本明細書で使用されるように、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈によって明確に別様に示されない限り、複数参照も含む。
本明細書で使用されるように、用語「右」、「左」、「上部」、およびその派生形は、図面において配向されるように本発明に関連するものとする。用語「近位」は、ユーザおよび/または尿路アクセス部位の最近傍留置カテーテルの一部によって操作または接触される、カテーテルデバイスの部分を指す。用語「遠位」は、患者の中に挿入されるように構成されるカテーテルデバイスの反対端および/または患者の尿路の最遠位に挿入されるデバイスの一部を指す。しかしながら、本発明は、種々の代替配向をとることができ、故に、そのような用語は、限定として見なされるものではないことを理解されたい。また、本発明は、反対のことが明示的に規定されない限り、種々の代替変形例および段階シーケンスをとることができることを理解されたい。また、添付の図面に図示され、以下の明細書に説明される、具体的デバイスおよびプロセスは、実施例であることを理解されたい。故に、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的寸法および他の物理的特性は、限定として見なされるものではない。
本明細書の目的のために、別様に示されない限り、明細書および請求項において使用される成分、反応状態、寸法、物理的特性等の数量を表す全ての数字は、全事例において用語「約」によって修飾されるものとして理解されたい。反対のことが示されない限り、以下の明細書および添付の請求項に記載される数値パラメータは、本発明によって得られることが模索される所望の特性に応じて変動し得る、近似である。
本発明の広義の範囲を記載する数値範囲およびパラメータは、近似であるが、具体的実施例に記載される数値は、可能な限り精密に報告される。しかしながら、任意の数値は、本質的に、その個別の試験測定に見出される標準偏差から必然的に生じる、ある誤差を含有する。
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に含められる全ての部分範囲を含むことが意図されることを理解されたい。例えば、「1〜10」の範囲は、1の列挙された最小値と10の列挙された最大値を含む、その間のあらゆる範囲、すなわち、1以上の最小値から開始し、10以下の最大値で終了する全ての部分範囲と、その間の全ての部分範囲、例えば、1〜6.3、または5.5〜10、または2.7〜6.1とを含むものと意図される。
本明細書で使用されるように、用語「通信」および「通信する」は、1つ以上の信号、メッセージ、コマンド、または他のタイプのデータの受信または転送を指す。1つのユニットまたは構成要素が別のユニットまたは構成要素と通信するとは、1つのユニットまたは構成要素が、直接または間接的に、データを他のユニットまたは構成要素から受信することおよび/またはそこにデータを伝送することが可能であることを意味する。これは、性質上、有線および/または無線であり得る、直接または間接接続を指し得る。加えて、2つのユニットまたは構成要素は、伝送されるデータが、第1および第2のユニットまたは構成要素間で修正される、処理される、ルーティングされる、および同等物である場合でも、相互に通信することができる。例えば、第1のユニットは、第1のユニットがデータを受動的に受信し、データを第2のユニットに能動的に伝送しない場合でも、第2のユニットと通信することができる。別の実施例として、第1のユニットは、中間ユニットが、1つのユニットからのデータを処理し、処理されたデータを第2のユニットに伝送する場合も、第2のユニットと通信することができる。多数の他の配列も可能性として考えられることを理解されたい。
本明細書で使用されるように、「患者の腎臓と膀胱との間の流体流の開存性を維持する」は、腎臓から、尿管、尿管ステント、および/または尿管カテーテルを通して、膀胱への尿等の流体の流動を確立、増加、または維持することを意味する。本明細書で使用されるように、「流体」は、尿路からの尿および任意の他の流体を意味する。
流体貯留および静脈鬱滞は、進行性腎疾患の進行における主要な問題である。排泄における相対的減少と結び付けられる過剰ナトリウム摂取は、等張体積膨張および二次コンパートメント症候群の併発につながる。いくつかの実施例では、本発明は、概して、患者の膀胱、尿管、および/または腎臓からの尿または廃棄物の排出を促進するためのデバイスおよび方法を対象とする。いくつかの実施例では、本発明は、概して、患者の膀胱、尿管、および/または腎臓内で負圧を誘発するためのシステムおよび方法を対象とする。任意の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、負圧を膀胱、尿管、および/または腎臓に印加することは、いくつかの状況において、ナトリウムおよび水分の髄質腎単位尿細管再吸収を補償し得ると考えられる。ナトリウムおよび水分の再吸収の補償は、尿産生を増加させ、総体内ナトリウムを減少させ、赤血球産生を改善することができる。髄質内圧が、ナトリウム、したがって、体液量過剰によって促されるため、過剰ナトリウムの標的除去は、体液量損失の維持を可能にする。体液量の除去は、髄質鬱滞を回復させる。正常尿産生は、1.48〜1.96L/日(または1〜1.4ml/分)である。
流体貯留および静脈鬱滞はまた、腎前性急性腎傷害(AKI)の進行における主要な問題である。具体的には、AKIは、腎臓を通した潅流または血流の損失に関連し得る。故に、いくつかの実施例では、本発明は、静脈鬱滞を緩和または低減させる目的のために、改良された腎血行動態を促進し、排尿を増加させる。さらに、AKIの治療および/または阻止は、他の状態の発生にも良い影響を及ぼし、/またはそれを低減させることが予期され、例えば、NYHA分類III度および/または分類IV度心不全を伴う患者における腎機能の悪化の低減または阻止が挙げられる。異なるレベルの心不全の分類は、The Criteria Committee of the New York Heart Association, (1994), Nomenclature and Criteria for Diagnosis of Diseases of the Heart and Great Vessels, (9th ed.),Boston:Little, Brown and Co. pp.253−256(本開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている。AKIおよび/または慢性的潅流減少のエピソードの低減または阻止はまた、第4期および/または第5期慢性腎臓疾患のための治療であり得る。慢性腎臓疾患の進行は、National Kidney Foundation, K/DOQI Clinical Practice Guidelines for Chronic Kidney Disease: Evaluation, Classification and Stratification. Am. J. Kidney Dis. 39:S1−S266,2002(Suppl. 1)(本開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている。
図1、2、7、17、27および44を参照すると、尿路は、患者の右腎2および左腎4を備える。前述のように、腎臓2、4は、血液濾過および尿を通した身体からの廃棄物化合物の一掃に関与する。右腎2および左腎4によって産生された尿は、尿細管、すなわち、右尿管6および左尿管8を通して患者の膀胱10の中に排出される。例えば、尿は、尿管壁の蠕動および重力によって尿管6、8を通して伝導され得る。尿管6、8は、尿管口または開口部16を通して膀胱10に進入する。膀胱10は、尿が身体から排泄されるまで尿を収集するように適合される、可撓性かつ実質的に中空の構造である。膀胱10は、空位置(参照線Eによって示される)から満杯位置(参照線Fによって示される)に遷移可能である。膀胱が、空位置Eにあるとき、膀胱上壁70は、膀胱カテーテル56、116の遠位端136の周縁72に隣接して位置付けられ、および/またはそれに共形化することができる。通常、膀胱10が実質的に満杯状態に到達すると、尿は、膀胱10から膀胱10の下側部分に位置する尿道括約筋または開口部18を通して尿道12に排出することが可能にされる。膀胱10の収縮は、尿管開口部16と尿道開口部18との間に延在する三角形領域である、膀胱10の三角領域14上に付与される応力および圧力に応答し得る。三角領域14は、膀胱10が充填され始めるにつれて、三角領域14上の圧力が増加するように、応力および圧力に敏感である。三角領域14上の閾値圧力を超えると、膀胱10は、収縮し、収集された尿を尿道12を通して放出し始める。
いくつかの実施例では、例えば、図1、2、7、17、27、および44に示されるような方法およびシステム50、100が、流体(尿等)を患者から除去するために提供され、本方法は、尿管ステント52、54(図1に示される)または尿管カテーテル112、114(図2、7、17、27、および44に示される)を患者の尿管6、8の中に展開し、患者の腎臓2、4と膀胱10との間の流体流の開存性を維持するステップと、膀胱カテーテル56、116を患者の膀胱10の中に展開するステップであって、膀胱カテーテル56、116は、患者の膀胱10内に位置付けられるように構成される、遠位端136と、近位端117を有する、排出管腔部分140と、その間に延在する、側壁119とを備える、ステップと、負圧を膀胱カテーテル56、116の近位端117に印加し、負圧を患者の尿路の一部内に誘発し、流体を患者から除去するステップとを含む。いくつかの実施例では、本方法はさらに、第2の尿管ステントまたは第2の尿管カテーテルを患者の第2の尿管または腎臓の中に展開し、患者の第2の腎臓と膀胱との間の流体流の開存性を維持するステップとを含む。本発明の例示的尿管ステントまたは尿管カテーテルの具体的特性は、本明細書に詳細に説明される。
負圧を患者の腎臓面積の中に送達するステップは、少なくとも3つの理由から、いくつかの解剖学的課題を有する。第1に、泌尿系は、容易に変形される、高度に柔軟性組織から成る。医学書は、多くの場合、膀胱内に含有される尿の体積にかかわらず、固定形状のままであり得る、厚い筋肉構造として、膀胱を描写している。しかしながら、現実では、膀胱は、軟質変形可能構造である。膀胱は、収縮し、膀胱内に含有される尿の体積に共形化する。空膀胱は、ボールよりも、収縮されたラテックスバルーンに近似する。加えて、膀胱の内部の粘膜内層は、軟質であって、炎症および損傷を受けやすい。泌尿系組織をカテーテルのオリフィスの中に引き込むことを回避し、それを通して適正な流体流を維持し、周囲組織への傷害を回避することが望ましい。
第2に、尿管は、拡張および収縮し、尿を腎盂から膀胱に移送し得る、小管状構造である。本移送は、2つの方法、すなわち、蠕動活動と、開放システム内の圧力勾配とにおいて生じる。蠕動活動では、尿部分は、収縮性波より先に押動され、これは、管腔をほぼ完全に塞ぐ。波パターンは、腎盂面積内で開始し、尿管に沿って伝搬し、膀胱で終端する。そのような完全な閉塞は、流体流を中断し、膀胱内で送達される負圧が補助なしで腎盂に到達することを阻み得る。広開放尿管を通した圧力勾配による、第2のタイプの移送は、大量の尿流の間に存在し得る。腎盂内の圧力頭は、上部尿路の平滑筋の収縮によって生じるのではなく、むしろ、尿の流動によって発生され、したがって、動脈血圧を反映させる。Kiil F.,“Urinary Flow and Ureteral Peristalsis” in:Lutzeyer W., Melchior H.(eds)Urodynamics.Springer, Berlin, Heidelberg(pp.57−70)(1973)。
第3に、腎盂は、少なくとも、膀胱と同様に柔軟性である。腎盂の薄壁は、例えば、水腎症を有する患者において生じるように、拡張し、正常体積の数倍を収容することができる。
任意の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、腎盂および膀胱の組織は、負圧の送達の間、内向きに引き出されるために十分に可撓性であって、幾分、負圧を送達するために使用されているツールの形状および体積に共形化し得ると考えられる。したがって、負圧を少なくとも1つの腎杯に伝送し得る、3次元空隙体積を維持する、3次元形状が負圧を腎単位に送達するために有用であると考えられる。加えて、組織の可撓性を前提として、ツールの管腔につながる開口部からのこれらの組織の保護が、望ましい。本明細書で議論されるカテーテルは、負圧、正圧を送達するために有用であり得る、または周囲圧力で使用され得る、または任意のそれらの組み合わせであり得る。
例示的尿管カテーテル:
図2、7、17、27、および44に示されるように、患者の尿路内に位置付けられるように構成される、尿管カテーテル112、114を含む、システム100の実施例が、図示される。例えば、尿管カテーテル112、114の遠位端120、121は、患者の尿管2、4、腎臓6、8の腎盂20、21面積、または腎臓6、8のうちの少なくとも1つ内で展開されるように構成されることができる。
いくつかの実施例では、好適な尿管カテーテルは、米国特許第9,744,331号、米国特許出願第公開第US2017/0021128A1号、米国特許出願第15/687,064号、および米国特許出願第15/687,083号(それぞれ、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示される。
いくつかの実施例では、システム100は、右腎2の腎盂20内またはそれに隣接して配置される第1のカテーテル112ならびに左腎4の腎盂21内またはそれに隣接して配置される第2のカテーテル114等の2つの別個の尿管カテーテルを備えることができる。カテーテル112、114は、その全長に対して別個であることができる、またはクリップ、リング、クランプ、または他のタイプの接続機構(例えば、コネクタ)によって相互に近接して保持され、カテーテル112、114の配置または除去を促進することができる。図2、7、17、27、および44に示されるように、各カテーテル112、114の近位端113、115は、流体または尿を膀胱の中に排出するように、膀胱10内または膀胱10の近傍の尿管の近位端に位置付けられる。いくつかの実施例では、カテーテル112、114は、膀胱内でとともに融合または接続され、膀胱10の中に排出する、単一排出管腔を形成することができる。
他の実施例では、カテーテル112、114は、その一部または区画に沿って別のカテーテル、管、またはシースを通して挿入される、またはその中に封入され、カテーテル112、114の患者の身体への挿入およびそこからの後退を促進することができる。例えば、膀胱カテーテル116は、尿管カテーテル112、114と同一ガイドワイヤにわたって、および/またはそれに沿って挿入されることができる。
図2、7、8A、および8Bを参照すると、例示的尿管カテーテル112は、少なくとも1つの伸長本体または管122を備えることができ、その内部は、排出管腔124等の1つ以上の排出チャネルまたは管腔を画定または構成する。管122サイズは、約1フレンチ〜約9フレンチ(フレンチカテーテルスケール)に及ぶことができる。いくつかの実施例では、管122は、約0.33〜約3mmに及ぶ外径と、約0.165〜約2.39mmに及ぶ内径とを有することができる。一実施例では、管122は、6フレンチであって、2.0±0.1mmの外径を有する。管122の長さは、患者の年齢(例えば、小児または成人)および性別に応じて、約30cm〜約120cmに及ぶことができる。
管122は、可撓性および/または変形可能材料から形成され、膀胱10および尿管6、8(図2および7に示される)内での管122の前進および/または位置付けを促進することができる。カテーテル材料は、腎盂および尿管の炎症を回避または低減させるために十分に可撓性かつ軟質であるべきであるが、腎盂または尿路の他の部分が圧力を管122の外部に付与するとき、または腎盂および/または尿管が負圧の誘発の間に管122に対して牽引されるとき、管122が圧潰しないように十分に剛性であるべきである。例えば、管122または排出管腔は、少なくとも部分的に、銅、銀、金、ニッケル−チタン合金、ステンレス鋼、チタン、および/または生体適合性ポリマー、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ラテックス、シリコンコーティングされたラテックス、シリコン、シリコーン、ポリグリコリドまたはポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリカプロラクトン、および/またはポリ(プロピレンフマラート)等のポリマーを含む、1つ以上の材料から形成されることができる。一実施例では、管122は、熱可塑性ポリウレタンから形成される。管1222はまた、銅、銀、金、ニッケル−チタン合金、ステンレス鋼、およびチタンのうちの1つ以上のものを含む、またはそれを含浸されることができる。いくつかの実施例では、管1222は、蛍光透視撮像によって視認可能な材料を含浸される、またはそれから形成される。例えば、管1222を形成する、生体適合性ポリマーは、硫酸バリウムまたは類似放射線不透過性材料を含浸されることができる。したがって、管1222の構造および位置は、蛍光透視法に対して可視である。
管122等のカテーテルデバイス112の少なくとも一部または全部は、親水性コーティングでコーティングされ、挿入および/または除去を促進し、および/または快適性を向上させることができる。いくつかの実施例では、コーティングは、疎水性および/または潤滑性コーティングである。例えば、好適なコーティングは、Koninklijke DSM N.V.から利用可能なComfortCoat(R)親水性コーティング、または米国特許第8,512,795号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示されるような高分子電解質を備える親水性コーティングを備えることができる。
いくつかの実施例では、例えば、図8Bに示されるように、管122は、遠位部分118(例えば、尿管6、8および腎盂20、21内に位置付けられるように構成される管122の一部)と、中央部分126(例えば、遠位部分から尿管開口部16を通して患者の膀胱10および尿道12へと延在するように構成される管122の一部)と、近位部分128(例えば、膀胱へと延在する、管122の一部)とを備えることができる。一実施例では、管122の近位部分128および中央部分126の組み合わせられた長さは、約54±2cmである。いくつかの実施例では、管122は、膀胱110内で終端する。その場合、流体は、尿管カテーテル112、114の近位端から排出され、身体から付加的留置膀胱カテーテルを通して指向される。
例示的尿管保定部分:
本明細書に開示される保定部分のいずれかは、上記に議論される排出管腔と同一材料から形成されることができ、排出管腔と一体型であることができる、または保定部分は、排出管腔に関して上記に議論されるもの等と異なる材料から形成され、そこに接続されることができる。例えば、保定部分は、前述の材料、例えば、ポリウレタン、可撓性ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ラテックス、シリコーン、シリコン、ポリグリコリドまたはポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリカプロラクトン、および/またはポリ(プロピレンフマラート)等のポリマーのいずれかから形成されることができる。
図2、8A、および8Bを継続して参照すると、尿管カテーテル112の遠位部分118は、カテーテル112の遠位端120を腎臓2、4の腎盂20、21に近接して、またはその中の所望の流体収集位置に維持するための保定部分130を備える。いくつかの実施例では、保定部分130は、保定部分130を尿管および/または腎盂内に位置付けることを可能にするために可撓性かつ屈曲可能であるように構成される。保定部分130は、望ましくは、カテーテル112上に付与される力を吸収し、そのような力が尿管に伝達されることを防止するために十分に屈曲可能である。例えば、保定部分130が近位方向P(図9Aに示される)に患者の膀胱に向かって引動される場合、保定部分130は、尿管を通して牽引され得るように、解巻または直線化され始めるために十分に可撓性であることができる。同様に、保定部分130が腎盂または尿管内の他の好適な領域中に再挿入され得るとき、その展開構成に戻るように付勢されることができる。
いくつかの実施例では、保定部分130は、管122と一体型である。その場合、保定部分130は、カテーテルを所望の流体収集場所に保定するようにサイズ決めおよび成形される、屈曲または変曲をカテーテル本体122に付与することによって形成されることができる。好適な屈曲またはコイルは、ピグテールコイル、コルクスクリュコイル、および/または螺旋コイルを含むことができる。例えば、保定部分130は、尿管6、8内のカテーテル112を腎盂20、21に近接して、またはその中に接触させ、受動的に保定するように構成される、1つ以上の半径方向および縦方向に延在する螺旋コイルを備えることができる。他の実施例では、保定部分130は、カテーテル本体122の半径方向にフレア状またはテーパ状部分から形成される。例えば、保定部分130はさらに、テーパ状または漏斗形状の内側表面186等の図4Aおよび4Bに示されるような流体収集部分を備えることができる。他の実施例では、保定部分130は、カテーテル本体または管122に接続され、そこから延在する、別個の要素を備えることができる。
保定部分130はさらに、排出孔またはポート132(例えば、図9A−9E、10Aおよび10Eに示される)等の1つ以上の穿孔区分を備えることができる。排出ポートは、例えば、管122の開放遠位端120、121に位置することができる。他の実施例では、穿孔区分および/または排出ポート132は、カテーテル管122の遠位部分118の側壁に沿って配置される。排出ポートまたは孔は、流体収集を補助するために使用されることができる。他の実施例では、保定部分130は、貯留構造および流体収集専用であって、および/または負圧の付与は、カテーテル管122上の他の場所における構造によって提供される。いくつかの実施例では、排出孔、ポート、または穿孔は、膀胱からの組織が、孔、ポート、または穿孔に直接接触しないように位置付けられる。
ここで図8A、8B、および9A−9Eを参照すると、1つ以上の完全コイル184および1つ以上の半コイルまたは部分コイル183等の複数の螺旋コイルを備える、例示的保定部分130が、図示される。保定部分130は、複数の螺旋コイルとともに、収縮位置と展開位置との間で移動可能である。例えば、略直線ガイドワイヤが、保定部分130を通して挿入され、保定部分130を略直線収縮位置に維持することができる。ガイドワイヤが除去されると、保定部分130は、そのコイル状構成に遷移することができる。いくつかの実施例では、コイル183、184は、管122の遠位部分118から半径方向および縦方向に延在する。図8Aおよび8Bを具体的に参照すると、例示的実施形態では、保定部分130は、2つの完全コイル184と、2分の1コイル183とを備える。線D1によって示される完全コイル184の外径は、約18±2mmであることができる。直径D2の半コイル183は、約14mmであることができる。コイル状保定部分130は、約16±2mmの高さHを有する。
