本発明は、多特異的なインターロイキン−15(IL−15)をベースとするタンパク質複合体が免疫細胞の刺激を強化し、疾病細胞に対する免疫細胞の活性を促進し、これにより、疾病の縮小又は予防をもたらすという驚くべき発見に少なくとも部分的に基づいている。これらのIL−15をベースとするタンパク質複合体は、疾病及び標的抗原に結合することも可能である。本明細書に提供されているのは、IL−7及びIL−21結合ドメインを含む多特異的なIL−15をベースとするタンパク質複合体である(図1)。具体的には、IL−7及びIL−21結合ドメインに融合されたIL−15N72D:IL−15RαSu−Ig Fc足場を含むタンパク質複合体が本明細書に記載されている。以下に詳述されているように、ヒト免疫細胞を用いて性質決定される場合、これらの複合体は、IL−15、IL−7及びIL−21サイトカインのそれぞれの結合及び生物活性を呈する。さらに、これらの複合体は、IFN−γの増強された産生を伴って、T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の両方の増殖及び活性化を誘導する。驚くべきことに、これらの複合体は、個別のサイトカイン単独又は組み合わせによって観察されたよりも大きな程度まで、免疫応答を誘導することが可能であった。
そのため、単一分子としての複合体は、NK及びT細胞上の複数のサイトカイン受容体に結合し、これらの受容体を介してシグナルを伝達して、以前には、複数のサイトカインの組み合わせを用いた場合にのみ観察された応答を与える。さらに、これらの複合体はIg分子のFc領域を含んでおり、Ig分子のFc領域は二量体を形成して可溶性多ポリペプチド複合体を与え、精製の目的でプロテインAを結合し、NK細胞及びマクロファージ上のFcγ受容体と相互作用することができ、これにより、個別のサイトカインの組み合わせには存在しない利点を複合体に供する。臨床等級材料の大規模生産に適したこれらの複合体を作製するための、哺乳動物細胞発現をベースとする方法が、本明細書中に記載されている。本発明のタンパク質複合体による誘導に引き続き増殖するNK及びT細胞を作製及び使用するためのさらなる方法も提供される。
したがって、少なくとも2つの可溶性タンパク質を含む単離された可溶性融合タンパク質複合体が提供される。例えば、第一のタンパク質は、IL−15ポリペプチド、例えば、N72D変異を含む変異体IL−15ポリペプチド(IL−15N72D)を含む。第二のタンパク質は、免疫グロブリンFcドメインに融合された可溶性IL−15受容体αスシ結合ドメイン(IL−15RαSu)(IL−15RαSu/Fc)を含む。単離された可溶性融合タンパク質複合体の第三の成分はIL−7の結合ドメインを含み、IL−7結合ドメインはIL−15N72D又はIL−15RαSu/Fcタンパク質のいずれかに融合されている。単離された可溶性融合タンパク質複合体の第四の成分はIL−21の結合ドメインを含み、IL−21結合ドメインはIL−15N72D又はIL−15RαSu/Fcタンパク質のいずれかに融合されている。いくつかの事例では、IL−7及び/又はIL−21結合ドメインは、IL−15N72D及びIL−15RαSu/Fcタンパク質の両方に融合されている。他の事例では、IL−7又はIL−21結合ドメインのいずれかはIL−15N72D又はIL−15RαSu/Fcタンパク質に融合されており、別の結合ドメインは他のタンパク質に融合されている。例示的な融合タンパク質複合体は、IL−15N72Dに共有結合されたIL−7ポリペプチドとIL−15RαSu/Fc融合タンパク質に共有結合されたIL−21ポリペプチドとを含む(図1)。
例示的な第一のタンパク質は、配列番号2及び配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含む。例示的な、第一のタンパク質をコードする核酸配列は、配列番号1及び配列番号3に記載された配列を含む。一態様において、核酸配列は、融合タンパク質をコードする配列に作用可能に連結された、プロモーター、翻訳開始シグナル及びリーダー配列をさらに含む。本明細書に記載されている核酸配列を含むDNAベクターも提供される。例えば、核酸配列は、複製、発現又はその両方のためにベクター中に存在する。
第二の可溶性融合タンパク質複合体に共有結合された第一の可溶性融合タンパク質複合体を含む可溶性融合タンパク質複合体も提供される。例えば、本発明の可溶性融合タンパク質複合体は、多量体化、例えば、二量体化、三量体化又はそれ以外に多量体化(例えば、4複合体、5複合体など)されている。例えば、多量体は、ホモ多量体又はヘテロ多量体である。可溶性融合タンパク質複合体は、共有結合、例えば、ジスルフィド結合、化学的架橋剤によって連結される。いくつかの事例において、第一の可溶性タンパク質のFcドメインを第二の可溶性タンパク質のFcドメインに連結するジスルフィド結合によって、ある可溶性融合タンパク質が別の可溶性融合タンパク質に共有結合されている。
Fcドメイン又はその機能的断片には、IgGFcドメイン、ヒトIgG1Fcドメイン、ヒトIgG2Fcドメイン、ヒトIgG3Fcドメイン、ヒトIgG4Fcドメイン、IgAFcドメイン、IgDFcドメイン、IgEFcドメイン及びIgMFcドメイン;マウスIgG2Aドメイン又はこれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択されるFcドメインが含まれる。必要に応じて、Fcドメインは、変化した補体若しくはFc受容体結合特性又は変化した二量体化若しくはグリコシル化特性を有するFcドメインをもたらすアミノ酸変化を含む。変化した補体若しくはFc受容体結合特性又は変化した二量体化若しくはグリコシル化特性を有するFcドメインを生じるアミノ酸変化は本分野において既知である。例えば、IgG1CH2の234位及び235位(付番は抗体コンセンサス配列に基づく)のロイシン残基(すなわち、...P E L L G G...)のアラニン残基による置換(すなわち、...P E A A G G...)はFcγ受容体結合の低下をもたらすのに対して、IgG1CH2の322位(付番は抗体コンセンサス配列に基づく)のリジン残基(すなわち、...K C K S L...)のアラニン残基による置換(すなわち、...K C A S L...)は補体活性化の低下をもたらす。いくつかの例では、このような変異が組み合わされる。
いくつかの態様において、IL−7又はIL−21結合ドメインは、ポリペプチドリンカー配列によってIL−15ポリペプチド(又はその機能的断片)に共有結合されている。同様に、IL−7又はIL−21結合ドメインは、ポリペプチドリンカー配列によってIL−15Rαポリペプチド(又はその機能的断片)に共有結合されている。必要に応じて、IL−15Rαポリペプチド(又はその機能的断片)は、ポリペプチドリンカー配列によってFcドメイン(又はその機能的断片)に共有結合されている。各ポリペプチドリンカー配列は、独立に選択することができる。必要に応じて、ポリペプチドリンカー配列は同一である。または、ポリペプチドリンカー配列は異なる。
必要に応じて、可溶性融合タンパク質の少なくとも1つが1つ以上の結合ドメイン又は検出可能な標識を含む本発明の可溶性融合タンパク質複合体が提供される。このような結合ドメインは、抗体、可溶性T細胞受容体、リガンド、可溶性受容体ドメイン又はこれらの機能的断片を含み得る。このような結合ドメインを含む、IL−15をベースとする融合タンパク質複合体は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,492,118号に以前に記載されている。検出可能な標識には、ビオチン、ストレプトアビジン、酵素若しくは触媒的に活性なその断片、放射線核種、ナノ粒子、常磁性金属イオン、又は蛍光、リン光若しくは化学発光分子又はこれらのあらゆる組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
本発明は、本発明の可溶性融合タンパク質複合体を作製するための方法を提供する。この方法は、a)第一のタンパク質をコードする適切な調節配列を有するDNAベクターを第一の宿主細胞中に導入する工程と、b)細胞又は培地中で第一のタンパク質を発現させるのに十分な条件下で、培地中で第一の宿主細胞を培養する工程と、c)宿主細胞又は培地から第一のタンパク質を精製する工程と、d)第二のタンパク質をコードする適切な調節配列を有するDNAベクターを第二の宿主細胞中に導入する工程と、e)細胞又は培地中で第二のタンパク質を発現させるのに十分な条件下で、培地中で第二の宿主細胞を培養する工程と、及びf)宿主細胞又は培地から第二のタンパク質を精製する工程と、及びg)可溶性融合タンパク質複合体を形成するために、第一のタンパク質のIL−15ドメインと第二のタンパク質の可溶性IL−15Rαドメインとの間の結合を可能にするのに十分な条件下で、第一及び第二のタンパク質を混合する工程と、を含む。
いくつかの事例において、この方法は、発現ベクターから発現されたポリペプチド間のジスルフィド結合の形成を可能にするのに十分な条件下で、第一及び第二のタンパク質を混合することをさらに含む。
または、本発明の可溶性融合タンパク質複合体を作製するための方法は、a)第一のタンパク質をコードする適切な調節配列を有するDNAベクターと第二のタンパク質をコードする適切な調節配列を有するDNAベクターとを宿主細胞中に導入すること、b)可溶性融合タンパク質複合体を形成するために、細胞又は培地中でタンパク質を発現させるのに及び第一のタンパク質のIL−15ドメインと第二のタンパク質の可溶性IL−15Rαドメインとの間の会合を可能にするのに十分な条件下で、培地中で宿主細胞を培養すること、並びにc)宿主細胞又は培地から可溶性融合タンパク質複合体を精製することによって実施される。
一態様において、この方法は、発現ベクターから発現されたポリペプチド間のジスルフィド結合の形成を可能にするのに十分な条件下で、第一及び第二のタンパク質を混合することをさらに含む。
可溶性融合タンパク質複合体を作製するための方法であって、a)第一及び第二のタンパク質をコードする適切な調節配列を有するDNAベクターを宿主細胞中に導入すること、b)可溶性融合タンパク質複合体を形成するために及びポリペプチド間でのジスルフィド結合の形成を可能にするために、細胞又は培地中でタンパク質を発現させるのに及び第一のタンパク質のIL−15ドメインと第二のタンパク質の可溶性IL−15Rαドメインとの間の会合を可能にするのに十分な条件下で、培地中で宿主細胞を培養すること、並びにc)宿主細胞又は培地から可溶性融合タンパク質複合体を精製することを含む方法も提供される。
必要に応じて、この方法は、発現ベクターから発現されたポリペプチド間のジスルフィド結合の形成を可能にするのに十分な条件下で、第一及び第二のタンパク質を混合することをさらに含む。
いくつかの事例において、この方法は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及び/又は臨床用試薬又は治療薬としての使用に適した十分に純粋なタンパク質複合体を生成するのに十分なその他の標準的な方法(ウイルス不活化及び/又はろ過を含む。)による複合体の精製をさらに含む。
本発明の可溶性融合タンパク質複合体のある態様において、IL−15ポリペプチドは、天然のIL−15ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を有するIL−15変異体である。ヒトIL−15ポリペプチドは、本明細書において、huIL−15、hIL−15、huIL15、hIL15、IL−15野生型(wt)と表され、その変異体は、天然のアミノ酸、成熟した配列中のその位置及び変異アミノ酸を用いて表される。例えば、huIL15N72Dは、72位におけるNのDへの置換を含むヒトIL−15を表す。一態様において、IL−15変異体は、例えば、天然のIL−15ポリペプチドと比較してIL−15RβγC受容体に対する増加した結合活性によって実証されるように、IL−15アゴニストとして機能する。または、IL−15変異体は、例えば、天然のIL−15ポリペプチドと比較してIL−15RβγC受容体に対する減少した結合活性によって実証されるように、IL−15アンタゴニストとして機能する。
免疫機能を強化する方法は、a)複数の細胞を本発明の可溶性融合タンパク質複合体と接触させること、複数の細胞はIL−15ドメインによって認識されるIL−15R鎖、IL−7ドメインによって認識されるIL−7R鎖又はIL−21ドメインによって認識されるIL−21R鎖を有する免疫細胞をさらに含み、及びb)IL−15R、IL−7R又はIL−21Rのシグナル伝達を介して免疫細胞増殖及び活性化を誘導すること、によって実施される。一態様において、免疫機能を強化する方法は、可溶性融合タンパク質複合体によるIL−15R、IL−7R及びIL−21Rの少なくとも2つ又は全部の組み合わせのシグナル伝達を介した免疫細胞の活性化をさらに含む。免疫機能を強化するための例示的な方法は、可溶性融合タンパク質複合体によるIL−15R、IL−12R及びIL−18Rのシグナル伝達を介したNK及びT細胞の増殖及び活性化を誘導することを含む。このような方法は、NK及びT細胞の増殖及び活性化を含み、増加したインターフェロンγ(IFN−γ)産生をもたらす。
標的細胞を死滅させるための方法は、a)複数の細胞を本発明の可溶性融合タンパク質複合体と接触させること、複数の細胞はIL−15ドメインによって認識されるIL−15R鎖、IL−7ドメインによって認識されるIL−7R鎖又はIL−21ドメインによって認識されるIL−21R鎖を有する免疫細胞と標的疾病細胞とをさらに含み、b)IL−15R、IL−7R又はIL−21Rのシグナル伝達を介した免疫細胞の増殖及び活性化を誘導すること、及びc)活性化された免疫細胞によって標的疾病細胞を死滅させること、によって実施される。一態様において、この方法は、可溶性融合タンパク質複合体によるIL−15R、IL−7R及びIL−21Rの少なくとも2つ又は全部の組み合わせのシグナル伝達を介した免疫細胞増殖及び活性化を誘導することを含む。例示的な方法は、可溶性融合タンパク質複合体によるIL−15R、IL−7R及びIL−21Rのシグナル伝達を介したNK及びT細胞の増殖及び活性化を誘導することを含む。このような方法は、NK及びT細胞の増殖及び活性化を含み、増加したIFN−γ産生をもたらす。
本発明は、患者中の疾病を予防又は処置するための方法であって、a)IL−15R鎖又はチェックポイント若しくはシグナル伝達分子を有する免疫細胞を本発明の可溶性融合タンパク質複合体と混合する工程と、b)免疫細胞の増殖及び活性化を誘導する工程と、c)患者に活性化された免疫細胞を投与する(又は養子移植する)工程と、及びd)患者中の疾病を予防又は処置するのに十分な活性化された免疫細胞を介して疾病細胞を損傷すること又は死滅させる工程と、を含む、方法も提供する。一態様において、この方法は、可溶性融合タンパク質複合体によるIL−15R、IL−7R及びIL−21Rの少なくとも2つ又は全部の組み合わせのシグナル伝達を介した免疫細胞増殖及び活性化を含む。例示的な方法は、可溶性融合タンパク質複合体によるIL−15R、IL−7R及びIL−21Rのシグナル伝達を介したNK及びT細胞の増殖及び活性化を誘導することを含む。この方法のいくつかの態様は、キメラ抗原受容体を発現するNK及びT細胞(CAR NK及びCAR T細胞)の使用を含む。本発明のいくつかの実施形態において、養子移植された細胞の生着又は生存を促進するために、患者は前処置又は前処理される。前処理の例には、シクロホスファミド及びフルダラビンでの処置が含まれる。さらに、患者は、細胞移入前及び/又は細胞移入後に、養子移植された細胞の活性化、生存又は持続性を促進する因子で処置され得る。このような処置の例には、IL−2、IL−15、ALT−803(本明細書において互換的に「N−803」とも表される。)又はその他の免疫賦活性因子の使用が含まれる。養子細胞療法の分野において既知の他の治療的アプローチも(すなわち、同種、自家、ハプロタイプ一致、DLI、幹細胞、NK92ベースの及びCAR NK療法を含むが、これらに限定されない。)、本明細書中の方法において使用され得る。
患者中の疾病を予防又は処置するための方法であって、a)本発明の可溶性融合タンパク質複合体を患者に投与する工程と、b)患者中の免疫細胞の増殖及び活性化を誘導する工程と、並びにc)患者中の疾病を予防又は処置するのに十分な活性化された免疫細胞を介して疾病細胞を損傷又は死滅する工程とを含む方法も提供される。
本発明の融合タンパク質複合体の投与は、対象中で免疫応答を誘導する。例えば、本発明の融合タンパク質複合体の投与は、新形成、感染性疾患、老化細胞若しくは年齢に関連する疾患又は自己免疫疾患と関連する細胞に対する免疫応答を誘導する。一態様において、本発明の融合タンパク質複合体は、免疫細胞増殖、活性化マーカー、標的細胞に対する細胞傷害性及び/又は炎症促進性サイトカインの産生を増加させる。
本発明は、有効量の本発明の可溶性融合タンパク質複合体を哺乳動物に投与することによって、哺乳動物中の免疫応答を刺激する方法を提供する。本発明は、有効量の本発明のいずれか1つの可溶性融合タンパク質複合体を哺乳動物に投与することによって、哺乳動物中の免疫応答を抑制する方法も提供する。
新形成、感染性疾患、老化細胞若しくは年齢に関連する疾患又は自己免疫疾患の処置を必要としている対象中の新形成、感染性疾患、老化細胞若しくは年齢に関連する疾患又は自己免疫疾患を処置するための方法は、有効量の、増大された及び活性化された免疫細胞又は本明細書に記載された可溶性融合タンパク質複合体を含む薬学的組成物を対象に投与することによって実施される。例えば、固形又は血液の悪性病変の処置を必要とする対象中の固形又は血液の悪性病変を処置するための方法であって、本発明の可溶性融合タンパク質複合体によってエクスビボで増大された、有効量の、NK細胞及びT細胞並びに/又はCAR NK及びCAR T細胞を対象に投与すること、これにより、悪性病変を処置することによって実施される。例示的な可溶性融合タンパク質複合体は、配列番号2及び配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含む。
本明細書中に記載されている方法を用いた処置のために適切な新形成には、神経膠芽腫、前立腺癌、急性骨髄性白血病、B細胞新生物、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、固形腫瘍、尿路上皮/膀胱癌腫、黒色腫、肺癌、腎細胞癌腫、乳癌、胃及び食道癌、頭部及び頸部癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、非小細胞肺癌腫及び扁平上皮細胞頭部及び頸部癌腫が含まれる。
本明細書に記載された方法を用いた処置のための例示的な感染症には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)又はサイトメガロウイルス(CMV)による感染症が含まれる。本明細書に記載された方法は、細菌性感染症(例えば、グラム陽性又はグラム陰性細菌)を処置するためにも有用である(例えば、Oleksiewicz et al.2012.Arch Biochem Biophys.526:124−31参照、参照により本明細書に組み込まれる。)。
本発明の細胞療法は、有効量の増大された及び活性化された免疫細胞の投与を含む。例えば、有効量の増大された及び活性化されたNK又はT細胞は、1×104細胞/kg〜1×1010細胞/kg、例えば、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109及び1×1010細胞/kg又は白血球除去によって単離されることができる量である。または、増大された免疫細胞は、固定された用量で又は体表面積に基づいて(すなわち、m2当たり)投与される。細胞は、エクスビボでの増大後に投与することができ、又は冷凍保存され、融解(及び必要に応じて洗浄)した後に投与することができる。
融合タンパク質複合体を含む薬学的組成物は、有効量で投与される。例えば、有効量の薬学的組成物は、約1μg/kg〜100μg/kg、例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100μg/kgである。または、TxM複合体は、固定された用量として、又は体表面積に基づいて(すなわち、m2当たり)投与される。
養子移植された免疫細胞又は融合タンパク質複合体を含む薬学的組成物は、一ヶ月に少なくとも1回、例えば、一ヶ月に2回、一週に1回、一週に2回、1日に1回、1日に2回、8時間ごと、4時間ごと、2時間ごと又は1時間ごとに投与される。養子移植された免疫細胞についての適切な投与の様式には、全身投与、静脈内投与又は局所投与が含まれる。薬学的組成物についての適切な投与の様式には、全身投与、静脈内投与、局所投与、皮下投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、吸入及び腹腔内投与が含まれる。
一態様において、本開示は、少なくとも2つの可溶性タンパク質を含む単離された可溶性融合タンパク質複合体であって、第一の可溶性タンパク質がインターロイキン−15(IL−15)ポリペプチドドメインを含み、及び第二の可溶性タンパク質が免疫グロブリンFcドメインに融合された可溶性IL−15受容体αスシ結合ドメイン(IL−15RαSu)を含み、第一又は第二の可溶性タンパク質の1つがIL−7結合ドメイン若しくはその機能的断片をさらに含み、第一又は第二の可溶性タンパク質の1つがIL−21結合ドメイン若しくはその機能的断片をさらに含み、及び第一の可溶性タンパク質のIL−15ドメインが第二の可溶性タンパク質のIL−15RαSuドメインに結合して可溶性融合タンパク質複合体を形成する、単離された可溶性融合タンパク質複合体を提供する。
一実施形態において、IL−15ポリペプチドは、N72D変異を含むIL−15変異体(IL−15N72D)である。
一実施形態において、第一の可溶性タンパク質は配列番号2に記載されたアミノ酸配列を含む。
一実施形態において、第二の可溶性タンパク質は配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含む。
一実施形態において、第一の可溶性融合タンパク質複合体は、第二の可溶性融合タンパク質複合体に共有結合され得る。
一実施形態において、第一の可溶性融合タンパク質複合体は、第一の可溶性融合タンパク質複合体のFcドメインを第二の可溶性融合タンパク質複合体のFcドメインに結合するジスルフィド結合によって、第二の可溶性融合タンパク質複合体に共有結合されている。
一実施形態において、第一又は第二の可溶性タンパク質は、疾病抗原を認識する結合ドメインをさらに含む。
一実施形態において、第一又は第二の可溶性タンパク質は、免疫チェックポイント又はシグナル伝達分子を認識する結合ドメインをさらに含む。
一実施形態において、疾病抗原は、新形成、感染性疾患又は老化細胞若しくは年齢に関連する疾患と関連する。
一実施形態において、第一の可溶性タンパク質は配列番号1に記載された核酸配列によってコードされる。
一実施形態において、核酸配列は、可溶性タンパク質をコードする配列に作用可能に連結された、プロモーター、翻訳開始シグナル及びリーダー配列をさらに含む。
一実施形態において、第二の可溶性タンパク質は配列番号3に記載された核酸配列によってコードされ得る。
一実施形態において、核酸配列は、可溶性タンパク質をコードする配列に作用可能に連結された、プロモーター、翻訳開始シグナル及びリーダー配列をさらに含む。
一実施形態において、DNAベクターは、上に列挙された核酸配列のいずれをも含み得る。
一実施形態において、免疫機能を強化するための方法は、a)複数の細胞を上記可溶性融合タンパク質複合体のいずれかと接触させること、複数の細胞はIL−15ドメインによって認識されるIL−15R鎖、IL−7ドメインによって認識されるIL−7R鎖及び/又はIL−21ドメインによって認識されるIL−21R鎖を有する免疫細胞をさらに含み、並びにb)IL−15R、IL−7R及び/又はIL−21Rのシグナル伝達を介して免疫細胞の増殖及び活性化を誘導すること、を含む。
一態様において、本開示は、標的細胞を死滅させるための方法であって、a)複数の細胞を上記可溶性融合タンパク質複合体のいずれかと接触させること、複数の細胞はIL−15ドメインによって認識されるIL−15R鎖、IL−7ドメインによって認識されるIL−7R鎖及び/又はIL−21ドメインによって認識されるIL−21R鎖を有する免疫細胞と標的疾病細胞とをさらに含み、b)IL−15R、IL−7R及び/又はIL−21Rのシグナル伝達を介した免疫細胞の増殖及び活性化を誘導すること、並びにc)増大された及び活性化された免疫細胞によって標的疾病細胞を死滅させることを含む方法を提供する。
一実施形態において、標的細胞は、腫瘍細胞又は感染細胞である。
一態様において、本開示は、対象中の免疫応答を強化する方法であって、a)複数の細胞を上記可溶性融合タンパク質複合体のいずれかと接触させること、複数の細胞はIL−15ドメインによって認識されるIL−15R鎖、IL−7ドメインによって認識されるIL−7R鎖及び/又はIL−21ドメインによって認識されるIL−21R鎖を有する免疫細胞をさらに含み、b)IL−15R、IL−7R及び/又はIL−21Rのシグナル伝達を介した免疫細胞の増殖及び活性化を誘導すること、c)増大された及び活性化された免疫細胞を患者に投与する(又は養子移植する)こと、並びにd)患者中の免疫応答を強化することを含む方法を提供する。
一態様において、本開示は、患者中の疾病を予防又は処置する方法であって、a)複数の細胞を本明細書中で具体化された可溶性融合タンパク質複合体と接触させること、複数の細胞はIL−15ドメインによって認識されるIL−15R鎖、IL−7ドメインによって認識されるIL−7R鎖及び/又はIL−21ドメインによって認識されるIL−21R鎖を有する免疫細胞をさらに含み、b)IL−15R、IL−7R及び/又はIL−21Rのシグナル伝達を介した免疫細胞の増殖及び活性化を誘導すること、c)有効量の増大された及び活性化された免疫細胞を患者に投与する(又は養子移植する)こと、並びにd)患者中の疾病を予防又は処置するのに十分な増大された免疫細胞を介して疾病細胞を損傷すること又は死滅させること、を含む方法を提供する。
ある実施形態において、対象中の免疫応答を刺激する方法は、免疫細胞を単離すること、免疫細胞を本明細書中に具体化された可溶性融合タンパク質複合体と接触させること、免疫細胞を対象中に再注入すること;これにより、対象中の免疫応答を刺激すること、を含む。ある実施形態において、免疫細胞は、自家、ハプロタイプ一致、ハプロタイプマッチ又はこれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、免疫細胞は自家又は同種幹細胞に由来する。ある実施形態において、免疫細胞は、NK細胞、T細胞、幹細胞メモリーT細胞、活性化NK(aNK)細胞、キメラ抗原受容体−NK(CAR−NK)細胞、キメラ抗原受容体−T(CAR−T)細胞又はこれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、1つ以上のアジュバントが、本明細書中に具体化された可溶性融合タンパク質複合体とともに必要に応じて投与される。
一実施形態において、疾病は、新形成、感染性疾患又は老化細胞若しくは年齢に関連する疾患である。
一態様において、本開示は、対象中の免疫応答を強化する方法であって、有効量の上記可溶性融合タンパク質複合体のいずれかを対象に投与することを含む方法を提供する。
一態様において、本開示は、新形成、感染性疾患又は老化細胞若しくは年齢に関連する疾患の処置を必要としている対象中の新形成、感染性疾患又は老化細胞若しくは年齢に関連する疾患を処置するための方法であって、有効量の、上記可溶性融合タンパク質複合体のいずれかを含む薬学的組成物を前記対象に投与すること、これにより、前記新形成、感染性疾患、又は老化細胞若しくは年齢に関連する疾患を処置することを含む、方法を提供する。
他の態様において、新形成、感染性疾患又は老化細胞若しくは年齢に関連する疾患を有する対象を処置する方法は、a)免疫細胞の増殖及び活性化を誘導するために、免疫細胞を上記可溶性融合タンパク質複合体のいずれかと接触させること、b)対象に有効量の活性化された免疫細胞を投与する(又は養子移植する)こと、並びにc)対象中の疾病を予防又は処置するのに十分な活性化された免疫細胞を介して疾病細胞を損傷すること又は死滅させること、を含む。
一実施形態において、新形成は、神経膠芽腫、前立腺癌、血液癌、B細胞新生物、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、皮膚T細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、固形腫瘍、尿路上皮/膀胱癌腫、黒色腫、肺癌、腎細胞癌腫、乳癌、胃及び食道癌、前立腺癌、膵臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、非小細胞肺癌腫及び扁平上皮細胞頭部及び頸部癌腫からなる群から選択される。
別の実施形態において、老化細胞又は年齢に関連する疾患は、代謝的(肥満、糖尿病)、神経性(アルツハイマー及びパーキンソン病)、筋肉、骨及び軟骨関連(筋肉減少症、変形性関節症、脊柱後弯症、椎間板ヘルニア)又は組織機能不全関連(肺気腫、心血管疾患及び腎疾患並びにアテローム性動脈硬化症)疾患からなる群から選択される。
一実施形態において、免疫細胞は、NK細胞又はサイトカイン誘導メモリー様(CIML;cytokine induced memory like)NK細胞である。
別の実施形態において、免疫細胞は、T細胞又はメモリー幹T細胞(TSCM)である。
一実施形態において、増大された及び活性化された免疫細胞の有効量は、1×104細胞/kg〜1×1010細胞/kgである。
一実施形態において、免疫細胞は1週間に少なくとも1回投与される。
一実施形態において、有効量は約1〜100μg/kg前記融合タンパク質複合体である。
一実施形態において、融合タンパク質複合体は1週間に少なくとも1回投与される。
一実施形態において、融合タンパク質複合体は、免疫細胞増殖、活性化マーカー、標的細胞に対する細胞傷害性及び/又はIFN−γを含む炎症促進性サイトカインの産生を増加させる。
好ましくは、融合タンパク質複合体は、インターフェロンγ(IFN−γ)の血清レベルを増加させ及び/又はCD4+及びCD8+T細胞及びNK細胞を刺激して、対象中の疾病細胞又は腫瘍細胞を死滅させる。
定義
別段の定義がなければ、本明細書で使用されている全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野において通常の知識を有する者によって通常理解される意味を有する。本明細書中で使用される用語法は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明の限定を意図しない。
以下の参考文献は、本発明において使用される用語の多くの一般的定義を当業者に与える:Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988);The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991);及びHale&Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書において使用される以下の用語は、別段の記載がなければ、以下でそれらの用語に帰属された意味を有する。
本明細書において使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に反対の意味を示さなければ、複数形も含むものとする。さらに、用語「含んでいる(including)」、「includes(含む)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「ともに(with)」又はこれらの変形が詳細な説明及び/又は特許請求の範囲のいずれかにおいて使用されている限りにおいては、このような用語は、用語「含む(comprising)」と同様に包括的(inclusive)であることが意図される。
