JP2021006341A - 気体分離膜モジュール - Google Patents

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広沢洋帆
Hiroho Hirozawa
飯塚里奈
Rina IIZUKA
徳山尊大
Takahiro Tokuyama
山田博之
Hiroyuki Yamada
水野耀介
Yosuke Mizuno
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Abstract

【課題】流動抵抗と供給気体の乱流強度が良好であり、かつ気体分離膜の充填量を高めた気体分離膜モジュールを提供すること。【解決手段】本発明は、中心管と、供給側の面および透過側の面を有し、供給側の面同士が向かい合い、かつ透過側の面同士が向かい合うように配置された複数の分離膜と、 上記供給側の面の間に配置された供給側流路材と、上記透過側の面の間に配置された透過側流路材と、を備え、上記分離膜、供給側流路材および透過側流路材は、上記中心管の周囲に巻囲され、上記供給側流路材は不織布であり、かつ上記不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側に配向するように配置される気体分離膜モジュールを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、気体分離膜モジュールに関する。
近年クリーンなエネルギー源として、水素が注目されている。水素は、天然気体及び石炭等の化石燃料を気体化し、主成分として水素と二酸化炭素を含む混合気体から二酸化炭素を除去することによって得られている。処理対象となる気体は水蒸気改質、水性気体シフトを経ており、高温、高圧であることが特徴である。さらに、水素はアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法にも用いられている。これは、水素と窒素を高温、高圧で反応させることでアンモニアを合成する方法であるが、生産プラントにおいて未反応の水素と窒素を分離回収するプロセスが必要である。
低コストで混合気体から特定の気体を濃縮させる方法として、素材の持つ気体透過性の違いを利用して目的気体を選択的に透過させる膜分離法が注目されている。
特許文献1には、気体分離膜モジュールの流路材に厚み方向の傾斜を設け、供給気体の乱流強度を高めた技術が開示されている。また、特許文献2にはネットが形成する供給側流路に接着剤などで壁を設け、供給気体の流れ方向を強制的に変更し分離特性を向上させる技術が開示されている。
日本国特開2016−137462 日本国特開2015−136634
しかしながら、従来の気体分離膜モジュールでは、供給側流路の流動抵抗と供給気体の乱流強度のバランスが十分でなく、また気体分離膜の充填量増大が十分でないのが現状であった。
そこで本発明は流動抵抗と供給気体の乱流強度が良好であり、かつ気体分離膜の充填量を高めた気体分離膜モジュールを提供することを課題とする。
上記目的を達成するための本発明は以下である。
(1) 中心管と、
供給側の面および透過側の面を有し、供給側の面同士が向かい合い、かつ透過側の面同士が向かい合うように配置された複数の分離膜と、
前記供給側の面の間に配置された供給側流路材と、
前記透過側の面の間に配置された透過側流路材と、
を備え、
前記分離膜、供給側流路材および透過側流路材は、前記中心管の周囲に巻囲され、
前記供給側流路材は不織布であり、かつ前記不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側に配向するように配置される気体分離膜モジュール。
(2)
前記透過側流路材は不織布を含み、かつ前記透過側流路材中の不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側と直交方向に配向するように配置される(1)に記載の気体分離膜モジュール。
(3)
前記透過側流路材は、前記中心管に接着された透過側流路材Aと、透過側流路材Aに接着された透過側流路材Bを含み、
前記透過側流路材Aの破断張力が、前記透過側流路材Bの破断張力よりも大きい(1)または(2)に記載の気体分離膜モジュール。
(4)
前記供給側流路材の厚みが0.01〜0.25mmである
(1)〜(3)に記載の気体分離膜モジュール。
(5)
前記分離膜は、基材、前記基材上に配置された多孔質支持層、および前記多孔質支持層上に配置された分離機能層を有し、
前記分離機能層が架橋ポリアミドを含有する
(1)〜(4)のいずれかに記載の気体分離膜モジュール。
(6)
以下の工程1及び2を、この順に有する、水素またはヘリウムを含むガスの製造方法。
工程1:前記(1)〜(5)のいずれかに記載の気体分離膜モジュールの前記分離膜の一方の面に、水素またはヘリウムを有する軽ガスを含む混合ガスを供給する工程。
工程2:工程1の後、前記分離膜の他方の面から前記混合ガスよりも軽ガス濃度の高いガスを得る工程。
本発明によって、気体分離膜モジュールを運転した際に生じる供給側流路の流動抵抗を低減させ、気体分離膜の充填量を増大できるため、混合気体の分離効率に優れた気体分離膜モジュールを得ることができる。
