JP2022014436A - 分離膜モジュール、及び水素の製造方法 - Google Patents

分離膜モジュール、及び水素の製造方法 Download PDF

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水野耀介
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Abstract

【課題】供給流体の流れを立体的に制御し、流体の乱れ性を高めた分離膜モジュールを提供すること。【解決手段】本発明は、中心管、分離膜、透過側流路材、及び複数の凸部を有する分離膜モジュールであって、上記凸部は、上記分離膜の供給側の面上に存在し、上記凸部は、高さの異なる複数の凸部を有する、分離膜モジュールを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、気体や液体を選択分離する分離膜モジュールに関する。
水処理や気体分離のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大してきている。分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に処理される被処理流体(供給流体)を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることにより、1個の分離膜エレメントあたりの膜面積が大きくなるように、すなわち1個の分離膜エレメントあたりに得られる透過流体の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型および平膜集積型などの各種の形状の分離膜エレメントが提案されている。
それらの中でも、スパイラル型の分離膜エレメントが広く用いられている。スパイラル型の分離膜エレメントは、中心管と、その中心管の周囲に巻き付けられた積層体とを備えている。積層体は、供給流体を分離膜表面に供給する供給側流路材、供給流体に含まれる成分を分離する分離膜、および分離膜を透過し供給流体から分離された透過側流体を中心管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成されている。スパイラル型の分離膜エレメントは、供給流体に圧力を付与することができるので、透過流体を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
スパイラル型の分離膜エレメントでは、一般的に、供給側流体の流路を形成させるために、供給側流路材として、主に高分子化合物製のネットが使用されている。また、分離膜として、複合型の分離膜が用いられている。複合型の分離膜は、供給側から透過側に積層された、ポリアミドなどの架橋高分子化合物からなる分離機能層(多孔性支持層)、ポリスルホンなどの高分子化合物からなる多孔性樹脂層、およびポリエチレンテレフタレートなどの高分子化合物からなる不織布の基材を備えている。また、透過側流路材としては、分離膜の落ち込みを防き、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔の細かいトリコットと呼ばれる編み物部材が使用されている。
また、近年、分離コストの低減への要求の高まりから、分離膜エレメントの高性能化が求められている。例えば、分離膜エレメントの分離性能の向上および単位時間あたりの透過流体量を増加させるため、流路材等の分離膜エレメント部材の性能向上が提案されている。
具体的には、流路材として、分離膜の供給側面に固着させるドット流路材や、流線形状のベーン流路材が提案されている(特許文献1~3参照)。
米国公開2004-0011723 国際公開2008-089578 国際公開2010-098803
しかしながら、従来の流路材を含む分離膜モジュールでは、流動抵抗と流体の偏流抑制のバランスが不十分であり、分離膜の性能をモジュールで十分に発揮できない問題があった。
そこで本発明は、供給流体の流れを立体的に制御し、流体の乱れを促進させる流路材を含む分離膜モジュールを提供することを課題とする。
上記目的を達成するための本発明は、以下である。
(1) 中心管、分離膜、透過側流路材、及び複数の凸部を有する分離膜モジュールであって、
前記凸部は、前記分離膜の供給側の面上に存在し、
上記凸部は、高さの異なる複数の凸部を有する、分離膜モジュール。
(2) 前記凸部は、前記分離膜の供給側の面上に固着している、(1)に記載の分離膜モジュール。
(3) 流体の流れ方向から前記凸部を見たときに、最大高さを有する凸部の高さを100%、高さが0%を超えて50%以下の凸部を低凸部、高さが50%を超えて100%以下の凸部を高凸部とすると、
前記凸部は、低凸部及び高凸部を有し、
前記高凸部に対する前記低凸部の数の比率が、0.3以上2.0以下である、(1)または(2)に記載の分離膜モジュール。
(4) 前記高凸部の幅に対する高さの比が、0.8以上2.0以下である、(3)に記載の分離膜モジュール。
(5) 流体の流れ方向から前記凸部を見たときに、前記凸部は、幅の異なる複数の凸部を有する、(1)~(4)のいずれかに記載の分離膜モジュール。
(6) 流体の流れ方向から前記凸部を見たときに、最大幅を有する凸部の幅を100%、幅が0%を超えて50%以下の凸部を狭幅凸部、幅が50%を超えて100%以下の凸部を広幅凸部とすると、
前記凸部は、狭幅凸部及び広幅凸部を有し、
前記狭幅凸部に対する前記広幅凸部の数の比率が、0.1以上0.8以下である、(5)に記載の分離膜モジュール。
