JP2021003914A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ由来のロードノイズを低減するにはキャップトレッドゴムを柔らかくし、バネ特性を低下させる手法がある。しかし、この手法では操縦安定性および乗り心地が悪化する問題点がある。【解決手段】天然ゴムおよびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積が30〜90m2/gのカーボンブラックを50〜90質量部および熱硬化性樹脂を10〜30質量部含み、ジエン系ゴム100質量部中、天然ゴムの配合割合が40質量部以上であるビードフィラー6を有し、キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)と、ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)とが、(M100 cap)×(M100 BF)≦33(MPa)を満たし、(ビードフィラー高さBH)/(タイヤ断面高さSH)が0.2〜0.7である空気入りタイヤ。【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、ロードノイズの低減、操縦安定性および乗り心地の向上を同時に達成し得る空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤは左右一対のビード部およびサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるとともにキャップトレッドとアンダートレッドとからなるトレッド部から主に構成されている。タイヤの内側にはカーカスが設けられ、カーカスの両端部はビードコアをタイヤ内側から外側へ包みこむように折り返されている。
ビード部はビードコアとその外周上の断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラーとを備えてなる。
ビード部はビードコアとその外周上の断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラーとを備えてなる。
ところで、モータを動力源として走行する電気自動車は、内燃機関を動力源として走行する自動車と比較して、車両由来の騒音が大きく低減されている。そのため車両走行におけるノイズ源としてタイヤ由来の騒音(ロードノイズ)がクローズアップされており、さらなるロードノイズの低減が求められている。
ロードノイズを低減するには、例えばキャップトレッドゴム等のタイヤを構成する部材を柔らかくすることによって、タイヤのバネ特性を低下させる手法が知られている。しかし、例えばキャップトレッドゴムのモジュラスが下がると操縦安定性および乗り心地が悪化する問題点があり、ロードノイズの低減し、操縦安定性および乗り心地を向上するのは、当業界では困難な事項であると認識されている。
なお、ロードノイズの低減を図る技術としては、例えば特許文献1〜3に開示がある。
したがって本発明の目的は、ロードノイズの低減、操縦安定性および乗り心地の向上を同時に達成し得る空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、ビードフィラーの組成、キャップトレッドゴムとビードフィラーの100%モジュラスの関係、およびビードフィラー高さとタイヤ断面高さとの関係を特定化することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下の通りである。
すなわち本発明は以下の通りである。
1.タイヤ径方向内側のビード部に設けられたビードフィラーと、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドゴムと、を備える空気入りタイヤにおいて、
前記ビードフィラーは、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gのカーボンブラックを50〜90質量部および熱硬化性樹脂を10〜30質量部含み、かつ前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムの配合割合が40質量部以上であり、
前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)と、前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)とが、(M100 cap)×(M100 BF)≦33(MPa) を満たし、かつ
ビードフィラー高さとタイヤ断面高さの比である(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が、0.2〜0.7である
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
2.前記ビードフィラーの60℃におけるtanδ(60℃)が、0.1以上であることを特徴とする前記1に記載の空気入りタイヤ。
3.前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)が、8.5(MPa)以上であることを特徴とする前記1または2に記載の空気入りタイヤ。
4.前記熱硬化性樹脂が、(A)カシュー変性フェノール樹脂および(B)カルダノール樹脂を含み、前記(B)/(A)(質量比)が0.2〜0.8であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
5.前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)が、1.0〜4.0(MPa)であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
前記ビードフィラーは、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gのカーボンブラックを50〜90質量部および熱硬化性樹脂を10〜30質量部含み、かつ前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムの配合割合が40質量部以上であり、
前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)と、前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)とが、(M100 cap)×(M100 BF)≦33(MPa) を満たし、かつ
ビードフィラー高さとタイヤ断面高さの比である(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が、0.2〜0.7である
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
2.前記ビードフィラーの60℃におけるtanδ(60℃)が、0.1以上であることを特徴とする前記1に記載の空気入りタイヤ。
3.前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)が、8.5(MPa)以上であることを特徴とする前記1または2に記載の空気入りタイヤ。
