JP2020532988A - 植物材料を含有する蒸発デバイス - Google Patents

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Abstract

エアロゾルまたは蒸気の形態で送達可能な薬剤を使用者に送達するための吸入デバイスが提供される。このデバイスは、固体の多孔質担体材料、および担体材料中の空隙内に配置された植物材料(送達可能な薬剤を含む)を含む。このデバイスは、担体材料を加熱し、それによりタバコなどの植物材料を加熱して送達可能な薬剤を蒸発させるように動作可能である。使用者に送達され得る送達可能な薬剤には、ニコチンが含まれる。多孔質担体材料に好適な材料には、化学結合セラミック材料およびジオポリマー材料が含まれる。【選択図】図4

Description

本発明は、送達可能な薬剤、特にニコチンが、植物材料を含有する多孔質担体材料の使用によって、使用者にエアロゾルまたは蒸気の形態で送達されることを可能にする、新しい吸入デバイスに関する。該デバイスは、制御された量の送達可能な薬剤を、使用者に効果的に送達するのに有用であり得る。
本明細書で明らかに先に公表された文書のリストまたは議論は、その文書が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
活性剤は、使用中に活性剤を蒸発させて、それを吸入できる吸入デバイスの使用によって、受容者に送達され得る。そのようなシステムは、気化したニコチンを使用者に送達するためのe−シガレットの形態でますます使用されている。例えば、国際特許出願99/44448号、米国特許出願第2014/0202477号および同第2014/0014126号、ならびにCallahan−Lyon P.Tob Control;2014;23:ii36−ii40を参照されたい。
蒸発デバイスは、典型的には、液体を蒸発させるための加熱デバイスと一緒に、溶解または液体形態のニコチンを含有するチャンバを備える。発熱体であり得る加熱デバイスは、一般に、ニコチンの貯蔵器ではなく、ニコチンの一部を含有する蒸発担体を直接加熱できるように、吸入デバイス内に位置付けられる。蒸発担体は、部分的に貯蔵器中に沈んでおり、吸上げ(毛細管現象)により、貯蔵器から液体を発熱体に向けて引き込み、この時点で液体を吸入するために蒸発させる。
米国特許出願第2015/0209530号は、送達される物質(活性医薬成分またはニコチンのいずれか)が、担体材料上にコーティングされて、乾燥される前に、ペーストの形態で提供される吸入デバイスについて説明している。乾燥ペーストおよび担体材料は、次いで、活性医薬成分またはニコチンを蒸発させ、それを使用者が吸入できるように、デバイス内で加熱される。米国特許第4,303,083号は、液体形態の化合物を加熱することにより揮発性化合物を蒸発させるためのデバイスも開示している。
いわゆる電子シガレット(「e−シガレット」)デバイスを含む既知の吸入デバイスは、しばしば、デバイスが加熱乾燥されると(すなわち、揮発性薬剤がなくなった場合)、使用者に不快な味を提供することを含む、多くの問題を抱えている。さらに、その中で使用される液体に提供される添加剤の多くは、有害であり、健康上の問題を引き起こす可能性がある。例えば、プロピレングリコール、植物性グリセリン、およびポリエチレングリコールは、特定の条件下で、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドなどの化合物を生成することが知られており、そのような残留物は、加熱プロセスの結果として吸入される場合がある。投薬の制御も達成するのが困難であり、これは使用者への過剰または不正確な投薬につながる可能性がある。
大量の純粋または濃縮ニコチンの取り扱いは、特に最終使用者にとって、種々の実用的な困難をもたらす。液体の貯蔵器を含有する、または外部貯蔵器への接続を介して充填する必要があるe−シガレットを含むデバイスも、使用および/または充填中の液体内容物の漏れおよびこぼれに関する問題に悩まされる可能性がある。したがって、そのような困難が最小限に抑えられたデバイスを提供する必要がある。
セラミックは、特に体液の腐食作用に耐えるのに十分な耐久性および安定性であるという事実を考慮すると、医療の世界でますます有用になりつつある。
セラミックは、制御放出製剤中の充填剤または担体としての潜在的用途であることも知られている。例えば、EP947 489A、US5,318,779、WO2008/118096、LasserreおよびBajpai,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,15,1(1998),ByrneおよびDeasy,Journal of Microencapsulation,22,423(2005) ならびに LevisおよびDeasy,Int.J.Pharm.,253,145(2003)を参照されたい。
特に、Rimoliら,J.Biomed.Mater.Res.,87A,156(2008)、米国特許出願第2006/0165787号、国際特許出願第WO2006/096544号、WO2006/017336、およびWO2008/142572のすべてが、活性成分の制御放出のための様々なセラミック物質を開示している。
本発明の第1の態様によれば、固体の多孔質担体材料および送達可能な薬剤を含む植物材料を含み、植物材料が、担体材料の空隙内に配置される、送達可能な薬剤を使用者にエアロゾルまたは蒸気の形態で送達するためのデバイスが提供される。デバイスは、担体材料を加熱し、それによって送達可能な薬剤を蒸発させるのに動作可能であるように構成される。
そのような特徴を備えるデバイスは、以下ではまとめて「本発明のデバイス」と呼ばれる。それらは、「吸入デバイス」とも呼ばれ得る。
本発明者らは、有利には、本発明のデバイスが、制御可能な量の送達可能な薬剤を吸入によって対象が受容できるように、エアロゾル(すなわち、気体中の液滴もしくは液体または固体)あるいは蒸気(すなわち、気体)の形態で送達可能な薬剤(例えば、ニコチン、テトラヒドロカンナビノール、またはコカイン)の放出を提供することを見出した。送達可能な薬剤は、楽しい効果または治療効果を提供するために、個人に送達され得る物質(または物質の混合物)である。本発明の実施形態では、送達可能な薬剤は、典型的には、刺激剤(例えば、ニコチン)または鎮痛剤(例えば、テトラヒドロカンナビノールもしくはコカイン)である。さらに、植物材料は、タバコ、大麻植物製品、またはコカ植物製品などの1つ以上の送達可能な薬剤を含有するものである。
一旦固化すると、本発明のデバイスで使用される担体材料は、空隙を含有する。細かく分割された材料を形成するために粉砕、製粉、またはその他の方法で処理された植物材料は、担体材料の製造中にこれらの空隙内に配置され、空隙のサイズは、植物材料の粒子のサイズに比例する。植物材料の粒子およびそれらの粒子が配置されている空隙の平均サイズは、典型的には、10μm〜3000μmである。好ましくは、粒子および空隙の平均サイズは、少なくとも約50μm、例えば少なくとも約100μmである。
担体材料中の空隙のサイズ、および該空隙の総体積は、担体材料が、周囲条件下で植物材料の送達可能な薬剤または他の揮発性成分の損失を最小限に抑えて、送達可能な薬剤を含有する十分な量の植物材料を長期間効果的に貯蔵できるように選択する必要がある。これは、典型的には、空隙の総体積が固化担体材料の総体積の約10%〜約60%である担体材料を使用して達成することができる。この場合、「固化担体材料の総体積」は、その中に含有されるすべての細孔および空隙を含む担体材料の体積である。
平均空隙サイズは、当業者に知られている方法、例えば、光学顕微鏡法、走査電子顕微鏡法、水銀侵入法、BET(ブルナウアー、エメット、およびテラー)法、ならびにN吸着法によって測定され得る。
したがって、前述のように、空隙の平均サイズ(例えば、平均内部寸法)は、典型的には、10μm〜3000μmである。本発明のデバイスで使用される植物材料は、平均粒子サイズが約10μm〜約3000μmの範囲である細かく分割された形態で提供される。植物材料の粒子は、固化担体材料構造を形成する処理中に、担体材料中の空隙内に配置される。植物材料の粒子を囲む各空隙内に空気が存在し得る。しかしながら、植物材料は、固化担体材料の空隙内の液体、ゲル、またはペーストに囲まれるように、担体材料に代替的に組み込まれてもよい。該液体、ゲル、またはペーストは、それ自体が1つ以上の第2の送達可能な薬剤(デバイスの使用時に使用者に送達される)または本明細書の他の場所で言及される1つ以上の追加物質(例えば、蒸発促進剤、香味剤、味覚増強剤など)を含有し得る。例えば、特に植物材料がタバコである場合、該液体、ゲル、またはペーストは、ニコチンを含有し得る。
本発明のデバイスに使用される担体材料は、細孔も含有し得る。本発明の文脈において、これらの細孔は、上記で言及した空隙とは異なり、典型的には、はるかに小さい。例えば、平均細孔径は、0.5nmと低くてもよい。
担体材料内の奥深く、すなわち、担体材料ブロックの外面から離れて配置された空隙は、該細孔によって外面と気体接続していてもよい。内部空隙を外面に連結する細孔の存在により、それらの内部空隙内に含有される送達可能な薬剤を外面に輸送し、その後使用者が吸入することが可能になる。多孔質ネットワークの存在により、担体材料ブロックがフィルタとしても作用可能であり、その結果、デバイスの使用者が、使用中に大量の粒子状植物材料を吸入しない。多孔度は、担体材料が、その内部に含有される送達可能な薬剤を適度に短い時間枠で放出できると同時に、依然としてフィルタとしても有効であるために、十分に高くなければならない。この目的のためには、担体材料中の(体積で)少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%の多孔度で十分であると考えられる。本明細書で使用される「多孔度」という用語は、担体材料ブロックの総体積(すなわち、細孔および空隙と一緒に固化担体材料自体)に対する担体材料中のオープンスペース(細孔および空隙を含む)の総体積の比を指す。多孔度はまた、担体材料が脆弱になりすぎないことを保証するのに十分低くなければならない。特定の実施形態では、担体材料は、約10%〜約80%、例えば約20%〜約70%(より好ましくは約30%〜約50%)の多孔度を有する。より強い材料は、高い多孔度を有するのに適し得る。担体材料が、セラミック材料またはジオポリマー材料に基づく実施形態では、多孔度は、約20%〜約70%、好ましくは約30%〜約60%、より好ましくは約30%〜約50%であり得る。担体材料の多孔度の制御は、これにより使用者への送達可能な薬剤の制御された送達が達成され得ることを保証するため重要である。
担体材料中の細孔径の制御はまた、本発明のデバイスの制御放出特性を改善するために望ましい。担体材料の細孔径(例えば、平均内部寸法)は、担体材料があまりに弱くなることを避けるために十分小さく、細孔が担体材料の内部領域に配置される植物材料からの送達可能な薬剤の移動を可能にできることを保証するのに十分な大きさでなければならない。本発明の一実施形態では、平均細孔径は、約10μm以下であり、好ましくは約5μm未満である。平均細孔径は、(the Science of Concrete(http://iti.northwestern.edu/cement/monograph/Monograph7_2.html)で説明したように、いわゆる「微細孔」については)0.5nmと低くてもよい。より小さな寸法のオープン領域は、一般に層間空間として分類される。固化セメントのための典型的な細孔径分布は、広い範囲を包含し、直径0.5nm(できれば、それより小さい)〜約10μm程度と小さく延在する。10nm〜10μmの範囲の大きな細孔は、セメント粒間の残留未充填空間であり、毛細管細孔とも定義され得る。最も細かい(finest)細孔範囲は、約0.5nm〜10nmである。これらは、しばしば、それらが(例えば)ケイ酸カルシウム水和物ゲル相の内部多孔質を構成するため、ゲル細孔と呼ばれる。一実施形態では、最小平均細孔径は、約0.5nmであってもよいが、約10nmであってもよく、好ましくは約0.1μmである。しかしながら、いくつかの実施形態では、最小細孔径は、約0.25μmなどの約0.2μmであり得る。したがって、好ましい実施形態では、固体の多孔質材料の平均細孔径は、約0.1μm〜約10μm、より好ましくは約0.2μm〜約5μmである。平均細孔径は、当業者に知られている方法、例えば、光学顕微鏡法、走査電子顕微鏡法、水銀侵入法、BET(ブルナウアー、エメット、およびテラー)法、ならびにN吸着法によって測定され得る。
多孔質構造全体に空気を運ぶことができる担体材料は必要ない。好ましい実施形態では、担体材料の多孔度および/または担体材料の平均細孔径は、使用者が吸入中に担体材料の細孔を通してかなりの量の空気を引き込むことができないようなものである。
同様に、特定の実施形態では、細孔径は、担体材料の細孔内の空気流が大幅に低減されるようなものであり得る。担体材料およびその内容物を加熱し、次いで担体材料の内部領域から周囲の空気に送達可能な薬剤を拡散させることにより、担体材料内の植物材料から送達可能な薬剤が放出される。植物材料中に存在するか、さもなければ担体材料に組み込まれる他の揮発性物質は、同時に蒸発され得るため、それらは担体材料の内部領域から周囲の空気に拡散することもできる。担体材料の外面にわたって空気が引き込まれ、気化した送達可能な薬剤(および存在する他の気化可能な物質)と混合し、使用者に運ばれる。この文脈での「外面」という用語の使用は、固体材料、例えば、担体材料のペレット、ブロック、またはディスクの外面の最表面を指す。そのような輸送機構は、約10μm以下(例えば、約5μm以下)などの小さな平均細孔径を有する担体材料にとって、特に重要である。
好ましい実施形態では、担体材料は、約10%〜約80%(例えば、約20%〜約70%)の多孔度を有し、担体材料の平均空隙サイズは、約10〜3000μmであり、担体材料の平均細孔径は、約0.1μm〜約10μmである。さらに好ましい実施形態では、担体材料は、約20%〜約70%の多孔度を有し、担体材料の平均空隙サイズは、約50μm〜3000μmであり、担体材料の平均細孔径は、約0.2μm〜約10μmである。
さらに好ましい実施形態では、担体材料は、高い機械的強度(例えば、圧縮強度)を有する。この点に関して、「高い機械的強度」の材料には、約1kg−力(force)/cm(0.098MPa)、例えば約5kg−力/cm(0.49MPa)、例えば約7.5kg−力/cm、例えば約10.0kg−力/cm、好ましくは約15kg−力/cm、より好ましくは約20kg−力/cm、例えば約50kg−力/cm、特に約100kg−力/cm、またはさらには約125kg−力/cm(12.25MPa)の力が、(例えば、インストロン(「インストロン試験」では、試験片が圧縮され、様々な荷重での変形が記録され、圧縮応力およびひずみは、弾性限界、比例限界、降伏点、降伏強度、および(一部の材料の場合)圧縮強度を決定するために使用される応力−ひずみ図として計算され、プロットされる)が生成したものなどの好適な機器を用いるいわゆる「圧縮試験」または「直径圧縮試験」を使用して)当業者に知られている通常の機械的強度試験法を使用して加えられる場合、その担体材料の細孔ネットワークの構造が、その全体的な完全性(例えば、形状、サイズ、多孔度)を維持することも含まれる。機械的強度はまた、典型的には、約2040kg−力/cm(200MPa)以下であり、これは、機械的強度が非常に高い材料が、十分な量の送達可能な薬剤をその中に組み込むことを可能にするのに不十分な多孔度を有している場合があるためである。したがって、実施形態では、機械的強度は、約200MPa未満、好ましくは約100MPa未満である。
