本出願は、一態様では、細胞表面結合GPC3(本明細書では「ネイティブフォーマットGPC3」又は「ネイティブGPC3(nGPC3)」と称される)を特異的に認識する抗体部分(本明細書では「抗GPC3抗体部分」と称される)を含むコンストラクト(本明細書では、「抗GPC3コンストラクト」と称される)(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を提供する。これらの抗GPC3コンストラクトは、循環GPC3タンパク質又は血清中の遊離GPC3ペプチドなどの非細胞表面結合GPC3(本明細書では「可溶性GPC3(sGPC3)」又は「非ネイティブGPC3」と称される)とは対照的に、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。
抗CD3二重特異性抗体としてアームされる(armed)か又はT細胞によって発現されるキメラ抗原受容体(CAR)中に存在する場合、抗CD3抗体部分は、GPC3発現標的細胞(GPC3発現癌細胞など)を殺傷するように、ヒトT細胞を特異的にリダイレクトした。このストラテジーは、任意のフォーマットのGPC3(特に可溶性GPC3)に対する抗体を使用するよりも大きな技術的利点を提供するが、その理由は、腫瘍部位に対するT細胞のターゲティングが、はるかにより効率的かつ正確になり得、その結果、正常組織を損傷することなく、有効なT細胞媒介性癌細胞殺傷を行うことができるためである。更に、検出可能部分に融合したとき、抗GPC3抗体部分は、循環GPC3レベルよりも潜在的に関連性の高い疾患進行の尺度である、細胞表面(GPC3陽性腫瘍細胞など)上でGPC3を発現している細胞の数及び分布の変化に対する感度の高い、GPC3陽性疾患又は障害の診断及び予後を可能にする。
本出願は、また、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離抗GPC3コンストラクトなど)も提供する。これらのコンストラクトはまた、抗CD3二重特異性抗体としてアームされてもよく、又はT細胞によって発現されるCAR中に存在していてもよい。GPC3は、細胞表面上で発現する場合もあり、又は癌患者(HCC患者など)では様々な形態で細胞表面から細胞外環境へと放出される場合もある。したがって、これらの抗GPC3コンストラクトを検出可能部分に融合させ、診断及び予後の目的で使用することもできる。
ファージディスプレイ技術を使用して、本発明者らは、細胞表面結合ヒトGPC3に対して特異的でありかつ高い親和性を示す複数のモノクローナル抗体を生成した。フローサイトメトリー及びT細胞媒介性細胞傷害アッセイによって、これらの抗体が、ネイティブフォーマットのGPC3に限定的に、GPC3発現癌細胞株を認識することが実証された。抗CD3二重特異性抗体又はCAR−T細胞としてアームされたとき、抗体は、GPC3陽性標的癌細胞を殺傷するようにヒトT細胞をリダイレクトした。本明細書に提示されるデータは、本明細書に記載の細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む抗GPC3コンストラクトが、固形腫瘍適応症(例えば、HCC)などの癌適応症のための有効な治療薬となり得ることを実証する。
ファージディスプレイ技術を使用して、本発明者らはまた、ヒトGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に対して特異的かつ高親和性である複数のモノクローナル抗体も生成した。フローサイトメトリー及びT細胞媒介性細胞傷害アッセイによって、これらの抗体がGPC3を特異的に認識することが実証された。
したがって、本出願は、細胞表面結合GPC3などのGPC3を特異的に認識する抗体部分を含むコンストラクト(単離コンストラクトなど)を提供する。コンストラクトは、例えば、抗GPC3 scFv、抗GPC3 Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体、多重特異性(二重特異性など)抗GPC3分子(例えば、タンデムジscFv二重特異性T細胞エンゲージャ)、抗GPC3キメラ抗原受容体(CAR)、抗GPC3キメラ抗体−T細胞受容体(caTCR)、及び抗GPC3免疫複合体であってよい。
別の態様では、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)又はコンストラクトの抗GPC3抗体部分の部分(細胞表面結合GPC3を特異的に認識するものなど)をコードしている核酸が提供される。
別の態様では、GPC3(細胞表面結合GPC3など)を特異的に認識する抗体部分を含む、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む組成物(医薬組成物など)が提供される。本組成物は、抗GPC3コンストラクト(細胞表面結合GPC3など)、又は抗GPC3コンストラクトを発現するか若しくは会合するエフェクタ細胞(例えば、抗GPC3 CARを発現するT細胞、細胞表面結合GPC3を特異的に認識するCAR)を含む医薬組成物であってよい。
また、治療又は診断目的で抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、又は抗GPC3コンストラクトを発現するか若しくは会合する細胞など)を作製及び使用する方法、並びにこのような方法に有用なキット及び製品も提供される。
定義
本明細書で使用するとき、「治療」又は「治療する」は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的で、有益な又は所望の臨床結果としては、以下のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない:疾患から生じる1つ以上の症状を軽減する、疾患の程度を減弱する、疾患を安定化する(例えば、疾患の悪化を防止する若しくは遅らせる)、疾患の拡散(例えば、転移)を防止する若しくは遅らせる、疾患の再発を防止する若しくは遅らせる、疾患の進行を遅らせる若しくは減速させる、疾患状態を回復させる、疾患の(部分又は完全)寛解をもたらす、疾患を治療するために必要な1つ以上の他の薬物療法の用量を減らす、疾患の進行を遅らせる、生活の質を増大若しくは改善する、体重を増加させる、及び/又は生存期間を延長する。また「治療」には、癌の病理学的帰結(例えば、腫瘍体積)の低減も包含される。本発明の方法は、治療のこれらの態様のうちのいずれか1つ以上を企図する。
「活性化」は、T細胞に関して本明細書で使用するとき、検出可能な細胞増殖を誘導するために十分に刺激されたT細胞の状態を指す。また、活性化は、誘導されたサイトカイン産生、及び検出可能なエフェクタ機能と関連付けることもできる。
用語「抗体部分」は、完全長抗体及びその抗原結合断片を含む。完全長抗体は、2本の重鎖及び2本の軽鎖を含む。軽鎖及び重鎖の可変領域は、抗原結合に関与している。両鎖における可変領域は、一般に、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つの高度に可変性のループ(LC−CDR1、LC−CDR2、及びLC−CDR3を含む軽鎖(LC)CDR、HC−CDR1、HC−CDR2、及びHC−CDR3を含む重鎖(HC)CDR)を含有する。本明細書に開示される抗体及び抗原結合断片のCDR境界は、Kabat、Chothia、又はAl−Lazikaniの慣行によって定義又は同定してよい(Al−Lazikani 1997;Chothia 1985;Chothia 1987;Chothia 1989;Kabat 1987;Kabat 1991)。重鎖又は軽鎖の3つのCDRは、CDRよりも高度に保存され、超可変ループを支持するためのスキャフォールドを形成する、フレームワーク領域(FR)として知られているフランキング伸長の間に介在する。重鎖及び軽鎖の定常領域は、抗原結合には関与しないが、様々なエフェクタ機能を示す。抗体は、その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づいてクラスに割り当てられる。抗体の5つの主要なクラス又はアイソタイプは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμ重鎖の存在を特徴とするIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMである。主な抗体クラスのうちのいくつかは、lgG1(γ1重鎖)、lgG2(γ2重鎖)、lgG3(γ3重鎖)、lgG4(γ4重鎖)、lgA1(α1重鎖)、又はlgA2(α2重鎖)などのサブクラスに分類される。
用語「抗原結合断片」は、本明細書で使用するとき、例えば、ダイアボティ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv−dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボティ(dsダイアボティ)、単鎖Fv(scFv)、scFv二量体(二価ダイアボティ)、1つ以上のCDRを含む抗体の一部から形成された多重特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原には結合するが完全な抗体構造を構成しない任意の他の抗体断片を含む抗体断片を指す。抗原結合断片は、親抗体又は親抗体断片(例えば、親scFv)が結合するのと同じ抗原に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、1つ以上の異なるヒト抗体由来のフレームワーク領域に移植された特定のヒト抗体由来の1つ以上のCDRを含み得る。
用語「エピトープ」は、本明細書で使用するとき、抗体又は抗体部分が結合する抗原上の特定の原子又はアミノ酸の群を指す。2つの抗体又は抗体部分は、抗原に対して競合的結合を示す場合、抗原内の同じエピトープに結合し得る。
本明細書で使用するとき、等モル濃度の第1の抗体部分の存在下で、第1の抗体部分が第2の抗体部分の標的GPC3結合を少なくとも約50%(少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%のいずれかなど)阻害するとき、第1の抗体部分は、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に対する結合について第2の抗体部分と「競合」し、逆もまた同様である。これらの交差競合に基づいて抗体を「ビニング」するためのハイスループットプロセスは、国際公開第03/48731号に記載されている。
本明細書で使用するとき、用語「特異的に結合する」、「特異的に認識する」、又は「に特異的である」は、生物学的分子を含む分子の異種集団の存在下で標的の存在を判定する、標的と抗体又は抗体部分との間の結合などの測定可能かつ再現可能な相互作用を指す。例えば、標的(エピトープであり得る)を特異的に認識する抗体又は抗体部分は、他の標的に対する結合よりも高い親和性、より強い結合活性で、より容易に、及び/又はより長時間、この標的に結合する抗体又は抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗原を特異的に認識する抗体又は抗体部分は、他の標的(可溶性GPC3など)に対する結合親和性の少なくとも約10倍の結合親和性で、当該抗原(ネイティブフォーマットGPC3など)の1つ以上の抗原決定基と反応する。
「単離された」抗GPC3コンストラクトは、本明細書で使用するとき、(1)天然にみられるタンパク質には会合しない、(2)同じ起源由来の他のタンパク質を含まない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、又は(4)天然には生じない、抗GPC3コンストラクトを指す。
用語「単離された核酸」は、本明細書で使用するとき、ゲノム、cDNA、若しくは合成起源の核酸、又はこれらのいくつかの組み合わせを意味することを意図し、その起源に基づいて、「単離された核酸」は、(1)「単離された核酸」が天然にみられるポリヌクレオチドの全て又は一部に会合しない、(2)天然では連結されていないポリヌクレオチドに動作可能に連結されている、又は(3)より大きな配列の一部として天然では存在していない。
本明細書で使用するとき、用語「CDR」又は「相補性決定領域」は、重鎖及び軽鎖のポリペプチドの両方の可変領域内にみられる非連続抗原結合部位を意味することを意図する。これらの特定の領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609−6616(1977);Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequences of proteins of immunological interest」(1991);Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901−917(1987);Al−Lazikani B.et al.,J.Mol.Biol.,273:927−948(1997);MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732−745(1996);Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832−3839(2008);Lefranc M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27:55−77(2003);及びHonegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.,309:657−670(2001)によって記載されており、これら定義は、互いに比較したときにアミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体若しくはグラフト化抗体又はこれらの変異型のCDRを参照するためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義及び使用される用語の範囲内であることを意図する。上に引用した参照文献のそれぞれによって定義されるCDRを包含するアミノ酸残基を、比較として以下の表1に記載する。CDR予測アルゴリズム及びインターフェースは、例えば、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832−3839(2008);Ehrenmann F.et al.,Nucleic Acids Res.,38:D301−D307(2010);及びAdolf−Bryfogle J.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D432−D438(2015)を含む、当該技術分野において既知である。この段落で引用される参考文献の内容は、本発明で使用するため、及び本明細書の1つ以上の特許請求の範囲に包含できるようにするためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1残基の付番は、上掲のKabatらの命名法に従う。
2残基の付番は、上掲のChothiaらの命名法に従う。
3残基の付番は、上掲のMacCallumらの命名法に従う。
4残基の付番は、上掲のLefrancらの命名法に従う。
5残基の付番は、上掲のHonegger及びPluckthunの命名法に従う。
用語「キメラ」抗体は、本発明の生物活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同であり、一方、当該鎖の残部は、別の種に由来するか又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である抗体、並びにこのような抗体の断片を指す(米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984)を参照)。
抗体又は抗体部分に関連する用語「半合成」は、当該抗体又は抗体部分が、1つ以上の天然に生じる配列及び1つ以上の天然には生じない(すなわち、合成の)配列を有することを意味する。
「Fv」は、完全な抗原認識かつ抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この断片は、強く非共有結合的に会合している、1本の重鎖及び1本の軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これら2つのドメインが折り畳まれると、抗原結合のためのアミノ酸残基を与え、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(それぞれ重鎖及び軽鎖に由来する3つのループ)が広がる。しかし、結合部位全体よりも親和性は低いものの、単一可変ドメイン(すなわち、抗原に特異的なCDRを3つだけを含むFvの半分)であっても抗原を認識し、結合する能力を有する。
「sFv」又は「scFv」とも略される「単鎖Fv」は、接続されて単一のポリペプチド鎖内になるVH及びVL抗体ドメインを含む、抗体断片である。いくつかの実施形態では、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを更に含み、これによって、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することが可能になる。scFvに関する総説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)におけるPluckthunを参照されたい。
用語「ダイアボディ」は、Vドメインが鎖内対合ではなく鎖間対合し、その結果、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、典型的にはVHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5〜約10残基など)を有するscFv断片(上記段落を参照されたい)を構築することによって調製される小さな抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖に存在する、2つの「クロスオーバー」scFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボティについては、例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第93/11161号、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)により詳しく記載されている。
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ヒト化抗体は、大部分がヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であるが、レシピエントの超可変領域(HVR)由来の残基が、所望の抗体特異性、親和性及び/又は能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基によって置換されている。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体にはみられない残基を含んでいてもよい。これらの改変は、抗体性能を更に改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体はまた、場合により、典型的にはヒト免疫グロブリンのものである、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部も含むであろう。更なる詳細については、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照されたい。
本明細書で同定されるポリペプチド及び抗体配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」又は「相同性」は、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮して配列をアラインメントした後、比較されるポリペプチド中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の百分率として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的でのアライメントは、当該技術分野における技能の範囲内の様々な方法、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、Megalign(DNASTAR)、又はMUSCLEソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを得るのに必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメント測定用の適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書の目的で、配列比較コンピュータプログラムMUSCLE(Edgar,R.C.,Nucleic Acids Research 32(5):1792−1797,2004;Edgar,R.C.,BMC Bioinformatics 5(1):113,2004)を使用して、アミノ酸配列同一性%の値が得られる。
用語「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明するために使用される。いくつかの実施形態では、本発明のFcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合し、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含むものであり、これらの受容体の対立遺伝子変異型及び選択的にスプライシングされた形態を含む。FcγRII受容体としては、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が挙げられ、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる、類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)を含有する(概説についてはM.in Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)を参照されたい)。この用語は、FcγRIIIAアロタイプ:FcγRIIIA−Phe158、FcγRIIIA−Val158、FcγRIIA−R131、及び/又はFcγRIIA−H131などのアロタイプを含む。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25−34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)に概説されている。他のFcR(将来同定されるものを含む)は、本明細書の用語「FcR」に包含される。また、この用語は、胎児への母体IgGの伝達に関与する新生児受容体FcRnも含む(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))。
用語「FcRn」は、新生児Fc受容体(FcRn)を指す。FcRnは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と構造的に類似しており、β2−ミクログロブリンに非共有結合的に結合しているα鎖からなる。新生児Fc受容体FcRnの複数の機能については、Ghetie and Ward(2000)Annu.Rev.Immunol.18,739−766に概説されている。FcRnは、母親から子供への免疫グロブリンIgGの受動的送達、及び血清IgGレベルの調節において役割を果たす。FcRnは、細胞内で及び細胞を越えてインタクトな形態の飲作用されたIgGに結合及び輸送し、それらをデフォルトの分解経路から救済するサルベージ受容体として作用することができる。
ヒトIgG Fc領域の「CH1ドメイン」(「H1」ドメインの「C1」とも称される)は、通常、およそアミノ酸118からおよそアミノ酸215(EU付番システム)に及ぶ。
「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230までの伸長として定義される(Burton,Molec.Immunol.22:161−206(1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、同じ位置に重鎖間S−S結合を形成する最初及び最後のシステイン残基を配置することによって、IgG1配列と整列させることができる。
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」(「H2」ドメインの「C2」とも称される)は、通常、およそアミノ酸231からおよそアミノ酸340に及ぶ。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対合していないという点で独特である。むしろ、2本のN−結合分枝状炭水化物鎖が、インタクトなネイティブIgG分子の2つのCH2ドメインの間に介在している。炭水化物は、ドメイン−ドメイン対合の代用品を提供し、CH2ドメインを安定化させるのに役立つことができると推測されている。Burton,Molec Immunol.22:161−206(1985)。
「CH3ドメイン」(「C2」又は「H3」ドメインとも称される)は、Fc領域内のCH2ドメインに対してC末端側の残基の伸長(すなわち、およそアミノ酸残基341から抗体配列のC末端、典型的にはIgGのアミノ酸残基446又は447まで)を含む。
「機能性Fc断片」は、ネイティブ配列Fc領域の「エフェクタ機能」を有する。例示的な「エフェクタ機能」は、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーションなどを含む。このようなエフェクタ機能は、一般に、Fc領域を結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせることを必要とし、当該技術分野において既知の様々なアッセイを使用して評価することができる。
「変化した」FcR結合親和性又はADCC活性を有する変異型IgG Fcを有する抗体は、親ポリペプチド又はネイティブ配列のFc領域を含むポリペプチドと比較して、FcR結合活性(例えば、FcγR又はFcRn)及び/又はADCC活性が増強又は減弱しているものである。FcRに対する「結合の増加を示す」変異型Fcは、親ポリペプチド又はネイティブ配列IgG Fcよりも高い親和性(例えば、より低い見かけのKd又はIC50値)で少なくとも1つのFcRに結合する。いくつかの実施形態によれば、親ポリペプチドと比較した結合の改善は、約3倍、例えば、約5、10、25、50、60、100、150、200、若しくは最大500倍のいずれか、又は約25%〜1000%の結合の改善である。FcRに対する「結合の減少を示す」ポリペプチド変異体は、親ポリペプチドよりも低い親和性(例えば、より高い見かけのKd又はより高いIC50値)で少なくとも1つのFcRに結合する。親ポリペプチドと比較した結合の減少は、約40%以上の結合の減少であり得る。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合している、分泌されたIgが、これらの細胞傷害性エフェクタ細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて、当該標的細胞を細胞毒で殺傷することを可能にする、細胞傷害の形態を指す。抗体は、細胞傷害性細胞を「アーム」し、このような殺傷には絶対に必要である。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−92(1991)の464ページの表3にまとめられている。対象となる分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載されているものなどのインビトロADCCアッセイを実施してよい。このようなアッセイに有用なエフェクタ細胞としては、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは又は更に、対象となる分子のADCC活性を、インビボ、例えば、Clynes et al.,PNAS(USA)95:652−656(1998)に開示されているものなどの動物モデルで評価してもよい。
野生型IgG Fc又は親ポリペプチドを有するポリペプチドよりも有効にヒトエフェクタ細胞の存在下で「ADCCの増加を示す」か又はADCCを媒介する変異型Fc領域を含むポリペプチドは、アッセイにおける変異型Fc領域を有するポリペプチドの量と野生型Fc領域を有するポリペプチド(又は親ポリペプチド)の量とが本質的に同じであるとき、インビトロ又はインビボで、ADCCの媒介において実質的により有効なものである。一般に、このような変異型は、例えば動物モデルなどにおいて、ADCC活性を判定するアッセイ又は方法など、当該技術分野において既知の任意のインビトロADCCアッセイを使用して同定される。いくつかの実施形態では、変異型は、野生型Fc(又は親ポリペプチド)よりもADCCの媒介において、約5倍〜約100倍、例えば約25〜約50倍有効である。
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」は、補体の存在下で標的細胞を溶解することを指す。従来の補体経路の活性化は、補体系の第1の要素(C1q)の、その同種抗原に結合する(適切なサブクラスの)抗体への結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているようなCDCアッセイを実施してよい。Fc領域のアミノ酸配列が変化しており、C1q結合能が増加又は低下しているポリペプチド変異型は、米国特許第6,194,551(B1)号及び国際公開第99/51642号に記載されている。これらの特許公報の内容は、具体的に参照することにより本明細書に組み込まれる。Idusogie et al.J.Immunol.164:4178−4184(2000)も参照されたい。
特に指定しない限り、「アミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードしている全てのヌクレオチド配列を含む。また、タンパク質又はRNAをコードしているヌクレオチド配列という語句は、タンパク質をコードしているヌクレオチド配列がいくつかのバージョンにおいてイントロンを含有し得る程度までイントロンを含んでいてもよい。
用語「動作可能に連結された」は、調節配列と異種核酸配列との間の機能的連結であって、その結果、後者を発現させる連結を指す。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係で配置されているとき、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と動作可能に連結されている。例えば、プロモータがコード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合、プロモータは、コード配列に動作可能に連結されている。一般的に、動作可能に連結されたDNA配列は隣接しており、2つのタンパク質コード領域を接合するのに必要である場合、同じリーディングフレームである。
「相同」とは、2つのポリペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較される配列の両方におけるある位置が、同じ塩基又はアミノ酸モノマーサブユニットによって占有されている場合、例えば、2つのDNA分子のそれぞれにおけるある位置がアデニンによって占有されている場合、当該分子はその位置で相同である。2つの配列間の相同性パーセントは、2つの配列によって共有されている一致又は相同位置の数を、比較した位置の数で除し、100を乗じた関数である。例えば、2つの配列中の10個の位置のうちの6個が一致しているか又は相同である場合、2つの配列は60%相同である。例として、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは、50%相同性を共有している。一般に、相同性が最大になるように2つの配列がアライメントされたときに比較を行う。
本明細書に開示される抗GPC3コンストラクト又は組成物の「有効量」は、具体的に記載された目的を実行するのに十分な量である。「有効量」は、経験的に、及び記載された目的に関連する既知の方法によって決定することができる。
用語「治療的に有効な量」は、個体における疾患又は障害を「治療する」のに有効な、本明細書に開示される抗GPC3コンストラクト又は組成物の量を指す。癌の場合、本明細書に開示される抗GPC3コンストラクト又は組成物の治療的に有効な量は、癌細胞の数を低減することができる、腫瘍のサイズ若しくは重量を低減することができる、末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害する(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止させる)ことができる、腫瘍の転移を阻害する(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止させる)ことができる、腫瘍の成長をある程度阻害することができる、及び/又は癌に関連する症状のうちの1つ以上をある程度緩和することができる。本明細書に開示される抗GPC3コンストラクト又は組成物が既存の癌細胞を、成長阻止及び/又は殺傷することができる程度に、当該コンストラクト又は組成物は、細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であり得る。いくつかの実施形態では、治療的に有効な量は、成長を抑制する量である。いくつかの実施形態では、治療的に有効な量は、患者の生存期間を延長する量である。いくつかの実施形態では、治療的に有効な量は、患者の無増悪生存期間を改善する量である。
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容される」又は「薬理的に適合される」は、生物学的又は非生物学的に望ましくないものではない物質を意味し、例えば、その物質を、望まれない生物学的影響をほとんど起こさずに、又は、それが含有される組成物の別の任意の構成成分と悪い相互作用をせずに、患者に投与される医薬組成物中に組み込むことができる。医薬的に許容される担体又は賦形剤は、好ましくは、必要な毒性学的及び製造的検査基準を満たしており、並びに/又は、U.S.Food and Drug administrationが作成したInactive Ingredient Guideに記載されている。
用語「標識」は、本明細書で使用するとき、抗GPC3抗体部分に直接的又は間接的に複合体化(conjugated)され得る、検出可能な化合物又は組成物を指す。標識は、単独で検出可能であってもよく(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)、又は酵素標識の場合、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的変化を触媒してもよい。
本明細書に記載の本発明の実施形態は、実施形態「からなる」及び/又は「から本質的になる」を含むことを理解されたい。
本明細書における「約」のついた値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体に対するばらつきを含む(及び記載する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。
本明細書で使用するとき、ある値又はパラメータ「ではない」への言及は、一般的に、その値又はパラメータ「以外」を意味し、記載する。例えば、「方法は、タイプXの癌を治療するのに使用されない」は、「方法は、X以外のタイプの癌を治療するのに使用される」を意味する。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形の「a」、「or」、及び「the」は、特に文脈から明確に指定されていない限り、複数の参照対象を含む。
抗GPC3コンストラクト
一態様では、本発明は、GPC3に特異的に結合する抗体部分を含むGPC3特異的コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を提供する。抗GPC3コンストラクトの特異性は、GPC3に特異的に結合する完全長抗体又はその抗原結合断片などの抗GPC3抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、GPC3に特異的に結合する部分(抗体部分など)への言及は、当該部分が、非標的に対するその結合親和性の少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍のいずれかを含む)の親和性でGPC3に結合することを意味する。いくつかの実施形態では、非標的は、GPC3ではない抗原である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分については、非標的は、可溶性GPC3である。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分については、非標的は、細胞表面結合GPC3である。結合親和性は、ELISA、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、又は放射性免疫沈降アッセイ(RIA)などの当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。Kdは、例えばBIACORE(商標)機器を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、又は例えばSapidyne機器を利用する結合平衡除外アッセイ(KinExA)などの、当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。
想到される抗GPC3コンストラクトとしては、例えば、抗GPC3 scFv、抗GPC3 Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体、多重特異性(二重特異性など)抗GPC3分子(例えば、タンデムジscFv二重特異性T細胞エンゲージャ)、抗GPC3キメラ抗原受容体(CAR)、抗GPC3キメラ抗体−T細胞受容体(caTCR)、及び抗GPC3免疫複合体が挙げられる。
異なる態様は、以下の様々な章で更に詳細に論じられる。
ヒト配列(すなわち、ヒトCDR配列を含むヒト重鎖及び軽鎖可変領域配列)を含有する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクトを使用する実施形態が本明細書で広範囲にわたり論じられるが、本発明はまた、非ヒト抗GPC3コンストラクトも提供する。いくつかの実施形態では、非ヒト抗体剤は、本明細書に記載の抗体剤由来のヒトCDR配列及び非ヒトフレームワーク配列を含む。いくつかの実施形態では、非ヒトフレームワーク配列としては、例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシ、バッファロー)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)などを含む、本明細書に記載の1つ以上のヒトCDR配列を使用して合成重鎖及び/又は軽鎖可変領域を生成するために使用することができる任意の配列が挙げられる。いくつかの実施形態では、提供される抗体剤としては、本明細書に記載の1つ以上のヒトCDR配列を、非ヒトフレームワーク配列(例えば、マウス又はニワトリのフレームワーク配列)に移植することによって生成される抗体剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、提供される抗体剤は、ヒト抗体剤(例えば、ヒトモノクローナル抗体又はその断片、ヒト抗原結合タンパク質又はポリペプチド、ヒト多重特異性結合剤[例えば、ヒト二重特異性抗体]、ヒト免疫グロブリンポリペプチドの1つ以上の構造的構成要素を有するヒトポリペプチド)である。
抗GPC3抗体部分
抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する(本明細書では「抗nGPC3抗体部分」と称される)。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分のnGPC3に対する結合親和性は、sGPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の結合親和性は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、その表面上でGPC3を発現する細胞は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、又は293である。いくつかの実施形態では、細胞は、その表面上に、異常に高レベルのGPC3を提示する。いくつかの実施形態では、細胞は、癌細胞である。いくつかの実施形態では、癌細胞は、固形腫瘍(例えば、HCCなどの肝臓癌)に存在する。いくつかの実施形態では、癌細胞は、転移性癌細胞(転移性HCCなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する(本明細書では、「抗sGPC3抗体部分」と称される)。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、nGPC3及びsGPC3の両方を特異的に認識する。
グリピカン3(GPC3)
グリピカン3(GPC3)は、細胞−細胞外マトリックス界面における細胞シグナル伝達に関与する、細胞の表面上に存在するヘパリン硫酸プロテオグリカンファミリーに属する癌胎児性抗原である。GPC3は、発生中に胎児の肝臓及び胎盤で発現し、正常成体組織ではダウンレギュレーション又はサイレンシングされる。この発生段階及び組織特異的な発現方式は、GPC3が形態形成に関与している可能性があることを示唆する。
GPC3遺伝子は、580アミノ酸の70kDaの前駆体タンパク質をコードしている。小胞体への移行時に、N末端シグナルペプチド(SS;残基1〜24)及びC末端グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー付加シグナル(予測切断部位:S560)が除去され、後者はGPIアンカーで置換される。GPC3前駆体タンパク質は、Arg358とSer359との間でフューリンによって切断されて、ジスルフィド結合によって連結された40kDaのN末端サブユニット(Q25〜R358)及び30kDaのC末端サブユニット(S359から始まる)を生成することができる。GPC3のC末端は、GPIアンカーを介して膜に連結し、細胞表面に近接する2本のO−結合ヘパリン硫酸(HS)側鎖で翻訳後修飾される。一次アミノ酸配列に基づいて、N末端サブユニット、C末端サブユニット、及び2本のHSグリカン鎖は、GPC3の3つの機能ドメインを形成する。N末端及びC末端サブユニットは、GPC3のコアタンパク質を形成する。
GPC3における負に帯電したHS鎖は、機能的に重要なグリコサミノグリカンである。これらは、HGF、線維芽細胞成長因子(FGF)、Wnt、ヘッジホッグ、及び骨形成タンパク質などの、正に帯電した成長因子に結合することができる。したがって、HS鎖は、細胞の状況に応じて、これらの成長因子の「ドッキング部位」として機能し得る。
GPC3のN末端サブユニットは、GPC3のN末端ペプチドであり、約40kDaであり、GPC3コアタンパク質の可溶性形態でみられる。いくつかの実施形態では、N末端サブユニットは、Met1〜Arg358を含むアミノ酸配列のペプチドである。いくつかの実施形態では、N末端サブユニットは、Gln25〜Arg358を含むアミノ酸配列のペプチドである。本発明によれば、本明細書ではGPC3 N末端断片と称される、このようなN末端ペプチドの断片を使用してもよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3タンパク質のN末端サブユニット上に存在するエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のGPC3タンパク質のN末端サブユニット(又はその断片)を特異的に認識する抗体部分は、GPC3の可溶性フォーマットに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、GPC3タンパク質のN末端サブユニット(又はその断片)を特異的に認識する抗体部分は、GPC3のネイティブフォーマットに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、GPC3タンパク質のN末端サブユニット(又はその断片)を特異的に認識する抗体部分は、nGPC3及びsGPC3の両方に結合することができる。
GPC3のC末端サブユニットは、GPC3のC末端ペプチドであり、約30kDaである。上述の切断部位に基づいて、いくつかの実施形態では、C末端サブユニットは、Ser359〜His580を含むアミノ酸配列のペプチドである。いくつかの実施形態では、C末端サブユニットは、Ser359〜Ser560を含むアミノ酸配列のペプチドである。本発明によれば、本明細書ではGPC3 C末端断片と称される、このようなC末端ペプチドの断片を使用してもよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3タンパク質のC末端サブユニット上に存在するエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のGPC3タンパク質のC末端サブユニット(又はその断片)を特異的に認識する抗体部分は、GPC3の可溶性フォーマットに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、GPC3タンパク質のC末端サブユニット(又はその断片)を特異的に認識する抗体部分は、GPC3のネイティブフォーマットに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、GPC3タンパク質のC末端サブユニット(又はその断片)を特異的に認識する抗体部分は、nGPC3及びsGPC3の両方に結合することができる。
本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトは、GC33(Ishiguro et al.,Cancer Res 2008;68:9832−9838)(例えば、配列番号510)など、当該技術分野において知られているのと同じGPC3上のエピトープには結合しない。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GC33と競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合しない。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号536のアミノ酸配列内のエピトープには結合しない。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号536のアミノ酸配列を含む断片には結合しない。
GPC3は、様々な癌、特に、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、及び脂肪肉腫で発現することが報告されている。したがって、GPC3は、潜在的に、抗体及び細胞ベースの免疫療法の両方の治療標的として機能し得る。特に、GPC3がHCCで高度に発現し、HCC腫瘍の70%超で発現するが、正常肝組織では発現しないことに鑑みて、GPC3は肝臓癌療法の有望な候補であり得る。GPC3陽性癌を有する一部の患者では、GPC3の可溶性フォーマットを血液中で検出することができる。したがって、GPC3の可溶性及びネイティブフォーマットは両方とも、HCC診断などの癌診断に有用なバイオマーカーとして機能することができる。GPC3陽性HCC患者は、GPC3陰性HCC患者よりも著しく低い5年生存率を有することが見出された。したがって、GPC3発現は、HCCにおける予後不良と相関している。
GPC3の細胞表面局在化は、HCCにおける細胞成長及びWnt活性化にとって重要である。GPC3は、そのコアタンパク質を介してWntに結合する。GPC3は、Wntとそのシグナル伝達受容体であるFrizzled(Fz)との相互作用を促進及び/又は安定化することによって、Wntシグナル伝達を刺激すると仮定した。興味深いことに、HCC患者の約50%が血清中にGPC3を分泌することに留意した。しかしながら、GPC3のどの形態が癌患者の循環血液中に存在しているかは不明である。細胞外リパーゼであるNotumが、腫瘍細胞から細胞外環境へのGPC3の切断に関与している可能性がある。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3抗体部分(nGPC3及び/又はsGPC3に対する)は、ヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。例示的なヒトGPC3の完全なアミノ酸配列は、UniProt番号P51654(配列番号460)を有する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜560(配列番号461)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸25〜580(配列番号462)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸25〜560(配列番号463)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸25〜358(配列番号464)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸塩側鎖を有しているGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、組み換えヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3は、配列番号460又は配列番号462のアミノ酸配列を含む(いくつかの実施形態では、これらからなる又はこれらから本質的になる)。いくつかの実施形態では、可溶性GPC3は、循環GPC3タンパク質又は血清中の遊離GPC3ペプチドである。いくつかの実施形態では、可溶性GPC3は、溶液中に存在するGPC3タンパク質又はペプチドである。いくつかの実施形態では、可溶性GPC3は、配列番号461又は配列番号463のアミノ酸配列を含む(いくつかの実施形態では、これらからなる又はこれらから本質的になる)。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、ヒト以外の種由来のGPC3と交差反応し得る。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、1つ以上のヒトGPC3タンパク質に対して完全に特異的であってよく、種間又は他の種類の非ヒト交差反応性を示さなくてもよい。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3タンパク質(又はその断片)の少なくとも1つの対立遺伝子変異型と交差反応する。いくつかの実施形態では、対立遺伝子変異型は、天然に生じるGPC3(又はその断片)と比較して、最大約30個(約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、又は30個のいずれかなど)のアミノ酸置換(保存的置換など)を有する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3タンパク質(又はその断片)の任意の対立遺伝子変異型とは交差反応しない。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3タンパク質の少なくとも1つの種間変異型と交差反応する。いくつかの実施形態では、例えば、GPC3タンパク質(又はその断片)は、ヒトGPC3であり、GPC3タンパク質(又はその断片)の種間変異型は、そのマウス又はラット変異型である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3タンパク質の任意の種間変異型とは交差反応しない。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、又は293細胞の細胞表面上で発現しているGPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、癌細胞(固形腫瘍など)の細胞表面上で発現しているGPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、肝臓癌(HCCなど)、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、肝芽細胞腫、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫の細胞表面上で発現しているGPC3を特異的に認識する。
結合親和性
結合親和性は、Kd、Koff、Kon、又はKaによって示すことができる。用語「Koff」は、本明細書で使用するとき、速度選択設定(kinetic selection set up)から決定される、抗体部分/抗原複合体からの抗体部分の解離についてのオフ速度定数を指すことを意図する。用語「Kon」は、本明細書で使用するとき、抗体部分/抗原複合体を形成するための、抗体部分の抗原への会合についてのオン速度定数を指すことを意図する。平衡解離定数「Kd」という用語は、本明細書で使用するとき、特定の抗体部分−抗原相互作用の解離定数を指し、平衡状態で抗体分子の溶液中に存在する全ての抗体結合ドメインの半分を占有するのに必要な抗原の濃度を説明し、Koff/Konに等しい。Kdの測定は、全ての結合剤が溶液中に存在することを前提とする。例えば酵母発現系のように、抗体部分が細胞壁に繋ぎ止められている場合、対応する平衡速度定数はEC50として表され、これはKdの優れた近似値を与える。親和定数Kaは、解離定数Kdの逆数である。
解離定数(Kd)は、抗体部分の抗原に対する親和性を示す指標として使用される。例えば、様々なマーカー剤でマークされた抗体を使用するScatchard法によって、並びにBIACORE(商標)(Amersham Biosciences製)を使用して、ユーザーマニュアル及び添付のキットに従って、表面プラズモン共鳴による生体分子相互作用を分析することによって容易に分析可能である。これらの方法を使用して導き出すことができるKd値は、M(モル)単位で表される。標的に特異的に結合する抗体部分は、例えば、≦10−7M、≦10−8M、≦10−9M、≦10−10M、≦10−11M、≦10−12M、又は≦10−13MのKdを有し得る。
抗体部分の結合特異性は、当該技術分野において既知の方法によって実験的に決定することができる。このような方法は、ウエスタンブロット、ELISA、RIA、ECL、IRMA、EIA、BIACORE(商標)の試験、及びペプチドスキャンを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分の結合親和性は、抗GPC3抗体部分の、表面上でGPC3を発現している細胞(例えば、HepG2細胞)に対する結合親和性を試験することによって測定される。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する(例えば、抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い)。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、例えばフローサイトメトリーを使用する、可溶性GPC3抗原との競合結合アッセイにおいて、抗nGPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、競合結合アッセイにおいて抗nGPC3抗体部分を可溶性GPC3抗原と共にプレインキュベートしたとき、抗nGPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する。例えば、いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクトを、様々な濃度の可溶性GPC3抗原(例えば、組み換えGPC3断片)と共にプレインキュベートしてよく、次いで、GPC3+細胞(例えば、HepG2細胞)を抗体/抗原混合物に添加し、インキュベートしてよく、次いで、細胞表面結合抗GPC3コンストラクトを検出してよい:可溶性GPC3とプレインキュベートされた抗GPC3コンストラクトのGPC3+細胞への結合は、可溶性GPC3とプレインキュベートしなかった抗GPC3コンストラクトのGPC3+細胞への結合と比べて有意差を示さない場合があり、このことは、抗GPC3抗体部分が、細胞表面結合GPC3を特異的に認識することができるか、又は抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合することを示す。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)のKdで、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する。したがって、いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKd、抗sGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKd、又は抗GPC3抗体部分とGPC3(任意のフォーマット)との間の結合のKdは、約10−7 M〜約10−13M、約1×10−7M〜約5×10−13M、約10−7M〜約10−12M、約10−7M〜約10−11M、約10−7M〜約10−10M、約10−7M〜約10−9M、約10−8M〜約10−13M、約1×10−8M〜約5×10−13M、約10−8M〜約10−12M、約10−8M〜約10−11M、約10−8M〜約10−10M、約10−8M〜約10−9M、約5×10−9M〜約1×10−13M、約5×10−9M〜約1×10−12M、約5×10−9M〜約1×10−11M、約5×10−9M〜約1×10−10M、約10−9M〜約10−13M、約10−9M〜約10−12M、約10−9M〜約10−11M、約10−9M〜約10−10M、約5×10−10M〜約1×10−13M、約5×10−10M〜約1×10−12M、約5×10−10M〜約1×10−11M、約10−10M〜約10−13M、約1×10−10M〜約5×10−13M、約1×10−10M〜約1×10−12M、約1×10−10M〜約5×10−12M、約1×10−10M〜約1×10−11M、約10−11M〜約10−13M、約1×10−11M〜約5×10−13M、約10−11M〜約10−12M、又は約10−12M〜約10−13Mである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13Mである。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的との間の結合のKdよりも高く、本明細書では、いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分の標的(例えば、細胞表面結合GPC3)に対する結合親和性は、非標的(例えば、可溶性GPC3)に対する結合親和性よりも高いと称される。いくつかの実施形態では、非標的は、GPC3ではない抗原である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分については、非標的は、可溶性GPC3である。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分については、非標的は、細胞表面結合GPC3である。例えば、抗nGPC3抗体部分と可溶性GPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍、例えば、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよい。また、例えば、抗sGPC3抗体部分と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdは、抗sGPC3抗体部分と可溶性GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍、例えば、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよい。いくつかの実施形態では、(nGPC3及び/又はsGPC3に対する)抗GPC3抗体部分と非GPC3標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍、例えば、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分と可溶性GPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍である。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)のKdで、非標的に結合する。いくつかの実施形態では、非標的は、GPC3ではない抗原である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分については、非標的は、可溶性GPC3である。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分については、非標的は、細胞表面結合GPC3である。したがって、いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非GPC3標的との間の結合のKd、抗nGPC3抗体部分と可溶性GPC3との間の結合のKd、又は抗sGPC3抗体部分と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M、約1×10−1M〜約5×10−6M、約10−1M〜約10−5M、約1×10−1M〜約5×10−5M、約10−1M〜約10−4M、約1×10−1M〜約5×10−4M、約10−1M〜約10−3M、約1×10−1M〜約5×10−3M、約10−1M〜約10−2M、約10−2M〜約10−6M、約1×10−2M〜約5×10−6M、約10−2M〜約10−5M、約1×10−2M〜約5×10−5M、約10−2M〜約10−4M、約1×10−2M〜約5×10−4M、約10−2M〜約10−3M、約10−3M〜約10−6M、約1×10−3M〜約5×10−6M、約10−3M〜約10−5M、約1×10−3M〜約5×10−5M、約10−3M〜約10−4M、約10−4M〜約10−6M、約1×10−4M〜約5×10−6M、約10−4M〜約10−5M、又は約10−5M〜約10−6Mである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分と可溶性nGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6Mである。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗nGPC3抗体部分は、可溶性GPC3には結合しない。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で標的GPC3(例えば、細胞表面結合GPC3)を特異的に認識し、低い結合親和性で非標的(例えば、可溶性GPC3)に結合すると称されるとき、抗GPC3抗体部分は、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)のKdで標的GPC3(例えば、細胞表面結合GPC3)に結合し、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)のKdで非標的(例えば、可溶性GPC3)に結合する。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分が、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する(例えば、抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い)と称されるとき、又は抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識するが、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合すると称されるとき、抗GPC3抗体部分の結合親和性を、モノクローナル抗体GC33などの対照抗GPC3抗体と比較する。いくつかの実施形態では、GC33(例えば、配列番号510)と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdは、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdの少なくとも約2倍、例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトの細胞表面結合GPC3に対するKdは、約0.1nM〜約2nM、例えば、約0.1nM〜約0.5nM、約0.5nM〜約1nM、又は約1.5〜約2nMである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分と可溶性GPC3との間の結合のKdは、GC33(例えば、配列番号510)と可溶性GPC3との間の結合のKdの少なくとも約2倍、例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトの細胞表面結合GPC3に対するKdは、約10nM〜約100nM、例えば、約10nM〜約20nM、約20nM〜約40nM、約40nM〜約80nM、又は約80nM〜約100nMである。いくつかの実施形態では、対照抗GPC3抗体と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdは、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdの少なくとも約2倍、例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよく、当該対照抗体は、i)配列番号503のアミノ酸配列、又は配列番号503に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、ii)配列番号504のアミノ酸配列、又は配列番号504に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分と可溶性GPC3との間の結合のKdは、対照抗GPC3抗体と可溶性GPC3との間の結合のKdの少なくとも約2倍、例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよく、当該対照抗体は、i)配列番号503のアミノ酸配列、又は配列番号503に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、ii)配列番号504のアミノ酸配列、又は配列番号504に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、対照抗GPC3抗体と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdは、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分と細胞表面結合GPC3との間の結合のKdの少なくとも約2倍、例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよく、当該対照抗体は、i)配列番号497のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号498のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号499のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号500のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号501のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号502のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分と可溶性GPC3との間の結合のKdは、対照抗GPC3抗体と可溶性GPC3との間の結合のKdの少なくとも約2倍、例えば、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約10〜100倍、約100〜1000倍、約103〜104倍、約104〜105倍、約105〜106倍、約106〜107倍、約107〜108倍、約108〜109倍、約109〜1010倍、約1010〜1011倍、又は約1011〜1012倍であってよく、当該対照抗体は、i)配列番号497のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号498のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号499のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号500のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号501のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号502のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトと細胞表面結合GPC3との間の結合に競合する可溶性GPC3のIC50は、約1μg/mL〜約100μg/mL、例えば、約1μg/mL〜約5μg/mL、1μg/mL〜約10μg/mL、約10μg/mL〜約20μg/mL、約20μg/mL〜約50μg/mL、又は50μg/mL〜約100μg/mLである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトと細胞表面結合GPC3との間の結合に競合する可溶性GPC3のIC50は、対照抗GPC3抗体(GC33など)と細胞表面結合GPC3との間の結合に競合する可溶性GPC3のIC50の少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍又はそれ以上のいずれか1つである。
抗GPC3抗体部分フォーマット
本明細書に記載の(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3に対する)抗GPC3抗体部分は、任意の抗体又は抗原結合断片フォーマットであってよい。
いくつかの実施形態では、(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3に対する)抗GPC3抗体部分は、完全長抗体又は免疫グロブリン誘導体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、抗原結合断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、又は単鎖Fv(scFv)からなる群から選択される抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、(nGPC3及び/又はsGPC3に対する)抗GPC3抗体部分は、完全ヒト配列及び1つ以上の合成領域を含む半合成抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、完全ヒト軽鎖可変ドメインと、完全ヒトFR1、HC−CDR1、FR2、HC−CDR2、FR3、及びFR4領域、並びに合成HC−CDR3を含む半合成重鎖可変ドメインとを含む半合成抗体部分である。いくつかの実施形態では、半合成重鎖可変ドメインは、約5〜約25(約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれかなど)アミノ酸長の配列を有する完全合成HC−CDR3を含む。いくつかの実施形態では、半合成重鎖可変ドメイン又は合成HC−CDR3は、約5〜約25(約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれかなど)アミノ酸長の配列を有する完全合成HC−CDR3を含む半合成ライブラリ(半合成ヒトライブラリなど)から得られ、配列中の各アミノ酸は、システインを除いた標準的なヒトアミノ酸からランダムに選択される。いくつかの実施形態では、合成HC−CDR3は、約5〜約19(約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19のいずれかなど)アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、ヒトCDR及び非ヒトフレームワーク配列を含む半合成抗体部分である。非ヒトフレームワーク配列としては、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のヒトCDR配列を使用して合成重鎖及び/又は軽鎖可変領域を生成するために使用することができる任意の配列を含み、例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシ、バッファロー)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)などを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、本明細書に記載の1つ以上のヒトCDR配列を、非ヒトフレームワーク配列(例えば、マウス又はニワトリのフレームワーク配列)に移植することによって生成される。
抗GPC3抗体部分の配列
抗GPC3抗体部分は、いくつかの実施形態では、特定の配列又はそのような配列の特定の変異型を含む。いくつかの実施形態では、変異型配列におけるアミノ酸置換は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗nGPC3抗体部分の能力、可溶性GPC3を特異的に認識する抗sGPC3抗体部分の能力、又は標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分の能力を実質的に低下させない。例えば、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)結合親和性を実質的に低下させない変更を行うことができる。標的GPC3結合親和性を実質的に改善するか、又は特異性及び/若しくは標的GPC3の関連変異型との交差反応性などのいくつかの他の特性に影響を及ぼす変更も想到される。
例示的な抗体配列を表6〜表9に示す。表6及び表8の例示的なCDR配列は、IgBLASTアルゴリズムを使用して予測される。例えば、開示全体が参照により本明細書に組み込まれるYe J.et al.Nucleic Acids Research,41:W34−W40(2013)を参照されたい。当業者であれば、抗体重鎖及び軽鎖可変領域におけるCDR位置を予測するための多くのアルゴリズムが知られており、本明細書に記載されている抗体由来であるが、IgBLAST以外の予測アルゴリズムに基づくCDRを含む抗体剤も本発明の範囲内であることを認識するであろう。
表7及び表9の例示的な抗体重鎖及び軽鎖可変領域配列は、INTERNATIONAL IMMUNOGENETICS INFORMATION SYSTEM(登録商標)(IMGT)に従って区切られる。例えば、開示全体が参照により本明細書に組み込まれるLefranc,M.−P.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D413−422(2015)を参照されたい。当業者であれば、本明細書に記載の抗体由来であるが、IMGT以外のアルゴリズムに基づくVH又はVL配列を含む抗体剤も本発明の範囲内であることを認識するであろう。
細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3(抗nGPC3抗体部分)を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列、又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、ii)配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列、又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含み、当該アミノ酸置換がHC−CDR1又はHC−CDR2中に存在するVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含み、当該アミノ酸置換がLC−CDR1又はLC−CDR2中に存在するVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号307〜337のいずれか1つの1、2、又は3個のCDRを含むVHと、b)配列番号358〜388のいずれか1つの1、2、又は3個のCDRを含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号307〜337のいずれか1つの重鎖可変ドメインのHC−CDR1、HC−CDR2、及びHC−CDR3を含むVHと、b)配列番号358〜388のいずれか1つのCDRの軽鎖可変ドメインのLC−CDR1、LC−CDR2、及びLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号307〜337のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号358〜388のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