保定部分130はさらに、流体をカテーテル管122の内部の中に引き出すように構成される1つ以上の排出孔132(例えば、図9A−9E、10A、および10Eに示される)を備えることができる。いくつかの実施例では、保定部分130は、6つの排出孔に加え、付加的孔を保定部分の遠位先端120に備えることができる。排出孔132(例えば、図9A−9E、10A、および10Eに示される)のそれぞれの直径は、約0.7mm〜0.9mmに及ぶことができ、好ましくは、約0.83±0.01mmである。隣接する排出孔132間の距離、具体的には、コイルが直線化されたときの排出孔132間の線形距離は、約22.5±2.5mmであることができる。
図9A−9Eに示されるように、別の例示的実施形態では、保定部分130の近位の排出管腔の遠位部分118は、直線または曲線中心軸Lを画定する。いくつかの実施例では、保定部分130の少なくとも半コイルまたは第1のコイル183および完全コイルまたは第2のコイル184は、保定部分130の軸Aを中心として延在する。第1のコイル183は、管122が、角度αによって示されるように、中心軸Lから約15度〜約75度に及ぶ、好ましくは、約45度の角度αで屈曲する点から開始または起始する。図9Aおよび9Bに示されるように、身体内への挿入に先立って、軸Aは、縦方向中心軸Lと同延であることができる。他の実施例では、図9C−9Eに示されるように、身体内への挿入に先立って、軸Aは、中心縦軸Lから延在し、例えば、それに対して角度βで湾曲または角度付けられる。
いくつかの実施例では、複数のコイル184は、同一内径および/または外径Dおよび高さH2を有することができる。その場合、コイル184の外径D1は、10mm〜30mmに及んでもよい。コイル184間の高さH2は、約3mm〜10mmであってもよい。
他の実施例では、保定部分130は、腎盂のテーパ状部分内に挿入されるように構成される。例えば、コイル184の外径D1は、管122の遠位端120に向かって増加し、テーパ状または部分的テーパ状構成を有する螺旋構造をもたらすことができる。例えば、テーパ状螺旋部分の遠位または最大外径D1は、約10mm〜約30mmに及び、腎盂の寸法に対応する。保定部分130の高さH2は、約10mm〜約30mmに及ぶ。
いくつかの実施例では、コイル184の外径D1および/または高さH2は、規則的または不規則的方式で変動することができる。例えば、コイルの外径D1またはコイル間の高さH2は、規則的量(例えば、隣接するコイル184間で約10%〜約25%)だけ増加または減少することができる。例えば、3つのコイルを有する保定部分130(例えば、図9Aおよび9Bに示されるように)に関して、最近位コイルまたは第1のコイル183の外径D3は、約6mm〜18mmであることができ、中央コイルまたは第2のコイル185の外径D2は、約8mm〜約24mmであることができ、最遠位または第3のコイル187の外径D1は、約10mm〜約30mmであることができる。
保定部分130はさらに、保定部分130上またはそれに隣接して、カテーテル管122の側壁上またはそれを通して配置される、排出ポート132または孔を備え、尿廃棄物がカテーテル管122の外側からカテーテル管122の内側に流動することを可能にすることができる。排出ポート132の位置およびサイズは、保定部分の所望の流率および構成に応じて変動することができる。排出ポート132の直径は、約0.005mm〜約1.0mmに及ぶことができる。排出ポート132間の間隔は、約1.5mm〜約5mmに及ぶことができる。排出ポート132は、任意の配列で、例えば、線形にまたはオフセットされて離間されることができる。いくつかの実施例では、排出ポート132は、非円形であることができ、約0.00002〜0.79mm2の表面積を有することができる。
いくつかの実施例では、図9Aに示されるように、排出ポート132は、カテーテル管122の側壁の周縁全体の周囲に位置し、排出管腔124の中に引き出され得る流体の量を増加させる(図2、9A、および9Bに示される)。他の実施例では、図9B−9Eに示されるように、排出ポート132は、本質的にコイル184の半径方向内向きを向いた側のみにまたはその側のみに配置され、排出ポート132の閉塞または妨害を防止することができ、コイルの外向きを向いた側は、本質的に排出ポート132がないか、または排出ポート132がなくてもよい。例えば、負圧が尿管および/または腎盂内で誘発されるとき、尿管および/または腎臓の粘膜組織は、保定部分130に対して牽引され得、保定部分130の外側周縁上のいくつかの排出ポート132を閉塞し得る。貯留構造の半径方向内向き側上に位置する排出ポート132は、そのような組織が保定部分130の外側周縁に接触するとき、著しく閉塞されないであろう。さらに、排出ポート132との噛込または接触からの組織への傷害のリスクは、低減または改善されることができる。
図9Cおよび9Dを参照すると、複数のコイルを備える保定部分130を有する、尿管カテーテル112の他の実施例が、図示される。図9Cに示されるように、保定部分130は、軸Aを中心として延在する3つのコイル184を備える。軸Aは、湾曲弧であって、保定部分130の近位の排出管腔181の一部の中心縦軸Lから延在する。保定部分130に付与される曲率は、豊穣の角形状(cornucopia−shaped)の空洞を備える、腎盂の曲率に対応するように選択されることができる。
図9Dに示されるように、別の例示的実施形態では、保定部分130は、角度付けられた軸Aを中心として延在する2つのコイル184を備えることができる。角度付けられた軸Aは、中心縦軸Lからある角度で延在し、角度βによって示されるように、排出管腔の一部の中心軸Lと略垂直な軸に対して角度付けられる。角度βは、約15〜約75度(例えば、カテーテル112の排出管腔部分の中心縦軸Lに対して約105〜約165度)に及ぶことができる。
図9Eは、尿管カテーテル112の別の実施例を示す。保定部分は、軸Aを中心として延在する3つの螺旋コイル184を備える。軸Aは、角度βによって示されるように、水平に対して角度付けられる。前述の実施例におけるように、角度βは、約15〜約75度(例えば、カテーテル112の排出管腔部分の中心縦軸Lに対して約105〜約165度)に及ぶことができる。
図10−10Eに示されるいくつかの実施例では、保定部分1230は、管1222と一体型である。他の実施例では、保定部分1230は、管または排出管腔1224に接続され、そこから延在する、別個の管状部材を備えることができる。
いくつかの実施例では、保定部分は、複数の半径方向に延在するコイルを備える。コイルは、漏斗の形状で構成され、それによって、漏斗状支持体を形成する。コイル漏斗状支持体のいくつかの実施例は、図2、7、および8A−10Eに示される。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体の少なくとも1つの側壁は、第1の直径を有する、少なくとも第1のコイルと、第2の直径を有する、第2のコイルとを備え、第1の直径は、第2の直径未満であって、第1のコイルの側壁の一部と第2のコイルの隣接する側壁の一部との間の最大距離は、約0mm〜約10mmに及ぶ。いくつかの実施例では、第1のコイルの第1の直径は、約1mm〜約10mmに及び、第2のコイルの第2の直径は、約5mm〜約25mmに及ぶ。いくつかの実施例では、コイルの直径は、排出管腔の遠位端に向かって増加し、テーパ状または部分的にテーパ状の構成を有する、螺旋構造をもたらす。いくつかの実施形態では、第2のコイルは、第1のコイルより排出管腔の遠位部分の端部に近い。いくつかの実施形態では、第2のコイルは、第1のコイルより排出管腔の近位部分の端部に近い。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体の少なくとも1つの側壁は、下記に議論されるように、内向きに向いた側と、外向きに向いた側とを備え、内向きに向いた側は、排出管腔の中への流体流を可能にするための少なくとも1つの開口部を備え、外向きに向いた側は、開口部が本質的にないかまたは開口部がない。いくつかの実施例では、少なくとも1つの開口部は、約0.002mm2〜約100mm2に及ぶ面積を有する。
いくつかの実施例では、第1のコイルは、半径方向内向きに向いた側と、半径方向外向きに向いた側とを備える、側壁を備え、第1のコイルの半径方向内向きに向いた側は、排出管腔の中への流体流を可能にするための少なくとも1つの開口部を備える。
いくつかの実施例では、第1のコイルは、半径方向内向きに向いた側と、半径方向外向きに向いた側とを備える、側壁を備え、第1のコイルの半径方向内向きに向いた側は、排出管腔の中への流体流を可能にするための少なくとも2つの開口部を備える。
いくつかの実施例では、第1のコイルは、半径方向内向きに向いた側と、半径方向外向きに向いた側とを備える、側壁を備え、第1のコイルの半径方向外向きに向いた側は、1つ以上の開口部が本質的にないかまたは1つ以上の開口部がない。
いくつかの実施例では、第1のコイルは、半径方向内向きに向いた側と、半径方向外向きに向いた側とを備える、側壁を備え、第1のコイルの半径方向内向きに向いた側は、排出管腔の中への流体流を可能にするための少なくとも1つの開口部を備え、半径方向外向きに向いた側は、1つ以上の開口部が本質的にないかまたは1つ以上の開口部がない。
ここで図10−10Eを参照すると、いくつかの実施例では、遠位部分1218は、流体を排出管腔1224の中に引き出すための開放遠位端1220を備える。尿管カテーテル1212の遠位部分1218はさらに、排出管腔または管1222の遠位部分1218を尿管および/または腎臓内に維持するための保定部分1230を備える。いくつかの実施例では、保定部分は、複数の半径方向に延在するコイル1280、1282、1284を備える。保定部分1230は、可撓性かつ屈曲可能であって、尿管、腎盂、および/または腎臓内への保定部分1230の位置付けを可能にすることができる。例えば、保定部分1230は、望ましくは、カテーテル1212上に付与される力を吸収し、そのような力が尿管に伝達されることを防止するために十分に屈曲可能である。さらに、保定部分1230が、近位方向P(図9A−9Eに示される)に患者の膀胱10に向かって引動される場合、保定部分1230は、尿管6、8を通して牽引され得るように、解巻または直線化され始めるために十分に可撓性であることができる。いくつかの実施例では、保定部分1230は、管1222と一体型である。他の実施例では、保定部分1230は、管または排出管腔1224に接続され、そこから延在する、別個の管状部材を備えることができる。いくつかの実施例では、カテーテル1212は、保定部分1230の近位端において管1222上に位置付けられる、放射線不透過性バンド1234(図29に示される)を備える。放射線不透過性バンド1234は、カテーテル1212の展開の間、蛍光透視撮像によって可視である。特に、ユーザは、蛍光透視法によって、尿路を通したバンド1234の前進を監視し、保定部分1230が腎盂内にあって、展開の準備ができた状態になるときを決定することができる。
いくつかの実施例では、保定部分1230は、穿孔、排出ポート、または開口部1232を管1222の側壁内に備える。本明細書に説明されるように、開口部1232の位置およびサイズは、各開口部に対する所望の体積流率および保定部分1230のサイズ制約に応じて変動し得る。いくつかの実施例では、開口部1232の直径は、約0.05mm〜約2.5mmに及び、約0.002mm2〜5.00mm2の面積を有する。開口部1232は、縦方向および/または軸方向等の所望される任意の方向に管1222の側壁に沿って延在するように位置付けられることができる。いくつかの実施例では、開口部1232間の間隔は、約1.5mm〜約15mmに及ぶことができる。流体は、穿孔、排出ポート、または開口部1232のうちの1つ以上のものを通して、排出管腔1234の中に通過する。望ましくは、開口部1232は、負圧が排出管腔1224に印加されるとき、それらが尿管6、8または腎臓の組織によって閉塞されないように位置付けられる。例えば、本明細書に説明されるように、開口部1234は、保定部分1230のコイルまたは他の構造の内部部分上に位置付けられ、開口部1232の閉塞を回避することができる。いくつかの実施例では、管1222の中央部分1226および近位部分1228は、穿孔、ポート、開口、または開口部が本質的にないかまたはそれらがなく、管1222のそれらの部分に沿って開口部の閉塞を回避することができる。いくつかの実施例では、穿孔または開口部が本質的にない、部分1226、1228は、管1222の他の部分より実質的に少ない開口部を含む。例えば、遠位部分1218の開口部1232の総面積は、管1222の近位部分1226および/または遠位部分1228の開口部の総面積よりも大きいまたは実質的に大きくてもよい。
いくつかの実施例では、開口部1232は、保定部分1230を通した流体流を改良するようにサイズ決めおよび離間される。特に、本発明者らは、負圧がカテーテル1212の排出管腔1224に印加されると、流体の大部分が排出管腔1224の中に最近位穿孔または開口部1232を通して引き出されることを発見した。流体がまた、より遠位の開口部を通して、および/または管1222の開放遠位端1220を通して受容されるように、流動動態を改良するために、より大きいサイズまたはより多くの数の開口部が、保定部分1230の遠位端に向かって提供されることができる。例えば、保定部分1230の近位端の近傍の管1222の長さ上の開口部1232の総面積は、管1222の開放遠位端1220の近傍に位置する管1222の類似サイズの長さの開口部1232の総面積未満であってもよい。特に、流体流の90%未満、好ましくは、70%未満、より好ましくは、55%未満が、排出管腔1224の中に保定部分1230の近位端の近傍に位置付けられる単一開口部1232または少数の開口部1232を通して引き出される、排出管腔1224を通した流動分布を生産することが望ましくあり得る。
多くの実施例では、開口部1232は、概して、円形形状であるが、三角形、楕円形、正方形、菱形、および任意の他の開口部形状もまた、使用されてもよい。さらに、当業者によって理解されるように、開口部1232の形状は、管1222が非コイル状または伸長位置とコイル状または展開位置との間で遷移するにつれて変化してもよい。開口部1232の形状は、変化してもよい(例えば、オリフィスは、ある位置では、円形であって、他の位置では、若干伸長されてもよい)が、開口部1232の面積は、展開またはコイル状位置と比較して、伸長または非コイル状位置において実質的に類似することに留意されたい。
いくつかの実施例では、管1222によって画定された排出管腔1224は、遠位部分1218(例えば、尿管6、8および腎盂20、21内に位置付けられるように構成される、管1222の一部(図7および7Aに示される))と、中央部分1226(例えば、遠位部分から尿管開口部16を通して患者の膀胱10および尿道12へと延在するように構成される、管1222の一部(図7および7Aに示される))と、近位部分1228(例えば、尿道12から外部流体収集容器および/またはポンプ2000まで延在する、管1222の一部)とを備える。一実施例では、管1222の近位部分1228および中央部分1226の組み合わせられた長さは、約54±2cmである。いくつかの実施例では、管1222の中央部分1226および近位部分1228は、距離マーキング1236(図10に示される)を管1222の側壁上に含み、これは、カテーテル1212の展開の間、管1222が患者の尿路の中に挿入された距離を決定するために使用されることができる。
図7および10−14に示されるように、例示的尿管カテーテル1212は、少なくとも1つの伸長本体または管1222を備え、その内部は、排出管腔1224等の1つ以上の排出チャネルまたは管腔を画定または構成する。管1222サイズは、約1Fr〜約9Fr(フレンチカテーテルスケール)に及ぶことができる。いくつかの実施例では、管1222は、約0.33〜約3.0mmに及ぶ外径と、約0.165〜約2.39mmに及ぶ内径とを有することができる。一実施例では、管1222は、6Frであって、2.0±0.1mmの外径を有する。管1222の長さは、患者の年齢(例えば、小児または成人)および性別に応じて、約30cm〜約120cmに及ぶことができる。
管1222は、可撓性および/または変形可能材料から形成され、膀胱10および尿管6、8(図7に示される)内における管1222の前進および/または位置付けを促進することができる。例えば、管1222は、生体適合性ポリマー、ポリ塩化ビニル、Teflon(R)等のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコンコーティングされたラテックス、またはシリコンを含む、材料から形成されることができる。一実施例では、管1222は、熱可塑性ポリウレタンから形成される。
螺旋コイル保定部分
ここで図10A−10Eを参照すると、例示的保定部分1230は、螺旋コイル1280、1282、1284を備える。いくつかの実施例では、保定部分1230は、第1のコイルまたは半コイル1280と、第2のコイル1282および第3のコイル1284等の2つの完全コイルとを備える。図10A−10Dに示されるように、いくつかの実施例では、第1のコイルは、保定部分1230の曲線中心軸Aの周囲の0度〜180度に延在する、半コイルを備える。いくつかの実施例では、示されるように、曲線中心軸Aは、略直線であって、管1222の曲線中心軸と同延である。他の実施例では、保定部分1230の曲線中心軸Aは、湾曲され、保定部分1230に円錐形の容器形状を与えることができる。第1のコイル1280は、約1mm〜20mm、好ましくは、約8mm〜10mmの直径D1を有することができる。第2のコイル1282は、約5mm〜50mm、好ましくは、約10mm〜20mm、より好ましくは、約14mm±2mmの直径D2を有する、保定部分1230に沿って180度〜540度延在する、完全コイルであることができる。第3のコイル1284は、540度〜900度延在し、5mmおよび60mm、好ましくは、約10mm〜30mm、より好ましくは、約18mm±2mmの直径D3を有する、完全コイルであることができる。他の実施例では、複数のコイル1282、1284は、同一内径および/または外径を有することができる。例えば、完全コイル1282、1284の外径はそれぞれ、約18±2mmであることができる。
いくつかの実施例では、保定部分1230の全高H1は、約10mm〜約30mm、好ましくは、約18±2mmに及ぶ。コイル1284間、すなわち、第1のコイル1280の管1222の側壁と第2のコイル1282の管122の隣接する側壁との間の間隙の高さH2は、3.0mm未満、好ましくは、約0.25mm〜2.5mm、より好ましくは、約0.5mm〜2.0mmである。
保定部分1230はさらに、最遠位湾曲部分1290を備えることができる。例えば、管1222の開放遠位端1220を含む、保定部分1230の最遠位部分1290は、第3のコイル1284の曲率に対して内向きに屈曲されることができる。例えば、最遠位部分1290の曲線中心軸X1(図10Dに示される)は、管1222の遠位端1220から保定部分1230の曲線中心軸Aに向かって延在することができる。
保定部分1230は、保定部分1230が患者の尿路の中への挿入のために直線である、収縮位置と、保定部分1230が螺旋コイル1280、1282、1284を備える、展開位置との間で移動することが可能である。概して、管1222は、コイル状構成に向かって必然的に付勢される。例えば、非コイル状または略直線ガイドワイヤは、保定部分1230を通して挿入され、保定部分1230を、例えば、図11−14に示されるように、その直線収縮位置に維持することができる。ガイドワイヤが除去されると、保定部分1230は、そのコイル状位置に必然的に遷移する。
いくつかの実施例では、開口部1232は、本質的にコイル1280、1282、1284の半径方向内向きに向いた側1286においてのみ配置されるかまたは該側のみにおいて配置され、開口部1232の閉塞または遮断を防止する。コイル1280、1282、1284の半径方向外向きに向いた側1288は、開口部1232が本質的になくてもよい。類似実施例では、保定部分1230の内向きに向いた側1286上の開口部1232の総面積は、保定部分1230の半径方向外向きに向いた側1288上の開口部1232の総面積よりも実質的に大きいことができる。故に、負圧が尿管および/または腎盂内で誘発されると、尿管および/または腎臓の粘膜組織は、保定部分1230に対して牽引され得、保定部分1230の外側周縁上のいくつかの開口部1232を閉塞し得る。しかしながら、保定部分1230の半径方向内向き側1286上に位置する開口部1232は、そのような組織が保定部分1230の外側周縁に接触するとき、著しく閉塞されない。したがって、排出開口部1232との噛込または接触からの組織の傷害のリスクは、低減または排除されることができる。
孔または開口部分布実施例
いくつかの実施例では、第1のコイル1280は、開口部がないかまたは本質的にないことができる。例えば、第1のコイル1280上の開口部の総面積は、完全コイル1282、1284の開口部の総面積未満であるかまたは実質的に該総面積未満であることができる。コイル状保定部分(図10A−10Eに示されるコイル状保定部分1230等)のために使用され得る、開口または開口部1332の種々の配列の実施例は、図11−14に図示される。図11−14に示されるように、保定部分は、ガイドワイヤが排出管腔を通して挿入されると生じるようなその非コイル状または直線位置に描写される。
例示的保定部分1330は、図11に図示される。保定部分1330の開口部の位置付けをより明確に説明するために、保定部分1330は、本明細書では、最近位または第1の区分1310、第2の区分1312、第3の区分1314、第4の区分1316、第5の区分1318、および最遠位または第6の区分1320等の複数の区分または穿孔区分に分割されるように参照される。当業者は、所望に応じて、付加的区分が含まれることができることを理解するであろう。本明細書で使用されるように、「区分」は、保定部分1330内の管1322の個別の長さを指す。いくつかの実施例では、区分は、長さが等しい。他の実施例では、いくつかの区分は、同一長さを有することができ、他の区分は、異なる長さを有することができる。他の実施例では、各区分は、異なる長さを有する。例えば、区分は、約5mm〜約35mm、好ましくは、約5mm〜15mmの長さL1−L6を有することができる。
いくつかの実施例では、各区分は、1つ以上の開口部を備える。いくつかの実施例では、各区分はそれぞれ、単一開口部1332を備える。他の実施例では、第1の区分1310は、単一開口部1332を含み、他の区分は、複数の開口部1332を備える。他の実施例では、異なる区分は、1つ以上の開口部1332を備え、開口部はそれぞれ、異なる形状または異なる総面積を有する。
図10A−10Eに示される保定部分1230等のいくつかの実施例では、保定部分1230の0〜約180度に延在する、第1のコイルまたは半コイル1280は、開口部がないかまたは本質的にないことができる。第2のコイル1282は、約180〜360度延在する、第1の区分1310を含むことができる。第2のコイル1282はまた、保定部分1230の約360度〜540度に位置付けられる、第2および第3の区分1312、1314を含むことができる。第3のコイル1284は、保定部分1230の約540度〜900度に位置付けられる、第4および第5の区分1316、1318を含むことができる。
