JP2020527601A - 保存溶液 - Google Patents

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Abstract

細胞、組織および/または臓器の保存のための保存溶液が記載され、この溶液は、(i)注射水、(ii)少なくとも1種類の糖、(iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、(iv)カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する任意選択の少なくとも1種類の成分、(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミンを含み、ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/またはアスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在である。【選択図】図1

Description

本発明は、血液供給のない細胞を生存可能な状態で維持するための保存溶液または低温貯蔵保存溶液、移植、手術、実験およびin vitroで細胞、組織および/または臓器の損傷を防ぐためのその使用、保存、フラッシュまたはフラッシュ保存のための方法、処置のための方法、その調製のための方法、ならびに前記溶液を含むキット・オブ・パーツに関する。
より詳しくは、本発明は、サリチル酸および/またはグルタミン酸、ならびにそれらの塩を含む、本明細書に記載されるような保存溶液または低温貯蔵保存溶液に関する。
臓器移植は現在、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓および腸に利用可能である。取得時に移植臓器はその血管系を通して保存溶液でフラッシュされる。この溶液は、臓器の温度の低下を促進し、細胞の膨張を防ぎ、酸素フリーラジカルを除去し、pHを制御し、虚血性損傷を軽減し、臓器が体外で維持可能な安全時間を延長し、再潅流時に臓器の回復を促進するように設計される。
重要なフラッシュ溶液は1967年にBelzerおよび1969年にCollinsによって紹介され、その後、Euro−Collins(EC)、Marshall(1976)、Bretschneider(Isemer et al 1988参照)その他へと改変された。全ての溶液の中で最も好結果のウイスコンシン大学の溶液(UW)は、1988年にBelzerおよび共同研究者によって紹介された。フラッシュ保存および低温貯蔵の改良の必要がなおある。確かなエビデンスが、高品質の移植組織はより良い即時機能およびより長い機能的移植組織寿命を提供することを示す。
腎臓尿細管の形態を虚血性損傷から保護するために、リン酸ナトリウムおよびスクロースのみを含有する単純なフラッシュ溶液が1982年にAndrewsおよびCoffeyにより、また、1983年にCoffeyおよびAndrewsにより示された。
国際特許出願第WO02/41696号(Potts、Lodge)には、血液供給の不在下での細胞の保存のためのフラッシュ保存溶液が記載され、この溶液は、注射水、単糖、二糖、三糖、または多糖などの少なくとも1種類の糖、pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分(すなわち、pH緩衝剤)、カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分(すなわち、カルシウム輸送遮断薬)、グルタミンなどの任意選択のアミノ酸、および、アスピリンなどの血液凝固を防ぐための任意選択のトロンボキサン阻害剤、を含む。
操作された細胞、組織および臓器を含む細胞、組織および臓器の長期保存を可能とし、肝臓、腎臓、小腸および/または膵臓の移植など、温虚血または冷虚血のいずれの状況も含む移植、手術において、全四肢、全身、または実験において、多用途性、有効性および再潅流の改善をもたらす、改良され商業的に実行可能でありかつ有効な保存溶液が必要とされている。
本発明者らは、WO02/41696の従来技術の溶液中のアスピリン(アスピリンは、アセチルサリチル酸の一般名である)は分解されてサリチル酸を生成し、一方、グルタミンは分解されてグルタミン酸となることを見出した。
アスピリンの分解はサリチル酸と酢酸を生成し、一方、グルタミンの分解はグルタミン酸とアンモニアを生成する。さらに、本発明者らは、酢酸およびアンモニアの両方は潜在的に細胞、組織および臓器を傷害し、有害な臭気を生じる可能性があり、これは保存溶液の貯蔵時に増加し得るので、それらの両方は保存溶液中では望ましくないことも見出した。さらに、本発明者らは、WO02/41696の従来技術の溶液中では経時的に酢酸とアンモニアが一緒に反応してアセトアミドを形成することも見出した。アセトアミドは、皮膚刺激剤として認識され、肝臓を傷害し得る有害物質として認識されている。
よって、アスピリンをサリチル酸に置き換え、かつ/またはグルタミンをグルタミン酸、またはその塩に置き換えることによって、生成されるそれぞれ酢酸および/またはアンモニアの量は最小となり得るか、または完全に取り除かれる。複数の例で、保存のための本発明の溶液の使用は、同等の溶液と比較した場合、保存中に細胞および組織の損傷を軽減することが示された。
従来技術の溶液では、アスピリンは、抗炎症性トロンボキサン阻害剤として添加される。本発明者らは、アスピリンが除かれてサリチル酸が添加される場合、サリチル酸は抗炎症特性を有する(すなわち、抗炎症性である)ことを見出した。また、従来技術の溶液では、グルタミンは、エネルギーを提供し得る支持分子として添加される。本発明者らは、グルタミンが除かれる場合、それは細胞、組織および/または臓器のために代替のエネルギー基質として働くグルタミン酸で置き換え可能であることを見出した。
加えて、本発明者らは、本発明の新規な溶液はもはやアスピリンおよび/またはグルタミンの分解についての懸念を示さないので、置換成分、例えば、サリチル酸および/またはグルタミン酸の量は結果的に低減可能であることも見出した。
よって、本発明の第1の態様によれば、本発明は、血液供給の不在下での細胞、組織および/または臓器の保存のための保存溶液が提供され、前記溶液は、
(i)注射水、
(ii)単糖、二糖、三糖、または多糖などの少なくとも1種類の糖、
(iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
(iv)カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する任意選択の少なくとも1種類の成分、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
を含み、
ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/またはアスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在である。
用語「不在」または「実質的に不在」は、薬理学的に有効な濃度を下回ること、または当技術分野で公知の従来法によっては検出不能であることを意味して当業者に理解されるものとする。このような方法は、限定されるものではないが、比色定量アッセイおよびGCMSを含むものとする。
さらにただし、アスピリンおよびグルタミンの一方のみが存在する場合には、他方の分解産物は存在せず、すなわち、アスピリンが存在する場合にはアンモニアは存在せず、グルタミンが存在する場合には酢酸は存在しない。
遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン(v)は、好適には、血液凝固を防ぐために役立つ。好適には、保存溶液は、血液凝固を防ぐための量の遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン(v)を含む。
遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン(vi)は、好適には、エネルギー基質として役立つ。好適には、保存溶液は、エネルギー基質として役立つための量の遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン(vi)を含む。
本発明の1つの特定の態様では、本明細書に記載されるような保存溶液は、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
を含み、
ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/または酢酸およびアンモニアの少なくとも一方は不在である。
本発明のさらなる態様によれば、細胞、組織および/または臓器の保存のための保存溶液が提供され、前記溶液は、
(i)注射水、
(ii)単糖、二糖、三糖、または多糖などの少なくとも1種類の糖、
(iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
(iv)カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する任意選択の少なくとも1種類の成分、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
を含み、
(v)がアスピリンである場合、(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であり、かつ、(vi)がグルタミンである場合、(v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸である。
好ましくは、保存溶液は、本明細書に記載されるような(i)〜(vi)の混合物を含み、それにより、アセトアミドが不在の前記保存溶液を提供する。例えば、アスピリンおよびグルタミンの一方が存在し、かつ、アセトアミドは不在である、かつ/または酢酸およびアンモニアの一方が存在し、かつ、アセトアミドは不在であるか、またはアスピリンおよびグルタミンの両方、および酢酸およびアンモニアの両方は不在であり、かつ、アセトアミドは不在である。
本発明の一態様では、血液供給の不在下での細胞、組織および/または臓器の保存のための、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本明細書の実施形態では、アセトアミドが不在である、例えば、アスピリンおよびグルタミンの一方が存在し、かつ、アセトアミドは不在である、かつ/または酢酸およびアンモニアの一方が存在し、かつ、アセトアミドは不在であるか、またはアスピリンおよびグルタミンの両方、および酢酸およびアンモニアの両方は不在であり、かつ、アセトアミドは不在である、本明細書に記載されるような保存溶液を含む調製済み保存溶液が提供される。
調製済み保存溶液は、例えば、UV光の不在下、無酸素条件下で貯蔵のために包装され得る。本明細書に記載の調製済み保存溶液は無菌であり、UV光の不在下、無酸素条件下で貯蔵のために包装される。