重鎖及び軽鎖可変ドメインは、多数の抗nGPC3抗体部分を生成するために、様々な対の組み合わせで組み合わせてよい。例示的な抗nGPC3抗体を表6及び表7に記載する。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号1のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号154のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号2のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号53のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号104のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号155のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号206のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号257のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号2のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号53のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号104のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号155のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号206のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号257のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号2のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号53のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号104のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号155のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号206のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号257のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号3のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号54のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号105のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号156のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号207のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号258のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号3のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号105のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号156のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号207のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号258のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号3のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号105のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号156のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号207のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号258のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号4のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号55のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号106のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号157のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号208のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号259のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号55のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号106のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号157のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号208のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号259のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号4のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号55のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号106のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号157のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号208のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号259のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号5のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号56のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号107のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号158のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号209のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号260のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号56のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号107のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号158のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号209のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号260のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号56のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号107のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号158のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号209のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号260のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号6のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号57のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号108のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号159のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号210のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号261のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号6のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号57のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号108のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号159のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号210のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号261のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号6のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号57のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号108のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号159のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号210のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号261のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号7のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号58のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号109のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号160のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号211のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号262のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号7のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号58のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号109のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号160のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号211のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号262のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号7のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号58のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号109のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号160のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号211のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号262のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号8のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号59のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号110のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号161のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号212のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号263のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号8のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号59のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号110のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号161のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号212のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号263のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号8のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号59のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号110のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号161のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号212のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号263のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号9のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号60のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号111のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号162のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号213のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号264のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号60のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号111のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号162のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号213のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号264のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号60のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号111のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号162のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号213のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号264のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号10のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号61のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号112のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号163のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号214のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号265のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号10のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号61のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号112のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号163のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号214のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号265のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号10のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号61のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号112のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号163のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号214のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号265のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号11のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号62のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号113のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号164のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号215のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号266のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号11のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号62のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号113のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号164のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号215のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号266のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号11のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号62のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号113のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号164のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号215のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号266のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号12のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号63のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号114のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号165のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号216のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号267のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号63のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号114のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号165のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号216のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号267のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号12のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号63のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号114のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号165のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号216のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号267のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号13のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号64のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号115のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号166のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号217のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号268のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号13のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号64のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号115のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号166のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号217のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号268のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号13のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号64のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号115のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号166のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号217のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号268のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号14のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号65のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号116のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号167のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号218のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号269のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号14のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号65のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号116のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号167のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号218のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号269のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号14のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号65のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号116のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号167のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号218のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号269のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号15のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号66のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号117のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号168のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号219のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号270のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号15のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号117のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号168のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号219のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号270のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号15のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号66のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号117のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号168のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号219のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号270のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号16のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号67のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号118のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号169のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号220のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号271のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号16のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号118のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号169のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号220のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号271のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号16のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号67のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号118のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号169のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号220のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号271のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号17のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号68のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号119のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号170のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号221のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号272のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号68のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号119のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号170のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号221のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号272のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号17のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号68のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号119のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号170のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号221のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号272のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号18のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号69のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号120のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号171のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号222のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号273のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号18のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号69のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号120のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号171のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号222のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号273のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号18のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号69のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号120のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号171のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号222のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号273のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号19のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号70のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号121のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号172のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号223のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号274のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号19のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号70のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号121のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号172のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号223のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号274のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号19のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号70のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号121のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号172のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号223のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号274のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号20のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号71のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号122のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号173のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号224のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号275のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号71のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号122のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号173のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号224のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号275のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号71のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号122のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号173のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号224のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号275のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号21のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号72のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号123のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号174のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号225のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号276のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号21のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号72のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号123のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号174のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号225のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号276のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号21のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号72のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号123のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号174のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号225のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号276のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号22のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号73のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号124のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号175のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号226のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号277のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号22のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号73のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号124のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号175のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号226のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号277のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号22のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号73のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号124のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号175のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号226のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号277のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号23のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号74のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号125のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号176のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号227のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号278のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号74のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号125のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号176のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号227のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号278のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号23のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号74のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号125のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号176のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号227のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号278のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号24のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号75のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号126のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号177のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号228のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号279のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号24のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号75のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号126のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号177のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号228のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号279のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号24のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号75のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号126のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号177のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号228のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号279のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号25のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号76のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号127のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号178のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号229のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号280のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号127のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号178のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号229のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号280のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号25のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号76のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号127のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号178のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号229のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号280のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号26のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号77のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号128のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号179のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号230のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号281のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号26のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号128のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号179のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号230のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号281のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号26のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号77のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号128のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号179のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号230のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号281のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号27のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号78のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号129のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号180のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号231のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号282のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号27のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号78のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号129のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号180のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号231のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号282のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号27のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号78のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号129のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号180のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号231のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号282のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号28のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号79のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号130のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号181のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号232のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号283のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号79のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号130のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号181のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号232のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号283のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号28のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号79のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号130のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号181のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号232のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号283のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号29のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号80のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号131のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号182のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号233のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号284のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号29のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号80のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号131のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号182のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号233のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号284のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号29のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号80のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号131のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号182のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号233のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号284のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号30のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号81のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号132のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号183のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号234のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号285のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号30のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号81のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号132のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号183のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号234のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号285のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号30のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号81のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号132のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号183のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号234のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号285のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号31のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号82のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号133のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号184のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号235のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号286のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、(1)i)配列番号31のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号82のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号133のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号184のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号235のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号286のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、i)配列番号31のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号82のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号133のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号184のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号235のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号286のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号307のアミノ酸配列、又は配列番号307に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号358のアミノ酸配列、又は配列番号358に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号307のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号358のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号307のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号358のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号308のアミノ酸配列、又は配列番号308に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号359のアミノ酸配列、又は配列番号359に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号308のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号359のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号308のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号359のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号309のアミノ酸配列、又は配列番号309に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号360のアミノ酸配列、又は配列番号360に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号309のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号360のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号309のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号360のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号310のアミノ酸配列、又は配列番号310に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号361のアミノ酸配列、又は配列番号361に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号310のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号361のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号310のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号361のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号311のアミノ酸配列、又は配列番号311に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号362のアミノ酸配列、又は配列番号362に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号311のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号362のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号311のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号362のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号312のアミノ酸配列、又は配列番号312に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号363のアミノ酸配列、又は配列番号363に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号312のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号363のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号312のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号363のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号313のアミノ酸配列、又は配列番号313に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号364のアミノ酸配列、又は配列番号364に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号313のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号364のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号313のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号364のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号314のアミノ酸配列、又は配列番号314に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号365のアミノ酸配列、又は配列番号365に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号314のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号365のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号314のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号365のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号315のアミノ酸配列、又は配列番号315に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号366のアミノ酸配列、又は配列番号366に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号315のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号366のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号315のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号366のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号316のアミノ酸配列、又は配列番号316に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号367のアミノ酸配列、又は配列番号367に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号316のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号367のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号316のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号367のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号317のアミノ酸配列、又は配列番号317に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号368のアミノ酸配列、又は配列番号368に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号317のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号368のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号317のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号368のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号318のアミノ酸配列、又は配列番号318に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号369のアミノ酸配列、又は配列番号369に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号318のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号369のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号318のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号369のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号319のアミノ酸配列、又は配列番号319に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号370のアミノ酸配列、又は配列番号370に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号319のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号370のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号319のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号370のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号320のアミノ酸配列、又は配列番号320に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号371のアミノ酸配列、又は配列番号371に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号320のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号371のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号320のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号371のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号321のアミノ酸配列、又は配列番号321に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号372のアミノ酸配列、又は配列番号372に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号321のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号372のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号321のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号372のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号322のアミノ酸配列、又は配列番号322に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号373のアミノ酸配列、又は配列番号373に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号322のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号373のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号322のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号373のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号323のアミノ酸配列、又は配列番号323に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号374のアミノ酸配列、又は配列番号374に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号323のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号374のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号323のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号374のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号324のアミノ酸配列、又は配列番号324に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号375のアミノ酸配列、又は配列番号375に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号324のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号375のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