いくつかの実施例では、開口部1332は、第1の区分1310の開口部の総面積が隣接する第2の区分1312の開口部の総面積未満であるように、サイズ決めされることができる。同様に、保定部分1330がさらに、第3の区分1314を備える場合、第3の区分1314の開口部は、第1の区分1310または第2の区分1312の開口部の総面積よりも大きい、総面積を有することができる。第4の区分1316、第5の区分1318、および第6の区分1320の開口部はまた、徐々に増加する総面積および/または数の開口部を有し、管1222を通した流体流を改良してもよい。
図11に示されるように、管の保定部分1230は、5つの区分1310、1312、1314、1316を含み、それぞれ、単一開口部1332、1334、1336、1338、1340を含む。保定部分1230はまた、第6の区分1320を含み、これは、管1222の開放遠位端1220を含む。本実施例では、第1の区分1310の開口部1232は、最小総面積を有する。例えば、第1の区分の開口部1332の総面積は、約0.002mm2〜約2.5mm2、または約0.01mm2〜1.0mm2、または約0.1mm2〜0.5mm2であることができる。一実施例では、開口部1332は、カテーテルの遠位端1220から約55mmであって、0.48mmの直径と、0.18mm2の面積とを有する。本実施例では、第2の区分1312の開口部1334の総面積は、第1の区分1310の開口部1232の総面積よりも大きく、約0.01mm2〜1.0mm2のサイズに及ぶことができる。第3の開口部1336、第4の開口部1338、および第5の開口部1350もまた、約0.01mm2〜1.0mm2のサイズに及ぶことができる。一実施例では、第2の開口部1334は、カテーテル1220の遠位端から約45mmであって、約0.58mmの直径と、約0.27mm2の面積とを有する。第3の開口部1336は、カテーテル1220の遠位端から約35mmであって、約0.66mmの直径を有することができる。第4の開口部1338は、遠位端1220から約25mmであって、約0.76mmの直径を有することができる。第5の開口部1340は、カテーテルの遠位端1220から約15mmであって、約0.889mmの直径を有することができる。いくつかの実施例では、管1222の開放遠位端1220は、約0.5mm2〜約5.0mm2またはそれよりも大きい面積を有する、最大開口部を有する。一実施例では、開放遠位端1220は、約0.97mmの直径と、約0.74mm2の面積とを有する。
本明細書に説明されるように、開口部1332、1334、1336、1338、1340は、負圧がカテーテル1212の排出管腔1224に印加されるとき、第1の開口部1332を通過する流体の体積流率が、より遠位区分の開口部の体積流率により近似対応するように、位置付けられ、サイズ決めされることができる。上記に説明されるように、各開口部が同一面積である場合、負圧が排出管腔1224に印加されると、第1の開口部1332の最近位を通過する流体の体積流率は、保定部分1330の遠位端1220により近い開口部1334を通過する流体の体積流率よりも実質的に多いであろう。任意の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、負圧が印加されると、排出管腔1224の内部と排出管腔1224の外部との間の圧力差が、最近位開口部の領域内でより大きくなり、管の遠位端に向かって移動する各開口部において減少すると考えられる。例えば、開口部1332、1334、1336、1338、1340のサイズおよび位置は、第2の区分1312の開口部1334の中に流動する流体に関する体積流率が、第1の区分1310の開口部1332の中に流動する流体の体積流率の少なくとも約30%であるように選択されることができる。他の実施例では、最近位または第1の区分1310の中に流動する流体に関する体積流率は、排出管腔1224の近位部分を通して流動する流体に関する総体積流率の約60%未満である。他の実施例では、2つの最近位区分(例えば、第1の区分1310および第2の区分1312)の開口部1332、1334の中に流動する流体に関する体積流率は、負圧、例えば、約−45mmHgの負圧が、排出管腔の近位端に印加されるとき、排出管腔1224の近位部分を通して流動する流体の体積流率の約90%未満であることができる。
当業者によって理解されるように、複数の開口部または穿孔を備える、カテーテルまたは管に関する体積流率および分布は、種々の異なる方法において直接測定または計算されることができる。本明細書で使用されるように、「体積流率」は、各開口部の下流およびそれに隣接する体積流率の実際の測定または下記に説明される「計算体積流率」のための方法の使用を意味する。
例えば、経時的に分散される流体体積の実際の測定は、各開口部1332、1334、1336、1338、1340を通した体積流率を決定するために使用されることができる。1つの例示的実験配列では、保定部分1330の区分1310、1312、1314、1316、1318、1320を受容するようにサイズ決めされる個々のチャンバを備える、マルチチャンバ容器が、保定部分1330の周囲でシールされ、該保定部分を封入し得る。各開口部1332、1334、1336、1338、1340は、チャンバのうちの1つ内にシールされ得る。個別のチャンバから管3222の中に各開口部1332、1334、1336、1338、1340を通して引き出される流体体積の量が、負圧が印加されるとき、測定され、各開口部の中に経時的に引き出される流体体積の量を決定し得る。負圧ポンプシステムによって管3222内で収集される流体体積の累積量は、各開口部1332、1334、1336、1338、1340の中に引き出される流体の和と同等であろう。
代替として、異なる開口部1332、1334、1336、1338、1340を通した体積流体流率は、管状本体を通した流体流をモデル化するための方程式を使用して、数学的に計算されることができる。例えば、開口部1332、1334、1336、1338、1340を通して排出管腔1224の中に通過する流体の体積流率は、数学的実施例および図15A−15Cに関連して下記に詳細に説明されるように、物質移動シェルバランス評価に基づいて計算されることができる。物質収支方程式を導出し、開口部1332、1334、1336、1338、1340間の流動分布またはそれに関する体積流率を計算するためのステップもまた、図15A−15Cに関連して下記に詳細に説明される。
開口部2332、2334、2336、2338、2340を伴う、別の例示的保定部分2230は、図12に図示される。図12に示されるように、保定部分2230は、多数のより小さい穿孔または開口部2332、2334、2336、2338、2340を備える。開口部2332、2334、2336、2338、234はそれぞれ、実質的に同じ断面積を有することができる。図12に示されるように、保定部分2330は、上記に説明されるような6つの区分2310、2312、2314、2316、2318、2320を備え、各区分は、複数の開口部2332、2334、2336、2338、2340を備える。図12に示される実施例では、区分あたりの開口部2332、2334、2336、2338、2340の数は、各区分内の開口部1332の総面積が、近位に隣接する区分と比較して増加するように、管1222の遠位端1220に向かって増加する。
図12に示されるように、第1の区分2310の開口部2332は、保定部分2230の曲線中心軸X1と略平行な第1の仮想線V1に沿って配列される。第2の区分2312、第3の区分2314、第4の区分2316、および第5の区分2318の開口部2334、2336、2338、2340は、それぞれ、これらの区分の開口部2334、2336、2338、2340もまた、管2222の周のまわりに整列するように、徐々に増加する数の列において、管2222の側壁上に位置付けられる。例えば、第2の区分2312の開口部2334のいくつかは、管2222の側壁の周のまわりに延在する第2の仮想線V2が複数の開口部2334の少なくとも一部に接触するように位置付けられる。例えば、第2の区分2312は、各開口部2334が等しい断面積を有する、2つ以上の列の穿孔または開口部2334を備えることができる。さらに、いくつかの実施例では、第2の区分2312の列のうちの少なくとも1つは、管2222の曲線中心軸X1と平行であるが、第1の仮想線V1と同延ではない、第3の仮想線V3に沿って整合されることができる。同様に、第3の区分2314は、各開口部2336が等しい断面積を有する、5列の穿孔または開口部2336を備えることができ、第4の区分2316は、7列の穿孔または開口部2338を備えることができ、第5の区分2318は、9列の穿孔または開口部2340を備えることができる。前の実施例におけるように、第6の区分2320は、単一開口部、すなわち、管2222の開放遠位端2220を備える。図12の実施例では、開口部はそれぞれ、同一面積を有するが、1つ以上の開口部の面積は、所望に応じて、異なり得る。
開口部3332、3334、3336、3338、3340を伴う、別の例示的保定部分3230は、図13に図示される。図13の保定部分3230は、複数の同様にサイズ決めされた穿孔または開口部3332、3334、3336、3338、3340を含む。前の実施例におけるように、保定部分3230は、6つの区分3310、3312、3314、3316、3318、3320に分割されることができ、それぞれ、少なくとも1つの開口部を備える。最近位または第1の区分3310は、1つの開口部3332を含む。第2の区分3312は、管3222の側壁の周のまわりに延在する仮想線V2に沿って整合される、2つの開口部3334を含む。第3の区分3314は、仮想三角形の頂点に位置付けられる、3つの開口部3336の群を備える。第4の区分3316は、仮想正方形の角に位置付けられる、4つの開口部3338の群を備える。第5の区分3318は、菱形を管3222の側壁上に形成するように位置付けられる、10の開口部3340を備える。前の実施例におけるように、第6の区分3320は、単一開口部、すなわち、管3222の開放遠位端3220を備える。各開口部の面積は、約0.001mm2〜約2.5mm2に及ぶことができる。
開口部4332、4334、4336、4338、4340を伴う、別の例示的保定部分4230は、図14に図示される。保定部分4330の開口部4332、4334、4336、4338、4340は、異なる形状およびサイズを有する。例えば、第1の区分4310は、単一円形開口部4332を含む。第2の区分4312は、第1の区分4310の開口部4332より大きい断面積を伴う、円形開口部4334を有する。第3の区分4314は、3つの三角形の開口部4336を備える。第4の区分4316は、大円形開口部4338を備える。第5の区分4318は、菱形の開口部4340を備える。前の実施例におけるように、第6の区分4320は、管4222の開放遠位端4220を備える。図14は、各区分内の異なる形状の開口部の配列の一実施例を図示する。各区分内の各開口部の形状は、独立して選択されることができ、例えば、第1の区分4310は、1つ以上の菱形の開口部または他の形状を有することができることを理解されたい。各開口部の面積は、約0.001mm2〜約2.5mm2に及ぶことができる。
(実施例)
体積流率の計算および流動分布のパーセンテージ
尿管カテーテル1212の保定部分のための開口部の種々の配列を説明してきたが、流動分布の計算パーセンテージおよびカテーテルを通した計算体積流率を決定するための方法が、ここで、詳細に説明されるであろう。以下の計算において使用される管または排出管腔の部分の位置を示す側壁開口部を伴う、例示的カテーテルの概略図が、図16に示される。流動分布の計算パーセンテージは、保定部分の異なる開口部または区分を通して排出管腔に進入する、排出管腔の近位部分を通して流動する総流体のパーセンテージを指す。計算される体積流率は、保定部分の排出管腔または開口部の異なる部分を通した単位時間あたりの流体流量を指す。例えば、排出管腔の近位部分に関する体積流率は、カテーテルを通過する総流体量に関する流率を説明する。開口部に関する体積流率は、単位時間あたり開口部を通して排出管腔の中に通過する、流体の体積を指す。下記の表3−5では、流動は、排出管腔の近位部分に関する総流体流量または総体積流率のパーセンテージとして説明される。例えば、100%の流動分布を有する開口部は、排出管腔に進入する全ての流体が開口部を通過したことを意味する。0%の分布を有する開口部は、排出管腔内の流体がその開口部を通して排出管腔に進入しなかったことを示すであろう。
これらの体積流率計算は、図7および10−10Eに示される尿管カテーテル1212の保定部分1230を通した流体流量を決定およびモデル化するために使用された。さらに、これらの計算は、開口部の面積および保定部分に沿った開口部の線形分布を調節することが、異なる開口部を通した流体流の分布をもたらすことを示す。例えば、最近位開口部の面積を低減させることは、カテーテルの中に最近位開口部を通して引き出される流体の割合を減少させ、保定部分のより遠位の開口部の中に引き出される流体の割合を増加させる。
以下の計算に関して、0.97mmの内径および0.97mmの端部孔内径を有する、86cmの管長が、使用された。尿の密度は、1.03g/mLであって、37℃で8.02×10−3Pa・S(8.02×10−3kg/s・m)の摩擦係数μを有していた。カテーテルを通過する尿体積流率は、実験測定によって決定されるように、2.7ml/分(QTotal)であった。
計算体積流率は、保定部分の5つの区分の全ての穿孔または開口部1232を通り(本明細書では、体積流量Q2〜Q6と称される)、開放遠位端1220を通る(本明細書では、体積流量Q1と称される)、体積流量の総和が、方程式2に示されるように、最後の近位開口部から10cm〜60cm距離が離れた管1222の近位端から退出する総体積流量(QTotal)と等しくなる、体積物質収支方程式によって決定される。
QTotal=Q1+Q2+Q3+Q4+Q5+Q6 (方程式2)
区分毎の修正損失係数(K’)は、カテーテルモデル内の3つのタイプの損失係数、すなわち、パイプ入口(例えば、管1222の開口部および開放遠位端)における結果として生じる圧力損失を考慮した入口損失係数と、流体とパイプ壁との間の摩擦から生じる圧力損失を考慮した摩擦損失係数と、2つの流動が一体となる相互作用から生じる圧力損失を考慮した流動合流損失係数とに基づく。
入口損失係数は、オリフィスまたは開口部の形状に依存する。例えば、テーパ状またはノズル形状のオリフィスは、排出管腔1224の中への流率を増加させるであろう。同様に、鋭縁オリフィスは、明確に画定されていない縁を伴うオリフィスと異なる流動性質を有するであろう。以下の計算の目的のために、開口部1232は、側面オリフィス開口部であって、管1222の開放遠位端1220は、鋭縁開口部であると仮定される。各開口部の断面積は、管側壁を通して一定であると見なされる。
摩擦損失係数は、流体と管1222の隣接する内壁との間の摩擦から生じる圧力損失に近似する。摩擦損失は、以下の方程式に従って定義される。
流動合流損失係数は、90度の分岐角度において流動を組み合わせるための損失係数から導出される。損失係数に関する値は、Miller DS, Internal Flow Systems, 1990(参照することによって本明細書に組み込まれる)のチャート13.10および13.11から求められた。チャートは、入口オリフィス面積(チャートではA1と称される)対パイプ断面積(チャートではA3と称される)の比と、入口オリフィス体積流率(チャートではQ1)対結果として生じる組み合わせられたパイプ体積流率(チャートではQ3)の比とを使用する。例えば、開口部の面積と排出管腔の面積との間の0.6の面積比に関して、以下の流動合流損失係数(K
13およびK
23)が、使用されるであろう。
総マニホールド損失係数(K)を計算するために、モデルをいわゆる「基準ステーション」に分離し、2つの経路(例えば、開口部を通した流動および管の排出管腔を通した流動)の圧力および流動分布を徐々に処理し、平衡化し、最近位「ステーション」の遠位先端から開始して各ステーションに到達することが必要である。本計算のために使用される異なるステーションのグラフィカル表現は、図38に示される。例えば、最遠位「ステーション」Aは、管122の遠位開放端部1220である。第2のステーションA’は、管122の側壁上の最遠位開口部(例えば、図31−34における第5の区分1318の開口部)である。次のステーションBは、A’開口部のすぐ近位の排出管腔1224を通した流動のためのものである。
管1222の開放遠位端(経路1)を通して進入する流体に関するステーションA(遠位開口部)とステーションBとの間の損失を計算するために、修正損失係数(K’)は、以下と等しくなる。
同様に、ステーションBへの第2の経路は、保定部分1330の第5の区分1318(図11−14に示される)の開口部1334を通したものである。経路2に関する修正損失計算は、以下のように計算される。
経路1および経路2の両方の修正損失係数は、体積流率(Q1およびQ2)がステーションBにおけるマニホールド内の平衡分布を反映することを確実にするように等化されなければならない。体積流率は、両方の経路に関する等しい修正損失係数が達成されるまで調節される。体積流率は、本段階的解法の目的のために1であると仮定される、総体積流率(Q’Total)のある分画部分を表すため、調節されることができる。2つの修正損失係数を等化することに応じて、次いで、2つの経路の等化に進み、ステーションC(図11−14における第4の区分1316)に到達することができる。
ステーションB(第5の区分1318における排出管腔を通した流動)とステーションC(第4の区分1316における管腔を通した流動)との間の損失係数は、方程式5.1および5.2によって示されるように、類似様式において計算される。例えば、経路1(ステーションBからステーションC)に関して、第4の区分1316の開口部に関する修正損失係数(K’)は、以下のように定義される。
経路2(ステーションBからC)に関して、第4の区分1316の開口部の流動面積に基づく修正損失係数(K’)は、以下のように定義される。
前のステーションと同様に、経路1および経路2の両方の修正損失係数は、体積流率(Q1、Q2、およびQ3)がステーションCまでのマニホールド内の平衡分布を反映することを確実にするように等化されなければならない。2つの修正損失係数の等化に応じて、次いで、2つの経路の等化に進み、ステーションD、ステーションE、およびステーションFに到達することができる。段階的解法プロセスは、最終ステーション、この場合、ステーションFに関する修正損失係数を計算するまで、実証されるように、各ステーションを通して進められる。マニホールドに関する総損失係数(K)が、次いで、実験測定を通して決定された実際のQTotal(排出管腔の近位部分を通した体積流率)を使用して計算されることができる。
段階的実行を通して計算される分画体積流率は、次いで、実際の総体積流率(QTotal)によって乗算され、各開口部1232(図10−10Eに示される)および開放遠位端1220を通した流量を決定することができる。
(実施例)
実施例が、計算体積流率に関して、下記に提供され、表3−5および図15A−15Cに示される。
(実施例1)
実施例1は、図11に示される保定部材1330の実施形態に対応する、異なるサイズの開口部を伴う保定部材管の流体流の分布を図示する。表3に示されるように、最近位開口部(Q6)は、0.48mmの直径を有し、管の側壁上の最遠位開口部(Q5)は、0.88mmの直径を有し、管の開放遠位端(Q6)は、0.97mmの直径を有していた。開口部はそれぞれ、円形であった。
流動分布および計算体積流率のパーセンテージは、以下のように決定された。
「ステーション」または開口部毎に流動分布を計算するために、計算K’値が、実際の総体積流率(Q
Total)によって乗算され、各穿孔および遠位端孔を通した流量を決定した。代替として、計算結果は、表3に示されるように、総流量または流動分布のパーセンテージとして提示され得る。表3および図15Cに示されるように、最近位開口部(Q6)を通した流動分布のパーセンテージ(%流動分布)は、56.1%であった。2つの最近位開口部(Q6およびQ5)を通した流量は、84.6%であった。
実施例1に実証されたように、管の保定部分の近位領域から遠位領域に進む穿孔の直径を増加させることは、保定部分全体を横断してより均一に分散された流動をもたらす。
(実施例2)
実施例2では、各開口部は、同一直径および面積を有する。表4および図15Aに示されるように、その場合、最近位開口部を通した流動分布は、管を通した総流量の86.2%である。第2の開口部を通した流動分布は、11.9%である。したがって、本実施例では、排出管腔を通過する流体の98.1%が2つの最近位開口部を通して管腔に進入したと計算された。実施例1と比較して、実施例2は、管の近位端を通して流量を増加させた。したがって、実施例1は、流体のより大きいパーセンテージが最近位開口部以外の開口部を通して排出管腔に進入する、より広い流動分布を提供する。したがって、流体は、複数の開口部を通してより効率的に収集され、流体鬱滞を低減させ、腎盂および/または腎臓を通した負圧の分布を改良することができる。
(実施例3)
実施例2はまた、同一直径を有する開口部に関する流動分布を図示する。しかしながら、表5に示されるように、開口部は、ともにより近い(10mm対22mm)。表5および図15Bに示されるように、排出管腔を通過する流体の80.9%が、最近位開口部(Q6)を通して排出管腔に進入した。排出管腔内の流体の96.3%が、2つの最近位開口部(Q5およびQ6)を通して排出管腔に進入した。
ここで、概して、図17−41、より具体的には、図17を参照すると、患者の尿路内に位置付けられる2つの例示的尿管カテーテル5000、5001が、示される。尿管カテーテル5000、5001は、患者の腎臓2、4、腎盂20、21、または腎盂20、21に隣接する尿管6、8のうちの少なくとも1つから尿等の流体を排出するための排出管腔5002、5003を備える。排出管腔5002、5003は、患者の腎臓2、4、腎盂20、21、および/または腎盂20、21に隣接する尿管6、8内に位置付けられるように構成される、遠位部分5004、5005と、それを通して流体5008が患者の膀胱10または体外に排出される、近位部分5006、5007とを備える。
いくつかの実施例では、遠位部分5004、5005は、流体を排出管腔5002、5003の中に引き出すための開放遠位端5010、5011を備える。尿管カテーテル5000、5001の遠位部分5004、5005はさらに、排出管腔または管5002、5003の遠位部分5004、5005を尿管および/または腎臓内に維持するための保定部分5012、5013を備える。保定部分5012、5013は、可撓性および/または屈曲可能であって、尿管、腎盂、および/または腎臓内への保定部分5012、5013の位置付けを可能にすることができる。例えば、保定部分5012、5013は、望ましくは、カテーテル5000、5001上に付与される力を吸収し、そのような力が尿管に伝達されることを防止するために十分に屈曲可能である。さらに、保定部分5012、5013が、近位方向P(図17に示される)に患者の膀胱10に向かって引動される場合、保定部分5012、5013は、尿管6、8を通して引き出され得るように、解巻、直線化、または圧潰され始めるように十分に可撓性であることができる。
いくつかの実施例では、保定部分は、漏斗状支持体を備える。漏斗状支持体は、少なくとも1つの側壁を備える。漏斗状支持体の少なくとも1つの側壁は、第1の直径と、第2の直径とを備え、第1の直径は、第2の直径未満である。漏斗状支持体の第2の直径は、第1の直径より排出管腔の遠位部分の端部に近い。
