JP2021001098A - ニオブ系非鉛圧電セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

ニオブ系非鉛圧電セラミックス及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 水熱合成法で作製したナノサイズの粒径のニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用することで圧電特性を高めた圧電セラミックス及びその製造方法に関する。【解決手段】少なくとも炭酸リチウム、炭酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ビスマス及び酸化鉄をそれぞれ所定範囲内で加え、原料に、水熱合成法で作製したニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを添加剤として加えてpHを弱アルカリ化処理し、混合、粉砕、焼成等させ、比誘電率の温度特性の変化率を下げ、比誘電率、等価圧電定数及び圧電特性を高めたニオブ系非鉛圧電セラミックス及びその製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、ニオブ系非鉛圧電セラミックス及びその製造方法、特に原料に、水熱合成法で作製したナノサイズの粒径のニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用することによってpHを弱アルカリ化処理を可能としたニオブ系非鉛圧電セラミックス及びその製造方法に関する。
環境問題から鉛を含まない圧電セラミックスに対する期待は大きいが、鉛を含まない圧電セラミックスは、圧電特性が低く、製造工程に特殊な方法を用いるなど実用化が困難であった。
これについては、特許5213135(特許文献1)が公表されている。
それによれば、(Na,K)NbOが主体をなし、好ましくはPZTと同じ菱面体晶―正方晶相境界を形成し、環境に優しい新規な固溶体組成物及びこのものから得られる圧電セラミックス、並びに当該セラミックスを用いた圧電、誘電、焦電素子を提供することにあるの記載がされている(0010)。
この特許文献1には、発明の効果として、優れた圧電定数dを示すため、超音波振動子等への利用を記載している。そのなかで、「本発明はニオブ系において初めて室温で菱面体晶-正方晶の相境界を形成することにより圧電特性を向上したものであり,今後のニオブ系非鉛圧電セラミックスの開発の指針を与えるものと期待される」.(0013)とあるが,本発明を室温付近で使用する用途では問題ないが,高温、低温で使用する用途では相境界からずれるため,圧電特性が大きく異なる可能性がある.そのため,カメラなどの過酷な条件下で使用する用途では扱いが難しいといった問題点が見いだされた。
また、特許4326374(特許文献2)が公表されている。
この特許文献2には、「本発明は、結晶配向セラミックス及びその製造方法に関し、更に詳しくは、加速度センサ、焦電センサ、超音波センサ、電界センサ、温度センサ、ガスセンサ、ノッキングセンサ、ヨーレートセンサ、エアバックセンサ、圧電ジャイロセンサ等の各種センサ、圧電トランス等のエネルギー変換素子、圧電アクチュエータ、超音波モータ、レゾネータ等の低損失アクチュエータ又は低損失レゾネータ、キャパシタ、バイモルフ圧電素子、振動ピックアップ、圧電マイクロホン、圧電点火素子、ソナー、圧電ブザー、圧電スピーカ、発振子、フィルタ等に用いられる圧電材料、あるいは、コンデンサ並びに積層コンデンサ等に用いられる誘電材料、熱電変換材料、イオン伝導材料等として好適な結晶配向セラミックス及びその製造方法に関する(0001)」と記載されている。
このなかで、発明を実施するための最良の形態として、「第2異方形状粉末の製造方法としては、具体的には、異方形状粉末生成原料に適当なフラックス(例えば、NaCl、KCI、NaClとKClの混合物、BaCl2、KF等)を加えて所定の温度で加熱する方法(フラックス法)、作製しようとする第2異方形状粉末と同一組成を有する不定形粉末をアルカリ水溶液と共にオートクレーブ中で加熱する方法」(0079)が記載されている。
このなかで、「第2のKNN系化合物は、結晶格子の異方性が極めて小さいので、第2のKNN系化合物からなり、かつ特定の結晶面を発達面とする第1異方形状粉末(すなわち、異方形状粉末A)を直接、合成するのは困難である。(0080)、このように、特許文献2からも認められるように、この発明を実施するには、高度な製造技術が必要であることが認められるよう。
次に、非特許文献1が公表されている。例えば、「トヨタ中央研究所、デンソーのグループによる非鉛系圧電セラミック材料の開発について」について報道がなされている。
これによれば、その要点として、「豊田中央研究所の齋藤康善主任研究員らはデンソーと共同で、従来のジルコン酸チタン酸鉛(PZT)に匹敵し、鉛フリーでは従来の2倍と最高の圧電特性を持つ新しい非鉛圧電材料を開発した。」さらに、「ニオブ酸アルカリ金属の新組成で、新しい配向多結晶組織を作り出して実現した。圧電センサーや圧電駆動素子など、幅広い分野で鉛フリー化の突破口となる。」、「成果は31日付英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載した旨の報道である。
ついで、新材料は二つの組成の材料を混合し、固溶体を形成した場合に、斜方晶から正力晶に構造相転移する現象を発見して、正方晶にするとともに、その結晶方位をブロック状の<001>に多結晶配向するプロセスを開発して実現した。従来の焼結法では配向性がなかったが、新しい配向プロセスで91%まで配向性を高めた。ちょうど石垣のように多結晶が配向されているという。<001>に配向した新材料の圧電定数は253℃まで1ニュートン当たり416ピコクーロンの圧電特性を持ち、PZTの特性に匹敵する。無配向のものでも1ニュートン当たり300ピコクーロンあるという。また、配向することで、圧電特性の温度依存性が消失したという。この機構は解明中だが、圧電歪みの温度安定性を要求される応用には有利になるとの記載が認められる。
また、非特許文献2、日本経済新聞 平成16年11月1日号、にもこれと同趣旨の記述が認められる。
さらに、非特許文献3、雑誌セラミックス誌によれば、同様な記載が認められるが,非特許文献1で解明中であった、配向することで圧電特性の温度依存性が消失した起因について考察している。「本開発材料はセラミックスを結晶配向することにより,電界誘起変位が大きく,かつ温度安定性の高い非鉛圧電アクチュエータ素子の実現が期待される。なお,結晶配向による電界誘起変位の温度依存性の狭小化は,電界誘起変位を構成する格子変位とドメイン回転変位のうち,温度変化により生じる内部応力によって抑制されやすいドメイン回転変位が,配向セラミックスでは発生する内部応力が低いため阻害されにくいことに起因すると推測している」との記述が認められる。(607頁)
本発明者らによる鋭意研究したこと結果、これら従来技術にあっては、ニオブ系圧電セラミック材料で、−40℃〜170℃の温度範囲の温度特性が良いと見られる組成も存在していた。しかしながら、電気機械結合係数(kt)と比誘電率が低くなる欠点が認められた。この重大な欠陥を解決しなければ実用化は難しいことも見いだされた。
