される。こうして、定着ベルト650は加圧ローラ70により回転駆動される(所謂、加圧ローラ駆動方式)。記録材Sは、これら回転する加圧ローラ70と定着ベルト650とにより形成される定着ニップ部Nで挟持搬送される。
定着装置30は、加圧ローラ70が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着ベルト650が従動回転状態になると、ヒータ600に通電が行われる。そして、ヒータ600の温度が目標温度に立ち上がり温調された状態の時、定着ニップ部Nに未定着トナー像を担持した記録材Sが不図示の入り口ガイドに沿って案内されて導入される。
定着ニップ部Nにおいて、記録材Sのトナー像担持面側が定着ベルト650の外面に密着し、記録材Sが定着ベルト650と共に移動する。記録材Sが定着ニップ部Nでの挟持搬送過程において、ヒータ600からの熱が定着ベルト650を介して記録材Sに付与され、未定着トナー像が記録材S上に溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Sは、定着ベルト650から分離され排出される。
[定着ベルトユニット]
次に、定着ベルトユニット60の構成について詳しく説明する。定着ベルトユニット60は、装置本体に加圧ローラ70側に向けて移動可能に設けられている。定着ベルトユニット60は、定着ベルト650、定着ベルト650の内側に非回転に配置されたヒータホルダ660及びステイ670、ヒータ600を有している。
[定着ベルト]
定着ベルト(定着フィルム)650は、無端状(筒状)に形成されて可撓性を有するもので、本実施形態の場合、薄肉のフィルム状のベルトである。このような定着ベルト650は、基材上に弾性層が形成され、更に弾性層の上に最表面層が形成されたものである。基材は、例えばステンレスを厚さ30μmの円筒状に形成したものである。弾性層は、例えば厚さ約300μmのシリコーンゴム層(弾性層)であり、基材上にリングコート法などの適宜の方法により形成されている。最表面層は、例えば厚さ20μmのPFA樹脂チューブであり、弾性層を被覆している。そして、定着ベルト650の内周面には、潤滑剤としてのグリスが塗布されている。これは、定着ベルト650の内周面とヒータホルダ660との摺動性を向上させるためである。なお、定着ベルト650の基材としては、ステンレス以外にもニッケル系金属材料やポリイミド等の耐熱樹脂などを用いてもよい。
定着ベルト650は、後述するヒータホルダ660に着脱可能であり、定着ベルト650の回転方向に交差する幅方向(長手方向)の両端部に配置された不図示のフランジ部によって回転可能に、且つ、幅方向の移動が規制されるように支持されている。フランジ部は、定着ベルト650の幅方向端部に内嵌されて、幅方向端部を回転可能に支持する円筒部と、定着ベルト650の幅方向端縁と当接可能な当接部とを有する。円筒部は、定着ベルト650の幅方向端部を内側から円筒状態に保持しつつ、定着ベルト650の回転を案内している。
ここで、加圧ローラ70と定着ベルト650とは、加圧ローラ70や定着ベルトユニット60の取り付け誤差などによって、僅かに平行からずれた状態に配置される場合がある。その場合に、定着ベルト650は回転する加圧ローラ70により図中矢印X方向に回転しながら幅方向に寄り移動し得る。このため、定着ベルト650が幅方向に寄り移動したときには、フランジ部の当接部が定着ベルト650の幅方向端部を受け止めて定着ベルト650の幅方向への移動を規制する。なお、ヒータホルダ660とステイ670とはフランジ部に取り付けられることで、定着ベルト650の内側に非回転に配置される。フランジ部は、定着ベルトユニット60の不図示の側板などに保持される。
[ステイ]
ステイ670は、定着ベルト650に沿って幅方向に延びる例えば金属製の剛性部材(板金)であり、ここではヒータホルダ660側に開口を有するように横断面が略U字状に形成されている。このステイ670は、定着ベルトユニット60と加圧ローラ70との間で作用する加圧力によって、ヒータホルダ660が変形しないようにヒータホルダ660を補強するものである。ステイ670は、幅方向両端部に上述のフランジ部が固定されている。両端部のフランジ部は、不図示の加圧機構により所定の押圧力(例えば、90〜320N)で加圧ローラ70に向けて押圧されている。これにより、加圧力がフランジ部からステイ670及びヒータホルダ660を介して定着ベルト650に作用し、定着ベルト650と加圧ローラ70とが所望の圧接力で圧接される。定着ベルト650と加圧ローラ70とを圧接させることにより、定着ベルト650と加圧ローラ70との間に、記録材Sの搬送方向に所定の幅を有する定着ニップ部Nが形成される。トナー像が形成された記録材Sは、定着ニップ部Nで加圧されて搬送される。なお、ステイ670は定着ベルト650の内周面に摺擦するような形状に形成されていてもよい。
[ヒータホルダ]
ヒータホルダ660は、例えば液晶ポリマー樹脂などの耐熱性が高く且つ断熱性の高い樹脂製の部材により形成され、後述するヒータ600を保持するとともに定着ベルト650をガイドする役割を果たしている。ヒータホルダ660には、ステイ670側の面と反対側(定着ニップ部N側)の面に、ヒータ600を嵌合して保持可能な嵌め込み溝が幅方向に沿って延びた形状に形成されている。ヒータホルダ660に保持されたヒータ600は、表面が定着ベルト650の内周面に当接して、回転する定着ベルト650を加熱可能である。これにより、記録材Sが定着ニップ部Nにより挟持搬送されている際に、ヒータ600によって生じた熱が定着ベルト650を介して記録材Sに伝導し、未定着のトナー像が加熱溶融されて記録材S上に定着される。ヒータ600は、不図示のヒータ制御回路によって制御される。
[ヒータ]
加熱部材としてのヒータ600は、図3(a)〜(c)に示すように、幅方向を長手とする絶縁性、耐熱性、低熱容量のヒータ基板(基板)610、複数の発熱体623a〜623f、ガラス層611を有する。尚、ここでの幅方向とは、定着ニップ部N(図2参照)で記録材Sを搬送する方向に直交する方向でもある。発熱体623a〜623fは、ヒータ基板610の表裏にそれぞれ複数(本実施形態では3本ずつ)設けられている。ガラス層611は、絶縁を確保するためにヒータ基板610の表裏に設けられている。そして、上述のように、ヒータ600は、ヒータホルダ660(図2参照)に固定的に支持されている。このようなヒータ600は、発熱体623a〜623fの何れか1つの発熱体への電力供給により急峻な立ち上がり特性で昇温可能な低熱容量のセラミックヒータである。