具体的に記載されていなければ又は文脈から明白でなければ、本明細書において使用される用語「a」、「an」及び「the」は、単数又は複数であると理解される。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される「又は(or)」という用語は、文脈が明確に反対の意味を規定しなければ、「及び/又は」を含むその意味で一般に使用される。
具体的に記載されていなければ又は文脈から明白でなければ、本明細書において使用される用語「約」は、本分野における通常の許容の範囲内、例えば平均の2標準偏差以内として理解される。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%以内として理解することができる。文脈から反対の意味であることが明確でなければ、本明細書中に提供される全ての数値は、約という用語によって修飾される。
「因子(agent)」によって、ペプチド、核酸分子又は小さな化合物が意味される。
「ALT−803」又は「N−803」によって、二量体IL−15RαSu/Fc融合タンパク質と非共有結合で会合されたIL−15N72Dを含み、及び免疫刺激活性を有する複合体が意味される。この複合体は、IL−15SAとも表される。一実施形態において、IL−15N72D及び/又はIL−15RαSu/Fc融合タンパク質は、参照配列と比較して、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれより多いアミノ酸の変異を含む。
「TxM」によって、結合ドメインに連結されたIL−15N72D:IL−15RαSu/Fc足場を含む複合体が意味される(図1)。例示的なTxMは、IL−7及びIL−21サイトカインへの融合物を含むIL−15N72D:IL−15RαSu複合体である。
「軽減する」によって、病気の発生又は進行を減少する、抑制する、弱化する、減弱する、停止する、又は安定化することが意味される。
「類縁体」によって、同一でないが、類似の機能的又は構造的特徴を有する分子が意味される。例えば、ポリペプチド類縁体は、対応する天然に存在するポリペプチドの生物活性を保持するが、天然に存在するポリペプチドと比較して類縁体の機能を強化するある生化学的修飾を有する。このような生化学的修飾は、例えば、リガンド結合を変化させずに、類縁体のプロテアーゼ耐性、膜透過性又は半減期を増加させ得る。類縁体は、非天然のアミノ酸を含み得る。ヌクレオシドに関する「類縁体」には、修飾された塩基部分及び/又は修飾された糖部分を有する合成ヌクレオシドが含まれ、例えば、Scheit,Nucleotide Analogs,John Wiley,New York,1980;Freier&Altmann,Nucl.Acid.Res.,1997,25(22),4429−4443,Toulme,J.J.,Nature Biotechnology 19:17−18(2001);Manoharan M.,Biochemica et Biophysica Acta 1489:117−139(1999);Freier S.M.,Nucleic Acid Research,25:4429−4443(1997),Uhlman,E.,Drug Discovery&Development,3:203−213(2000),Herdewin P.,Antisense&Nucleic Acid Drug Dev.,10:297−310(2000));2’−O,3’−C−linked[3.2.0]bicycloarabinonucleosides(例えば、N.KChristiensen.,et al.,J.Am.Chem.Soc.,120:5458−5463(1998)参照)によって一般的に記載されている。このような類縁体には、例えば、二重の又は三重の安定性、特異性など結合特性を増強するように設計された合成ヌクレオシドが含まれる。
本発明は、所望の生物学的活性を呈する限り、抗体又はこのような抗体の断片を含む。ヒト化抗体などのキメラ抗体も本発明に含まれる。一般に、ヒト化抗体は、その中に導入された非ヒト起源からの1つ以上のアミノ酸残基を有する。ヒト化は、例えば、本分野において記載された方法を用いて、げっ歯類の相補性決定領域の少なくとも一部をヒト抗体の対応する領域で置換することによって実施することができる。
「抗体」又は「免疫グロブリン」という用語は、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方を包含するものとする。好ましい抗体は、抗原と反応するモノクローナル抗体である。「抗体」という用語は、抗原と反応する1より多い抗体の混合物(例えば、抗原と反応するモノクローナル抗体の異なる種類のカクテル)も包含するものとする。「抗体」という用語は、全抗体、生物学的に機能的なその断片、一本鎖抗体、並びに1より多い種から得られる部分を含むキメラ抗体、二機能性抗体、抗体接合体、ヒト化及びヒト抗体などの遺伝子改変された抗体を包含することがさらに意図される。同じく使用することができる生物学的に機能的な抗体断片は、抗原への結合のために十分である抗体由来のペプチド断片である。本明細書において使用される「抗体」は、完全な抗体及び目的のエピトープ、抗原又は抗原性断片を結合することが可能なあらゆる抗体断片(例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv)を含むものとする。
本明細書において使用される「と会合した」、「接合された」、「連結された」、「付着された」及び「繋留された」という用語は、2つ以上の部分に関して使用される場合、直接的に(例えば、共有結合)又は連結因子としての役割を果たす1つ以上のさらなる部分を介して、これらの部分が互いに物理的に会合し、又は接続されて、当該構造が使用されている条件、例えば、生理的条件下で、これらの部分が物理的に会合された状態を保つように十分に安定した構造を形成することを意味する。いくつかの実施形態において、十分な数のより弱い相互作用は、部分が様々な異なる条件下で物理的に会合された状態を保つために十分な安定性を与えることができる。
分子「に結合する」によって、その分子に対して物理化学的親和性を有することを意味する。
「結合ドメイン」という用語は、抗体、一本鎖抗体、Fab、Fv、T細胞受容体結合ドメイン、リガンド結合ドメイン、受容体結合ドメイン又は本分野において既知の他の抗原特異的ポリペプチドを包含するものとする。
本明細書において使用される「生物学的に活性な部分」又は「エフェクター分子」という用語は、本明細書中に論述されているような所望の効果をもたらすことができる、核酸配列、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドなどのアミノ酸配列;糖又は多糖;脂質又は糖脂質、糖タンパク質又はリポタンパク質を意味する。エフェクター分子は、化学的因子も含む。生物学的に活性な又はエフェクタータンパク質、ポリペプチド又はペプチドをコードするエフェクター分子核酸も想定される。このため、適切な分子には、制御因子、酵素、抗体又は薬物並びにDNA、RNA及びオリゴヌクレオチドが含まれる。生物学的に活性なポリペプチド又はエフェクター分子は、天然に存在することができ、又は、例えば組換え若しくは化学的合成によって、既知の成分から合成することができ、異種の成分を含むことができる。生物学的に活性なポリペプチド又はエフェクター分子は、遠心又はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの標準的な分子サイズ測定技術によって判断した場合に、一般的には、約0.1〜100KD又はより大きく最大約1000KDであり、好ましくは約0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、30と50KDの間である。本発明の所望の効果には、例えば、例えば、疾病を予防若しくは処置する上で、細胞増殖若しくは細胞死を誘導し、免疫応答を開始するために、又は診断目的のための検出分子として作用するために、増加した結合活性を有する本発明の融合タンパク質複合体を形成すること、標的細胞を死滅させることが含まれるが、これらに限定されない。このような検出のために、アッセイ、例えば、細胞を増殖させるために細胞を培養する工程、及び細胞を本発明の融合複合体と接触させる工程及び次いで、融合複合体が細胞のさらなる発達を阻害するかどうかを評価する工程という逐次的工程を含むアッセイを使用することができる。
本発明にしたがって、本発明の融合タンパク質複合体にエフェクター分子を共有結合することは、多数の著しい利点を提供する。既知の構造のペプチドを含む、単一のエフェクター分子を含有する本発明の融合タンパク質複合体を作製することができる。さらに、様々なエフェクター分子を類似のDNAベクター中で作製することができる。すなわち、異なるエフェクター分子のライブラリーは、感染した細胞又は疾病細胞の認識のために融合タンパク質複合体に連結することができる。さらに、治療的用途については、対象への本発明の融合タンパク質複合体の投与よりむしろ、融合タンパク質複合体のインビボ発現のために、融合タンパク質複合体をコードするDNA配列ベクターを投与することができる。このようなアプローチは、組換えタンパク質の調製に通例伴う費用のかかる精製工程を回避し、従来のアプローチに伴う抗原取り込み及び加工の複雑さを回避する。
記載されているように、融合タンパク質が意図された機能を有せば、ほぼあらゆる様式で、本明細書中に開示された融合タンパク質の成分、例えば、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、タンパク質毒素、免疫グロブリンドメイン又はその他の生理活性分子及びあらゆるペプチドリンカーなどのエフェクター分子を組織化することができる。特に、融合タンパク質の各成分は、所望であれば、少なくとも1つの適切なペプチドリンカー配列によって、別の成分から間隔を空けることができる。さらに、融合タンパク質は、例えば、融合タンパク質の修飾、同定及び/又は精製を促進するために、タグを含み得る。より具体的な融合タンパク質は、以下に記載された実施例中にある。
本明細書において使用される「キメラ抗原受容体」又は「CAR」という用語は、免疫細胞を活性化又は刺激することが可能な細胞内シグナル伝達ドメインに融合された抗原−結合ドメインを表し、ある実施形態において、CARは膜貫通ドメインも含む。ある実施形態において、CARの細胞外抗原−結合ドメインは、マウス又はヒト化モノクローナル抗体の可変重及び軽領域を融合することによって得られた一本鎖可変断片(scFv)から構成される。または、(例えば、Fabライブラリーから得られた、抗体からに代えて)Fabに由来するscFvが使用され得る。様々な実施形態において、scFvは膜貫通ドメインに融合され、次いで、細胞内シグナル伝達ドメインに融合される。「第一世代」CARには、抗原結合に際してCD3ζシグナルを専ら与えるものが含まれ、「第二世代」CARには、共刺激(例えば、CD28又はCD137)及び活性化(CD3ζ)の両方を与えるものが含まれる。「第三世代」CARには、多重共刺激(例えば、CD28及びCD137)及び活性化(CD3ζ)を与えるものが含まれる。CARの第四世代、CAR構築物を含有するベクターがサイトカインカセット(cytokine cassette)を有するサイトカインキリングのために再誘導されたCAR T細胞(TRUCKS(T cells redirected for cytokine killing))が記載されてきた。CARが連結されると、CAR T細胞は腫瘍病変中に炎症促進性サイトカインを堆積する。CAR−T細胞は、キメラ抗原受容体を発現するT細胞である。CAR−NK細胞は、キメラ抗原受容体を発現するNK細胞である。キメラ抗原受容体(CARs)は、細胞外ドメインに抗原が結合した際に、細胞が特殊化された機能を発揮するように指示する細胞内ドメインに連結された抗原特異的細胞外ドメインを有する。「人工T細胞受容体」、「キメラT細胞受容体」及び「キメラ免疫受容体」という用語は、本明細書において、それぞれ、「キメラ抗原受容体」という用語と互換的に使用され得る。キメラ抗原受容体は、MHC非依存性抗原を結合し、かつその細胞内ドメインを介して活性化シグナルを伝達する能力によって、他の抗原結合因子と区別される。
「検出する」とは、検出されるべき分析物の存在、不存在又は量を特定することを表す。
「疾病」によって、細胞、組織又は器官の正常な機能を損傷し、又は妨害するあらゆる症状又は障害が意味される。疾病の例には、新形成、自己免疫疾患、ウイルス性感染症並びに老化細胞及び年齢に関連する疾患が含まれる。
調合物又は調合物成分の「有効量」又は「治療的に有効な量」という用語によって、単独で又は組み合わせで、所望の効果を与える製剤又は成分の十分な量が意味される。例えば、「有効量」によって、単独で又は組み合わせで、処置されていない患者と比べて疾病の症候を軽減するのに必要とされる化合物の量が意味される。疾病の治療的処置のために本発明を実施するために使用される活性化合物の有効量は、投与の様式、対象の年齢、体重及び全般的な健康に応じて変動する。最終的には、主治医又は獣医師が、適切な量及び投与計画を決定するであろう。このような量は、「有効」量と称される。
「断片」によって、ポリペプチド又は核酸分子の一部が意味される。この部分は、好ましくは、参照核酸分子又はポリペプチドの全体の長さの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%を含有する。例えば、断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100、200、300、400、500、600、700、800、900又は1000のヌクレオチド又はアミノ酸を含有し得る。しかしながら、それぞれ、完全長のポリペプチド及び核酸の所望される生物活性を示す限り、本発明は、ポリペプチド及び核酸断片も含む。ほとんどあらゆる長さの核酸断片が利用される。例えば、長さが約10,000、約5,000、約3,000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50塩基対の全長(全ての中間の長さを含む。)を有する例示的なポリヌクレオチドセグメントが、本発明の多くの実施に含まれる。同様に、ほとんどあらゆる長さのポリペプチド断片が利用される。例えば、長さが約10,000、約5,000、約3,000、約2,000、約1,000、約5,000、約1,000、約500、約200、約100又は約50アミノ酸の全長(全ての中間の長さを含む。)を有する例示的なポリペプチドセグメントが、本発明の多くの実施に含まれる。
本明細書において使用される「免疫細胞」という用語は、骨髄中で産生される造血幹細胞(HSC)に由来する白血球(white blood cells)(白血球細胞(leukocytes))を全般的に含み、「免疫細胞」は、例えば、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞)及び骨髄系由来細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)を含む。
本明細書において使用される「免疫エフェクター細胞」という用語は、免疫応答に、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞を表す。免疫エフェクター細胞の例には、T細胞、例えば、α/βT細胞及びγ/δT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NK−T)細胞、肥満細胞並びに骨髄系由来貪食細胞が含まれる。「免疫エフェクター機能又は免疫エフェクター応答」は、この用語が本明細書において使用される場合、標的細胞の免疫攻撃を強化又は促進する、例えば免疫エフェクター細胞の機能又は応答を表す。例えば、免疫エフェクター機能又は応答は、標的細胞の、死滅又は成長若しくは増殖の阻害を促進するT又はNK細胞の特性を表す。T細胞の場合には、一次刺激又は共刺激が免疫エフェクター機能又は応答の例である。
「単離された」、「精製された」又は「生物学的に純粋な」という用語は、その天然状態で見出されたときに通常その物質を伴っている成分を様々な程度で含まない物質を表す。「単離する」は、元の供給源又は環境からのある程度の分離を表す。「精製する」は、単離より高い分離の程度を表す。
「精製された」又は「生物学的に純粋な」タンパク質は、いずれの不純物もタンパク質の生物学的特性に対して実質的に影響を及ぼさない又はその他の有害な結果を引き起こさないように、十分に他の物質を含まない。すなわち、細胞物質、ウイルス物質、又は組換えDNA技術によって産生されたときの培地、又は化学的に合成されたときの化学的前駆体若しくは他の化学物質を実質的に含まなければ、本発明の核酸又はペプチドは精製されている。純度又は均一性は、典型的には、分析的化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーを用いて測定される。「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲル中において本質的に1つのバンドを生じることを表すことができる。修飾、例えば、リン酸化又はグリコシル化に供することができるタンパク質については、異なる修飾が、異なる単離されたタンパク質を生じることがあり得、それらは別個に精製することができる。
同様に、「実質的に純粋な」によって、自然な状態で当該ヌクレオチド又はポリペプチドを伴っている成分から分離されたヌクレオチド又はポリペプチドが意味される。典型的には、ヌクレオチド及びポリペプチドは、自然な状態で当該ヌクレオチド及びポリペプチドに付随しているタンパク質及び天然に存在する有機分子を少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%又は99重量%含まないときに実質的に純粋である。
「単離された核酸」によって、当該核酸が由来する生物の天然に存在するゲノム中で当該核酸に隣接する遺伝子が存在しない核酸が意味される。この用語は、例えば、(a)天然に存在するゲノムDNA分子の一部であるDNAであるが、当該DNAが自然な状態でその中に存在する生物のゲノム中の該分子のその部分に隣接する核酸配列の両方が隣接していないDNA;(b)生じた分子がいずれの天然に存在するベクター又はゲノムDNAとも同一でないように、ベクター中に又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれた核酸;(c)cDNA、ゲノム断片、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって産生された断片又は制限断片などの分離した分子;及び(d)ハイブリッド遺伝子、すなわち、融合タンパク質をコードする遺伝子の一部である組換えヌクレオチド配列を包含する。本発明による単離された核酸分子には、合成的に生産された分子並びに化学的に改変された及び/又は修飾された骨格を有するあらゆる核酸がさらに含まれる。例えば、単離された核酸は精製されたcDNA又はRNAポリヌクレオチドである。単離された核酸分子には、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)分子も含まれる。
「単離されたポリペプチド」によって、自然な状態で当該ポリペプチドを伴っている成分から分離された本発明のポリペプチドが意味される。典型的には、ポリペプチドは、自然な状態で当該ポリペプチドに付随しているタンパク質及び天然に存在する有機分子を少なくとも60重量%含まないときに単離されている。好ましくは、調製物は、少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%、本発明のポリペプチドである。本発明の単離されたポリペプチドは、例えば、天然源からの抽出によって、このようなポリペプチドをコードする組換え核酸の発現によって、又はタンパク質を化学的に合成することによって取得され得る。純度は、任意の適切な方法によって、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はHPLC分析によって測定することができる。
「マーカー」によって、疾病又は障害に関連する発現レベル又は活性の変化を有するいずれのタンパク質又はポリヌクレオチドも意味される。
「新形成」によって、過剰な増殖又は低下したアポトーシスによって特徴付けられる疾病又は障害が意味される。それに対して本発明を使用することができる例示的な新生物には、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性多血症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病並びに肉腫及び癌腫などの固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸(colon)癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌腫、基底細胞癌腫、腺癌、汗腺癌腫、皮脂腺癌腫、乳頭癌腫、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌腫、気管支原性肺癌腫、腎細胞癌腫、肝細胞腫、胆管癌腫(nile duct carcinoma)、絨毛癌腫、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌腫、小細胞肺癌腫、膀胱癌腫、上皮癌腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、シュワン細胞腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫及び網膜芽細胞腫)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、新形成は、多発性骨髄腫、β細胞リンパ腫、尿路上皮/膀胱癌腫又は黒色腫である。本明細書において使用される、「因子を取得すること」におけるような「取得すること」には、因子を合成し、購入し、又はその他獲得することが含まれる。
本明細書において使用される、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」及び「遺伝子」という用語は、本明細書を通じて互換的に使用され、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、これらの置換された及びαアノマー形態、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエート、メチルホスホネートなどを含む、相補的DNA(cDNA)、天然の及び/又は修飾された単量体又は連結の直鎖又は環状オリゴマー又はポリマーを含む。ポリヌクレオチドには、組換え手段、すなわち、通常のクローニング技術及びPCRTMなどを用いた組換えライブラリー又は細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングを含むがこれらに限定されない本分野において利用可能なあらゆる手段によって、及び合成手段によって取得される全ての核酸配列が含まれるが、これに限定されない。
核酸配列は、「キメラ」であってもよい、すなわち、異なる領域から構成されてもよい。本発明の文脈において、「キメラ」化合物は、2つ以上の化学的領域、例えば、1つ又は複数のDNA領域、1つ又は複数のRNA領域、1つ又は複数のPNA領域などを含有するオリゴヌクレオチドである。各化学的領域は、少なくとも1つの単量体単位、すなわち、ヌクレオチドから構成される。これらの配列は、1つ以上の所望の特性を示すために配列が修飾されている少なくとも1つの領域を典型的に含む。
本発明の方法において有用な核酸分子には、本発明のポリペプチド又はその断片をコードするいずれの核酸分子も含まれる。このような核酸分子は内在性核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には実質的な同一性を示すであろう。内在性配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリッド形成することができる。本発明の方法において有用な核酸分子には、本発明のポリペプチド又はその断片をコードするいずれの核酸分子も含まれる。このような核酸分子は内在性核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には実質的な同一性を示すであろう。内在性配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリッド形成することができる。「ハイブリッド形成する」によって、様々なストリンジェンシーの条件下において、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書中に記載されている遺伝子)又はその一部の間で二本鎖分子を形成する対が意味される。(例えば、Wahl,G.M.,and S.L.Berger(1987)Methods Enzymol.152:399;Kimmel,A.R.(1987)Methods Enzymol.152:507を参照。)
例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mM未満NaCl及び約75mM未満クエン酸三ナトリウム、好ましくは約500mM未満NaCl及び約50mM未満クエン酸三ナトリウム、より好ましくは約250mM未満NaCl及び約25mM未満クエン酸三ナトリウムであろう。低ストリンジェンシーハイブリッド形成は、有機溶媒、例えばホルムアミドの不存在下で得ることができるのに対して、高ストリンジェンシーハイブリッド形成は、少なくとも約35%ホルムアミド、より好ましくは、少なくとも約50%ホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30℃の、より好ましくは少なくとも約37℃の、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度を含むであろう。ハイブリッド形成時間、界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、及び担体DNAの包含又は除外など、様々なさらなるパラメータが当業者に周知である。必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることによって、様々なレベルのストリンジェンシーが達成される。好ましい実施形態において、ハイブリッド形成は、750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム及び1%SDS中、30℃で起こるであろう。より好ましい実施形態において、ハイブリッド形成は、500mM NaCl、50mMクエン酸三ナトリウム、1%SDS、35%ホルムアミド及び100μg/mL変性サケ精子DNA(ssDNA)中、37℃で起こるであろう。最も好ましい実施形態において、ハイブリッド形成は、250mM NaCl、25mMクエン酸三ナトリウム、1%SDS、50%ホルムアミド及び200μg/mL ssDNA中、42℃で起こるであろう。これらの条件に対する有用な変形は、当業者に自明であろう。
多くの用途に対して、ハイブリッド形成に続く洗浄工程のストリンジェンシーも変動するであろう。洗浄ストリンジェンシー条件は、塩濃度によって及び温度によって規定され得る。上記のように、洗浄ストリンジェンシーは、塩濃度を減少することによって、又は温度を増加することによって増加させることができる。例えば、洗浄工程に対するストリンジェントな塩濃度は、好ましくは約30mM未満NaCl及び約3mM未満クエン酸三ナトリウム、最も好ましくは約15mM未満NaCl及び約1.5mM未満クエン酸三ナトリウムであろう。洗浄工程に対するストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約25℃の、より好ましくは少なくとも約42℃の、さらに好ましくは少なくとも約68℃の温度を含むであろう。好ましい実施形態において、洗浄工程は、30mM NaCl、3mMクエン酸三ナトリウム及び0.1%SDS中、25℃で起こるであろう。より好ましい実施形態において、洗浄工程は、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム及び0.1%SDS中、42℃で起こるであろう。より好ましい実施形態において、洗浄工程は、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム及び0.1%SDS中、68℃で起こるであろう。これらの条件に対するさらなる変形は、当業者に自明であろう。ハイブリッド形成技術は当業者に周知であり、例えば、Benton and Davis(Science,196:180,1977);Grunstein and Hogness(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,72:3961,1975);Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,2001);Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques,1987,Academic Press,New York);及びSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkに記載されている。
本明細書で使用される「ヌクレオシド」には、例えば、Kornberg and Baker,DNA Replication,2nd Ed.(Freeman,San Francisco,1992)に記載されているように、2’−デオキシ及び2’−ヒドロキシル形態を含む天然のヌクレオシドが含まれる。
「老化細胞に関連する疾患」又は「年齢に関連する疾患」によって、代謝的(肥満、糖尿病)、神経性(アルツハイマー及びパーキンソン病)、筋肉、骨及び軟骨関連(筋肉減少症、変形性関節症、脊柱後弯症、椎間板ヘルニア)又は組織機能不全関連(肺気腫、心血管疾患及び腎疾患並びにアテローム性動脈硬化症)疾患からなる群から選択される疾病又は障害が意味される。
「低下する」によって、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%又は100%の負の変化が意味される。
「参照」によって、標準的な又は対照条件が意味される。
「参照配列」は、配列比較のための基礎として使用される規定の配列である。参照配列は、指定された配列のサブセット又は全体、例えば、完全長cDNA若しくは遺伝子配列のセグメント又は完全なcDNA若しくは遺伝子配列であり得る。ポリペプチドに関しては、参照ポリペプチド配列の長さは、一般に、少なくとも約16アミノ酸、好ましくは少なくとも約20アミノ酸、より好ましくは少なくとも約25アミノ酸、さらにより好ましくは約35アミノ酸、約50アミノ酸又は約100アミノ酸であろう。核酸に関しては、参照核酸配列の長さは、一般に、少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約75ヌクレオチド、さらにより好ましくは約100ヌクレオチド又は約300ヌクレオチド又は概ねこれらの若しくはこれらの間のあらゆる整数であろう。
「特異的に結合する」によって、本発明のポリペプチドを認識及び結合するが、本発明のポリペプチドを天然に含む試料、例えば、生物学的試料中の他の分子を実質的に認識及び結合しない化合物又は抗体が意味される。