より具体的には、ニオブ系非鉛圧電セラミック材料の主材料であるニオブ酸ナトリウム・カリウムは、斜方晶から正方晶への相転移が200℃付近に存在している。他方、圧電特性を高くするために添加剤を加えると−40℃〜170℃にあって、電気機械結合係数(kp)、比誘電率等の圧電特性を高くすることができる.しかしながら,相転移が室温付近に存在するため,−40℃から170℃の比誘電率の変化率が大きくなり温度特性が悪くなることである。
他方、一般的に、原料に炭酸ナトリウムと炭酸カリウムを使用するため、混合時と粉砕時のスラリーのpHが強アルカリ性になるため、水系の混合方法を実施することが難しい欠陥があった。そのため,一般的にエタノールなどの有機溶剤を用いて混合を行うが,エタノールなどは揮発性が高く,爆発の危険性があるため,取扱いが難しい.かかる解決策ないし具体的な検討が見当たらない。
さらに、製品化に向けてはつぎの対策が求められる。すなわち、斜方晶と正方晶では、電気機械結合係数(kp)と比誘電率の圧電特性が異なり、特に比誘電率が大きく異なることが製品化する場合に大きく影響するが、かかる解決策ないし具体的な検討が見当たらない。
特許4326374号公報
特許5213135号公報
「トヨタ中央研究所、デンソーのグループによる非鉛系圧電セラミック材料の開発について」日刊工業新聞誌、平成16年11月1日。
日本経済新聞誌 平成16年11月1日。
セラミックス誌 第40巻 第8号 605頁から608頁 平成17年8月1日発行。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、本発明は、ニオブ系非鉛圧電セラミックス及びその製造方法、特に原料に、水熱合成法で作製したナノサイズの粒径のニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用することによってpHを弱アルカリ化処理を可能としたニオブ系非鉛圧電セラミックス及びその製造方法に関する。とりわけ、圧電特性を高くするために添加剤を加えることで、−40℃〜170℃の温度範囲に移動させることとしたニオブ系非鉛圧電セラミックス及びその製造方法に関する。
なお、本発明で使用するmol表示は質量モル(mol)濃度として用いた。
本発明によれば、少なくとも炭酸リチウムを0molから0.2mol、炭酸バリウムを0molから0.1mol、酸化ジルコニウムを0molから0.1mol、酸化チタンを0molを超え、それから0.1mol、酸化ビスマスを0molを超え、それから0.02mol及び酸化鉄を0molを超え、それから0.02molの割合で配合し、室温下で混合粉砕し、一次混合粉砕液を得る。該一次混合粉砕液に150℃〜300℃で1〜12時間ソルボサーマル反応させた水熱合成法で作製したニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムをそれぞれ0.4molから0.6molの割合で配合し、混合物を得る。 該混合物を構成
する物質の化学式は、
(1−C−E)(LiA(NaB(1−B)(1−A)NbOCBa(ZrDTi(1−D))OEBiFeO
(0<A<0.2、0.4≦B≦0.6、0<C≦0.1、0<D<1.00、0<E<0.02)であり、前記混合物を室温下で再度混合粉砕する事で、二次混合粉砕液を得る。該二次混合粉砕液はpH10以下のpH8.9〜pH9.8の弱アルカリ性を示した状態で乾燥し、乾燥物を得る。該乾燥物を700℃から800℃で仮焼結し、粉砕、乾燥して一次仮焼粉砕乾燥粉を得る。該一次仮焼粉砕乾燥粉を700℃から800℃で再度仮焼結し、粉砕、乾燥して二次仮焼粉砕乾燥粉を得る。該二次仮焼粉砕乾燥粉を整粒して作製した整粒粉を成型、焼成、分極処理して得られた圧電セラミックスは、−40℃から170℃の範囲で比誘電率の温度特性の変化率が−500ppm/℃から500ppm/℃であり、比誘電率が1000から5000の範囲で且つ、等価圧電定数が100pC/Nから300pC/Nの範囲の圧電特性を有する圧電セラミックスにより提供される。
また、本発明は、前記比誘電率の値が、−40℃の低温側から170℃まで測定した時と、170℃の高温側から−40℃まで測定した時の値の差が最大38であり、かつ、相転移前後の比誘電率のヒステリシスが32から38の範囲内である前記記載の圧電セラミックスにより提供される。
さらにまた、本発明は、前記水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムにおいて、前記ニオブ酸ナトリウムのナトリウムとニオブの組成比Na/Nb(x)が1.00≦x≦1.01の範囲のものと、前記ニオブ酸カリウムのカリウムとニオブの組成比K/Nb(x)が1.00≦x≦1.01の範囲である前記記載の圧電セラミックスにより提供される。
また、本発明は、圧電、誘電及び焦電セラミックスから選ばれたいずれかである前記記載の圧電セラミックスにより提供される。
本発明は、少なくとも炭酸リチウムを0molから0.2mol、炭酸バリウムを0molから0.1mol、酸化ジルコニウムを0molから0.1mol、酸化チタンを0molを超え、それから0.1mol、酸化ビスマスを0molを超え、それから0.02mol及び酸化鉄を0molを超え、それから0.02molの割合で配合し、室温下で混合粉砕し、一次混合粉砕液を得る。該一次混合粉砕液に150℃から300℃で1〜12時間ソルボサーマル反応させた水熱合成法で作製したニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムをそれぞれ0.4molから0.6molの割合で配合し、混合物を得る。該混合物を構成する物
質の化学式は、
(1−C−E)(LiA(NaB(1−B)(1−A)NbOCBa(ZrDTi(1−D))OEBiFeO
(0<A<0.2、0.4≦B≦0.6、0<C≦0.1、0<D<1.00、0<E<0.02)であり、前記混合物を室温下で再度混合粉砕する事で、二次混合粉砕液を得る。該二次混合粉砕液はpH10以下のpH8.9〜pH9.8の弱アルカリ性を示した状態で乾燥し、乾燥物を得る。該乾燥物を700℃から800℃で仮焼結し、粉砕、乾燥して一次仮焼粉砕乾燥粉を得る。該一次仮焼粉砕乾燥粉を700℃から800℃で再度仮焼結し、粉砕、乾燥して二次仮焼粉砕乾燥粉を得る。該二次仮焼粉砕乾燥粉を整粒して作製した整粒粉を成型、焼成、分極処理して得られた圧電セラミックスは、−40℃から170℃の範囲で比誘電率の温度特性の変化率が−500ppm/℃から500ppm/℃であり、比誘電率が1000から5000の範囲で且つ、等価圧電定数が100pC/Nから300pC/Nの範囲の圧電特性を有する圧電セラミックスの製造方法により提供される。
また、本発明は、前記比誘電率の値が、−40℃の低温側から170℃まで測定した時と、170℃の高温側から−40℃まで測定した時の値の差が最大38であり、かつ、相転移前後の比誘電率のヒステリシスが32から38の範囲内である前記記載の圧電セラミックスの製造方法により提供される。
さらにまた、本発明は、前記水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムにおいて、前記ニオブ酸ナトリウムのナトリウムとニオブの組成比Na/Nb(x)が1.00≦x≦1.01の範囲のものと、前記ニオブ酸カリウムのカリウムとニオブの組成比K/Nb(x)が1.00≦x≦1.01の範囲である前記記載の圧電セラミックスの製造方法により提供される。