本発明の気体分離膜モジュールの形態を示す一部展開斜視図である。 本発明の中心管および透過側流路材の展開模式図である。
本発明の気体分離膜モジュールは、中心管と、供給側の面および透過側の面を有し、供給側の面同士が向かい合い、かつ透過側の面同士が向かい合うように配置された複数の分離膜と、前記供給側の面の間に配置された供給側流路材と、前記透過側の面の間に配置された透過側流路材と、を備え、前記分離膜、供給側流路材および透過側流路材は、前記中心管の周囲に巻囲され、前記供給側流路材は不織布であり、かつ前記不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側に配向するように配置される気体分離膜モジュールである。以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<気体分離膜モジュール>
図1に示すように、気体分離膜モジュール(100)は、中心管(6)と、中心管(6)の周囲に巻囲された分離膜リーフおよび透過側流路材(3)を備える。図1に示すx軸の方向が中心管(6)の長手方向である。またy軸の方向が中心管の長手方向と垂直な方向である。
中心管(6)は、後述の透過気体が排出されるように少なくとも下流側の端部が開口している中空状の(円筒形の)部材である。複数のモジュール100が連結される場合は、両端が開口している中心管が採用される。中心管6の側面(円筒形状における側面)には複数の孔が設けられている。
分離膜リーフは、供給側の面および透過側の面を有し、供給側の面が互いに向かい合い、かつ透過側が互いに向かい合うように配置された複数の分離膜(1)と、分離膜(1)の供給側の面の間に配置された供給側流路材(2)とを有する。なお、例えば1枚の膜が、透過側または供給側の面を内側にして折りたたまれ、それが中心管の周囲に巻囲されている場合も、「複数の分離膜」が設けられている場合に含める。
さらに分離膜(1)の透過側の面の間には透過側流路材が配置され、分離膜リーフと共に巻囲されることで気体分離膜モジュール(100)が形成される。
気体分離膜モジュール(100)の一方の端面からは、供給気体(201)が供給される。供給気体(201)は、気体分離膜モジュール(100)の中心管(6)の長手方向を分離されながら移動し、分離膜を透過した透過気体(202)は中心管(6)側面の孔から中心管6内部をとおり、その端部から排出される。また、ろ過されなかった供給気体は、濃縮気体(203)として、気体分離膜モジュール(100)の他方の端面から排出される。
また、本発明の気体分離膜モジュールの別の一形態として、図2には、透過側流路材A(3A)が中心管(6)に接着され、その透過側流路材A(3A)に透過側流路材B(3B)が接着されている態様を記す。透過側流路材Aの破断張力は、透過側流路材Bの破断張力よりも大きいことが好ましいが、この態様の詳細については後述する。
なお、図1や図2以外の態様の気体分離膜モジュールにおいても、本発明の気体分離膜モジュールが備える供給側流路材を適用することができる。
<供給側流路材>
本発明の気体分離膜モジュールが備える供給側流路材は、構成する繊維が中心管の長手方向側に配向している不織布である。繊維が中心管の長手方向側に配向していることで、供給気体の流れを妨げにくくなり、繊維が無作為に配向されている場合に比べて流動抵抗を低減できる。つまり、供給気体の流量を増加させた場合や、流路材を薄型化して供給流体を送りこんだ際でも流動抵抗の上昇を抑制することができる。
(繊維配向度)
供給側流路の流動抵抗を低減するためには、繊維配向度が0°〜30°であることが好ましく、0°〜20°がさらに好ましい。
繊維配向度とは、不織布の繊維の向きを示す指標であり、中心管の長手方向を0°とし、不織布の平面におけるその直交方向を90°としたときの、不織布基材を構成する繊維の平均の角度のことを言う。
繊維配向度は、不織布から無作為に小片サンプル10個を採取し、該サンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維について、中心管の長手方向に対する角度を測定し、それらの平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して繊維配向度として求める。
(厚み)
上記の供給側流路材において、無作為に選択した10箇所について厚みを測定し、その平均値を供給側流路材の厚みとすることができる。
供給側流路材を薄くすれば、供給気体の膜面流速が高まり分離膜表面の流れが乱れる。その結果、濃度分極層が薄くなり気体分離膜モジュールの分離性能が向上するため好ましい。また、供給気体を流れ方向に移動させやすくなり、拡散しやすい気体であっても偏流の発生を抑制することができる。しかし過度に供給側流路材を薄くすると、供給側流路材の強度が低下し破断や欠陥が発生しかねない。そこで供給側流路材の厚みは、0.01〜0.25mmが好ましく、0.02〜0.11mmがさらに好ましい。
(高膜面積化)
上述したように、本発明の気体分離膜モジュールが備える供給側流路材は、薄い形態において供給気体の膜面流速を高めながら低流動抵抗性を有する。そのため供給側流路材を薄くして気体分離膜モジュールの空間を創出し、その空間に分離膜を充填して気体分離膜モジュールの膜面積を増大させた構成においても、流動抵抗増加の影響が軽微であり、膜面積増大による気体透過性の向上が可能となる。