(7) 以下の工程1及び2を、この順に有する、水素の製造方法。
工程1:水素を含んだガスを、(1)~(6)のいずれかに記載の分離膜モジュールに供給する工程。
工程2:上記分離膜モジュールに対して圧力を加える工程。
(8) 2種以上の流体から少なくとも1種の成分を富化する流体分離システムであって、
前記流体分離システムは分離膜ユニットを備え、
前記流体分離膜ユニットは(1)~(6)のいずれかに記載の分離膜モジュールを備え
前記流体分離膜ユニットは、供給流体の入口(以下、入口、という)、透過流体の排出口(以下、透過出口、という)、及び濃縮気体の排出口(以下、濃縮出口、という)を備え、
前記入口は、供給流体管を備え、
前記透過出口は、透過流体排出管を備え、
前記濃縮出口は、濃縮流体排出管を備え、
前記透過流体排出管又は前記濃縮流体排出管は分岐部を有し、前記分岐部を有する管よりも上流に位置する管は合流部を有し、前記分岐部及び前記合流部が分岐管により連結していることを特徴とする、流体分離システム。
本発明によって、分離膜モジュールの圧力容器への装填性を改善することができる。
本発明の分離膜モジュールの一つの形態を示す一部展開斜視図である。 本発明の流路材の一つの形態を示す断面図である。 本発明の実施例1、3および4における流路材の形態を示す平面図である。 本発明の実施例5における流路材の形態を示す平面図である。 本発明の実施例6における流路材の形態を示す平面図である。 本発明の実施例2、7~10における流路材の形態を示す平面図である。 本発明の実施例11における流路材の形態を示す平面図である。 本発明の実施例12における流路材の形態を示す平面図である。 本発明の実施例13における流路材の形態を示す平面図である。 本発明の流体分離システムの形態を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<分離膜モジュール>
本発明の分離膜モジュールは、中心管、分離膜、透過側流路材、及び複数の凸部を有する。以下、これについて説明する。
図1に示すように、分離膜モジュール(100)は、中心管(6)と、中心管(6)の周囲に巻囲された分離膜リーフおよび透過側流路材(3)を備える。図1に示すx軸の方向が中心管(6)の長手方向であり、かつ流体の流れ方向である。またy軸の方向が中心管の長手方向と垂直な方向である。
中心管(6)は、後述の透過流体が排出されるように少なくとも下流側の端部が開口している中空状の(円筒形の)部材である。複数の分離膜モジュール100が連結される場合は、両端が開口している中心管が採用される。中心管6の側面(円筒形状における側面)には複数の孔が設けられている。
分離膜リーフは、供給側の面および透過側の面を有し、供給側の面が互いに向かい合い、かつ透過側が互いに向かい合うように配置された複数の分離膜(1)と、分離膜(1)の供給側の面上に存在する凸部(2)とを有する。本発明においては、複数の凸部が、分離膜の供給側の面上に存在することによって、その凸部が供給側流路材として機能する。そのため以下、分離膜の供給側の面上に存在する複数の凸部のことを、供給側流路材とも記す。なお、例えば1枚の分離膜が、透過側または供給側の面を内側にして折りたたまれ、それが中心管の周囲に巻囲されている場合も、「複数の分離膜」が設けられている場合に含める。
さらに分離膜(1)の透過側の面の間には透過側流路材が配置され、分離膜リーフと共に巻囲されることで分離膜モジュール(100)が形成される。
分離膜モジュール(100)の一方の端面からは、供給流体(201)が供給される。供給流体(201)は、分離膜モジュール(100)の中心管(6)の長手方向を分離されながら移動し、分離膜を透過した透過流体(202)は中心管(6)側面の孔から中心管(6)内部をとおり、その端部から排出される。また、ろ過されなかった供給流体は、濃縮流体(203)として、分離膜モジュール(100)の他方の端面から排出される。
なお、図1以外の態様の分離膜モジュールにおいても、本発明の分離膜モジュールが備える透過側流路材を適用することができる。
<供給側流路材>
(高凸部および低凸部)
本発明の分離膜モジュールは、供給側流路材を備える。本発明において、供給側流路材とは、分離膜の供給側の面上に存在する複数の凸部である。そして凸部は、高さの異なる複数の凸部を有する。凸部の個数は、複数でありさえすれば特に限定されず、供給流体の組成に応じて変更できるが、流動抵抗と流れを乱す強度の観点から、供給側の膜面積100mmあたり1~150個で設けることが好ましい。
凸部は、分離膜の供給側の面上に存在しさえすれば良いが、供給流体が流れる際に押し出され膜を傷つけることを防止するため、凸部は分離膜の供給側の面上に固着していることが好ましい。
凸部を分離膜の供給側の面に存在させる方法としては、例えば、エンボス加工やインプリント成形のように分離膜を変形させて凹凸を設ける方法や、樹脂や金属を分離膜の供給側の面上に配置する方法が挙げられる。そして凸部を分離膜の供給側の面上に固着させる方法としては、分離膜とは異なる素材を、分離膜の供給側の面に配置し、接着や熱融着などで一体化させること方法をあげることができる。より具体的には、溶融樹脂や金属を配置して冷却固化させる方法が挙げられる。
分離膜面への濃度分極や供給流体中の汚れの付着を抑制するため、複数の凸部は、高さが異なる凸部を設け、供給流体の流れを平面方向だけでなく、高さ方向にも移動させて流れを乱すことが好ましい。なお後述するように、凸部の高さとは、流体の流れ方向から凸部を見たときの高さ、つまり縦方向の長さである。これは、図2でいうz軸方向に平行な方向である。