排出管腔の近位部分または排出管は、開口部が本質的にないかまたは開口部がない。任意の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、負圧が排出管腔の近位部分の近位端に印加されると、排出管腔または排出管の近位部分内の開口部は、尿管カテーテルの遠位部分における負圧を減少させ、それによって、腎臓および腎臓の腎盂からの流体または尿の引き出しまたは流動を減少させ得るため、そのような開口部は、望ましくあり得ないと考えられる。尿管および/または腎臓からの流体の流動は、カテーテルによる尿管および/または腎臓の閉塞によって妨げられないことが望ましい。また、任意の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、負圧が排出管腔の近位部分の近位端に印加されると、尿管組織は、排出管腔の近位部分に沿って開口部に対してまたはその中に引き込まれ得、これは、組織を炎症させ得ると考えられる。
本発明による、漏斗状支持体を構成する保定部分を備える、尿管カテーテルのいくつかの実施例は、図2および7−10E、17−41に示される。図2および7−10Eでは、漏斗状支持体は、管類のコイルによって形成される。図17−41では、漏斗状支持体の他の実施例が、示される。本発明によるこれらの漏斗状支持体はそれぞれ、下記に詳細に議論されるであろう。
ここで図18A−Cを参照すると、いくつかの実施例では、概して5000として示された尿管カテーテルの遠位部分5004が、示されている。遠位部分5004は、漏斗状支持体5014を構成する、保定部分5012を備える。漏斗状支持体5014は、少なくとも1つの側壁5016を備える。漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016は、第1の(外側)直径D4と、第2の(外側)直径D5とを備え、第1の外径D4は、第2の外径D5未満である。漏斗状支持体5014の第2の外径D5は、第1の外径D4より排出管腔5002の遠位部分5004の遠位端5010に近い。いくつかの実施例では、第1の外径D4は、約0.33mm〜4mm(約1Fr〜約12Fr(フレンチカテーテルスケール))または約2.0±0.1mmに及ぶことができる。いくつかの実施例では、第2の外径D5は、第1の外径D4よりも大きく、約1mm〜約60mm、または約10mm〜30mm、または約18mm±2mmに及ぶことができる。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016はさらに、第3の直径D7(図18Bに示される)を備えることができ、第3の直径D7は、第2の外径D5未満である。漏斗状支持体5014の第3の直径D7は、第2の直径D5より排出管腔5002の遠位部分5004の遠位端5010に近い。第3の直径D7は、辺縁に関して下記により詳細に議論される。いくつかの実施例では、第3の直径D7は、約0.99mm〜約59mmまたは約5mm〜約25mmに及ぶことができる。
漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016は、第1の(内側)直径D6を備える。第1の内径D6は、第3の直径D7より漏斗状支持体5014の近位端5017に近い。第1の内径D6は、第3の直径D7未満である。いくつかの実施例では、第1の内径D6は、約0.05mm〜3.9mmまたは約1.25±0.75mmに及ぶことができる。
いくつかの実施例では、保定部分5012の中心軸5018に沿った側壁5016の全高H5は、約1mm〜約25mmに及ぶことができる。いくつかの実施例では、側壁の高さH5は、例えば、側壁が図24に示されるように波状縁または丸みを帯びた縁を有する場合、側壁の異なる部分で変動し得る。いくつかの実施例では、波状部は、所望に応じて、約0.01mm〜約5mmまたはそれよりも大きくあり得る。
いくつかの実施例では、図2、7−10E、および17−41に示されるように、漏斗状支持体5014は、略円錐形形状を有することができる。いくつかの実施例では、漏斗状支持体5014の近位端5017の近傍の外壁5022と漏斗状支持体5014の基部部分5024に隣接する排出管腔5002との間の角度5020は、約100度〜約180度、または約100度〜約160度、または約120度〜約130度に及ぶことができる。角度5020は、角度5020が約140度〜約180度に及ぶ、図22Aに示されるような漏斗状支持体5014の周を中心とした異なる位置で変動してもよい。
いくつかの実施例では、少なくとも1つの側壁5016の遠位端5010の縁または辺縁5026は、丸みを帯びた形状、正方形の形状、または所望の任意の形状であることができる。縁5026によって画定される形状は、例えば、円形(図18Cおよび23Bに示されるように)、楕円形(図22Bに示されるように)、ローブ(lobes)(図28B、29B、および31に示されるように)、正方形、長方形、または所望の任意の形状であることができる。
ここで図28A−31を参照すると、漏斗状支持体5300が、示され、少なくとも1つの側壁5302は、側壁5302の長さL7に沿って複数のローブ形状の縦方向襞5304を備える。襞5304の数は、示されるように、2〜約20または約6であり得る。本実施例では、襞5304は、シリコーン、ポリマー、固体材料、布地、または浸透性メッシュ等の1つ以上の可撓性材料から形成され、所望のローブ形状を提供することができる。襞5304は、断面図51Bに示されるように、略丸みを帯びた形状を有することができる。漏斗状支持体5300の遠位端5306における各襞5304の深度D10は、同一または変動することができ、約0.5mm〜約5mmに及ぶことができる。
ここで図29Aおよび29Bを参照すると、1つ以上の襞5304は、少なくとも1つの縦方向支持部材5308を備えることができる。縦方向支持部材5308は、漏斗状支持体5300の長さL7の全長L7または一部をスパンすることができる。縦方向支持部材5308は、感温形状記憶材料、例えば、ニチノール等の可撓性であるが、部分的に剛性の材料から形成されることができる。縦方向支持部材5308の厚さは、所望に応じて、約0.01mm〜約1mmに及ぶことができる。いくつかの実施例では、ニチノールフレームは、シリコン等の好適な防水材料で被覆され、テーパ状部分または漏斗を形成することができる。その場合、流体は、漏斗状支持体5300の内側表面5310を辿って、排出管腔5312の中に流動することが可能にされる。他の実施例では、襞5304は、漏斗形状の保定部分を形成するように屈曲または成型される、種々の剛性または部分的に剛性のシートまたは材料から形成される。
ここで図30および31を参照すると、襞5402の遠位端または縁5400は、少なくとも1つの縁支持部材5404を備えることができる。縁支持部材5404は、漏斗状支持体5408の遠位縁5400の周5406の全周5406または1つ以上の部分をスパンすることができる。縁支持部材5404は、感温形状記憶材料、例えば、ニチノール等の可撓性であるが、部分的に剛性の材料から形成されることができる。縁支持部材5404の厚さは、所望に応じて、約0.01mm〜約1mmに及ぶことができる。
図18A−Cに示されるようないくつかの実施例では、排出管腔5002(または漏斗状支持体5014)の遠位端5010は、例えば、約0.01mm〜約1mmの漏斗状支持体5014の中心に向かって配向される内向きに向いた辺縁5026を有し、腎臓組織の炎症を阻止することができる。したがって、漏斗状支持体5014は、第2の直径D5未満である、第3の直径D7を備えることができ、第3の直径D7は、第2の直径D5より排出管腔5002の遠位部分5004の端部5010に近い。辺縁5026の外側表面5028は、丸みを帯びた形状、正方形縁の形状、または所望の任意の形状であることができる。辺縁5026は、付加的支持を腎盂および内部腎臓組織に提供することを補助し得る。
ここで図24を参照すると、いくつかの実施例では、少なくとも1つの側壁5204の遠位端5202の縁5200が、成形されることができる。例えば、縁5200は、複数の略丸みを帯びた縁5206またはスカロップ、例えば、約4〜約20またはそれよりも大きい丸みを帯びた縁を備えることができる。丸みを帯びた縁5206は、直線縁より大きい表面積を提供し、腎盂または腎臓の組織を支持し、閉塞を阻止することに役立つことができる。縁5200は、所望の任意の形状を有することができるが、好ましくは、鋭縁が本質的にないかまたは鋭縁がなく、傷害組織を回避する。
図18A−Cおよび22A−23Bに示されるようないくつかの実施例では、漏斗状支持体5014は、排出管腔5002の遠位部分5004に隣接する、基部部分5024を備える。基部部分5024は、排出管腔5002の近位部分5006の内部管腔5032の中への流体流を可能にするための排出管腔5002の近位部分5006の排出管腔5002の内部管腔5032と整合される、少なくとも1つの内部開口部5030を備える。いくつかの実施例では、開口部5030の断面は、円形であるが、形状は、楕円形、三角形、正方形等、変動してもよい。
図22A−23Bに示されるようないくつかの実施例では、漏斗状支持体5014の中心軸5018は、排出管腔5002の近位部分5006の中心軸5034に対してオフセットされる。近位部分5006の中心軸5034に対する漏斗状支持体5014の中心軸5018からのオフセット距離Xは、約0.1mm〜約5mmに及ぶことができる。
基部部分5024の少なくとも1つの内部開口部5030は、約0.05mm〜約4mmに及ぶ、直径D8を有する(例えば、図18Cおよび23Bに示される)。いくつかの実施例では、基部部分5024の内部開口部5030の直径D8は、排出管腔の隣接する近位部分5006の第1の内径D6とほぼ等しい。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016の高さH5対漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016の第2の外径D5の比は、約1:25〜約5:1に及ぶ。
いくつかの実施例では、基部部分5024の少なくとも1つの内部開口部5030は、約0.05mm〜約4mmに及ぶ直径D8を有し、漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016の高さH5は、約1mm〜約25mmに及び、漏斗状支持体5014の第2の外径D5は、約5mm〜約25mmに及ぶ。
いくつかの実施形態では、漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016の厚さT1(例えば、図18Bに示される)は、約0.01mm〜約1.9mmまたは約0.5mm〜約1mmに及ぶことができる。厚さT1は、概して、少なくとも1つの側壁5016全体を通して均一であることができる、または所望に応じて変動してもよい。例えば、少なくとも1つの側壁5016の厚さT1は、漏斗状支持体5014の基部部分5024より排出管腔5002の遠位部分5004の遠位端5010の近傍においてより薄いまたは厚くあることができる。
ここで図18A−21を参照すると、少なくとも1つの側壁5016の長さに沿って、側壁5016は、直線(図18Aおよび20に示されるように)、凸面(図19に示されるように)、凹面(図21に示されるように)、または任意のそれらの組み合わせであることができる。図19および21に示されるように、側壁5016の曲率は、Qにおいて中心合わせされる円形が曲線に衝合し、曲線と同一傾きおよび曲率を有するように、点Qからの曲率半径Rから近似されることができる。いくつかの実施例では、曲率半径は、約2mm〜約12mmに及ぶ。いくつかの実施例では、漏斗状支持体5014は、図19に示されるように、略半球形状を有する。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016は、例えば、図35A、35B、38A、および38Bに示されるように、バルーン5100から形成される。バルーン5100は、漏斗状支持体を提供し、尿管、腎盂、および/または腎臓の残りの閉塞を阻止する、任意の形状を有することができる。図35Aおよび35Bに示されるように、バルーン5100は、漏斗の形状を有する。バルーンは、ガスまたは空気をガスポート5102を通して追加または除去することによって、挿入後に膨張される、または除去前に収縮されることができる。ガスポート5102は、単に、バルーン5100の内部5104と連続的であることができ、例えば、バルーン5100は、内部5106に隣接する、または排出管腔5002の近位部分5006の隣接する部分の外部5108を包囲することができる。バルーン5100の側壁5110の直径D9は、約1mm〜約3mmに及ぶことができ、側壁が、均一直径を有する、漏斗状支持体5116の遠位端5112に向かってテーパ状になる、または近位端5114に向かってテーパ状になるように、その長さに沿って変動することができる。漏斗状支持体5116の遠位端5112の外径D10は、約5mm〜約25mmに及ぶことができる。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016は、例えば、図18A、19、20、および21に示されるように、少なくとも1つの側壁5016の高さH5に沿って連続する。いくつかの実施例では、漏斗状支持体5014の少なくとも1つの側壁5016は、固体壁を備え、例えば、側壁5016は、片側上における尿等の流体との接触から24時間後も、側壁を通して非浸透性である。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体の少なくとも1つの側壁は、少なくとも1つの側壁の高さまたは本体に沿って不連続である。本明細書で使用されるように、「不連続」は、少なくとも1つの側壁が、例えば、重力または負圧によって、それを通して排出管腔の中への流体または尿の流動を可能にするための少なくとも1つの開口部を備えることを意味する。いくつかの実施例では、開口部は、側壁を通した従来の開口部、またはメッシュ材料内の開口部、または浸透性布地内の開口部であることができる。開口部の断面形状は、所望に応じて、円形または非円形、例えば長方形、正方形、三角形、多角形、楕円形等であることができる。いくつかの実施例では、「開口部」は、コイル状管または導管を構成する、カテーテルの保定部分内の隣接するコイル間の間隙である。
本明細書で使用されるように、「開口部」または「孔」は、側壁の外側から内側またはその逆に側壁を通した連続空隙空間またはチャネルを意味する。いくつかの実施例では、少なくとも1つの開口部はそれぞれ、同一または異なり得、約0.002mm2〜約100mm2または約0.002mm2〜約10mm2に及び得る、面積を有することができる。本明細書で使用されるように、開口部の「面積」または「表面積」または「断面積」は、開口部の周囲によって画定された最も小さいまたは最小の平面面積を意味する。例えば、開口部が、円形であって、約0.36mm(0.1mm2の面積)の直径を側壁の外側に有するが、わずか0.05mm(0.002mm2の面積)の直径を側壁内または側壁の反対側上のいくつかの点に有する場合、「面積」は、側壁内の開口部を通した流動のための最小または最も小さい平面面積であるため、0.002mm2となるであろう。開口部が、正方形または長方形である場合、「面積」は、長さ×平面面積の幅となるであろう。任意の他の形状に関して、「面積」は、当業者に周知の従来の数学的計算によって決定されることができる。例えば、不規則形状の開口部の「面積」は、形状を開口部の平面面積を充填するように適合させ、各形状の面積を計算し、各形状の面積をともに加算することによって見出される。
いくつかの実施例では、側壁の少なくとも一部は、少なくとも1つの(1つ以上の)開口部を備える。概して、開口部の中心軸は、側壁の平面外側表面と略垂直であることができる、または開口部は、側壁の平面外側表面に対して角度付けられることができる。開口部のボアの寸法は、その深度全体を通して均一であってもよい、または幅は、側壁の外部表面から側壁の内部表面への開口部を通して、幅を増加させる、減少させる、または交互させることのいずれかによって、深度に沿って変動してもよい。
ここで図9A−9E、10A、10E、11−14、27、32A、32B、33、および34を参照すると、いくつかの実施例では、側壁の少なくとも一部は、少なくとも1つの(1つ以上の)開口部を備える。開口部は、側壁に沿って任意の場所に位置付けられることができる。例えば、開口部は、側壁全体を通して均一に位置付けられる、または側壁の遠位端により近い、または側壁の近位端により近い等の側壁の規定された領域内に位置付けられることができるか、または、側壁の長さまたは周に沿って垂直または水平またはランダム群内に位置付けられることができる。任意の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、負圧が排出管腔の近位部分の近位端に印加されるとき、尿管、腎盂、および/または他の腎臓組織に直接隣接する、漏斗状支持体の近位部分内の開口部は、尿管カテーテルの遠位部分における負圧を減少させ、それによって、腎臓および腎臓の腎盂からの流体または尿の引き出しまたは流動を減少させ、おそらく、組織を炎症させ得るため、そのような開口部は、望ましくあり得ないと考えられる。
開口部の数は、所望に応じて、1〜1000またはそれよりも多くに変動することができる。例えば、図27では、6つの開口部(各側上に3つ)が、示される。上記に議論されるように、いくつかの実施例では、少なくとも1つの開口部はそれぞれ、同一または異なり得、約0.002mm2〜約50mm2または約0.002mm2〜約10mm2に及び得る、面積を有することができる。
いくつかの実施例では、図27に示されるように、開口部5500は、側壁5504の遠位端5502のより近くに位置付けられることができる。いくつかの実施例では、開口部は、遠位端5502に向かって側壁の遠位半分5506内に位置付けられる。いくつかの実施例では、開口部5500は、遠位半分5506の周のまわりに均一に、またはさらに側壁5504の遠位端5502のより近くに分散される。
対照的に、図32Bでは、開口部5600は、内側側壁5604の近位端5602の近傍に位置付けられ、外側側壁5606が開口部5600と組織との間に存在するため、組織に直接接触しない。代替として、または加えて、1つ以上の開口部5600は、所望に応じて、内側側壁の遠位端の近傍に位置付けられることができる。内側側壁5604および外側側壁5606は、内側側壁5604の外側5610を外側側壁5606の内側5612に接続する1つ以上の支持体5608または隆起によって、接続されることができる。
図25および26に示されるようないくつかの実施例では、漏斗状支持体5702、5802の少なくとも1つの側壁5700、5800は、メッシュ5704、5804を備える。メッシュ5704、5804は、それを通して排出管腔5708、5808の中への流体流を可能にするための複数の開口部5706、5806を備える。いくつかの実施例では、開口部の最大面積は、約100mm2未満、または約1mm2未満、または約0.002mm2〜約1mm2、または約0.002mm2〜約0.05mm2であることができる。メッシュ5704、5804は、上記に議論されるような任意の好適な金属またはポリマー材料から形成されることができる。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体はさらに、漏斗状支持体の遠位端にわたってカバー部分を備える。本カバー部分は、漏斗状支持体の一体部分として形成される、または漏斗状支持体の遠位端に接続されることができる。例えば、図26に示されるように、漏斗状支持体5802は、漏斗状支持体5802の遠位端5812を横断し、かつ漏斗状支持体5802の遠位端5812から突出する、カバー部分5810を備える。カバー部分5810は、平坦、凸面、凹面、波状、およびそれらの組み合わせ等の所望の任意の形状を有することができる。カバー部分5810は、上記に議論されるように、メッシュまたは任意のポリマー固体材料から形成されることができる。カバー部分5810は、腎臓領域内の柔軟組織を支持し、尿産生を促進することを補助することができる。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体は、例えば、図39および40に示されるように、多孔性材料を含む。図39および40および好適な多孔性材料は、下記に詳細に議論される。簡潔に、図39および40では、多孔性材料自体が、漏斗状支持体である。図39では、漏斗状支持体は、多孔性材料の楔である。図40では、多孔性材料は、漏斗の形状である。図33等のいくつかの実施例では、多孔性材料5900は、側壁5904の内部5902内に位置付けられる。図34等のいくつかの実施例では、漏斗状支持体6000は、側壁6006の内部6004に隣接して位置付けられる、多孔性ライナ6002を備える。多孔性ライナ6002の厚さT2は、例えば、約0.5mm〜約12.5mmに及ぶことができる。多孔性材料内の開口部の面積は、約0.002mm2〜約100mm2またはそれ未満であることができる。
ここで図37Aおよび37Bを参照すると、例えば、尿管カテーテル112の保定部分130は、いくつかの実施例では、患者の腎盂および/または腎臓内に位置付けられるように構成される拡開および/またはテーパ状遠位端部分を有する、カテーテル管122を備える。例えば、保定部分130は、尿管および/または腎臓壁に対して位置付けられるように構成される外側表面185を備え、流体をカテーテル112の排出管腔124に向かって指向するように構成される内側表面186を備える、漏斗形状の構造であることができる。保定部分130は、排出管腔124の遠位端に隣接し、第1の直径D1を有する、近位端188と、保定部分130がその展開位置にあるとき、第1の直径D1よりも大きい第2の直径D2を有する、遠位端190とを備えることができる。いくつかの実施例では、保定部分130は、圧潰または圧縮位置から展開位置に遷移可能である。例えば、保定部分130は、保定部分130がその流体収集位置に前進されると、保定部分130(例えば、漏斗部分)が半径方向外向きに展開状態に拡張するように、半径方向外向きに付勢されることができる。
尿管カテーテル112の保定部分130は、圧潰状態から展開状態に遷移可能な種々の好適な材料から作製されることができる。一実施例では、保定部分130は、ニチノール等の温度敏感形状記憶材料から形成される、尖叉または伸長部材のフレームワークを備える。いくつかの実施例では、ニチノールフレームは、シリコン等の好適な防水材料で被覆され、テーパ状部分または漏斗を形成することができる。その場合、流体は、保定部分130の内側表面186を辿って排出管腔124の中に流動することが可能にされる。他の実施例では、保定部分130は、図37Aおよび37Bに図示されるように、漏斗形状の保定部分を形成するように屈曲または成形される、種々の剛性または部分的剛性のシートまたは材料から形成される。
