JP2021002012A - ポジ型ドライフィルムレジスト - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、ポジ型ドライフィルムレジストを基材に熱圧着した後に支持体フィルム及び剥離層を、ポジ型感光性レジスト層と剥離層の界面から容易に剥がすことができ、また、ポジ型ドライフィルムレジストをカット又はスリットする際に端部から切り屑が発生しにくいポジ型ドライフィルムレジストを提供することである。【解決手段】少なくとも(a)支持体フィルムと(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層がこの順で積層してなり、(b)剥離層が、(b)剥離層100質量部に対して80質量部以上のポリビニルアルコール、及び、架橋剤を含み、且つ、(c)ポジ型感光性レジスト層が、ノボラック樹脂及びキノンジアジドスルホン酸エステルを主成分として含むことを特徴とするポジ型ドライフィルムレジスト。【選択図】図1
Description
本発明は、ポジ型ドライフィルムレジストに関する。
プリント配線板、リードフレーム、メタルマスク、シャドウマスク、半導体パッケージ、電極部材、電磁波シールド等の製造において、金属基材のエッチングや金属めっき等の金属加工を行う際に、レジストが使用されている。例えば、メタルマスク、リードフレーム、シャドウマスク、プリント基板等の製造において、金属基材をエッチングする方法が行われている。このエッチングに使用されるレジストとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ゼラチン、カゼインなどの水溶性高分子に、重クロム酸アンモニウム等の光架橋試薬を混合することによる光架橋を利用した感光性樹脂組成物が用いられてきた。しかし、この感光性樹脂組成物は、クロム廃液の処理が難しい等の問題を有しており、現在では、そのほとんどがアルカリ水溶液現像型感光性樹脂組成物を使用したドライフィルムレジストに置き換わっている。
現在、このドライフィルムレジストとしてはネガ型感光性レジストが利用されており、アルカリ可溶性樹脂と光重合性架橋剤と光重合開始剤を組み合わせた組成物が一般的である。金属基材にドライフィルムレジストを熱圧着し、画像形成したマスクを通した紫外線露光によって画像状に感光性樹脂層を硬化、難溶性とした後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性現像液で未露光部を現像液に溶出させてレジストパターンが形成される。
しかしながら、ネガ型感光性レジストには、経時変化により感度変化が生じる問題及び現像後に金属基材の表面にレジスト成分の残渣が生じる問題がある。また、金属基材のエッチング加工後にレジストを剥離させる際には、強アルカリ性又は有機アミンを含有する特殊な剥離液を使用する必要がある。
一方、ポジ型感光性レジストは光重合を阻害する空気中の酸素の影響を受けにくく、経時変化による感度変化も小さく、さらには金属基材のエッチング加工後はレジストを全面露光して現像液で処理することによって、レジスト膜を容易に溶解剥離できる等の利点がある。また、ネガ型感光性レジストと比較し、レジストが現像液に膨潤しにくいため微細パターンに有利である。
ポジ型感光性レジストにおいては、近年、液状レジストが広く使用されており、基材へのレジスト層の形成方法としては、スピンコートやロールコート等で、直接、基材へ塗工する方法が適用されている。しかしながら、液状レジストにおいては、液のロスが多く、塗工の手間がかかる。ポジ型感光性レジストは高価であるため、液のロスは好ましくない。また、両面同時にレジスト層を形成したり、レジスト層を均一に形成したりするため、ポジ型感光性レジストをドライフィルムレジストとして、熱圧着する方法が強く望まれている。
一方、従来から広く用いられてきたポジ型感光性レジストとしては、キノンジアジド系の材料とノボラック樹脂を主成分とする材料が挙げられる。このポジ型感光性レジストをポリエチレンテレフタレートフィルム等の支持体に塗工し、ポジ型ドライフィルムレジストにすると、支持体フィルムとポジ型感光性レジスト層との接着力が高く、ラミネート法で基材上に熱圧着したのち、支持体フィルムを剥がす工程において、支持体フィルムが剥がれない問題があった(例えば、特許文献1)。
また、ノボラック樹脂は固く、膜質が脆く柔軟性に欠けるため、ロール状のポジ型ドライフィルムレジストとすることに難点がある。つまり、通常、広幅のロールから所望の幅のロール製品へとスリット加工するが、脆いポジ型感光性レジスト層に割れ(クラック)が発生して、端部から切り屑が発生しやすい。また、通常、ロール状のポジ型ドライフィルムレジストを、枚葉の基材へ連続で熱圧着するが、各基材間でポジ型ドライフィルムレジストをカットする必要があり、その際にもポジ型感光性レジスト層が割れて、切り屑が発生しやすい。切り屑は基材の上に付着して欠陥となってしまう問題があった(例えば、特許文献2)。