号324のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号375のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号325のアミノ酸配列、又は配列番号325に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号376のアミノ酸配列、又は配列番号376に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号325のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号376のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号325のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号376のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号326のアミノ酸配列、又は配列番号326に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号377のアミノ酸配列、又は配列番号377に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号326のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号377のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号326のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号377のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号327のアミノ酸配列、又は配列番号327に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号378のアミノ酸配列、又は配列番号378に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号327のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号378のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号327のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号378のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号328のアミノ酸配列、又は配列番号328に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号379のアミノ酸配列、又は配列番号379に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号328のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号379のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号328のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号379のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号329のアミノ酸配列、又は配列番号329に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号380のアミノ酸配列、又は配列番号380に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号329のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号380のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号329のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号380のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号330のアミノ酸配列、又は配列番号330に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号381のアミノ酸配列、又は配列番号381に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号330のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号381のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号330のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号381のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号331のアミノ酸配列、又は配列番号331に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号382のアミノ酸配列、又は配列番号382に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号331のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号382のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号331のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号382のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号332のアミノ酸配列、又は配列番号332に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号383のアミノ酸配列、又は配列番号383に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号332のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号383のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号332のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号383のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号333のアミノ酸配列、又は配列番号333に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号384のアミノ酸配列、又は配列番号384に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号333のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号384のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号333のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号384のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号334のアミノ酸配列、又は配列番号334に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号385のアミノ酸配列、又は配列番号385に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号334のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号385のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号334のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号385のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号335のアミノ酸配列、又は配列番号335に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号386のアミノ酸配列、又は配列番号386に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号335のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号386のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号335のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号386のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号336のアミノ酸配列、又は配列番号336に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号387のアミノ酸配列、又は配列番号387に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号336のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号387のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号336のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号387のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号337のアミノ酸配列、又は配列番号337に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号388のアミノ酸配列、又は配列番号388に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号337のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号388のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号337のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号388のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3への結合について、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分のいずれかによる第2の抗nGPC3抗体部分と競合する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、第2の抗nGPC3抗体部分と同じ又は実質的に同じエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3への結合は、第2の抗nGPC3抗体部分の同じ細胞表面結合GPC3への結合を少なくとも約70%(少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%のいずれかなど)阻害し、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分及び第2の抗nGPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3への結合について交差競合し、すなわち、抗nGPC3抗体部分のそれぞれが、細胞表面結合GPC3への結合について他と競合する。
GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列、又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、ii)配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列、又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含み、当該アミノ酸置換がHC−CDR1又はHC−CDR2中に存在するVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含み、当該アミノ酸置換がLC−CDR1又はLC−CDR2中に存在するVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号338〜357のいずれか1つの、1つ、2つ、又は3つのCDRを含むVHと、b)配列番号389〜408のいずれか1つの、1つ、2つ、又は3つのCDRを含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、a)配列番号389〜408のいずれか1つの重鎖可変ドメインのHC−CDR1、HC−CDR2、及びHC−CDR3を含むVHと、b)配列番号358〜388のいずれか1つのCDRの軽鎖可変ドメインのLC−CDR1、LC−CDR2、及びLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号338〜357のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号389〜408のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
重鎖及び軽鎖可変ドメインは、多数の抗GPC3抗体部分を生成するために、様々な対の組み合わせで組み合わせてよい。例示的な抗GPC3抗体部分を表8及び表9に記載する。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号32のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号32のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号185のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号32のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号33のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号84のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号135のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号186のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号237のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号288のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号33のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号84のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号135のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号186のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号237のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号288のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号33のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号84のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号135のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号186のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号237のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号288のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号34のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号85のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号136のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号187のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号238のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号289のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号34のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号85のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号136のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号187のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号238のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号289のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号34のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号85のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号136のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号187のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号238のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号289のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号35のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号86のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号137のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号188のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号239のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号290のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号35のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号86のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号137のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号188のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号239のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号290のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号35のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号86のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号137のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号188のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号239のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号290のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号36のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号87のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号138のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号189のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号240のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号291のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号36のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号87のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号189のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号240のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号291のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号36のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号87のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号138のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号189のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号240のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号291のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号37のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号88のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号139のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号190のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号241のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号292のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号88のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号190のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号241のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号292のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号37のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号88のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号139のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号190のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号241のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号292のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号38のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号89のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号140のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号191のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号242のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号293のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号38のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号89のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号140のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号191のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号242のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号293のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号38のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号89のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号140のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号191のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号242のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号293のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号39のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号90のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号141のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号192のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号243のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号294のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号39のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号90のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号141のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号192のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号243のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号294のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号39のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号90のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号141のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号192のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号243のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号294のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号40のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号91のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号142のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号193のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号244のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号295のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号40のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号91のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号142のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号193のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号244のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号295のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号40のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号91のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号142のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号193のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号244のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号295のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号41のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号92のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号143のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号194のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号245のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号296のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号92のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号143のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号194のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号245のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号296のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号41のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号92のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号143のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号194のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号245のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号296のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号42のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号93のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号144のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号195のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号246のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号297のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号93のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号144のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号195のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号246のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号297のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号42のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号93のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号144のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号195のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号246のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号297のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号43のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号94のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号145のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号196のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号247のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号298のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号94のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号145のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号196のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号247のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号298のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号43のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号94のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号145のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号196のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号247のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号298のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号44のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号95のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号146のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号197のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号248のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号299のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号44のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号95のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号146のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号197のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号248のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号299のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号44のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号95のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号146のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号197のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号248のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号299のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号45のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号96のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号147のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号198のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号249のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号300のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号45のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号96のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号147のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号198のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号249のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号300のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号45のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号96のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号147のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号198のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号249のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号300のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号46のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号97のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号148のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号199のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号250のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号301のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号46のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号97のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号148のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号199のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号250のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号301のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号46のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号97のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号148のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号199のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号250のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号301のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号47のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号98のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号149のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号200のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号251のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号302のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号47のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号98のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号149のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号200のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号251のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号302のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号47のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号98のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号149のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号200のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号251のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号302のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号48のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号99のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号150のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号201のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号252のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号303のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号48のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号99のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号150のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号201のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号252のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号303のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号48のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号99のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号150のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号201のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号252のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号303のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号49のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号100のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号151のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号202のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号253のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号304のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号49のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号100のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号151のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号202のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号253のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号304のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号49のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号100のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号151のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号202のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号253のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号304のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号50のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号101のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号152のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号203のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号254のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号305のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号50のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号101のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号152のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号203のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号254のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号305のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号50のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号101のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号152のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号203のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号254のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号305のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号51のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号102のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号153のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号204のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号255のアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号306のアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、(1)i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号102のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号153のアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号204のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号255のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号306のアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号102のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号153のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号204のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号255のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号306のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号338のアミノ酸配列、又は配列番号338に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号389のアミノ酸配列、又は配列番号389に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号338のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号389のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号338のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号389のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号339のアミノ酸配列、又は配列番号339に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号390のアミノ酸配列、又は配列番号390に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号339のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号390のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号339のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号390のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号340のアミノ酸配列、又は配列番号340に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号391のアミノ酸配列、又は配列番号391に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号340のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号391のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号340のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号391のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号341のアミノ酸配列、又は配列番号341に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号392のアミノ酸配列、又は配列番号392に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号341のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号392のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号341のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号392のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号342のアミノ酸配列、又は配列番号342に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号393のアミノ酸配列、又は配列番号393に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号342のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号393のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号342のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号393のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号343のアミノ酸配列、又は配列番号343に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号394のアミノ酸配列、又は配列番号394に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号343のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号394のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号343のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号394のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号344のアミノ酸配列、又は配列番号344に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号395のアミノ酸配列、又は配列番号395に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号344のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号395のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号344のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号395のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号345のアミノ酸配列、又は配列番号345に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号396のアミノ酸配列、又は配列番号396に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号345のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号396のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号345のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号396のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号346のアミノ酸配列、又は配列番号346に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号397のアミノ酸配列、又は配列番号397に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号346のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号397のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号346のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号397のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号347のアミノ酸配列、又は配列番号347に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号398のアミノ酸配列、又は配列番号398に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号347のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号398のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号347のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号398のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号348のアミノ酸配列、又は配列番号348に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号399のアミノ酸配列、又は配列番号399に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号348のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号399のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号348のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号399のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号349のアミノ酸配列、又は配列番号349に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号400のアミノ酸配列、又は配列番号400に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号349のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号400のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号349のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号400のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号350のアミノ酸配列、又は配列番号350に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号401のアミノ酸配列、又は配列番号401に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号350のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号401のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号350のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号401のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号351のアミノ酸配列、又は配列番号351に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号402のアミノ酸配列、又は配列番号402に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号351のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号402のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号351のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号402のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号352のアミノ酸配列、又は配列番号352に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号403のアミノ酸配列、又は配列番号403に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号352のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号403のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号352のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号403のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号353のアミノ酸配列、又は配列番号353に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号404のアミノ酸配列、又は配列番号404に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号353のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号404のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号353のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号404のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号354のアミノ酸配列、又は配列番号354に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号405のアミノ酸配列、又は配列番号405に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号354のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号405のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号354のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号405のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号355のアミノ酸配列、又は配列番号355に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号406のアミノ酸配列、又は配列番号406に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号355のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号406のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号355のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号406のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号356のアミノ酸配列、又は配列番号356に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号407のアミノ酸配列、又は配列番号407に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号356のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号407のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号356のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号407のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号357のアミノ酸配列、又は配列番号357に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、b)配列番号408のアミノ酸配列、又は配列番号408に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、a)配列番号357のアミノ酸配列を含むVHと、b)配列番号408のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号357のアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号408のアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について、本明細書に記載の抗GPC3抗体部分のいずれかによる第2の抗GPC3抗体部分と競合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、第2の抗GPC3抗体部分と同じ又は実質的に同じエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分の標的GPC3への結合は、第2の抗GPC3抗体部分の標的GPC3への結合を少なくとも約70%(少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%のいずれかなど)阻害し、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分及び第2の抗GPC3抗体部分は、標的GPC3への結合について交差競合する、すなわち、抗GPC3抗体部分のそれぞれが、標的GPC3への結合について他方と競合する。
いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、抗nGPC3抗体部分が、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分のいずれか1つであってよいコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、抗GPC3抗体部分が、本明細書に記載の抗GPC3抗体部分のいずれか1つであってよいコンストラクトが提供される。
例えば、いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(本明細書では「抗nGPC3抗体部分」と称される、例えば、当該抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は当該抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、場合によりリンカーを介してFc断片(例えば、IgG1 Fc断片)に融合している抗GPC3抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体(例えば、モノクローナル抗体)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性(二重特異性など)分子、例えば、タンデムジscFv抗GPC3 T細胞エンゲージャ(タンデムジscFv抗GPC3×CD3ε)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、CARである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、caTCRである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号307〜337のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、ii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号358〜388のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、場合によりリンカーを介してFc断片(例えば、IgG1 Fc断片)に融合している抗GPC3抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体(例えば、モノクローナル抗体)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性(二重特異性など)分子、例えば、タンデムジscFv抗GPC3 T細胞エンゲージャ(タンデムジscFv抗GPC3×CD3ε)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、CARである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、caTCRである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3、又はHC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3、又はLC−CDR配列中に最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むこれらの変異型を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、HC−CDR1又はHC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、LC−CDR1又はLC−CDR2中に存在する。いくつかの実施形態では、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号338〜357のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、ii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号389〜408のいずれか1つに対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のいずれかを含む)の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、場合によりリンカーを介してFc断片(例えば、IgG1 Fc断片)に融合している抗GPC3抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体(例えば、モノクローナル抗体)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性(二重特異性など)分子、例えば、タンデムジscFv抗GPC3 T細胞エンゲージャ(タンデムジscFv抗GPC3×CD3ε)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、CARである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、caTCRである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性(例えば、二重特異性)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。
