本開示の実施形態は、電子装置を冷却するとともに、水分、産業用ガス/工場排ガス及び塵埃から電子装置を保護する電子装置冷却システムを含む。電子装置冷却システムは、筐体の周囲の流体と相互作用しないように、電子装置の筐体内で循環する第1の冷却流体を閉じ込めるために密閉された(又は略密閉された)電子装置の筐体を備える。例えば、第1の冷却流体は空気であってよく、電子装置の筐体は、この空気を閉じ込め、電子装置の筐体の内側の空気と電子装置の筐体の外側の湿気又は汚れた空気との相互作用を排除又は低減する。第1の冷却流体が電子装置の筐体内を循環すると、第1の冷却流体は強制対流により熱を除去することにより電子装置を冷却する。第1の冷却流体は、熱交換器でこのエネルギーを第2の冷却流体(例えば、水、冷媒)に放出する。第2の冷却流体は、暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システムの一部を形成するチラーなどの蒸気圧縮システムによってもたらされ得る。電子装置冷却システムは密閉されているため、電子装置冷却システムは、様々な環境(例えば、産業、海洋、砂漠、熱帯、沿岸地域など)において外気に直接さらされることなく電子装置を冷却及び保護する。
第2の冷却流体は、差圧によって熱交換器を介して駆動され得る、及び/又はポンプによって駆動され得る。例えば、圧力差は、蒸発器チューブバンドルの両端の間に電子装置冷却システムを流体的に結合することにより生じ得る。このようにして、蒸発器を流れるより高い圧力の第2の冷却流体のごく一部が、電子装置冷却システムに迂回される。次いで、第2の冷却流体は、第1の冷却流体を冷却するために電子装置冷却システムの熱交換器を通って流れ、その後、より低い圧力の第2の冷却流体が蒸発器チューブバンドルから出ることによって電子装置冷却システムから引き出される。いくつかの実施形態では、電子装置冷却システムの供給ライン及び戻りラインがHVAC&Rシステムの他の場所に結合して、電子装置冷却システムを通して第2の冷却流体をポンプなしで駆動する差圧を生じさせることができる。したがって、電子装置冷却システムは、第2の冷却流体を熱交換器に通して駆動するのにポンプを使用しないため、潜在的な製造コスト及び/又は運用コストを削減すると同時に、電子装置冷却システムの信頼性を高め得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2の冷却流体は、ポンプにより電子装置冷却システムを通して駆動される場合もある。さらに他の実施形態では、ポンプは、HVAC&Rシステムの差圧によって補助される場合もある。
ここで図面を参照すると、図1は、建物12の暖房、換気、空調、及び冷凍(HVAC&R)システム10のための環境の一実施形態の斜視図である。同様の構成は外航船にも適用可能である。HVAC&Rシステム10は、建物12を冷却するために使用され得る冷却した液体を供給する蒸気圧縮システム14(例えば、チラー)を備え得る。HVAC&Rシステム10はまた、建物12を加熱する温かい液体を供給するボイラー16と、建物12を通して空気を循環させる空気分配システム18とを備え得る。空気分配システム18はまた、空気戻りダクト20、空気供給ダクト22、及び/又は空気調和機24を備えることができる。いくつかの実施形態では、空気調和機24は、導管26によってボイラー16及び蒸気圧縮システム14に接続された熱交換器を備え得る。空気調和機24の熱交換器は、HVAC&Rシステム10の動作モードに応じて、ボイラー16からの加熱された液体又は蒸気圧縮システム14からの冷却された液体のいずれかを受けることができる。HVAC&Rシステム10は、建物12の各フロア28に個別の空気調和機24を備えて示されているが、他の実施形態では、HVAC&Rシステム10は、フロア28間で共有され得る空気調和機24及び/又は他のコンポーネントを備え得る。
図2及び図3は、HVAC&Rシステム10で使用され得る蒸気圧縮システム14の実施形態を示している。具体的には、図2は蒸気圧縮システム14の斜視図であり、図3は蒸気圧縮システム14の概略図である。蒸気圧縮システム14は、圧縮機32から始まる回路に冷媒を循環させることができる。回路はまた、凝縮器34、膨張弁又は膨張装置36、及び蒸発器38を備え得る。蒸気圧縮システム14は、蒸気圧縮システム14を動作させるための様々な電子装置を格納する電子装置の筐体40をさらに備え得る。電子装置の筐体40に格納され得る電子装置のいくつかとしては、デジタル(A/D)変換器、マイクロプロセッサ、不揮発性メモリ、インターフェースボードなどが挙げられる。以下により詳細に説明するように、電子装置の筐体40は、上で説明した電子装置を冷却する電子装置冷却システム42の一部を形成する。いくつかの実施形態では、電子装置の筐体40は、電子装置が湿気及び塵埃のある環境にさらされるのを低減及び/又は阻止する密閉された容器である。いくつかの実施形態では、電子装置の筐体40は、電動機の可変速ドライブ(VSD)52を収容する筐体又は電動機の磁気軸受を制御するコンポーネントを収容する筐体と同じであり得る。