これらの問題に対し、支持体フィルムとポジ型感光性レジスト層との間に剥離層を設け、熱圧着後の支持体フィルムの剥離を容易にするという解決策がある(例えば、特許文献3及び4)。特許文献3には、離型層を有する可剥性支持体層(支持体フィルム)、フォトレジスト層の第1層及び貼付け可能な架橋又は可強制有機重合体の第2層の順で構成されている多層ドライフィルムフォトレジストが開示されている。また、特許文献4には、支持フィルム(支持体フィルム)と、レジスト膜の機械的強度を補強するためのドライフィルムレジスト膜と、パターン形成に供されるレジスト膜とを含むレジストフィルムが開示されている。ポジ型ドライフィルムレジストが折れ曲がったとしても、ポジ型感光性レジスト層の割れが発生しないように、また、剥離層やポジ型感光性レジスト層が剥がれないように、さらに、カット又はスリットした場合に切り屑が発生しないように、剥離層とポジ型感光性レジスト層間の密着力を高める必要がある。しかし、剥離層とポジ型感光性レジスト層間の密着力が強くなるほど、熱圧着後の剥離において、支持体フィルムのみが剥がれ、剥離層がポジ型感光性レジスト層上に残りやすくなる傾向にある。ポジ型感光性レジスト層上に剥離層が残っていると、露光の際に、ポジ型感光性レジスト層の露光部分から発生するガスが、ポジ型感光性レジスト層と剥離層との間に蓄積するために、現像後の画線に欠陥が生じてしまうという問題があった。特許文献3では、フォトレジスト層の支持体フィルムとは貼付け可能な第2層を有しているため、フォトレジスト層の剥がれや剥離が抑制されている。しかし、微細パターンを形成するためには、第2層がないことが好ましい。特許文献4では、機械的強度を補強するためのドライフィルムレジスト膜を化学処理によって除去した後に、レジスト膜でパターン形成をしているため、ガスによる画像欠陥の問題は生じないが、化学処理という工程を増やす必要がある。そのため、ドライフィルムレジストを基材に熱圧着した後に支持体フィルム及び剥離層を、ポジ型感光性レジスト層と剥離層の界面から容易に剥がすことができることが求められている。
本発明の課題は、ポジ型ドライフィルムレジストを基材に熱圧着した後に支持体フィルム及び剥離層を、ポジ型感光性レジスト層と剥離層の界面から容易に剥がすことができ、また、ポジ型ドライフィルムレジストをカット又はスリットする際に端部から切り屑が発生しにくいポジ型ドライフィルムレジストを提供することである。
上記課題は、下記のポジ型ドライフィルムレジストにより解決される。
(1)少なくとも(a)支持体フィルムと(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層がこの順で積層してなり、(b)剥離層が、(b)剥離層100質量部に対して80質量部以上のポリビニルアルコール、及び、架橋剤を含み、且つ、(c)ポジ型感光性レジスト層が、ノボラック樹脂及びキノンジアジドスルホン酸エステルを主成分として含むことを特徴とするポジ型ドライフィルムレジスト。
(2)(b)剥離層に含まれる架橋剤が、イソシアネート系化合物である上記(1)記載のポジ型ドライフィルムレジスト。
本発明のポジ型ドライフィルムレジストは、図1に示すように、少なくとも(a)支持体フィルムと(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層がこの順で積層してなる。(c)ポジ型感光性レジスト層は、硬く、柔軟性が低いノボラック樹脂を含んでいるが、(b)剥離層を使用すれば、(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層間の密着力が高く、ポジ型ドライフィルムレジストが折れ曲がった場合やカット又はスリットした場合でも、クラックが発生しにくい。また、(a)支持体フィルムと(b)剥離層間の密着力も強固であり、ポジ型ドライフィルムレジストが折れ曲がった場合でも、(b)剥離層及び(c)ポジ型感光性レジスト層の剥がれが発生しにくい。そして、基材にポジ型ドライフィルムレジストを熱圧着後、(a)支持体フィルムを剥がす必要があるが、(b)剥離層が、ポリビニルアルコール及び架橋剤を含んでいることによって、(a)支持体フィルム及び(b)剥離層を、(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層の界面から容易に剥がすことができる。
