JP2021002467A - 燃料電池単セルおよび燃料電池セルスタック - Google Patents

燃料電池単セルおよび燃料電池セルスタック Download PDF

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Abstract

【課題】固体電解質層とカソード層との剥離を抑制しやすい燃料電池単セル、これを用いた燃料電池セルスタックを提供する。【解決手段】燃料電池単セル1は、アノード層21と固体電解質層22とカソード層23とを備えるセル部2と、アノード層21に接して配置されており、セル部2を支持する支持体層3と、を有している。支持体層3は、電子導電性材料31と固体電解質材料32と気孔33とを含んでいる。支持体層3は、支持体層3の厚み方向に沿う断面視において、電子導電性材料の平均径をdm、固体電解質材料の平均間隔をLseとしたとき、dm≦Lseの関係を満たす。【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池単セルおよび燃料電池セルスタックに関する。
従来、アノード層と固体電解質層とカソード層とを備えるセルを有する固体酸化物形の燃料電池が公知である。例えば、特許文献1には、熱応力に起因するクラック等の発生を抑制し、電解質の剥離を抑制することを課題とした以下の燃料電池単セルが開示されている。具体的には、同文献のアノード支持型の燃料電池単セルでは、固体電解質層が、第1電解質層と、アノード層と第1電解質層との間に配される第2電解質層と、カソード層と第1電解質層との間に配される第3電解質層とから構成され、第1電解質層は、第2電解質層、第3電解質層より曲げ強度が大きい構成とされている。同文献によれば、主電解質である第2電解質層と第3電解質層との間に強度の高い第1電解質層を設け、その両側に第2電解質層、第3電解質層を配した構造としたことにより、応力の偏りによる割れや界面破壊等が解消される、とされている。
特開2011−192487号公報
従来の燃料電池単セルは、熱応力に起因するクラックの発生を、固体電解質層の材料強度向上によって抑制しようとするものである。しかしながら、例えば、反応性向上のためアノード層の電子導電性材料(Ni等)を増加させるなど、セル材料・セル構成を変更した場合には、固体電解質層の強度を超える内部応力が発生し、固体電解質層とカソード層との剥離を抑制できなくなるおそれが高い。特に、従来技術の燃料電池単セルは、単セルの大部分を占める支持体機能を兼ね備えたアノード層が還元された際に、アノード層の還元収縮によるセル残留応力を抑制することができず、機械的強度の弱いカソード層の剥離を抑制することが難しい。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、カソード層の剥離を抑制しやすい燃料電池単セル、また、これを用いた燃料電池セルスタックを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、アノード層(21)と固体電解質層(22)とカソード層(23)とを備えるセル部(2)と、
上記アノード層に接して配置されており、上記セル部を支持する支持体層(3)と、を有しており、
上記支持体層は、
電子導電性材料(31)と固体電解質材料(32)と気孔(33)とを含んでおり、
上記支持体層の厚み方向に沿う断面視において、
上記電子導電性材料の平均径をd、上記固体電解質材料の平均間隔をLseとしたとき、
≦Lse
の関係を満たす、燃料電池単セル(1)にある。
本発明の他の態様は、燃料電池単セル(1)と、上記燃料電池単セルの上記支持体層側または上記カソード層側に配置された金属部材(4)と、上記燃料電池単セルの上記支持体層の表面または上記カソード層の表面と上記金属部材の表面とに結合された結合層(5)と、を有する燃料電池セルスタック(6)にある。
上記燃料電池単セルは、上記構成を有している。そのため、上記燃料電池単セルは、支持体層の還元収縮によるセル残留応力を抑制することができ、カソード層の剥離を抑制しやすい。
上記燃料電池セルスタックは、上記構成を有している。そのため、上記燃料電池セルスタックは、燃料電池単セルにおける支持体層の還元収縮によるセル残留応力を抑制することができ、カソード層の剥離を抑制しやすい。
なお、特許請求の範囲および課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、実施形態1に係る燃料電池単セルの厚み方向に沿う断面を模式的に示した図である。 図2は、実施形態1に係る燃料電池単セルにおける支持体層の厚み方向に沿う断面の微構造を模式的に示した図である。 図3は、支持体層の厚み方向に沿う断面の走査型電子顕微鏡像の一例を示した図である。 図4は、図3に示した走査型電子顕微鏡像を三値化した三値化画像の一例を示した図である。 図5は、電子導電性材料の平均径dの測定方法を説明するための図である。 図6は、固体電解質材料の平均間隔Lseの測定方法を説明するための図である。 図7は、固体電解質材料の平均径dseの測定方法を説明するための図である。 図8は、電子導電性材料と固体電解質材料との平均接触長lm/se、電子導電性材料と気孔との平均接触長lm/poreの測定方法を説明するための図である。 図9は、電子導電性材料と固体電解質材料との平均接触長lm/se、電子導電性材料と気孔との平均接触長lm/poreの測定方法を説明するための他の図である。 図10は、実施形態2に係る燃料電池セルスタックの厚み方向に沿う断面の一部を模式的に示した図である。