蒸気圧縮システム14において冷媒として使用され得る流体のいくつかの例としては、R−410A、R−407、R−134a、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、R1233zd、R1234zeなどのハイドロフルオロカーボン(HFC)系の冷媒、アンモニア(NH3)R−717、二酸化炭素(CO2)、R−744、若しくは炭化水素系の冷媒、水蒸気などの「自然系」冷媒、又は任意の他の適切な冷媒が挙げられる。いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、R−134aなどの中圧冷媒に対して低圧冷媒とも呼ばれる1気圧の圧力で摂氏約19度(華氏86度)の標準沸点を有する冷媒を効率的に利用するように構成され得る。本明細書で使用される場合、「標準沸点」は、1気圧の圧力で測定された沸点温度を指し得る。
いくつかの実施形態では、蒸気圧縮システム14は、以下のコンポーネント、すなわち、可変速ドライブ52、電動機50、圧縮機32、凝縮器34、膨張弁若しくは膨張装置36、及び/又は蒸発器38のうちの1つ又は複数を使用し得る。電動機50は、圧縮機32を駆動し、可変速ドライブ(VSD)52により駆動され得る。VSD 52は、AC電源から特定の固定ライン電圧及び固定ライン周波数を有する交流(AC)電力を受け、可変電圧及び周波数を有する電力を電動機50に提供する。他の実施形態では、電動機50は、AC又は直流(DC)電源から直接電力を供給され得る。電動機50は、スイッチドリラクタンスモータ、誘導電動機、電子整流永久磁石電動機、又は別の適切な電動機など、VSD 52によって駆動され得る、又はAC若しくはDC電源から直接電力を供給され得る任意のタイプの電動機を含み得る。いくつかの実施形態では、圧縮機32及び/又は電動機50は、動作中の摩擦及び/又は雑音を低減し、圧縮機/電動機の信頼性を高めるために磁気軸受54を使用し得る。磁気軸受54は、電子装置の筐体40内に収容された電子装置で制御され得る。上で説明したように、電子装置冷却システム42が蒸気圧縮システム14によって供給される冷却流体(例えば、水、冷媒)を使用して電子装置を冷却する際に、電子装置の筐体40は電子装置を塵埃及び水分から保護し得る。
圧縮機は、冷媒蒸気を圧縮し、蒸気を放出通路を介して凝縮器34に送達する容積式装置32であり得る。いくつかの実施形態では、圧縮機32は遠心圧縮機であり得る。圧縮機32によって凝縮器34に送達される冷媒蒸気は、凝縮器34内の冷却流体(例えば、水又は空気)に熱を伝達し得る。冷媒蒸気は、冷却流体との熱伝達の結果、凝縮器34で凝縮して冷媒液になり得る。凝縮器34からの液体冷媒は、膨張装置36を通って蒸発器38に流れ得る。図3に示された実施形態では、凝縮器34は、水冷され、且つ冷却塔56(又は容器を取り囲む水体)に接続されたチューブバンドル55を備え、チューブバンドル55が冷却流体を凝縮器34に供給する。
蒸発器38に送達された液体冷媒は別の冷却流体からの熱を吸収することもでき、この別の冷却流体は凝縮器34で使用される冷却流体と同じであってもそうでなくてもよい。蒸発器38内の液体冷媒は、液体冷媒から冷媒蒸気への相変化を経ることもできる。図3に示された実施形態に示されるように、蒸発器38は、冷却流体供給ライン60S及び戻りライン60Rに結合するチューブバンドル58を備え得る。供給ライン60S及び戻りライン60Rは、チラー14を冷却負荷62に接続する。蒸発器38の冷却流体(例えば、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、又は任意の他の適切な流体)は、戻りライン60Rを介して蒸発器38に入り、供給ライン60Sを介して蒸発器38を出る。蒸発器38は、冷媒との熱伝達によりチューブバンドル58内の冷却流体の温度を下げることができる。蒸発器38のチューブバンドル58は、複数のチューブ及び/又は複数のチューブバンドルを備え得る。いずれにせよ、蒸気冷媒は蒸発器38を出て、吸引ラインにより圧縮機32に戻って、サイクルを完了する。