本発明の一態様によれば、保存溶液は、フラッシュ保存溶液である。
本発明の別の態様によれば、保存溶液は、低温貯蔵保存溶液である。
一実施形態では、(v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であり、かつ、
(vi)は遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミンであり、
ただし、アスピリンは不在であり、好ましくは、アスピリンおよびアセトアミドは不在であり、かつ/または酢酸およびアセトアミドは不在である。
別の実施形態では、(v)は遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリンであり、かつ
(vi)は遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸であり、
ただし、グルタミンは不在であり、好ましくは、グルタミンおよびアセトアミドは不在であり、かつ/またはアンモニアおよびアセトアミドは不在である。
別の実施形態では、(v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であり、かつ、
(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であり、
ただし、グルタミンおよびアスピリンは不在であり、好ましくは、それに加えてアセトアミドは不在であり、かつ/または酢酸、アンモニアおよびアセトアミドは不在である。
本発明の好ましい保存溶液では、アスピリンおよびグルタミンの両方がこの溶液から実質的に除かれ、好ましくは、それに加えてアセトアミドが不在であり、かつ/または酢酸、アンモニアおよびアセトアミドが不在であるように、アスピリンは、遊離形態または塩形態のサリチル酸により置き換えられ、かつ、グルタミンは遊離形態または塩形態のグルタミン酸により置き換えられる。
本発明の別の実施形態では、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、および/またはアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および/またはグルタミン
を含み、
ただし、アスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在であり、かつ/またはアスピリンおよび/もしくはアセトアミドおよび/もしくは酢酸が存在する場合には、存在するサリチル酸の量は、例えば、存在する酢酸の量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、アスピリンからの分解に帰すことのできる量を超え、かつ/あるいは
グルタミンおよび/またはアセトアミドおよび/またはアンモニアが存在する場合には、存在するグルタミン酸の量は、例えば、存在するアンモニアの量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、グルタミンからの分解に帰すことのできる量を超える、
本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
特に、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、および/またはアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および/またはグルタミン
を含み、
ただし、(v)は遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、およびアスピリンであり、かつ/または
(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸、およびグルタミンであり、
ただし、アスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在であり、ならびに/あるいは
アスピリンおよび/またはアセトアミドおよび/または酢酸が存在する場合には、サリチル酸の量は、例えば、存在する酢酸の量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、アスピリンからの分解に帰すことのできる量を超え、かつ/あるいは
グルタミンおよび/またはアセトアミドおよび/またはアンモニアが存在する場合には、存在するグルタミン酸の量は、例えば、存在するアンモニアの量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、グルタミンからの分解に帰すことのできる量を超える、
本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
また、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、および任意選択によりそれに加えてアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および/またはグルタミン
を含み、
ただし、アセトアミドは不在でありかつ/もしくはアスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在であり、または
アスピリンおよび/もしくはアセトアミドおよび/もしくは酢酸が存在する場合には、存在するサリチル酸の量は、例えば、存在する酢酸の量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、アスピリンからの分解に帰すことのできる量を超え、かつ/または
グルタミンおよび/もしくはアセトアミドおよび/もしくはアンモニアが存在する場合には、存在するグルタミン酸の量は、例えば、存在するアンモニアの量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、グルタミンからの分解に帰すことのできる量を超える、
本明細書に記載されるような保存溶液も提供される。
さらに、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、および任意選択によりそれに加えてアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および/またはグルタミン
を含み、
ただし、(v)が遊離形態または塩形態のサリチル酸であり、かつ、アスピリンが不在である場合には、(vi)は遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、およびグルタミンである、
本明細書に記載されるような保存溶液も提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、および任意選択によりそれに加えてアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態または塩形態のグルタミン酸、およびグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、およびアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および/またはグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、およびアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態または塩形態のグルタミン酸、およびグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、およびアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、ならびに
(vi)遊離形態または塩形態のグルタミン酸およびグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、および/またはアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および任意選択によりそれに加えてグルタミン
を含み、
ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/もしくはアスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在であるか、またはグルタミンおよび/もしくはアセトアミドおよび/もしくはアンモニアが存在する場合には、存在するグルタミン酸の量は、例えば、存在するアンモニアの量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、グルタミンからの分解に帰すことのできる量を超え、かつ/あるいは
アスピリンおよび/またはアセトアミドおよび/または酢酸が存在する場合には、存在するサリチル酸の量は、例えば、存在する酢酸の量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、アスピリンからの分解に帰すことのできる量を超える、
本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明のこの態様によれば、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、および/またはアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および任意選択によりそれに加えてグルタミン
を含み、
ただし、(vi)が遊離形態または塩形態のグルタミン酸であり、かつ、グルタミンが不在である場合には、(v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸、およびアスピリンである、
本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、およびアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および任意選択によりそれに加えてグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、および/またはアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態または塩形態のグルタミン酸、およびグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、およびアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、およびグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、およびグルタミン