(実施形態1)
実施形態1の燃料電池単セルについて、図1〜図9を用いて説明する。図1に例示されるように、本実施形態の燃料電池単セル1は、セル部2と、支持体層3と、を有している。燃料電池単セル1は、平板形の電池構造を有することができる。図1では、外形が四角形状である平板形の電池構造を有する燃料電池単セル1の断面例が示されている。
セル部2は、アノード層21と、固体電解質層22と、カソード層23とを備えている。なお、セル部2は、図1に例示されるように、固体電解質層22とカソード層23との間に中間層24をさらに備えることができる。本実施形態では、セル部2は、具体的には、アノード層21、固体電解質層22、中間層24、および、カソード層23がこの順に積層され、互いに接合されている。なお、固体電解質層22の固体電解質として固体酸化物セラミックスを用いる燃料電池は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)と称される。
支持体層3は、アノード層21に接して配置されてセル部2を支持する。支持体層3は、具体的には、固体電解質層22側とは反対側のアノード層21の層面に接合されている。
支持体層3は、多孔質に形成される。支持体層3は、図2に例示されるように、電子導電性材料31と固体電解質材料32と気孔33とを含んでいる。電子導電性材料31は、支持体層3内において電子導電経路を構成する。固体電解質材料32は、主に支持体層3の骨格を構成する。気孔33は、アノード層21への燃料ガスFの供給経路、アノード反応にて生じた水蒸気の排出経路等の役割を有する。電子導電性材料31は、具体的には、複数の電子導電性粒子が焼結によって連続してなる粒子連続体を含むことができる。固体電解質材料32は、具体的には、複数の固体電解質粒子が焼結によって連続してなる粒子連続体を含むことができる。
支持体層3は、支持体層3の厚み方向に沿う断面視において、電子導電性材料31の平均径をd、固体電解質材料32の平均間隔をLseとしたとき、以下の関係を満たしている。
≦Lse
≦Lse、好ましくは、d<Lseの関係を満たすことにより、例えば、燃料電池単セル1の大気雰囲気中での焼成後等において、支持体層3の骨格を構成する固体電解質材料32間を跨ぐように存在する電子導電性材料31の酸化物を減らすことができる。つまり、d≦Lse、好ましくは、d<Lseの関係を満たすことにより、隣接する固体電解質材料32同士を連結する電子導電性材料31の酸化物を減らすことができる。それ故、燃料電池単セル1の大部分を占める支持体層3が還元され、電子導電性材料31の酸化物が電子導電性材料31となって体積減少した場合でも、それに伴って骨格を構成する固体電解質材料32が動き難く、固体電解質材料32に引っ張り歪が生じるのを抑制することができる。これにより、燃料電池単セル1によれば、支持体層3の還元収縮によるセル残留応力を抑制することが可能となり、カソード層23の剥離を抑制しやすくなる。
図3から図6を用いて、電子導電性材料31の平均径d、固体電解質材料32の平均間隔Lseの測定方法について説明する。
先ず、図3から図5を用いて、電子導電性材料31の平均径dの測定方法について説明する。研磨等により、燃料電池単セル1における支持体層3の厚み方向に沿う断面を観察できるように調整する。次いで、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という。)を用い、少なくともセル面内方向に100μm以上の視野を有するSEM像を取得する。この際、SEMとしては、例えば、日立社製、「S−4800」などを使用することができる。図3に、SEM像の一例を示す。次いで、取得したSEM像に対して三値化処理を行い、支持体層3に含まれる電子導電性材料31、固体電解質材料32、および、気孔33を、SEM像のコントラストで区別できるように加工する。図4に、図3に示したSEM像を三値化した三値化画像の一例を示す。なお、三値化とは、画像を三色のみで表すことをいう。三値化は、具体的には、例えば、画像処理ソフトを立ち上げて画像からノイズを除去した後、黒分離、白黒部分離、白灰分離、画像統合、画像微修正、および、画像保存のステップにて実施することができる。次いで、得られた三値化画像におけるセル面内方向に沿う方向を水平方向、水平方向に垂直な方向を垂直方向とし、三値化画像に対して、図5に示すように、垂直方向に等間隔となるように水平方向に10本の水平線X1〜X10を引く。図5中、Y1が水平方向であり、Y2が垂直方向である。なお、図5では、水平線X1および水平線X10が示されており、両者の間にある水平線X2〜水平線X9は、省略されている。また、図5では、便宜上、電子導電性材料31のみを示しており、固体電解質材料32および気孔33は省略されている。次いで、各水平線X1〜X10が電子導電性材料31に重なった部分の距離(図5中、dm(1)、dm(2)、dm(3)・・・dm(n−1)、dm(n))を全て加算し、これを水平線が重なった電子導電性材料31の数nで除することにより、平均値を算出する。つまり、{dm(1)+dm(2)+dm(3)+・・・+dm(n−1)+dm(n)}/nの式にて、平均値を算出する。この操作を少なくとも5視野のSEM像について実施し、得られた各平均値を平均した値が、電子導電性材料31の平均径dとされる。