図示のように、電子装置冷却システム42は、蒸発器38内のチューブバンドル58に結合して、HVAC&Rシステム10からの冷却流体の流れを受けることができる。電子装置冷却システム42は、HVAC&Rシステム10からの冷却流体(例えば、水)を使用して、電子装置の筐体40内の電子装置を冷却する。上で説明したように、電子装置冷却システム42はポンプを備えなくてもよく、代わりにHVAC&Rシステム10における圧力の差を使用して、電子装置冷却システム42を通して冷却流体の流れを駆動できる。例えば、電子装置冷却システム42の供給ライン64は、戻りライン60Rを通って流れる冷却流体を受けるチューブバンドル58の端部に入り込むことができる。電子装置冷却システム42を通過した後、冷却流体は電子装置の筐体40内に配置された電子装置からエネルギーを吸収するため、冷却流体の温度及び圧力が上昇する。次いで、冷却流体は、戻りライン66を介してチューブバンドル58の供給ライン側に戻される。蒸発器38内のこの位置では、蒸発器38内の冷却流体の圧力は、蒸発器38から供給ライン64を通って迂回した冷却流体の圧力よりも低い。この圧力の差により、電子装置冷却システム42を通して冷却流体の流れがポンプなしで駆動される。
いくつかの実施形態では、電子装置冷却システム42の供給ライン64及び戻りライン66が蒸気圧縮システム14の他の場所に結合して、電子装置冷却システム42を通して冷却流体を駆動する差圧を形成することができる。例えば、供給ライン64(すなわち、破線の供給ライン64)は、膨張弁/膨張装置68を通過した後に凝縮器34を出る冷却流体(例えば、冷媒)を受けることができる。供給ライン64は、冷却流体が戻りライン66(すなわち、破線の戻りライン66)を通って出る前にチルプレート/コールドプレートを通して第1の流体又は電子装置を冷却する電子装置冷却システム42を通して、冷却流体を差し向ける。次いで、戻りライン66は冷却流体(すなわち、冷媒)を蒸発器38に戻すことができるが、それは、膨張弁68を出る冷却流体が蒸発器38内の冷却流体よりも高い圧力であり、圧力差がポンプなしで電子装置冷却システム42を通る冷却流体の流れを駆動するためである。
しかしながら、いくつかの実施形態では、冷却流体は、1つ又は複数のポンプ72により電子装置冷却システム42を通して駆動される場合もある。さらに他の実施形態では、ポンプ72は、HVAC&Rシステム10の差圧によって補助され得る。
図4は、凝縮器34と蒸発器38との間に組み込まれた中間回路84を備えた蒸気圧縮システム14の概略図である。中間回路84は、凝縮器34に直接流体接続される入口ライン88を有し得る。他の実施形態では、入口ライン88は、凝縮器34に間接的に流体的に結合され得る。図4に示された実施形態に示されるように、入口ライン88は、中間容器90の上流に配置された第1の膨張装置86を備える。いくつかの実施形態では、中間容器90はフラッシュタンク(例えば、フラッシュインタークーラー)であり得る。他の実施形態では、中間容器90は直接膨張式熱交換器又はエコノマイザとして構成され得る。図4に示された実施形態では、中間容器90はフラッシュタンクとして使用され、第1の膨張装置86は、凝縮器34から受けた液体冷媒の圧力を下げる(例えば、膨張させる)ように構成される。膨張プロセスの間、液体の一部が蒸発することができ、したがって、中間容器90を使用して、第1の膨張装置86から受けた液体から蒸気を分離できる。加えて、中間容器90は、中間容器90に入るときに液体冷媒が経る圧力低下(例えば、中間容器90に入るときに経る体積の急激な増加に起因する圧力低下)のために、液体冷媒のさらなる膨張をもたらすことができる。中間容器90内の蒸気は、圧縮機32によって、入口ライン94を介して圧縮機32の中間圧力ポートに引き込まれ得る。他の実施形態では、中間容器90内の蒸気は、圧縮機32の中間段に引き込まれ得る。中間容器90に集まる液体は、膨張装置86及び/又は中間容器90における膨張のために、凝縮器34を出る液体冷媒よりも低いエンタルピーにあり得る。次いで、中間容器90からの液体は、ライン92を流れて、第2の膨張装置36を通って蒸発器38に流れ得る。
