JP4101591B2 - 厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物、厚膜ホトレジスト積層体、厚膜レジストパターンの製造方法及び接続端子の製造方法 - Google Patents

厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物、厚膜ホトレジスト積層体、厚膜レジストパターンの製造方法及び接続端子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物、厚膜ホトレジスト積層体、厚膜レジストパターンの製造方法及び接続端子の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、回路基板の製造や、回路基板に実装するCSP(チップサイズパッケージ)等の電子部品の製造において、バンプやメタルポストなどの接続端子、配線パターン、層間絶縁層、回路保護膜等の形成に好適に用いられる厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物、厚膜ホトレジスト積層体、厚膜レジストパターンの製造方法及び接続端子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、精密微細加工技術の主流となっているホトファブリケーションとは、感光性樹脂組成物を加工物表面に塗布して塗膜を形成し、ホトリソグラフィー技術によって塗膜をパターニングし、これをマスクとして化学エッチング、電解エッチング及び/又は電気めっきを主体とするエレクトロフォーミングを行って、半導体パッケージ等の各種精密部品を製造する技術の総称である。
近年、電子機器のダウンサイジングに伴い、半導体パッケージの高密度実装技術が進み、パッケージの多ピン薄膜実装化、パッケージサイズの小型化、フリップチップ方式による2次元実装技術、3次元実装技術に基づいた実装密度の向上が図られている。このような高密度実装技術においては、接続端子として、例えば、パッケージ上に突出したバンプ等の突起電極(実装端子)や、ウエーハ上のペリフェラル端子から延びる再配線と実装端子とを接続するメタルポストなどが基板上に高精度に配置される。
【0003】
上記のようなホトファブリケーションに使用される材料として厚膜用ホトレジストがある。厚膜用ホトレジストは、厚膜ホトレジスト層を形成するものであり、例えば、めっき工程によるバンプやメタルポストの形成などに用いられている。バンプやメタルポストは、例えば、支持体上に膜厚約20μm以上の厚膜ホトレジスト層を形成し、所定のマスクパターンを介して露光し、現像して、バンプやメタルポストを形成する部分が選択的に除去(剥離)されたレジストパターンを形成し、この除去された部分(非レジスト部)に銅などの導体をめっきによって埋め込んだ後、その周囲のレジストパターンを除去することにより形成することができる。
厚膜用ホトレジストとしては、例えば、特開平10−207057号公報、特開2000−39709号公報、特開2000−66386号公報に、パンプ形成用や配線形成用として用いられる光重合性の感光性樹脂組成物が記載されている。
【0004】
一方、従来の光重合性の感光性樹脂組成物よりも高感度な感光性樹脂組成物として、酸発生剤を含む化学増幅型ホトレジストが知られている。化学増幅型ホトレジストの特徴は、放射線照射(露光)により、酸発生剤から酸が発生し、露光後の加熱処理により酸の発生が促進されて、樹脂組成物中のベース樹脂等に対し酸触媒反応を起こし、そのアルカリ溶解性を変化させることである。
化学増幅型レジストには、放射線照射により、アルカリ不溶であったものがアルカリ可溶化するポジ型と、アルカリ可溶であったものがアルカリ不溶化するネガ型とがある。例えば、化学増幅型ネガ型レジストの代表的な例としては、SPIEプロシーディング(Proceeding of SPIE)、1086巻、34−47頁(1989年)に、L.E.Boganらのポリビニルフェノールとメラミン誘導体を組み合わせたレジストが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
化学増幅型ホトレジストの光反応効率(一光子当たりの反応)は、従来のレジストに比べて飛躍的に高まっている。
従来の厚膜用ホトレジストとして光重合性感光性樹脂組成物に対して露光する場合、反応効率が低いため、露光時の光の拡散等の問題から、マスクとホトレジストとを密着させるコンタクト露光を用いる必要があった。一方、化学増幅型ホトレジストを用いれば、マスクとホトレジストに間隔のあるプロキシミティ露光(ギャップ露光)でも高精度のレジストパターンを形成することができ、製造工程上有利である。
しかしながら、従来の化学増幅型レジストを使用して厚膜レジスト層を作成した場合、耐めっき性が十分ではなかった。また、このように、従来の化学増幅型レジストを用いて形成した厚膜レジスト層の場合、例えば厚さ1μm以下の通常の薄膜レジスト層と異なり、垂直性やアスペクト比などの現像プロファイル(現像後の断面形状)が悪く、高精度のレジストパターン特性が得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高精度のレジストパターンを得ることができ、接続端子等の製造に適した耐めっき性を備えた高感度の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の酸発生剤を含有する厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物により上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明は、支持体上に、膜厚20〜150μmの厚膜ホトレジスト層を形成するために用いられる厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物であって、(a)酸及び架橋剤の作用によりアルカリ溶解性が低くなる脂、(b)放射線照射により酸を発生するN−スルホニルオキシイミド化合物、及び架橋剤を含有し、固形分濃度が30〜65質量%である厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物である。