(材料)
供給側流路材を成型又は成形するための材料としては、成型又は成形性の観点から熱可塑性樹脂が好ましく、分離膜の損傷を抑制する観点から、ポリエステル、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ乳酸、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂又はUV硬化性樹脂がより好ましい。
(分離膜との摩擦)
供給側流路材は不織布であるため、表面および裏面には空隙が存在している。そのため、分離膜と積層した際に分離膜と接する領域が少なくなり、巻囲しても供給側流路材の摩擦による分離膜機能層の破壊を抑制することができる。
(供給気体の流動制御壁)
なお、供給側流路材には気体の流動を制御するような曲線、直線状の壁を設けても良い。また、壁は分離膜モジュールが運転される圧力や温度、供給側気体の種類に応じて劣化しないものであれば素材は限定されない。
<分離膜端部の封止>
供給側流路材を挟んだ分離膜の端部同士は、適宜封止されるが、その「封止」の方法としては、例えば、接着剤若しくはホットメルト等による接着、加熱若しくはレーザ等による融着又は、ゴム製シートを挟みこむ方法が挙げられるが、簡便な接着による封止が好ましい。
<透過側流路材>
本発明の気体分離膜モジュールは、透過側流路材を備える。透過側流路材としては、例えば、トリコット、不織布、突起物を固着させた多孔性シート、又は、凹凸成形し穿孔加工を施したフィルム等が挙げられる。また、透過側流路材として機能する突起物を、分離膜の表面に固着させても構わない。
そして本発明中の透過側流路材について、透過側流路材が不織布を含み、かつ透過側流路材中の不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側と直交方向に配向するように配置されることが好ましい。このようにすることで、供給側流路材の場合と同様に、気体の流れを妨げにくくなり、繊維が無作為に配向されている場合に比べて流動抵抗を低減できる。つまり透過側流路材が不織布を含み、かつ透過側流路材中の不織布に含まれる繊維を中心管の長手方向側と直交する方向に配向するように配置することで、透過気体の流量が多量になる場合や、流路材を薄型化した場合でも流動抵抗の上昇を抑制することができる。
(透過側流路材AおよびB)
本発明中の透過側流路材は、中心管に接着された透過側流路材Aと、透過側流路材Aに接着された透過側流路材Bを含み、透過側流路材Aの破断張力が、透過側流路材Bの破断張力よりも大きいことが好ましい。以下では、このような態様の透過側流路材の詳細を記す。
気体分離膜モジュールの製造においては、中心管に透過側流路材のうちの1枚の端部を接着により固定し、その上に分離膜、供給側流路材および他の透過側流路材を重ねた状態で、弛みが生じないように、中心管に固定された透過側流路材に対して、中心管の径方向外側に向かって張力を付加しながら、これらの部材を巻囲する。このように、中心管に固定された透過側流路材には、他の透過側流路材、分離膜および供給側流路材による重力方向への荷重と、巻囲方向外側への荷重が同時に付加される。 そしてこのように負荷のかかる透過側流路材として、15kgf/300mm以上の破断張力を持つ透過側流路材Aを適用することで、破断およびシワの発生を低減することができる。一方で、巻囲時の負荷に対して大きな反発力が生じると、巻囲張力を高める必要があるため、透過側流路材Aにおいてクラックが生じる場合がある。また巻囲張力を高めながら巻囲することで、流路材が屈曲したまま巻囲を続けることになり、気体分離膜モジュール断面の真円度が低下してベッセルへの装填が困難になる。透過側流路材Aの破断張力が100kgf/300mm以下であることで、このような不具合の発生が抑制される。つまり、透過側流路材Aの破断張力は15kgf/300mm以上100kgf/300mm以下が好ましく、15kgf/300mm以上30kgf/300mm以下がさらに好ましい。
また、巻囲時に分離膜を支持する透過側流路材の剛性が巻囲性に影響するため、透過側流路材Bの破断張力を透過側流路材Aよりも低くすることで、破断張力が高い透過側流路材Aを用いても分離膜、供給側および透過側流路材の積層体全体の強度を低減し、巻囲に対する反発力を抑えることができる。そのため、透過側流路材が中心管に接着された透過側流路材Aと透過側流路材Aに接着された透過側流路材Bを含む態様の場合には、透過側流路材Aの破断張力が、透過側流路材Bの破断張力よりも大きいことが好ましい。そして透過側流路材Bについて、より具体的には、透過側流路材Bの破断張力を2kgf/300mm以上10kgf/300mm以下、好ましくは5kgf/300mm以上10kgf/300mm以下にすることで、破断やシワ、ずれ、真円度の低下を抑制することができる。
なお、図2には気体分離膜モジュールに含まれる透過側流路材Bが4枚の場合を図示しているが、その枚数は限定されない。
また、上記の理由から透過側流路材Aとしては平織メッシュや凹凸シート(突起物を固着させた多孔性シート、又は、凹凸成形し穿孔加工を施したフィルム等)が好ましく、透過側流路材Bとしては不織布が好ましい。
(透過気体の流動制御壁)