また、本発明は、圧電、誘電及び焦電セラミックスから選ばれたいずれかを製造する前記記載の圧電セラミックスの製造方法により提供される。
ニオブ系非鉛圧電セラミック材料、特に原料に、水熱合成法で作製したナノサイズの粒径のニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用することによってpHを弱アルカリ化処理を可能とし、圧電特性を高くするために添加剤を加えることで、−40℃〜170℃の温度範囲に移動させることとしたニオブ系非鉛圧電セラミック材料とするキュリー点効果が得られる。
より具体的には、ニオブ系非鉛圧電セラミックスの−40℃〜170℃の範囲で、比誘電率の温度変化が−500p.p.m/℃と非常に小さい材料が得られた。比誘電率の値が、−40℃の低温側から高温側に移動させ測定した昇温時と、170℃の高温側から低温側に移動させ測定した降温時の値の差が小さくなり、相転移前後のヒステリシスが小さい材料が得られた。詳細は後述するが、キュリー点として、本発明は図3において338℃、従来技術は図4において約280℃となることが図中に縦線として示され、約58℃の有意な差異が認められる。
ニオブ系非鉛圧電セラミック材料の原料として水熱合成法で作製されたニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用することで、水を使用した方法で製造することができる。 材料の製造工程で秤量後の湿式混合において、水を溶媒として使用した湿式混合を実施しても安定した特性を得ることができる。その結果、キュリー点(Tc)が、338℃と高い値が得られた。焼成体のグレインサイズが、0.5μm〜5μmの範囲の大きさである。焼成体の密度(ρ)が、4.56g/cmと高い焼成密度が得られた。焼成体の焼成密度が高いことから、ポアサイズが小さく、細かく切断する用途に使用できる。
等価圧電定数(d33)は、239p×10−12C/N(d33メータ値)が得られた。その結果、ニオブ系非鉛圧電セラミックスの焼成体の色調が、焼成体の外部と内部全体が赤褐色の色調を示す材料が得られた。
図1は本発明であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料における比誘電率の昇温、降温時の温度特性図である。 図2は従来技術であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料における比誘電率の昇温、降温時の温度特性図である。 図3は本発明であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるキュリー温度特性図である。 図4は従来技術であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるキュリー温度特性図である。 図5は本発明であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるグレインサイズの様子を示す走査電子顕微鏡SEM画像で2000倍で測定したものである。 図6は本発明の他の実施例であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるグレインサイズの様子を示す走査電子顕微鏡SEM画像で2000倍で測定したものである。 図7は従来技術であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるグレインサイズの様子を示す走査電子顕微鏡SEM画像で2000倍で測定したものである。 図8は水熱合成法利用有無による違いを示した比誘電率の温度特性図である。
この発明のポイントは、圧電特性を高く、温度変化の方向によって比誘電率の変化を減少させる対策を与えることにある。
具体的には、置換剤、添加剤を加えたニオブ系非鉛圧電セラミック材料では、斜方晶から正方晶、正方晶から立方晶への相転移が知られている。本発明では、斜方晶から正方晶への対応を図ることにある。
ニオブ系非鉛圧電セラミック材料は−40℃〜170℃の温度範囲で斜方晶から正方晶への相転移が認められる。この結果、この温度範囲で比誘電率の変化が生じてしまう、この欠陥を解決することを目的として本発明をするに至った。また、この温度範囲は、実際の製品設計における使用温度範囲でもあるので、この対策は必須となる。
より具体的には、ニオブ系非鉛圧電セラミック材料の比誘電率値は−40℃の低温側から温度を高めて測定する場合は斜方晶から正方晶への相転移が生じ、170℃の高温側から温度を低めて測定する場合正方晶から斜方晶への相転移があり、比誘電率値が大きく異なる傾向が認められる。これは、相転移前後でのヒステリシスを持つことに原因がある。 温度変化の方向によって比誘電率の変化の傾向が異なり、製品に使用する場合の欠陥ともなりかねない。いわゆるヒステリシス現象といえよう。図1及び図2はこの状態を示したものである。図1は本発明であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料における比誘電率の昇温、降温時の温度特性図である。図2は従来技術であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料の対比を示した比誘電率の昇温、降温時の温度特性図である。測定方法はインピーダンスアナライザーで測定したものである。これら図1、図2からも明らかな差異が認められよう。
この結果は、相転移前後でのヒステリシスに起因した斜方晶と正方晶での電気機械結合係数(kp)、比誘電率が大きく異なるため、相転移前後での圧電特性をコントロールすることが重要となる。
しかしながら、前記した従来技術では、現在までにかかる実用化の問題点の解決策を提供されていなかった。本発明はかかる温度特性の解決策を実施例を基に
説明する。
その解決策として、本発明にあっては、圧電特性を高くするために、添加剤なしでの解決を目指したが温度特性の良い材料を得られたとしても電気機械結合係数(kp)と比誘電率が低くなるために、実際に使用できる特性が得られなかった。他方、特定の添加剤を加えることで、電気機械結合係数(kp)と比誘電率特性の良好な結果が得られ、温度は−40℃〜170℃の温度範囲で好結果が得られることを見いだした。
本発明は、ペロブスカイト酸化物であるニオブ酸ナトリウム(NaNbO)とニオブ酸カリウム(KNbO)が主体をなし、鉛を含まない圧電固溶体組成物及びこのものを焼結して得られる圧電セラミックス、並びに当該セラミックスを用いた圧電、誘電、焦電素子並びにその製造方法に関するものである。
原料に炭酸ナトリウムと炭酸カリウムを使用すると、混合時と粉砕時のスラリーのpHが強アルカリ性になるため、本発明では、原料に、水熱合成法で作製したナノサイズの粒径のニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用することによってpHを弱アルカリにすることが可能である。ここで、本発明に関して水熱合成法についてより詳細には実施例2で具体的に説明する。