4.前記熱硬化性樹脂が、(A)カシュー変性フェノール樹脂および(B)カルダノール樹脂を含み、前記(B)/(A)(質量比)が0.2〜0.8であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
5.前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)が、1.0〜4.0(MPa)であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤ径方向内側のビード部に設けられたビードフィラーと、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドゴムと、を備え、前記ビードフィラーは、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gのカーボンブラックを50〜90質量部および熱硬化性樹脂を10〜30質量部含み、かつ前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムの配合割合が40質量部以上であり、前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)と、前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)とが、(M100 cap)×(M100 BF)≦33(MPa)を満たし、かつビードフィラー高さとタイヤ断面高さの比である(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が、0.2〜0.7であることを特徴としているので、ロードノイズの低減、操縦安定性および乗り心地の向上を同時に達成し得る空気入りタイヤを提供することができる。
上述のように、ロードノイズを低減するには、キャップトレッドゴムを柔らかくすることが有効であるが、その反面、キャップトレッドゴムのモジュラスが下がり操縦安定性および乗り心地が低下してしまう。本発明では、ビードフィラーの組成、キャップトレッドゴムとビードフィラーの100%モジュラスの関係、およびビードフィラー高さとタイヤ断面高さとの関係を特定化することにより、キャップトレッドゴムがロードノイズの改善を担い操縦安定性および乗り心地を減じた場合でも、ビードフィラーが操縦安定性および乗り心地を補完する役割を果たし、とくに熱硬化性樹脂の特定量配合により微小変形時の弾性率が上がり、また、(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)を0.2〜0.7に設定することにより、結果としてロードノイズの低減、操縦安定性および乗り心地の向上を同時に高次元に達成し得る空気入りタイヤを提供できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ビードフィラー)
本発明の空気入りタイヤに用いられるビードフィラーは、タイヤ径方向内側のビード部に設けられ、ビードコアの外周上の断面三角形状のゴム組成物からなることができる。タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に直交する方向であり、タイヤ径方向内側とはタイヤ回転軸に近づく方法を指す。
本発明では、ビードフィラーの組成が特定される。すなわち、前記ビードフィラーは、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gのカーボンブラックを50〜90質量部および熱硬化性樹脂を10〜30質量部含み含み、かつ前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムの配合割合が40質量部以上である。
本発明の空気入りタイヤに用いられるビードフィラーは、タイヤ径方向内側のビード部に設けられ、ビードコアの外周上の断面三角形状のゴム組成物からなることができる。タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に直交する方向であり、タイヤ径方向内側とはタイヤ回転軸に近づく方法を指す。
本発明では、ビードフィラーの組成が特定される。すなわち、前記ビードフィラーは、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gのカーボンブラックを50〜90質量部および熱硬化性樹脂を10〜30質量部含み含み、かつ前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムの配合割合が40質量部以上である。
前記カーボンブラックの配合量が50〜90質量部の範囲外である場合、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gの範囲外である場合、前記熱硬化性樹脂の配合量が10〜30質量部の範囲外である場合、前記天然ゴムの割合が40質量部未満の場合、前記(M100 cap)×(M100 BF)が33(MPa)を超える場合、および/または、(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が0.2〜0.7の範囲外である場合は、ロードノイズの低減、操縦安定性および乗り心地の向上を同時に達成することができない。
ここで、本発明の効果向上の観点から、下記の形態が好ましい。
(1)前記カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、60〜80質量部が好ましい。この範囲によれば、さらなる低発熱化および高強度を両立できる。
(2)前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は35〜90m2/gが好ましい。なおカーボンブラックは2種類以上をブレンドして用いてもよい。
(3)前記天然ゴムの割合は、前記ジエン系ゴム100質量部中、50〜90質量部が好ましい。この範囲によれば、操縦安定性および強度がさらに向上する。
(4)前記スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの割合は、前記ジエン系ゴム100質量部中、10〜40質量部が好ましい。
(5)前記熱硬化性樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、12〜28質量部が好ましい。
なお窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K 6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
(1)前記カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、60〜80質量部が好ましい。この範囲によれば、さらなる低発熱化および高強度を両立できる。
(2)前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は35〜90m2/gが好ましい。なおカーボンブラックは2種類以上をブレンドして用いてもよい。
(3)前記天然ゴムの割合は、前記ジエン系ゴム100質量部中、50〜90質量部が好ましい。この範囲によれば、操縦安定性および強度がさらに向上する。