特に好ましい担体材料は、空隙(および存在する場合は細孔)のサイズおよび相互接続性が、担体材料の空隙を通る有意量の空気の透過が使用者による吸入によって達成できないようなものである。これにより、健康な成人が、約20秒の期間に担体材料を通して、平均的な人の吸気能力(例えば、約3リットル)にほぼ相当する量を吸入できないことを意味する。そのような担体材料は、典型的には、50%以下の多孔度、および/または(平均空隙サイズに関係なく)約10μmを超えない平均細孔径を有するが、そのような材料は、平均細孔径が小さければ、より高い多孔度を有することができ、逆もまた同様である。したがって、特定の実施形態では、担体材料は、最大50%(例えば、約10%〜約50%)の多孔度、および最大約10μm(例えば、約0.1μm〜約10μm)の平均細孔径を有する。いずれの場合も、空隙が植物材料を含有するために、平均空隙サイズは、典型的には、約10μm〜3000μmである。本明細書に記載の実施形態のすべてにおいて、空隙および細孔は、好ましくは相互に連結されて、送達可能な薬剤(および存在する他の気化可能な物質)が担体材料の内側領域(すなわち、担体材料の外面から遠位に配置された領域)から放出されることを可能にする。しかしながら、担体材料は、少なくとも外部領域で十分な量の空隙を有する必要があり、これにより、十分な量の植物材料(例えば、喫煙者が1本のシガレットから受容するのと同等の量のニコチンを提供するのに十分な量の植物材料)を使用前にそれらの空隙に含有することが可能になる。
本発明の一実施形態では、送達可能な薬剤を含有する植物材料は、主に担体材料の空隙内に配置される。「主に担体材料の空隙内」という語句の使用によって、デバイス中の少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%)の植物材料が、使用前の材料担体中の空隙内に配置されることが意図される。好ましい実施形態では、デバイス中の実質的にすべての植物材料が、担体材料中の空隙内に配置される。植物材料を、主にまたは本質的に完全に、担体材料の空隙内に配置することにより、使用中に気化されて使用者に送達される送達可能な薬剤の量をさらに制御できる。本明細書の他の場所に記載されているように、好ましい実施形態は、追加量の送達可能な薬剤を含むものである(すなわち、担体材料の空隙中の植物材料内に含有されるいずれかに加えて)。特定の実施形態では、デバイスは、担体材料とは別個の送達可能な薬剤の貯蔵器を備えていない。すなわち、本質的にすべての送達可能な薬剤は、担体材料に関連して配置され、または好ましくは本質的にすべての送達可能な薬剤は、(その送達可能な薬剤が、植物材料の構成成分であるかどうかにかかわらず)担体材料の細孔および空隙内に配置される。
また、本発明のデバイスで使用される担体材料が、デバイスが送達可能な薬剤の追加の貯蔵器を含有する必要がないように、使用中に十分な量の植物材料を貯蔵および放出できることが好ましい。すなわち、好ましい実施形態では、デバイスは、細孔内に配置されるか、または使用前の担体材料の空隙内に配置される植物材料に関連するもの以外の送達可能な薬剤の貯蔵部を含有しない。
多孔質担体材料は、典型的には、開気孔および閉気孔の両方を含有する。「開気孔」という用語は、それらの細孔が空の場合、環境中の気体がそれらの細孔を出入りできるように、外部環境に対して開いている細孔(例えば、材料内の空隙)を指す。そのような細孔は、一般に、個々の担体材料粒子の表面に、または表面の近くに配置される。「閉気孔」という用語は、外面から離れた担体材料の粒子内に配置され、外部環境と自由に交換できない材料(例えば、気体)を含有し得る細孔を指す。
デバイスが追加量の送達可能な薬剤を含有する(すなわち、植物材料内に含有される薬剤に加えて)実施形態では、好ましくは、多孔質担体材料の開気孔の空洞体積の少なくとも約70%が、送達可能な薬剤(または送達可能な薬剤を含有する混合物)で充填される。さらなるそのような実施形態では、多孔質担体材料の開気孔の体積の少なくとも約90%(例えば、少なくとも約95%)が、送達可能な薬剤(または送達可能な薬剤を含有する混合物)で充填される。
本明細書で使用する場合、「植物材料」という用語は、植物から得られ得る任意の材料を指す。この文脈において、「植物」という用語は、木、低木、ハーブ、草、シダ、およびコケなどの生物を含み、該生物の一部を指す場合もある。植物材料には、典型的には、1つ以上の植物源から得られる細胞物質が含まれる。植物材料が複数の植物源から得られる場合、該材料は単一の植物種または複数の植物種から得られ得る。例えば、デバイス(または以下で説明するような交換可能なカートリッジ)は、複数のタイプのタバコを含有し得る。植物材料を本発明のデバイスに組み込むことにより、デバイスの使用者が、同じ植物材料が、例えばシガレットの形態で、従来のように喫煙される場合に経験されるものと同様の味と匂いとの組み合わせを経験することができる。これらの味および匂いを引き起こす物質は、加熱前の植物材料に含有される。
植物材料が、本明細書に記載の担体材料に容易に組み込むことができることが見出された。植物材料を処理するための本明細書に記載の方法は、例えば植物材料が製粉、粉砕、もしくは細断された植物の葉または茎を含有する場合、デバイスが植物からの細胞全体、および潜在的に植物組織のより大きなセグメントも含有することを可能にする。そのようなプロセスでは、植物材料の微視的構造は、細胞レベルでほぼ無傷のままであり、かなりの割合の細胞が完全なままである。
代替的に、または追加的に、植物材料は、かなりの割合の植物細胞がもはや無傷のままでないように処理されてもよい。したがって、デバイス中に存在する植物材料は、植物細胞壁の一部(植物セルロース)、細胞質、葉緑体などの植物細胞断片を含んでもよい。該植物細胞断片は、加熱すると、元の植物材料が従来の方法で喫煙される場合に経験されるものと同様の味と匂いとの組み合わせを使用者に経験させる上記のそれらの物質を含有する。したがって、一実施形態では、デバイスで使用される植物材料は、植物細胞断片および/または植物細胞を含む。
本発明のデバイスは、原則として、任意の植物材料で使用され得る。一実施形態では、植物材料は、コカ植物、タバコ植物、または大麻植物から得られる。該植物材料は、粉砕、製粉、細断、またはその他の方法で処理できるように処理可能でなければならないため、材料は、本明細書に記載の担体材料に組み込むことができる小片(例えば、フレーク、破片、かけら、または粒子)に分割される。本発明のデバイスでの使用に最も適した植物材料は、加熱または燃焼すると、吸入して所望の治療効果(鎮痛効果など)または所望の非治療効果(例えば、心地よい味もしくは匂いを生成する、または刺激効果を生成する)を生成できる1つ以上の物質を発するまたは放出する材料である。
心地よい味または匂いを生成するのに好適な植物材料には、タバコ植物、例えばナス科(ナイトシェード)の植物、より具体的にはニコチアナ属から得られる製品が含まれる。シガレットで従来使用され、本発明のデバイスで使用され得るタバコは、典型的には、タバコ植物の葉、特にタバコの葉の薄層およびタバコの葉の茎に由来する。これらの植物製品は、通常、タバコ、葉巻、パイプタバコなどに組み込まれる前に、(例えば、空気中で)硬化される。該植物材料は、材料の粒子状形態を生成するために、細分化、細粉化、または摩砕プロセス(例えば、製粉、粉砕、もしくは細断)により処理される。該処理方法はまた、本発明のデバイスで使用するために、他の植物源から(例えば、大麻植物製品から)粒子状植物材料を調製するために使用され得る。本発明のデバイスで使用されるタバコ材料は、代替的または追加的に、例えばタバコの処理、取り扱い、および出荷中に形成されるタバコダスト、タバコ微粉、および他の粒子状タバコ副産物のうちの1つ以上を含み得る。
タバコは、アルカロイドニコチンを含有するため、本発明のデバイスで使用されると刺激効果を提供することができる。
タバコの葉を使用すると、使用者により本物の経験を提供し、すなわち、使用者は、従来のシガレットを喫煙するときに経験するものとより一貫した風味および香りを経験する。従来のシガレットではなくタバコの葉を含有する本発明のデバイスの使用は、(タバコの葉が燃える)従来のシガレットとは対照的に、本発明のデバイスでは、タバコ製品がより低い温度に加熱されるため、使用者にとって有益であり、そのため、使用者は、従来のシガレットの同じ大量の煙および他の望ましくない副産物に曝露されない。シガレットの煙の中の有害および潜在的に有害な構成成分のほとんどが、タバコが燃えたときの熱分解によって形成されることが見出された。したがって、タバコが加熱されて燃やされないデバイスを使用すると、使用者にとって許容できる感覚的経験を維持しながら、タバコ製品によって発生する構成成分の数およびレベルの両方を大幅に削減する可能性を提供する。さらに、製品はより安定し、かつ/または使用前にニコチンおよび他の揮発性成分が失われにくくなり得る。
タバコ(および任意で追加量のニコチン)を含有する吸入デバイスは、個人が喫煙を減らしたり、または完全に停止したりするのを支援する目的で、ニコチン依存症(例えば、ニコチン中毒)の治療に使用され得る。デバイスの使用を監視し、場合によっては使用者による使用を制限することができる装置を含有する吸入デバイスも、ニコチン依存症の治療に使用するのに特に有利になり得る。そのようなデバイスは、使用者がそれらの使用パターンを記録するのを支援し得、それにより経時的にその使用をより正確に制御する。
治療効果(鎮痛効果など)の生成に好適な植物材料には、大麻植物(カンナ科の植物など)およびコカ植物(エリトロキシル科の植物など)から得られる製品が含まれる。大麻は、他の医薬用途があることが知られている。例えば、大麻は化学療法中の吐き気および嘔吐を減らし、HIV/AIDS患者の食欲を改善し、かつ慢性の痛みおよび筋肉のけいれんを治療するために使用される。それはまた、鎮静特性も有する。カンナビノイドは、脳卒中患者の治療および子供のてんかんの治療に使用するためにも調査されている。本発明のデバイスで使用され得るカンナビス植物材料は、医療大麻として知られている材料を含む。これは、大麻葉、樹脂、花、または花芽から得られる。医療大麻は、吐き気および嘔吐、HIV/AIDS、痛み、神経学的問題、ならびに心的外傷後ストレス障害などの状態の治療に有用である。大麻植物に見られる最も精神活性の高いカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(または、THCとして一般に知られているデルタ−9−テトラヒドロカンナビノール)である。他のカンナビノイドには、デルタ−8−テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビシクロ(CBL)、カンナビクロメン(CBC)、およびカンナビゲロール(CBG)が含まれ、それらは、THCよりも向精神効果が少ないが、大麻の全体的な効果に役割を果たすと言われている。タバコに関連して上述されたように、該大麻植物材料は、材料の粒子状形態を生成するために、粉砕(comminution)、細粉化(pulverization)、または摩砕プロセス(trituration process)(例えば、製粉、粉砕、もしくは細断)により処理される。それは、担体材料に組み込まれる前に、植物材料を細分化するプロセスが、使用中に十分迅速に植物材料内に含有される送達可能な薬剤の揮発が起こることを保証するために役立つ。
コカ植物(特にそのような植物の葉)は、鎮痛効果および麻酔効果があることが知られているコカインアルカロイドを含有するため有用である。コカインは、強力な神経系刺激薬でもある。コカ植物の新鮮な葉は、典型的には、約0.3〜約1.5重量%のコカインを含有する。存在し得る他のアルカロイドには、ケイ皮酸メチルエクゴニン、ベンゾイルエクゴニン、トルキシリン、ヒドロキシトロパカイン、トロパコカイン、エクゴニン、クスコヒグリン、ジヒドロクスコヒグリン、ニコチン、およびヒグリンが含まれる。コカ植物から得られた植物材料が、特に噛んだときに軽度の刺激剤として作用でき、空腹感、渇き、疲労、および痛みを抑えることができることも知られている(例えば、頭痛、リウマチ、傷、およびただれと関連付けられる痛みを軽減するために使用され得る)。また、高山病の軽減に有用であることも知られている。植物材料がコカ植物材料を含有する本発明のデバイスも同様に有用であり得る。タバコに関連して上述されたように、該コカ植物材料は、材料の粒子状形態を生成するために、粉砕、細粉化、または摩砕プロセス(例えば、製粉、粉砕、または細断)により処理される。それは担体材料に組み込まれる前に、植物材料を細分化するプロセスは、使用中に十分迅速に植物材料内に含有される送達可能な薬剤(例えば、コカインアルカロイド)の揮発が、起こることを保証するために役立つ。
デバイスに提供される植物材料の量は、使用者に送達されることが意図されている送達可能な薬剤の量に依存する。担体材料中に存在する植物材料の量は、担体材料がデバイス中で加熱されたときに、その巨視的構造を維持できる固体の固化した塊として存在するのを防ぐほど多くすべきではない。好ましくは、デバイスは、固体の多孔質担体材料の重量に対して、約0.5重量%〜約70重量%、例えば約1重量%〜約50重量%の植物材料を含有する。より好ましくは、デバイスは、固体の多孔質担体材料の重量に対して、約2重量%〜約30重量%の植物材料を含有し得る。
本発明のデバイスは、担体材料を加熱し、それにより送達可能な薬剤を蒸発させるのに動作可能であるように構成される。本明細書に記載の担体材料、植物材料、および送達可能な薬剤は、エアロゾルまたは蒸気(すなわち、気体)の形態で、1つ以上の物質を使用者に送達するように構成された任意の従来の吸入デバイスで使用され得る。そのようなデバイスは、当業者に知られており、例えば、US2014/0014126に記載されている「e−Cigs」として知られている電子シガレット、および例えばUS4,303,083に記載されている他の吸入デバイスを含む。
吸入デバイスはまた、本明細書に記載の担体材料および送達可能な薬剤のみで使用できるように構築され得る。これは、例えば、交換可能なカートリッジ(本明細書の他の場所で説明されているものなど)が、デバイスによって担体材料を加熱するために特定の3次元形状を必要とすることを保証することによる、または誘導加熱目的のために担体材料内に導電材料(例えば、鉄粒子)を組み込むことによるいくつかの方法で達成され得る。追加の方法は、当業者に知られている。次いで、そのようなデバイスは、使用者が他のデバイスでこれらの担体材料を使用するのが非常に難しく、そうすることで、吸入される送達可能な薬剤の量に対するある程度の制御を失うため、特に有用である。