本発明のポジ型ドライフィルムレジストは、少なくとも(a)支持体フィルムと(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層がこの順で積層してなる。そして、(b)剥離層が、(b)剥離層100質量部に対して80質量部以上のポリビニルアルコール、及び、架橋剤を含み、且つ、(c)ポジ型感光性レジスト層が、ノボラック樹脂及びキノンジアジドスルホン酸エステルを主成分として含むことを特徴とする。また、(b)剥離層に含まれる架橋剤が、イソシアネート系化合物であることが好ましい。
本発明に係わる(a)支持体フィルムとしては、(b)剥離層を形成でき、ポジ型ドライフィルムレジストを、ラミネート法で基材に貼り付けた後剥離することができれば、どのようなフィルムであってもよい。光を透過する透明フィルム、光を遮光する白色フィルム、有色フィルムであってもよい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;ポリイミド;ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、難燃ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリフェニレンサルフィド、ポリエーテルイミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン等のフィルムが使用できる。その中でも特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用すると、ラミネート適性、剥離適性、平滑性に対して有利であり、また、安価で、脆化せず、耐溶剤性に優れ、高い引っ張り強度を持つ等の利点から、非常に利用しやすい。(a)支持体フィルムの厚さは、1〜100μmであることが好ましく、12〜50μmであることがより好ましい。
本発明に係わる(b)剥離層としては、剥離層100質量部に対して80質量部以上のポリビニルアルコール、及び、架橋剤を含む。これらを水溶液として、(a)支持体フィルム上に塗工して、乾燥、硬化させることにより(b)剥離層を形成できる。また(b)剥離層上にポジ型感光性レジスト層をムラなく均一に形成できる特性を有している。
本発明の(b)剥離層に用いられるポリビニルアルコールとしては、(a)支持体フィルムと(b)剥離層間の密着力に優れ、且つ(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層間の密着力に優れた性質のものが選ばれる。使用するポリビニルアルコールは、未変性のものでも、部分的に変性基を導入し、耐水性、耐溶剤性、耐熱性、バリア性、柔軟性等の機能性を付与したものを用いても構わない。また、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。例えば株式会社クラレ製のクラレポバール(登録商標)3−98、4−98 HV、5−98、11−98、28−98、29−99、60−98、25−100(以上、ケン化度=98〜99mol%)、3−88、5−88、9−88、22−88、30−88、44−88、95−88(以上、ケン化度=87〜89mol%)、3−80、5−82、26−80、40−80E(以上、ケン化度=78〜82mol%)、5−74(以上、ケン化度=72〜75mol%)、日本酢ビ・ポバール株式会社製のJC−25、JC−33(以上、ケン化度=99mol%以上)、JF−03、JF−04、JF−05(以上、ケン化度=98〜99mol%)、JP−03、JP−04(以上、ケン化度=86〜90mol%)、JP−05(ケン化度=87〜89mol%)、JP−45(ケン化度=86.5〜89.5mol%)等が挙げられる。
本発明の(b)剥離層に用いられる架橋剤としては、ホウ素化合物、アルデヒド化合物、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、アジリジン化合物、水分散型イソシアネート化合物、アミン化合物、レゾール樹脂、多価金属塩等などを用いることができる。また、架橋反応の進行に必要な触媒が存在する場合、(b)剥離層に触媒を架橋剤と共に含むことができる。これらの中でも、ポジ型ドライフィルムレジストに可撓性、耐熱性及び強度を付与できる観点から、水分散型イソシアネート化合物が好ましい。
水分散型イソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イシホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等が挙げられる。具体的には、第一工業製薬株式会社製のエラストロン(登録商標)BN−69、エラストロンBN−77、エラストロンBN−27、エラストロンBN−11、旭化成株式会社製のデュラネート(登録商標)WB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWT30−100等の商品名で市販されているものを使用することができる。水分散型イソシアネート化合物とは、水中ではイソシアネート基を内包した状態で分散させることによって活性なイソシアネート基を安定に保持することができ、また、水を揮発させることによってイソシアネート基をポリビニルアルコールと反応させることができる材料のことをいう。