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
本発明によれば、
(v)遊離形態または塩形態のサリチル酸、およびアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸
を含む、本明細書に記載されるような保存溶液が提供される。
疑念を避けるため、当業者には、本明細書において細胞、組織および臓器という場合には操作された細胞、組織および臓器を含むものとすることが理解されるであろう。
本発明の一態様において、本発明の保存溶液には、カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分が存在する。
本発明の別の態様において、本発明の保存溶液には、カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する成分は不在である。
一態様において、本発明の保存溶液では、血液凝固を防ぐために十分な遊離形態または塩形態のサリチル酸の量は、0.5mmol/L未満、例えば、約0.025〜0.3mmol/L未満である。あるいは、血液凝固を防ぐために十分なサリチル酸の量は、遊離形態または塩形態のサリチル酸約0.025〜約0.275mmol/L、好ましくは、約0.25mmol/Lである。
あるいは、アスピリンは、存在する場合、好適には、約0.3mmol/L〜約1.0mmol/L、例えば、0.5mmol/Lの量で存在する。
別の態様において、本発明の保存溶液では、存在する遊離形態または塩形態のグルタミン酸の量は、20mmol/L未満である。あるいは、存在するグルタミン酸の量は、遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸約2〜15mmol/L未満、または約15〜20mmol/L未満、例えば、約2〜約12mmol/L、好ましくは、約3mmol/Lである。
あるいは、グルタミンは、存在する場合、好適には、約15mmol/L〜約30mmol/L、例えば、およそ20mmol/Lの量で存在する。あるいは、存在するグルタミンの量は、約2〜15mmol/L未満である。
サリチル酸および/またはグルタミン酸の塩は、同じであっても異なっていてもよく、薬理学的に許容される塩、すなわち、親化合物の所望の薬理活性を有する塩である。特に、このような塩は、細胞、組織および/または臓器に非毒性であるべきである。このような塩は一般に、サリチル酸および/またはグルタミン酸いずれかに存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類イオンにより置き換えられる場合に形成される。単に例として、アルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムなどが含まれる。単に例として、アルカリ土類金属塩としては、カルシウムまたはマグネシウムなどが含まれる。
フラッシュ溶液はこれらの成分のみからなってよく、この場合、この溶液は、万能細胞種および機能の保存のため、特に、単純な細胞系の保存のために適し、あるいは、この溶液は、細胞の所望の種類または機能の保存、特に、臓器または生体組織などの複雑な細胞系、より詳しくは、小型または大型の動物、最も詳しくは、肝臓、腎臓、小腸および/または膵臓などのヒト臓器、ならびに生体組織の保存に特に適した1以上のさらなる置換成分とともに提供してよい。
本発明のこの態様によれば、以上に定義されるような、
(i)注射水、
(ii)二糖、
(iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
(iv)少なくとも1種類のカルシウム輸送遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
の組合せを、不透過性封鎖陰イオン、無機溶質、酸素フリーラジカルに対して有効な成分およびコロイド浸透圧剤、ならびに以上に定義されるようないずれかの任意選択の付加的成分とともに含む、肝臓、腎臓、小腸および膵臓保存のための保存溶液が提供される。
さらに、以上に定義されるような、
(i)注射水、
(ii)スクロース、
(iii)NaHPOおよびNaHPO
(iv)ジルチアゼム、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、ならびに
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
の組合せを、ラクトビオン酸、KOHおよびNaOH、グルタチオンおよびアロプリノールおよびPEG、ならびに以上に定義されるようないずれかの任意選択の付加的成分とともに含む、肝臓、腎臓、小腸および膵臓保存のための保存溶液も提供される。
本発明の保存溶液は、有毒なアンモニアおよび酢酸が存在しないために、保存中に還元型損傷を伴う既存の溶液を改善するという点でのいくつかの利点と、このような溶液を商業上実行可能とする関連の利便性およびコストへの影響を有する、特に望まれる溶液を調製するためのキットの提供に加えて、保存期間の延長の可能性を有する。
本発明は、本明細書に定義される保存溶液は、実験に基づき、基礎にある保存機構を合理化する試みなく、普遍的に許容されることが判明した。
本発明の保存溶液の全ての成分は、該当する場合には、純度の国内または国際薬局方標準を満たす。注射水は一般に、滅菌前に精製および脱イオン化される。
糖は、スクロース、ラフィノースおよびマンニトール、ならびにそれらの組合せから選択される。好ましい糖はスクロースである。糖は、約50mmol/L〜約150mmol/L、例えば、約100mmol/Lの量で存在し得る。
pH緩衝剤は、リン酸ナトリウムバッファー、リン酸カリウムバッファーなど、好ましくは、NaHPO、NaHPO、KHPO、KHPOなど、およびそれらの組合せから選択される。pH緩衝剤は、約15mmol/L〜約75mmol/L、例えば、約15mmol/L〜約20mmol/Lまたは約40〜約70mmol/Lの量で存在し得る。
本発明の保存溶液は、好ましくは、薬局法的に許容される物理的特性の所望の範囲に応じるように調剤される。好ましくは、この溶液は、6.5〜7.8、より好ましくは、6.5〜7.0、最も好ましくは、6.8〜7.0の範囲のpHを有する。pHは一般に、室温で、例えば、約20℃で測定される。
任意選択により添加されるカルシウム輸送遮断薬または抗カルシウム活性薬は、ニカルジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、ニソルジピン、クロルプロマジンまたはトリフルオルペラジン(trifluorperazine)、ならびにそれらの組合せおよび代謝産物などの任意の基地のカルシウム輸送遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬から選択される。好ましくは、カルシウム輸送遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬は、ニカルジピンおよび/もしくはジルチアゼム、またはそれらの代謝産物である。カルシウム輸送遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬は、約0.0005mmol/L〜約1.0mmol/L、例えば、約0.005mmol/Lの量で存在し得る。カルシウム輸送遮断薬またはチャネル遮断薬がニカルジピンである場合、ニカルジピンは、約0.0005mmol/L〜約1.0mmol/L、例えば、約0.005mmol/Lの量で存在し得る。カルシウム輸送遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬がジルチアゼムである場合、ジルチアゼムは、0.0005mmol/L〜約1.0mmol/L、例えば、約0.022mmol/Lの量で存在し得る。
この理論に限定されるものではないが疑念を避けるため、一般に認知されている薬理活性および生理活性に基づき、本明細書において機能による成分という場合には、挙げられた成分は、帰属されるものに付加的なまたは異なる機能を与え得るが、これはその限定と見なされるべきではない。加えて、挙げられているものと機能的等価物は本発明の範囲内にあると見なされ得る。
他の成分が保存溶液に存在してもよい。他の成分は、特に断りのない限り、一般に、微量で、例えば、1mmol/Lまでの範囲で存在する。
好ましくは、本発明の保存溶液は、
主として細胞に不透過性の、好ましくは、不透過性封鎖陰イオンである少なくとも1種類の陰イオン、および
コロイド浸透圧特性を有する少なくとも1種類の成分(すなわち、コロイド浸透圧剤)
から選択される1以上の付加的成分を含む。
不透過性封鎖陰イオンは、好ましくは、ラクトビオナートまたはラクトビオン酸を含む。不透過性封鎖陰イオンが存在する場合、それは約15mmol/L〜約75mmol/L、例えば、約15mmol/L〜約20mmol/Lまたは約40mmol/L〜約70mmol/Lの量であり得る。
コロイド浸透圧剤は、好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)、スクシニル化ゼラチン(ゲロフシンの場合)、フィコール(多糖)およびデンプン製品、およびそれらの組合せから選択される。コロイド浸透圧特性を有する成分が存在する場合、それは約0.5mmol/L〜約3.0mmol/L、例えば、約0.75mmol/L〜約1.33mmol/L、例えば、約1.0mmol/L、および20,000MWの量であり得る。
その代わりにまたはそれに加えて、本発明の保存溶液は、
無機または有機溶質、
カルシウムキレート特性を有する1または複数の成分(すなわち、カルシウムキレート剤)、および
鉄キレート特性を有する1または複数の成分(すなわち、鉄キレート剤)
から選択される1以上の成分を含み得る。
好ましくは、無機または有機溶質は無機溶質を含み、例えば、Na、K、Cl、OHなどおよびそれらの組合せから選択される陽イオンおよび/または陰イオンを含む電解質である。本発明の好ましい態様では、溶質は、NaClなどの無機溶質である。無機または有機溶質が存在する場合、それは約15mmol/L〜約75mmol/L、例えば、約15mmol/L〜約20mmol/Lまたは約40mmol/L〜約70mmol/Lの量であり得る。
好ましくは、カルシウムキレート剤は、クエン酸塩またはEGTA(エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸)を含み、鉄キレート剤は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含む。
その代わりにまたはそれに加えて、本発明の保存溶液は、
グルタミン酸および/またはグルタミンに加えて1以上の(付加的)アミノ酸、
酸素フリーラジカルまたは酸素フリーラジカルの産生に対して有効な少なくとも1種類の成分、