電子導電性材料31の平均径dは、具体的には、好ましくは、0.1μm以上2.0μm以下、より好ましくは、0.2μm以上1.0μm以下、さらに好ましくは、0.3μm以上0.5μm以下の範囲とすることができる。
次に、図6を用いて、固体電解質材料32の平均間隔Lseの測定方法について説明する。電子導電性材料31の平均径dの測定方法にて得た同一の三値化画像、各水平線X1〜X10を用い、図6に示すように、各水平線X1〜X10が固体電解質材料32に重なって離れる点と、隣接する別の固体電解質材料32に重なる点との差分(図6中、Lse(1)、Lse(2)、Lse(3)・・・Lse(n−1)、Lse(n))を全て加算し、これを上記差分の数nで除することにより、平均値を算出する。つまり、{Lse(1)+Lse(2)+Lse(3)+・・・+Lse(n−1)+Lse(n)}/nの式にて、平均値を算出する。この操作を少なくとも5視野のSEM像について実施し、得られた各平均値を平均した値が、固体電解質材料32の平均径Lseとされる。なお、図6では、便宜上、固体電解質材料32のみを示しており、電子導電性材料31および気孔33は省略されている。
固体電解質材料32の平均間隔Lseは、具体的には、好ましくは、0.4μm以上3.0μm以下、より好ましくは、0.8μm以上2.0μm以下、さらに好ましくは、1.0μm以上1.5μm以下の範囲とすることができる。
支持体層3は、支持体層3の厚み方向に沿う断面視において、固体電解質材料32の平均径をdseとしたとき、以下の関係を満たすことができる。
≦dse
≦dse、好ましくは、d<dseの関係を満たすことにより、d>dseの関係を満たす場合に比べて、隣接する固体電解質材料32同士を連結する電子導電性材料31の酸化物による接続があっても、当該接続部位が細くなる。そのため、当該接続部位の還元による収縮時に、骨格を構成する固体電解質材料32が動き難くなり、固体電解質材料32に引っ張り歪が生じるのを抑制しやすくなる。
図7を用いて、固体電解質材料32の平均径dseの測定方法について説明する。なお、電子導電性材料31の平均径dについては、上述した通りである。
電子導電性材料31の平均径dの測定方法にて得た同一の三値化画像、各水平線X1〜X10を用い、図7に示すように、各水平線X1〜X10が固体電解質材料32に重なった部分の距離(図7中、dse(1)、dse(2)、dse(3)・・・dse(n−1)、dse(n))を全て加算し、これを水平線が重なった固体電解質材料32の数nで除することにより、平均値を算出する。つまり、{dse(1)+dse(2)+dse(3)+・・・+dse(n−1)+dse(n)}/nの式にて、平均値を算出する。この操作を少なくとも5視野のSEM像について実施し、得られた各平均値を平均した値が、固体電解質材料32の平均径dseとされる。なお、図7では、便宜上、固体電解質材料32のみを示しており、電子導電性材料31および気孔33は省略されている。
固体電解質材料32の平均径dseは、具体的には、好ましくは、0.1μm以上2.0μm以下、より好ましくは、0.2μm以上1.0μm以下、さらに好ましくは、0.3μm以上0.5μm以下の範囲とすることができる。
支持体層3は、支持体層3の厚み方向に沿う断面視において、電子導電性材料31の体積分率をV、固体電解質材料32の体積分率をVseとしたとき、以下の関係を満たすことができる。
≦Vse
≦Vse、好ましくは、V<Vseの関係を満たすことにより、V>Vseの関係を満たす場合に比べて、支持体層3中に含まれる電子導電性材料32が少なくなり、還元時における電子導電性材料31の酸化物の収縮によって固体電解質材料32にかかる力を抑制することができる。それ故、この構成によれば、カソード層23の剥離を抑制しやすい燃料電池単セル1を得やすくなる。
電子導電性材料31の体積分率V、固体電解質材料32の体積分率Vseの測定方法について説明する。
電子導電性材料31の平均径dの測定方法と同様にして、燃料電池単セル1における支持体層3の厚み方向に沿う断面についてのSEM像から三値化画像を作製する。但し、ここでは、少なくともセル面内方向に50μm以上の視野を有するSEM像を取得し、三値化画像を作製する。作製した三値化画像を用い、画像処理ソフトにて三値化画像に対する電子導電性材料31の総面積比率を算出する。この操作を少なくとも10視野のSEM像について実施し、得られた電子導電性材料31の各総面積比率を平均した値が、電子導電性材料31の体積分率Vとされる。同様に、作製した三値化画像を用い、画像処理ソフトにて三値化画像に対する固体電解質材料32の総面積比率を算出する。この操作を少なくとも10視野のSEM像について実施し、得られた固体電解質材料32の各総面積比率を平均した値が、固体電解質材料32の体積分率Vseとされる。