抗GPC3 scFv
抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3抗体部分(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3を標的とする)を含むscFv(以後「抗GPC3 scFv」と称される)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3 scFvは、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。抗GPC3−scFvは、本明細書に記載の抗GPC3抗体部分のいずれか1つを含んでいてよい(「抗GPC3抗体部分」の章を参照されたい)。抗GPC3 scFv(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3を標的とする)は、(N末端からC末端に向かって)V
L(GPC3)−L−V
H(GPC3)又はV
H(GPC3)−L−V
L(GPC3)(式中、Lは、リンカー(ペプチドリンカーなど)である)の構成を有していてよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。例示的な抗GPC3 scFvの配列を表10及び表11に示す。
リンカー
本明細書に記載の抗GPC3 scFvで使用することができる全ての適用可能なリンカーについては、以下の「抗GPC3 Fc融合タンパク質」の章の下の「リンカー」小見出しを参照されたい。いくつかの実施形態では、リンカーは、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号473)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)であるか、又はこれを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、GEGTSTGSGGSGGSGGAD(配列番号490)のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識するscFv(本明細書では「抗nGPC3 scFv」と称される、例えば、抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3 scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗GPC3コンストラクト(例えば、単離された抗GPC3コンストラクト)が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3 sc−Fvは、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3 sc−Fvは、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3 sc−Fvは、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3 sc−Fvは、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3 sc−Fvは、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3−scFv(例えば、抗nGPC3−scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3−scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する、抗nGPC3−scFv(例えば、抗nGPC3−scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3−scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHは、抗nGPC3−scFvのVLのN末端側である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHは、抗nGPC3−scFvのVLのC末端側である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMAのアミノ酸配列(配列番号473)を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)であるか、又はこれを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、GEGTSTGSGGSGGSGGADのアミノ酸配列(配列番号490)を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3 scFvは、タグ(例えば、精製目的のためのペプチドタグ)を更に含む。いくつかの実施形態では、タグは、抗nGPC3 scFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、抗nGPC3 scFvのC末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、His−タグ及びHA−タグを含む。いくつかの実施形態では、タグは、TSGQAGQHHHHHHGAYPYDVPDYASのアミノ酸配列(配列番号477)を含む。
いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHは、抗nGPC3−scFvのVLのN末端側である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHは、抗nGPC3−scFvのVLのC末端側である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMAのアミノ酸配列(配列番号473)を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)であるか、又はこれを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、GEGTSTGSGGSGGSGGADのアミノ酸配列(配列番号490)を含む。いくつかの実施形態では、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、抗nGPC3 scFvが、配列番号409〜439のいずれか1つのアミノ酸配列を含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3 scFvは、タグ(例えば、精製目的のためのペプチドタグ)を更に含む。いくつかの実施形態では、タグは、抗nGPC3 scFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、抗nGPC3 scFvのC末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、His−タグ及びHA−タグを含む。いくつかの実施形態では、タグは、TSGQAGQHHHHHHGAYPYDVPDYASのアミノ酸配列(配列番号477)を含む。
いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、高い結合親和性では細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvの可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3−scFvは、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3−scFvは、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvと標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvと非標的との間の結合のKdは、抗GPC3−scFvと標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvと非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvのVHは、抗GPC3−scFvのVLのN末端側である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvのVHは、抗GPC3−scFvのVLのC末端側である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMAのアミノ酸配列(配列番号473)を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)であるか、又はこれを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvのVHとVLとの間のリンカーは、GEGTSTGSGGSGGSGGADのアミノ酸配列(配列番号490)を含む。いくつかの実施形態では、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3−scFvを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)であって、抗GPC3 scFvが、配列番号440〜459のいずれか1つのアミノ酸配列を含むコンストラクトが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、タグ(例えば、精製目的のためのペプチドタグ)を更に含む。いくつかの実施形態では、タグは、抗GPC3−scFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、抗GPC3−scFvのC末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、His−タグ及びHA−タグを含む。いくつかの実施形態では、タグは、TSGQAGQHHHHHHGAYPYDVPDYASのアミノ酸配列(配列番号477)を含む。
抗GPC3 Fc融合タンパク質
抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、いくつかの実施形態では、Fc断片(IgG1 Fc断片など)に融合している本明細書に記載の抗GPC3抗体部分を含むFc融合タンパク質(以後「抗GPC3−Fc融合タンパク質」と称される)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、リンカー(ペプチドリンカーなど)を介してFc断片に融合している。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、Fc断片を含む抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、完全長抗体である。「抗GPC3抗体部分の章」に記載されている抗GPC3抗体部分のいずれかを、抗GPC3−Fc融合タンパク質において使用してよい。
Fc断片
用語「Fc領域」、「Fcドメイン」、又は「Fc」は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端非抗原結合領域を指す。この用語は、ネイティブFc領域及び変異型Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から重鎖のカルボキシル末端まで伸びる。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、Fc領域の構造にも安定性にも影響を及ぼすことなく、存在していてもよく、存在していなくてもよい。本明細書で特に指定しない限り、IgG又はFc領域におけるアミノ酸残基の付番は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されている、EUインデックスとも呼ばれる抗体のためのEU付番システムに従う。
いくつかの実施形態では、Fc断片は、ヒンジ領域(Cys226で始まる)、IgG CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含む免疫グロブリンIgG重鎖定常領域を含む。用語「ヒンジ領域」又は「ヒンジ配列」は、本明細書で使用するとき、リンカーとCH2ドメインとの間に位置するアミノ酸配列を指す。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、ヒンジ領域を含むFc断片を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、二量体化を促進するために、ネイティブIgG1ヒンジ領域にみられる配列である、アミノ酸配列CPPCP(配列番号478)を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質のFc断片は、ヒンジ領域で始まり、IgG重鎖のC末端まで伸びる。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、ヒンジ領域を含まないFc断片を含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来のFc断片、並びにこれらの組み合わせ及びハイブリッドからなる群から選択されるFc断片を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、ヒトIgGに由来する。いくつかの実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4のFc領域、又は組み合わせ若しくはハイブリッドのIgGを含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc断片である。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG1のCH2及びCH3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG4 Fc断片である。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG4のCH2及びCH3ドメインを含む。IgG4 Fcは、IgG1 Fcよりも低いエフェクタ活性を示すことが知られているので、いくつかの用途に望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、Fc断片は、マウス免疫グロブリンに由来する。
いくつかの実施形態では、IgG CH2ドメインは、Ala231で始まる。いくつかの実施形態では、CH3ドメインは、Gly341で始まる。ヒトIgGのC末端Lys残基は、場合により存在しなくてもよいことが理解される。Fcの所望の構造及び/又は安定性に影響を及ぼすことのないFc領域の保存的アミノ酸置換が、本発明の範囲内で想到されることも理解される。
更に、以下に記載されるFc変異型のいずれか又はその組み合わせを含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が想到される。いくつかの実施形態では、Fc断片は、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)エフェクタ機能を有するように変更された又は別の方法で変化した配列を含む。
いくつかの実施形態では、Fc断片の各鎖は、同じ実体に融合している。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、それぞれがFc断片の1本の鎖に融合している、本明細書に記載の2つの同一の抗GPC3抗体部分(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3を特異的に認識する)を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片の2本の鎖は同一である。いくつかの実施形態では、Fc断片を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(抗体を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質を含む)は、ホモ二量体である。
いくつかの実施形態では、Fc断片の各鎖は、異なる実体に融合している。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、それぞれがFc断片の1本の鎖に融合している、2つの異なる抗GPC3抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、2つの抗GPC3抗体部分は異なるが、両方ともnGPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、2つの抗GPC3抗体部分は異なるが、両方ともsGPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、一方の抗GPC3抗体部分は、nGPC3を特異的に認識し、他方の抗GPC3抗体部分は、sGPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は一価である、すなわち、1つの抗GPC3抗体部分のみがFc断片の1本の鎖に融合しており、Fc断片の第2の鎖は、抗GPC3抗体部分に融合していない。いくつかの実施形態では、Fc断片を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(抗体を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質を含む)は、ヘテロ二量体である。
抗GPC3−Fc融合タンパク質中の非同一ポリペプチドのヘテロ二量体化は、ノブ・インツー・ホール技術によるヘテロ二量体化を含むが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の方法によって促進され得る。ノブ・インツー・ホール技術の構造及び組み立て方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,821,333号、同第7,642,228号、米国特許出願公開第2011/0287009号、及び国際出願第PCT/US2012/059810号に見出すことができる。この技術は、1つのFcのCH3ドメイン内の小さなアミノ酸残基を大きなアミノ酸で置換することによって「ノブ」(又は突起)を導入し、1つ以上の大きなアミノ酸残基をより小さなもので置換することによって他のFcのCH3ドメイン内に「ホール」(又は空洞)を導入することによって開発された。いくつかの実施形態では、融合タンパク質中のFc断片の1本の鎖はノブを含み、Fc断片の第2の鎖はホ−ルを含む。
ノブの形成に好ましい残基は、一般に、天然に生じるアミノ酸残基であり、好ましくは、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)から選択される。最も好ましいのは、トリプトファン及びチロシンである。一実施形態では、ノブを形成するための元の残基は、小さな側鎖体積を有し、例えば、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、スレオニン、又はバリンなどである。ノブを形成するためのCH3ドメインにおける例示的なアミノ酸置換としては、T366W、T366Y、又はF405W置換が挙げられるが、これらに限定されない。
ホールの形成に好ましい残基は、通常、天然に生じるアミノ酸残基であり、好ましくは、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、及びバリン(V)から選択される。一実施形態では、ホールを形成するための元の残基は、大きな側鎖体積を有し、例えば、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、又はトリプトファンなどである。ホールを生成するためのCH3ドメインにおける例示的なアミノ酸置換としては、T366S、L368A、F405A、Y407A、Y407T、及びY407V置換が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、ノブは、T366W置換を含み、ホールは、T366S/L368A/Y407V置換を含む。ヘテロ二量体化を促進する当該技術分野において既知のFc領域に対する他の修飾も想到され、本出願に包含されることが理解される。
本明細書に記載の変異型のいずれか(例えば、Fc変異型、エフェクタ機能変異型、グリコシル化変異型、システイン改変変異型)、又はこれらの組み合わせを含む、他の抗GPC3 Fc融合タンパク質変異型(単離された抗GPC3−Fc融合タンパク質の変異型、例えば、完全長抗GPC3抗体変異型など)が想到される。抗GPC3 Fc融合タンパク質(例えば、完全長抗GPC3抗体)の全ての適用可能な変異については、「抗GPC3変異型」の章を参照されたい。
リンカー
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3−Fc融合タンパク質は、リンカーを介してFc断片に融合している、本明細書に記載の抗GPC3抗体部分を含む。
抗GPC3−Fc融合タンパク質において使用されるリンカーの長さ、可撓性の程度、及び/又は他の特性は、抗GPC3抗体部分、及び/又は抗GPC3−Fc融合タンパク質(Fc断片及び抗GPC3抗体部分を含む抗体など)の1つ以上の特定の抗原若しくはエピトープについての親和性、特異性、若しくは結合活性を含むがこれらに限定されない特性にいくらかの影響を及ぼす場合がある。例えば、2つの隣接する抗体部分が互いに立体的に干渉しないことを保証するために、より長いリンカーを選択してよい。いくつかの実施形態では、リンカー(ペプチドリンカーなど)は、隣接する抗体部分が互いに対して自由に移動するように、可撓性残基(グリシン及びセリンなど)を含む。例えば、グリシン−セリンダブレットは、好適なペプチドリンカーであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、非ペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、ペプチドリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、非切断可能リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、切断可能リンカーである。
他のリンカーの考慮事項としては、溶解性、親油性、親水性、疎水性、安定性(より高い又はより低い安定性、及び計画された分解)、剛性、可撓性、免疫原性、抗体部分の結合の調節、ミセル又はリポソームに組み込まれる能力などの、得られる抗GPC3−Fc融合タンパク質の物性又は薬物動態特性に対する影響が挙げられる。
非ペプチドリンカー
本明細書に記載のリンカーのいずれか1つ又は全ては、構成要素又は断片がそのそれぞれの活性、すなわち、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合、FcRへの結合、又はADCC/CDCを保持している限り、2つの分子を結合させる任意の化学反応によって得ることができる。この結合は、多くの化学的機構、例えば、共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合、及び錯化を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、結合は共有結合である。共有結合は、既存の側鎖の直接縮合又は外部架橋分子の組み込みのいずれかによって達成することができる。多くの二価又は多価の連結剤は、本発明の抗GPC3抗体部分にFc断片などのタンパク質分子をカップリングさせるのに有用である。例えば、代表的なカップリング剤としては、チオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン、及びヘキサメチレンジアミンなどの有機化合物を挙げることができる。このリストは、当該技術分野において既知の様々な部類のカップリング剤を網羅することを意図するものではなく、むしろ、より一般的なカップリング剤の例示である(Killen and Lindstrom,Jour.Immun.133:1335−2549(1984);Jansen et al.,Immunological Reviews 62:185−216(1982);及びVitetta et al.,Science 238:1098(1987)を参照されたい)。
本出願において適用され得るリンカーは、文献に記載されている(例えば、MBS(M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)の使用について記載しているRamakrishnan,S.et al.,Cancer Res.44:201−208(1984)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される非ペプチドリンカーとしては、EDCに複合体化している(i)EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミド塩酸塩;(ii)SMPT(4−スクシンイミジルオキシカルボニル−アルファ−メチル−アルファ−(2−プリジル−ジチオ)−トルエン(Pierce Chem.Co.、カタログ番号(21558G);(iii)SPDP(スクシンイミジル−6[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem.Co.、カタログ番号21651G);(iv)スルホ−LC−SPDP(スルホスクシンイミジル6[3−(2−ピリジルジチオ)−プロピアナアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem.Co.カタログ番号2165−G);及び(v)スルホ−NHS(N−ヒドロキシスルホ−スクシンイミド:Pierce Chem.Co.、カタログ番号24510)が挙げられる。
上記のリンカーは、異なる属性を有する構成要素を含有しているので、異なる物理化学的特性を有する抗GPC3−Fc融合タンパク質が得られる。例えば、アルキルカルボキシレートのスルホ−NHSエステルは、芳香族カルボキシレートのスルホ−NHSエステルよりも安定である。NHS−エステル含有リンカーは、スルホ−NHSエステルよりも可溶性が低い。更に、リンカーSMPTは、立体障害ジスルフィド結合を含有し、安定性の増大した融合タンパク質を形成することができる。ジスルフィド結合は、一般に、ジスルフィド結合がインビトロで切断されて、利用可能な融合タンパク質が少なくなるので、他の結合よりも安定性が低い。スルホ−NHSは、特に、カルボジイミドカップリングの安定性を増強することができる。スルホ−NHSと併用した場合、カルボジイミドカップリング(EDCなど)によって、カルボジイミドカップリング反応単独よりも加水分解に対する耐性が高いエステルが形成される。
ペプチドリンカー
本明細書に記載のリンカーのいずれか1つ又は全ては、ペプチドリンカーであってよい。ペプチドリンカーは、天然配列又は非天然配列を有してよい。例えば、重鎖のみの抗体のヒンジ領域由来の配列をリンカーとして使用してよい。例えば、国際公開第1996/34103号を参照されたい。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、ネイティブIgG1ヒンジ領域にみられる配列であるCPPCP(配列番号478)のアミノ酸配列を含む。
ペプチドリンカーは任意の好適な長さであってよい。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、又はそれ以上のアミノ酸(aa)長のいずれかである。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、約100、75、50、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、又はそれ未満のアミノ酸長のいずれか以下である。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーの長さは、約1aa〜約10aa、約1aa〜約20aa、約1aa〜約30aa、約5aa〜約15aa、約10aa〜約25aa、約5aa〜約30aa、約10aa〜約30aa、約30aa〜約50aa、約50aa〜約100aa、又は約1aa〜約100aaのいずれかである。
このようなペプチドリンカーの本質的な技術的特徴は、上記ペプチドリンカーが重合活性を全く含まないことである。二次構造の促進がないことを含むペプチドリンカーの特徴は、当該技術分野において既知であり、例えば、Dall’Acqua et al.(Biochem.(1998)37,9266−9273)、Cheadle et al.(Mol Immunol(1992)29,21−30)、及びRaag and Whitlow(FASEB(1995)9(1),73−80)に記載されている。「ペプチドリンカー」に関連して特に好ましいアミノ酸は、Glyである。更に、二次構造をなにも促進しないペプチドリンカーが好ましい。分子の相互結合は、例えば、遺伝子工学によって提供され得る。融合及び動作可能に連結された抗体コンストラクトを調製し、それを哺乳類細胞又は細菌で発現させる方法は、当該技術分野において周知である(例えば、国際公開第99/54440号、Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.1989 and 1994、又はSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2001)。
いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは安定なリンカーであり、これはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)などのプロテアーゼによって切断可能ではない。
いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、剛性三次元構造をとらず、むしろ、抗GPC3抗体部分とFc断片との間に可撓性を付与するなど、ポリペプチド(例えば、第1及び/又は第2の構成要素)に可撓性を付与する傾向がある。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは可動性リンカーである。例示的な可撓性リンカーとしては、グリシンポリマー(G)n、グリシン−セリンポリマー(例えば、(GS)n(配列番号469)、(GSGGS)n(配列番号470)、(GGGGS)n(配列番号471)、及び(GGGS)n(配列番号472)(式中、nは少なくとも1の整数である)を含む)、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマー、及び当該技術分野において既知の他の可撓性リンカーが挙げられる。グリシン及びグリシン−セリンポリマーは、比較的構造化されておらず、したがって、構成要素間の中性テザー(tether)として機能することができる。グリシンは、アラニンよりも著しく多くのphi−psi空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限されない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11 173−142(1992)を参照)。当業者であれば、所望の融合タンパク質構造を提供するために、リンカーが、可撓性リンカー部分に加えてより可撓性の低い構造を付与する1つ以上の部分を含むことができるように、抗GPC3−Fc融合タンパク質の設計が、全て又は部分的に可撓性であるリンカーを含んでいてもよいことを認識するであろう。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分及びFc断片は、抗GPC3−Fc融合タンパク質が、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)及びFcRに結合できるように折り畳まれるのを可能にするのに十分な長さのリンカーによって互いに連結される。いくつかの実施形態では、リンカーは、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号473)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)であるか、又はこれを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、GEGTSTGSGGSGGSGGAD(配列番号490)のアミノ酸配列を含む。
天然リンカーは、その機能を発揮するために、ヘリカル、β−ストランド、コイル/ベンド、及びターンなどの、様々な構成の二次構造をとる。α−ヘリックス構造中のリンカーは、タンパク質ドメインを有効に分離するための剛性スペーサとして機能することができるので、その好ましくない相互作用が減少する。プロリンリッチ配列を有する非ヘリカルリンカーは、リンカーの剛性を高め、ドメイン間干渉を低減する機能を増大させることができる。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分(具体的には、例えば、nGPC3及び/又はsGPC3を認識する)及びFc断片(又はFc断片を含む抗体)は、α−ヘリカルリンカーによって、A(EAAAK)4A(配列番号475)のアミノ酸配列と互いに連結される。
抗GPC3−Fc融合タンパク質配列
いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、場合によりリンカー(ペプチドリンカーなど)を介してFc断片(IgG1 Fc断片など)に融合している抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3を標的とする)抗GPC3抗体部分は、Fab、Fab’、Fc、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、一価である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は多価である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、多重特異性である。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、CPPCP(配列番号478)のアミノ酸配列を含む。
したがって、例えばいくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、抗GPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分(例えば、抗GPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分(例えば、抗GPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分及びFc断片は、リンカー(ペプチドリンカーなど)を介して接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、CPPCP(配列番号478)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、マウスIgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、一価である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は多価である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、多重特異性である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む抗nGPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む抗nGPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む抗nGPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む抗nGPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分及びFc断片は、リンカー(ペプチドリンカーなど)を介して接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、CPPCP(配列番号478)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、マウスIgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、一価である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は多価である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、多重特異性である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、細胞表面結合GPC3への結合について、本明細書に記載の抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)のいずれかによる抗nGPC3抗体部分を含む第2の抗GPC3−Fc融合タンパク質(第2の完全長抗GPC3抗体など)と競合する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、抗nGPC3抗体部分を含む第2の抗GPC3−Fc融合タンパク質(第2の完全長抗GPC3抗体など)と同じ又は実質的に同じエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)の細胞表面結合GPC3への結合は、抗nGPC3抗体部分を含む第2の抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)の同じ細胞表面結合GPC3への結合を、少なくとも約70%(少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%のいずれかなど)阻害し、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)及び抗nGPC3抗体部分を含む第2の抗GPC3−Fc融合タンパク質(第2の完全長抗GPC3抗体など)は、細胞表面結合GPC3への結合について交差競合する、すなわち、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)のそれぞれが、細胞表面結合GPC3への結合について他方と競合する。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分及びFc断片は、リンカー(ペプチドリンカーなど)を介して接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、CPPCP(配列番号478)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、ヒトIgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、Fc断片は、マウスIgG1 Fc配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質は、一価である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は多価である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、多重特異性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について、本明細書に記載の抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)のいずれかによる抗GPC3抗体部分を含む第2の抗GPC3−Fc融合タンパク質(第2の完全長抗GPC3抗体など)と競合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)は、抗GPC3抗体部分を含む第2の抗GPC3−Fc融合タンパク質(第2の完全長抗GPC3抗体)と同じ又は実質的に同じエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)の標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合は、抗GPC3抗体部分を含む第2の抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)の同じ標的GPC3への結合を、少なくとも約70%(少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%のいずれかなど)阻害し、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)及び抗GPC3抗体部分を含む第2の抗GPC3−Fc融合タンパク質(第2の完全長抗GPC3抗体など)は、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について交差競合する、すなわち、抗GPC3−Fc融合タンパク質(完全長抗GPC3抗体など)のそれぞれが、標的GPC3への結合について他方と競合する。
いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、抗GPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)Fc断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc配列(例えば、ヒト又はマウスのIgG1 Fc配列)を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分(例えば、抗GPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)Fc断片と、を含む完全長抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗GPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗GPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)Fc断片と、を含む完全長抗GPC3−Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、天然には生じない。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、モノクローナルである。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、多重特異性(例えば、二重特異性)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、配列番号507のアミノ酸配列を含むマウスIgG1重鎖定常ドメイン(CH)を含む。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、配列番号508のアミノ酸配列を含むマウスλ軽鎖定常ドメイン(CL)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、配列番号505のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号506のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体の重鎖及び/又は軽鎖は、場合によりN末端シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号509のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれかと競合的に細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、Fc断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分と、FC断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc配列(例えば、ヒト又はマウスのIgG1 Fc配列)を含む。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、天然には生じない。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、モノクローナルである。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、多重特異性(例えば、二重特異性)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、配列番号507のアミノ酸配列を含むマウスIgG1重鎖定常ドメイン(CH)を含む。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、配列番号508のアミノ酸配列を含むマウスλ軽鎖定常ドメイン(CL)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、配列番号505のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号506のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体の重鎖及び/又は軽鎖は、場合によりN末端シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号509のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分と、b)Fc断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれかと競合的に標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、Fc断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、FC断片と、を含む完全長抗GPC3抗体(単離された完全長抗GPC3抗体など)が提供される。いくつかの実施形態では、Fc断片は、IgG1 Fc配列(例えば、ヒト又はマウスのIgG1 Fc配列)を含む。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、モノクローナルである。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、多重特異性(例えば、二重特異性)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、配列番号507のアミノ酸配列を含むマウスIgG1重鎖定常ドメイン(CH)を含む。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体は、配列番号508のアミノ酸配列を含むマウスλ軽鎖定常ドメイン(CL)を含む。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体の重鎖及び/又は軽鎖は、場合によりN末端シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号509のアミノ酸配列を含む。
多重特異性抗GPC3分子
抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3抗体部分のいずれか1つによる抗GPC3抗体部分と、第2の抗原を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分など)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3分子は、抗GPC3抗体部分と、第2の抗原を特異的に認識する第2の抗体部分とを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。
多重特異性分子は、少なくとも2つの異なる抗原又はエピトープに対する結合特異性を有する分子である(例えば、二重特異性抗体は、2つの抗原又はエピトープに対する結合特異性を有する)。2を超える原子価及び/又は特異性を有する多重特異性分子も想到される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991))。当業者は、本明細書に記載の個々の多重特異性分子の適切な特徴を選択し、互いに組み合わせて、本発明の多重特異性抗GPC3分子を形成できることを理解されたい。
したがって、例えば、いくつかの実施形態では、a)標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、抗GPC3抗体部分と同じフォーマットのGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、抗GPC3抗体部分と比べて異なるGPC3エピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、抗GPC3抗体部分と比べて異なるフォーマットのGPC3を特異的に認識する。例えば、いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、sGPC3(又はsGPC3及びnGPC3の両方)を特異的に認識するが、一方、抗GPC3抗体部分は、nGPC3を特異的に認識する(sGPC3には全く又はほとんど結合しない)。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、GPC3ではない第2の抗原を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、細胞、例えば細胞傷害性細胞の表面上の第2の抗原を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞などのリンパ球の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、細胞傷害性T細胞(細胞傷害性Tリンパ球(CTL)又はTキラー細胞としても知られている)又はナチュラルキラーT(NKT)細胞などのエフェクタT細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD16a、CD40L、CD56、CD68、CD137、OX40、GITR、HVEM、及びGDS2Dを含む、エフェクタ細胞の表面上の第2の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3分子は、少なくとも1つ(少なくとも約2、3、4、5つ又はそれ以上のいずれかなど)の追加の抗体部分を更に含む。
いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、scFv;例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、scFv;例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の結合部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の結合部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗体部分は、リンカー(例えば、配列番号474)によって接続される。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、第2の抗体部分のN末端側である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、又はナチュラルキラーT細胞)、B細胞、NK細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、又は好中球である。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、CD40L、又はHVEMである。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)であって、細胞表面結合GPC3への結合について、本明細書に記載の抗nGPC3抗体部分のいずれかによる第2の抗nGPC3抗体部分と競合する抗nGPC3抗体部分と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の結合部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の結合部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗体部分は、リンカー(例えば、配列番号474)によって接続される。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、第2の抗体部分のN末端側である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、又はナチュラルキラーT細胞)、B細胞、NK細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、又は好中球である。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、CD40L、又はHVEMである。
いくつかの実施形態では、a)GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)であって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む抗GPC3抗体部分と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)であって、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について、本明細書に記載の抗GPC3抗体部分のいずれかによる第2の抗GPC3抗体部分と競合する抗GPC3抗体部分と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の結合部分(第2の抗体部分、例えば、scFvなど)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と標的GPC3(例えば、gGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の結合部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の結合部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗体部分は、リンカー(例えば、配列番号474)によって接続される。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、第2の抗体部分のN末端側である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、又はナチュラルキラーT細胞)、B細胞、NK細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、又は好中球である。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、CD40L、又はHVEMである。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3分子は、例えば、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボディ(scDb)、タンデムscDb(Tandab)、線状二量体scDb(LD−scDb)、円形二量体scDb(CD−scDb)、ジ−ダイアボティ、タンデムscFv、タンデムジscFv(例えば、二重特異性T細胞エンゲージャ)、タンデムトリscFv、トリ(a)ボディ、二重特異性Fab2、ジ−ミニ抗体、テトラボディ、scFv−Fc−scFv融合物、二重親和性リターゲティング(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、IgG−scFab、scFab−ds−scFv、Fv2−Fc、IgG−scFv融合物、ドック・アンド・ロック(DNL)抗体、ノブ・インツー・ホール(KiH)抗体(KiH technologyによって調製された二重特異性IgG)、DuoBody(Duobody technologyによって調製された二重特異性IgG)、ヘテロ多量体抗体、又はヘテロコンジュゲート抗体である。いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3分子は、タンデムscFv(タンデムジscFv、例えば、二重特異性T細胞エンゲージャなど)である。
第2の抗原
いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、抗GPC3抗体部分(抗nGPC3抗体部分など)及び第2の抗原を特異的に認識する第2の抗体部分(例えば、scFv)を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を含む。いくつかの実施形態では、第2の抗原もGPC3であるが、抗GPC3抗体部分によって認識されるエピトープと比べて異なるエピトープを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、GPC3ではない。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、腫瘍抗原である。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、細胞表面分子である。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、エフェクタ細胞上の細胞表面分子である。
本明細書に記載の第2の抗体部分によって認識され得る例示的な腫瘍抗原としては、アルファフェトプロテイン(AFP)、CA15−3、CA27−29、CA19−9、CA−125、カルレチニン、癌胎児性抗原、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、上皮膜タンパク質(EMA)、第VIII因子、CD31 FL1、グリア原線維酸性タンパク質(GFAP)、総嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP−15)、HMB−45、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インヒビン、ケラチン、CD45、リンパ球マーカー、MART−1(Melan−A)、Myo Dl、筋肉特異的アクチン(MSA)、神経フィラメント、神経特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤性アルカリホスファターゼ(PLAP)、前立腺特異的抗原、S100タンパク質、平滑筋アクチン(SMA)、シナプトフィジン、チログロブリン、甲状腺転写因子−1、腫瘍M2−PK、及びビメンチンが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子は、エフェクタ細胞(細胞傷害性T細胞など)を腫瘍部位に導く(又は動員する)ことによって、腫瘍細胞の殺傷(例えば、細胞傷害性溶解又は食作用)を促進するように遺伝子操作することができる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞傷害性は、LDH細胞傷害性アッセイを使用して試験することができる。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子は、免疫抑制性腫瘍環境などの免疫抑制環境において、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、NK細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞)を標的細胞に有効に導くことができる。
例示的なエフェクタ細胞としては、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞(DC)、マクロファージ、単球、好中球、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗体依存性細胞傷害性細胞、キメラ抗原受容体(CAR)エフェクタ細胞(例えば、CAR−T)、キメラ抗体−T細胞受容体(TCR)コンストラクト(caTCR)エフェクタ細胞(以下のcaTCRの章を参照されたい)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、又はNKT細胞)である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、細胞傷害性T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、同種である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、自己である。
本発明の細胞表面分子は、特定の細胞型又は限られた数の細胞型の外部細胞壁又は原形質膜上にみられる分子である。細胞表面分子の例としては、受容体、輸送体、イオンチャネル、プロトンポンプ、及びGタンパク質結合受容体などの膜タンパク質;接着分子(例えば、インテグリン、カドヘリン、セレクチン、又はNCAMS)などの細胞外マトリックス分子が挙げられるが、これらに限定されず;例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,556,928号を参照されたい。エフェクタ細胞上の細胞表面分子としては、CD3(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、又はCD3ζ)、CD4、CD5、CD7、CD8、CD13、CD14、CD16、CD27(TNFRSF7)、CD28、CD31、CD38、CD40L(TNFSF5又はCD154)、CD56、CD64、CD68、CD89、CD94、CD137(TNFRSF9又は4−1BB)、CD278、NKp46、NKp30、NKG2D、MAC−l/MAC−3、IL−2Ra、OX40(TNFRSF4又はCD134)、GITR、HVEM(TNFRSF14又はCD270)、Ly49、又はインバリアントTCRが挙げられるが、これらに限定されない。
当業者であれば、免疫細胞が異なる細胞表面分子を有することを認識するであろう。例えば、CD3はT細胞上の細胞表面分子であり、一方、CD16、NKG2D、又はNKp30は、NK細胞上の細胞表面分子であり、CD3又はインバリアントTCRは、NKT細胞上の細胞表面分子である。いくつかの実施形態では、例えば、エフェクタ細胞がT細胞である場合、活性化分子は、CD3(例えば、CD3γ、CD3δ、又はCD3ε)、CD27、CD28、CD40、CD134、CD137、及びCD278のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、例えば、エフェクタ細胞がNK細胞である場合、細胞表面分子は、CD16、NKG2D、若しくはNKp30であるか、又はエフェクタ細胞がNKT細胞である場合、細胞表面分子は、CD3若しくはインバリアントTCRである。
いくつかの実施形態では、第2の抗体部分は、CD3に特異的に結合する。CD3は、T細胞によって発現される抗原であり、3本の異なるポリペプチド鎖(ε、δ及びγ鎖)を含む。3本のCD3ポリペプチド鎖は、T細胞受容体(TCR)及びζ鎖と会合してTCR複合体を形成し、これは、T細胞中でシグナル伝達カスケードを活性化する機能を有する。現在、多くの治療ストラテジーは、抗ヒトCD3モノクローナル抗体を使用して疾患を治療するために、TCRシグナル伝達を標的とする。当業者であれば、TCR複合体が、3つの二量体シグナル伝達モジュールCD3δ/ε、CD3γ/ε、及びCD3ζ/ζ又はζ/ηを有する可変TCRα及びβ鎖の八量体複合体であることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第2の抗体部分(scFvなど)はCD3εに結合するが、他のCD3分子、特にCD3ζ、又はTCRα及びβ鎖を標的とすることも本開示に包含される。
いくつかの実施形態では、a)標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)CD3に特異的に結合する第2の抗体部分(例えば、scFv)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。いくつかの実施形態では、第2の抗体部分は、CD3εに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗体部分は、CD3εのアゴニストエピトープに特異的に結合する。用語「アゴニストエピトープ」は、本明細書で使用するとき、(a)多重特異性分子の結合時、場合により、同じ細胞上におけるいくつかの多重特異性分子の結合時に、当該多重特異性分子がTCRシグナル伝達を活性化し、T細胞の活性化を誘導することを可能にするエピトープ、及び/又は(b)CD3のイプシロン鎖のアミノ酸残基のみから構成され、その天然の状況でT細胞上に提示された(すなわち、TCR、CD3γ鎖などによって囲まれた)ときに多重特異性分子による結合にアクセス可能であるエピトープ、及び/又は(c)多重特異性分子の結合時に、CD3γに対してCD3εの空間位置を安定化させないエピトープを意味する。
いくつかの実施形態では、a)標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、CD16a、CD56、CD68、及びGDS2Dを含むエフェクタ細胞の表面上の抗原に特異的に結合する第2の抗体部分(例えば、scFv)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。
いくつかの実施形態では、a)標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)C1qなどの補体系の構成要素に特異的に結合する第2の抗体部分(例えば、scFv)と、を含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子が提供される。C1qは、血清補体系を活性化するC1酵素複合体のサブユニットである。
いくつかの実施形態では、第2の抗体部分は、Fc受容体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗体部分は、Fcγ受容体(FcγR)に特異的に結合する。FcγRは、NK細胞の表面上に存在するFcγRIII、又はマクロファージ、単球、好中球、及び/若しくは樹状細胞の表面上に存在するFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIBI、FcγRIIB2、及びFcγRIIIBのうちの1つであってよい。いくつかの実施形態では、第2の抗体部分は、Fc領域又はその機能的断片である。「機能的断片」は、この文脈で使用するとき、FcγR担持エフェクタ細胞、特に、マクロファージ、単球、好中球、及び/又は樹状細胞に、細胞傷害性溶解又は食作用によって標的細胞を殺傷させるのに十分な特異性及び親和性を有する、FcR、特にFcγRに依然として結合することができる抗体Fc領域の断片を指す。機能的Fc断片は、元の完全長Fc部分の、活性化FcγRIなどのFcRへの結合を競合的に阻害することができる。いくつかの実施形態では、機能的Fc断片は、活性化FcγRに対するその親和性の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%を保持している。いくつかの実施形態では、Fc領域又はその機能的断片は、増強されたFc領域又はその機能的断片である。用語「増強されたFc領域」は、本明細書で使用するとき、Fc受容体が媒介するエフェクタ機能、特に抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、及び抗体媒介性食作用を増強するように改変されたFc領域を指す。これは、例えば、活性化受容体(例えば、NK細胞上で発現したFcγRIIIA(CD16A))に対する親和性を増大させる及び/又は阻害受容体(例えば、FcγRIIB1/B2(CD32B))に対する結合を減少させるようにFc領域を変化させることによって、当該技術分野において既知のとおり達成することができる。更に他の実施形態では、第2の抗体部分は、FcγR担持エフェクタ細胞、特に、マクロファージ、単球、好中球、及び/又は樹状細胞に、細胞傷害性溶解又は食作用によって標的細胞を殺傷させるのに十分な特異性及び親和性を有する、FcR、特にFcγRに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。
いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子は、GPC3+細胞(HCC細胞など)を殺傷することができる、及び/又はCTLを有効にリダイレクトして、標的細胞表面上でGPC3を発現している細胞を溶解することができる。いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性抗GPC3分子は、10〜500ng/mLの範囲のインビトロEC50を示し、約1:1〜約50:1(約1:1〜約15:1又は約2:1〜約10:1など)のCTLの標的細胞に対する比で、CTLを通じて標的細胞の約50%のリダイレクトされた溶解を誘導することができる。
いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子は、標的細胞が溶解されるように、刺激された又は刺激されていないCTL及び標的細胞(GPC3+細胞、例えばHCC細胞など)を架橋することができる。これは、多重特異性抗GPC3分子が所望の活性を発揮するために、標的特異的T細胞クローンの生成も樹状細胞による共通抗原提示も必要ないという利点を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子は、CTLをリダイレクトして、他の活性化シグナルの非存在下で標的細胞(例えば、GPC3+細胞、例えばHCC細胞など)を溶解させることができる。いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3分子の第2の抗体部分は、CD3に特異的に結合(例えば、CD3εに特異的に結合)し、CTLをリダイレクトして標的細胞を溶解するためにCD28及び/又はIL−2を介したシグナル伝達は必要ない。
2つの抗原(例えば、2つの異なる細胞上の抗原)に同時に結合する多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子の優先度を測定する方法は、当業者の通常の能力の範囲内である。例えば、第2の結合部分(例えば、第2の抗体部分)がCD3に特異的に結合するとき、多重特異性抗GPC3分子を、CD3+/GPC3−細胞及びCD3−/GPC3+細胞の混合物と接触させてよい。次いで、多重特異性抗GPC3分子陽性の単一細胞の数、及び多重特異性抗GPC3分子によって架橋された細胞の数を、当該技術分野において既知の顕微鏡観察又は蛍光活性化細胞選別(FACS)によって評価してよい。
いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子は、a)標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、b)T細胞上のCD3εに特異的に結合する第2の抗体部分(例えば、scFv)(本明細書では以後「抗CD3抗体部分」と称される)とを含む。いくつかの実施形態では、抗CD3抗体部分(例えば、scFv)は、i)配列番号479のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号480のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号481のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号482のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号483のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号484のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD3抗体部分(例えば、scFv)は、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD3抗体部分(例えば、scFv)は、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗CD3−scFvは、配列番号487のアミノ酸配列を含む。
リンカー
いくつかの実施形態では、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗GPC3抗体部分(例えば、scFv)と、第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2の抗体部分(例えば、scFv)とは、リンカー(ペプチドリンカーなど)によって接続される。本明細書に記載の多重特異性抗GPC3分子で使用することができる全ての適用可能なリンカーについては、「抗GPC3 Fc融合タンパク質」の章の下の「リンカー」小見出しを参照されたい。いくつかの実施形態では、リンカーは、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号473)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)であるか、又はこれを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、GEGTSTGSGGSGGSGGAD(配列番号490)のアミノ酸配列を含む。
タンデムscFv
多重特異性抗GPC3分子は、いくつかの実施形態では、GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む第1のscFv(本明細書では、nGPC3及び/又はsGPC3を認識する「抗GPC3 scFv」と称される)と、第2の抗原を特異的に認識する第2のscFvとを含むタンデムscFv(本明細書では、「タンデムscFv多重特異性抗GPC3抗体」とも称される)である。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗GPC3抗体は、少なくとも1つ(少なくとも約2、3、4、5つ又はそれ以上のいずれかなど)の追加のscFvを更に含む。
いくつかの実施形態では、a)GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(例えば、T細胞上のCD3)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体であって、タンデムジscFv又はタンデムトリscFvであるタンデムscFv多重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗GPC3抗体は、タンデムジscFvである。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗GPC3抗体は、二重特異性T細胞エンゲージャである。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvの可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、異なるGPC3エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、GPC3ではない第2の抗原を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、細胞、例えば細胞傷害性細胞の表面上の第2の抗原を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、T細胞(例えば、CTL、ヘルパーT細胞、又はNKT)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞などのリンパ球の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、CTL又はNKT細胞などのエフェクタT細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD16a、CD40L、CD56、CD68、CD137、OX40、GITR、HVEM、及びGDS2Dを含む、エフェクタ細胞の表面上の第2の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のscFvはいずれも、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗GPC3抗体は、少なくとも1つ(少なくとも約2、3、4、5つ又はそれ以上のいずれかなど)の追加のscFvを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFv及び第2のscFvは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、第2のscFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、第2のscFvのC末端側である。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体は、タグ(例えば、精製目的のためのペプチドタグ)を更に含む。いくつかの実施形態では、タグは、タンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体のN末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、タンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体のC末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、HHHHHH(配列番号476)のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗GPC3抗体は、2つのscFvを含むタンデムジscFv(本明細書では「タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体」と称される)である。タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体は、(N末端からC末端に向かって)以下に列挙される構成などの任意の構成で組み立てられたVH及びVLを有していてよく、ここで、Xは、第2のscFvによって特異的に結合される第2の抗原であり、L1、L2、及びL3は、任意選択のリンカー(ペプチドリンカーなど)である。全ての適用可能なリンカーについては、「抗GPC3 Fc融合タンパク質」の章の下の「リンカー」小見出しを参照されたい。いくつかの実施形態では、リンカー(L1、L2、及びL3)は、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号473)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカー(L1、L2、及びL3)は、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)であるか、又はこれを含む。いくつかの実施形態では、リンカー(L1、L2、及びL3)は、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカー(L1、L2、及びL3)は、GEGTSTGSGGSGGSGGAD(配列番号490)のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3抗体は、以下の構造のうちの1つを有するタンデムジscFvである:
