JP2021003959A - 車両のシャフト挿通孔カバー構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】車室外から車室内への騒音の侵入を抑制する。【解決手段】カラー係合部52はステアリングシャフト5の外周に全周に亘って環状に設けられる。カラー30はカラー外周面31とカラー内周面32とを有する環形状であり、カラー内周面32はカラー係合部52と係合する。ロアカバー20は、カラー支持部21とフランジ部22と包囲部23とを有する。カラー支持部21は、カラー外周面31の全周に面接触して密着し、カラー30を固定的に支持する。カラー30は、カラー内周面32とカラー係合部52とが全周に亘って近接又は接触した状態で、ステアリングシャフト5の軸を中心としたカラー係合部52との相対回転が許容され、ステアリングシャフト5の軸方向に沿ったカラー係合部52との相対移動が禁止され、且つステアリングシャフト5の軸方向に対する傾動が許容されるようにカラー係合部52と係合する。【選択図】図2
Description
本開示は、シャフト挿通孔をステアリングシャフトが挿通する車両のシャフト挿通孔カバー構造に関する。
特許文献1には、キャブオーバー型車両におけるステアリング装置が開示されている。ステアリングホイールを上端に備えたステアリングシャフトは、ステアリングコラムにより回動自在に軸支され、そのままフロア下まで延びてステアリングギヤボックスに接続される。ステアリングホイールの操作力がステアリングシャフトを介しステアリングギヤボックスに伝達されて前輪が操舵される。ステアリングシャフトの下側部分は、キャブのチルトやキャブサスペンションの動作を拘束しないよう雌型のロアシャフトに雄型のアッパーシャフトを摺動自在に嵌挿してなるテレスコピック式の伸縮構造として構成されている。ステアリングシャフトの下側部分は、ステアリングシャフトのフロアに対する貫通部を包囲しながら起立するダストカバーによって被覆され、ロアシャフトの下端は、ロアジョイントを介しステアリングギヤボックスに対して屈折自在に接続される。
特許文献1のようにキャブがチルト可能な車両では、ステアリングシャフトがキャブのチルトに伴いロアジョイントを中心に前方へ傾動するので、ステアリングシャフトが挿通するフロア(フロアパネル)のシャフト挿通孔を、ステアリングシャフトの傾動を許容する大きさに形成する必要がある。このため、フロア下方の騒音(エンジン音や走行音など)がステアリングシャフトとシャフト挿通孔との間隙からフロア上方の車室内へ侵入し易い。
そこで本開示は、フロア下方から車室内への騒音の侵入を抑制することが可能なステアリングシャフトのフロアカバー構造の提供を目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、車室を区画するパネルに設けられたシャフト挿通孔をステアリングシャフトが挿通する車両のシャフト挿通孔カバー構造であって、カラー係合部とカラーとロアカバーとを備える。
カラー係合部は、環状であり、ステアリングシャフトの外周に全周に亘って設けられる。カラーは、カラー外周面とカラー内周面とを有する環形状であり、カラー内周面は、カラー係合部と係合する。ロアカバーは、カラー支持部と鍔状のフランジ部と包囲部とを有する。カラー支持部は、カラー外周面の全周に面接触して密着する。フランジ部は、シャフト挿通孔の全周縁の外側でパネルに重なって密閉状に固定される。包囲部は、フランジ部からカラー支持部に向かって漏斗状に縮径して延びてカラー支持部とフランジ部との間を塞ぐ。カラー支持部とフランジ部と包囲部とは、弾性材によって一体形成され、カラー支持部は、カラーを固定的に支持する。カラーは、カラー内周面とカラー係合部とが全周に亘って近接又は接触した状態で、ステアリングシャフトの軸を中心としたカラー係合部との相対回転が許容され、ステアリングシャフトの軸方向に沿ったカラー係合部との相対移動が禁止され、且つステアリングシャフトの軸方向に対する傾動が許容されるようにカラー係合部と係合する。
本発明の第2の態様は、第1の態様のシャフト挿通孔カバー構造であって、カラー係合部は係合凸面を有し、カラー内周面は係合凹面を有する。係合凸面は、ステアリングシャフトの径方向外側へ球面状に膨出する。係合凹面は、係合凸面に対応して湾曲状に凹み、係合凸面と係合する。