エネルギー供給系の少なくとも1種類の成分またはエネルギー供給系またはケトン体に影響を及ぼす少なくとも1種類の成分、ならびに
凍結保護作用を有する少なくとも1種類の成分
から選択される1以上の成分を含み得る。
好ましくは、付加的アミノ酸は、グリシンおよびn−アセチルシステイン、およびそれらの組合せから選択される。付加的アミノ酸成分が存在する場合には、それは約1mmol/L〜約30mmol/L、好ましくは、約3mmol/L〜約12mmol/L、例えば、約10mmol/Lの量であり得る。
好ましくは、酸素フリーラジカル阻害剤は、アロプリノールおよび還元型グルタチオン、より好ましくは、その組合せから選択される。酸素フリーラジカルに対して有効な成分が存在する場合、それは約0.2mmol/L〜約5mmol/L、例えば、約3mmol/L〜約5mmol/Lの量であり得る。一般に、本明細書に定義される酸素フリーラジカル阻害剤の量は、酸素フリーラジカル阻害剤の総量を指す。例えば、酸素フリーラジカル阻害剤がアロプリノールと還元型グルタチオンの組合せを含む場合、合わせた酸素フリーラジカル阻害剤の量は、約0.2mmol/L〜約5mmol/Lなどの量であり得る。
好ましくは、エネルギー供給系成分は、アデノシンを含む。エネルギー供給成分が存在する場合、それは約20mmol/Lまで、例えば、約5〜約20mmol/L、例えば、約5mmol/Lの量であり得る。
好ましくは、ケトン体は、β−ヒドロキシ酪酸を含む。
凍結保護剤は、溶液中に存在する場合に、0℃以下の温度に曝された溶液中で氷結晶の形成を低減または阻害できる化合物である。よって、凍結保護剤の使用は、細胞、組織または臓器が約−20℃〜約4℃の温度で貯蔵されることを可能とする。好ましくは、凍結保護剤は、プロピレングリコールなどのグリコール、DMSO、糖、炭水化物、脂質、キシロマンナンなどの糖脂質、糖タンパク質、タンパク質またはポリペプチドもしくはポリオール、またはそれらの組合せから選択される。凍結保護剤が存在する場合、それは約5〜約100mg/mLの量であり得る。
その代わりにまたはそれに加えて、本発明の保存溶液は、
細胞内シグナル伝達系の少なくとも1種類の成分またはこの系を修飾する少なくとも1種類の成分、好ましくは、タンパク質キナーゼ阻害剤またはカルモジュリン阻害剤、および
膜安定化作用を有する少なくとも1種類の成分、好ましくは、ラノラジンなど
から選択される特定の機能のための付加的成分を含み得る。
好ましくは、糖成分(ii)は、50〜150mmol/Lの範囲、例えば、およそ100mmol/Lの量で存在し、
pH緩衝成分(iii)は、15〜75mmol/L、例えば、およそ15〜20または40〜70mmol/Lの範囲の総量で存在し、
不透過性封鎖陰イオンは、15〜75mmol/L、例えば、およそ15〜20または40〜70mmol/Lの範囲の総量で存在し、
無機または有機溶質成分は、15〜75mmol/L、例えば、およそ15〜20または40〜70mmol/Lの範囲の総量で存在し、
付加的アミノ酸成分は、5〜30mmol/L、好ましくは、5〜12mmol/L、例えば、およそ10mmol/Lの範囲の量で存在し、
酸素フリーラジカルに対して有効な成分は、5mmol/Lまで、例えば、およそ3〜5mmol/Lの範囲の総量で存在し、
エネルギー供給成分は、20mmol/Lまでの範囲、例えば、5mmol/Lの量で存在し、
コロイド浸透圧特性を有する成分は、0.5〜3.0mmol/L、例えば、およそ0.75〜1.33mmol/L、例えば、1.0mmol/L、および20,000MWの範囲の量で存在し、
カルシウム輸送遮断特性を有する成分(iv)が存在する場合、カルシウム輸送遮断薬は、例えば、ニカルジピンまたはジルチアゼムであり得る。ニカルジピンは、0.0005〜1.0mmol/L、例えば、0.005mmol/Lの範囲の量で存在し、ジルチアゼムは、0.0005〜1.0mmol/Lの範囲、例えば、0.022mmol/Lの量で存在し得る。
2以上の種類として存在する特定の成分の場合、それらの相対量は重要である場合も重要でない場合もある。酸素フリーラジカルに対して有効な好ましい成分は、およそ3mmol/Lの還元型グルタチオンおよび0.35〜0.4mmol/L、より好ましくは、0.4mmol/Lのアロプリノールである。
好ましい無機または有機溶質成分は、次のような電解質を含む:
Na 15〜150mmol/L、例えば、30mmol/L
0〜25mmol/L、例えば、15mmol/L
Cl 0〜100mmol/L
OH 0〜75mmol/L
好ましくは、本発明による溶液は、UV光の不在下、無酸素条件下で調製および貯蔵される。
成分(i)〜(vi)を含む定義されるような溶液は長期間貯蔵され、その使用の直前に臨床使用に必要とされる付加的成分(例えば、ヘパリン)が添加され得るということは特定の利点である。この溶液は望ましくない分解産物の生成なく長期間貯蔵され得ることは、特に、本発明の溶液の利点である。より詳しくは、この溶液は、酢酸およびアンモニアの一方または両方の生成なく、また、アセトアミドの生成もなく、貯蔵され得る。
あるいは、この溶液は、酢酸およびアンモニアの一方または両方の生成、ならびに/またはアセトアミドの生成を、それぞれサリチル酸およびグルタミン酸のモル当量未満の量で伴って貯蔵されてよい。
本明細書に定義されるような本発明の保存溶液は、好ましくは、基本成分(i)〜(vi)を、特定の機能のための付加的成分とともに含む。臓器保存に使用するための溶液は、単純な細胞系の保存のための溶液よりも特に複雑であるが、本発明者らは、それにもかかわらずこの溶液が比較的簡単であり得ることを見出した。
好ましくは、腎臓、肝臓および膵臓などの腹腔内臓器、ならびに腸(intestine and bowel)などのための保存溶液は、本明細書に定義されるような成分(i)〜(vi)を、不透過性封鎖陰イオン成分、およびコロイド浸透圧特性を有する成分から選択される少なくとも1種類の成分、より好ましくは、
無機または有機溶質成分、
付加的アミノ酸成分、
酸素フリーラジカルに対して有効な成分、および
エネルギー供給成分
から選択されるさらに1以上の成分とともに含む。
好ましくは、肝臓、腎臓、小腸および膵臓保存のための保存溶液は、以上に定義されるような、
(i)注射水、
(ii)二糖、
(iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
(iv)少なくとも1種類のカルシウム輸送遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
の組合せを、不透過性封鎖陰イオン、無機溶質、酸素フリーラジカルに対して有効な成分およびコロイド浸透圧剤、ならびに本明細書に定義されるようないずれかの任意選択の付加的成分とともに含み、
より好ましくは、以上に定義されるような、
(i)注射水、
(ii)スクロース、
(iii)NaHPOおよびNaHPO
(iv)ジルチアゼムまたはニカルジピン、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
の組合せを、ラクトビオン酸、KOHおよびNaOH、グルタチオンおよびアロプリノールおよびPEG、ならびに本明細書に定義されるようないずれかの任意選択の付加的成分とともに含み、より好ましくは、以下に示される成分クラスの、より好ましくは、挙げられている特定の種の組合せを、水で一定容量にされる場合に、実質的に以下のように挙げられている量で、本明細書に定義されるようないずれかの任意選択の付加的成分とともに含み、
ただし、(v)がアスピリンである場合、(vi)はグルタミンではなく、
最も好ましくは、水で一定容量にされる場合に、実質的に以下のように挙げられている量で、以上に定義されるようないずれかの任意選択の付加的成分とともに含み、
ただし、(v)がアスピリンである場合、(vi)はグルタミンではない。
本発明者らは、さらに驚くことに、本発明による保存溶液の構成要素の有効性は、特定の構成要素をそれらの主要な分解産物によって置き換えることによって改善されることを見出した。この理論に限定されるものではないが、このような分解の副産物は、保存溶液の使用中に個々におよび組合せの両方で望ましくない有害作用を示し得ると思われる。例えば、酢酸およびアンモニアは、肝臓に潜在的に傷害を与えるアセトアミドを形成する。この有害作用を除去することにより、保存溶液の有効性が改善される。
よって、本発明による発見は、特定の置換成分が全ての細胞種に不可欠な主要な細胞機能の保存に不可欠であるということであり、これらは本明細書に定義されるような成分(i)〜(vi)として特定されている。この溶液は単純な組織または細胞系の保存には極めて有効または満足のいくものであり得るが、特異なまたはより複雑な細胞機能を必要とするまたは提供する臓器または細胞系の保存が望まれる場合には、これが筋活動であれ、電気的活動であれ、特定の膜活動であれ、エネルギー供給などであれ、必要なまたは提供される機能を保存することに特に向けられた置換成分を組み込むことが必要である。
よって、本発明は特に、肝臓、腎臓、小腸および膵臓保存のための本明細書に定義されるような保存溶液を提供する。
この溶液は、好適には、当技術分野で公知の方法により、薬局方的に許容される条件下での単純な混合によって作製される。好ましくは、成分は、所望のモル濃度で決定および配合される。
変動はこの溶液の有効性に固有または非固有のものであり得ること、および流体の性能に影響を及ぼさない一定の量の変動は本発明の範囲内にあると見なされることが認識されるであろう。通常の実験により一定の量の検証を必要とする成分種の選択は、本発明の範囲内にあると見なされる。
本発明のさらなる態様において、成分(i)〜(vi)を、コロイド浸透圧特性を有する成分および存在する場合には不安定成分、例えば、アスピリンまたはグルタミン以外の任意の付加的成分とともに順次水に加え、その混合物を溶解させること、存在する場合にはコロイド浸透圧特性を有する成分を加え、前記溶液を一定容量付近にすること、最後に、pHを調整するために一定容量にし、滅菌し、0〜4℃に冷却することを含む、保存溶液の調製のための方法が提供される。この溶液は、貯蔵され、所望により、その後、使用直前に不安定成分(例えば、アスピリンおよび/またはグルタミン)が添加され得る。本発明のこの態様による方法は、好ましくは、低温、より好ましくは、0〜12℃の範囲、最も好ましくは、0〜4℃での貯蔵のための調製済み溶液の包装、例えば、UV光の不在下、無酸素条件での調製済み溶液の包装を含み得る。
さらなる態様では、本明細書に記載されるような方法により得られる保存溶液が提供される。
本明細書における実施形態では、成分(i)〜(vi)を水に加えることを含む方法により得られる保存溶液が提供される。
本発明のさらなる態様において、血液供給の不在下での細胞の保存のため、特に、臓器、生体組織および細胞の損傷を防ぐための、本明細書に定義されるような保存溶液の、フラッシュ保存溶液または低温貯蔵保存溶液としての使用が提供される。この溶液は、小型または大型の動物または哺乳動物、特に、ヒト細胞、組織および臓器とともに使用するのに適している。