本発明の一実施形態では、吸入される物質(すなわち、送達可能な薬剤)を含有する担体材料は、デバイスの外面に配置される開口部(例えば、マウスピース)と気体接続してデバイス内に配置される。使用時、担体材料内の送達可能な薬剤は、気化され、その後、蒸気は開口部に流れ、使用者によって(例えばマウスピースを介して)受容される。
デバイス内の蒸気の移動は、典型的には、使用者がマウスピースを吸入することにより達成され、それにより吸入デバイスから気体が引き出される。デバイスはまた、植物材料を含有する担体材料および前述の第1の開口部(例えばマウスピース)の両方と気体接続する第2の開口部を含有し得る。この構成により、使用者は吸入デバイスの内部領域を通して空気を引き込むことができ、それにより、デバイス内でのそれらの蒸気の発生に続いて気化した物質の使用者への送達が促進される。
本発明のデバイスでは、吸入される物質(すなわち、送達可能な薬剤)は、典型的には、周囲条件下で、固体、液体、または気体である。純粋なニコチンは、典型的には、周囲条件下で液体である。吸入デバイスは、吸入される物質の供給源として(例えば、固体もしくは液体の形態で、または溶解もしくは懸濁気体として)作用する植物材料を、該物質を揮発させ得る手段とともに含有する。好適な手段には、植物材料中に存在する送達可能な薬剤を蒸発させるために、熱エネルギーを担体材料に直接送達することができる任意の熱源が含まれる。それにより、送達可能な薬剤は、エアロゾルまたは気体(すなわち蒸気)の形態で放出される。次いで、蒸発した材料は、典型的には、該蒸気を吸入する使用者によって、使用者に送達される。担体材料を加熱するために使用され得る好適な加熱装置は、当業者に知られている。
一実施形態では、担体材料は、火炎によって直接加熱され得る。そのような実施形態では、デバイスは、担体材料を加熱するために点火することができる可燃性ガスの供給を含有する。
好ましい実施形態では、デバイスは、担体材料を加熱し、それにより担体材料の空隙中の植物材料内に配置される送達可能な薬剤の少なくとも一部を蒸発させるように動作可能な発熱体(例えば、電気発熱体)を備える。例えば、発熱体は、電流が流れると有効量の熱を放出する抵抗ヒータ(例えば、導線または加熱プレートの形態)であり得る。加熱は、誘導加熱によっても生じ得る。これは、次に、電磁石を使用した誘導によって加熱され得る発熱体(例えば、金属物体または他の導電性構造)に近接して担体材料を配置することにより達成され得る。
さらなる実施形態では、発熱体は、担体材料に近接して(すなわち、担体材料に近接して、または好ましくは直接隣接して)配置される。これにより、発熱体が担体材料に十分近くに位置付けされ、発熱体が担体材料を直接加熱し、送達可能な薬剤を蒸発させることができることを意味する。発熱体は、担体材料と直接接触していてもよく、さらに担体材料に緊密に(intimately)混合されていてもよい。そのような発熱体の例は、発熱体が加熱コイルであるものである。該コイルは、担体材料のブロックもしくはペレットの外壁に巻き付けられてもよく、または担体材料塊内に埋め込まれてもよい。埋め込みは、典型的には、本明細書の他の場所で説明されるように、その混合物の硬化または固化の前に、担体材料前駆体物質の混合物に発熱体を組み込むことによって達成される。本発明のデバイスで使用される担体材料は、劣化することなく、かつ使用者に不快な味を生じさせることなく、直接(すなわち、発熱体から生じる高温ガスの流れを介してではなく)加熱することができる。別の実施形態では、発熱体は、担体材料に混合されないが、担体材料に隣接して、または担体材料から遠位に配置される。そのような実施形態では、発熱体を使用して空気を加熱し、次いで、担体材料の空隙中の植物材料中に含まれる送達可能な薬剤の少なくとも一部を蒸発させるために、送達可能な薬剤を含有する担体材料の上および/または中を流れるようにすることができる。
誘導加熱が担体材料および送達可能な薬剤を加熱するために使用されるシステムは、典型的には、担体材料および送達可能な薬剤と密接に関連して発熱体として存在する金属物体または他の導電構造を必要とする。加熱プロセスを支援するために、好適な導電材料(例えば、鉄または銅)の離散粒子(例えば、球体または顆粒)を担体材料全体に分散させ得る。そのようなシステムの使用により、デバイスは担体材料の体積全体を非常に迅速かつ均等に加熱し、それにより放出される送達可能な薬剤の量がよりよく制御され、より予測可能になることが保証される。好適な導電材料は、他の好適な形状および幾何学的形状で提供されてもよく、例えば、それは、一連のロッド、ディスク、もしくはプレートとして、または担体材料および植物材料が内部に配置され得るメッシュまたは3次元ネットワークとして提供されてもよい。導電材料が担体全体に分散している場合(例えば、小さな粒子、ロッド、またはメッシュ)、そのとき典型的には、存在する導電材料の量は、担体材料を迅速かつ完全に加熱できるようにするのに十分な量である必要があり、その量は、セラミック担体およびその内容物の有効性を妨げるのを避けるのに十分低い必要がある。典型的には、担体材料中に存在する導電材料(すなわち、発熱体)の量は、固化セメントの機械的特性を大幅に低下させることなく、導電材料および担体材料の総重量に対して40重量%まで高くてもよい。好ましくは、担体材料中に存在する導電材料の量は、導電材料および担体材料の総重量に対して20重量%以下である。担体材料が少数(例えば、5未満、好ましくは1)のより大きな導電質量のみと接触して形成される場合、そのとき発熱体として存在する導電材料の相対量は、はるかに高く、導電材料および担体材料の総重量に対して、潜在的に最大70重量%(例えば、最大50%)であり得る。これに関して、本明細書の他の場所で説明されているように、3D印刷または発泡金属形成を含む、当業者に知られている任意の従来の方法によって3次元ネットワークを得てもよい。
導電材料はまた、鉄などの強磁性(またはフェリ磁性)材料を含むか、またはそれからなってもよい。そのような磁性材料の存在は、磁性材料内の磁気ヒステリシス損失によって追加の熱が発生するため、誘導加熱を使用して達成される加熱効果をさらに高めることができる。典型的には、誘導加熱は、従来のe−シガレットに見られる抵抗ヒータと比較して、担体材料をより速く加熱することができる。
誘導加熱を目的としないシステムでも、導電材料(例えば、粒子の形態)を担体材料と混合してもよい。担体材料を加熱する方法に関係なく、導電材料は、担体材料全体の熱伝導の速度および均一性を高め、それによって送達可能な薬剤の蒸発の速度および予測可能性を改善するのに役立つ。
担体材料は、吸入デバイス内に配置された外側ケーシング内に収容されてもよい。例えば、担体材料は、デバイスが使用されていないときに担体材料および送達可能な薬剤を貯蔵できる熱導電材料(例えば、アルミニウムまたはスチールなどの金属)から形成されるケーシング内に収容されてもよい。そのような実施形態では、発熱体は、ケーシングの外面と直接熱接触していてもよい。
あるいは、ケーシングは、例えば以下で定義されるように、セラミックまたはジオポリマー材料であってもよい。好ましくは、ケーシングは、その細孔または空隙内にいかなる植物材料も含有しないセラミック材料(本明細書に記載のセラミック担体と同じかまたは異なる)である。そのようなセラミックケーシングは、担体材料およびその内部に含有される送達可能な薬剤に断熱を提供する。セラミックケーシングは、誘導加熱を使用して担体材料が加熱される本発明のデバイスにおいて、特に有用である。これらのシステムでは、ケーシングは、発熱体(例えば、導電材料の粒子)を含有する担体材料の貯蔵部として作用し得、それを交流磁場源(例えば、伝導コイル)および高温に敏感になり得る吸入デバイスの他の成分から分離する。
さらなる実施形態では、発熱体の一部は、担体材料の内部に配置されてもよい。例えば、発熱体の一部またはすべては、担体材料によって少なくとも部分的に囲まれてもよい。そのようなデバイスでは、担体材料は、発熱体の形状と相補的に形作られ、すなわち、発熱体と担体材料との間の密接な関連を促進するために、担体材料の形状は発熱体の形状に適合する。これにより、発熱体と担体材料との間に比較的高い関連領域が保証される。このようにデバイスを構築することにより、発熱体から担体材料へのより迅速かつ効率的な熱伝達が可能になり、送達可能な薬剤の放出の制御をさらに支援する。「放出の制御」は、使用中のデバイスからの送達可能な薬剤の総量および/または放出速度の制御を指し得る。
担体材料は、担体材料が発熱体の形状と相補的に形作られることを保証するために、インサイチュ、すなわち、発熱体の存在下で製造され得る。この方法での担体材料の形成は、担体材料がペーストから形成される場合に達成され得る。該ペーストは、発熱体(例えば、コイル、グリッド、または直線ワイヤに形作られ得る)に塗布され、その後固化させる。あるいは、担体材料は、特定の発熱体設計に適合するように事前に形成された固体として提供されてもよい。例えば、担体材料は、吸入デバイスが組み立てられたときに発熱体が中に配置され得る1つ以上の空洞(例えば、円筒形の穴)を任意に含有する材料のブロックとして提供され得る。あるいは、担体材料は、後日吸入デバイスに組み込むことができるように、型に適用され、固化され、次いで型から取り外されるペーストから形成され得る。型は、担体材料が特定の発熱体の設計を補完する形態(すなわち形状)で固化するように形作られる。担体材料が交換可能なカートリッジの成分として提供される実施形態(後述)では、標準化された形状を有する担体材料の事前に形成された単位が、それらのカートリッジで使用され得る。化学結合セラミックおよびジオポリマーなどの比較的低い温度(例えば400℃未満)で形成され得る担体材料は、未固化の担体材料混合物の成形可能な特性により、事前に形成された単位の製造に特に適している。
化学結合セラミックおよびジオポリマーなどの比較的低い温度(例えば、400℃未満)で形成され得る担体材料は、特に、誘導加熱システムでの使用に適している。導電材料(離散粒子または任意の他の構造であるかにかかわらず)は、担体材料が固化または硬化する前に導電材料を導入することにより、担体材料と植物材料との混合物全体に散在させ得る。担体材料(またはその前駆体)、植物材料、および導電材料を含む複合混合物は、典型的には、導電材料が添加された後に、任意の所望の形状に成形できるペーストである。次いで、複合材料は、導電材料を溶融する可能性のある高温を使用せずに固化できる。逆に、従来の焼結プロセスは、1000°Cを超え、多くの金属が溶融し植物材料が劣化する温度を伴うことができる。
あるいは、導電材料は、3D印刷を含む方法によって得られる金属の3Dネットワークであってもよい。担体材料(またはその前駆体)、植物材料、および導電材料を含む複合混合物は、最初に金属の3Dネットワークを調製し、次いでセラミック担体前駆体および植物材料の両方を含有する成形可能なセラミック担体前駆体ペーストを組み込むことによって得ることができる。
誤解を避けるために、デバイスは、1つ以上の追加の化学物質と一緒に植物材料を含んでもよく、両方とも送達可能な薬剤の供給源として作用する(それらは、同じであってもまたは異なっていてもよい)。該追加の化学物質は、加熱された植物材料の蒸気から得られるものと同様の所望の治療効果または非治療効果を生成することを目的とし得る。該追加の化学物質は、「第2の送達可能な薬剤」と本明細書で呼ばれ、植物材料に関連付けられていない形態で提供される。すなわち、第2の送達可能な薬剤は、植物細胞物質内に含有されず、または植物細胞物質に関連しない。第2の送達可能な薬剤は、典型的には、植物材料(植物材料は、デバイスに使用される植物材料と同じでも異なっていてもよい)から抽出され得る物質である。例えば、本発明のデバイスは、処理されたタバコの葉などのタバコ植物材料を追加量のニコチンと一緒に両方を含有してもよく、ニコチンは、植物細胞または植物細胞材料を含有しない形態で提供される。したがって、一実施形態では、デバイスは、植物材料に関連付けられていないある量のニコチンを含む。ニコチンの場合には、それは、ニコチン酒石酸水素塩などの塩の形態で提供されてもよい。したがって、特に断りのない限り、本明細書における「ニコチン」への言及は、薬学的に許容されるニコチンの塩への言及を含む。
誤解を避けるために、該第2の送達可能な薬剤のうちの1つ以上が植物材料の成分である場合(ニコチンの場合)、「追加の化学物質」および「第2の送達可能な薬剤」への言及は、該物質の第2の供給を含み、ここで、該第2の供給は、植物材料を含有しない。
植物材料が、ニコチンの唯一の供給源であるもの、ならびに植物材料(例えば、タバコ)および植物材料に関連しないある量のニコチンの両方を含有するものを含む、ニコチンを含有する本発明のデバイスにおいて、デバイスが約8mg〜約20mgのニコチンなどの1本のシガレットと少なくとも同等の量のニコチンを含有することが好ましい。
前述したように、本発明のデバイスで使用される担体材料は、細孔を含有し得る。本発明のデバイスが、第2の送達可能な薬剤を含有する場合、第2の送達可能な薬剤は、好ましくは、担体材料の細孔内に(任意で空隙中にも)少なくとも部分的に配置されていることが好ましい。第2の送達可能な薬剤は、典型的には、担体材料の比較的小さな細孔を容易に貫通できる小分子物質であるが、植物材料は、平均粒径が細孔径よりも実質的に大きい形態で提供されるため、植物材料は、ほぼ独占的に担体材料の空隙内に配置される(前述のように、空隙は細孔よりも実質的に大きい)。
第2の送達可能な薬剤が存在する本発明の実施形態では、多孔質担体材料の細孔は、第2の送達可能な薬剤で飽和されてもよい。誤解を避けるために、本明細書の他の場所に記載されているように、担体材料中の空隙は、植物材料も含有する。任意で、本明細書の他の場所で言及される1つ以上の追加物質(例えば、蒸発増強剤、香味剤、味覚増強剤など)と一緒に、第2の送達可能な薬剤が存在するデバイスでは、そのとき、多孔質担体材料の細孔は、該第2の送達可能な薬剤および任意の追加物質で飽和されてもよい。これに関連して、第2の送達可能な薬剤(または第2の送達可能な薬剤を含有する混合物)で飽和した細孔は、少なくとも開気孔を含む。担体材料中に存在する閉気孔は、第2の送達可能な薬剤(または第2の送達可能な薬剤を含有する混合物)を含有しても含有しなくてもよい。閉気孔が第2の送達可能な薬剤(または第2の送達可能な薬剤を含有する混合物)で飽和する必要はない。「飽和」という用語を使用することにより、細孔(例えば、少なくとも開気孔)が第2の送達可能な薬剤(または第2の送達可能な薬剤を含有する混合物)で大部分が充填され(例えば、実質的に完全に充填され)、好ましくは細孔が本質的に第2の送達可能な薬剤(または第2の送達可能な薬剤を含有する混合物)のみを含有することが意図される。これらの細孔は、最小限の量の空スペース(例えば、大気ガスまたは第2の送達可能な薬剤以外の材料が占めるスペース)を含有する必要がある。誤解を避けるために、本発明のデバイスは、複数の第2の送達可能な薬剤を含有してもよく、本明細書における、本質的に第2の送達可能な薬剤のみを含有する細孔への言及は、本質的に複数の第2の送達可能な薬剤のみを含有する細孔も指す。