「実質的に同一の」によって、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されているアミノ酸のいずれかの1つ)又は参照核酸配列(例えば、本明細書に記載されている核酸配列のいずれかの1つ)と少なくとも50%の同一性を示すポリペプチド又は核酸分子が意味される。好ましくは、このような配列は、比較のために使用される配列と、アミノ酸レベル又は核酸で、少なくとも60%、より好ましくは80%又は85%、より好ましくは90%、95%又は99%同一である。
配列同一性は、典型的には、配列分析ソフトウェアを用いて測定される(例えば、Sequencher,Gene Codes Corporation,775 Technology Drive,Ann Arbor,MI;Vector NTI,Life Technologies,3175 Staley Rd.Grand Island,NY)。このようなソフトウェアは、様々な置換、欠失及び/又はその他の修飾に対して相同性の程度を割り当てることによって、同一の又は類似の配列をマッチさせる。保存的な置換には、典型的には、以下の群内での置換、グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシンが含まれる。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチでは、BLASTプログラムが使用され得、e−3〜e−100の確率スコアが密接に関連した配列を示す。
「対象」によって、ヒト又はウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ若しくはネコなどの非ヒト哺乳動物を含むがこれらに限定されない哺乳動物が意味される。対象は、好ましくは、このような処置を必要とする哺乳動物、例えば、B細胞リンパ腫又はB細胞リンパ腫に対する素因を有すると診断された対象である。哺乳動物は、あらゆる哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ並びに家畜又は食用のために育てられる動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ及びヤギである。好ましい実施形態において、哺乳動物はヒトである。
本明細書に挙げられている範囲は、その範囲内の値の全てに対する省略表現であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50からなる群から得られるあらゆる数字、数字の組み合わせ、部分的範囲を含むことが理解される。
本明細書において使用される「処置する」及び「処置」という用語は、症候の重度及び/又は頻度の低下を達成し、症候及び/又は症候の基礎として存在する原因を除去し、及び/又は損傷の改善若しくは修復を促進するために、有害な症状、障害又は疾病を患った臨床的に症候性の個体への因子又は調合物の投与を表す。完全に除去することが除外されるわけではないが、障害又は症状を処置することは、障害、症状又はこれらに付随する症候を完全に除去することを必要としないことが理解されるであろう。処置において使用される因子又は調合物は、細胞又は組織を含み得る。
新形成を有する患者の処置は、以下のもの:初期療法(例えば、手術)によって既知の腫瘍が除去された後に存在し得る残存する腫瘍細胞を破壊し、これにより、起こり得る癌の再発を予防するアジュバント療法(補助療法又は補助的療法とも称される。);癌を縮小させるために外科的手法の前に与えられる術前補助(neoadjuvant)療法;通例急性白血病に対して、寛解を引き起こすための導入療法;寛解が達成されたら、寛解を持続させるために与えられる地固め療法(強化療法とも称される。);寛解の延長を補助するために、より低い又はより少ない頻度の用量で与えられる維持療法;第一次療法(標準療法とも称される。);第二次(又は第三次、第四次など)療法(サルベージ療法とも称される。)は、疾病が応答せず又は第一次療法後に再発した場合に与えられる;及び癌を著しく低下させることを期待せずに症候管理に対処するための対症療法(支持療法とも称される。)のいずれもが含まれ得る。
「予防する」及び「予防」という用語は、特定の有害な症状、障害又は疾病に罹患しやすい又は素因を有する臨床的に無症候の個体への因子又は組成物の投与を表し、このため、症候及び/又は症候の基礎として存在する原因の発生の予防に関する。
ポリヌクレオチド配列の文脈において使用される場合、「変異体」という用語は、野生型遺伝子に関連するポリヌクレオチド配列を包含し得る。この定義は、例えば、「対立遺伝子」、「スプライス」、「種」又は「多型」変異体も含み得る。スプライス変異体は、参照分子に対して著しい同一性を有し得るが、一般的には、mRNAプロセッシングの間のエキソンの選択的(alternate)スプライシングのために、より多い又はより少ない数のポリヌクレオチドを有するであろう。対応するポリペプチドは、さらなる機能的ドメイン又はドメインの不存在を有し得る。種変異体は、ある種と別の種で変動するポリヌクレオチド配列である。本発明において特に有用なのは、野生型標的遺伝子産物の変異体である。変異体は、核酸配列中の少なくとも1つの変異に起因し得、変化したmRNA又はその構造若しくは機能が変化されていてもよく、若しくは変化されていなくてもよいポリペプチドをもたらし得る。いずれの与えられた天然又は組換え遺伝子も、対立遺伝子形態を全く有さなくてもよく、1つ又は多数の対立遺伝子形態を有し得る。変異体を生じさせる普通の変異的変化は、一般に、ヌクレオチドの天然の欠失、付加又は置換に帰せられる。これらの種類の変化の各々は、単独で、又は他のものと組み合わせて、所定の配列中で1回以上起こり得る。得られるポリペプチドは、一般的には、互いに対して著しいアミノ酸同一性を有するであろう。多型変異体は、所定の種の個体間での特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列中の変動である。多型変異体は、ポリヌクレオチド配列が一塩基だけ変動する「一ヌクレオチド多型」(SNPs)又は一塩基変異も包含し得る。SNPsの存在は、例えば、ある集団が疾病状態に対して傾向を有する指標、すなわち、感受性対耐性、となり得る。
本明細書において使用されるポリペプチドの「変異体」は、1つ以上のアミノ酸残基が変化されたアミノ酸配列を表す。変異体は、置換されたアミノ酸が類似の構造的又は化学的特性を有する「保存的」変化(例えば、ロイシンのイソロイシンによる置換)を有し得る。より稀には、変異体は、「非保存的」変化(例えば、グリシンのトリプトファンによる置換)を有し得る。類似の軽微な変動は、アミノ酸の欠失若しくは挿入又は両方も含み得る。生物学的活性を損なわずに、いずれのアミノ酸残基が置換、挿入または欠失され得るかを決定する上での指針は、本分野で周知のコンピュータプログラム、例えば、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて見出され得る。
本明細書中の変数のあらゆる定義における化学基の列記は、あらゆる単一の基又は列記された基の組み合わせとしてその変数の定義を含む。本明細書において変数又は態様に対する実施形態の記述は、あらゆる単一の実施形態として、又はあらゆる他の実施形態若しくはその一部との組み合わせとしてその実施形態を含む。
本明細書中に提供されているあらゆる組成物又は方法は、本明細書中に提供されているその他の組成物及び方法のいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。
「含む(including)」、「含有する(containing)」又は「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義である「含む(comprising)」という移行句は、包摂的又は非限定的であり、さらなる述べられていない要素又は方法の工程を除外しない。対照的に、「からなる(consisting of)」という移行句は、請求項中に明記されていない一切の要素、工程又は成分を除外する。「から本質的になる」という移行句は、明記された物質又は工程と、「及び特許を請求された発明の基本的及び新規特徴に実質的に影響を及ぼさない物質又は工程」とに請求項の範囲を限定する。
本明細書に開示されたあらゆる遺伝子、遺伝子名、遺伝子産物又はペプチドは、本明細書中に開示されている組成物及び方法が適応可能なあらゆる種に由来する相同体に対応することが意図される。このため、これらの用語には、ヒト及びマウスからの遺伝子及び遺伝子産物が含まれるが、これらに限定されない。特定の種からの遺伝子又は遺伝子産物が開示されている場合、この開示は例示に過ぎないことが意図され、遺伝子又は遺伝子産物が出現する文脈が明確に示していなければ、限定として解釈されるべきではないことが理解される。このため、例えば、いくつかの実施形態において、哺乳動物の核酸及びアミノ酸配列に関する本明細書に開示されている遺伝子に関しては、相同的な及び/又はオルソロガスな遺伝子並びに他の哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類及び鳥類を含むがこれらに限定されない他の動物由来の遺伝子産物を包含することが意図される。好ましい実施形態において、遺伝子、核酸配列又はペプチドはヒトである。
本明細書に引用された受入番号によって示されたGenbank及びNCBI提出は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で引用されている全ての他の公表された参考文献、文献、原稿及び科学文献は、参照により、本明細書に組み込まれる。抵触が生じる場合には、定義を含む本明細書が優越する。さらに、物質、方法及び実施例は例示に過ぎず、限定することを意図していない。
本発明の他の特徴及び利点が、本発明の好ましい実施形態の以下の記述から及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。別段の定義がなければ、本明細書で使用されている全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解される意味と同一の意味を有する。本発明の実施又は検査において、本明細書に記載されているものと類似の又は均等な方法及び物質を使用することができるが、以下には、適切な方法及び物質が記載されている。本明細書において引用される全ての公開された外国の特許及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
ナチュラルキラー(NK)細胞及びT細胞を利用する治療は、疾病細胞を死滅させ、炎症促進性サイトカインを放出するこれらの細胞の能力故に、癌及びウイルス性感染症に対する処置となり得るとして登場した(例えば、Fehniger TA and Cooper MA.Trends Immunol.2016;37:877−888;及びCerwenka A and Lanier LL.Nat Rev Immunol.2016 16:112−23参照。)特に興味深いのは、腫瘍特異的免疫応答の誘導のために、キメラ抗原受容体(CARs)を発現するように遺伝的に改変されたT細胞の養子移植である。CAR T細胞の表現型に対するサイトカインの影響は、以前に記載されてきた。IL−2、IL−7及びIL−15による刺激は、他のサイトカイン又はサイトカインの不存在より良好にCAR T細胞のエクスビボ増大をもたらした(Nayar S.,et al.,OncoImmunology,2014;4:e1002720;Golubovskaya V.and Wu,L.Cancers 2016;8:236;Sabatino M.et al.Blood.2016;128:519−528;Xu Y,et al.Blood.2014:123:3750−3759;及びGomez−Eerland R,et al.Hum Gene Ther Methods.2014;25:277−287)。
最近の臨床データは、より分化度が低いT細胞の養子移植は、特にメモリー幹T細胞(TSCM)は、深くて持続的な腫瘍根絶を引き起こすことができることを示唆する(例えば、Klebanoff CA et al.PNAS.2005;102(27):9571−9576;及びSommermeyer D,et al.Leukemia.2016:30(2):492−500参照。)。循環中のTSCM細胞の数は少ないので、養子細胞療法のために妥当な数の臨床的等級のTSCM細胞を単離し、生産することは困難な課題であった(例えば、Gattinoni L,et al.Blood.2013;121(4):567−568参照。)。新たな報告は、培養期間全体を通じたCD3/CD28共刺激並びにIL−7、IL−21及びIL−15の添加を用いて、TSCM細胞の生成及び増大がエクスビボで達成できることを示した(例えば、Alvarez−Fernabdez C,et al.J Trans Med.2016;14;214;及びSabatino M et al.Blood.2016;128(4):519−528参照。)。IL−7はCAR TSCM細胞の増大を増加させるのに最も効果的であることが示され、IL−21はより多くの幹細胞様表現型を有するCAR T細胞の増殖を支えるのに対して、IL−2はより分化したCAR T細胞を誘導した。IL−2及びIL−15処理されたCAR T細胞は、より多くの炎症促進性サイトカインを産生し、インビトロで増加した抗腫瘍活性を示した。さらに、インビボでCAR T細胞を用いてIL−15及びIL−21で処理すると、その腫瘍細胞溶解能力を増加した。
4ヘリックス共通γ鎖サイトカインの一員であるIL−7、IL−15及びIL−21は、ナチュラルキラー(NK)細胞の分化、発育、成熟、増殖及び活性化において中心的な役割を果たしている(Waldman T Nature Rev.Immunology 2006;6:595−601;Leonard W.J.and Wan C.−K.F1000Research 2016;5:244;Lin J.et al.Anticancer Research 2017;37:936−968)。NK細胞の養子移植は、癌及び感染性因子に対する有望な免疫療法である。NK細胞療法における大きな課題は、多数の高度に細胞傷害性のNK細胞が必要なことである。このため、エクスビボでのNK細胞増大アプローチが開発されており、これらの培養戦略の多くは、最終的なNK細胞産物の臨床的な適用前に除去することが必要な支持細胞又は補助細胞の使用を基礎としている(Tong A.A.et al.OncoImmunology 2017;6:e1303586;Denman CJ PLos One 7:e30264;Fujisaki H.et al.Cancer Research 2009;69:4010−4017)。最近、増大及び活性化のための支持細胞の不存在下で共通γ鎖サイトカイン、特にIL−15及びIL−21を使用するというアプローチが検討された(Wagner J.et.al.,Frontier in Immunology 2017;8:676)。
本明細書に記載されている発明より以前には、TSCM細胞を生成及び増大するための最適な方法は完全には解明されていなかった。戦略は、哺乳動物細胞によって産生されるサイトカインと比べて、グリコシル化が相違し、その他の転写後修飾が相違する可能性がある組換えヒトIL−7、ヒトIL−21及びヒトIL−15を利用した。組換えサイトカインは、異なる純度及び安定性も有することもあり得、一般的には、臨床等級の材料としては利用できない。さらに、各サイトカインは、固有の受容体結合、内部移行及びリサイクル特性を有することが予想される。
したがって、本明細書に記載されているのは、IL−7及びIL−21結合ドメインを含む多特異的なIL−15をベースとするタンパク質複合体である(図1)。具体的には、IL−7及びIL−21結合ドメインに融合されたIL−15N72D:IL−15RαSu−Ig Fc足場を含むタンパク質複合体が本明細書に記載されている。ヒト免疫細胞を用いて性質決定される場合、これらの複合体は、IL−15、IL−7及びIL−21サイトカインの各々の結合及び生物活性を呈する。さらに、これらの複合体は、上昇したTSCM細胞マーカー及びIFN−γの増強された産生を伴って、T細胞の増殖及び活性化を誘導するように作用する。これらの複合体はエクスビボでNK細胞も増大させ、増大されたNK細胞は増強された細胞傷害性を示す。このため、単一分子としての複合体は、T細胞及びNK細胞上の複数のサイトカイン受容体に結合し、該受容体を介してシグナルを伝達して、以前には、複数のサイトカインの組み合わせを用いた場合にのみ観察された相乗的応答を与える。さらに、これらの複合体はIg分子のFc領域を含んでおり、Ig分子のFc領域が二量体を形成して可溶性マルチポリペプチド複合体を与え、精製の目的のためにプロテインAを結合し、トランスプレゼンテーション(transpresentation)のためにNK細胞及びマクロファージ上のFcγ受容体と相互作用することができ、これにより、個別のサイトカインの組み合わせには存在しない利点を複合体に付与する。哺乳動物細胞発現をベースとした方法は、よりよい活性及び/又は安定性を有し得るグリコシル化されたタンパク質としてこれらの複合体を産生する。これらの方法は、本明細書に記載されているように臨床等級の材料の生産にも適している。NK及びT細胞の増殖及び活性化を誘導し、本発明のタンパク質複合体によって誘導されるTSCM細胞及びCIML NK細胞を生成するためのさらなる方法も提供される。
インターロイキン−15
インターロイキン−15(IL−15)は、エフェクターNK細胞及びCD8+メモリーT細胞の発育、増殖及び活性化のための重要なサイトカインである。IL−15はIL−15受容体α(IL−15Rα)に結合し、エフェクター細胞上のIL−2/IL−15受容体β−共通γ鎖(IL−15Rβγc)複合体にトランスに提示される。IL−15及びIL−2は、IL−15Rβγcへの結合を共有し、STAT3及びSTAT5経路を通じてシグナル伝達する。しかしながら、IL−2と異なり、IL−15は、CD4+CD25+FoxP3+制御性T(Treg)細胞の維持を支持せず、又は活性化されたCD8+T細胞の細胞死を誘導しないが、これらは多発性骨髄腫に対するIL−2の治療活性を制限した可能性がある効果である。さらに、IL−15は、エフェクターCD8+T細胞に抗アポトーシス性シグナル伝達を与えることが知られた唯一のサイトカインである。IL−15は、単独で又はIL−15Rαとの複合体のいずれかとして投与されると、実験動物モデルで、十分に確立された固形腫瘍に対して強力な抗腫瘍活性を示し、このため、癌を治癒することができる可能性を秘めた最も有望な免疫治療薬の1つとして同定されてきた。
IL−15をベースとする癌治療薬の臨床的開発を促進するために、IL−15と比べて増加した生物学的活性を有するIL−15変異体(IL−15N72D)を同定した(Zhu et al.,J Immunol,183:3598−3607,2009)。このIL−15スーパーアゴニスト(IL−15N72D)の薬物動態及び生物学的活性は、スーパーアゴニスト複合体がインビボで天然のサイトカインの活性の少なくとも25倍を有するように、IL−15N72D:IL−15Rα/Fc融合複合体(ALT−803)の作製によってさらに改善された(Han et al.,Cytokine,56:804−810,2011)。
IL−15:IL−15Rα複合体
上述されているように、IL−15:IL−15Rα融合タンパク質複合体は、天然のIL−15Rαの可溶性IL−15Rαドメインに非共有結合されたIL−15を有する複合体を表すことができる。いくつかの事例において、可溶性IL−15Rαは、生物学的に活性なポリペプチドに及び/又はIgGFcドメインに共有結合されている。IL−15は、IL−15又は別の生物学的に活性なポリペプチドに共有結合されたIL−15のいずれかであり得る。IL−15:IL−15Rα複合体の結晶構造は、Chirifu et al.,2007 Nat Immunol 8,1001−1007に示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書中に記載された本発明の上記態様又はいずれかの他の態様の様々な実施形態において、IL−15Rα融合タンパク質は、可溶性IL−15Rα、例えば、生物学的に活性なポリペプチド(例えば、IgGの重鎖定常ドメイン、IgGの重鎖定常ドメインのFcドメイン又はサイトカイン)に共有結合されたIL−15Rαを含む。上記態様の本発明の別の実施形態において、IL−15は、IL−15、例えば、別の生物学的に活性なポリペプチド、例えば、サイトカインに共有結合されたIL−15を含む。別の実施形態において、宿主細胞又は培地からIL−15:IL−15Rα複合体を精製することは、IL−15:IL−15Rα融合タンパク質複合体を特異的に結合する親和性試薬上にIL−15:IL−15Rα複合体を捕捉することを含む。別の実施形態において、IL−15Rα融合タンパク質は、IL−15Rα/Fc融合タンパク質を含有し、親和性試薬はFcドメインを特異的に結合する。別の実施形態において、親和性試薬はプロテインA又はプロテインGである。別の実施形態において、親和性試薬は抗体である。別の実施形態において、宿主細胞又は培地からIL−15:IL−15Rα複合体を精製することは、イオン交換クロマトグラフィーを含む。別の実施形態において、宿主細胞又は培地からIL−15:IL−15Rα複合体を精製することは、サイズ排除クロマトグラフィーを含む。
別の実施形態において、IL−15RαはIL−15Rαスシ(IL−15RαSu)を含む。別の実施形態において、IL−15は変異体IL−15(例えば、IL−15N72D)である。別の実施形態において、IL−15:IL−15Rα複合体のIL−15結合部位は完全に占有されている。別の実施形態において、IL−15:IL−15RαSu/Fc複合体の両IL−15結合部位は完全に占有されている。別の実施形態において、IL−15:IL−15Rα複合体は、複合体の電荷又はサイズ特性に基づいて精製される。別の実施形態において、完全に占有されたIL−15N72D:IL−15RαSu/Fc融合タンパク質複合体は、複合体の電荷特性に基づいて、陰イオンクロマトグラフィーによって精製される。別の実施形態において、完全に占有されたIL−15N72D:IL−15RαSu/Fc融合タンパク質複合体は、低イオン強度中性pH緩衝液を利用する結合条件及び増加するイオン強度の緩衝液を利用する溶出条件で、第四級アミンをベースとする樹脂を用いて精製される。
本発明の可溶性融合タンパク質複合体のある実施形態において、IL−15ポリペプチドは、天然のIL−15ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を有するIL−15変異体である。ヒトIL−15ポリペプチドは、本明細書において、huIL−15、hIL−15、huIL15、hIL15、IL−15野生型(wt)と表され、その変異体は、天然のアミノ酸、成熟した配列中のその位置及び変異体アミノ酸を用いて表される。例えば、huIL15N72Dは、72位におけるNのDへの置換を含むヒトIL−15を表す。ある実施形態において、IL−15変異体は、例えば、天然のIL−15ポリペプチドと比較してIL−15RβγC受容体に対する増加した結合活性によって実証されるように、IL−15アゴニストとして機能する。ある実施形態において、IL−15変異体は、例えば、天然のIL−15ポリペプチドと比較してIL−15RβγC受容体に対する減少した結合活性によって実証されるように、IL−15アンタゴニストとして機能する。ある実施形態において、IL−15変異体は、天然のIL−15ポリペプチドと比較して、IL−15RβγC受容体に対して増加した結合親和性又は減少した結合活性を有する。ある実施形態において、IL−15変異体の配列は、天然のIL−15配列と比較して、少なくとも1つの(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はこれより多い)アミノ酸変化を有する。アミノ酸変化は、IL−15Rβ及び/又はIL−15RγCと相互作用するIL−15のドメイン中に、1つ以上のアミノ酸置換又は欠失を含むことができる。ある実施形態において、アミノ酸変化は、成熟ヒトIL−15配列の8、61、65、72、92、101、108又は111位での1つ以上のアミノ酸置換又は欠失である。例えば、アミノ酸変化は、成熟ヒトIL−15配列の8位でのDのN又はAへの、61位でのDのAへの、65位でのNのAへの、72位でのNのRへの、108位でのQのAへの置換又はこれらの置換の任意の組み合わせである。ある実施形態において、アミノ酸変化は、成熟ヒトIL−15配列の72位でのNのDへの置換である。
ALT−803(N−803)
ALT−803は、IL−2Rβγを結合する増加した能力及び増強された生物学的活性を有するIL−15変異体を含む(米国特許第8,507,222号、参照により本明細書に組み込まれる。)。IL−15のこのスーパーアゴニスト変異体は、刊行物に記載された(Zu et al.,2009 J Immunol,183:3598−3607、参照により本明細書に組み込まれる。)。可溶性IL−15α受容体融合タンパク質(IL−15RαSu/Fc)と組み合わせたこのIL−15スーパーアゴニストは、インビトロ及びインビボで極めて強力なIL−15活性を有するタンパク質複合体をもたらす(Han et al.,2011,Cytokine,56:804−810;Xu,et al.,2013 Cancer Res.73:3075−86,Wong,et al.,2013,OncoImmunology 2:e26442)。IL−15スーパーアゴニスト複合体(IL−15N72D:IL−15RαSu/Fc)は、「ALT−803」と表記される。
薬物動態分析は、マウスに静脈内投与した後に、この複合体が25時間の半減期を有することを示した。ALT−803は、免疫応答性マウス中で、侵襲性固形腫瘍及び血液腫瘍モデルに対して目覚ましい抗腫瘍活性を示す。ALT−803は、週に2回又は毎週、静脈内投与計画を用いる単独療法として、又は抗体との併用療法(combinatorial therapy)として投与することができる。ALT−803抗腫瘍応答も持続的である。ALT−803処置後に治癒された腫瘍保有マウスは、同じ腫瘍細胞による再攻撃に対しても極めて抵抗性があり、ALT−803が再導入された腫瘍細胞に対して有効な免疫記憶応答を誘導することを示している。
IL−7
IL−7は、適応免疫細胞の発育、生存及び増殖にとって不可欠なサイトカインである。IL−7は、主として、骨髄及び胸腺中の間質細胞によって分泌されるのに対して、樹状細胞(DCs)などのその他の免疫細胞もIL−7を産生することができる。IL−7受容体は、2つの鎖、すなわち、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)と共有されるIL−7Rα(CD127)と、並びにIL−2、IL−4、IL−9、IL−15及びIL−21と共有される共通γ鎖(CD132)とからなるヘテロ二量体である。γ鎖は全ての造血細胞種上に発現されているのに対して、IL−7Rαは主にリンパ球上に発現されている。IL−7Rαは、リンパ器官の発育及び病原体に対する自然免疫応答において重要である、NK細胞及び腸管関連リンパ組織(GALT)由来LTi細胞などの、自然リンパ球系細胞(ILCs)中にも見出される。IL−7は、LTi細胞のプールを調節することによって、リンパ器官形成も制御することができる。IL−7受容体の別の種類は可溶性IL−7Rであり、IL−7R発現細胞による過剰なIL−7消費を低減するために細胞結合型IL−7Rと競合し、サイトカインが限られているときに、IL−7の生物活性を増強する(Gao J et al.Int J Mol Sci.2015;16(10267−10280))。
IL−7の作用には、Jak−Stat及びPI3K−Aktという2つの主要なシグナル伝達経路が関与している。IL−7Rαは、タンパク質チロシンキナーゼであるヤヌスキナーゼ1(Jak1)と会合しており、γ鎖のサイトゾル側末端はJak3と会合している。IL−7の受容体へのIL−7の結合は、サイトゾル中のJakの活性化をもたらし、Statタンパク質をリン酸化する。二量体のリン酸化されたStatタンパク質は、続いて、核内に移行し、遺伝子発現を誘導する。Jak3−Stat5経路を介して、IL−7は抗アポトーシス性遺伝子であるBcl−2及びMcl−1を活性化し、並びにBax及びBakなどのアポトーシス促進性タンパク質を抑制し、これによって、順次、ナイーブT細胞及びメモリーT細胞の生存がもたらされる。より高濃度のIL−7は胸腺移住T細胞増殖を誘導するのに対して、より低い濃度は細胞の生存を維持するように、この機能は用量依存的である。PI3K−Akt経路を活性化することによって、IL−7は、細胞周期阻害剤p27kip1を下方制御して、細胞周期進行のためにサイクリンD1の発現を誘導する。さらに、IL−7は、グルコース輸送体1発現、グルコース取り込み及びミトコンドリアの完全性を促進して、細胞代謝とサイズを正に制御する(Gao J et al.Int J Mol Sci.2015;16(10267−10280);及びJatiani SS et al.Genes Cancer.2010;1(10):979−993)。
IL−21
IL−21は、炎症促進活性と抗炎症活性の両方を有する多面的サイトカインであり、活性化されたCD4+及びNK T細胞によって主に産生される。IL−21は、共通γ鎖サイトカインファミリーに属し、リンパ球活性化、増殖、分化及び生存に関与している。IL−21は、特異的なIL−21R及び共通γ鎖受容体からなるヘテロ二量体受容体シグナル伝達を介して機能する。IL−21は、Jak−Stat、PI3K及びMAPK経路を通じてシグナルを伝達する。IL−21は、T細胞分化にとって極めて重要であるStat3の強力な継続的活性化を誘導する(Ouyang W,et al.Immunity.2012;28(4)454−467)。
IL−21は、IL−15及びIL−7とともに、抗原特異的CD8+T細胞数及びそれらのエフェクター機能の増大を促進し、腫瘍の退縮をもたらす。IL−21は、初期分化表現型の誘導によって、ナイーブT細胞とセントラルメモリーT細胞の両方の発育及び生存において重要な役割を果たすことも示されている。重要なことに、IL−21によって生成されたT細胞は、実験モデルにおいて、インビボで卓越した抗腫瘍性効果を示した。
IL−21は、NK細胞の生成において、IL−2、IL−15及びFlt−3Lと協働することも示されている。IL−15はNK細胞の増大において役割を果たしているのに対して、IL−21は、炎症性サイトカインの増加された脱顆粒及び分泌によって細胞傷害活性を誘導することが最近報告された(Wagner J et al.Front Immunol.2017;8:676)。
抗原特異的結合ドメイン
抗原特異的結合ドメインは、疾病細胞上の標的に特異的に結合するポリペプチドからなる。または、これらのドメインは、腫瘍増殖を支える間質細胞上の標的又は疾病媒介性免疫抑制を支える免疫細胞上の標的など、疾病状態を支える他の細胞上の標的に結合し得る。抗原特異的結合ドメインには、抗体、一本鎖抗体、Fab、Fv、T細胞受容体結合ドメイン、リガンド結合ドメイン、受容体結合ドメイン、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、ミニボディ、ナノボディ、ペプチボディ、又は本分野において公知の様々な他の抗体模倣物(アフィマー(affimers)、アフィチン(affitins)、アルファボディ(alphabodies)、アトリマー(atrimers)、CTLA4をベースとする分子、アドネクチン、アンチカリン、クニッツドメインをベースとするタンパク質、アビマー、ノッチン、フィノマー(fynomers)、ダルピン(darpins)、アフィボディ(affibodies)、アフィリン(affilins)、モノボディ(monobodies)及びアルマジロリピートタンパク質をベースとするタンパク質(Weidle,UH,et al.2013.Cancer Genomics&Proteomics 10:155−168)など)が含まれる。