(4)前記スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの割合は、前記ジエン系ゴム100質量部中、10〜40質量部が好ましい。
(5)前記熱硬化性樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、12〜28質量部が好ましい。
なお窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K 6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
本発明で使用されるビードフィラーを構成するゴムは、天然ゴム(NR)およびスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)以外にも、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等を併用することもできる。本発明で使用されるゴムは、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明で使用される熱硬化性樹脂は、とくに制限されないが、(A)カシュー変性フェノール樹脂および(B)カルダノール樹脂を併用する形態が好ましく、前記(B)/(A)の質量比は0.2〜0.8が好ましく、0.25〜0.7がさらに好ましく、0.4〜0.7がとくに好ましい。前記(B)/(A)(質量比)が0.2〜0.8の範囲であることで、未加硫ゴムが硬くなり過ぎず加工性が良好となり、また高温時の弾性率が低下することがない。
また本発明では硬化剤を使用することができ、その種類としてはとくに制限されないが、例えばヘキサメチレンテトラミン、HMMM(ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物)、PMMM(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテルの部分縮合物)、ヘキサエトキシメチルメラミン、パラ−ホルムアルデヒドのポリマー、メラミンのN−メチロール誘導体等が挙げられる。
硬化剤の配合量は、前記熱硬化性樹脂に対し、例えば5〜15質量%が好ましい。
硬化剤の配合量は、前記熱硬化性樹脂に対し、例えば5〜15質量%が好ましい。
また、前記ビードフィラーには、前記した成分に加えて、各種充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛などのビードフィラーに一般的に配合されている各種添加剤を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本発明の空気入りタイヤにおけるキャップトレッドゴムは、空気入りタイヤの接地面を構成するゴムである。
本発明において、キャップトレッドゴムの組成は、下記で説明する(M100 cap)×(M100 BF)の関係を満たすことができれば、とくに制限されず、適宜選択することができる。
例えば、ジエン系ゴム、シリカやカーボンブラック等の各種充填剤、カップリング剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛などのキャップトレッドゴムに一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
例えば、ジエン系ゴム、シリカやカーボンブラック等の各種充填剤、カップリング剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛などのキャップトレッドゴムに一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
また、本発明の空気入りタイヤにおけるその他の部材を構成する部材についても、各成分の配合割合はとくに制限されず、適宜選択することができる。
例えばその他の部材のゴム組成物として、ジエン系ゴム、各種充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛等の一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
例えばその他の部材のゴム組成物として、ジエン系ゴム、各種充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛等の一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
加硫後のキャップトレッドゴムの最大厚み(アンダートレッドとの接触面からタイヤ径方向におけるタイヤ表面までの最大長さ)はとくに制限されないが、例えば2mm〜20mmであり、2mm〜15mmが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)と、前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)とが、下記式を満たすことが必要である。
(M100 cap)×(M100 BF)≦33(MPa)
すなわち、(M100 cap)および(M100 BF)を乗じた値が33(MPa)以下であることにより、上述のように、キャップトレッドゴムがロードノイズの改善を担い操縦安定性および乗り心地を減じた場合でも、ビードフィラーが操縦安定性および乗り心地を補完する役割を果たし、結果としてロードノイズの低減、操縦安定性および乗り心地の向上を同時に達成することができる。
本発明で言う前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)および前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)は、JIS K6251に準拠し、23℃、500mm/分て引張り試験を行い100%伸長時の応力を測定した値(MPa)とする。
前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)および前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)の調整は、例えば可塑剤、充填剤、加硫剤または架橋剤の増減により可能である。
なお本発明の効果が一層向上するという観点から、前記(M100 cap)×(M100 BF)は、30(MPa)以下が好ましく、27(MPa)以下がさらに好ましく、10〜26(MPa)であることがとくに好ましい。
また本発明の効果が一層向上するという観点から、前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)は、例えば8.5(MPa)以上であり、9.5(MPa)以上であることが好ましく、10.5〜13.0(MPa)であることがさらに好ましい。また、前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)は、1.0〜4.0(MPa)が好ましく、2.0〜4.0(MPa)がさらに好ましい。