また、ニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムのナトリウムとニオブ及びカリウムとニオブの組成比(x)か1.00≦x≦1.01の範囲のものを使用する。これらの詳細は実施例3として後述する。
製造方法1では、(x)が1.00及び(x)が1.01の違いを確認すべく、(x)の範囲を変化させた。これらをそれぞれ用意した。
以下、製造方法1について具体的に説明する。
ニオブ系非鉛圧電セラミック材料の組成として、
質の化学式は、
(1−C−E)(LiA(NaB(1−B)(1−A)NbOを基準にして、A及びBを下記の範囲でそれぞれ変化させ実施した。
0<A<0.2
0.4≦B≦0.6
これに、チタン酸ジルコン酸バリウム及びビスマスフェライトを添加した組成とした。
(1−C−E)(LiA(NaB(1−B)(1−A)NbOCBa(ZrDTi(1−D))OEBiFeO
(0<A<0.2、0.4≦B≦0.6、0<C≦0.1、0<D<1.00、0<E<0.02)
本発明の配合方法は、炭酸リチウムを0molから0.2mol、炭酸バリウムを0molから0.1mol、酸化ジルコニウムを0molから0.1mol、酸化チタンを0molを超え、それから0.1mol、酸化ビスマスを0molを超え、それから0.02mol及び酸化鉄を0molを超え、それから0.02molの割合で配合した。
また、代表例として全体の配合量が100gスケールになるように配合した表1のNo.2の組成の配合量及びその作製方法を説明する。
その配合方法及び配合量は、炭酸リチウムを0.057mol、炭酸バリウムを0.05mol、酸化ジルコニウムを0.0415mol、酸化チタンを0.0085mol、酸化ビスマスを0.005mol、酸化鉄を0.005molの割合で配合し、ボールミルにより300mlの水中で24時間混合粉砕し、一次混合粉砕液を作製した。また、表1のNo.2の組成の配合量に対し、他のNo.おけるA〜Eの組成の配合量はそれぞれ、No.2に対する相違する比率按分で決定されることは容易に理解できよう。
その一次混合粉砕液に150℃〜300℃で1〜12時間ソルボサーマル反応させた水熱合成法で作製したニオブ酸ナトリウムを0.444molとニオブ酸カリウムを0.444molの割合で配合し、混合物を作製した。その混合物を室温下で再度ボールミルにより300mlの水中で24時間混合粉砕して二次混合粉砕液を作製した。その後、その二次混合粉砕液はpH10以下のpH8.9〜pH9.8の弱アルカリを示した状態で、85℃48時間乾燥し、乾燥物を作製した。
ついで、この乾燥物700℃から800℃の範囲で2回仮焼結を実施した。1回目の仮焼結は電気炉を用いて800℃2時間で行い、その後、その仮焼粉をボールミルにより300ml水中にて24時間粉砕させ、恒温槽を用いて85℃で48時間乾燥し、一次仮焼粉砕乾燥粉を作製した後に再度、仮焼結を実施した。
2回目の仮焼結温度範囲は、一度目の仮焼結と同一の温度条件の800℃、時間は2時間で行った。但し、一度目の仮焼結と二度目の仮焼結は、焼成温度が異なる条件で実施しても良い。焼結雰囲気の条件として、本実施例では大気雰囲気中で行ったが、大気以外の雰囲気として実施も可能である。例えば、酸素雰囲気中により製造できる。
仮焼粉の粉砕方法については、ボールミル、ビーズミルなどの方法で、二次仮焼粉砕乾燥粉の粒径が1μm以下になるように、2回目の仮焼粉をボールミルにより300mlの水中にて24時間粉砕させ、恒温槽を用いて85℃で48時間乾燥し、二次仮焼粉砕乾燥粉を作製した。
その後、二次仮焼粉砕乾燥粉と10wt%のバインダーを混合し、#40メッシュの篩を通過させ、恒温槽を用いて110℃で1時間乾燥し、顆粒状の整粒粉を作製した。
整粒後に、φ15mmの金型に整粒粉を投入し、油圧プレス機(200tonプレス)を用いて圧力を加えて成型密度(ρ)が約2.3g/cmから2.6g/cmで成型体の厚みが1.5mmになるように成型した。圧力を加える時間は1から10秒とした。
なお、成型密度(ρ)が約2.3から2.6g/cmで成型は、上限2.6g/cm、下限2.3g/cmのなかで、変化させ実施した。その結果は、2.5g/cmが最適であった。
成型した後、電気炉を用いて温度範囲が700℃から800℃で脱脂を行うが、実施例では700℃で4時間保持し、その後、焼成温度範囲1100℃から1250℃で焼成することが良い。実施例では1200℃で実施した。焼成時の雰囲気は大気等で実施した。
焼成後、焼成体をT=0.5mmの厚さまで研磨機(6BN、HAMAI、#800番手研磨剤)を用いて加工し、その後、加工した素子の表面に銀ペースト(SR−2099、ナミックス株式会社製)をスクリーン印刷法で塗布し、電気炉を用いて800℃で銀電極を設ける。その銀電極付きの素子を50℃の絶縁オイル(シリコンオイル)中で4.0kV/mmの電圧を10分間印加して分極してニオブ系非鉛圧電セラミックスを製造した。また、ニオブ系非鉛圧電セラミック材料の測定方法は、分極処理後に24時間放置し、インピーダンスアナライザー(Agilent社製 装置4294A)を用いて共振−反共振法により測定した。また、等価圧電定数の測定にはd33メータ(ZJ−43、中国科学院声字研究所)を用いて測定した。
本発明のニオブ系非鉛圧電セラミックスはこの製造方法1で得られた。
得られたニオブ系非鉛圧電セラミックスを下記の方法により、電気機械結合係数、比誘電率、圧電定数、比誘電率の温度特性、キュリー点の温度特性を測定した。
測定装置、測定方法
本発明の製造方法1で作製したニオブ系非鉛圧電セラミック材料の比誘電率の温度特性の測定方法について説明する。
ここで得られた直径φ10×T0.5mmの形状の圧電素子について、24時間放置した後、小型超低温恒温器(前記MC−811,espec)を使用して、−40℃から170℃までと、170℃から−40℃までの10℃ごとにインピーダンスアナライザー(Agilent社製 装置4294A)を用いて、周波数1kHz、電圧0.5Vの時の静電容量を測定して比誘電率を算出した。
その結果を図1ないし図2に示す。
図1は、比誘電率の温度特性図として、その測定を−40℃から170℃の温度範囲に昇温、逆に170℃から−40℃へと降温させたときの比誘電率の変化を示したものである。本発明では比誘電率の値が、−40℃の低温側から測定した昇温時と、170℃の高温側から測定した降温時の値の差が最大38と小さく、かつ、相転移前後の比誘電率のヒステリシス値が32から38の範囲内であった。
一般的に、水晶のような材料では、−40℃から170℃の温度範囲で比誘電率が殆ど変化しないことが知られている。本発明にあっても、この図1から見られるようにこの範囲内で十分な実用性を持つ素材が提供できたことが認められる。
また、図2は、従来技術で作製の比誘電率の温度特性図として、その測定を−40℃から170℃の温度範囲に昇温、逆に170℃から−40℃へと降温させたときの比誘電率の変化を示したものである。特に、170℃から下げていくと60℃付近になると降温時と昇温時の差が最大455と非常に大きなヒステリシスの差異があり、実用性が無いと評価された。
そのため、従来技術で作製したニオブ系非鉛圧電セラミック材料は、室温付近で使用する用途では問題ないが高温、低温で使用する用途では、相境界からずれるため、圧電特性の測定値で大きく異なる可能性がある。そのため、カメラなどの過酷な条件下で使用する用途では扱いが難しく、実用性が無いと評価された。

