図2に示すように、定着ベルト650の内周面に当接するヒータ600の表面側には、摺擦層として例えば厚さ10μm程度のポリイミド層が形成されている。ヒータ600にポリイミド層を形成することにより、定着ベルト650とヒータ600との摺擦抵抗を低減でき、もって定着ベルト650を回転させるための駆動トルクの低減や定着ベルト650の摺擦による磨耗の低減を図ることができる。なお、定着ベルト650の基材として、ポリイミド等の耐熱樹脂を用いた場合には、ヒータ600の摺動層としてのポリイミド層を省略しても良い。ヒータ600の詳しい構成については後述する。
[温度センサ]
本実施形態では定着ベルト650の温度を管理するために、ヒータ600の温度を検出する温度センサ630が設けられている。本実施形態では、例えばサーミスタセンサなどの接触型の温度センサ630を採用している。但し、温度センサ630は、非接触型でも良い。温度センサ630は、検知部がヒータ600の定着ベルト650とは反対側の裏面に接触するように、ヒータホルダ660内に配置されている。また、温度センサ630は、ヒータ600の幅方向及び長手方向の中央部に1個配置され、ヒータ600の中央付近の温度を検出する。そして、ヒータ600に設けられた複数の発熱体の温度調整のための制御を、共通の温度センサ630により行っている。なお、温度センサ630は1個に限られず、定着ベルト650の幅方向に亘って複数個が配置されていてもよい。また、温度センサ630が複数ある場合には、定着ベルト650の回転方向にずらして配置しても良い。
[サーモスタット]
また、本実施形態では、ヒータ600の温度が所定の温度を超えた時に、ヒータ600への電力供給を遮断できるようにサーモスタット631が設けられている。サーモスタット631は、ヒータ600の裏面側でヒータホルダ660に配置されている。サーモスタット631は、例えば温度が所定温度以上になるとバイメタルが反転して接点を開放して電力供給を遮断し、温度が所定温度より低くなるとバイメタルが反転前に戻って接点を閉じて電源供給を開始するスイッチである。サーモスタット631は、ヒータ600の中央付近に配置され、所定の温度に達すると内部の接点が離れて開放状態に保持される。更にサーモスタット631は、ヒータ制御回路とヒータ600との間に接続されている。
[ヒータ制御]
次に、ヒータ600の制御について説明する。ヒータ600、温度センサ630及びサーモスタット631は、ヒータ制御回路により制御される。ヒータ制御回路(ドライバ回路)は、制御部300による制御下で、ヒータ600への通電のオンオフを含む発熱状態を調整するためのものである。尚、ヒータ制御回路としては、既存の適宜なものを使用することができるので、詳細な説明を省略する。
制御部300は、ヒータ600の制御の他、画像形成装置100全体の制御を行う。このような制御部300は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するものである。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。なお、制御部300は、マイコンのようなヒータ600の制御の専用に用意したものであっても良い。この場合、定着装置30に設けられていても良い。
本実施形態の場合、制御部300は、温度センサ630の検出結果を取得し、取得した検出結果に基づいてヒータ600の温度が目標温度(例えば、200℃前後)に維持されるように、ヒータ制御回路を制御可能である。ヒータ制御回路によりヒータ600に対する電力供給(通電)が制御されることに応じて、ヒータ600の発熱状態が変化する。
本実施形態の制御構成では、選択された記録材のサイズに応じて電力を供給する発熱体を、発熱体623a〜623cから選択している。例えば、記録材としてA4サイズの用紙が選択された場合には、制御部300のCPUは、発熱体623bへの電力供給量を調整して目標温度に制御している。
[ヒータの詳細]
次に、本実施形態のヒータ600の詳細について、図3(a)〜図3(c)を用いて説明する。図3(a)はヒータ600の裏面側を示し、図3(b)はヒータ600の表面側を示し、図3(c)は図3(a)のヒータ600のA−A断面図を示す。なお、図3(a)及び図3(b)において、図中矢印Xは、定着ニップ部Nにおける定着ベルト650の回転方向、即ち、記録材Sの搬送方向を示している(図2参照)。
加熱部材としてのヒータ600は、ヒータ基板610と、ヒータ基板610の両面に設けられ、通電により発熱する複数の発熱体623a〜623fとを有し、定着ベルト650の内周面に当接されて定着ベルト650を加熱する。ヒータ基板610は、絶縁性及び耐熱性を有し、さらに熱伝導性の高い素材、例えばアルミナや窒化アルミ等のセラミックを用いて形成されている。
複数の発熱体623a〜623fは、複数のサイズの記録材に対応すべく、定着ベルト650の回転方向に交差する幅方向の長さが互いに異なる。これら各発熱体623a〜623fは、それぞれ幅方向と略平行に設けられている。また、それぞれの面で、記録材の搬送方向に互いに間隔をあけて配置されている。また、ヒータ600が定着ベルト650の内周面と当接する側であるヒータ基板610の表面(第1面)には、少なくとも1本(本実施形態では3本)の発熱体623a〜623cが設けられている。一方、ヒータ基板610の表面と反対側の裏面(第2面)には、少なくとも1本の発熱体が設けられている。本実施形態では、ヒータ基板610の裏面には、表面と同数の3本の発熱体623d〜623fが設けられている。
図3(a)に示すように、ヒータ基板610の裏面には、銀パラジウム(Ag/Pd)等を用いて、互いに幅方向の長さが異なる3本の発熱体623d〜623fが印刷、焼成されている。そして、これら発熱体623d〜623fは、銀(Ag)等で形成される導電体624d〜624fにより、幅方向の一端側は3個の独立電極622d〜622fにそれぞれ接続され、他端側は1個の共通電極621Bに接続されている。3個の独立電極622d〜622fと共通電極621Bとは、不図示のヒータ制御回路を介して商用電源に接続されている。なお、これら発熱体623d〜623f、導電体624d〜624fは、図3(c)に示すように、例えば厚さ60〜90μmのガラス層611で覆われている。