VL(GPC3)−L1−VH(GPC3)−L2−VL(X)−L3−VH(X);
VL(GPC3)−L1−VH(GPC3)−L2−VH(X)−L3−VL(X);
VH(GPC3)−L1−VL(GPC3)−L2−VL(X)−L3−VH(X);
VH(GPC3)−L1−VL(GPC3)−L2−VH(X)−L3−VL(X);
VL(X)−L1−VH(X)−L2−VL(GPC3)−L3−VH(GPC3);
VL(X)−L1−VH(X)−L2−VH(GPC3)−L3−VL(GPC3);
VH(X)−L1−VL(X)−L2−VL(GPC3)−L3−VH(GPC3);
VH(X)−L1−VL(X)−L2−VH(GPC3)−L3−VL(GPC3);
VL(GPC3)−L1−VH(X)−L2−VL(X)−L3−VH(GPC3);
VL(GPC3)−L1−VL(X)−L2−VH(X)−L3−VH(GPC3);
VH(GPC3)−L1−VH(X)−L2−VL(X)−L3−VL(GPC3);
VH(GPC3)−L1−VL(X)−L2−VH(X)−L3−VL(GPC3);
VL(X)−L1−VH(GPC3)−L2−VL(GPC3)−L3−VH(X);
VL(X)−L1−VL(GPC3)−L2−VH(GPC3)−L3−VH(X);
VH(X)−L1−VH(GPC3)−L2−VL(GPC3)−L3−VL(X);又は
VH(X)−L1−VL(GPC3)−L2−VH(GPC3)−L3−VL(X)。
いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFv(例えば、第1の抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は第1の抗nGPC3 scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)nGPC3への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する第1の抗nGPC3 scFv(例えば、第1の抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は第1の抗nGPC3 scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する第1の抗nGPC3 scFv(例えば、第1の抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は第1の抗nGPC3 scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFv及び第2のscFvは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、第2のscFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のscFvはいずれも、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、T細胞(例えば、CTL、ヘルパーT細胞、又はNKT)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞などのリンパ球の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、CTL又はNKT細胞などのエフェクタT細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD16a、CD40L、CD56、CD68、CD137、OX40、GITR、HVEM、及びGDS2Dを含む、エフェクタ細胞の表面上の第2の抗原に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)nGPC3への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する第1の抗nGPC3 scFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する第1の抗nGPC3 scFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFv及び第2のscFvは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、第2のscFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のscFvはいずれも、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、T細胞(例えば、CTL、ヘルパーT細胞、又はNKT)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞などのリンパ球の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、CTL又はNKT細胞などのエフェクタT細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD16a、CD40L、CD56、CD68、CD137、OX40、GITR、HVEM、及びGDS2Dを含む、エフェクタ細胞の表面上の第2の抗原に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)GPC3への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する第1の抗GPC3 scFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する第1の抗GPC3 scFvと、b)第2の抗原(エフェクタ細胞上の第2の抗原、例えば、T細胞上のCD3など)を特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、第1の抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3−scFvと標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3−scFvと非標的との間の結合のKdは、抗GPC3−scFvと標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvと非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFv及び第2のscFvは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、第2のscFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のscFvはいずれも、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、T細胞(例えば、CTL、ヘルパーT細胞、又はNKT)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞などのリンパ球の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、CTL又はNKT細胞などのエフェクタT細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD16a、CD40L、CD56、CD68、CD137、OX40、GITR、HVEM、及びGDS2Dを含む、エフェクタ細胞の表面上の第2の抗原に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、a)GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体は、二重特異性T細胞エンゲージャである。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvの可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のscFvはいずれも、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFv及び第2のscFvは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、第2の抗CD3−scFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号479のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号480のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号481のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号482のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号483のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号484のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD3−scFvは、配列番号487のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFv(例えば、第1の抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は第1の抗nGPC3 scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)nGPC3への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する第1の抗nGPC3−scFv(例えば、第1の抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は第1の抗nGPC3 scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する第1の抗nGPC3−scFv(例えば、第1の抗nGPC3 scFvの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は第1の抗nGPC3−scFvが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFv及び第2のscFvは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、第2のscFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のscFvはいずれも、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号479のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号480のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号481のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号482のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号483のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号484のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD3−scFvは、配列番号487のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体は、タグ(例えば、精製目的のためのペプチドタグ)を更に含む。いくつかの実施形態では、タグは、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体のN末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体のC末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、HHHHHH(配列番号476)のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)nGPC3への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する第1の抗nGPC3−scFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する第1の抗nGPC3−scFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3−scFvとnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3−scFvとsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFv及び第2のscFvは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、第2のscFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のscFvはいずれも、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3 scFvは、配列番号409〜439のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号479のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号480のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号481のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号482のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号483のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号484のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD3−scFvは、配列番号487のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体であって、配列番号488及び511〜515のいずれか1つのアミノ酸配列を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体は、タグ(例えば、精製目的のためのペプチドタグ)を更に含む。いくつかの実施形態では、タグは、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体のN末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体のC末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、HHHHHH(配列番号476)のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHであって、HC−CDR1又はHC−CDR2にアミノ酸置換が存在するVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)例えば、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する第1の抗GPC3−scFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する第1の抗GPC3−scFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、第1の抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvと標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvと非標的との間の結合のKdは、抗GPC3−scFvと標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFv及び第2の抗CD3−scFvは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続される。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)n配列(配列番号471)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上に等しい)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、第2のscFvのN末端側である。いくつかの実施形態では、第1の抗GPC3 scFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のscFvはいずれも、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗GPC3 scFvは、配列番号440〜459のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号479のアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号480のアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号481のアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号482のアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号483のアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号484のアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3−scFvは、i)配列番号485のアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号486のアミノ酸配列を含むVLとを含む。いくつかの実施形態では、抗CD3−scFvは、配列番号487のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、a)GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する第1のscFvと、b)T細胞の細胞表面上のCD3εを特異的に認識する第2のscFvと、を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体であって、配列番号489によって例示されるアミノ酸配列を含むタンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体が提供される。いくつかの実施形態では、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体は、タグ(例えば、精製目的のためのペプチドタグ)を更に含む。いくつかの実施形態では、タグは、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体のN末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体のC末端側である。いくつかの実施形態では、タグは、HHHHHH(配列番号476)のアミノ酸配列を含む。
誘導性発現
いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、誘導性である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR T細胞)は、本明細書に記載の任意の誘導性プロモータを含む誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列を含む(例えば、「核酸」の章を参照されたい)。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR T細胞)における多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、エフェクタ細胞(例えば、TCR、CAR、caTCR)上のシグナル伝達受容体を介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかのこのような実施形態では、CAR−T細胞は、CARを介したシグナル伝達に応答するプロモータ又は調節エレメントに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列を含む。いくつかのこのような実施形態では、caTCR T細胞は、caTCRを介したシグナル伝達に応答するプロモータ又は調節エレメントに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列は、活性化T細胞(NFAT)由来プロモータの核因子に動作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータである(例えば、Durand,D.et.al.,Molec.Cell.Biol.8,1715−1724(1988);Clipstone,NA,Crabtree,GR.Nature.1992 357(6380):695−7;Chmielewski,M.,et al.Cancer research71.17(2011):5697−5706;及びZhang,L.,et al.Molecular therapy19.4(2011):751−759を参照されたい)。NFATファミリーの転写因子は、T細胞活性化の重要な調節因子である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列は、IL−2プロモータに動作可能に連結されている。
いくつかの実施形態では、その表面上で二量体caTCRを発現しており、本明細書に記載の多重特異性抗GPC3分子のいずれか1つによる多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性抗体)を発現しているか又は発現可能である、遺伝子操作された免疫細胞(T細胞など)であって、a)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードしている第1のcaTCR核酸配列と、b)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードしている第2のcaTCR核酸配列と、c)多重特異性抗GPC3分子をコードしている核酸配列とを含み、当該caTCRが免疫細胞の表面に局在し、当該多重特異性抗GPC3分子が、免疫細胞から分泌され得る、遺伝子操作された免疫細胞が提供される。いくつかの実施形態では、第1のcaTCR核酸配列は、第1のベクター(ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターなど)に含有され、第2のcaTCR核酸配列は、第2のベクター(ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターなど)に含有され、多重特異性抗GPC3分子をコードしている核酸配列は、第3のベクター(ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターなど)に含有される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列、並びに多重特異性抗GPC3分子をコードしている核酸配列の一部又は全部は、同じベクター(ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターなど)に含有される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列、並びに多重特異性抗GPC3分子をコードしている核酸配列のそれぞれは、個別に、プロモータに動作可能に連結される。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、単一のプロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCRをコードしている核酸配列は、EF1−アルファプロモータ(例えば、配列番号527の核酸配列を含むEF1−アルファプロモータ)などの1つ以上の構成的プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3分子をコードしている核酸配列は、誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、免疫細胞の活性化の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来プロモータ、例えば、配列番号524又は526の核酸配列を含むNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、ベクターの一部又は全ては、ウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR−TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、αβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRδ及びγ鎖に由来する配列を含むか、又は免疫細胞は、γδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR−TMは、TCRα及びβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内因性TCRサブユニットの一方又は両方の発現をブロック又は減少させるように改変される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCRα及び/若しくはβ鎖の発現をブロック若しくは減少させるように改変されたαβT細胞であるか、又は免疫細胞は、TCRγ及び/若しくはδ鎖の発現をブロック若しくは減少させるように改変されたγδT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターの一部又は全ては、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。いくつかの実施形態では、caTCRは、AFP/MHCクラスI複合体(例えば、AFP158/HLA−A*02:01)を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、caTCRは、配列番号522のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドと、配列番号523のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドとを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3分子は、配列番号511のアミノ酸配列を含む。
キメラ抗原受容体(CAR)及びCARエフェクタ細胞
抗GPC3コンストラクトは、いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分(本明細書では「抗GPC3 CAR」とも称される)を含むCARである。本明細書に記載の抗GPC3抗体部分のいずれか1つを、抗GPC3 CARにおいて用いることができる。また、抗GPC3抗体部分を含むCARを含むCARエフェクタ細胞(例えば、T細胞)(本明細書では「抗GPC3 CARエフェクタ細胞」、例えば、「抗GPC3 CAR T細胞」とも称される)も提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、可溶性GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む。
抗GPC3 CARは、a)GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。膜貫通ドメインが、細胞外ドメインと細胞内ドメインとの間に存在していてもよい。
抗GPC3 CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間、又は抗GPC3 CARの細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間には、スペーサドメインが存在していてもよい。スペーサドメインは、ポリペプチド鎖の膜貫通ドメインを細胞外ドメイン又は細胞内ドメインに連結するように機能する任意のオリゴ又はポリペプチドであり得る。スペーサドメインは、例えば、約10〜約100又は約25〜約50個のアミノ酸を含む、最大約300個のアミノ酸を含み得る。
膜貫通ドメインは、天然又は合成起源のいずれに由来していてもよい。起源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合又は膜貫通タンパク質に由来していてよい。本発明における特に有用な膜貫通領域は、T細胞受容体のα、β、δ、又はγ鎖、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154に由来していてよい(すなわち、これらの少なくとも膜貫通領域を含む)。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは合成であってもよく、この場合、膜貫通ドメインは、主にロイシン及びバリンなどの疎水性残基を含み得る。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン、トリプトファン、及びバリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインの各末端に見出され得る。いくつかの実施形態では、例えば、約2〜約10(約2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のいずれかなど)アミノ酸長の長さを有する短いオリゴ又はポリペプチドリンカーが、抗GPC3 CARの膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に連結を形成し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン−セリンダブレットである。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARの細胞内ドメインにおける配列の1つに天然で会合している膜貫通ドメインが使用される(例えば、抗GPC3 CARの細胞内ドメインがCD28の共刺激配列を含む場合、抗GPC3 CARの膜貫通ドメインはCD28の膜貫通ドメインに由来する)。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、このようなドメインの同じ又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるように、選択又はアミノ酸置換によって改変することができる。
抗GPC3 CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、抗GPC3 CARが配置された免疫細胞の正常エフェクタ機能のうちの少なくとも1つの活性化に関与している。T細胞のエフェクタ機能は、例えば、細胞溶解活性又はサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であってよい。したがって、用語「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、エフェクタ機能シグナルを伝達し、細胞に特殊機能を実行させるタンパク質の部分を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を使用することができるが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切頭部分が使用される程度まで、それがエフェクタ機能シグナルを伝達する限り、インタクトな鎖の代わりにこのような切頭部分を使用してもよい。したがって、用語「細胞内シグナル伝達配列」は、エフェクタ機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切頭部分を含むことを意味する。
本発明の抗GPC3 CARで使用するための細胞内シグナル伝達ドメインの例としては、抗原受容体の会合後にシグナル伝達を開始するために協調するTCR及び共受容体の細胞質配列、並びにこれらの配列の任意の誘導体又は変異体、並びに同じ機能能力を有する任意の合成配列が挙げられる。
TCRのみを介して生成されるシグナルは、T細胞の完全な活性化には不十分であり、二次又は共刺激シグナルも必要とされることが知られている。したがって、T細胞の活性化は、2つの別個のクラスの細胞内シグナル伝達配列によって媒介されるということができる:TCRを介した抗原依存性一次活性化を開始するもの(一次シグナル伝達配列)、及び二次又は共刺激シグナルを提供するように抗原非依存的に作用するもの(共刺激シグナル伝達配列)。
一次シグナル伝達配列は、刺激方式又は阻害方式のいずれかで、TCR複合体の一次活性化を調節する。刺激方式で作用する一次シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含んでいてよい。抗GPC3 CARコンストラクトは、いくつかの実施形態では、1つ以上のITAMを含む。
本発明で特に有用なITAM含有一次シグナル伝達配列の例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、CD3ζ由来の一次シグナル伝達配列を含む。例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、単独で又は本発明の抗GPC3 CARの状況において有用な任意の他の所望の細胞内シグナル伝達配列と組み合わせて、CD3ζ細胞内シグナル伝達配列を含み得る。例えば、抗GPC3 CARの細胞内ドメインは、CD3ζ細胞内シグナル伝達配列及び共刺激シグナル伝達配列を含み得る。共刺激シグナル伝達配列は、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの一部であってよい。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列と、CD28の細胞内シグナル伝達配列とを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列と、4−1BBの細胞内シグナル伝達配列とを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列と、CD28及び4−1BBの細胞内シグナル伝達配列とを含む。
したがって、例えばいくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞を活性化することができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達配列及び共刺激シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達配列は、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達配列は、CD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載の細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載の細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号491のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞を活性化することができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達配列及び共刺激シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達配列は、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達配列は、CD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、a)GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞を活性化することができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達配列及び共刺激シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達配列は、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達配列は、CD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞を活性化することができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達配列及び共刺激シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達配列は、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達配列は、CD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載のGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。
いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載の細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載の細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号491のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインであって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインであって、i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗GPC3 CARが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載のGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。
また本明細書では、抗GPC3 CARを発現するエフェクタ細胞(リンパ球、例えば、T細胞など)も提供される。
また、抗GPC3 CARを発現するエフェクタ細胞の生成方法であって、抗GPC3 CARをコードしている核酸を含むベクターをエフェクタ細胞内に導入することを含む方法も提供される。いくつかの実施形態では、ベクターをエフェクタ細胞に導入することは、エフェクタ細胞をベクターで形質導入することを含む。いくつかの実施形態では、ベクターをエフェクタ細胞に導入することは、エフェクタ細胞をベクターでトランスフェクトすることを含む。エフェクタ細胞へのベクターの形質導入又はトランスフェクションは、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して行うことができる。
いくつかの実施形態では、誘導性プロモータに動作可能に連結された本明細書に記載の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列を含む抗GPC3 CARエフェクタ細胞(リンパ球、例えばT細胞など)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARエフェクタ細胞における多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 CARを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列は、NFAT由来プロモータに動作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータである。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列は、IL−2プロモータに動作可能に連結されている。
キメラ抗体−T細胞受容体(TCR)コンストラクト(caTCR)及びcaTCRエフェクタ細胞
抗GPC3コンストラクトは、いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分を含むキメラ抗体−T細胞受容体コンストラクト(caTCR)(本明細書では「抗GPC3 caTCR」とも称される)である。例示的なcaTCRは、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2016/058305号に提供される。本明細書に記載の(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3を標的とする)抗GPC3抗体部分のいずれかを、抗GPC3 caTCRにおいて用いることができる。抗GPC3 caTCRは、GPC3に特異的に結合することができ、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)を動員することができる。また、抗GPC3抗体部分を含むcaTCRを含むcaTCRエフェクタ細胞(例えば、T細胞)(本明細書では「抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞」、例えば、「抗GPC3 caTCR T細胞」とも称される)も提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、可溶性GPC3を特異的に認識する抗GPC3抗体部分を含む。
いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載のGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、天然に生じるTCRドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、少なくとも1つの天然には生じないTCRドメインを含む。抗GPC3 caTCRは、抗原特異性を提供する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、CD3動員及びシグナル伝達を可能にするTCRMとを含む。抗原結合モジュールは、天然に生じるT細胞受容体抗原結合部分ではない。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、TCRM中のポリペプチド鎖のN末端に連結される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。TCRMは、αβ及び/又はγδTCRなどの1つ以上のTCRの膜貫通ドメイン(TCR−TM)に由来する膜貫通モジュールを含み、場合により、TCRの接続ペプチド若しくはその断片、及び/又は1つ以上のTCR細胞内ドメイン若しくはその断片のうちの一方又は両方を更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、2本のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、N末端からC末端に向かって、接続ペプチド、膜貫通ドメイン、及び場合によりTCR細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ以上の天然には生じないTCRドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ又は2つの天然には生じないTCR膜貫通ドメインを含む。天然には生じないTCRドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換によって、及び/又は対応するドメインの一部を別のTCR由来の類似のドメインの一部で置き換えることによって改変された、天然に生じるTCRの対応するドメインであってよい。抗GPC3 caTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含んでいてよく、当該第1及び第2のポリペプチド鎖は共に抗原結合モジュール及びTCRMを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、caTCRは、二量体などの多量体である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合によって、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって共有結合的に連結される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、1つ以上のT細胞共刺激シグナル伝達配列を更に含む。1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、個別に、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部であってよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCR−TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR−TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDのC末端側である。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、当該第1及び第2の安定化ドメインは、抗GPC3 caTCRを安定化させる、互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、抗原結合モジュールとTCRMとの間に位置する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間にスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサモジュールは、2つのcaTCRモジュール又はドメインを接続する1つ以上のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、a)VH及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)とを含む第1のポリペプチド鎖と、b)VL及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVH及びCH1ドメイン、並びに当該第2の抗原結合ドメインのVL及びCLドメインが、GPC3に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、a)VH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のTCRDとを含む第1のポリペプチド鎖と、b)VL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVHドメイン及び当該第2の抗原結合ドメインのVLドメインが、GPC3に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、配列番号495のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、配列番号496のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTCRMは、a)第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)と、b)第2のTCR−TMを含む第2のTCRDと、を含み、当該TCRMは、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を促進する。いくつかの実施形態では、TCR−TMの両方が天然に生じる。いくつかの実施形態では、TCR−TMのうちの少なくとも1つは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、TCR−TMの両方が、天然には生じない。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、T細胞受容体(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来し、第2のTCR−TMは、T細胞受容体の他の膜貫通ドメインに由来する。いくつかの実施形態では、TCRMは、T細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比べて、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を増強することができる。TCR会合シグナル伝達分子の動員は、TCR−CD3複合体表面発現のFACS分析、又はCD3サブユニットとcaTCRとの免疫共沈降などの、当該技術分野において既知の方法によって判定することができる。
いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、VH抗体ドメイン(抗GPC3抗体部分について本明細書に記載のVH抗体ドメインのいずれかなど)を含む第1の抗原結合ドメインと、VL抗体ドメイン(抗GPC3抗体部分について本明細書に記載のVL抗体ドメインのいずれかなど)を含む第2の抗原結合ドメインと、を含む。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインのCDRは、同じ抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインのCDRのいくつかは、異なる抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメイン及び/又はVL抗体ドメインは、ヒトである、ヒト化されている、キメラである、半合成である、又は完全合成である。
いくつかの実施形態では、caTCRは、場合により安定化モジュールを含む、本明細書に記載のTCRMに連結された本明細書に記載の抗原結合モジュールを含む。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRは、TCRDの一方又は両方のN末端に連結された抗原結合モジュールを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、TCRMと抗原結合モジュールとの間に安定化モジュールを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間にスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサモジュールは、約5〜約70(約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、又は70のいずれかなど、これらの値間の任意の範囲を含む)アミノ酸長の1つ以上のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のアクセサリ細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリ細胞内ドメインは、第1及び/又は第2のTCRDのカルボキシ末端側である。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリ細胞内ドメインは、第1のTCR−TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR−TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上のアクセサリ細胞内ドメインは、個々に、TCR共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCR共刺激性ドメインは、免疫共刺激分子(CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなど)の細胞内ドメインの全て又は一部を含む。いくつかの実施形態では、TCR共刺激性ドメインは、配列番号51〜56のいずれか1つのアミノ酸配列又はその変異型の全て又は一部を含む。
いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)VH及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)とを含む第1のポリペプチド鎖と、b)VL及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVH及びCH1ドメイン、並びに当該第2の抗原結合ドメインのVL及びCLドメインが、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する(例えば、VH及びVLの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又はVH及びVLが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、a)VH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のTCRDとを含む第1のポリペプチド鎖と、b)VL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVHドメイン及び当該第2の抗原結合ドメインのVLドメインが、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する(例えば、VH及びVLの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又はVH及びVLが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヒトである、ヒト化されている、キメラである、又は合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、第1及び/又は第2のTCRDのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、第1の天然に生じるTCRは、γ/δTCRである。いくつかの実施形態では、第1の天然に生じるTCRは、α/βTCRである。いくつかの実施形態では、TCR−TMのうちの少なくとも1つは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCR−TMは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、それが由来する膜貫通ドメインと比べて最大5個(1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含み、及び/又は第2のTCR−TMは、それが由来する膜貫通ドメインと比べて最大5個(1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、αβ及び/又はγδTCRなどの1つ以上のTCRの膜貫通ドメイン(TCR−TM)に由来する膜貫通モジュールを含み、場合により、TCRの接続ペプチド若しくはその断片、及び/又は1つ以上のTCR細胞内ドメイン若しくはその断片のうちの一方又は両方を更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、2本のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、接続ペプチド、膜貫通ドメイン、及び場合によりTCR細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含んでいてよく、当該第1及び第2のポリペプチド鎖は共に抗原結合モジュール及びTCRMを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチ
ド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、caTCRは、二量体などの多量体である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合によって、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって共有結合的に連結される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のT細胞共刺激シグナル伝達配列を更に含む。1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、個別に、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部であってよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCR−TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR−TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDのカルボキシ末端側である。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、当該第1及び第2の安定化ドメインは、caTCRを安定化させる、互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、抗原結合モジュールとTCRMとの間に位置する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、CH1抗体ドメイン又はその変異型を含む第1の安定化ドメインと、CL抗体ドメイン又はその変異型を含む第2の安定化ドメインと、を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間にスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に生じるT細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比べて、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を増強することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、ヘテロ二量体などのヘテロ多量体である。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、第1のTCRDを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖とを含むヘテロ二量体であり、抗体部分が、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖に連結されている。いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ以上の天然には生じないTCRドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、配列番号495のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、配列番号496のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)とを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVL及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVH及びCH1ドメイン、並びに当該第2の抗原結合ドメインのVL及びCLドメインが、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のTCRDとを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVHドメイン及び当該第2の抗原結合ドメインのVLドメインが、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、配列番号492及び配列番号493のアミノ酸配列を含む2本のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヒトである、ヒト化されている、キメラである、又は合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、第1及び/又は第2のTCRDのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、第1の天然に生じるTCRは、γ/δTCRである。いくつかの実施形態では、第1の天然に生じるTCRは、α/βTCRである。いくつかの実施形態では、TCR−TMの
うちの少なくとも1つは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCR−TMは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、それが由来する膜貫通ドメインと比べて最大5個(1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含み、及び/又は第2のTCR−TMは、それが由来する膜貫通ドメインと比べて最大5個(1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、αβ及び/又はγδTCRなどの1つ以上のTCRの膜貫通ドメイン(TCR−TM)に由来する膜貫通モジュールを含み、場合により、TCRの接続ペプチド若しくはその断片、及び/又は1つ以上のTCR細胞内ドメイン若しくはその断片のうちの一方又は両方を更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、2本のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、接続ペプチド、膜貫通ドメイン、及び場合によりTCR細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含んでいてよく、当該第1及び第2のポリペプチド鎖は共に抗原結合モジュール及びTCRMを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、caTCRは、二量体などの多量体である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合によって、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって共有結合的に連結される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のT細胞共刺激シグナル伝達配列を更に含む。1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、個別に、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部であってよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCR−TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR−TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDのカルボキシ末端側である。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、当該第1及び第2の安定化ドメインは、caTCRを安定化させる、互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、抗原結合モジュールとTCRMとの間に位置する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、CH1抗体ドメイン又はその変異型を含む第1の安定化ドメインと、CL抗体ドメイン又はその変異型を含む第2の安定化ドメインと、を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間にスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に生じるT細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比べて、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を増強することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、ヘテロ二量体などのヘテロ多量体である。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、第1のTCRDを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖とを含むヘテロ二量体であり、抗体部分が、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖に連結されている。いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ以上の天然には生じないTCRドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、配列番号495のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、配列番号496のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、a)GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインに由来する第1及び第2のTCR−TMを含むTCRMであって、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子を動員することができるTCRMと、を含む抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインに由来する第1及び第2のTCR−TMを含むTCRMであって、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を促進することができるTCRMと、を含む抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCRβ関連シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)を特異的に認識する抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCRβ関連シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗nGPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)とを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVL及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVH及びCH1ドメイン、並びに当該第2の抗原結合ドメインのVL及びCLドメインが、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のTCRDとを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVHドメイン及び当該第2の抗原結合ドメインのVLドメインが、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4
Mなど)である。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヒトである、ヒト化されている、キメラである、又は合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、第1及び/又は第2のTCRDのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、第1の天然に生じるTCRは、γ/δTCRである。いくつかの実施形態では、第1の天然に生じるTCRは、α/βTCRである。いくつかの実施形態では、TCR−TMのうちの少なくとも1つは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCR−TMは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、それが由来する膜貫通ドメインと比べて最大5個(1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含み、及び/又は第2のTCR−TMは、それが由来する膜貫通ドメインと比べて最大5個(1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、αβ及び/又はγδTCRなどの1つ以上のTCRの膜貫通ドメイン(TCR−TM)に由来する膜貫通モジュールを含み、場合により、TCRの接続ペプチド若しくはその断片、及び/又は1つ以上のTCR細胞内ドメイン若しくはその断片のうちの一方又は両方を更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、2本のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、接続ペプチド、膜貫通ドメイン、及び場合によりTCR細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含んでいてよく、当該第1及び第2のポリペプチド鎖は共に抗原結合モジュール及びTCRMを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、caTCRは、二量体などの多量体である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合によって、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって共有結合的に連結される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のT細胞共刺激シグナル伝達配列を更に含む。1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、個別に、例えば、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部であってよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCR−TMと第1のTCR細胞内ドメインとの間、及び/又は第2のTCR−TMと第2のTCR細胞内ドメインとの間に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上の共刺激シグナル伝達配列は、第1のTCRD及び/又は第2のTCRDのカルボキシ末端側である。いくつかの実施形態では、caTCRは、T細胞共刺激シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、caTCRは、第1の安定化ドメイン及び第2の安定化ドメインを含む安定化モジュールを更に含み、当該第1及び第2の安定化ドメインは、caTCRを安定化させる、互いに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、抗原結合モジュールとTCRMとの間に位置する。いくつかの実施形態では、安定化モジュールは、CH1抗体ドメイン又はその変異型を含む第1の安定化ドメインと、CL抗体ドメイン又はその変異型を含む第2の安定化ドメインと、を含む。いくつかの実施形態では、caTCRは、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間にスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子を動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、天然に生じるT細胞受容体の膜貫通ドメインを含むTCRMと比べて、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を増強することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、caTCR−CD3複合体の形成を促進する。いくつかの実施形態では、任意の2つのcaTCRモジュール又はドメイン間にスペーサモジュールが存在する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、ヘテロ二量体などのヘテロ多量体である。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、第1のTCRDを含む第1のポリペプチド鎖と、第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖とを含むヘテロ二量体であり、抗体部分が、第1及び/又は第2のポリペプチド鎖に連結されている。いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ以上の天然には生じないTCRドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、配列番号495のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、配列番号496のアミノ酸配列を含む。
また本明細書では、抗GPC3 caTCRを発現するエフェクタ細胞(リンパ球、例えば、T細胞など)も提供される。
また、抗GPC3 caTCRを発現するエフェクタ細胞の生成方法であって、抗GPC3 caTCRをコードしている核酸を含むベクターをエフェクタ細胞内に導入することを含む方法も提供される。いくつかの実施形態では、ベクターをエフェクタ細胞に導入することは、エフェクタ細胞をベクターで形質導入することを含む。いくつかの実施形態では、ベクターをエフェクタ細胞に導入することは、エフェクタ細胞をベクターでトランスフェクトすることを含む。エフェクタ細胞へのベクターの形質導入又はトランスフェクションは、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して行うことができる。
いくつかの実施形態では、誘導性プロモータに動作可能に連結された本明細書に記載の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列を含む抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(リンパ球、例えばT細胞など)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞における多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列は、NFAT由来プロモータに動作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータである。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列は、IL−2プロモータに動作可能に連結されている。
キメラ共刺激受容体(CSR)コンストラクト
抗GPC3コンストラクトは、いくつかの実施形態では、GPC3に特異的に結合し、標的リガンドの結合時に機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができるキメラ共刺激受容体(CSR)である。CSRは、リガンド結合特異性、膜貫通モジュール、及び免疫細胞の刺激を可能にする共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールを提供するリガンド結合モジュールを含む。CSRは、機能的な一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、CSRは、任意の一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠いている。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール、及び共刺激シグナル伝達モジュールを含む単一のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含み、当該第1及び第2のポリペプチド鎖は共に、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール、及び共刺激性シグナル伝達モジュールを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、CSRは、二量体などの多量体である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合によって、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって共有結合的に連結される。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結される。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。