本発明の第2の発明は、支持体と、(a)酸及び架橋剤の作用によりアルカリ溶解性が低くなる樹脂、(b)放射線照射により酸を発生するN−スルホニルオキシイミド化合物、及び架橋剤を含有する厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物からなる膜厚20〜150μmの厚膜ホトレジスト層とが積層されていることを特徴とする厚膜ホトレジスト積層体である。
本発明の第3の発明は、前記厚膜ホトレジスト積層体を得る積層工程と、該厚膜ホトレジスト積層体に選択的に放射線を照射する露光工程と、該露光工程後に現像して厚膜レジストパターンを得る現像工程とを含むことを特徴とする厚膜レジストパターンの製造方法である。
本発明の第4の発明は、前記厚膜レジストパターンの製造方法を用いて得られた厚膜レジストパターンの非レジスト部に、導体からなる接続端子を形成する工程を含むことを特徴とする接続端子の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物は、特定の(b)放射線照射により酸を発生するN−スルホニルオキシイミド化合物が用いられていれば、ポジ型であってもネガ型であってもよい。
【0009】
以下に、ネガ型の例を説明する。
(a)酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂:
厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物がネガ型である場合、(a)酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する樹脂(以下、(a)成分という。)は、酸の作用によりアルカリ溶解性が低くなる樹脂であり、一般にネガ型の化学増幅型ホトレジストのベース樹脂として用いられている樹脂であれば特に限定されず、露光に使用する光源に応じて、従来公知のものから任意に選択して使用することが可能である。例えば、ノボラック樹脂やアクリル樹脂を主成分とするものがその特性が良好であることから、一般的に広く用いられている。
特に好ましい(a)成分としては、(イ)ノボラック樹脂及び/又はアクリル樹脂と、(ロ)ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体とからなるものを例示することができる。これは、(イ)ノボラック樹脂及び/又はアクリル樹脂(以下、(イ)成分という。)に(ロ)ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体を加えることにより、現像プロファイルが更に向上するためである。(イ)成分としては、ノボラック樹脂及びアクリル樹脂をそれぞれ単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0010】
〈(イ)成分〉
・ノボラック樹脂
ノボラック樹脂は、例えばフェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
この際、使用されるフェノール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
またアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
付加縮合反応時の触媒は、特に限定されるものではないが、例えば酸触媒では、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、蓚酸、酢酸等が使用される。
特に、フェノール類としてm−クレゾールのみを用いたノボラック樹脂は、現像プロファイルが特に良好であり好ましい。
上記ノボラック樹脂は、質量平均分子量が3000〜10000、好ましくは6000〜9000、さらに好ましくは7000〜8000の範囲内のものが好ましい。質量平均分子量が3000未満であると、現像後に膜が減る(薄くなる)傾向があり、また、質量平均分子量が10000を超えると、現像後に残渣が残る傾向があり、好ましくない。
【0011】
・アクリル樹脂
本発明に用いられるアクリル樹脂は、(a1)エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位、および(a2)カルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含有する。
(a1)エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体等を例示することができ、好ましくは、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートである。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
(a2)カルボキシル基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有する化合物等を例示することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。これらの化合物は単独もしくは2種以上組み合わせて使用できる。