電子導電性材料31の体積分率Vは、具体的には、好ましくは、10%以上40%以下、より好ましくは、15%以上35%以下、さらに好ましくは、20%以上30%以下の範囲とすることができる。固体電解質材料32の体積分率Vseは、具体的には、好ましくは、20%以上60%以下、より好ましくは、30%以上50%以下、さらに好ましくは、35%以上45%以下の範囲とすることができる。
支持体層3は、支持体層3の厚み方向に沿う断面視において、電子導電性材料31と固体電解質材料32との平均接触長をlm/se、電子導電性材料31と気孔33との平均接触長をlm/poreとしたとき、以下の関係を満たすことができる。
m/se≦lm/pore
m/se≦lm/pore、好ましくは、lm/se<lm/poreの関係を満たすことにより、lm/se>lm/poreの関係を満たす場合に比べて、電子導電性材料31と固体電解質材料32との接触箇所が少なくなる。そのため、電子導電性材料31の酸化物の還元による収縮時に、骨格を構成する固体電解質材料32が動き難くなり、固体電解質材料32に変形が伝播するのを抑制しやすくなる。
図8、図9を用いて、電子導電性材料31と固体電解質材料32との平均接触長lm/se、電子導電性材料31と気孔33との平均接触長lm/poreの測定方法について説明する。
電子導電性材料31の平均径dの測定方法と同様にして、燃料電池単セル1における支持体層3の厚み方向に沿う断面についてのSEM像から三値化画像を作製する。図8および図9に例示されるように、作製した三値化画像に含まれる全ての電子導電性材料31について、電子導電性材料31が固体電解質材料32に接触している表面長さ(図8、図9のAの長さ)の合計値をl’’m/seとして求める。また、電子導電性材料31が気孔33に接触している表面長さ(図8、図9のBの長さ)の合計値をl’’m/poreとして求める。そして、一枚の三値化画像について、l’’m/se/(l’’m/se+l’’m/pore)の式からl’m/seを算出するとともに、l’’m/pore/(l’’m/se+l’’m/pore)の式からl’m/poreを算出する。この操作を少なくとも10視野のSEM像について実施し、得られた各l’m/seを平均した値が、電子導電性材料31と固体電解質材料32との平均接触長lm/seとされる。同様に、得られた各l’m/poreを平均した値が、電子導電性材料31と気孔33との平均接触長lm/poreとされる。
電子導電性材料31と固体電解質材料32との平均接触長lm/seは、具体的には、好ましくは、0.1μm以上2.0μm以下、より好ましくは、0.4μm以上1.0μm以下、さらに好ましくは、0.6μm以上0.8μm以下の範囲とすることができる。電子導電性材料31と気孔33との平均接触長lm/poreは、具体的には、好ましくは、1.1μm以上3.0μm以下、より好ましくは、2.1μm以上2.7μm以下、さらに好ましくは、2.3μm以上2.5μm以下の範囲とすることができる。
燃料電池単セル1において、固体電解質層22を構成する固体電解質層材料としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア等の酸化ジルコニウム系酸化物などが挙げられる。アノード層21を構成するアノード層材料としては、例えば、Ni、NiO等の触媒と、イットリア安定化ジルコニア等の酸化ジルコニウム系酸化物とを含む混合物などが挙げられる。カソード層23を構成するカソード層材料としては、例えば、ランタン−ストロンチウム−コバルト系酸化物、ランタン−ストロンチウム−コバルト−鉄系酸化物等の遷移金属ペロブスカイト型酸化物、あるいは、上記遷移金属ペロブスカイト型酸化物と、セリアやセリアにGd、Sm、Y、La、Nd、Yb、Ca、および、Hoから選択される1種または2種以上の元素等がドープされたセリア系固溶体とを含む混合物などが挙げられる。中間層24を構成する中間層材料としては、例えば、セリアや上記セリア系固溶体などが挙げられる。支持体層3における電子導電性材料31としては、例えば、Niなどが挙げられる。支持体層3における固体電解質材料32としては、例えば、Y、Sc、Sm、Gd、Ce、および、Zrからなる群より選択される少なくとも1つを含む複合酸化物などが挙げられる。支持体層3における固体電解質材料32としては、好ましくは、イットリア安定化ジルコニア等の酸化ジルコニウム系酸化物などが挙げられる。なお、支持体層3が、例えば、Niとイットリア安定化ジルコニア等の酸化ジルコニウム系酸化物との混合物などから構成されている場合、支持体層3は、アノードとして機能することができる。つまり、支持体層3は、アノードとして機能することができてもよいし、アノードとして機能できなくてもよい。