いくつかの実施形態では、a)配列番号309のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号360のアミノ酸配列を有するVLドメインとを含むscFvと、b)配列番号530のアミノ酸配列を含む、から本質的になる、又はからなるCD28の断片とを含む、GPC3に特異的に結合するCSRが提供される。いくつかの実施形態では、scFvは、配列番号441のアミノ酸配列を含む、から本質的になる、又はからなる。いくつかの実施形態では、CSRは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、scFv、アミノ酸配列AAAを有するペプチドリンカー、及びCD28の断片を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号530のアミノ酸配列を含む、から本質的になる、又はからなる。
いくつかの実施形態では、caTCR(AFP/MHCクラスI分子、例えば、AFP158/HLA A02に特異的に結合するcaTCRなど)及び本明細書に記載のCSRのいずれかによる抗GPC3 CSRをコードしている核酸を含む免疫細胞(T細胞など)であって、当該caTCR及びCSRが、核酸から発現し、免疫細胞表面に局在化する免疫細胞が提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードしている第1のcaTCR核酸配列と、caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードしている第2のcaTCR核酸配列と、CSRのCSRポリペプチド鎖をコードしているCSR核酸配列とを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列は、それぞれ異なるベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、同じベクターに含まれる。ベクターは、例えば、哺乳類発現ベクター及びウイルスベクター(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス由来のものなど)からなる群から選択してよい。いくつかの実施形態では、ベクターのうちの1つ以上は、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列は、それぞれ異なるプロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、単一のプロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、誘導性である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
免疫複合体(Immunoconjugates)
抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、いくつかの実施形態では、エフェクタ分子に結合した本明細書に記載の抗GPC3抗体部分のいずれかによる抗GPC3抗体部分を含む免疫複合体(本明細書では「抗GPC3免疫複合体」とも称される)を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、又は核酸などの治療薬である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は癌治療薬であり、細胞傷害性である、細胞増殖抑制性である、又は別の方法でいくらかの治療効果を提供する。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用するための治療薬は、免疫系の調節及び/又はT細胞媒介性細胞傷害の増強に関連する生物活性を有し得る。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は標識であり、これは、直接又は間接的に検出可能なシグナルを生成することができる。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と、治療薬とを含む抗GPC3免疫複合体(本明細書では「抗体−薬物複合体」又は「ADC」とも称される)が提供される。いくつかの実施形態では、治療薬は、細胞傷害性である、細胞増殖抑制性である、又は別の方法で標的細胞の分裂する能力を阻止若しくは低減する毒素である。細胞傷害又は細胞増殖抑制剤、すなわち、癌の治療において腫瘍細胞を殺傷又は阻害する薬物を局所送達するためにADCを使用する(Syrigos and Epenetos,Anticancer Research 19:605−614(1999);Niculescu−Duvaz and Springer,Adv.Drg.Del.Rev.26:151−172(1997);米国特許第4,975,278号)ことによって、標的細胞への薬物部分の標的送達、及び標的細胞への細胞内蓄積が可能になり、これらの非複合体化治療薬を全身投与すると、正常細胞及び排除しようとしている標的細胞に対して許容不可能なレベルの毒性が生じ得る(Baldwin et al.,Lancet(Mar.15,1986):603−605(1986);Thorpe,(1985)「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review,」in Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications,A.Pinchera et al.(eds.),pp.475−506)。それにより、最小の毒性で最大の有効性が求められている。
抗GPC3免疫複合体において使用される治療薬としては、例えば、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、及びビンデシンが挙げられる(Rowland et al.,Cancer Immunol.Immunother.21:183−187(1986))。抗GPC3免疫複合体で使用される毒素としては、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシン(Mandler et al.,J.Nat.Cancer Inst.92(19):1573−1581(2000);Mandler et al.,Bioorganic & Med.Chem.Letters 10:1025−1028(2000);Mandler et al.,Bioconjugate Chem.13:786−791(2002))、マイタンシノイド(欧州特許第1391213号;Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618−8623(1996))、及びカリチアマイシン(Lode et al.,Cancer Res.58:2928(1998);Hinman et al.,Cancer Res.53:3336−3342(1993))などの低分子毒素が挙げられる。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、又はトポイソメラーゼ阻害を含む機序によって、その細胞傷害及び細胞増殖抑制効果を発揮し得る。いくつかの細胞傷害薬は、大型抗体又はタンパク質受容体リガンドに複合体化した場合、不活性になるか又は活性が低くなる傾向がある。
使用することができる酵素的に活性のある毒素及びその断片としては、例えば、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アビンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンが挙げられる。1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照されたい。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、抗GPC3抗体部分と、カリチアマイシン、マイタンシノイド、ドラスタチン、オーリスタチン、トリコテシン、及びCC1065などの1つ以上の低分子毒素とを含み、毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体もまた本明細書において企図される。
いくつかの実施形態では、細胞内活性を有する治療薬を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は内部移行し、治療薬は、細胞のタンパク質合成をブロックし、これにおいて細胞死をもたらす細胞毒である。いくつかの実施形態では、治療薬は、例えば、ゲロニン、ボウガニン、サポニン、リシン、リシンA鎖、ブリヨジン、ジフテリア毒素、レストリクトシン、シュードモナス外毒素A、及びこれらの変異型を含む、リボソーム不活化活性を有するポリペプチドを含む細胞毒素である。いくつかの実施形態では、治療薬がリボソーム不活化活性を有するポリペプチドを含む細胞毒素である場合、抗GPC3免疫複合体は、タンパク質が細胞に対して細胞傷害性になるために、標的細胞への結合時に内部移行しなければならない。
いくつかの実施形態では、DNAを破壊するよう作用する治療薬を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、DNAを破壊するよう作用する治療薬は、例えば、エンジイン(例えば、カリチアマイシン及びエスペリミシン)及び非エンジイン低分子剤(例えば、ブレオマイシン、メチジウムプロピル−EDTA−Fe(II))からなる群から選択される。本出願に従って有用な他の癌治療薬としては、ダウルビシン、ドキソルビシン、ジスタマイシンA、シスプラチン、マイトマイシンC、エクチナサイジン、デュオカルマイシン/CC−1065、及びブレオマイシン/ペプレオマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は更に、抗GPC3抗体部分と、核溶解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼ、又はデオキシリボヌクレアーゼなどのDNAエンドヌクレアーゼ;DNase)との間に形成される抗GPC3免疫複合体を想到する。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、チューブリンを破壊するよう作用する剤を含む。このような剤としては、例えば、リゾキシン/マイタンシン、パクリタキセル、ビンクリスチン、及びビンブラスチン、コルヒチン、オーリスタチンドラスタチン10 MMAE、及びペロルシドAを挙げることができる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、例えば、Asaley NSC167780、AZQ NSC182986、BCNU NSC409962、ブスルファンNSC750、カルボキシフタレート白金NSC271674、CBDCA NSC241240、CCNU NSC79037、CHIP NSC256927、クロラムブシルNSC3088、クロロゾトシンNSC178248、シスプラチンNSC119875、クロメソンNSC338947、シアノモルホリノドキソルビシンNSC357704、シクロジソンNSC348948、ジアンヒドロガラクチトールNSC132313、フルオロドーパ(fluorodopan)NSC73754、ヘプスルファムNSC329680、ヒカントンNSC142982、メルファランNSC8806、メチルCCNU NSC95441、マイトマイシンC NSC26980、ミトゾラミドNSC353451、ナイトロジェンマスタードNSC762、PCNU NSC95466、ピペラジンNSC344007、ピペラジンジオンNSC135758、ピポブロマンNSC25154、ポルフィロマイシンNSC56410、スピロヒダントインマスタードNSC172112、テロキシロンNSC296934、テトラプラチンNSC363812、チオテパNSC6396、トリエチレンメラミンNSC9706、ウラシルナイトロジェンマスタードNSC34462、及びYoshi−864NSC102627を含むアルキル化剤を含む。
いくつかの実施形態では、本願の抗GPC3免疫複合体の癌治療薬部分は、限定するものではないが、アロコルヒチンNSC406042、ハリコンドリンB NSC609395、コルヒチンNSC757、コルヒチン誘導体NSC33410、ドラスタチン10NSC376128(NG−オーリスタチン由来)、マイタンシンNSC153858、リゾキシンNSC332598、タキソールNSC125973、タキソール誘導体NSC608832、チオコルヒチンNSC361792、トリチルシステインNSC83265、硫酸ビンブラスチンNSC49842、及び硫酸ビンクリスチンNSC67574を含む抗有糸分裂剤を含み得る。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、限定するものではないが、カンプトテシンNSC94600、カンプトテシンNa塩NSC100880、アミノカンプトテシンNSC603071、カンプトテシン誘導体NSC95382、カンプトテシン誘導体NSC107124、カンプトテシン誘導体NSC643833、カンプトテシン誘導体NSC629971、カンプトテシン誘導体NSC295500、カンプトテシン誘導体NSC249910、カンプトテシン誘導体NSC606985、カンプトテシン誘導体NSC374028、カンプトテシン誘導体NSC176323、カンプトテシン誘導体NSC295501、カンプトテシン誘導体NSC606172、カンプトテシン誘導体NSC606173、カンプトテシン誘導体NSC610458、カンプトテシン誘導体NSC618939、カンプトテシン誘導体NSC610457、カンプトテシン誘導体NSC610459、カンプトテシン誘導体NSC606499、カンプトテシン誘導体NSC610456、カンプトテシン誘導体NSC364830、カンプトテシン誘導体NSC606497、及びモルホリノドキソルビシンNSC354646を含むトポイソメラーゼI阻害剤を含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、限定するものではないが、ドキソルビシンNSC123127、アモナファイドNSC308847、m−AMSA NSC249992、アントラピラゾール誘導体NSC355644、ピラゾロアクリジンNSC366140、ビスアントレンHCLNSC337766、ダウノルビシンNSC82151、デオキシドクソルビシンNSC267469、ミトキサントロンNSC301739、メノガリルNSC269148、N,N−ジベンジルダウノマイシンNSC268242、オキサントラゾールNSC349174、ルビダゾンNSC164011、VM−26NSC122819、及びVP−16NSC141540を含むトポイソメラーゼII阻害剤を含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、限定するものではないが、L−アラノシンNSC153353、5−アザシチジンNSC102816、5−フルオロウラシルNSC19893、アシビシンNSC163501、アミノプテリン誘導体NSC132483、アミノプテリン誘導体NSC184692、アミノプテリン誘導体NSC134033、アンチフォールNSC633713、アンチフォールNSC623017、ベーカーズ可溶性アンチフォールNSC139105、ジクロロアリルローソンNSC126771、ブレキナルNSC368390、フトラフール(プロドラッグ)NSC148958、5,6−ジヒドロ−5−アザシチジンNSC264880、メトトレキサートNSC740、メトトレキサート誘導体NSC174121、N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸(PALA)NSC224131、ピラゾフリンNSC143095、トリメトレキサートNSC352122、3−HP NSC95678、2’−デオキシ−5−フルオロウリジンNSC27640、5−HP NSC107392,α−TGDR NSC71851、アフィディコリングリシネートNSC303812、ara−C NSC63878、5−アザ−2’−デオキシシチジンNSC127716,β−TGDR NSC71261、シクロシチジンNSC145668、グアナゾールNSC1895、ヒドロキシ尿素NSC32065、イノシングリコジアルデヒドNSC118994、マクベシンIl NSC330500、ピラゾロイミダゾールNSC51143、チオグアニンNSC752、及びチオプリンNSC755を含むRNA又はDNA代謝拮抗物質を含む。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、高度に放射活性の原子を含む。放射性複合体化抗体の生成には、様々な放射性同位体が利用可能である。例としては、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212Pb、及びLuの放射性同位体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、抗体−受容体複合体を患者に投与し、続いて、キレート剤を使用して循環から未結合複合体を除去し、次いで、細胞傷害性剤(例えば、放射性ヌクレオチド)に複合体化している「リガンド」(例えば、アビジン)を投与する、腫瘍プレターゲティングにおいて利用するための「受容体」(ストレプトアビジンなど)に複合体化させることができる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、プロドラッグ活性化酵素に複合体化した抗GPC3抗体部分を含んでいてよい。いくつかのこのような実施形態では、プロドラッグ活性化酵素は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号を参照されたい)を抗癌薬などの活性のある薬物に変換する。このような抗GPC3免疫複合体は、いくつかの実施形態では、抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ療法(「ADEPT」)において有用である。抗体に複合体化させることができる酵素としては、リン酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;硫酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性の5−フルオロシトシンを抗癌薬である5−フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用な、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、及びカテプシン(カテプシンB及びLなど)などのプロテアーゼ;D−アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用な、β−ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼなどの炭水化物切断酵素;β−ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なβ−ラクタマーゼ;並びにそのアミン窒素においてそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基で誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なペニシリンVアミダーゼ及びペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酵素は、当該技術分野において周知の組み換えDNA技術によって抗体部分に共有結合的に結合させてもよい。例えば、Neuberger et al.,Nature 312:604−608(1984)を参照されたい。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体の治療部分は、核酸であってよい。使用することができる核酸としては、チオグアニン及びチオプリンなどの核酸アナログを含む、アンチセンスRNA、遺伝子、又は他のポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
本出願は、エフェクタ分子に結合している抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3免疫複合体であって、当該エフェクタ分子が、間接的又は直接的に検出可能なシグナルを生成することができる標識である免疫複合体を更に提供する。これらの抗GPC3免疫複合体は、癌のインビボ検出などの研究又は診断用途に使用することができる。標識は、好ましくは、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に生成することができる。例えば、標識は、放射線不透過性又は放射性同位体、例えば、3H、アクチニウム−225、アスタチン−211、ビスマス−212、炭素−14、クロム−51、塩素−36、コバルト−57、コバルト−58、銅−67、ユーロピウム−152、ガリウム−67、水素−3、ヨウ素−123、ヨウ素−124、ヨウ素−125、ヨウ素−131、インジウム−111、鉄−59、鉛−212、ルテチウム−177、リン−32、ラジウム−223、ラジウム−224、レニウム−186、レニウム−188、セレン−75、硫黄−35、テクネチウム−99m、トリウム−227、イットリウム−90、若しくはジルコニウム−89;フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ルシフェリン、Alexa350、Alexa430、AMCA、BODIPY630/650、BODIPY650/665、BODIPY−FL、BODIPY−R6G、BODIPY−TMR、BODIPY−TRX、カスケードブルー、Cy3、Cy5、6−FAM、HEX、6−JOE、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、REG、レノグラフィン、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミン、及び/若しくはテキサスレッドなどの蛍光(フルオロフォア)若しくは化学発光(発色団)化合物;アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、若しくはセイヨウワサビペルオキシダーゼなどの酵素;造影剤;又は金属イオン、例えば、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、及び/若しくはビスマス(III)であってよい。いくつかの実施形態では、標識は、シンチグラフィ試験用の放射性原子、例えば、99Tc若しくは123I、又は核磁気共鳴(NMR)映像(磁気共鳴映像法、MRIとしても知られている)用のスピン標識、例えば、ジルコニウム−89、ヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン、若しくは鉄などである。ジルコニウム−89は、例えば、PETイメージング用に、様々な金属キレート剤に錯化され、抗体に複合体化され得る(国際公開第2011/056983号)。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体は、間接的に検出可能である。例えば、抗GPC3免疫複合体に特異的であり、検出可能な標識を含有する二次抗体を使用して、抗GPC3免疫複合体を検出することができる。
いくつかの実施形態では、a)細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸25〜580(配列番号463)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3は、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、GPC3は、癌細胞(例えば、HCCなどの肝臓癌細胞)の表面上で発現する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、抗GPC3抗体部分に共有結合的に結合している。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、例えば薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、及び核酸からなる群から選択される治療薬である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、癌治療薬である。いくつかの実施形態では、癌治療薬は、化学療法薬である。いくつかの実施形態では、癌治療薬は、例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、及び212Pbからなる群から選択される高度に放射活性の原子である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、直接又は間接的に検出可能なシグナルを生成することができる標識である。いくつかの実施形態では、標識は、例えば、3H、14C、32P、35S、123I、125I、及び131Iからなる群から選択される放射性同位体である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、抗nGPC3抗体部分とnGPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分とsGPC3との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、抗GPC3抗体部分に共有結合的に結合している。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、例えば薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、及び核酸からなる群から選択される治療薬である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、癌治療薬である。いくつかの実施形態では、癌治療薬は、化学療法薬である。いくつかの実施形態では、癌治療薬は、例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、及び212Pbからなる群から選択される高度に放射活性の原子である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、直接又は間接的に検出可能なシグナルを生成することができる標識である。いくつかの実施形態では、標識は、例えば、3H、14C、32P、35S、123I、125I、及び131Iからなる群から選択される放射性同位体である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。
いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分と、b)エフェクタ分子と、を含む抗GPC3免疫複合体が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)との間の結合のKdは、約10−7M〜約10−13M(約10−7M〜約10−13M、約10−9M〜約10−13M、又は約10−10M〜約10−12Mなど)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、抗GPC3抗体部分と標的GPC3との間の結合のKdの少なくとも約10倍(少なくとも約10、102、103、104、105、106、又は107倍など)であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分と非標的との間の結合のKdは、約10−1M〜約10−6M(約10−1M〜約10−6M、約10−1M〜約10−5M、又は約10−2M〜約10−4Mなど)である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、抗GPC3抗体部分に共有結合的に結合している。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、例えば薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、及び核酸からなる群から選択される治療薬である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、癌治療薬である。いくつかの実施形態では、癌治療薬は、化学療法薬である。いくつかの実施形態では、癌治療薬は、例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、及び212Pbからなる群から選択される高度に放射活性の原子である。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、直接又は間接的に検出可能なシグナルを生成することができる標識である。いくつかの実施形態では、標識は、例えば、3H、14C、32P、35S、123I、125I、及び131Iからなる群から選択される放射性同位体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、ヒト化されている、又は半合成である。
核酸
抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)又は抗GPC3抗体部分をコードしている核酸分子も想到される。いくつかの実施形態では、完全長抗GPC3抗体をコードしている核酸(又は核酸のセット)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 scFvをコードしている核酸(又は核酸のセット)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 Fc融合タンパク質をコードしている核酸(又は核酸のセット)が提供される。いくつかの実施形態では、多重特異性抗GPC3分子(例えば、多重特異性抗GPC3抗体、二重特異性抗GPC3抗体、又は二重特異性T細胞エンゲージャ抗GPC3抗体)、又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARをコードしている核酸(又は核酸のセット)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRをコードしている核酸(又は核酸のセット)が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトをコードしている核酸(又は核酸のセット)は、ペプチドタグ(タンパク質精製タグ、例えば、Hisタグ、HAタグなど)をコードしている核酸配列を更に含んでいてもよい。
また、本明細書では、抗GPC3コンストラクト、抗GPC3コンストラクトのポリペプチド構成要素をコードしている単離された核酸、又は本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのポリペプチド構成要素をコードしている核酸を含むベクターを含む単離された宿主細胞も想到される。
本出願はまた、これらの核酸配列に対する変異型も含む。例えば、変異型は、少なくとも適度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本出願の抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)又は抗GPC3抗体部分をコードしている核酸配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
本発明はまた、本発明の核酸が挿入されるベクターも提供する。
簡潔に要約すると、抗GPC3コンストラクト又はそのポリペプチド部分をコードしている天然又は合成の核酸による抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3 CAR、抗GPC3 caTCR)又はそのポリペプチド部分の発現は、例えばプロモータ(例えば、リンパ球特異的プロモータ)及び3’非翻訳領域(UTR)を含む5’及び3’調節エレメントに核酸が動作可能に連結されるように、核酸を適切な発現ベクターに挿入することによって達成することができる。ベクターは、真核生物宿主細胞における複製及び組み込みに好適であり得る。典型的なクローニング及び発現ベクターは、転写及び翻訳ターミネータ、開始配列、並びに所望の核酸配列の発現の制御に有用なプロモータを含有する。
本発明の核酸はまた、標準的な遺伝子送達プロトコルを使用して、核酸免疫及び遺伝子治療に使用することもできる。遺伝子送達の方法は、当該技術分野において既知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,399,346号、同第5,580,859号、同第5,589,466号を参照されたい。いくつかの実施形態では、本発明は、遺伝子治療ベクターを提供する。
核酸は、多数の種類のベクターにクローニングすることができる。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、及びコスミドを含むがこれらに限定されないベクターにクローニングすることができる。特に関心のあるベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、及びシークエンシングベクターが挙げられる。
更に、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供されてもよい。ウイルスベクター技術は当該技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)、並びに他のウイルス学及び分子生物学のマニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、好適なベクターは、少なくとも1つの生物において機能する複製起点、プロモータ配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び1つ以上の選択可能なマーカーを含有する(例えば、国際公開第01/96584号、同第01/29058号、及び米国特許第6,326,193号を参照されたい)。
哺乳類細胞への遺伝子導入のために、多数のウイルスベースの系が開発されている。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系のための便利なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子をベクターに挿入し、当該技術分野において既知の技術を使用してレトロウイルス粒子にパッケージすることができる。次いで、組換えウイルスを単離し、インビボ又はエクスビボのいずれかで被験体の細胞に送達することができる。多数のレトロウイルス系が、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。多数のアデノウイルスベクターが、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、レンチウイルスベクターが使用される。レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、導入遺伝子の長期の安定した組み込み及び娘細胞におけるその伝播を可能にするので、長期の遺伝子導入を達成するのに好適なツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞を形質導入することができるという点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコレトロウイルス由来のベクターよりも優れた更なる利点を有する。これらはまた、免疫原性が低いという更なる利点も有する。
例えば、エンハンサなどの追加のプロモータエレメントは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは開始部位の30〜110bp上流の領域に位置しているが、最近、多数のプロモータが、開始部位の下流にも機能的エレメントを含有することが示されている。プロモータエレメント間の間隔は、多くの場合、柔軟であるので、エレメントが互いに対して反転又は移動したときでもプロモータ機能が保存される。チミジンキナーゼ(tk)プロモータでは、プロモータエレメント間の間隔は、活性が低下し始める前に50bpまで増加させることができる。
好適なプロモータの一例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ配列である。このプロモータ配列は、動作可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成的プロモータ配列である。好適なプロモータの別の例は、伸長因子−1α(EF−1α)である。しかしながら、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモータ、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の長い末端反復配列(LTR)プロモータ、MoMuLVプロモータ、トリ白血病ウイルスプロモータ、エプスタイン・バールウイルス最初期プロモータ、ラウス肉腫ウイルスプロモータ、並びにアクチンプロモータ、ミオシンプロモータ、ヘモグロビンプロモータ、及びクレアチンキナーゼプロモータなどであるがこれらに限定されないヒト遺伝子プロモータが挙げられるが、これらに限定されない、他の構成的プロモータ配列を使用してもよい。更に、本発明は、構成的プロモータの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモータもまた、本発明の一部として想到される。誘導性プロモータの使用は、このような発現が望ましいときに動作可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をオンにするか、又は発現が望ましくないときに発現をオフにすることができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモータの例としては、メタロチオニンプロモータ、グルココルチコイドプロモータ、プロゲステロンプロモータ、及びテトラサイクリンプロモータが挙げられるが、これらに限定されない。
上述のように、いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、誘導性である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR T細胞)は、本明細書に記載の任意の誘導性プロモータを含む誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR T細胞)における多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、エフェクタ細胞(例えば、TCR、CAR、caTCR)上のシグナル伝達受容体を介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列は、NFAT由来プロモータに動作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータである。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸配列は、IL−2プロモータに動作可能に連結されている。
誘導性プロモータ
誘導性プロモータの使用は、このような発現が望ましいときに動作可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をオンにするか、又は発現が望ましくないときに発現をオフにすることができる分子スイッチを提供する。真核細胞で使用するための例示的な誘導性プロモータ系としては、ホルモン調節エレメント(例えば、Mader,S.and White,J.H.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5603−5607を参照されたい)、合成リガンド調節エレメント(例えば、Spencer,D.M.et al 1993)Science 262:1019−1024)を参照されたい)、及び電離放射線調節エレメント(例えば、Manome,Y.et al.(1993)Biochemistry 32:10607−10613;Datta,R.et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1014−10153を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。インビトロ又はインビボにおいて哺乳類系で使用するための更なる例示的な誘導性プロモータ系は、Gingrich et al.(1998)Annual Rev.Neurosci 21:377−405に概説されている。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を発現させるために使用するための誘導性プロモータ系は、Tet系である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を発現させるために使用するための誘導性プロモータ系は、大腸菌由来のlacリプレッサ系である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を発現させるために使用するための誘導性プロモータ系は、NFAT由来プロモータである。
本発明で使用するための例示的な誘導性プロモータ系は、Tet系である。このような系は、Gossen et al.(1993)らによって記載されているTet系に基づく。例示的な実施形態では、対象となるポリヌクレオチドは、1つ以上のTetオペレータ(TetO)部位を含むプロモータの制御下にある。不活性状態では、Tetリプレッサ(TetR)は、TetO部位に結合し、プロモータからの転写を抑制する。活性状態では、例えば、テトラサイクリン(Tc)、無水テトラサイクリン、ドキシサイクリン(Dox)、又はこれらの活性アナログなどの誘導剤の存在下において、誘導剤は、TetOからTetRを放出させ、それによって、転写を行わせることができる。ドキシサイクリンは、1−ジメチルアミノ−2,4a,5,7,12−ペンタヒドロキシ−11−メチル−4,6−ジオキソ−1,4a,11,11a,12,12a−ヘキサヒドロテトラセン−3−カルボキサミドの化学名を有するテトラサイクリンファミリーの抗生物質のメンバーである。
一実施形態では、TetRは、哺乳類細胞、例えば、マウス又はヒトの細胞における発現に対してコドンが最適化されている。大部分のアミノ酸は、遺伝子コードの縮重に起因して1つより多いコドンによってコードされているので、核酸によってコードされているアミノ酸配列を全く変化させることのない、所与の核酸のヌクレオチド配列の実質的なばらつきを許容する。しかしながら、多くの生物は、「コドンバイアス」(すなわち、所与のアミノ酸に対する特定のコドンの使用についてのバイアス)としても知られているコドン使用頻度の差を示す。コドンバイアスは、多くの場合、特定のコドンについてのtRNAの優先種の存在と相関しており、これによってmRNA翻訳の効率が向上する。したがって、特定の生物(例えば、原核生物)由来のコード配列を、コドンの最適化を介して異なる生物(例えば、真核生物)における発現を改善するために調整することができる。
Tet系の他の具体的な変形例としては、以下の「Tet−Off」及び「Tet−On」系が挙げられる。Tet−Off系では、転写は、TC又はDoxの存在下において不活性である。この系では、単純ヘルペスウイルス由来のVP16の強力なトランス活性化ドメインに融合しているTetRで構成されるテトラサイクリン制御トランス活性化因子タンパク質(tTA)が、テトラサイクリン応答性プロモータエレメント(TRE)の転写制御下にある標的核酸の発現を調節する。TREは、プロモータ(一般に、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)最初期プロモータ由来のミニマルプロモータ配列)に融合しているTetO配列コンカテマーで構成される。Tc又はDoxの非存在下では、tTAはTREに結合し、標的遺伝子の転写を活性化する。Tc又はDoxの存在下では、tTAはTREに結合することができず、標的遺伝子からの発現は不活性のままである。
逆に、Tet−On系では、Tc又はDoxの存在下において転写が活性である。Tet−On系は、逆テトラサイクリン制御トランス活性化因子rtTAに基づく。tTAと同様に、rtTAは、TetRリプレッサ及びVP16トランス活性化ドメインで構成される融合タンパク質である。しかしながら、TetR DNA結合部分における4つのアミノ酸変化は、Doxの存在下で標的導入遺伝子のTREにおけるtetO配列のみを認識できるように、rtTAの結合特性を変化させる。したがって、Tet−On系では、TREに調節される標的遺伝子の転写は、Doxの存在下でのみrtTAによって刺激される。
別の誘導性プロモータ系は、大腸菌由来のlacリプレッサ系である(Brown et al.,Cell 49:603−612(1987)を参照されたい)。lacリプレッサ系は、lacオペレータ(lacO)を含むプロモータに動作可能に連結された、対象となるポリヌクレオチドの転写を調節することによって機能する。lacリプレッサ(lacR)は、LacOに結合して、対象となるポリヌクレオチドの転写を阻止する。対象となるポリヌクレオチドの発現は、好適な誘導剤、例えば、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導される。
本発明で使用するための別の例示的な誘導性プロモータ系は、NFAT系である。NFATファミリーの転写因子は、T細胞活性化の重要な調節因子である。NFAT応答エレメントは、例えば、IL−2プロモータにみられる(例えば、Durand,D.et.al.,Molec.Cell.Biol.8,1715−1724(1988);Clipstone,NA,Crabtree,GR.Nature.1992 357(6380):695−7;Chmielewski,M.,et al.Cancer research71.17(2011):5697−5706;及びZhang,L.,et al.Molecular therapy19.4(2011):751−759を参照されたい)。
ポリペプチド又はその一部の発現を評価するために、ウイルスベクターを介してトランスフェクト又は感染させようとしている細胞の集団からの発現細胞の同定及び選択を促進するために、細胞に導入される発現ベクターは、選択マーカー遺伝子若しくはレポーター遺伝子のいずれか又は両方を含有していてもよい。他の態様では、選択マーカーは、DNAの別個の部分に担持され、コトランスフェクション手順で使用されてもよい。選択マーカー及びレポーター遺伝子はいずれも、宿主細胞における発現を可能にするために適切な調節配列に隣接していてよい。有用な選択マーカーとしては、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされた可能性のある細胞を同定するため、及び調節配列の機能性を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物にも組織にも存在しないか又はそれらによって発現しない遺伝子であり、いくぶん容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性によってその発現が顕在化するポリペプチドをコードしている遺伝子である。DNAがレシピエント細胞に導入された後の好適な時点で、レポーター遺伝子の発現をアッセイする。好適なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードしている遺伝子を挙げることができる(例えば、Ui−Tel et al.,2000 FEBS Letters 479:79−82)。好適な発現系は周知であり、既知の技術を使用して調製することもでき、又は商業的に入手することもできる。一般に、最高レベルのレポーター遺伝子発現を示す最小5’隣接領域を有するコンストラクトが、プロモータとして同定される。このようなプロモータ領域は、レポーター遺伝子に連結させ、プロモータによって駆動される転写を調節する能力について剤を評価するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3 CAR及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子のいずれかによる、抗GPC3 CAR及び/又は多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸が提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、抗GPC3 CARのポリペプチド鎖の全てをコードしている1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子のポリペプチド鎖の全てをコードしている1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、抗GPC3 CAR及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子のポリペプチド鎖の全てをコードしている1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸配列のそれぞれが、別個のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の少なくとも一部が、同じベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の全てが、同じベクターに含まれる。ベクターは、例えば、哺乳類発現ベクター及びウイルスベクター(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス由来のものなど)からなる群から選択してよい。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、単一のポリペプチド鎖(例えば、抗GPC3 scFv−CAR)を含むモノマーであり、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子は、単一の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3ポリペプチド鎖(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)を含むモノマーであり、核酸は、抗GPC3 CARポリペプチド鎖をコードしている第1の核酸配列と、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3ポリペプチド鎖をコードしている第2の核酸配列とを含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1のベクターに含まれ、第2の核酸配列は、第2のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の核酸配列は、同じベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1のプロモータの制御下にあり、第2の核酸配列は、第2のプロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプロモータの一方又は両方は、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプロモータの一方又は両方は、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の核酸配列の一方又は両方は、マルチシストロニックベクターにおける単一のプロモータの制御下で単一の転写物として発現する。例えば、Kim,JH,et al.,PLoS One 6(4):e18556,2011を参照されたい。いくつかの実施形態では、プロモータの一方又は両方は、誘導性である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3ポリペプチド鎖をコードしている核酸配列を制御するプロモータは、誘導性である(例えば、抗GPC3 CARの活性化を介して誘導可能である)。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のプロモータである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗GPC3 caTCR及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子のいずれかによる、抗GPC3 caTCR及び/又は多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸が提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、抗GPC3 caTCRのポリペプチド鎖の全てをコードしている1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子のポリペプチド鎖の全てをコードしている1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、抗GPC3 caTCR及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子のポリペプチド鎖の全てをコードしている1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸配列のそれぞれが、別個のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の少なくとも一部が、同じベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の全てが、同じベクターに含まれる。ベクターは、例えば、哺乳類発現ベクター及びウイルスベクター(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス由来のものなど)からなる群から選択してよい。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、第1のcaTCRポリペプチド鎖及び第2のcaTCRポリペプチド鎖を含む二量体であり、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子は、単一の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3ポリペプチド鎖(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)を含むモノマーであり、核酸は、第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードしている第1の核酸配列、第2のcaTCR鎖をコードしている第2の核酸配列、及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3ポリペプチド鎖をコードしている第3の核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1のベクターに含まれ、第2の核酸配列は、第2のベクターに含まれ、第3の核酸配列は、第3のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の核酸配列は、第1のベクターに含まれ、第3の核酸配列は、第2のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1及び第3の核酸配列は、第1のベクターに含まれ、第2の核酸配列は、第2のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第2及び第3の核酸配列は、第1のベクターに含まれ、第1の核酸配列は、第2のベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の核酸配列は、同じベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、第1のプロモータの制御下にあり、第2の核酸配列は、第2のプロモータの制御下にあり、第3の核酸配列は、第3のプロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3のプロモータの一部(全てなど)は、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3のプロモータの一部(全てなど)は、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の核酸配列の一部(全てなど)は、マルチシストロニックベクターにおける単一のプロモータの制御下で単一の転写物として発現する。例えば、Kim,JH,et al.,PLoS One 6(4):e18556,2011を参照されたい。いくつかの実施形態では、プロモータのうちの1つ以上は、誘導性である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3ポリペプチド鎖をコードしている核酸配列を制御するプロモータは、誘導性である(例えば、抗GPC3 caTCRの活性化を通して誘導可能である)。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のプロモータである。
遺伝子を細胞に導入及び発現させる方法は、当該技術分野において既知である。発現ベクターの状況において、ベクターは、当該技術分野における任意の方法によって、宿主細胞、例えば、哺乳類、細菌、酵母、又は昆虫の細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的手段によって宿主細胞に移入され得る。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが挙げられる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を生成する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照されたい。いくつかの実施形態では、宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクションによって行われる。
対象となるポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法としては、DNA及びRNAベクターの使用が挙げられる。ウイルスベクター、及び特にレトロウイルスベクターは、哺乳類、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入する最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス1、アデノウイルス、及びアデノ関連ウイルスなどに由来していてよい。例えば、米国特許第5,350,674号及び同第5,585,362号を参照されたい。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段としては、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散系、並びに水中油型エマルション、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
非ウイルス送達系が利用される場合、例示的な送達ビヒクルはリポソームである。(インビトロ、エクスビボ、又はインビボで)宿主細胞に核酸を導入するための脂質製剤の使用が想到される。別の態様では、核酸は脂質と関連付けられてもよい。脂質と関連付けられた核酸は、リポソームの水性内部に封入されていてもよく、リポソームの脂質二重層内に散在していてもよく、リポソーム及びオリゴヌクレオチドの両方に会合している連結分子を介してリポソームに結合していてもよく、リポソームに封入されていてもよく、リポソームと複合体化されていてもよく、脂質を含有する溶液中に分散していてもよく、脂質と混合されていてもよく、脂質と合わせられていてもよく、脂質中に懸濁物として含有されていてもよく、ミセルに含有されているか若しくは複合体化されていてもよく、又は他の方法で脂質と関連付けられていてもよい。脂質、脂質/DNA、又は脂質/発現ベクター関連組成物は、溶液中の任意の特定の構造に限定されない。例えば、これらは、ミセルとして、又は「崩壊した」構造で二層構造中に存在していてよい。また、これらは、単に溶液中に散在していてもよく、場合によっては、サイズ又は形状が均一ではない凝集体を形成してもよい。脂質は、天然に生じる脂質であってもよく、合成脂質であってもよい脂肪質の物質である。例えば、脂質としては、細胞質中に天然に生じる脂肪液滴、並びに長鎖脂肪族炭化水素及びその誘導体、例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、及びアルデヒドなどを含有する化合物の部類が挙げられる。
外因性核酸を宿主細胞に導入するか又は他の方法で本発明の阻害剤に細胞を曝露するために使用される方法にかかわらず、宿主細胞中の組み換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイを実施してよい。このようなアッセイとしては、例えば、サザン及びノーザンブロッティング、RT−PCR及びPCRなどの、当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ;例えば、免疫学的手段(ELISA及びウエスタンブロット)によって、又は本発明の範囲内に含まれる剤を同定するための本明細書に記載のアッセイによって、特定のペプチドの有無を検出することなどの「生化学的」アッセイが挙げられる。
抗GPC3コンストラクト及び抗GPC3抗体部分の調製
いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト又は抗GPC3抗体部分は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRであり、当該抗GPC3抗体部分(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFv)は、モノクローナル抗体由来の配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、モノクローナル抗体由来のVH及びVLドメイン、又はこれらの変異型を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、モノクローナル抗体由来のCH1及びCLドメイン、又はこれらの変異型を更に含む。モノクローナル抗体は、例えば、Kohler and Milstein,Nature,256:495(1975)及びSergeeva et al.,Blood,117(16):4262−4272に記載されているものなどのハイブリドーマ法を使用して、本明細書及び以下の実施例に記載のファージディスプレイ法を使用して、又は組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)を使用して調製することができる。
ハイブリドーマ法では、ハムスター、マウス、又は他の適切な宿主動物を、典型的には、免疫剤で免疫して、免疫剤に特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。免疫剤は、対象となるタンパク質のポリペプチド若しくは融合タンパク質、又はペプチド及びMHCタンパク質を含む複合体などの少なくとも2つの分子を含む複合体を含んでいてよい。一般に、ヒト起源の細胞が望ましい場合は末梢血リンパ球(「PBL」)を使用するか、又は非ヒト哺乳類起源が望ましい場合は脾臓細胞若しくはリンパ節細胞を使用する。その後、リンパ球を、好適な融合剤、例えばポリエチレングリコールを用いて不死化細胞株と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する。例えば、Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(New York:Academic Press,1986),pp.59−103を参照されたい。不死化細胞株は、通常、形質転換された哺乳類細胞、特に、げっ歯類、ウシ、及びヒト起源の骨髄腫細胞である。通常は、ラット又はマウス骨髄腫細胞株を用いる。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の増殖又は生存を阻害する1つ以上の物質を含有する好適な培養培地で培養することができる。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的には、HGPRT欠損細胞の増殖を防ぐヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含む(HAT培地)。
いくつかの実施形態では、不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定な高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地などの培地に対して感受性である。いくつかの実施形態では、不死化細胞株は、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center(San Diego,California)及びAmerican Type Culture Collection(Manassas,Virginia)から入手することができるマウス骨髄腫株である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も記載されている。Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications(Marcel Dekker,Inc.:New York,1987)pp.51−63。
次いで、ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、ポリペプチドに対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイすることができる。ハイブリドーマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法によって、又はラジオイムノアッセイ(RIA)若しくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって決定することができる。このような技術及びアッセイ法は、当該技術分野において既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson and Pollard,Anal.Biochem.,107:220(1980)のScatchard分析によって決定することができる。
所望のハイブリドーマ細胞を同定した後、限界希釈手順によってクローンをサブクローニングし、標準的な方法によって成長させることができる。Goding、上記。この目的に好適な培地としては、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地及びRPMI−1640培地が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞を哺乳類において腹水としてインビボで成長させてもよい。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティクロマトグラフィなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地又は腹水から単離又は精製することができる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分を含む本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれかによれば、抗GPC3抗体部分は、抗体部分ライブラリ(scFv又はFab断片を提示するファージライブラリなど)から選択されるクローン由来の配列を含む。クローンは、所望の活性を有する抗体断片についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって同定され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを作製し、所望の結合特性を有する抗体についてこのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が、当該技術分野において既知である。このような方法は、例えば、Hoogenboom et al.,Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2001)に概説されており、更に、例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554;Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1992);Marks and Bradbury,Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2003);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1−2):119−132(2004)に記載されている。
特定のファージディスプレイ方法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングし、ファージライブラリにおいてランダムに組み換え、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載されているとおり、抗原結合ファージについてスクリーニングしてよい。ファージは、典型的には、scFv断片又はFab断片のいずれかとして抗体断片をディスプレイする。免疫された起源由来のライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725−734(1993)によって記載されているとおり、ナイーブレパートリーを(例えば、ヒトから)クローニングして、全く免疫することなく、広範囲にわたる非自己抗原、また自己抗原に対する単一の抗体源を提供することもできる。最後に、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)によって記載されているとおり、幹細胞から再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、高度に可変性のCDR3領域をコードし、インビトロで再編成を達成するために、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用することによって、ナイーブライブラリを合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載している特許公報としては、例えば、米国特許第5,750,373号、並びに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
抗GPC3コンストラクトは、標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的な抗GPC3抗体部分についてライブラリをスクリーニングするためにファージディスプレイを使用して調製することができる。ライブラリは、少なくとも1×109(少なくとも約1×109、2.5×109、5×109、7.5×109、1×1010、2.5×1010、5×1010、7.5×1010、又は1×1011のいずれかなど)の固有のヒト抗体断片の多様性を有するヒトscFvファージディスプレイライブラリであってよい。いくつかの実施形態では、ライブラリは、ヒトPMBCから抽出されたDNA及び健常ドナー由来の脾臓から構築されたナイーブヒトライブラリであり、全てのヒト重鎖及び軽鎖サブファミリーを包含する。いくつかの実施形態では、ライブラリは、自己免疫疾患を有する患者、癌患者、及び感染性疾患を有する患者などの様々な疾患を有する患者から単離されたPBMCから抽出されたDNAから構築されたナイーブヒトライブラリである。いくつかの実施形態では、ライブラリは、重鎖CDR3が完全にランダム化され、全てのアミノ酸(システイン以外)が任意の所与の位置に同程度存在する半合成ヒトライブラリである(例えば、Hoet,R.M.et al.,Nat.Biotechnol.23(3):344−348,2005を参照されたい)。いくつかの実施形態では、半合成ヒトライブラリの重鎖CDR3は、約5〜約24(約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23,又は24のいずれかなど)アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、ライブラリは、完全合成ファージディスプレイライブラリである。いくつかの実施形態では、ライブラリは、非ヒトファージディスプレイライブラリである。
高い親和性で標的GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に結合するファージクローンは、固体支持体(例えば、溶液パニングのためのビーズ又は細胞パニングのための哺乳類細胞など)に結合している標的GPC3にファージを繰り返し結合させ、続いて、非結合ファージを除去し、特異的に結合したファージを溶出することによって選択することができる。溶液パニングの一例では、固体支持体への固定化のためにGPC3ポリペプチドをビオチン化してもよい。ビオチン化GPC3を、ファージライブラリ、及びストレプトアビジン結合DYNABEADS(登録商標)M−280などの固体支持体と混合し、次いで、GPC3−ファージ−ビーズ複合体を単離する。次いで、結合したファージクローンを溶出し、大腸菌XL1−Blueなどの、発現及び精製に適した宿主細胞に感染させるために使用する。細胞パニングの一例では、細胞表面上でGPC3を過剰発現しているSK−Hep1細胞をファージライブラリと混合した後、細胞を収集し、結合しているクローンを溶出し、発現及び精製に適した宿主細胞を感染させるために使用する(全て実施例を参照されたい)。標的GPC3に特異的に結合するファージクローンを濃縮するために、溶液パニング、細胞パニング、又はこれらの両方の組み合わせを用いて、パニングを複数(約2、3、4、5、6、又はそれ以上のいずれかなど)ラウンド行ってよい。濃縮されたファージクローンは、例えば、ELISA及びFACSを含む、当該技術分野において既知の任意の方法による標的GPC3への特異的結合について試験することができる。
モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号に記載されているものなどの組み換えDNA方法によって作製することもできる。本発明のモノクローナル抗体をコードしているDNAは、従来の手順を用いて容易に単離し、配列決定することができる(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)。上記のハイブリドーマ細胞又は本発明のGPC3特異的ファージクローンが、このようなDNAの起源として機能することができる。単離されたら、DNAを発現ベクターに配置し、これを、組み換え宿主細胞においてモノクローナル抗体を合成させるために、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は他に免疫グロブリンタンパク質を生成しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトする。また、例えば、相同非ヒト配列の代わりに、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメイン並びに/又はフレームワーク領域のコード配列で置き換えることによって(米国特許第4,816,567号;Morrison et al.上記)、あるいは免疫グロブリンのコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全て又は一部を共有結合させることによって、DNAを改変してもよい。このような非免疫グロブリンポリペプチドを、本発明の抗体の定常ドメインに置き換えてもよく、又はキメラ二価抗体を作製するために、本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに置き換えてもよい。
抗体は、一価抗体であってよい。一価抗体を調製する方法は、当該技術分野において既知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖及び改変重鎖の組み換え発現を含む。重鎖は、一般的に、重鎖の架橋を阻止するためにFc領域の任意の点で切断される。あるいは、架橋を阻止するために関連するシステイン残基を別のアミノ酸で置換するか、又は欠失させる。
一価抗体を調製するには、インビトロ法も好適である。抗体の断片、特にFab断片を生成するための消化は、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて達成することができる。
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)を、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させてもよい。好ましくは、ヒンジ、CH2、及びCH3領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインと融合させる。いくつかの実施形態では、軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)が、融合物の少なくとも1つに存在する。免疫グロブリン重鎖融合物、及び必要に応じて免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別々の発現ベクターに挿入し、好適な宿主生物にコトランスフェクトする。二重特異性抗体の生成についての更なる詳細は、例えば、Suresh et al.,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照されたい。
ヒト及びヒト化抗体
抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3 CAR又はcaTCR)又は抗GPC3抗体部分は、ヒト化抗体又はヒト抗体であってよい。非ヒト(例えば、マウス)抗体部分のヒト化型は、典型的には非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はこれらの断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、又は抗体の他の抗原結合サブ配列)である。ヒト化抗体部分は、レシピエントのCDR由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置換されている、ヒト免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はこれらの断片(レシピエント抗体)を含む。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基で置換される。また、ヒト化抗体部分は、レシピエント抗体部分にも移入されたCDR若しくはフレームワーク配列にもみられない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応しており、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み得る。例えば、Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−329(1988);Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992)を参照されたい。