上記構成では、カラーのカラー内周面が、ステアリングシャフトの外周に設けられた環状のカラー係合部と全周に亘って近接又は接触し、ロアカバーのカラー支持部がカラーのカラー外周面の全周に面接触して密着し、ロアカバーの鍔状のフランジ部がシャフト挿通孔の全周縁の外側でパネルに重なって密閉状に固定され、ロアカバーの包囲部がカラー支持部とフランジ部との間を塞ぐ。このため、例えば車両のキャブがチルト可能であり、キャブのチルトに伴い基端側のロアジョイントを中心にステアリングシャフトが傾動し、ステアリングシャフトが挿通するパネル(例えばフロアパネル)のシャフト挿通孔がステアリングシャフトの傾動を許容するようにステアリングシャフトの外径に対して大きく形成されている場合であっても、フロア下方の車室外の騒音(エンジン音や走行音など)がステアリングシャフトとシャフト挿通孔との間隙から車室内へ侵入するのをロアカバー及びカラーによって抑制することができる。
カラーとステアリングシャフトとの相対回転が許容されているので、操舵操作の入力に応じたステアリングシャフトの回転がカラーによって阻止されることがなく、ステアリングシャフトを確実に機能させることができる。
キャブのチルト時等のステアリングシャフトの傾動は、ステアリングシャフトの軸方向に対するカラーの傾動と、ロアカバーの包囲部の弾性変形とによって許容される。上記構成では、カラーをステアリングシャフトの軸方向に対して傾動可能としたので、カラーをステアリングシャフトの軸方向に対して傾動不能とした場合に比べて、ロアカバーの変形量を小さく抑えることができる。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様のシャフト挿通孔カバー構造であって、カラー係合部は、ステアリングシャフトの軸方向に沿ってスライド移動可能にステアリングシャフトに支持される。
上記構成では、カラー係合部をステアリングシャフトに対して軸方向に移動可能としたので、カラー係合部をステアリングシャフトに対して軸方向に移動不能とした場合に比べて、ロアカバーの変形量をさらに小さく抑えることができる。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れかの態様のシャフト挿通孔カバー構造であって、ステアリングシャフトは、軸方向にスライド可能に係合する基端側シャフトと先端側シャフトとによって伸縮可能に構成される。カラー係合部は、基端側シャフトの外周に設けられる。カラーには、ステアリングシャフトを車体側に組付ける際に基端側シャフトと先端側シャフトとを繋いでステアリングシャフトの伸縮を防止するワイヤを挿通可能なワイヤ挿通部が、ステアリングシャフトの軸方向に沿って形成される。
上記構成では、車体側へステアリングシャフトを組付ける際には、ワイヤ挿通部にワイヤを挿通し、基端側シャフトと先端側シャフトとをワイヤで繋いでステアリングシャフトの伸縮を防止した状態でステアリングシャフトを車体側へ組付け、ステアリングシャフトの組付け後は、ワイヤを取外してステアリングシャフトを伸縮可能とする。従って、ステアリングシャフトの組付作業を容易に行うことができる。
本発明の第5の態様は、第4の態様のシャフト挿通孔カバー構造であって、ワイヤ挿通部は、ステアリングシャフトの軸方向に貫通するワイヤ挿通孔であり、カラーには、ワイヤ挿通孔を開放可能に閉止する蓋部材が設けられている。
上記構成では、ステアリングシャフトを組付けた後の車両の使用時において、ワイヤ挿通孔を蓋部材によって閉止することができるので、車室外から車室内への騒音の侵入抑制効果を高めることができる。
本発明の第6の態様は、第5の態様のシャフト挿通孔カバー構造であって、蓋部材は、閉方向へ付勢されている。
上記構成では、蓋部材が閉方向へ付勢されているので、ステアリングシャフトを組付けてワイヤを取外した後にワイヤ挿通孔が開放されたまま維持されてしまうのを防止することができ、車室外から車室内への騒音の侵入抑制効果を確実に高めることができる。
本開示によれば、車室外から車室内への騒音の侵入を抑制することができる。
以下、本発明の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図中FRは車両前方を、図中UPは車両上方をそれぞれ示している。また、以下の説明における前後方向は、車両の前後方向を意味し、左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