燃料電池単セル1において、支持体層3の還元前後における内部応力変化は、セル部2の各部位を構成する材料の曲げ強度よりも低い構成とすることができる。この構成によれば、燃料電池単セル1をスタック化した際に燃料電池単セル1の反り変形による集電不良を抑制しやすくなる。
支持体層3の還元前後における内部応力変化は、X線を用い、支持体層3の還元前後における結晶格子の変化から測定することができる。なお、セル部2が、例えば、アノード層21、固体電解質層22、中間層24、および、カソード層23より構成されている場合、セル部2の各部位を構成する材料の曲げ強度は、アノード層材料の曲げ強度、固体電解質層材料の曲げ強度、中間層材料の曲げ強度、カソード層材料の曲げ強度ということになる。また、セル部2が、例えば、アノード層21、固体電解質層22、および、カソード層23より構成されている場合、セル部2の各部位を構成する材料の曲げ強度は、アノード層材料の曲げ強度、固体電解質層材料の曲げ強度、カソード層材料の曲げ強度ということになる。上記にいう曲げ強度は、室温における4点曲げ強度である。
(実施形態2)
実施形態2の燃料電池セルスタックについて、図10を用いて説明する。なお、実施形態2以降において用いられる符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
図10に例示されるように、本実施形態の燃料電池セルスタック6は、燃料電池単セル1と、金属部材4と、結合層5と、を有している。
金属部材4は、燃料電池単セル1の支持体層3側またはカソード層23側に配置されることができる。図10では、燃料電池単セル1の支持体層3側に金属部材4が配置されている例が示されている。この構成によれば、アノード層21に供給される水素や水素を含む改質ガス等の燃料ガスFと、カソード層23に供給される酸素や空気等の酸化剤ガス(O)とを分離しやすい。なお、金属部材4は、結合層5を介して燃料電池単セル1と電気的に接続されることにより、集電体として機能することができる。
金属部材4は、具体的には、Cr、Fe、Ni、Co、Mn、Cu、Zn、および、Tiからなる群より選択される少なくとも1種の成分を含む金属より構成することができる。この構成によれば、燃料電池単セル1と金属部材4との結合性(接合性)を確保しやすく、集電不良の抑制に有利である。金属部材4は、好ましくは、フェライト系ステンレス鋼(SUS430等)、オーステナイト系ステンレス鋼(SU304等)、Fe−Cr合金、Ni−Cr合金、Ni−Cr−Si合金などのCrを含有する合金などより構成することができる。この構成によれば、昇温時にCrが他の部材内に拡散し、焼結助剤として振る舞うことによって接合強度を向上させることができるなどの利点がある。
金属部材4は、具体的には、燃料電池単セル1の支持体層3側またはカソード層23側のセル面を支持するセル支持面部40を有することができる。本実施形態では、図10に例示されるように、セル支持面部40は、板状の形状を呈しており、燃料電池単セル1の支持体層3の層面を支持している。また、セル支持面部40は、複数の貫通孔41を有している。この構成によれば、セル支持面部40によって燃料電池単セル1を確実に支持しつつ、複数の貫通孔41を通じて、燃料電池単セル1のセル面にガス(セル支持面部40側に支持体層3が配置される場合は燃料ガスF、セル支持面部40側にカソード層23が配置される場合は酸化剤ガス)を供給することができる。また、セル支持面部40側に支持体層3が配置される場合には、発電で生じた水蒸気ガスを複数の貫通孔41を通じて排出することができる。
金属部材4の厚みは、電気伝導性、母材強度、電池作動時におけるクリープ防止等の観点から、好ましくは、0.1mm以上2mm以下、より好ましくは、0.3mm以上1.5mm以下、さらに好ましくは、0.5mm以上1mm以下とすることができる。なお、金属部材4の厚みは、燃料電池単セル1が配置される部分にて測定される。
結合層5は、燃料電池単セル1と金属部材4との間に配置され、燃料電池単セル1と金属部材4とを結合している。また、結合層4は、電気伝導性を有している。これにより、単セル2で発電した電気を金属部材4にて集電することができる。結合層5は、具体的には、燃料電池単セル1の支持体層3の表面と金属部材4の表面とを結合する、あるいは、燃料電池単セル1のカソード層23の表面と金属部材4の表面とを結合することができる。図10では、前者の例が示されている。
結合層5は、具体的には、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Ti、V、Sc、Ag、Au、および、Pt族からなる群より選択される少なくとも1種の成分を含む金属より構成することができる。なお、Pt族は、Pt、Ru、Rh、Pd、O、Irであり、好ましいPt族は、電気伝導性、耐酸化性、シンタリング(粒成長)耐性などの観点から、Ptであるとよい。上記構成によれば、燃料電池単セル1と金属部材4との結合性(接合性)を確保しやすく、集電不良の抑制に有利である。結合層5は、好ましくは、Ni、Cr、および、Feからなる群より選択される少なくとも1種の成分を含む金属より構成することができ、より好ましくは、Ni−Cr合金、Ni−Cr−Fe合金、Ni−Fe合金などより構成することができる。この構成によれば、高温下におけるヤング率が貴金属に比べて高いため、動作環境においても変形し難くなるなどの利点がある。
