本願は、通信技術の分野に関し、特に、予歪処理方法および装置に関する。
無線通信システムにおけるトランスミット・デバイスは、送信装置およびアンテナを含み、前記送信装置は前記アンテナに接続される。送信装置は、複数の送信チャネルを含み、送信チャネルは、周波数ミキサーおよび電力増幅器(power amplifier、略PA)を含む。一つの送信チャネルは一つのアンテナに対応し、アンテナは前記送信装置に接続される。トランスミット・デバイスが送信チャネル上でデータを送るとき、送信装置は、ベースバンド信号を受領し、周波数ミキサーを用いて該ベースバンド信号を無線周波数信号に変換し、PAを用いて無線周波数信号の電力を増幅して、増幅された無線周波数信号を得て、増幅された無線周波数信号を送信チャネルに対応するアンテナに送り、該アンテナが増幅された無線周波数信号を送信する。送信装置は、PAを使用することによって、送信される必要のある信号の電力を増幅し、それにより、受信デバイスは、受信された信号を正しく復調するために満足のいく受信レベルを受信する。たとえば、図1はPAの増幅関数の概略図である。PAについて、増幅されていない信号はPAの入力信号と称され、増幅された信号はPAの出力信号と称される。図1に示されるように、PAによる入力信号の増幅関数は、線形領域および非線形領域を含む。線形領域では、PAの増幅利得は定数であり、すなわち、出力信号の電力に対する入力信号の電力の比は定数であり、入力信号の位相は出力信号の位相と同じである。非線形領域では、PAの増幅関数は歪められることがある、すなわち、PAの増幅利得は入力信号の電力が増加するにつれて減少し、PAはそもそも増幅効果をもたない。加えて、入力信号の位相は、出力信号の位相と異なることがある。すなわち、PAは、非線形領域では、送信される必要がある信号の特性を変化させ、受信端での信号復調のパフォーマンスに影響を与えることがある。結果として、PAが非線形領域で動作するとき、増幅効率は低下する。
本願は、電力増幅器(power amplifier、略PA)の効率を改善するためのいくつかの予歪処理方法および装置を提供する。
第一の側面によれば、本願は、第一の予歪部、第二の予歪部、フィードバック信号変換部、および解法部を含む予歪処理装置を提供する。第一の予歪部は、N個のデジタル予歪(digital pre-distortion、略DPD)プロセッサを含み:第一ベースバンド信号およびN個のセットの予歪パラメータを受領し、前記第一ベースバンド信号に対して、前記N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得て、前記N個の第二ベースバンド信号を前記第二の予歪部に送信するよう構成される。前記第二の予歪部は:前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数を受領し、前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてM個の第三ベースバンド信号を決定するよう構成される。前記フィードバック信号変換部は:電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号であって、前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号は前記M個の第三ベースバンド信号に基づいて得られた無線周波数信号である、無線周波数信号を受領し;前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号を第五ベースバンド信号に変換し;前記第五ベースバンド信号を前記解法部に送るよう構成されている。前記解法部は:前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号を受領し、前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号に基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定し、前記N個のセットの予歪パラメータを前記第一の予歪部に送り、前記ネットワーク係数を前記第二の予歪部に送るよう構成される。N、M、およびRは整数であり、Nは1以上であり、MはN以上であり、Rは1以上M以下である。任意的に、前記第一ベースバンド信号はサービス信号であってもよく、あるいはデジタル予歪処理のために特に使用される信号であってもよい。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願のこの実施形態において提供される第一の予歪処理装置によれば、DPDプロセッサの数を減らすことができ、予歪処理装置の構造を最適化し、設計の複雑さ、コスト、および電力消費を低減することができる。さらに、本願のこの実施形態において提供される第一の予歪処理装置では、異なるPAの非線形特性間の差異が考慮され、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることが保証できる。
第一の側面によれば、第一の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のデジタル予歪DPDプロセッサを含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領し、前記x番目のセットの予歪パラメータに基づいて、x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得て、前記x番目の第二ベースバンド信号を前記第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記第一ベースバンド信号である;あるいは、xが2からNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(x−1)番目の第二ベースバンド信号であり、前記(x−1)番目の第二ベースバンド信号が、前記N個のベースバンド信号における(x−1)番目の第二ベースバンド信号である。第一の側面の第一の設計では、DPDプロセッサはカスケード接続されて信号に対して予歪処理を実行し、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。この実装は、比較的単純な設計、比較的低いコスト、および比較的低い電力消費をもつ。
第一の側面によれば、第二の設計において、第一の予歪部は具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびN−1個の乗算器を含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットと、N個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号とを受領し、前記x番目のセットの予歪パラメータに基づいてx番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行してN個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は前記第一ベースバンド信号である:あるいはxが2からNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、前記(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号が、前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号である。前記N−1個の乗算器におけるy番目の乗算器は:前記N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られたy番目のDPDプロセッサ出力信号と、前記N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られた(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号に(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を乗算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得て、y番目の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、y番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。xがNである場合、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であり、x番目のDPDプロセッサは、さらに、x番目の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。第一の側面の第二の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、乗算器は、信号に対してフィードバック複素乗算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第一の側面によれば、第三の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびN−1個の加算器を含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットのうちの予歪パラメータのx番目のセットおよび前記第一ベースバンド信号を受領し、予歪パラメータの前記x番目のセットに基づいて前記第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。前記N−1個の加算器におけるy番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られるy番目のDPDプロセッサ出力信号および前記N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られる(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号および(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を加算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得て、前記y番目の第二のベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、前記y番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、前記(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。xがNである場合、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であり、x番目のDPDプロセッサは、さらに、x番目の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。第一の側面の第三の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、加算器は、信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第一の側面によれば、第四の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびL個の加算器を含み、ここで、Lは((N−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値である。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびN個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領し、予歪パラメータの前記x番目のセットに基づいて前記x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得て、x番目の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。L個の加算器におけるp番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2p−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(2p−1)番目の第二ベースバンド信号および前記N個のDPDプロセッサにおける2p番目のDPDプロセッサによって送られる2p番目の第二ベースバンド信号を受領し、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号と2p番目の第二ベースバンド信号を加算して前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2p+1)番目のDPDプロセッサおよび(2p+2)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される。ここで、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における(2p−1)番目の第二ベースバンド信号であり、2p番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における2p番目の第二ベースバンド信号であり、pは整数であり、pの値は1からL−1までの範囲である。Lは2の倍数であり、L個の加算器におけるL番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と、前記N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目の第二ベースバンド信号を受領し、該(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサおよび(2L+2)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される;または、Lは2の倍数ではなく、L個の加算器におけるL番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(2L−1)番目の第二ベースバンド信号および前記N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目の第二ベースバンド信号を受領し、該(2L−1)番目の第二ベースバンド信号および2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される。(2L−1)番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における(2L−1)番目の第二ベースバンド信号であり、2L番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における2L番目の第二ベースバンド信号であり、xが1または2の場合、前記第一ベースバンド信号はx番目のDPDプロセッサ入力信号である。第一の側面の第四の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、加算器は、信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第一の側面または第一の側面の任意の設計によれば、第五の設計において、第二の予歪部はW個の信号決定部を含む。前記W個の信号決定部におけるe番目の信号決定部は:前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数を受領し、前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてe番目の第二予歪部出力信号を決定するよう構成される。ここで、e番目の第二予歪部出力信号は、前記M個の第三ベースバンド信号のうちの少なくとも一つに対応する。ここで、eは整数であり、eの値は1からWまでの範囲である。具体的には、e番目の信号決定部は、前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に対して線形変換を実行して、e番目の第二予歪部出力信号を得るよう構成されている。第一の側面の第五の設計では、予歪処理が実行されたM個の信号が線形変換を通じて得られてもよく、予歪処理が実行された前記M個の信号は、複数アンテナ送信装置のM個のPAの増幅パフォーマンスとは逆の予歪信号であり、よって、送られる必要がある信号について、増幅されない信号は増幅された信号と線形関係にあり、複数アンテナ送信装置のPAの増幅効率を改善する。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願の実施形態において提供される予歪処理装置によれば、M−N個のDPDプロセッサが低減され、予歪処理装置の構造を最適化し、設計の複雑さ、コスト、および電力消費を低減する。さらに、異なるPAの非線形特性間の差異が考慮され、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることを保証できる。
第一の側面または第一の側面の任意の設計によれば、第六の設計では、フィードバック信号変換部は、結合部、周波数混合部、およびアナログ‐デジタル変換器ADCを含む。結合部は、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号を受領し、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの結合部出力信号を得て、該結合部出力信号を周波数混合部に送るよう構成されている。周波数混合部は:搬送波信号および前記結合部出力信号を受領し、前記搬送波信号に基づいて前記結合部出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号をADCに送るよう構成されている。ADCは:第六ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して前記第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号を前記解法部に送るよう構成されている。第一の側面の第六の設計によれば、電力増幅器によって増幅された無線周波数信号は、予歪処理装置の解法部にフィードバックされてもよく、それにより、解法部は、前記ネットワーク係数および予歪パラメータの前記N個のセットを得ることができ、予歪処理を実行する際に、前記第一の予歪部および前記第二の予歪部をサポートすることができる。
第一の側面または第一の側面の第一ないし第五の設計のうちのいずれか一項によれば、第七の設計では、フィードバック信号変換部は、結合部と、周波数混合部と、クリッパーと、ADCとを含む。結合部は:電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号を受領し、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの結合部出力信号を得て、該結合部出力信号を周波数混合部に送るよう構成されている。周波数混合部は:搬送波信号および前記結合部出力信号を受領し、前記搬送波信号に基づいて前記結合部出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号をクリッパーに送るよう構成されている。クリッパーは:第六ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して第七ベースバンド信号を得て、該第七ベースバンド信号をADCに送るよう構成されている。ADCは、第七ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して、前記第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号を前記解法部に送るよう構成されている。第一の側面の第六の設計と比較して、第一の側面の第七の設計では、クリッパーが追加されている。信号の振幅が比較的高い場合、追加されたクリッパーは、信号に対して振幅制限処理を実行し、信号の波の山によって引き起こされる、信号の波の谷に対する干渉を低減し、さらに、過度に高い信号振幅または過度に高い干渉によって引き起こされるADCへの損傷を低減することができる。
第二の側面によれば、本願は、第一の側面または第一の側面の第一ないし第五の設計のうちいずれか一項と、少なくとも一つのDACとを含む装置を提供する。第二の予歪部は、前記M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るようさらに構成される。前記少なくとも一つのDACにおける前記DACは、t番目の第三ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を得るよう構成される。
第三の側面によれば、本願は、第二の側面、発振器、およびM個の周波数混合部を含む装置を提供する。前記少なくとも一つのDACにおける前記DACはさらに、前記M個の第四ベースバンド信号における前記t番目の第四ベースバンド信号を、前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送るよう構成される。発振器は:搬送波信号を生成し、該搬送波信号を前記M個の周波数混合部に送るよう構成される。前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部は、前記搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得るよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第四の側面によれば、本願は、第一の側面の第六の設計または第七の設計と、少なくとも一つのDACとを含む装置を提供する。第二の予歪部は、第二の側面における第二の予歪部と同じであり、前記少なくとも一つのDACは、第二の側面における前記少なくとも一つのDACと同じである。
第五の側面によれば、本願は、第四の側面、発振器、およびM個の周波数混合部を含む装置を提供する。前記少なくとも一つのDACにおける前記DACは、前記M個の第四ベースバンド信号における前記t番目の第四ベースバンド信号を、前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送るようさらに構成される。発振器は:搬送波信号を生成し、該搬送波信号を前記M個の周波数混合部と、前記フィードバック信号変換部に含まれる前記周波数混合部とに送るよう構成される。前記M個の周波数混合部における前記t番目の周波数混合部は、前記搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得るよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第六の側面によれば、本願は、第一の予歪部、少なくとも一つのDAC、第二の予歪部、フィードバック信号変換部、および解法部を含む予歪処理装置を提供する。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含み:第一ベースバンド信号およびN個のセットの予歪パラメータを受領し、前記第一ベースバンド信号に対して、前記N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得て、該N個の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACに送るよう構成される。前記少なくとも一つのDACは:前記N個の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してN個の第三ベースバンド信号を得て、該N個の第三ベースバンド信号を前記第二の予歪部に送るよう構成される。前記第二の予歪部は:前記N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数を受領し、前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてM個の第四ベースバンド信号を決定するよう構成される。前記フィードバック信号変換部は:電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号であって、前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号は前記M個の第四ベースバンド信号に基づいて得られた無線周波数信号である、無線周波数信号を受領し;前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号を第五ベースバンド信号に変換し;前記第五ベースバンド信号を前記解法部に送るよう構成されている。ここで、Rは1以上M以下の整数である。前記解法部は:前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号を受領し、前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号に基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定し、前記N個のセットの予歪パラメータを前記第一の予歪部に送り、前記ネットワーク係数を前記第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、NおよびMは整数であり、Nは1より大きく、MはN以上である。任意的に、前記第一ベースバンド信号はサービス信号であってもよく、あるいはデジタル予歪処理のために特に使用される信号であってもよい。第六の側面における装置によれば、第一の予歪部および第二の予歪部は予歪処理機能を実装し、複数アンテナ送信装置のPAの増幅効率を改善する。本予歪処理装置は、設計の複雑さ、コスト、および電力消費を低減するのみならず、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることを保証することもできる。
第六の側面によれば、第一の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサを含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領し、前記x番目のセットの予歪パラメータに基づいて、前記x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得て、前記x番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記第一ベースバンド信号である;あるいは、xが2からNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(x−1)番目の第二ベースバンド信号であり、前記(x−1)番目の第二ベースバンド信号が、前記N個のベースバンド信号における(x−1)番目の第二ベースバンド信号である。第六の側面の第一の設計では、DPDプロセッサはカスケード接続されて信号に対して予歪処理を実行し、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。この実装は、比較的単純な設計、比較的低いコスト、および比較的低い電力消費をもつ。
第六の側面によれば、第二の設計において、第一の予歪部は具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびN−1個の乗算器を含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットと、N個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号とを受領し、前記x番目のセットの予歪パラメータに基づいてx番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行してN個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は前記第一ベースバンド信号である:あるいはxが2からNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、前記(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号が、前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号である。前記N−1個の乗算器におけるy番目の乗算器は:前記N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られたy番目のDPDプロセッサ出力信号と、前記N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られた(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号に(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を乗算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得て、該y番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。ここで、y番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。xがNである場合、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であり、x番目のDPDプロセッサは、さらに、x番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。第六の側面の第二の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、乗算器は、信号に対してフィードバック複素乗算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第六の側面によれば、第三の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびN−1個の加算器を含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットのうちの予歪パラメータのx番目のセットおよび前記第一ベースバンド信号を受領し、予歪パラメータの前記x番目のセットに基づいて前記第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。前記N−1個の加算器におけるy番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られるy番目のDPDプロセッサ出力信号および前記N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られる(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号および(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を加算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得て、前記y番目の第二のベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。ここで、前記y番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、前記(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。xがNである場合、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であり、x番目のDPDプロセッサは、さらに、x番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。第六の側面の第三の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、加算器は、信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第六の側面によれば、第四の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびL個の加算器を含み、ここで、Lは((N−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値である。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびN個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領し、予歪パラメータの前記x番目のセットに基づいて前記x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得て、x番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。L個の加算器におけるp番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2p−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(2p−1)番目の第二ベースバンド信号および前記N個のDPDプロセッサにおける2p番目のDPDプロセッサによって送られる2p番目の第二ベースバンド信号を受領し、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号と2p番目の第二ベースバンド信号を加算して前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2p+1)番目のDPDプロセッサおよび(2p+2)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される。ここで、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における(2p−1)番目の第二ベースバンド信号であり、2p番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における2p番目の第二ベースバンド信号であり、pは整数であり、pの値は1からL−1までの範囲である。Lは2の倍数であり、L個の加算器におけるL番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と、前記N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目の第二ベースバンド信号を受領し、該(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサおよび(2L+2)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される;または、Lは2の倍数ではなく、L個の加算器におけるL番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(2L−1)番目の第二ベースバンド信号および前記N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目の第二ベースバンド信号を受領し、該(2L−1)番目の第二ベースバンド信号および2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される。(2L−1)番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における(2L−1)番目の第二ベースバンド信号であり、2L番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における2L番目の第二ベースバンド信号であり、xが1または2の場合、前記第一ベースバンド信号はx番目のDPDプロセッサ入力信号である。第六の側面の第四の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、加算器は、信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第六の側面または第六の側面の任意の設計によれば、第五の設計において、第二の予歪部はW個の信号決定部を含む。前記W個の信号決定部におけるe番目の信号決定部は:前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数を受領し、前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてe番目の第二予歪部出力信号を決定するよう構成される。ここで、e番目の第二予歪部出力信号は、前記M個の第四ベースバンド信号のうちの少なくとも一つに対応する。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。具体的には、e番目の信号決定部は、前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に対して線形変換を実行して、e番目の第二予歪部出力信号を得るよう構成されている。第六の側面の第五の設計の技術的効果は、第一の側面の第五の設計のものと同じである。