図3(b)に示すように、ヒータ基板610の表面にも裏面と同様に、銀パラジウム(Ag/Pd)等を用いて、互いに幅方向の長さが異なる3本の発熱体623a〜623cが印刷、焼成されている。そして、これら発熱体623a〜623cは、銀(Ag)等で形成される導電体624a〜624cにより、幅方向の一端側は3個の独立電極622a〜622cにそれぞれ接続され、他端側は1個の共通電極621Aに接続されている。3個の独立電極622a〜622cと共通電極621Aとは、不図示のヒータ制御回路を介して商用電源に接続されている。なお、これら表面の発熱体623a〜623cと導電体624a〜624cについても裏面と同様に、図3(c)に示すように、例えば厚さ60〜90μmのガラス層611で覆われている。尚、導電体624a,624b,624cは第1導電体に相当し、導電体624d,624e,624fは第2導電体に相当する。
なお、本実施形態の場合、共通電極621A、621Bはヒータ基板610の両面に幅方向で略同じ位置に形成されている。他方、独立電極622a〜622cと独立電極622d〜622fは両面の幅方向で異なる位置に形成されている。ただし、共通電極621A、621Bの位置関係、独立電極622a〜622cと独立電極622d〜622fの位置関係はこれに限られない。
[各発熱体の配置について]
次に、複数の発熱体623a〜623fの配置について、図3(a)〜図3(c)を用いて説明する。本実施形態のヒータ600は、複数の発熱体623a〜623fのうちの幅方向の長さが最も長い発熱体623bは、ヒータ基板610の表面に設けられている。また、表面に設けられた第1発熱体としての3本の発熱体623a〜623cは、幅方向の長さが長い方から順番に、発熱体623b、発熱体623a、発熱体623cとなる。この場合に、定着ベルト650の回転方向に関して、幅方向の長さが最も長い発熱体623bが発熱体623aと発熱体623cとの間に配置されている。更に、発熱体623a〜623cは、定着ベルトの回転方向の上流から下流(定着ニップ部Nで記録材が搬送される方向の上流から下流、矢印X方向)に、発熱体623c、発熱体623b、発熱体623aの順番で配置されている。
一方、ヒータ基板610の裏面には、少なくとも3本の発熱体623d〜623fが設けられている。本実施形態では、裏面にも3本の発熱体を設けている。即ち、表面に設けられた発熱体の数は、裏面に設けられた発熱体の数と同じである。また、裏面に設けられた第2発熱体としての3本の発熱体623d〜623fは、幅方向の長さが長い方から順番に、発熱体623e、発熱体623f、発熱体623dとなる。この場合に、定着ベルト650の回転方向に関して、幅方向の長さが最も長い発熱体623eが発熱体623fと発熱体623dとの間に配置されている。更に、発熱体623d〜623fは、定着ベルトの回転方向の上流から下流(定着ニップ部Nで記録材が搬送される方向の上流から下流、矢印X方向)に、発熱体623d、発熱体623e、発熱体623fの順番で配置されている。
即ち、本実施形態では、表面も裏面も、最も幅方向の長さが長い発熱体が、それぞれの面で中央に位置するようにし、この発熱体の上流側と下流側の発熱体を比べた場合、下流側の発熱体の方が幅方向の長さが長くなるようにしている。なお、各面の発熱体の定着ベルト650の回転方向の長さは、同じとしている。本実施形態では、全ての発熱体623a〜623fの定着ベルト650の回転方向の長さを同じとしている。
次に、各発熱体623a〜623fの具体例について説明する。ヒータ基板610の両面に配置されている6本の発熱体623a〜623fは、複数の記録材Sの幅方向の長さに合わせて長さが異なる。表1に、本実施形態における発熱体623a〜623fの配置の例を示す。なお、表1の「発熱体長」は、発熱体の幅方向の長さである。
Figure 2021007086
本実施形態では、発熱体623c〜623fは、幅方向の長さが定着ニップ部Nを通過可能な最大サイズの記録材Sの幅方向の長さよりも短い。また、発熱体623a、623bは、幅方向の長さが最大サイズの記録材Sの幅方向の長さよりも長い。また、定着装置には、その機種に応じて画像保証領域がある。画像保証領域とは、定着ニップ部Nを通過した記録材のトナー像を正常に定着できることを保証する領域である。具体的には、定着ニップ部Nを通過可能な最大サイズの記録材の幅方向の長さ以上の範囲を画像保証領域としている。本実施形態では、画像保証領域は、定着ニップ部Nを通過可能な最大サイズの記録材Sの幅方向の長さより僅かに長く設定しており、ここでは最大サイズの記録材Sの幅方向の長さである297mmより3mm長い300mmとしている。
本実施形態では、選択された記録材Sに応じて電力を供給する発熱体623a〜623fを選択している。例えば、A4サイズの記録材Sが選択された場合には、発熱体623bへの電力供給量を調整して目標温度に制御している。また、A5縦送り(A5R)が選択された場合には、発熱体623dへの電力供給量を調整して目標温度に制御している。他の記録材Sに対しても上記と同様に、記録材Sに対応した発熱体623a〜623fを選択し、その発熱体623a〜623fへの電力供給量を制御して温度制御を行っている。そのようにして非通紙部の昇温を抑制している。
ここで、ヒータ600において、ヒータ基板610の裏面側の発熱体によって発生した熱は、ヒータ基板610を介して定着ベルト650に伝達される。そのため、表面に配置された発熱体と比較して、裏面側に配置した発熱体は、定着ベルト650への熱伝達効率が低下する。定着ベルト650への熱伝達効率低下を抑制するには、発熱体をヒータ基板610の表面に配置することが望ましい。しかしながら、複数の異なる長さの発熱体を持つ構成において、発熱体の全てをヒータ基板610の表面に配置してしまうと、発熱体を多く配置する分、ヒータ600の記録材搬送方向の長さが長くなってしまう。そうすると、定着ニップ部Nを形成するための押圧力を大きくしなければならなくなる。押圧力の増加は、加圧ローラ70を回転駆動するトルクの増大を招き、好ましくない。したがって、ヒータ基板610の両面にそれぞれ発熱体を配置することで、記録材の搬送方向の長さが短く、且つ、様々なサイズに対応すべく多くの発熱体を有するヒータを得られる。
[ヒータの製造方法]
次に、ヒータ600の製造方法について、図4を用いて説明する。ここでは、ヒータ基板610の表面を1番目に製造する側の1面目(第1面)610aとし、裏面を2番目に製造する側の2面目(第2面)610bと定義する(図5参照)。本実施形態では、1面目に発熱体623a〜623cを形成し、2面目に発熱体623d〜623fを形成し(図3参照)、1面目を定着ニップ部N側、即ちヒータ600が定着ベルト650(図2参照)の内周面に当接して摺動する側に配置するものとする。