特定の実施形態では、デバイスは、詰め替え可能である。一例では、担体材料、植物材料、および送達可能な薬剤(例えば、植物材料内に含まれる送達可能な薬剤、および任意で、ある量の第2の送達可能な薬剤)は、交換可能なカートリッジで一緒に提供され得る。そのようなカートリッジは、本明細書に記載の本発明の吸入デバイスでの使用に好適である必要がある。そのようなシステムでは、デバイス中の植物材料(例えば、タバコ)の貯蔵部は、使用済みのカートリッジを吸入デバイスから取り外し、それを満杯のカートリッジ(すなわち、所望の量の植物材料、例えばタバコを含有するカートリッジ)と交換することによって容易に補充され得る。植物材料を含有するカートリッジの交換を可能にする吸入デバイスも、詰め替え可能デバイスである。
したがって、本発明の第2の態様によれば、本明細書に記載の吸入デバイスで使用するために好適なカートリッジであって、以下を含有するカートリッジが提供される:
(i)固体の多孔質担体材料、および
(ii)担体材料中の空隙内に配置された上記で定義されたような送達可能な薬剤を含む植物材料(例えば、タバコ)。
デバイスがニコチンの送達で使用するために意図されている本発明の実施形態では、タバコ(および、任意で、追加量のニコチン)を含有し、これらのデバイスでの使用に好適な個々の単位は(例えば、上記の交換可能なカートリッジの形態で、または下記のブロック、ペレット、タブレット、ディスク、もしくはスティックの形態で)、最終使用者に提供され得る。したがって、これらの個々の単位は、本発明の第2の態様である「カートリッジ」の実施形態を表す。
個々の単位自体は、吸入デバイスとは別に、または吸入デバイスと一緒に、最終使用者に供給され得る。個々の各単位は、使用者に所望の用量数を提供するのに十分な量のニコチン(任意で、追加量のニコチンと一緒に植物材料内にそれを含む)を含有するため、「単位用量製品」または「制御用量製品」と記載されてもよい。ニコチンは、本発明のデバイスで使用される場合、各単位(すなわち、各ペレット、タブレットなど)が複数の用量(例えば、少なくとも5、少なくとも20、または少なくとも100用量)を提供するのに十分な量のニコチンを含有する制御用量製品で供給され得る。複数の用量を含有する制御用量製品の場合、これらの単位は、使用者がデバイスで時間をかけて何度も加熱することができ、各加熱事象により、ニコチンの個別用量の使用者への送達が促進される。ニコチンの単一の「用量」は、例えば、喫煙者が単一の従来のシガレットから受容する量と同等のニコチンの量、またはその一部(例えば、約1/10または約1/5)に相当し得る。
個々の各単位(例えば、上記の交換可能なカートリッジの形態、または下記のブロック、ペレット、タブレット、ディスク、もしくはスティックの形態)は、典型的には、固体の多孔質担体材料の重量に対して、約0.5重量%〜約70重量%、例えば、約1重量%〜約50重量%の植物材料を含有し得る。好ましくは、各単位は、固体の多孔質担体材料の重量に対して、約2重量%〜約30重量%の植物材料を含有し得る。
個々の単位はまた、植物材料および1つ以上の追加の化学物質の両方を含有することができ、両方とも送達可能な薬剤の供給源として作用する。各単位は、好ましくは、固体の多孔質担体材料の重量に対して、約0.1重量%〜約20重量%、例えば約0.3重量%〜約10重量%の送達可能な薬剤を含有する。より好ましくは、デバイスは、固体の多孔質担体材料の重量に対して、約0.5重量%〜約5重量%の送達可能な薬剤を含有し得る。誤解を避けるために、植物材料および1つ以上の追加の化学物質の両方を含有する単位またはデバイスの文脈における送達可能な薬剤への言及は、反対のことが示されない限り、これらの供給源の両方から組み合わされた送達可能な薬剤の総量への言及である。
さらなる実施形態では、以下を含有する単位製品(例えば、交換可能なカートリッジ、単位用量製品、または制御用量製品)が提供される:
(i)固体の多孔質担体材料、
(ii)担体材料中の空隙内に配置された上記で定義されたような送達可能な薬剤を含有する植物材料、および
(iii)担体材料全体に分布する導電材料(例えば、金属)の粒子。
そのような実施形態では、単位製品は、本明細書に記載される吸入デバイス中の使用済みカートリッジの代替品として使用され得る。担体材料、植物材料、および導電材料はそれぞれ、本明細書の他の場所で説明されているとおりであってもよい。そのような単位製品はそれぞれ、規定量の送達可能な薬剤、例えば、その単位製品が効果的に使い果たされる前に、制御された用量(例えば、約1単位用量以下)を吸入により受容者に送達できるのに十分な量の送達可能な薬剤を含有し得る。
担体材料および送達可能な薬剤が交換可能なカートリッジ、単位用量製品、制御用量製品などで一緒に提供される実施形態では、単位製品は、交換用の単位製品(例えば、補充カートリッジまたは単位用量製品または制御用量製品)をその場所に導入するために、使用者がデバイスから簡単に取り外すことができるように構成され得る。
一実施形態では、交換カートリッジ、単位用量製品、制御用量製品などは、担体および植物材料が、カートリッジの挿入後、デバイス中の発熱体に近接して位置付けるように構成されることができ、同時に、使用者がデバイスの起動前の任意の時点で植物材料と物理的に接触できないように構成されている。これは、デバイスを補充するときに、使用者が送達可能な薬剤に意図せずに曝露されるリスクを減らすのに役立ち得る。代替的または追加的に、交換カートリッジ、単位用量製品、制御用量製品などは、複合担体材料、すなわち担体材料(例えば化学結合セラミックまたはジオポリマー材料)、植物材料、および導電材料を含む材料を含有し得る。
交換カートリッジは、使用者の送達可能な薬剤への曝露を減らすため、またはデバイスへの貯蔵もしくは挿入中の送達可能な薬剤の意図しない損失を最小限に抑えるために、前述のようにケーシング内に担体材料および植物材料を一緒に含有し得る(例えば、担体材料とは異なる材料、好ましくは金属、合金、セラミック、またはジオポリマーで作製されるシェル)。
代替的な実施形態では、単位製品(例えば、カートリッジ)は、任意で導電材料の粒子および/または存在し得る本明細書の他の場所で言及される1つ以上の追加物質(例えば、当業者に知られているように、蒸発促進剤、香味剤、味覚増強剤、充填剤など)と一緒に、担体材料、植物材料、および送達可能な薬剤から本質的になり得る。例えば、カートリッジは、デバイスの機能に必要な任意の他の要素(担体材料および植物材料を除く)を含有しなくてもよい。
吸入デバイスは、使用後、使用者が、単にデバイスからの使用済み担体材料を取り外し、送達可能な薬剤(例えば、ニコチン)の完全な供給を含有する担体材料の交換単位を挿入する必要があるように構成され得る。そのような交換単位は、送達可能な薬剤を含有する担体材料のブロック、ディスク、タブレット、スティック、またはペレットとして提供できる。そのような交換単位は、「ブリスターパック」として商業的に知られている一般的に使用される包装で提供でき、各単位は、真空包装され、密封され、デバイスに挿入するために個別に取り外し可能である。そのような交換単位を用意することで、無駄を最小限に抑え、スペアカートリッジを小さくし、使用者が便利に貯蔵できることを保証する。
カートリッジシステムを使用すると、使用者に送達される送達可能な薬剤の量をより細かく制御可能にし得る。例えば、各カートリッジは、規定量(例えば、喫煙者が単一の従来のシガレットから受容する量以下、またはその一部(例えば、約1/10もしくは約1/5))のその送達可能な薬剤を使用者に提供するのに十分な量の送達可能な薬剤(例えば、ニコチン)を含有し得る。
有利には、本発明の吸入デバイスは、複数の担体材料、または異なる領域が異なる平均細孔径を有する担体材料を含有し得る。これにより、吸入デバイスは、複数の速度で1つ以上の他の送達可能な薬剤(本明細書では「第2の送達可能な薬剤」と呼ばれる)を放出するように構成されることが可能になる。例えば、そのようなデバイスは、使用者のニーズに応じて、制御された量のニコチンの初期の迅速な放出、それに続くその制御された量のより遅い持続放出を提供可能であり得る。本発明のデバイスはまた、例えば植物材料中に含有されないニコチンからのニコチンの初期の迅速な放出を提供し、続いて加熱植物材料に由来する蒸気のより遅い持続放出を提供するように構成され得る。この組み合わせにより、使用者は、植物材料に含有される揮発性製品によって提供される味および匂いを乱す可能性のある加熱方式に植物材料を供する必要なく、所望のニコチンの迅速な「ヒット」を得ることができる。
好ましい実施形態では、担体材料は、1つ以上のセラミック材料または1つ以上のジオポリマー材料に基づく。担体材料が、1つ以上の化学結合セラミック材料または1つ以上のジオポリマー材料に基づくことが特に好ましい。
「セラミック」という用語は、しばしば熱の作用を含む何らかの形態の硬化プロセスによって形成および/または処理可能な金属元素と非金属元素との間で形成される化合物、頻繁に酸化物、窒化物、および炭化物を含むと理解される。この点に関して、粘土材料、セメント、およびガラスは、セラミックの定義内に含まれる(Callister,「Material Science and Engineering,An Introduction」John Wiley&Sons,7th edition(2007))。
担体材料中の細孔径は、当業者に知られている様々な技術によって制御され得る。セラミック(およびジオポリマー)の場合、典型的には、担体材料ネットワーク構造の製作プロセス中に、細孔のサイズの制御が達成される。多孔質足場の製作のために知られている方法の例は、Subia B.ら(2010)Biomaterial Scaffold Fabrication Techniques for Potential Tissue Engineering Applications,Tissue Engineering,Daniel Eberli(Ed.)に開示されている。
本発明で使用されるセラミック担体材料とともに使用するのに好適な特定の方法は、担体材料の形成中に犠牲相の使用を伴うポロゲン浸出法である。最終的な担体材料ネットワーク内の細孔の形成を助けるために、担体材料の形成中に反応混合物の一部として多孔性材料が含まれてもよい。多孔性材料には、例えば、油、液体(例えば、水)、糖、マンニトールなどが含まれる。次いで、例えば、適切な溶媒、例えば水を使用してそれを溶解することにより、多孔性材料を担体材料から除去してもよい。
担体材料は、1つ以上の化学結合セラミック材料に基づき得る。これらは、顆粒の形態で提供され得る。
好適な化学結合セラミックには、非水和、部分水和、もしくは完全水和セラミック、またはそれらの組み合わせが含まれる。
化学結合セラミック系の非限定的な例には、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。好ましい化学組成物には、化学結合セラミックに基づくものが含まれ、これは1つ以上の適切な前駆体物質の水和後に、制御された量の水を消費してネットワークを形成する。
他の利用可能な特定のシステムは、両方とも大量の水を消費するアルミネートおよびシリケートに基づくものである。結晶状態または非晶質状態でのCA2、CA、CA3、およびC12A7、ならびにC2SおよびC3Sなどの相(一般的なセメント用語によると、C=CaO、A=Al、SiO=S)が使用されることができ、容易に入手可能である。アルミン酸カルシウムおよび/またはケイ酸カルシウム相は、別個の相または相の混合物として使用され得る。すべて非水和型での上記の相は、水和すると担体材料中のバインダー相(セメント)として作用する。液体(水)対セメントの重量比は、典型的には、0.2〜0.5の範囲、好ましくは0.3〜0.4の範囲である。
これに関して言及され得るさらなる材料には、ケイ酸アルミニウムおよび/またはケイ酸アルミニウム水和物(結晶質または非晶質)などの粘土鉱物が含まれる。非限定的な例には、カオリン、ディッカイト、ハロイサイト、ナクライト、セオライト、イライト、またはそれらの組み合わせ、好ましくはハロイサイトが含まれる。
本発明のさらなる実施形態では、多孔質固体は、自己硬化性セラミックから形成されるセラミック材料に基づく。自己硬化性セラミックの非限定的な例には、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、およびアルミン酸カルシウム系材料が含まれる。これに関して言及され得る特定のセラミックには、アルファ−リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、CaOAl、CaO(SiO、CaO(SiOなどが含まれる。
用いられ得る他のセラミック材料には、硫酸カルシウムなどのサルフェートまたはリン酸カルシウムなどのホスフェートに基づくものが含まれる。そのような物質の特定の例は、アルファまたはベータ相硫酸カルシウム半水和物(最終製品硫酸カルシウム二水和物)、アルカリ性または中性リン酸カルシウム(アパタイト)、および酸性リン酸カルシウム(ブラッシュ石)が含まれる。
セラミック材料(例えば、ケイ酸アルミニウム)の粒度は、体積平均モードでのレーザー回折により測定して、約500μm未満、好ましくは約100μm未満、より好ましくは約50μm未満、特に約20μm未満であり得る(例えば、Malvernマスターサイズ)。より大きな粒度のセラミック材料を使用すると、セメントのより良い取り扱いが可能になり得るが、最適な硬化ができず、最終固体の強度が低下する場合がある。粒状体は、任意の形状(例えば、球形、円形、針、プレートなど)であってもよい。本発明のデバイスでは、粒度が1μm未満の担体材料が使用され得るが、製造を支援するため(湿潤時に非常に粘性のあるペーストが形成されるのを避けるため)、好ましくは、粒度は、少なくとも約1μmであり、好ましくは、約10μmの領域である。これらの粒度は、本明細書に記載の化学結合セラミックを含むが、これに限定されない、本発明のデバイスの文脈におけるすべてのセラミックに適している。粒状体は、任意の形状(例えば、球形、円形、針、プレートなど)であってもよい。誤解を避けるために、担体材料がジオポリマーから形成される場合、材料の粒度は、同様に約100μm未満、より好ましくは約50μm未満、特に約20μm未満であり得る。
任意のセラミック前駆体粉末粒子の平均粒度は、約500μm未満、例えば約100μm未満、好ましくは約1μm〜約30μmであり得る。これは、水和を高めるためである。そのような前駆体材料は、水和中にナノサイズの微細構造に変換され得る。この反応は、前駆体材料の溶解と、水(溶液)中および水和されていない前駆体材料が残った場合のナノサイズの水和物のその後の沈殿の繰り返しを伴う。この反応は、有益には、前駆体材料が変換されるまで、かつ/あるいは時間および温度、ならびに液体および/または湿気中のHOを使用した部分水和によって決定される事前に選択された多孔度が測定されるまで、継続する。
化学結合セラミックは、タバコの担体材料としての使用に特に好適である。これらの担体材料は、比較的安価で製造が容易であり、熱を加えると揮発性の送達可能な薬剤の適切な放出を提供する。
誤解を避けるために、多孔質固体材料は、例えば化学結合セラミックの混合物を含む、2つ以上のセラミック材料を含んでもよい。
化学結合セラミックの細孔径は、担体材料ネットワーク構造の製作プロセス中に様々な手法で制御され得る。本発明で使用される化学結合セラミック担体材料とともに使用するのに好適な特定の方法は、担体材料の形成中に犠牲相の使用を伴うポロゲン浸出法である。最終的な担体材料ネットワーク内の細孔の形成を助けるために、担体材料の形成中に反応混合物の一部として多孔性材料が含まれてもよい。多孔性材料には、例えば、油、液体(例えば、水)、糖、マンニトールなどが含まれる。次いで、例えば硬化プロセス中に担体材料が加熱されたときにそれを燃やすことにより、または適切な溶媒を使用してそれを溶解することにより、多孔性材料が担体材料から除去され得る。溶解は、通常、デバイスの動作に有害な影響を及ぼすか、または使用者に悪影響を及ぼす場合がある物質の残留量が残ることを避けるために、水で達成される。