一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトである起源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には「移入」可変ドメインから取り込まれた「移入」残基と呼ばれることが多い。いくつかの実施形態によれば、ヒト化は、げっ歯類のCDR又はCDR配列をヒト抗体部分の対応する配列に置き換えることによって、Winter及び共同研究者の方法(Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1988))に本質的に従って実施することができる。したがって、このような「ヒト化」抗体部分は、インタクトなヒト可変ドメインよりも実質的に小さなドメインが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている抗体部分(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体部分は、典型的には、いくつかのCDR残基及び場合によってはいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体における類似部位由来の残基によって置換されているヒト抗体部分である。
ヒト化に代わる手段として、ヒト抗体部分を生成してもよい。例えば、免疫時に、内因性免疫グロブリンが生成されていなくてもヒト抗体の完全なレパートリーを生成することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生成することが現在可能である。例えば、キメラ及び生殖系列変異体マウスにおける抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ結合体欠失の結果、内因性抗体生成が完全に阻害されると記載されている。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイをこのような生殖系列変異体マウスに移入すると、抗原チャレンジの際にヒト抗体が生成される。例えば、Jakobovits et al.,PNAS USA,90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255−258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immunol.,7:33(1993);米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,591,669号、同第5,545,807号、及び国際公開第97/17852号を参照されたい。あるいは、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的に又は完全に不活性化されているトランスジェニック動物、例えば、マウスに導入することによって、ヒト抗体を作製することもできる。チャレンジの際、遺伝子の再編成、組み立て、及び抗体レパートリーを含む全ての点において、ヒトでみられるものとよく似たヒト抗体の生成が観察される。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号、並びにMarks et al.,Bio/Technology,10:779−783(1992);Lonberg et al.,Nature,368:856−859(1994);Morrison,Nature,368:812−813(1994);Fishwild et al.,Nature Biotechnology,14:845−851(1996);Neuberger,Nature Biotechnology,14:826(1996);Lonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.,13:65−93(1995)に記載されている。
また、ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞(米国特許第5,567,610号及び同第5,229,275号を参照されたい)によって、又はファージディスプレイライブラリを含む当該技術分野において既知の様々な技術を使用することによって生成してもよい。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Coleら及びBoernerらの技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)及びBoerner et al.,J.Immunol.,147(1):86−95(1991)。
多重特異性抗体
いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、多重特異性抗体(例えば、タンデムジscFv二重特異性抗GPC3抗体)である。多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を作製するための好適な方法は、当該技術分野において周知である。例えば、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現に基づく二重特異性抗体の生成であり、この場合、2つの対がそれぞれ異なる特異性を有し、会合時にヘテロ二量体抗体が生じる(例えば、Milstein and Cuello,Nature,305:537−539(1983);国際公開第93/08829号、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな組み合わせのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、そのうちの1種のみが正しい二重特異性構造を有する、10種の異なる抗体分子を含む可能性がある混合物を生成する。正しい分子の精製は、通常、親和性クロマトグラフィ工程によって達成される。同様の手順が、国際公開第93/08829号及びTraunecker et al.,EMBO,10:3655−3659(1991)に開示されている。あるいは、種が制限された対合(例えば、Lindhofer et al.,J.Immunol.,155:219−225(1995)を参照されたい)を利用することによって、重鎖と軽鎖との組み合わせを方向づけることもでき、CH3ドメインの「ノブ・インツー・ホール」エンジニアリングを使用することによって、重鎖の対合を方向づけることもできる(例えば、米国特許第5,731,168号;Ridgway et al.,Protein Eng.,9(7):617−621(1996)を参照されたい)。また、多重特異性抗体は、抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作製するための静電的ステアリング効果を操作することによって作製することもできる(例えば、国際公開第2009/089004(A1)号を参照されたい)。更に別の方法では、制御されたFabアーム交換によって安定な二重特異性抗体を生成することもでき、この場合、異なる抗原特異性を有しかつCH3ドメイン内の点変異が一致している2つの親抗体を、分離、再組み立て、及び再酸化を可能にする還元条件で混合して、高純度二重特異性抗体を形成する。Labrigin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,110(13):5145−5150(2013)。重鎖/軽鎖対の混合物を含むこのような抗体は、本明細書では「ヘテロ多量体抗体」とも称される。
異なる特異性を有する抗体又はその抗原結合断片は、多重特異性ヘテロコンジュゲート抗体を生成するために、化学的に架橋されてもよい。例えば、それぞれ異なる抗原に対する特異性を有する2つのF(ab’)2分子を化学的に連結させてよい。Pullarkat et al.,Trends Biotechnol.,48:9−21(1999)。例えば、免疫系細胞に不要な細胞を標的とさせるため(米国特許第4,676,980号)、及びHIV感染を治療するために、このような抗体が提案されている。国際公開第91/00360号、国際公開第92/200373号、欧州特許第03089号。架橋剤を含むものを含む合成タンパク質化学における既知の方法を用いて、インビトロで抗体を調製できることが想到される。例えば、ジスルフィド交換反応を用いて、又はチオエーテル結合を形成することによって、免疫毒素を構築することができる。この目的に好適な試薬の例としては、イミノチオオレート及びメチル−4−メルカプトブチルイミダート、並びに例えば米国特許第4,676,980号に開示されているものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、組み換えDNA技術を使用して調製することができる。例えば、2つのscFvを融合させて、例えば、ペプチドリンカーを介して融合させて、タンデムscFvを得ることによって、二重特異性抗体を操作することができる。タンデムscFvの一例は、二重特異性T細胞エンゲージャである。二重特異性T細胞エンゲージャは、抗CD3 scFvを、GPC3などの標的細胞の表面抗原に特異的なscFvに連結して、T細胞を標的細胞(例えば、HCC細胞)に対してリダイレクトすることによって作製される。Mack et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,92:7021−7025(1995);Brischwein et al.,Mol.Immunol.,43(8):1129−1143(2006)。2つの可変ドメイン間のペプチドリンカーの長さを短縮することにより、自己組織化を防ぎ、第2のポリペプチド上のドメインと強制的に対合させることができ、その結果、ダイアボディ(Db)と呼ばれるコンパクトな二重特異性抗体が得られる。Holliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:6444−6448(1993)。Dbの2つのポリペプチドは、それぞれ、短すぎて同一鎖上の2つのドメイン間を対合させることができないリンカーによってVLに接続されたVHを含む。したがって、一方のポリペプチドのVH及びVLドメインが、別のポリペプチドの相補的なVL及びVHドメインと強制的に対合させられることによって、2つの抗原結合部位が形成される。このフォーマットの改変では、2つのポリペプチドが別のペプチドリンカーによって連結されて、単鎖ダイアボティ(scDb)が得られる。Dbフォーマットの更に別の改変では、場合により、所望のヘテロ二量体構造の組み立てを駆動するC末端システイン残基の前にドメインを含む、各ポリペプチドのC末端におけるシステイン残基間にジスルフィド結合を導入することによって、二重親和性リターゲティング(DART)二重特異性抗体を生成することができる。Veri et al.,Arthritis Rheum.,62(7):1933−1943(2010)。四価二重特異性抗体を生成するために、天然に生じるリンカーを介して2つのモノクローナル抗体の標的結合可変ドメインが組み合わせられた、二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD−Ig(商標))も当該技術分野において既知である。Gu and Ghayur,Methods Enzymol.,502:25−41(2012)。更に別のフォーマットでは、ヒトcAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)の調節サブユニットに由来するペプチド(DDD2)とヒトAキナーゼアンカータンパク質(AKAP)のアンカリングドメインに由来するペプチド(AD2)との二量体化を利用することによって、ドック・アンド・ロック(DNL)二重特異性抗体が調製される。Rossi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,103:6841−6846(2006)。
二重特異性抗体断片を、組み換え細胞培養物から直接作製し、単離する様々な手法についても説明されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて生成されている。Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547−1553(1992)。この方法は、抗体ホモ二量体の生成にも利用することができる。
抗GPC3変異型
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3完全長抗体)のアミノ酸配列変異型が想到される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善するのに望ましい場合がある。抗体をコードしているヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって、抗体のアミノ酸配列変異型を調製することができる。このような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失及び/又は当該残基への挿入及び/又は当該残基の置換が挙げられる。最終コンストラクトが所望の特徴、例えば、抗原結合を有する限り、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを施して最終コンストラクトに到達させることができる。
いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗GPC3抗体変異型が提供される。置換突然変異誘発の対象となる部位としては、HVR及びFRが挙げられる。対象となる抗体にアミノ酸置換を導入し、生成物を所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低減、又はADCC若しくはCDCの改善についてスクリーニングしてよい。
アミノ酸は、共通側鎖特性に従って異なるクラスに分類することができる:
a.疎水性:ノルロイシン、メチオニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン;
b.中性親水性:システイン、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン;
c.酸性:アスパラギン酸、グルタミン酸;
d.塩基性:ヒスチジン、リジン、アルギニン;
e.鎖の配向に影響を与える残基:グリシン、プロリン;
f.芳香族:トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン。
非保存的置換は、これらの分類のうち1つのメンバーを別の分類に交換することを伴う。
例示的な置換変異型は、親和性成熟抗体部分であり、これは、例えば、ファージディスプレイベースの親和性成熟技術を使用して好都合に生成することができる。簡潔に述べると、1つ以上のCDR残基を変異させ、変異型抗体部分をファージにディスプレイさせ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。例えば、抗体部分の親和性を改善するために、HVRにおいて改変(例えば、置換)を行ってよい。このような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされている残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179−196(2008)を参照されたい)及び/又は特異性決定残基(SDR)で行ってよく、得られる変異型VH又はVLを結合親和性について試験する。二次ライブラリを構築及び再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。
親和性成熟のいくつかの実施形態では、様々な方法(例えば、誤りがちなPCR、チェインシャフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)のいずれかによって成熟のために選択されたバリアブル遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリを作製する。次いで、ライブラリをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体部分変異型を同定する。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4〜6残基)をランダム化する、HVRを対象とするアプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発又はモデリングを用いて特異的に同定され得る。特にCDR−H3及びCDR−L3が標的とされる場合が多い。
いくつかの実施形態では、置換、挿入、又は欠失は、このような変更が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1つ以上のHVR内に存在していてよい。例えば、結合親和性を実質的に低下させない同類変更(例えば、本明細書で提供される同類置換)を、HVRにおいて行ってよい。このような変更は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側であってもよい。上に提供された変異型VH及びVL配列のいくつかの実施形態では、各HVRは、変更されていないか、又は1、2、若しくは3個以下のアミノ酸置換を含む。
変異誘発の標的とされ得る抗体の残基又は領域を同定する有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081−1085に記載されているとおり、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、残基又は標的残基の群(例えば、アルギニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、及びグルタミン酸などの荷電残基)を同定し、中性又は負荷電アミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置換して、抗体と抗原との相互作用に影響を及ぼすかどうかを判定する。初期置換に対して機能的感受性を示すアミノ酸位置に、更なる置換を導入してもよい。あるいは又は更に、抗原−抗体複合体の結晶構造を決定して、抗体と抗原との間の接触点を同定することができる。このような接触残基及び隣接残基を、置換の候補として標的化してもよく、排除してもよい。変異型をスクリーニングして、所望の特性を有するかどうかを判定することができる。
アミノ酸配列挿入として、1つの残基から100以上の残基を含むポリペプチドまで長さに幅がある、アミノ及び/又はカルボキシル末端融合、並びに、単一若しくは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子のその他の挿入変異体として、酵素に対する抗体のN末端又はC末端への融合(例えば、ADEPT向け)又は、抗体の血清半減期を延長するポリペプチドが挙げられる。
Fc領域変異型
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される完全長抗GPC3抗体又は抗GPC3 Fc融合タンパク質のFc領域に1つ以上のアミノ酸改変を導入し、それによってFc領域変異型を生成することができる。いくつかの実施形態では、Fc領域変異型は、多くの場合Fc受容体(FcR)への結合に関連する、増強されたADCCエフェクタ機能を有する。いくつかの実施形態では、Fc領域変異型は、低下したADCCエフェクタ機能を有する。エフェクタ機能を変化させることができるFc配列に対する変更又は変異の例が多く存在する。例えば、国際公開第00/42072号及びShields et al.J Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)には、FcRへの結合が改善又は減少した抗体変異型について記載されている。これらの刊行物の内容は、参照することにより具体的に本明細書に組み込まれる。
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)は、腫瘍細胞に対する治療抗体の作用機序である。ADCCは、細胞媒介性免疫防御であり、それによって、免疫系のエフェクタ細胞が、その膜表面抗原が特異的抗体(例えば、抗GPC3抗体)により結合している標的細胞(例えば、癌細胞)を能動的に溶解する。典型的なADCCは、抗体によるNK細胞の活性化を伴う。NK細胞は、Fc受容体であるCD16を発現する。この受容体は、標的細胞の表面に結合している抗体のFc部分を認識し、結合する。NK細胞の表面上の最も一般的なFc受容体は、CD16又はFcγRIIIと呼ばれる。抗体のFc領域にFc受容体が結合した結果、NK細胞が活性化し、細胞溶解性顆粒が放出され、結果として、標的細胞のアポトーシスとなる。ADCCの腫瘍細胞殺傷への寄与は、高親和性FcRでトランスフェクトされたNK−92細胞を使用する特異的試験で測定することができる。結果を、FcRを発現しない野生型NK−92細胞と比較する。
いくつかの実施形態では、本発明は、全てではないがいくつかのエフェクタ機能を保有しており、これによって、インビボにおける抗GPC3コンストラクトの半減期が重要であるが、特定のエフェクタ機能(CDC及びADCCなど)は不必要であるか又は有害である用途にとって望ましい候補となる、Fc領域を含む抗GPC3コンストラクト変異型(単離された抗GPC3コンストラクト変異型など)を想到する。CDC及び/又はADCCの活性の低減/枯渇を確認するために、インビトロ及び/又はインビボ細胞傷害性アッセイを実施してよい。例えば、抗体がFcγR結合を欠いている(したがって、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを保証するために、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施してよい。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−492(1991)の464ページの表3にまとめられている。対象となる分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059−7063(1986)を参照されたい)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499−1502(1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351−1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射アッセイ法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.(Mountain View,Calif.);及びCytoTox 96(商標)非放射細胞傷害性アッセイ(Promega(Madison,Wis.)を参照されたい)。このようなアッセイに有用なエフェクタ細胞としては、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは又は更に、インビボ、例えば、Clynes et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652−656(1998)に開示されているものなどの動物モデルにおいて、対象となる分子のADCC活性を評価してもよい。また、抗体がC1qに結合することができず、したがってCDC活性を欠いていることを確認するためにC1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び同第2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano−Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045−1052(2003);及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738−2743(2004)を参照されたい)。当該技術分野において既知の方法(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759−1769(2006)を参照されたい)を使用して、FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定を実施してもよい。
エフェクタ機能の低減した抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有するものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体としては、残基265及び297がアラニンに置換されている、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297、及び327のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体が挙げられる(米国特許第7,332,581号)。
FcRに対する結合が改善又は減少した特定の抗体変異型が記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号、国際公開第2004/056312号、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換を含む変異型Fc領域を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)変異型が提供される。いくつかの実施形態では、変異型Fc領域は、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換を含み、当該置換は、変異型Fc領域の298、333、及び/又は334位に存在する(残基のEU付番)。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、完全長抗GPC3抗体)変異型は、その変異型Fc領域において以下のアミノ酸置換:S298A、E333A、及びK334Aを含む。
いくつかの実施形態では、Fc領域が変更され、その結果、例えば、米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.,J.Immunol.164:4178−4184(2000)に記載されているとおり、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)が変化する(すなわち、改善又は減少のいずれか)。
いくつかの実施形態では、半減期を増大させる及び/又は新生児Fc受容体(FcRn)への結合を改善する1つ以上のアミノ酸置換を含む変異型Fc領域を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)変異型が提供される。半減期が増大し、FcRnに対する結合が改善された抗体は、米国特許出願公開第2005/0014934(A1)号(Hintonら)に記載されている。これらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1つ以上の置換を有するFc領域を含む。このようなFc変異型としては、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、又は434のうちの1つ以上に置換を有するもの、例えば、Fc領域残基434の置換(米国特許第7,371,826号)を有するものが挙げられる。
また、Fc領域変異型の他の例に関しては、Duncan & Winter,Nature 322:738−40(1988);米国特許第5,648,260号;同第5,624,821号;及び国際公開第94/29351号を参照されたい。
本明細書に記載のFc変異型のいずれか又はその組み合わせを含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)が想到される。
グリコシル化変異型
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)は、抗GPC3コンストラクトがグリコシル化される程度が増大又は低減するように変更される。グリコシル化部位の抗GPC3コンストラクトへの付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が生成又は除去されるように、抗GPC3コンストラクト又はそのポリペプチド部分のアミノ酸配列を変化させることによって好都合に達成され得る。
抗GPC3コンストラクトがFc領域を含む場合、それに結合している炭水化物を変更してもよい。哺乳類細胞によって生成されるネイティブ抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297へのN結合によって一般的に結合されている分枝状二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.,TIBTECH 15:26−32(1997)を参照されたい。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐オリゴ糖構造の「ステム」内のGlcNAcに結合しているフコースを含み得る。いくつかの実施形態では、特定の改善された特性を有する抗GPC3コンストラクト変異体を作製するために、本発明の抗GPC3コンストラクトにおけるオリゴ糖の修飾を行ってよい。
FcのCH2ドメインに結合しているN−グリカンは、不均質である。CHO細胞で生成された抗体又はFc融合タンパク質は、フコシルトランスフェラーゼ活性によってフコシル化される。Shoji−Hosaka et al.,J.Biochem.2006,140:777−83を参照されたい。通常、天然に生じるアフコシル化IgGのうちのほんのわずかな割合しかヒト血清中で検出することができない。FcのN−グリコシル化は、FcγRへの結合にとって重要であり、N−グリカンのアフコシル化は、FcγRIIIaへのFcの結合能力を増大させる。FcγRIIIa結合の増加は、ADCCを増強することができ、このことは、細胞傷害が望ましい特定の抗体治療用途において有利であり得る。
いくつかの実施形態では、増強されたエフェクタ機能は、Fc媒介性細胞傷害が望ましくない場合には有害であり得る。いくつかの実施形態では、Fc断片又はCH2ドメインはグリコシル化されていない。いくつかの実施形態では、CH2ドメイン内のN−グリコシル化部位は、グリコシル化を阻止するように変異される。
いくつかの実施形態では、Fc領域に結合している炭水化物構造のフコースが減少しているか又はフコースを欠いており、これによって、ADCC機能を改善することができるFc領域を含む、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)変異型が提供される。具体的には、野生型CHO細胞で生成された同じ抗GPC3コンストラクトにおけるフコースの量に対して減少したフコース(fusose)を有する抗GPC3コンストラクトが本明細書で想到される。すなわち、ネイティブCHO細胞(例えば、ネイティブFUT8遺伝子を含有するCHO細胞などのネイティブグリコシル化パターンを生成するCHO細胞)によって生成される場合よりも少ない量のフコースを有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、そのN−結合グリカンの約50%、40%、30%、20%、10%、又は5%未満がフコースを含むものである。例えば、このような抗GPC3コンストラクト中のフコースの量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%、又は20%〜40%であってよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、そのN−結合グリカンがいずれもフコースを含まない、すなわち、抗GPC3コンストラクトが完全にフコースなしであるか、又はフコースを有さないか、又はアフコシル化されているものである。フコースの量は、例えば国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析によって測定したとき、Asn297に結合している全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域内の約297位(Fc領域残基のEU付番)に位置するアスパラギン残基を指す。しかしながら、Asn297は、抗体におけるわずかな配列多様性に起因して、297位の約±3アミノ酸上流又は下流、すなわち、294位と300位との間に位置していてもよい。このようなフコシル化変異型は、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L);同第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「デフコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異型に関する刊行物の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号、国際公開第2000/61739号、同第2001/29246号、米国特許出願公開第2003/0115614号、同第2002/0164328号、同第2004/0093621号、同第2004/0132140号、同第2004/0110704号、同第2004/0110282号、同第2004/0109865号、国際公開第2003/085119号、同第2003/084570号、同第2005/035586号、同第2005/035778号、同第2005/053742号、同第2002/031140号、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239−1249(2004)、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。デフコシル化抗体を生成することができる細胞株の例としては、タンパク質のフコシル化が欠損しているLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533−545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108(A1)号、Presta,L;及び国際公開第2004/056312(A1)号、Adamsら、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えば、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane−Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680−688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)が挙げられる。
例えば、抗GPC3コンストラクトのFc領域に結合している二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖を有する抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)変異型が更に提供される。このような抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)変異型は、減少したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得る。このような抗体変異型の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairetら);米国特許第6,602,684号(Umanaら);米国特許出願公開第2005/0123546号(Umanaら)、及びFerrara et al.,Biotechnology and Bioengineering,93(5):851−861(2006)に記載されている。Fc領域に結合しているオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗GPC3コンストラクト(完全長抗GPC3抗体など)変異型も提供される。このような抗GPC3コンストラクト変異型は、改善されたCDC機能を有し得る。このような抗体変異型は、例えば、国際公開第1997/30087号(Patelら)、同第1998/58964号(Raju,S.);及び同第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
いくつかの実施形態では、Fc領域を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)変異型は、FcγRIIIに結合することができる。いくつかの実施形態では、Fc領域を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)変異型は、ヒトエフェクタ細胞(例えば、T細胞)の存在下でADCC活性を有する、又はヒト野生型IgG1Fc領域を含むこと以外は同じ抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)と比べて、ヒトエフェクタ細胞の存在下で増大したADCC活性を有する。
システイン改変変異型
いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸残基がシステイン残基で置換された、システイン改変抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)を作製することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、置換される残基は、抗GPC3コンストラクトのアクセス可能な部位に生じる。これらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基が抗GPC3コンストラクトのアクセス可能な部位に配置され、本明細書で更に説明するように、抗GPC3コンストラクトを薬物部分又はリンカー薬物部分などの他の部分に複合体化させて、抗GPC3免疫複合体を作製するために使用することができる。システイン改変抗GPC3コンストラクト(完全長抗GPC3抗体など)は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように生成することができる。
誘導体
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3−Fc融合タンパク質、完全長抗GPC3抗体など)は、当該技術分野において既知であり、容易に入手可能な更なる非タンパク質性部分を含有するように更に改変されてもよい。抗GPC3コンストラクトの誘導体化に好適な部分としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定例として、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー(propropylene glycol homopolymers)、ポリプロピレンオキシド(prolypropylene)/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロ−ル)、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、その水中安定性から、製造における利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量であってよく、分枝型又は非分枝型であってよい。抗GPC3コンストラクトに結合されるポリマー数は変動し得、1つより多いポリマーが結合する場合、それらは同一の分子であっても異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善される抗GPC3コンストラクトの特定の特性又は機能、抗GPC3コンストラクト誘導体を規定の条件下で治療に使用するかどうかが挙げられるが、これらに限定されない考慮事項に基づいて決定することができる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、完全長抗GPC3抗体など)と放射線への曝露によって選択的に加熱され得る非タンパク質性部分との複合体が提供される。いくつかの実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600−11605(2005))。放射線は、任意の波長であってよく、通常の細胞は害しないが、抗GPC3コンストラクト−非タンパク質性部分に近接する細胞は殺傷される温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長が挙げられるが、これらに限定されない。
CARエフェクタ細胞及びcaTCRエフェクタ細胞の調製
本発明は、一態様では、抗GPC3 CARを発現するエフェクタ細胞(リンパ球、例えばT細胞など)を提供する。抗GPC3 CAR(抗GPC3 CAR T細胞などの抗GPC3 CARエフェクタ細胞)を発現するエフェクタ細胞(T細胞など)を調製する例示的な方法が、本明細書に提供される。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)は、抗GPC3 CAR(例えば、抗GPC3抗体部分並びにCD28及びCD3ζの細胞内シグナル配列を含むCAR)を含むベクター(例えば、レンチウイルスベクターを含む)をエフェクタ細胞(T細胞など)に導入することによって生成することができる。いくつかの実施形態では、本発明の抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)は、インビボで複製することができるので、その結果、GPC3陽性疾患(癌、例えば、HCCなど)の持続的管理をもたらし得る長期存続性が得られる。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)を含むベクター(例えば、レンチウイルスベクターを含む)をエフェクタ細胞(T細胞など)に導入することによって、抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)は、本明細書に記載の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を更に発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子をコードしている核酸は、同じベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子をコードしている核酸は、誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子の発現は、抗GPC3 CARの活性化を介して誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のプロモータである。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞は、抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3 CARを発現する(本明細書では「抗GPC3 CAR T細胞」とも称される)。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞は、抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、CD3ζ及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内ドメインと、を含む抗GPC3 CARを発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞は、抗GPC3抗体部分と、本明細書に記載の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)を含む抗GPC3 CARを発現する。本発明の抗GPC3 CAR T細胞は、ロバストなインビボT細胞増殖を受けることができ、血液及び骨髄中で長期間にわたって高レベルで存続するGPC3特異的メモリ細胞を樹立することができる。いくつかの実施形態では、患者に注入された本発明の抗GPC3 CAR T細胞は、GPC3陽性疾患を有する患者においてインビボでGPC3+癌細胞(例えば、HCC細胞)などのGPC3+細胞を排除することができる。
本発明は、別の態様では、抗GPC3 caTCRを発現するエフェクタ細胞(リンパ球、例えばT細胞など)を提供する。抗GPC3 caTCR(抗GPC3 caTCR T細胞などの抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞)を発現するエフェクタ細胞(T細胞など)を調製する例示的な方法が、本明細書に提供される。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)は、抗GPC3 caTCRを含むベクター(例えば、レンチウイルスベクターを含む)をエフェクタ細胞(T細胞など)に導入することによって生成することができる。いくつかの実施形態では、本発明の抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)は、インビボで複製することができるので、その結果、GPC3陽性疾患(癌、例えば、HCCなど)の持続的管理をもたらし得る長期存続性が得られる。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)を含むベクター(例えば、レンチウイルスベクターを含む)をエフェクタ細胞(T細胞など)に導入することによって、抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)は、本明細書に記載の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を更に発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCR及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子をコードしている核酸は、同じベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子をコードしている核酸は、誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子の発現は、抗GPC3 caTCRの活性化を介して誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のプロモータである。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCR T細胞は、抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3 caTCRを発現する(本明細書では「抗GPC3 caTCR T細胞」とも称される)。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCR T細胞は、抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む抗GPC3 caTCRを発現し、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を促進する。いくつかの実施形態では、TCR−TMは、αβTCR又はγδTCRに由来する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCR T細胞は、抗GPC3抗体部分と、本明細書に記載の多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)を含む抗GPC3 caTCRを発現する。本発明の抗GPC3 caTCR T細胞は、ロバストなインビボT細胞増殖を受けることができ、血液及び骨髄中で長期間にわたって高レベルで存続するGPC3特異的メモリ細胞を樹立することができる。いくつかの実施形態では、患者に注入された本発明の抗GPC3 caTCR T細胞は、GPC3陽性疾患を有する患者においてインビボでGPC3+癌細胞(例えば、HCC細胞)などのGPC3+細胞を排除することができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、リンパ球注入を使用してGPC3陽性疾患を有するか又はGPC3陽性疾患を有するリスクのある患者を治療するために、抗GPC3 CARを発現する遺伝子操作されたT細胞又は抗GPC3 caTCRを発現する遺伝子操作されたT細胞を投与することに関する。いくつかの実施形態では、自己リンパ球注入が、治療に使用される。治療を必要としている患者から自己PBMCを回収し、本明細書に記載されており、当該技術分野において既知の方法を使用してT細胞を活性化及び増殖させ、次いで、患者に注入し戻す。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞は、均一に細胞表面に分布している抗GPC3 CARを発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCR T細胞は、均一に細胞表面に分布している抗GPC3 caTCRを発現する。均一な細胞表面分布は、例えば、連続的な外観及び均一な厚さ又はシグナル強度を有する染色パターンによって特徴付けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞(又は抗GPC3 caTCR T細胞)を含む医薬組成物などの組成物は、細胞表面上で抗GPC3 CAR(又は抗GPC3 caTCR)が凝集している細胞を約10%未満(約10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%未満など)含む。凝集は、例えば、不均一な厚さ若しくはシグナル強度を有する染色パターン、又は非連続的な、塊の多い、点状の、及び/若しくは不均一な分布パターンによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞は、細胞表面上の抗GPC3 CARの約10%未満(約10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%未満など)が凝集している抗GPC3 CARを発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCR T細胞は、細胞表面上の抗GPC3 caTCRの約10%未満(約10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%未満など)が凝集している抗GPC3 caTCRを発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞は、低レベルの抗原非依存性抗GPC3 CAR活性化を有する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCR T細胞は、低レベルの抗原非依存性抗GPC3 caTCR活性化を有する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞又は抗GPC3 caTCR T細胞は、低レベルのT細胞疲弊を有する。T細胞疲弊は、癌又は慢性感染症などの長期にわたる免疫活性化の状態の間に天然に生じ、この場合、T細胞が機能不全になる。T細胞疲弊は、エフェクタ機能障害、阻害受容体の長期発現、及び/又は機能的エフェクタ若しくはメモリT細胞と比べて変化した転写状態によって特徴付けることができる。腫瘍細胞及び感染の最適なクリアランスは、T細胞疲弊によって防止される。抗GPC3 CAR T細胞又は抗GPC3 caTCR T細胞のT細胞疲弊は、当該技術分野において既知の任意の手段によって、例えば、その機能的及び/又は表現型プロファイルを決定することによって特徴付けることができる(Wherry,E.J.,Nature immunology12(6):492−499,2011;Jiang,Y.,et al.,Cell death & disease6(6):e1792,2015)。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞又は抗GPC3 caTCR T細胞は、例えば、PD−1、LAG−3、TIM−3、CTLA−4、BTLA、及びTIGITを含むT細胞疲弊の1つ以上のマーカーを低レベルで発現する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞又は抗GPC3 caTCR T細胞は、IL−2産生、TNFα産生、IFNγ産生、及びグランザイムB産生のために疲弊していないT細胞に特徴的なレベルを維持しており、並びに/又は標的細胞の存在下におけるエクスビボ殺傷能力を維持しており、このことは、抗GPC3 CAR T細胞又は抗GPC3 caTCR T細胞が自己活性化及び早期疲弊を経験していないことを示唆している。
T細胞の増殖及び遺伝子改変の前に、被験体からT細胞源を得る。T細胞は、末梢血単核球、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍を含む多数の源から得ることができる。本発明のいくつかの実施形態では、当該技術分野において利用可能な任意の数のT細胞株を使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、Ficoll(商標)分離などの当業者に既知の任意の数の技術を使用して、被験体から採取された血液のユニットからT細胞を得ることができる。いくつかの実施形態では、個体の循環血液由来の細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス生成物は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、及び血小板を含むリンパ球を含有する。いくつかの実施形態では、アフェレーシスによって回収された細胞を洗浄して血漿画分を除去し、後続の処理工程に適した緩衝液又は培地中に細胞を入れてよい。いくつかの実施形態では、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞を洗浄する。いくつかの実施形態では、洗浄溶液はカルシウムを含まず、マグネシウムを含んでいなくてもよく、又は全てではないが多くの二価カチオンを含んでいなくてもよい。洗浄工程は、製造業者の指示に従って半自動化「フロースルー」遠心分離器(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ、Baxter CytoMate、又はHaemonetics Cell Saver 5)を使用することによるなど、当該技術分野において既知の方法によって達成され得ることを、当業者であれば容易に理解するであろう。洗浄後、Ca2+フリー、Mg2+フリーPBS、PlasmaLyte A、又は緩衝剤を有する若しくは有さない他の生理食塩水溶液などの様々な生体適合性緩衝液中に細胞を再懸濁させてもよい。あるいは、アフェレーシスサンプルの望ましくない成分を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁させてもよい。
いくつかの実施形態では、赤血球を溶解し、単球を枯渇させることによって、例えば、PERCOLL(商標)勾配を介した遠心分離によって又は向流遠心溶出によって、末梢血リンパ球からT細胞を単離する。CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、及びCD45RO+T細胞などのT細胞の特定の亜集団を、正又は負の選択技術によって更に単離することができる。例えば、いくつかの実施形態では、所望のT細胞の正の選択に十分な時間にわたって、抗CD3/抗CD28(すなわち、3×28)コンジュゲートビーズ、例えば、DYNABEADS(登録商標)M−450 CD3/CD28 Tと共にインキュベートすることによって、T細胞を単離する。いくつかの実施形態では、当該時間は、約30分間である。いくつかの実施形態では、当該時間は、30分間〜36時間以上の範囲、及びこれらの間の全ての整数値である。いくつかの実施形態では、当該時間は、少なくとも1、2、3、4、5、又は6時間である。いくつかの実施形態では、当該時間は、10〜24時間である。いくつかの実施形態では、インキュベーション時間は、24時間である。白血病患者からT細胞を単離する場合、24時間などのより長いインキュベーション時間を使用することによって、細胞収量を増加させることができる。例えば、腫瘍組織又は免疫不全個体から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離する際など、他の細胞型と比べてT細胞がわずかしか存在しない任意の状況でT細胞を単離するために、より長いインキュベーション時間を使用してよい。更に、より長いインキュベーション時間を使用すると、CD8+T細胞の捕捉効率を高めることができる。したがって、T細胞をCD3/CD28ビーズに結合させる時間を単に短縮又は延長することによって、及び/又はビーズのT細胞に対する比を増加又は減少させることによって、培養開始時若しくはプロセス中の他の時点で、T細胞の亜集団を正又は負に(for or against)優先的に選択することができる。更に、ビーズ又は他の表面上の抗CD3抗体及び/又は抗CD28抗体の比を増加又は減少させることによって、培養開始時若しくはプロセス中の他の所望の時点で、T細胞の亜集団を正又は負に優先的に選択することができる。当業者であれば、本発明の状況において、複数の選択ラウンドを使用してもよいことを認識するであろう。いくつかの実施形態では、選択手順を実施し、活性化及び増殖プロセスにおいて「選択されなかった」細胞を使用することが望ましい場合がある。「選択されなかった」細胞を更なる選択ラウンドに供してもよい。
負の選択によるT細胞集団の濃縮は、負に選択された細胞に固有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせを用いて達成することができる。1つの方法は、負に選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、陰性磁気免疫付着又はフローサイトメトリーを介した細胞選別及び/又は選択である。例えば、負の選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD−14、CD20、CD11b、CD−16、HLA−DR、及びCD8に対する抗体を含む。いくつかの実施形態では、典型的には、CD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+、及びFoxP3+を発現する調節性T細胞を濃縮又は正に選択することが望ましい場合がある。あるいは、いくつかの実施形態では、抗CD25コンジュゲートビーズ又は他の同様の選択方法によって、調節性T細胞を枯渇させる。
正又は負の選択によって所望の集団の細胞を単離するために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変化させてもよい。いくつかの実施形態では、細胞とビーズを確実に最大限接触させるために、ビーズと細胞が一緒に混合される体積を著しく減少させる(すなわち、細胞の濃度を増加させる)ことが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、約20億細胞/mLの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約10億細胞/mLの濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億細胞/mL超が使用される。いくつかの実施形態では、約1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、又は5000万細胞/mLのいずれかの細胞濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約7500、8000、8500、9000、9500万、又は1億細胞/mLのいずれかの細胞濃度が使用される。いくつかの実施形態では、約1億2500万又は約1億5000万細胞/mLの濃度が使用される。高濃度を使用すると、細胞収量、細胞活性化、及び細胞増殖を増加させることができる。更に、高い細胞濃度の使用によって、CD28陰性T細胞などの対象とする標的抗原を弱く発現し得るか、又は多くの腫瘍細胞が存在するサンプル(すなわち、白血病血液、腫瘍組織など)に由来する細胞をより効率的に捕捉することが可能になる。このような細胞集団は、治療的価値を有している場合があり、入手することが望ましい。例えば、高濃度の細胞を使用することにより、通常CD28発現の弱いCD8+T細胞をより効率的に選択することが可能になる。
本発明のいくつかの実施形態では、T細胞は、治療直後に患者から得られる。これに関連して、特定の癌治療後、特に、免疫系に損傷を与える薬物による治療後、患者が通常治療から回復する期間中の治療直後に、得られるT細胞の品質が、エクスビボで増殖する能力に関して最適であり得る又は改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載の方法を使用したエクスビボ操作後、これらの細胞は、増強された生着及びインビボ増殖にとって好ましい状態であり得る。したがって、この回復期の間にT細胞、樹状細胞、又は造血系の他の細胞を含む血液細胞を回収することが、本発明の状況内で想到される。更に、いくつかの実施形態では、可動化(例えば、GM−CSFによる可動化)及びコンディショニングレジメンを使用して、特に治療後の規定の時間枠の間に、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生、及び/又は増殖に好都合な、被験体における状態を作り出すことができる。例示的な細胞型としては、T細胞、B細胞、樹状細胞、及び免疫系の他の細胞が挙げられる。
所望の抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを発現する(いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を更に共発現する)のがT細胞の遺伝子改変の前であろうと後であろうと、一般に、例えば、米国特許第6,352,694号、同第6,534,055号、同第6,905,680号、同第6,692,964号、同第5,858,358号、同第6,887,466号、同第6,905,681号、同第7,144,575号、同第7,067,318号、同第7,172,869号、同第7,232,566号、同第7,175,843号、同第5,883,223号、同第6,905,874号、同第6,797,514号、同第6,867,041号、及び米国特許出願公開第20060121005号に記載されている方法を使用して、T細胞を活性化及び増殖させることができる。
一般的に、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する剤及びT細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドが結合している表面と接触させることによって、本発明のT細胞を増殖させる。具体的には、抗CD3抗体、若しくはその抗原結合断片、又は表面上に固定化された抗CD3抗体と接触させることによって、あるいはカルシウムイオノフォアと合わせてタンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)と接触させることによって、T細胞集団を刺激することができる。T細胞の表面上のアクセサリ分子の共刺激については、アクセサリ分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞の増殖を刺激するのに適した条件下で、T細胞の集団を抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触させてよい。CD4+T細胞又はCD8+T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体、及び抗CD28抗体。抗CD28抗体の例としては、9.3、B−T3、XRR−CD28(Diaclone,Besancon,France)が挙げられ、当該技術分野において一般的に知られている他の方法(Berg et al.,Transplant Proc.30(8):3975−3977,1998;Haanen et al.,J.Exp.Med.190(9):13191328,1999;Garland et al.,J.Immunol.Meth.227(1−2):53−63,1999)のように使用してよい。
免疫複合体の調製
抗GPC3免疫複合体は、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて調製することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/067800号、同第2011/133886号、及び米国特許出願公開第2014322129号を参照されたい。
抗GPC3免疫複合体の抗GPC3抗体部分は、抗GPC3抗体部分をエフェクタ分子と会合又は連結させることができる任意の手段によって、エフェクタ分子に「結合」させることができる。例えば、抗GPC3免疫複合体の抗GPC3抗体部分は、化学的又は組み換え的手段によってエフェクタ分子に結合させてもよい。融合物又は複合体を調製するための化学的手段は、当該技術分野において既知であり、抗GPC3免疫複合体を調製するために使用することができる。抗GPC3抗体部分及びエフェクタ分子を複合体化するために使用される方法は、標的細胞上の抗原に結合する結合タンパク質の能力に干渉することなく、結合タンパク質をエフェクタ分子と接合させることができなければならない。
抗GPC3免疫複合体の抗GPC3抗体部分は、エフェクタ分子に間接的に連結させてもよい。例えば、抗GPC3免疫複合体の抗GPC3抗体部分を、数種のうちの1種のエフェクタ分子を含有するリポソームに直接連結させてもよい。エフェクタ分子及び/又は抗GPC3抗体部分を、固体表面に結合させてもよい。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体の抗GPC3抗体部分及びエフェクタ分子は両方ともタンパク質であり、当該技術分野において周知の技術を用いて複合体化することができる。2つのタンパク質を複合体することができる、利用可能な数百の架橋剤が存在する。(例えば、「Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking」.1991,Shans Wong,CRC Press,Ann Arborを参照されたい)。架橋剤は、一般に、抗GPC3抗体部分及び/又はエフェクタ分子上で利用可能又は挿入される反応性官能基に基づいて選択される。更に、反応性基が存在しない場合、光活性化可能な架橋剤を使用してもよい。特定の例では、抗GPC3抗体部分とエフェクタ分子との間にスペーサを含むことが望ましい場合がある。当該技術分野において既知の架橋剤としては、ホモ二官能性剤:グルタルアルデヒド、ジメチルアジピミテート、及びビス(ジアザベンジジン)、並びにヘテロ二官能性剤:mマレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミド及びスルホ−mマレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドが挙げられる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3免疫複合体の抗GPC3抗体部分は、エフェクタ分子の化学的結合のために特定の残基で遺伝子操作されてもよい。当該技術分野で既知の分子の化学的結合に使用される特定の残基としては、リジン及びシステインが挙げられる。架橋剤は、抗GPC3抗体部分上に挿入され、エフェクタ分子上で利用可能な反応性官能基に基づいて選択される。
また、抗GPC3免疫複合体は、組み換えDNA技術を使用して調製することもできる。このような場合、抗GPC3抗体部分をコードしているDNA配列を、エフェクタ分子をコードしているDNA配列に融合させて、キメラDNA分子を得る。キメラDNA配列を、融合タンパク質を発現する宿主細胞にトランスフェクトする。融合タンパク質を細胞培養物から回収し、当該技術分野において既知の技術を用いて精製することができる。
標識であるエフェクタ分子を結合タンパク質に結合させる例としては、Hunter,et al.,Nature 144:945(1962);David,et al.,Biochemistry 13:1014(1974);Pain,et al.,J.Immunol.Meth.40:219(1981);Nygren,J.Histochem.and Cytochem.30:407(1982);Wensel and Meares,Radioimmunoimaging And Radioimmunotherapy,Elsevier,N.Y.(1983);及びColcher et al.,「Use of Monoclonal Antibodies as Radiopharmaceuticals for the Localization of Human Carcinoma Xenografts in Athymic Mice」,Meth.Enzymol.,121:802−16(1986)に記載されている方法が挙げられる。
既知の方法で、放射標識又は他の標識を免疫複合体に組み込んでもよい。例えば、ペプチドは、生合成してもよく、又は例えば水素の代わりにフッ素−19を含む好適なアミノ酸前駆体を使用して、化学的アミノ酸合成によって合成してもよい。99Tc又は123I、186Re、188Re、及び111Inなどの標識は、ペプチド中のシステイン残基を介して結合させることができる。イットリウム−90は、リジン残基を介して結合させることができる。IODOGEN法(Fraker et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.80:49−57(1978))を使用して、ヨウ素−123を組み込むことができる。「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal,CRC Press 1989)には、他の方法が詳細に記載されている。
抗GPC3抗体部分及び細胞傷害性剤の免疫複合体は、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHCIなど)、活性エステル(スベリン酸ジサクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビスアジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、及びビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているように調製することができる。炭素−14で標識された1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(tnaminepentaacetic acid)(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体と複合体化させるための例示的なキレート剤である。例えば、国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞内の細胞傷害性薬の放出を促進する「切断可能なリンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー、又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Research 52:127−131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用してよい。
本発明の抗GPC3免疫複合体は、(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.(Rockford,IL,U.S.A.)から)市販されている架橋剤試薬:BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、及びスルホ−SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)を用いて調製されるADCを明示的に想到するが、これに限定されない。2003−2004 Applications Handbook and Catalogの467〜498ページを参照されたい。
医薬組成物
また、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)、当該コンストラクトをコードしている核酸、当該コンストラクトをコードしている当該核酸を含むベクター、当該核酸若しくは当該ベクターを含む宿主細胞、又は当該核酸若しくは当該ベクターを含むエフェクタ細胞を含む組成物(医薬組成物など、本明細書では製剤とも称される)も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、抗GPC3コンストラクトに会合する細胞(エフェクタ細胞、例えばT細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトと、場合により医薬的に許容される担体と、を含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗GPC3コンストラクトに会合する細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞など)を更に含む。
抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)の好適な製剤は、所望の純度を有する抗GPC3コンストラクトを、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態である任意選択の医薬的に許容される担体、賦形剤又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって得られる。許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投薬量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、以下を含む:リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール、及びm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドン(olyvinylpyrrolidone)などの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質複合体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。例示的な製剤は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる国際公開第98/56418号に記載されている。皮下投与に適合した凍結乾燥製剤は、国際公開第97/04801号に記載されている。このような凍結乾燥製剤を、好適な希釈剤を用いて高タンパク質濃度に再構成してよく、再構成された製剤を、本明細書で治療される個体に皮下投与してよい。リポフェクチン又はリポソームを使用して、本発明の抗GPC3コンストラクトを細胞に送達することができる。
また、本明細書における製剤は、治療される具体的な適応症に必要な場合、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)に加えて1つ以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有していてもよい。例えば、抗GPC3コンストラクトに加えて、抗新生物薬、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又は化学療法剤を更に提供することが望ましい場合がある。このような分子は、意図する目的に有効な量の組み合わせで好適に存在する。このような他の剤の有効量は、製剤中に存在する抗GPC3コンストラクトの量、疾患又は障害又は治療の種類、及び上述の他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載されるのと同じ投薬量及び投与経路で、又は従来使用されている投薬量の約1〜99%で使用される。
また、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)に、又はマクロエマルションに封入してもよい。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。持続放出性製剤を調製してもよい。
抗GPC3コンストラクト(単離抗GPC3コンストラクトなど)の持続放出性調製品を調製することができる。好適な持続放出性調製品の例としては、抗体(又はその断片)を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、成形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。持続放出性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタミン酸とのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドで構成される注射可能なミクロスフェア)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン−酢酸ビニル及び乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日間超にわたる分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルは、より短い期間にわたってタンパク質を放出する。封入された抗体が長期にわたって体内に残存すると、37℃で水分に曝露された結果変性又は凝集して、生物活性が喪失し、免疫原性が変化する可能性がある。関与する機序に応じて、抗GPC3コンストラクトを安定化するための合理的ストラテジーを考案することができる。例えば、凝集機序がチオ−ジスルフィド交換を介した分子間S−S結合形成であることが見出された場合、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、適切な添加剤を使用して含水量を制御し、特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって、安定化を達成することができる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、クエン酸塩、NaCl、酢酸塩、コハク酸塩、グリシン、ポリソルベート80(Tween 80)、又は前述の任意の組み合わせを含む緩衝液中で製剤化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、約100mM〜約150mMグリシンを含む緩衝液中で製剤化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、約50mM〜約100mM NaClを含む緩衝液中で製剤化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、約10mM〜約50mM酢酸塩を含む緩衝液中で製剤化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、約10mM〜約50mMコハク酸塩を含む緩衝液中で製剤化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、約0.005%〜約0.02%ポリソルベート80を含む緩衝液中で製剤化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、約5.1〜5.6のpHを有する緩衝液中で製剤化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、10mMクエン酸塩、100mM NaCl、100mMグリシン、及び0.01%ポリソルベート80を含む緩衝液中で製剤化され、製剤はpH5.5である。