図1は、空気入りタイヤの子午線断面図である。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはタイヤ径方向に延びる複数本のカーカスコードを含むカーカス4が装架されている。各ビード部3には、環状のビードコア5が埋設されており、そのビードコア5の外周上に断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。そして、カーカス4はビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、複数層のベルト層7がタイヤ全周にわたって埋設されている。これらベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。
また、上記空気入りタイヤにおいて、図1に示すように、ビードフィラー6の高さBHは5mm〜70mmの範囲が好ましい。更には10mm〜65mmの範囲が好ましい。ビードフィラー6の高さBHはタイヤ径方向に沿って測定される高さである。
また本発明において、ビードフィラー高さとタイヤ断面高さの比である(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)は、0.2〜0.7であり、好ましくは0.3〜0.6であり、さらに好ましくは0.3〜0.5である。
タイヤ断面高さSHは、タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填した無負荷状態のタイヤの外径とリム径との差の1/2である。
ここで、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。
タイヤ断面高さSHは、タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填した無負荷状態のタイヤの外径とリム径との差の1/2である。
ここで、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。
(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が前記範囲であることにより、キャップトレッドゴムがロードノイズの改善を担い操縦安定性および乗り心地を減じた場合でも、ビードフィラーが操縦安定性および乗り心地を補完する役割を果たし、結果としてロードノイズの低減、操縦安定性および乗り心地の向上を同時に達成することができる。
また本発明では、ビードフィラーの60℃におけるtanδ(60℃)が、0.1以上であることが好ましく、0.12〜0.30であることがさらに好ましく、0.15〜0.25であることがとくに好ましい。ビードフィラーのtanδ(60℃)が0.30以下であると、転がり抵抗がさらに良化する。0.10未満の場合は、減衰効果が小さくなり乗り心地が悪化することがある。0.10〜0.30の範囲の場合、転がり抵抗と乗り心地の両立できる。
なおビードフィラーのtanδ(60℃)は、下記実施例に記載の方法によって測定される。
なおビードフィラーのtanδ(60℃)は、下記実施例に記載の方法によって測定される。
また本発明の空気入りタイヤは、従来の空気入りタイヤの製造方法に従って製造が可能であり、例えば乗用車用途が好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1〜3および比較例1〜3
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.6リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、各種ビードフィラー(BF)を得た。
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.6リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、各種ビードフィラー(BF)を得た。
一方、キャップトレッドゴムを常法にしたがい調製し、可塑剤もしくは充填剤の量を増減することにより、表1に示す各種硬度を有するキャップトレッドゴム(CAP)を得た。
キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)およびビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)は、JIS K6251に準拠し、23℃、500mm/分にて引張り試験を行い100%伸長時の応力を測定した(MPa)。
またビードフィラーの60℃におけるtanδ(60℃)は、JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で測定した。
また、(ビードフィラー高さBH)/(タイヤ断面高さSH)を測定した。
結果を表1に示す。
またビードフィラーの60℃におけるtanδ(60℃)は、JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で測定した。
また、(ビードフィラー高さBH)/(タイヤ断面高さSH)を測定した。
結果を表1に示す。
前記ビードフィラーと、前記キャップトレッドゴムとを組み込み、タイヤサイズ245/40R18の各種空気入りタイヤを製造した。なお、ビードフィラーおよびキャップトレッドゴム以外の各部材の条件は、各種空気入りタイヤ間で同一とした。
得られた各種空気入りタイヤについて、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
操縦安定性:各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧240kPaの条件にて、舗装路からなるテストコースにおいてテストドライバーによる官能評価を実施した。評点は、A:明確な改善を確認できる、B:改善を確認できる、C:改善を確認できない(比較例1に相当)、の三段階とした。
ロードノイズ:各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧240kPaの条件にて、走行時のロードノイズについてテストドライバーによる官能評価を行った。評価は5段階評価とし、「3」点を基準とし、相対評価した。
5:「3」点に対し、ロードノイズに顕著な改善が見られる。
4:「3」点に対し、ロードノイズに改善が見られる。
3:基準
2:「3」点に対し、ロードノイズが感じられる。
1:「3」点に対し、ロードノイズが顕著に感じられる。
5:「3」点に対し、ロードノイズに顕著な改善が見られる。
4:「3」点に対し、ロードノイズに改善が見られる。
3:基準
2:「3」点に対し、ロードノイズが感じられる。
1:「3」点に対し、ロードノイズが顕著に感じられる。
乗り心地:各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧240kPaの条件にて、走行時の乗り心地ついてテストドライバーによる官能評価を行った。評点は、A:明確な改善を確認できる、B:改善を確認できる、C:改善を確認できない(比較例1に相当)、の三段階とした。
ロードノイズ:各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧240kPaの条件にて、走行時のロードノイズについてテストドライバーによる官能評価を行った。評価は5段階評価とし、「3」点を基準とし、相対評価した。
5:「3」点に対し、乗り心地に顕著な向上が見られる。
4:「3」点に対し、乗り心地に向上が見られる。
3:基準
2:「3」点に対し、乗り心地に劣っていた。