ある実施形態において、抗原特異的結合ドメインに対する抗原は、細胞表面受容体又はリガンドを含む。さらなる実施形態において、抗原は、CD抗原、サイトカイン若しくはケモカイン受容体若しくはリガンド、増殖因子受容体若しくはリガンド、組織因子、細胞接着分子、MHC/MHC様分子、Fc受容体、Toll様受容体、NK受容体、TCR、BCR、正/負の共刺激受容体若しくはリガンド、細胞死受容体若しくはリガンド、腫瘍関連抗原又はウイルスコード化抗原(virus encoded antigen)を含む。
好ましくは、抗原特異的結合ドメインは、腫瘍細胞上の抗原に結合することができる。腫瘍特異的結合ドメインは、癌を有する患者の処置に対して承認された抗体に由来し得、リツキシマブ、オファツムマブ及びオビヌツズマブ(抗CD20抗体);トラスツズマブ及びペルツズマブ(抗HER2抗体);セツキシマブ及びパニツムマブ(抗EGFR抗体);並びにアレムツズマブ(抗CD52抗体)が含まれる。同様に、CD20(90Y標識されたイブリツモマブチウキセタン、131I標識されたトシツモマブ)、HER2(アド−トラスツズマブエムタンシン)、CD30(ブレンツキシマブベドチン)及びCD33(ゲムツズマブオゾガマイシン)に対して特異的な承認された抗体エフェクター分子接合体からの結合ドメイン(Sliwkowski MX,Mellman I.2013 Science 341:1192)を使用することができるであろう。
さらに、本発明の好ましい結合ドメインには、本分野において既知の様々な他の腫瘍特異的抗体ドメインが含まれ得る。癌の処置用の抗体及びそれらの各標的には、ニボルマブ(抗PD−1抗体)、TA99(抗gp75)、3F8(抗GD2)、8H9(抗B7−H3)、アバゴボマブ(抗CA−125(イミテーション(imitation)))、アデカツムマブ(adecatumumab)(抗EpCAM)、アフツズマブ(抗CD20)、アラシズマブペゴール(alacizumab pegol)(抗VEGFR2)、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)(抗CEA)、アマツキシマブ(amatuximab)(抗メソテリン)、AME−133(抗CD20)、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)(抗TAG−72)、アポリズマブ(apolizumab)(抗HLA−DR)、アルシツモマブ(arcitumomab)(抗CEA)、バビツキシマブ(bavituximab)(抗ホスファチジルセリン)、ベクツモマブ(bectumomab)(抗CD22)、ベリムマブ(belimumab)(抗BAFF)、ベシレソマブ(besilesomab)(抗CEA関連抗原)、ベバシズマブ(bevacizumab)(抗VEGF−A)、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)(抗CD44v6)、ブリナツモマブ(blinatumomab)(抗CD19)、BMS−663513(抗CD137)、ブレンツキシマブベドチン(brentuximab vedotin)(抗CD30(TNFRSF8))、カンツズマブメルタンシン(抗ムチンCanAg)、カンツズマブラブタンシン(抗MUC1)、カプロマブペンデチド(抗前立腺癌腫細胞)、カルルマブ(抗MCP−1)、カツマキソマブ(抗EpCAM、CD3)、cBR96−ドキソルビシン免疫複合体(抗Lewis−Y抗原)、CC49(抗TAG−72)、セデリズマブ(cedelizumab)(抗CD4)、Ch.14.18(抗GD2)、ch−TNT(抗DNA関連抗原)、シタツズマブボガトクス(citatuzumab bogatox)(抗EpCAM)、シズツムマブ(抗IGF−1受容体)、イバツズマブテトラキセタン(ivatuzumab tetraxetan)(抗MUC1)、コナツムマブ(抗TRAIL−R2)、CP−870893(抗CD40)、ダセツズマブ((抗CD40)、ダクリズマブ(抗CD25)、ダロツズマブ(抗インシュリン様増殖因子I受容体)、ダラツムマブ(抗CD38(環状ADPリボースヒドロラーゼ))、デミシズマブ(抗DLL4)、デツモマブ(detumomab)(抗Bリンパ腫細胞)、ドロジツマブ(抗DR5)、デュリゴツマブ(duligotumab)(抗HER3)、デュシギツマブ(抗ILGF2)、エクロメキシマブ(ecromeximab)(抗GD3ガングリオシド)、エドレコロマブ(抗EpCAM)、エロツズマブ(抗SLAMF7)、エルシリモマブ(elsilimomab)(抗IL−6)、エナバツズマブ(enavatuzumab(抗TWEAK受容体)、エノチクマブ(抗DLL4)、エンシツキシマブ(ensituximab)(抗5AC)、エピツモマブシツキセタン(epitumomab cituxetan)(抗エピシアリン)、エプラツズマブ(抗CD22)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)(抗HER2/neu、CD3)、エタラシズマブ(etaracizumab)(抗インテグリンav〜3)、ファラリモマブ(faralimomab)(抗インターフェロン受容体)、ファーレツズマブ(抗フォレート受容体1)、FBTA05(抗CD20)、フィクラツズマブ(ficlatuzumab)(抗HGF)、フィギツムマブ(抗IGF−1受容体)、フランボツマブ(flanvotumab)(抗TYRP1(糖タンパク質75))、フレソリムマブ(fresolimumab)(抗TGF〜)、フツキシマブ(futuximab)(抗EGFR)、ガリキシマブ(抗CD80)、ガニツマブ(抗IGF−1)、ゲムツズマブオゾガマイシン(抗CD33)、ギレンツキシマブ(girentuximab)(抗炭酸脱水酵素9(CA−IX))、グレンバツムマブベドチン(glembatumumab vedotin)(抗GPNMB)、グセルクマブ(抗IL13)、イバリズマブ(抗CD4)、イブリツモマブチウキセタン(抗CD20)、イクルキュマブ(icrucumab)(抗VEGFR−1)、イゴボマブ(igovomab)(抗CA−125)、IMAB362(抗CLDN18.2)、IMC−CS4(抗CSFlR)、IMC−TR1(TGF〜RII)、イムガツズマブ(imgatuzumab)(抗EGFR)、インクラキュマブ(inclacumab)(抗セレクチンP)、インダツキシマブラブタンシン(indatuximab ravtansine)(抗SDC1)、イノツズマブオゾガマイシン(抗CD22)、インテツムマブ(intetumumab)抗CD51)、イピリムマブ(抗CD152)、イラツムマブ(iratumumab)(抗CD30(TNFRSF8))、KM3065(抗CD20)、KW−0761(抗CD194)、LY2875358(抗MET)ラベツズマブ(抗CEA)、ランブロリズマブ(抗PDCD1)、レクサツムマブ(抗TRAIL−R2)、リンツズマブ(抗CD33)、リリルマブ(lirilumab)(抗KIR2D)、ロルボツズマブメルタンシン(lorvotuzumab mertansine)(抗CD56)、ルカツムマブ(lucatumumab)(抗CD40)、ルミリキシマブ(抗CD23(IgE受容体))、マパツムマブ(抗TRAIL−R1)、マルゲツキシマブ(margetuximab)(抗ch4D5)、マツズマブ(抗EGFR)、マブリリムマブ(mavrilimumab)(抗GMCSF受容体a鎖)、ミラツズマブ(抗CD74)、ミンレツモマブ(minretumomab)(抗TAG−72)、ミツモマブ(mitumomab)(抗GD3ガングリオシド)、モガムリズマブ(抗CCR4)、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox)(抗CD22)、ナコロマブタフェナトクス(nacolomab tafenatox)(抗C242抗原)、ナプツモマブエスタフェナトクス(抗5T4)、ナルナツマブ(narnatumab)(抗RON)、ネシツムマブ(抗EGFR)、ネスバキュマブ(nesvacumab)(抗アンジオポエチン2)、ニモツズマブ(抗EGFR)、ニボルマブ(抗IgG4)、ノフェツモマブメルペンタン(nofetumomab merpentan)、オクレリズマブ(抗CD20)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)(抗CD20)、オララツマブ(抗PDGF−R a)、オナルツズマブ(抗c−MET)、オンツキシズマブ(ontuxizumab)(抗TEM1)、オポルツズマブモナトクス(oportuzumab monatox)(抗EpCAM)、オレゴボマブ(抗CA−125)、オトレルツズマブ(otlertuzumab)(抗CD37)、パンコマブ(pankomab)(抗腫瘍特異的グリコシル化型MUC1)、パルサツズマブ(parsatuzumab)(抗EGFL7)、パスコリズマブ(pascolizumab)(抗IL−4)、パトリツマブ(抗HER3)、ペムツモマブ(pemtumomab)(抗MUC1)、ペルツズマブ(抗HER2/neu)、ピディリズマブ(抗PD−1)、ピナツズマブベドチン(pinatuzumab vedotin)(抗CD22)、ピンツモマブ(pintumomab)(抗腺癌抗原)、ポラツズマブベドチン(抗CD79B)、プリツムマブ(pritumumab)(抗ビメンチン)、PRO131921(抗CD20)、クイリズマブ(quilizumab)(抗IGHE)、ラコツモマブ(racotumomab)(抗N−グリコリルノイラミン酸)、ラドレツマブ(radretumab)(抗フィブロネクチンエクストラドメイン−B)、ラムシルマブ(抗VEGFR2)、リロツムマブ(抗HGF)、
ロバツムマブ(robatumumab)(抗IGF−1受容体)、ロレヅマブ(roledumab)(抗RHD)、ロベリズマブ(rovelizumab)(抗CD11及びCD18)、サマリズマブ(samalizumab)(抗CD200)、サツモマブペンデチド(satumomab pendetide)(抗TAG−72)、セリバンツマブ(seribantumab)(抗ERBB3)、SGN−CD19A(抗CD19)、SGN−CD33A(抗CD33)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)(抗PAP)、シルツキシマブ(抗IL−6)、ソリトマブ(solitomab)(抗EpCAM)、ソンツズマブ(sontuzumab)(抗エピシアリン)、タバルマブ(抗BAFF)、タカツズマブテトラキセタン(tacatuzumab tetraxetan)(抗α−胎児タンパク質)、タプリツモマブパプトクス(taplitumomab paptox)(抗CD19)、テリモマブアリトクス(telimomab aritox)、テナツモマブ(tenatumomab)(抗テネイシンC)、テネリキシマブ(teneliximab)(抗CD40)、テプロツムマブ(抗CD221)、TGN1412(抗CD28)、チシリムマブ(ticilimumab)(抗CTLA−4)、ティガツズマブ(抗TRAIL−R2)、TNX−650(抗IL−13)、トシツモマブ(抗CS20)、トベツマブ(tovetumab)(抗CD140a)、TRBS07(抗GD2)、トレガリズマブ(tregalizumab)(抗CD4)、トレメリムマブ(抗CTLA−4)、TRU−016(抗CD37)、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)(抗EpCAM)、ウブリツキシマブ(ublituximab)(抗CD20)、ウレルマブ(抗4−1BB)、バンチクツマブ(vantictumab)(抗Frizzled受容体)、バパリキシマブ(vapaliximab)(抗AOC3(VAP−1))、バテリズマブ(vatelizumab)(抗ITGA2)、ベルツズマブ(抗CD20)、ベセンキュマブ(vesencumab)(抗NRP1)、ビジリズマブ(visilizumab)(抗CD3)、ボロシキシマブ(抗インテグリンα5β1)、ボルセツズマブマフォドチン(vorsetuzumab mafodotin)(抗CD70)、ボツムマブ(votumumab)(抗腫瘍抗原CTAA16.88)、ザルツムマブ(抗EGFR)、ザノリムマブ(抗CD4)、ザツキシマブ(zatuximab)(抗HER1)、ジラリムマブ(ziralimumab)(抗CD147(ベイシジン))、RG7636(抗ETBR)、RG7458(抗MUC16)、RG7599(抗NaPi2b)、MPDL3280A(抗PD−L1)、RG7450(抗STEAP1)及びGDC−0199(抗Bcl−2)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明において有用なその他の抗体ドメイン又は腫瘍標的結合タンパク質(例えば、TCRドメインには、以下の抗原を結合するものが含まれるが、これらに限定されない(示されている癌の適応症は非限定的な例を表すことに注意されたい。):アミノペプチダーゼN(CD13)、アネキシンA1、B7−H3(CD276、様々な癌)、CA125(卵巣癌)、CA15−3(癌腫)、CA19−9(癌腫)、L6(癌腫)、LewisY(癌腫)、LewisX(癌腫)、α胎児タンパク質(癌腫)、CA242(結腸直腸癌)、胎盤アルカリホスファターゼ(癌腫)、前立腺特異抗原(前立腺)、前立腺酸性ホスファターゼ(前立腺)、上皮増殖因子(癌腫)、CD2(ホジキン病、NHLリンパ腫、多発性骨髄腫)、CD3ε(T細胞リンパ腫、肺、乳房、胃、卵巣癌、自己免疫疾患、悪性腹水)、CD19(B細胞悪性腫瘍)、CD20(非ホジキンリンパ腫、B細胞新生物、自己免疫疾患)、CD21(B細胞リンパ腫)、CD22(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、SLE)、CD30(ホジキンリンパ腫)、CD33(白血病、自己免疫疾患)、CD38(多発性骨髄腫)、CD40(リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病(CLL))、CD51(転移性黒色腫、肉腫)、CD52(白血病)、CD56(小細胞肺癌、卵巣癌、メルケル細胞癌腫、及び液性腫瘍、多発性骨髄腫)、CD66e(癌腫)、CD70(転移性腎細胞癌腫及び非ホジキンリンパ腫)、CD74(多発性骨髄腫)、CD80(リンパ腫)、CD98(癌腫)、CD123(白血病)、ムチン(癌腫)、CD221(固形腫瘍)、CD227(乳房、卵巣癌)、CD262(NSCLC及びその他の癌)、CD309(卵巣癌)、CD326(固形腫瘍)、CEACAM3(結腸直腸、胃癌)、CEACAM5(CEA、CD66e)(乳房、結腸直腸及び肺癌)、DLL4(A様−4)、EGFR(様々な癌)、CTLA4(黒色腫)、CXCR4(CD184、ヘム腫瘍学(heme−oncology)、固形腫瘍)、エンドグリン(CD105、固形腫瘍)、EPCAM(上皮細胞接着分子、膀胱、頭部、頸部、結腸、NHL前立腺及び卵巣癌)、ERBB2(肺、乳房、前立腺癌)、FCGRl(自己免疫疾患)、FOLR(フォレート受容体、卵巣癌)、FGFR(癌腫)、GD2ガングリオシド(癌腫)、G−28(細胞表面抗原糖脂質、黒色腫)、GD3イディオタイプ(癌腫)、熱ショックタンパク質(癌腫)、HER1(肺、胃癌)、HER2(乳房、肺及び卵巣癌)、HLA−DRlO(NHL)、HLA−DRB(NHL、B細胞白血病)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(癌腫)、IGF1R(固形腫瘍、血液癌)、IL−2受容体(T細胞白血病及びリンパ腫)、IL−6R(多発性骨髄腫、RA、キャッスルマン病、IL6依存性腫瘍)、インテグリン(ανβ3、αβ51、α6β4、α11β3、α5β5、ανβ5、様々な癌向け)、MAGE−1(癌腫)、MAGE−2(癌腫)、MAGE−3(癌腫)、MAGE4(癌腫)、抗トランスフェリン受容体(癌腫)、p97(黒色腫)、MS4Al(膜貫通4−ドメインサブファミリーAメンバー1、非ホジキンB細胞リンパ腫、白血病)、MUC1(乳房、卵巣、子宮頸部、気管支及び胃腸癌)、MUC16(CA125)(卵巣癌)、CEA(結腸直腸癌)、gp100(黒色腫)、MARTI(黒色腫)、MPG(黒色腫)、MS4Al(膜貫通4−ドメインサブファミリーA、小細胞肺癌、NHL)、ヌクレオリン、Neu癌遺伝子産物(癌腫)、P21(癌腫)、ネクチン−4(癌腫)、抗−(N−グリコリルノイラミン酸のパラトープ、乳房、黒色腫癌)、PLAP様精巣アルカリホスファターゼ(卵巣、精巣癌)、PSMA(前立腺腫瘍)、PSA(前立腺)、ROB04、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72、AML、胃、結腸直腸、卵巣癌)、T細胞膜貫通タンパク質(癌)、Tie(CD202b)、組織因子、TNFRSF10B(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10B、癌腫)、TNFRSF13B(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー13B、多発性骨髄腫、NHL、その他の癌、RA及びSLE)、TPBG(栄養膜糖タンパク質、腎細胞癌腫)、TRAIL−Rl(腫瘍壊死アポトーシス誘発リガンド受容体1、リンパ腫、NHL、結腸直腸、肺癌)、VCAM−1(CD106、黒色腫)、VEGF、VEGF−A、VEGF−2(CD309)(様々な癌)。いくつかの他の腫瘍関連抗原標的が概説されている(Gerber,et al,mAbs 2009 1:247−253;Novellino et al,Cancer Immunol Immunother.2005 54:187−207,Franke,et al,Cancer Biother Radiopharm.2000,15:459−76,Guo,et al.,Adv Cancer Res.2013;119:421−475,Parmiani et al.J Immunol.2007 178:1975−9)。これらの抗原の例には、表面抗原分類(CD4、CDS、CD6、CD7、CDS、CD9、CD10、CD11a、CD11b、CD11e、CD12w、CD14、CD15、CD16、CDw17、CD18、CD21、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD31、CD32、CD34、CD35、CD36、CD37、CD41、CD42、CD43、CD44、CD45、CD46、CD47、CD48、CD49b、CD49c、CD53、CD54、CD55、CD58、CD59、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD63、CD68、CD69、CD71、CD72、CD79、CD81、CD82、CD83、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CD95、CD96、CD100、CD103、CD105、CD106、CD109、CD117、CD120、CD127、CD133、CD134、CD135、CD138、CD141、CD142、CD143、CD144、CD147、CD151、CD152、CD154、CD156、CD158、CD163,CD166、CD168、CD184、CDw186、CD195、CD202(a、b)、CD209、CD235a、CD271、CD303、CD304)、アネキシンA1、ヌクレオリン、エンドグリン(CD105)、ROB04、アミノペプチダーゼN様−4(DLL4)、VEGFR−2(CD309)、CXCR4(CD184)、Tie2、B7−H3、WT1、MUC1、LMP2、HPV E6 E7、EGFRvlll、HER−2/neu、イディオタイプ、MAGE A3、p53非変異体、NY−ESO−1、GD2、CEA、MelanA/MART1、Ras変異体、gp100、p53変異体、プロテイナーゼ3(PR1)、bcr−abl、チロシナーゼ、サバイビン、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、PAP、ML−IAP、AFP、EpCAM、ERG(TMPRSS2 ETS 融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、RhoC、TRP−2、GD3、フコシルGMI、メソテリン、PSCA、MAGE A1、sLe(a)、CYPIB I、PLACI、GM3、BORIS、Tn、GloboH、ETV6−AML、NY−BR−1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、OY−TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、AKAP−4、SSX2、XAGE1、B7H3、レグマイン、Tie2、Page4、VEGFR2、MAD−CT−1、FAP、PDGFR−β、MAD−CT−2及びFas関連抗原1が含まれる。
さらに、本発明の好ましい結合ドメインには、本分野において既知である、感染細胞に付随する抗原及びエピトープ標的に対して特異的な結合ドメインが含まれる。このような標的には、興味深い以下の感染性因子:HIVウイルス(特に、HIVエンベロープスパイク並びに/又はgp120及びgp41エピトープ由来の抗原)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin−resistant Staphylococcus aureus)、レジオネラ・ニューモフィリア(Legionella pneumophilia)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ナイセリア・ゴノレー(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Pneumococcus)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、インフルエンザ菌B型(influenzae B)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ライム病スピロヘータ(Lyme disease spirochetes)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、マイコプラズマ・レプラエ(Mycobacterium leprae)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスI型、単純ヘルペスウイルスII型、ヒト血清パルボ様ウイルス(human serum parvo−like virus)、呼吸器多核体ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、いぼウイルス、ブルータングウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、サルウイルス40、マウス乳癌ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、西ナイルウイルス、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、プラスモディウム・ビバックス(Plasmodium vivax)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、ランゲルトリパノソーマ(Trypanosoma rangeli)、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ・ローデシエンセイ(Trypanosoma rhodesiensei)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、日本住血吸虫(Schistosomajaponicum)、バベシア・ボビス(Babesia bovis)、ニワトリ盲腸コクシジウム(Elmeria tenella)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、タイレリア・パルバ(Theileria parva)、胞状条虫(Taenia hydatigena)、テニア・オービス(Taenia ovis)、無鉤条虫(Taenia saginata)、単包条虫(Echinococcus granulosus)、メソセストイデス・コルチ(Mesocestoides corti)、マイコプラズマ・アルスリチジス(Mycoplasma arthritidis)、エム・ハイオリニス(M.hyorhinis)、エム・オラーレ(M.orale)、エム・アルギニニ(M.arginini)、アコレプラズマ・レイドロウイ(Acholeplasma laidlawii)、エム・サリバリウム(M.salivarium)及びエム・ニューモニエ(M.pneumoniae)に由来するものが含まれるが、これらに限定されない。
免疫チェックポイント阻害剤及び免疫アゴニストドメイン
別の実施形態において、結合ドメインは、免疫チェックポイント又はシグナル伝達分子又はそのリガンドに対して特異的であり、免疫チェックポイント抑制活性の阻害剤として、又は免疫賦活活性のアゴニストとして作用する。このような免疫チェックポイント及びシグナル伝達分子及びリガンドには、PD−1、PD−L1 PD−L2、CTLA−4、CD28、CD80、CD86、B7−H3、B7−H4、B7−H5、ICOS−L、ICOS、BTLA、CD137L、CD137、HVEM、KIR、4−1BB、OX40L、CD70、CD27、CD47、CIS、OX40、GITR、IDO、TIM3、GAL9、VISTA、CD155、TIGIT,LIGHT、LAIR−1、Siglecs及びA2aRが含まれる(Pardall DM.2012Nature Rev Cancer 12:252−264,Thaventhiran T,et al.2012.J Clin Cell Immunol,S12:004)。さらに、本発明の好ましい抗体ドメインには、イピリムマブ及び/又はトレメリムマブ(抗CTLA4)、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、TSR−042、ANB011、AMP−514及びAMP−224(リガンド−Fe融合物)(抗PD1)、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)、デュルバルマブ(MEDI4736)、MEDI0680及びBMS−9365569(抗PDL1)、MEDI6469(抗OX40アゴニスト)、BMS−986016、IMP701、IMP731、IMP321(抗LAG3)並びにGITRリガンドが含まれ得る。
T細胞受容体(TCR)
T細胞は、他の免疫細胞種(多形核細胞、好酸球、好塩基球、肥満細胞、B細胞、NK細胞)とともに、免疫系の細胞成分を構成する細胞の部分群である。生理的条件下で、T細胞は、免疫監視において及び外来抗原の排除において機能する。しかしながら、生理的条件下において、T細胞が疾病の原因及び伝播において主要な役割を果たしているという有力な証拠が存在する。これらの障害では、中枢又は末梢のいずれかにおける、T細胞免疫寛容の破壊が、自己免疫疾患の原因における基本的過程である。
TCR複合体は、少なくとも7つの膜貫通タンパク質から構成される。ジスルフィド結合された(αβ又はγδ)ヘテロ二量体は単型の抗原認識ユニットを形成するのに対して、ε、γ、δ、ζ及びη鎖からなるCD3の不変鎖は、T細胞活性化と細胞性免疫応答の精緻化をもたらすシグナル伝達経路にリガンド結合を共役させる役割を有する。TCR鎖の遺伝子多様性に関わらず、2つの構造的特徴が全ての既知のサブユニットに共通である。第一に、TCR鎖は、おそらくαヘリックスの単一の膜貫通ドメインを有する膜貫通タンパク質である。第二に、全てのTCR鎖は、予想される膜貫通ドメイン内に帯電したアミノ酸を有するという珍しい特徴を有している。不変鎖は、マウスとヒトの間で保存された単一の負の電荷を有し、変異鎖(variant chains)は1つ(TCR−β)又は2つ(TCR−α)の正の電荷を有する。TCR−αの膜貫通配列は多数の種において高度に保存されており、このため、系統学的に、重要な機能的役割を果たしている可能性がある。親水性アミノ酸であるアルギニンとリジンを含有するオクタペプチド配列は、種間で同一である。
T細胞応答は、TCRへの抗原結合によって調節される。TCRの1つの種類は、免疫グロブリン可変(V)及び定常(C)領域に似たα及びβ鎖からなる膜結合ヘテロ二量体である。TCRα鎖は、共有結合されたV−αとC−α鎖を含むのに対して、β鎖は、C−β鎖に共有結合されたV−β鎖を含む。V−α鎖とV−β鎖は、主要組織適合複合体(MHC)(ヒトでは、HLA複合体として知られる。)との関係において、スーパー抗原又は抗原を結合することができるポケット又は裂け目を形成する。Davis Ann.Rev.of Immunology 3:537(1985);Fundamental Immunology 3rd Ed.,W.Paul Ed.Rsen Press LTD.New York(1993)を参照されたい。
TCR鎖(αβ又はγδ)の細胞外ドメインは、細胞表面上での発現のため、異種の膜貫通ドメインへの融合物として加工することもできる。このようなTCRには、CD3、CD28、CD8、4−1BB及び/又はキメラ活性化受容体(CAR)膜貫通又は活性化ドメインへの融合物が含まれる。TCRは、αβ又はγδ鎖の抗原結合ドメインの1つ以上を含む可溶性タンパク質でもあり得る。このようなTCRには、TCR定常ドメインあり又はなしの、TCR可変ドメイン又はその機能的断片が含まれ得る。可溶性TCRは、ヘテロ二量体又は一本鎖分子であり得る。
Fcドメイン
本発明のタンパク質複合体は、Fcドメインを含有し得る。例えば、hIL7/IL21/TxMは、IL−7/IL−15N72D:IL−21/IL−15RαSu/huIgG1Fc融合複合体を含む。様々なサイトカイン及び可溶性受容体など、別のタンパク質のドメインとIgGのFc領域を組み合わせる融合タンパク質が報告されている(例えば、Capon et al.,Nature,337:525−531,1989;Chamow et al.,Trends Biotechnol.,14:52−60,1996);米国特許第5,116,964号及び米国特許第5,541,087号を参照。)。原型の融合タンパク質は、IgGFcのヒンジ領域中のシステイン残基を通じて連結されたホモ二量体タンパク質であり、重鎖可変並びにCH1ドメイン及び軽鎖なしのIgG分子に類似した分子が得られる。Fcドメインを含む融合タンパク質の二量体の性質は、他の分子とのより高次の相互作用(すなわち、二価又は二重特異性結合)を与える点で有利であり得る。構造的相同性の故に、Fc融合タンパク質は、類似のアイソタイプを有するヒトIgGと同等のインビボ薬物動態特性を示す。IgGクラスの免疫グロブリンは、ヒト血液中に最も豊富に存在するタンパク質の1つであり、それらの循環半減期は21日の長さに達し得る。IL−15若しくはIL−15融合タンパク質の循環半減期を延長するために、及び/又はその生物学的活性を増加させるために、ヒト重鎖IgGタンパク質のFc部分に共有結合されたIL−15Rαに非共有結合されたIL−15ドメインを含有する融合タンパク質複合体が本明細書に記載されている。