図示のように、電子装置冷却システム42は蒸気圧縮システム14からの冷却流体を受ける。電子装置冷却システム42は、熱交換器を使用して電子装置の筐体40内の電子装置を冷却するために冷却流体を使用する。上で説明したように、電子装置冷却システム42はポンプを備えなくてもよく、代わりに蒸気圧縮システム14における圧力の差を使用して、電子装置冷却システム42を通して冷却流体の流れを駆動できる。例えば、電子装置冷却システム42への供給ライン96は、中間容器90から蒸発器38へ液体冷却流体(すなわち、冷媒)を運ぶライン92に入り込むことができる。電子装置冷却システム42を通過した後、冷却流体の温度が上昇する。冷却流体はライン98を通って蒸発器38に戻され、蒸発器38はライン92を通って流れる冷却流体よりも低い圧力にある。図示のように、戻りライン98は蒸発器38に結合する。ライン92を出る冷却流体が蒸発器38内の圧力よりも高い圧力にあるため、圧力差により、ポンプなしで電子装置冷却システム42を通して冷却流体の流れが駆動される。しかしながら、いくつかの実施形態では、ポンプ72が、供給ライン95を介して電子装置冷却システム42に冷却流体(すなわち、蒸発器38からの液体冷媒)を補助及び/又は駆動し、冷却流体を戻りライン97を介して蒸発器38に戻すことができる。
図5は、電子装置冷却システム42の一実施形態の断面図である。上で説明したように、電子装置の筐体40は電子装置冷却システム42の一部を形成する。電子装置の筐体40は、電子装置が環境中の水分、工場排ガス/産業用ガス、及び塵埃にさらされるのを低減及び/又は阻止する密閉された容器である。図示のように、電子装置の筐体40は、第2の筐体102に結合された第1の筐体100を備える。第1の筐体100及び第2の筐体102は、出口104及び入口106により互いに流体結合される。いくつかの実施形態では、複数の入口106及び出口104があり得る(例えば、2、3、4、5、又はそれ以上)。出口104及び入口106により、冷却流体108(例えば、空気)が第1の筐体100の第1の空洞110と第2の筐体102の第2の空洞112との間を循環して電子装置114を冷却できる。電子装置114は、マイクロチップ、集積回路、電源、トランジスタ、抵抗、インダクタ、変圧器、IGBTなどを含むことができる。好都合にも、電子装置冷却システム42は、冷却流体108と電子装置の筐体40の外側の流体との間の直接の相互作用を制限及び/又は阻止する。このようにして、電子装置の筐体40は、電子装置114が環境中の水分、工場排ガス/産業用ガス、及び/又は塵埃にさらされるのを阻止及び/又は低減することができる。例えば、冷却流体108(例えば、空気)は、電子装置の筐体40の外側を循環する湿った/湿気の多い空気にさらされないでいられる。
冷却流体108から熱を除去するために、電子装置冷却システム42は熱交換器116(例えば、気体−液体式熱交換器)を備える。熱交換器116は、供給ライン120を介して第2の冷却流体118を受ける。第2の冷却流体118は、蒸気圧縮システム14から来ており、冷媒、水などであり得る。熱交換器116では、第2の冷却流体118は、電子装置の筐体40内で循環する第1の冷却流体108とエネルギーを交換する。熱交換器116でエネルギーを交換した後、第2の冷却流体118はより高い温度で熱交換器116を出る。次いで、第2の冷却流体118は、電子装置冷却システム42から戻りライン122を通ってHVAC&Rシステム10に運ばれる。
熱交換器116を出た後、第1の冷却流体108は、ファン124を使用して第2の筐体102内に駆動される。より具体的には、ファン124は、第1の冷却流体108を熱交換器116を通して引き出し、次に、第1の冷却流体108を出口104を通して入口プレナム152に吹き込む。出口104を通過した後、第1の冷却流体108はバッフルシステム126に接触する。図示のように、バッフルシステム126は、第2の筐体102を通る冷却流体108の流れを方向転換及び制御する。バッフルシステム126は、バッフルプレート128と分離板130とを備える。分離板130は、第2の筐体102に結合し、バッフルプレート128を筐体壁134から距離132だけ離して配置させる。特定の実施形態では、距離132は、冷却流体108の流れ及び圧力低下を最適化するように選択され得る。バッフルプレート128を筐体壁134から離して配置することに加えて、分離板130はまた、出口104を入口106から隔てて、入口プレナム152及び出口プレナム154を形成する。したがって、冷却流体108が出口104を通って第1の筐体100を出ると、分離板130は、第1の冷却流体108がバッフルプレート128及び取り付けられた電子装置114を通過することなく直接入口106に流れるのを阻止する。