アクリル樹脂中における(a1)エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位の含有量は30〜90質量%が好ましく、さらに好ましくは40〜80質量%がよい。90質量%を超えると、樹脂溶液に対する相溶性が悪くなり、プリベイク時にベナードセル(重力もしくは表面張力勾配等によって塗膜表面に生じる不均一性を有する五〜七角形のネットワークパターン)が発生して均一なレジスト膜が得られにくい傾向があり、30質量%未満ではめっき時にクラックが発生する傾向がある。
また、アクリル樹脂中における(a2)カルボキシル基を有する重合性化合物から誘導された構成単位の含有量は好ましくは2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜40質量%がよい。2質量%未満であると、アクリル樹脂のアルカリ溶解性が低下し、十分な現像性が得られない。また剥離性が低下し基板上にレジストが残膜する。50質量%を超えると、現像後の残膜率の低下や耐めっき性が悪化する傾向がある。
【0012】
(ロ)ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体(以下、(ロ)成分という。)としては、例えば、p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン、α−メチルヒドロキシスチレン、α−エチルヒドロキシスチレン等のα−アルキルヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン構成単位のみからなるラジカル重合体またはイオン重合体や、前記ヒドロキシスチレン構成単位とそれ以外の構成単位からなる共重合体が挙げられる。重合体中のヒドロキシスチレン構成単位の割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10〜30質量%である。これは、ヒドロキシスチレン構成単位の割合が10質量%未満であると、現像性、解像性が低下する傾向があるためである。
また、前記(ロ)成分の質量平均分子量は、好ましくは5000以下、より好ましくは2000以上4000以下である。これは、質量平均分子量が5000を超えると解像性が低下する傾向があるためである。
【0013】
前記ヒドロキシスチレン構成単位以外の構成単位を形成するモノマーとして好ましいのは、ヒドロキシスチレン構成単位のヒドロキシル基を他の基で置換したモノマーまたはα,β−不飽和二重結合を有するモノマーなどである。
【0014】
前記ヒドロキシスチレン構成単位のヒドロキシル基を置換する他の基としては、酸の作用により解離しないアルカリ溶解抑制基が使用される。
酸の作用により解離しないアルカリ溶解抑制基としては、置換または未置換のベンゼンスルホニルオキシ基、置換または未置換のナフタレンスルホニルオキシ基、置換または未置換のベンゼンカルボニルオキシ基、置換または未置換のナフタレンカルボニルオキシ基などが挙げられ、置換または未置換のベンゼンスルホニルオキシ基の具体例としては、ベンゼンスルホニルオキシ基、クロロベンゼンスルホニルオキシ基、メチルベンゼンスルホニルオキシ基、エチルベンゼンスルホニルオキシ基、プロピルベンゼンスルホニルオキシ基、メトキシベンゼンスルホニルオキシ基、エトキシベンゼンスルホニルオキシ基、プロポキシベンゼンスルホニルオキシ基、アセトアミノベンゼンスルホニルオキシ基などが、また置換または未置換のナフタレンスルホニルオキシ基の具体例として、ナフタレンスルホニルオキシ基、クロロナフタレンスルホニルオキシ基、メチルナフタレンスルホニルオキシ基、エチルナフタレンスルホニルオキシ基、プロピルナフタレンスルホニルオキシ基、メトキシナフタレンスルホニルオキシ基、エトキシナフタレンスルホニルオキシ基、プロポキシナフタレンスルホニルオキシ基、アセトアミノナフタレンスルホニルオキシ基などが好ましい。さらに、置換または未置換のベンゼンカルボニルオキシ基および置換または未置換のナフタレンカルボニルオキシ基としては前記置換または未置換のスルホニルオキシ基をカルボニルオキシ基に置き換えたものが挙げられる。中でも、アセトアミノベンゼンスルホニルオキシ基またはアセトアミノナフタレンスルホニルオキシ基が好ましい。
【0015】
また、α,β−不飽和二重結合を有するモノマーの具体例としては、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸フェニル等のアクリル酸モノマー、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のモノマーなどが挙げられるが、中でもスチレンが好ましい。
【0016】
(ロ)成分としては、ヒドロキシスチレンとスチレンとから得られた共重合体、例えばポリ(4−ヒドロキシスチレン−スチレン)共重合体、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−メチルスチレン)共重合体などは、高解像性を示すとともに耐熱性も高く好適である。
【0017】
なお、(a)成分が、(イ)成分と(ロ)成分とを含む混合樹脂からなる場合は、(イ)成分と(ロ)成分の総和を100質量部として、(イ)成分が50〜98質量部、好ましくは55〜95質量部、(ロ)成分が50〜2質量部、好ましくは45〜5質量部であるのがよい。このような配合割合とすると、現像性、解像性共によくなることから好ましい。
【0018】
(b)放射線照射により酸を発生するN−スルホニルオキシイミド化合物
本発明の組成物においては、酸発生剤として、(b)放射線照射により酸を発生するN−スルホニルオキシイミド化合物(以下、(b)成分という。)が用いられている。この化合物は、N−ヒドロキシイミド化合物とスルホン酸とのエステルであり、一般的な薄膜のレジスト層を形成するための酸発生剤としてこれまでに多数知られている。(b)成分としては、(a)成分等を考慮して、公知のものを任意に選択して用いることができるが、特に、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
【0019】
【化2】