「Fc」という用語は、Fc受容体と呼ばれる細胞表面受容体及び補体系のいくつかのタンパク質と相互作用する抗体の定常領域である断片結晶化可能領域を表す。このような「Fc」は、二量体形態である。天然のFcの元の免疫グロブリン源は、好ましくは、ヒト起源のものであり、免疫グロブリンのいずれでもあり得るが、IgG1及びIgG2が好ましい。天然のFcは、共有(すなわち、ジスルフィド結合)及び非共有会合によって、二量体又は多量体の形態へ連結され得る単量体ポリペプチドから構成されている。天然のFc分子の単量体サブユニット間の分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えば、IgG、IgA、IgE)又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2)に応じて、1〜4の範囲である。天然のFcの一例は、IgGのパパイン消化から生じるジスルフィド結合された二量体である(Ellison et al.(1982),Nucleic Acids Res.10:4071−9参照。)。本明細書において使用される「天然のFc」という用語は、単量体、二量体及び多量体の形態に対する総称である。プロテインA、プロテインG、様々なFc受容体及び補体タンパク質に対する結合部位を含有するFcドメイン。いくつかの実施形態において、複合体のFcドメインは、抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は抗体依存性細胞貪食を媒介する(ADCP)を媒介するために、Fc受容体と相互作用することができる。他の適用において、複合体は、ADCC又はADCPを効果的に媒介することができないFcドメイン(例えば、IgG4Fc)を含む。
いくつかの実施形態において、「Fc変異体」という用語は、天然のFcから改変されているが、サルベージ受容体、FcRnに対する結合部位をなお含む分子又は配列を表す。国際出願WO97/34631号及びWO96/32478号は、例示的なFc変異体及びサルベージ受容体との相互作用を記載しており、参照により本明細書に組み込まれる。このため、「Fc変異体」という用語は、非ヒト天然のFcからヒト化された分子又は配列を含む。さらに、天然のFcは、本発明の融合分子にとって必要でない構造的特徴又は生物学的活性を与えるので除去され得る部位を含む。このため、ある実施形態において、「Fc変異体」という用語は、(1)ジスルフィド結合形成、(2)選択された宿主細胞との不適合性(3)選択された宿主細胞中で発現したときのN末端不均一性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体への結合、(7)抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)又は(8)抗体依存性細胞性細胞貪食(ADCP)に影響を及ぼし、又はこれらに関与する1つ以上の天然のFc部位又は残基を変える分子又は配列を含む。このような変化は、これらのFc特性のいずれか1つ以上を増加又は減少させることができる。Fc変異体は、さらに詳しく以下に記載されている。
「Fcドメイン」という用語は、上に定義されているように、天然のFc及び変異体分子及び配列を包含する。Fc変異体及び天然のFcと同様に、「Fcドメイン」という用語は、全抗体から消化されるか又は組換え遺伝子発現によって若しくは他の手段によって作製されたかどうかを問わず、単量体又は多量体形態の分子を含む。
リンカー
いくつかの事例において、本発明の融合複合体は、IL−15又はIL−15RαドメインとIL−12及び/又はIL−18結合ドメインとの間に挿入された柔軟なリンカー配列も含む。リンカー配列は、IL−15又はIL−15Rαドメインに関してポリペプチドの効果的な配置を可能にして、両ドメインの機能的活性を可能にすべきである。
ある事例において、可溶性融合タンパク質複合体はリンカーを有しており、第一のポリペプチドは、ポリペプチドリンカー配列によって、IL−15(又はその機能的断片)に共有結合されている。他の態様において、本明細書に記載されている可溶性融合タンパク質複合体はリンカーを有しており、第二のポリペプチドは、ポリペプチドリンカー配列によって、IL−15Rαポリペプチド(又はその機能的断片)に共有結合されている。
好ましくは、リンカー配列は、提示している抗原の認識のためにTCR分子の結合溝を効果的に配置することができ、又は抗原の認識のために抗体分子の結合ドメインを効果的に配置することができるペプチドをもたらすヌクレオチド配列によってコードされる。本明細書において使用される「IL−15又はIL−15Rαドメインに関して生物学的に活性なポリペプチドの有効な配置」という用語又はその他の類似の用語は、IL−15又はIL−15Rαドメインが互いに相互作用して、タンパク質複合体を形成することができるように、IL−15又はIL−15Rαドメインに連結された生物学的に活性なポリペプチドが配置されていることを意味するものとする。例えば、IL−15又はIL−15Rαドメインは、免疫反応を開始若しくは阻害するために、又は細胞の発育を阻害若しくは刺激するために、免疫細胞との相互作用を可能にするように効果的に配置される。
本発明の融合複合体は、好ましくは、IL−15又はIL−15Rαドメインと免疫グロブリンFcドメインとの間に挿入された柔軟なリンカー配列も含む。リンカー配列は、Fcドメイン、生物学的に活性なポリペプチド及びIL−15又はIL−15Rαドメインの効果的な配置を可能にして、各ドメインの機能的活性を可能にするべきである。例えば、適切な融合タンパク質複合体の形成及び/又は免疫細胞上のFc受容体若しくは補体系のタンパク質との相互作用を可能にして、オプソニン化、細胞溶解、肥満細胞、好塩基球及び好酸球の脱顆粒及びその他のFc受容体依存性過程;補体経路の活性化;並びに融合タンパク質複合体の増大されたインビボ半減期などのFc媒介性効果を刺激するために、Fcドメインは効果的に配置される。
生物学的に活性なポリペプチドの2つ以上のポリペプチドを連結して、所望の機能的活性を有する一本鎖分子を生成するために、リンカー配列を使用することもできる。
好ましくは、リンカー配列は、約7〜20のアミノ酸、より好ましくは、約10〜20アミノ酸を含む。単一の所望されない立体構造に生物学的に活性なポリペプチド又はエフェクター分子を固定しないようにするために、リンカー配列は、好ましくは、柔軟である。リンカー配列は、例えば、認識部位を融合された分子から離隔するために使用することができる。具体的には、例えば、生物学的に活性なポリペプチドとエフェクター分子を化学的に架橋するために、及び分子の柔軟性を与えるために、ペプチドリンカー配列は、生物学的に活性なポリペプチドとエフェクター分子の間に配置することができる。リンカーは、柔軟性を与えるために、好ましくは、主として、グリシン、アラニン及びセリンなどの小さな側鎖を有するアミノ酸を含む。好ましくは、リンカー配列の約80%又は90%又はそれより多くが、グリシン、アラニン又はセリン残基、特にグリシン及びセリン残基を含む。
抗体可変領域を一緒に連結するために首尾よく使用されてきた多数の柔軟なリンカーデザインのいずれをも含む様々なリンカー配列が使用できるであろう(Whitlow,M.et al.,(1991)Methods:A Companion to Methods in Enzymology,2:97−105)。
養子細胞療法
養子細胞療法(ACT)(同種及び自家造血幹細胞移植(HSCT)及び組換え細胞(すなわち、CAR T)療法を含む。)は、多くの悪性障害に対して選択される処置である(HSCT及び養子細胞療法アプローチの概説については、Rager&Porter,Ther Adv Hematol(2011)2(6)409−428;Roddie&Peggs,Expert Opin.Biol.Ther.(2011)11(4):473−487;Wang et al.Int.J.Cancer:(2015)136,1751−1768;及びChang,Y.J.and X.J.Huang,Blood Rev,2013.27(1):55−62を参照されたい。)。このような養子細胞療法には、同種及び自家造血幹細胞移植、ドナー白血球(又はリンパ球)輸液(DLI)、腫瘍浸潤リンパ球の養子移植又はT細胞若しくはNK細胞の養子移植(組換え細胞、すなわち、CAR T、CAR NKを含む。)が含まれるが、これらに限定されない。放射線照射及び化学療法後に、ドナー由来の細胞が造血を回復させる必要性以外に、移植された細胞からの免疫の回復は残存する腫瘍細胞の除去のために重要である。悪性病変に対する治療上の選択肢としてのACTの有効性は、ドナー細胞の起源、組成及び表現型(リンパ球サブセット、活性化状態)、基礎疾患、移植前の調整計画及び移植後の免疫補助(すなわち、IL−2療法)及び移植片内のドナー細胞によって媒介される移植片対腫瘍(GVT)効果を含む多数の因子によって影響される。さらに、これらの因子は、調整計画(conditioning regimen)及び/又は宿主内でのドナー細胞の過剰な免疫活性(すなわち、移植片対宿主病、サイトカイン放出症候群など)から典型的に生じる、移植関連死亡率に対して釣り合いを取らなければならない。
養子NK細胞療法を用いたアプローチは、非常に関心を持たれるようになった。自家HSCTを受けている患者では、血液NK細胞数は、移植後極めて早期に回復し、NK細胞のレベルは有益な結果と相関する(Rueff al.,2014,Biol.Blood Marrow Transplant.20,896−899)。自家NK細胞移植を用いた治療戦略は、多数の要因のために限られた成功を収めたが、エクスビボで活性化された同種(又はハプロタイプ一致)NK細胞の養子移植が、癌に対する有望な免疫治療戦略として出現した(Guillerey et al.2016.Nature Immunol.17:1025−1036)。これらの細胞の活性は、自家NK細胞と比べて、自己MHC分子によって抑制される可能性がより低い。多数の研究は、腫瘍細胞に対するアロ反応性を活用するためにハプロタイプが一致したNK細胞を用いる養子療法は安全であり、AML患者中で著しい臨床活性を媒介することができることを示してきた。これらの知見をさらに取り込んで、最近の研究は、NK細胞又はNK前駆体(すなわち、幹細胞)に対するエクスビボ活性化/増大法及び移植前調整及び移植後免疫補助戦略を最適化すること;NK細胞株又は組換え腫瘍標的化NK細胞の使用;治療用抗体、免疫調節因子(レナリドミド)並びに抗KIR及びチェックポイント抗体などの他の因子との併用療法の評価に焦点を当ててきた。各事例において、これらの戦略は、NK細胞の増殖及び活性化を増強する能力を有する本発明の融合タンパク質複合体によって補完されることができるであろう。本明細書に示されているように、本発明の融合タンパク質複合体とともにNK細胞をエクスビボで温置することによって、上昇した活性化マーカー、腫瘍細胞に対する増加した細胞傷害性及びIFN−γの増大した産生を示すCIML NK細胞の誘導をもたらす。さらに、本発明の融合タンパク質複合体は、ヒトNK細胞株を活性化することが可能である。さらに、本発明の融合タンパク質複合体の直接的な投与又は本発明の融合タンパク質複合体によって活性化された免疫細胞の投与によって、免疫応答を増強し、新形成及び感染疾患を処置するための方法が提供される。
ナチュラルキラー細胞:循環する単核細胞の主要な種類の1つはナチュラルキラーのもの、すなわち、NK細胞である(M.Manoussaka et al.,Journal of Immunology,158:112−119,1997)。元々は、ある種の腫瘍及びウイルス感染細胞を殺す能力に基づいて定義されたNK細胞は、現在では、初期の自然免疫系の成分の1つとして知られている。その細胞傷害能に加えて、NK細胞は、様々なサイトカインを放出することによって免疫応答の制御因子としての役割を果たす。さらに、複雑な免疫応答の生成は、NK細胞上に発現された様々な表面分子を介した他の細胞とのNK細胞の直接的相互作用によって促進される。
NK細胞は、骨髄前駆体に由来する(O.Haller et al.,Journal of Experimental Medicine,145:1411−1420,1977)。NK細胞は、T細胞と近縁関係にあるようであり、2つの細胞種は多くの細胞表面マーカーを共有する(M.Manoussaka et al.,1997)。上述のように、これらの細胞表面マーカーは、NK細胞活性において重要な役割を果たしている。例えば、マウスNK細胞は、その表面上に、アシアロGM1、NK1及びNK2抗原などの特異的な抗原を発現し(D.See et al.,Scand.J.Immunol.46:217−224,1997)、これらの抗原に対する抗体の投与はインビボでNK細胞の枯渇をもたらす(同文献)。
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と同様に、NK細胞は、様々な細胞種を溶解することによって、細胞傷害効果を発揮する(Srivastava,S.,Lundqvist,A.&Childs,R.W.Natural killer cell immunotherapy for cancer:a new hope.Cytotherapy 10,775−783;2008)。これらには、正常な幹細胞、感染細胞及び形質転換された細胞が含まれる。細胞の溶解は、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ及びパーフォリンを含有する細胞質顆粒の作用を通じて起こる。MHCクラスIを欠く細胞も、NK細胞媒介性溶解を受けやすい(H.Reyburn et al.,Immunol.Rev.155:119−125,1997)。さらに、NK細胞は、非MHC拘束性の様式で細胞傷害性を発揮する(E.Ciccione et al.,J.Exp.Med.172:47,1990;A.Moretta et al.,J.Exp.Med.172:1589,1990;及びE.Ciccione et al.,J.Exp.Med.175:709)。NK細胞は、抗体依存性細胞性細胞傷害によって細胞を溶解することもできる。
上述のように、NK細胞は、インターフェロンγ(IFN−γ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSFs)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、インターロイキン−3(IL−3)及びIL−8などのサイトカインの分泌を通じてその機能のいくつかを媒介する。NK細胞の細胞傷害活性は、細胞傷害活性の微調整を可能にする活性化及び阻害的受容体のバランスを通じて制御され、腫瘍細胞に対する効果的な細胞傷害能を維持しながら、健康な細胞に対する細胞傷害性を抑制する。実際に、複数の研究が、養子NK細胞移植の安全性及び臨床的な抗癌効果を実証しており、効果的な癌免疫療法としてのNK細胞の潜在能力を強調している((Parkhurst,M.R.,et al.Clin Cancer Res 17,6287−6297(2011);Ruggeri,L.et al.Science 295,2097−2100,(2002);Miller,J.S.et al.Blood 105,3051−3057,(2005;Bachanova,V.et al.Blood 123,3855−3863,(2014);Rubnitz,J.E.et al.J Clin Oncol 28,955−959,(2010))。例えば、IL−2、IL−12、TNF−α及びIL−1を含むサイトカインは、NK細胞にサイトカインの産生を誘導することができる。IFN−α及びIL−2は、NK細胞の細胞傷害活性の強力な誘導因子である(G.Trinichieri et al.,Journal of Experimental Medicine 160:1147−1169,1984;G.Trinichieri及びD.Santoli,Journal of Experimental Medicine 147:1314−1333,1977)。IL−2の存在は、NK細胞を刺激し、かつ増大させる(K.Oshimi,International Journal of Hematology 63:279−290,1996)。IL−12は、T及びNK細胞からのサイトカイン産生を誘導し、NK細胞媒介性細胞傷害を増強することが示されている(M.Kobayashi et al.,Journal of Experimental Medicine 170:827−846,1989)。
NK細胞は、癌転移に対する抵抗性及び癌転移の調節の両方に関与している。癌免疫監視概念の登場以来、免疫細胞、特にT細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞の養子移植が、癌に対する免疫系を活用する標的化された方法として出現した(Kroemer,G.,Senovilla,L.,Galluzzi,L.,Andre,F.&Zitvogel,L.Natural and therapy−induced immunosurveillance in breast cancer.Nat Med 21,1128−1138,(2015))。NK細胞は、癌を処置するための有望な免疫療法因子として大きな注目を集めてきた。NK細胞は、悪性細胞に対する自然の細胞傷害性のために、癌に対する身体の防御の第一線にとって極めて重要である(Srivastava,S.et al.,Cytotherapy 10,775−783;2008)。
NK細胞は、末梢血及び臍帯血(CB)を含む複数の源から増大されてきた((Denman,C.J.et al.Membrane−bound IL−21 promotes sustained ex vivo proliferation of human natural killer cells.PLoS One 7,e30264,(2012);Knorr,D.A.et al.Clinical−scale derivation of natural killer cells from human pluripotent stem cells for cancer therapy.Stem Cells Transl Med 2,274−283,(2013);Shah,N.et al.Antigen presenting cell−mediated expansion of human umbilical cord blood yields log−scale expansion of natural killer cells with anti−myeloma activity.PLoS One 8,e76781,(2013);Woll,P.S.et al.Human embryonic stem cells differentiate into a homogeneous population of natural killer cells with potent in vivo antitumor activity.Blood 113,6094−6101,(2009))。支持細胞として人工の抗原提示細胞(aAPCs)を組み合わせてサイトカインを使用する、
エクスビボでのNK細胞増大法が開発されてきた((Denman,C.J.et al.PLoS One 7,e30264,(2012);Berg,M.et al.Cytotherapy 11,341−355,(2009);Gong,W.et al.Tissue Antigens 76,467−475,(2010);Zhang,H.et al.,J Immunother 34,187−195,(2011))。
老化細胞及び加齢と関連する病変におけるサイトカインをベースとする療法
損傷した細胞は、アポトーシス又は老化のいずれかを経る。老化細胞は自身の増殖を抑制し、シグナル伝達分子を分泌する−細胞老化関連分泌現象(SASP)として知られる現象(Coppe J.P.et al.,2010 Annu Rev Pathol 5:99−118)。SASPは、免疫細胞を引き付けることによって組織修復に取り組むために、より損傷の程度が低い隣接細胞を刺激することによって組織機能を回復させることであると提案されている(Demaria M.,et al.,2014 Dev.Cell 31:722−733)。これらの免疫細胞は、SASP媒介性シグナルを遮断するために老化細胞を除去する。損傷が修復能力を超えるか又は免疫細胞がSASPの効果に対して応答しなくなると、老化細胞の異常な蓄積が起きる。その結果、老化細胞は老化した及び/又は損傷を受けた器官中に蓄積し、組織機能不全を悪化させる(Ovadya Y.and Krizhanovsky V.et al.,2014 Biogerontology 15:627−642)。老化細胞の除去は、マウスにおいて、健康寿命を増加させ、年齢に関連する疾患の重篤度を低下させることが示されている(Baar M.P.et al.,2017 Cell 169:132−147;Baker DJ 2016 530:184−189)。
このため、生理的な加齢は、老化細胞の出現を伴う。証拠は、老化細胞は組織の恒常性及び機能を損ない、老化細胞の蓄積は年齢に関連する病変の発症に寄与することを示唆する(Baker DJ et al.,2008 Nat Cell Biol 10:825−836;Baker DJ et al.,2016,530:184−189)。短縮された寿命に加えて、老化細胞は、代謝的(肥満、糖尿病)、神経性(アルツハイマー及びパーキンソン病)、筋肉、骨及び軟骨関連(筋肉減少症、変形性関節症、脊柱後弯症、椎間板ヘルニア)又は組織機能不全関連(肺気腫、心血管疾患及び腎疾患並びにアテローム性動脈硬化症)疾患を含む病変と関連する。研究は、自然及び適応免疫系が老化細胞の認識及び除去に関与していることを示している(Soto−Gamez A.and Demaria M.,2017 Drug Discovery Today 22:786−795;Hazeldine J.and Lord,J.M.,2013 Aging Research Reviews 12:1069−1078)。例えば、NK細胞は、顆粒開口放出経路を介して老化細胞を除去することが示された。したがって、これらの応答を増強させることは、老化監視の自然の機構を増加させ得、老化細胞関連病変を抑制し得る。パーフォリン媒介性NK細胞細胞傷害の加齢性衰退は、加齢組織中の老化細胞の増加した頻度の一因であることも示唆されてきた(Rukavina D.et al.,Blood 92:2410−2420;Sagiv A.et al.2012 Oncogene 1−7)。肝線維症では、NK細胞の主要な活性化している受容体であるNKG2D受容体を欠くマウスにおいて、老化した活性化された星状細胞の蓄積(accumulated)が増加し、増大した繊維症をもたらす(Sagiv A.et al.,2016 Aging 8:328−344)。
本発明のIL−7/IL−21/TxM複合体は、NK及びT細胞を含む自然及び適応免疫細胞の両方の細胞傷害性を強化するための強力な活性を有することが実証された。本明細書に開示されているように、IL−7/IL−21/TxM複合体は、老化細胞に対する免疫応答を活性化及び/又は維持すること、並びに抗加齢治療剤として適用できる可能性を秘めていると予測される。記されているように、IL−7/IL−21/TxM複合体は、NK及びT細胞の両方に対してより強力な免疫刺激を与える点で、個別のサイトカインを上回る利点を有する。さらに、エクスビボでIL−7/IL−21/TxM複合体によって刺激された免疫細胞は、老化細胞及び/又は年齢に関連する疾患の処置のための養子細胞移植において使用することができるであろう。このような療法は、養子NK又はT細胞療法であり得る。養子細胞移植後のIL−7/IL−21/TxM複合体の投与は、移植された細胞の増殖、活性化及び持続を支えるためにも実施することができるであろう。
薬学的治療薬
本発明は、治療薬として使用するための、融合タンパク質複合体を含む薬学的組成物を提供する。一態様において、本発明の融合タンパク質複合体は、例えば、生理的食塩水などの薬学的に許容され得る緩衝液中に調合されて、全身的に投与される。好ましい投与の経路には、例えば、患者中に組成物の継続的、持続的又は効果的なレベルを付与する、膀胱内への滴下注入、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、腫瘍内又は皮内注射が含まれる。ヒト患者又はその他の動物の処置は、生理的に許容され得る担体中に、治療的に有効な量の本明細書中で特定された治療薬を用いて実施される。適切な担体及びその調合は、例えば、E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciences中に記載されている。投与されるべき治療剤の量は、投与の様式、患者の年齢及び体重並びに新形成の臨床的症候に応じて変動する。一般的に、量は、新形成、自己免疫疾患又は感染性疾患を伴うその他の疾病の処置において使用されるその他の因子に対して使用される量の範囲内にあるであろうが、ある事例においては、化合物の増加した特異性の故に、より少ない量が必要とされるであろう。当業者に既知の方法によって測定した場合に、対象の免疫応答を強化し、又は新形成細胞、感染細胞、自己免疫細胞若しくは老化細胞の増殖、生存若しくは侵襲性を低下させる用量で化合物が投与される。
薬学的組成物の調合
新形成細胞、感染性細胞、老化細胞若しくは年齢関連疾患又は自己免疫疾患の処置のための、本発明の融合タンパク質複合体の投与は、他の成分と組み合わされて、前記新形成細胞、感染性細胞、老化細胞若しくは年齢関連疾患又は自己免疫疾患を軽減し、低減し、又は安定化させるのに有効である治療薬の濃度をもたらすあらゆる適切な手段による。本発明の融合タンパク質複合体は、任意の適切な担体物質中に、任意の適切な量で含有され得、組成物の総重量の1〜95重量%の量で一般に存在する。組成物は、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、小胞内、腫瘍内又は腹腔内)投与経路に適した剤形で与えられ得る。例えば、薬学的組成物は、従来の薬学的慣行にしたがって調合される(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.),ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams&Wilkins,2000 and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988−1999,Marcel Dekker,New Yorkを参照。)。
当業者は動物モデルと比較してヒトに対する用量を修正することが本分野における定型作業であることを認識するように、ヒトの投薬量は、まず、マウス又は非ヒト霊長類で使用された化合物の量から推定することによって決められる。例えば、投与量は、約1μg化合物/kg体重〜約5000mg化合物/kg体重;又は約5mg/kg体重〜約4000mg/kg体重又は約10mg/kg体重〜約3000mg/kg体重;又は約50mg/kg体重〜約2000mg/kg体重;又は約100mg/kg体重〜約1000mg/kg体重;又は約150mg/kg体重〜約500mg/kg体重の間で変動し得る。例えば、用量は、約1、5、10、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,050、1,100、1,150、1,200、1,250、1,300、1,350、1,400、1,450、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500又は5,000mg/kg体重である。または、用量は、約5mg化合物/kg体重〜約20mg化合物/kg体重の範囲である。別の例では、用量は、約8、10、12、14、16又は18mg/kg体重である。好ましくは、融合タンパク質複合体は、0.5mg/kg〜約10mg/kg(例えば、0.5、1、3、5、10mg/kg)で投与される。もちろん、このような処置プロトコールにおいて日常的に行われているように、初期臨床試験の結果及び特定の患者の要求に応じて、この投薬量は、増量又は減量して調整され得る。
薬学的組成物は、投与すると、制御された様式で治療薬を放出する薬学的組成物中に適切な賦形剤とともに調合される。例には、単一又は複数単位錠剤又はカプセル組成物、油溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロカプセル、小球体、分子複合体、ナノ粒子、パッチ及びリポソームが含まれる。好ましくは、融合タンパク質複合体は非経口投与に適した賦形剤中に調合される。
非経口組成物
本発明の融合タンパク質複合体を含む薬学的組成物は、剤形、調合物で、又は従来の非毒性な薬学的に許容される担体及び補助剤を含有する適切な送達装置又はインプラントを介して、注射、輸液(infusion)又は埋め込み(implantation)(皮下、静脈内、筋肉内、腫瘍内、小胞内、腹腔内)によって非経口的に投与される。このような組成物の調合及び調製は、医薬調合の分野における当業者に周知である。調合物は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記に見出すことができる。
非経口用途のための本発明の融合タンパク質複合体を含む組成物は、単位投薬形態(例えば、1回量アンプル中)で与えられる。または、複数回量を含有し、その中に適切な防腐剤(下記参照)が添加され得るバイアル中に組成物が与えられる。組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、輸液用器具又は埋め込み用送達装置の形態であり、又は使用前に、水若しくは別の適切はビヒクルで戻されるべき乾燥粉末として与えられる。新形成細胞、感染性細胞、老化細胞若しくは年齢関連疾患又は自己免疫疾患を低減又は軽減する活性因子とは別に、組成物は、非経口的に許容され得る適切な担体及び/又は賦形剤を含む。活性な治療剤は、調節された放出のために、小球体、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム中に組み込まれ得る。さらに、組成物は、懸濁剤、可溶化剤、安定化剤、pH調整剤、浸透圧調整剤及び/又は分散剤を含み得る。
上記のように、本発明の融合タンパク質複合体を含む薬学的組成物は、無菌注射に適した形態であり得る。このような組成物を調製するために、適切な活性治療薬は、非経口的に許容され得る液体ビヒクル中に溶解又は懸濁される。使用し得る許容されるビヒクル及び溶媒に属するのは、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウムの添加によって適切なpHに調整された水、又は適切な緩衝液、1,3−ブタンジオール、リンゲル溶液、並びに等張の、塩化ナトリウム溶液及びデキストロース溶液である。水性調合物は、1つ以上の防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチル又はn−プロピル)も含有し得る。化合物の1つが水の中に若干又は僅かに可溶性であるに過ぎない場合には、溶解増強剤若しくは可溶化剤を添加することができ、又は溶媒は、10〜60%w/wのプロピレングリコールを含み得る。
本発明は、新形成、感染性疾患、老化細胞若しくは年齢に関連する疾患又はこれらの症候を処置する方法であって、治療的に有効な量の、本明細書中の処方の化合物を含む薬学的組成物を対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与することを含む方法を提供する。このため、一実施形態は、新形成、感染性疾患、老化細胞又は年齢に関連する疾患又はこれらの症候に罹患し、又は罹患しやすい対象を処置する方法である。この方法は、前記疾病若しくは障害若しくはこれらの症候を処置するのに十分な、治療量の量の本明細書中の化合物を、疾病又は障害が処置されるような条件下で、哺乳動物に投与する工程を含む。
本明細書中の方法は、対象(このような処置を必要とするとして特定された対象を含む。)に、このような効果を生じさせるために有効量の本明細書に記載された化合物又は本明細書に記載された組成物を投与することを含む。このような処置を必要とする対象を特定することは、対象又は医療専門職の判断に属し得、又は主観的(例えば、意見)若しくは客観的(例えば、検査又は診断方法によって測定可能)であり得る。