第1の冷却流体108が出口104を出ると、第1の冷却流体108はバッフルプレート128の後面136に接触する。したがって、第1の冷却流体108は、入口プレナム152内で軸方向138(例えば、垂直)に上向きに差し向けられる。第1の冷却流体108が上向きに流れると、第1の冷却流体108はバッフルプレート128を通過する。バッフルプレート128を通過した後、第1の冷却流体108は軸方向140(例えば、下向き)に流れる。このことにより、第1の冷却流体108が方向140に流れるときに電子装置114を冷却するカスケード冷却効果が生み出される。次いで、第1の冷却流体108は、バッフルプレート128の底部の周りを流れ、そこで第1の冷却流体108が第2の筐体102の壁134と接触する。壁134及びバッフルプレート128は、第1の冷却流体108を、出口プレナム154を通して軸方向138に上向きに差し向ける。上で説明したように、分離板130は、出口104と入口106との間の直接的な流体の流れを阻止する。したがって、第1の冷却流体108は、入口106を通って熱交換器116内に駆動され、熱交換器116において第2の冷却流体118とエネルギーを再び交換する。
電子装置の筐体40は密閉されているため、第1の冷却流体108の水分は増加しない場合もある。しかしながら、第1の冷却流体108中の元の水分は、熱交換器116及び供給ライン120が最も冷たい表面を作り出す空洞110内で凝縮し得る。電子装置の筐体40からの液体の除去を促進するために、電子装置冷却システム42は凝縮液ブリーザーバルブ142を備える。凝縮液ブリーザーバルブ142は、電子装置の筐体40内への外部(周囲)の流体の流れを阻止及び/又は低減しながら、液体が電子装置の筐体40から出ることができるようにする。凝縮液ブリーザーバルブ142は、第1の冷却流体108が熱交換器116を出るときに第1の冷却流体108において凝縮する液体を捕らえるために、第1の筐体100に配置され得る。換言すれば、第1の冷却流体108が熱交換器116を出ると、液体が第1の冷却流体108から凝縮し、重力により方向140に第1の筐体100の底部へ落下し得る。次いで、液体は凝縮液ブリーザーバルブ142に流れ、そこで第1の筐体100の外へ方向140に差し向けられる。したがって、このプロセスは、空洞110及び112内に乾燥した冷たい空気を生成し、これが電子装置114を冷却して水分から保護する。さらに、電子装置114からの凝縮の排除並びに電子装置114から形成される凝縮液の分離を促進するために、熱交換器116は第1の筐体100内に配置される。上で説明され、図5からわかるように、第1の筐体100及び第2の筐体102は、第1の筐体100で形成された最小限の凝縮液が第2の筐体102に流入するのを阻止する壁134によって分離される。
いくつかの実施形態では、第1の筐体100と第2の筐体102とは互いに結合する別個の筐体である。例えば、第1の筐体100と第2の筐体102とは留め具144で互いに結合されてもよい。結合されると、第1の筐体100及び第2の筐体102は、外部(周囲)流体が電子装置の筐体40に入るのを阻止及び/又は低減する流体密封シールを形成し得る。流体密封シールは、ガスケット、溶接、ポリマーシール(例えば、Oリングなど)、ろう付け、接着剤などのシール要素156を使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、第1の筐体100及び第2の筐体102は、互いに一体(例えば、ワンピース)であってもよい。図示の第1の筐体100及び第2の筐体102は異なるサイズを有しているが、いくつかの実施形態では、それらは同じサイズであってもよい。
空洞110及び112へのアクセスを容易にするために、第1の筐体100及び第2の筐体102はアクセスパネルを有し得る。例えば、第1の筐体100はファンアクセスパネル146を備え得る。ファンアクセスパネル146は、1つ又は複数の留め具148(例えば、ボルト、ねじなどのねじ式留め具)で第1の筐体100に結合する。ファンアクセスパネル146は、ファン124の交換及び/又はメンテナンスのためのアクセスを可能にする。筐体40に結合されると、ファンアクセスパネル146は、ガスケット、ろう付け、接着剤などを使用して第1の筐体100と流体密封シールを形成して、電子装置の筐体40の外部の周囲の流体との接触を阻止及び/又は低減する。電子装置114はまた、第2の筐体102に結合する筐体パネル150を介してアクセスされ得る。筐体パネル150は、留め具(例えば、ボルト、ねじなどのねじ式留め具)で第2の筐体102に同様に結合し得る。筐体パネル150はまた、ガスケット、ろう付け、接着剤などを使用して、電子装置の筐体40の外部の周りの流体との接触を阻止及び/又は低減するために、第2の筐体102と流体密封シールを形成し得る。