高さが異なる凸部について、より具体的には、流体の流れ方向から凸部を見たときに、最大高さを有する凸部の高さを100%とすると、高さが0%を超えて50%以下の凸部である低凸部、及び、高さが50%を超えて100%以下の凸部である高凸部の両方を有すると、高凸部で流路の高さを確保し、低凸部で高さ方向に流れを乱すことができるために好ましい。高さ方向の流れが乱されすぎると流動抵抗も増大し分離性能が低下する恐れがあるが、高凸部の数に対する低凸部の数を適切にすることで流動抵抗と流れの乱れのバランスを両立できることから、高凸部に対する低凸部の数の比率(つまり、「低凸部の数」/「高凸部の数」)は、0.3以上2.0以下であることが好ましく、1.3以上2.0以下であることが特に好ましい。
また、流路の高さを形成する高凸部は幅が狭いほど流路拡大つながるため、流動抵抗の低減に有効である。そのため、高凸部の幅に対する高さ(つまり、高凸部の幅に対する高凸部の高さの比率(「高凸部の高さ」/「高凸部の幅」))は0.8以上2.0以下が好ましく、1.2以上2.0以下が特に好ましい。なお後述するように、凸部の幅とは、流体の流れ方向から凸部を見たときの幅、つまり横方向の長さである。これは、図2でいうy軸方向に平行な方向である。
(広幅凸部および狭幅凸部)
供給流体の平面方向の流れを乱すため、流体の流れ方向から凸部を見たときに、凸部は、幅の異なる複数の凸部を有してもよい。流体の流れ方向から凸部を見たときに、最大幅を有する凸部の幅を100%とすると、幅が0%を超えて50%以下の凸部である狭幅凸部、及び、幅が50%を超えて100%以下の凸部である広幅凸部の両方を有すると、供給流体の平面方向の流れが乱され偏流抑制のために好ましい。ただし高さ方向の流れと同様、平面方向においても流れが乱され過ぎると抵抗が高くなる傾向にあるため、狭幅凸部に対する広幅凸部の数の比率(つまり、「広幅凸部の数」/「狭幅凸部の数」)は0.1以上0.8以下が好ましく、0.3以上0.8以下が特に好ましい。
(厚み)
図2は、流体の流れ方向から凸部を見たときの断面図である。流体の流れ方向から凸部を見たときとは、x軸方向に沿って凸部を見たときと言い換えることもできる。そして図2に示す高さ「H」とは凸部の高さであり、供給側流路材(凸部)のz軸方向の「厚み」と言い換え可能であり、また分離膜1の表面と、凸部2の頂部との高低差として測定される。なお、図2のように、断面が三角形や楕円などのような略長方形でない場合は、流体の流れ方向から凸部を見たときに、z軸方向に平行な最も長い長さが高さHとなる。
凸部の厚みは、処理する流体によって好ましい範囲が異なるが、気体分離の目的で用いる場合は、薄型であることが好ましい。モジュール作製のために曲げなど変形を加えた場合は、流路材に応力が発生し破壊されやすくなるため、薄型化して曲げに対する剛性を適切に低減しておくことが重要となるためである。このような理由から、分離膜モジュールを気体分離の目的で用いる場合、凸部の厚みは0.6mm以下が好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。
一方、液体分離の目的で用いる場合では、気体に比べて粘性や密度が高いため、厚みを増して流動抵抗を低減することが重要である。よって、分離膜モジュールを液体分離の目的で用いる場合、凸部の厚みは0.2mm以上1.5mm以下が好ましく、0.3mm以上1.0mm以下がさらに好ましく、0.5mm以上0.9mm以下が特に好ましい。
(幅および長さ)
幅「W」とは凸部の幅であり、供給側流路材(凸部)のy軸方向の長さと言い換え可能である。なお、分離膜1を流れる供給流体の流れ方向の凸部2の長さを「長さL」という。例えば、図2に示すように、流体の流れ方向から凸部2を見たとき、短径が凸部の幅Wである。また図2には示されていないが奥行きに相当する長さが凸部の長さLである。
なお、図2のように、断面が略長方形でなく、例えば三角形や楕円などの場合は、流体の流れ方向から凸部を見たときに、y軸方向に平行な最も長い長さが凸部の幅Wとなる。凸部の長さLについても同様である。
<透過側流路材>
透過側流路材を挟む分離膜同士の間には、透過側流路材によって透過側の流路が形成される。透過側流路材の材料としては限定されず、トリコットや不織布、突起物を固着させた多孔性シート、凹凸成形し、穿孔加工を施したフィルム、凹凸不織布を用いることができる。また、透過側流路材として機能する突起物を分離膜の透過側に固着させてもよい。
(材料)
供給側流路材および透過側流路材を構成する材料としては、成型又は成形性の観点から熱可塑性樹脂が好ましく、分離膜の損傷を抑制する観点から、ポリエステル、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ乳酸、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、又はUV硬化性樹脂がより好ましい。
(供給および透過気体の流動制御壁)
流路材には供給気体や透過気体の流動を制御するような曲線、直線状の壁を設けても良い。また、壁は分離膜モジュールが運転される圧力や温度、供給側気体の種類に応じて劣化しないものであれば素材は限定されない。
<分離膜端部の封止>
供給側流路材を挟んだ分離膜の端部同士は、適宜封止されるが、その「封止」の方法としては、例えば、接着剤若しくはホットメルト等による接着、加熱若しくはレーザ等による融着又は、ゴム製シートを挟みこむ方法が挙げられるが、簡便な接着による封止が好ましい。
<高膜面積化>