本実施形態で使う材料の融点又は軟化点と焼成温度とは、以下の通りである。各焼成温度で製造できるように、ペースト材料の配合を調整している。
(1)導電体(1面目及び2面目共通)
材料:Agペースト、融点:800℃、焼成温度:850℃
(2)発熱体(1面目及び2面目共通)
材料:Ag−Ptペースト、融点:800℃、焼成温度:850℃
(3)1面目ガラス層
材料:ガラスペースト、軟化点:800℃(第1温度)、焼成温度:850℃
(4)2面目ガラス層
材料:ガラスペースト、軟化点:550℃(第2温度)、焼成温度:600℃
図4に示すように、最初にヒータ基板610の1面目に、導電体624a〜624cを形成する(ステップS1)。ここでは、まずスクリーン印刷機を使用してAgペーストを塗布する。ここでは、塗布方法の1つとして、スクリーン印刷を行う(第1工程)。印刷後、乾燥炉によって、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610にAgペーストを仮定着させる。その後、焼成炉で850℃・10分の条件で焼成し、1面目の導電体624a〜624cを完成させる。尚、Agペーストは、銀(Ag)を材料とする粉末とガラスフリット(無機結着剤)、有機接着剤などを混練したペーストとしている。このAgペーストは、焼成により、Agペースト中に含まれていた無機結着剤が溶融し、銀(Ag)をヒータ基板610に固着させて導電体624a〜624cを形成する。
次に、ヒータ基板610の2面目に、導電体624d〜624fを形成する(ステップS2)。ここでは、ヒータ基板610をひっくり返して、その上にスクリーン印刷機を使用してAgペーストをスクリーン印刷して(第2工程)、2面目の導電体624d〜624fを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にAgペーストを仮定着させる。その後、850℃・10分の条件で焼成し(第3工程)、2面目の導電体624d〜624fを完成させる。
次に、ヒータ基板610の1面目に、発熱体623a〜623cを形成する(ステップS3)。ここでは、ヒータ基板610をひっくり返して、その上にスクリーン印刷機を使用してAg−Ptペーストをスクリーン印刷して(第4工程)、1面目の発熱体623a〜623cを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にAg−Ptペーストを仮定着させる。その後、850℃・10分の条件で焼成し、1面目の発熱体623a〜623cを完成させる。
次に、ヒータ基板610の2面目に、発熱体623d〜623fを形成する(ステップS4)。ここでは、ヒータ基板610をひっくり返して、その上にスクリーン印刷機を使用してAg−Ptペーストをスクリーン印刷して(第5工程)、2面目の発熱体623d〜623fを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にAg−Ptペーストを仮定着させる。その後、850℃・10分の条件で焼成し(第6工程)、2面目の発熱体623d〜623fを完成させる。
次に、ヒータ基板610の1面目に、ガラス層(第1ガラス層)611a(図5参照)を形成する(ステップS5)。ここでは、ヒータ基板610をひっくり返して、その上にスクリーン印刷機を使用してガラスペーストをスクリーン印刷して(第7工程)、1面目のガラス層611aを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にガラスペーストを仮定着させる。その後、850℃・10分の条件で焼成する。スクリーン印刷で精度よく印刷できる厚さは20μmであり、発熱体の絶縁性の基準を満たすには、60μmのガラス層611aを形成する必要がある。そのため、ステップS5の印刷、乾燥、焼成工程を合計3回繰り返して、1面目のガラス層611aを完成させる。
次に、ヒータ基板610の2面目に、ガラス層(第2ガラス層)611b(図5参照)を形成する(ステップS6)。ここでは、ヒータ基板610をひっくり返して、その上にスクリーン印刷機を使用してガラスペーストをスクリーン印刷して(第8工程)、2面目のガラス層611bを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にガラスペーストを仮定着させる。その後、600℃・10分の条件で焼成する(第9工程)。2面目のガラス層611bも、ステップS6の印刷、乾燥、焼成工程を合計3回繰り返して、所望の膜厚を形成している。
上述したように、本実施形態のヒータ600の製造方法では、導電体624a〜624fは、ヒータ基板610に導電体材料を印刷して焼成して形成され、発熱体623a〜623fは、ヒータ基板610に発熱体材料を印刷して焼成して形成される。ガラス層611a及びガラス層611bは、ヒータ基板610にガラス材を印刷して焼成して形成される。そして、ヒータ600の製造方法では、導電体624a〜624cを1面目610aに印刷(塗布)する第1工程(ステップS1)と、第1工程の実行後に導電体624d〜624fを2面目610bに印刷する第2工程(ステップS2)とを実行可能である。また、ヒータ600の製造方法では、第2工程の実行後に導電体624d〜624fを焼成する第3工程(ステップS2)を実行可能である。ここで、少なくとも第3工程は、ヒータ基板610の導電体624a〜624fに接触しない部分を支持した状態で実行する。このため、導電体624d〜624fの焼成時に、導電体624a〜624fが焼成装置400の搬送ベルト401(図6及び図7参照)に触れないので、1面目610aの製造不良を抑制することができる。
また、本実施形態のヒータ600の製造方法では、発熱体623a〜623cを1面目610aに印刷する第4工程(ステップS3)と、第4工程の実行後に発熱体623d〜623fを2面目610bに印刷する第5工程(ステップS4)を実行可能である。また、ヒータ600の製造方法では、第5工程の実行後に発熱体623d〜623fを焼成する第6工程(ステップS4)を実行可能である。ここで、少なくとも第6工程は、ヒータ基板610の発熱体623a〜623fに接触しない部分を支持した状態で実行する。また、本実施形態のヒータ600の製造方法では、第5工程の実行前に、導電体624a〜624cを1面目610aに印刷し、第6工程は、ヒータ基板610の導電体624a〜624c623bに接触しない部分を支持した状態で実行する。このため、発熱体623d〜623fの焼成時に、発熱体623a〜623f及び導電体624a〜624cが焼成装置400の搬送ベルト401(図6及び図7参照)に触れないので、1面目610aの製造不良を抑制することができる。