結合層5は、図10に例示されるように、上述したセル支持面部40に形成された貫通孔41を塞がないように設けられることができる。この構成によれば、発電によりアノード層21で生じた水蒸気の排出、および、アノード層21への燃料ガスFの供給を確実なものとすることができる。具体的には、結合層5は、セル支持面部40の貫通孔41に対応して形成された貫通孔51を有する構成とすることができる。なお、結合層5を多孔質に形成した場合には、貫通孔51は省略することができる。
燃料電池セルスタック6は、図10に例示されるように、セパレータ71をさらに有することができる。セパレータ71は、隣り合う燃料電池単セル1同士を電気的に直列に接続するとともに、燃料電池単セル1のアノード層21側に供給される燃料ガスFと、燃料電池単セル1のカソード層23側に供給される酸化剤ガスOとを隔てる役割を有している。また、燃料電池セルスタック6は、カソード層23に接する集電体72を有する構成とすることができる。本実施形態では、具体的には、セパレータ71とカソード層23との間に、カソード層23に接するように集電体72を配置することができる。この構成によれば、スタック部材を用いて燃料電池単セル1をスタック化した際に、燃料電池単セル1をカソード層23側から集電体72によって押さえ付けて保持することができる。なお、セパレータ71、集電体72は、金属部材4と同様の金属材料等より構成することができる。また、集電体72は、セパレータ71と一体化されていてもよい。
燃料電池セルスタック6は、図10に例示されるように、金属部材4に固定された燃料電池単セル1とセパレータ71とが交互に積層された積層構造を有する構成とすることができる。なお、図10では、上述したセル支持面部40に結合層5を介して固定された燃料電池単セル1の外周縁が、シール部材81を間に挟んだ状態でリテーナ部材82によって金属部材4に固定されている例が示されている。燃料電池セルスタック6において、金属部材4とセパレータ71との間は、アノード層21に燃料ガスFを供給するための燃料ガス流路91とすることができる。一方、カソード層23とセパレータ71との間は、カソード層23に酸化剤ガスOを供給するための酸化剤ガス流路92とすることができる。
燃料電池セルスタック6によれば、燃料電池単セル1における支持体層3の還元収縮によるセル残留応力を抑制することができるため、カソード層23の剥離を抑制しやすい。
(実験例1)
<材料準備>
NiO粉末(平均粒子径:0.6μm〜1.8μm)と、8mol%のYを含むイットリア安定化ジルコニア(以下、YSZ)粉末(平均粒子径:0.3μm〜2.0μm)と、造孔剤(カーボン、平均粒子径:0.8μm〜1.5μm)と、ポリビニルブチラール(有機材料)と、酢酸イソアミル、2−ブタノールおよびエタノール(混合溶媒)とをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。NiO粉末、YSZ粉末、および、造孔材の体積比は、大気焼成後の還元処理後に、表1の値となるようにそれぞれ調整した。ここで、NiO粉末の平均粒子径を、造孔材の平均粒子径より小さくなるように選択し、かつ、Niの体積比率を、YSZの体積比率と同じまたは小さくなるように選択し、かつ、気孔の体積比率を、YSZの体積比率よりも大きくなるように選択することにより、d≦Lse、および、lm/se≦lm/poreの関係が成立しやすくなる。また、同一の平均粒子径、体積比率であっても、NiO粉末、YSZ粉末、造孔剤を混合する際の混合時間を調整し、各々の均一分散が十分になされている状態とすることにより、d≦Lse、および、lm/se≦lm/poreの関係が成立しやすくなる。このようにして、合計9水準のスラリーを調製した。なお、上記平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径(直径)d50である(以下、同様)。上記スラリーを、ドクターブレード法を用いて、樹脂シート上に層状に塗工し、乾燥させた後、樹脂シートを剥離することにより、各水準の支持体層形成用シートを準備した。
NiO粉末(平均粒子径:1.0μm)と、YSZ粉末(平均粒子径:0.8μm)と、造孔剤(カーボン、平均粒子径:1.5μm)と、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミルおよび1−ブタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。NiO粉末とYSZ粉末の質量比は、60:40である。なお、アノード層形成用シートにおける造孔剤の量は、上記支持体層形成用シートにおける造孔剤の量と比較して少量とされている。アノード層は、支持体層に比べて、燃料ガスを拡散させる必要性が小さいためである。以降は、支持体層形成用シートの作製と同様にして、アノード層形成用シートを準備した。