いくつかの実施例では、尿管カテーテル112の保定部分は、刺激を尿管および腎盂の隣接する組織内の神経および筋線維に提供するための1つ以上の機械的刺激デバイス191を含むことができる。例えば、機械的刺激デバイス191は、カテーテル管122の側壁の一部内に埋設される、またはそれに隣接して搭載され、低レベルの振動を発するように構成される、線形または環状アクチュエータを含むことができる。いくつかの実施例では、機械的刺激は、尿管および/または腎盂の一部に提供され、負圧の印加によって得られる治療上の効果を補完または修正することができる。理論によって拘束されることを意図するわけではないが、そのような刺激は、例えば、尿管および/または腎盂と関連付けられた神経を刺激することおよび/または尿管および/または腎盂と関連付けられた蠕動筋肉を作動させることによって、隣接する組織に影響を及ぼすと考えられる。神経の刺激および筋肉の活性化は、周囲組織および器官内の圧力勾配または圧力レベルの変化をもたらし得、これは、負圧療法の治療上の利点に寄与する、またはある場合には、それを向上させ得る。
図38Aおよび38Bを参照すると、別の実施例によると、尿管カテーテル312の保定部分330は、螺旋構造332内におよび螺旋構造332の近位に位置付けられる膨張可能要素またはバルーン350内に形成され、腎盂および/または流体収集場所内に付加的保定度を提供するための遠位部分318を有する、カテーテル管322を備える。バルーン350は、バルーンを腎盂または尿管内に保定するために十分であるが、これらの構造の膨張または損傷を回避するために十分に低い圧力まで膨張されることができる。好適な膨張圧力は、当業者に公知であって、試行錯誤によって容易に判別可能である。前述の実施例におけるように、螺旋構造332は、カテーテル管322を屈曲させ、1つ以上のコイル334を形成することによって付与されることができる。コイル334は、前述のように、一定または可変の直径および高さを有することができる。カテーテル管322はさらに、カテーテル管322の側壁上に配置され、尿がカテーテル管322の排出管腔324の中に引き出され、例えば、コイル334の内向きを向いた側および/または外向きを向いた側上の排出管腔324を通して身体から指向されることを可能にする、複数の排出ポート336を備える。
図38Bに示されるように、膨張可能要素またはバルーン350は、例えば、略ハート形状の断面を有し、空洞353を画定する表面またはカバー352を備える、環状バルーン状構造を備えることができる。空洞353は、カテーテル管322によって画定された排出管腔324と平行に延在する膨張管腔354と流体連通する。バルーン350は、腎盂のテーパ状部分内に挿入され、その外側表面356が尿管および/または腎盂の内側表面に対して接触および静置するように、膨張されるように構成されることができる。膨張可能要素またはバルーン350は、縦方向および半径方向内向きにカテーテル管322に向かって延在するテーパ状内側表面358を備えることができる。内側表面358は、尿をカテーテル管322に向かって指向し、排出管腔の324中に引き出されるようにするように構成されることができる。内側表面358はまた、膨張可能要素またはバルーン350の周縁の周囲等、尿管内に滞留することを防止するように位置付けられることができる。膨張可能保定部分またはバルーン350は、望ましくは、腎盂内に嵌合するようにサイズ決めされ、約10mm〜約30mmに及ぶ直径を有することができる。
図39および40を参照すると、いくつかの実施例では、保定部分410を備える尿管カテーテル412を含む、アセンブリ400が、図示される。保定部分410は、カテーテル管422の遠位端421に取り付けられる、多孔性および/またはスポンジ状材料から形成される。多孔性材料は、尿を運び、および/または吸収し、尿をカテーテル管422の排出管腔424に向かって指向するように構成されることができる。図40に示されるように、保定部分410は、患者の腎盂内への挿入および保定のために構成される、多孔性の楔形状の構造であることができる。多孔性材料は、複数の孔および/またはチャネルを含む。流体は、例えば、重力によって、またはカテーテル412を通した負圧の誘発に応じて、チャネルおよび孔を通して引き出されることができる。例えば、流体は、孔および/またはチャネルを通して楔形状の保定部分410に進入することができ、例えば、毛細管作用、蠕動によって、または孔および/またはチャネル内での負圧の誘発の結果として、排出管腔424の遠位開口部420に向かって引き出される。他の実施例では、図40に示されるように、保定部分410は、多孔性スポンジ状材料から形成される中空漏斗構造を備える。矢印Aによって示されるように、流体は、漏斗構造の内側表面426を辿ってカテーテル管422によって画定された排出管腔424の中に指向される。また、流体は、側壁428の多孔性スポンジ状材料内の孔およびチャネルを通して保定部分410の漏斗構造に進入することができる。例えば、好適な多孔性材料は、ポリウレタンエーテル等の連続気泡ポリウレタン発泡体を含むことができる。好適な多孔性材料はまた、銀等の抗菌性添加剤を伴って、または伴わずに、かつヒドロゲル、親水コロイド、アクリル、またはシリコーン等の材料特性を修正するための添加剤を伴って、または伴わずに、例えば、ポリウレタン、シリコーン、ポリビニルアルコール、綿、またはポリエステルを含む、織布または不織布の層の積層を含むことができる。
図41を参照すると、別の実施例によると、尿管カテーテル512の保定部分500は、拡張可能ケージ530を備える。拡張可能ケージ530は、1つ以上の縦方向および半径方向に延在する中空管522を備える。例えば、管522は、ニチノール等の弾性形状記憶材料から形成されることができる。ケージ530は、患者の尿路を通した挿入のための収縮状態から、患者の尿管および/または腎臓内に位置付けるための展開状態に遷移するように構成される。中空管522は、管上、例えば、その半径方向内向きを向いた側上に位置付けられ得る、複数の排出ポート534を備える。ポート534は、流体がポート534を通して個別の管522の中に流動する、または引き出されることを可能にするように構成される。流体は、中空管522を通して尿管カテーテル512のカテーテル本体526によって画定された排出管腔524の中に排出される。例えば、流体は、図41における矢印532によって示される経路に沿って流動することができる。いくつかの実施例では、負圧が腎盂、腎臓、および/または尿管内で誘発されると、尿管壁および/または腎盂の一部は、中空管522の外向きを向いた表面に対して牽引され得る。排出ポート534は、尿管および/または腎臓への負圧の印加に応じて、尿管構造によって著しく閉塞されないように位置付けられ、構成される。
いくつかの実施例では、漏斗状支持体を備える、尿管カテーテルは、尿道を通して膀胱の中へと導管を使用して、患者の尿路の中に、より具体的には、腎盂領域/腎臓内に展開されることができる。漏斗状支持体6100は、圧潰状態(図36に示される)にあって、尿管シース6102内に納置される。尿管カテーテルを展開するために、医療従事者は、膀胱鏡を尿道の中に挿入し、ツールが膀胱に進入するためのチャネルを提供するであろう。尿管口は、可視化され、ガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端が腎盂に到達するまで、膀胱鏡および尿管を通して挿入されるであろう。膀胱鏡は、可能性として、除去され、「プッシャ管」が、ガイドワイヤにわたって腎盂まで送られるであろう。ガイドワイヤは、「プッシャ管」が定位置に留まり、展開シースとして作用する間、除去されるであろう。尿管カテーテルは、プッシャ管/シースを通して挿入され、カテーテル先端は、いったんプッシャ管/シースの端部を越えて延在すると、作動されるであろう。漏斗状支持体は、半径方向に拡張し、展開位置をとるであろう。
例示的尿管ステント:
ここで図1を参照すると、いくつかの実施例では、尿管ステント52、54は、近位端62と、遠位端58と、縦軸と、近位端から遠位端までの縦軸に沿って延在し、患者の腎臓と膀胱との間の流体流の開存性を維持する、少なくとも1つの排出チャネルとを備える、伸長本体を備える。いくつかの実施例では、尿管ステントはさらに、ピグテールコイルまたはループを近位端または遠位端のうちの少なくとも1つ上に備える。いくつかの実施例では、尿管ステントの本体はさらに、少なくとも1つの穿孔をその側壁上に備える。他の実施例では、尿管ステントの本体は、その側壁上に穿孔が本質的にないかまたは穿孔がない。
本システムおよび方法において有用であり得る、尿管ステント52、54のいくつかの実施例は、CONTOUR(TM)尿管ステント、CONTOURVL(TM)尿管ステント、POLARIS(TM)ループ尿管ステント、POLARIS(TM)ウルトラ尿管ステント、PERCUFLEX(TM)尿管ステント、PERCUFLEX(TM)プラス尿管ステント、STRETCH(TM)VLフレキシマ尿管ステントを含み、それぞれ、Boston Scientific Corporation(Natick, Massachusetts)から市販されている。“Ureteral Stent Portfolio”,a publication of Boston Scientific Corp.,(July2010)(参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。CONTOUR(TM)およびCONTOUR VL(TM)尿管ステントは、体温で軟化し、365日の留置時間用に設計された、軟質Percuflex(TM)材料で構築される。遠位端および近位端上の可変長コイルは、1つのステントが種々の尿管長に適合することを可能にする。固定長ステントは、20cm〜30cmに及ぶ長さを伴う6F〜8Fであることができ、可変長ステントは、22〜30cmの長さを伴う4.8F〜7Fであることができる。好適な尿管ステントの他の実施例は、INLAY(R)尿管ステント、INLAY(R)OPTIMA(R)尿管ステント、BARDEX(R)二重ピグテール尿管ステント、およびFLUORO−4(TM)シリコーン尿管ステントを含み、それぞれ、C.R. Bard, Inc.(Murray Hill, NJ)から市販されている。“Ureteral Stents”,http://www.bardmedical.com/products/kidney−stone−management/ureteral−stents/(January 21, 2018)(参照することによって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
ステント52、54は、所望に応じて、患者の一方または両方の腎臓または腎臓面積(腎盂または腎盂に隣接する尿管)内に展開されることができる。典型的には、これらのステントは、ニチノールワイヤを有するステントを、尿道および膀胱を通して腎臓まで挿入し、次いで、ニチノールワイヤをステントから抜去し、ステントが展開構成をとることを可能にすることによって展開される。上記のステントの多くは、平面ループ58、60を遠位端上に有し(腎臓内で展開されるために)、いくつかのものはまた、平面ループ62、64をステントの近位端上に有し、これは、膀胱内で展開される。ニチノールワイヤが、除去されると、ステントは、事前に応力がかけられた平面ループ形状を遠位端および/または近位端においてとる。ステントを除去するために、ニチノールワイヤは、ステントを直線化するために挿入され、ステントは、尿管および尿道から抜去される。
好適な尿管ステント52、54の他の実施例は、PCT特許出願公開第WO2017/019974号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示される。いくつかの実施例では、例えば、第WO2017/019974号の図1−7および本明細書の図3(第WO2017/019974号の図1と同一である)に示されるように、尿管ステント100は、近位端102と、遠位端104と、縦軸106と、外側表面108と、内側表面110であって、近位端102から遠位端104までの縦軸106に沿って延在する、変形可能ボア111を画定する、内側表面110とを備える、伸長本体101と、本体101の外側表面108から離れるように半径方向に突出する、少なくとも2つのフィン112とを備えることができ、変形可能ボア111は、(a)縦方向に開放したチャネル116を画定する開放ボア114を備える、デフォルト配向113A(図59の左に示される)と、(b)縦方向に本質的に閉鎖された排出チャネル120を伸長本体101の縦軸106に沿って画定する、少なくとも本質的に閉鎖されたボア118または閉鎖されたボアを備える、第2の配向113B(図59の右に示される)とを備え、変形可能ボア111は、本体101の外側表面108の少なくとも一部に印加されている半径方向圧縮力122に応じて、デフォルト配向113Aから第2の配向113Bに移動可能である。
いくつかの実施例では、図3に示されるように、尿管ステント100の排出チャネル120は、直径Dを有し、これは、変形可能ボア111がデフォルト配向113Aから第2の配向113Bに移動することに応じて低減され、直径は、変形可能ボア111を通した尿流が低減されるであろう点を上回る点まで低減可能である。いくつかの実施例では、直径Dは、変形可能ボア111がデフォルト配向113Aから第2の配向113Bに移動することに応じて、最大約40%低減される。いくつかの実施例では、デフォルト配向113Aにおける直径Dは、約0.75〜約5.5mm、または約1.3mm、または約1.4mmに及ぶことができる。いくつかの実施例では、第2の配向113Bにおける直径Dは、約0.4〜約4mmまたは約0.9mmに及ぶことができる。
いくつかの実施例では、1つ以上のフィン112は、Shore硬度スケールに基づいて軟質〜中軟質である、可撓性材料を含む。いくつかの実施例では、本体101は、Shore硬度スケールに基づいて中硬質〜硬質である、可撓性材料を含む。いくつかの実施例では、1つ以上のフィンは、硬度約15A〜約40Aを有する。いくつかの実施例では、本体101は、硬度約80A〜約90Aを有する。いくつかの実施例では、1つ以上のフィン112および本体101は、例えば、硬度約40A〜約70Aを有する、Shore硬度スケールに基づいて中軟質〜中硬質である、可撓性材料を含む。
いくつかの実施例では、1つ以上のフィン112および本体101は、例えば、硬度約85A〜約90Aを有する、Shore硬度スケールに基づいて中硬質〜硬質である、可撓性材料を含む。
いくつかの実施例では、デフォルト配向113Aおよび第2の配向113Bは、変形可能ボア111を通してに加え、ステント100の外側表面108の周囲でも流体または尿流を支持する。
いくつかの実施例では、1つ以上のフィン112は、近位端102から遠位端104まで縦方向に延在する。いくつかの実施例では、ステントは、2つ、3つ、または4つのフィンを有する。
いくつかの実施例では、本体の外側表面108は、デフォルト配向113Aでは、約0.8mm〜約6mmまたは約3mmに及ぶ外径を有する。いくつかの実施例では、本体の外側表面108は、第2の配向113Bでは、約0.5mm〜約4.5mmまたは約1mmに及ぶ外径を有する。いくつかの実施例では、1つ以上のフィンは、約0.25mm〜約1.5mmまたは約1mmに及ぶ幅または先端を有し、本体の外側表面108から縦軸と略垂直方向に突出する。
いくつかの実施例では、半径方向圧縮力が、正常尿管生理学、異常尿管生理学、または任意の外力の印加のうちの少なくとも1つによって提供される。いくつかの実施例では、尿管ステント100は、意図的に、動的尿管環境に適合し、尿管ステント100は、近位端102と、遠位端104と、縦軸106と、外側表面108と、内側表面110であって、近位端102から遠位端104までの縦軸106に沿って延在する変形可能ボア111を画定する、内側表面110とを備える、伸長本体101を備え、変形可能ボア111は、(a)縦方向に開放したチャネル116を画定する開放ボア114を備える、デフォルト配向113Aと、(b)縦方向に本質的に閉鎖されたチャネル120を画定する少なくとも本質的に閉鎖されたボア118を備える、第2の配向113Bとを備え、変形可能ボアは、半径方向圧縮力122が本体101の外側表面108の少なくとも一部に印加されていることに応じて、デフォルト配向113Aから第2の配向113Bに移動可能であって、本体101の内側表面110は、直径Dを有し、これは、変形可能ボア111がデフォルト配向113Aから第2の配向113Bに移動することに応じて低減され、直径は、変形可能ボア111を通した流体流が低減されるであろう点を上回る点まで低減可能である。いくつかの実施例では、直径Dは、変形可能ボア111がデフォルト配向113Aから第2の配向113Bに移動することに応じて、最大約40%低減される。
好適な尿管ステントの他の実施例は、米国特許出願公開第US2002/0183853A1号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示される。いくつかの実施例では、例えば、第US2002/0183853A1号の図4、5、および7および本明細書の図4−6(第US2002/0183853A1号の図1、4、5、および7と同一である)に示されるように、尿管ステントは、近位端12と、遠位端14(図示せず)と、縦軸15と、近位端12から遠位端14までの縦軸15に沿って延在し、患者の腎臓と膀胱との間の流体流の開存性を維持する、少なくとも1つの排出チャネル(例えば、図4では26、28、30、図5では32、34、36、および38、図6では48)とを備える、伸長本体10を備える。いくつかの実施例では、少なくとも1つの排出チャネルは、その少なくとも縦方向部分に沿って部分的に開放される。いくつかの実施例では、少なくとも1つの排出チャネルは、その少なくとも縦方向部分に沿って閉鎖される。いくつかの実施例では、少なくとも1つの排出チャネルは、その縦方向長に沿って閉鎖される。いくつかの実施例では、尿管ステントは、半径方向に圧縮可能である。いくつかの実施例では、尿管ステントは、半径方向に圧縮可能であって、少なくとも1つの排出チャネルを狭小化させる。いくつかの実施例では、伸長本体10は、伸長本体10の縦軸15に沿って、少なくとも1つの外部フィン40を備える。いくつかの実施例では、伸長本体は、4つの排出チャネルのうちの1つを備える。排出チャネルの直径は、上記に説明されるものと同一であることができる。
負圧を誘発するためのシステム
流体を患者の尿路から除去するためのシステムが、提供され、患者の腎臓のうちの少なくとも1つと膀胱との間の流体流の開存性を維持するための尿管ステントまたは尿管カテーテルと、流体を患者の膀胱から排出するための排出管腔を備える、膀胱カテーテルと、排出管腔の遠位端と流体連通する、ポンプであって、ポンプを作動させ、負圧をカテーテルの近位端に印加し、負圧を患者の尿路の一部内に誘発し、流体を患者の尿路から除去するように構成される、コントローラを備える、ポンプとを備える。
図7を参照すると、腎臓潅流を増加させるために負圧を患者の尿路内に誘発するための例示的システム1100が、図示される。システム1100は、負圧を発生させるために流体ポンプ2000に接続される、1つまたは2つの尿管カテーテル1212(または代替として、図1に示される尿管ステント)を備える。より具体的には、患者の尿路は、患者の右腎2および左腎4を備える。腎臓2、4は、血液濾過および尿を通した身体から廃棄化合物のクリアランスに関与する。右腎2および左腎4によって産生された尿は、患者の膀胱10の中に、尿細管、すなわち、腎盂20、21において腎臓に接続される、右尿管6および左尿管8を通して排出される。尿は、尿管壁の蠕動および重力によって、尿管6、8を通して伝導され得る。尿管6、8は、尿管口または開口部16を通して、膀胱10に進入する。膀胱10は、尿が身体から排泄されるまで尿を収集するように適合される、可撓性かつ実質的に中空の構造である。膀胱10は、空位置(参照線Eによって示される)から満杯位置(参照線Fによって示される)まで遷移可能である。通常、膀胱10が実質的に満杯状態に到達すると、流体または尿は、膀胱10から尿道12に膀胱10の下側部分に位置する尿道括約筋または開口部18を通して排出することが可能にされる。膀胱10の収縮は、尿管開口部16と尿道開口部18の間に延在する三角形領域である、膀胱10の三角部領域14上に付与される応力および圧力に応答し得る。三角部領域14は、膀胱10が充填し始めるにつれて、三角部領域14上にかかる圧力が増加するように、応力および圧力に敏感である。三角部領域14上の閾値圧力を超えると、膀胱10は、収縮し始め、収集された尿を尿道12を通して排出する。
図7および7Aに示されるように、尿管カテーテルの遠位部分は、腎臓2、4の近傍の腎盂20、21内で展開される。カテーテル1212のうちの1つ以上のものの近位部分は、膀胱の中に入り込む。膀胱カテーテルの近位部分は、流体ポンプ2000等の負圧源に接続される。コネクタの形状およびサイズは、使用されているポンプ2000のタイプに基づいて選択されることができる。いくつかの実施例では、コネクタは、特定のポンプタイプのみに接続され得るように、明確に異なる構成を伴って製造されることができ、これは、負圧を患者の膀胱、尿管、または腎臓内に誘発するために安全であると見なされる。他の実施例では、本明細書に説明されるように、コネクタは、種々の異なるタイプの流体ポンプへの取付のために適合される、より一般的な構成であることができる。システム1100は、本明細書に開示される膀胱カテーテルと併用され得る、負圧を誘発するための負圧システムの一実施例にすぎない。
ここで図1、2、7、7A、17を参照すると、いくつかの実施例では、システム100は、膀胱カテーテル116を備える。尿管カテーテル112、114の遠位端120、121は、直接、膀胱の中に排出することができ、流体は、膀胱カテーテル116を通して、随意に、膀胱カテーテル管の側面に沿って、排出されることができる。
例示的膀胱カテーテル
本明細書に開示される尿管カテーテルのいずれかは、本方法およびシステムにおいて有用な膀胱カテーテルとして使用されることができる。いくつかの実施例では、膀胱カテーテル116は、尿収集アセンブリ100の留置部分を係留、保定、および/またはそのための受動固定を提供し、いくつかの実施例では、使用の間、アセンブリ構成要素の早期および/または意図されない除去を防止するための展開可能シールおよび/またはアンカ136を備える。アンカ136は、患者の膀胱10(図1、2、7、7A、17に示される)の下壁に隣接して位置し、患者運動および/または留置カテーテル112、114、116に印加される力が尿管に伝達されることを防止するように構成される。膀胱カテーテル116は、尿を膀胱10から外部尿収集容器712(図44に示される)に伝導させるように構成される排出管腔140を画定する、内部を備える。いくつかの実施例では、膀胱カテーテル116の管サイズは、約8フレンチ〜約24フレンチに及ぶことができる。いくつかの実施例では、膀胱カテーテル116は、約2.7〜約8mmに及ぶ管外径を有することができる。いくつかの実施例では、膀胱カテーテル116は、約2.16〜約10mmに及ぶ内径を有することができる。膀胱カテーテル116は、性別および/または患者サイズのための解剖学的差異に適応するために異なる長さで利用可能であり得る。例えば、平均女性尿道長は、わずか数インチであって、したがって、管138の長さは、かなり短くあり得る。男性の平均尿道長は、陰茎に起因してより長く、ばらつきがあり得る。女性が、過剰管類がカテーテル116の操作および/またはその滅菌部分の汚染の防止における困難を増加させないことを前提として、より長い長さの管138を伴う膀胱カテーテル116を使用し得ることも可能性として考えられる。いくつかの実施例では、膀胱カテーテル116の滅菌および留置部分は、約1インチ〜3インチ(女性)〜約20インチ(男性)に及ぶことができる。滅菌および非滅菌部分を含む、膀胱カテーテル116の全長は、1〜数フィートであることができる。