この溶液の使用は、心臓鼓動ドナーもしくは心停止ドナーからの臓器を含む移植、温虚血もしくは冷虚血のいずれの状況も含む手術、全四肢もしくは全身保存、生体組織に対する実験、操作した細胞、組織および臓器の培養および保存などにおけるものであり得る。好ましくは、この溶液は、血管系を介して細胞、組織または臓器、四肢または全身と接触されるフラッシュ溶液として使用され、および任意選択によりそれに加えて、フラッシュされた細胞、組織および臓器の貯蔵のための保存溶液として役立つ。この溶液は、低体温静的貯蔵および低体温灌流システムの両方において細胞、組織、臓器の長期保存に好適である。
よって、本発明は特に、肝臓、腎臓、小腸および膵臓保存のための本明細書に定義されるような保存溶液を提供する。
本発明のさらなる態様において、細胞、特に、生きている細胞、組織または臓器のフラッシング、保存またはフラッシュ保存のための方法が提供され、それにより、前記細胞、組織または臓器は、本明細書に定義されるような溶液に接触される。
本発明のこの態様によれば、単純な低体温貯蔵を目的とする細胞、特に、生きている細胞、組織または臓器のフラッシング、保存またはフラッシュ保存のための方法が提供され、それにより、前記細胞、組織または臓器は、
(i)注射水、
(ii)単糖、二糖、三糖、または多糖などの少なくとも1種類の糖、
(iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
(iv)カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する任意選択の少なくとも1種類の成分、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
を含む
(ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/またはアスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在であり、より詳しくは、(v)がアスピリンである場合には(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であり、かつ、(vi)がグルタミンである場合には(v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸である)
保存溶液と接触され、
それにより、前記細胞、組織または臓器は、この溶液でフラッシュされ、通常の場所から取り出され、通常0〜12℃の範囲の温度に冷却され、貯蔵される。
本発明のこの態様によれば、アセトアミドが不在である場合、酢酸およびアンモニアの少なくとも一方は不在である。
本発明の一態様によれば、この方法は、生きている細胞、組織または臓器のフラッシュ保存を含む。
本発明の別の態様によれば、この方法は、生きている細胞、組織または臓器の低温貯蔵保存を含む。
本発明のこの態様による好ましい方法では、アスピリンおよびグルタミンの両方がこの溶液から実質的に除かれ、好ましくは、それに加えてアセトアミドが不在であり、かつ/またはそれに加えて酢酸、アンモニアおよびアセトアミドが不在であるように、アスピリンは遊離形態または塩形態のサリチル酸により置き換えられ、グルタミンは遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸により置き換えられ、より詳しくは、(v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であり、かつ、(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸である。
本発明のさらなる態様によれば、単純な低体温貯蔵を目的とする細胞、特に、生きている細胞、組織または臓器の保存のための方法が提供され、それにより、前記細胞、組織または臓器は、
(i)注射水、
(ii)単糖、二糖、三糖、または多糖などの少なくとも1種類の糖、
(iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
(iv)カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する任意選択の少なくとも1種類の成分、
(v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
(vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン、および
凍結保護特性を有する少なくとも1種類の成分(すなわち、凍結保護剤)
を含む
(ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/またはそれに加えて酢酸およびアンモニアの少なくとも一方は不在であり、より詳しくは、(v)がアスピリンである場合には(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であり、かつ、(vi)がグルタミンである場合には(v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸である)
保存溶液と接触され、
それにより、前記細胞、組織または臓器は、この溶液でフラッシュされ、通常の場所から取り出され、通常−20℃〜12℃の範囲の温度に冷却され、貯蔵される。
本発明のこの態様によれば、アセトアミドが不在である場合、酢酸およびアンモニアの少なくとも一方は不在である。
この方法は、単純な低体温貯蔵のためものであり得、それにより、細胞、組織または臓器は溶液でフラッシュされ、通常の場所から取り出され、好ましくは通常0〜12℃の範囲の温度に冷却され、貯蔵される。加えて、凍結保護剤が存在する場合、前記組織または臓器は、約−20℃〜約4℃の温度で貯蔵され得る。加えて、この溶液は、臓器と通って能動的にフラッシュされ得る。本発明者らは、細胞、組織または臓器が現行を超える長期間、例えば、腎臓および肝臓は48時間以上の程度の期間貯蔵できることを見出した。それに加えて、またはその代わりに、この方法は細胞、特に、組織または臓器の保存を目的とし、それにより、前記細胞、組織または臓器は、フラッシュされ、低体温状態にされており、浸漬または灌流により保存溶液と接触される。
好ましくは、本発明の方法は、細胞、組織、臓器またはドナーに生物学的に有効な量の本発明の溶液を、その機能を維持または増強するために有効な速度または有効な濃度で投与することを含む。好ましくは、この方法は、特定の細胞、組織もしくは臓器機能、例えば、細胞代謝を保存するため、および/または特定の機能、例えば、筋活動、必須細胞成分などおよび/または例えば胆汁または尿の形での排泄物などの分解または排泄を一時的に阻止するための方法である。
虚血は、臓器への血流の停止から生じる状況である。その影響は酸素および栄養素の欠乏、ならびに二酸化炭素およびその他の老廃物の蓄積によるものである。それは冷温よりも体温において傷害が大きく、これがなぜ移植臓器がフラッシュされ、冷却されるかという理由である。臓器ドナーはしばしば外傷を受けており、従って、ドナー臓器は、外傷の結果として一定期間の温虚血に曝されていた可能性がある。フラッシュ前に実験的に一定期間の温虚血を加えることでこの状況が模倣される。本発明者らの溶液がこのような温虚血からの保護を提供することが利点である。
好ましくは、フラッシュ灌流は、300mmHgまで、より好ましくは、大気圧〜200mmHgの範囲、より好ましくは、160mmHgまで、より好ましくは、100mmHgまで、最も好ましくは、50mmHgまでの圧力で行われる。
本発明のこの態様による方法は、本明細書に定義されるような保存溶液の使用を含む。
本発明のさらなる態様において、1つのパーツに、本明細書に定義されるような成分(i)〜(vi)を、任意選択により1以上のさらなる部分に、本明細書に定義されるような付加的成分の1以上から選択される個々の成分とともに有する保存溶液を含み、特定の目的のための1以上の溶液の調製に使用するための、また、万能保存溶液として役立つキット・オブ・パーツが提供される。
実施形態では、本明細書におけるキット・オブ・パーツは、1つのパーツに、本明細書に定義されるような成分(i)〜(vi)を有する保存溶液を含み、そのうち1以上の不安定成分は不在であり、かつ、使用直前に添加するために1以上のさらなる部分に個別に提供される。
本発明の一態様によれば、キット・オブ・パーツは、本明細書に定義されるような成分(i)〜(vi)を有するフラッシュ保存溶液を含む。
本発明の別の態様によれば、キット・オブ・パーツは、本明細書に定義されるような成分(i)〜(vi)を有する低温貯蔵保存溶液を含む。
以下、実施例を参照し、また、添付の図面を参照して非限定的に本発明を説明する。
保存溶液中のアスピリンの安定性を示す。従来技術の溶液におけるアスピリンおよびサリチル酸の濃度を測定するためにHPLC法を開発した。貯蔵中にアスピリンは急速に加水分解されてサリチル酸および酢酸となった。8週間後、親化合物は残存しない。 改良型の保存溶液(本発明の溶液)と従来(従来技術)の配合物における腎臓保存後の血清クレアチニンを示す。血清クレアチニンが低いほど臓器の還元型損傷を示す。 本発明の保存溶液中での72時間までの体外ex vivoブタ腎臓保存を示す。実質は、正常な糸球体および尿細管とともに十分に保存される。H&E染色、倍率40倍。
実施例1
1.1 本発明で使用されるフラッシュ保存溶液
本試験に含まれる保存溶液を表1、2、3および4に示し、量はmmol/Lで示す。溶液(SOLS)は水を半分満たしたフラスコから作製し、そこにラクトビオナート、KOH、リン酸ナトリウム、グルタミンまたはグルタミン酸、スクロース、アスピリンまたはサリチル酸、アロプリノールおよびジルチアゼムのいずれかまたは全てを順次加え、溶解させた。次に、コロイド(PEG)を加え、溶液を一定用量付近とした。NaOHを加えてpH設定を行った。次に、この溶液を一定用量とした。全ての溶液を濾過除菌し、ガラス瓶で4℃にて貯蔵した。調製中有または使用直前に還元型グルタチオンを加えた。供給先は上記に示す通り、またはWO02/41696に開示される通りである。
比較
従来の配合物はWO02/41696に開示および記載されている通り、および本明細書の表1に示される通りである。UWは、標準的な原型の市販溶液である(viaSpan/BELZER UW、DU PONT PHARMA)。
比較保存溶液の組成
比較保存溶液の組成を表1に示す。

本発明の冷保存溶液の組成
本発明の冷保存溶液の組成を表2に示す。

(v)および/または(vi)を減量した本発明の冷保存溶液の組成
(v)および/または(vi)を減量した本発明の冷保存溶液の組成を表3に示す。

(v)および/または(vi)を減量した本発明の冷保存溶液の組成
(v)および/または(vi)を減量した本発明の冷保存溶液の組成を表4に示す。

実施例2
比較溶液および本発明のフラッシュ保存溶液を以下の系で試験した。