第六の側面または第六の側面の任意の設計によれば、第六の設計では、フィードバック信号変換部は、第一の側面の第六の設計におけるものと同じである。
第六の側面または第六の側面の第一ないし第五の設計のうちのいずれか一項によれば、第七の設計では、フィードバック信号変換部は、第一の側面の第七の設計におけるものと同じである。
第七の側面によれば、本願は、第六の側面または第六の側面の第一ないし第五の設計のうちいずれか一項、発振器、およびM個の周波数混合部を含む装置を提供する。前記第二の予歪部はさらに、前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を、前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送るよう構成される。発振器は:搬送波信号を生成し、該搬送波信号を前記M個の周波数混合部に送るよう構成される。前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部は、前記搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得るよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第八の側面によれば、本願は、第六の側面の第六の設計または第七の設計、発振器、およびM個の周波数混合部を含む装置を提供する。前記第二の予歪部は、前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を、前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送るようさらに構成される。発振器は:搬送波信号を生成し、該搬送波信号を前記M個の周波数混合部と、前記フィードバック信号変換部に含まれる前記周波数混合部とに送るよう構成される。前記M個の周波数混合部における前記t番目の周波数混合部は、前記搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得るよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第九の側面によれば、本願は、第三の側面、第五の側面、第七の側面、または第八の側面のうちのいずれか一項と、M個の電力増幅器PAとを含む装置を提供する。前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部はさらに、前記M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を前記M個のPAにおけるt番目のPAに送るよう構成されている。前記M個のPAにおけるt番目のPAは:t番目の第一無線周波数信号を増幅してM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を得て、該t番目の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送るよう構成され、t番目の第二無線周波数信号は、前記フィードバック信号変換部によって受領される、前記電力増幅器によって増幅される前記R個の無線周波数信号における、ある電力増幅器によって増幅された一つの無線周波数信号として使用される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十の側面によれば、本願は、第九の側面およびM個アンテナを含むデバイスを提供する。前記M個のPAにおけるt番目のPAはさらに、t番目の第二無線周波数信号を前記M個のアンテナにおけるt番目のアンテナに送るよう構成されている。前記M個のアンテナにおけるt番目のアンテナは、t番目の第二無線周波数信号を送信するよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十一の側面によれば、本願は、チップ・システムを提供する。本チップ・システムは、上述の任意の装置でありうる。本チップ・システムは、チップを含んでいてもよく、またはチップおよび別の離散的なデバイスを含んでいてもよい。チップは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、略ASIC)であってもよく、または別の形のチップであってもよい。任意的に、本チップ・システムは、上記の諸側面における機能を実装することにおいて予歪処理装置をサポートするよう構成されたプロセッサをさらに含んでいてもよい。ある可能な設計では、本チップ・システムは、メモリをさらに含み、該メモリは、予歪処理装置に必要なプログラム命令およびデータを記憶するよう構成される。
第十二の側面によれば、本願は、デジタル予歪方法を提供する。本方法は:第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ること;前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第三ベースバンド信号を決定すること;電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号であって、前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号は前記M個の第三ベースバンド信号に基づいて決定される、無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得ること;および前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号に基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定することを含み、N、M、およびRは整数であり、Nは1より大きく、MはN以上である。
第十二の側面によれば、第一の設計において、第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ることは:xが整数であり、xの値は1からNまでの範囲であることと;xが1の場合には、前記第一ベースバンド信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得ること;またはxが2ないしNのいずれかの整数である場合には、前記N個の第二ベースバンド信号における(x−1)番目の第二ベースバンド信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得ることとを含む。
第十二の側面によれば、第二の設計において、第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ることは:xが整数であり、xの値は1からNまでの範囲であることと;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の出力信号におけるx番目の出力信号を得ることであって、ここで、xが1のときは前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号であり、またはxが2ないしNのいずれかの整数であるときは前記x番目の入力信号は前記N個の出力信号における(x−1)番目の出力信号である、ことと;xが1ないしN−1のいずれかの整数である場合、x番目の出力信号に前記N個の出力信号における(x+1)番目の出力信号を乗算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;またはxがNである場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号は前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であることを決定することとを含む。
第十二の側面によれば、第三の設計において、第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ることは:xが整数であり、xの値は1からNまでの範囲であることと;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の出力信号におけるx番目の出力信号を得ることであって、前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号である、ことと;xが1ないしN−1のいずれかの整数である場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号および(x+1)番目の出力信号を加算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;またはxがNである場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号が前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であることを決定することとを含む。
第十二の側面によれば、第四の設計において、第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ることは:xが整数であり、xの値は1からNまでの範囲であることと;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得ることであって、xが1または2であるときは、前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号であり;またはxが2ないしNのいずれかの整数であるときは、前記x番目の入力信号は前記N個の出力信号における(2p−1)番目の出力信号および2p番目の出力信号を加算することによって得られる信号であり、pは((x−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値に等しい、こととを含む。
第十二の側面または第十二の側面の任意の設計によれば、第五の設計において、前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第三ベースバンド信号を決定することは:前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいて前記M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号を決定することを含み、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十二の側面または第十二の側面の任意の設計によれば、第六の側面では、本方法はさらに:前記M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行してM個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を得て;搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得て;t番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、前記電力増幅器によって増幅された前記M個の無線周波数信号におけるt番目の無線周波数信号を得ることを含み、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十二の側面または第十二の側面の任意の設計によれば、第七の設計において、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得ることは:前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号に基づいて一つの出力信号を得て;前記搬送波信号に基づいて前記出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して、第六ベースバンド信号を得て;前記第六ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して、前記第五ベースバンド信号を得ることを含む。
第十二の側面または第十二の側面の第一ないし第六のいずれかによれば、第八の設計において、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得ることは:前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号に基づいて一つの出力信号を得て;前記搬送波信号に基づいて前記出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して、第六ベースバンド信号を得て;前記第六ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して第七ベースバンド信号を得て;前記第七ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して前記第五ベースバンド信号を得ることを含む。
第十三の側面によれば、本願は、デジタル予歪方法を提供する。本方法は:第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ること;前記N個の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してN個の第三ベースバンド信号を得ること;前記N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第四ベースバンド信号を決定すること;電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号であって、前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号は前記M個の第四ベースバンド信号に基づいて決定される、無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得ること;および前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号に基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定することを含み、N、M、およびRは整数であり、Nは1より大きく、MはN以上であり、Rは1以上M以下である。
第十三の側面によれば、第一の設計において、前記第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得るための方法は、第十二の側面の第一の設計ないし第四の設計のいずれかのものと同じである。
第十三の側面または第十三の側面の第一の設計によれば、第二の設計において、前記N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第四ベースバンド信号を決定することは:前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいて前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を決定することを含み、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十三の側面または第十三の側面の第一もしくは第二の設計によれば、第三の設計において、本方法はさらに:前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得て;前記M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、前記電力増幅器によって増幅された前記M個の無線周波数信号におけるt番目の無線周波数信号を得ることを含む。
第十三の側面または第十三の側面の第一ないし第三の設計のいずれかによれば、第四の設計において、前記電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を決定するための方法は:第十二の側面の第七または第八の設計におけるものと同じである。
第十四の側面によれば、本願のある実施形態は、予歪処理装置を提供する。本予歪処理装置は、第十二の側面、第十二の側面の諸設計、第十三の側面、および第十三の側面の諸設計における方法を実施する機能を有する。これらの機能は、ハードウェアによって、または対応するソフトウェアを実行するハードウェアによって実装されうる。ハードウェアまたはソフトウェアは、前記機能に対応する一つまたは複数のモジュールを含む。
第十五の側面によれば、本願のある実施形態は、前述の予歪処理装置によって使用されるコンピュータ・ソフトウェア命令を記憶するよう構成されたコンピュータ記憶媒体を提供し、該コンピュータ・ソフトウェア命令は、前述の諸側面を実行するよう設計されたプログラムを含む。
本願の実施形態または背景における技術的解決策をより明確に説明するために、本願の実施形態または背景を説明するために必要な添付の図面を以下に簡単に説明する。
電力増幅器の増幅機能の概略図である。
本願のある実施形態による予歪処理装置の概略構造図である。
本願のある実施形態によるトランスミット・デバイスの概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪処理装置の概略構造図である。
本願のある実施形態による第二の予歪処理装置の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪部の第一の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪部の第二の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪部の第三の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪部の第四の概略構造図である。
本願のある実施形態による第二の予歪部の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪処理方法のフローチャートである。
本願のある実施形態による第二の予歪処理方法のフローチャートである。
下記は、添付の図面を参照して、本願の実施形態を記述する。
本願の実施形態において記載されるネットワーク・アーキテクチャーおよびサービス・シナリオは、本願の実施形態における技術的解決策をより明確に説明するために使用されるが、本願の実施形態において提供される技術的解決策を制限することは意図されていない。ネットワーク・アーキテクチャーが進化し、新しいサービス・シナリオが出現するにつれて、本願の実施形態において提供される技術的解決策は、同様の技術的問題に適用可能である。
本願の実施形態において提供される技術的解決策は、さまざまな通信システム、たとえば、移動通信用グローバルシステム(global system for mobile communication、略GSM)、符号分割多元接続(code division multiple access、略CDMA)システム、広帯域符号分割多元接続(wideband code division multiple access、略WCDMA)システム、時分割‐同期符号分割多元接続(time division-synchronous code division multiple access、略TD-SCDMA)システム、ユニバーサル移動通信システム(universal mobile telecommunications system、略UMTS)、ロングタームエボリューション(long term evolution、略LTE)システム、および第五世代移動通信技術(the fifth generation mobile communication technology、略5G)システムに適用されうる。通信技術の絶え間ない発展に伴い、本願の実施形態において提供される技術的解決策は、将来のネットワークにさらに適用されうる。さらに、本願の実施形態において提供される技術的解決策は、予歪処理を実装する必要のある別の通信システムに適用されてもよい。本願の実施側面において、用語「システム」および「ネットワーク」の範囲は類似している。通信システムにおいて、本願の実施形態において提供される技術的解決策を使用するデバイスは、トランスミット・デバイスであり、該トランスミット・デバイスは、ネットワーク装置であってもよく、またはユーザー装置であってもよい。トランスミット・デバイスは、送信デバイスと称されてもよい。
本願の実施形態におけるユーザー装置(user equipment、略UE)は、ハンドヘルド装置、車載装置、ウェアラブル装置、または無線通信機能を有するコンピューティング装置、または無線モデムに接続された他の処理装置を含む。ユーザー装置は、代替的に、端末(terminal)、移動局(mobile station、略MS)、移動端末(mobile terminal、略MT)、ユーザー端末(user terminal、略UT)、ユーザーエージェント(user agent、略UA)、端末装置(terminal equipment、略TE)などとも称されてもよく、これは本願において限定されない。
本願の実施形態におけるネットワーク装置は、基地局(base station、略BS)、ネットワーク・コントローラ、モバイル・スイッチング・センター、または他のアクセス・ネットワーク装置を含む。基地局は、さまざまな形のマクロ基地局、マイクロ基地局、中継局、アクセスポイントなどを含む。たとえば、基地局は、GSMまたはCDMAにおける基地局:ベーストランシーバーステーション(base transceiver station、略BTS)であってもよく;またはWCDMAにおける基地局:NodeBであってもよく;またはLTEにおける進化した基地局:eNBまたはe-NodeB(evolutional NodeB)であってもよく;または5Gシステムにおける基地局であってもよい(ここで、5Gシステムにおける基地局は、送信受信点TRP(transmission reception point、略TRP)、gNB(generation NodeB、略gNB)、または別の名前で称されることがある)。あるいはまた、基地局は、将来のネットワークにおける基地局であってもよく、これは本願において限定されない。
本願の実施形態は、いくつかの予歪処理方法および対応する予歪処理装置を提供する。それらの方法または装置は、トランスミット・デバイスに適用されてもよく、さらに、トランスミット・デバイスの送信装置に適用されて、非線形領域におけるPAの増幅関数の歪みを低減することができる。
トランスミット・デバイスの送信装置において、非線形領域における電力増幅器(power amplifier、略PA)の増幅関数の歪みを克服するために、送信装置は、予歪処理装置を含む。予歪処理装置は、PAの増幅パフォーマンスと反対の予歪信号を生成するよう構成されたデジタル予歪(digital pre-distortion、略DPD)プロセッサを含み、それにより、送信される必要のある信号に対して、増幅されていない信号が増幅された信号と線形関係になる。たとえば、図2は、予歪処理装置の概略構造図である。図2に示されるように、予歪処理装置は、DPDプロセッサ、デジタル‐アナログ変換器(digital to analog converter、略DAC)、第一の周波数混合部、発振器、第二の周波数混合部、クリッパー、アナログ‐デジタル変換器(analog to digital converter、略ADC)、および予歪パラメータ決定部を含む。予歪処理装置による信号処理の信号流れ方向およびプロセスを示すために、図2はさらにPAおよびアンテナを示している。図2に示される予歪処理装置については、信号処理プロセスは次のようなものである:DPDプロセッサが、第一ベースバンド信号と、予歪パラメータ決定部によって送られる予歪パラメータとを受領し、前記予歪パラメータおよび予歪処理アルゴリズムに基づいて前記第一ベースバンド信号に対して予歪処理を実行して、第二ベースバンド信号を得て、該第二ベースバンド信号をDACに送り;DACが、第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して第三ベースバンド信号を得て、該第三ベースバンド信号を第一の周波数混合部に送り;発振器が搬送波信号を生成して、該搬送波信号を第一の周波数混合部および第二の周波数混合部に送り;第一の周波数混合部が、前記搬送波信号に基づいて前記第三ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して第一無線周波数信号を得て、該第一無線周波数信号をPAに送り;PAが第一無線周波数信号を増幅して、第二無線周波数信号を得て、該第二無線周波数信号をアンテナに送り、第二無線周波数信号を第二の周波数混合部にフィードバックし;アンテナが第二無線周波数信号を送信し;第二の周波数混合部が前記搬送波信号に基づいて前記第二の無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行して第四ベースバンド信号を得て、該第四ベースバンド信号をクリッパーに送り;クリッパーが第四ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号をADCに送り;ADCが第五ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号を予歪パラメータ決定部に送り;予歪パラメータ決定部が、第六ベースバンド信号および第一ベースバンド信号を受領し、前記第六ベースバンド信号、前記第一ベースバンド信号および予歪パラメータ解法アルゴリズムに基づいて前記予歪パラメータを決定して、該予歪パラメータをDPDプロセッサに送る。図2に示される予歪処理装置によれば、PAの増幅効率を改善するために、第一ベースバンド信号と第二無線周波数信号との間の線形増幅関係を維持することができる。本願の実施形態における「第一」〔一番目〕、「第二」〔二番目〕、「第三」〔三番目〕、「第四」〔四番目〕、「第五」〔五番目〕、「第六」〔六番目〕、「第七」〔七番目〕等は、単に区別のために使用されており、シーケンスまたはサイズを表わすものではない。
本願の実施形態において、DPDプロセッサは、デジタル予歪処理機能を実装するよう構成され、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェア+ハードウェアの形で実装されうる。DPDプロセッサが、ハードウェアまたはソフトウェア+ハードウェアの形で実装される場合、DPDプロセッサは、独立したデバイスであってもよく、またはチップ・システムの構成要素であってもよい。一例では、チップ・システムは、本願の実施形態において提供される予歪処理装置である。
本願の実施形態において、周波数混合部は、一つまたは複数の周波数ミキサーを含み、ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して無線周波数信号を得る、または無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行してベースバンド信号を得るよう構成される。換言すれば、本願の実施形態において記載されるアップコンバージョン機能またはダウンコンバージョン機能は、一つの周波数ミキサーまたは複数の周波数ミキサーを使用することによって実装されてもよく、これは本願において限定されない。たとえば、周波数混合部は二つの周波数ミキサーを含み、周波数混合部によって一つのベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して一つの無線周波数信号を得る機能は、該二つの周波数ミキサーを使用することによって実装されてもよい。具体的には、この実装は次のようなものである:前記二つの周波数ミキサーにおける第一の周波数ミキサーが、ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して一つの中間周波数信号を得て、前記二つの周波数ミキサーにおける第二の周波数ミキサーが、中間周波数信号に対してアップコンバージョンを実行して無線周波数信号を得る。たとえば、周波数混合部は、二つの周波数ミキサーを含み、周波数混合部によって一つの無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行して一つのベースバンド信号を得る機能は、前記二つの周波数ミキサーを使用することによって実装されてもよい。具体的には、この実装は次のようなものである:前記二つの周波数ミキサーにおける第一の周波数ミキサーが、無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行して一つの中間周波数信号を得て、前記二つの周波数ミキサーにおける第二の周波数ミキサーが、中間周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行してベースバンド信号を得る。
無線通信技術の発展に伴い、同じ信号が複数アンテナ・システムを使って送信される技術的解決策が提案される。この技術的解決策によれば、信号伝送中に、チャネル伝送品質が改善されることができ、信号伝送レートを増大させることができる。複数アンテナ・システムは、複数のアンテナを含む。該複数のアンテナのうちの任意のものが、少なくとも一つのアンテナ素子を含み、前記複数のアンテナのうちの一つまたは複数が、アンテナ・パネルを共有していてもいなくてもよく、および/または前記複数のアンテナがレードームを共有してもしなくてもよい。これは、本願の実施側面において限定されない。複数アンテナ・システムは、代替的に、サブアレイ(subarray)アンテナ、分子アレイ・アンテナ、アレイ(array)アンテナ、アンテナ・アレイ、または別の名称で称されてもよく、複数のアンテナを使って同じ信号を送信するために主に使用される。たとえば、図3は、トランスミット・デバイスの概略構造図である。図3に示されるように、トランスミット・デバイスは、複数のアンテナおよび送信装置を含む。複数のアンテナは、送信装置に接続され、送信装置は、代替的に、複数アンテナ送信装置と称されてもよい。複数のアンテナはM個のアンテナを含み、送信装置は発振器およびM個の送信チャネルを含み、M個のアンテナはM個の送信チャネルと1対1で対応し、Mは1以上の整数である。送信チャネルは、PA、DAC、および周波数混合部を含む。図3に示されるトランスミット・デバイスを使って信号が送信されるとき、送信装置は、一つのベースバンド信号を受領し、該ベースバンド信号を送信チャネルに結合し、前記ベースバンド信号をそれらの送信チャネルの同じ入力信号として使用する。発振器は搬送波信号を生成し、該搬送波信号を各送信チャネルの周波数混合部に送る。送信装置の各送信チャネルにおいて、DACは、その送信チャネルの入力信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して第二ベースバンド信号を得て、該第二ベースバンド信号を周波数混合部に送る。周波数混合部は、発振器によって送られた搬送波信号に基づいて、第二ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して第一無線周波数信号を取得し、該第一無線周波数信号をPAに送る。PAは、第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、増幅された無線周波数信号を得て、該増幅された無線周波数信号を、そのPAを含む送信チャネルに対応するアンテナに送る。それにより、アンテナは増幅された無線周波数信号を送信する。本願の実施形態において、PAが増幅された無線周波数信号をアンテナに送ることは、PAが増幅された無線周波数信号をアンテナに含まれるアンテナ素子に結合することとして理解されてもよく、アンテナが増幅された無線周波数信号を送信することは、アンテナに含まれるアンテナ素子が増幅された無線周波数信号を送信することとして理解されてもよい。複数アンテナ送信装置はPAを含み、PAの増幅関数は非線形領域で歪んでいることがあり、DPDプロセッサは、PAの増幅効率を改善することができるので、複数アンテナ送信装置に予歪処理装置が配置されてもよく、該予歪処理装置は、諸PAの増幅効率を改善するように構成されたDPDプロセッサを含む。複数アンテナ送信装置は複数のPAを含み、異なるPAが異なる非線形特性をもつので、複数アンテナ送信装置が従来の予歪処理技術を依然として使用している場合、予歪処理装置の各PAについて、独立したDPDプロセッサが配置される必要がある。この場合、送信装置のコスト、設計の複雑さ、および電力消費が大幅に増加する。