供給側流路材や透過側流路材を薄くすることにより、分離膜モジュール中に空間を創出することができ、その空間中に分離膜を充填して、分離膜モジュールの膜面積を増大させることができる。特に本発明の流路材のように、流動抵抗を低減させることで、流路材を薄型化しても流動抵抗増加の影響が軽微であり、膜面積増大による気体透過性の向上が可能となる。
<中心管>
中心管の形態としては、上述のとおり円筒状を適用することができ、外周には気体が通過できる孔を単数または複数有する。また、中心管の内部に仕切り壁を設け、端部から供給された気体がもう一方の端部に移動できず、外周に設けられた孔を通過する構成としても良い。
<分離膜>
分離膜は特に限定されるものではないが、本発明において分離膜は、基材と、基材上の多孔性支持層と、多孔性支持層上の分離機能層を有することが好ましい。ただし、基材は必須の要素ではなく、分離膜は少なくとも多孔質支持層と分離機能層とを備えればよい。
(基材)
分離膜として、基材、基材上の多孔性支持層、及び、多孔性支持層上の分離機能層を有する態様の分離膜を用いる場合、その基材としては、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等を含む基材が挙げられる。中でも基材としては、機械的、熱的に安定性の高いポリエステル系重合体の布帛が特に好ましい。基材として用いる布帛の形態としては、長繊維不織布や短繊維不織布、さらには織編物を好ましく用いることができる。ここで、長繊維不織布とは、平均繊維長300mm以上、かつ平均繊維径3~30μmの不織布のことを指す。
基材は、通気量が0.5cc/cm/sec以上5.0cc/cm/secであることが好ましい。基材の通気量が上記範囲内にあることにより、多孔性支持層をとなる高分子溶液が基材に含浸するため、基材との接着性が向上し、微多孔性支持膜の物理的安定性を高めることができる。
基材の厚みは10~200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30~120μmの範囲内である。なお、本書において、特に付記しない限り、厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。すなわち、基材および多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
(多孔性支持層)
多孔性支持層は、実質的にガスの分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。多孔性支持層の孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような多孔性支持層が好ましいが、使用する材料やその形状は特に限定されない。
多孔性支持層は、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンを含有する。これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドが特に好ましい。
基材と多孔性支持層の厚みは、分離膜の強度およびそれをモジュールにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、基材と多孔性支持層の厚みの合計が、30μm以上300μm以下であることが好ましく、100μm以上220μm以下であるとより好ましい。また、多孔性支持層の厚みは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、本書において、特に付記しない限り、厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。すなわち、基材と多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した、20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
本発明に使用する多孔性支持層は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造することができる。
(分離機能層)
分離機能層は、特に限定されないが、ポリアミドを含む分離機能層であることが好ましい。ここでポリアミドとは、多官能性アミンと多官能性酸ハロゲン化物との重縮合反応で得られた化合物である。そしてポリアミドを含む分離機能層は、ポリアミドを主成分とすることが好ましい。ここで主成分とは、分離機能層の全成分の合計100重量%において、ポリアミドが占める割合は50重量%以上、70重量%以上、または90重量%以上であり、分離機能層は、ポリアミドのみで構成されていてもよい。分離機能層がポリアミドを50%以上含むことにより、高性能な膜性能を発現しやすい。このポリアミドは、全芳香族ポリアミドでも、全脂肪族ポリアミドでも、芳香族部分と脂肪族部分を併せ持っていてもよいが、より高い性能を発現するためには、全芳香族であることが好ましい。
また、分離機能層の厚みは、十分な分離性能およびガス透過度を得るために、通常0.01~1μmの範囲内、好ましくは0.1~0.5μmの範囲内である。本発明においては、ポリアミドを含む分離機能層のことを、以下、ポリアミド分離機能層とも記載する。
分離膜を構成するポリアミド分離機能層中のポリアミドは、末端アミノ基の数をA、末端カルボキシ基の数をB、アミド基の数をCとしたとき、
(A+B)/C≦0.66
を満たすことが好ましい。