図6は、電子装置冷却システム42の一実施形態の断面図である。図6の電子装置冷却システム42は、第1の冷却流体108を第1の筐体100及び第2の筐体102を通して循環させて、電子装置114を冷却する。しかしながら、追加的な冷却を提供するために、電子装置冷却システム42は1つ又は複数のチルプレート(コールドプレート)170を備え得る。チルプレート(コールドプレート)170は、1つ又は複数の電子部品114からの熱伝達を高め得る。例えば、いくつかの電子部品114は、他のものよりも多くの熱を発生する場合がある。したがって、これらの電子部品114は、電子装置冷却システム42の熱伝達要件を増やし得る。したがって、電子装置冷却システム42は、電子装置から第2の冷却流体118へのより直接的な熱伝達を可能にするために、チルプレート(コールドプレート)170を備えることができる。チルプレート(コールドプレート)170は、図6に示されるように、第2の冷却流体118を直接受けて循環させることができる。供給ライン120及び戻りライン122は、それぞれT継手172及び174を備え得る。T継手172、174は、図6に示されるように、第2の冷却流体118が熱交換器116及びチルプレート(コールドプレート)170との間で流れることを可能にする。第2の冷却流体118は水又は冷媒であり得る。
チルプレート(コールドプレート)170は第2の筐体102内に位置するため、チルプレート(コールドプレート)170は第2の筐体102内で凝縮液を形成し得る。チルプレート(コールドプレート)170によって形成される凝縮液と電子装置114との間の接触の可能性を減らすために、チルプレート(コールドプレート)170をバッフルプレート128の底部に方向140で配置できる。したがって、チルプレート(コールドプレート)170上に凝縮液が形成される場合、凝縮液は、いかなる他の電子装置114とも接触することなく、方向140に第2の筐体102の底部へ落下し得る。凝縮液を除去するために、第2の筐体102は第2の凝縮液ブリーザーバルブ142、176を備えることができる。上で説明したように、凝縮液ブリーザーバルブ176は、電子装置冷却システム42が第1の筐体100及び/又は第2の筐体102から液体を除去することを可能にする。しかしながら、いくつかの実施形態では、熱交換器116及び供給ライン120が第2の筐体102に到達する前に冷却流体108から水分を凝縮するため、チルプレート(コールドプレート)170が第2の筐体102内に凝縮液を形成しない場合がある。
いくつかの実施形態では、電子装置冷却システム42は、より多くの電子部品114を収容して冷却するために追加のバッフルシステム126を備え得る。図6に示されるように、電子装置冷却システム42は、第2の筐体102の壁134に結合された第1のバッフルシステム126と、筐体パネル150に結合された第2のバッフルシステム126とを備える。第1及び第2のバッフルシステム126のそれぞれのバッフルプレート128は、第1の冷却流体108が電子装置114上を流れるのを容易にするために距離178だけ離して配置され得る。距離178は、電子装置114から冷却流体108への必要な熱伝達を促進するように最適化され得る。
図7は、図6の線7−7内の電子装置冷却システム42の一実施形態の部分断面図である。上で説明したように、図7の電子装置冷却システム42は、第1の冷却流体108を第1の筐体100及び第2の筐体102を通して循環させて、電子装置114を冷却する。追加的な冷却を提供するために、電子装置冷却システム42は1つ又は複数のチルプレート(コールドプレート)170を備え得る。チルプレート(コールドプレート)170は、1つ又は複数の電子部品114からの熱伝達を高め得る。例えば、いくつかの電子部品114は、他のものよりも多くの熱を発生する場合がある。したがって、電子装置冷却システム42は、電子装置から第2の冷却流体118へのより直接的な熱伝達を可能にするために、チルプレート(コールドプレート)170を備えることができる。しかしながら、第2の冷却流体118の流れを分割する代わりに。電子装置冷却システム42は、第2の冷却流体118を熱交換器116を通して流れるように方向転換する前に、第2の冷却流体118をチルプレート(コールドプレート)170にまず差し向けることができる。