一例では、本願の実施形態において提供される予歪処理装置は、複数アンテナ送信装置に適用される。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願の実施形態において提供される予歪処理装置は、予歪処理装置の構造を最適化することを意図している。
複数アンテナ送信装置において、PAの非線形特性は主にPAの構造およびPAの入力信号に依存し、複数アンテナ送信装置の諸PAの入力信号は同じであるため、従来の予歪処理技術を用いた複数アンテナ送信装置では、異なるPAの非線形特性が相関し、異なるPAに対応するDPDプロセッサのパフォーマンスが相関する。よって、複数アンテナ送信装置における予歪処理装置の構造は、設計複雑性を低減し、コストを低減し、および複数アンテナ送信装置の電力消費を低減するために最適化されることができる。
図4は、本願のある実施形態による第一の予歪処理装置の概略構造図である。
図4に示されるように、本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置は、第一の予歪部、第二の予歪部、フィードバック信号変換部、および解法部を含む。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含む。予歪処理装置による信号処理の信号流れ方向およびプロセスを示すために、図4はさらに、第一の発振器、少なくとも一つのDAC、M個の周波数混合部、M個のPA、およびM個のアンテナを示している。ここで、NおよびMは整数であり、Nは1以上であり、MはN以上である。
図4に示される予歪処理装置が信号を送信するための送信装置に適用される場合、第一の予歪部は、一つの第一ベースバンド信号と、予歪パラメータのN個のセットとを受領する。第一ベースバンド信号は、DPDプロセッサに固有のデジタル信号またはサービス信号である。たとえば、DPDプロセッサに固有のデジタル信号は、直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing、略OFDM)シンボルである。さらに、第一ベースバンド信号は、I(In-phase、略I)信号およびQ(Quadrature-phase、略Q)信号を含んでいてもよい。第一ベースバンド信号がI信号およびQ信号を含む場合、本願の実施形態に記載される信号処理プロセスは、I信号およびQ信号に対して別々に実行される。予歪パラメータのN個のセットは、解法部によって第一の予歪部に送られるパラメータである。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびN個のセットの予歪パラメータに基づいて、第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行し、N個の第二ベースバンド信号を得て、該N個の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送る。第二の予歪部は、前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数を受領し、ここで、ネットワーク係数は、解法部によって第二の予歪部に送られる係数である。第二の予歪部は、N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第三ベースバンド信号を決定し、該M個の第三ベースバンド信号を予歪処理装置に含まれるDACに送る、すなわち、M個の第三ベースバンド信号のうちのt番目の第三ベースバンド信号を予歪処理装置に含まれるDACのうちの一つに送る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの値である。予歪処理装置に含まれるDACは、第二の予歪部によって送られたM個の第三ベースバンド信号を受領し、M個の第三ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してM個の第四ベースバンド信号を得て、該M個の第四ベースバンド信号をM個の周波数混合部に送る。換言すれば、M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号を受領するDACは、該t番目の第三ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を得て、該t番目の第四ベースバンド信号をM個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送る。任意的に、予歪処理装置は、M個のDACを含む。そのような構成に基づくと、第二の予歪部は、M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号をM個のDACにおけるt番目のDACに送り、該t番目のDACが、t番目の第三ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してt番目の第四ベースバンド信号を得て、該t番目の第四ベースバンド信号をt番目の周波数混合部に送る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。第一の発振器は搬送波信号を生成し、該搬送波信号をM個の周波数混合部に送る。M個の周波数混合部は、該搬送波信号およびDACによって送られたM個の第四ベースバンド信号を受領し、該M個の第四ベースバンド信号に対して搬送波信号に基づいてアップコンバージョンを実行してM個の第一無線周波数信号を得て、該M個の第一無線周波数信号をM個のPAに送る。換言すれば、M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部は、搬送波信号およびt番目の第四ベースバンド信号を受領し、ここで、t番目の第四ベースバンド信号は、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号である。t番目の周波数混合部は、搬送波信号に基づいてt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行してM個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得て、該t番目の第一無線周波数信号をM個のPAにおけるt番目のPAに送る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。M個のPAはM個の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号を得て、該M個の第二無線周波数信号をM個のアンテナに送り、M個の第二無線周波数信号におけるR個の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送る。ここで、Rは1以上M以下の整数である。換言すれば、M個のPAにおけるt番目のPAはM個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を得て、該t番目の第二無線周波数信号をM個のアンテナにおけるt番目のアンテナに送り、さらに、t番目の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送ってもよい。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。M個のアンテナは、M個の第二無線周波数信号を送信する。換言すれば、M個のアンテナにおけるt番目のアンテナが、M個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を送信する。電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号は、フィードバック信号変換部に結合される。換言すれば、フィードバック信号変換部は、電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号を受領し、R個の第二無線周波数信号を一つの第五ベースバンド信号に変換し、該第五ベースバンド信号を解法部に送る。解法部は、複数の予歪パラメータ解法アルゴリズムを、直列式、並列式、または直列式プラス並列式で組み合わせて、解法部の解法アルゴリズムを得る。予歪パラメータ解法アルゴリズムは、当業者によって一般的に使用されるアルゴリズムであってもよく、これは、本願において限定されない。たとえば、アルゴリズムは、最小平均二乗(least mean square、略LMS)アルゴリズムであってもよい。解法部は、第一ベースバンド信号および第五ベースバンド信号を受領し、解法部の解法アルゴリズムと第五ベースバンド信号とに基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定し、該N個のセットの予歪パラメータを第一の予歪部に送り、前記ネットワーク係数を第二の予歪部に送る。本願の実施形態では、ネットワーク係数は、代替的に、第一係数、第一パラメータ、または別の名前で称されることがあり、予歪処理機能を実施することにおいて第二の予歪部をサポートするために、解法部によって第二の予歪部に出力されるパラメータである。
本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置によれば、第一の予歪部および第二の予歪部は、複数アンテナ送信装置のM個のPAの増幅効率を改善するために、予歪処理機能を実装する。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含み、ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得るよう構成される。第二の予歪部は、予歪処理が実行されたN個の信号に基づいて、予歪処理が実行されたM個の信号を得る。予歪処理が実行されたM信号は、近似的に、M個のPAの増幅パフォーマンスとは逆の予歪信号であり、よって、送信される必要のある信号について、増幅されていない信号は、増幅された信号と線形関係になり、PAの増幅効率を改善する。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置によれば、DPDプロセッサの数を減らし、予歪処理装置の構造を最適化し、設計の複雑さ、コスト、および消費電力を低減することができる。さらに、本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置では、異なるPAの非線形特性間の差異が考慮され、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることが保証できる。
図5は、本願のある実施形態による第二の予歪処理装置の概略構造図である。
図5に示されるように、本願の実施形態において提供される第二の予歪処理装置は、第一の予歪部、少なくとも一つのDAC、第二の予歪部、フィードバック信号変換部、および解法部を含む。第一の予歪部はN個のDPDプロセッサを含む。予歪処理装置による信号処理の信号流れ方向およびプロセスを示すために、図5はさらに、第一の発振器、M個の周波数混合部、M個のPA、およびM個のアンテナを示している。ここで、NおよびMは整数であり、Nは1以上であり、MはN以上である。本願のこの実施形態において提供される第二の予歪処理装置と前記第一の予歪処理装置との間の違いは次のとおりである:第一の予歪処理装置では、信号処理の間、第二の予歪部が信号を処理した後にデジタル‐アナログ変換が実行される、すなわち、第二の予歪部がDACに信号を送る。一方、第二の予歪処理装置では、信号処理の間、第二の予歪部が信号を処理する前にデジタル‐アナログ変換が実行される、すなわち、DACが第二の予歪部に信号を送る。
図5に示される予歪処理装置が信号を送信するための送信装置に適用される場合、第一の予歪部は、一つの第一ベースバンド信号と、予歪パラメータのN個のセットとを受領する。第一ベースバンド信号は、図4に対応する予歪処理装置において述べた第一ベースバンド信号と同じであり、ここで再び詳細を述べることはしない。予歪パラメータのN個のセットは、解法部によって第一の予歪部に送られるパラメータである。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびN個のセットの予歪パラメータに基づいて、第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行し、N個の第二ベースバンド信号を得て、該N個の第二ベースバンド信号を、予歪処理装置に含まれているDACに送る。すなわち、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を、予歪処理装置に含まれているDACの一つに送る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。予歪処理装置に含まれているDACはN個の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して、N個の第三ベースバンド信号を得て、該N個の第三ベースバンド信号を第二の予歪部に送る。換言すれば、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を受領したDACはx番目の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してN個の第三ベースバンド信号におけるx番目の第三ベースバンド信号を得て、該x番目の第三ベースバンド信号を第二の予歪部に送る。任意的に、予歪処理装置はN個のDACを含んでいてもよい。そのような構成に基づけば、第一の予歪部はx番目の第二ベースバンド信号をN個のDACにおけるx番目のDACに送り、x番目のDACはx番目の第二のベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して、x番目の第三ベースバンド信号を得て、該x番目の第三ベースバンド信号を第二の予歪部に送る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。第二の予歪部は、N個の第三ベースバンド信号と、ネットワーク係数であって、該ネットワーク係数は解法部によって第二の予歪部に送られた係数である、ネットワーク係数とを受領し;前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてM個の第四ベースバンド信号を決定し、該M個の第四ベースバンド信号をM個の周波数混合部に送る、つまり、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号をM個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。第一の発振器は搬送波信号を生成し、該搬送波信号を周波数混合部に送る。M個の周波数混合部は、第一の発振器によって送られた搬送波信号およびM個の第四ベースバンド信号を受領し、該搬送波信号に基づいてM個の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行してM個の第一無線周波数信号を得て、該M個の第一無線周波数信号をM個のPAに送る。換言すれば、M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部は、発振器によって送られた搬送波信号およびM個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を受領し、搬送波信号に基づいてt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行してM個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得て、該t番目の第一無線周波数信号をM個のPAにおけるt番目のPAに送る。ここで、tは整数であり、tの値は1ないしMまでの範囲である。M個のPAはM個の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号を得て、該M個の第二無線周波数信号をM個のアンテナに送り、M個の第二無線周波数信号におけるR個の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送る。ここで、Rは1以上M以下の整数である。換言すれば、M個のPAにおけるt番目のPAはM個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を得て、該t番目の第二無線周波数信号をM個のアンテナにおけるt番目のアンテナに送り、さらに、t番目の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送ってもよい。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。M個のアンテナは、M個の第二無線周波数信号を送信する。換言すれば、M個のアンテナにおけるt番目のアンテナが、M個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を送信する。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号は、フィードバック信号変換部に結合される。換言すれば、フィードバック信号変換部は、電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号を受領し、R個の第二無線周波数信号を一つの第五ベースバンド信号に変換し、該第五ベースバンド信号を解法部に送る。解法部は、複数の予歪パラメータ解法アルゴリズムを、直列式、並列式、または直列式プラス並列式で組み合わせて、解法部の解法アルゴリズムを得る。予歪パラメータ解法アルゴリズムは、当業者によって一般的に使用されるアルゴリズムであってもよく、これは、本願において限定されない。たとえば、アルゴリズムは、LMSアルゴリズムであってもよい。解法部は、第一ベースバンド信号および第五ベースバンド信号を受領し、解法部の解法アルゴリズムと第一ベースバンド信号と第五ベースバンド信号とに基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定し、該N個のセットの予歪パラメータを第一の予歪部に送り、前記ネットワーク係数を第二の予歪部に送る。
本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置と同様に、本願の実施形態において提供される第二の予歪処理装置は、複数アンテナ送信装置のM個のPAの増幅効率を改善するために、第一の予歪部および第二の予歪部を使って予歪処理機能を実装する。本予歪処理装置は、設計の複雑さ、コスト、および消費電力を低減できるだけでなく、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることを保証することもできる。
図4または図5に示される第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含み、第一ベースバンド信号およびN個のセットの予歪パラメータを受領し、N個のDPDプロセッサおよびN個のセットの予歪パラメータに基づいて第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得るよう構成される。具体的には、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部は、図6ないし図9に示される第一の予歪部の複数の実装のうちの任意のものである。
図6に示される第一の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部の第一の実装である。図6に示されるように、第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含み、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットと、x番目のDPDプロセッサ入力信号とを受領し、x番目のセットの予歪パラメータに基づいてx番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る。図6に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、x番目のDPDプロセッサはx番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送信する。図6に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、x番目のDPDプロセッサはx番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送る。xが1である場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は第一ベースバンド信号である、またはxが2ないしNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサの入力信号は、N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(x−1)番目の第二ベースバンド信号であり、(x−1)番目の第二ベースバンド信号は、N個の第二ベースバンド信号における(x−1)番目のベースバンド信号であり、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。第一の予歪部の第一の実装では、信号に対して予歪処理を実行して予歪処理が実行されたN個の信号を得るために、諸DPDプロセッサがカスケード接続される。この実装は、比較的単純な設計、比較的低いコスト、および比較的低い電力消費をもつ。
図7に示される第一の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部の第二の実装である。図7に示されるように、第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびN−1個の乗算器を含む。
N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領する。x番目のDPDプロセッサ入力信号は、N個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号である。x番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのx番目のセットに基づいて、x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、x番目のDPDプロセッサ出力信号を得る。ここで、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサの出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号であり、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合は、x番目のDPDプロセッサ入力信号は第一ベースバンド信号であり、xが2ないしNのいずれかである場合は、x番目のDPDプロセッサによって受領されるx番目のDPDプロセッサ入力信号は、具体的には、N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号における(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。
N−1個の乗算器におけるy番目の乗算器は、N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られたy番目のDPDプロセッサ出力信号と、N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られた(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号に(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を乗算して、N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得る。y番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号である。図7に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、y番目の乗算器は、y番目の第二ベースバンド信号を図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送る。図7に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、y番目の乗算器は、y番目の第二ベースバンド信号を図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送る。ここで、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。
xがNの場合、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号である。この場合、図7に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサはさらに、x番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送るよう構成され;または図7に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサはさらに、x番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送るよう構成される。第一の予歪部の第二の実装では、DPDプロセッサは信号に対して予歪処理を実行し、乗算器は信号に対してフィードバック複素乗算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
図8に示される第一の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部の第三の実装である。図8に示されるように、第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびN−1個の加算器を含む。
N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよび第一ベースバンド信号を受領し、予歪パラメータのx番目のセットに基づいて第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。
N−1個の加算器におけるy番目の加算器は、N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られたy番目のDPDプロセッサ出力信号と、N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られた(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号と(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを加算して、N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得る。y番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号である。図8に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、y番目の加算器は、y番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送る。図8に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、y番目の加算器は、y番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送る。ここで、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。
xがNの場合、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号である。この場合、図8に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサはさらに、x番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送るよう構成され;または図8に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、x番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれる前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。第一の予歪部の第三の実装では、DPDプロセッサは信号に対して予歪処理を実行し、加算器は信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
図9に示される第一の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部の第四の実装である。図9に示されるように、第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびL個の加算器を含み、ここで、Lは、((N−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値に等しい。
N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領する。x番目のDPDプロセッサ入力信号は、N個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号である。x番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのx番目のセットに基づいて、x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る。図9に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、x番目のDPDプロセッサは、x番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送る。図9に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、x番目のDPDプロセッサは、x番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送る。
xが1または2である場合は、第一ベースバンド信号がx番目のDPDプロセッサ入力信号であり、またはxが2ないしNのいずれかである場合は、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、L個の加算器における対応する加算器によって得られる。
L個の加算器におけるp番目の加算器は、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける(2p−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(2p−1)番目の第二ベースバンド信号と、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける2p番目のDPDプロセッサによって送られる2p番目の第二ベースバンド信号とを受領し、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号と2p番目の第二ベースバンド信号とを加算して、N個のDPDプロセッサ入力信号における(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得る。すなわち、(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号は、(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号と同じである。p番目の加算器は、(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を、N個のDPDプロセッサにおける(2p+1)番目のDPDプロセッサおよび(2p+2)番目のDPDプロセッサに送る。ここで、pは整数であり、pの値は1からL−1までの範囲である。
Lが2の倍数である場合、L個の加算器におけるL番目の加算器は、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた、(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目のベースバンド信号とを受領し、(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と2L番目の第二ベースバンド信号とを加算して、(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号と(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号とを得る。すなわち、(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号は、(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号と同じである。L番目の加算器は、(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を、N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサおよび(2L+2)番目のDPDプロセッサに送る。