アミノ基とカルボキシ基は二酸化炭素との親和性が強い官能基であることが知られており、ポリアミド中にこうした官能基の占める割合が小さくなることで一酸化炭素、二酸化炭素との親和性が小さくなり、水素やヘリウムといった軽ガスの透過度を低下させることなく一酸化炭素、二酸化炭素の透過度のみが低下し、軽ガス/一酸化炭素、軽ガス/二酸化炭素の分離選択性が向上する。
また、ポリアミド中のアミド基の占める割合が大きくなることで、ポリアミド中の架橋の度合いが向上し、孔径が小さくなり、水素やヘリウムといった軽ガスに比べサイズの大きな窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、亜硫酸ガス、炭化水素類の透過度が低下し、軽ガス/窒素、軽ガス/一酸化炭素、軽ガス/二酸化炭素、軽ガス/炭化水素、軽ガス/硫化水素、軽ガス/亜硫酸ガスの分離選択性が向上する。ここで、ガスの分子サイズは、水素<二酸化炭素<一酸化炭素=窒素<硫黄分(硫化水素、亜硫酸ガス)であり、分子サイズの大きいガスほど分離し易く、例えば、水素/二酸化炭素の分離選択性よりも、水素/窒素、水素/一酸化炭素、水素/炭化水素、水素/硫化水素、水素/亜硫酸ガスの分離選択性は高くなる傾向にある。
さらに、ポリアミドは、芳香族環に結合したフッ素を有する。フッ素が結合する芳香族環は、アミン由来であってもよいし、酸ハロゲン化物由来であってもよい。
<流体分離システム>
続いて、本発明の流体分離システムについて説明する。なお本項で述べる流体とは、外力によって変形できる液体や気体を意味する。そのため本明細書においては、気体及び液体を包含する言葉として流体という用語を用いており、気体分離膜や液体分離膜、気体分離モジュールや液体分離モジュールなどの用語は、それぞれ流体分離膜、流体分離モジュールの一例として記している。
本発明の流体分離システムは、2種以上の流体から少なくとも1種の成分を富化する流体分離システムであって、前記流体分離システムは分離膜ユニットを備え、前記分離膜ユニットは本発明の分離膜モジュールを備え、前記分離膜ユニットは、供給流体の入口(以下、入口、という)、透過流体の排出口(以下、透過出口、という)、及び濃縮流体の排出口(以下、濃縮出口、という)を備え、前記入口は、供給流体管を備え、前記透過出口は、透過流体排出管を備え、前記濃縮出口は、濃縮流体排出管を備え、前記透過流体排出管又は前記濃縮流体排出管は分岐部を有し、前記分岐部を有する管よりも上流に位置する管は合流部を有し、前記分岐部及び前記合流部が分岐管により連結していることを特徴とする。以下、このような本発明の流体分離システムについて、図を用いて説明する。
本発明の分離膜モジュールは、一本あるいは複数本を並列または直列に配列して分離膜ユニットとすることができる。
図10に示すように、分離膜ユニット(301)は、供給流体の入口(11)、透過流体の排出口(透過出口)(12)、及び濃縮流体の排出口(濃縮出口)(13)を備え、入口(11)は、供給流体管(4)を備える。また、透過出口(12)は透過流体排出管(51)を備え、濃縮出口(13)は、濃縮流体排出管(61)を備える。
さらに、透過流体排出管(51)又は濃縮流体排出管(61)は分岐部(9)を有し、分岐部を有する管(透過流体排出管(51)又は濃縮流体排出管)よりも上流に位置する管である供給流体管(4)は合流部(10)を有し、分岐部(9)及び合流部(10)が分岐管(7)により連結している。分岐管(7)は流れてくる流体を異なる方向へ分岐する配管であり、合流部(10)は、分岐部(9)から分岐管(7)を流れてきた流体と、供給流体管(4)に流れている流体が合流する配管である。合流部(10)は、流体を効率良く混合させる混合器を備えていても良い。
分離膜ユニット(301)から排出された流体は、分岐部(9)から分岐管(7)を通じて合流部(10)に到達する循環流と、目的成分として回収される回収流に分断される。循環流を設けることで、循環流が供給される分離膜ユニットにおいて、分離膜に透過させたい成分が高濃度化し、ろ過に影響する分圧が高まるため透過が促進される。この操作を分離膜ユニットにおける流体濃度が平衡になるまで繰り返すことで、分離膜ユニットにおける選択分離性をさらに高め、流体分離システム(300)として冨化される成分を高回収率かつ高純度で得ることができる。
なお、図10では分離膜ユニットが1つの場合について詳述したが、上述した本発明の分離膜システムにおいては、分離膜ユニットを複数連結して運転してもよい。
<気体分離方法>
本発明の分離膜モジュールは、水素、ヘリウムなどの軽気体を選択的に透過して濃度を高くする気体分離方法に利用することができる。つまり、本発明における気体分離方法は、
(1)分離膜の一方の面に軽気体を含む混合気体を供給する工程、および
(2)(1)工程の後、分離膜の他方の面から前記混合気体よりも軽気体濃度の高い気体を得る工程を含む。
分離膜を透過した気体、つまり軽気体濃度の高い気体は「透過気体」と呼ばれ、分離膜を透過せずに分離膜の上記一方の面に残った気体は「濃縮気体」と呼ばれる。
本発明の気体分離方法においては、上述したスパイラル型分離膜モジュールを用いることができる。また、本発明の気体分離方法においては、圧力容器と、直列または並列に接続され、上記圧力容器に収容されたスパイラル型の分離膜モジュール
本発明の分離膜モジュールに混合気体を供給し、透過気体と濃縮気体に分離することによって、供給気体から特定の気体を分離することができる。このとき、供給気体をコンプレッサーにより昇圧して分離膜やそのモジュールに供給してもよいし、分離膜やそのモジュールの透過側をポンプで減圧してもよい。さらに、上記のモジュールを複数段にわたって配置し気体分離を行ってもよい。複数段のモジュールを使用する際は、後段のモジュールには前段モジュールの濃縮気体、透過気体のいずれを供給してもよい。また、後段のモジュールの濃縮気体あるいは透過気体を、前段のモジュールの供給気体と混合してもよい。透過気体や濃縮気体を後段のモジュールに供給する際、これをコンプレッサーで加圧してもよい。