(b)剥離層は、ポリビニルアルコールと架橋剤との反応時間を短縮するために、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、酢酸亜鉛、弱塩基性塩、3級アミン等が挙げられる。
(b)剥離層は、(b)剥離層100質量部に対して80質量部以上のポリビニルアルコールを含む。また、架橋剤を含む。これらの成分を合わせて100質量部未満配合する場合、残りの成分としては、可塑剤等の低分子化合物、高分子化合物等が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、カルボキシメチルセルロース(CMC)、にかわ、カゼイン、アルギン酸ソーダ、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロイルモルホリン等の水溶性樹脂が挙げられる。
(b)剥離層の厚さは、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。1μmより薄いと、皮膜形成した際に膜厚むらやピンホールの問題が発生しやすく、20μmより厚いと、(b)剥離層用塗液が水系であるために乾きにくく、塗工後の乾燥工程が長引く傾向にある。
本発明に係わる(c)ポジ型感光性レジスト層は、ノボラック樹脂及びキノンジアジドスルホン酸エステルを主成分として含むことを特徴とする。ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、酸触媒を用いて縮合して得られる樹脂である。ノボラック樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、キシリノールノボラック樹脂、レゾルシノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられる。
ノボラック樹脂の原料となるフェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、オクチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、メトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、ビニルフェノール、アリルフェノール、ベンジルフェノール、メトキシカルボニルフェノール、ベンゾイルオキシフェノール、クロロフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、β−ナフトール、p−ヒドロキシフェニル−2−エタノール、p−ヒドロキシフェニル−3−プロパノール、p−ヒドロキシフェニル−4−ブタノール、ヒドロキシエチルクレゾール等が挙げられる。これらのフェノール類は単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
ノボラック樹脂を得るために用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、アセトン、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル等が挙げられる。これらのアルデヒド類は単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係わるキノンジアジドスルホン酸エステルとしては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンのo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンのo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル等が挙げられる。また、フェノール樹脂のキノンジアジドスルホン酸エステル、クミルフェノールのキノンジアジドスルホン酸エステル、ピロガロール・アセトン樹脂のキノンジアジドスルホン酸エステル等を挙げることができる。
本発明のポジ型ドライフィルムレジストにおいて、キノンジアジドスルホン酸エステルは、ノボラック樹脂100質量部に対し、10〜50質量部の割合で配合するのが好ましく、15〜40質量部の割合で配合するのがより好ましい。この配合量とすることで、耐酸性や加工基材との密着性が著しく優れ、金属や金属酸化膜等の種々の素材のエッチング加工に好適である。