Lが2の倍数でない場合、L個の加算器におけるL番目の加算器は、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られる2L番目の第二ベースバンド信号とを受領し、(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を、N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサに送る。ここで、2L+1はNに等しい。第一の予歪部における第四の実装では、DPDプロセッサは信号に対して予歪処理を実行し、加算器は信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
図10に示される第二の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第二の予歪部である。図10に示される第二の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、図10に対応する第二の予歪部において記載される「N個の入力信号」は図4に対応する予歪処理装置において記載される「N個の第二ベースバンド信号」であり、図10に対応する第二の予歪部において記載される「ネットワーク係数」は図4に対応する予歪処理装置において記載される「ネットワーク係数」であり、図10に対応する第二の予歪部において記載される「M個の出力信号」は図4に対応する予歪処理装置において記載される「M個の第三ベースバンド信号」である。図10に示される第二の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、図10に対応する第二の予歪部において記載される「N個の入力信号」は図5に対応する予歪処理装置において記載される「N個の第三ベースバンド信号」であり、図10に対応する第二の予歪部において記載される「ネットワーク係数」は図5に対応する予歪処理装置において記載される「ネットワーク係数」であり、図10に対応する第二の予歪部において記載される「M個の出力信号」は図5に対応する予歪処理装置において記載される「M個の第四ベースバンド信号」である。
図10に示されるように、第二の予歪部は、W個の信号決定部を含み、W個の信号決定部におけるe番目の信号決定部は、N個の入力信号およびネットワーク係数を受領し、N個の入力信号およびネットワーク係数に基づいてe番目の第二予歪部出力信号を決定する。ここで、e番目の第二予歪部出力信号は、前記M個の出力信号のうちの少なくとも一つに対応し、eは整数であり、eの値は1からWまでの範囲であり、WはM以下の整数である。図10に示される第二の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、第二の予歪部の信号決定部は、図4に示される予歪処理装置のDACに接続される。e番目の信号決定部があるDACに接続されている場合、そのDACの機能は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号を受領することを含む。e番目の第二予歪部出力信号は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号に対応する。すなわち、e番目の第二予歪部出力信号は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号に対応する。e番目の信号決定部は、t番目の出力信号を、その信号決定部に接続されたDACに結合する。図10に示される第二の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、第二の予歪部の一つの信号決定部が図5に示される予歪処理装置の少なくとも一つの周波数混合部に接続され、一つの周波数混合部が一つの信号決定部に接続される。信号決定部が1対1の対応で周波数混合部に接続される場合、WはMに等しく;あるいは、一つの信号決定部が複数の周波数混合部に接続される場合、WはM未満である。e番目の信号決定部が、図5に示す予歪処理装置のM個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に接続されている場合、e番目の第二予歪部出力信号は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号に対応する。すなわち、e番目の第二予歪部出力信号は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号である。e番目の信号決定部は、該t番目の出力信号を、図5に示される予歪処理装置のM個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送る。ここで、tは、1以上M以下の整数である。たとえば、N個の入力信号がd_xと表わされ、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。すなわち、N個の入力信号はd_1、d_2、…、d_Nである。ネットワーク係数はKと記され、N個の係数k_xを含む。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。すなわち、ネットワーク係数Kはk_1、k_2、…、k_Nを含む。第二の予歪部に含まれるe番目の信号決定部は、d_1、d_2、…、d_N、k_1、k_2、…、k_Nに対して線形変換を実行して、e番目の第二予歪部出力信号を得る。線形変換は加算演算および乗算演算を含む。図10に示される第二の予歪部によれば、予歪処理が実行されたM個の信号が線形変換を通じて得られてもよく、予歪処理が実行されたM個の信号は、近似的に、複数アンテナ送信装置のM個のPAの増幅パフォーマンスとは逆の予歪信号であり、そのため、送信される必要のある信号について、増幅されていない信号は増幅された信号と線形関係にあり、複数アンテナ送信装置のPAの増幅効率を向上させる。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願の実施形態において提供される予歪処理装置によれば、M−N個のDPDプロセッサが削減され、予歪処理装置の構造を最適化し、設計の複雑さ、コスト、および電力消費を低減する。さらに、異なるPAの非線形特性間の差異が考慮され、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることが保証できる。
下記は、図4または図5を参照して、図4または図5に示される予歪処理装置のフィードバック信号変換部を記述する。該フィードバック信号変換部は、下記の二つの実装のいずれかである。下記の二つの実装のフィードバック信号変換部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、下記の二つの実装における「予歪処理装置」は、図4に対応する予歪処理装置である。下記の二つの実装におけるフィードバック信号変換部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、下記の二つの実装に記載される「予歪処理装置」は、図5に対応する予歪処理装置である。
フィードバック信号変換部の第一の実装は次のとおり:フィードバック信号変換部は、結合部と、周波数混合部と、ADCとを含む。結合部は、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号を受領し、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの結合部出力信号を得て、該結合部出力信号を周波数混合部に送る。結合部によって、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて結合部出力信号を得るための方法は、当業者によって一般的に使用される方法であってもよい。たとえば、結合部は、時分割法を使って、電力増幅器により増幅されたR個の無線周波数信号から一つの信号を選択し、その信号を結合部出力信号として使用してもよく;あるいは、平均取得法により、電力増幅器により増幅されたR個の周波数信号に基づいて一つの信号を得て、その信号を結合部出力信号として使用してもよく;あるいは、線形結合法を使って、電力増幅器により増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの信号を取得し、その信号を結合部出力信号として使用してもよい。これは、本願において限定されない。フィードバック信号変換部の周波数混合部は、搬送波信号に基づいて結合部出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して、第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号をフィードバック信号変換部のADCに送る。フィードバック信号変換部のADCは、第六ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して、第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号を予歪処理装置の解法部に送る。搬送波信号は、予歪処理装置の第一の発振器によってフィードバック信号変換部の周波数混合部に送られる搬送波信号であってもよい。任意的に、予歪処理装置はさらに、第二の発振器を含んでいてもよく、搬送波信号は、代替的に、第二の発振器によってフィードバック信号変換部の周波数混合部に送られる搬送波信号であってもよい。フィードバック信号変換部の第一の実装では、電力増幅器によって増幅された無線周波数信号は、予歪処理装置の解法部にフィードバックされてもよく、それにより、解法部は、ネットワーク係数およびN個のセットの予歪パラメータを得ることができ、予歪処理を実行することにおいて第一の予歪部および第二の予歪部をサポートすることができる。
フィードバック信号変換部の第二の実装は次のとおり:フィードバック信号変換部は、結合部と、周波数混合部と、クリッパーと、ADCとを含む。結合部は、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号を受領し、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの結合部出力信号を得て、該結合部出力信号をフィードバック信号変換部の周波数混合部に送る。結合部によって、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて結合部出力信号を得るための方法は、当業者によって一般的に使用される方法であってもよい。その方法は、フィードバック信号変換部の第一の実装における対応する記述と同じであり、ここで再び詳細を述べることはしない。フィードバック信号変換部の周波数混合部は、搬送波信号に基づいて結合部出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して、第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号をクリッパーに送る。クリッパーは、第六ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して、第七ベースバンド信号を得て、該第七ベースバンド信号を、フィードバック信号変換部のADCに送る。フィードバック信号変換部のADCは、第七ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して、第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号を図4に示されるデジタル予歪処理装置の解法部に送る。搬送波信号は、予歪処理装置の第一の発振器によってフィードバック信号変換部の周波数混合部に送られる搬送波信号であってもよい。予歪処理装置はさらに、第二の発振器を含んでいてもよく、搬送波信号は、代替的に、第二の発振器によってフィードバック信号変換部の周波数混合部に送られる搬送波信号であってもよい。フィードバック信号変換部の第一の実装と同様に、フィードバック信号変換部の第二の実装は、第一の予歪部をサポートし、第二の予歪部が予歪処理を実行することにおいてサポートされることができる。フィードバック信号変換部の第一の実装と比較して、フィードバック信号変換部の第二の実装では、クリッパーが追加される。信号の振幅が比較的高い場合、追加されたクリッパーは、信号に対して振幅制限処理を実行し、信号の波の山によって信号の波の谷に引き起こされる干渉を低減し、さらに、過度に高い信号振幅または過度に高い干渉によってADCに対して引き起こされる損傷を低減することができる。
なお、図4ないし図10に示される予歪処理装置、または予歪処理装置に含まれる構成要素は、本願の実施形態を実装するための主要な構成要素のみを含んでおり、システム要件に基づき、別のソフトウェアおよびハードウェア処理モジュールが各部および/またはデバイスの間にさらに配置されてもよい。たとえば、PAとアンテナとの間に送受切り換え器がさらに配置されてもよく、フィルタが周波数混合部とADCとの間にさらに配置されてもよい。
なお、図4ないし図10に示される予歪処理装置、または予歪処理装置に含まれる各構成要素は、回路であってもよい。回路は、チップ・システムを使用して実装されてもよい。チップ・システムは、中央処理装置(central processing unit、略CPU)、汎用プロセッサ、ネットワーク・プロセッサ(network processor、略NP)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processing、略DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、略ASIC)、プログラマブル論理デバイス(programmable logic device、略PLD)、トランジスタ論理デバイス、離散デバイス、ハードウェアコンポーネント、または上記デバイスの任意の組み合わせを含みうる。PLDは、複合プログラマブル論理デバイス(complex programmable logic device、略CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、略FPGA)、汎用アレイ論理(generic array logic、略GAL)、またはそれらの任意の組み合わせでありうる。チップ・システムは、本願に開示される内容に記載されるさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、および回路を実装または実行しうる。あるいはまた、チップ・システムは、コンピューティング機能を実装するための組み合わせ、たとえば、少なくとも一つのマイクロプロセッサを含む組み合わせ、またはDSPとマイクロプロセッサの組み合わせであってもよい。ある個別的な例では、本願の実施形態において提供される予歪処理装置は、ベースバンド・チップと無線周波数チップとを使用することによって、共同で実装されてもよい。ベースバンド・チップは、前述の実施形態におけるベースバンド信号を処理するデバイスであり、無線周波数チップは、前述の実施形態における無線周波数信号を処理するデバイスである。任意的に、無線周波数チップは、中間周波数信号を処理するチップと、無線周波数信号を処理するチップとをさらに含んでいてもよい。
上記は、主として、本願の実施形態において提供される予歪処理装置を記述している。該予歪処理装置は、本願の実施形態において提供される予歪処理方法の可能な実装である。下記は、図11および図12を参照して、本願の実施形態において提供される予歪処理方法を記述する。
図11は、本願のある実施形態による第一の予歪処理方法のフローチャートである。第一の予歪処理方法は、前記第一の予歪処理装置に対応する方法であり、すなわち、前記第一の予歪処理装置は、第一の予歪処理方法の可能な実装である。
ステップ1101において、デジタル予歪処理が、Nセットの予歪パラメータに基づいて第一ベースバンド信号に対して実行され、N個の第二ベースバンド信号が得られる。
第一ベースバンド信号は、図4に対応する予歪処理装置において記載された第一ベースバンド信号と同じであり、ここで詳細を再び述べることはしない。
デジタル予歪処理は、下記の4つの処理方法のいずれかを用いて、Nセットの予歪パラメータに基づいて第一ベースバンド信号に対して実行され、N個の第二ベースバンド信号が得られる。N個の第二ベースバンド信号のうちの一つは、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の〔第xの〕第二ベースバンド信号と称されてもよい。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。
4つの処理方法における第一の処理方法は次のとおり:xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲であり;xが1の場合は、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいて第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;または、xが2ないしNのいずれかの整数である場合は、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいて、N個の第二ベースバンド信号における(x−1)番目の第二ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る。
4つの処理方法における第二の処理方法は次のとおり:xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲であり;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいて、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の出力信号におけるx番目の出力信号を得、ここで、xが1のときは、x番目の入力信号は第一ベースバンド信号である;またはxが2ないしNのいずれかの整数であるときは、x番目の入力信号は、N個の出力信号における(x−1)番目の出力信号である;xが1ないしN−1のいずれかの整数である場合、x番目の出力信号に前記N個の出力信号における(x+1)番目の出力信号を乗算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;またはxがNである場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号が前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であることを決定する。
4つの処理方法における第三の処理方法は次のとおり:xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲であり;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の出力信号におけるx番目の出力信号を得て、ここで、前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号であり;xが1ないしN−1のいずれかの整数である場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号および(x+1)番目の出力信号を加算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;またはxがNである場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号が前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であることを決定する。
4つの処理方法における第四の処理方法は次のとおり:xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲であり;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る。xが1または2であるときは、前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号であり;またはxが2ないしNのいずれかの整数であるときは、前記x番目の入力信号は前記N個の出力信号における(2p−1)番目の出力信号および2p番目の出力信号を加算することによって得られる信号であり、pは((x−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値に等しい。
ステップ1102において、M個の第三ベースバンド信号が、前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいて決定される。
N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に対して線形変換が実行され、M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号を得る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲であり、線形変換は乗算および加算を含む。
ステップ1103では、電力増幅器によって増幅されたR無線周波数信号に基づいて、第五ベースバンド信号が得られる。
電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号は、ステップ1102において述べたM個の第三ベースバンド信号に基づいて決定される無線周波数信号である。M個の第三ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換が実行されて、M個の第四ベースバンド信号が得られる。すなわち、M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換が実行されて、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号が得られる。搬送波信号に基づいてM個の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンが実行されて、M個の第一無線周波数信号が得られる。すなわち、搬送波信号に基づいてM個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンが実行されて、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号が得られる。M個の第一無線周波数信号に対して電力増幅が実行されて、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号が得られる。すなわち、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅が実行されて、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号が得られる。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。このステップにおいて電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号は、M個の第二無線周波数信号におけるR個の第二無線周波数信号である。すなわち、M個の第二無線周波数信号に基づいて結合が実行されて、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号が得られる。ここで、Rは1以上M以下の整数である。
第五ベースバンド信号は、電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号に基づいて、下記の二つの方法のいずれかを使って得ることができる。
前記二つの方法における第一の方法は次のとおり:電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号に基づいて一つの出力信号を得て、搬送波信号に基づいて出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して前記第五ベースバンド信号を得る。本願の実施形態では、搬送波信号はベースバンド信号または無線周波数信号の周波数混合を実行するために使用される搬送波信号であり、搬送波信号に基づいてベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行することによって無線周波数信号を得ることができ、搬送波信号に基づいて無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行することによってベースバンド信号を得ることができる。
前記二つの方法における第二の方法は次のとおり:電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号に基づいて一つの出力信号を得て、搬送波信号に基づいて出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して第七ベースバンド信号を得て、該第七ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して前記第五ベースバンド信号を得る。
ステップ1104では、予歪パラメータの前記N個のセットおよび前記ネットワーク係数が、前記第五ベースバンド信号に基づいて決定される。
複数のセットの予歪パラメータ解法アルゴリズムが直列式、並列式、または直列式プラス並列式で組み合わされて、解法アルゴリズムが得られる。ステップ1101で述べたNセットの予歪パラメータおよびステップ1102で述べたネットワーク係数は、第五ベースバンド信号および解法アルゴリズムに基づいて決定される。予歪パラメータ解法アルゴリズムは、図4または図5に対応する予歪処理装置における対応する記述と同じであり、ここで再び詳細を述べることはしない。
図12は、本願のある実施形態による第二のデジタル予歪処理方法のフローチャートである。第二の予歪処理方法は、前記第二の予歪処理装置に対応する方法であり、すなわち、前記第二の予歪処理装置は、第二の予歪処理方法の可能な実装である。
ステップ1201において、第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理が、Nセットの予歪パラメータに基づいて実行され、N個の第二ベースバンド信号が得られる。
ステップ1201は、図11に対応する方法におけるステップ1101と同じである。
ステップ1202において、N個の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換が実行されて、N個の第三ベースバンド信号が得られる。
デジタル‐アナログ変換は、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号に対して実行され、N個の第三ベースバンド信号におけるx番目の第三ベースバンド信号が得られる。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。
ステップ1203では、N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいて、M個の第四ベースバンド信号が得られる。
N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数に対して線形変換が実行され、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号が得られる。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲であり、線形変換は乗算および加算を含む。
ステップ1204において、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号が決定される。
電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号は、ステップ1203で述べたM個の第四ベースバンド信号に基づいて決定される無線周波数信号である。搬送波信号に基づいてM個の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンが実行されてM個の第一無線周波数信号が得られる、すなわち、搬送波信号に基づくM個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンが実行されて、M第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号が得られる。M個の第一無線周波数信号に対して電力増幅が実行され、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号が得られる。すなわち、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅が実行され、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号が得られる。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。このステップにおいて電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号は、M個の第二無線周波数信号におけるR個の第二無線周波数信号である。すなわち、M個の第二無線周波数信号に基づいて結合が実行されて、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号が得られる。ここで、Rは、1以上M以下の整数である。
電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得る方法は、図11に対応するステップ1103における対応する記述と同じである。
ステップ1205において、予歪パラメータの前記N個のセットおよび前記ネットワーク係数が、前記第五ベースバンド信号に基づいて決定される。
ステップ1205は、図11に対応する方法におけるステップ1104と同じである。
本願の実施形態において提供されるデジタル予歪処理方法を実行するための装置は、予歪処理装置、たとえば、図4から図10に示される予歪処理装置であってもよく、またはシステム中の別の装置またはネットワーク・デバイス、たとえば、デジタル処理装置および/または中間無線周波数処理装置であってもよい。任意的に、本願の実施形態において提供される予歪処理方法を実行するための装置は、装置のプログラム命令、または装置のプログラム命令およびデータを記憶するよう構成されたメモリをさらに含んでいてもよい。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(random-access memory、略RAM)のような揮発性メモリ(volatile memory)を含み、あるいはメモリは、フラッシュ・メモリ(flash memory)、ハード・ディスク・ドライブ(hard disk drive、略HDD)、またはソリッド・ステート・ドライブ(solid-state drive、略SSD)のような不揮発性メモリ(non-volatile memory)を含んでいてもよく、またはメモリは、前述の型のメモリの組み合わせを含んでいてもよい。
前述の実施形態の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを使って実装されうる。実施形態を実装するためにソフトウェアが使用される場合、実施形態は、全部がまたは部分的に、コンピュータ・プログラム製品の形で実装されてもよい。コンピュータ・プログラム製品は、一つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータ上でコンピュータ・プログラム命令がロードされ、実行されるとき、本発明の実施形態による手順または機能が、すべてまたは部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータ・ネットワーク、ネットワーク装置、ユーザー装置、または他のプログラマブル装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されてもよいし、コンピュータ読取可能な記憶媒体から別のコンピュータ読取可能な記憶媒体に送信されてもよい。たとえば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバー、またはデータセンターから、有線(たとえば、同軸ケーブル、光ファイバー、またはデジタル加入者線(digital subscriber line、略DSL))または無線(たとえば、赤外線、電波、またはマイクロ波)方式で、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバー、またはデータセンターに送信されうる。コンピュータ読取可能な記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体、または一つまたは複数の利用可能な媒体を統合する、サーバーまたはデータセンターのようなデータ記憶装置であってもよい。利用可能な媒体は、磁気媒体(たとえば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープ)、光学式媒体(たとえば、デジタルビデオディスク(digital video disc、略DVD)、半導体媒体(たとえば、SSD)などでありうる。
本願の目的、技術的解決策、および有益な効果は、前述の個別的実装においてさらに詳細に述べられている。前述の説明は、単に本願の個別的実装であり、本願の保護範囲を制限することは意図されていないことを理解しておくべきである。本願の技術的解決策に基づいてなされる任意の修正、等価な置換または改良は、本願の保護範囲にはいる。