カテーテル管138は、尿を排出管腔140の中に引き出すために膀胱10内に位置付けられるように構成される、1つ以上の排出ポート142を備えることができる。例えば、尿管カテーテル112、114から患者の膀胱10の中に流動する流体または尿は、膀胱10からポート142および排出管腔140を通して放出される。排出管腔140は、負圧に加圧され、流体収集を補助してもよい。
図2を具体的に参照すると、展開可能シールおよび/またはアンカ136が、膀胱カテーテル116の遠位端148またはそれに隣接して配置される。展開可能アンカ136は、膀胱10の中への尿道12および尿道開口部18を通した挿入のための収縮状態と、展開状態との間を遷移するように構成される。アンカ136は、膀胱10の下側部分内またはそれに隣接して、および/または尿道開口部18に対して、展開および着座されるように構成される。例えば、アンカ136は、尿道開口部18に隣接して位置付けられ、膀胱10に印加される負圧の吸引を向上させる、または、膀胱10を部分的に、実質的に、または完全にシールし、膀胱10内の尿が排出管腔140を通して指向されることを確実にし、尿道12への漏出を防止することができる。8フレンチ〜24フレンチの伸長管138を含む、膀胱カテーテル116に関して、アンカ136は、展開状態では、約10mm〜約100mmの直径を有することができる。
例示的膀胱アンカ構造
本明細書に開示される尿管カテーテルのいずれかは、本方法およびシステムにおいて有用な膀胱カテーテルとして使用されることができる。例えば、膀胱カテーテルは、図1および2に示されるような膀胱アンカとしてメッシュを備えることができる。別の実施例では、膀胱カテーテル116は、図7に示されるような膀胱アンカとしてコイルを備えることができる。別の実施例では、膀胱カテーテル116は、図7Aに示されるような膀胱アンカとしてメッシュ漏斗を備えることができる。別の実施例では、膀胱カテーテル116は、図17に示されるような膀胱アンカとして漏斗を備えることができる。
図41を参照すると、膀胱カテーテルの別の実施例では、拡張可能ケージは、膀胱カテーテルを膀胱内に係留することができる。拡張可能ケージは、膀胱カテーテルのカテーテル本体から縦方向および半径方向外向きに延在する複数の可撓性部材または尖叉を備え、これは、いくつかの実施例では、図41の尿管カテーテルの保定部分に関して前述のものに類似することができる。部材は、ニチノール等の好適な弾性かつ形状記憶材料から形成されることができる。展開位置では、部材または尖叉は、球体または楕円体中心空洞を画定するように十分な曲率が付与される。ケージは、カテーテル管または本体の開放遠位開放端に取り付けられ、管または本体によって画定された排出管腔へのアクセスを可能にする。ケージは、膀胱の下側部分内に位置付けるためにサイズ決めされ、1.0cm〜2.3cm、好ましくは、約1.9cm(0.75インチ)に及ぶ直径および長さを画定することができる。
いくつかの実施例では、ケージはさらに、ケージの遠位部分にわたって遮蔽体またはカバーを備え、組織、すなわち、膀胱の遠位壁が、ケージまたは部材との接触の結果として捕捉または噛込されるであろう可能性を防止または低減させる。より具体的には、膀胱が収縮するにつれて、膀胱の内側遠位壁は、ケージの遠位側と接触する。カバーは、組織が噛込または捕捉されることを防止し、使用の間、患者不快感を低減させ、デバイスを保護し得る。カバーは、少なくとも部分的に、織布ポリマーメッシュ等の多孔性および/または浸透性生体適合性材料から形成されることができる。いくつかの実施例では、カバーは、空洞の全てまたは実質的に全てを封入する。いくつかの実施例では、カバーは、ケージ210の遠位約2/3、遠位約半分、または遠位約1/3部分、または任意の量のみを被覆する。
ケージおよびカバーは、部材が中心部分の周囲および/または膀胱カテーテル116の周囲でともに緊密に収縮され、カテーテルまたはシースを通した挿入を可能にする、収縮位置から、展開位置に遷移可能である。例えば、形状記憶材料から構築されるケージの場合、ケージは、体温(例えば、37℃)等の十分な温度まで加温されると、展開位置に遷移するように構成されることができる。展開位置では、ケージは、好ましくは、尿道開口部より広い、直径Dを有し、患者運動が尿管カテーテル112、114を通して尿管に伝達することを防止する。部材212または尖叉の開放配列は、膀胱カテーテル216の遠位開口部248および/または排出ポートを妨害または閉塞させず、カテーテル112、114の操作を行うことをより容易にする。
膀胱カテーテルは、例えば、流体流路を画定する可撓性管類166によって、ポンプアセンブリ710等の真空源に接続される。
例示的流体センサ:
再び図1を参照すると、いくつかの実施例では、アセンブリ100はさらに、尿管6、8および/または膀胱10から収集されている流体または尿の物理的パラメータまたは流体特性を監視するためのセンサ174を備える。図44に関連して本明細書に議論されるように、センサ174から得られる情報は、中央データ収集モジュールまたはプロセッサに伝送され、例えば、ポンプ710(図44に示される)等の外部デバイスの動作を制御するために使用されることができる。センサ174は、例えば、カテーテル本体または管の壁内に埋設され、排出管腔124、140と流体連通する等、カテーテル112、114、116のうちの1つ以上のものと一体的に形成されることができる。他の実施例では、センサ174のうちの1つ以上のものは、流体収集容器712(図44に示される)またはポンプ710等の外部デバイスの内部回路内に位置付けられることができる。
尿収集アセンブリ100と併用され得る例示的センサ174は、以下のセンサタイプのうちの1つ以上のものを備えることができる。例えば、カテーテルアセンブリ100は、尿の伝導性をサンプリングする、伝導率センサまたは電極を備えることができる。人尿の正常伝導率は、約5〜10mS/mである。予期される範囲外の伝導率を有する尿は、患者が生理学的問題を被っており、さらなる治療または分析を要求することを示し得る。カテーテルアセンブリ100はまた、カテーテル112、114、116を通る尿の流率を測定するための流量計を含むことができる。流率は、身体から排泄される流体の総体積を決定するために使用されることができる。カテーテル112、114、116はまた、尿温度を測定するための温度計を備えることができる。尿温度は、伝導率センサと協働するために使用されることができる。尿温度はまた、生理学的正常範囲外の尿温度がある生理学的状態を示し得るため、監視目的のために使用されることができる。いくつかの実施例では、センサ174は、尿中のクレアチニンおよび/またはタンパク質の濃度を測定するように構成される、尿検体センサであることができる。例えば、種々の伝導性センサおよび光学分光法センサが、尿中の検体濃度を決定するために使用されてもよい。色変化試薬試験細片に基づくセンサもまた、本目的のために使用されてもよい。
システムの挿入方法:
尿管カテーテルおよび/または尿管ステントと、膀胱カテーテルとを備える、システム100を説明してきたが、尿管ステントまたは尿管カテーテルおよび膀胱カテーテルの挿入および展開のための方法のいくつかの実施例が、ここで、詳細に議論されるであろう。
図42Aを参照すると、システムを患者の身体内に位置付け、随意に、負圧を膀胱、尿管、および/または腎臓等の患者の尿路内に誘発するためのステップの実施例が、図示される。ボックス610に示されるように、医療従事者または介護者が、可撓性または剛性膀胱鏡を患者の尿道を通して膀胱の中に挿入し、尿管口または開口部の可視化を得る。いったん好適な可視化が得られると、ボックス612に示されるように、ガイドワイヤが、尿道、膀胱、尿管開口部、尿管を通して、腎臓の腎盂等の所望の流体収集位置に前進される。いったんガイドワイヤが所望の流体収集位置に前進されると、本発明の尿管ステントまたは尿管カテーテル(その実施例は、上記に詳細に議論される)は、ボックス614に示されるように、ガイドワイヤにわたって流体収集位置に挿入される。いくつかの実施例では、尿管ステントまたは尿管カテーテルの場所は、ボックス616に示されるように、蛍光透視法によって確認されることができる。いったん尿管ステントまたは尿管カテーテルの遠位端の位置が確認されると、ボックス618に示されるように、尿管カテーテルの保定部分が、展開されることができる。例えば、ガイドワイヤは、カテーテルから除去され、それによって、遠位端および/または保定部分が展開位置に遷移することを可能にすることができる。いくつかの実施例では、カテーテルの展開された遠位端部分は、尿がカテーテルの外側から尿管を通して膀胱の中に通過することを可能にされるように、尿管および/または腎盂を完全に閉塞しない。カテーテルを移動させることは、尿路組織に対して力を付与し得るため、尿管の完全妨害を回避し、傷害を生じさせ得る、尿管側壁への力の印加を回避する。
尿管ステントまたは尿管カテーテルが、定位置に来て展開された後、同一ガイドワイヤが、本明細書に説明される同一挿入および位置付け方法を使用して、第2の尿管ステントまたは尿管カテーテルを他の尿管および/または腎臓内に位置付けるために使用されることができる。例えば、膀胱鏡が、膀胱内の他の尿管開口部の可視化を得るために使用されることができ、ガイドワイヤは、可視化された尿管開口部を通して他の尿管内の流体収集位置に前進されることができる。第2の尿管ステントまたは第2の尿管カテーテルは、ガイドワイヤとともに牽引され、本明細書に説明される様式で展開されることができる。代替として、膀胱鏡およびガイドワイヤは、身体から除去されることができる。膀胱鏡は、第1の尿管カテーテルにわたって膀胱の中に再挿入されることができる。膀胱鏡は、第2の尿管ステントまたは第2の尿管カテーテルを位置付けるために、尿管開口部の可視化を得て、第2のガイドワイヤを第2の尿管および/または腎臓に前進させることを補助するように、前述の様式で使用される。いったん尿管ステントまたは尿管カテーテルが定位置に来ると、いくつかの実施例では、ガイドワイヤおよび膀胱鏡は、除去される。他の実施例では、膀胱鏡および/またはガイドワイヤは、膀胱内に留まり、膀胱カテーテルの設置を補助することができる。
いったん尿管カテーテルが定位置に来ると、ボックス620に示されるように、医療従事者、介護者、または患者は、圧潰または収縮状態における膀胱カテーテルの遠位端を患者の尿道を通して膀胱の中に挿入することができる。膀胱カテーテルは、上記で詳細に議論されるような本発明の膀胱カテーテルであることができる。いったん膀胱内に挿入されると、ボックス622に示されるように、膀胱カテーテルに接続されたおよび/またはそれと関連付けられたアンカは、展開位置に拡張される。いくつかの実施例では、膀胱カテーテルは、ガイドワイヤおよび/または膀胱鏡を使用せずに、尿道を通して膀胱の中に挿入される。他の実施例では、膀胱カテーテルは、尿管ステントまたは尿管カテーテルを位置付けるために使用される同一ガイドワイヤにわたって挿入される。
いくつかの実施例では、尿管ステントまたは尿管カテーテルは、展開され、少なくとも24時間またはより長く、患者の身体内に留まる。いくつかの実施例では、尿管ステントまたは尿管カテーテルは、展開され、少なくとも30日またはそれより長く、患者の身体内に留まる。いくつかの実施例では、尿管ステントまたは尿管カテーテルは、周期的に、例えば、毎週または毎月交換され、療法の期間を延長させることができる。
いくつかの実施例では、膀胱カテーテルは、尿管ステントまたは尿管カテーテルより頻繁に交換される。いくつかの実施例では、複数の膀胱カテーテルが、単一尿管ステントまたは尿管カテーテルのために、留置時間の間、連続して、設置され、除去される。例えば、医師、看護士、介護者、または患者は、自宅または任意の保健医療設定において、膀胱カテーテルを患者内に設置することができる。複数の膀胱カテーテルが、キット内に、随意に、必要に応じて、設置、交換、および膀胱カテーテルと負圧源の随意の接続または容器への排出のための命令とともに、医療従事者、患者、または介護者に提供されることができる。いくつかの実施例では、負圧は、所定の晩数(1〜30晩またはそれよりも多い晩数等)にわたって、毎晩印加される。随意に、膀胱カテーテルは、負圧の印加の前に、毎晩交換されることができる。
いくつかの実施例では、尿は、尿道からの重力または蠕動によって排出することが可能にされる。他の実施例では、負圧が、膀胱カテーテル内で誘発され、尿の排出を促進する。任意の理論によって拘束されることを意図するわけではないが、膀胱カテーテルの近位端に印加される負圧の一部は、尿管、腎盂、または腎臓の他の部分に伝送され、腎臓からの流体または尿の排出を促進すると考えられる。
図42Bを参照すると、尿管および/または腎臓内の負圧の誘発のためのシステムを使用するためのステップが、図示される。ボックス624に示されるように、尿管ステントまたは尿管カテーテルおよび膀胱カテーテルの留置部分が、正しく位置付けられ、任意の係留/保定構造が、存在する場合、展開された後、膀胱カテーテルの外部近位端が、流体収集またはポンプアセンブリに接続される。例えば、膀胱カテーテルは、負圧を患者の膀胱、腎盂、および/または腎臓において誘発するためのポンプに接続されることができる。
いったん膀胱カテーテルおよびポンプアセンブリが接続されると、負圧が、ボックス626に示されるように、膀胱カテーテルの排出管腔を通して、腎盂および/または腎臓および/または膀胱に印加される。負圧は、腹腔内圧上昇および結果として生じるまたは上昇した腎静脈圧または腎リンパ圧に起因する、鬱滞媒介間質静水圧に対抗するように意図される。印加される負圧は、したがって、髄質尿細管を通した濾過液の流動を増加させ、水分およびナトリウム再吸収を減少させることが可能である。
印加される負圧の結果、ボックス628に示されるように、尿が、その遠位端の複数の排出ポートにおける膀胱カテーテルの中に、膀胱カテーテルの排出管腔を通して、廃棄のための流体収集容器に引き出される。尿が収集容器に引き出されるにつれて、ボックス630において、流体収集システム内に配置される随意のセンサは、収集される尿の体積等の物理的パラメータを査定するために使用され得る尿についてのいくつかの測定および患者の物理的状態および形成される尿の組成物についての情報を提供することができる。いくつかの実施例では、センサによって得られる情報は、ボックス632に示されるように、ポンプおよび/または別の患者監視デバイスと関連付けられたプロセッサによって処理され、ボックス634において、関連付けられたフィードバックデバイスの視覚的ディスプレイを介してユーザに表示される。
例示的流体収集システム:
そのようなシステムを患者の身体内に位置付ける例示的システムおよび方法が説明されてきたが、ここで、図44を参照して、負圧を患者の膀胱、尿管、腎盂、および/または腎臓に誘発するためのシステム700が、説明されるであろう。システム700は、本明細書に上記で説明される、尿管ステントおよび/または尿管カテーテル、膀胱カテーテル、またはシステム100を備えることができる。図44に示されるように、システム100の膀胱カテーテル116は、膀胱から引き出される尿を収集するために1つ以上の流体収集容器712に接続される。膀胱カテーテル116に接続される流体収集容器712は、負圧を膀胱カテーテル116および/または尿管カテーテル112、114を通して膀胱、尿管、および/または腎臓内に発生させるために外部流体ポンプ710と流体連通することができる。本明細書に議論されるように、そのような負圧は、間質圧を克服し、尿を腎臓または腎単位内で形成するために提供されることができる。いくつかの実施例では、流体収集容器712とポンプ710との間の接続は、流体ロックまたは流体障壁を備え、偶発的治療用または非治療用圧力変化の場合、空気が膀胱、腎盂、または腎臓に進入することを防止することができる。例えば、流体容器の流入および流出ポートは、容器内に流体レベルを下回って位置付けられることができる。故に、空気は、流体容器712の流入または流出ポートのいずれかを通して医療管類またはカテーテルに進入することを防止される。前述のように、流体収集容器712とポンプ710との間に延在する管類の外部部分は、1つ以上のフィルタを含み、尿および/または粒子状物質がポンプ710に進入することを防止することができる。
図44に示されるように、システム700はさらに、ポンプ710に電子的に結合され、コンピュータ可読メモリ716を有する、またはそれと関連付けられたマイクロプロセッサ等のコントローラ714を備える。いくつかの実施例では、メモリ716は、実行されると、コントローラ714に、情報をアセンブリ100の一部上に位置する、またはそれと関連付けられたセンサ174から受信させる命令を備える。患者の状態についての情報は、センサ174からの情報に基づいて決定されることができる。センサ174からの情報はまた、ポンプ710のための動作パラメータを決定および実装するために使用されることができる。
いくつかの実施例では、コントローラ714は、専用電子デバイス、コンピュータ、タブレットPC、またはスマートフォン等のポンプ710と通信する別個かつ遠隔の電子デバイス内に組み込まれる。代替として、コントローラ714は、ポンプ710内に含まれることができ、例えば、ポンプ710を手動で動作させるためのユーザインターフェースと、情報をセンサ174から受信し、処理する等のシステム機能との両方を制御することができる。
コントローラ714は、情報を1つ以上のセンサ174から受信し、情報を関連付けられたコンピュータ可読メモリ716内に記憶するように構成される。例えば、コントローラ714は、1秒に1回等の所定の率でセンサ174から情報を受信し、受信された情報に基づいて、伝導率を決定するように構成されることができる。いくつかの実施例では、伝導率を計算するためのアルゴリズムはまた、尿温度等の他のセンサ測定を含み、伝導率のよりロバストな決定を得ることができる。
コントローラ714はまた、患者状態の変化を経時的に例証する、患者物理統計または診断インジケータを計算するように構成されることができる。例えば、システム700は、排泄される総ナトリウム量を識別するように構成されることができる。排泄される総ナトリウム量は、例えば、ある時間周期にわたる流率および伝導率の組み合わせに基づき得る。
図19を継続して参照すると、システム700はさらに、情報をユーザに提供するために、視覚的ディスプレイまたはオーディオシステム等のフィードバックデバイス720を備えることができる。いくつかの実施例では、フィードバックデバイス720は、ポンプ710と一体的に形成されることができる。代替として、フィードバックデバイス720は、コンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットPC、スマートフォン、または他のハンドヘルド電子デバイス等の別個の専用または多目的電子デバイスであることができる。フィードバックデバイス720は、計算または決定された測定をコントローラ714から受信し、受信された情報をフィードバックデバイス720を介してユーザに提示するように構成される。例えば、フィードバックデバイス720は、尿路に印加されている現在の負圧(mmHg単位)を表示するように構成されることができる。他の実施例では、フィードバックデバイス720は、尿の現在の流率、温度、尿のmS/m単位における現在の伝導率、セッションの間に産生された総尿量、セッションの間に排泄される総ナトリウム量、他の物理的パラメータ、または任意のそれらの組み合わせを表示するように構成されることができる。
いくつかの実施例では、フィードバックデバイス720はさらに、ユーザがポンプ710の動作を制御することを可能にする、ユーザインターフェースモジュールまたは構成要素を備える。例えば、ユーザは、ユーザインターフェースを介して、ポンプ710をオンまたはオフにすることができる。ユーザはまた、ポンプ710によって印加される圧力を調節し、より大きな大きさまたは率のナトリウム排泄および流体除去を達成することができる。
随意に、フィードバックデバイス720および/またはポンプ710はさらに、情報をデバイス720および/またはポンプ710から他の電子デバイスまたはコンピュータネットワークに送信するためのデータ送信機722を備える。データ送信機722は、短距離または長距離データ通信プロトコルを利用することができる。短距離データ伝送プロトコルの実施例は、Bluetooth(登録商標)である。長距離データ伝送ネットワークは、例えば、Wi−Fiまたはセルラーネットワークを含む。データ送信機722は、情報を患者の医師または介護者に送信し、医師または介護者に患者の電流状態について知らせることができる。代替として、または加えて、情報は、例えば、患者の電子医療記録(EHR)内に記録される情報を含むように、データ送信機722から既存のデータベースまたは情報記憶場所に送信されることができる。
図44を継続して参照すると、尿センサ174に加え、いくつかの実施例では、システム700はさらに、1つ以上の患者監視センサ724を備えることができる。患者監視センサ724は、上記に詳細に議論されるような尿組成、血液組成(例えば、ヘマトクリット率、検体濃度、タンパク質濃度、クレアチニン濃度)、および/または血流(例えば、血圧、血流速)等の患者の物理的パラメータについての情報を測定するために、侵襲性および非侵襲性センサを含むことができる。ヘマトクリットは、赤血球の体積対血液の総体積の比である。正常ヘマトクリットは、約25%〜40%、好ましくは、約35%および40%(例えば、体積比35%〜40%赤血球および60%〜65%血漿)である。
非侵襲性患者監視センサ724は、パルスオキシメトリセンサ、血圧センサ、心拍数センサ、および呼吸センサ(例えば、カプノグラフィセンサ)を含むことができる。侵襲性患者監視センサ724は、侵襲性血圧センサ、グルコースセンサ、血液速度センサ、ヘモグロビンセンサ、ヘマトクリットセンサ、タンパク質センサ、クレアチニンセンサ、およびその他を含むことができる。さらに他の実施例では、センサは、体外血液システムまたは回路と関連付けられ、体外システムの管類を通過する血液のパラメータを測定するように構成されてもよい。例えば、静電容量センサまたは光学分光法センサ等の検体センサは、体外血液システムの管類と関連付けられ、管類を通過するにつれて、患者血液のパラメータ値を測定してもよい。患者監視センサ724は、ポンプ710および/またはコントローラ714と有線または無線通信することができる。
いくつかの実施例では、コントローラ714は、ポンプ710に、血液監視センサ等の尿検体センサ174および/または患者監視センサ724から取得される患者ベースの情報のための治療を提供させるように構成される。例えば、ポンプ710を動作させるパラメータは、患者の血液ヘマトクリット率、血液タンパク質濃度、クレアチニン濃度、排尿体積、尿タンパク質濃度(例えば、アルブミン)、および他のパラメータの変化に基づいて調節されることができる。例えば、コントローラ714は、患者の血液ヘマトクリット率またはクレアチニン濃度についての情報を患者監視センサ724および/または検体センサ174から受信するように構成されることができる。コントローラ714は、血液および/または尿測定に基づいて、ポンプ710の動作パラメータを調節するように構成されることができる。他の実施例では、ヘマトクリット率は、患者から取得される血液サンプルから周期的に測定されてもよい。試験の結果は、処理および分析のために、手動でまたは自動的に、コントローラ714に提供されることができる。