本発明のポジ型ドライフィルムレジストにおいて、キノンジアジドスルホン酸エステルは、ノボラック樹脂100質量部に対し、10〜50質量部の割合で配合するのが好ましく、15〜40質量部の割合で配合するのがより好ましい。この配合量とすることで、耐酸性や基材との密着性が著しく優れ、金属や金属酸化膜等の種々の素材のエッチング加工に好適である。
(c)ポジ型感光性レジスト層には、ノボラック樹脂及びキノンジアジドスルホン酸エステル以外にも、必要に応じて他の成分を含有させてもよい。例えば、カルボキシル基含有ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド等の樹脂を含有してもよい。これらの樹脂の添加によって、可とう性、耐エッチング液性、現像性、密着性が向上する場合がある。また、溶剤、着色剤(染料、顔料)、光発色剤、光減色剤、熱発色防止剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱硬化剤、撥水剤及び撥油剤等を含有してもよい。これらの添加剤は、(c)ポジ型感光性レジスト層の全固形分量に対して、各々0.01〜20質量%程度含有することができる。これらの成分は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
(c)ポジ型感光性レジスト層の厚さは、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。1μm未満であると、基材に熱圧着する際に気泡が入りやすくなる場合がある。また、皮膜形成した際に膜厚むらやピンホールの問題が発生しやすくなる。20μmより厚いと、露光時に光がレジスト底部まで届かず、レジストのボトムが太くなり、台形形状のレジストになる傾向にある。
(a)支持体フィルム上に(b)剥離層を形成する方法、及び、(b)剥離層上に(c)ポジ型感光性レジスト層を設ける方法としては、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフ、ダイコータ、バーコータ等を用いた塗工方法が挙げられる。
本発明のポジ型ドライフィルムレジストは、必要に応じて保護フィルムでポジ型感光性レジストを被覆してもよい。保護フィルムとは、(c)ポジ型感光性レジスト層の(a)支持体フィルムへのブロッキングを防止するために設けられるもので、(a)支持体フィルム及び(b)剥離層とは反対側の(c)ポジ型感光性レジスト層上に設けられる。保護フィルムとしては、フィッシュアイの小さいものが好まれる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等などが挙げられる。
次に、本発明のポジ型ドライフィルムレジストを用いたエッチング方法について詳説する。まず、本発明のポジ型ドライフィルムレジストを基材の少なくとも片面に、(c)ポジ型感光性レジスト層が基材に接触するようにして、ラミネート法によって熱圧着して貼り付ける。本発明に係わる基材とは、エッチング加工を実施する基材であり、製造物によって決定される。プリント配線板、リードフレーム、メタルマスク、シャドウマスク、半導体パッケージ、電極部材、電磁波シールド等の製造においては、金属基材が選択される。例えば、銅、銅系合金(チタン銅合金、銅ニッケル合金等)、ニッケル、クロム、鉄、タングステン、ステンレスや42アロイ等の鉄系合金、アルミ、アモルファス合金等の金属基材が使用できる。また、ITO、FTO等の金属酸化膜が使用できる。さらに、プリント配線板製造等に使用される、銅張積層板、(無)電解めっき済基板、フレキシブル銅張積層板、フレキシブルステンレス板、積層体等が使用できる。
基材の少なくとも片面にポジ型ドライフィルムレジストを貼り付ける方法は、ラミネート法が使用される。一般的な、プリント基板用熱ラミネーター、また、真空ラミネーターが使用できる。ニップ圧力、搬送速度、ロール温度は、使用する基材によって異なるが、気泡やムラなく、熱圧着によって貼り付けることができれば、何れの条件であってもよい。
ポジ型ドライフィルムレジストを基材に貼り付けた後、(a)支持体フィルムを除去する。除去する際、60℃以上の条件下で、支持体フィルムを剥がす。60℃未満の条件下であると、(b)剥離層と(c)ポジ感光性レジスト層間の密着力が高く、(b)剥離層と(a)支持体フィルムを一緒に剥がすことが難しく、(a)支持体フィルムを剥がすと、(b)剥離層が(c)ポジ型感光性レジスト層上に残ること、又は、(c)ポジ型感光性レジスト層ごと部分的に剥がれることがある。