透過側流路材にも供給側流路材と同様に、気体の流動を制御するような曲線、直線状の壁を設けても良い。また、壁は気体分離膜モジュールが運転される圧力や温度、供給側気体の種類に応じて劣化しないものであれば素材は限定されない。
<中心管>
中心管の形態としては、上述のとおり円筒状を適用することができ、外周には気体が通過できる孔を単数または複数有する。また、中心管の内部に仕切り壁を設け、端部から供給された気体がもう一方の端部に移動できず、外周に設けられた孔を通過する構成としても良い。
<分離膜>
本実施形態において、分離膜は、基材と、基材上の多孔性支持層と、多孔性支持層上の分離機能層とを備える。ただし、基材は必須の要素ではなく、分離膜は少なくとも多孔質支持層と分離機能層とを備えればよい。
(基材)
基材としては、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等が挙げられる。中でも、機械的、熱的に安定性の高いポリエステル系重合体の布帛が特に好ましい。布帛の形態としては、長繊維不織布や短繊維不織布、さらには織編物を好ましく用いることができる。ここで、長繊維不織布とは、平均繊維長300mm以上、かつ平均繊維径3〜30μmの不織布のことを指す。
基材は、通気量が0.5cc/cm/sec以上5.0cc/cm/secであることが好ましい。基材の通気量が上記範囲内にあることにより、多孔性支持層をとなる高分子溶液が基材に含浸するため、基材との接着性が向上し、微多孔性支持膜の物理的安定性を高めることができる。
基材の厚みは10〜200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30〜120μmの範囲内である。なお、本書において、特に付記しない限り、厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。すなわち、基材および多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
(多孔性支持層)
多孔性支持層は、実質的にガスの分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。多孔性支持層の孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような多孔性支持層が好ましいが、使用する材料やその形状は特に限定されない。
多孔性支持層は、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、およびポリフェニレンオキシドなどのホモポリマー並びにコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含有する。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなどが挙げられ、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。多孔性支持層は、ポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーを含有することが好ましい。多孔性支持層は、より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンを含有する。これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドが特に好ましい。
基材と多孔性支持層の厚みは、分離膜の強度およびそれをモジュールにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、基材と多孔性支持層の厚みの合計が、30μm以上300μm以下であることが好ましく、100μm以上220μm以下であるとより好ましい。また、多孔性支持層の厚みは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、本書において、特に付記しない限り、厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。すなわち、基材と多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した、20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
本発明に使用する多孔性支持層は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造することができる。
(分離機能層)
分離機能層は、多官能性アミンと多官能性酸ハロゲン化物との重縮合反応で得られたポリアミドを主成分とする薄膜を有することが好ましい。言い換えると、分離機能層は、架橋ポリアミドを主成分として含有する。具体的には、分離機能層において、架橋ポリアミドが占める割合は50重量%以上、70重量%以上または90重量%以上であり、分離機能層は、架橋ポリアミドのみで構成されていてもよい。分離機能層が架橋ポリアミドを50%以上含むことにより、高性能な膜性能を発現しやすい。この架橋ポリアミドは、全芳香族ポリアミドでも、全脂肪族ポリアミドでも、芳香族部分と脂肪族部分を併せ持っていてもよいが、より高い性能を発現するためには、全芳香族であることが好ましい。