また、発泡方法を使用して、化学結合セラミック、および本明細書で言及する他の担体材料中の細孔径を大きくし得る。そのような方法は、当業者に知られており、より大きな細孔径を有する担体材料を形成するのに特に有用である。
あるいは、担体材料は、1つ以上のジオポリマー材料に基づいてもよい。
「ジオポリマー」という用語は、好ましくはシリカ源の存在下で、アルミノシリケート前駆体材料(好ましくは粉末の形態)と水性アルカリ性液体(例えば、溶液)との反応により形成され得る、合成または天然のアルミノシリケート材料のクラスから選択される任意の材料を含むか、または意味することを当業者は理解するであろう。
「シリカ源」という用語は、シリケートを含む、SiOなどのシリコン酸化物の任意の形態を含むことが理解される。シリカが、ガラス、結晶、ゲル、エアロゲル、ヒュームドシリカ(または熱分解法シリカ)、およびコロイドシリカ(例えば、エアロジル)を含むいくつかの形態で製造され得ることを当業者は理解する。
好適なアルミノシリケート前駆体材料は、典型的には(必ずしも必要ではないが)、その性質における結晶質であり、カオリン、ディッカイト、ハロイサイト、ナクライト、ゼオライト、イライト、好ましくは脱ヒドロキシル化ゼオライト、ハロイサイトまたはカオリン、より好ましくは、メタカオリン(すなわち、脱ヒドロキシル化カオリン)が含まれる。(例えば、カオリンの)脱ヒドロキシル化は、好ましくは、ヒドロキシル化アルミノシリケートを400°Cを超える温度で焼成(すなわち加熱)することにより実行される。例えば、メタカオリンは、StevensonおよびSagoe−Crentsil,J.Mater.Sci.,40,2023(2005)、ならびにZoulgamiら,Eur.PhysJ.AP,19,173(2002)に記載されているように、かつ/あるいは以下に記載されるように調製され得る。脱ヒドロキシル化アルミノシリケートはまた、シリカ源とアルミナ源(例えば、Al)を含む蒸気との凝縮により製造され得る。
したがって、さらなる実施形態では、担体材料は、カオリン、ディッカイト、ハロイサイト、ナクライト、ゼオライト、イライト、脱ヒドロキシル化ゼオライト、脱ヒドロキシル化ハロイサイトおよびメタカオリンからなる群から選択される材料などのアルミノシリケート前駆体材料を、任意でシリカ源の存在下で、水性アルカリ性液体と反応させるプロセスによって得られる材料であり得る。
前駆体物質はまた、ゾルゲル法を使用して製造されることができ、典型的には、Zhengら,J.Materials Science, 44,3991−3996(2009)に記載されているように、アルミノシリケートのナノメートルサイズの非晶質粉末(または部分的に結晶質)前駆体をもたらす。これにより、固化材料の微細構造がより微細になる。(ゾル−ゲル経路などは、前述の化学結合セラミック材料の前駆体物質の製造にも使用され得る。)
粉末の形態で提供される場合、アルミノシリケート前駆体粒子の平均粒度は、約500μm未満、好ましくは約100μm未満、より好ましくは約30μm未満である。
ジオポリマー材料の形成において、そのような前駆体物質は、例えば、少なくとも約12、例えば少なくとも約13のpH値を有するアルカリ水溶液に溶解され得る。水酸化物イオンの好適な供給源には、アルカリまたはアルカリ土類金属(例えば、Ba、Mg、またはより好ましくはCa、または特にNaもしくはK、またはそれらの組み合わせ)水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)などの強無機塩基が含まれる。金属カチオン対水のモル比は、約1:100〜約10:1、好ましくは約1:20〜約1:2で変化し得る。
シリカ源(例えば、SiOなどのシリケート)は、好ましくは、いくつかの手段によって反応混合物に添加される。例えば、水性アルカリ性液体は、しばしば水ガラスと呼ばれるもの、すなわちケイ酸ナトリウム溶液を形成するSiOを含んでもよい。そのような場合、液体中のSiO対水の量は、好ましくは最大約2:1、より好ましくは最大約1:1、最も好ましくは最大約1:2である。水性液体はまた、任意でアルミン酸ナトリウムを含有してもよい。
あるいは、シリケート(および/またはアルミナ)は、好ましくはヒュームシリカ(マイクロシリカ;AEROSIL(登録商標)シリカ)として、任意で粉末化されたアルミノシリケート前駆体に添加されてもよい。添加され得る量は、好ましくはアルミノシリケート前駆体の最大約30重量%、より好ましくは最大約5重量%である。
この中間アルカリ混合物中に遊離水酸化物イオンが存在すると、供給源材料からのアルミニウムおよびシリコン原子が溶解される。次いで、得られた混合物を硬化(set)(硬化(cure)または固化(harden))させることにより、ジオポリマー材料を形成することができ、そのプロセス中に、原料材料からのアルミニウムおよびケイ素原子が再配向して、硬質(および少なくとも大部分)非晶質ジオポリマー材料を形成する。硬化は、室温、高温、または低温、例えば、周囲温度付近もしくは周囲温度のすぐ上(例えば、約40°Cなどの約20°C〜約90°C)で実行され得る。固化はまた、任意の雰囲気、湿度、または圧力で(例えば、真空下または別の方法で)実行され得る。得られた無機ポリマーネットワークは、一般に高度に調整された3次元アルミノシリケートゲルであり、四面体Al3+サイトの負電荷はアルカリ金属カチオンによって電荷バランスがとられている。
これに関して、ジオポリマー系担体材料は、アルミノシリケート前駆体を含む粉末と、水、前述の水酸化物イオン源、およびシリカ源(例えば、シリケート)を含む水性液体(例えば、溶液)とを混合して、ペーストを形成することによって、形成され得る。液体対粉末の比は、好ましくは約0.2〜約20(w/w)、より好ましくは約0.3〜約10(w/w)である。ケイ酸カルシウムおよびアルミン酸カルシウムも、アルミノシリケート前駆体成分に添加してもよい。
本発明の好ましい実施形態では、植物材料は、担体材料ネットワーク中の空隙に共形成されて散在している。これは、担体材料を形成するためにどのようなプロセスが用いられても、粒子状植物材料が散在する空隙を必然的に形成しなければならないことを意味する。1つ以上の化学結合セラミック材料または1つ以上のジオポリマー材料に基づく担体材料は、担体材料およびその細孔ネットワークが形成されるプロセスが、焼結セラミックとは対照的に、非常に高い温度を必要としないため、そのような実施形態での使用に特に適している。
したがって、植物材料(および任意で、第2の送達可能な薬剤)は、適切な液体(例えば、水性または有機溶媒)の存在下で、種々の技法によって、例えば、ゾルゲル法による導入、例えば、担体材料またはその前駆体の粒子、顆粒、もしくはペレットの溶液として、またはスラリー、ペースト、もしくはパテとして、担体材料(例えば、セラミックもしくはジオポリマー)、またはその前駆体と混合されてもよい。これに続いて、ある種の「硬化」プロセスが続き、その内部に植物材料がある該空隙を含む持続放出組成物が形成される。このようにして形成された担体材料は、送達可能な薬剤を含有する植物材料(例えば、タバコ)が事前に充填されていると言われ得る。
そのような空隙自体は、植物材料を含有する(例えば、粒子の)固体ネットワーク内のチャネルまたは空隙の3次元ネットワークである。
したがって、そのような空隙は、本質的に、セラミックまたはジオポリマーなどの担体材料(それ自体が多孔質であり得る(すなわち「一次」細孔を含む))の一次粒子の表面間の化学的相互作用(例えば、「結合」)によって形成される「二次細孔」であり得る。そのような細孔は、例えば、それらの表面での物理的および/または化学的変換(部分溶解など)、ならびにその後のそれらの表面の一緒の物理的および/または化学的結合(それ自体、例えば乾燥、硬化などの他のいくつかの物理化学プロセスの結果として生じ得る)を引き起こす1つ以上の化学試薬へのそのような材料の曝露から生じ得、該細孔/空隙を生じさせる。
そのような場合には、そのような化学試薬は、担体材料の調製中に植物材料(および任意で第2の送達可能な薬剤)と一緒に混合されてもよい。しかしながら、そのような二次細孔は、必ずしもこのように形成されるわけではなく、担体材料の一次粒子の結合はまた、物理的および/もしくは機械的であってもよく、または植物材料の存在下で、前述のように3次元の化学結合セラミックネットワークの生成中に形成されてもよい。
したがって、セラミック材料の粒子を含む固体の連続的な3次元ネットワークである担体材料を含む、エアロゾルまたは蒸気の形態で送達可能な薬剤を使用者に送達するためのデバイスが提供され、この粒子が一緒に結合して二次細孔または空隙、および該二次細孔または空隙内に存在する送達可能な薬剤を含む植物材料を形成する。
あるいは、(例えば、重合、またはジオポリマーについて前述したように)ネットワークが化学反応によって形成される場合、送達可能な薬剤を含む植物材料は、関連する反応物を含む前駆体混合物と共混合され、その後、3次元担体材料ネットワーク自体の形成中に形成される細孔または空隙内に配置されてもよい。
セラミック材料は、これらの材料が担体中に細孔ネットワークが形成される前にタバコの装入を促進するのに特に適しているため、化学結合セラミックまたはジオポリマーに基づくものであることが特に好ましい。次に、これは、製造中に担体に装入されるニコチンの量を容易に制御するための効果的な方法を提供する。
ジオポリマーの場合、典型的には、担体材料ネットワーク構造の製作プロセス中に、細孔のサイズの制御が達成される。多孔質足場の製作のために知られている方法の例は、Subia B.ら(2010)Biomaterial Scaffold Fabrication Techniques for Potential Tissue Engineering Applications,Tissue Engineering,Daniel Eberli(Ed.)に開示されている。
本発明で使用されるジオポリマー性担体材料とともに使用するのに好適な特定の方法は、セラミック担体材料に関して前述したポロゲン浸出方法である。多孔質ジオポリマー材料の形成に使用され得る多孔性材料には、例えば、油、液体(例えば、水)、糖、マンニトールなどが含まれる。
本明細書に記載の担体材料のいずれも、本発明のデバイスで使用され得る。したがって、さらなる実施形態では、本発明は、セラミック材料が以下からなるリストから選択される、上記のデバイスに関する:
(i)アルミノシリケート前駆体材料を水性アルカリ性液体と反応させるプロセスにより得られる材料、および
(ii)リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、およびそれらの組み合わせ。
本発明者らは、本発明のデバイスが、吸入により送達可能な薬剤を使用者に投与できるように、エアロゾルまたは蒸気の形態で送達可能な薬剤の放出を提供することが有利であることを見出した。使用中、吸入デバイスは、典型的には、レクリエーション使用のために、送達可能な薬剤を使用者が吸入することを可能にする。
送達可能な薬剤は、好適な植物材料および1つ以上の追加成分を含む混合物の一部としてデバイスに提供されてもよい。担体材料が加熱されたときに送達可能な薬剤の揮発を促進するために、該追加成分のうちの1つ以上が存在してもよい。本発明の吸入デバイスでは、担体材料は、使用者が受容した送達可能な薬剤の送達の量および/または速度の制御を支援する多孔度を有してもよい。
したがって、送達可能な薬剤は、1つ以上の蒸発促進剤、すなわち、送達可能な薬剤の蒸気の蒸気形成を増強する薬剤を含有する混合物で提供されてもよい。好適な蒸発増強剤には、グリセリン、野菜グリセリン(VG)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、またはそれらの混合物が含まれる。
しかしながら、本発明のデバイスは、上記のような潜在的に有毒であるか、または加熱プロセス中に劣化して、有毒な副産物を形成する場合がある蒸発促進剤を必要とせずに、送達可能な薬剤を使用者に送達し得る方法を有利に提供し得る。したがって、好ましい実施形態では、送達可能な薬剤を含有する植物材料は、単独で、または上記の蒸発促進剤のいずれも含有しない混合物で(担体材料中に)提供される。
別の実施形態では、送達可能な薬剤は、使用者にいかなる治療上の利益を提供することも意図しない1つ以上の追加物質を含有する混合物で提供されてもよい。例として、該追加物質は、製品の製造を支援するため、送達可能な薬剤の気化を支援するため、または使用者の経験を改善するために存在してもよい。
使用者に送達されるエアロゾルまたは蒸気は、空気、送達可能な薬剤(例えば、ニコチンまたはTHC)、および送達可能な薬剤との混合物中に存在し得る、潜在的に1つ以上の任意の追加物質(例えば、蒸発増強剤)から本質的になる。例えば、エアロゾルまたは蒸気はまた、エアロゾルまたは蒸気の味、粘稠度、またはテクスチャーを改善するために、任意の所望の香味料(本明細書に記載のような香味料もしくは甘味料)または不活性添加剤を含有してもよく、それにより吸入が使用者(すなわち喫煙者)にとってより口当たりのよいものになる。しかしながら、タバコを含有するデバイスの場合、タバコ自体を加熱することによって得られる味覚経験に影響を与えたり、味を損なったりすることを避けるために、担体材料中に追加の香味料または他のそのような添加物は含まれないことが好ましい。
一実施形態では、送達可能な薬剤は、ニコチンである。典型的には、ニコチンを含有する吸入デバイスは、シガレット、葉巻、およびパイプの無燃焼の代替品として喫煙者によって使用され、それにより、これらのタバコ製品に見られる多くの潜在的に有毒な成分への曝露を減らす。そのような燃焼のないデバイスは、一般に「電子シガレット」、「無煙シガレット」、「e−シガレット」、または「e−cig」と呼ばれる。ニコチンは、典型的には、タバコ製品、例えばタバコ油および他の抽出物から得られ、通常、酒石酸ニコチンなどの製品中に存在する。ニコチンおよび酒石酸ニコチンの両方が、ここで説明する吸入デバイスで使用され得る。
ニコチンを含有する本発明の吸入デバイスを使用して、使用者に楽しい効果をもたらし得る。
デバイスの使用を監視し、場合によっては使用者による使用を制限することができる装置を含有する吸入デバイスも、特に有利になり得る。そのようなデバイスは、使用者がそれらの使用パターンを記録するのを支援することができ、それにより経時的にその使用をより正確に制御する。
使用者に送達される送達可能な薬剤は、熱安定性物質、好ましくは少なくとも最大約400°C、より好ましくは少なくとも最大約600°Cの温度で安定な物質でなければならない。「熱安定性」という用語の使用により、例えば、送達可能な薬剤が熱安定性の医薬物質である場合、使用中に著しい化学的劣化を受けないことを保証するために、送達可能な薬剤はその温度で十分に安定であることを意味し、そのとき「熱安定性」とは、200℃で30秒間加熱したときに5%以下の分解を示す医薬品物質を指す。