気体の供給圧力は特に限定されないが、0.1MPa~2.5MPaが好ましい。0.1MPa以上とすることで気体の透過速度が大きくなり、2.5MPa以下とすることで分離膜やそのモジュール部材が圧力変形することを防ぐことができる。「供給側の圧力/透過側の圧力」の値も特に限定されないが、2~20が好ましい。「供給側の圧力/透過側の圧力」の値を2以上にすることで気体の透過速度を大きくすることができ、20以下とすることで、供給側のコンプレッサー、または透過側のポンプの動力費を抑制することができる。
気体の供給温度は特に限定されないが、0℃~200℃が好ましく、25℃~180℃がより好ましい。温度を25℃以上とすることで良好な気体透過性が得られ、180℃以下とすることでモジュール部材が熱変形することを防ぐことができる。
特に本発明の分離膜モジュールは、工程1および工程2を、この順に有する、水素の製造方法に用いることが好ましい。
工程1:水素を含んだ気体を、本発明の分離膜モジュールに供給する工程。
工程2:分離膜モジュールに対して圧力を加える工程。
なおこの水素の製造方法における各工程の詳細は、気体分離方法として上述したとおりである。つまり工程1では、天然ガスなどの水素を含む気体を、配管を通して分離膜モジュールに供給する。水素を含む気体の供給温度は、0℃~200℃程度が好ましい。また工程2では、気体分離方法として上述したように、分離膜モジュールに対して、0℃~200℃の水素を含む供給気体を、圧力が0.1MPa~2.5MPaとなるように供給し濾過を行う。
<液体分離方法>
分離膜モジュールは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることにより、分離膜モジュールとして使用される。
また、上記の分離膜モジュール、および分離膜モジュールは、それらに液体を供給するポンプや、その液体を前処理する装置などと組み合わせて、液体分離装置を構成することができる。この液体分離装置を用いることにより、例えば、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
液体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、分離膜モジュールの供給流路と透過流路の保持性を考慮すると、分離膜モジュールに被処理水を透過する際の操作圧力は、0.5MPa以上10MPa以下であることが好ましい。原水温度が高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、原水温度は5℃以上45℃以下であることが好ましい。また、原水のpHが中性領域にある場合、原水が海水などの高塩濃度の液体であっても、マグネシウムなどのスケールの発生が抑制され、また、膜の劣化も抑制される。
分離膜モジュールによって処理される液体は、水処理に使用する場合、原水としては、海水、かん水、および排水等の500mg/L以上100g/L以下のTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるが、1Lを1kgと見なして「質量比」で表されることもある。定義によれば、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を39.5℃以上40.5℃以下の温度で蒸発させ残留物の質量から算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(流体分離膜の作製)
抄紙法で製造されたポリエステル繊維からなる不織布(通気度1.0cc/cm/秒)上に、ポリスルホンの15質量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を室温(25℃)、塗布厚み190μmでキャストした後、直ちに純水中に5分間浸漬することによって、基材である不織布上に多孔性支持層を形成した。
次に、2-エチルピペラジンが5.0質量%、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが500ppm、リン酸3ナトリウムが2.0質量%になるように溶解した水溶液に、多孔性支持層を形成した基材を10秒間浸漬した後、エアーノズルから窒素を吹き付けて、余分な水溶液を除去した。続いて70℃に加温した0.2質量%のトリメシン酸クロリドを含むn-デカン溶液を、多孔性支持体の表面に均一塗布し、60℃の膜面温度で3秒間保持した後に、膜面温度を10℃まで冷却し、この温度を維持したまま空気雰囲気下で1分間放置し、分離機能層(ポリアミド膜)を形成した。得られた分離膜を垂直に保持して液切りし、60℃の純水で2分間洗浄して分離膜を得た。
(液体分離膜の作製)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度0.80g/cm)上にポリスルホンの15.5質量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる、多孔性支持層(厚さ0.13mm)を作製した。