本実施形態のシャフト挿通孔カバー構造は、例えば車体フレーム(図示省略)の前端部にキャブ1がチルト可能に支持されるキャブオーバトラック(車両)に適用される。キャブ1は、キャブ1の後端側が車体フレームに下方から支持された非チルト位置と、キャブ1の後端側がキャブ1の前端下部を中心として前上方に傾動したチルト位置との間を傾動可能であり、エンジンの整備時等以外の通常時は非チルト位置に保持される。
図1に示すように、キャブ1の車室2の前方及び下方は、ダッシュパネル3及びフロアパネル(パネル)4によって区画され、ステアリングシャフト5は、車室2内からフロアパネル4の下方へ延びる。ステアリングシャフト5は、雄型のロアシャフト(基端側シャフト)6と雌型のアッパシャフト(先端側シャフト)7とを備えたテレスコピック式の伸縮構造を有し、ロアシャフト6の円筒状の上端部が雌型のアッパシャフト7の円筒状の下端部の内側に下方から挿入されて軸方向にスライド可能に係合することにより伸縮可能に構成される。アッパシャフト7は、運転者により操作されるステアリングホイール8を上端に備え、アッパシャフト7の中間部は、ダッシュパネル3に支持されるステアリングコラム(図示省略)によって回転自在に軸支される。ロアシャフト6の中間部は、フロアパネル4に形成されたシャフト挿通孔11(図2参照)を挿通し、ロアシャフト6の下端部は、車体フレームに対して固定的に支持されたステアリングギヤボックス9にロアジョイント10を介して接続される。運転者がステアリングホイール8を操作すると、ステアリングシャフト5が回転し、運転者からの操作力がステアリングシャフト5を介しステアリングギヤボックス9に伝達されて前輪(図示省略)が操舵される。なお、ステアリングシャフト5は、テレスコピック式の伸縮構造以外の構造を有していてもよい。
キャブ1をチルトさせると、アッパシャフト7がロアシャフト6から離れるように前上方へ移動してステアリングシャフト5が伸長するとともに、ロアシャフト6がロアジョイント10を中心として傾動する。図2に示すように、シャフト挿通孔11は、傾動するロアシャフト6と干渉しないように前後方向が長い長孔状に形成されている。
図1及び図2に示すように、ステアリングシャフト5の周囲には、アッパカバー(メインカバー)12及びロアカバー(グロメット)20が設けられる。アッパカバー12は、硬質で筒状のカバー本体13と、ゴム等の弾性材によって形成されたアッパベローズ14とを有する。カバー本体13は、シャフト挿通孔11の周囲のフロアパネル4の上面から起立してステアリングシャフト5(ロアシャフト6の上部及びアッパシャフト7の下部)を包囲する。カバー本体13には、カバー本体13の下端の外周面から突出する鍔状の下端取付部15が一体形成され、下端取付部15がフロアパネル4に固定される。アッパベローズ14は、カバー本体13の上端側を閉止するためにカバー本体13に取付けられる。
図2〜図5に示すように、ロアカバー20は、カラー支持部21とフランジ部22と包囲部23とが弾性材によって一体形成された弾性体であり、カラー支持部21の内側にはカラー30が装着され、カラー30とステアリングシャフト5(ロアシャフト6)との間には筒状体50が介在する。本実施形態では、ロアカバー20のフランジ部22はフロアパネル4の上方(車室2内)に配置され、カラー支持部21及びカラー30はフロアパネル4の下方(車室2外)にシャフト挿通孔11を臨むように配置される。
筒状体50は、ロアシャフト6の外径よりも僅かに大きい内径を有する円筒形状の円筒部51と、円筒部51の軸方向の中間位置で径方向外側へ膨らむカラー係合部52とを一体的に有する。ロアシャフト6は、筒状体50の内径部を挿通し、係る状態で、筒状体50(カラー係合部52)は、ロアシャフト6(ステアリングシャフト5)に対して軸回りに回転可能で、且つ軸方向へスライド移動可能である。カラー係合部52は、ロアシャフト6の外周に全周に亘って環状に設けられ、カラー係合部52の外面は、ロアシャフト6の径方向外側へ球面状に膨出する係合凸面53を構成する(図6(a)参照)。係合凸面53の曲率中心(球面の中心)は、ロアシャフト6の回転軸と略一致する。このように、カラー係合部52は、ステアリングシャフト5の外周に全周に亘って環状に設けられ、ステアリングシャフト5の径方向外側へ球面状に膨出する係合凸面53を有する。