図8は、図6の線7−7内の電子装置冷却システム42の一実施形態の部分断面図である。上で説明したように、追加的な冷却を提供するために、電子装置冷却システム42は1つ又は複数のチルプレート(コールドプレート)170を備え得る。チルプレート(コールドプレート)170は、1つ又は複数の電子部品114からの熱伝達を高め得る。しかしながら、第2の冷却流体118をチルプレート(コールドプレート)170にまず差し向ける代わりに。電子装置冷却システム42は、第2の冷却流体118を熱交換器116にまず差し向け、その後、第2の冷却流体118をチルプレート(コールドプレート)170に差し向けることができる。第2の冷却流体118を熱交換器116にまず差し向けることにより、電子装置冷却システム42は、第2の冷却流体118を加熱し、第2の筐体102内の凝縮を減らしながら1つ又は複数の電子部品114を冷却できる。
図9は、電子装置冷却システム42の一実施形態の断面図である。上で説明したように、電子装置冷却システム42は1つ又は複数のチルプレート(コールドプレート)170を備え得る。チルプレート(コールドプレート)170は、1つ又は複数の電子部品114からの熱伝達を高め得る。例えば、いくつかの電子部品114は、他のものよりも多くの熱を発生する場合がある。したがって、これらの電子部品114は、電子装置冷却システム42の熱伝達要件を増やし得る。しかしながら、チルプレート(コールドプレート)170は、第3の冷却流体200が別々に供給されてもよい。第3の冷却流体200は、それぞれの供給ライン202及び戻りライン204を通ってチルプレート(コールドプレート)170との間で流れる。いくつかの実施形態では、第2の冷却流体118と第3の冷却流体200とは同じ冷却流体であり得る。例えば、第2の冷却流体118及び第3の冷却流体200は、水、冷媒などであり得る。別の実施形態では、第2の冷却流体118と第3の冷却流体200とは異なり得る。例えば、第2の冷却流体118は水とすることができ、第3の冷却流体200は冷媒とすることができ、その逆もまた同様である。
図10は、電子装置冷却システム42の一実施形態の断面図である。いくつかの実施形態では、バッフルシステム126は1つ又は複数の追加の案内板220を備え得る。案内板220は、第2の筐体102を通る第1の冷却流体108の流れを制御するのを補助する。図示のように、案内板220は、第2の筐体102の上板224の内面222に結合する。案内板220は内面222から方向140に延びる。案内板220は、第1の冷却流体108の流れを案内するために、バッフルプレート128の一部又は全体にわたって延びていてもよい。図示のように、第1の冷却流体108は上向きに流れバッフルプレート128を通過する。バッフルプレート128を通過した後、第1の冷却流体108は案内板220の表面226に接触する。案内板220は、第1の冷却流体108を方向140に下向きに電子装置114の上に差し向ける。このようにして、案内板220は、第1の冷却流体108の流れを電子装置114上に集中させて、熱伝達を促進する。いくつかの実施形態では、案内板220の表面226とバッフルプレート128との間の距離228は、電子装置114上の流体の流れの特性を制御するために増やしたり減らしたりされ得る。流速が増加すると乱流が増加し、電子装置114からの熱伝達を大きくさせ得る。例えば、距離228を減らすことにより、案内板220は、電子装置114上の第1の冷却流体108の流速を増加させることができる。同様に、距離228が大きくなると、案内板220は、電子装置114上の第1の冷却流体108の流速を減少させることができる。このようにして、電子装置冷却システム42は、案内板220を使用して、第1の冷却流体108と電子装置114との間の熱伝達を指示及びカスタマイズできる。
図示のように、案内板220の表面226は平坦であるが、いくつかの実施形態では、案内板220に沿った異なる位置での熱伝達を促進するために、表面226を湾曲させたり他の形状にしたりできる。例えば、案内板220とバッフルプレート128との間の距離230は、長さ230に沿った異なる点で増加及び/又は減少して、異なる電子装置114にわたる熱伝達をカスタマイズ及び/又は最適化する(例えば、異なる電子装置114上の流速を増加又は減少させる)ことができる。いくつかの実施形態では、案内板220の長さ230に沿った異なる点で案内板220の曲率を変更する代わりに、案内板220は突出部232及び/又は陥凹部234を備えることもできる。突出部232及び陥凹部234は、特定の電子部品114上の第1の冷却流体108の流速及び流量、したがって熱伝達特性を同様に制御できる。
電子装置114にアクセスするために、案内板220は第2の筐体102から取り外し可能に結合され得る。例えば、案内板220は、スナップ嵌め接続、バヨネット接続などで第2の筐体102に結合できる。いくつかの実施形態では、案内板220は留め具(例えば、ねじ式留め具)を使用して取り外し可能に結合され得る。