本発明の治療方法(予防的処置を含む。)は、一般に、治療的に有効な量の、本明細書中の処方の化合物などの本明細書中の化合物の、哺乳動物、特にヒトを含むこれを必要としている対象(例えば、動物、ヒト)への投与を含む。このような処置は、新形成、感染性疾患、老化細胞又は年齢に関連する疾患、障害又はこれらの症候に罹患し、これらを有し、これらに罹患しやすい、又はこれらのリスクがある対象、特にヒトに適切に投与されるであろう。「リスクがある」対象の決定は、診断検査又は対象若しくは医療従事者の意見によるあらゆる客観的又は主観的決定(例えば、遺伝子検査、酵素又はタンパク質マーカー、(本明細書中に定義されている)マーカー、家族歴など)によってなされ得る。本発明の融合タンパク質複合体は、免疫応答の増加が所望されるあらゆるその他の障害の処置において使用され得る。
本発明は、処置の進行をモニタリングする方法も提供する。この方法は、診断マーカー(マーカー)(例えば、本明細書中の化合物によって調節される本明細書に記載されたあらゆる標的、タンパク質又はそれらの指標など)のレベルを測定する工程、又は、対象が新形成と関連する障害又はその症候を処置するのに十分な、治療量の本明細書中の化合物を投与される、前記疾病若しくはその症候に罹患しまた若しくは罹患しやすい対象中での診断的測定(例えば、スクリーニング、アッセイ)を含む。前記方法において決定されるマーカーのレベルは、対象の病状を確定するために、健康な正常な対照中又は他の罹患した患者中のマーカーの既知のレベルと比較することができる。いくつかの事例では、第一のレベルの決定より遅い時点で、対象中のマーカーの第二のレベルが決定され、疾病の経過又は治療の有効性をモニターするために、2つのレベルが比較される。ある態様において、本発明にしたがって処置を開始する前に、対象中のマーカーの処置前レベルが決定される;次いで、このマーカーの処置前レベルは、処置の有効性を決定するために、処置開始後における対象中のマーカーのレベルと比較することができる。
併用療法
必要に応じて、本発明の融合タンパク質複合体は、あらゆる他の標準的治療法と組み合わせて投与され、このような方法は当業者に既知であり、E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。所望であれば、本発明の融合タンパク質複合体は、免疫療法、治療用抗体、標的療法、手術、放射線療法又は化学療法を含むがこれらに限定されない、あらゆる従来の抗新形成療法と組み合わて投与される。
キット又は医薬系
本発明の融合タンパク質複合体を含む薬学的組成物は、新形成、感染性疾患又は老化細胞若しくは年齢に関連する疾患を軽減する上で使用するためのキット又は医薬系の中に組み入れてもよい。本発明のこの態様にしたがうキット又は医薬系は、バイアル、管、アンプル、瓶などの1つ以上の容器手段をその中に詰め込んで有している、箱、紙箱(carton)、管などの運搬手段を含む。本発明のキット又は医薬系は、本発明の融合タンパク質複合体を使用するための付属説明書も含み得る。
組換えタンパク質発現
一般に、本発明の融合タンパク質複合体(例えば、TxM複合体の成分)の調製は、本明細書に開示されている手法によって及び認知された組換えDNA技術によって遂行することができる。
一般に、組換えポリペプチドは、適切な発現ビヒクル中の、ポリペプチドをコードする核酸分子又はその断片の全部又は一部での適切な宿主細胞の形質転換によって作製される。分子生物学分野の当業者は、組換えタンパク質を提供するために、多様な発現系のいずれをも使用し得ることを理解するであろう。使用される正確な宿主細胞は、本発明にとって重要でない。組換えポリペプチドは、実質的にあらゆる真核生物宿主中(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、昆虫細胞、例えば、Sf21細胞、又は哺乳動物細胞、例えば、NIH3T3、HeLa又は好ましくはCOS細胞)で産生され得る。このような細胞は、多様な範囲の入手先から入手可能である(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Rockland,Md.;例えば、Ausubel et al.,Current Protocol in Molecular Biology,New York:John Wiley and Sons,1997も参照されたい。)。形質移入の方法及び発現媒体の選択は、選択された宿主系に依存するであろう。形質転換法は、例えば、Ausubel et al.(上記)に記載されており、発現媒体は、例えば、Cloning Vectors:A Laboratory Manual(P.H.Pouwels et al.,1985,Supp.1987)に掲載されているものから選択され得る。
組換えポリペプチドの作製のための様々な発現系が存在する。このようなポリペプチドを作製するために有用な発現ベクターには、染色体、エピソーム及びウイルス由来のベクター、例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入因子、酵母染色体要素、バキュロウイルス、SV40などのパポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ワクチン及びレトロウイルスなどのウイルスに由来するベクター並びにこれらの組み合わせに由来するベクターが含まれるが、これらに限定されない。
組換えポリペプチドが発現されたら、例えば、アフィニティークロマトグラフィーを用いて単離される。一例では、ポリペプチドに対して産生された(例えば、本明細書に記載されたように作製された)抗体がカラムに付着され、組換えポリペプチドを単離するために使用され得る。アフィニティークロマトグラフィーに先立つポリペプチドを有する細胞の溶解及び分画は、標準的な方法によって実施され得る(例えば、Ausubel et al.,上記を参照されたい。)。単離されたら、組換えタンパク質は、所望であれば、例えば、高速液体クロマトグラフィーによってさらに精製することができる(例えば、Fisher,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,eds.,Work and Burdon,Elsevier,1980を参照されたい。)。
本明細書で使用されているように、本発明の生物学的に活性なポリペプチド又はエフェクター分子には、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、タンパク質毒素、免疫グロブリンドメイン又は酵素などのその他の生物活性タンパク質などの因子が含まれ得る。また、生物学的に活性なポリペプチドには、非タンパク質毒素、細胞傷害性因子、化学療法剤、検出可能な標識、放射性物質などの他の化合物への接合体が含まれ得る。
本発明のサイトカインは、他の細胞に影響を与える細胞によって産生されるあらゆる因子によって定義され、細胞性免疫の多数の複数の効果のいずれにも関与している。サイトカインの例には、IL−2ファミリー、インターフェロン(IFN)、IL−10、IL−12、IL−18、IL−1、IL−17、TGF及びTNFサイトカインファミリー並びにIL−1〜IL−35、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、TGF−β、TNF−α及びTNF−βが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の一態様において、第一のタンパク質は、インターロイキン−15(IL−15)ドメイン又はその機能的断片に共有結合された第一の生物学的に活性なポリペプチドを含む。IL−15は、T細胞活性化及び増殖に影響を及ぼすサイトカインである。免疫細胞活性化及び増殖に影響を及ぼす上でのIL−15活性は、いくつかの点で、IL−2に類似するが、基本的な相違が十分に特定されてきた(Waldmann,T.A.2006,Nature Rev.Immunol.6:595−601)。
本発明の別の態様において、第一のタンパク質は、IL−15変異体(本明細書においてはIL−15変異体とも称される。)であるインターロイキン−15(IL−15)ドメインを含む。IL−15変異体は、好ましくは、天然の(すなわち野生型)IL−15タンパク質とは異なるアミノ酸配列を含む。IL−15変異体は、好ましくは、IL−15Rαポリペプチドを結合し、IL−15アゴニスト又はアンタゴニストとして機能する。好ましくは、アゴニスト活性を有するIL−15変異体は、スーパーアゴニスト活性を有する。IL−15変異体は、IL−15Rαとのその会合とは無関係に、IL−15アゴニスト又はアンタゴニストとして機能することができる。IL−15アゴニストは、野生型IL−15と比較して同等の又は増加した生物学的活性によって例示される。IL−15アンタゴニストは、野生型IL−15と比較して減少した生物学的活性によって、又はIL−15媒介性応答を阻害する能力によって例示される。いくつかの例では、IL−15変異体は、IL−15RβγC受容体へ、増加した又は減少した活性で結合する。いくつかの事例において、IL−15変異体の配列は、天然のIL−15配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸変化、例えば、置換又は欠失を有し、このような変化はIL−15アゴニスト又はアンタゴニスト活性をもたらす。好ましくは、アミノ酸置換/欠失は、IL−15Rβ及び/又はγCと相互作用するIL−15のドメイン中にある。より好ましくは、アミノ酸置換/欠失は、IL−15Rαポリペプチドへの結合又はIL−15変異体を産生する能力に影響を与えない。推定される又は既知のIL−15構造、既知の構造を有するIL−2などの相同的分子とのIL−15の比較に基づいて、本明細書に掲載されているような合理的な又は無作為の突然変異誘発及び機能的なアッセイ又はその他の経験的方法を通じて、IL−15変異体を生成するための適切なアミノ酸置換/欠失を同定することができる。さらに、適切なアミノ酸置換は保存的又は非保存的変化及びさらなるアミノ酸の挿入であり得る。好ましくは、本発明のIL−15変異体は、成熟ヒトIL−15配列の6、8、10、61、65、72、92、101、104、105、108、109、111又は112位に1つ又は1つより多いアミノ酸置換/欠失を含有する;特に、D8N(「D8」は、天然の成熟ヒトIL−15配列中のアミノ酸及び残基位置を表し、「N」はIL−15変異体中の当該位置にある置換されたアミノ酸残基を表す。)、I6S、D8A、D61A、N65A、N72R、V104P又はQ108A置換は、アンタゴニスト活性を有するIL−15変異体をもたらし、N72D置換は、アゴニスト活性を有するIL−15変異体をもたらす。
ケモカインは、サイトカインのように、他の細胞に曝されたときに、細胞性免疫の多くの効果に関与するあらゆる化学的因子又は分子として定義される。適切なケモカインには、CXC、CC、C及びCX3Cケモカインファミリー並びに、CCL−1〜CCL−28、CXC−1〜CXC−17、XCL−1、XCL−2、CX3CL1、MIP−1b、IL−8、MCP−1及びRantesが含まれ得るが、これらに限定されない。
増殖因子には、特定の細胞に曝されたときに、影響を受けた細胞の増殖及び/又は分化を誘導するあらゆる分子が含まれる。増殖因子には、タンパク質及び化学分子が含まれ、そのうちのいくつかには、GM−CSF、G−CSF、ヒト増殖因子及び幹細胞増殖因子が含まれる。さらなる増殖因子も、本明細書に記載されている用途に適切であり得る。
毒素又は細胞傷害性因子には、細胞に曝されたときに、致死的効果又は増殖に対する阻害的効果を有するあらゆる物質が含まれる。より具体的には、エフェクター分子は、例えば、ジフテリア毒素(DT)、志賀毒素、アブリン、コレラ毒素、リシン、サポリン、シュードモナス外毒素(PE)、ポークウィード抗ウイルスタンパク質又はゲロニンなどの、例えば、植物又は細菌起源の細胞毒素であり得る。このような毒素の生物学的に活性な断片は本分野において周知であり、例えば、DT A鎖及びリシンA鎖を含む。さらに、毒素は、例えば、ホスホリパーゼ酵素(例えば、ホスホリパーゼC)などの、細胞表面で活性な因子であり得る。
さらに、エフェクター分子は、例えば、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキセート、アドリアマイシン、ブレオマイシン又はシスプラチンなどの化学療法薬であり得る。
さらに、エフェクター分子は、診断又は画像化研究に適した検出可能に標識された分子であり得る。このような標識には、ビオチン又はストレプトアビジン/アビジン、検出可能なナノ粒子又は結晶、酵素若しくは触媒的に活性なその断片、緑色蛍光タンパク質、FITC、フィコエリトリン、cychome、テキサスレッド又は量子ドットなどの蛍光標識;放射線核種、例えば、ヨウ素−131、イットリウムー90、レニウム−188又はビスマス−212;リン光又は化学発光分子又はPET、超音波又はGd若しくは常磁性金属イオンをベースとする造影剤などのMRIによって検出可能な標識が含まれる。エフェクター又はタグを含むタンパク質の製造及び使用に関する開示に関して、例えば、Moskaug,et al.J.Biol.Chem.264,15709(1989);Pastan,I.et al.Cell 47,641,1986;Pastan et al.,Recombinant Toxins as Novel Therapeutic Agents,Ann.Rev.Biochem.61,331,(1992);“Chimeric Toxins” Olsnes and Phil,Pharmac.Ther.,25,355(1982);公開されたPCT出願WO94/29350号;公開されたPCT出願WO94/04689号;公開されたPCT出願WO2005046449号及び米国特許第5,620,939号を参照されたい。
本発明のIL−15及びIL−15Rαポリペプチドは、適切には、アミノ酸配列において、天然に存在するIL−15及びIL−15Rα分子、例えば、ヒト、マウス若しくはその他のげっ歯類又はその他の哺乳動物のIL−15及びIL−15Rα分子に対応する。ヒトインターロイキン15(IL15)mRNA−GenBank:U14407.1(参照により本明細書に組み込まれる。)、ムス・ムスクルス(Mus musculus)インターロイキン15(IL15)mRNA−Genbank:U14332.1(参照により本明細書に組み込まれる。)、ヒトインターロイキン−15受容体α鎖前駆体(IL15RA)mRNA−Genbank:U31628.1(参照により本明細書に組み込まれる。)、ムス・ムスクルスインターロイキン15受容体、α鎖−GenBank:BC095982.1(参照により本明細書に組み込まれる。)など、これらのポリペプチド及びコードする核酸の配列は文献において既知である。
いくつかの状況では、例えば、sc抗体の価数を増加させるために、本発明のタンパク質融合物又は接合体複合体を多価とすることが有用であり得る。特に、融合タンパク質複合体のIL−15とIL−15Rαドメインとの間の相互作用は、多価複合体を生成する手段を与える。さらに、多価融合タンパク質は、例えば、標準的なビオチン−ストレプトアビジン標識技術を使用することによって、又はラテックスビーズなどの適切な固体支持体への接合によって、1〜4つのタンパク質(同一又は異なる)間で共有的に又は非共有的に連結することによって作製され得る。化学的に架橋されたタンパク質(例えば、デンドリマーに架橋された)も、適切な多価の種である。例えば、ビオチン化BirAタグなどの修飾可能なタグ配列又はCys若しくはHisなどの化学的に反応性が高い側鎖を有するアミノ酸残基をコードする配列を含めることによって、タンパク質は修飾することができる。このようなアミノ酸タグ又は化学的に反応性が高いアミノ酸は、融合タンパク質中の様々な位置、好ましくは、生物学的に活性なポリペプチド又はエフェクター分子の活性部位に対して遠位の位置に配置され得る。例えば、可溶性融合タンパク質のC末端は、タグ又はこのような反応性アミノ酸を含む他の融合されたタンパク質に共有結合することができる。2つ以上の融合タンパク質を適切なデンドリマー又は他のナノ粒子に化学的に連結して多価分子を得るために、適切な側鎖を含めることができる。デンドリマーは、その表面の多数の異なる官能基のいずれか1つを有することができる合成化学ポリマーである(D.Tomalia,Aldrichimica Acta,26:91:101(1993))。本発明にしたがって使用するための例示的なデンドリマーには、例えば、システイン残基を連結することができる、E9スターバーストポリアミンデンドリマー及びE9コンバスト(combust)ポリアミンデンドリマーが含まれる。例示的なナノ粒子には、リポソーム、コアシェル粒子又はPLGAをベースとする粒子が含まれる。
別の態様において、融合タンパク質複合体のポリペプチドの一方又は両方が、免疫グロブリンドメインを含む。または、タンパク質結合ドメイン−IL−15融合タンパク質は、免疫グロブリンドメインにさらに連結することができる。好ましい免疫グロブリンドメインは、上記のような多鎖タンパク質を形成するために、他の免疫グロブリンドメインとの相互作用を可能にする領域を含む。例えば、IgG1CH2−CH3などの免疫グロブリン重鎖領域は、Fc領域を作るために、安定に相互作用することが可能である。Fcドメインを含む好ましい免疫グロブリンドメインは、Fc受容体又は補体タンパク質結合活性を含むエフェクター機能を有する及び/又はグリコシル化部位を有する領域も含む。いくつかの態様において、融合タンパク質複合体の免疫グロブリンドメインは、Fc受容体又は補体結合活性又はグリコシル化又は二量体化を低減又は増強し、これにより、生じたタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼす変異を含有する。例えば、Fc受容体への結合を低減する変異を含有する免疫グロブリンドメインは、Fc受容体を有する細胞へのより低い結合活性を有する本発明の融合タンパク質複合体を生成するために使用することができ、これは、特異的な抗原を認識又は検出するように設計された試薬にとって有利であり得る。
核酸及びベクター
本発明は、本融合タンパク質(例えば、TxMの成分)をコードする核酸配列、特にDNA配列をさらに提供する。好ましくは、DNA配列は、ファージ、ウイルス、プラスミド、ファ−ジミド、コスミド、YAC又はエピソームなどの染色体外複製に適したベクターによって運搬される。特に、本明細書に記載されている調製方法を促進するために、及び多量の融合タンパク質を取得するために、所望の融合タンパク質をコードするDNAベクターを使用することができる。DNA配列は、適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたタンパク質コード配列の転写及び翻訳のための必要な要素を含有するベクター中に挿入することができる。様々な宿主−ベクター系は、タンパク質コード配列を発現するために使用され得る。これらには、ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)で感染された哺乳動物細胞系;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;酵母ベクターを含有する酵母又はバクテリオファージDNA、プラスミドDNA若しくはコスミドDNAで形質転換された細菌などの微生物が含まれる。使用される宿主−ベクター系に応じて、多数の適切な転写及び翻訳因子のいずれの1つも使用され得る。Sambrookら、上記及びAusubelら上記を参照されたい。
可溶性融合タンパク質複合体を作製するための方法であって、第一及び第二のタンパク質をコードする本明細書中に記載されたDNAベクターを宿主細胞中に導入すること、細胞又は培地中で融合タンパク質を発現させるのに及び第一のタンパク質のIL−15ドメインと第二のタンパク質の可溶性IL−15Rαドメインとの間の会合を許容して可溶性融合タンパク質複合体を形成するのに十分な条件下で、培地中で宿主細胞を培養すること、宿主細胞又は培地から可溶性融合タンパク質複合体を精製することを含む方法が、本発明に含まれる。
一般に、本発明による好ましいDNAベクターは、エフェクター分子をコードする配列に作用可能に連結された、生物学的に活性なポリペプチドをコードする第一のヌクレオチド配列を導入するための第一のクローニング部位を5’から3’方向に含む、ホスホジエステル結合によって連結されたヌクレオチド配列を含む。
DNAベクターによってコードされる融合タンパク質成分は、カセット形式で提供されることができる。「カセット」という用語によって、標準的な組換え法によって、各成分が別の成分に容易に置換され得ることが意味される。特に、コードされる融合複合体が血清型を生じる能力を有し得る又は有する病原体に対して使用されるべき場合には、カセット形式で設計されたDNAベクターは特に望ましい。
融合タンパク質複合体をコードするベクターを作製するために、生物学的に活性なポリペプチドをコードする配列は、適切なリガーゼの使用によって、エフェクターペプチドをコードする配列に連結される。提示するペプチドをコードするDNAは、適切な細胞株からなど天然源からDNAを単離することによって、又は既知の合成法、例えば、リン酸トリエステル法によって取得することができる。例えば、Oligonucleotide Synthesis,IRL Press(M.J.Gait,ed.,1984)を参照されたい。合成オリゴヌクレオチドは、市販の自動化されたオリゴヌクレオチド合成機を用いても調製され得る。単離されたら、生物学的に活性なポリペプチドをコードする遺伝子は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は本分野で既知の他の手段によって増幅することができる。生物学的に活性なポリペプチド遺伝子を増幅するための適切なPCRプライマーは、PCR産物に制限部位を付加し得る。PCR産物は、好ましくは、エフェクターペプチドに対するスプライス部位と、並びに生物学的に活性なポリペプチド−エフェクター融合複合体の適切な発現及び分泌に必要なリーダー配列とを含む。PCR産物は、好ましくは、リンカー配列をコードする配列又はこのような配列の連結のための制限酵素部位も含む。
本明細書に記載された融合タンパク質は、好ましくは、標準的な組換えDNA技術によって作製される。例えば、生物学的に活性なポリペプチドをコードするDNA分子が単離されたら、エフェクターポリペプチドをコードする別のDNA分子に配列を連結することができる。生物学的に活性なポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、エフェクターペプチドをコードするDNA配列に直接結合してもよく、又は、より典型的には、本明細書に論述されているようなリンカー配列をコードするDNA配列が、生物学的に活性なポリペプチドをコードする配列とエフェクターペプチドをコードする配列との間に挿入され、適切なリガーゼを用いて連結されてもよい。得られたハイブリッドDNA分子は、融合タンパク質複合体を産生するために、適切な宿主細胞中で発現させることができる。連結後に、コードされたポリペプチドの翻訳フレームが変化されないように(すなわち、DNA分子がインフレームに互いに連結されている。)、DNA分子は、5’から3’方向に互いに連結される。得られたDNA分子は、インフレームの融合タンパク質をコードする。
他のヌクレオチド配列も、遺伝子構築物中に含めることができる。例えば、エフェクターペプチドに融合された生物学的に活性なポリペプチドをコードする配列の発現を調節するプロモーター配列又は細胞表面若しくは培地に融合タンパク質を誘導するリーダー配列が、構築物中に含められることができ、又は構築物がその中に挿入された発現ベクター中に存在することができる。免疫グロブリン又はCMVプロモーターが、特に好ましい。
変異体の、生物学的に活性なポリペプチド、IL−15、IL−15Rα又はFcドメインコード配列を取得する上で、当業者は、生物学的活性の喪失又は低下なしに、ある種のアミノ酸置換、付加、欠失及び翻訳後修飾によってポリペプチドが修飾され得ることを認識するであろう。特に、保存的アミノ酸置換は、すなわち、あるアミノ酸を、類似のサイズ、電荷、極性及び立体構造の別のアミノ酸に置換することは、タンパク質機能を著しく変化させる可能性は低いことが周知である。タンパク質の構成要素である20の標準アミノ酸は、以下のように、保存的なアミノ酸の4つの群に広く分類することができる:非極性(疎水性)群は、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン及びバリンを含み;極性(無電荷、中性)群は、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン及びチロシンを含み;正に帯電した(塩基性)群は、アルギニン、ヒスチジン及びリジンを含有し、並びに負に帯電した(酸性)群はアスパラギン酸及びグルタミン酸を含有する。タンパク質中のあるアミノ酸の同じ群内の別のアミノ酸への置換は、タンパク質の生物学的活性に対して悪影響を有する可能性が低い。他の例では、タンパク質の生物学的活性を低下又は増強するために、アミノ酸位置への修飾を施すことができる。このような変化は、標的とされる残基の既知の又は推定される構造的又は機能的特性に基づいて、無作為に又は部位特異的変異を介して導入することができる。変異体タンパク質の発現後、修飾による生物学的活性の変化は、結合又は機能的アッセイを用いて容易に評価することができる。
ヌクレオチド配列間の相同性は、DNAハイブリッド形成分析によって決定することができ、二本鎖DNAハイブリッドの安定性は生じる塩基対の程度に依存する。高温及び/又は低い塩含量の条件はハイブリッドの安定性を低下させ、選択された相同性の程度を下回る配列のアニーリングを防ぐために変化させることができる。例えば、約55%G−C含量を有する配列に対しては、40〜50℃、6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム緩衝液)及び0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)のハイブリッド形成及び洗浄条件は、約60〜70%の相同性を示し、50〜65℃、1×SSC及び0.1%SDSのハイブリッド形成及び洗浄条件は、約82〜97%の相同性を示し、並びに52℃、0.1×SSC及び0.1%SDSのハイブリッド形成及び洗浄条件は約99〜100%の相同性を示す。ヌクレオチド及びアミノ酸配列を比較する(及び相同性の程度を測定する)ための幅広いコンピュータプログラムも利用可能であり、市販及び無料ソフトウェアの両方の入手源を掲載したリストが、Ausubelら(1999)に見出される。容易に入手可能な配列比較及び複数配列並列アルゴリズムは、ぞれぞれ、Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschulら、1997)及びClustalWプログラムである。BLASTは、ワールド・ワイド・ウェブ上で、ncbi.nlm.nih.govで入手可能であり、ClustalWのバージョンは、2.ebi.ac.ukで入手可能である。
融合タンパク質の成分は、それぞれがその意図される機能を実行することが可能である限り、ほぼあらゆる順序で組み立てることができる。例えば、一実施形態において、生物学的に活性なポリペプチドは、エフェクター分子のC又はN末端に位置している。
本発明の好ましいエフェクター分子は、そのドメインが意図される機能をもたらすサイズを有するであろう。本発明のエフェクター分子は、作製され、周知の化学的架橋法を含む様々な方法によって、生物学的に活性なポリペプチドに融合することができる。例えば、Means,G.E.and Feeney,R.E.(1974)in Chemical Modification of Proteins,Holden−Dayを参照されたい。S.S.Wong(1991)in Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,CRC Pressも参照されたい。しかしながら、インフレームの融合タンパク質を作製するために、組換え操作を使用することが一般的には好ましい。
記載されているように、本発明による融合分子又は接合体分子は、いくつかの方法で組み立てることができる。例示的な配置では、生物学的に活性なポリペプチドのC末端は、エフェクター分子のN末端に作用可能に連結されている。その連結は、所望であれば、組換え法によって達成することができる。しかしながら、別の配置では、生物学的に活性なポリペプチドのN末端は、エフェクター分子のC末端に連結されている。
これに代えて又はこれに加えて、必要に応じて、生物学的に活性なポリペプチド又は接合体複合体中に、1つ以上のさらなるエフェクター分子を挿入することができる。
ベクター及び発現
本発明の融合タンパク質複合体の成分(例えば、TxM)を発現するために、多数の戦略を利用することができる。例えば、本発明の融合タンパク質複合体の1つ以上成分をコードする構築物は、構築物を挿入し、その後連結するためにベクターの中に切断を作るために、制限酵素を用いて、適切なベクター中に組み込むことができる。遺伝子構築物を含有するベクターは、次いで、融合タンパク質の発現のために適切な宿主中に導入される。全般的に、Sambrookら、上記を参照されたい。適切なベクターの選択は、クローニングプロトコールに関連する要素に基づいて経験的に行うことができる。例えば、ベクターは、利用されている宿主と適合的であり、宿主に対する適切なレプリコンを有するべきである。ベクターは、発現されるべき融合タンパク質複合体をコードするDNA配列を収容することができなければならない。適切な宿主細胞には、真核細胞及び原核細胞、好ましくは、容易に形質転換することができ、培地中で急速な成長を呈することができる細胞が含まれる。特に好ましい宿主細胞には、イー・コリ、バチルス・スブチリス(Bacillus subtillus)などの原核生物並びに動物細胞及び酵母株、例えば、エス・セレビシエ(S.cerevisiae)などの真核生物が含まれる。哺乳動物細胞、特にJ558、NSO、SP2−O又はCHOが一般に好ましい。他の適切な宿主には、例えば、Sf9などの昆虫細胞が含まれる。従来の培養条件が利用される。Sambrook、上記を参照されたい。次いで、安定な形質転換された又は形質移入された細胞株細胞株を選択することができる。本発明の融合タンパク質複合体を発現している細胞は、既知の手法によって決定することができる。例えば、免疫グロブリンに連結された融合タンパク質複合体の発現は、連結された免疫グロブリンに対して特異的なELISAによって及び/又は免疫ブロッティングによって決定することができる。IL−15又はIL−15Rαドメインに連結された生物学的に活性なポリペプチドを含む融合タンパク質の発現を検出するための他の方法は、実施例に開示されている。
上で一般的に述べられているように、所望の融合タンパク質をコードする核酸を増やすために、宿主細胞は調製目的のために使用することができる。このため、宿主細胞には、融合タンパク質の産生が具体的にその中で予定される原核又は真核細胞が含まれ得る。このため、宿主細胞には、具体的に、酵母、ハエ、虫、植物、カエル、哺乳動物細胞及び融合物をコードする核酸を増加させることが可能な器官が含まれる。使用することができる哺乳動物細胞株の非限定的な例には、CHO dhfr−細胞(Urlaub and Chasm,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980))、293細胞(Graham et al.,J Gen.Virol.,36:59(1977))又はSP2若しくはNSOのような骨髄腫細胞(Galfre and Milstein,Meth.Enzymol.,73(B):3(1981))が含まれる。
所望の融合タンパク質複合体をコードする核酸を増やすことが可能な宿主細胞は、昆虫(例えば、エスピー・フルギペルダ(Sp.frugiperda)、酵母(例えば、Fleer,R.,Current Opinion in Biotechnology,3(5):486496(1992)によって一般的に概説されているような、エス・セレビシエ(S.cerevisiae)、エス・ポンベ(S.pombe)、ピー・パストリス(P.pastoris)、ケー・ラクチス(K.lactis)、エイチ・ポリモルファ(H.polymorpha))、真菌及び植物細胞を含む、非哺乳動物の真核細胞も包含する。イー・コリ及びバチルスなどのある種の原核生物も想定される。