本明細書に議論されるように、患者に関する測定されたヘマトクリット値は、一般的母集団に関する所定の閾値または臨床上容認可能値と比較されることができる。概して、女性に関するヘマトクリットレベルは、男性に関するものより低い。他の実施例では、測定されたヘマトクリット値は、外科手術手技に先立って取得される、患者ベースライン値と比較されることができる。測定されたヘマトクリット値が、容認可能範囲内で増加されると、ポンプ710は、オフにされ、尿管または腎臓への負圧の印加を停止してもよい。同様に、負圧の強度も、測定されたパラメータ値に基づいて調節されることができる。例えば、患者の測定されたパラメータが、容認可能範囲に近づき始めるにつれて、尿管および腎臓に印加されている負圧の強度は、低減されることができる。対照的に、望ましくない傾向(例えば、ヘマトクリット値、排尿率、および/またはクレアチニンクリアランスの減少)が、識別される場合、負圧の強度は、ポジティブな生理学的結果を産生するために、増加されることができる。例えば、ポンプ710は、低レベルの負圧(例えば、約0.1mmHg〜10mmHg)を提供することによって、開始するように構成されてもよい。負圧は、患者クレアチニンレベルのポジティブな傾向が観察されるまで、徐々に増加されてもよい。しかしながら、概して、ポンプ710によって提供される負圧は、約50mmHgを超えないであろう。
図45Aおよび45Bを参照すると、システムと併用するための例示的ポンプ710が、図示される。いくつかの実施例では、ポンプ710は、流体をカテーテル112、114(例えば、図1に示される)から引き出すように構成され、約10mmHg以下の感度または正確度を有する、マイクロポンプである。望ましくは、ポンプ710は、長期間、例えば、約8時間〜約24時間/日、1〜約30日、またはより長い期間にわたって0.05ml/分〜3ml/分の尿の流動範囲を提供可能である。0.2ml/分では、約300mLの尿/日がシステム700によって収集されることが予期される。ポンプ710は、負圧を患者の膀胱に提供するように構成されることができ、負圧は、約0.1mmHg〜約150mmHg、または約0.1mmHg〜約50mmHg、または約5mmHg〜約20mmHg(ポンプ710におけるゲージ圧)に及ぶ。例えば、Langer Inc.(モデルBT100−2J)によって製造されたマイクロポンプが、本開示のシステム700と併用されることができる。ダイヤフラム吸引器ポンプおよび他のタイプの市販のポンプもまた、本目的のために使用されることができる。蠕動ポンプもまた、システム700と併用されることができる。他の実施例では、ピストンポンプ、真空ボトル、または手動真空源が、負圧を提供するために使用されることができる。他の実施例では、システムは、負圧を治療上適切なレベルまで低減させるための真空調整器を通して、病院において利用可能であるような壁吸引源に接続されることができる。
いくつかの実施例では、ポンプアセンブリの少なくとも一部は、患者の尿路、例えば、膀胱内に位置付けられることができる。例えば、ポンプアセンブリは、ポンプモジュールと、ポンプモジュールに結合される、制御モジュールとを備えることができ、制御モジュールは、ポンプモジュールの運動を指図するように構成される。ポンプモジュール、制御モジュール、または電力供給源のうちの少なくとも1つ(1つ以上)が、患者の尿路内に位置付けられてもよい。ポンプモジュールは、流体流チャネル内に位置付けられ、流体をチャネルを通して引き込む、少なくとも1つのポンプ要素を備えることができる。好適なポンプアセンブリ、システム、および使用方法のいくつかの実施例は、「Indwelling Pump for Facilitating Removal of Urine from the Urinary Tract」と題され、2017年8月25日に出願された米国特許出願第62/550,259号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示される。
いくつかの実施例では、ポンプ710は、長期使用のために構成されることができ、したがって、膀胱カテーテルの交換時間を除き、例えば、8〜24時間/日、1〜約30日、またはより長い周期にわたって、精密な吸引を維持することが可能である。さらに、いくつかの実施例では、ポンプ710は、手動で動作され、その場合、ユーザが所望の吸引値を設定することを可能にする、制御パネル718を含むように構成される。ポンプ710はまた、コントローラまたはプロセッサを含むことができ、これは、システム700を動作させる同一コントローラであり得るか、または、ポンプ710の動作のための専用の別個のプロセッサであり得る。いずれの場合も、プロセッサは、ポンプの手動動作のための命令と、所定の動作パラメータに従ってポンプ710を自動的に動作させるための命令との両方を受信するために構成される。代替として、または加えて、ポンプ710の動作は、カテーテルと関連付けられた複数のセンサから受信されたフィードバックに基づいて、プロセッサによって制御されることができる。
いくつかの実施例では、プロセッサは、ポンプ710を断続的に動作させるように構成される。例えば、ポンプ710は、負圧のパルスを発し、負圧が提供されない周期が続くように構成されてもよい。他の実施例では、ポンプ710は、負圧および正圧の提供間を交互し、交互フラッシュおよびポンプ効果をもたらすように構成されることができる。例えば、約0.1mmHg〜20mmHg、好ましくは、約5mmHg〜20mmHgの正圧が、提供された後、約0.1mmHg〜50mmHgに及ぶ負圧が続くことができる。
本明細書に説明されるデバイスおよびシステムを使用して過剰流体を患者から除去するためのステップは、図49に図示される。図49に示されるように、治療方法は、ボックス910に示されるように、尿が尿管および/または腎臓から流動するように、尿管ステントまたは尿管カテーテル等の尿路カテーテルを患者の尿管および/または腎臓内で展開するステップを含む。カテーテルは、尿管および/または腎臓を閉塞することを回避するように設定されてもよい。いくつかの実施例では、ステントまたはカテーテルの流体収集部分は、患者の腎臓の腎盂内に位置付けられてもよい。いくつかの実施例では、尿管ステントまたは尿管カテーテルは、患者の腎臓のそれぞれ内に位置付けられてもよい。他の実施例では、尿収集カテーテルは、ボックス911に示されるように、膀胱または尿管内で展開されてもよい。いくつかの実施例では、尿管カテーテルは、本明細書に説明される保定部分のいずれかのうちの1つ以上のものを備える。例えば、尿管カテーテルは、螺旋保定部分および複数の排出ポートを備える排出管腔を画定する、管を備えることができる。他の実施例では、カテーテルは、漏斗形状の流体収集および保定部分またはピグテールコイルを含むことができる。代替として、例えば、ピグテールコイルを有する、尿管ステントが、展開されることができる。
ボックス912に示されるように、本方法はさらに、膀胱カテーテルを通して、負圧を膀胱、尿管、および/または腎臓のうちの少なくとも1つに印加し、流体または尿の産生を腎臓内で誘発または促進し、流体または尿を患者から抽出するステップを含む。望ましくは、負圧は、患者の血液クレアチニンレベルを臨床上有意な量だけ低減させるために十分なある時間周期にわたって印加される。
負圧は、所定の時間周期にわたって、印加され続けてもよい。例えば、ユーザは、外科手術手技の持続時間または患者の生理学的特性に基づいて選択されたある時間周期にわたって、ポンプを動作させるように命令されてもよい。他の実施例では、患者状態が、監視され、十分な治療が提供されたときを決定してもよい。例えば、ボックス914に示されるように、本方法はさらに、患者を監視し、患者の膀胱、尿管、および/または腎臓への負圧の印加を停止すべきときを決定するステップを含んでもよい。いくつかの実施例では、患者のヘマトクリットレベルは、測定される。例えば、患者監視デバイスが、ヘマトクリット値を周期的に取得するために使用されてもよい。他の実施例では、血液サンプルは、周期的に採取され、直接、ヘマトクリットを測定してもよい。いくつかの実施例では、膀胱カテーテルを通して身体から排出される尿の濃度および/または体積もまた、監視され、尿が腎臓によって産生されている率を決定してもよい。同様に、排出された排尿も、監視され、患者に関するタンパク質濃度および/またはクレアチニンクリアランス率を決定してもよい。尿中の低減されたクレアチニンおよびタンパク質濃度は、過希釈および/または腎機能低下を示し得る。測定された値は、所定の閾値と比較され、負圧療法が患者状態を改良するかどうかと、修正または中断されるべきかどうかとを査定することができる。例えば、本明細書に議論されるように、患者ヘマトクリットに関する望ましい範囲は、25%〜40%であってもよい。他の実施例では、本明細書に説明されるように、患者体重が、測定され、ドライ体重と比較されてもよい。測定された患者体重の変化は、流体が身体から除去されていることを実証する。したがって、ドライ体重への戻りは、血液希釈が、適切に管理されており、患者が、過希釈されていないことを表す。
ボックス916に示されるように、ユーザは、ポジティブな結果が識別されると、ポンプに、負圧療法の提供を停止させてもよい。同様に、患者血液パラメータは、監視され、患者の腎臓に印加されている負圧の有効性を査定してもよい。例えば、静電容量または検体センサが、体外血液管理システムの管類と流体連通するように設置されてもよい。センサは、血液タンパク質、酸素、クレアチニン、および/またはヘマトクリットレベルを表す情報を測定するために使用されてもよい。測定された血液パラメータ値は、継続的または周期的に、測定され、種々の閾値または臨床上容認可能値と比較されてもよい。負圧は、測定されたパラメータ値が臨床上容認可能範囲内になるまで、患者の膀胱、腎臓、または尿管に印加され続けてもよい。いったん測定された値が、閾値または臨床上容認可能範囲内になると、ボックス916に示されるように、負圧の印加は、停止してもよい。
いくつかの実施例では、慢性浮腫症、高血圧症、慢性腎臓疾患、および/または急性心不全と関連付けられた全身流体体積管理のために、過剰流体を患者から除去する方法が、提供される。本開示の別の側面によると、過剰流体を患者から除去することによって冠動脈移植バイパス外科手術等の蘇生輸液手技を受ける患者のための過剰流体を除去するための方法が、提供される。蘇生輸液の間、生理食塩水溶液および/または澱粉溶液等の溶液が、静脈内点滴等の好適な流体送達プロセスによって、患者の血流に導入される。例えば、いくつかの外科手術手技では、患者は、5〜10回、正常な流体の1日摂取量を供給され得る。補液または蘇生輸液は、発汗、出血、脱水、および類似プロセスを通して喪失された体液を補給するために提供され得る。冠動脈移植バイパス等の外科手術手技の場合、蘇生輸液は、患者の体液平衡および血圧を適切な率内に維持することを支援するために提供される。急性腎障害(AKI)は、冠動脈移植バイパス外科手術の公知の合併症である。AKIは、腎不全に進行しない患者でさえ、長期入院および罹患率および死亡率の上昇と関連付けられる。Kim, et al., Relationship between a perioperative intravenous fluid administration strategy and acute kidney injury following off−pump coronary artery bypass surgery: an observational study, Critical Care 19:350 (1995)を参照されたい。流体を血液に導入することはまた、ヘマトクリットレベルを低減させ、これは、死亡率および罹患率をさらに増加させることが示されている。研究はまた、生理食塩水溶液を患者に導入することが、腎機能を低下させ、および/または自然流体管理プロセスを阻止し得ることを実証している。したがって、腎機能の適切な監視および制御は、改良された転帰を産生し得、特に、AKIの術後症例を低減させ得る。
過剰な流体を除去するために患者を治療する方法は、図50に図示される。ボックス1010に示されるように、本方法は、尿管および/または腎臓からの尿の流動が尿管および/または腎臓の閉塞によって阻まれないように、尿管ステントまたは尿管カテーテルを患者の尿管および/または腎臓内で展開するステップを含む。例えば、尿管ステントの遠位端またはカテーテルの流体収集部分は、腎盂内に位置付けられてもよい。他の実施例では、カテーテルは、膀胱または尿管内で展開されてもよい。カテーテルは、本明細書に説明される尿管カテーテルのうちの1つ以上のものを備えることができる。例えば、カテーテルは、排出管腔を画定し、螺旋保定部分および複数の排出ポートを備える、管を備えることができる。他の実施例では、カテーテルは、ピグテールコイルを含むことができる。
ボックス1012に示されるように、膀胱カテーテルはまた、患者の膀胱内で展開されることができる。例えば、膀胱カテーテルは、尿道開口部を少なくとも部分的にシールし、身体から尿道を通した尿の通過を防止するように位置付けられてもよい。膀胱カテーテルは、例えば、カテーテルの遠位端を膀胱内に維持するために、アンカを含むことができる。本明細書に説明されるように、コイルおよび螺旋、漏斗等の他の配列が、膀胱カテーテルの適切な位置付けを取得するために使用されてもよい。膀胱カテーテルは、尿管カテーテルの設置に先立って、患者の膀胱に進入した流体だけではなく、治療の間、尿管、尿管ステント、および/または尿管カテーテルから収集される流体を収集するように構成されることができる。膀胱カテーテルはまた、尿管カテーテルの流体収集部分を越えて流動し、膀胱に進入する、尿を収集してもよい。いくつかの実施例では、尿管カテーテルの近位部分は、膀胱カテーテルの排出管腔内に位置付けられてもよい。同様に、膀胱カテーテルは、尿管カテーテルを位置付けるために使用される同一ガイドワイヤを使用して、膀胱の中に前進されてもよい。いくつかの実施例では、負圧が、膀胱カテーテルの排出管腔を通して、膀胱に提供されてもよい。他の実施例では、負圧は、膀胱カテーテルのみに印加されてもよい。その場合、尿管カテーテルは、重力によって膀胱の中に排出する。
ボックス1014に示されるように、尿管ステントおよび/または尿管カテーテルおよび膀胱カテーテルの展開に続いて、負圧が、膀胱カテーテルを通して、膀胱、尿管、および/または腎臓に印加される。例えば、負圧は、蘇生輸液手技の間に患者に提供される流体の一部を含む尿を抽出するために十分な時間周期にわたって、印加されることができる。本明細書に説明されるように、負圧は、膀胱カテーテルの近位端またはポートに接続される、外部ポンプによって提供されることができる。ポンプは、患者の療法要件に応じて、継続的または周期的に、動作されることができる。ある場合には、ポンプは、負圧の印加と正圧の印加との間で交互してもよい。
負圧は、所定の時間周期にわたって印加され続けてもよい。例えば、ユーザは、外科手術手技の持続時間または患者の生理学的特性に基づいて選択された時間周期にわたって、ポンプを動作させるように命令されてもよい。他の実施例では、患者状態が、監視され、十分な量の流体が患者から引き出されたときを決定してもよい。例えば、ボックス1016に示されるように、身体から排出される流体は、収集されてもよく、取得された流体の総体積が、監視されてもよい。その場合、ポンプは、所定の流体体積が尿管および/または膀胱カテーテルから収集されるまで動作し続けることができる。所定の流体体積は、例えば、外科手術手技に先立っておよびその間、患者に提供される流体の体積に基づいてもよい。ボックス1018に示されるように、膀胱、尿管、および/または腎臓への負圧の印加は、収集された流体の総体積が所定の流体体積を超えると停止される。
他の実施例では、ポンプの動作は、測定されたクレアチニンクリアランス、血液クレアチニンレベル、またはヘマトクリット率等の患者の測定された生理学的パラメータに基づいて決定されることができる。例えば、ボックス1020に示されるように、患者から収集される尿は、カテーテルおよび/またはポンプと関連付けられた1つ以上のセンサによって分析されてもよい。センサは、静電容量センサ、検体センサ、光学センサ、または尿検体濃度を測定するように構成される類似デバイスであることができる。同様に、ボックス1022に示されるように、患者の血液クレアチニンまたはヘマトクリットレベルは、前述の患者監視センサから取得された情報に基づいて分析され得る。例えば、静電容量センサは、既存の体外血液システム内に設置されてもよい。静電容量センサによって取得される情報は、分析され、患者のヘマトクリット率を決定してもよい。測定されたヘマトクリット率は、ある予期されるまたは療法上容認可能な値と比較されてもよい。ポンプは、療法上容認可能範囲内の測定された値が取得されるまで、負圧を患者の尿管および/または腎臓に印加し続けてもよい。いったん療法上容認可能な値が、取得されると、負圧の印加は、ボックス1018に示されるように、停止されてもよい。
他の実施例では、ボックス2024に示されるように、患者体重が、測定され、流体が印加される負圧療法によって患者から除去されているかどうかを査定してもよい。例えば、患者の測定された身体重量(蘇生輸液手技の間に導入される流体を含む)は、患者のドライ体重と比較されることができる。本明細書で使用されるように、ドライ体重は、患者が過希釈されていないときに測定される正常体重として定義される。例えば、血圧上昇、意識朦朧または筋痙攣、脚部、足、腕、手、または眼の周囲の腫脹のうちの1つ以上のものを被っておらず、快適に呼吸を行なっている患者は、過剰流体を有していない可能性が高い。患者がそのような症状を被っていないときに測定された体重は、ドライ体重であり得る。患者体重は、測定された体重がドライ体重に近づくまで、周期的に測定されることができる。ボックス1018に示されるように、測定された体重が近づくと(例えば、ドライ体重の5%〜10%以内)、負圧の印加は、停止されることができる。
本発明のシステムを使用した治療の前述の詳細は、増加された尿または流体出力または除去から利益を享受し得る、種々の病状を治療するために使用されることができる。例えば、負圧の印加によって腎機能を保存し、髄質領域の尿細管内の間質圧力を減少させ、排尿を促進し、腎臓の髄質内の静脈鬱滞誘発腎単位低酸素症を防止するための方法が、提供される。本方法は、尿管ステントまたは尿管カテーテルを患者の尿管または腎臓の中に展開し、患者の腎臓と膀胱との間の流体流の開存性を維持するステップと、膀胱カテーテルを患者の膀胱の中に展開するステップであって、膀胱カテーテルは、患者の膀胱内に位置付けられるように構成される、遠位端と、近位端を有する、排出管腔部分と、その間に延在する、側壁とを備える、ステップと、負圧をカテーテルの近位端に印加し、所定の時間周期にわたって、負圧を患者の尿路の一部内に誘発し、流体を患者の尿路から除去するステップとを含む。
別の実施例では、静脈鬱滞に起因する急性腎傷害の治療のための方法が、提供される。本方法は、尿管ステントまたは尿管カテーテルを患者の尿管または腎臓の中に展開し、患者の腎臓と膀胱との間の流体流の開存性を維持するステップと、膀胱カテーテルを患者の膀胱の中に展開するステップであって、膀胱カテーテルは、患者の膀胱内に位置付けられるように構成される、遠位端と、近位端を有する、排出管腔部分と、その間に延在する、側壁とを備える、ステップと、負圧をカテーテルの近位端に印加し、所定の時間周期にわたって、負圧を患者の尿路の一部内に誘発し、流体を患者の尿路から除去し、それによって、腎臓の静脈鬱滞を低減させ、急性腎傷害を治療するステップとを含む。
別の実施例では、腎臓内の静脈鬱滞の低減を通したNew York心臓協会(NYHA)分類IIIおよび/または分類IV心不全の治療のための方法が、提供される。本方法は、尿管ステントまたは尿管カテーテルを患者の尿管または腎臓の中に展開し、患者の腎臓と膀胱との間の流体流の開存性を維持するステップと、膀胱カテーテルを患者の膀胱の中に展開するステップであって、膀胱カテーテルは、患者の膀胱内に位置付けられるように構成される、遠位端と、近位端を有する、排出管腔部分と、その間に延在する、側壁とを備える、ステップと、負圧をカテーテルの近位端に印加し、所定の時間周期にわたって、負圧を患者の尿路の一部内に誘発し、流体を患者の尿路から除去し、NYHA分類IIIおよび/または分類IV心不全における体積過負荷を治療するステップとを含む。
別の実施例では、腎臓内の静脈鬱滞の低減を通した段階4および/または段階5の慢性腎臓疾患の治療のための方法が、提供される。本方法は、尿管ステントまたは尿管カテーテルを患者の尿管または腎臓の中に展開し、患者の腎臓と膀胱との間の流体流の開存性を維持するステップと、膀胱カテーテルを患者の膀胱の中に展開するステップであって、膀胱カテーテルは、患者の膀胱内に位置付けられるように構成される、遠位端と、近位端を有する、排出管腔部分と、その間に延在する、側壁とを備える、ステップと、負圧をカテーテルの近位端に印加し、負圧を患者の尿路の一部内に誘発し、流体を患者の尿路から除去し、腎臓内の静脈鬱滞を低減させるステップとを含む。
いくつかの実施例では、キットが、流体を患者の尿路から除去するために提供される。キットは、尿管および/または腎臓からの流体流を尿管ステントまたは尿管カテーテルの排出チャネルを通して患者の膀胱に向かって促進するための排出チャネルを備える、尿管ステントまたは尿管カテーテルと、負圧を患者の尿管、腎臓、または膀胱のうちの少なくとも1つ内で誘発し、尿を患者の膀胱内で展開されるカテーテルの排出管腔を通して引き出すように構成される、コントローラを備える、ポンプとを備える。いくつかの実施例では、キットはさらに、少なくとも1つの膀胱カテーテルを備える。いくつかの実施例では、キットはさらに、以下のうちの1つ以上のもの、すなわち、尿管ステントおよび/または尿管カテーテルを挿入/展開すること、膀胱カテーテルを挿入/展開すること、およびポンプを動作させ、尿を患者の膀胱内で展開された膀胱カテーテルの排出管腔を通して引き出すことのための命令を備える。
いくつかの実施例では、別のキットは、複数の使い捨て膀胱カテーテルであって、各膀胱カテーテルは、近位端と、患者の膀胱内に位置付けられるように構成される、遠位端と、その間に延在する、側壁とを有する、排出管腔部分と、排出管腔部分の遠位端の一部から半径方向外向きに延在し、保定部分の直径が排出管腔部分の直径よりも大きい、展開位置へと延在されるように構成される、保定部分とを備える、複数の使い捨て膀胱カテーテルと、膀胱カテーテルを挿入/展開するための命令と、膀胱カテーテルの近位端をポンプに接続し、例えば、負圧を膀胱カテーテルの近位端に印加することによって、ポンプを動作させ、尿を膀胱カテーテルの排出管腔を通して引き出すための命令とを備える。
尿管カテーテルを使用して負圧を誘発する実験実施例:
家畜用ブタの腎盂内における負圧の誘発が、腎臓内の腎鬱滞に及ぼす負圧療法の効果を評価する目的のために行われた。これらの研究の目的は、腎盂の中に送達される負圧が腎鬱滞のブタモデルにおいて排尿を有意に増加させるかどうかを実証するものであった。実施例1では、通常、塞栓除去術または気管支鏡検査法用途において使用される、小児用Fogartyカテーテルが、腎盂における負圧の誘発の原理の証明のためだけにブタモデルにおいて使用された。Fogartyカテーテルが、尿路組織の傷害を回避するために、臨床設定においてヒトに使用されることは示唆されない。実施例2では、図2Aおよび2Bに示され、カテーテルの遠位部分を腎盂または腎臓内に搭載または維持するための螺旋保定部分を含む、尿管カテーテル112が、使用された。
実施例1
方法