カラー30は、カラー外周面31とカラー内周面32とを有する円環形状であり、直径を分割面とする1対のカラー分割体30A,30Bに分割可能に構成されている(図5参照)。1対のカラー分割体30A,30Bは同形状であり、各カラー分割体30A,30Bの一端面と他端面とには係止突起43と係合穴44とがそれぞれ形成されている。一方のカラー分割体30Aの係止突起43を他方のカラー分割体30Bの係合穴44に係合し、他方のカラー分割体30Bの係止突起43を一方のカラー分割体30Aの係合穴44に係合して、2つのカラー分割体30A,30Bを組合せることにより、円環状のカラー30が構成される。
カラー内周面32は、カラー係合部52の係合凸面53に対応して湾曲状(球面状)に凹んで係合凸面53と係合可能な係合凹面33を有する。カラー内周面32の上端には、上方に向かって漏斗状に拡径する上傾斜面45が係合凹面33の上端から連続して形成され、カラー内周面32の下端には、下方に向かって漏斗状に拡径する下傾斜面46が係合凹部33の下端から連続して形成される。
カラー分割体30A,30Bでカラー係合部52を径方向両側から挟むように係合凹面33を係合凸面53に対向させてカラー分割体30A,30Bを組合せることにより、カラー30が筒状体50に組付けられ、カラー内周面32(係合凹面33)がカラー係合部52(係合凸面53)に係合する。係る係合状態では、カラー内周面32(係合凹面33)とカラー係合部52(係合凸面53)とが全周に亘って近接又は接触し、ステアリングシャフト5の軸(ロアシャフト6の回転軸)を中心としたカラー30とカラー係合部52との相対回転が許容され、ステアリングシャフト5(ロアシャフト6)の軸方向に沿ったカラー30とカラー係合部52との相対移動が禁止され、且つステアリングシャフト5の軸方向に対するカラー30の傾動(球面状の係合凸面53を中心とした傾動)が許容される。係合凹面33の上端及び下端に上傾斜面45及び下傾斜面46を設けているので、ステアリングシャフト5の軸方向に対してカラー30が傾動した際にカラー30が円筒部51と干渉し難くなり、上傾斜面45及び下傾斜面46を設けない場合に比べてカラー30の傾動範囲が拡大する。
カラー外周面31には、内径側へ凹むカラー外周溝34が略全周に亘って形成され、ロアカバー20のカラー支持部21の内周面には、カラー外周溝34に係合するカバー内周突部24が略全周に亘って形成されている。
カラー外周溝34にカバー内周突部24を係合させ、カラー支持部21の外周から環状のバンド部材16を締付けることにより、カラー支持部21が弾性変形し、カラー支持部21の内周面がカラー外周面31の全周に亘って面接触して密着した状態で、カラー30がカラー支持部21に固定的に支持される。なお、カラー30を他の形態によってカラー支持部21に固定的に支持させてもよい。
ロアカバー20のフランジ部22は、シャフト挿通孔11の全周縁の外側でフロアパネル4に上方から重なる鍔状であり、フロアパネル4に対して密閉状に固定される。本実施形態では、シャフト挿通孔11の周縁部のフロアパネル4の上面に、シャフト挿通孔11を露出させる開口穴18を有するシート状のシール材17を重ね、シール材17の上面にロアカバー20のフランジ部22を重ね、フランジ部22の上面にアッパカバー12の下端取付部15を重ね、下端取付部15の複数個所(本実施形態では4箇所)をボルト19及びナット(図示省略)によってフロアパネル4に締結する。これにより、ロアカバー20のフランジ部22がアッパカバー12の下端取付部15とフロアパネル4との間に挟まれた状態で、アッパカバー12及びロアカバー20がフロアパネル4に固定される。フランジ部22の外周縁及びシール材17の外周縁には、ボルト19が挿通する切欠き状のボルト挿通部25,26が形成されている。なお、ロアカバー20を単独でフロアパネル4に固定してもよく、この場合、フランジ部22をフロアパネル4の下面に下方から重ねてもよい。
ロアカバー20の包囲部23は、フランジ部22から下方のカラー支持部21に向かって漏斗状に縮径して延びて、カラー支持部21とフランジ部22との間を塞ぐ。なお、カラー支持部21及びカラー30をフランジ部22及びフロアパネル4の上方に配置してもよい。この場合、包囲部23は、フランジ部22から上方のカラー支持部21に向かって漏斗状に縮径して延びる。
本実施形態では、筒状体50の内周面とステアリングシャフト5の外周面とが近接又は接触した状態で、ステアリングシャフト5が筒状体50の内径部を挿通し、カラー30のカラー内周面32が、筒状体50に設けられた環状のカラー係合部52と全周に亘って近接又は接触し、ロアカバー20のカラー支持部21が、カラー30のカラー外周面31の全周に面接触して密着し、ロアカバー20の鍔状のフランジ部22が、シャフト挿通孔11の全周縁の外側でフロアパネル4に重なって密閉状に固定され、ロアカバー20の包囲部23が、カラー支持部21とフランジ部22との間を塞ぐ。