Figure 0004101591
[式中、Rは置換されていてもよいアリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基、Rは置換されていてもよいアルキル基又はアリール基である]
【0020】
上記一般式(I)において、R1のうちのアリーレン基としては、単環又は2環のものを挙げることができるが、フェニレン基及びナフチレン基が好ましい。また、その置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、アセチルアミノ基などが挙げられる。
アルキレン基としては、直鎖又は分枝状の炭素数1〜6のものが好ましく挙げられ、特にエチレン基、プロピレン基が好ましい。その置換基としては、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、単環のアリール基などが挙げられる。
アルケニレン基としては、炭素数2〜4のものが好ましく挙げられ、特にビニリデン基が好ましい。その置換基としては単環のアリール基などが挙げられる。
【0021】
一方、R2のうちのアルキル基としては、直鎖状、分枝状又は環状の炭素数1〜12のアルキル基が好ましく挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。その置換基としては、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、単環のアリール基などが挙げられる。アリール基としては単環又は2環のものを挙げることができ、好ましくはフェニル基である。その置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基などが挙げられる。
【0022】
このようなN−ヒドロキシイミド化合物の具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0023】
【化3】
Figure 0004101591
【0024】
【化4】
Figure 0004101591
【0025】
【化5】
Figure 0004101591
【0026】
(b)成分としては、これらの化合物を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
特に、炭素数1〜2の低級アルキルスルホン酸を発生する酸発生剤を用いた場合は、感度と解像性が優れており好ましい。また、炭素数7〜9の高級アルキルスルホン酸を発生する酸発生剤を用いた場合は、レジストトップ部分の丸みを抑制でき、断面視矩形性に優れており好ましい。さらに、これらの酸発生剤に加えて、炭素数3〜6の中級アルキルスルホン酸を発生する酸発生剤を用いた場合は、感度、解像性、レジストパターン形状をバランスよく向上させることができ好ましい。
(b)成分として、特に、(ハ)ハロゲン置換若しくは未置換の炭素数1〜2のアルキルスルホニルオキシイミドや(ニ)ハロゲン置換若しくは未置換の炭素数3〜6のアルキルスルホニルオキシイミド、(ホ)ハロゲン置換若しくは未置換の炭素数7〜9のアルキルスルホニルオキシイミド等を用いる場合、感度、解像性及びレジストパターン形状が優れた厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物を得ることができるので好ましい。
【0027】
前記(ハ)成分の形成に用いられる、ハロゲン置換若しくは未置換の炭素数1〜2のアルキルスルホン酸におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基が挙げられる。ハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、ハロゲン置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、モノクロロエチル基などが挙げられる。これらの中でアルキル基がメチル基のもの、すなわちメタンスルホン酸が高感度、高解像性という点で好ましい。
【0028】
同様に、(ニ)成分の形成に用いられる、ハロゲン置換若しくは未置換の炭素数3〜6のアルキルスルホン酸におけるアルキル基としては、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。また、これらのアルキル基の少なくとも1つがハロゲンで置換されたアルキル基でもよい。これらの中でアルキル基がブチル基のもの、すなわちブタンスルホン酸が高感度であり、膜減りを低減でき好ましい。
【0029】
さらに、(ホ)成分についても同様に、ハロゲン置換若しくは未置換の炭素数7〜9のアルキルスルホン酸におけるアルキル基としては、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。また、これらのアルキル基の少なくとも1つがハロゲンで置換されたアルキル基でもよい。これらのなかでアルキル基がオクチル基のもの、すなわちオクタンスルホン酸が膜減りと近接効果を低減でき好ましい。
【0030】
一方、前記(ハ)成分、(ニ)成分、(ホ)成分の形成に用いられるN−ヒドロキシイミド化合物としては、N−ヒドロキシコハク酸イミドが好ましく、該イミドとメタンスルホン酸、ブタンスルホン酸及びオクタンスルホン酸のエステルが最も好ましい。
【0031】
本発明の組成物においては、この(b)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対して、1〜20質量部の範囲が好ましい。この(b)成分の含有量が1質量部未満では感度が不十分となるおそれがあり、20質量部を超えると均一なレジスト組成物が得られにくく、現像性も低下するおそれがある。感度、レジスト組成物の均一性及び現像性などを考慮すると、この(b)成分のより好ましい含有量は、5〜15質量部の範囲である。
【0032】
厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物がネガ型である場合、上述した成分以外に、さらに、架橋剤が必須成分として含まれる。
本発明に用いられる架橋剤としては、特に制限はなく、公知の任意の化学増幅型ネガ型ホトレジスト組成物に使用されている架橋剤から適宜選択して用いることができる。例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が用いられるが、特にアルコキシメチル化メラミン樹脂やアルコキシメチル化尿素樹脂等のアルコキシメチル化アミノ樹脂等が好適に使用できる。中でも、具体的にメトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、メトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、プロポキシメチル化尿素樹脂、ブトキシメチル化尿素樹脂等が挙げられる。前記アルコキシメチル化アミノ樹脂の単独、または2種以上の組み合わせが用いられる。特にアルコキシメチル化メラミン樹脂は、放射線の照射量の変化に対するレジストパターンの寸法変化量が小さく安定したレジストパターンが形成できて好ましい。
【0033】
前記架橋剤は、(a)及び(b)成分の総量100質量部に対して1〜30質量部の範囲で含有することが好ましい。架橋剤が1質量部未満では、得られた厚膜の耐めっき性、耐薬品性、密着性の低下や、形成されたバンプ形状が不良であることがあり好ましくなく、また30質量部を超えると現像時に現像不良を起こすことがあり好ましくない。
【0034】
本発明の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物には、本質的な特性を損なわない範囲で、さらに所望により混和性のある添加物、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤などの慣用されているものを添加含有させることができる。
【0035】
さらに、本発明の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物は、粘度調整のため有機溶剤を適宜配合することができる。前記有機溶剤としては具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;及び乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0036】
これらの溶剤の使用量は、例えばスピンコート法を用いて、好ましくは20μm以上の膜厚を得るためには、厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物における固形分濃度が30質量%から65質量%になる範囲が好ましい。固形分濃度が30質量%未満の場合は、接続端子の製造に好適な厚膜を得ることが困難であり、65質量%を超えると組成物の流動性が著しく悪化し、取り扱いが困難な上、スピンコート法では、均一なレジストフィルムが得られにくい。
【0037】
本発明の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物の調製は、例えば、上記成分を通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、必要に応じディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
【0038】
次に、ポジ型の例を示す。
ポジ型の場合は、上述した架橋剤が不要である。また、(a)成分は、酸の作用によりアルカリ溶解性が高くなる樹脂であり、一般にポジ型の化学増幅型ホトレジストのベース樹脂として用いられている樹脂であれば特に限定されず、従来公知のものから任意に選択して使用することが可能である。例えば、ノボラック樹脂を主成分とし、そのヒドロキシル基の少なくとも一部が、酸の作用により解離するアルカリ溶解抑制基で置換されたものが好ましい。
特に好ましい(a)成分としては、上述のネガ型と同様の(イ)ノボラック樹脂及び/又はアクリル樹脂と(ロ)ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体とからなり、そのヒドロキシル基の少なくとも一部が、酸の作用により解離するアルカリ溶解抑制基で置換されたものを例示することができる。
酸の作用により解離するアルカリ溶解抑制基としては、tert−ブチルオキシ基、tert−アミルオキシ基などの第3級アルキルオキシ基;テトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基などの環状アセタールオキシ基;エトキシエチルオキシ基、メトキシプロピルオキシ基などの鎖状アセタールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基などのシクロアルキルオキシ基;1−メチルシクロヘキシルオキシ基、1−エチルシクロアルキルオキシ基などの1−アルキル−シクロアルキルオキシ基;1−メチルアダマンチルオキシ基、1−エチルアダマンチルオキシ基などの1−アルキル−ポリシクロアルキルオキシ基などから選択される少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。
上述のネガ型の例において、架橋剤及び(a)成分を除く(b)成分及びその他の成分は同じものを使用することができる。
【0039】
本発明の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物は、支持体上に、好ましくは20μm以上、より好ましくは20〜150μm、より好ましくは30〜120μm、さらに好ましくは55〜75μmの膜厚の厚膜ホトレジスト層を形成するのに適している。
【0040】