2.1.1 従来技術に記載されるフラッシュ保存溶液により生成される有毒代謝産物の生成および影響
国際特許出願第WO02/41696号に記載されるフラッシュ保存溶液は、貯蔵下の細胞/組織/臓器に有毒である可能性を持つ代謝産物を生成することが判明した。一例として、図1は、この溶液の8週間の貯蔵は、アスピリンの100%のサリチル酸への変換および等モル量の損傷酢酸の生産を生じることを示す。最初に0.5mMのアスピリンを含有する溶液では、これは0.5mMの酢酸30mg/Lの形成をもたらす。酢酸は既知の刺激剤であり、ヒト組織に損傷を与える。
さらなる例として、従来技術の溶液中のアンモニアの存在は、比色定量アッセイにより示されている。アンモニアアッセイキット(ab83360)は、アンモニアおよびアンモニウムの研究およびハイスループットアッセイに好適な迅速、簡便、高感度、かつ信頼性のあるアッセイを提供する。このアッセイでは、アンモニアおよびアンモニウムは、OxiRedプローブと反応してプレートリーダーにより容易に定量可能な色を生じる(λmax=570nm)生成物に変換される。このキットは1nmol(約20μM)の総アンモニアおよびアンモニウムを検出でき、これはNADPHに基づくアッセイでアンモニアを測定するよりはるかに高感度である。このプロトコールを使用すると、従来技術の溶液はおよそ2.6mMのアンモニアを含有することが示される。これはアンモニアの既知の毒性よりも何倍も高く、300μMがヒト細胞に毒性があることが知られている。これに対し、本発明の溶液では、アンモニアは実質的に不在であり、2nmol未満のアッセイの定量下限を下回る。
Heeneman et al,Journal of Immunological Methods(1993)166,1,p85−91
アンモニア毒性は、それが細胞によるカリウムの取り込みに妨害を生じることによって起こり得る。これは全ての臓器および組織に有害な影響を生じる可能性があり、pH、膜電位および代謝の変化を生じ得る。in vivoにおいて、アンモニアは、通常、肝尿素サイクルによって解毒される。しかしながら、これは貯蔵中には起こり得ず、または細胞の代謝活性としての保存溶液の使用は冷保存の間は故意に抑制される。これは、従来技術の溶液中のアンモニアは保存の期間留まり、再潅流時に細胞損傷の大きな可能性があることを意味する。本発明の溶液では、アンモニアは不在であり、この損傷は起こり得ない。
Dasarathy, S.,Mookerjee,R.P.,Rackayova,V.et al.Metab Brain Dis(2017)32:529.https://doi.org/10.1007/s11011−016−9938−3
最初に20mMのグルタミンまたはおよそ2.6mMのアンモニアおよび0.5mMのアスピリン、または0.5mMまでの酢酸を含有する溶液では、これは最大0.5mMのアセトアミド、30mg/Lの形成をもたらす。アセトアミドはヒト組織を傷害することが知られている。
2.1.2 本発明のフラッシュ保存溶液には有毒代謝産物は存在しない
アスピリンが不在である本発明の溶液、SOL 1.1、SOL 1.2、SOL 2.1、SOL 2.2、SOL 3.1およびSOL 3.2では、貯蔵後であっても酢酸は実質的に不在であり、アッセイの定量下限を下回る。
使用直前にアスピリンが添加される本発明のさらなる溶液では、酢酸は実質的に不在であるか、または使用期間中、低レベルである。
グルタミンが不在である本発明の溶液、SOL 1.1、SOL 1.3、SOL 2.1、SOL 2.3、SOL 3.1およびSOL 3.3では、貯蔵後であってもアンモニアは実質的に不在であり、アッセイの定量下限を下回り、2nmol未満である。
使用直前にグルタミンが添加される本発明さらなる溶液では、アンモニアは実質的に不在であるか、または使用期間中、低レベルである。
さらに、アスピリンまたはグルタミンのいずれかまたは両方が不在である本発明の全ての溶液では、SOL 1.1、SOL 1.2、SOL 1.3、SOL 2.1、SOL 2.2、SOL 2.3、SOL 3.1、SOL 3.2およびSOL 3.3、およびアセトアミドは、貯蔵後であっても実質的に不在である。
2.2 ブタ移植モデル
保存溶液の品質の真の評価のためには、試験溶液を用いて移植の臨床転帰を評価するための全動物モデルを使用することが必要である。ブタモデルは、このために最も適当である。要約すると、プロトコールは、臓器(肝臓、腎臓、小腸または膵臓)の回収、試験(発明)溶液または対照(比較)溶液中でのフラッシュ保存および次に移植(検討下の臓器によって異系または自家移植)を含む。術後、臨床的に適当な期間、臓器機能およびレシピエントの全般的な健康の経過観察を行う。
以下の表は、レシピエント動物における移植臓器の機能性を評価するために使用される尺度の指標を示す。加えて、動物の全般的な健康および満足度の経過観察を行う(体重、食餌消費など)。試験の終了時に動物を犠牲にし、組織学的分析のために重要臓器を回収する。
クレアチニンは、腎機能に直接関連する重要な血液マーカーである。機能している腎臓は、低濃度のクレアチニンを維持し、高レベルは機能の不十分な腎臓を示す。移植後、血清クレアチニンは上昇すると思われ、腎機能が回復された場合にはじめて正常レベルに下がる。この上昇の大きさは保存損傷の大きさを反映する。クレアチニンレベルが正常に戻る速度は、腎臓がどのくらい速く正常機能に戻るかを反映し、これ自体が、その臓器がいかによく保存されたかの重要な尺度となる。図2は、本発明の保存溶液が従来技術の溶液よりも有意に性能がよいという最近の試験を示し、ピーククレアチニンは有意に低く、腎機能ははるかに速く正常に戻る。これは本発明の溶液中では還元型組織損傷がはるかに少ないという証拠である。
組織学
ウイスコンシン大学(UW)(Belzer UW(登録商標)低温貯蔵溶液として市販)または本発明の保存溶液のいずれかで最大72時間灌流した動物の腹腔内臓器(肝臓、腎臓、膵臓および小腸)から回収した組織サンプルの組織分析を行った。UWなどの標準的な比較溶液は一般におよそ12〜24時間まで組織を保存できる。ヘマトキシリンおよびエオジン(図3)により染色された組織サンプルは、72時間まで本発明の保存溶液により、正常な形態およびサンプルの良好な保存を示す。細胞質含量のより良好な保持が見られ、UW群では核のゴースト化も存在し、これは本発明の保存溶液には不在であった。さらに、核のゴースト化はUWサンプルで48時間および72時間にも明らかであり、これらは本発明サンプルの保存溶液では不在である。これは、本発明の保存溶液は長期の保存時間にわたり与える細胞損傷がはるかに少ない証拠となる。

Claims (102)

  1. 血液供給の不在下での細胞、組織および/または臓器の保存のための保存溶液であって、
    (i)注射水、
    (ii)少なくとも1種類の糖、
    (iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
    (iv)カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する任意選択の少なくとも1種類の成分、
    (v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
    (vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
    を含み、
    ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/またはアスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在である、保存溶液。
  2. (v)がアスピリンである場合に、(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の保存溶液。
  3. (vi)がグルタミンである場合に、(v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であることを特徴とする、請求項1に記載の保存溶液。
  4. フラッシュ保存溶液であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保存溶液。
  5. 低温貯蔵保存溶液であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保存溶液。
  6. アスピリンは不在であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の保存溶液。
  7. (v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であり、かつ、(vi)は遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミンであり、かつ、アスピリンは不在であること、および/あるいは酢酸および/またはアセトアミドは不在であることを特徴とする、請求項6に記載の保存溶液。
  8. グルタミンは不在であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の保存溶液。
  9. (v)は遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリンであり、かつ、(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であり、かつ、グルタミンは不在であること、および/あるいはアンモニアおよび/またはアセトアミドは不在であることを特徴とする、請求項8に記載の保存溶液。
  10. アスピリンおよびグルタミンは不在であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の保存溶液。
  11. (v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であり、かつ、(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であり、ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/または酢酸およびアンモニアは不在であることを特徴とする、請求項10に記載の保存溶液。
  12. アセトアミドは不在であり、かつ/またはアスピリンおよびグルタミンは不在であることを特徴とする、請求項10に記載の保存溶液。
  13. 前記カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分は存在することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の保存溶液。
  14. 前記カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分は不在であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の保存溶液。