また、多官能性アミンとは、具体的には多官能芳香族アミンまたは多官能脂肪族アミンであり、多官能性酸ハロゲン化物とは、多官能芳香族酸ハロゲン化物または多官能脂肪族酸ハロゲン化物である。また、重縮合反応とは、界面重縮合である。
ここで、多官能アミン及び多官能酸ハロゲン化物の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
また、分離機能層の厚みは、十分な分離性能およびガス透過度を得るために、通常0.01〜1μmの範囲内、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲内である。本発明における分離機能層を、以下、ポリアミド分離機能層とも記載する。
複合半透膜を構成する架橋ポリアミド機能層は、末端アミノ基の数をA、末端カルボキシ基の数をB、アミド基の数をCとしたとき、
(A+B)/C≦0.66
を満たすことが好ましい。
アミノ基とカルボキシ基は二酸化炭素との親和性が強い官能基であることが知られており、ポリアミド中にこうした官能基の占める割合が小さくなることで一酸化炭素、二酸化炭素との親和性が小さくなり、水素やヘリウムといった軽ガスの透過度を低下させることなく一酸化炭素、二酸化炭素の透過度のみが低下し、軽ガス/一酸化炭素、軽ガス/二酸化炭素の分離選択性が向上する。
また、ポリアミド中のアミド基の占める割合が大きくなることで、ポリアミド中の架橋の度合いが向上し、孔径が小さくなり、水素やヘリウムといった軽ガスに比べサイズの大きな窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、亜硫酸ガス、炭化水素類の透過度が低下し、軽ガス/窒素、軽ガス/一酸化炭素、軽ガス/二酸化炭素、軽ガス/炭化水素、軽ガス/硫化水素、軽ガス/亜硫酸ガスの分離選択性が向上する。ここで、ガスの分子サイズは、水素<二酸化炭素<一酸化炭素=窒素<硫黄分(硫化水素、亜硫酸ガス)であり、分子サイズの大きいガスほど分離し易く、例えば、水素/二酸化炭素の分離選択性よりも、水素/窒素、水素/一酸化炭素、水素/炭化水素、水素/硫化水素、水素/亜硫酸ガスの分離選択性は高くなる傾向にある。
ここで末端アミノ基の数A、末端カルボキシ基の数B、アミド基の数Cの比は、分離機能層の13C固体NMR測定より求めることができる。具体的には、分離膜5mから基材を剥離し、ポリアミド分離機能層と多孔性支持層を得た後、多孔性支持層を溶解・除去し、ポリアミド分離機能層を得る。得られたポリアミド分離機能層をDD/MAS−13C固体NMR法により測定を行い、各官能基の炭素ピークまたは各官能基が結合している炭素ピークの積分値の比較から各官能基の数比を算出することができる。
本書において、「多官能芳香族アミン」とは、一分子中に第一級アミノ基及び第二級アミノ基のうち少なくとも一方のアミノ基を2個以上有し、かつ、アミノ基のうち少なくとも1つは第一級アミノ基である芳香族アミンを意味し、「多官能脂肪族アミン」とは、一分子中に第一級アミノ基及び第二級アミノ基のうち少なくとも一方のアミノ基を2個以上有しする脂肪族アミンを意味する。
例えば、多官能芳香族アミンは、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、o−ジアミノピリジン、m−ジアミノピリジン、p−ジアミノピリジン等の2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係で芳香環に結合した多官能芳香族アミン;1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2,4−ジアミノチオアニソール、1,3−ジアミノチオアニソール、1,3−ジアミノ−5−(ジメチルホスフィノ)ベンゼン、(3,5−ジアミノフェニル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,4−ジアミノフェニル)ジメチルホスフィンオキシド、1,3−ジアミノ−5−(メチルスルホニル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(メチルスルホニル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ニトロソベンゼン、1,3−ジアミノ−4−ニトロソベンゼン、1,3−ジアミノ−5−(ヒドロキシアミノ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(ヒドロキシアミノ)ベンゼンなどの多官能芳香族アミンや、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,4−ジメチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジンなどの多官能脂肪族アミンが挙げられる。これらの多官能アミンは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、多官能性カルボン酸誘導体とも表され、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリド、オキサリルクロリドなどを挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