YSZ粉末(平均粒子径:0.8μm)と、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミル、2−ブタノールおよびエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。以降は、支持体層形成用シートの作製と同様にして、固体電解質層形成用シートを準備した。
10mol%のGdがドープされたCeO(以下、10GDC)粉末(平均粒子径:0.8μm)と、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミル、2−ブタノールおよびエタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。以降は、支持体層形成用シートの作製と同様にして、中間層形成用シートを準備した。
La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.(以下、LSCF)粉末(平均粒子径:0.6μm)と、造孔剤(カーボン)と、エチルセルロースと、テルピネオールとをボールミルにて混合することにより、カソード層形成用ペーストを準備した。
<燃料電池単セルの作製>
同じ水準の複数枚の支持体層形成用シートと、アノード層形成用シートと、固体電解質層形成用シートと、中間層形成用シートとをこの順に積層し、静水圧プレス(WIP)成形法を用いて圧着することにより、積層体を得た。積層体は、圧着後に脱脂した。なお、WIP成形条件は、温度80℃、加圧力50MPa、加圧時間10分という条件とした。
次いで、上記積層体を、大気雰囲気中にて1350℃で2時間焼成した。これにより、支持体層(厚み500μm)、アノード層(厚み20μm)、固体電解質層(厚み10μm)、および、中間層(厚み10μm)がこの順に積層された焼結体を得た。
次いで、上記焼結体における中間層の表面に、カソード層形成用ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、大気雰囲気中にて1000℃で2時間焼付けすることにより、カソード層(厚み60μm)を形成した。なお、カソード層は、中間層の外形よりも小さく形成した。これにより各水準の平板形の単セルを得た。なお、この段階の単セルにおいて、支持体層は、NiOとYSZと気孔とからなり、未だ還元されていない。
<スタック用部材の準備>
スタック用部材として、金属部材と、結合層形成用シートと、集電体(本例ではSUS430製のメッシュ部材)と、封止用ガラスとを準備した。金属部材は、Fe−Cr合金(本例ではSUS430)よりなり、複数の貫通孔が形成された平坦な板状の形状を呈するセル支持面部を有している。結合層形成用シートは、Niを主成分としており、次のようにして準備した。
Ni粉末(平均粒子径:0.4μm)と、ポリビニルブチラールと、酢酸イソアミルと、1−ブタノールとをボールミルにて混合することによりスラリーを調製した。上記スラリーを、ドクターブレード法を用いて、樹脂シート上に層状に塗工し、乾燥させた後、樹脂シートを剥離することにより、結合層形成用シート(厚み50μm)を形成した。なお、準備した結合層形成用シートは、60℃にて30分アニールし、乾燥による形状変化の抑制処理を施した後、レーザー加工により、セル支持面部の貫通孔と対応させて、厚み方向に貫通する貫通孔を複数形成した。
<セルスタックユニットの作製>
金属部材のセル支持面部の表面に、結合層形成用シート、単セルをこの順に積層した。この際、単セルの端面には封止用ガラスを塗布した。また、単セルの支持体層側を結合層形成用シート側とした。
次いで、集電体を単セルのカソード層の表面に配置するとともに、上下に配置したセパレータ同士をねじにて固定し、セルスタックユニットとした。
<評価>
得られたセルスタックユニットを、大気雰囲気中にて800℃まで昇温した上で、支持体層およびアノード層に還元性ガス(100%水素ガス)を導入するとともに、カソード層に空気を導入し、2時間保持するという条件にて還元処理を行った。還元処理後、還元性ガスの導入条件を維持したまま室温まで降温した。これにより、支持体層およびアノード層が還元処理された各水準の燃料電池単セルと、当該燃料電池単セルを有する各水準のセルスタックユニットを作製した。なお、セルスタックユニットを複数積層することにより、燃料電池セルスタックを構成することができる。
得られたセルスタックユニット全体を熱硬化性樹脂にて固め、空隙部分がない状態とした後、このセルスタックユニットから単セルを切り出した。次いで、単セルのセル厚み方向に沿う断面を研磨し、断面観察用の試料に調整した。各水準の断面観察用試料それぞれについて、上述した測定方法に従ってd、Lse、dse、lm/se、lm/pore、V、Vseを測定した。そして、dとLseとの大小関係、dとdseとの大小関係、lm/seとlm/poreとの大小関係を求めた。次いで、断面観察用試料における中間層/カソード層の界面について、最大10,000倍の断面観察を行い、界面方向のクラックの有無を確認した。SEM視野内で観察される、中間層/カソード層界面のクラックの長さを計測し、計測したクラック長さを合計したものをlcrackとし、中間層/カソード層界面の全長をlとし、100×lcrack/lの値を算出した。これを10視野について実施し、得られた各100×lcrack/lの値の平均値を、還元後におけるカソード層剥離率(%)として定義した。そして、このカソード層剥離率が10%以上の場合には、剥離有りと判断した。また、カソード層剥離率が5%以上10%未満の場合には、許容範囲内であり、剥離なしと判断した。また、カソード層剥離率が5%未満の場合には、剥離なしと判断した。