表1は主成分であるニオブ酸リチウムナトリウムカリウムのニオブ酸リチウムの配合比AをパラメーターとしたNo.1からNo.14についての測定結果である。配合パラメーターAの範囲を本発明の範囲内の上限及び下限に設定し、他の配合パラメーターB、C、D及びEをそれぞれ請求項1の範囲内のものを用いた。
表から得られた結論は、配合パラメーター次第で、表1ないし表5及び表7では比誘電率、等価圧電定数、温度特性の全てが請求の範囲内で本発明の作用効果が認められた。
すなわち、圧電セラミックスの特性として、−40℃から170℃の範囲で比誘電率の温度特性の変化率が−500ppm/℃から500ppm/℃であり、比誘電率が1000から5000の範囲で且つ、等価圧電定数が100pC/Nから300pC/Nの範囲の圧電特性を有するかを判定基準とした。また、本発明にあっては、圧電セラミックスの特性として、比誘電率の温度特性の変化率とは、恒温槽(STPH−201、espec)とインピーダンスアナライザー(Agilent社製 装置4294A)装置を用い、
−40℃と170℃の温度で静電容量を測定して比誘電率を算出した。該比誘電率の値を用いて、170℃の時の比誘電率の値から−40℃の時の比誘電率の値を引き、得られた値を−40℃の比誘電率の値で割り、比誘電率の変化率を算出する。該比誘電率の変化率の値を用いて、比誘電率の温度特性の変化率を算出するため、前記比誘電率の変化率の値を−40℃から170℃の温度差210℃で割り、ppm表示にして比誘電率の温度特性の変化率(ppm/℃)を算出することとした。
表1から具体的に説明する。No.1からNo.14の圧電セラミックスは比誘電率が1005ないし1410、等価圧電定数が101ないし239pC/N及び比誘電率の温度特性の変化率が−40℃から170℃の温度範囲で−432ないし496ppmで請求項1の範囲内となった。
中でもNo.23のニオブ酸リチウムの配合比が0.06molの時に、最も高い電気機械結合係数、比誘電率及び等価圧電定数となった。









表2は主原料であるニオブ酸リチウムナトリウムカリウムのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムの配合比に関して具体的に説明する。配合パラメーターBの範囲を本発明の範囲内の上限及び下限に設定し、ニオブ酸リチウムの配合比を0.4、0.5及び0.6molとして、他の配合パラメーターA、C、D及びEをそれぞれ請求項1の範囲内のものを用いた。
No.15からNo.32が測定結果である。圧電セラミックスは比誘電率が1005ないし1880、等価圧電定数が103ないし239pC/N及び比誘電率の温度特性の変化率が−40℃から170℃の温度範囲で−447ないし496ppmで請求項1の範囲内となった。
中でもNo.21のニオブ酸リチウムの配合比が0.06molの時に、電気機械結合係数が最大、比誘電率も高く、等価圧電定数が最大となった。




























































表3は添加剤のチタン酸ジルコン酸バリウムの添加量を請求項1の範囲内で変化させた場合の圧電特性につき具体的に説明する。No.33からNo.46は添加剤としてチタン酸ジルコン酸バリウムの添加量をC=0.06mo、0.1molとして、配合パラメーターCを基準にして、他の配合パラメーターA、B、D及びEを請求項1の範囲内のものを用い、A、B、D及びEの値を変化させた場合の圧電セラミックスについての測定結果である。
具体的に説明する。これらの圧電セラミックスは比誘電率が1036ないし1880、等価圧電定数が124ないし239pC/N及び比誘電率の温度特性の変化率が−40℃から170℃の温度範囲で−447ないし496ppmとなり請求項1の範囲内となった。
中でもNo.33のチタン酸ジルコン酸バリウムの添加量の配合比が0.05molの時に、電気機械結合係数が最大、比誘電率も高く、等価圧電定数が最大となった。

















































表4では、添加剤としてチタン酸ジルコン酸バリウムの配合比を請求項1の範囲内で変化させた場合の圧電特性を示したものである。配合パラメーターDを基準にして、その添加量を0.17mol、0.66mol、0.83molと変化させ、配合パラメーターDを基準にして、A、B、C及びEの値を変化させた場合の圧電セラミックスについての測定結果である。
これらの圧電セラミックスは比誘電率が1008ないし1880、等価圧電定数が101ないし239pC/N及び比誘電率の温度特性の変化率が−40℃から170℃の温度範囲で−447ないし496ppmとなり請求項1の範囲内となった。
中でもNo.59で配合パラメーターDが0.83molの時に、最も高い電気機械結合係数46.9、等価圧電定数239pC/Nを示し、比誘電率も1410と高い結果が得られた。































































表5はビスマスフェライト添加を使用した場合について説明する。
No.65ないしNo.78は配合比を請求項1の範囲内で変化させた場合の圧電特性を示したものである。配合パラメーターEを基準にして、添加量を0.005mol及び0.010molとして、A、B、C及びDの値を変化させた場合の圧電セラミックスについての測定結果である。
これらNo.65ないしNo.78の圧電セラミックスは比誘電率が1027ないし1880、等価圧電定数が105ないし239pC/N及び比誘電率の温度特性の変化率が−40℃から170℃の温度範囲で−447ないし496ppmとなり請求項1の範囲内となった。
中でもNo.65は、配合パラメーターEの添加量が0.005molの時に、電気機械結合係数が46.7、等価圧電定数239pC/Nと最も高く、比誘電率239と高い値を示した。
後述する実施例2において説明するが、水熱合成法で作製された水素合成粉使用有無についての測定データをここに示しておく。







表6は水熱合成法で作製された水素合成粉使用有無かの違いについて検討した結果である。より詳細には、表6の中で、水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用したものがNo.79、水熱合成法でない一般的な固相法で作製したものがNo.80である。その様子は図8に示すように、水熱合成法利用有無による効果の違いを示した比誘電率の温度特性図である。比誘電率の温度特性の変化率が−40℃から170℃の温度範囲で−447ppm/℃となり、−500ppm/℃から500ppm/℃の範囲内であることが確認された。
より具体的には、No.79の圧電セラミックスは、本発明の配合比で水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用した方が、水熱合成法でない一般的な固相法で作製したものより、高い電気機械結合係数、比誘電率、等価圧電定数を示した。
しかしながら、水熱合成法でない一般的な固相法で作製したものは、比誘電率の温度特性の変化率が−40℃から170℃の温度範囲で1429ppm/℃となり範囲外となった。温度特性で本発明の作用効果を達成できるものとはならないと判定された。