また、本実施形態のヒータ600の製造方法では、ガラス層611aを1面目610aに印刷する第7工程(ステップS5)と、第7工程の実行後にガラス層611bを2面目610bに印刷する第8工程(ステップS6)とを実行可能である。更に、本実施形態のヒータ600の製造方法では、第8工程の実行後にガラス層611bを焼成する第9工程(ステップS6)を実行可能である。ここで、少なくとも第9工程は、ヒータ基板610のガラス層611a,611bに接触しない部分を支持した状態で実行する。このため、ガラス層611bの焼成時に、ガラス層611a,611bが焼成装置400の搬送ベルト401(図6及び図7参照)に触れないので、1面目610aの製造不良を抑制することができる。
ここで、2面目のガラス層611bのガラスは、1面目のガラス層611aのガラスと軟化点の異なる材料を使用している。即ち、1面目のガラス層611aは軟化点が800℃であるガラスからなり、2面目のガラス層611bは軟化点が800℃未満(第1温度未満)の550℃であるガラスからなる。このため、2面目のガラス層611bのガラスの焼成温度は、1面目のガラス層611aのガラスの軟化点以下であるので、2面目のガラス層611bの焼成時に1面目のガラス層611aの軟化を抑え、表面性の低下を抑制することができる。
尚、本実施形態では、焼成時間をいずれも10分に設定しているが、これには限られず、例えば30分に設定するなど、条件に応じて適宜設定することができる。また、本実施形態では、いずれのガラス層611a,611bも厚さを同等にした場合について説明したが、これには限られない。例えば、1面目のガラス層611aの膜厚を60μm、2面目のガラス層611bの膜厚を80μmにしてもよい。この場合、軟化点の低いガラス材料は、軟化点の高いガラス材料に比べて耐圧性能が低いので、2面目のガラス層611bを厚くすることにより、1面目のガラス層611aと同等の耐圧性能を得ることができる。
上述した1面目及び2面目のガラス層611の軟化点の測定は、「JIS R3103−1 ガラス軟化点測定方法」に準拠して測定することができる。また、耐圧試験は、ガラス層611と導電体624a〜624fとの間に1.5kVの交流電圧を3秒印加する試験を行うものとし、放電が起きなければ良品と判定する。本実施形態のヒータ600に対して1000本について耐圧試験を行ったところ、全て1面目610a及び2面目610bともに問題はないと判定された。一方、比較例として、1面目が焼成装置400の搬送ベルト401(図6及び図7参照)に接触しながら製造した両面に発熱体を有するヒータについて、耐圧試験を行った。その結果、1000本に5本、耐圧試験にNG評価が判定された。従って、本実施形態のヒータ600の製造方法を採用することが、製造不良の低減に有効であることが確認された。
次に、本実施形態におけるヒータ600の焼成工程に用いられる焼成装置400について、図6及び図7を用いて説明する。図6は本実施形態の焼成装置400の平面図であり、図7は焼成装置400の断面図である。焼成装置400は、焼成炉404と、焼成炉404の内部に設けられ、駆動プーリ403により回転駆動される搬送ベルト401と、を有している。搬送ベルト401の表面には、浮かし部材402が設けられている。浮かし部材402は、例えば耐熱性で高さ1mmを有する弾性体からなり、搬送ベルト401の移動方向に沿って、移動方向に直交する幅方向に間隔を開けて設けられ、搬送ベルト401と共に回転する。浮かし部材402に載置されたヒータ基板610は、両端部を下方から支持されて搬送ベルト401の移動により移動する。このとき、ヒータ基板610は、下側の面が搬送ベルト401から離れて載置されている。
例えば、図4に示すステップS1〜S6では、いずれも焼成工程において、ペーストが印刷されて乾燥されたヒータ基板610は、搬送ベルト401の浮かし部材402の上に置かれる。ヒータ基板610は、浮かし部材402に載置されるときは、ヒータ基板610における発熱体、導電体、ガラス層611が印刷されていない部位が浮かし部材402に接触する。そして、搬送ベルト401が移動することにより、ヒータ基板610が焼成炉404に進入し焼成される。焼成炉404は、不図示の加熱源により、図4に示すステップS1〜S5では850℃、ステップS6では600℃に温調されており、搬送ベルト401上のヒータ基板610は10分かけて、焼成炉404内を移動する。尚、焼成時間が30分であれば、30分かけて、焼成炉404内を移動する。尚、1枚のヒータ基板610には、複数のヒータ600をまとめて製造し、ヒータ600の完成後にスクライブ装置でヒータ基板610を切断して、ヒータ600を1つずつ分離している。また、ヒータ基板610にヒータ600としては使われずに浮かし部材402に支持されるための部位を持たせておき、焼成後に切り落とすようにしてもよい。
上述したように本実施形態のヒータ600の製造方法によれば、ヒータの2面目を製造するとき、1面目を搬送ベルト401に接触しないようにして製造することができる。例えば、第3工程において、ヒータ基板610の導電体624a〜624fに接触しない部分を支持して1面目を搬送ベルト401に接触しないようにできる。また、例えば、第6工程において、ヒータ基板610の発熱体623a〜623f及び導電体624a〜624cに接触しない部分を支持して1面目を搬送ベルト401に接触しないようにできる。また、例えば、第9工程において、ヒータ基板610のガラス層611a,611bに接触しない部分を支持して1面目を搬送ベルト401に接触しないようにできる。これにより、ヒータ600の2面目の製造の際に、1面目に形成されたもの(本実施形態ではガラス層611)に搬送ベルト401上の不純物が混入したり、搬送ベルト401の上面の形状が1面目に形成されたものに転写されたりすることを抑制できる。従って、ヒータ600の製造不良が発生することを抑制できる。