次に、所望のパターンを紫外線により露光する。露光方法は、レーザー直接描画、フォトマスクを介した密着露光、投影露光によって行われる。超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
次に、アルカリ現像を実施する。アルカリ現像によって、(c)ポジ型感光性レジスト層の紫外線露光部を除去する。アルカリ現像液としては、強アルカリ水溶液が有用に使用される。現像に使用される塩基性アルカリ性化合物としては、例えば、ケイ酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム塩等の無機塩基性化合物;エタノールアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、モルホリン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機塩基性化合物を挙げることができる。露光部のポジ型感光性レジスト層に対する現像性を調整するために、レジスト現像液の濃度、温度、スプレー圧等を調整する必要がある。現像液の温度が高いほど、現像速度が速くなり、40℃以上の温度が好ましい。アルカリ現像液における塩基性化合物の濃度としては、水酸化カリウムの場合、1〜4質量%であることが好ましい。装置としては、ディップ処理装置、シャワースプレー装置等を利用することができる。
次に、基材のエッチング処理を実施する。本発明に係わるエッチングとは使用される基材を溶解除去できるものであれば何れであってもよい。エッチング液としては、例えば、アルカリ性アンモニア、硫酸−過酸化水素、塩化第二銅、過硫酸塩、塩化第二鉄、王水等が挙げられる。また、装置や方法としては、例えば、水平スプレーエッチング、浸漬エッチング、等の装置や方法を使用できる。これらの詳細は、「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、1987年刊行、日刊工業新聞社発行)に記載されている。また、本発明に用いることができるめっき処理方法も、例えば、同書に記載されている。
次に、アルカリ液によってレジスト剥離を実施するが、その前に、紫外線を照射して露光してもよい。露光することで、(c)ポジ型感光性レジスト層は、アルカリ液によって除去しやすくなる。レジスト剥離に使用される塩基性化合物としては、例えば、ケイ酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム塩等の無機塩基性化合物;エタノールアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、モルホリン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機塩基性化合物を挙げることができる。レジスト剥離工程において、レジスト剥離液の濃度、温度、スプレー圧、超音波条件等を調整する必要がある。レジスト剥離液の温度が高いほど、(c)ポジ型感光性レジスト層が溶解する速度が速くなり、40℃以上の温度が好ましい。レジスト剥離液における塩基性化合物の濃度としては、溶解性に適した濃度がよく、塩基性化合物が水酸化ナトリウムの場合、1〜4質量%であることが好ましい。装置としては、ディップ処理装置、超音波装置、シャワースプレー装置等を利用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
表1に示すポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール、株式会社クラレ製)を準備し、10質量部に対して90質量部の水を加え、温水で攪拌することで溶解させ、10質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。次に、ポリビニルアルコール固形分100質量部に対して、3質量部の水分散型ブロックイソシアネート化合物(商品名:エラストロンBN−77、第一工業製薬株式会社製)、0.15質量部のイソシアネート架橋反応触媒(商品名:エラストロンCAT−21、第一工業製薬株式会社製)、硬化促進剤(酢酸亜鉛二水和物、富士フイルム和光純薬株式会社製)を加えて剥離層用塗液(実施例1〜2)を作製した。
ワイヤーバーを用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム((a)支持体フィルム、商品名:ダイアホイル(登録商標)T100、25μm厚、三菱ケミカル株式会社製)上に、実施例1〜2の剥離層用塗液を塗工し、120℃で30分間乾燥し、水分を除去し、PETフィルム上に(b)剥離層(厚さ3μm)を設けた。