所望の融合タンパク質をコードする核酸は、細胞を形質移入するための標準的な技術によって、宿主細胞中に導入することができる。「形質移入する」又は「形質移入」という用語は、リン酸カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介性形質移入、リポフェクション、電気穿孔、微量注入、ウイルスの形質導入及び/又は組込みを含む、宿主細胞中に核酸を導入するための全ての従来技術を包含するものとする。宿主細胞を形質移入するための適切な方法は、Sambrookら、上記及びその他の研究用テキストブックに見出すことができる。
様々なプロモーター(転写開始制御領域)が、本発明にしたがって使用され得る。適切なプロモーターの選択は、提案された発現宿主に依存する。選択された宿主中で機能的である限り、異種の源からのプロモーターが使用され得る。
プロモーター選択は、ペプチド又はタンパク質産生の所望される効率及びレベルにも依存する。イー・コリ中でのタンパク質発現のレベルを劇的に増加させるために、tacなどの誘導性プロモーターがしばしば利用される。タンパク質の過剰発現は、宿主細胞に対して有害であり得る。その結果、宿主細胞の成長が制限され得る。誘導性プロモーター系の使用によって、遺伝子発現の誘導以前に、許容され得る密度まで宿主細胞を培養することが可能となり、これにより、より高い産物収量を促進する。
様々なシグナル配列が、本発明にしたがって使用され得る。生物学的に活性なポリペプチドコード配列と相同であるシグナル配列が使用され得る。または、発現宿主中での効率的な分泌及びプロセッシングのために選択された又は設計されたシグナル配列も使用され得る。例えば、適切なシグナル配列/宿主細胞対には、ビー・スブチリス中での分泌のためのビー・スブチリスsacBシグナル配列、及びサッカロミセス・セレビシエα−接合因子又はピー・パストリス分泌のためのピー・パストリス酸性ホスファターゼphoIシグナル配列が含まれる。シグナル配列は、シグナルペプチダーゼ切断部位をコードする配列を通じてタンパク質コード配列に直接的に連結され得、又は下流TCR配列の正しい読み枠を確保する、通常10未満のコドンからなる短いヌクレオチド架橋を通じて連結され得る。
真核生物タンパク質発現系に対して、転写及び翻訳を増強するための要素が同定されている。例えば、異種プロモーターのいずれかの側にカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)プロモーター1000bpを配置することは、植物細胞中で10〜400倍転写レベルを上昇させ得る。発現構築物は、適切な翻訳開始配列も含むべきである。適切な翻訳開始のためにKozakコンセンサス配列を含める発現構築物の修飾は、翻訳のレベルを10倍増加させ得る。
選択的マーカーがしばしば利用され、選択的マーカーは発現構築物の一部であってもよく、又はマーカーが目的の遺伝子とは異なる部位に統合し得るように、発現構築物から離れていてもよい(例えば、発現ベクターによって運搬される。)。例には、抗生物質に耐性を付与するマーカー(例えば、blaは、イー・コリ宿主細胞にアンピシリンに対する耐性を付与し、nptIIは幅広い原核細胞及び真核細胞にカナマイシン耐性を付与する。)又は宿主が最小培地上で成長することを可能にするマーカー(例えば、HIS4は、ピー・パストリス又はHis−エス・セレビシエがヒスチジンの不存在下で増殖することを可能にする。)が含まれる。選択可能なマーカーは、マーカーの独立した発現を可能にするために、それ自身の転写及び翻訳開始及び終結制御領域を有する。抗生物質耐性がマーカーとして利用される場合には、選択のための抗生物質の濃度は、抗生物質に応じて変動し、一般的には、10〜600μg抗生物質/mL培地の範囲である。
発現構築物は、既知の組換えDNA技術を利用することによって組み立てられる(Sambrook et al.,1989;Ausubel et al.,1999)。制限酵素消化及び連結は、DNAの2つの断片を連結するために利用される基本的な工程である。DNA断片の末端は、連結の前に修飾を必要とすることがあり得、これは、突出部中に充填すること、ヌクレアーゼ(ExoIII)を用いて断片の末端部分を除去すること、部位特異的突然変異誘発、又はPCRによって新たな塩基対を追加することによって達成され得る。
選択された断片の連結を促進するために、ポリリンカー及びアダプターが利用され得る。発現構築物は、典型的には、制限、連結及びイー・コリの形質転換のラウンドを利用して、段階的に組み立てられる。発現構築物の構築に適した多数のクローニングベクターが本分野において既知であり(Ausubel et al.,1999中に引用されている、λZAP及びpBLUESCRIPT SK−1、Stratagene、La Jolla、CA、pET、Novagen Inc.,Madison,WI)、具体的な選択は本発明にとって重要でない。クローニングベクターの選択は、発現構築物の宿主細胞中への導入のために選択された遺伝子導入系によって影響されるであろう。各段階の終わりに、生じた構築物は、制限、DNA配列、ハイブリッド形成及びPCR分析によって分析され得る。
発現構築物は、直鎖又は環状のいずれかであるクローニングベクター構築物として、宿主中に形質転換され得、又はクローニングベクターから取り出され、そのまま使用され若しくは送達ベクター上に導入され得る。送達ベクターは、選択された宿主細胞種中での発現構築物の導入及び維持を促進する。発現構築物は、多数の既知の遺伝子導入系のいずれによっても宿主細胞中に導入される(例えば、天然の形質転換受容性、化学的に媒介される形質転換、プロトプラスト形質転換、電気穿孔、遺伝子銃形質転換、形質移入又は接合)(Ausubel et al.,1999;Sambrook et al.,1989)。選択される遺伝子導入系は、使用される宿主細胞及びベクター系に依存する。
例えば、発現構築物は、プロトプラスト形質転換又は電気穿孔によって、エス・セレビシエ細胞中に導入することができる。エス・セレビシエの電気穿孔は、容易に達成され、スフェロプラスト形質転換と同等の形質転換効率を与える。
本発明は、目的の融合タンパク質を単離するための製造方法をさらに提供する。この方法では、制御配列に作用可能に連結された目的のタンパク質をコードする核酸がその中に導入された宿主細胞(例えば、酵母、真菌、昆虫、細菌又は動物細胞)は、目的の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の転写を刺激するための培地中において、製造規模で増殖される。その結果、目的の融合タンパク質は、採集された宿主細胞から又は培地から単離される。培地から又は採集された細胞から目的のタンパク質を単離するために、標準的なタンパク質精製技術を使用することができる。特に、精製技術は、ローラーボトル(roller bottles)、スピナーフラスコ、組織培養プレート、バイオリアクター又は発酵槽などの様々な器具から、大規模に(すなわち、少なくともミリグラム量で)、所望の融合タンパク質を発現及び精製するために使用することができる。
発現されたタンパク質融合複合体は、既知の方法によって単離及び精製することができる。典型的には、培地は遠心又はろ過され、次いで、アフィニティー又はイムノアフィニティークロマトグラフィー、例えば、プロテインA若しくはプロテインGアフィニティークロマトグラフィー又は発現された融合複合体を結合するモノクローナル抗体の使用を含むイムノアフィニティープロトコールによって、上清が精製される。本発明の融合タンパク質は、既知の技術の適切な組み合わせによって分離及び精製することができる。これらの方法には、例えば、塩析沈殿及び溶媒沈殿などの溶解度を使用する方法、透析、限外ろ過、ゲルろ過及びSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの分子量の差を使用する方法、イオン交換カラムクロマトグラフィーなどの電荷の差を使用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的な親和性を使用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を使用する方法並びに等電点電気泳動、Ni−NTAなどの金属アフィニティーカラムなどの等電点の差を使用する方法が含まれる。これらの方法に関連する開示に関して、一般的に、Sambrookら及びAusubelら、上記を参照されたい。
本発明の融合タンパク質は実質的に純粋であることが好ましい。すなわち、融合タンパク質が好ましくは少なくとも80%又は90%〜95%の均一性(w/w)で存在するように、融合タンパク質は、自然な状態で融合タンパク質を伴う細胞置換成分(cell substituents)から単離されている。多くの薬学、臨床及び研究用途のためには、少なくとも98〜99%の均一性(w/w)を有する融合タンパク質が最も好ましい。実質的に精製されたら、融合タンパク質は、治療用途のために実質的に夾雑物を含むべきでない。部分的に又は実質的な純度まで生成されたら、可溶性融合タンパク質は、治療的に又は本明細書に開示されているようなインビトロ若しくはインビボアッセイを実施する上で使用することができる。実質的な純度は、クロマトグラフィー及びゲル電気泳動などの様々な標準的技術によって測定することができる。
本融合タンパク質複合体は、様々な、癌性若しくは感染された細胞又は1つ以上の疾病よって感染し得る細胞とともにインビトロ又はインビボで使用するのに適している。
ヒトインターロイキン−15(huIL−15)は、抗原提示細胞上に発現されたヒトIL−15受容体α鎖(huIL−15Rα)によって、免疫エフェクター細胞にトランス提示される。IL−15Rαは、主として細胞外スシドメイン(huIL−15RαSu)を通じて、高い親和性(38pM)でhuIL−15を結合する。本明細書に記載されているように、huIL−15及びhuIL−15RαSuドメインは、マルチドメイン融合複合体を構築するための足場として使用することができる。
IgGドメイン、特にFcドメインは、承認された生物学的薬物を含む多数の治療用分子に対する二量体足場として首尾よく使用されてきた。例えば、エタネルセプトは、ヒトIgG1のFcドメインに連結された可溶性ヒトp75腫瘍壊死因子−α(TNF−α)受容体(sTNFR)の二量体である。この二量体化は、エタネルセプトを単量体sTNFRよりTNF−α活性の阻害において最大1,000倍強力とすることを可能にし、融合物に単量体形態より5倍長い血清半減期を与える。その結果、エタネルセプトは、インビボでのTNF−αの炎症促進性活性の中和に効果的であり、多数の異なる自己免疫適応症に対する患者の治療結果を改善する。
その二量体化活性に加えて、Fc断片は、補体活性化及びナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、貪食細胞及び樹状細胞上にディスプレイされたFcγ受容体との相互作用を通じて、細胞傷害性エフェクター機能も提供する。抗癌治療用抗体及びその他の抗体ドメイン−Fc融合タンパク質との関連で、これらの活性は、動物腫瘍モデル中で及び癌患者中で観察された有効性において、おそらく重要な役割を果たす。しかしながら、これらの細胞傷害性エフェクター応答は、多数の治療的用途において十分でないことがあり得る。このため、Fcドメインのエフェクター活性を改善及び増大させること、並びに標的化された治療分子を介して疾病部位に、T細胞活性などの細胞溶解性免疫応答を動員する他の手段を開発することに多大な関心が存在してきた。IgGドメインは、二重特異性抗体を形成して、伝統的なハイブリドーマ融合技術によって生成された産物の質と量を改善するための足場として使用されてきた。これらの方法は他の足場の欠点を回避しているが、臨床的な開発及び使用を支えるのに十分なレベルで、哺乳動物細胞中において二重特異性抗体を産生することは困難であった。
ヒト由来の免疫賦活性多量体足場を開発するための努力において、ヒトIL−15(huIL−15)及びIL−15受容体ドメインが使用された。huIL−15は、高い結合親和性(平衡解離定数(KD)〜10−11M)で、huIL−15受容体α鎖(huIL−15Rα)と会合する、サイトカインの小型4α−ヘリックスバンドルファミリーの一員である。次いで、得られる複合体は、T細胞及びNK細胞の表面上にディスプレイされたヒトIL−2/15受容体β/共通γ鎖(huIL−15RβγC)複合体にトランス提示される。このサイトカイン/受容体相互作用は、ウイルスに感染された細胞及び悪性細胞を根絶する上で重要な役割を果たしているエフェクターT細胞及びNK細胞の増大及び活性化をもたらす。通常、huIL−15及びhuIL−15Rαは樹状細胞中で同時生産されて細胞内で複合体を形成し、この複合体は、その後、分泌され、細胞表面上にヘテロ二量体分子としてディスプレイされる。このため、huIL−15とhuIL−15Rαの相互作用の特徴は、標的特異的な結合をすることが可能な可溶性二量体分子を作るために、これらの鎖間結合ドメインがヒト由来免疫賦活性足場としての役割を果たし得ることを示唆する。
本発明の実施は、別段の記載がなければ、分子生物学(組換え技術を含む。)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の慣用技術を利用し、これらは、当業者の範囲内に十分に属する。このような技術は、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,second edition(Sambrook,1989);“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984);“Animal Cell Culture”(Freshney,1987);“Methods in Enzymology” “Handbook of Experimental Immunology”(Weir,1996);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller and Calos,1987);“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel,1987);“PCR:The Polymerase Chain Reaction”(Mullis,1994);“Current Protocols in Immunology”(Coligan,1991)などの文献中で完全に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの産生に適用可能であり、このため、本発明を作製及び実施する上で検討され得る。特定の実施形態に対して特に有用な技術は、以下の節で論述されている。
以下の実施例は、アッセイ、スクリーニング及び本発明の治療方法の製造及び使用方法の完全な開示及び記述を当業者に与えるために記載されており、本発明者らが自己の発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。
[実施例]
[実施例1]
IL−15、IL−7及びIL−21ドメインを含む融合タンパク質複合体の生成及び性質決定
癌又は感染性疾患を処置するための重要な治療的アプローチは、疾病細胞に対する免疫細胞活性を増強させることに依拠する。この戦略は、エクスビボで免疫細胞を刺激した後の養子移植及び又は患者中で、免疫細胞レベル又は活性をインビボで直接増加させることを含む。これらのアプローチに関与する免疫細胞は、自然(すなわち、NK細胞)又は適応(すなわち、T細胞)免疫系の免疫細胞であり得る。
免疫活性を増強するための1つのアプローチは、免疫細胞に免疫賦活性サイトカインを与えることである。このようなサイトカインは本分野において既知であり、単独で、又は他のサイトカイン若しくは因子と組み合わせて使用することができる。以下に詳述されているように、IL−7及びIL−21結合ドメインに融合されたIL−15N72D:IL−15RαSu/Fc足場を含む融合タンパク質複合体が生成された(図1)。これらの融合タンパク質複合体は、NK及びT細胞への結合並びにサイトカイン受容体の各々を介したシグナル伝達細胞応答に利点を有する。Ig分子のFc領域は二量体を形成して可溶性多ポリペプチド複合体を与え、精製の目的でプロテインAを結合することができ、NK細胞及びマクロファージ上のFcγ受容体と相互作用することができ、このため、個別のサイトカインの組み合わせには存在しない利点を融合タンパク質複合体に供する。さらにIL−15N72DとIL−15RαSuドメイン間の相互作用は、IL−15N72D、IL−7及びIL−21(及びおそらくは他のタンパク質ドメイン又は因子)を単一の免疫賦活性融合タンパク質複合体中に連結するための手段を提供する。
具体的には、IL−15N72D及びIL−15RαSu/Fc鎖にIL−7及びIL−21ドメインを連結する構築物が作製された。いくつかの事例では、IL−7又はIL−21ポリペプチドのいずれかが、IL−15N72D及び/又はIL−15RαSu/Fc鎖のN末端に連結される。他の事例では、IL−7又はIL−21ポリペプチドが、IL−15N72D及び/又はIL−15RαSu/Fc鎖のN末端に連結される。IL−7及びIL−21結合ドメインに融合されたIL−15N72D:IL−15RαSu/Fc足場を含む具体的な融合タンパク質複合体が以下に記載されている。
1)IL−21/IL−15RαSu/Fc及びIL−7/IL−15N72D融合タンパク質を含む融合タンパク質複合体が生成された。ヒトIL−7及びヒトIL−21配列はUniProtウェブサイトから取得し、これらの配列に対するDNAはGenewizによって合成した。具体的には、重複PCRを介して、IL−15RαSu/FcのN末端コード領域に合成されたIL−21配列を直接連結して、構築物を作製した。IL−15RαSu/FcのN末端に連結されたIL−21を含む構築物の核酸及びタンパク質配列が以下に示されている。
IL−21/IL−15RaSu/Fc構築物(シグナルペプチド配列を含む。)の核酸配列は、以下のとおりである(配列番号1)。
(シグナルペプチド)
atgaagtgggtgaccttcatcagcctgctgttcctgttctccagcgcctactcc
(ヒトIL−21)
cagggccaggacaggcacatgatccggatgaggcagctcatcgacatcgtcgaccagctgaagaactacgtgaacgacctggtgcccgagtttctgcctgcccccgaggacgtggagaccaactgcgagtggtccgccttctcctgctttcagaaggcccagctgaagtccgccaacaccggcaacaacgagcggatcatcaacgtgagcatcaagaagctgaagcggaagcctccctccacaaacgccggcaggaggcagaagcacaggctgacctgccccagctgtgactcctacgagaagaagccccccaaggagttcctggagaggttcaagtccctgctgcagaagatgatccatcagcacctgtcctccaggacccacggctccgaggactcc
(ヒトIL−15Rαスシドメイン)
atcacgtgtcctcctcctatgtccgtggaacacgcagacatctgggtcaagagctacagcttgtactccagggagcggtacatttgtaactctggtttcaagcgtaaagccggcacgtccagcctgacggagtgcgtgttgaacaaggccacgaatgtcgcccactggacaacccccagtctcaaatgcattaga
(ヒトIgG1 CH2−CH3(Fc)ドメイン)
gagccgaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctcctggtaaa
IL−21/IL−15RaSu/Fc構築物(シグナルペプチド配列を含む。)のアミノ酸配列は、以下のとおりである(配列番号2)。
(シグナルペプチド)
MKWVTFISLLFLFSSAYS
(ヒトIL−21)
QGQDRHMIRMRQLIDIVDQLKNYVNDLVPEFLPAPEDVETNCEWSAFSCFQKAQLKSANTGNNERIINVSIKKLKRKPPSTNAGRRQKHRLTCPSCDSYEKKPPKEFLERFKSLLQKMIHQHLSSRTHGSEDS
(ヒトIL−15Rαスシドメイン)
ITCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNSGFKRKAGTSSLTECVLNKATNVAHWTTPSLKCIR
(ヒトIgG1 CH2−CH3(Fc)ドメイン)
EPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
いくつかの事例では、可溶性であり得又は分泌され得る成熟形態を生成するために、完全な状態のポリペプチドからリーダーペプチドが切断される。
重複PCRを介して、IL−15N72DのN末端コード領域に合成されたIL−7配列を連結して、構築物も作製した。IL−15N72DのN末端に連結されたIL−7を含む構築物の核酸及びタンパク質配列が以下に示されている。
IL−7/IL−15N72D構築物(リーダー配列を含む。)の核酸配列は、以下のとおりである(配列番号3)。
(シグナルペプチド)
atgaagtgggtgaccttcatcagcctgctgttcctgttctccagcgcctactcc
(ヒトIL−7)
gattgcgacatcgagggcaaggacggcaagcagtacgagagcgtgctgatggtgtccatcgaccagctgctggacagcatgaaggagatcggctccaactgcctcaacaacgagttcaacttcttcaagcggcacatctgcgacgccaacaaggagggcatgttcctgttcagggccgccaggaaactgcggcagttcctgaagatgaactccaccggcgacttcgacctgcacctgctgaaggtgtccgagggcaccaccatcctgctgaactgcaccggacaggtgaagggccggaaacctgctgctctgggagaggcccaacccaccaagagcctggaggagaacaagtccctgaaggagcagaagaagctgaacgacctgtgcttcctgaagaggctgctgcaggagatcaagacctgctggaacaagatcctgatgggcaccaaggagcat
(ヒトIL−15N72D)
aactgggttaacgtaataagtgatttgaaaaaaattgaagatcttattcaatctatgcatattgatgctactttatatacggaaagtgatgttcaccccagttgcaaagtaacagcaatgaagtgctttctcttggagttacaagttatttcacttgagtccggagatgcaagtattcatgatacagtagaaaatctgatcatcctagcaaacgacagtttgtcttctaatgggaatgtaacagaatctggatgcaaagaatgtgaggaactggaggaaaaaaatattaaagaatttttgcagagttttgtacatattgtccaaatgttcatcaacacttct
成熟IL−7/IL−15N72D融合タンパク質(リーダー配列を含む。)のアミノ酸配列は、以下のとおりである(配列番号4)。
(シグナルペプチド)
MKWVTFISLLFLFSSAYS
(ヒトIL−7)
DCDIEGKDGKQYESVLMVSIDQLLDSMKEIGSNCLNNEFNFFKRHICDANKEGMFLFRAARKLRQFLKMNSTGDFDLHLLKVSEGTTILLNCTGQVKGRKPAALGEAQPTKSLEENKSLKEQKKLNDLCFLKRLLQEIKTCWNKILMGTKEH
(ヒトIL−15N72D)
NWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANDSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
いくつかの事例では、可溶性であり得又は分泌され得る成熟形態を生成するために、完全な状態のポリペプチドからリーダーペプチドが切断される。
以前に記載されたように(米国特許第8,507,222号実施例1、参照により、本明細書に組み込まれる。)、IL−21/IL−15RαSu/Fc及びIL−7/IL−15N72D構築物を発現ベクター中にクローニングし、発現ベクターをCHO細胞中に形質移入した。CHO細胞中での2つの構築物の同時発現は、可溶性IL−7/IL−15N72D:IL−21/IL−15RαSu/Fc融合タンパク質複合体(hIL7/IL21/TxMとも称される。)の形成及び分泌を可能にした。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーによって、CHO細胞培養上清からhIL7/IL21/TxMタンパク質を精製して、IL−21/IL−15RαSu/Fc二量体及びIL−7/IL−15N72D融合タンパク質からなる可溶性(非凝集)融合タンパク質複合体を得た(図2)。
プロテインA精製されたIL−7/IL−15N72D:IL−21/IL−15RαSu/Fc融合タンパク質複合体の還元SDS−PAGE及びウェスタンブロット分析が図3に示されている。ウェスタンブロット分析のために、4〜12%Bis−Trisゲル上での還元SDS−PAGEによって、精製されたタンパク質を分離した。Invitrogen iBlot2システムを用いて、分離されたタンパク質バンドをゲルから膜へ転写した。1)ヒトFcドメインを含有するタンパク質バンドの検出のために、ヤギ抗hIgGFc Ab(一次)及びウサギ抗ヤギIgG−AP(二次)、並びに2)ヒトIL−15ドメインを含有するタンパク質バンドの検出のために、ビオチン化されたマウス抗hIL15Ab(一次)及びストレプトアビジン−HRP(二次)を用いて、膜のプローブを行った。Millipore SNAP i.d.2.0タンパク質検出システムを用いて、適切な基質(NBT/BCIP又はTMB)との温置後にプローブ試薬の結合を検出した。それぞれ、約54kDa及び約38〜45kDaに移動した可溶性IL−21/IL−15RaSu/Fc及びIL−7/IL−15N72Dタンパク質に対応するSDS−PAゲル及びウェスタンブロット中のバンドが観察された(図3A及びB)。
IL−21/IL−15RaSu/Fc及びIL−7/IL−15N72Dタンパク質の計算された分子量は、それぞれ、約49kDa及び30kDaである。計算された分子量と観察された分子量間の差を評価するために、Protein Deglycosylation Mix II(New England BioLabs)を用いて、精製されたタンパク質複合体に対して脱グリコシル化研究を実施した。簡潔に述べると、1×Deglycosylation Mix Buffer 2中の100μgのタンパク質複合体を75℃で、10分間変性した。室温まで冷却した後、5μLのProtein Deglycosylation Mix IIをタンパク質混合物に添加した。室温での30分間の温置後に、37℃で一晩、タンパク質を脱グリコシル化した。脱グリコシル化反応後に、試料は、還元されたクーマシー染色されたSDS−PAGE上ですぐに分析できる。脱グリコシル化されなかったALT−803、hIL7/IL21/TxMタンパク質及びProtein Deglycosylation Mix(デグリコシラーゼ酵素を含有する)も対照として分析した。結果は、脱グリコシル化されたIL−21/IL−15RaSu/Fc及びIL−7/IL−15N72Dタンパク質に対応するバンドが、計算された分子量と一致する、それぞれ、約51kDa及び30kDaに移動することを示している(図4)。これらの知見は、哺乳動物細胞が産生したhIL7/IL21/TxM複合体のタンパク質がグリコシル化されていることを確認する。ELISAをベースとする方法は、hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体の形成を確認した。図5では、捕捉抗体、抗ヒトIL−15抗体(MAB647、R&D Systems)及び検出抗体、西洋ワサビペルオキシダーゼが接合された抗ヒトIgG抗体を用いるhuIgG1/IL15特異的ELISAを使用して、形質移入されたCHO細胞からの培養上清中のIL−7/IL−15N72D:IL−21/IL−15RaSu/Fc融合タンパク質複合体が検出された。既知の濃度を有する類似のサイトカインTxM融合タンパク質複合体(hIL18/IL12/TxM)とこれを比較する。融合タンパク質濃度を推定するために、hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体からのシグナルをhIL18/IL12/TxM対照のシグナルと比較することができる。
ヒトIgG(GAH)及びIL−15に対する捕捉及びプローブ抗体並びにIL7及びIL15、IL21及びIL15及びIL7及びIL21に対する抗体の組み合わせを用いて、精製されたhIL7/IL21/TxMに対して類似のELISAを実施した(図6)。これらのアッセイでは、hIL18/IL12/TxM及びALT−803を対照として使用した。これらのアッセイから得られる結果は、可溶性IL−7/IL−15N72D、IL−21/IL−15RaSu/Fcタンパク質がCHO細胞中で産生されることができ、及びhIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体が形成し、培地中に分泌されることができることを実証する。分泌されたタンパク質は精製することができ、融合タンパク質複合体は完全な状態を保つ。
[実施例2]
hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体の活性のインビトロでの性質決定
hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体のIL−15免疫賦活活性を評価するために、マウス造血細胞株であるIL−15依存性32Dβ細胞の増殖を評価した。200μLのIMDM:10%FBS培地中の32Dβ細胞(104細胞/ウェル)に、増加するレベルのhIL7/IL21/TxMを添加し、37℃で3日間、細胞を温置した。次いで、PrestoBlue細胞生死判定試薬(20μL/ウェル)を添加した。4時間後に、代謝的に活性な細胞による、レサズリンをベースとする溶液であるPrestoBlueの還元に基づいて細胞増殖を決定するために、(標準化のための600nm参照波長とともに)570nmで、吸光度を測定した。IL−15N72D:IL−15RαSu/Fc複合体(ALT−803)の生物活性を陽性対照として評価した。図7に示されているように、hIL7/IL21/TxMは32Dβ細胞の細胞増殖を促進することができ、これにより、IL−15活性を実証する。hIL7/IL21/TxMの活性は、おそらく、IL−15N72DドメインへのIL−7の連結のために、ALT−803の活性と比べて低下した。
各サイトカイン(IL−7、IL−21及びIL−15)の個別の活性を実証するために、各サイトカインによる受容体シグナル伝達(IL−7:Stat5、IL−21:Stat3及びIL−15:Stat5)に応答して一意にリン酸化されるタンパク質を用いることにより、フローサイトメトリーをベースとした細胞内リンタンパク質アッセイを開発した。IL−7活性を検査するために、4mM L−グルタミン、1.5g/L重炭酸ナトリウム、0.05mM 2−メルカプトエタノール、1ng/mLマウスインターロイキン−7及び20%FBSを加えたイスコブ変法ダルベッコ培地(IMDM)中で、マウス2E8細胞株を培養した。ホスホ−フローメトリーをベースとするStat5アッセイのために、IMDM中で細胞を2回洗浄し、37℃、5%CO2恒温槽中、IL−7なしの完全培地中で一晩、0.5×106/mLで培養した。翌日、IMDM中で細胞を洗浄し、計数した。