1:「3」点に対し、乗り心地に顕著に劣っていた。
5:「3」点に対し、乗り心地に顕著な向上が見られる。
4:「3」点に対し、乗り心地に向上が見られる。
3:基準
2:「3」点に対し、乗り心地に劣っていた。
1:「3」点に対し、乗り心地に顕著に劣っていた。
*1:NR(TSR20)
*2:SBR((日本ゼオン(株)製NIPOL 1502)
*3:カーボンブラックCB(キャボットジャパン社製ショウブラックN330、N2SA=76m2/g)
*4:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*5:ステアリン酸(日新理化(株)製ステアリン酸50S)
*6:老化防止剤(FLEXSYS社製SANTOFLEX 6PPD)
*7:カシュー変性フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−NR−1)
*8:カルダノール樹脂(東北化工(株)製CD−5L)
*9:アロマオイル(出光興産(株)製ダイアナプロセスNH−70S)
*10:加硫促進剤(三新化学工業(株)製NS−G)
*11:硬化剤(三新化学工業(株)製サンセラーHT−PO、ヘキサメチレンテトラミン)
*12:硫黄(四国化成工業(株)製ミュークロンOT−20、硫黄含有量=80質量%)
*2:SBR((日本ゼオン(株)製NIPOL 1502)
*3:カーボンブラックCB(キャボットジャパン社製ショウブラックN330、N2SA=76m2/g)
*4:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*5:ステアリン酸(日新理化(株)製ステアリン酸50S)
*6:老化防止剤(FLEXSYS社製SANTOFLEX 6PPD)
*7:カシュー変性フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−NR−1)
*8:カルダノール樹脂(東北化工(株)製CD−5L)
*9:アロマオイル(出光興産(株)製ダイアナプロセスNH−70S)
*10:加硫促進剤(三新化学工業(株)製NS−G)
*11:硬化剤(三新化学工業(株)製サンセラーHT−PO、ヘキサメチレンテトラミン)
*12:硫黄(四国化成工業(株)製ミュークロンOT−20、硫黄含有量=80質量%)
上記の表1から明らかなように、各実施例では、ビードフィラーの組成、キャップトレッドゴムとビードフィラーの100%モジュラスの関係、およびビードフィラー高さとタイヤ断面高さとの関係を特定化しているので、比較例1に比べて、ロードノイズの低減、操縦安定性および乗り心地の向上が同時に達成されている。
比較例2では、NRの配合量、(M100 cap)×(M100 BF)および(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が本発明で規定する範囲外であるので、ロードノイズおよび乗り心地に改善が見られなかった。
比較例3では、(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が本発明で規定する上限を超えているので、操縦安定性が悪化した。またロードノイズに改善が見られなかった。
比較例2では、NRの配合量、(M100 cap)×(M100 BF)および(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が本発明で規定する範囲外であるので、ロードノイズおよび乗り心地に改善が見られなかった。
比較例3では、(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が本発明で規定する上限を超えているので、操縦安定性が悪化した。またロードノイズに改善が見られなかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
Claims (5)
- タイヤ径方向内側のビード部に設けられたビードフィラーと、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドゴムと、を備える空気入りタイヤにおいて、
前記ビードフィラーは、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gのカーボンブラックを50〜90質量部および熱硬化性樹脂を10〜30質量部含み、かつ前記ジエン系ゴム100質量部中、前記天然ゴムの配合割合が40質量部以上であり、
前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)と、前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)とが、(M100 cap)×(M100 BF)≦33(MPa) を満たし、かつ
ビードフィラー高さとタイヤ断面高さの比である(ビードフィラー高さ)/(タイヤ断面高さ)が、0.2〜0.7である
ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ビードフィラーの60℃におけるtanδ(60℃)が、0.1以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビードフィラーの100%モジュラス(M100 BF)が、8.5(MPa)以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記熱硬化性樹脂が、(A)カシュー変性フェノール樹脂および(B)カルダノール樹脂を含み、前記(B)/(A)(質量比)が0.2〜0.8であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記キャップトレッドゴムの100%モジュラス(M100 cap)が、1.0〜4.0(MPa)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019117179A JP2021003914A (ja) | 2019-06-25 | 2019-06-25 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019117179A JP2021003914A (ja) | 2019-06-25 | 2019-06-25 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021003914A true JP2021003914A (ja) | 2021-01-14 |
Family
ID=74097445
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019117179A Pending JP2021003914A (ja) | 2019-06-25 | 2019-06-25 | 空気入りタイヤ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2021003914A (ja) |
-
2019
- 2019-06-25 JP JP2019117179A patent/JP2021003914A/ja active Pending
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