表1に上記の結果をまとめて示す。
表1に示されるように、本開示の範囲外の条件である水準1−1、水準1−3では、中間層とカソード層との界面にてクラックが確認された。これは、支持体層およびアノード層の還元処理時に、NiOがNiとなって体積収縮が起こり、支持体層の骨格を構成するYSZに歪が生じ、この歪によって固体電解質層/中間層/カソード層に内部応力が発生した結果、最も機械的強度が弱い中間層とカソード層との界面にクラックが生じたためであると考えられる。なお、本実験例では、中間層を形成しているが、中間層を形成しない場合には、固体電解質層とカソード層との界面にクラックが生じることは、上記の実験結果から容易に理解される。
これらに対し、本開示の範囲内の条件である水準1−2、水準1−4〜水準1−9については、中間層とカソード層との界面におけるクラックを抑制することができた。つまり、本開示の範囲内の条件であれば、カソード層の剥離を抑制できることが確認された。これは、還元によってNiOがNiとなって生じる体積収縮の影響が、YSZに伝播し難い微構造となっていることにより、YSZの歪を抑制することができたためであると考えらえられる。
また、水準1−2、水準1−4、水準1−5と、水準1−6、水準1−7との比較により、d<dseの関係が満たされているときには、より高いクラック抑制効果を得ることができることが確認された。これは、この関係が満たされているときには、YSZの機械的強度が強くなり、かつ、還元によりNiOがNiとなる際の体積収縮による粒子当たりの歪み量が小さくなるため、YSZの歪がより良好に抑制されるためであると考えられる。
また、水準1−7と水準1−9との比較により、lm/se≦lm/poreの関係が満たされているときには、さらに高いクラック抑制効果を得ることができることが確認された。これは、本関係が満たされていれば、NiがYSZに取り囲まれる構成となり難いため、還元によりNiOがNiとなるときの歪がYSZに伝播し難いためであると考えられる。
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
1 燃料電池単セル
2 セル部
21 アノード層
22 固体電解質層
23 カソード層
3 支持体層
31 電子導電性材料
32 固体電解質材料
33 気孔
4 金属部材
5 結合層
6 燃料電池セルスタック

Claims (5)

  1. アノード層(21)と固体電解質層(22)とカソード層(23)とを備えるセル部(2)と、
    上記アノード層に接して配置されており、上記セル部を支持する支持体層(3)と、を有しており、
    上記支持体層は、
    電子導電性材料(31)と固体電解質材料(32)と気孔(33)とを含んでおり、
    上記支持体層の厚み方向に沿う断面視において、
    上記電子導電性材料の平均径をd、上記固体電解質材料の平均間隔をLseとしたとき、
    ≦Lse
    の関係を満たす、燃料電池単セル(1)。
  2. 上記支持体層は、
    上記支持体層の厚み方向に沿う断面視において、
    上記固体電解質材料の平均径をdseとしたとき、
    ≦dse
    の関係を満たす、請求項1に記載の燃料電池単セル。
  3. 上記支持体層は、
    上記支持体層の厚み方向に沿う断面視において、
    上記電子導電性材料の体積分率をV、上記固体電解質材料の体積分率をVseとしたとき、
    ≦Vse
    の関係を満たす、請求項1または請求項2に記載の燃料電池単セル。
  4. 上記支持体層は、
    上記支持体層の厚み方向に沿う断面視において、
    上記電子導電性材料と上記固体電解質材料との平均接触長をlm/se、上記電子導電性材料と上記気孔との平均接触長をlm/poreとしたとき、
    m/se≦lm/pore
    の関係を満たす、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池単セル。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池単セル(1)と、上記燃料電池単セルの上記支持体層側または上記カソード層側に配置された金属部材(4)と、上記燃料電池単セルの上記支持体層の表面または上記カソード層の表面と上記金属部材の表面とに結合された結合層(5)と、を有する燃料電池セルスタック(6)。
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