シャフト挿通孔11は、キャブ1のチルト時等に傾動するロアシャフト6と干渉しないようにロアシャフト6の外径に対して大きな長孔状に形成されているが、ロアシャフト6とシャフト挿通孔11との間隙が上述のようにロアカバー20、カラー30及び筒状体50によって塞がれるので、フロアパネル4の下方の車室外の騒音(エンジン音や走行音など)がロアシャフト6とシャフト挿通孔11との間隙から車室2内へ侵入するのを抑制することができる。
キャブ1のチルト時等のステアリングシャフト5の傾動は、ステアリングシャフト5に対するカラー係合部52(筒状体50)の軸方向の移動と、ステアリングシャフト5の軸方向に対するカラー30の傾動と、ロアカバー20の包囲部23の弾性変形とによって許容される。本実施形態では、カラー係合部52をステアリングシャフト5に対して軸方向に移動可能としたので、カラー係合部52をステアリングシャフト5に対して軸方向に移動不能とした場合に比べて、ロアカバー20の変形量を小さく抑えることができる。また、カラー30をステアリングシャフト5の軸方向に対して傾動可能としたので、カラー30をステアリングシャフト5の軸方向に対して傾動不能とした場合に比べて、ロアカバー20の変形量を小さく抑えることができる。
また、カラー30とステアリングシャフト5との相対回転が許容されているので、操舵操作の入力に応じたステアリングシャフト5の回転がカラー30によって阻止されることがなく、ステアリングシャフト5を確実に機能させることができる。
また、係合凹面33の上端及び下端に上傾斜面45及び下傾斜面46を設けているので、ステアリングシャフト5の軸方向に対してカラー30が傾動した際にカラー30が円筒部51と干渉し難くなり、上傾斜面45及び下傾斜面46を設けない場合に比べてカラー30の傾動範囲を拡大させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態のカラー30にワイヤ挿通孔(ワイヤ挿通部)35を形成したものであり、それ以外は第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7及び図8に示すように、カラー30には、ステアリングシャフト5を車体側に組付ける際にロアシャフト6とアッパシャフト7とを繋いでステアリングシャフト5の伸縮を防止するワイヤWを挿通可能な円形状の2つのワイヤ挿通孔35が、ステアリングシャフト5の軸方向に貫通して形成されている。なお、ワイヤ挿通孔35に代えて、ステアリングシャフト5の軸方向に貫通する溝(ワイヤ挿通部)を、カラー30の外周面に切欠き形成してもよい。また、ワイヤ挿通孔35の数は2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。
車体側へステアリングシャフト5を組付ける際には、ワイヤ挿通孔35にワイヤWを挿通し、ロアシャフト6とアッパシャフト7とをワイヤWで繋いでステアリングシャフト5の伸縮を防止した状態でステアリングシャフト5を車体側へ組付け、ステアリングシャフト5の組付け後は、ワイヤWを取外してステアリングシャフト5を伸縮可能とする。従って、ステアリングシャフト5の組付作業を容易に行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図9を参照して説明する。なお、本実施形態は、第2実施形態のカラー30に蓋部材36を設けたものであり、それ以外は第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
ロアカバー20のカラー支持部21の開口下端で露出するカラー30の下面には、図9(a)及び図9(b)に示すように、ワイヤ挿通孔35を開放可能に閉止する蓋部材36が設けられている。蓋部材36は平板状(図9の例では円板状)であり、ヒンジ軸37を中心として回転自在にカラー30に支持されている。蓋部材36は、強制的な開閉操作時にのみ開閉するように回転し難く構成され、開閉操作後は開位置又は閉位置に保持される。なお、例えば図9(a)に二点鎖線で示すように、蓋部材36に係止片38を突設し、カラー30に2本の係止突起39を離間して突設し、蓋部材36を閉じた際に係止片38が2本の係止突起39の間に進入して係止するなどのように、閉位置で蓋部材36がカラー30に係合するように構成してもよい。また、蓋部材36を、カラー30の上面に設けてもよい。