尚、上述した本実施形態のヒータ600の製造方法では、1面目610a及び2面目610bともに、導電体624a〜624fを形成してから発熱体623a〜623fを形成した場合について説明したが、これには限られない。例えば、1面目610aにおいて、発熱体623a〜623cを形成してから導電体624a〜624cを形成するようにしてもよい。あるいは、2面目610bにおいて、発熱体623d〜623fを形成してから導電体624d〜624fを形成するようにしてもよい。この場合も、導電体624a〜624c及び発熱体623a〜623cを形成してからガラス層611aを形成し、あるいは、導電体624d〜624f及び発熱体623d〜623fを形成してからガラス層611bを形成する。この場合も、導電体624a〜624cを1面目610aに印刷する第1工程と、第1工程の実行後に導電体624d〜624fを2面目610bに印刷する第2工程と、第2工程の実行後に導電体624d〜624fを焼成する第3工程とを実行可能である。そして、第2工程の実行前に、発熱体623a〜623cを1面目610aに印刷する。
尚、本実施形態のヒータ600の製造方法では、焼成を片面ずつ行っている場合について説明したが、これには限られず、両面同時に焼成を行ってもよい。この場合、例えば、1面目610aに導電体624a〜624cを印刷及び乾燥させ、2面目610bに導電体624d〜624fを印刷及び乾燥させ、その後、両面の導電体624a〜624fを同時に焼成してもよい。この場合も、ヒータ基板610の導電体624a〜624fに接触しない部分を支持して1面目を搬送ベルト401に接触しないようにすることで、ヒータ600の搬送ベルト401を向いた面の製造不良を抑制できる。
また、本実施形態のヒータ600の焼成装置400では、ヒータ基板610の1面目610aを焼成する際も、2面目610bを焼成する際も、いずれも浮かし部材402の上にヒータ基板610を置いて製造しているが、これには限られない。例えば、1面目610aの製造時は、浮かし部材402の上に置かないで、搬送ベルト401に直に置いて焼成してもよい。また、本実施形態では浮かし部材402は連続的に設けられている場合について説明したが、これには限られない。例えば、浮かし部材402は、連続的でなくてもよく、この場合、ヒータ基板610を置く部分のみ設けてあってもよい。
また、本実施形態のヒータ600の焼成装置400では、浮かし部材402を焼成装置400に適用した場合について説明したが、これには限られず、乾燥炉やスクリーン印刷装置にも適用してもよい。
また、本実施形態のヒータ600の焼成装置400では、ヒータ基板610を浮かし部材402に載置することにより、ヒータ基板610の導電体624a〜624fなどに接触しない部分を支持した場合について説明したが、これには限られない。例えば、クランパのような把持具を用いて、ヒータ基板610の端縁を搬送方向に沿った方向に把持した状態で(図6の一点鎖線の矢印参照)、把持具とともにヒータ基板610を搬送するようにしても良い。これにより、ヒータ基板610は、把持具に把持されて、1面目が搬送ベルトなどの他の部材に載置されていない状態で焼成されるようにできる。なお、ヒータ基板610の端縁の支持は、搬送方向に直交する方向に把持することで行うようにしてもよい(図6の破線の矢印参照)。
また、本実施形態のヒータ600では、ヒータ基板610は、例えばアルミナや窒化アルミ等のセラミックを用いて形成されている場合について説明したが、これには限られない。例えば、鋼などのSUSヒータ基板の両面に絶縁ガラスを形成して、その上にヒータを製造するようにしてもよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図8及び図9を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、1面目のガラス層611aを焼成して1面目を完成させてから2面目の導電体624d〜624fを形成する点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。また、焼成装置400についても第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
本実施形態でのヒータ600Aの製造方法について、図8を用いて説明する。ここでは、ヒータ基板610の表面を1番目に製造する側の1面目610aとし、裏面を2番目に製造する側の2面目610bと定義する(図9参照)。本実施形態では、1面目に発熱体623a〜623cを形成し、2面目に発熱体623d〜623fを形成し(図3参照)、1面目を定着ニップ部N側、即ちヒータ600Aが定着ベルト650(図2参照)の内周面に当接して摺動する側に配置するものとする。
本実施形態で使う材料の融点又は軟化点と焼成温度とは、以下の通りである。各焼成温度で製造できるように、ペースト材料の配合を調整している。本実施形態では、2面目のヒータ製造時には、1面目のガラス層611aは製造済みなので、2面目の導電体層、発熱体層、ガラス層の材料の融点又は軟化点が、1面目のガラス層611aの軟化点より低い材料で製造されている。
(1)1面目導電体
材料:Agペースト、融点:800℃、焼成温度:850℃
(2)1面目発熱体
材料:Ag−Ptペースト、融点:800℃、焼成温度:850℃
(3)1面目ガラス層
材料:ガラスペースト、軟化点:800℃(第1温度)、焼成温度:850℃
(4)2面目導電体
材料:Agペースト、融点:550℃、焼成温度:600℃
(5)2面目発熱体
材料:Ag−Ptペースト、融点:550℃、焼成温度:600℃
(6)2面目ガラス層
材料:ガラスペースト、軟化点:550℃(第2温度)、焼成温度:600℃
図8に示すように、最初にヒータ基板610の1面目に、導電体624a〜624cを形成する(ステップS11)。ここでは、まずヒータ基板610にスクリーン印刷機を使用してAgペーストをスクリーン印刷する(第1工程)。印刷後、乾燥炉によって、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610にAgペーストを仮定着させる。その後、焼成炉で850℃・10分の条件で焼成し、1面目の導電体624a〜624cを完成させる。
次に、ヒータ基板610の1面目に、発熱体623a〜623cを形成する(ステップS12)。ここでは、ヒータ基板610にスクリーン印刷機を使用してAg−Ptペーストをスクリーン印刷して(第4工程)、1面目の発熱体623a〜623cを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にAg−Ptペーストを仮定着させる。その後、850℃・10分の条件で焼成し、1面目の発熱体623a〜623cを完成させる。