また、化学増幅型ホトレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する際、従来は、基板や配線パターン、接続端子など、支持体の少なくとも一部に銅が用いられている場合、特に銅基板の場合に、現像不良を生じやすいという問題があった。これは、化学増幅型レジスト中の酸発生剤と銅との接触部分において、該酸発生剤の働きが銅により増幅されてしまい、非露光部であっても酸を発生してしまうためと考えられ、例えばネガ型の場合、非露光部で酸が発生すると、酸の作用により樹脂がアルカリ不溶性になってしまい、現像した際に非露光部の支持体上に残渣が残り、ポジ型の場合、酸により樹脂がアルカリ可溶性になってしまい、現像した際に非露光部の支持体接触部分まで除去されてしまうなど、現像プロファイルが悪くなることがあった。
しかしながら、前記N−スルホニルオキシイミド化合物は、銅によるこのような影響を受けにくく、そのため、酸発生剤として前記N−スルホニルオキシイミド化合物を含有するホトレジスト組成物を用いることにより、支持体の少なくとも一部に銅が用いられている場合(特に銅基板)であっても、良好な現像プロファイルのレジストパターンを得ることができる。
【0041】
次に、本発明の厚膜ホトレジスト積層体は、支持体上に前記厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物からなる厚膜ホトレジスト層が積層されているものである。支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板に所定の配線パターンが形成されたものなどを例示することができる。該基板としては、例えば銅、クロム、鉄、アルミニウムなどの金属製の基板やガラス基板などが挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、ハンダ、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などが用いられる。
前記厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物は、上述したように、銅による影響を受けにくいので、銅基板など、少なくとも一部に銅が用いられているような支持体においても好適に用いることができる。
【0042】
厚膜ホトレジスト積層体は、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、上述したように調製した厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物の溶液を基板上に塗布し、加熱により溶媒を除去することによって所望の塗膜を形成する。被処理基板上への塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などの方法を採用することができる。本発明の組成物の塗膜のプレベーク条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚などによって異なるが、通常は70〜130℃で、好ましくは80〜120℃で、2〜60分間程度である。
【0043】
厚膜ホトレジスト層の膜厚は、好ましくは20μm以上、より好ましくは20〜150μm、より好ましくは30〜120μm、さらに好ましくは55〜75μmの範囲であることが望ましい。膜厚が20μm未満の場合、CSP等の電子部品製造に要求される性能を満たすことが困難になるおそれがある。
【0044】
そして、このようにして得られた厚膜ホトレジスト積層体を用いてレジストパターンを形成するには、得られた厚膜ホトレジスト層に、所定のパターンのマスクを介して、放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線または可視光線を選択的に照射(露光)する。これらの放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどを用いることができる。ここで放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線などを意味する。放射線照射量は、組成物中の各成分の種類、配合量、塗膜の膜厚などによって異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合、100〜2000mJ/cm2である。
そして、露光後、公知の方法を用いて加熱することにより酸の発生と拡散を促進させて、この露光部分の厚膜ホトレジスト層のアルカリ溶解性を変化させる。ついで、例えば、所定のアルカリ性水溶液を現像液として用いて、不要な部分を溶解、除去して所定のレジストパターンを得る。現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。また前記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
現像時間は、組成物各成分の種類、配合割合、組成物の乾燥膜厚によって異なるが、通常1〜30分間であり、また現像の方法は液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法などのいずれでも良い。現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、エアーガンや、オーブンなどを用いて乾燥させる。
【0045】
そして、このようにして得られたレジストパターンの非レジスト部(アルカリ現像液で除去された部分)に、例えばめっきなどによって金属などの導体を埋め込むことにより、メタルポストやバンプ等の接続端子を形成することができる。なお、めっき処理方法はとくに制限されず、従来から公知の各種方法を採用することができる。めっき液としては、とくにハンダめっき、銅めっき液が好適に用いられる。