さらに分離機能層はニトロ基を有していてもよい。前記官能基はポリアミドの形成反応時にモノマーが有していても、ポリアミドを形成した後に化学変換により導入してもよいが、モノマーの入手のしやすさや取扱の簡便さからポリアミドに後から化学的作用を加える方法が好ましい。
さらに、複合半透膜を構成する架橋芳香族ポリアミド機能層は、芳香族環に結合するフッ素原子を有し、X線光電子分光法(XPS)により分析した際、炭素原子数に対するフッ素原子数が0.1〜2%の範囲にある、を満たすことが好ましい。フッ素原子が結合する芳香族環は、ポリアミドを形成するモノマーのうち、芳香族アミン由来でもよいし、酸ハロゲン化物由来であってもよい。
ポリアミドは凝集性が高く、凝集性が低い水素やヘリウムなどの軽ガスの溶解性が低いが、芳香族環状にフッ素が導入されることでポリアミドの凝集性が低下し、軽ガスの溶解性が向上することで、軽ガス/窒素の分離選択性が向上する。
本書において、「多官能芳香族アミン」とは、一分子中に第一級アミノ基及び第二級アミノ基のうち少なくとも一方のアミノ基を2個以上有し、かつ、アミノ基のうち少なくとも1つは第一級アミノ基である芳香族アミンを意味する。
例えば、多官能芳香族アミンは、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、o−ジアミノピリジン、m−ジアミノピリジン、p−ジアミノピリジン等の2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係で芳香環に結合した多官能芳香族アミン;1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2,4−ジアミノチオアニソール、1,3−ジアミノチオアニソール、1,3−ジアミノ−5−(ジメチルホスフィノ)ベンゼン、(3,5−ジアミノフェニル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,4−ジアミノフェニル)ジメチルホスフィンオキシド、1,3−ジアミノ−5−(メチルスルホニル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(メチルスルホニル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ニトロソベンゼン、1,3−ジアミノ−4−ニトロソベンゼン、1,3−ジアミノ−5−(ヒドロキシアミノ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(ヒドロキシアミノ)ベンゼンなどの多官能芳香族アミンなどが挙げられる。これらの多官能芳香族アミンは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
多官能芳香族酸ハロゲン化物とは、多官能性芳香族カルボン酸誘導体とも表され、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する芳香族酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどを挙げることができる。多官能芳香族アミンとの反応性を考慮すると、多官能芳香族酸ハロゲン化物は多官能芳香族酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能芳香族酸ハロゲン化物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、後述するように、架橋芳香族ポリアミドは、単官能性芳香族酸ハロゲン化物に由来する部分を有していてもよい。多官能性酸ハロゲン化物のうち重縮合における結合に寄与する官能基を除いた部分である。
さらに、架橋芳香族ポリアミドは、芳香族環に結合したフッ素を有する。フッ素が結合する芳香族環は、アミン由来であってもよいし、酸ハロゲン化物由来であってもよい。
<ガス分離方法>
本発明の気体分離膜モジュールは、水素、ヘリウムなどの軽ガスを選択的に透過して濃度を高くするガス分離方法に利用することができる。つまり、本発明における水素またはヘリウムを含むガスの製造方法は、
(1) 本発明の気体分離膜モジュールの分離膜の一方の面に、水素またはヘリウムを有する軽ガスを含む混合ガスを供給する工程、及び
(2) 工程(1)の後、分離膜の他方の面から前記混合ガスよりも軽ガス濃度の高いガスを得る工程を含む。
ここで、工程(2)の分離膜の他方の面から前記混合ガスよりも軽ガス濃度の高いガスを得る工程は、分離膜モジュールに対して−0.1MPaG以上10MPaG以下の圧力を加えて混合ガスよりも軽ガス濃度の高いガスを得たり、200℃以下の温度範囲内で昇温することで、混合ガスよりも軽ガス濃度の高いガスを得る工程が含まれる。以下、この本発明の水素またはヘリウムを含むガスの製造方法について説明する。
分離膜を透過したガス、つまり軽ガス濃度の高いガスは「透過ガス」と呼ばれ、分離膜を透過せずに分離膜の上記一方の面に残ったガスは「濃縮ガス」と呼ばれる。