その後、多孔性支持層ロールを巻き出し、m-PDAの2重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.13重量%を含むn-デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に、膜から余分な溶液を除去するために膜を1分間垂直に保持して液切りした。その後、90℃の熱水で2分間洗浄して分離膜(ポリアミド膜)を得た。
このように得られた分離膜を、分離膜エレメントでの有効面積が0.5mとなるように折り畳み断裁加工し、ネット(厚み:0.5mm、ピッチ:3mm×3mm、繊維径:250μm、投影面積比:0.25)を供給側流路材として、表1に示す1枚のリーフを作製した。
(凸部の形成)
卓上型ロボットディスペンサー(武蔵エンジニアリング製、SHOTMASTER500ΩX)を用いて、分離膜の供給側の面に、樹脂温度110℃のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:701A)を表1および2の通りドット状に塗布して凸部を形成させた。
(凸部の高さ、幅、長さ)
分離膜の供給側の面を100mm×100mmに切り取り、存在する凸部の断面を切り出し、キーエンス社製高精度形状測定システムKS-1100を用いて、凸部の高さや幅、長さを測定した。同様にして100mm×100mmのサンプルを無作為に20カ所切り出し、測定を行った。得られた測定値から、高凸部、低凸部、広幅凸部、狭幅凸部に分類し、個数を数え上げ、数の比率を求めた。ここで高凸部については、高凸部でありかつ広幅凸部、高凸部でありかつ狭幅凸部、の二つに分類でき、低凸部についても、低凸部でありかつ広幅凸部、低凸部でありかつ狭幅凸部、に分類できる。
なお、分類した高凸部、低凸部、広幅凸部、狭幅凸部の高さや長さ、幅についてはそれらの平均値とした。ここで平均の求め方は、全ての凸部についての平均を求めたのではなく、高凸部に分類される凸部の中で、高さ、長さ、幅の平均値を求め、低凸部に分類される凸部の中で、高さ、長さ、幅の平均値を求め、広幅凸部に分類される凸部の中で、高さ、長さ、幅の平均値を求め、狭幅凸部に分類される凸部の中で、高さ、長さ、幅の平均値を求めることで、高凸部、低凸部、広幅凸部、及び、狭幅凸部のそれぞれについて、高さ、長さ、幅の平均値を求めた。
(気体分離膜モジュールの作製)
表1に示す形状の高凸部および低凸部を図3のように、風乾した気体分離膜の供給側の面に配置し、幅300mmに裁断した後、25℃の温室下で風乾後に折り畳み、折り畳まれた分離膜に挟んだ。さらに、凸部が配置されたのとは逆側の分離膜の面に、透過側流路材としてトリコット(厚み:220μm、溝幅:200μm、畦幅:300μm、溝深さ:105μm)を配置し、透過側流路材の端部3辺に接着剤を塗布し、これらの積層物である分離膜ユニット(リーフ数:3枚)を、ABS樹脂製集水管(幅:300mm、径:17mm、孔数80個×直線2列)にスパイラル状に巻囲し、直径2.5インチの分離膜モジュールを作製した。
(液体分離膜モジュールの作製)
分離膜を湿潤状態の液体分離膜としたこと以外は気体分離膜モジュールと同様の方法で作製した。
(気体分離膜の水素/窒素選択性)
25℃の温室下で風乾した分離膜を直径17mmの棒状物に3周巻き付け、24時間保持した。その後、分離膜を引き延ばして有効膜面積25cmの円形に切り取り、供給側と透過側の2つのチャンバに隔てられた透過セルに取り付け、水素40モル%、窒素60モル%を含む供給気体を圧力0.1MPa、温度25℃、100mL/minにて供給した。また、透過側にはスイープガスであるアルゴンを圧力0.1MPa、温度25℃で供給した。運転から30分間運転した後に、TCD(熱伝導度検出器)を有するガスクロマトグラフィーへ透過気体(つまり水素および窒素の混合気体)とスイープガスとの混合気体を送り、この混合気体における透過気体の濃度を分析し、水素および窒素の透過度を算出した。また、水素透過度を窒素透過度で除して、水素/窒素選択性を算出した。
(気体分離膜モジュールの水素/窒素選択性)
気体分離膜モジュールを圧力容器に収納し、水素40モル%、窒素60モル%を含む供給気体を30L/min、温度25℃で分離膜モジュールに供給しながら、圧力0.1MPaでろ過を行った。得られた透過気体を分離膜(ポリアミド膜)と同様の方法で分析し、気体分離膜モジュールの水素/窒素選択性を算出した。
(選択性比)
上述した気体分離膜の水素/窒素選択性に対する、気体分離膜モジュールまたは流体分離システムの水素/窒素選択性を算出し選択性比とした。すなわち、算出した値が1に近いほど供給気体が乱され偏流が抑制された分離膜モジュールである。
(液体分離膜モジュールの洗浄性)
分離膜モジュール圧力容器に収納して、1000ppm食塩水を原水として、運転圧力0.41MPa、温度25℃、回収率10%の条件下で、原水を循環しながら30分間運転した後に、1分間透過水を採取し、造水量Aを測定した。
造水量Aの測定に引き続いて、スキムミルク(森永乳業社製;森永スキムミルク)が15質量%の濃度になるように調製したRO水溶液を原水として、運転圧力0.41MPa、温度25℃、原水流量2.3L/分の条件下で、原水を循環しながら24時間運転した。
次に原水をRO水に変更し、運転圧力0.41MPa、温度25℃、原水流量2.5L/分の条件下で、濃縮水を排出しながら1時間運転した。
その後、運転圧力0.41MPa、温度25℃、回収率10%の条件下で、原水を循環しながら30分間運転した後に、1分間透過水を採取し、造水量Bを測定した。
測定された造水量Aに対する造水量Bの百分率の値(造水量B/造水量A×100)を算出し、洗浄性の評価指標とした。
(実施例1)