表1に示す実施例3のポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール、株式会社クラレ製)を使用し、10質量部に対して90質量部の水を加え、温水で攪拌することで溶解させ、10質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。また、ポリビニルアルコール固形分100質量部に対して、3質量部の水分散型ブロックイソシアネート化合物(商品名:エラストロンBN−77、第一工業製薬株式会社製)、0.15質量部のイソシアネート架橋反応触媒(商品名:エラストロンCAT−21、第一工業製薬株式会社製)、硬化促進剤(炭酸水素ナトリウム、富士フイルム和光純薬株式会社製)を加えて剥離層用塗液(実施例3)とした。
また、表1に示す比較例1のポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール、株式会社クラレ製)を使用し、10質量部に対して90質量部の水を加え、温水で攪拌することで溶解させ、10質量%のポリビニルアルコール水溶液(比較例1の剥離層用塗液)を得た。次に、ワイヤーバーを用いてPETフィルム((a)支持体フィルム、商品名:ダイアホイルT100、25μm厚、三菱ケミカル株式会社製)上に実施例3及び比較例1の剥離層用塗液を塗工し、120℃で30分間乾燥し、水分を除去し、PETフィルム上に(b)剥離層(厚さ3μm)を設けた。
次に、o−クレゾールノボラック樹脂(質量平均分子量44,000)を100質量部、及び2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル30質量部を、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート300質量部に溶解した後、この溶液をメンブレンフィルター(孔径1μm)にてろ過して、ポジ型感光性レジスト層用の塗工液を得た。
次に、(b)剥離層を設けた(a)支持体フィルムの(b)剥離層面に、上記ポジ型感光性レジスト層用塗工液を、ワイヤーバーで塗工して、80℃で10分間乾燥し、溶剤を除去し、3層の構造((a)支持体フィルム/(b)剥離層/(c)ポジ型感光性レジスト層)からなるポジ型ドライフィルムレジストを作製した。
(カット試験)
作製したポジ型ドライフィルムレジストを、10cm×10cmの大きさに、カッターマット上でカッターを用いてカットした。カットした切り口を顕微鏡で観察した結果、実施例1〜3及び比較例1において、(c)ポジ型感光性レジスト層には割れが発生していなかった。
作製したポジ型ドライフィルムレジストを、10cm×10cmの大きさに、カッターマット上でカッターを用いてカットした。カットした切り口を顕微鏡で観察した結果、実施例1〜3及び比較例1において、(c)ポジ型感光性レジスト層には割れが発生していなかった。
次に、研磨及び脱脂した銅張積層板の銅層表面に、上記実施例1〜3、比較例1のポジ型ドライフィルムレジストの(c)ポジ型感光性レジスト層が銅層表面に接触するように熱圧着により貼り付けた。その際、一般的なプリント基板用ラミネーターを用いた。ラミネート条件はロール温度110℃、搬送速度0.5m/min、圧力0.2MPaにて実施した。
(剥離試験)
次に、65℃に設定した恒温器に、ポジ型ドライフィルムレジストを貼り付けた銅張積層板を入れ、温まったところで(a)支持体フィルムを剥がした。実施例1〜3に関しては、問題なく(a)支持体フィルムと(b)剥離層を、(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層との界面から剥がすことができた。一方、比較例1に関しては、(a)支持体フィルムを剥がすと、(a)支持体フィルムと(b)剥離層との界面から剥がれ、(b)剥離層が(c)ポジ型感光性レジスト層上に残ってしまった。
次に、65℃に設定した恒温器に、ポジ型ドライフィルムレジストを貼り付けた銅張積層板を入れ、温まったところで(a)支持体フィルムを剥がした。実施例1〜3に関しては、問題なく(a)支持体フィルムと(b)剥離層を、(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層との界面から剥がすことができた。一方、比較例1に関しては、(a)支持体フィルムを剥がすと、(a)支持体フィルムと(b)剥離層との界面から剥がれ、(b)剥離層が(c)ポジ型感光性レジスト層上に残ってしまった。
(レジストパターン再現性)