4匹の家畜用ブタ800が、腎臓内の腎鬱滞に及ぼす負圧療法の効果を評価する目的のために使用された。図21に示されるように、小児用Fogartyカテーテル812、814が、4匹のブタ800の各腎臓802、804の腎盂領域820、821に挿入された。カテーテル812、814が、拡張可能バルーンを、腎盂をシールし、バルーンの位置を腎盂内に維持するために十分なサイズに膨張させることによって、腎盂領域内に展開された。カテーテル812、814は、腎盂802、804から、膀胱810および尿道816を通して、ブタの外部の流体収集容器に延在する。
2匹の動物の排尿が、排尿体積および率に関するベースラインを確立するために15分周期にわたって収集された。右腎802および左腎804の排尿が、個々に測定され、著しく変動することが見出された。クレアチニンクリアランス値もまた、決定された。
腎鬱滞(例えば、腎臓の静脈内の鬱滞または血流低減)が、下大静脈(IVC)を腎静脈流出口の直上の膨張可能バルーンカテーテル850で部分的に閉塞することによって、動物800の右腎802および左腎804内で誘発された。圧力センサが、IVC圧力を測定するために使用された。正常IVC圧力は、1〜4mmHgであった。カテーテル850のバルーンをIVC直径の約3/4まで膨張させることによって、IVC圧力は、15〜25mmHgまで上昇された。IVC直径の約3/4までのバルーンの膨張は、排尿における50〜85%低減をもたらした。完全閉塞は、28mmHgよりも大きいIVC圧力を発生させ、排尿における少なくとも95%低減と関連付けられた。
各動物800の一方の腎臓が、治療されず、対照(「対照腎臓802」)として供与された。対照腎臓から延在する尿管カテーテル812は、流体レベルを決定するために流体収集容器819に接続された。各動物の一方の腎臓(「治療腎臓804」)が、尿管カテーテル814に接続される負圧源(例えば、小さい大きさの負圧をより正確に制御するように設計される調整器と組み合わせた療法ポンプ818)からの負圧で治療された。ポンプ818は、Cole−Parmer Instrument Company(モデル番号EW−07530−85)製Air Cadet Vacuum Pumpであった。ポンプ818は、調整器に直列に接続された。調整器は、Airtrol Components Inc.製V−800 Series Miniature Precision Vacuum Regulator−1/8 NPT Ports(モデル番号V−800−10−W/K)であった。
ポンプ818は、以下のプロトコルに従って、負圧を治療腎臓の腎盂820、821内で誘発するように作動された。最初に、負圧の効果が、正常状態で(例えば、IVCバルーンを膨張させずに)調査された。4つの異なる圧力レベル(−2、−10、−15、および−20mmHg)が、15分ずつ印加され、産生された尿およびクレアチニンクリアランスの率が、決定された。圧力レベルは、調整器において制御および決定された。−20mmHg療法に続いて、IVCバルーンが、膨張され、圧力を15〜20mmHg増加させた。同一の4つの負圧レベルが、印加された。鬱滞対照腎臓802および治療腎臓804に関する排尿量およびクレアチニンクリアランス率が、得られた。動物800は、90分にわたるIVCの部分的閉塞によって鬱滞させられた。治療が、90分鬱滞周期のうち60分にわたって提供された。
排尿およびクレアチニンクリアランスデータの収集に続いて、1匹の動物からの腎臓が、肉眼的検査を受け、次いで、10%中性緩衝ホルマリン内に固定された。肉眼的検査に続いて、組織切片が、得られ、検査され、切片の拡大画像が、捕捉された。切片は、直立型OlympusBX41光顕微鏡を使用して検査され、画像が、Olympus DP25デジタルカメラを使用して捕捉された。具体的には、サンプリングされた組織の光顕微鏡写真画像は、低拡大率(20倍オリジナル拡大率)および高拡大率(100倍オリジナル拡大率)で得られた。得られた画像は、組織学的評価を受けた。評価の目的は、組織を組織学的に検査し、得られたサンプルに関する鬱滞および尿細管変性を定質的に特性評価することであった。
表面マッピング分析もまた、得られた腎臓組織の両側で行われた。具体的には、サンプルは、染色および分析され、治療および未治療腎臓に関する尿細管のサイズの差異を評価した。画像処理技法によって、染色された画像内の異なる着色を伴うピクセルの数および/または相対的パーセンテージを計算した。計算された測定データは、異なる解剖学的構造の体積を決定するために使用された。
結果
排尿およびクレアチニンクリアランス
排尿量は、著しくばらつきがあった。排尿量における3つの変動の原因が、研究の間に観察された。個体間および血行動態の変動が、当技術分野において公知の変動の予期される原因であった。排尿における変動の第3の原因は、以前は未知であったと考えられる情報および考えに基づいて、本明細書で議論される実験において識別された、すなわち、排尿における対側性個体内変動である。
ベースライン排尿量は、一方の腎臓に関しては0.79ml/分であって、他方の腎臓に関しては1.07ml/分であった(例えば、26%差異)。排尿量は、動物毎の排尿量から計算された平均率である。
鬱滞がIVCバルーンを膨張させることによって提供されたとき、治療腎臓排尿は、0.79ml/分から0.12ml/分(ベースラインの15.2%)まで降下した。比較では、鬱滞の間の対照腎臓排尿量は、1.07ml/分から0.09ml/分(ベースラインの8.4%)まで降下した。排尿量に基づいて、対照腎臓排尿と比較した治療腎臓排尿における相対的増加が、以下の方程式に従って計算された。
(療法治療/ベースライン治療)/(療法対照/ベースライン対照)=相対的増加
(0.12ml/分/0.79ml/分)/(0.09ml/分/1.07ml/分)
=180.6%
したがって、治療腎臓排尿量における相対的増加は、対照と比較して180.6%であった。本結果は、治療側と比較して、対照側における鬱滞によって生じた尿産生のより大きい減少を示す。排尿における相対的パーセンテージ差として結果を提示することは、腎臓間の排尿における差異を調節する。
動物のうちの1匹に対するベースライン、鬱滞、および治療部分に関するクレアチニンクリアランス測定が、図22に示される。
肉眼的検査および組織学的評価
対照腎臓(右腎)および治療腎臓(左腎)の肉眼的検査に基づいて、対照腎臓が均一に暗褐色を有することが決定され、これは、治療腎臓と比較した対照腎臓におけるより多くの鬱滞に対応する。拡大切片画像の定質的評価もまた、治療腎臓と比較した対照腎臓における鬱滞増加に着目した。具体的には、表1に示されるように、治療腎臓は、対照腎臓と比較してより低いレベルの鬱滞および尿細管変性を呈した。以下の定質的スケールが、得られたスライドの評価のために使用された。
表1に示されるように、治療腎臓(左腎)は、低度の鬱滞および尿細管変性のみを呈した。対照的に、対照腎臓(右腎)は、中程度の鬱滞および尿細管変性を呈した。これらの結果は、以下に議論されるスライドの分析によって得られた。
図48Aおよび48Bは、動物の左腎(負圧で治療された)の低および高拡大率光顕微鏡写真である。組織学的精査に基づいて、皮髄境界部における血管内の低度の鬱滞が、矢印によって示されるように識別された。図48Bに示されるように、硝子様円柱を伴う単一尿細管(アスタリスクによって識別されるように)が、識別された。
図48Cおよび48Dは、対照腎臓(右腎)の低および高分解能光顕微鏡写真である。組織学的精査に基づいて、皮髄境界部における血管内の中程度の鬱滞が、図48Cにおける矢印によって示されるように識別された。図48Dに示されるように、硝子様円柱を伴ういくつかの尿細管が、組織サンプル中に存在した(画像内のアスタリスクによって識別されるように)。硝子様円柱の実質的数の存在は、低酸素の証拠である。
表面マッピング分析は、以下の結果を提供した。治療腎臓は、ボーマン隙内において1.5倍大きい流体体積を有し、尿細管管腔内において2倍大きい流体体積を有することが決定された。ボーマン隙および尿細管管腔内の増加された流体体積は、増加された排尿に対応する。加えて、治療腎臓は、対照腎臓と比較して、毛細管内に5倍少ない血液体積を有することが決定された。治療腎臓内の増加された体積は、(1)対照と比較した個々の毛細管サイズの減少と、(2)対照腎臓と比較した治療腎臓内に可視赤血球を伴わない毛細管の数の増加、すなわち、治療器官におけるより少ない鬱滞のインジケータの結果となって現れる。
まとめ
これらの結果は、対照腎臓が、治療腎臓と比較してタンパク質が豊富な管腔内物質を表す、より多くの鬱滞および管腔内硝子様円柱を伴うより多くの尿細管を有していたことを示す。故に、治療腎臓は、より低い腎機能の損失の程度を呈する。理論によって拘束されることを意図するわけではないが、重度の鬱滞が腎臓内に発症するにつれて、器官の低酸素血症が続くと考えられる。低酸素血症は、器官内の酸化的リン酸化(例えば、ATP産生)に干渉する。ATPの損失および/またはATP産生の減少は、タンパク質の能動的輸送を阻止し、管腔内タンパク質含有量を増加させ、これは、硝子様円柱として発現する。管腔内硝子様円柱を伴う腎尿細管の数は、腎機能の損失の程度と相関する。故に、治療された左腎内の尿細管の低減された数は、生理学的に有意であると考えられる。理論によって拘束されることを意図するわけではないが、これらの結果は、腎臓への損傷が、負圧を腎盂の中に挿入される尿管カテーテルに印加し、排尿を促進することによって防止または阻止され得ることを示すと考えられる。
実施例2
方法
4匹の家畜用ブタ(A、B、C、D)が、鎮静および麻酔された。ブタ毎のバイタルが、実験全体を通して監視され、心拍出量が、研究の各30分相の終了時に測定された。図2Aおよび2Bに示される尿管カテーテル112等の尿管カテーテルが、ブタのそれぞれの腎臓の腎盂領域内で展開された。展開されるカテーテルは、2.0±0.1mmの外径を有する6フレンチカテーテルであった。カテーテルは、54±2cmの長さであって、遠位保定部分を含まない。保定部分は、16±2mmの長さであった。図2Aおよび2Bにおけるカテーテル112に示されるように、保定部分は、2つの完全コイルと、1つの近位半コイルとを含んだ。図2Aおよび2Bにおける線D1によって示される完全コイルの外径は、18±2mmであった。半コイル直径D2は、約14mmであった。展開された尿管カテーテルの保定部分は、6つの排出開口部に加え、カテーテル管の遠位端における付加的開口部を含んだ。排出開口部のそれぞれの直径は、0.83±0.01mmであった。隣接する排出開口部132間の距離、具体的には、コイルが直線化されたときの排出開口部間の線形距離は、22.5±2.5mmであった。
尿管カテーテルは、ブタの腎盂から、膀胱、および尿道を通して、各ブタの外部の流体収集容器に延在するように位置付けられた。尿管カテーテルの設置に続いて、IVC圧力を測定するための圧力センサが、腎静脈の遠位の位置においてIVC内に設置された。膨張可能バルーンカテーテル、具体的には、NuMED Inc.(Hopkinton, NY)製PTS(R)経皮的バルーンカテーテル(30mm直径×5cm長さ)が、腎静脈の近位の位置においてIVC内で拡張された。熱希釈カテーテル、具体的には、Edwards Lifesciences Corp.(Irvine, CA)製Swan−Ganz熱希釈肺動脈カテーテルが、次いで、心拍出量を測定する目的のために肺動脈内に設置された。
最初に、ベースライン排尿が、30分にわたって測定され、血液および尿サンプルが、生化学分析のために収集された。30分のベースライン周期に続いて、バルーンカテーテルが、IVC圧力を1〜4mmHgのベースライン圧力から約20mmHg(+/−5mmHg)の上昇鬱滞圧力に増加させるために膨張された。鬱滞ベースラインが、次いで、30分にわたって対応する血液および尿分析とともに収集された。
鬱滞周期の終了時、上昇鬱滞IVC圧力が、維持され、負圧利尿治療が、ブタAおよびブタCに対して提供された。具体的には、ブタ(A、C)は、ポンプを用いて尿管カテーテルを通して−25mmHgの負圧を印加することによって治療された。前述の実施例におけるように、ポンプは、Cole−Parmer Instrument Company(モデル番号EW−07530−85)製Air Cadet Vacuum Pumpであった。ポンプは、調整器に直列に接続された。調整器は、Airtrol Components Inc.製V−800Series Miniature Precision Vacuum Regulator−1/8NPT Ports(モデル番号V−800−10−W/K)であった。ブタは、120分にわたって、治療が提供されるにつれて観察された。血液および尿収集が、治療周期の間、30分毎に行われた。ブタのうちの2匹(B、D)が、鬱滞対照として治療され(例えば、負圧が尿管カテーテルを通して腎盂に印加されなかった)、2匹のブタ(B、D)が負圧利尿療法を受けなかったことを意味する。
120分の治療周期にわたる排尿およびクレアチニンクリアランスデータの収集に続いて、動物は、屠殺され、各動物からの腎臓は、肉眼的検査を受けた。肉眼的検査に続いて、組織切片が、得られ、検査され、切片の拡大画像が、捕捉された。
結果
ベースライン、鬱滞、および治療周期の間に収集された測定は、表2に提供される。具体的には、排尿、血清中クレアチニン、および尿中クレアチニン測定が、時間周期毎に得られた。これらの値は、以下のように、測定されたクレアチニンクリアランスの計算を可能にする。
加えて、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)値が、時間周期毎に得られた血清サンプルから測定され、腎臓傷害分子1(KIM−1)値が、時間周期毎に得られた尿サンプルから測定された。得られた組織切片の精査から決定された定質的組織学的見解もまた、表2に含まれる。
動物A:動物は、重さ50.6kgであって、3.01ml/分のベースライン排尿量、0.8mg/dlのベースライン血清中クレアチニンを有し、261ml/分のCrClが測定された。これらの測定は、血清中クレアチニンに加えて、研究された他の動物と比較して非特徴的に高かったことに留意されたい。鬱滞は、排尿量における98%低減(0.06ml/分)およびCrClにおける>99%低減(1.0ml/分)と関連付けられた。尿管カテーテルを通して印加される負圧を用いた治療は、それぞれ、ベースライン値の17%および12%の排尿およびCrClと、それぞれ、鬱滞値の9倍および>10倍と関連付けられた。NGALのレベルは、実験全体を通して変化し、鬱滞中のベースラインの68%から90分の療法後のベースラインの258%まで及んだ。最終値は、ベースラインの130%であった。KIM−1のレベルは、ベースライン査定後、最初の2回の30分の時間枠にわたってベースラインの6倍および4倍であって、それぞれ、最後の3回の収集周期にわたって、ベースライン値の68倍、52倍、および63倍まで増加した。2時間の血清中クレアチニンは、1.3mg/dlであった。組織学的検査は、毛細管空間内の血液体積によって測定された2.4%の全体的鬱滞レベルを明らかにした。組織学的検査はまた、管腔内硝子様円柱およびある程度の尿細管上皮性変性を伴ういくつかの尿細管に着目し、細胞損傷と一貫することを見出した。
動物B:動物は、重さ50.2kgであって、2.62ml/分のベースライン排尿量を有し、172ml/分(これはまた、予想よりも高い)のCrClが測定された。鬱滞は、排尿量における80%低減(0.5ml/分)およびCrClにおける83%低減(30ml/分)と関連付けられた。鬱滞状態になってから50分時点において(鬱滞ベースライン周期から20分後)、動物は、平均動脈圧および呼吸数に急降下を被り、頻脈が続いた。麻酔科医が、ある用量のフェニレフリン(75mg)を投与し、心原性ショックを防いだ。フェニレフリンは、血圧が麻酔の間に安全レベルを下回って降下するときの静脈内投与のために適応される。しかしながら、実験は、腎生理学に及ぼす鬱滞の影響を試験しているため、フェニレフリンの投与は、実験の残りを判別不能なものにした。
動物C:動物は、重さ39.8kgであって、0.47ml/分のベースライン排尿量、3.2mg/dlのベースライン血清中クレアチニンを有し、5.4ml/分のCrClが測定された。鬱滞は、排尿における75%低減(0.12ml/分)およびCrClにおける79%低減(1.6ml/分)と関連付けられた。ベースラインNGALレベルは、正常値上限(ULN)の>5倍であったことが決定された。尿管カテーテルを通して腎盂に印加された負圧を用いた治療は、排尿の正常化(ベースラインの101%)およびCrClにおける341%改良(18.2ml/分)と関連付けられた。NGALのレベルは、実験全体を通して変化し、鬱滞中のベースラインの84%から30分と90分との間のベースラインの47%〜84%まで及んだ。最終値は、ベースラインの115%であった。KIM−1のレベルは、鬱滞の最初の30分以内にベースラインから40%減少し、それぞれ、残りの30分時間枠にわたって、ベースライン値の8.7倍、6.7倍、6.6倍、および8倍まで増加した。2時間の時点における血清中クレアチニンレベルは、3.1mg/dlであった。組織学的検査は、毛細管空間内の血液体積によって測定された0.9%の全体的鬱滞レベルを明らかにした。尿細管は、組織学的に正常であることが着目された。
動物D:動物は、重さ38.2kgであって、0.98ml/分のベースライン排尿、1.0mg/dlのベースライン血清中クレアチニンを有し、46.8ml/分のCrClが測定された。鬱滞は、排尿量における75%低減(0.24ml/分)およびCrClにおける65%低減(16.2ml/分)と関連付けられた。持続的鬱滞は、排尿の66%〜91%低減およびCrClにおける89%〜71%低減と関連付けられた。NGALのレベルは、実験全体を通して変化し、鬱滞中のベースラインの127%からベースラインの209%の最終値まで及んだ。KIM−1のレベルは、ベースライン査定後の最初の2回の30分の時間枠にわたってベースラインの1倍〜2倍のままであって、最後の3回の30分周期にわたってベースライン値の190倍、219倍、および201倍まで増加した。2時間血清中クレアチニンレベルは、1.7mg/dlであった。組織学的検査は、全体的鬱滞レベルが治療された動物(A、C)に関して組織サンプル内で観察されたものよりも2.44倍大きく、平均毛細管サイズが治療された動物のいずれかにおいて観察されたものよりも2.33倍大きいことを明らかにした。組織学的評価はまた、実質的細胞損傷を示す、管腔内硝子様円柱および尿細管上皮性変性を伴ういくつかの尿細管に着目した。
まとめ
理論によって拘束されることを意図するわけではないが、収集されたデータは、静脈鬱滞が生理学的に有意な影響を腎機能に及ぼすという仮説を支持すると考えられる。特に、腎静脈圧の上昇は、排尿を数秒以内に75%〜98%低減させることが観察された。尿細管傷害および組織学的損傷のバイオマーカ内の上昇間の関連付けは、傷害の大きさおよび持続時間の両方の観点から、静脈鬱滞が発生する程度と一貫する。
データはまた、間質圧を改変することによって、静脈鬱滞が髄質腎単位内の濾過勾配を減少させるという仮説を支持することが分かる。変化は、髄質腎単位内の低酸素および細胞傷害に直接寄与することが分かる。本モデルは、AKIの臨床状態を模倣していないが、機械的持続傷害に対する洞察を確実に提供する。
データはまた、負圧を尿管カテーテルを通して腎盂に印加することが、静脈鬱滞モデルにおける排尿を増加させ得るという仮説を支持することが分かる。特に、負圧治療は、臨床上有意となるであろう、排尿およびクレアチニンクリアランスの増加と関連付けられた。髄質毛細管体積における生理学的に有意義な減少および尿細管傷害のバイオマーカにおけるよりわずかな上昇もまた、観察された。したがって、排尿量を増加させ、髄質腎単位内の間質圧を減少させることによって、負圧療法は、鬱滞を直接減少させ得ることが分かる。理論によって拘束されることを意図するわけではないが、鬱滞を減少させることによって、負圧療法は、静脈鬱滞媒介AKIにおいて腎臓内の低酸素およびその下流影響を低減させると結論付けられ得る。
実験結果は、鬱滞の程度が、圧力の大きさおよび持続時間の両方の観点から、観察される細胞傷害の程度と関連付けられるという仮説を支持することが分かる。具体的には、排尿低減および組織学的損傷の程度間の関連付けが、観察された。例えば、排尿における98%低減を有した治療されたブタAは、排尿における75%低減を有した治療されたブタCより多く損傷を被った。予期されるであろうように、2時間半にわたる療法の利点を伴わない、排尿における75%低減を被った対照ブタDは、最も組織学的損傷を呈した。これらの見解は、より多くの静脈鬱滞を伴うAKI発症のリスク増加を実証するヒトデータと広く一貫する。例えば、Legrand, M. et al., Association between systemic hemodynamics and septic acute kidney injury in critically ill patients: a retrospective observational study. Critical Care 17:R278−86, 2013を参照されたい。
実施例3
方法
尿管カテーテルを使用した家畜用ブタの腎盂内での負圧の誘発が、血液の血液希釈に及ぼす負圧療法の効果を評価する目的のために実施された。これらの研究の目的は、腎盂の中に送達される負圧が蘇生輸液のブタモデルにおいて排尿を有意に増加させるかどうかを実証することであった。
2匹のブタが、ケタミン、ミダゾラム、イソフルラン、およびプロポフォールを使用して、鎮静および麻酔された。1匹の動物(#6543)が、本明細書に説明されるように、尿管カテーテルおよび負圧療法を用いて治療された。他方は、Foleyタイプ膀胱カテーテルを受容し、対照(#6566)としての役割を果たした。尿管カテーテルの設置に続いて、動物は、寝台に移され、24時間にわたって監視された。
流体過負荷が、24時間経過観察の間、生理食塩水(125mL/時間)の一定注入を用いて、両動物において誘発された。排尿体積が、24時間にわたって15分インクリメントにおいて測定された。血液および尿サンプルが、4時間インクリメントにおいて収集された。図21に示されるように、療法ポンプ818は、−45mmHg(+/−2mmHg)の圧力を使用して、負圧を両腎臓の腎盂820、821(図21に示される)内で誘発するように設定された。
結果
両動物は、24時間周期にわたって、7Lの生理食塩水を受けた。治療動物は、4.22Lの尿を産生した一方、対照は、2.11Lを産生した。24時間の終了時、対照は、投与された7Lのうち4.94Lを貯留していた一方、治療動物は、投与された7Lのうち2.81Lを貯留していた。図26は、血清アルブミンの変化を図示する。治療動物は、24時間にわたって、血清アルブミン濃度の6%降下を認めた一方、対照動物は、29%降下を認めた。
まとめ
理論によって拘束されることを意図するわけではないが、収集されたデータは、流体過負荷が臨床上有意な影響を腎機能に誘発し、その結果、血液希釈を誘発するという仮説を支持すると考えられる。特に、大量の静脈内生理食塩水の投与は、健康な腎臓によってさえ、効果的に除去されることができないことが観察された。結果として生じる流体蓄積は、血液希釈につながる。データはまた、尿管カテーテルを使用して負圧利尿療法を流体過負荷動物に適用することが、排尿を増加させ、正味体液平衡を改良し、血液希釈の発現に及ぼす蘇生輸液の影響を減少させることができるという仮説を支持すると考えらえる。
本発明の前述の実施例および実施形態が、種々の実施例を参照して説明された。修正および改変が、前述の実施例の熟読および理解に応じて当業者に想起されるであろう。故に、前述の実施例は、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。