本願は、通信技術の分野に関し、特に、予歪処理方法および装置に関する。
無線通信システムにおけるトランスミット・デバイスは、送信装置およびアンテナを含み、前記送信装置は前記アンテナに接続される。送信装置は、複数の送信チャネルを含み、送信チャネルは、周波数ミキサーおよび電力増幅器(power amplifier、略PA)を含む。一つの送信チャネルは一つのアンテナに対応し、アンテナは前記送信装置に接続される。トランスミット・デバイスが送信チャネル上でデータを送るとき、送信装置は、ベースバンド信号を受領し、周波数ミキサーを用いて該ベースバンド信号を無線周波数信号に変換し、PAを用いて無線周波数信号の電力を増幅して、増幅された無線周波数信号を得て、増幅された無線周波数信号を送信チャネルに対応するアンテナに送り、該アンテナが増幅された無線周波数信号を送信する。送信装置は、PAを使用することによって、送信される必要のある信号の電力を増幅し、それにより、受信デバイスは、受信された信号を正しく復調するために満足のいく受信レベルを受信する。たとえば、図1はPAの増幅関数の概略図である。PAについて、増幅されていない信号はPAの入力信号と称され、増幅された信号はPAの出力信号と称される。図1に示されるように、PAによる入力信号の増幅は、線形領域および非線形領域を含む。線形領域では、PAの増幅利得は定数であり、すなわち、出力信号の電力に対する入力信号の電力の比は定数であり、入力信号の位相は出力信号の位相と同じである。非線形領域では、PAの増幅は歪められることがある、すなわち、PAの増幅利得は入力信号の電力が増加するにつれて減少し、PAはそもそも増幅効果をもたない。加えて、入力信号の位相は、出力信号の位相と異なることがある。すなわち、PAは、非線形領域では、送信される必要がある信号の特性を変化させ、受信端での信号復調のパフォーマンスに影響を与えることがある。結果として、PAが非線形領域で動作するとき、増幅効率は低下する。
本願は、電力増幅器(power amplifier、略PA)の効率を改善するためのいくつかの予歪処理方法および装置を提供する。
第一の側面によれば、本願は、第一の予歪部、第二の予歪部、フィードバック信号変換部、および解法部を含む予歪処理装置を提供する。第一の予歪部は、N個のデジタル予歪(digital pre-distortion、略DPD)プロセッサを含み:第一ベースバンド信号およびN個のセットの予歪パラメータを受領し、前記第一ベースバンド信号に対して、前記N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得て、前記N個の第二ベースバンド信号を前記第二の予歪部に送信するよう構成される。前記第二の予歪部は:前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数を受領し、前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてM個の第三ベースバンド信号を決定するよう構成される。前記フィードバック信号変換部は:電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号であって、前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号は前記M個の第三ベースバンド信号に基づいて得られた無線周波数信号である、無線周波数信号を受領し;前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号を第五ベースバンド信号に変換し;前記第五ベースバンド信号を前記解法部に送るよう構成されている。前記解法部は:前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号を受領し、前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号に基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定し、前記N個のセットの予歪パラメータを前記第一の予歪部に送り、前記ネットワーク係数を前記第二の予歪部に送るよう構成される。N、M、およびRは整数であり、Nは1以上であり、MはN以上であり、Rは1以上M以下である。任意的に、前記第一ベースバンド信号はサービス信号であってもよく、あるいはデジタル予歪処理のために特に使用される信号であってもよい。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願のこの実施形態において提供される第一の予歪処理装置によれば、DPDプロセッサの数を減らすことができ、予歪処理装置の構造を最適化し、設計の複雑さ、コスト、および電力消費を低減することができる。さらに、本願のこの実施形態において提供される第一の予歪処理装置では、異なるPAの非線形特性間の差異が考慮され、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅が線形であることが保証できる。
第一の側面によれば、第一の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のデジタル予歪DPDプロセッサを含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領し、前記x番目のセットの予歪パラメータに基づいて、x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得て、前記x番目の第二ベースバンド信号を前記第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記第一ベースバンド信号である;あるいは、xが2からNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(x−1)番目の第二ベースバンド信号であり、前記(x−1)番目の第二ベースバンド信号が、前記N個のベースバンド信号における(x−1)番目の第二ベースバンド信号である。第一の側面の第一の設計では、DPDプロセッサはカスケード接続されて信号に対して予歪処理を実行し、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。この実装は、比較的単純な設計、比較的低いコスト、および比較的低い電力消費をもつ。
第一の側面によれば、第二の設計において、第一の予歪部は具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびN−1個の乗算器を含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットと、N個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号とを受領し、前記x番目のセットの予歪パラメータに基づいてx番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行してN個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は前記第一ベースバンド信号である:あるいはxが2からNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、前記(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号が、前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号である。前記N−1個の乗算器におけるy番目の乗算器は:前記N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られたy番目のDPDプロセッサ出力信号と、前記N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られた(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号に(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を乗算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得て、y番目の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、y番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。xがNである場合、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であり、x番目のDPDプロセッサは、さらに、x番目の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。第一の側面の第二の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、乗算器は、信号に対してフィードバック複素乗算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第一の側面によれば、第三の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびN−1個の加算器を含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットのうちの予歪パラメータのx番目のセットおよび前記第一ベースバンド信号を受領し、予歪パラメータの前記x番目のセットに基づいて前記第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。前記N−1個の加算器におけるy番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られるy番目のDPDプロセッサ出力信号および前記N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られる(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号および(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を加算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得て、前記y番目の第二のベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、前記y番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、前記(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。xがNである場合、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であり、x番目のDPDプロセッサは、さらに、x番目の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。第一の側面の第三の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、加算器は、信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第一の側面によれば、第四の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびL個の加算器を含み、ここで、Lは((N−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値である。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびN個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領し、予歪パラメータの前記x番目のセットに基づいて前記x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得て、x番目の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。L個の加算器におけるp番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2p−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(2p−1)番目の第二ベースバンド信号および前記N個のDPDプロセッサにおける2p番目のDPDプロセッサによって送られる2p番目の第二ベースバンド信号を受領し、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号と2p番目の第二ベースバンド信号を加算して前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2p+1)番目のDPDプロセッサおよび(2p+2)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される。ここで、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における(2p−1)番目の第二ベースバンド信号であり、2p番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における2p番目の第二ベースバンド信号であり、pは整数であり、pの値は1からL−1までの範囲である。Lは2の倍数であり、L個の加算器におけるL番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と、前記N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目の第二ベースバンド信号を受領し、該(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサおよび(2L+2)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される;または、Lは2の倍数ではなく、L個の加算器におけるL番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(2L−1)番目の第二ベースバンド信号および前記N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目の第二ベースバンド信号を受領し、該(2L−1)番目の第二ベースバンド信号および2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される。(2L−1)番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における(2L−1)番目の第二ベースバンド信号であり、2L番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における2L番目の第二ベースバンド信号であり、xが1または2の場合、前記第一ベースバンド信号はx番目のDPDプロセッサ入力信号である。第一の側面の第四の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、加算器は、信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第一の側面または第一の側面の任意の設計によれば、第五の設計において、第二の予歪部はW個の信号決定部を含む。前記W個の信号決定部におけるe番目の信号決定部は:前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数を受領し、前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてe番目の第二予歪部出力信号を決定するよう構成される。ここで、e番目の第二予歪部出力信号は、前記M個の第三ベースバンド信号のうちの少なくとも一つに対応する。ここで、eは整数であり、eの値は1からWまでの範囲である。具体的には、e番目の信号決定部は、前記N個の第二ベースバンド信号に対して前記ネットワーク係数に基づいて線形変換を実行して、e番目の第二予歪部出力信号を得るよう構成されている。第一の側面の第五の設計では、予歪処理が実行されたM個の信号が線形変換を通じて得られてもよく、予歪処理が実行された前記M個の信号は、複数アンテナ送信装置のM個のPAの増幅パフォーマンスとは逆の予歪信号であり、よって、送られる必要がある信号について、増幅されない信号は増幅された信号と線形関係にあり、複数アンテナ送信装置のPAの増幅効率を改善する。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願の実施形態において提供される予歪処理装置によれば、M−N個のDPDプロセッサが低減され、予歪処理装置の構造を最適化し、設計の複雑さ、コスト、および電力消費を低減する。さらに、異なるPAの非線形特性間の差異が考慮され、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることを保証できる。
第一の側面または第一の側面の任意の設計によれば、第六の設計では、フィードバック信号変換部は、結合部、周波数混合部、およびアナログ‐デジタル変換器ADCを含む。結合部は、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号を受領し、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの結合部出力信号を得て、該結合部出力信号を周波数混合部に送るよう構成されている。周波数混合部は:搬送波信号および前記結合部出力信号を受領し、前記搬送波信号に基づいて前記結合部出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号をADCに送るよう構成されている。ADCは:第六ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して前記第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号を前記解法部に送るよう構成されている。第一の側面の第六の設計によれば、電力増幅器によって増幅された無線周波数信号は、予歪処理装置の解法部にフィードバックされてもよく、それにより、解法部は、前記ネットワーク係数および予歪パラメータの前記N個のセットを得ることができ、予歪処理を実行する際に、前記第一の予歪部および前記第二の予歪部をサポートすることができる。
第一の側面または第一の側面の第一ないし第五の設計のうちのいずれか一項によれば、第七の設計では、フィードバック信号変換部は、結合部と、周波数混合部と、クリッパーと、ADCとを含む。結合部は:電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号を受領し、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの結合部出力信号を得て、該結合部出力信号を周波数混合部に送るよう構成されている。周波数混合部は:搬送波信号および前記結合部出力信号を受領し、前記搬送波信号に基づいて前記結合部出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号をクリッパーに送るよう構成されている。クリッパーは:第六ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して第七ベースバンド信号を得て、該第七ベースバンド信号をADCに送るよう構成されている。ADCは、第七ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して、前記第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号を前記解法部に送るよう構成されている。第一の側面の第六の設計と比較して、第一の側面の第七の設計では、クリッパーが追加されている。信号の振幅が比較的高い場合、追加されたクリッパーは、信号に対して振幅制限処理を実行し、信号の波の山によって引き起こされる、信号の波の谷に対する干渉を低減し、さらに、過度に高い信号振幅または過度に高い干渉によって引き起こされるADCへの損傷を低減することができる。
第二の側面によれば、本願は、第一の側面または第一の側面の第一ないし第五の設計のうちいずれか一項と、少なくとも一つのDACとを含む装置を提供する。第二の予歪部は、前記M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るようさらに構成される。前記少なくとも一つのDACにおける前記DACは、t番目の第三ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を得るよう構成される。
第三の側面によれば、本願は、第二の側面、発振器、およびM個の周波数混合部を含む装置を提供する。前記少なくとも一つのDACにおける前記DACはさらに、前記M個の第四ベースバンド信号における前記t番目の第四ベースバンド信号を、前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送るよう構成される。発振器は:搬送波信号を生成し、該搬送波信号を前記M個の周波数混合部に送るよう構成される。前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部は、前記搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得るよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第四の側面によれば、本願は、第一の側面の第六の設計または第七の設計と、少なくとも一つのDACとを含む装置を提供する。第二の予歪部は、第二の側面における第二の予歪部と同じであり、前記少なくとも一つのDACは、第二の側面における前記少なくとも一つのDACと同じである。
第五の側面によれば、本願は、第四の側面、発振器、およびM個の周波数混合部を含む装置を提供する。前記少なくとも一つのDACにおける前記DACは、前記M個の第四ベースバンド信号における前記t番目の第四ベースバンド信号を、前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送るようさらに構成される。発振器は:搬送波信号を生成し、該搬送波信号を前記M個の周波数混合部と、前記フィードバック信号変換部に含まれる前記周波数混合部とに送るよう構成される。前記M個の周波数混合部における前記t番目の周波数混合部は、前記搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得るよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第六の側面によれば、本願は、第一の予歪部、少なくとも一つのDAC、第二の予歪部、フィードバック信号変換部、および解法部を含む予歪処理装置を提供する。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含み:第一ベースバンド信号およびN個のセットの予歪パラメータを受領し、前記第一ベースバンド信号に対して、前記N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得て、該N個の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACに送るよう構成される。前記少なくとも一つのDACは:前記N個の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してN個の第三ベースバンド信号を得て、該N個の第三ベースバンド信号を前記第二の予歪部に送るよう構成される。前記第二の予歪部は:前記N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数を受領し、前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてM個の第四ベースバンド信号を決定するよう構成される。前記フィードバック信号変換部は:電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号であって、前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号は前記M個の第四ベースバンド信号に基づいて得られた無線周波数信号である、無線周波数信号を受領し;前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号を第五ベースバンド信号に変換し;前記第五ベースバンド信号を前記解法部に送るよう構成されている。ここで、Rは1以上M以下の整数である。前記解法部は:前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号を受領し、前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号に基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定し、前記N個のセットの予歪パラメータを前記第一の予歪部に送り、前記ネットワーク係数を前記第二の予歪部に送るよう構成される。ここで、NおよびMは整数であり、Nは1より大きく、MはN以上である。任意的に、前記第一ベースバンド信号はサービス信号であってもよく、あるいはデジタル予歪処理のために特に使用される信号であってもよい。第六の側面における装置によれば、第一の予歪部および第二の予歪部は予歪処理機能を実装し、複数アンテナ送信装置のPAの増幅効率を改善する。本予歪処理装置は、設計の複雑さ、コスト、および電力消費を低減するのみならず、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることを保証することもできる。
第六の側面によれば、第一の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサを含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領し、前記x番目のセットの予歪パラメータに基づいて、前記x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得て、前記x番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記第一ベースバンド信号である;あるいは、xが2からNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(x−1)番目の第二ベースバンド信号であり、前記(x−1)番目の第二ベースバンド信号が、前記N個のベースバンド信号における(x−1)番目の第二ベースバンド信号である。第六の側面の第一の設計では、DPDプロセッサはカスケード接続されて信号に対して予歪処理を実行し、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。この実装は、比較的単純な設計、比較的低いコスト、および比較的低い電力消費をもつ。
第六の側面によれば、第二の設計において、第一の予歪部は具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびN−1個の乗算器を含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットと、N個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号とを受領し、前記x番目のセットの予歪パラメータに基づいてx番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行してN個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は前記第一ベースバンド信号である:あるいはxが2からNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、前記N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、前記(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号が、前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号である。前記N−1個の乗算器におけるy番目の乗算器は:前記N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られたy番目のDPDプロセッサ出力信号と、前記N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られた(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号に(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を乗算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得て、該y番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。ここで、y番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。xがNである場合、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であり、x番目のDPDプロセッサは、さらに、x番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。第六の側面の第二の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、乗算器は、信号に対してフィードバック複素乗算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第六の側面によれば、第三の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびN−1個の加算器を含む。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットのうちの予歪パラメータのx番目のセットおよび前記第一ベースバンド信号を受領し、予歪パラメータの前記x番目のセットに基づいて前記第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。前記N−1個の加算器におけるy番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られるy番目のDPDプロセッサ出力信号および前記N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られる(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号および(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を加算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得て、前記y番目の第二のベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。ここで、前記y番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、前記(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は前記N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。xがNである場合、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であり、x番目のDPDプロセッサは、さらに、x番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。第六の側面の第三の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、加算器は、信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第六の側面によれば、第四の設計において、第一の予歪部は、具体的には、前記N個のDPDプロセッサおよびL個の加算器を含み、ここで、Lは((N−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値である。前記N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは:予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびN個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領し、予歪パラメータの前記x番目のセットに基づいて前記x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得て、x番目の第二ベースバンド信号を前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。L個の加算器におけるp番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2p−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(2p−1)番目の第二ベースバンド信号および前記N個のDPDプロセッサにおける2p番目のDPDプロセッサによって送られる2p番目の第二ベースバンド信号を受領し、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号と2p番目の第二ベースバンド信号を加算して前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2p+1)番目のDPDプロセッサおよび(2p+2)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される。ここで、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における(2p−1)番目の第二ベースバンド信号であり、2p番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における2p番目の第二ベースバンド信号であり、pは整数であり、pの値は1からL−1までの範囲である。Lは2の倍数であり、L個の加算器におけるL番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と、前記N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目の第二ベースバンド信号を受領し、該(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサおよび(2L+2)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される;または、Lは2の倍数ではなく、L個の加算器におけるL番目の加算器は:前記N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(2L−1)番目の第二ベースバンド信号および前記N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目の第二ベースバンド信号を受領し、該(2L−1)番目の第二ベースバンド信号および2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、前記N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を前記N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサに送るよう構成される。(2L−1)番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における(2L−1)番目の第二ベースバンド信号であり、2L番目の第二ベースバンド信号は前記N個の第二ベースバンド信号における2L番目の第二ベースバンド信号であり、xが1または2の場合、前記第一ベースバンド信号はx番目のDPDプロセッサ入力信号である。第六の側面の第四の設計では、DPDプロセッサは、信号に対して予歪処理を実行し、加算器は、信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