次に、超高圧水銀灯紫外線照射装置を用い、50μmのラインとスペースを有するテストチャートマスクを、実施例1〜3では(c)ポジ型感光性レジスト層上に、比較例1では(b)剥離層上にかぶせ、吸引密着させて露光した。次に、1質量%の水酸化カリウム水溶液(レジスト現像液)に40℃にて、80秒間浸漬させ、(c)ポジ型感光性レジスト層の露光部を除去して、現像を行った。なお、比較例1では、(b)剥離層も同時に除去した。その後、水洗を行い、乾かした。テストチャートマスクと同等のラインとスペースが再現できているかどうかを確認したところ、実施例1〜3では再現性は良好であり、画線上に欠陥が存在しなかったが、比較例1では、露光時のガス発生が原因と考えられる画線のエッジ部分の上側に円形の欠け欠陥が多発していた。
次に、超高圧水銀灯紫外線照射装置を用い、50μmのラインとスペースを有するテストチャートマスクを、実施例1〜3では(c)ポジ型感光性レジスト層上に、比較例1では(b)剥離層上にかぶせ、吸引密着させて露光した。次に、1質量%の水酸化カリウム水溶液(レジスト現像液)に40℃にて、80秒間浸漬させ、(c)ポジ型感光性レジスト層の露光部を除去して、現像を行った。なお、比較例1では、(b)剥離層も同時に除去した。その後、水洗を行い、乾かした。テストチャートマスクと同等のラインとスペースが再現できているかどうかを確認したところ、実施例1〜3では再現性は良好であり、画線上に欠陥が存在しなかったが、比較例1では、露光時のガス発生が原因と考えられる画線のエッジ部分の上側に円形の欠け欠陥が多発していた。
(エッチングパターン再現性)
次に、60℃の塩化第二鉄溶液を用意し、0.2MPaの圧力でスプレー処理を約5分間実施し、銅のエッチングを行った。その後、速やかに水洗−乾燥を実施した。次に、300mJ/cm2の紫外線を全面に照射した後、40℃の1質量%水酸化カリウム水溶液(レジスト剥離液)に3分間浸漬して、レジスト剥離を実施した。銅層の50μmのラインパターンを観察したところ、実施例1〜3についてはパターンの欠けもなく、再現性は良好であった。一方、比較例1については、ラインパターンの線幅にばらつきがみられた。
次に、60℃の塩化第二鉄溶液を用意し、0.2MPaの圧力でスプレー処理を約5分間実施し、銅のエッチングを行った。その後、速やかに水洗−乾燥を実施した。次に、300mJ/cm2の紫外線を全面に照射した後、40℃の1質量%水酸化カリウム水溶液(レジスト剥離液)に3分間浸漬して、レジスト剥離を実施した。銅層の50μmのラインパターンを観察したところ、実施例1〜3についてはパターンの欠けもなく、再現性は良好であった。一方、比較例1については、ラインパターンの線幅にばらつきがみられた。
以上の結果から明らかなように、本発明のポジ型ドライフィルムレジストによれば、ポジ型ドライフィルムレジストを基材に熱圧着した後に、(a)支持体フィルム及び(b)剥離層を、(c)ポジ型感光性レジスト層と(b)剥離層の界面から容易に剥がすことができ、また、割れが発生しにくいことが判る。
本発明のポジ型ドライフィルムレジストは、プリント配線板、リードフレーム、メタルマスク、シャドウマスク、半導体パッケージ、電極部材、電磁波シールド等の製造において、金属基材のエッチング加工やめっきによる金属加工の際のレジストとして利用可能である。
(a)支持体フィルム
(b)剥離層
(c)ポジ型感光性レジスト層
(b)剥離層
(c)ポジ型感光性レジスト層
Claims (2)
- 少なくとも(a)支持体フィルムと(b)剥離層と(c)ポジ型感光性レジスト層がこの順で積層してなり、(b)剥離層が、(b)剥離層100質量部に対して80質量部以上のポリビニルアルコール、及び、架橋剤を含み、且つ、(c)ポジ型感光性レジスト層が、ノボラック樹脂及びキノンジアジドスルホン酸エステルを主成分として含むことを特徴とするポジ型ドライフィルムレジスト。
- (b)剥離層に含まれる架橋剤が、イソシアネート系化合物である請求項1記載のポジ型ドライフィルムレジスト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019116609A JP2021002012A (ja) | 2019-06-24 | 2019-06-24 | ポジ型ドライフィルムレジスト |
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JP (1) | JP2021002012A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022163778A1 (ja) * | 2021-01-28 | 2022-08-04 | 富士フイルム株式会社 | 積層体の製造方法、回路配線の製造方法、電子デバイスの製造方法、及び、感光性転写材料 |
-
2019
- 2019-06-24 JP JP2019116609A patent/JP2021002012A/ja active Pending
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