次に、ヒータ基板610の1面目に、ガラス層(第1ガラス層)611a(図5参照)を形成する(ステップS13)。ここでは、ヒータ基板610にスクリーン印刷機を使用してガラスペーストをスクリーン印刷して(第7工程)、1面目のガラス層611aを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にガラスペーストを仮定着させる。その後、850℃・10分の条件で焼成する。また、発熱体の絶縁性の基準を満たすために、ステップS13の印刷、乾燥、焼成工程を合計3回繰り返して、所望の膜厚の1面目のガラス層611aを完成させる。
次に、ヒータ基板610の2面目に、導電体624d〜624fを形成する(ステップS14)。ここでは、ヒータ基板610をひっくり返して、その上にスクリーン印刷機を使用してAgペーストをスクリーン印刷して(第2工程)、2面目の導電体624d〜624fを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にAgペーストを仮定着させる。その後、850℃・10分の条件で焼成し(第3工程)、2面目の導電体624d〜624fを完成させる。
次に、ヒータ基板610の2面目に、発熱体623d〜623fを形成する(ステップS15)。ここでは、ヒータ基板610にスクリーン印刷機を使用してAg−Ptペーストをスクリーン印刷して(第5工程)、2面目の発熱体623d〜623fを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にAg−Ptペーストを仮定着させる。その後、850℃・10分の条件で焼成し(第6工程)、2面目の発熱体623d〜623fを完成させる。
次に、ヒータ基板610の2面目に、ガラス層(第2ガラス層)611b(図5参照)を形成する(ステップS16)。ここでは、ヒータ基板610にスクリーン印刷機を使用してガラスペーストをスクリーン印刷して(第8工程)、2面目のガラス層611bを形成する。その後、180℃・3分の条件で乾燥させ、ヒータ基板610上にガラスペーストを仮定着させる。その後、600℃・10分の条件で焼成する(第9工程)。2面目のガラス層611bも、ステップS16の印刷、乾燥、焼成工程を合計3回繰り返して、所望の膜厚を形成している。尚、本実施形態では、焼成時間をいずれも10分に設定しているが、これには限られず、例えば30分に設定するなど、条件に応じて適宜設定することができる。
ここで、2面目の各材料は、1面目のガラス層611aのガラスの軟化点より低い融点又は軟化点を有する材料を使用している。このため、2面目の各層の焼成温度は、1面目のガラス層611aのガラスの軟化点以下であるので、2面目の各層の焼成時に1面目のガラス層611aの軟化を抑え、表面性の低下を抑制することができる。
上述したように、本実施形態のヒータ600Aの製造方法では、導電体624a〜624cを1面目610aに印刷(塗布)する第1工程(ステップS11)を実行可能である。また、ヒータ600の製造方法では、第1工程の実行後に導電体624d〜624fを2面目610bに印刷する第2工程(ステップS14)と、第2工程の実行後に導電体624d〜624fを焼成する第3工程(ステップS14)とを実行可能である。ここで、少なくとも第3工程は、ヒータ基板610の導電体624a〜624fに接触しない部分を支持した状態で実行する。また、第2工程の実行前に、ガラス層611aを1面目610aに印刷し、第3工程は、ヒータ基板610のガラス層611aに接触しない部分を支持した状態で実行する。このため、導電体624d〜624fの焼成時に、導電体624a〜624f及びガラス層611aが焼成装置400の搬送ベルト401(図6及び図7参照)に触れないので、1面目610aの製造不良を抑制することができる。
また、本実施形態のヒータ600の製造方法では、発熱体623a〜623cを1面目610aに印刷する第4工程(ステップS12)を実行可能である。また、ヒータ600の製造方法では、第4工程の実行後に発熱体623d〜623fを2面目610bに印刷する第5工程(ステップS15)と、第5工程の実行後に発熱体623d〜623fを焼成する第6工程(ステップS15)とを実行可能である。ここで、少なくとも第6工程は、ヒータ基板610の発熱体623a〜623fに接触しない部分を支持した状態で実行する。また、第5工程の実行前に、ガラス層611aを1面目610aに印刷し、第6工程は、ヒータ基板610のガラス層611aに接触しない部分を支持した状態で実行する。このため、発熱体623d〜623fの焼成時に、発熱体623a〜623f及びガラス層611aが焼成装置400の搬送ベルト401(図6及び図7参照)に触れないので、1面目610aの製造不良を抑制することができる。
また、本実施形態のヒータ600の製造方法では、ガラス層611aを1面目610aに印刷する第7工程(ステップS13)と、第7工程の実行後にガラス層611bを2面目610bに印刷する第8工程(ステップS16)とを実行可能である。更に、本実施形態のヒータ600の製造方法では、第8工程の実行後にガラス層611bを焼成する第9工程(ステップS16)を実行可能である。ここで、少なくとも第9工程は、ヒータ基板610のガラス層611a,611bに接触しない部分を支持した状態で実行する。このため、ガラス層611bの焼成時に、ガラス層611a,611bが焼成装置400の搬送ベルト401(図6及び図7参照)に触れないので、1面目610aの製造不良を抑制することができる。
上述したように本実施形態のヒータ600の製造方法によれば、ヒータの2面目を製造するとき、1面目を搬送ベルト401に接触しないようにして製造することができる。これにより、ヒータ600の2面目の製造の際に、1面目に形成されたもの(本実施形態ではガラス層611)に搬送ベルト401上の不純物が混入したり、搬送ベルト401の上面の形状が1面目に形成されたものに転写されたりすることを抑制できる。従って、ヒータ600の製造不良が発生することを抑制できる。
600,600A…ヒータ(加熱部材)、610…ヒータ基板(基板)、610a…1面目(第1面)、610b…2面目(第2面)、611a…ガラス層(第1ガラス層)、611b…ガラス層(第2ガラス層)、623a,623b,623c…発熱体(第1発熱体)、623d、623e、623f…発熱体(第2発熱体)、624a,624b,624c…導電体(第1導電体)、624d,624e,624f…導電体(第2導電体)、650…定着ベルト。