残っているレジストパターンは、最後に、定法に従って、剥離液等を用いて除去する。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、特記しない限り、部は質量部、%は質量%を示す。
【0047】
実施例1
<アルカリ可溶性ノボラック樹脂A1の合成>
m−クレゾールにホルマリンを加え、シュウ酸触媒を用いて、定法により縮合させて、アルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。この樹脂に対して分別処理を施し、質量平均分子量1000未満の低分子領域のものをカットして、質量平均分子量3000のノボラック樹脂A1を得た。
<厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物の調製>
ノボラック樹脂A1 72部
ヒドロキシスチレン樹脂(質量平均分子量2500)(日本曹達社製、商品名:UP−2500) 18部
下記式で表される酸発生剤 2部
【化6】
Figure 0004101591
架橋剤(ヘキサメトキシメチル化メラミン;三和ケミカル社製、商品名:ニカラックMw−100) 10部
上記を溶剤(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート150部)に溶解させた後、孔径1.0μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、ネガ型の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物を調製した。
【0048】
実施例2
<アルカリ可溶性ノボラック樹脂A2>
m−クレゾールに代えて、m−クレゾール:p−クレゾール=60:40(質量比)の混合物を用いた以外は実施例1と同様にしてアルカリ可溶性ノボラック樹脂を得た。この樹脂に対して分別処理を施し、質量平均分子量1000未満の低分子領域のものをカットして、質量平均分子量3000のノボラック樹脂A2を得た。
ノボラック樹脂A1に代えてノボラック樹脂A2を用いた以外は実施例1と同様にして、ネガ型の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物を調製した。
【0049】
比較例1
酸発生剤として、下記式で表される化合物を用いた以外は実施例1と同様にしてネガ型の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物を調製した。
【0050】
【化7】
Figure 0004101591
【0051】
試験例1
上記実施例及び比較例で製造したネガ型の化学増幅型ホトレジスト組成物を用いて下記に示す特性評価を行った。
・相溶性
各組成物をそれぞれ室温にて12時間混合、攪拌し、攪拌直後および攪拌後12時間経過後の溶解状態を目視にて観察した。分散状態を下記の評価基準で判定した。
○:12時間攪拌後に組成物が、均一に分散することが目視で確認された。
△:12時間攪拌後に組成物が、均一に分散するが長時間静置により相分離した。
×:12時間攪拌後に組成物が、均一に分散していない。
【0052】
・塗布性
5インチの銅スパッタリングウエーハ(銅基板)上にスピンナーを用いて、各組成物を1000rpmにて25秒間塗布した後、110℃で6分間ホットプレート上で加熱した。形成された塗膜を目視で観察し、塗布性を下記の評価基準で判定した。
〇:得られた塗膜にムラがなく均一である。
×:得られた塗膜にピンホールやはじき等のムラがある。
【0053】
・現像・解像性
5インチの銅スパッタリングウェーハ上にスピンナーを用いて、各組成物を、膜厚約20μmとなるように、1800rpmにて25秒間塗布後、110℃で6分間ホットプレート上でプレベークして厚膜ホトレジスト積層体を形成した。
膜厚約65μmの塗膜の場合、800rpmにて25秒間塗布後、110℃で1分間ホットプレート上でプレベークし、さらに800rpmにて25秒間塗布後、110℃で9分間プレベークして厚膜ホトレジスト積層体を形成した。
また、膜厚約120μmの塗膜の場合、800rpmにて25秒間塗布後、110℃で1分間ホットプレート上でプレベークし、さらに800rpmにて25秒間塗布後、110℃で1分間ホットプレート上でプレベークし、さらに800rpmにて25秒間塗布後、110℃で13分間プレベークして厚膜ホトレジスト積層体を形成した。
上記で得られた厚膜ホトレジスト積層体を、ステッパー(Ultratech社製、Saturn Spectrum 3 Wafer Stepper)を用いて解像度測定用のパターンマスクを介して、それぞれを200〜3000mJ/cmの範囲で段階的に紫外線露光を行った。露光後、110℃で6分間加熱し、これを、現像液(商品名PMERシリーズ、P−7G、東京応化工業社製)で現像した。
この後、流水洗浄し、窒素ブローしてパターン状硬化物を得た。これを顕微鏡で観察し、現像・解像性を下記の評価基準で判定した。
○:5μm角のホールパターンが前記いずれかの露光量で解像し、残渣が認められない場合。
×:5μm角のホールパターンが解像していない、または、残渣が認められた場合。
この際、アスペクト比(アスペクト比=パターン上のレジスト高さ÷パターン上のレジスト幅)も測定し、表1中にその最大値を示した。
【0054】
・耐めっき性
「現像・解像性評価」で得られたパターン状硬化物を有する基板を試験体として、酸素プラズマでアッシング処理後、亜硫酸銅めっき液に40℃で3時間浸漬し、流水洗浄し、被処理試験体を得た。光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて、被処理試験体上に形成されたバンプとパターン状硬化物の状態を観察し、パターン状硬化物のめっき液に対する耐性、形成されたパンプの形状、パターン状硬化物のめっき処理工程に対する耐性を下記の評価基準で判定した。