図11は、バッフルシステム126の一実施形態の正面図である。図示のように、バッフルプレート128は、長方形又は正方形以外の別の形状を有してもよい。例えば、バッフルプレート128は、電子装置114上の第1の冷却流体108の流れを制御するために不規則な形状を有していてもよい。図11では、プレート128は、バッフルプレート128のそれぞれの端部254及び256に長方形の切り欠き250及び252を備える。しかしながら、切り欠き250、252は、電子装置114上の第1の冷却流体108の流れをカスタマイズ/制御するために、バッフルプレート128の長さ258に沿った異なる位置にあり得る、異なるサイズを有し得る、及び/又は異なる形状(例えば、半円形、三角形、正方形など)を有し得る。図示のように、切り欠き252は切り欠き250よりも大きいため、バッフルプレート128は、バッフルプレート128の端部256又はその付近の電子装置114上に第1の冷却流体108をより多く差し向ける。切り欠き250、252は、電子装置114上の第1の冷却流体108の流れを制御するために、分離板130の上方及び/又は下方のバッフルプレート128上の任意の位置に配置され得ることに留意されたい。
いくつかの実施形態では、バッフルプレート128はまた開口部260を備え得る。開口部260により、第1の冷却流体108は、上向きに流れバッフルプレート128を通過して流れる代わりに、開口部260を通過できる。これにより、特定の電子装置114上の第1の冷却流体108のカスタマイズ及び/又は最適化された流体の流れが可能になる。図11では2つの開口部260が示されているが、他の実施形態では、1、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上など、異なる数の開口部260が存在してもよい。さらに、開口部260は、電子装置114上の第1の冷却流体108の流れをカスタマイズ及び/又は最適化するために、異なる形状及び/又はサイズを有し得る。
図12は、バッフルシステム126の一実施形態の正面図である。図示のように、バッフルシステム126は、バッフルプレート128と分離板130とを備える。図11からわかるように、不規則な形状のバッフルプレート128及び/又は開口部260を使用して第1の冷却流体108の流れを制御する代わりに、バッフルシステム126は調整可能なバッフル280を備える。調整可能なバッフル280は、バッフルプレート128のそれぞれの端部254及び256に結合する。調整可能なバッフル280は、電子装置114上の第1の冷却流体108の流れをカスタマイズするために、方向138及び140に垂直方向に再配置され得る。図12では調整可能なバッフル280を使用して第1の冷却流体108の流れを制御するが、いくつかの実施形態では、バッフルシステム126は、電子装置114上の第1の冷却流体108の流れを制御するために、調整可能なバッフル280、開口部260、並びに切り欠き250及び252の組み合わせを備えることができる。
本開示の特定の特徴及び実施形態のみを図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された発明の主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなしに、多くの修正及び変更(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値(例えば、温度、圧力など)、取り付け構成、素材の使用法、色、向きなどの変形形態)を想到し得る。任意のプロセス又は方法ステップの順番又は順序は、代替的な実施形態に従って変更又は再順序付けされ得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内にあるものとして、そのようなすべての修正及び変更を包含することが意図されていることを理解されたい。さらに、例示的な実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施形態のすべての特徴が説明されていない場合がある(つまり、現在企図される本発明の最良の実施形態に関係しないもの、又は特許請求の範囲に記載された発明を実現するのに関係しないものが説明されていない場合がある)。そのような実際の実施形態の開発において、エンジニアリング又は設計プロジェクトにおけるように、実施形態固有の多数の決定が行われ得ることを理解されたい。そのような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては、過度の実験を伴わない設計、製作、及び製造の日常的な仕事である。