第六の側面または第六の側面の任意の設計によれば、第五の設計において、第二の予歪部はW個の信号決定部を含む。前記W個の信号決定部におけるe番目の信号決定部は:前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数を受領し、前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてe番目の第二予歪部出力信号を決定するよう構成される。ここで、e番目の第二予歪部出力信号は、前記M個の第四ベースバンド信号のうちの少なくとも一つに対応する。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。具体的には、e番目の信号決定部は、前記N個の第三ベースバンド信号に対して前記ネットワーク係数に基づいて線形変換を実行して、e番目の第二予歪部出力信号を得るよう構成されている。第六の側面の第五の設計の技術的効果は、第一の側面の第五の設計のものと同じである。
第六の側面または第六の側面の任意の設計によれば、第六の設計では、フィードバック信号変換部は、第一の側面の第六の設計におけるものと同じである。
第六の側面または第六の側面の第一ないし第五の設計のうちのいずれか一項によれば、第七の設計では、フィードバック信号変換部は、第一の側面の第七の設計におけるものと同じである。
第七の側面によれば、本願は、第六の側面または第六の側面の第一ないし第五の設計のうちいずれか一項、発振器、およびM個の周波数混合部を含む装置を提供する。前記第二の予歪部はさらに、前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を、前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送るよう構成される。発振器は:搬送波信号を生成し、該搬送波信号を前記M個の周波数混合部に送るよう構成される。前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部は、前記搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得るよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第八の側面によれば、本願は、第六の側面の第六の設計または第七の設計、発振器、およびM個の周波数混合部を含む装置を提供する。前記第二の予歪部は、前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を、前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送るようさらに構成される。発振器は:搬送波信号を生成し、該搬送波信号を前記M個の周波数混合部と、前記フィードバック信号変換部に含まれる前記周波数混合部とに送るよう構成される。前記M個の周波数混合部における前記t番目の周波数混合部は、前記搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得るよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第九の側面によれば、本願は、第三の側面、第五の側面、第七の側面、または第八の側面のうちのいずれか一項と、M個の電力増幅器PAとを含む装置を提供する。前記M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部はさらに、前記M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を前記M個のPAにおけるt番目のPAに送るよう構成されている。前記M個のPAにおけるt番目のPAは:t番目の第一無線周波数信号を増幅してM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を得て、該t番目の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送るよう構成され、t番目の第二無線周波数信号は、前記フィードバック信号変換部によって受領される、前記電力増幅器によって増幅される前記R個の無線周波数信号における、ある電力増幅器によって増幅された一つの無線周波数信号として使用される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十の側面によれば、本願は、第九の側面およびM個アンテナを含むデバイスを提供する。前記M個のPAにおけるt番目のPAはさらに、t番目の第二無線周波数信号を前記M個のアンテナにおけるt番目のアンテナに送るよう構成されている。前記M個のアンテナにおけるt番目のアンテナは、t番目の第二無線周波数信号を送信するよう構成される。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十一の側面によれば、本願は、チップ・システムを提供する。本チップ・システムは、上述の任意の装置でありうる。本チップ・システムは、チップを含んでいてもよく、またはチップおよび別の離散的なデバイスを含んでいてもよい。チップは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、略ASIC)であってもよく、または別の形のチップであってもよい。任意的に、本チップ・システムは、上記の諸側面における機能を実装することにおいて予歪処理装置をサポートするよう構成されたプロセッサをさらに含んでいてもよい。ある可能な設計では、本チップ・システムは、メモリをさらに含み、該メモリは、予歪処理装置に必要なプログラム命令およびデータを記憶するよう構成される。
第十二の側面によれば、本願は、デジタル予歪処理方法を提供する。本方法は:第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ること;前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第三ベースバンド信号を決定すること;電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号であって、前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号は前記M個の第三ベースバンド信号に基づいて決定される、無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得ること;および前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号に基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定することを含み、N、M、およびRは整数であり、Nは1より大きく、MはN以上である。
第十二の側面によれば、第一の設計において、第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ることは:xが整数であり、xの値は1からNまでの範囲であることと;xが1の場合には、前記第一ベースバンド信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得ること;またはxが2ないしNのいずれかの整数である場合には、前記N個の第二ベースバンド信号における(x−1)番目の第二ベースバンド信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得ることとを含む。
第十二の側面によれば、第二の設計において、第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ることは:xが整数であり、xの値は1からNまでの範囲であることと;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の出力信号におけるx番目の出力信号を得ることであって、ここで、xが1のときは前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号であり、またはxが2ないしNのいずれかの整数であるときは前記x番目の入力信号は前記N個の出力信号における(x−1)番目の出力信号である、ことと;xが1ないしN−1のいずれかの整数である場合、x番目の出力信号に前記N個の出力信号における(x+1)番目の出力信号を乗算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;またはxがNである場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号は前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であることを決定することとを含む。
第十二の側面によれば、第三の設計において、第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ることは:xが整数であり、xの値は1からNまでの範囲であることと;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の出力信号におけるx番目の出力信号を得ることであって、前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号である、ことと;xが1ないしN−1のいずれかの整数である場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号および(x+1)番目の出力信号を加算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;またはxがNである場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号が前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であることを決定することとを含む。
第十二の側面によれば、第四の設計において、第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ることは:xが整数であり、xの値は1からNまでの範囲であることと;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得ることであって、xが1または2であるときは、前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号であり;またはxが2ないしNのいずれかの整数であるときは、前記x番目の入力信号は前記N個の出力信号における(2p−1)番目の出力信号および2p番目の出力信号を加算することによって得られる信号であり、pは((x−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値に等しい、こととを含む。
第十二の側面または第十二の側面の任意の設計によれば、第五の設計において、前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第三ベースバンド信号を決定することは:前記N個の第二ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいて前記M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号を決定することを含み、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十二の側面または第十二の側面の任意の設計によれば、第六の側面では、本方法はさらに:前記M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行してM個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を得て;搬送波信号に基づいて前記t番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得て;t番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、前記電力増幅器によって増幅された前記M個の無線周波数信号におけるt番目の無線周波数信号を得ることを含み、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十二の側面または第十二の側面の任意の設計によれば、第七の設計において、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得ることは:前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号に基づいて一つの出力信号を得て;前記搬送波信号に基づいて前記出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して、第六ベースバンド信号を得て;前記第六ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して、前記第五ベースバンド信号を得ることを含む。
第十二の側面または第十二の側面の第一ないし第六のいずれかによれば、第八の設計において、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得ることは:前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号に基づいて一つの出力信号を得て;前記搬送波信号に基づいて前記出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して、第六ベースバンド信号を得て;前記第六ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して第七ベースバンド信号を得て;前記第七ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して前記第五ベースバンド信号を得ることを含む。
第十三の側面によれば、本願は、デジタル予歪処理方法を提供する。本方法は:第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得ること;前記N個の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してN個の第三ベースバンド信号を得ること;前記N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第四ベースバンド信号を決定すること;電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号であって、前記電力増幅器によって増幅された前記R個の無線周波数信号は前記M個の第四ベースバンド信号に基づいて決定される、無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得ること;および前記第一ベースバンド信号および前記第五ベースバンド信号に基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定することを含み、N、M、およびRは整数であり、Nは1より大きく、MはN以上であり、Rは1以上M以下である。
第十三の側面によれば、第一の設計において、前記第一ベースバンド信号に対して、N個のセットの予歪パラメータに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得るための方法は、第十二の側面の第一の設計ないし第四の設計のいずれかのものと同じである。
第十三の側面または第十三の側面の第一の設計によれば、第二の設計において、前記N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第四ベースバンド信号を決定することは:前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいて前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を決定することを含み、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。
第十三の側面または第十三の側面の第一もしくは第二の設計によれば、第三の設計において、本方法はさらに:前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得て;前記M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、前記電力増幅器によって増幅された前記M個の無線周波数信号におけるt番目の無線周波数信号を得ることを含む。
第十三の側面または第十三の側面の第一ないし第三の設計のいずれかによれば、第四の設計において、前記電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を決定するための方法は:第十二の側面の第七または第八の設計におけるものと同じである。
第十四の側面によれば、本願のある実施形態は、予歪処理装置を提供する。本予歪処理装置は、第十二の側面、第十二の側面の諸設計、第十三の側面、および第十三の側面の諸設計における方法を実施する機能を有する。これらの機能は、ハードウェアによって、または対応するソフトウェアを実行するハードウェアによって実装されうる。ハードウェアまたはソフトウェアは、前記機能に対応する一つまたは複数のモジュールを含む。
第十五の側面によれば、本願のある実施形態は、前述の予歪処理装置によって使用されるコンピュータ・ソフトウェア命令を記憶するよう構成されたコンピュータ記憶媒体を提供し、該コンピュータ・ソフトウェア命令は、前述の諸側面を実行するよう設計されたプログラムを含む。
本願の実施形態または背景における技術的解決策をより明確に説明するために、本願の実施形態または背景を説明するために必要な添付の図面を以下に簡単に説明する。
電力増幅器の増幅機能の概略図である。
本願のある実施形態による予歪処理装置の概略構造図である。
本願のある実施形態によるトランスミット・デバイスの概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪処理装置の概略構造図である。
本願のある実施形態による第二の予歪処理装置の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪部の第一の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪部の第二の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪部の第三の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪部の第四の概略構造図である。
本願のある実施形態による第二の予歪部の概略構造図である。
本願のある実施形態による第一の予歪処理方法のフローチャートである。
本願のある実施形態による第二の予歪処理方法のフローチャートである。
下記は、添付の図面を参照して、本願の実施形態を記述する。
本願の実施形態において記載されるネットワーク・アーキテクチャーおよびサービス・シナリオは、本願の実施形態における技術的解決策をより明確に説明するために使用されるが、本願の実施形態において提供される技術的解決策を制限することは意図されていない。ネットワーク・アーキテクチャーが進化し、新しいサービス・シナリオが出現するにつれて、本願の実施形態において提供される技術的解決策は、同様の技術的問題に適用可能である。
本願の実施形態において提供される技術的解決策は、さまざまな通信システム、たとえば、移動通信用グローバルシステム(global system for mobile communications、略GSM)、符号分割多元接続(code division multiple access、略CDMA)システム、広帯域符号分割多元接続(wideband code division multiple access、略WCDMA)システム、時分割‐同期符号分割多元接続(time division-synchronous code division multiple access、略TD-SCDMA)システム、ユニバーサル移動通信システム(universal mobile telecommunications system、略UMTS)、ロングタームエボリューション(long term evolution、略LTE)システム、および第五世代移動通信技術(the fifth generation mobile communications technology、略5G)システムに適用されうる。通信技術の絶え間ない発展に伴い、本願の実施形態において提供される技術的解決策は、将来のネットワークにさらに適用されうる。さらに、本願の実施形態において提供される技術的解決策は、予歪処理を実装する必要のある別の通信システムに適用されてもよい。本願の実施側面において、用語「システム」および「ネットワーク」の範囲は類似している。通信システムにおいて、本願の実施形態において提供される技術的解決策を使用するデバイスは、トランスミット・デバイスであり、該トランスミット・デバイスは、ネットワーク装置であってもよく、またはユーザー装置であってもよい。トランスミット・デバイスは、送信デバイスと称されてもよい。
本願の実施形態におけるユーザー装置(user equipment、略UE)は、ハンドヘルド装置、車載装置、ウェアラブル装置、または無線通信機能を有するコンピューティング装置、または無線モデムに接続された他の処理装置を含む。ユーザー装置は、代替的に、端末(terminal)、移動局(mobile station、略MS)、移動端末(mobile terminal、略MT)、ユーザー端末(user terminal、略UT)、ユーザーエージェント(user agent、略UA)、端末装置(terminal equipment、略TE)などとも称されてもよく、これは本願において限定されない。
本願の実施形態におけるネットワーク装置は、基地局(base station、略BS)、ネットワーク・コントローラ、モバイル・スイッチング・センター、または他のアクセス・ネットワーク装置を含む。基地局は、さまざまな形のマクロ基地局、マイクロ基地局、中継局、アクセスポイントなどを含む。たとえば、基地局は、GSMまたはCDMAにおける基地局:ベーストランシーバーステーション(base transceiver station、略BTS)であってもよく;またはWCDMAにおける基地局:NodeBであってもよく;またはLTEにおける進化した基地局:eNBまたはe-NodeB(evolved NodeB)であってもよく;または5Gシステムにおける基地局であってもよい(ここで、5Gシステムにおける基地局は、送信受信点TRP(transmission reception point、略TRP)、gNB(generation NodeB、略gNB)、または別の名前で称されることがある)。あるいはまた、基地局は、将来のネットワークにおける基地局であってもよく、これは本願において限定されない。
本願の実施形態は、いくつかの予歪処理方法および対応する予歪処理装置を提供する。それらの方法または装置は、トランスミット・デバイスに適用されてもよく、さらに、トランスミット・デバイスの送信装置に適用されて、非線形領域におけるPAの増幅の歪みを低減することができる。
トランスミット・デバイスの送信装置において、非線形領域における電力増幅器(power amplifier、略PA)の増幅関数の歪みを克服するために、送信装置は、予歪処理装置を含む。予歪処理装置は、PAの増幅パフォーマンスと反対の予歪信号を生成するよう構成されたデジタル予歪(digital pre-distortion、略DPD)プロセッサを含み、それにより、送信される必要のある信号に対して、増幅されていない信号が増幅された信号と線形関係になる。たとえば、図2は、予歪処理装置の概略構造図である。図2に示されるように、予歪処理装置は、DPDプロセッサ、デジタル‐アナログ変換器(digital to analog converter、略DAC)、第一の周波数混合部、発振器、第二の周波数混合部、クリッパー、アナログ‐デジタル変換器(analog to digital converter、略ADC)、および予歪パラメータ決定部を含む。予歪処理装置による信号処理の信号流れ方向およびプロセスを示すために、図2はさらにPAおよびアンテナを示している。図2に示される予歪処理装置については、信号処理プロセスは次のようなものである:DPDプロセッサが、第一ベースバンド信号と、予歪パラメータ決定部によって送られる予歪パラメータとを受領し、前記予歪パラメータおよび予歪処理アルゴリズムに基づいて前記第一ベースバンド信号に対して予歪処理を実行して、第二ベースバンド信号を得て、該第二ベースバンド信号をDACに送り;DACが、第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して第三ベースバンド信号を得て、該第三ベースバンド信号を第一の周波数混合部に送り;発振器が搬送波信号を生成して、該搬送波信号を第一の周波数混合部および第二の周波数混合部に送り;第一の周波数混合部が、前記搬送波信号に基づいて前記第三ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して第一無線周波数信号を得て、該第一無線周波数信号をPAに送り;PAが第一無線周波数信号を増幅して、第二無線周波数信号を得て、該第二無線周波数信号をアンテナに送り、第二無線周波数信号を第二の周波数混合部にフィードバックし;アンテナが第二無線周波数信号を送信し;第二の周波数混合部が前記搬送波信号に基づいて前記第二の無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行して第四ベースバンド信号を得て、該第四ベースバンド信号をクリッパーに送り;クリッパーが第四ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号をADCに送り;ADCが第五ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号を予歪パラメータ決定部に送り;予歪パラメータ決定部が、第六ベースバンド信号および第一ベースバンド信号を受領し、前記第六ベースバンド信号、前記第一ベースバンド信号および予歪パラメータ解法アルゴリズムに基づいて前記予歪パラメータを決定して、該予歪パラメータをDPDプロセッサに送る。図2に示される予歪処理装置によれば、PAの増幅効率を改善するために、第一ベースバンド信号と第二無線周波数信号との間の線形増幅関係を維持することができる。本願の実施形態における「第一」〔一番目〕、「第二」〔二番目〕、「第三」〔三番目〕、「第四」〔四番目〕、「第五」〔五番目〕、「第六」〔六番目〕、「第七」〔七番目〕等は、単に区別のために使用されており、シーケンスまたはサイズを表わすものではない。
本願の実施形態において、DPDプロセッサは、デジタル予歪処理機能を実装するよう構成され、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェア+ハードウェアの形で実装されうる。DPDプロセッサが、ハードウェアまたはソフトウェア+ハードウェアの形で実装される場合、DPDプロセッサは、独立したデバイスであってもよく、またはチップ・システムの構成要素であってもよい。一例では、チップ・システムは、本願の実施形態において提供される予歪処理装置である。
本願の実施形態において、周波数混合部は、一つまたは複数の周波数ミキサーを含み、ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して無線周波数信号を得る、または無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行してベースバンド信号を得るよう構成される。換言すれば、本願の実施形態において記載されるアップコンバージョン機能またはダウンコンバージョン機能は、一つの周波数ミキサーまたは複数の周波数ミキサーを使用することによって実装されてもよく、これは本願において限定されない。たとえば、周波数混合部は二つの周波数ミキサーを含み、周波数混合部によって一つのベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して一つの無線周波数信号を得る機能は、該二つの周波数ミキサーを使用することによって実装されてもよい。具体的には、この実装は次のようなものである:前記二つの周波数ミキサーにおける第一の周波数ミキサーが、ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して一つの中間周波数信号を得て、前記二つの周波数ミキサーにおける第二の周波数ミキサーが、中間周波数信号に対してアップコンバージョンを実行して無線周波数信号を得る。たとえば、周波数混合部は、二つの周波数ミキサーを含み、周波数混合部によって一つの無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行して一つのベースバンド信号を得る機能は、前記二つの周波数ミキサーを使用することによって実装されてもよい。具体的には、この実装は次のようなものである:前記二つの周波数ミキサーにおける第一の周波数ミキサーが、無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行して一つの中間周波数信号を得て、前記二つの周波数ミキサーにおける第二の周波数ミキサーが、中間周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行してベースバンド信号を得る。
無線通信技術の発展に伴い、同じ信号が複数アンテナ・システムを使って送信される技術的解決策が提案される。この技術的解決策によれば、信号伝送中に、チャネル伝送品質が改善されることができ、信号伝送レートを増大させることができる。複数アンテナ・システムは、複数のアンテナを含む。該複数のアンテナのうちの任意のものが、少なくとも一つのアンテナ素子を含み、前記複数のアンテナのうちの一つまたは複数が、アンテナ・パネルを共有していてもいなくてもよく、および/または前記複数のアンテナがレードームを共有してもしなくてもよい。これは、本願の実施側面において限定されない。複数アンテナ・システムは、代替的に、サブアレイ(subarray)アンテナ、分子アレイ・アンテナ、アレイ(array)アンテナ、アンテナ・アレイ、または別の名称で称されてもよく、複数のアンテナを使って同じ信号を送信するために主に使用される。たとえば、図3は、トランスミット・デバイスの概略構造図である。図3に示されるように、トランスミット・デバイスは、複数のアンテナおよび送信装置を含む。複数のアンテナは、送信装置に接続され、送信装置は、代替的に、複数アンテナ送信装置と称されてもよい。複数のアンテナはM個のアンテナを含み、送信装置は発振器およびM個の送信チャネルを含み、M個のアンテナはM個の送信チャネルと1対1で対応し、Mは1以上の整数である。送信チャネルは、PA、DAC、および周波数混合部を含む。図3に示されるトランスミット・デバイスを使って信号が送信されるとき、送信装置は、一つのベースバンド信号を受領し、該ベースバンド信号を送信チャネルに結合し、前記ベースバンド信号をそれらの送信チャネルの同じ入力信号として使用する。発振器は搬送波信号を生成し、該搬送波信号を各送信チャネルの周波数混合部に送る。送信装置の各送信チャネルにおいて、DACは、その送信チャネルの入力信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して第二ベースバンド信号を得て、該第二ベースバンド信号を周波数混合部に送る。周波数混合部は、発振器によって送られた搬送波信号に基づいて、第二ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行して第一無線周波数信号を取得し、該第一無線周波数信号をPAに送る。PAは、第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、増幅された無線周波数信号を得て、該増幅された無線周波数信号を、そのPAを含む送信チャネルに対応するアンテナに送る。それにより、アンテナは増幅された無線周波数信号を送信する。本願の実施形態において、PAが増幅された無線周波数信号をアンテナに送ることは、PAが増幅された無線周波数信号をアンテナに含まれるアンテナ素子に結合することとして理解されてもよく、アンテナが増幅された無線周波数信号を送信することは、アンテナに含まれるアンテナ素子が増幅された無線周波数信号を送信することとして理解されてもよい。複数アンテナ送信装置はPAを含み、PAの増幅は非線形領域で歪んでいることがあり、DPDプロセッサは、PAの増幅効率を改善することができるので、複数アンテナ送信装置に予歪処理装置が配置されてもよく、該予歪処理装置は、諸PAの増幅効率を改善するように構成されたDPDプロセッサを含む。複数アンテナ送信装置は複数のPAを含み、異なるPAが異なる非線形特性をもつので、複数アンテナ送信装置が従来の予歪処理技術を依然として使用している場合、予歪処理装置の各PAについて、独立したDPDプロセッサが配置される必要がある。この場合、送信装置のコスト、設計の複雑さ、および電力消費が大幅に増加する。