気体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表のとおりであった。
Figure 2022014436000002
Figure 2022014436000003
(実施例2)
凸部の形態を表のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、気体分離膜モジュールを作製した。気体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。
(実施例3~13)
分離膜を液体分離膜とし、凸部の形態を表のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして液体分離膜モジュールを作製した。液体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表のとおりであった。
(実施例14)
分離膜ユニットとして実施例1の気体分離膜モジュールを用い、図10に示す流体分離システムとして透過気体循環量を、透過気体量の50%としたこと以外は全て実施例1と同様にして運転した。流体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果を表の通りであった。
(比較例1)
凸部の形態を表2のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、気体分離膜モジュールを作製した。気体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表2のとおりであった。すなわち凸部の高さが均一で高さ方向の流れの乱れが不十分であり選択性比が悪化した。
(比較例2)
凸部の形態を表のとおりに変更した以外は全て実施例3と同様にして、液体分離膜モジュールを作製した。液体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表2のとおりであった。比較例1と同様、凸部の高さが均一で高さ方向の流れの乱れが不十分であるため洗浄性が悪化した。
表1および表2に示す結果から明らかなように、実施例1~13における分離膜モジュールは、供給流体の乱れ性に優れているといえる。
本発明の分離膜モジュールは、液体や分離の分離等に好適に用いることができる。
1 分離膜
11 供給流体の入口(入口1)
12 透過流体の排出口(透過出口1)
13 濃縮流体の排出口(濃縮出口1)
2 供給側流路材(凸部)
21 高凸部
22 低凸部
23 広幅凸部
3 透過側流路材
4 供給流体管
51 透過流体排出管
6 中心管
61 濃縮流体排出管
7 分岐管
9 分岐部
10 合流部
100 分離膜モジュール
201 供給流体
202 透過流体
203 濃縮流体
H 凸部の高さ
W 凸部の幅
300 流体分離システム
301 分離膜ユニット

Claims (8)

  1. 中心管、分離膜、透過側流路材、及び複数の凸部を有する分離膜モジュールであって、
    前記凸部は、前記分離膜の供給側の面上に存在し、
    前記凸部は、高さの異なる複数の凸部を有する、分離膜モジュール。
  2. 前記凸部は、前記分離膜の供給側の面上に固着している、請求項1に記載の分離膜モジュール。
  3. 流体の流れ方向から前記凸部を見たときに、最大高さを有する凸部の高さを100%、高さが0%を超えて50%以下の凸部を低凸部、高さが50%を超えて100%以下の凸部を高凸部とすると、
    前記凸部は、低凸部及び高凸部を有し、
    前記高凸部に対する前記低凸部の数の比率が、0.3以上2.0以下である、請求項1または2に記載の分離膜モジュール。
  4. 前記高凸部の幅に対する高さの比が、0.8以上2.0以下である、請求項3に記載の分離膜モジュール。
  5. 流体の流れ方向から前記凸部を見たときに、前記凸部は、幅の異なる複数の凸部を有する、請求項1~4のいずれかに記載の分離膜モジュール。
  6. 流体の流れ方向から前記凸部を見たときに、最大幅を有する凸部の幅を100%、幅が0%を超えて50%以下の凸部を狭幅凸部、幅が50%を超えて100%以下の凸部を広幅凸部とすると、
    前記凸部は、狭幅凸部及び広幅凸部を有し、
    前記狭幅凸部に対する前記広幅凸部の数の比率が、0.1以上0.8以下である、請求項5に記載の分離膜モジュール。
  7. 以下の工程1及び2を、この順に有する、水素の製造方法。
    工程1:水素を含んだガスを、請求項1~6のいずれかに記載の分離膜モジュールに供給する工程。
    工程2:前記分離膜モジュールに対して圧力を加える工程。
  8. 2種以上の流体から少なくとも1種の成分を富化する流体分離システムであって、
    前記流体分離システムは分離膜ユニットを備え、
    前記分離膜ユニットは請求項1~6のいずれかに記載の分離膜モジュールを備え
    前記分離膜ユニットは、供給流体の入口(以下、入口、という)、透過流体の排出口(以下、透過出口、という)、及び濃縮流体の排出口(以下、濃縮出口、という)を備え、
    前記入口は、供給流体管を備え、
    前記透過出口は、透過流体排出管を備え、
    前記濃縮出口は、濃縮流体排出管を備え、
    前記透過流体排出管又は前記濃縮流体排出管は分岐部を有し、前記分岐部を有する管よりも上流に位置する管は合流部を有し、前記分岐部及び前記合流部が分岐管により連結していることを特徴とする、流体分離システム。
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