Claims (7)

  1. 基板と、前記基板の第1面に設けられ、通電により発熱する第1発熱体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を電源に接続するための第1導電体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を覆う第1ガラス層と、前記基板の前記第1面とは反対の第2面に設けられ、通電により発熱する第2発熱体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を電源に接続するための第2導電体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を覆う第2ガラス層と、を有し、定着ベルトの内周面に当接されて前記定着ベルトを加熱する加熱部材の製造方法であって、
    前記第1導電体及び前記第2導電体は、前記基板に導電体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1発熱体及び前記第2発熱体は、前記基板に発熱体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1ガラス層及び前記第2ガラス層は、前記基板にガラス材を塗布して焼成して形成され、
    前記第1導電体を前記第1面に塗布する第1工程と、前記第1工程の実行後に前記第2導電体を前記第2面に塗布する第2工程と、前記第2工程の実行後に前記第2導電体を焼成する第3工程とを実行可能であり、
    少なくとも前記第3工程は、前記基板の前記第1導電体及び前記第2導電体に接触しない部分を支持した状態で実行する、
    ことを特徴とする加熱部材の製造方法。
  2. 前記第2工程の実行前に、前記第1発熱体を前記第1面に塗布し、前記第3工程は、前記基板の前記第1発熱体に接触しない部分を支持した状態で実行する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の加熱部材の製造方法。
  3. 前記第2工程の実行前に、前記第1ガラス層を前記第1面に塗布し、前記第3工程は、前記基板の前記第1ガラス層に接触しない部分を支持した状態で実行する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱部材の製造方法。
  4. 基板と、前記基板の第1面に設けられ、通電により発熱する第1発熱体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を電源に接続するための第1導電体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を覆う第1ガラス層と、前記基板の前記第1面とは反対の第2面に設けられ、通電により発熱する第2発熱体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を電源に接続するための第2導電体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を覆う第2ガラス層と、を有し、定着ベルトの内周面に当接されて前記定着ベルトを加熱する加熱部材の製造方法であって、
    前記第1発熱体及び前記第2発熱体は、前記基板に発熱体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1導電体及び前記第2導電体は、前記基板に導電体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1ガラス層及び前記第2ガラス層は、前記基板にガラス材を塗布して焼成して形成され、
    前記第1発熱体を前記第1面に塗布する第4工程と、前記第4工程の実行後に前記第2発熱体を前記第2面に塗布する第5工程と、前記第5工程の実行後に前記第2発熱体を焼成する第6工程とを実行可能であり、
    少なくとも前記第6工程は、前記基板の前記第1発熱体及び前記第2発熱体に接触しない部分を支持した状態で実行する、
    ことを特徴とする加熱部材の製造方法。
  5. 前記第5工程の実行前に、前記第1導電体を前記第1面に塗布し、前記第6工程は、前記基板の前記第1導電体に接触しない部分を支持した状態で実行する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の加熱部材の製造方法。
  6. 前記第5工程の実行前に、前記第1ガラス層を前記第1面に塗布し、前記第6工程は、前記基板の前記第1ガラス層に接触しない部分を支持した状態で実行する、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の加熱部材の製造方法。
  7. 基板と、前記基板の第1面に設けられ、通電により発熱する第1発熱体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を電源に接続するための第1導電体と、前記基板の前記第1面に設けられ、前記第1発熱体を覆う第1ガラス層と、前記基板の前記第1面とは反対の第2面に設けられ、通電により発熱する第2発熱体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を電源に接続するための第2導電体と、前記基板の前記第2面に設けられ、前記第2発熱体を覆う第2ガラス層と、を有し、定着ベルトの内周面に当接されて前記定着ベルトを加熱する加熱部材の製造方法であって、
    前記第1導電体及び前記第2導電体は、前記基板に導電体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1発熱体及び前記第2発熱体は、前記基板に発熱体材料を塗布して焼成して形成され、前記第1ガラス層及び前記第2ガラス層は、前記基板にガラス材を塗布して焼成して形成され、
    前記第1ガラス層を前記第1面に塗布する第7工程と、前記第7工程の実行後に前記第2ガラス層を前記第2面に塗布する第8工程と、前記第8工程の実行後に前記第2ガラス層を焼成する第9工程とを実行可能であり、
    少なくとも前記第9工程は、前記基板の前記第1ガラス層及び前記第2ガラス層に接触しない部分を支持した状態で実行する、
    ことを特徴とする加熱部材の製造方法。
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