ニコチンはさらに、塩形態または任意の他の好適な形態、例えば、その複合体もしくは溶媒和物、または任意の物理的形態、例えば、非晶質状態、結晶性もしくは部分結晶性材料として、共結晶として、または多形形態、または上記のいずれかの組み合わせなどで用いられてもよい。
言及され得るニコチンの薬学的に許容される塩には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。そのような塩は、従来の手段によって、例えば、ニコチンの遊離塩基形態と、1つ以上の当量の適切な酸との、任意で、溶媒中、または塩が不溶性の媒体中での反応、その後の標準的な技術を使用した(例えば、真空、凍結乾燥、もしくはろ過による)該溶媒または該媒体の除去によって、形成され得る。
薬学的に許容される付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸などの鉱酸から誘導されるもの、コハク酸、特に酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、アリールスルホン酸などの有機酸から誘導されるもの、ならびにナトリウム、マグネシウム、または好ましくはカリウムおよびカルシウムなどの金属から誘導されるものが含まれる。送達可能な薬剤がニコチンである実施形態では、言及され得る特定の塩は、酒石酸ニコチンである。本明細書における「ニコチン」への言及には、特に明記しない限り、酒石酸ニコチンなどの薬学的に許容されるニコチン塩への言及が含まれる。
本発明のデバイスはまた、使用者がデバイスのその使用を未定義の期間にわたって監視および/または記録可能なように構成されてもよい。これにより、使用者および医療専門家は、送達可能な薬剤(例えば、ニコチン)が使用者に投与された量および頻度の正確な記録を支援し得る。
さらなる実施形態では、本発明のデバイスは、定義された期間にわたってデバイスの使用履歴を記録するための装置を備えてもよい。そのような装置は、デバイスの使用の総数、デバイスが補充された回数(例えば、カートリッジが交換された回数)、デバイスが使用または補充される時間、使用者に送達された送達可能な薬剤の量などの関連事象を記録する電子デバイスを備えてもよい。そのようなデータは、使用者または医療専門家が別個のデータ処理デバイスにダウンロードし得るようにデバイスに貯蔵されてもよく、またはデータが視覚的に表示され得るようにデバイスが表示ユニットをさらに備えてもよい。
さらなる実施形態では、デバイスは、別個の分析のために記録されたデータをデバイスから抽出できるようにするインターフェースまたはデータ送信ユニットを備えてもよい。好適なインターフェースには、ユニバーサルシリアルバス(USB)またはデータ転送に好適な電気接続を可能にする別の同様のコンポーネントが含まれる。データ送信ユニットを含有するデバイスでは、該データは、デバイスによって、例えばブルートゥースなどを介して別個のデバイスに送信され得る。それぞれの場合において、別個のデバイスは、吸入デバイスから受信したデータを処理するための好適なソフトウェア(例えば、アプリ)を含有する電子データ処理デバイスであり得る。
よりさらなる実施形態では、デバイスは、使用者による使用を監視し、任意で、送達可能な薬剤が使用者に投与される程度を制御するように構成されてもよい。例えば、デバイスは、特定の期間に使用され得る回数が制限され得るように、構成されてもよい。これは、使用者が一定期間にわたって大量の送達可能な薬剤を受容することができない場合に特に有用である。したがって、そのようなデバイスは、使用者に投与されている送達可能な薬剤の量の計量を可能にし得る。
保護コーティングはまた、現在開示されているデバイスのキャリア材料とともに使用されてもよい。
保護コーティングはまた、現在開示されているデバイスの担体材料とともに使用されてもよい。1つ以上のコーティングが、担体材料の外面に塗布され得る。使用中に担体材料が加熱されると、コーティングは、蒸発が生じる温度を制御するのに役立ち得る。次に、これは、例えば、使用者が短時間で気化した材料を受容することを保証し、それによって使用者が意図した用量をすべて受容する前に吸入が中止され得る可能性を減らすことにより、送達可能な薬剤の送達の制御をさらに支援し得る。
保護コーティングはまた、デバイス内の送達可能な薬剤の安定性を改善するのに有用であり得る。例えば、コーティングは、送達可能な薬剤のうちの1つ以上を外部環境から遮蔽し得るか、または送達可能な薬剤間の障壁として作用し得、それによってそれらが互いに混合し、化学的に相互作用し得る程度を減少させる。
本発明のデバイスで使用される担体材料は、以下の方法で不活性であるように設計され得る:
(a)約マイナス80〜約プラス50°Cの温度(好ましくは約0〜約40°C、より好ましくは約15〜約30°Cなどの室温)、約0.1〜約2バールの圧力(好ましくは大気圧)、約5〜約95%の相対湿度(好ましくは約10〜約75%)、および/または長期間(すなわち、6ヶ月以上)にわたる約460ルクスのUV/可視光への曝露を含む、通常の貯蔵条件下での一般的な物理化学的安定性。そのような条件下で、本明細書に記載の担体材料ネットワークは、上述したように、化学的劣化/分解が、約5%未満、例えば約1%未満であることが見出され得る:
(b)室温および/または高温(例えば、最大約200°C)での酸性、アルカリ性、および/またはアルコール(例えば、エタノール)条件下での一般的な物理化学的安定性、これは約15%未満の劣化を引き起こす場合があるため、ニコチンの意図的なエクスビボ抽出の可能性を回避する。
これに関して、ネットワークが、ミクロおよびナノ構造レベルで約5MPaを超える、例えば、約10MPaなど、約1MPaを超える圧縮強度を示すことが好ましく、これは、ミクロ構造レベル、すなわち、約200μm未満の材料の破壊に耐えるのに十分な高さである。
本発明のデバイスで使用される植物材料は、任意の従来の供給源から得てもよい。植物材料がタバコ製品である場合、その製品は、タバコ植物の一部(葉、茎など)を取り、乾燥した部分を微粉末に粉砕することにより得てもよい。特定のタバコ加工方法の副産物であるタバコダストまたはタバコ微粉も使用され得る。タバコ製品を作製するために使用されるタバコ部分は、これらに限定されないが、Burley、Bright、Oriental、またはそれらのブレンド、ならびに遺伝子改変、化学改変、または機械的改変タバコ植物、およびそれらのブレンドなどの経口たばこ製品の調製に使用される任意の種類のタバコに由来し得る。出発材料は、タバコ植物の任意の部分、すなわち、未熟もしくは熟成した葉、茎もしくは茎部分、またはそれらの混合物を含んでもよい。
担体材料への植物材料の組み込みは、当業者に知られている任意の従来の方法を使用して植物材料を小片(例えば、フレーク、破片、かけら、または粒子)に分割することにより促進できる。そのような方法には、例えばハサミ、せん断、または切断ミルによる粉砕、製粉、細断、および切断が含まれる。次いで、細かく分割された植物材料は、以下に記載される方法を使用して担体材料に組み込まれ得る。細かく分割された植物材料は、サイズが3mm以下の小さな植物片を含むことが好ましい。植物材料を細かく分割するプロセスは、製薬業界で粉末を調製するための従来の方法によって監視および制御される(例えば、Patel,R.P.,ら,Asian Journal of Pharmaceutics,2008 Oct−Dec,216−220参照)。好適な監視方法は、当業者に知られており、ふるい分析、光学顕微鏡検査、およびレーザー回折が含まれる。植物材料の粒径の制御は、含有量の均一性にとって重要であり、配合中の混合および乾燥を促進し得る。より細かく分割された植物材料の使用は、その成分の表面積を増加させ、それによりその中の送達可能な薬剤の揮発を促進する。
植物材料および送達可能な薬剤を含有するセラミック材料は、送達可能な薬剤と担体材料またはその前駆体とを一緒に混合することを含む、当業者に知られている標準的な機器を使用して、種々の常用技術により調製され得る。
本明細書に記載の組成物の成分を一緒に混合するために、標準的な混合機器を使用してもよい。混合期間は、使用する機器によって変わる可能性があり、当業者が、所与の成分の組み合わせ対する好適な混合時間を日常的な実験によって決定するのに困難はない。
植物材料(例えば、タバコ)は、溶液、スラリー、ペースト、またはパテとして、ゾルゲル法による導入などの種々の技法によって、担体材料(例えば、セラミック)と混合され得る。植物材料および担体材料(またはその前駆体)を含む混合物の導入に続いて、ある種の「硬化」が行われ、送達可能な薬剤が存在する空隙が形成され得る。多孔質担体材料ネットワークが形成され得るのは、このプロセス中である。
本発明のデバイスで使用するための担体材料の形成のための好ましいプロセスは、担体材料(例えば、セラミック材料またはその前駆体)と植物材料とを一緒に混合し、次いで水性溶媒などの液体(例えば水)を添加することにより、湿式顆粒を提供することを伴う。
本発明のデバイスで使用するための担体材料の形成のための別の好ましいプロセスは、この混合物を担体材料(例えば、セラミック材料またはその前駆体)と組み合わせる前に、植物材料を水性溶媒(例えば、水)と一緒に混合することを伴う。
湿式造粒法は、当業者に周知であり、任意で、ペレット化助剤の存在下で、水などの揮発性の不活性溶媒を含む造粒流体を使用した乾燥一次粉末粒子の混合物の塊化を伴う任意の技法を伴う。
上記のプロセスによって得られた製品は、以下によってさらに適合させ得る:
(I)顆粒の押し出し(造粒が行われる場合)、
(II)球状化(湿塊をふるいに通してペレットを生成する)、
(III)乾燥、および/または
(IV)(必要な場合)熱による固化、
すべての場合に常用技法を使用する。
本発明のデバイスで使用するためのジオポリマーを含む担体材料の形成プロセスでは、予め形成されたジオポリマーは、好ましくはシリカ源(前述)の存在下で、また前述の植物材料の存在下で、さらなるアルミノシリケート前駆体および水性アルカリ性液体(例えば、溶液)と一緒に反応し得る。ジオポリマーを含む本発明の組成物については、得られた混合物を任意の所与の形状、例えばブロック、ペレット、顆粒、または粉末に固化させることにより硬化が実行され得る。この点で、混合物を型に移し、ペレット/顆粒として硬化させるか、あるいは(例えば、好ましくは)ペレット/顆粒を適切な押出球状化法を使用して製造し得る。ここで、形成されたペースト(粉末と液体との混合物)は、オリフィスから押し出され得る。オリフィスのサイズは、約10μm〜最大約30mm、好ましくは約100μm〜約1mmであり得る。より大きなペレット/顆粒が必要な場合、オリフィスのサイズはより大きくてもよく、例えば約1mm〜最大約30mm、または好ましくは約1mm〜最大約10mmであってもよい。次いで、形成された押出物は、典型的には、内部に水平回転ディスクが配置された垂直中空シリンダーである球形化器に入れてもよい。ディスクを回転させると、押出物は、均一な長さに砕かれ、徐々に球形のペレットに形成され、次いで、前述のように固化させ得る。
すべての場合で、好適なペレット/顆粒サイズは、約0.05mm〜約3.0mm(例えば、約1.7mmなどの約2.0mm)、好ましくは約0.1mm(例えば、約0.2mm)〜約1.6mm(例えば、約1.5mm)の範囲であり、例えば、約1.0mmである。
本発明のデバイスで使用するための担体材料は、1つ以上のさらなる一般的に用いられる医薬賦形剤をさらに含み得る。好適な賦形剤には、医薬品の医薬品有効成分の担体として、典型的に使用される不活性物質が含まれる。好適な賦形剤には、便利で正確な投薬を可能にするために、非常に強力な活性医薬成分を用いる医薬組成物を増大するために製薬分野で用いられるものも含まれる。あるいは、賦形剤はまた、本発明の組成物の製造プロセスにおいて用いられ、関係する植物材料およびセラミック材料の取り扱いを支援し得る。
この点に関して、薬学的に許容される賦形剤には、本発明のデバイスに使用される担体材料を形成する過程で化学的に関与しない材料の粒子を含む充填材粒子が含まれる。そのような充填剤粒子は、バラストとして添加されてもよく、かつ/または組成物に機能性を提供してもよい。非限定的な例には、放射線不透過性を高めるための二酸化ジルコニウムおよび硫酸バリウムが含まれ、これらは、本発明のデバイスで使用される担体材料のより小さい粒子(例えば、製粉)に添加され得る。添加される充填剤粒子の量は、担体材料の重量の最大約80重量%、好ましくは最大約40重量%であり得る。好ましくは、充填材の総体積は、担体材料が十分な機械的強度を維持することを保証するために、比較的小さい(例えば、担体材料構造全体(細孔を含む)の約50体積%未満)。
追加の薬学的に許容される賦形剤には、炭水化物、ならびに塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、および炭酸カルシウムなどの無機塩が含まれる。
あるいは、担体材料は、好ましくは約100μm未満、より好ましくは約20μm未満の粉末粒度を有する微粉末に製粉されてもよい。本発明のデバイスでは、1μm未満の粒度を有する担体材料を使用し得るが、好ましい粒度は約10μmの領域にある。製粉は、ボールミリング、遊星ボールミリング、ジェットミリング、またはそれらの組み合わせを使用して任意に実行される。
前述の実施形態では、担体材料は、ペレット化助剤材料をさらに含み得る。ペレット化助剤材料は、ペレット化中に湿式粉末塊を通る造粒液の分布を制御し、混合物におけるレオロジー特性を改質できる材料として定義され得る。好適なペレット化助剤材料には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、および好ましくは微結晶性セルロースが含まれる。存在する場合、ペレット化助剤材料は、好ましくは、タブレットの総重量に基づいて、0.5〜50重量%の量で用いられる。好ましい範囲は、1〜20重量%、例えば約2.0〜約12重量%(例えば、約10重量%)である。
本発明のデバイスで使用される担体材料はまた、レオロジーおよび多孔度を制御するために、任意で、増量剤、ポロゲン、分散剤、またはゲル化剤を含有してもよい。そのような賦形剤の総量は、存在し得る任意の他の成分(例えば、ニコチン、増量剤など)を含む担体材料(すなわち、セラミックまたはジオポリマー材料)の総重量の約20重量%に制限される。そのような賦形剤の非限定的な例には、ポリカルボン酸、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、ニトリロ三酢酸(NTA)、ポリアクリル酸、PEG、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、薬学的に許容される油(植物油(オリーブ油、トウモロコシ油、コーン油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、亜麻仁油、パーム油、ヒマシ油、大豆油など)、エッセンシャル油(例えば、月見草油)、オメガ3油(例えば、魚油)、パラフィン油、動物由来の脂質油、シリコーン油などを含む)、およびそれらの組み合わせが含まれる。液体賦形剤(グリセロールなど)は、多くの理由でe−液体に使用され得る。例えば、液体は、ニコチンの溶媒として作用し得、使用者にとってより厚い雲(cloud)を生成するのにも役立ち得る。使用者がより目に見えるエアロゾルを有したい場合、これは、デバイス中の担体材料内に含有される液体(グリセロールなど)の相対量を増やすことで実現され得る。しかしながら、グリセロールなどの液体の粘性特性により、液体が濃くなり、放出プロファイルに影響する場合がある。最初の液体を、粘度の低いアルコール(プロピレングリコールまたはエタノールなど)と組み合わせると、そのような困難を最小限に抑えることができる。