ステアリングシャフト5を組付けた後の車両の使用時において、ワイヤ挿通孔35を蓋部材36によって閉止することができるので、フロアパネル4の下方から車室2内への騒音の侵入抑制効果を高めることができる。
また、例えば図9(b)に二点鎖線で示すように、蓋部材36を閉方向へ付勢するコイルばね(付勢手段)40をヒンジ軸37に設けてもよい。なお、蓋部材36を閉方向に付勢する手段は、コイルばね40に限定されず、板ばねなどの他の手段であってもよい。
蓋部材36が閉方向へ付勢されているので、ステアリングシャフト5を組付けてワイヤWを取外した後にワイヤ挿通孔35が開放されたまま維持されてしまうのを防止することができ、フロアパネル4の下方から車室2内への騒音の侵入抑制効果を確実に高めることができる。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
例えば、図10及び図11に示すように、ロアカバー20の包囲部23に、ロアシャフト6(図3参照)の傾動に従って変形し易い易変形部41,42を形成してもよい。図10は、波形状に1段折返した易変形部41の例であり、図11は、複段に折返した蛇腹形状の易変形部42の例である。
上記実施形態では、筒状体50に円筒部51とカラー係合部52とを設けたが、円筒部51を省略してもよい。また、カラー係合部52を、ステアリングシャフト5に対して軸回りに回転可能で、且つ軸方向へスライド移動可能としたが、ステアリングシャフト5に対して軸回りに回転不能としてもよく、又は軸方向へスライド移動不能としてもよい。さらに、カラー係合部52をステアリングシャフト5の外周に固定的に設けてもよい。
また、上記実施形態では、チルト可能なキャブオーバトラックのフロアパネル4のシャフト挿通孔11をステアリングシャフト5が挿通する場合について説明したが、車両はチルト可能なキャブオーバトラック以外であってもよく、シャフト挿通孔11はフロアパネル4以外のパネル(例えばダッシュパネル3)に形成されていてもよい。
本発明は、パネルのシャフト挿通孔をステアリングシャフトが挿通する車両に適用可能である。
1:キャブ
2:車室
3:ダッシュパネル
4:フロアパネル(パネル)
5:ステアリングシャフト
6:ロアシャフト(基端側シャフト)
7:アッパシャフト(先端側シャフト)
8:ステアリングホイール
9:ステアリングギヤボックス
10:ロアジョイント
11:シャフト挿通孔
12:アッパカバー
13:カバー本体
14:アッパベローズ
15:下端取付部
16:バンド部材
17:シール材
18:開口穴
19:ボルト
20:ロアカバー
21:カラー支持部
22:フランジ部
23:包囲部
24:カバー内周突部
25,26:ボルト挿通部
30:カラー
30A,30B:カラー分割体
31:カラー外周面
32:カラー内周面
33:係合凹面
34:カラー外周溝
35:ワイヤ挿通孔(ワイヤ挿通部)
36:蓋部材
37:ヒンジ軸
38:係止片
39:係止突起
40:コイルばね(付勢手段)
41,42:易変形部
43:係止突起
44:係合穴
45:上傾斜面
46:下傾斜面
50:筒状体
51:円筒部
52:カラー係合部
53:係合凸面
W:ワイヤ
2:車室
3:ダッシュパネル
4:フロアパネル(パネル)
5:ステアリングシャフト
6:ロアシャフト(基端側シャフト)
7:アッパシャフト(先端側シャフト)
8:ステアリングホイール
9:ステアリングギヤボックス
10:ロアジョイント
11:シャフト挿通孔
12:アッパカバー
13:カバー本体
14:アッパベローズ
15:下端取付部
16:バンド部材
17:シール材
18:開口穴
19:ボルト
20:ロアカバー
21:カラー支持部
22:フランジ部
23:包囲部
24:カバー内周突部
25,26:ボルト挿通部
30:カラー
30A,30B:カラー分割体
31:カラー外周面
32:カラー内周面
33:係合凹面
34:カラー外周溝
35:ワイヤ挿通孔(ワイヤ挿通部)
36:蓋部材
37:ヒンジ軸
38:係止片
39:係止突起
40:コイルばね(付勢手段)
41,42:易変形部
43:係止突起
44:係合穴
45:上傾斜面
46:下傾斜面
50:筒状体
51:円筒部
52:カラー係合部
53:係合凸面
W:ワイヤ
Claims (6)
- 車室を区画するパネルに設けられたシャフト挿通孔をステアリングシャフトが挿通する車両のシャフト挿通孔カバー構造であって、