本発明にあっては、水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用の方が目的とする本発明にとり有効な方法であることが認められるよう。













表7はNa/Nb対K/Nbをパラメーターとした圧電セラミックスについての測定結果である。
その結果はNo.81ないしNo.86に示す。
前記水熱合成法の作用効果を予め示したが、より具体的に水熱合成法につき実施例2として原料に炭酸ナトリウムと炭酸カリウムを使用すると、混合時と粉砕時のスラリーのpHが強アルカリ性になるため、水系の混合及び粉砕方法では難がある。そこで本発明者らは、原料に、水熱合成法で作製したナノサイズの粒径のニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用することによってpHを弱アルカリにすること可能とすることが出来た。なお、本発明にあって、弱アルカリとは、pH8.9〜pH9.8と定義する。
ニオブ系非鉛圧電セラミック材料を原料として、水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用することが好ましい。このため、本発明では,特開2010−241658(発明の名称「ニオブ酸アルカリ金属塩粒子の製造方法、およびニオブ酸アルカリ金属塩粒子」出願人:株式会社富士セラミックス、堺化学工業株式会社 外)に記載のニオブ酸ナトリウム・ニオブ酸カリウムを用いた(同明細書記載の19頁に示した配合によった。)。
本発明の製造方法1でニオブ系非鉛圧電セラミック材料を作製する際、水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムを使用した。そのニオブ酸ナトリウムとニオブの組成比Na/Nb(x)を1.00≦x≦1.01の範囲のものと、ニオブ酸カリウムのカリウムとニオブの組成比K/Nb(x)を1.00≦x≦1.01の範囲のものを原料として使用して得られたニオブ系非鉛圧電セラミック材料について説明する。
ここで、組成比(x)についての範囲がどの程度が最適なのかが重要である。すなわち、前記した表7にも示すように、その比率次第で特性に顕著な差異が認められるからである。その比率を組成比(x)というパラメーターで評価した。
組成比(x)が0.99以下であると、電気機械結合係数,比誘電率、また、組成比(x)が1.01を超えると良好な圧電特性が得られなかった。この結果、組成比(x)が1.00≦x≦1.01の範囲が適当であると確認された。
その原因はニオブ酸ナトリウムが0.99以下もしくは1.01を超える組成比の場合,純度補正のために炭酸ナトリウムを加えて製造するが、既にニオブ酸ナトリウムが化合物となっており、ナトリウムが他の元素と反応する可能性があるため、特性が低下したと考えられる。そのため、ニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムの組成比が1.00≦x≦1.01の範囲のものを使用した。以上から請求項に記載した範囲において本発明の製造方法における作用効果が得られることが確認できた。
その原因はニオブ酸ナトリウムが0.99以下もしくは1.01を超えると純度補正のために炭酸ナトリウムを加えて製造するが、既にニオブ酸ナトリウムが化合物となっており、ナトリウムが他の元素と反応する可能性があるため、特性が低下したと考えられる。
ニオブ酸カリウムに関しても同様のことが考えられる。以上から請求項に記載した範囲において本発明の作用効果が得られることが確認できた。
つぎに、圧電、誘電、焦電素子用途を限定する発明として作用効果達成に好適な圧電セラミックス及びその製造方法について説明する。とりわけ比誘電率の温度特性、どの程度の温度範囲で使用に好適な変化率かの実験を試みた。圧電セラミックス、並びに圧電セラミックスを用いた圧電、誘電、焦電素子にあっては、電気機械結合係数、比誘電率が低くなる欠点の解消、圧電素子のキュリー点のアップといった観点から温度特性の確認が必須である。
製造方法1で得られた直径φ10×T0.5mm形状のニオブ系非鉛圧電セラミック材料について、24時間放置した後、圧電特性を測定するため、インピーダンスアナライザー(Agilent社製 装置4294A)を用いて共振−反共振法により測定した。また、等価圧電定数の測定にはd33メータ(ZJ−43、中国科学院声字研究所)を用いて測定した。
比誘電率の温度特性の測定は恒温槽(STPH−201,espec)とインピーダンスアナライザー(Agilent社製 装置4294A)装置を用い、温度測定範囲につき−40℃から170℃で実施した。温度としては、−40℃から10℃ごとに、170℃の温度範囲で静電容量を測定して比誘電率を算出した。また、キュリー点の温度測定には恒温槽(STPH−201,espec)を使用し、比誘電率測定にLCRメータ(KC555、KDK)と温度測定にマルチメータ(TR2114H、タケダ理研工業製、熱電対Type K)を用い、温度設定は40℃から400℃までの温度範囲で測定を行い、40℃から1℃ごとに、400℃までの温度範囲で静電容量を測定して比誘電率を算出した。それら結果から、キュリー点がどの程度かを分析した。結果は、図1ないし図4に示す。
結果を図示すると、図1が本発明のニオブ系非鉛圧電セラミック材料における比誘電率の昇温、降温時の温度特性図である。
図2が従来技術であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料における比誘電率の昇温、降温時の温度特性図である。
図3は本発明であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるキュリー温度特性図である。キュリー点として、本発明は図3において338℃、従来技術は図4において約280℃となることが図中に縦線として示され、約58℃の有意な差異が認められた。
図4は従来技術であるニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるキュリー温度特性図である。
より図につき詳細に示す。図1は、比誘電率の温度特性図として、その測定を−40℃から170℃の温度範囲に昇温、逆に170℃から−40℃へと降温させたときの比誘電率の変化を示したものである。それを用いての変化率は−40℃から170℃の温度範囲で−500から500ppm/℃の範囲内であった。
一般的に、水晶のような材料では、−40℃から170℃の温度範囲で比誘電率が殆ど変化しないことが知られている。本発明にあっても、この図1から見られるようにこの範囲内で十分な実用性を持つ素材が提供できたことが認められる。
また、図2は、従来技術で作製の比誘電率の温度特性図として、その測定を−40℃から170℃の温度範囲に昇温、逆に170℃から−40℃へと降温させたときの比誘電率の変化を示したものである。特に、170℃から下げていくと60℃付近になると降温時と昇温時の差が最大455と非常に大きなヒステリシスの差異があり、実用性が無いと評価された。比誘電率の変化率は−40℃から170℃の温度範囲で−500から500ppm/℃の範囲外であり、比誘電率の温度特性の変化率が大きい一般的なニオブ系非鉛圧電セラミックス材料と同程度と評価された。