〇:形成されたバンプとパターン状硬化物の状態に特に変化が無く良好
×:パターン状硬化物にクラックや膨らみや欠けが生じる、またはパターン状硬化物の表面が荒れている。
【0055】
・バンプ形状
「耐めっき性評価」と同様の操作で被処理試験体を得、形成されたバンプとパターン状硬化物の状態を光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて観察し、形成されたバンプの形状を下記の評価基準で判定した。また、バンプ形状が良好である場合には、基板とバンプの角度とマスク寸法に対する誤差比率を測定した。
○:バンプの形状がパターン状硬化物に依存(追随)し、良好。
×:パンプの形状がパターン状硬化物に依存せず、膨らみが生じている。
【0056】
・剥離性
「現像・解像性評価」で得られたパターン状硬化物を有する基板を試験体として、70℃にて攪拌中の剥離液(東京応化工業社製ストリッパー710)に10分間浸漬した後、アルコールでリンス液洗浄してパターン状硬化物を剥離し、目視観察あるいは光学顕微鏡で観察し下記の基準で評価した。
〇:パターン状硬化物の残渣が認められない。
×:パターン状硬化物の残渣が認められた。
【0057】
・感光性
5インチのシリコンウエーハ上、膜厚約40μmの塗膜を形成し、解像度測定用のパターンマスクを介して、ステッパー(Ultratech社製、Saturn Spectrum 3 Wafer Stepper)を用いて10000〜200mJ/cmの範囲で分割露光した。これを、現像液(商品名PMERシリーズ、P−7G、東京応化工業社製)で現像した。この後、流水洗浄し、窒素ブローしてパターン状硬化物を得た。これを顕微鏡で観察し、5μm角のホールパターンが解像し、残渣が認められなくなる露光量、すなわちホールパターンを形成するのに必要な最低限の露光量を測定した。
【0058】
試験例1の結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004101591
【0059】
この結果は、酸発生剤として特定のN−スルホニルオキシイミド化合物が用いられている厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物が、支持体として銅基板が用いられている場合であっても、高感度で、耐めっき性等の特性に優れ、且つ現像プロファイルが良好であることを示している。
【0060】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、現像プロファイルの良好な、高精度のレジストパターンを得ることができ、接続端子等の製造に適した耐めっき性を備えた高感度の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物、厚膜ホトレジスト積層体、これを用いたレジストパターン製造方法及び接続端子製造方法が提供される。

Claims (9)

  1. 支持体上に、膜厚20〜150μmの厚膜ホトレジスト層を形成するために用いられる厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物であって、
    (a)酸および架橋剤の作用によりアルカリ溶解性が低くなる脂、(b)放射線照射により酸を発生するN−スルホニルオキシイミド化合物、及び架橋剤を含有し、固形分濃度が30〜65質量%であることを特徴とする厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物。
  2. 前記(b)成分が、下記一般式:
    Figure 0004101591
    [式中、Rは置換されていてもよいアリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基、Rは置換されていてもよいアルキル基又はアリール基である]
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物。
  3. 前記R が、置換されていてもよいアリーレン基又はアルケニレン基である請求項2記載の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物。
  4. 前記(a)成分が、(イ)ノボラック樹脂及び/又はアクリル樹脂と、(ロ)ヒドロキシスチレン構成単位を有する重合体とを含む混合樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物。
  5. 前記(イ)成分が、酸触媒の存在下でm−クレゾールとアルデヒド類とを縮合させて得られるノボラック樹脂であることを特徴とする請求項記載の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物。
  6. 前記支持体の少なくとも一部に銅が用いられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物。
  7. 支持体と、(a)酸及び架橋剤の作用によりアルカリ溶解性が低くなる樹脂、(b)放射線照射により酸を発生するN−スルホニルオキシイミド化合物、及び架橋剤を含有する厚膜用化学増幅型ホトレジスト組成物からなる膜厚20〜150μmの厚膜ホトレジスト層とが積層されていることを特徴とする厚膜ホトレジスト積層体。
  8. 請求項記載の厚膜ホトレジスト積層体を得る積層工程と、該厚膜ホトレジスト積層体に選択的に放射線を照射する露光工程と、該露光工程後に現像して厚膜レジストパターンを得る現像工程とを含むことを特徴とする厚膜レジストパターンの製造方法。
  9. 請求項記載の厚膜レジストパターン製造方法を用いて得られる厚膜レジストパターンの非レジスト部に、導体からなる接続端子を形成する工程を含むことを特徴とする接続端子の製造方法。
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