担体材料はまた、1つ以上の結合剤を含んでもよい。結合剤は、結合形成エンハンサーとして作用し、植物材料の担体材料への組み込みを促進することができる材料として定義されてもよい。好適な結合剤には、セルロースガムおよび微結晶性セルロースが含まれる。存在する場合、結合剤は、好ましくは、担体材料およびその中に含有される材料の総重量に基づいて、0.5〜20重量%の量で用いられる。好ましい範囲は、1〜15重量%、例えば約2.0〜約12重量%(例えば、約10重量%)である。
担体材料はまた、1つ以上の味マスキング剤、香味料(例えば、レモン、ペパーミント粉末、もしくは好ましくはメントール)、または甘味料(例えば、ネオヘスペリジン、アセスルファムK、もしくは好ましくはスクラロース)を含んでもよい。
担体材料はまた、1つ以上の着色剤(例えば、赤色の酸化鉄、青色のコバルト、白色の酸化チタンなど)を含んでもよい。それらの着色剤は、典型的には、適切なサイズを有する該着色材料の粒子の形態で提供され、送達可能な薬剤を貯蔵し、加熱するとそれを放出する担体材料の能力に大きな影響を与えることなく色が見えるようになる。上記のすべての添加剤と同様に、着色剤の粒子をセラミック前駆体材料の混合物に添加した後、その混合物を硬化または固化させてもよい。
本発明のデバイスは、1つ以上の送達可能な薬剤を使用者に送達するために使用されてもよい。したがって、本発明の第3の態様では、蒸気またはエアロゾルの形態で送達可能な薬剤を使用者に送達する方法であって、以下を含む、方法が提供される。
(i)本明細書で定義される固体の多孔質担体材料、および
(ii)担体材料中の空隙内に配置された本明細書で定義される送達可能な薬剤を含む植物材料、を含む物品を提供すること、ならびに
担体材料を加熱して、送達可能な薬剤を蒸発させること。
一実施形態では、物品は、本明細書で定義される吸入デバイスである。別の実施形態では、物品は、本明細書で定義される吸入デバイスでの使用に好適なカートリッジまたは単位製品である。したがって、本発明の第4の態様では、本明細書で定義される物品が提供される。物品が、発熱体を含有する本明細書で定義される吸入デバイスでの使用に好適なカートリッジである実施形態では、カートリッジは、発熱体に適合するように形作られることが好ましい。
さらなる実施形態では、蒸気またはエアロゾルの形態で送達可能な薬剤の使用者への送達における、上で定義された物品の使用が提供される。同様に、該使用は、送達可能な薬剤を気化させて使用者がそれを吸入できるようにするために、担体材料を加熱するステップを伴う。
特定の実施形態では、上記で定義された方法および使用は、非治療目的(例えば、喜び(すなわち、レクリエーション使用))のための送達可能な薬剤の使用者への投与を伴い得る。そのような方法または使用の特定の例は、植物材料がタバコであるものである。コカ植物材料または大麻植物材料を含有するデバイスはまた、(治療目的で使用する代わりに、またはそれに加えて)レクリエーション目的で使用され得る。
本発明の第3の態様の他の特定の実施形態では、特に、デバイスが使用者によるデバイスの使用を監視し、任意で、送達可能な薬剤が使用者に投与される範囲を制御するように構成された実施形態では、この方法は、送達可能な薬剤の制御された投与量の使用者への投与を伴い得る。これは、送達可能な薬剤が中毒性または毒性がある場合に特に有用である。
本発明のさらなる態様では、ニコチン依存症(例えば、ニコチン中毒)を治療する方法であって、植物材料がタバコであり、ニコチン依存症の症状に苦しむ人にニコチンをエアロゾルまたは蒸気の形態で送達する本発明の吸入デバイスを使用することを伴う、方法が提供される。同様に、本発明のデバイスは、ニコチン依存症の症状(ニコチン中毒またはニコチン禁断症状を含む)を治療(例えば、緩和)する方法に有用であり得る。そのような症状には、ニコチンへの渇望、怒り/いらいら、不安、抑うつ、焦り、睡眠障害、落ち着きのなさ、空腹感もしくは体重増加、および/または集中困難が含まれる。
送達可能な薬剤が活性治療薬である場合、使用者へのその薬剤の送達は、疾患または状態の治療を目的とし得る。誤解を避けるために、「治療」には、症状の対症療法、予防、または状態の診断だけでなく、治療的治療も含まれる。
植物材料がタバコである実施形態では、デバイスを使用して送達されるニコチンの好適な毎日の投与量は、約1〜約100mg/日であってもよい。従来のシガレットは、典型的には、約8〜20mgのニコチンを含有する。本明細書に開示されるデバイスおよびカートリッジが、少なくとも1本のシガレットと同等の量のニコチンを含有することが好ましい。ニコチンが交換可能なカートリッジ(例えば、タブレット、ペレット、またはスティック)の形態で使用者に供給される場合、そのとき、各カートリッジは約8mg〜約20mgのニコチンを含有し得る。デバイスは、担体材料内に保持されたニコチンの実質的にすべてを使用者に送達でき得るため、各カートリッジまたはデバイスは、より少量のニコチン(例えば、約100μg〜約5mg、または好ましくは約1mg〜約3mg)を含有することが有利であり得るが、一方、依然として1本のシガレットを喫煙するときに吸入される量とほぼ同等の量のニコチンを使用者に送達することができる。例えば、最大100mg、最大500mg、または最大1gのより高い量のニコチンも、単一のデバイスまたはカートリッジ中に保持され得る。そのようなデバイスおよびカートリッジは、デバイスの補充またはカートリッジの補充もしくは交換が必要になる前に、1日または数日間にわたって複数回使用することを目的とする。そのような量のニコチンは、例えば、ニコチン依存症の治療(例えば、ニコチン中毒)の治療、ニコチン依存症(ニコチン中毒またはニコチン離脱を含む)の症状を治療(または緩和)すること、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、およびうつ病における医療で使用されるデバイス、カートリッジ、および製剤単位で使用され得る。そのような疾患の治療に好適な用量(典型的には、鼻スプレーを介して)は、5〜15mg/日の範囲であり得る。したがって、本発明によるデバイスまたはカートリッジは、1日1回の用量またはその一部(例えば、半分、3分の1、もしくは4分の1)に十分な量を含有し得る。
本発明のさらなる態様によれば、悪心および嘔吐(例えば、化学療法中)、HIV/AIDS(HIV/AIDSに苦しむ患者の食欲の改善を含む)、痛み、神経学的問題(例えば、筋肉のけいれん)、および心的外傷後ストレス障害からなる群から選択される疾患または状態を治療する方法であって、植物材料が、大麻であり、エアロゾルまたは蒸気の形態で1つ以上のカンナビノイド物質を該疾患または状態に苦しむ人に送達する本発明の吸入デバイスの使用を伴う、方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、空腹または渇きを抑える方法、または高山病、疲労、および痛み(例えば、頭痛、リウマチ、傷、およびただれに関連する痛み)からなる群から選択された病気または状態を治療する方法であって、植物材料が、コカ植物から得られ、1つ以上のコカ植物アルカロイドをエアロゾルまたは蒸気の形態で、該疾患または状態に苦しむ人に送達する本発明の吸入デバイスの使用を伴う、方法が提供される。
活性医薬成分を含有する本発明の吸入デバイスは、通常の使用中に薬理学的に有効な量の活性成分を放出することができる。「薬理学的に有効な量」とは、単独でまたは別の活性成分と組み合わせて投与されるかどうかにかかわらず、治療患者に所望の薬理学的または治療効果を与えることができる活性成分の量を指す。そのような効果は、客観的(すなわち、何らかの試験もしくはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、対象が効果の兆候を示す、もしくは効果を感じる)であり得る。
本発明のより好ましい組成物は、(例えば、本明細書に記載のように)投薬間隔にわたって十分な用量の薬物を提供し(単位時間当たりの用量の数に関係なく)、所望の治療効果をもたらす。
したがって、本発明のデバイスで用いられ得る活性成分の量は、個々の患者に最も好適となるものに関して医師または当業者によって決定され得る。これは、治療される特定の患者の年齢、体重、性別、腎機能、肝機能および反応と同様に、治療される状態の種類および重症度によって変わる可能性がある。上述の投与量は、平均の場合の例であり、当然のことながら、より高いまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の事例があり得、それらも本発明の範囲内に含まれる。
本発明のデバイスは、担体材料がマイクロレベル材料で高い圧縮強度レベルを有するため、例えば、破砕、乳棒、および乳鉢、ハンマーなどの従来の方法により、担体材料の意図的な機械的破壊に対する保護を提供し得る。
本発明のデバイス、および特にその中で使用される担体材料は、確立された医薬品処理方法を使用して調製され、食品もしくは医薬品での使用が承認された材料、または同様の規制状況の材料を用い得る利点も有し得る。
本発明のデバイスで使用される担体材料は、従来技術で知られている医薬組成物より効果的であり、毒性が低く、作用が速く、より強力であり、副作用がより少なく、より容易に吸収され、かつ/またはより優れた薬物動態プロファイルを有し、かつ/または他の有用な薬理学的、物理的、もしくは化学的特性を有するという利点も有し得る。これは、本発明のデバイスまたは担体材料(例えば、交換可能なカートリッジの場合)が、プロピレングリコール、グリセリン、またはポリエチレングリコールなどの従来の蒸発促進剤を含まない実施形態の場合に特に当てはまる。
本明細書に記載の担体材料(特に化学結合セラミックおよびジオポリマー)を使用すると、加熱デバイスとともに使用する取り外し可能および交換可能な単位を提供し、加熱下での送達可能な薬剤の放出の許容レベルを達成する一方で、例えば漏れによる貯蔵材料への曝露のリスクを最小限に抑える。担体材料はまた、高温焼結を必要とせずに簡単に製造できるため、導体および磁石などの追加要素を担体材料に組み込んで、加熱プロセスを支援することができる。担体材料構造が形成されるときに植物材料を担体材料に組み込む能力により、存在する送達可能な薬剤の量をより大きく制御することも可能になる。
本明細書で「約」という単語が、寸法(例えば、値、温度、圧力(かけられた力)、相対湿度、サイズおよび重量、粒径または粒度、細孔径、時間枠など)、量(例えば、粒子の相対的な量(例えば、数またはパーセンテージ)、組成物または組成物の成分中の個々の構成成分、およびニコチンの用量、粒子の数などの絶対量)、偏差(定数、劣化の程度などから)の文脈で用いられる場合はいつでも、そのような変数は、近似値であり、したがって、本明細書で指定された数から±10%、例えば±5%、好ましくは±2%(例えば±1%)変化し得ることが理解されよう。
本発明を以下の実施例により説明する。
硬化前、および打錠後硬化の25、48、および144時間後の硫酸カルシウムタブレットの重量、直径、高さ、および粉砕強度を示す図である(n=10〜11)。 打錠後の硬化セラミックタブレットから放出されたe−ジュースとして塗布したニコチンを示す図である(n=3)。 打錠後の硬化セラミックタブレットからのニコチン放出を示す図である(n=3)。 実験デバイスのプロトタイプでの熱処理後、硫酸カルシウムセラミックの用量単位に装入されたタバコから放出されたニコチンの量を示す図である。
実施例1−セラミックタブレットの打錠後硬化
硫酸カルシウムアルファ半水和物(CaS)は、Bo Ehrlander AB(Sweden)から入手した。1.5gのふるい分けされていない硫酸カルシウム粉末を計量し、改良型油圧式ベンチタブレットプレス(Nike Hydraulic,Sweden)の染料に充填し、30MPaの力を使用して圧縮した。パンチの直径は、14mmであった。
硬化
タブレットは、50℃、100%RHの加熱キャビネット(Termaks A/S)中で硬化させた。タブレットは、穴の開いたプレートの下に水を入れて、密封されたデシケーター内の穴の開いたプレートに置き、25、48、または144時間硬化させた。加熱キャビネット中で硬化させた後、分析前にアルミホイルで覆われた周囲の部屋の状態でタブレットを24時間乾燥させた。
タブレット特性
硬化プロセスの効果を調査するために、硬化プロセスの前後にタブレットの重量、タブレットの寸法、および破砕強度を試験した。欧州薬局方試験番号2.9.8 EPに従って破砕強度を実行し、Kraemer Elektronik GmBH,Germanyで0.35mm/sの一定速度で試験を実行した。
結果
得られた結果を図1に示す。
Figure 2020532988
タブレットの重量、直径、および高さは、硬化プロセスの影響を受けなかった。破砕強度は、硬化プロセスの時間が長くなるにつれて著しく増加した。144時間後、破砕強度は硬度計の上限(最大50N)に達した。
結論
破砕強度の増加は、硫酸カルシウムタブレットが打錠後に硬化したことを実証している。
実施例2−後硬化セラミックタブレットからのニコチン放出
実施例1に従って得られ、25時間硬化したタブレットに、Cigoteket(Sweden)を介してRitchy Group Ltdから入手したニコチンe−ジュース溶液(18mg/ml)を装入した。
ニコチンの塗布は、セラミックタブレットの表面上にe−ジュース(0.9mgのニコチンに相当する50μl)を分注することで実行した。塗布後、熱処理および/または分析の前に、タブレットを室温で24時間乾燥させた。
加熱方法
Oven Wilfa EMK 218は、Wilfa,(Norway)から入手した。温度を約200°Cに設定した。温度は、Mastech(USA)からのIR温度計を使用して測定した。タブレットをそれぞれ5分および10分間加熱して、ニコチンを蒸発させた。
ニコチン放出検出
加熱後、残りのニコチンを抽出するために、各タブレットを蒸留水を含むE−フラスコに入れた。24時間後、1mlの抽出物を260.5nmのUV分光光度計で分析した。同時に、加熱されていないタブレットを参照として抽出した。
参照試料について得られた結果は、熱処理前に装入されたニコチンの量を表す。熱処理された試料および参照試料で検出されたニコチンの量の差は、熱処理中に蒸発したニコチンの量を表す。
結果
得られた結果を図2に示す。ニコチン放出は、5分および10分の加熱後にそれぞれ0.25mgおよび0.35mgであり、参照試料の58%および81%のニコチンに相当した。
結論
打錠後硬化セラミックタブレットは、表面上にe−ジュースでニコチンを装入でき、加熱するとニコチンを放出する。
実施例3−打錠後硬化セラミックタブレットからのニコチン放出