本発明のガス分離方法においては、上述したスパイラル型気体分離膜モジュールを用いることができる。また、本発明のガス分離方法においては、圧力容器と、直列または並列に接続され、上記圧力容器に収容されたスパイラル型の気体分離膜モジュール
本発明の気体分離膜モジュールに混合ガスを供給し、透過ガスと濃縮ガスに分離することによって、供給ガスから特定のガスを分離することができる。このとき、供給ガスをコンプレッサーにより昇圧して分離膜やそのモジュールに供給してもよいし、分離膜やそのモジュールの透過側をポンプで減圧してもよい。さらに、上記のモジュールを複数段にわたって配置しガス分離を行ってもよい。複数段のモジュールを使用する際は、後段のモジュールには前段モジュールの濃縮ガス、透過ガスのいずれを供給してもよい。また、後段のモジュールの濃縮ガスあるいは透過ガスを、前段のモジュールの供給ガスと混合してもよい。透過ガスや濃縮ガスを後段のモジュールに供給する際、これをコンプレッサーで加圧してもよい。
ガスの供給圧力は特に限定されないが、0.1MPa〜20MPaが好ましい。0.1MPa以上とすることでガスの透過速度が大きくなり、10MPa以下とすることで分離膜やそのモジュール部材が圧力変形することを防ぐことができる。「供給側の圧力/透過側の圧力」の値も特に限定されないが、2〜20が好ましい。「供給側の圧力/透過側の圧力」の値を2以上にすることでガスの透過速度を大きくすることができ、20以下とすることで、供給側のコンプレッサー、または透過側のポンプの動力費を抑制することができる。
ガスの供給温度は特に限定されないが、0℃〜200℃が好ましく、25℃〜180℃がより好ましい。温度を25℃以上とすることで良好なガス透過性が得られ、180℃以下とすることでモジュール部材が熱変形することを防ぐことができる。上記分離膜をもちいれば、80℃以上、90℃以上、または100℃以上の温度でガスを供給することが可能である。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(供給側および透過側流路材)
下記の不織布を用いた。詳細な仕様を表1に示した。
G2200−1S(東レ社製)
M2028−8T(東レ社製)
M2060−5S(東レ社製)
05TH―12H(廣瀬製紙社製)
(供給側および透過側流路材の厚み)
デジマチックインジケータ(ミツトヨ社製 品番547−301)を用いて、無作為に選択した30箇所について厚みを測定し、その平均値を厚みとした。
(透過側流路材の破断張力)
透過側流路材を幅300mmおよび長さ1200mmにカットし、両端をそれぞれ中心管に両面テープ(ニチバン社製ナイスタックNW−20)を用いて取り付けた。一方の中心管を両端固定し、他方の中心管には中空部にPPロープを通した状態で結び目を設け、その結び目に標準型メカニカルフォースゲージ(イマダ社製、PS−100N)を設置した。そして、水平方向に透過側流路材Aを引っ張り、破断した際の張力を標準型メカニカルフォースゲージで測定した。
(気体分離膜モジュールの作製)
抄紙法で製造されたポリエステル繊維からなる不織布(通気度1.0cc/cm/秒)上に、ポリスルホンの15質量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を室温(25℃)、塗布厚み190μmでキャストした後、直ちに純水中に5分間浸漬することによって、基材である不織布上に多孔性支持体を形成した。
次に、2−エチルピペラジンが5.0質量%、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが500ppm、リン酸3ナトリウムが2.0質量%になるように溶解した水溶液に、多孔性支持体を形成した基材を10秒間浸漬した後、エアーノズルから窒素を吹き付けて、余分な水溶液を除去した。続いて70℃に加温した0.2質量%のトリメシン酸クロリドを含むn−デカン溶液を、多孔性支持体の表面に均一塗布し、60℃の膜面温度で3秒間保持した後に、膜面温度を10℃まで冷却し、この温度を維持したまま空気雰囲気下で1分間放置し、分離機能層を形成した。得られた複合半透膜を垂直に保持して液切りし、60℃の純水で2分間洗浄して、分離膜を得た。
得られた分離膜を幅300mmに裁断し、25℃の温室下で風乾後、2000mmの長さに裁断して半分に折り畳んだ。次に、折り畳まれた分離膜に挟まれるように、表1に示す供給側流路材を配置する構成とした。さらに、供給側流路材が配置されたのとは逆側の分離膜の面に、透過側流路材を配置し、透過側流路材の端部3辺に接着剤を塗布し、これらの積層物である分離膜ユニット(リーフ数:3枚)を、ABS樹脂製集水管(幅:300mm、径:17mm、孔数80個×直線2列)にスパイラル状に巻囲した。その後、得られたモジュールに、接圧ローラーにて10kg/300mmの荷重を付加しながら50回転させ、最後に、両端のエッジカットを行い、端板を装着するモジュールの両端にテープを巻き付け、その領域の直径を2.5インチに調整して気体分離膜モジュールを作製した。
(抵抗上昇度)