  15. 遊離形態または塩形態のサリチル酸の量は0.5mmol/L未満であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の保存溶液。
  16. 遊離形態または塩形態のサリチル酸の量は約0.025〜約0.275mmol/Lであることを特徴とする、請求項15に記載の保存溶液。
  17. アスピリンは、存在する場合、約0.3mmol/L〜約1.0mmol/Lの量であることを特徴とする、請求項9に記載の保存溶液。
  18. 存在する遊離形態または塩形態のグルタミン酸の量は20mmol/L未満であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の保存溶液。
  19. 存在する遊離形態または塩形態のグルタミン酸の量は約2〜約12mmol/Lであることを特徴とする、請求項18に記載の保存溶液。
  20. グルタミンは、存在する場合、約15mmol/L〜約30mmol/Lの量であることを特徴とする、請求項11に記載の保存溶液。
  21. 前記糖はスクロース、ラフィノースおよびマンニトールから1以上選択されることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の保存溶液。
  22. 前記糖はスクロースであることを特徴とする、請求項21に記載の保存溶液。
  23. 前記pH緩衝剤はリン酸ナトリウムバッファー、およびリン酸カリウムバッファーなどから選択されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の保存溶液。
  24. 前記pH緩衝剤はNaHPO、NaHPO、KHPO、およびKHPOなど、ならびにそれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項23に記載の保存溶液。
  25. 前記カルシウム輸送遮断薬または抗カルシウム活性薬は、ニカルジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、ニソルジピン、クロルプロマジンまたはトリフルオルペラジンのうち1以上などの任意の既知のカルシウム輸送遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬から選択されることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の保存溶液。
  26. 前記カルシウム輸送遮断薬または抗カルシウム活性薬はニカルジピンおよび/またはジルチアゼムであることを特徴とする、請求項25に記載の保存溶液。
  27. 主として細胞に不透過性の少なくとも1種類の陰イオンを含むことを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の保存溶液。
  28. 前記の主として細胞に不透過性の陰イオンは不透過性封鎖陰イオンであることを特徴とする、請求項27に記載の保存溶液。
  29. 前記不透過性封鎖陰イオンはラクトビオナートまたはラクトビオン酸を含むことを特徴とする、請求項27に記載の保存溶液。
  30. コロイド浸透圧特性を有する少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一項に記載の保存溶液。
  31. 前記コロイド浸透圧特性を有する成分はポリエチレングリコール(PEG)、スクシニル化ゼラチン(ゲロフシンなど)、フィコール(多糖)またはデンプン製品を含むことを特徴とする、請求項30に記載の保存溶液。
  32. 無機または有機溶質を含むことを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一項に記載の保存溶液。
  33. 前記無機または有機溶質は陽イオンを含む電解質および/または例えば、Na、K、Cl、およびOHなどから選択される陰イオン、ならびにそれらの組合せであることを特徴とする、請求項32に記載の保存溶液。
  34. 前記無機溶質はNaClであることを特徴とする、請求項32に記載の保存溶液。
  35. カルシウムキレート特性を有する少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜34のいずれか一項に記載の保存溶液。
  36. 前記カルシウムキレート特性を有する成分はクエン酸塩またはEGTA(エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸)を含むことを特徴とする、請求項35に記載の保存溶液。
  37. 鉄キレート特性を有する少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜36のいずれか一項に記載の保存溶液。
  38. 前記鉄キレート特性を有する成分はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含むことを特徴とする、請求項37に記載の保存溶液。
  39. グルタミン酸および/またはグルタミンに加えて1以上の(付加的)アミノ酸を含むことを特徴とする、請求項1〜38のいずれか一項に記載の保存溶液。
  40. 前記付加的アミノ酸はグリシンもしくはn−アセチルシステインまたはそれらの組合せであることを特徴とする、請求項39に記載の保存溶液。
  41. 酸素フリーラジカルまたは酸素フリーラジカルの産生に対して有効な少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜40のいずれか一項に記載の保存溶液。
  42. 前記酸素フリーラジカルまたは酸素フリーラジカルの産生に対して有効な成分はアロプリノールおよび還元型グルタチオン、またはそれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項41に記載の保存溶液。
  43. エネルギー供給系の少なくとも1種類の成分またはエネルギー供給系もしくはケトン体に影響を及ぼす少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜42のいずれか一項に記載の保存溶液。
  44. 前記エネルギー供給系の成分はアデノシンを含むことを特徴とする、請求項43に記載の保存溶液。
  45. 前記ケトン体はβ−ヒドロキシ酪酸を含むことを特徴とする、請求項43に記載の保存溶液。
  46. 筋肉内のクロスブリッジ機能に可逆的に作用する成分を含むことを特徴とする、請求項1〜45のいずれか一項に記載の保存溶液。
  47. 前記筋肉内のクロスブリッジ機能に可逆的に作用する成分はブタン−ジオン−モノオキシムであることを特徴とする、請求項46に記載の保存溶液。
  48. タンパク質の細胞膜への挿入およびタンパク質の細胞膜からの除去に影響を及ぼす少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜47のいずれか一項に記載の保存溶液。
  49. 細胞内シグナル伝達系の成分少なくとも1種類の成分またはこの系を修飾する少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜48のいずれか一項に記載の保存溶液。
  50. 前記細胞内シグナル伝達系の少なくとも1種類の成分またはこの系を修飾する少なくとも1種類の成分はタンパク質キナーゼ阻害剤またはカルモジュリン阻害剤であることを特徴とする、請求項49に記載の保存溶液。
  51. 膜安定化作用を有する少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜50のいずれか一項に記載の保存溶液。
  52. 前記膜安定化作用を有する成分はラノラジンであることを特徴とする、請求項51に記載の保存溶液。
  53. 凍結保護作用を有する少なくとも1種類の成分を含むことを特徴とする、請求項1〜52のいずれか一項に記載の保存溶液。
  54. 前記凍結保護作用を有する成分が糖脂質であることを特徴とする、請求項53に記載の保存溶液。
  55. 以上に定義されるような、
    (i)注射水、
    (ii)二糖、
    (iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
    (iv)少なくとも1種類のカルシウム輸送遮断薬またはカルシウムチャネル遮断薬、
    (v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
    (vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
    の組合せを、不透過性封鎖陰イオン、無機溶質、酸素フリーラジカルおよびコロイド浸透圧に対して有効な成分、ならびに以上に定義されるようないずれかの任意選択の付加的成分とともに含む、請求項1〜54のいずれか一項以上に記載の、肝臓、腎臓、小腸および膵臓保存のための保存溶液。
  56. 以上に定義されるような、
    (ii)注射水
    (ii)スクロース、
    (iii)NaHPOおよびNaHPO
    (iv)ジルチアゼム、
    (v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
    (vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
    の組合せを、ラクトビオン酸、KOHおよびNaOH、グルタチオンおよびアロプリノールおよびPEG、ならびに以上に定義されるようないずれかの任意選択の付加的成分とともに含む、請求項1〜55のいずれか1項以上に記載の肝臓、腎臓、小腸および膵臓保存のための保存溶液。
  57. 6.5〜7.8の範囲のpHを有することを特徴とする、請求項1〜56のいずれか一項に記載の保存溶液。
  58. 6.5〜7.0の範囲のpHを有することを特徴とする、請求項57に記載の保存溶液。
  59. 6.8〜7.0の範囲のpHを有することを特徴とする、請求項57に記載の保存溶液。
  60. 請求項1〜59のいずれか一項に記載の保存溶液を含む、肝臓、腎臓、小腸および膵臓保存のための保存溶液。
  61. 血液供給の不在下での細胞の保存のための、特に、臓器、生体組織および細胞の損傷を防ぐための、フラッシュ溶液、保存溶液またはフラッシュ保存溶液としての請求項1〜60のいずれか一項に記載の保存溶液の使用。
  62. 溶液はフラッシュ保存溶液であることを特徴とする、請求項61に記載の使用。
  63. 溶液は前記低温貯蔵保存溶液であることを特徴とする、請求項61に記載の使用。
  64. 心臓鼓動ドナーもしくは心停止ドナーからの臓器を含む移植、温虚血もしくは冷虚血のいずれの状況も含む手術、全四肢もしくは全身保存、生体組織に対する実験、または操作した細胞、組織および臓器、四肢もしくは全身の培養および保存における使用を含む、請求項61〜63に記載の保存溶液の使用。