前記ステアリングシャフトの外周に全周に亘って設けられる環状のカラー係合部と、
カラー外周面とカラー内周面とを有する環形状であり、前記カラー内周面が前記カラー係合部と係合するカラーと、
前記カラー外周面の全周に面接触して密着するカラー支持部と、前記シャフト挿通孔の全周縁の外側で前記パネルに重なって密閉状に固定される鍔状のフランジ部と、前記フランジ部から前記カラー支持部に向かって漏斗状に縮径して延びて前記カラー支持部と前記フランジ部との間を塞ぐ包囲部とを有し、前記カラー支持部と前記フランジ部と前記包囲部とが弾性材によって一体形成され、前記カラー支持部が前記カラーを固定的に支持するロアカバーと、を備え、
前記カラーは、前記カラー内周面と前記カラー係合部とが全周に亘って近接又は接触した状態で、前記ステアリングシャフトの軸を中心とした前記カラー係合部との相対回転が許容され、前記ステアリングシャフトの軸方向に沿った前記カラー係合部との相対移動が禁止され、且つ前記ステアリングシャフトの軸方向に対する傾動が許容されるように前記カラー係合部と係合する
ことを特徴とする車両のシャフト挿通孔カバー構造。 - 請求項1に記載のシャフト挿通孔カバー構造であって、
前記カラー係合部は、前記ステアリングシャフトの径方向外側へ球面状に膨出する係合凸面を有し、
前記カラー内周面は、前記係合凸面に対応して湾曲状に凹んで前記係合凸面と係合する係合凹面を有する
ことを特徴とする車両のシャフト挿通孔カバー構造。 - 請求項1又は請求項2に記載のシャフト挿通孔カバー構造であって、
前記カラー係合部は、前記ステアリングシャフトの軸方向に沿ってスライド移動可能に前記ステアリングシャフトに支持される
ことを特徴とする車両のシャフト挿通孔カバー構造。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載のシャフト挿通孔カバー構造であって、
前記ステアリングシャフトは、軸方向にスライド可能に係合する基端側シャフトと先端側シャフトとによって伸縮可能に構成され、
前記カラー係合部は、前記基端側シャフトの外周に設けられ、
前記カラーには、前記ステアリングシャフトを車体側に組付ける際に前記基端側シャフトと前記先端側シャフトとを繋いで前記ステアリングシャフトの伸縮を防止するワイヤを挿通可能なワイヤ挿通部が、前記ステアリングシャフトの軸方向に沿って形成される
こと特徴とする車両のシャフト挿通孔カバー構造。 - 請求項4に記載のシャフト挿通孔カバー構造であって、
前記ワイヤ挿通部は、前記ステアリングシャフトの軸方向に貫通するワイヤ挿通孔であり、
前記カラーには、前記ワイヤ挿通孔を開放可能に閉止する蓋部材が設けられている
ことを特徴とする車両のシャフト挿通孔カバー構造。 - 請求項5に記載のシャフト挿通孔カバー構造であって、
前記蓋部材は、閉方向へ付勢されている
ことを特徴とする車両のシャフト挿通孔カバー構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019117856A JP2021003959A (ja) | 2019-06-25 | 2019-06-25 | 車両のシャフト挿通孔カバー構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019117856A JP2021003959A (ja) | 2019-06-25 | 2019-06-25 | 車両のシャフト挿通孔カバー構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021003959A true JP2021003959A (ja) | 2021-01-14 |
Family
ID=74099586
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019117856A Pending JP2021003959A (ja) | 2019-06-25 | 2019-06-25 | 車両のシャフト挿通孔カバー構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021003959A (ja) |
-
2019
- 2019-06-25 JP JP2019117856A patent/JP2021003959A/ja active Pending
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