一例では、本願の実施形態において提供される予歪処理装置は、複数アンテナ送信装置に適用される。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願の実施形態において提供される予歪処理装置は、予歪処理装置の構造を最適化することを意図している。
複数アンテナ送信装置において、PAの非線形特性は主にPAの構造およびPAの入力信号に依存し、複数アンテナ送信装置の諸PAの入力信号は同じであるため、従来の予歪処理技術を用いた複数アンテナ送信装置では、異なるPAの非線形特性が相関し、異なるPAに対応するDPDプロセッサのパフォーマンスが相関する。よって、複数アンテナ送信装置における予歪処理装置の構造は、設計複雑性を低減し、コストを低減し、および複数アンテナ送信装置の電力消費を低減するために最適化されることができる。
図4は、本願のある実施形態による第一の予歪処理装置の概略構造図である。
図4に示されるように、本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置は、第一の予歪部、第二の予歪部、フィードバック信号変換部、および解法部を含む。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含む。予歪処理装置による信号処理の信号流れ方向およびプロセスを示すために、図4はさらに、第一の発振器、少なくとも一つのDAC、M個の周波数混合部、M個のPA、およびM個のアンテナを示している。ここで、NおよびMは整数であり、Nは1以上であり、MはN以上である。
図4に示される予歪処理装置が信号を送信するための送信装置に適用される場合、第一の予歪部は、一つの第一ベースバンド信号と、予歪パラメータのN個のセットとを受領する。第一ベースバンド信号は、DPDプロセッサに固有のデジタル信号またはサービス信号である。たとえば、DPDプロセッサに固有のデジタル信号は、直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing、略OFDM)シンボルである。さらに、第一ベースバンド信号は、I(In-phase、略I)信号およびQ(Quadrature-phase、略Q)信号を含んでいてもよい。第一ベースバンド信号がI信号およびQ信号を含む場合、本願の実施形態に記載される信号処理プロセスは、I信号およびQ信号に対して別々に実行される。予歪パラメータのN個のセットは、解法部によって第一の予歪部に送られるパラメータである。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびN個のセットの予歪パラメータに基づいて、第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行し、N個の第二ベースバンド信号を得て、該N個の第二ベースバンド信号を第二の予歪部に送る。第二の予歪部は、前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数を受領し、ここで、ネットワーク係数は、解法部によって第二の予歪部に送られる係数である。第二の予歪部は、N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいてM個の第三ベースバンド信号を決定し、該M個の第三ベースバンド信号を予歪処理装置に含まれるDACに送る、すなわち、M個の第三ベースバンド信号のうちのt番目の第三ベースバンド信号を予歪処理装置に含まれるDACのうちの一つに送る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの値である。予歪処理装置に含まれるDACは、第二の予歪部によって送られたM個の第三ベースバンド信号を受領し、M個の第三ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してM個の第四ベースバンド信号を得て、該M個の第四ベースバンド信号をM個の周波数混合部に送る。換言すれば、M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号を受領するDACは、該t番目の第三ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して前記M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を得て、該t番目の第四ベースバンド信号をM個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送る。任意的に、予歪処理装置は、M個のDACを含む。そのような構成に基づくと、第二の予歪部は、M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号をM個のDACにおけるt番目のDACに送り、該t番目のDACが、t番目の第三ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してt番目の第四ベースバンド信号を得て、該t番目の第四ベースバンド信号をt番目の周波数混合部に送る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。第一の発振器は搬送波信号を生成し、該搬送波信号をM個の周波数混合部に送る。M個の周波数混合部は、該搬送波信号およびDACによって送られたM個の第四ベースバンド信号を受領し、該M個の第四ベースバンド信号に対して搬送波信号に基づいてアップコンバージョンを実行してM個の第一無線周波数信号を得て、該M個の第一無線周波数信号をM個のPAに送る。換言すれば、M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部は、搬送波信号およびt番目の第四ベースバンド信号を受領し、ここで、t番目の第四ベースバンド信号は、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号である。t番目の周波数混合部は、搬送波信号に基づいてt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行してM個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得て、該t番目の第一無線周波数信号をM個のPAにおけるt番目のPAに送る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。M個のPAはM個の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号を得て、該M個の第二無線周波数信号をM個のアンテナに送り、M個の第二無線周波数信号におけるR個の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送る。ここで、Rは1以上M以下の整数である。換言すれば、M個のPAにおけるt番目のPAはM個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を得て、該t番目の第二無線周波数信号をM個のアンテナにおけるt番目のアンテナに送り、さらに、t番目の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送ってもよい。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。M個のアンテナは、M個の第二無線周波数信号を送信する。換言すれば、M個のアンテナにおけるt番目のアンテナが、M個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を送信する。電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号は、フィードバック信号変換部に結合される。換言すれば、フィードバック信号変換部は、電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号を受領し、R個の第二無線周波数信号を一つの第五ベースバンド信号に変換し、該第五ベースバンド信号を解法部に送る。解法部は、複数の予歪パラメータ解法アルゴリズムを、直列式、並列式、または直列式プラス並列式で組み合わせて、解法部の解法アルゴリズムを得る。予歪パラメータ解法アルゴリズムは、当業者によって一般的に使用されるアルゴリズムであってもよく、これは、本願において限定されない。たとえば、アルゴリズムは、最小平均二乗(least mean square、略LMS)アルゴリズムであってもよい。解法部は、第一ベースバンド信号および第五ベースバンド信号を受領し、解法部の解法アルゴリズムと第五ベースバンド信号とに基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定し、該N個のセットの予歪パラメータを第一の予歪部に送り、前記ネットワーク係数を第二の予歪部に送る。本願の実施形態では、ネットワーク係数は、代替的に、第一係数、第一パラメータ、または別の名前で称されることがあり、予歪処理機能を実施することにおいて第二の予歪部をサポートするために、解法部によって第二の予歪部に出力されるパラメータである。
本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置によれば、第一の予歪部および第二の予歪部は、複数アンテナ送信装置のM個のPAの増幅効率を改善するために、予歪処理機能を実装する。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含み、ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得るよう構成される。第二の予歪部は、予歪処理が実行されたN個の信号に基づいて、予歪処理が実行されたM個の信号を得る。予歪処理が実行されたM信号は、近似的に、M個のPAの増幅パフォーマンスとは逆の予歪信号であり、よって、送信される必要のある信号について、増幅されていない信号は、増幅された信号と線形関係になり、PAの増幅効率を改善する。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置によれば、DPDプロセッサの数を減らし、予歪処理装置の構造を最適化し、設計の複雑さ、コスト、および消費電力を低減することができる。さらに、本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置では、異なるPAの非線形特性間の差異が考慮され、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることが保証できる。
図5は、本願のある実施形態による第二の予歪処理装置の概略構造図である。
図5に示されるように、本願の実施形態において提供される第二の予歪処理装置は、第一の予歪部、少なくとも一つのDAC、第二の予歪部、フィードバック信号変換部、および解法部を含む。第一の予歪部はN個のDPDプロセッサを含む。予歪処理装置による信号処理の信号流れ方向およびプロセスを示すために、図5はさらに、第一の発振器、M個の周波数混合部、M個のPA、およびM個のアンテナを示している。ここで、NおよびMは整数であり、Nは1以上であり、MはN以上である。本願のこの実施形態において提供される第二の予歪処理装置と前記第一の予歪処理装置との間の違いは次のとおりである:第一の予歪処理装置では、信号処理の間、第二の予歪部が信号を処理した後にデジタル‐アナログ変換が実行される、すなわち、第二の予歪部がDACに信号を送る。一方、第二の予歪処理装置では、信号処理の間、第二の予歪部が信号を処理する前にデジタル‐アナログ変換が実行される、すなわち、DACが第二の予歪部に信号を送る。
図5に示される予歪処理装置が信号を送信するための送信装置に適用される場合、第一の予歪部は、一つの第一ベースバンド信号と、予歪パラメータのN個のセットとを受領する。第一ベースバンド信号は、図4に対応する予歪処理装置において述べた第一ベースバンド信号と同じであり、ここで再び詳細を述べることはしない。予歪パラメータのN個のセットは、解法部によって第一の予歪部に送られるパラメータである。第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびN個のセットの予歪パラメータに基づいて、第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行し、N個の第二ベースバンド信号を得て、該N個の第二ベースバンド信号を、予歪処理装置に含まれているDACに送る。すなわち、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を、予歪処理装置に含まれているDACの一つに送る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。予歪処理装置に含まれているDACはN個の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して、N個の第三ベースバンド信号を得て、該N個の第三ベースバンド信号を第二の予歪部に送る。換言すれば、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を受領したDACはx番目の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行してN個の第三ベースバンド信号におけるx番目の第三ベースバンド信号を得て、該x番目の第三ベースバンド信号を第二の予歪部に送る。任意的に、予歪処理装置はN個のDACを含んでいてもよい。そのような構成に基づけば、第一の予歪部はx番目の第二ベースバンド信号をN個のDACにおけるx番目のDACに送り、x番目のDACはx番目の第二のベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換を実行して、x番目の第三ベースバンド信号を得て、該x番目の第三ベースバンド信号を第二の予歪部に送る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。第二の予歪部は、N個の第三ベースバンド信号と、ネットワーク係数であって、該ネットワーク係数は解法部によって第二の予歪部に送られた係数である、ネットワーク係数とを受領し;前記N個の第三ベースバンド信号および前記ネットワーク係数に基づいてM個の第四ベースバンド信号を決定し、該M個の第四ベースバンド信号をM個の周波数混合部に送る、つまり、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号をM個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。第一の発振器は搬送波信号を生成し、該搬送波信号を周波数混合部に送る。M個の周波数混合部は、第一の発振器によって送られた搬送波信号およびM個の第四ベースバンド信号を受領し、該搬送波信号に基づいてM個の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行してM個の第一無線周波数信号を得て、該M個の第一無線周波数信号をM個のPAに送る。換言すれば、M個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部は、発振器によって送られた搬送波信号およびM個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号を受領し、搬送波信号に基づいてt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行してM個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号を得て、該t番目の第一無線周波数信号をM個のPAにおけるt番目のPAに送る。ここで、tは整数であり、tの値は1ないしMまでの範囲である。M個のPAはM個の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号を得て、該M個の第二無線周波数信号をM個のアンテナに送り、M個の第二無線周波数信号におけるR個の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送る。ここで、Rは1以上M以下の整数である。換言すれば、M個のPAにおけるt番目のPAはM個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅を実行して、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を得て、該t番目の第二無線周波数信号をM個のアンテナにおけるt番目のアンテナに送り、さらに、t番目の第二無線周波数信号をフィードバック信号変換部に送ってもよい。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。M個のアンテナは、M個の第二無線周波数信号を送信する。換言すれば、M個のアンテナにおけるt番目のアンテナが、M個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号を送信する。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号は、フィードバック信号変換部に結合される。換言すれば、フィードバック信号変換部は、電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号を受領し、R個の第二無線周波数信号を一つの第五ベースバンド信号に変換し、該第五ベースバンド信号を解法部に送る。解法部は、複数の予歪パラメータ解法アルゴリズムを、直列式、並列式、または直列式プラス並列式で組み合わせて、解法部の解法アルゴリズムを得る。予歪パラメータ解法アルゴリズムは、当業者によって一般的に使用されるアルゴリズムであってもよく、これは、本願において限定されない。たとえば、アルゴリズムは、LMSアルゴリズムであってもよい。解法部は、第一ベースバンド信号および第五ベースバンド信号を受領し、解法部の解法アルゴリズムと第一ベースバンド信号と第五ベースバンド信号とに基づいて、前記N個のセットの予歪パラメータおよび前記ネットワーク係数を決定し、該N個のセットの予歪パラメータを第一の予歪部に送り、前記ネットワーク係数を第二の予歪部に送る。
本願の実施形態において提供される第一の予歪処理装置と同様に、本願の実施形態において提供される第二の予歪処理装置は、複数アンテナ送信装置のM個のPAの増幅効率を改善するために、第一の予歪部および第二の予歪部を使って予歪処理機能を実装する。本予歪処理装置は、設計の複雑さ、コスト、および消費電力を低減できるだけでなく、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることを保証することもできる。
図4または図5に示される第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含み、第一ベースバンド信号およびN個のセットの予歪パラメータを受領し、N個のDPDプロセッサおよびN個のセットの予歪パラメータに基づいて第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号を得るよう構成される。具体的には、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部は、図6ないし図9に示される第一の予歪部の複数の実装のうちの任意のものである。
図6に示される第一の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部の第一の実装である。図6に示されるように、第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサを含み、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットと、x番目のDPDプロセッサ入力信号とを受領し、x番目のセットの予歪パラメータに基づいてx番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る。図6に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、x番目のDPDプロセッサはx番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送信する。図6に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、x番目のDPDプロセッサはx番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送る。xが1である場合、x番目のDPDプロセッサ入力信号は第一ベースバンド信号である、またはxが2ないしNのいずれかである場合、x番目のDPDプロセッサの入力信号は、N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(x−1)番目の第二ベースバンド信号であり、(x−1)番目の第二ベースバンド信号は、N個の第二ベースバンド信号における(x−1)番目のベースバンド信号であり、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。第一の予歪部の第一の実装では、信号に対して予歪処理を実行して予歪処理が実行されたN個の信号を得るために、諸DPDプロセッサがカスケード接続される。この実装は、比較的単純な設計、比較的低いコスト、および比較的低い電力消費をもつ。
図7に示される第一の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部の第二の実装である。図7に示されるように、第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびN−1個の乗算器を含む。
N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領する。x番目のDPDプロセッサ入力信号は、N個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号である。x番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのx番目のセットに基づいて、x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、x番目のDPDプロセッサ出力信号を得る。ここで、x番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサの出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号であり、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。xが1の場合は、x番目のDPDプロセッサ入力信号は第一ベースバンド信号であり、xが2ないしNのいずれかである場合は、x番目のDPDプロセッサによって受領されるx番目のDPDプロセッサ入力信号は、具体的には、N個のDPDプロセッサにおける(x−1)番目のDPDプロセッサによって送られた(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号における(x−1)番目のDPDプロセッサ出力信号であり、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。
N−1個の乗算器におけるy番目の乗算器は、N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られたy番目のDPDプロセッサ出力信号と、N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られた(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号に(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号を乗算して、N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得る。y番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号である。図7に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、y番目の乗算器は、y番目の第二ベースバンド信号を図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送る。図7に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、y番目の乗算器は、y番目の第二ベースバンド信号を図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送る。ここで、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。
xがNの場合、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号である。この場合、図7に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサはさらに、x番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送るよう構成され;または図7に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサはさらに、x番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送るよう構成される。第一の予歪部の第二の実装では、DPDプロセッサは信号に対して予歪処理を実行し、乗算器は信号に対してフィードバック複素乗算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
図8に示される第一の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部の第三の実装である。図8に示されるように、第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびN−1個の加算器を含む。
N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよび第一ベースバンド信号を受領し、予歪パラメータのx番目のセットに基づいて第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号を得る。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。
N−1個の加算器におけるy番目の加算器は、N個のDPDプロセッサにおけるy番目のDPDプロセッサによって送られたy番目のDPDプロセッサ出力信号と、N個のDPDプロセッサにおける(y+1)番目のDPDプロセッサによって送られた(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを受領し、y番目のDPDプロセッサ出力信号と(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号とを加算して、N個の第二ベースバンド信号におけるy番目の第二ベースバンド信号を得る。y番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるy番目のDPDプロセッサ出力信号であり、(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個のDPDプロセッサ出力信号における(y+1)番目のDPDプロセッサ出力信号である。図8に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、y番目の加算器は、y番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送る。図8に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、y番目の加算器は、y番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送る。ここで、yは整数であり、yの値は1からN−1までの範囲である。
xがNの場合、N個のDPDプロセッサ出力信号におけるx番目のDPDプロセッサ出力信号は、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号である。この場合、図8に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサはさらに、x番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送るよう構成され;または図8に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、x番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれる前記少なくとも一つのDACにおける一つのDACに送るよう構成される。第一の予歪部の第三の実装では、DPDプロセッサは信号に対して予歪処理を実行し、加算器は信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
図9に示される第一の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第一の予歪部の第四の実装である。図9に示されるように、第一の予歪部は、N個のDPDプロセッサおよびL個の加算器を含み、ここで、Lは、((N−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値に等しい。
N個のDPDプロセッサにおけるx番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットおよびx番目のDPDプロセッサ入力信号を受領する。x番目のDPDプロセッサ入力信号は、N個のDPDプロセッサ入力信号におけるx番目のDPDプロセッサ入力信号である。x番目のDPDプロセッサは、予歪パラメータのx番目のセットに基づいて、x番目のDPDプロセッサ入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る。図9に示される第一の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、x番目のDPDプロセッサは、x番目の第二ベースバンド信号を、図4に示される予歪処理装置の第二の予歪部に送る。図9に示される第一の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、x番目のDPDプロセッサは、x番目の第二ベースバンド信号を、図5に示される予歪処理装置に含まれるDACの一つに送る。
xが1または2である場合は、第一ベースバンド信号がx番目のDPDプロセッサ入力信号であり、またはxが2ないしNのいずれかである場合は、x番目のDPDプロセッサ入力信号は、L個の加算器における対応する加算器によって得られる。
L個の加算器におけるp番目の加算器は、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける(2p−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(2p−1)番目の第二ベースバンド信号と、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける2p番目のDPDプロセッサによって送られる2p番目の第二ベースバンド信号とを受領し、(2p−1)番目の第二ベースバンド信号と2p番目の第二ベースバンド信号とを加算して、N個のDPDプロセッサ入力信号における(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を得る。すなわち、(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号は、(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号と同じである。p番目の加算器は、(2p+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2p+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を、N個のDPDプロセッサにおける(2p+1)番目のDPDプロセッサおよび(2p+2)番目のDPDプロセッサに送る。ここで、pは整数であり、pの値は1からL−1までの範囲である。