  65. 保存溶液は血管系を介して細胞、生体組織、臓器、四肢または全身に接触され、任意選択によりさらに、フラッシュされた細胞、組織および臓器の貯蔵のための保存溶液として役立つことを特徴とする、請求項61〜62に記載の保存溶液の使用。
  66. 低体温静的貯蔵および低体温灌流システムの両方での細胞、組織、臓器の長期保存を含む、請求項61〜63に記載の保存溶液の使用。
  67. 前記臓器は肝臓、腎臓、小腸および/または膵臓であることを特徴とする、請求項61〜64に記載の保存溶液の使用。
  68. 単純低体温貯蔵を目的とする細胞、特に、生きている細胞、組織または臓器の保存のための方法であって、それにより、前記細胞、組織または臓器は、
    (i)注射水、
    (ii)少なくとも1種類の糖、
    (iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
    (iv)カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する任意選択の少なくとも1種類の成分、
    (v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
    (vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン
    (ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/またはアスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在である)
    を含む保存溶液と接触され、
    それにより、前記細胞、組織または臓器は溶液でフラッシュされ、通常の場所から取り出され、通常0〜12℃の範囲の温度に冷却され、貯蔵される、方法。
  69. 生きている細胞、組織または臓器のフラッシュ保存を含むことを特徴とする、請求項68に記載の方法。
  70. 生きている細胞、組織または臓器の低温貯蔵保存を含むことを特徴とする、請求項68に記載の方法。
  71. (v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であることを特徴とする、請求項68〜70に記載の方法。
  72. アスピリンは不在であることを特徴とする、請求項68〜71に記載の方法。
  73. (vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であることを特徴とする、請求項68〜72に記載の方法。
  74. グルタミンは不在であることを特徴とする、請求項68〜72に記載の方法。
  75. (v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であり、かつ、(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であることを特徴とする、請求項68〜74に記載の方法。
  76. アスピリンおよびグルタミンは不在であることを特徴とする、請求項68〜74に記載の方法。
  77. 前記カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分は存在することを特徴とする、請求項68〜76に記載の方法。
  78. 前記カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分は不在であることを特徴とする、請求項68〜76に記載の方法。
  79. 単純低体温貯蔵を目的とする細胞、特に、生きている細胞、組織または臓器のフラッシング、保存またはフラッシュ保存のための方法であって、それにより、前記細胞、組織または臓器は、
    (i)注射水、
    (ii)少なくとも1種類の糖、
    (iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
    (iv)カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する任意選択の少なくとも1種類の成分、
    (v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、またはアスピリン、および
    (vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、またはグルタミン、ならびに
    凍結保護特性を有する少なくとも1種類の成分
    (ただし、アセトアミドは不在であり、かつ/またはアスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在である)
    を含む保存溶液と接触され、
    それにより、前記細胞、組織または臓器は溶液でフラッシュされ、通常の場所から取り出され、通常−20℃〜8℃の範囲の温度に冷却され、貯蔵される、方法。
  80. (v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であることを特徴とする、請求項79に記載の方法。
  81. アスピリンは不在であることを特徴とする、請求項79に記載の方法。
  82. (vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であることを特徴とする、請求項79〜81に記載の方法。
  83. グルタミンは不在であることを特徴とする、請求項79に記載の方法。
  84. (v)は遊離形態または塩形態のサリチル酸であり、かつ、(vi)は遊離形態または塩形態のグルタミン酸であることを特徴とする、請求項79〜86に記載の方法。
  85. アスピリンおよびグルタミンは不在であることを特徴とする、請求項79に記載の方法。
  86. 前記カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分は存在することを特徴とする、請求項79〜82に記載の方法。
  87. 前記カルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分は不在であることを特徴とする、請求項79〜82に記載の方法。
  88. 細胞、特に、組織または臓器の保存のためであり、それにより、前記細胞、組織または臓器はフラッシュされ、低体温状態にされ、浸漬または灌流により保存溶液と接触されることを特徴とする、請求項79または84に記載の方法。
  89. 前記細胞、組織、臓器またはドナーに生物学的に有効な量の保存溶液をその機能を維持または増強するために有効な速度または有効な濃度で投与することを含み、特定の細胞、組織または臓器機能を保存すること、および/または特定の機能を一時的に阻止することを目的とすることを特徴とする、請求項79または85のいずれか一項に記載の方法。
  90. フラッシュ灌流が300mmHgまでの圧力で行われることを特徴とする、請求項79または89のいずれか一項に記載の方法。
  91. 前記保存溶液は請求項1〜61のいずれか一項に定義されることを特徴とする、請求項79または89のいずれか一項に記載の方法。
  92. 使用直前に添加するための、第1のパーツに、成分(i)〜(vi)を、任意選択により1以上のさらなる部分に、請求項17〜60に定義される付加的成分の1以上から選択される個々の成分とともに有するか、または1つのパーツに、本明細書に定義されるような成分(i)〜(vi)を有し、その1以上の不安定成分は不在であり、かつ、1以上のさらなるパーツに個別に提供される、請求項1〜60のいずれか一項に記載の保存溶液を含み、特定の目的のための1以上のフラッシュ溶液の調製に使用するための、また、万能フラッシュ、保存またはフラッシュ保存溶液として役立つ、キット・オブ・パーツ。
  93. 前記保存溶液はフラッシュ保存溶液を含むことを特徴とする、請求項92に記載のキット・オブ・パーツ。
  94. 前記保存溶液は低温貯蔵保存溶液を含むことを特徴とする、請求項92に記載のキット・オブ・パーツ。
  95. 成分(i)〜(vi)を順次水に加え、コロイド浸透圧特性を有する成分および存在する場合には不安定成分以外の任意の付加的成分を加え、前記混合物を溶解させること、存在する場合にはコロイド浸透圧特性を有する成分を加え、前記溶液を一定容量付近にすること、最後に、pHを調整するために一定容量にし、滅菌および冷却することを含む、請求項1〜60のいずれか一項に記載の保存溶液の調製のための方法。
  96. 前記溶液はUV光の不在下、無酸素条件下で調製および貯蔵されることを特徴とする、請求項95に記載の方法。
  97. 前記溶液は不安定成分の不在下で調製および貯蔵され、その後、使用直前にこのような不安定成分が添加されることを特徴とする、請求項95または96に記載の方法。
  98. 前記溶液はアンモニアおよび酢酸の両方の生成なく、かつ、アセトアミドなどのその反応生成物の生成なく貯蔵されることを特徴とする、請求項97に記載の方法。
  99. 請求項95〜98のいずれか一項に記載の方法により得られる保存溶液。
  100. 水に請求項1〜99のいずれか一項に記載の成分(i)〜(vi)を加えることを含む方法により得られる保存溶液。
  101. 血液供給の不在下での細胞、組織および/または臓器の保存のための保存溶液であって、
    (i)注射水、
    (ii)少なくとも1種類の糖、
    (iii)pH緩衝特性を有する少なくとも1種類の成分、
    (iv)任意選択のカルシウム輸送遮断特性または抗カルシウム作用活性を有する少なくとも1種類の成分、
    (v)遊離形態もしくは塩形態のサリチル酸、および/またはアスピリン、ならびに
    (vi)遊離形態もしくは塩形態のグルタミン酸、および/またはグルタミン
    を含み、
    ただし、アスピリンが存在する場合にはグルタミンは不在であり、かつ、グルタミンが存在する場合にはアスピリンは不在であり、かつ/またはアスピリンおよび/もしくはアセトアミドおよび/もしくは酢酸が存在する場合には、存在するサリチル酸の量は、例えば、存在する酢酸の量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、アスピリンからの分解に帰すことのできる量を超えること、および/あるいは
    グルタミンおよび/またはアセトアミドおよび/またはアンモニアが存在する場合には、存在するグルタミン酸の量は、例えば、存在するアンモニアの量とアセトアミドの量の合計により決定されるような、グルタミンからの分解に帰すことのできる量を超えることを特徴とする、保存溶液。
  102. 添付の明細書に関してここに記載されるような保存溶液、使用、方法またはキット・オブ・パーツ。
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