気体分離膜モジュールの両端に端板を取り付け、圧力容器(ROPV社製 R2514B300E)に収納し、供給気体として窒素ガスを温度25℃にて3L/minで供給し、5分後に供給側の入口圧力と透過側出口の圧力差を測定し抵抗Aとした。続いて、供給側流路の乱流強度を高めるため流量を10L/minに変更し、5分後に供給側の入口圧力と透過側出口の圧力差を測定して抵抗Bとした。そして抵抗Aに対する抵抗Bの比率(抵抗B/抵抗A)を算出し抵抗上昇度とした。数値が1に近いほど、乱流強度が高い状態でも流動抵抗が低いと言える。
(実施例1)
気体分離膜モジュールを評価したところ、結果は表1のとおりであった。なお、流路材の繊維配向方向が中心管の長手方向側の場合には長手方向、中心管の長手方向側と直交方向の場合は直交方向と表1に示した。また、透過側流路材が1種類の場合には、表1中の透過側流路材Aの欄に詳細を示した。
Figure 2021006341
なお、表中の「長手方向」とは、不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側に配向するように配置されていることを意味し、「直交方向」とは、不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側と直交する方向に配向するように配置されていることを意味する。
(実施例2〜5)
供給側および透過側流路材を表1のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、気体分離膜モジュールを作製した。得られた気体分離膜モジュールを評価したところ、結果は表1のとおりであった。透過側流路材として配置した不織布の繊維の配向方向が中心管の長手方向側と直交方向であるため、手動巻囲時も不織布の反発が抑止され巻囲性が向上していた。
(実施例5)
供給側および透過側流路材を表1のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、気体分離膜モジュールを作製した。つまり、透過側流路材として、中心管に接着された透過側流路材Aと透過側流路材Aに接着された透過側流路材Bを用いた気体分離膜モジュールを作製した。得られた気体分離膜モジュールを評価したところ、結果は表1のとおりであった。なお、透過側流路材を、透過側流路材Aと透過側流路材Bの2種類から構成される態様としたことで、実施例3〜5に比較して巻囲性が安定し、手動巻囲においても速やかに巻囲作業を行えた。
(比較例1〜3)
供給側および透過側流路材を表1のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、気体分離膜モジュールを作製した。
得られた気体分離膜モジュールを評価したところ、結果は表1のとおりであった。
比較例1〜3では、供給側に配置した不織布の繊維の配向方向が、中心管の長手方向側と直交方向して供給気体の流れを妨げ、抵抗上昇度は大きくなった。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜6における気体分離膜モジュールは、流動抵抗と乱流強度のバランスを良好といえる。
本発明の気体分離膜モジュールは、混合気体の分離等に好適に用いることができる。
1 分離膜
2 供給側流路材
3 透過側流路材
3A 透過側流路材A
3B 透過側流路材B
6 中心管
100 気体分離膜モジュール
201 供給気体
202 透過気体
203 濃縮気体

Claims (6)

  1. 中心管と、
    供給側の面および透過側の面を有し、供給側の面同士が向かい合い、かつ透過側の面同士が向かい合うように配置された複数の分離膜と、
    前記供給側の面の間に配置された供給側流路材と、
    前記透過側の面の間に配置された透過側流路材と、
    を備え、
    前記分離膜、供給側流路材および透過側流路材は、前記中心管の周囲に巻囲され、
    前記供給側流路材は不織布であり、かつ前記不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側に配向するように配置される気体分離膜モジュール。
  2. 前記透過側流路材は不織布を含み、かつ前記透過側流路材中の不織布に含まれる繊維が中心管の長手方向側と直交方向に配向するように配置される請求項1に記載の気体分離膜モジュール。
  3. 前記透過側流路材は、前記中心管に接着された透過側流路材Aと、透過側流路材Aに接着された透過側流路材Bを含み、
    前記透過側流路材Aの破断張力が、前記透過側流路材Bの破断張力よりも大きい請求項1または2に記載の気体分離膜モジュール。
  4. 前記供給側流路材の厚みが0.01〜0.25mmである
    請求項1〜3に記載の気体分離膜モジュール。
  5. 前記分離膜は、基材、前記基材上に配置された多孔質支持層、および前記多孔質支持層上に配置された分離機能層を有し、
    前記分離機能層が架橋ポリアミドを含有する
    請求項1〜4のいずれかに記載の気体分離膜モジュール。
  6. 以下の工程1及び2を、この順に有する、水素またはヘリウムを含むガスの製造方法。
    工程1:請求項1〜5のいずれかに記載の気体分離膜モジュールの前記分離膜の一方の面に、水素またはヘリウムを有する軽ガスを含む混合ガスを供給する工程。
    工程2:工程1の後、前記分離膜の他方の面から前記混合ガスよりも軽ガス濃度の高いガスを得る工程。
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