Lが2の倍数である場合、L個の加算器におけるL番目の加算器は、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られた、(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られた2L番目のベースバンド信号とを受領し、(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と2L番目の第二ベースバンド信号とを加算して、(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号と(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号とを得る。すなわち、(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号は、(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号と同じである。L番目の加算器は、(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号および(2L+2)番目のDPDプロセッサ入力信号を、N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサおよび(2L+2)番目のDPDプロセッサに送る。
Lが2の倍数でない場合、L個の加算器におけるL番目の加算器は、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける(2L−1)番目のDPDプロセッサによって送られる(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と、N個の第二ベースバンド信号における、N個のDPDプロセッサにおける2L番目のDPDプロセッサによって送られる2L番目の第二ベースバンド信号とを受領し、(2L−1)番目の第二ベースバンド信号と2L番目の第二ベースバンド信号を加算して、N個のDPDプロセッサ入力信号における(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を得て、該(2L+1)番目のDPDプロセッサ入力信号を、N個のDPDプロセッサにおける(2L+1)番目のDPDプロセッサに送る。ここで、2L+1はNに等しい。第一の予歪部における第四の実装では、DPDプロセッサは信号に対して予歪処理を実行し、加算器は信号に対してフィードバック複素加算を実行して、予歪処理が実行されたN個の信号を得る。信号増幅の間、この実装は、著しい非線形歪みがあるシナリオにおいて、非線形歪みをより効果的に低減し、増幅効率を改善することを意図している。
図10に示される第二の予歪部は、図4または図5に示される予歪処理装置の第二の予歪部である。図10に示される第二の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、図10に対応する第二の予歪部において記載される「N個の入力信号」は図4に対応する予歪処理装置において記載される「N個の第二ベースバンド信号」であり、図10に対応する第二の予歪部において記載される「ネットワーク係数」は図4に対応する予歪処理装置において記載される「ネットワーク係数」であり、図10に対応する第二の予歪部において記載される「M個の出力信号」は図4に対応する予歪処理装置において記載される「M個の第三ベースバンド信号」である。図10に示される第二の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、図10に対応する第二の予歪部において記載される「N個の入力信号」は図5に対応する予歪処理装置において記載される「N個の第三ベースバンド信号」であり、図10に対応する第二の予歪部において記載される「ネットワーク係数」は図5に対応する予歪処理装置において記載される「ネットワーク係数」であり、図10に対応する第二の予歪部において記載される「M個の出力信号」は図5に対応する予歪処理装置において記載される「M個の第四ベースバンド信号」である。
図10に示されるように、第二の予歪部は、W個の信号決定部を含み、W個の信号決定部におけるe番目の信号決定部は、N個の入力信号およびネットワーク係数を受領し、N個の入力信号およびネットワーク係数に基づいてe番目の第二予歪部出力信号を決定する。ここで、e番目の第二予歪部出力信号は、前記M個の出力信号のうちの少なくとも一つに対応し、eは整数であり、eの値は1からWまでの範囲であり、WはM以下の整数である。図10に示される第二の予歪部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、第二の予歪部の信号決定部は、図4に示される予歪処理装置のDACに接続される。e番目の信号決定部があるDACに接続されている場合、そのDACの機能は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号を受領することを含む。e番目の第二予歪部出力信号は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号に対応する。すなわち、e番目の第二予歪部出力信号は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号に対応する。e番目の信号決定部は、t番目の出力信号を、その信号決定部に接続されたDACに結合する。図10に示される第二の予歪部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、第二の予歪部の一つの信号決定部が図5に示される予歪処理装置の少なくとも一つの周波数混合部に接続され、一つの周波数混合部が一つの信号決定部に接続される。信号決定部が1対1の対応で周波数混合部に接続される場合、WはMに等しく;あるいは、一つの信号決定部が複数の周波数混合部に接続される場合、WはM未満である。e番目の信号決定部が、図5に示す予歪処理装置のM個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に接続されている場合、e番目の第二予歪部出力信号は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号に対応する。すなわち、e番目の第二予歪部出力信号は、M個の出力信号におけるt番目の出力信号である。e番目の信号決定部は、該t番目の出力信号を、図5に示される予歪処理装置のM個の周波数混合部におけるt番目の周波数混合部に送る。ここで、tは、1以上M以下の整数である。たとえば、N個の入力信号がd_xと表わされ、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。すなわち、N個の入力信号はd_1、d_2、…、d_Nである。ネットワーク係数はKと記され、N個の係数k_xを含む。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。すなわち、ネットワーク係数Kはk_1、k_2、…、k_Nを含む。第二の予歪部に含まれるe番目の信号決定部は、d_1、d_2、…、d_N、k_1、k_2、…、k_Nに対して線形変換を実行して、e番目の第二予歪部出力信号を得る。線形変換は加算演算および乗算演算を含む。図10に示される第二の予歪部によれば、予歪処理が実行されたM個の信号が線形変換を通じて得られてもよく、予歪処理が実行されたM個の信号は、近似的に、複数アンテナ送信装置のM個のPAの増幅パフォーマンスとは逆の予歪信号であり、そのため、送信される必要のある信号について、増幅されていない信号は増幅された信号と線形関係にあり、複数アンテナ送信装置のPAの増幅効率を向上させる。従来の複数アンテナ送信装置における予歪処理装置と比較して、本願の実施形態において提供される予歪処理装置によれば、M−N個のDPDプロセッサが削減され、予歪処理装置の構造を最適化し、設計の複雑さ、コスト、および電力消費を低減する。さらに、異なるPAの非線形特性間の差異が考慮され、複数アンテナ送信装置における送信チャネル上の信号増幅の機能が線形であることが保証できる。
下記は、図4または図5を参照して、図4または図5に示される予歪処理装置のフィードバック信号変換部を記述する。該フィードバック信号変換部は、下記の二つの実装のいずれかである。下記の二つの実装のフィードバック信号変換部が図4に示される予歪処理装置に適用されるとき、下記の二つの実装における「予歪処理装置」は、図4に対応する予歪処理装置である。下記の二つの実装におけるフィードバック信号変換部が図5に示される予歪処理装置に適用されるとき、下記の二つの実装に記載される「予歪処理装置」は、図5に対応する予歪処理装置である。
フィードバック信号変換部の第一の実装は次のとおり:フィードバック信号変換部は、結合部と、周波数混合部と、ADCとを含む。結合部は、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号を受領し、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの結合部出力信号を得て、該結合部出力信号を周波数混合部に送る。結合部によって、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて結合部出力信号を得るための方法は、当業者によって一般的に使用される方法であってもよい。たとえば、結合部は、時分割法を使って、電力増幅器により増幅されたR個の無線周波数信号から一つの信号を選択し、その信号を結合部出力信号として使用してもよく;あるいは、平均取得法により、電力増幅器により増幅されたR個の周波数信号に基づいて一つの信号を得て、その信号を結合部出力信号として使用してもよく;あるいは、線形結合法を使って、電力増幅器により増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの信号を取得し、その信号を結合部出力信号として使用してもよい。これは、本願において限定されない。フィードバック信号変換部の周波数混合部は、搬送波信号に基づいて結合部出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して、第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号をフィードバック信号変換部のADCに送る。フィードバック信号変換部のADCは、第六ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して、第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号を予歪処理装置の解法部に送る。搬送波信号は、予歪処理装置の第一の発振器によってフィードバック信号変換部の周波数混合部に送られる搬送波信号であってもよい。任意的に、予歪処理装置はさらに、第二の発振器を含んでいてもよく、搬送波信号は、代替的に、第二の発振器によってフィードバック信号変換部の周波数混合部に送られる搬送波信号であってもよい。フィードバック信号変換部の第一の実装では、電力増幅器によって増幅された無線周波数信号は、予歪処理装置の解法部にフィードバックされてもよく、それにより、解法部は、ネットワーク係数およびN個のセットの予歪パラメータを得ることができ、予歪処理を実行することにおいて第一の予歪部および第二の予歪部をサポートすることができる。
フィードバック信号変換部の第二の実装は次のとおり:フィードバック信号変換部は、結合部と、周波数混合部と、クリッパーと、ADCとを含む。結合部は、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号を受領し、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて一つの結合部出力信号を得て、該結合部出力信号をフィードバック信号変換部の周波数混合部に送る。結合部によって、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて結合部出力信号を得るための方法は、当業者によって一般的に使用される方法であってもよい。その方法は、フィードバック信号変換部の第一の実装における対応する記述と同じであり、ここで再び詳細を述べることはしない。フィードバック信号変換部の周波数混合部は、搬送波信号に基づいて結合部出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して、第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号をクリッパーに送る。クリッパーは、第六ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して、第七ベースバンド信号を得て、該第七ベースバンド信号を、フィードバック信号変換部のADCに送る。フィードバック信号変換部のADCは、第七ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して、第五ベースバンド信号を得て、該第五ベースバンド信号を図4に示されるデジタル予歪処理装置の解法部に送る。搬送波信号は、予歪処理装置の第一の発振器によってフィードバック信号変換部の周波数混合部に送られる搬送波信号であってもよい。予歪処理装置はさらに、第二の発振器を含んでいてもよく、搬送波信号は、代替的に、第二の発振器によってフィードバック信号変換部の周波数混合部に送られる搬送波信号であってもよい。フィードバック信号変換部の第一の実装と同様に、フィードバック信号変換部の第二の実装は、第一の予歪部をサポートし、第二の予歪部が予歪処理を実行することにおいてサポートされることができる。フィードバック信号変換部の第一の実装と比較して、フィードバック信号変換部の第二の実装では、クリッパーが追加される。信号の振幅が比較的高い場合、追加されたクリッパーは、信号に対して振幅制限処理を実行し、信号の波の山によって信号の波の谷に引き起こされる干渉を低減し、さらに、過度に高い信号振幅または過度に高い干渉によってADCに対して引き起こされる損傷を低減することができる。
なお、図4ないし図10に示される予歪処理装置、または予歪処理装置に含まれる構成要素は、本願の実施形態を実装するための主要な構成要素のみを含んでおり、システム要件に基づき、別のソフトウェアおよびハードウェア処理モジュールが各部および/またはデバイスの間にさらに配置されてもよい。たとえば、PAとアンテナとの間に送受切り換え器がさらに配置されてもよく、フィルタが周波数混合部とADCとの間にさらに配置されてもよい。
なお、図4ないし図10に示される予歪処理装置、または予歪処理装置に含まれる各構成要素は、回路であってもよい。回路は、チップ・システムを使用して実装されてもよい。チップ・システムは、中央処理装置(central processing unit、略CPU)、汎用プロセッサ、ネットワーク・プロセッサ(network processor、略NP)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、略DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、略ASIC)、プログラマブル論理デバイス(programmable logic device、略PLD)、トランジスタ論理デバイス、離散デバイス、ハードウェアコンポーネント、または上記デバイスの任意の組み合わせを含みうる。PLDは、複合プログラマブル論理デバイス(complex programmable logic device、略CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、略FPGA)、汎用アレイ論理(generic array logic、略GAL)、またはそれらの任意の組み合わせでありうる。チップ・システムは、本願に開示される内容に記載されるさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、および回路を実装または実行しうる。あるいはまた、チップ・システムは、コンピューティング機能を実装するための組み合わせ、たとえば、少なくとも一つのマイクロプロセッサを含む組み合わせ、またはDSPとマイクロプロセッサの組み合わせであってもよい。ある個別的な例では、本願の実施形態において提供される予歪処理装置は、ベースバンド・チップと無線周波数チップとを使用することによって、共同で実装されてもよい。ベースバンド・チップは、前述の実施形態におけるベースバンド信号を処理するデバイスであり、無線周波数チップは、前述の実施形態における無線周波数信号を処理するデバイスである。任意的に、無線周波数チップは、中間周波数信号を処理するチップと、無線周波数信号を処理するチップとをさらに含んでいてもよい。
上記は、主として、本願の実施形態において提供される予歪処理装置を記述している。該予歪処理装置は、本願の実施形態において提供される予歪処理方法の可能な実装である。下記は、図11および図12を参照して、本願の実施形態において提供される予歪処理方法を記述する。
図11は、本願のある実施形態による第一の予歪処理方法のフローチャートである。第一の予歪処理方法は、前記第一の予歪処理装置に対応する方法であり、すなわち、前記第一の予歪処理装置は、第一の予歪処理方法の可能な実装である。
ステップ1101において、デジタル予歪処理が、Nセットの予歪パラメータに基づいて第一ベースバンド信号に対して実行され、N個の第二ベースバンド信号が得られる。
第一ベースバンド信号は、図4に対応する予歪処理装置において記載された第一ベースバンド信号と同じであり、ここで詳細を再び述べることはしない。
デジタル予歪処理は、下記の4つの処理方法のいずれかを用いて、Nセットの予歪パラメータに基づいて第一ベースバンド信号に対して実行され、N個の第二ベースバンド信号が得られる。N個の第二ベースバンド信号のうちの一つは、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の〔第xの〕第二ベースバンド信号と称されてもよい。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。
4つの処理方法における第一の処理方法は次のとおり:xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲であり;xが1の場合は、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいて第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;または、xが2ないしNのいずれかの整数である場合は、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいて、N個の第二ベースバンド信号における(x−1)番目の第二ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る。
4つの処理方法における第二の処理方法は次のとおり:xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲であり;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、予歪パラメータのN個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいて、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対してデジタル予歪処理を実行して、N個の出力信号におけるx番目の出力信号を得、ここで、xが1のときは、x番目の入力信号は第一ベースバンド信号である;またはxが2ないしNのいずれかの整数であるときは、x番目の入力信号は、N個の出力信号における(x−1)番目の出力信号である;xが1ないしN−1のいずれかの整数である場合、x番目の出力信号に前記N個の出力信号における(x+1)番目の出力信号を乗算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;またはxがNである場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号が前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であることを決定する。
4つの処理方法における第三の処理方法は次のとおり:xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲であり;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、N個の出力信号におけるx番目の出力信号を得て、ここで、前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号であり;xが1ないしN−1のいずれかの整数である場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号および(x+1)番目の出力信号を加算して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る;またはxがNである場合、前記N個の出力信号におけるx番目の出力信号が前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号であることを決定する。
4つの処理方法における第四の処理方法は次のとおり:xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲であり;xが1ないしNのいずれかの整数である場合、N個の入力信号におけるx番目の入力信号に対して、予歪パラメータの前記N個のセットにおける予歪パラメータのx番目のセットに基づいてデジタル予歪処理を実行して、前記N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号を得る。xが1または2であるときは、前記x番目の入力信号は前記第一ベースバンド信号であり;またはxが2ないしNのいずれかの整数であるときは、前記x番目の入力信号は前記N個の出力信号における(2p−1)番目の出力信号および2p番目の出力信号を加算することによって得られる信号であり、pは((x−2)/2)を次の整数に切り上げることによって得られる値に等しい。
ステップ1102において、M個の第三ベースバンド信号が、前記N個の第二ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいて決定される。
N個の第二ベースバンド信号に対してネットワーク係数に基づいて線形変換が実行され、M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号を得る。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲であり、線形変換は乗算および加算を含む。
ステップ1103では、電力増幅器によって増幅されたR無線周波数信号に基づいて、第五ベースバンド信号が得られる。
電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号は、ステップ1102において述べたM個の第三ベースバンド信号に基づいて決定される無線周波数信号である。M個の第三ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換が実行されて、M個の第四ベースバンド信号が得られる。すなわち、M個の第三ベースバンド信号におけるt番目の第三ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換が実行されて、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号が得られる。搬送波信号に基づいてM個の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンが実行されて、M個の第一無線周波数信号が得られる。すなわち、搬送波信号に基づいてM個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンが実行されて、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号が得られる。M個の第一無線周波数信号に対して電力増幅が実行されて、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号が得られる。すなわち、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅が実行されて、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号が得られる。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。このステップにおいて電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号は、M個の第二無線周波数信号におけるR個の第二無線周波数信号である。すなわち、M個の第二無線周波数信号に基づいて結合が実行されて、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号が得られる。ここで、Rは1以上M以下の整数である。
第五ベースバンド信号は、電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号に基づいて、下記の二つの方法のいずれかを使って得ることができる。
前記二つの方法における第一の方法は次のとおり:電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号に基づいて一つの出力信号を得て、搬送波信号に基づいて出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して前記第五ベースバンド信号を得る。本願の実施形態では、搬送波信号はベースバンド信号または無線周波数信号の周波数混合を実行するために使用される搬送波信号であり、搬送波信号に基づいてベースバンド信号に対してアップコンバージョンを実行することによって無線周波数信号を得ることができ、搬送波信号に基づいて無線周波数信号に対してダウンコンバージョンを実行することによってベースバンド信号を得ることができる。
前記二つの方法における第二の方法は次のとおり:電力増幅器によって増幅されたR個の第二無線周波数信号に基づいて一つの出力信号を得て、搬送波信号に基づいて出力信号に対してダウンコンバージョンを実行して第六ベースバンド信号を得て、該第六ベースバンド信号に対して振幅制限処理を実行して第七ベースバンド信号を得て、該第七ベースバンド信号に対してアナログ‐デジタル変換を実行して前記第五ベースバンド信号を得る。
ステップ1104では、予歪パラメータの前記N個のセットおよび前記ネットワーク係数が、前記第五ベースバンド信号に基づいて決定される。
複数のセットの予歪パラメータ解法アルゴリズムが直列式、並列式、または直列式プラス並列式で組み合わされて、解法アルゴリズムが得られる。ステップ1101で述べたNセットの予歪パラメータおよびステップ1102で述べたネットワーク係数は、第五ベースバンド信号および解法アルゴリズムに基づいて決定される。予歪パラメータ解法アルゴリズムは、図4または図5に対応する予歪処理装置における対応する記述と同じであり、ここで再び詳細を述べることはしない。
図12は、本願のある実施形態による第二のデジタル予歪処理方法のフローチャートである。第二の予歪処理方法は、前記第二の予歪処理装置に対応する方法であり、すなわち、前記第二の予歪処理装置は、第二の予歪処理方法の可能な実装である。
ステップ1201において、第一ベースバンド信号に対してデジタル予歪処理が、Nセットの予歪パラメータに基づいて実行され、N個の第二ベースバンド信号が得られる。
ステップ1201は、図11に対応する方法におけるステップ1101と同じである。
ステップ1202において、N個の第二ベースバンド信号に対してデジタル‐アナログ変換が実行されて、N個の第三ベースバンド信号が得られる。
デジタル‐アナログ変換は、N個の第二ベースバンド信号におけるx番目の第二ベースバンド信号に対して実行され、N個の第三ベースバンド信号におけるx番目の第三ベースバンド信号が得られる。ここで、xは整数であり、xの値は1からNまでの範囲である。
ステップ1203では、N個の第三ベースバンド信号およびネットワーク係数に基づいて、M個の第四ベースバンド信号が得られる。
N個の第三ベースバンド信号に対してネットワーク係数に基づいて線形変換が実行され、M個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号が得られる。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲であり、線形変換は乗算および加算を含む。
ステップ1204において、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号が決定される。
電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号は、ステップ1203で述べたM個の第四ベースバンド信号に基づいて決定される無線周波数信号である。搬送波信号に基づいてM個の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンが実行されてM個の第一無線周波数信号が得られる、すなわち、搬送波信号に基づくM個の第四ベースバンド信号におけるt番目の第四ベースバンド信号に対してアップコンバージョンが実行されて、M第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号が得られる。M個の第一無線周波数信号に対して電力増幅が実行され、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号が得られる。すなわち、M個の第一無線周波数信号におけるt番目の第一無線周波数信号に対して電力増幅が実行され、電力増幅器によって増幅されたM個の第二無線周波数信号におけるt番目の第二無線周波数信号が得られる。ここで、tは整数であり、tの値は1からMまでの範囲である。このステップにおいて電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号は、M個の第二無線周波数信号におけるR個の第二無線周波数信号である。すなわち、M個の第二無線周波数信号に基づいて結合が実行されて、電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号が得られる。ここで、Rは、1以上M以下の整数である。
電力増幅器によって増幅されたR個の無線周波数信号に基づいて第五ベースバンド信号を得る方法は、図11に対応するステップ1103における対応する記述と同じである。
ステップ1205において、予歪パラメータの前記N個のセットおよび前記ネットワーク係数が、前記第五ベースバンド信号に基づいて決定される。
ステップ1205は、図11に対応する方法におけるステップ1104と同じである。
本願の実施形態において提供されるデジタル予歪処理方法を実行するための装置は、予歪処理装置、たとえば、図4から図10に示される予歪処理装置であってもよく、またはシステム中の別の装置またはネットワーク・デバイス、たとえば、デジタル処理装置および/または中間無線周波数処理装置であってもよい。任意的に、本願の実施形態において提供される予歪処理方法を実行するための装置は、装置のプログラム命令、または装置のプログラム命令およびデータを記憶するよう構成されたメモリをさらに含んでいてもよい。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(random-access memory、略RAM)のような揮発性メモリ(volatile memory)を含み、あるいはメモリは、フラッシュ・メモリ(flash memory)、ハード・ディスク・ドライブ(hard disk drive、略HDD)、またはソリッド・ステート・ドライブ(solid-state drive、略SSD)のような不揮発性メモリ(non-volatile memory)を含んでいてもよく、またはメモリは、前述の型のメモリの組み合わせを含んでいてもよい。
前述の実施形態の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを使って実装されうる。実施形態を実装するためにソフトウェアが使用される場合、実施形態は、全部がまたは部分的に、コンピュータ・プログラム製品の形で実装されてもよい。コンピュータ・プログラム製品は、一つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータ上でコンピュータ・プログラム命令がロードされ、実行されるとき、本発明の実施形態による手順または機能が、すべてまたは部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータ・ネットワーク、ネットワーク装置、ユーザー装置、または他のプログラマブル装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されてもよいし、コンピュータ読取可能な記憶媒体から別のコンピュータ読取可能な記憶媒体に送信されてもよい。たとえば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバー、またはデータセンターから、有線(たとえば、同軸ケーブル、光ファイバー、またはデジタル加入者線(digital subscriber line、略DSL))または無線(たとえば、赤外線、電波、またはマイクロ波)方式で、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバー、またはデータセンターに送信されうる。コンピュータ読取可能な記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体、または一つまたは複数の利用可能な媒体を統合する、サーバーまたはデータセンターのようなデータ記憶装置であってもよい。利用可能な媒体は、磁気媒体(たとえば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープ)、光学式媒体(たとえば、デジタルビデオディスク(digital video disc、略DVD)、半導体媒体(たとえば、SSD)などでありうる。
本願の目的、技術的解決策、および有益な効果は、前述の個別的実装においてさらに詳細に述べられている。前述の説明は、単に本願の個別的実装であり、本願の保護範囲を制限することは意図されていないことを理解しておくべきである。本願の技術的解決策に基づいてなされる任意の修正、等価な置換または改良は、本願の保護範囲にはいる。