図3、図4は比誘電率の昇温、降温時のキュリー温度特性図を示す。
図3で本発明の製造方法により得られた比誘電率の変化から圧電素子のキュリー点は少なくとも、338℃以上となった。
他方、図4では従来技術の製造方法により得られた比誘電率の変化から圧電素子のキュリー点は283℃程度と認められる。実用性でも劣り、大きな違いが認められた。
圧電固溶体組成物及びこれを焼結して得られた焼成体のグレインサイズについて、図5は本発明で得られた圧電固溶体組成物及びこれを焼結して得られた焼成体のグレインサイズを走査電子顕微鏡(JSM−6390A、JEOL)の2000倍で撮影した写真である。
図5の写真を作成するにあたり、焼成体のサンプルを作製した。その方法は整粒粉をφ15mmの金型に投入して圧力を加えて成型密度(ρ)2.3g/cm〜2.6g/cmで成型体の厚みが1.5mmになるように成型した。その後、電気炉を用いて1200℃で本焼成を行い、焼成体表面にイオンコータ(SC−704AT、SANYU DENSHI)を用いて金イオンのコート処理、厚み50オングストロームを施してから撮影した。
撮影した写真を図5に示す。加速電圧10kV、倍率200倍(x2000)、写真上には10μmの長さも示している。これらから焼成体のグレインサイズで0.5μm〜5μmの範囲で分布していた。さらに、0.5μm〜3.0μmの範囲が多数であった。
この結果から、超音波プローブやインクジェット用など細かく切断する用途に使用可能と確認された。
図6と図7は、ニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるポアサイズの様子を示す走査電子顕微鏡(JSM−6390A、JEOL)の2000倍で撮影した写真である。
さらに、従来技術の固相法用の原料を使用した場合と水熱合成粉末を使用した場合では、溶媒中へのアルカリ成分の溶出が異なり、水熱合成粉を使用することによって組成ズレが起こり難く、圧電セラミックスとしては高い電気機械結合係数、比誘電率及び圧電定数等といった圧電特性が優れ、かつ、−40℃〜170℃の比誘電率の変化率を小さくすることができた。
図6と図7の写真を作成するにあたっては、以下焼成体のサンプルを作製した。その方法は整粒粉を直径φ15mmの金型に投入して圧力を加えて成型密度(ρ)2.3g/cm〜2.6g/cmで成型体、厚みが1.5mmになるように成型した。その後、電気炉を用いて1200℃で本焼成を行い、さらに、鏡面研磨剤を用いて焼成体の表面を鏡面になるまで研磨し、その後、イオンコータ(SC−704AT、SANYU DENSHI)を用いて金イオンのコート処理し厚み50オングストローム(50Å)として撮影した。
これら写真から、ポアサイズの違いが顕著に認められる。図6は本発明の水熱合成粉末使用による製造結果で、図7は従来技術である一般的な固相法による製造結果である。図7では、ポアサイズは約10μm程度となることが認められる。これに対して、図6においては、本発明の水熱合成粉末使用によることで写真からも判別できないほど微少な好結果を達成できた。
その原因は、一般的な固相法では、混合粉砕する際に溶媒として純水に固相法用の原料を投入するとpHが11以上となり強アルカリ性を示す。このとき、固相法用の原料に含まれているナトリウムとカリウムのアルカリ成分が溶媒中に溶出していると考えられる。結果として、ポアサイズの違いとして現れることになる。
しかしながら、本発明の水熱合成粉を使用した場合、既にナトリウムとカリウムのアルカリ成分は、ニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムの化合物となっているため、ナトリウムとカリウムのアルカリ成分が溶媒中への溶出が少なくpHは10以下の弱アルカリ性を示すためと考えられる。
さらに、本発明の製造方法1にあっては、低温で長時間乾燥させることにより、混合粉の凝集を防ぐことができる。その結果、仮焼結後の焼きムラが減少する。水熱合成粉末は微粒子粉末であるため、先に水熱合成粉末以外の原料を混合粉砕し、その後、水熱合成粉末を加えて混合粉砕を行うことにより、混合粉の粒径が微細粒子になり、仮焼結後の焼きムラが減少する。このようにポアサイズの違いが本発明の特有な作用効果となる。
図3、図4は比誘電率の昇温、降温時のキュリー温度特性図を示す。図3で本発明の製造方法により得られた比誘電率の変化から相転移前後の比誘電率のヒステリシス値が32から38の範囲内であった。圧電素子のキュリー点のアップがあり、少なくとも、焼成体のキュリー点(Tc)が338℃以上となった。
他方、図4では従来技術の製造方法により得られた比誘電率の変化から圧電素子のキュリー点は283℃程度と認められる。実用性でも劣り、大きな違いが認められた。
本発明は、比誘電率の変化率が−40℃から170℃の温度範囲で−500から500ppm/℃の範囲内となり、使用温度範囲の広い多用途で利用可能である。他方、従来技術の製造方法により得られた圧電素子にあっては、−40℃から170℃の温度範囲で比誘電率の変化率が−500から0ppm/℃以上の材料でも室温付近で使用する用途では問題ないが高温、低温で使用する用途では、相境界からずれるため、圧電特性の測定値で大きく異なる可能性がある。そのため、カメラなどの過酷な条件下で使用する用途では扱いが難しい。
しかしながら、本発明では比誘電率の値が、−40℃の低温側から測定した昇温時と、170℃の高温側から測定した降温時の値の差が最大38と小さく、かつ、相転移前後の比誘電率のヒステリシス値が32から38の範囲内であった。圧電素子のキュリー点のアップがあり、少なくとも、焼成体のキュリー点(Tc)が338℃以上となった。
図5と図6は、ニオブ系非鉛圧電セラミック材料におけるポアサイズの様子を示す走査電子顕微鏡SEM画像で2000倍で測定したものである。さらに、固相法用の原料を使用した場合と水熱合成粉末を使用した場合では、溶媒中へのアルカリ成分の溶出が異なり、水熱合成粉を使用することによって組成ズレが起こり難く、圧電セラミックスは高い電気機械結合係数、比誘電率及び圧電定数等といった圧電特性が優れ、かつ、−40℃〜170℃の比誘電率の変化率を小さくすることができた。
圧電固溶体組成物及びこれを焼結して得られた焼成体のグレインサイズについて、
図5は本発明で得られた圧電固溶体組成物及びこれを焼結して得られた焼成体のグレインサイズの様子を示した電子顕微鏡写真である。この写真を作成するにあたっては、以下焼成体のサンプルを作製した。その方法は整粒粉を金型に投入して圧力を加えて成型密度(ρ)2.3g/cm〜2.6g/cmで成型した。その後、本焼成を行い、焼成体表面に金イオンのコート処理を施してから撮影した。
結果は図5に示す。加速電圧10kV、倍率x2000、写真上には10μmの長さも示している。これらから焼成体のグレインサイズで0.5μm〜5μmの範囲で分布していた。さらに、0.5μm〜3.0μmの範囲が多数であった。
この結果から、超音波プローブやインクジェット用など細かく切断する用途に使用可能と確認された。
これら写真から、ポアサイズの違いが顕著に認められる。図6は一般的な固相法による製造結果である。ポアサイズは約10μm程度、図5は本発明の水熱合成粉末使用による製造結果である。ポアサイズは図の写真からは判別できない微少な結果となっている。