実施例1に従って得られ、48時間硬化したタブレットに、BGP Healthcare pvt Ltd(India)からのニコチン(純粋)EPを装入した。ニコチンの塗布は、セラミックタブレットの表面上に分注することにより行った(20mgのニコチンに相当する20μl)。塗布後、熱処理および/または分析の前に、タブレットを室温で24時間乾燥させた。
加熱方法
Oven Wilfa EMK 218は、Wilfa,(Norway)から入手した。温度を約200°Cに設定した。温度は、Mastech(USA)からのIR温度計を使用して測定した。タブレットをそれぞれ5分および10分間加熱して、ニコチンを蒸発させた。
ニコチン放出検出
加熱後、残りのニコチンを抽出するために、各タブレットを、蒸留水を含むE−フラスコに入れた。24時間後、1mlの抽出物を260.5nmのUV分光光度計で分析した。同時に、加熱されていないタブレットを参照として抽出した。
参照試料について得られた結果は、熱処理前に装入されたニコチンの量を表す。熱処理された試料および参照試料で検出されたニコチンの量の差は、熱処理中に蒸発したニコチンの量を表す。
結果
得られた結果を図3に示す。ニコチン放出は、タブレット表面にニコチンを塗布したセラミックタブレットを加熱することにより実証した。ニコチン放出は、5分および10分の加熱後にそれぞれ3.2mgおよび3.5mgであり、参照の43%および47%に相当した。
結論
打錠後硬化セラミックタブレットは、表面上に純粋なニコチンを装入でき、加熱するとニコチンを放出する。
実施例4−E−シガレットデバイスの実験室プロトタイプでのタバコセラミック用量単位の加熱
硫酸カルシウムアルファ半水和物(CaS)は、Bo Ehrlander AB(Sweden)から入手した。硫酸カルシウムをふるいにかけ、使用した画分は、100μm未満の粒子であった。シガレットタバコJohn Silver Gray(JTI Sweden)は、コーヒーグラインダー(Clatronic KSW 3306,Clatronic International GmbH,Germany)で製粉した。ロッドはシリコンゴム型で形作った(ロッド:φ6mm、長さ12mm)。
乳鉢および乳棒を使用して、7.5gの硫酸カルシウムを0.26gのタバコと体積希釈して混合した。3mlの蒸留水を粉末混合物に添加し、混合して均一なペーストを形成し、それを型に充填した。型にペーストを充填した後、周囲条件下で少なくとも24時間乾燥するように設定した。
加熱方法
e−シガレット実験デバイスのプロトタイプ(実験デバイスプロトタイプv2)は、Devex Mekatronik AB(Sweden)から入手した。セラミック用量単位をガラス製の小さな試験管中に位置付けし、300℃に設定されたヒートブロック中に位置付けした。
ニコチン放出検出−模擬吸入
試験管は、ルアーロック接続を備えたピークチューブ(長さ約25cm、φ0.030インチ(0.76mm))を介して20mlのプラスチック製シリンジに接続した。プラスチック製シリンジに1mlの蒸留水を充填し、ピストンを圧縮してほとんどの空気を除去した。吸入を模擬実験するために、ピストンをゆっくりと連続的な動きで引っ張った(約30秒間で約20ml)。注射器を少なくとも1分間激しく振とうすることにより、収集された気化ニコチンを蒸留水に抽出した。各時点で、すなわち、セラミック試料をヒートブロック中の試験管に入れてから1、3、5分後に、3回の模擬吸入を実行した。抽出した水試料中のニコチン含有量を逆相HPLC−UV(260nmで検出)で分析した。
参照試料を試験して、熱処理前に装入されたニコチンmg/g硫酸カルシウムの量を決定した。
結果
ニコチン放出は、タバコを装入したセラミック用量単位を加熱することにより実証した。図4は、実験デバイスのプロトタイプでの熱処理後、硫酸カルシウムセラミックの用量単位に装入されたタバコから放出されたニコチンの量を示す。(比較のための)非加熱参照用量単位は、平均で0.57mgが含有されていた(n=3)。
結論
セラミック用量単位にタバコを装入することができ、加熱するとニコチンを放出する。
実施例5−E−シガレットデバイスの実験室プロトタイプでのタバコおよびニコチンセラミック用量単位の加熱
硫酸カルシウムアルファ半水和物(CaS)は、Bo Ehrlander AB(Sweden)から入手した。シガレットタバコJohn Silver Gray(JTI Sweden)は、乳鉢および乳棒を使用して製粉した。タブレットは、プラスチック製ブリスターパックで形作った(幅6mm、長さ12mm、片側が平坦)。
ガラスビーカー中で、5.0gの硫酸カルシウムを0.17gのタバコと混合した。0.66gのグリセロール(AB Unimedic,Sweden)および0.15gの純粋なニコチン(BGP Healthcare pvt,India)を2gの蒸留水と混合し、粉末混合物に添加し、混合して均一なペーストを形成し、型に充填した。型にペーストを充填した後、室温のビニール袋中で少なくとも24時間乾燥するように設定した。
加熱方法
e−シガレット実験デバイスのプロトタイプ(実験デバイスプロトタイプv2)は、Devex Mekatronik AB(Sweden)から入手した。セラミック用量単位をガラス製の小さな試験管中に位置付けし、300℃に設定されたヒートブロック中に位置付けした。
ニコチン放出検出−模擬吸入
20mlのプラスチック製シリンジを試験管の開口部に入れた。吸入を模擬実験するために、ピストンをゆっくりと連続的な動きで引っ張った(約20秒間で約20ml)。1mlの蒸留水を注射器に添加し、注射器を少なくとも1分間激しく振とうすることにより、収集した気化ニコチンを蒸留水に抽出した。各時点で、すなわち、セラミック試料をヒートブロック中の試験管に入れてから1、2、3、5、7、および10分後に、3回の模擬吸入を実行した。水試料中のニコチン含有量は、260.5nmのUV分光光度法で分析した。
参照試料を試験して、熱処理前に装入されたニコチンmg/gタブレットの量を決定した。ニコチンの抽出のために、各タブレットを蒸留水とともにプラスチックチューブに入れた。24時間後、1mlの抽出物を260.5nmのUV分光光度計で分析した。
結果
ニコチン放出は、タバコ、ニコチン、およびグリセロールを装入したセラミック用量単位を加熱することにより実証した。図5は、実験デバイスのプロトタイプでの熱処理後、硫酸カルシウムセラミックの用量単位に装入されたタバコおよびニコチンから放出されたニコチンの量を示す。(比較のための)非加熱参照用量単位は、平均で13.0mg/gが含有されていた(n=2)。セラミック用量単位の平均重量は、0.3g(n=7)であった。
結論
セラミック用量単位にタバコ、ニコチン、およびグリセロールを装入することができる。加熱すると、ニコチンが放出された。
実施例6−E−シガレットデバイスの実験室プロトタイプでニコチンを装入したタバコセラミック用量単位の加熱
硫酸カルシウムアルファ半水和物(CaS)は、Bo Ehrlander AB(Sweden)から入手した。シガレットタバコJohn Silver Gray(JTI Sweden)は、乳鉢および乳棒を使用して製粉した。タブレットは、プラスチック製ブリスターパックで形作った(幅6mm、長さ12mm、片側が平坦)。
ガラスビーカー中で、2.5gの硫酸カルシウムを0.086gのタバコと混合した。0.33gのグリセロール(AB Unimedic,Sweden)を1gの蒸留水と混合し、粉末混合物に添加し、混合して均一なペーストを形成し、これを型に充填した。型にペーストを充填した後、室温のビニール袋中で少なくとも24時間乾燥するように設定した。
ニコチンの塗布は、純粋なニコチン(BGP Healthcare pvt,India)と蒸留水(5.4mgのニコチンに相当する20μl)との混合物をセラミックタブレットの表面上に分注することによって実行した。
加熱方法
e−シガレット実験デバイスのプロトタイプ(実験デバイスプロトタイプv2)は、Devex Mekatronik AB(Sweden)から入手した。セラミック用量単位をガラス製の小さな試験管中に位置付けし、300℃に設定されたヒートブロック中に位置付けした。
ニコチン放出検出−模擬吸入
20mlのプラスチック製シリンジを試験管の開口部に入れた。吸入を模擬実験するために、ピストンをゆっくりと連続的な動きで引っ張った(約20秒間で約20ml)。1mlの蒸留水を注射器に添加し、注射器を少なくとも1分間激しく振とうすることにより、収集した気化ニコチンを蒸留水に抽出した。各時点で、すなわち、セラミック試料をヒートブロック中の試験管に入れてから1、2、3、5、7、および10分後に、3回の模擬吸入を実行した。水試料中のニコチン含有量は、260.5nmのUV分光光度法で分析した。
参照試料を試験して、ニコチンmg/gタブレットの量を決定した。ニコチンの抽出のために、各タブレットを蒸留水とともにプラスチックチューブに入れた。24時間後、1mlの抽出物を260.5nmのUV分光光度法で分析した
結果
ニコチン放出は、タバコ、ニコチン、およびグリセロールを装入したセラミック用量単位を加熱することにより実証した。図6は、実験デバイスのプロトタイプでの熱処理後、硫酸カルシウムセラミックの用量単位に装入されたタバコおよびニコチンから放出されたニコチンの量を示す。(比較のための)非加熱参照用量単位は、平均で15.5mg/gが含有されていた(n=3)。セラミック用量単位の平均重量は、0.3g(n=6)であった。
結論
セラミック用量単位に硬化前にタバコおよびグリセロールを装入でき、硬化後にニコチンを塗布できる。加熱すると、ニコチンが放出された。

Claims (24)

  1. エアロゾルまたは蒸気の形態で送達可能な薬剤を使用者に送達するためのデバイスであって、
    前記デバイスが、固体の多孔質担体材料、および前記送達可能な薬剤を含む植物材料を含み、
    前記植物材料が、前記担体材料の空隙内に配置され、
    前記デバイスが、前記担体材料を加熱し、前記送達可能な薬剤を蒸発させるように動作可能である、デバイス。
  2. 前記固体の多孔質担体材料が、約10%〜約80%の多孔度を有する、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記植物材料が、約10μm〜約3000μmの平均粒径を有する細かく分割された形態で提供される、請求項1または2に記載のデバイス。
  4. 前記送達可能な薬剤を含有する前記植物材料が、主に前記担体材料中の空隙内に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
  5. 前記デバイスが、前記固体の多孔質担体材料の重量に対して、約0.5重量%〜約70重量%の植物材料を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
  6. 前記植物材料が、単一の植物種または複数の植物種から得られた植物細胞物質を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
  7. 前記植物材料が、植物細胞断片および/または植物細胞を含む、請求項6に記載のデバイス。
  8. 前記植物材料が、タバコ植物、コカ植物、または大麻植物から得られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
  9. 前記担体材料が、第2の送達可能な薬剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のデバイス。
  10. 前記第2の送達可能な薬剤が、前記デバイス中の前記植物材料中に含まれる前記送達可能な薬剤と同じである、請求項9に記載のデバイス。
  11. 前記第2の送達可能な薬剤が、少なくとも前記担体材料内の細孔内に配置される、請求項9または10に記載のデバイス。
  12. 前記担体材料が、1つ以上の化学結合セラミック材料、1つ以上のジオポリマー材料、または1つ以上の金属に基づく、請求項1〜11のいずれか一項に記載のデバイス。
  13. 前記担体材料が、以下からなるリストから選択される、請求項12に記載のデバイス:
    (i)アルミノシリケート前駆体材料を水性アルカリ性液体と反応させるプロセスにより得られる材料、ならびに
    (ii)リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、およびそれらの組み合わせ。
  14. 前記担体材料が、(i)硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、または(ii)カオリン、ディッカイト、ハロイサイト、ナクライト、ゼオライト、イライト、脱ヒドロキシル化ゼオライト、脱ヒドロキシル化ハロイサイト、およびメタカオリンからなる群から選択されるアルミノシリケート前駆体材料を、任意でシリカ源の存在下で、水性アルカリ性液体と反応させるプロセスによって得られる材料である、請求項12に記載のデバイス。
  15. 前記送達可能な薬剤が、ニコチン、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のデバイス。
  16. 前記デバイスが、前記植物材料に関連しないある量のニコチンを含む、請求項15に記載のデバイス。
  17. 前記デバイスが、約8mg〜約20mgのニコチンを含有する、請求項15または16に記載のデバイス。
  18. 前記担体材料、前記植物材料、および前記送達可能な薬剤が、交換可能なカートリッジ中に一緒に提供される、請求項1〜17のいずれか一項に記載のデバイス。
  19. 前記交換可能なカートリッジが、本質的に、前記担体材料、前記植物材料、前記送達可能な薬剤、ならびに任意で導電材料の粒子および/または蒸発促進剤、香料、および味覚増強剤からなる群から選択される1つ以上の物質からなる、請求項18に記載のデバイス。
  20. 前記担体材料を加熱するように動作可能な発熱体をさらに備える、請求項1〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
  21. 前記発熱体が、前記担体材料の近位に配置される、請求項20に記載のデバイス。
  22. 吸入デバイスで使用するためのカートリッジまたは単位用量製品であって、前記カートリッジまたは単位用量製品が、
    (i)任意で、請求項1および12〜14のいずれか一項で定義される1つ以上の化学結合セラミック材料または1つ以上のジオポリマー材料に基づく固体多孔質担体材料、ならびに
    (ii)前記担体材料中の空隙内に配置される、請求項1および6〜8のいずれか一項で定義される送達可能な薬剤を含む植物材料、を含有する、カートリッジまたは単位用量製品。
  23. 導電材料の粒子をさらに含有する、請求項22に記載のカートリッジまたは単位用量製品。
  24. 蒸気またはエアロゾルの形態で、送達可能な薬剤を使用者に送達する方法であって、
    (a)
    (i)請求項1および12〜14のいずれか一項で定義される固体の多孔質担体材料、および
    (ii)請求項1および6〜8のいずれか一項で定義される送達可能な薬剤を含む植物材料であって、前記担体材料中の空隙内に配置される、植物材料、を含む物品を提供すること、ならびに
    (b)前記担体材料を加熱して、前記送達可能な薬剤を蒸発させること、を含む、方法。
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