フローサイトメーターによりホスホ−Stat5を測定することによって、32Dβ細胞株中でIL−15活性を測定した。2ng/mLヒトIL−2及び10%FBSを加えたIMDM中で32Dβ細胞株を培養した。ホスホ−フローメトリーをベースとするStat5アッセイのために、IMDM中で細胞を2回洗浄し、37℃、5%CO2恒温槽中、IL−7なしの完全培地中で一晩、0.5×106/mLで培養した。翌日、IMDM中で細胞を洗浄し、計数した。
フローサイトメーターによりホスホ−Stat3(727)を測定することによって、精製されたヒトT細胞中でIL−21活性を測定した。新鮮なヒト白血球を血液バンクから取得し、RosetteSep/ヒトCD3+T細胞試薬(StemCell Technologies)を用いて、CD3+T細胞を単離した。CD3+T細胞の純度は、95%より大きかった。2mM L−グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン及び10%FBSを補充されたRPMI1640中で細胞を培養した。
各サイトカインの活性を検査するために、FACS管中に、細胞(0.25×106/管)を播種した。37℃、5%CO2恒温槽中で15分間、IL−7(100ng)、IL−21(100ng)及びALT−803(100ng)単独で、若しくは同じ濃度で組み合わせて、又はhIL7/IL21/TxM(1000〜62.5ng/mL)で細胞を刺激した。培地及びサイトカインの最終容量を100μLに調整した。15分の温置後に、1.6%の最終濃度でパラホルムアルデヒド(Sigma)を添加し、さらに10分間、暗所において、室温で細胞を温置した。次いで、室温で5分間、1500rpmでの遠心によって、1mLのFACS緩衝液(PBS、0.5%BSA、0.1%NaN3)で細胞を洗浄した。穏やかに渦撹拌することによって、100μLの冷却した100%メタノール中に、細胞沈渣を再懸濁した。4℃で30分間、細胞をさらに温置し、次いで、1mLのFACS緩衝液を用いて洗浄した。次いで、IL−7及びIL−15活性を検査するためのPhospho−Stat5 Alexa−Fluro−488抗体(BD Bioscience)又はIL−21活性を検査するためのPhospho−Stat3 Alexa−Fluro−488抗体(BD Bioscience)を含有する50μLのFACs緩衝液中に、細胞沈渣を再懸濁した。暗所において、室温で30分温置した後、1mLのFACS緩衝液で細胞を洗浄し、300μLのFACS緩衝液中に再懸濁し、フローサイトメトリーによって分析した。
1μg/mL(6.3nM)hIL7/IL21/TxMを用いて、マウス2E8細胞又は精製されたヒトT細胞(>95%CD3+)又は32Dβ細胞の短時間刺激後に、組換えIL−7(107ng/mL;6.3nM)、IL−21(112ng/mL;6.3nM)及びALT−803(15.12ng/mL:6.3nM)の組み合わせを用いて見られたものと類似の応答をもたらした(図8A〜F)。これらの結果は、hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体のサイトカインドメインの各々がその特異的な免疫賦活性生物活性を保持することを実証する。
IL−7、IL−21及びIL−15活性の組み合わせは、これらのサイトカインのいずれか単独より、ナイーブT細胞によるIFN−γ産生を誘導する上でより効果的であることが知られている。hIL7/IL21/TxM複合体の組み合わされたサイトカイン活性を評価するために、hIL7/IL21/TxM複合体(6.3nM)、IL−7(6.3nM)、IL−21(6.3nM)及びALT−803(6.3nM)の組み合わせ又は各サイトカイン単独とともに、精製されたT細胞を温置した。3日後に、ELISA法によって、培養上清中のIFN−γレベルを測定した。図9に示されているように、組み合わされた個別のサイトカインIL−7+IL−21+ALT−803の存在下にある精製されたT細胞は、IFN−γ産生を誘導した。しかしながら、hIL7/IL21/TxM複合体の存在下で培養すると、ナイーブT細胞は高レベルのIFN−γを産生した。これらの結果は、hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体は、組み合わされたIL−7、IL−21及びIL−15サイトカインの予想された免疫賦活活性を示すことを立証する。
[実施例3]
hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体による刺激後の、精製されたナイーブT細胞、CD3+T細胞及びCD8+T細胞の増殖
以前の研究は、IL−7、IL−15及びIL−21の存在下で、T細胞増殖が効率的に誘導され得ることを示した。T細胞の増殖を促進するhIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体の能力を評価するために、2人の健康なドナーから得た血液から、RosetteSepヒトナイーブCD8+T細胞キット(STEMCELL Technology)を用いて、ヒトナイーブT細胞を精製した(1×105細胞/mL)。hIL7/IL21/TxM又は個別の組換えIL−7、IL−21及びALT−803の組み合わせとともに、2〜5日間、これらの細胞(>85%CD3+)を培養した。Presto−Blueによって、サイトカインで刺激されたナイーブT細胞の増殖を評価し、フローサイトメトリーによって分析した。結果は、IL−7、IL−21及びIL−15の組み合わせと同様又はより大きな程度で、hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体が精製されたナイーブT細胞の増殖を誘導することが可能であることを示している(図10A及びBは2人の異なるドナーから得た結果を示し、図10Cは、72時間の時点に対する平均化された結果を示している。)。このように、hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体を用いた刺激は、精製されたナイーブT細胞の増殖を誘導することができる。
同様に、T細胞の増強された増殖は、IL−7、IL−15及びIL−21での精製されたT細胞の刺激によって、エキソビボで誘導された。T細胞の増殖を促進するhIL7/IL21/TxMの能力を評価するために、精製されたCFSE標識されたヒトT細胞(>90%CD3+、RosetteSepTMHuman CD8+T Cell Enrichment Cocktailを介して精製された)(1×105細胞/mL)を、hIL7/IL21/TxM又は各別の組換えIL−7、IL−21及びALT−803の組み合わせで7日間刺激し、サイトカインで誘導されたT細胞増殖をフローサイトメーターによって評価した。結果は、hIL7/IL21/TxM複合体がIL−7、IL−21及びIL−15の組み合わせより良好に、精製されたT細胞の増殖を誘導することが可能であったことを示す(図11)。
さらなる研究において、Cell Traceバイオレットで標識されたヒトCD8+T細胞(>90%CD8+、RosetteSepTMHuman CD8+T Cell Enrichment Cocktailを介して精製された)(2.5×105細胞/mL)を、hIL7/IL21/TxM又は各別の組換えIL−7、IL−21及びALT−803の組み合わせで刺激した。7日後に、計数及びT細胞表現型を決定するための抗体での染色のために細胞を集めた。ALT−803(10nM)、IL−7(25ng/mL)及びIL−21(25ng/mL)の混合物(3.9倍)又はALT−803単独(10nM)(2.5倍)と比べて、10nM hIL7/IL21/TxM(4.6倍)との7日間の温置後に、ヒトCD8+T細胞の増大は最大であった(図12)。培地単独中で生育された細胞は、増大を示さなかった。
Cell Traceバイオレット希釈(すなわち、各分裂に伴う細胞当たりの減少したシグナル)によって測定された場合に細胞増殖を行っているCD8T細胞の表現型を評価するために、フローサイトメトリーを使用した(図13)。結果は、ALT−803、IL−7及びIL−21の混合物又はALT−803単独中で生育された細胞と比べて、hIL7/IL21/TxMとともに温置されたヒトCD8+T細胞において、より高いレベルの細胞増殖が見られたように増大倍率データを確認する。培地単独中で生育された細胞中では、増殖は観察されなかった。CD45RO、CCR7及びCD95を発現しているCD8+T細胞は、hIL7/IL21/TxMとの温置後に著しい増殖を示す。低いCCR7及びCD62Lを有するCD8+T細胞中でも増殖が観察されたのに対して、上昇したCD45RAを有する細胞は増殖したが、より低い程度であるか、又はhIL7/IL21/TxMでの活性化後にCD45RO表現型へと転換した。結果は、CD8+セントラルメモリーT細胞及びCD8+エフェクターメモリーT細胞の増殖がhIL7/IL21/TxMによって誘導され、ALT−803+IL−7+IL−21の組み合わせで見られたより大きなレベルであることを示す。
[実施例4]
hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体によるヒトCD8+T細胞の異なるサブセットのインビトロでの増大
ヒトCD8+T細胞の異なるサブセットのインビトロでの増大を評価するために、血液バンクからバフィーコートを受領した。RosetteSepTMHuman CD8 Negative−Selection Kit(STEMCELL Technologies)を用いて、全CD8 T細胞を単離した。CD8 T細胞の濃縮後に、以下のマーカーを用いて、フローサイトメトリーによって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー及びメモリー幹CD8 T細胞サブセットを選別した。ナイーブCD8+T細胞は、生きたCD8+、CCR7+、CD45RO−及びCD95−細胞として表現型が決定された。CD8+Tエフェクターメモリー細胞は、生きたCD8+、CCR7−及びCD45RO+細胞として表現型が決定された。CD8+Tセントラルメモリー細胞は、生きたCD8+、CCR7+及びCD45RO+細胞として表現型が決定された。CD8+Tメモリー幹細胞は、生きたCD8+、CCR7+、CD45RO−及びCD95+細胞として表現型が決定された。選別された細胞を純度に関してチェックした(すなわち、細胞の95%超が所望の表現型を有していた場合に、試料を純粋と考えた。)。
製造業者の説明書のとおりに、選別された異なる集団細胞をCFSE(カルボキシフルオレセインサクシニミジルエステル)(Molecular Probes)で標識した。37℃、5%CO2で、96ウェル平底プレート中の200μLの培地中の、培地単独、IL−7+IL−21(各25ng)、IL7(25ng)+ALT−803(144ng)、IL21(25ng)+ALT−803(144ng)、IL7(25ng)+IL21(25ng)+ALT−803(144ng)又はhIL7/IL21/TxM(1.4μg)のいずれかで、CFSE標識されたCD8+T細胞サブセットを刺激した。7日後に、2%FBS−PBSでウェルを4回洗浄し、管中に洗浄液を集めることによって、ウェルから細胞を採集した。5分間、1500RPMでの遠心によって、採集された細胞を2%FBS−PBSで1回さらに洗浄した。100μLの%FBS−PBS中に細胞を再懸濁し、0.4%Trypan Blueでの1:1希釈後に、血球計数器によって細胞を計数するために、そこから10μLを使用した。サイトカイン又はhIL7/IL21/TxM複合体との7日の温置後に、精製されたCD8+T細胞サブセットの増大を評価するために、細胞数を決定した。結果は、培地単独又は検査されたサイトカインの2つの組み合わせへの温置と比べて、hIL7/IL21/TxM融合複合体での処理がナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー及びメモリー幹CD8+T細胞サブセットの増大を増加させることができたことを示す。さらに、hIL7/IL21/TxM複合体は、CD8+T細胞セントラルメモリー及びエフェクターメモリーサブセットの集団を増大させるのに、IL−7、IL−21及びALT−803の組み合わせより効果的であり(図14)、選別されなかったヒトCD8+T細胞で見られた結果と一致した。
増大の他に、フローサイトメトリーによるCSFE希釈に基づいて、ヒトCD8+T細胞サブセットの増殖を評価した。この分析のために、1mLのFACS緩衝液で残りの細胞を1回洗浄し、抗CD45RO、CD95、CCR7及びCD8抗体で細胞を染色した(FACS緩衝液中、30分間、2μL/試料)。暗所において、室温で30分後、1mLのFACS緩衝液で細胞を洗浄し、300μLのFACS緩衝液中に再懸濁した。集団の異なるサブセットに対してゲートされたフローサイトメトリーによって、細胞を分析した。ナイーブCD8+T細胞は、生きたCD8+、CCR7+、CD45RO−及びCD95−細胞として表現型が決定された。CD8+Tエフェクターメモリー細胞は、生きたCD8+、CCR7−及びCD45RO+細胞として表現型が決定された。CD8+Tセントラルメモリー細胞は、生きたCD8+、CCR7+及びCD45RO+細胞として表現型が決定された。CD8+Tメモリー幹細胞は、生きたCD8+、CCR7+、CD45RO−及びCD95+細胞として表現型が決定された。CSFE希釈に基づいて、増殖に関して各集団を評価した。図15を参照されたい。この研究は、培地対照細胞において観察されたほとんど又は全く存在しない増殖と比べて、各ヒトCD8T細胞サブセットの増殖がhIL7/IL21/TxMによって誘導されたことを確認した。ALT−803+IL−7+IL−21の組み合わせを含む全ての他の条件と比べて、hIL7/IL21/TxMとの温置後に、CD8+T細胞セントラルメモリー及びエフェクターメモリーサブセットにおいて、最高レベルの細胞増殖が見られた。
[実施例5]
hIL7/IL21/TxM融合タンパク質複合体での刺激後における精製されたNK細胞の増強された増殖、細胞傷害性及び活性化
ヒトNK細胞の増殖及び活性化に影響を与えるhIL7/IL21/TxMの能力も評価した。NK細胞は、StemCell RosetteSepTMHuman NK Cell Enrichment Cocktailを用いて、精製されたヒト白血球であった。50nM hIL7/IL21/TxM、50nM hIL18/IL12/TxM(対照)又は10nM ALT−803(対照)を含有する培地中、24ウェルプレート中に、2×106細胞/mLで、精製されたNK細胞(90%超の純度)を播種した。3日後に、細胞を計数し、10nM hIL7/IL21/TxM又は10nM ALT−803(対照)のいずれかを含有する培地とともに、0.5×106細胞/mLで再度播種した。さらに3日後に、10nM hIL7/IL21/TxM又は10nM ALT−803(対照)のいずれかを含有する培地とともに、0.5×106細胞/mLで細胞を再び再播種した。10日目に、細胞を採集し、増殖及び細胞表現型に関して評価し、K562標的細胞に対する細胞傷害性に関して検査した。
この研究の結果は、hIL7/IL21/TxMを含有する培地中での4日目から10日目までの成長に引き続き、10日目までに、NK細胞培養物の大半が10倍超の増大を示したように、当初の刺激(1〜3日目)のために使用されたサイトカインに関わらず、hIL7/IL21/TxMは、精製されたヒトNK細胞の増大に対して、ALT−803より優れたサイトカインサポート(cytokine support)(4〜10日目)を与えることを示した(図16)。NKp46及びCD25抗体でのフローサイトメトリー染色に基づいて、hIL7/IL21/TxMによってサポートされたNK細胞は、hIL18/IL12/TxMとの短時間の温置後のALT−803サイトカインサポート後に観察されたサイトカイン誘導メモリー様(CIMK;cytokine−induced memory−like)NK細胞に匹敵する活性化されたCD25+表現型を示した(図17)。
K562標的細胞を用いた4時間のキリングアッセイにおいて、これらの細胞の細胞傷害活性を評価した。簡潔に述べれば、K562標的細胞をCelltraceバイオレット(CVT)で標識し、次いで、2.5:1(エフェクター:標的)の比率で、増大されたヒトNKエフェクター細胞とともに4時間共培養した。細胞を採集し、洗浄し、2μg/mLのヨウ化プロピジウムを含有するRPMI中に再懸濁した。ヨウ化プロピジウムとCTVの共染色によって、腫瘍細胞溶解を測定した。NK細胞とともに共培養されなかったウェルから測定されたK562細胞の全てのバックグラウンド死を差し引くことによって、パーセント特異的死滅を計算する。hIL7/IL21/TxMでの最初の3日間の刺激が与えられた後、hIL7/IL21/TxM又はALT−803のいずれかによるサイトカインサポートが与えられたヒトNK細胞は、最初にhIL18/IL12/TxM刺激を受けた後に、hIL7/IL21/TxM又はALT−803サイトカインサポートを受けたものより良好な、K562細胞に対する細胞傷害性を示した(図18)。CD25染色に基づくと、これらの細胞の活性化表現型は同等であるように見受けられたので、この結果は驚くべきことであった。これらの知見を総合すると、hIL7/IL21/TxMは、ヒトNK細胞増殖を誘導するのに極めて効果的であり、上昇した細胞傷害活性を有する活性化された表現型をもたらすことを示している。
ヒト腫瘍細胞に対してNK細胞細胞傷害性を誘導するhIL7/IL21/TxMの能力をさらに性質決定するために、さらなる研究を行った。2:1のエフェクター:標的比率(E:T)で、40時間、2人の異なるドナーから得た精製されたヒトの新鮮なNK細胞を、CellTraceバイオレット標識されたヒトTF陽性膵臓癌SW1990細胞と混合した。ヒトNK細胞を活性化させるために、50nMでALT−803又はhIL7/IL21/TxMを添加し、培地のみは対照としての役割を果たした。いくつかの培養物では、ADCCを誘導するために、ヒト化抗ヒト組織因子抗体IgG1(hOAT)が0.1nMで添加された。温置期間の終了時に、ヨウ化プロピジウムでの染色後のフローサイトメトリーによって、死んだバイオレット標識されたSW1990細胞の百分率を測定した(図19)。hIL7/IL21/TxM単独での刺激後に、ヒトNK細胞は、ALT−803又は対照培地と比べて、SW1990腫瘍細胞に対して著しい細胞傷害性を示した。これらの結果は、hIL7/IL21/TxM刺激されたNK細胞を用いて観察されたK562標的に対する強化された細胞傷害性と合致している。抗TF抗体の添加は、TF陽性腫瘍細胞のNK媒介性ADCCのさらなる増加をもたらし、同じく、hIL7/IL21/TxMで刺激されたNK細胞が最高の細胞傷害性を示した。これらの知見は、hIL7/IL21/TxMがヒトNK細胞の強力な活性化を与え、腫瘍細胞に対して強化されたナチュラルキリング(natural killing)及びADCCをもたらすことを示している;
hIL7/IL21/TxMのあり得る作用機序を評価するために、上記されたNK細胞/SW1990腫瘍細胞培養物の上清を用いて、ELISAによってIFNγのレベルを測定した。hIL7/IL21/TxMを含有するNK細胞/SW1990細胞培養物中では、上昇したレベルのIFNγが見出されたのに対して、ALT−803又は対照培地条件では、ほとんど又は全くIFNγは見られなかった(図20)。hIL7/IL21/TxM刺激された細胞への抗TF抗体の添加によって、IFNγ放出がさらに誘導されたが、ALT−803又は対照培地条件では、ずっと低い程度で誘導されるか、又は全く誘導されなかった。これらの結果は、hIL7/IL21/TxMはNK細胞IFNγ産生を誘導するのに極めて効果的であり、ADCC抗体の添加によってさらに上昇させることができることを示している。
グランザイムBのヒトNK細胞発現に対するhIL7/IL21/TxMの効果も評価した。50nM hIL7/IL21/TxM、50nM ALT−803を加えたRPMI−10培地又は対照培地中で16時間、2人の異なるドナーからの精製されたヒトNK細胞(4×106細胞/ウェル)を温置した。次いで、FITC接合された抗グランザイムB抗体でNK細胞を細胞内染色し、フローサイトメトリーによって、グランザイムBのレベル(MFI−平均蛍光強度)を分析した。hIL7/IL21/TxM中での温置は、NK細胞中のグランザイムBレベルの2.8〜5.3倍の増加をもたらしたのに対して、ALT−803処理されたNK細胞中では、穏やかな増加(1.1〜1.4倍)のみが観察された。図21を参照されたい。これらの知見は、ヒトNK細胞の細胞傷害能を強化するhIL7/IL21/TxMの能力をさらに例示する。
[実施例6]
IL−7/IL−21/TxM複合体のインビトロ及びインビボ活性並びに老化細胞及び老化細胞及び年齢関連病変に対するIL−7/IL−21/TxM刺激された免疫細胞の養子細胞移植
上に記されているように、器官及び組織中での老化細胞の蓄積は、年齢に関連する疾患と関連する。老化細胞及びそれに伴う病変をインビトロ及びインビボで低下させるための治療戦略を評価するための方法を開発した。hIL7/IL21/TxM複合体の活性を評価するために、本分野において既知の方法を通じて老化細胞をインビトロで生成する。簡潔に述べると、ヒト二倍体線維芽細胞、IMR−90及びWI38(ATCC、Manassas、VA、USA)、ヒト包皮線維芽細胞BJ(ATCC、Manassas、VA、USA)及び初代ヒト肝筋線維芽細胞(活性化された肝星(HS)細胞)を標準的な条件(すなわち、10%FCS、1%L−グルタミン及び1%ペニシリン−ストレプトマイシンが補充され、7.5%CO2、37℃に保たれたDMEM)で生育する。成長している細胞をエトポシド(100μM、Sigma)で48時間処理することによって、DNA損傷誘発老化(DIS;DNA damage induced senescent)細胞を生成する。エトポシド除去の7日後に、細胞が老化したと考えた。または、癌遺伝子誘発老化は、mCherry−H−Rasv12(又は対照としてmCherry)でのIMR−90細胞のレトロウイルス感染によって達成し、感染の終了から9日後に細胞が老化したと考えた。IMR−90細胞は、2日の間隔を置いて、0.1μMドキソルビシンで2回処理することによっても老化に誘導することができ、7日後に分析した。このような細胞は、化学療法誘発老化の代表である。老化細胞は、インビトロ及び組織中でこれらの細胞を検出するための免疫組織化学的(IHC)バイオマーカーとしてアッセイすることができるβ−ガラクトシダーゼの上昇したレベルを発現する(Dimri et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1995;92,9363−9367)。老化細胞の他の検出可能なバイオマーカーには、p16ink4a、IL−1α(初期SASP因子)及びIL−6(後期SASP因子)が含まれる(Baar et al.Cell.2017;169,132−47)。
老化細胞に対するヒトNK細胞株(すなわち、NK−92)及び精製されたヒトNK細胞の細胞傷害活性をインビトロで評価する。簡潔に述べれば、5×105/ウェルで12ウェルプレート中に、成長している又はDIS IMR−90標的細胞(又は成長している若しくはDIS WI38、BJ若しくはHS細胞)を播種し、続いて、10×105NK−92又は精製されたNK細胞を各ウェルに添加する。2時間の共温置後に、非接着NK細胞を穏やかに洗浄し、製造業者の説明書にしたがってPresto Blue(Life Technologies、CA、USA)(又はPI若しくはクリスタルバイオレット染色)を用いて、残りの接着性標的細胞の定量に基づいて、細胞傷害性を測定する。公表された結果に基づいて(例えば、Sagiv,et al.Oncogene 2013;32,1971−1977参照)、E:T比率のある範囲で、DIS細胞は、NK細胞媒介性細胞傷害に対して、成長している細胞より感受性が高いと予想される。このモデルにおいて、免疫細胞活性に対するhIL7/IL21/TxM複合体の効果を評価するために、様々な濃度のhIL7/IL21/TxM複合体又はIL−7、IL−21及びALT−803単独若しくは組み合わせとともに、ヒトNK細胞株(すなわち、NK−92)及び精製されたヒトNK細胞を温置する。次いで、上記のように、様々なE:T比で、成長している又はDIS標的細胞とともに、活性化されたNK細胞を共温置し、DIS標的に対するNK媒介性細胞傷害性を決定する。hIL7/IL21/TxM複合体で活性化されたNK細胞は、処理されていないNK細胞対照より、DIS細胞に対してより強力な細胞傷害性を示すことが予測される。成長している及びDIS標的に対するhIL7/IL21/TxM処理されたNK細胞の選択性も評価する。これらの研究の結果は、hIL7/IL21/TxMが効果的な「老化細胞除去」因子(正常な細胞に対しては最小の有害性で、老化細胞のレベルを低下させることができる因子として定義される。)であることを実証すると予測される。さらに、養子移植された細胞を含むhIL7/IL21/TxM処理されたNK細胞は、老化細胞除去活性を示すと予測される。DIS標的細胞に対する免疫応答を刺激するhIL7/IL21/TxM複合体の能力を実証するために、T細胞を用いて類似の研究が実施される。
老化細胞及び年齢に関連する疾患に対するIL−7/IL−21/TxM複合体の効果は、動物モデルにおいて評価される。ドキソルビシン処理は、マウスにおいて老化を誘導し、低下した体重、肝臓中の老化細胞の増加したレベル、アスパラギン酸アミノ転移酵素(AST)の上昇した血漿レベルによって測定される減少した肝機能をもたらすことが以前に示されている(Baar et al.Cell.2017;169,132−47)。このモデルでのIL−7/IL−21/TxM複合体の効果を評価するために、10〜40週齢のC57BL6マウスを0日及び10日目に、10mg/kgドキソルビシンで腹腔内処置して、老化及び肝損傷を誘導する。処置されていないマウスは、対照としての役割を果たす。次いで、様々な用量のIL−7/IL−21/TxM複合体(マウス又はヒトバージョン)又はIL−7、IL−21若しくはALT−803単独若しくは組み合わせでマウスを処理する。PBSは、対照処置としての役割を果たす。24日目に開始し、静脈内又は皮下経路によって、週に1回又は2回、処置を与える。体重は、処置期間を通じて測定する。38日目に、動物を屠殺し、AST Activity Assay Kit(Sigma)を用いて、血漿ASTレベルを評価する。上に記載されたバイオマーカーを用いたIHCによって、組織学及び老化細胞の存在についても、肝臓切片を評価する。特異的な免疫細胞サブセット及び活性化/細胞傷害性マーカーを検出するために抗体を用いるフローサイトメトリーによって、並びに血清サイトカインレベルを検出するための方法によって、血液、脾臓及び肝臓において免疫細胞(すなわち、NK及びT細胞及びサブセット)に対する処置効果を評価する。処置によって刺激された免疫細胞(すなわち、血液又は脾臓から得られる)の老化細胞に対する機能的活性は、上記方法を用いて測定される。PBS対照群と比べて、IL−7/IL−21/TxM複合体の投与は、ドキソルビシン処置後にマウスで観察された体重減少を低下させると予測される。血漿ASTのレベル並びに肝臓中の老化細胞及び病変の発生も、IL−7/IL−21/TxM療法によって、ドキソルビシン処置されたマウスにおいて低下されると予測される。IL−7/IL−21/TxMによる免疫応答の対応する活性化は、免疫によって媒介される作用機序を裏付ける証拠を与えるであろう。IL−7/IL−21/TxMの処置効果と、IL−7、IL−21又はALT−803単独又は組み合わせとの比較は、IL−7/IL−21/TxM療法のより強力な抗老化活性を実証すると予測される。
直接的なIL−7/IL−21/TxM注射の評価に加えて、養子移植されたIL−7/IL−21/TxM刺激されたNK又はT細胞の抗老化活性が、ドキソルビシン処置されたC57BL6マウスモデルにおいて評価される。この研究では、上述のようにマウスをドキソルビシンで処置し、24日目に、IL−7/IL−21/TxM複合体(マウス又はヒトバージョン)又はIL−7、IL−21若しくはALT−803単独若しくは組み合わせで、エクスビボで処置されたNK又はT細胞をマウス中に養子移植する。養子移植された細胞にサイトカインサポートを与えるために、IL−7/IL−21/TxM又はサイトカインでのマウスのさらなる処置が、いくつかの群において実施され得る。免疫応答に対する処置効果、体重及びドキソルビシン誘発肝臓老化及び障害は、上述のように評価される。IL−7/IL−21/TxM刺激されたNK又はT細胞の養子移植は、ドキソルビシン誘発老化を有するマウスに対して多大な治療上の利益を与えると予測される。
IL−7/IL−21/TxM療法及びIL−7/IL−21/TxM刺激されたNK又はT細胞の養子細胞移植のさらなる研究が、自然に老化したマウスで実施されるであろう。IL−7/IL−21/TxM複合体又はIL−7、IL−21若しくはALT−803単独若しくは組み合わせが、最長4週間、上述のように、115〜130週齢(高齢)又は26週齢(若年)C57BL6マウスに投与されるであろう。または、養子移植されたIL−7/IL−21/TxM刺激されたNK又はT細胞の活性が、上述のように、高齢及び若年マウスで評価されるであろう。以前に記載されたように(Baar et al.Cell.2017;169,132−47)、処置期間を通じて、体重、毛皮の密度及び刺激へのマウスの応答性の変化が評価されるであろう。さらに、尿素及びクレアチニンの血漿レベルは、腎機能の加齢性低下の評価として、処置前及び後に収集された試料から、それぞれ、QuantiChrom Urea Assay Kit(Gentaur)及びCreatinine Assay Kit(Sigma)を用いて測定されるであろう。上記されたように、腎臓切片は老化細胞の存在に関しても評価されるであろう。PBS対照群と比べて、IL−7/IL−21/TxM複合体の投与は、毛皮密度の加齢性減少と高齢マウスの不活動を軽減することが予想される。血漿尿素及びクレアチニンのレベル並びに高齢マウスの腎臓中での老化細胞の発生も、IL−7/IL−21/TxM療法によって、低下されると予測される。養子移植されたIL−7/IL−21/TxM刺激されたNK又はT細胞を受けている高齢マウス中で、類似の治療上の利益が予想される。総合すると、これらの研究の結果は、IL−7/IL−21/TxM複合体での処理及びIL−7/IL−21/TxM刺激されたNK又はT細胞の養子細胞移植は、インビボでの老化細胞除去活性並びに低下された老化細胞及び年齢関連病変を呈することを示すことが予想される。
その他の実施形態
本発明をその詳細な説明とともに記載してきたが、上記説明は例示を意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。他の態様、利点及び改変が以下の特許請求の範囲内にある。
本明細書中に引用された特許及び科学文献は、当業者に利用可能である知識を確定する。本明細書中に引用された全ての米国特許及び公開された又は公開されていない米国特許出願は、参照により組み込まれる。本明細書において引用される全ての公開された外国の特許及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に引用された受入番号によって示されたGenbank及びNCBI提出は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で引用されている全ての他の公開された参考文献、文献、原稿及び科学文献は、参照により、本明細書に組み込まれる。
本発明は、本発明の好ましい実施形態を参照しながら具体的に示され、説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び細部の様々な変更が本発明になされ得ることが当業者によって理解されるであろう。