その原因は、一般的な固相法では、混合粉砕する際に溶媒として純水に固相法用の原料を投入するとpHが11以上となり強アルカリ性を示す。この場合、固相法用の原料に含まれているナトリウムとカリウムのアルカリ成分が溶媒中に溶出していると考えられる。
しかしながら、本発明の水熱合成粉を使用した場合、既にナトリウムとカリウムのアルカリ成分は、ニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムの化合物になっているため、ナトリウムとカリウムのアルカリ成分が溶媒中への溶出が少なくpHは10以下の弱アルカリ性を示すためと考えられる。
他方、本発明の製造方法1にあっては、低温で長時間乾燥させることにより、混合粉の凝集を防ぐことができる。そのため、仮焼結後の焼きムラが減少する。水熱合成粉末は微粒子粉末のため、先に水熱合成粉末以外の原料を混合粉砕し、その後、水熱合成粉末を加えて混合粉砕を行うことにより、混合粉の粒径が微細粒子になるため、仮焼結後の焼きムラが減少する。このようにポアサイズの違いが本発明の特有な作用効果となっている。
つぎに、前記した焼成密度について、以下の測定で確認した。
焼成体の密度(ρ)は実施例では、3.8g/cmから4.8g/cmの範囲内で実施した。その結果、焼成体の密度(ρ)が、4.2g/cmから4.6g/cmの範囲の焼成密度が望ましい。その理由はこの範囲にあっては、比誘電率の変化率は−40℃から170℃の温度範囲で−500から500ppm/℃から500ppm/℃以内となった。
本発明の圧電セラミックスはポアサイズが小さく判別できない微少な結果、高い電気機械結合係数、比誘電率及び圧電定数等といった圧電特性が優れ、かつ、−40℃〜170℃の比誘電率の変化率を小さくすることができたことから、各種圧電素子、とりわけ小型形状が可能な圧電、誘電及び焦電体素子として多方面で適用可能な産業上利用できるものである。

Claims (8)

  1. 少なくとも炭酸リチウムを0molから0.2mol、炭酸バリウムを0molから0.1mol、酸化ジルコニウムを0molから0.1mol、酸化チタンを0molを超え、それから0.1mol、酸化ビスマスを0molを超え、それから0.02mol及び酸化鉄を0molを超え、それから0.02molの割合で配合し、室温下で混合粉砕し、一次混合粉砕液を得る。該一次混合粉砕液に150℃〜300℃で1〜12時間ソルボサーマル反応させた水熱合成法で作製したニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムをそれぞれ0.4molから0.6molの割合で配合し、混合物を得る。 該混合物を構成する物質の化学式は、
    (1−C−E)(LiA(NaB(1−B)(1−A)NbOCBa(ZrDTi(1−D))OEBiFeO
    (0<A<0.2、0.4≦B≦0.6、0<C≦0.1、0<D<1.00、0<E<0.02)であり、前記混合物を室温下で再度混合粉砕する事で、二次混合粉砕液を得る。該二次混合粉砕液はpH10以下のpH8.9〜pH9.8の弱アルカリ性を示した状態で乾燥し、乾燥物を得る。該乾燥物を700℃から800℃で仮焼結し、粉砕、乾燥して一次仮焼粉砕乾燥粉を得る。該一次仮焼粉砕乾燥粉を700℃から800℃で再度仮焼結し、粉砕、乾燥して二次仮焼粉砕乾燥粉を得る。該二次仮焼粉砕乾燥粉を整粒して作製した整粒粉を成型、焼成、分極処理して得られた圧電セラミックスは、−40℃から170℃の範囲で比誘電率の温度特性の変化率が−500ppm/℃から500ppm/℃であり、比誘電率が1000から5000の範囲で且つ、等価圧電定数が100pC/Nから300pC/Nの範囲の圧電特性を有する請求項1記載の圧電セラミックス。
  2. 前記比誘電率の値が、−40℃の低温側から170℃まで測定した時と、170℃の高温側から−40℃まで測定した時の値の差が最大38であり、かつ、相転移前後の比誘電率のヒステリシスが32から38の範囲内である前記圧電セラミックス。
  3. 前記水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムにおいて、前記ニオブ酸ナトリウムのナトリウムとニオブの組成比Na/Nb(x)が1.00≦x≦1.01の範囲のものと、前記ニオブ酸カリウムのカリウムとニオブの組成比K/Nb(x)が1.00≦x≦1.01の範囲である請求項1または2記載の圧電セラミックス。
  4. 圧電、誘電及び焦電セラミックスから選ばれたいずれかである請求項1または2記載の圧電セラミックス。
  5. 少なくとも炭酸リチウムを0molから0.2mol、炭酸バリウムを0molから0.1mol、酸化ジルコニウムを0molから0.1mol、酸化チタンを0molを超え、それから0.1mol、酸化ビスマスを0molを超え、それから0.02mol及び酸化鉄を0molを超え、それから0.02molの割合で配合し、室温下で混合粉砕し、一次混合粉砕液を得る。該一次混合粉砕液に150℃〜300℃で1〜12時間ソルボサーマル反応させた水熱合成法で作製したニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムをそれぞれ0.4molから0.6molの割合で配合し、混合物を得る。該混合物を構成する物質の化学式は、
    (1−C−E)(LiA(NaB(1−B)(1−A)NbOCBa(ZrDTi(1−D))OEBiFeO
    (0<A<0.2、0.4≦B≦0.6、0<C≦0.1、0<D<1.00、0<E<0.02)であり、前記混合物を室温下で再度混合粉砕する事で、二次混合粉砕液を得る。該二次混合粉砕液はpH10以下のpH8.9〜pH9.8の弱アルカリ性を示した状態で乾燥し、乾燥物を得る。該乾燥物を700℃から800℃で仮焼結し、粉砕、乾燥して一次仮焼粉砕乾燥粉を得る。該一次仮焼粉砕乾燥粉を700℃から800℃で再度仮焼結し、粉砕、乾燥して二次仮焼粉砕乾燥粉を得る。該二次仮焼粉砕乾燥粉を整粒して作製した整粒粉を成型、焼成、分極処理して得られた圧電セラミックスは、−40℃から170℃の範囲で比誘電率の温度特性の変化率が−500ppm/℃から500ppm/℃であり、比誘電率が1000から5000の範囲で且つ、等価圧電定数が100pC/Nから300pC/Nの範囲の圧電特性を有する圧電セラミックスの製造方法。
  6. 前記比誘電率の値が、−40℃の低温側から170℃まで測定した時と、170℃の高温側から−40℃まで測定した時の値の差が最大38であり、かつ、相転移前後の比誘電率のヒステリシスが32から38の範囲内である請求項5記載の前記圧電セラミックスの製造方法。
  7. 前記水熱合成法で作製されたナノサイズのニオブ酸ナトリウムとニオブ酸カリウムにおいて、前記ニオブ酸ナトリウムのナトリウムとニオブの組成比Na/Nb(x)が1.00≦x≦1.01の範囲のものと、前記ニオブ酸カリウムのカリウムとニオブの組成比K/Nb(x)が1.00≦x≦1.01の範囲である請求項5または6記載の圧電セラミックスの製造方法。
  8. 圧電、誘電及び焦電セラミックスから選ばれたいずれかを製造する請求項5または6記載の圧電セラミックスの製造方法。
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