インビボ投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜に通すた濾過によって容易に達成される。
抗GPC3コンストラクトを使用する治療方法
本発明の抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)及び/又は組成物は、例えば癌(肝細胞癌(HCC)など)を含む、異常に高いGPC3発現を伴う疾患及び/又は障害(本明細書では「GPC3陽性」疾患又は障害とも称される)を治療するために、個体(例えば、ヒトなどの哺乳類)に投与することができる。したがって、本出願は、いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(癌など)を治療する方法であって、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つなどの、抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクトを含む有効量の組成物(医薬組成物など)を当該個体に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCR)に関連する細胞(エフェクタ細胞、例えばT細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(癌など)を治療する方法であって、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)を含む有効量の組成物(医薬組成物など)を当該個体に投与することを含み、当該抗GPC3コンストラクトの発現が、エフェクタ細胞(例えば、T細胞)上のシグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)を介したシグナル伝達の際に誘導可能である方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(癌など)を治療する方法であって、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞)を含む有効量の組成物(医薬組成物など)を当該個体に投与することを含み、当該エフェクタ細胞が、エフェクタ細胞シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)の活性化を介して抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現を誘導する方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸は、シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)活性化依存性プロモータなどの誘導性プロモータに動作可能に連結される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 CAR−T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 caTCR−T細胞である。
いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、及び脂肪肉腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌は、肝細胞癌であり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
例えば、いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性分子(例えば、二重特異性T細胞エンゲージャ)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、CAR又はcaTCRである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、組成物は、抗GPC3コンストラクトに会合する細胞(エフェクタ細胞、例えばT細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞)を含み、当該エフェクタ細胞が、エフェクタ細胞シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)の活性化を介して抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸は、シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)活性化依存性プロモータなどの誘導性プロモータに動作可能に連結される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 CAR−T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 caTCR−T細胞である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患(例えば、癌)を有する個体を治療する方法であって、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患(例えば、癌)を有する個体を治療する方法であって、nGPC3への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患(例えば、癌)を有する個体を治療する方法であって、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性分子(例えば、二重特異性T細胞エンゲージャ)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、CAR又はcaTCRである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、組成物は、抗GPC3コンストラクトに会合する細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞)は、エフェクタ細胞シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)の活性化を介して抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)活性化依存性プロモータなどの誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 CAR−T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 caTCR−T細胞である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患(例えば、癌)を有する個体を治療する方法であって、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患(例えば、癌)を有する個体を治療する方法であって、nGPC3への結合について本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合する抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患(例えば、癌)を有する個体を治療する方法であって、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性分子(例えば、二重特異性T細胞エンゲージャ)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、CAR又はcaTCRである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、組成物は、抗GPC3コンストラクトに会合する細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞)は、エフェクタ細胞シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)の活性化を介して抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)活性化依存性プロモータなどの誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 CAR−T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 caTCR−T細胞である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患(例えば、癌)を有する個体を治療する方法であって、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗GPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患(例えば、癌)を有する個体を治療する方法であって、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性分子(例えば、二重特異性T細胞エンゲージャ)である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、CAR又はcaTCRである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、組成物は、抗GPC3コンストラクトに会合する細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞)は、エフェクタ細胞シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)の活性化を介して抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現を誘導する。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)活性化依存性プロモータなどの誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 CAR−T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 caTCR−T細胞である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体における転移性HCCを治療する方法であって、上記の実施形態のいずれかによる抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、抗GPC3コンストラクトに会合する細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体における肝細胞癌の転移を阻害(予防など)する方法であって、上記の実施形態のいずれかによる抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
上記GPC3陽性疾患を治療するための方法のいずれかのいくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)は、個体に投与される前に、細胞(免疫細胞、例えばT細胞など)に複合体化される。したがって、例えば、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つを細胞(免疫細胞、例えばT細胞など)に複合体化させて、抗GPC3コンストラクト/細胞複合体を形成することと、b)当該抗GPC3コンストラクト/細胞複合体を含む有効量の組成物を当該個体に投与することと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、細胞は、個体に由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、個体に由来しない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、細胞の表面上の分子に対する共有結合によって細胞に複合体化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、細胞の表面上の分子に対する非共有結合によって細胞に複合体化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、抗GPC3コンストラクトの一部を細胞の外膜に挿入することによって、細胞に複合体化される。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性(二重特異性)分子である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、キメラ抗原受容体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、caTCRである。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法は、有効量の抗GPC3 CAR T細胞を当該個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法は、有効量の抗GPC3 caTCR T細胞を当該個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
上記GPC3陽性疾患を治療するための方法のいずれかのいくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャなど)は、そのシグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)を介したエフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞)の活性化の際に発現する。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)活性化依存性プロモータなどの誘導性プロモータに動作可能に連結された、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャなど)をコードしている核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 CAR−T細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞は、抗GPC3 caTCR−T細胞である。したがって、例えば、個体においてGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つをコードしている核酸をエフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR−T細胞)に導入することであって、当該核酸が、誘導性プロモータ(シグナル伝達受容体(例えば、TCR、CAR、caTCR)活性化依存性プロモータなど)に動作可能に連結されている、導入することと、b)当該エフェクタ細胞を含む有効量の組成物を当該個体に投与することと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、細胞は、個体に由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、個体に由来しない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、天然には生じない。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、scFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、多重特異性(二重特異性)分子である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、キメラ抗原受容体である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、caTCRである。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法は、有効量の抗GPC3 CAR T細胞を当該個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法は、有効量の抗GPC3 caTCR T細胞を当該個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクトは、免疫複合体である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体は、哺乳類(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなど)である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。いくつかの実施形態では、個体は、臨床患者、臨床試験ボランティア、実験動物などである。いくつかの実施形態では、個体は、約60歳未満である(例えば、約50、40、30、25、20、15、又は10歳のいずれか未満を含む)。いくつかの実施形態では、個体は、約60歳超である(例えば、約70、80、90、又は100歳のいずれか超を含む)。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載の疾患又は障害(HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫など)のうちの1つ以上であると診断されているか又は遺伝的に罹りやすい。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載の1つ以上の疾患又は障害に関連する1つ以上のリスク因子を有する。
本出願は、いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つ、例えば、単離された抗GPC3コンストラクトなど)を、個体におけるその表面上でGPC3を発現している細胞、又は可溶性GPC3を有する(例えば、循環GPC3タンパク質又は血清中の遊離GPC3ペプチドを有する)個体に送達する方法であって、当該抗GPC3コンストラクトを含む組成物を当該個体に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、送達される抗GPC3コンストラクトは、細胞(エフェクタ細胞、例えばT細胞など)に会合する。いくつかの実施形態では、方法は、抗GPC3 CAR T細胞を個体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、抗GPC3 caTCR T細胞を個体に投与することを含む。
癌(HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫など)、又は異常なGPC3発現を示す任意の他の疾患、及びこれらの疾患の臨床的描写の多くの診断方法が当該技術分野において既知である。このような方法としては、例えば、免疫組織化学、PCR、及び蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明の抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)及び/又は組成物は、異常なGPC3発現を伴う疾患又は障害を治療するために、第2、第3、又は第4の剤(例えば、抗新生物薬、成長阻害剤、細胞傷害性剤、又は化学療法剤を含む)と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、剤は、例えば、IFN受容体アゴニスト、Hsp90阻害剤、p53発現のエンハンサ、及び化学療法剤を含む。いくつかの実施形態では、剤は、例えば、IFNγ、IFNβ、及びIFNαを含むIFN受容体アゴニストである。いくつかの実施形態では、剤は、例えば、タネスピマイシン(17−AAG)、アルベスピマイシン(17−DMAG)、レタスピマイシン(IPI−504)、IPI−493、CNF2024/BIIB021、MPC−3100、Debio 0932(CUDC−305)、PU−H71、ガネテスピブ(STA−9090)、NVP−AUY922(VER−52269)、HSP990、KW−2478、AT13387、SNX−5422、DS−2248、及びXL888を含むHsp90阻害剤である。いくつかの実施形態では、剤は、例えば、5−フルオロウラシル及びヌトリン−3を含むp53発現のエンハンサである。いくつかの実施形態では、剤は、例えば、トポテカン、エトポシド、シスプラチン、パクリタキセル、及びビンブラスチンを含む化学療法剤である。
癌治療は、例えば、腫瘍の退縮、腫瘍の重量又はサイズの収縮、増殖抑制時間、生存期間、無増悪生存期間、全奏効率、奏功期間、生活の質、タンパク質発現、及び/又は活性によって評価することができる。例えば、放射線撮像を通した応答の測定を含む、治療の有効性を決定するためのアプローチを使用してよい。
いくつかの実施形態では、治療の有効性は、式100−(T/C×100)(式中、Tは、治療された腫瘍の平均相対腫瘍体積であり、Cは、未治療腫瘍の平均相対腫瘍体積である)を使用して計算される、腫瘍成長阻害率(%TGI)として測定される。いくつかの実施形態では、%TGIは、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、又は95%超である。
抗GPC3コンストラクト組成物の投薬及び投与方法
個体(ヒトなど)に投与される抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど、又は抗GPC3 CAR T細胞若しくは抗GPC3 caTCR T細胞のフォーマットで投与される)組成物の用量は、具体的な組成物、投与モード、及び治療される疾患の種類に伴って変化してよい。いくつかの実施形態では、組成物(単離された抗GPC3コンストラクト、抗GPC3 CAR T細胞、又は抗GPC3 caTCR T細胞を含む組成物など)の量は、客観的応答(部分奏効又は完全奏効など)をもたらすのに有効である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト組成物の量は、個体において完全奏効をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト組成物の量は、個体において部分奏効をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、投与される抗GPC3コンストラクト組成物の量(例えば、単独で投与される場合)は、抗GPC3コンストラクト組成物で治療される個体の集団の中で、約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、64%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%のいずれかを超える全奏効率を得るのに十分である。本明細書に記載の方法の治療に対する個体の奏功は、例えば、RECISTレベルに基づいて判定することができる。
いくつかの実施形態では、組成物(単離された抗GPC3コンストラクト、抗GPC3 CAR T細胞、又は抗GPC3 caTCR T細胞を含む組成物など)の量は、個体の無増悪生存期間を延長するのに十分である。いくつかの実施形態では、組成物の量は、個体の全生存期間を延長するのに十分である。いくつかの実施形態では、組成物の量(例えば、単独(along)で投与される場合)は、抗GPC3コンストラクト組成物で治療される個体の集団の中で、約50%、60%、70%、又は77%のいずれかを超える臨床的有用性を生じさせるのに十分である。
いくつかの実施形態では、組成物の量(単離された抗GPC3コンストラクト、抗GPC3 CAR T細胞、又は抗GPC3 caTCR T細胞を含む組成物など)の量は、単独で、又は第2、第3、及び/若しくは第4の剤と組み合わせて、治療を受ける前の同じ被験体における対応する腫瘍サイズ、癌細胞の数、若しくは腫瘍成長速度と比べて、又は治療を受けていない他の被験体における対応する活性と比べて、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%のいずれかだけ腫瘍のサイズを減少させる、癌細胞の数を減少させる、又は腫瘍の成長速度を減少させるのに十分な量である。精製酵素を使用するインビトロアッセイ、細胞ベースのアッセイ、動物モデル、又はヒト試験などの標準的な方法を使用して、この効果の大きさを測定することができる。
いくつかの実施形態では、組成物中の抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3 scFv、完全長抗GPC3抗体、多重特異性抗GPC3分子、抗GPC3 CAR、抗GPC3 caTCR、抗GPC3免疫複合体など)の量は、毒性作用(すなわち、臨床的に許容できるレベルの毒性を上回る作用)を誘発するレベルを下回るか、又は組成物を個体に投与したときに潜在的な副作用を管理若しくは許容することができるレベルである。
いくつかの実施形態では、組成物の量は、同じ投与レジメンに従った組成物の最大許容用量(MTD)に近い。いくつかの実施形態では、組成物の量は、MTDの約80%、90%、95%、又は98%のいずれかを上回る。
いくつかの実施形態では、組成物中の抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、完全長抗GPC3抗体、多重特異性抗GPC3分子、又は抗GPC3免疫複合体など)の量は、約0.001μg〜約1000μgの範囲内に含まれる。
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物中の抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、完全長抗GPC3抗体、多重特異性抗GPC3分子、又は抗GPC3免疫複合体など)の有効量は、総体重の約0.1μg/kg〜約100mg/kgの範囲内である。
抗GPC3コンストラクト組成物は、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、肺内、経口、吸入、静脈内、筋肉内、気管内、皮下、眼内、髄腔内、経粘膜、及び経皮を含む様々な経路を介して、個体(ヒトなど)に投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物の連続徐放性製剤を使用してよい。いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、門脈内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、動脈内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、腹腔内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、肝内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、肝動脈注入によって投与される。いくつかの実施形態では、投与は、第1の疾患部位に対して遠位の注入部位に行われる。
抗GPC3 CARエフェクタ細胞療法及び抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞療法
本出願はまた、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを使用して、GPC3(細胞表面結合GPC3又は可溶性GPC3など)に対するエフェクタ細胞(一次T細胞など)の特異性をリダイレクトする方法も提供する。したがって、本発明はまた、哺乳類におけるGPC発現細胞を含む標的細胞集団又は組織に対するエフェクタ細胞媒介性応答(T細胞媒介性免疫応答など)を刺激する方法であって、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを発現するエフェクタ細胞(T細胞など)を当該哺乳類に投与する工程を含む方法も提供する。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARエフェクタ細胞又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARエフェクタ細胞又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞における多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、(それぞれ)抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。
抗GPC3 CARを発現している(場合により、抗GPC3二重特異性T細胞エンゲージャを更に発現している)抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)を、それを必要としているレシピエントに注入してよい。抗GPC3 caTCRを発現している(場合により、抗GPC3二重特異性T細胞エンゲージャを更に発現している)抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)を、それを必要としているレシピエントに注入してよい。注入された細胞は、レシピエントにおけるその細胞表面上でGPC3を発現している細胞を殺傷することができる。いくつかの実施形態では、抗体療法とは異なり、抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)は、インビボで複製することができ、その結果、持続的な腫瘍管理につながり得る長期存続性が得られる。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARエフェクタ細胞は、ロバストなインビボT細胞増殖を受けることができ、長期間にわたって存続することができる抗GPC3 CAR T細胞である。いくつかの実施形態では、本発明の抗GPC3 CAR T細胞は、再活性化されて、任意の更なる腫瘍の形成又は成長を阻害することができる特異的メモリT細胞に発達する。
いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞は、ロバストなインビボT細胞増殖を受けることができ、長期間にわたって存続することができる抗GPC3 caTCR T細胞である。いくつかの実施形態では、本発明の抗GPC3 caTCR T細胞は、再活性化されて、任意の更なる腫瘍の形成又は成長を阻害することができる特異的メモリT細胞に発達する。
また、本発明の抗GPC3 CAR T細胞又は抗GPC3 caTCR T細胞は、エクスビボ免疫及び/又は哺乳類におけるインビボ療法のための一種のワクチンとしても機能し得る。いくつかの実施形態では、哺乳類は、ヒトである。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR T細胞又は抗GPC3 caTCR T細胞は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。
エクスビボ免疫に関しては、細胞を哺乳類に投与する前に以下のうちの少なくとも1つをインビトロで行う:i)細胞の増殖、ii)抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRをコードしている核酸の細胞への導入、及び/又はiii)細胞の冷凍保存。いくつかの実施形態では、細胞は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を導入することによって更にインビトロで操作される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。
エクスビボ手順は、当該技術分野において周知であり、以下でより詳細に論じる。簡潔に述べると、哺乳類(好ましくはヒト)から細胞を単離し、本明細書に開示される抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを発現するベクターで遺伝子改変(すなわち、インビトロで形質導入又はトランスフェクト)する。抗GPC3 CARエフェクタ細胞又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞を哺乳類レシピエントに投与して、治療効果を提供することができる。哺乳類レシピエントはヒトであってよく、抗GPC3 CAR細胞(又は抗GPC3 caTCR細胞)は、レシピエントに対して自己であってよい。あるいは、細胞は、レシピエントに対して同種、同系、又は異種であってもよい。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARエフェクタ細胞又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸であって、当該誘導性プロモータが、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達に応答する核酸を更に含む。
造血幹細胞及び前駆細胞のエクスビボ増殖の手順は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,199,942号に記載されており、本発明の細胞に適用することができる。他の好適な方法は、当該技術分野において既知である。したがって、本発明は、細胞のエクスビボ増殖の任意の特定の方法には限定されない。簡潔には、エクスビボ培養及びT細胞の増殖は、(1)末梢血採取物又は骨髄外植片から哺乳類由来のCD34+造血幹細胞及び前駆細胞を回収することと、(2)このような細胞をエクスビボで増殖させることと、を含む。米国特許第5,199,942号に記載の細胞成長因子に加えて、flt3−L、IL−1、IL−3、及びc−kitリガンドなどの他の因子を、細胞の培養及び増殖のために使用することができる。
エクスビボ免疫に関して細胞ベースのワクチンを使用することに加えて、本発明はまた、患者において抗原に対する免疫応答を誘発するためのインビボ免疫のための組成物及び方法も提供する。
本発明の抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)は、単独で、あるいは希釈剤及び/又はIL−2若しくは他のサイトカイン若しくは細胞集団などの他の成分と組み合わせた医薬組成物としてのいずれかで投与してよい。簡潔に述べると、本発明の医薬組成物は、1つ以上の医薬的に又は生理学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせて、抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)を含んでいてもよい。このような組成物は、以下を含んでいてもよい:中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝剤;グルコース、マンノース、スクロース、又はデキストランなどの炭水化物、マンニトール;タンパク質;ポリペプチド又はグリシンなどのアミノ酸;酸化防止剤;EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)組成物又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、静脈内投与用に製剤化される。
投与される本発明の抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)組成物又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)組成物の正確な量は、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染又は転移の程度、及び患者(被験体)の状態における個体差を考慮して医師が決定することができる。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)を含む医薬組成物は、約104〜約109細胞/kg(体重)、例えば、約104〜約105、約105〜約106、約106〜約107、約107〜約108、又は約108〜約109細胞/kg(体重)(これらの範囲内の全ての整数値を含む)のいずれかの投薬量で投与される。抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)組成物又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、これらの投薬量で複数回投与されてもよい。細胞は、免疫療法において一般的に知られている注入技術を使用することによって投与することができる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照されたい)。特定の患者に対する最適な投薬量及び治療レジメンは、疾患の兆候について患者をモニタリングし、それに応じて治療を調整することによって、医療分野の当業者が容易に決定できる。
いくつかの実施形態では、活性化抗GPC3 CAR T細胞又は活性化抗GPC3 caTCR T細胞を被験体に投与し、次いで、再採血し(又はアフェレーシスを実施し)、本発明に従ってそれに由来するT細胞を活性化し、これらの活性化及び増殖されたT細胞を患者に再注入することが望ましい場合がある。このプロセスを数週間ごとに複数回実施してよい。いくつかの実施形態では、T細胞は、10cc〜400ccの採血から活性化され得る。いくつかの実施形態では、T細胞は、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc、又は100ccの採血から活性化される。
抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂食、輸血、注入(implantation)、又は移植を含む任意の好都合な方法で実施してよい。本明細書に記載の組成物は、皮下、皮内、腫瘍内、節内、髄内、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射によって、又は腹腔内に患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、本発明の抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)組成物又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、皮内又は皮下注射によって患者に投与される。いくつかの実施形態では、本発明の抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)組成物又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、i.v.注射によって投与される。抗GPC3 CARエフェクタ細胞(T細胞など)又は抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞(T細胞など)の組成物は、腫瘍、リンパ節、又は感染部位に直接注射してもよい。
したがって、例えば、いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載の細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 CARを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内、腹腔内、又は腫瘍内の経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、腫瘍内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、GPC3陽性疾患(GPC3陽性腫瘍など)の部位に対して遠位の注射部位に局所注射することを含む。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍である(すなわち、投与は腫瘍内経路を介する)。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍であり、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載の細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号491及び516〜512のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 CARを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内、腹腔内、又は腫瘍内の経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、腫瘍内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、GPC3陽性疾患(GPC3陽性腫瘍など)の部位に対して遠位の注射部位に局所注射することを含む。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍である(すなわち、投与は腫瘍内経路を介する)。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍であり、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARは、配列番号494のN末端に融合している、本明細書に記載のGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 CARを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内、腹腔内、又は腫瘍内の経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、腫瘍内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、GPC3陽性疾患(GPC3陽性腫瘍など)の部位に対して遠位の注射部位に局所注射することを含む。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍である(すなわち、投与は腫瘍内経路を介する)。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍であり、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号462のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号463のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸1〜358(配列番号468)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号464のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜560(配列番号465)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸359〜580(配列番号466)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸R358/S359におけるフューリン切断部位にまたがるエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、完全長成熟ヒトGPC3(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜560又は25〜580)に特異的に結合することができるが、ヒトGPC3のN末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸25〜358)又はヒトGPC3のC末端断片(例えば、配列番号460のアミノ酸359〜560又は359〜580)には結合しない。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する、抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分(例えば、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又は抗nGPC3抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)VH及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)とを含む第1のポリペプチド鎖と、b)VL及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVH及びCH1ドメイン、並びに当該第2の抗原結合ドメインのVL及びCLドメインが、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する(例えば、VH及びVLの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又はVH及びVLが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)VH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のTCRDとを含む第1のポリペプチド鎖と、b)VL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVHドメイン及び当該第2の抗原結合ドメインのVLドメインが、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する(例えば、VH及びVLの細胞表面結合GPC3に対する結合親和性が、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高いか、又はVH及びVLが、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する)抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、天然に生じるT細胞受容体(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内、腹腔内、又は腫瘍内の経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、腫瘍内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、GPC3陽性疾患(GPC3陽性腫瘍など)の部位に対して遠位の注射部位に局所注射することを含む。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍である(すなわち、投与は腫瘍内経路を介する)。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍であ
り、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとnGPC3への結合について競合する抗nGPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じnGPC3エピトープに特異的に結合する抗nGPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)とを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVL及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVH及びCH1ドメイン、並びに当該第2の抗原結合ドメインのVL及びCLドメインが、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のTCRDとを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVHドメイン及び当該第2の抗原結合ドメインのVLドメインが、細胞表面結合GPC3に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRは、配列番号492及び配列番号493のアミノ酸配列を含む2本のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、天然に生じるT細胞受容体(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する。いくつかの実施形態では、抗nGPC
3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内、腹腔内、又は腫瘍内の経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、腫瘍内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、GPC3陽性疾患(GPC3陽性腫瘍など)の部位に対して遠位の注射部位に局所注射することを含む。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍である(すなわち、投与は腫瘍内経路を介する)。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍であり、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個(約1、2、又は3個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個(約1、2、3、4、又は5個のうちのいずれかなど)のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患(例えば、HCC)を治療する方法であって、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDR及び配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRを含む、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つとGPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)への結合について競合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)本明細書に記載の抗GPC3コンストラクトのいずれか1つと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗GPC3抗体部分を含む抗原結合モジュールと、b)天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び天然に生じるTCR(αβTCR又はγδTCRなど)の他の膜貫通ドメインに由来する第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はζζなど)の動員を促進し、当該抗体部分が、当該第1及び/又は第2のTCRDに連結している、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のT細胞受容体ドメイン(TCRD)とを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVL及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVH及びCH1ドメイン、並びに当該第2の抗原結合ドメインのVL及びCLドメインが、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュールは、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間にジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、個体におけるGPC3陽性疾患を治療する方法であって、a)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH抗体ドメインを含む第1の抗原結合ドメインと、第1のTCRサブユニットの第1の膜貫通ドメインを含む第1のTCRDとを含む第1のポリペプチド鎖と、b)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVL抗体ドメインを含む第2の抗原結合ドメインと、第2のTCRサブユニットの第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDとを含む第2のポリペプチド鎖とを含み、当該第1の抗原結合ドメインのVHドメイン及び当該第2の抗原結合ドメインのVLドメインが、GPC3(例えば、nGPC3及び/又はsGPC3)に特異的に結合する抗原結合モジュールを形成し、当該第1のTCRD及び当該第2のTCRDが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)を形成する、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。いくつかの実施形態では、第1のTCR−TMは、天然に生じるT細胞受容体(αβTCR又
はγδTCRなど)の膜貫通ドメインのうちの1つに由来する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分の細胞表面結合GPC3に対する結合親和性は、可溶性GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗nGPC3抗体部分は、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、可溶性GPC3を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分の可溶性GPC3に対する結合親和性は、細胞表面結合GPC3に対する結合親和性よりも高い。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号461のアミノ酸配列内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗sGPC3抗体部分は、配列番号460のアミノ酸510〜560(配列番号467)内のエピトープを特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、細胞表面結合GPC3及び可溶性GPC3の両方を特異的に認識する。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又はscFvである。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、Fab又はFab’である。いくつかの実施形態では、抗GPC3抗体部分は、scFvである。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌はHCCであり、治療することは、癌の広がりを予防すること、例えば、癌の転移を阻害(予防など)することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内、腹腔内、又は腫瘍内の経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、腫瘍内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、GPC3陽性疾患(GPC3陽性腫瘍など)の部位に対して遠位の注射部位に局所注射することを含む。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍である(すなわち、投与は腫瘍内経路を介する)。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、注射部位は、第1のGPC3陽性腫瘍であり、GPC3陽性疾患の部位は、第2のGPC3陽性腫瘍である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体における転移性HCCを治療する方法であって、上記の実施形態のいずれかによる抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。
いくつかの実施形態では、個体におけるHCCの転移を阻害(予防など)する方法であって、上記の実施形態のいずれかによる抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。いくつかの実施形態では、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)は、誘導性プロモータに動作可能に連結された多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を更に含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3二重特異性T細胞エンゲージャ)の発現は、抗GPC3 CAR又は抗GPC3 caTCRを介したシグナル伝達の際に誘導可能である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータなどのNFAT由来プロモータである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモータは、IL−2プロモータである。
いくつかの実施形態では、個体におけるT細胞を予備刺激する方法であって、上記の抗GPC3 CARのいずれかによる抗GPC3 CARを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体におけるT細胞を予備刺激する方法であって、上記の抗GPC3 caTCRのいずれかによる抗GPC3 caTCRを発現しているエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を当該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、個体は、GPC3陽性疾患を有している。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内、腹腔内、又は腫瘍内の経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、腫瘍内経路を介する。いくつかの実施形態では、投与は、第1の疾患部位に対して遠位の注入部位に行われる。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、上記の方法のいずれかによれば、方法は、抗原提示細胞又はAPC(単球又は単球分化樹状細胞など)を個体に投与することを更に含む。樹状細胞は、特定のサイトカインと共に単球を培養することを介してエクスビボで生成することができる(Palucka and Banchereau,Nature Reviews Cancer 12:265−277,2012)。いくつかの実施形態では、APCは、エフェクタ細胞組成物と同時に投与される。いくつかの実施形態では、APCは、エフェクタ細胞組成物と一斉に投与される。いくつかの実施形態では、APCは、エフェクタ細胞組成物と逐次投与される。いくつかの実施形態では、APCは、エフェクタ細胞組成物と同じ経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、APCは、エフェクタ細胞組成物と同じ部位に投与される。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞組成物は、APCを含む。
癌
抗GPC3コンストラクト(単離抗GPC3コンストラクトなど)、抗GPC3 CAR細胞、及び抗GPC3 caTCR細胞は、いくつかの実施形態では、癌を治療するのに有用であり得る。本明細書に記載の方法のいずれかを使用して治療することができる癌としては、脈管化されていないか、又はまだ実質的に脈管化されていない腫瘍に加えて、脈管化された腫瘍が挙げられる。癌は、固形腫瘍を含み得る。本発明の抗GPC3コンストラクト、抗GPC3 CAR細胞、及び抗GPC3 caTCR細胞で治療される癌の種類としては、癌腫、芽腫、肉腫、良性及び悪性の腫瘍、並びに悪性腫瘍、例えば、肉腫、癌腫、及び黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。成人腫瘍/癌及び小児腫瘍/癌も含まれる。
固形腫瘍は、通常、嚢胞も液体領域も含まない異常な組織塊である。固形腫瘍は、良性であっても悪性であってもよい。様々な種類の固形腫瘍は、それを形成する細胞の種類に由来する名称を有する(例えば、肉腫、癌腫、及びリンパ腫)。肉腫及び癌腫などの固形腫瘍の例としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、及び他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ性腫瘍、膵臓癌、乳癌、肺癌(例えば、肺扁平上皮癌)、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍(内胚葉洞腫瘍)、前立腺癌、肝細胞癌(HCC)、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、髄様甲状腺癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、黒色腫、及びCNS腫瘍(神経膠腫(脳幹神経膠腫及び混合膠腫など)、神経膠芽腫(多形性膠芽腫としても知られている)星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、シュワン腫頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、及び脳転移症など)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明によって治療され得る癌は、HCCである。GPC3は、HCC及びHCC細胞株、例えば、HepG2、Hep3B、HT17、HuH6、HuH7、及びPLC/PRF/5で高度に発現する。GPC3発現は、HCCにおける予後不良と相関する。いくつかの実施形態では、HCCは、初期HCC、非転移性HCC、原発HCC、進行HCC、局所進行HCC、転移性HCC、寛解期のHCC、又は再発性HCCである。いくつかの実施形態では、HCCは、限局性切除可能(すなわち、完全に外科的に除去することができる肝臓の部分に限られている腫瘍)、限局性切除不能(すなわち、重要な血管構造に浸潤しているため又は肝臓に障害が生じるため、限局性腫瘍が切除不能であり得る)、又は切除不能(すなわち、腫瘍が肝臓のすべての葉に浸潤している及び/又は転移して他の臓器(例えば、肺、リンパ節、骨)に浸潤している)である。いくつかの実施形態では、HCCは、TNM分類によれば、病期I腫瘍(脈管浸潤のない単発性腫瘍)、病期II腫瘍(脈管浸潤のある単発性腫瘍、又はすべて5cm以下の多発性腫瘍)、病期III腫瘍(すべて5cmを超えている多発性腫瘍、又は門脈若しくは肝静脈の主要分枝に浸潤している腫瘍)、病期IV腫瘍(胆嚢以外の隣接臓器への直接浸潤、又は臓側腹膜への穿孔のある腫瘍)、N1腫瘍(所属リンパ節転移)、又はM1腫瘍(遠隔転移)である。いくつかの実施形態では、HCCは、AJCC(American Joint Commission on Cancer)病期分類基準によれば、病期T1、T2、T3、又はT4 HCCである。いくつかの実施形態では、HCCは、肝細胞癌腫、HCCの線維層板型変異体、及び混合型肝細胞性胆管癌のうちのいずれか1つである。
いくつかの実施形態では、GPC3陽性癌は、卵黄嚢腫瘍(YST、内胚葉洞腫瘍)である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性癌は、絨毛癌である。いくつかの実施形態では、GPC3陽性癌は、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍である。
YSTは、3歳未満の小児における最も一般的な精巣腫瘍であり、乳児胎生期癌としても知られている。乳児に典型的な純粋形態とは異なり、成人YSTは、多くの場合、他の種類の胚細胞腫瘍、特に奇形腫及び胎生期癌と組み合わせてみられる。純粋な奇形腫は通常良性であるが、YSTは悪性である。
GPC3は、卵巣癌の20%未満であるが、卵巣明細胞癌の60%超で発現し、このことは、GPC3が、卵巣明細胞癌の潜在的バイオマーカーとなり得ることを示唆している。GPC3免疫染色は、YST及び絨毛癌の診断において有益であり得る。
絨毛癌は、通常胎盤における悪性の絨毛性癌である。絨毛癌は、胎盤以外の原発巣で稀に発生し、非常に稀に、精巣で発生する。成人精巣の純粋な絨毛癌は稀であるが、成人における胚細胞腫瘍(GCT)の最も侵襲性の高い病理的変異型を表す。早期血行性及びリンパ性転移拡散を特徴とする。患者は、初期の拡散及び抗癌剤に対する固有の耐性に起因して、予後が非常に悪い。
GPC3は、黒色腫の診断のための腫瘍マーカーとして、特に疾患の初期段階で使用することができるが、その理由は、GPC3のmRNA及びタンパク質が、黒色腫及びメラノサイト母斑の>80%にみられるためである。
また、GPC3の発現は、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍細胞、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、及びGPC3−GCと呼ばれる異なる胃癌群においてもみられる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、これらのGPC3陽性疾患を治療又は診断するために使用することができる。
癌治療は、例えば、腫瘍の退縮、腫瘍の重量又はサイズの収縮、増殖抑制時間、生存期間、無増悪生存期間、全奏効率、奏功期間、生活の質、タンパク質発現、及び/又は活性によって評価することができる。例えば、放射線撮像を通した応答の測定を含む、治療の有効性を決定するためのアプローチを使用してよい。
抗GPC3コンストラクトを使用する診断、検出、及び撮像の方法
GPC3(細胞表面結合又は可溶性のいずれか)に特異的に結合する、標識された抗GPC3抗体部分並びにその誘導体及びアナログ(例えば、標識を含む抗GPC3免疫複合体)は、癌(例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫)などの上記疾患及び障害のいずれかを含む、GPC3の発現、異常な発現、及び/又は活性に関連する疾患及び/又は障害を検出、診断、又はモニタリングするために診断目的で使用することができる。例えば、本発明の抗GPC3抗体部分は、インサイチュ、インビボ、エクスビボ、及びインビトロの診断アッセイ又は撮像アッセイで使用することができる。
本発明の更なる実施形態は、サンプル中のGPC3を検出する方法であって、当該サンプルを、本明細書に記載の抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、標識を含む抗GPC3免疫複合体など)と接触させることと、標識の存在を検出することと、を含む。いくつかの実施形態では、サンプルは、細胞表面結合GPC3を有する細胞を含む。いくつかの実施形態では、サンプルは、可溶性GPC3を含む。
本発明の更なる実施形態は、個体(例えば、ヒトなどの哺乳類)におけるGPC3の発現又は異常な発現に関連する疾患又は障害を診断する方法を含む。方法は、個体における細胞表面結合GPC3又は可溶性GPC3を検出することを含む。いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒトなどの哺乳類)におけるGPC3の発現又は異常な発現に関連する疾患又は障害を診断する方法であって、(a)上記の実施形態のいずれかによる標識された抗GPC3抗体部分(例えば、標識を含む抗GPC3免疫複合体)の有効量を当該個体に投与することと、(b)閾値レベルを上回る当該標識のレベルが、当該個体がGPC3陽性疾患又は障害を有することを示すように、当該個体における当該標識のレベルを決定することと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、GPC3陽性疾患又は障害は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、及び脂肪肉腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCであり、方法は、個体の血液中の標識のレベルを決定することを更に含む。いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒトなどの哺乳類)におけるHCC(例えば、転移性HCC)を診断する方法であって、(a)上記の実施形態のいずれかによる標識された抗GPC3抗体部分(例えば、標識を含む抗GPC3免疫複合体)の有効量を当該個体に投与することと、(b)閾値レベルを上回る当該標識のレベルが、当該個体がHCC(例えば、転移性HCC)を有することを示すように、当該個体における当該標識のレベルを決定することと、を含む方法が提供される。閾値レベルは、例えば、疾患又は障害を有する個体の第1のセット及び疾患又は障害を有さない個体の第2のセットにおいて、上記の診断方法に従って標識を検出し、第1のセットと第2のセットとの識別を可能にするレベルに当該閾値を設定することを含む、様々な方法によって決定することができる。いくつかの実施形態では、閾値レベルはゼロであり、方法は、個体における標識の有無を判定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、標識された抗GPC3抗体部分(例えば、標識を含む抗GPC3免疫複合体)を、GPC3が発現する個体の部位(例えば、GPC3陽性腫瘍部位、及び未結合の標識された抗GPC3抗体部分がクリアランスされる)で優先的に濃縮することを可能にするために、工程(a)の投与後に一定期間待つことを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、標識のバックグラウンドレベルを減じることを更に含む。バックグラウンドレベルは、例えば、標識された抗GPC3抗体部分(例えば、標識を含む抗GPC3免疫複合体)を投与する前に個体における標識を検出すること、又は疾患若しくは障害を有さない個体において上記の診断方法に従って標識を検出することを含む、様々な方法によって決定することができる。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒトなどの哺乳類)におけるGPC3の発現又は異常な発現に関連する疾患又は障害を診断する方法であって、(a)上記の実施形態のいずれかによる標識された抗GPC3抗体部分(例えば、標識を含む抗GPC3免疫複合体)を当該個体に由来するサンプル(全血又はホモジナイズされた組織など)と接触させることと、(b)閾値レベルを上回る、当該標識された抗GPC3抗体部分に結合した細胞の数の値が、個体が当該疾患又は障害を有することを示すように、当該サンプル中の当該標識された抗GPC3抗体部分に結合した細胞の数を決定することと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、癌である。いくつかの実施形態では、癌は、例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、及び脂肪肉腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、HCCである。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCであり、サンプルは、血液サンプル(全血など)である。いくつかの実施形態では、癌は、転移性HCCである。いくつかの実施形態では、個体(例えば、ヒトなどの哺乳類)におけるHCC(例えば、転移性HCC)を診断する方法であって、(a)上記の実施形態のいずれかによる標識された抗GPC3抗体部分を当該個体に由来するサンプル(全血など)と接触させることと、(b)閾値レベルを上回る、当該標識された抗GPC3抗体部分に結合した細胞の数の値が、当該個体がHCC(例えば、転移性HCC)を有することを示すように、当該サンプル中の当該標識された抗GPC3抗体部分に結合した細胞の数を決定することと、を含む方法が提供される。閾値レベルは、例えば、疾患又は障害を有する個体の第1のセット及び疾患又は障害を有さない個体の第2のセットにおいて、上記の診断方法に従って、標識された抗GPC3抗体部分に結合した細胞の数を決定し、第1のセットと第2のセットとの識別を可能にするレベルに当該閾値を設定することを含む、様々な方法によって決定することができる。いくつかの実施形態では、閾値レベルはゼロであり、方法は、サンプル中の標識された抗GPC3抗体部分に結合した細胞の有無を判定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、標識された抗GPC3抗体部分と結合した細胞の数のバックグラウンドレベルを減じることを更に含む。バックグラウンドレベルは、例えば、標識された抗GPC3抗体部分を投与する前に個体における当該標識された抗GPC3抗体部分に結合した細胞の数を決定すること、又は疾患若しくは障害を有さない個体において上記の診断方法に従って、当該標識された抗GPC3抗体部分に結合した細胞の数を決定することを含む、様々な方法によって決定することができる。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
本発明の抗GPC3抗体部分を使用して、当業者に既知の方法を使用して、生体サンプル中のGPC3のレベルをアッセイすることができる。好適な抗体標識は、当該技術分野において既知であり、以下を含む:グルコースオキシダーゼなどの酵素標識;ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115mIn、113mIn、112In、111In)、テクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、サマリウム(153Sm)、ルテチウム(177Lu)、ガドリニウム(159Gd)、プロメチウム(149Pm)、ランタン(140La)、イッテルビウム(175Yb)、ホルミウム(166Ho)、イットリウム(90Y)、スカンジウム(47Sc)、レニウム(186Re、188Re)、プラセオジム(142Pr)、ロジウム(105Rh)、及びルテニウム(97Ru)などの放射性同位体;ルミノール;フルオレセイン及びローダミンなどの蛍光標識;並びにビオチン。
当該技術分野において既知の技術を、本発明の標識された抗GPC3抗体部分(例えば、標識を含む抗GPC3免疫複合体)に適用することができる。このような技術としては、二官能性複合体化剤の使用が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、米国特許第5,756,065号、同第5,714,631号、同第5,696,239号、同第5,652,361号、同第5,505,931号、同第5,489,425号、同第5,435,990号、同第5,428,139号、同第5,342,604号、同第5,274,119号、同第4,994,560号、及び同第5,808,003号を参照されたい)。上記アッセイとは別に、様々なインビボ及びエクスビボアッセイが、当業者に利用可能である。例えば、被験体の体内の細胞を、場合により、検出可能な標識、例えば放射性同位体で標識された抗GPC3抗体部分に曝露してよく、例えば、放射活性を外部走査することによって、又は抗GPC3抗体部分に以前に曝露された被験体に由来するサンプル(例えば、生検又は他の生体サンプル)を分析することによって、当該抗GPC3抗体部分の当該細胞への結合を評価してよい。
製品及びキット
本発明のいくつかの実施形態では、癌(例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫)などのGPC3陽性疾患の治療のため、その表面上でGPC3を発現している細胞に抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を送達するため、又は細胞表面上でGPC3を発現している細胞を単離若しくは検出するため、又は個体における可溶性GPC3を単離若しくは検出するのために有用な物質を含有する製品が提供される。製品は、容器と、この容器上にある又はこの容器に付随したラベル又は添付文書と、を含むことができる。好適な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されていてよい。一般に、容器は、本明細書に記載の疾患又は障害を治療するのに有効な組成物を保持し、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈注射用溶液のバッグ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗GPC3コンストラクトである。ラベル又は添付文書は、特定の病態を治療するために組成物が使用されることを示す。ラベル又は添付文書は、抗GPC3コンストラクト組成物を患者に投与するための説明書を更に含む。本明細書に記載の併用療法を含む製品及びキットも想到される。
添付文書は、治療用製品の商品パッケージに習慣的に含まれている、このような治療用製品の使用に関しての指示、使用法、投薬量、投与、禁忌及び/又は警告に関する情報を記載している説明書を参照する。いくつかの実施形態では、添付文書は、癌(例えば、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、又は脂肪肉腫)を治療するために組成物が使用されることを示す。
加えて、製品は、静菌注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンガー液及びブドウ糖液など、医薬上許容される緩衝液を含む第2の容器を更に含んでよい。これは、他の緩衝液、希釈液、濾過器、針、及び注射器を含めて、商業上及び利用者の立場からの他の好ましい材料を更に含んでよい。
場合により製品と組み合わせて、様々な目的、例えば、本明細書に記載のGPC3陽性疾患若しくは障害を治療するため、その表面上でGPC3を発現している細胞に抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクトなど)を送達するため、又は細胞表面上でGPC3を発現している細胞を単離若しくは検出するため、又は個体における可溶性GPC3を単離若しくは検出するために有用なキットも提供される。本発明のキットは、抗GPC3コンストラクト組成物(又は単位剤形及び/又は製品)を含む1つ以上の容器を含み、いくつかの実施形態では、別の剤(本明細書に記載の剤など)及び/又は本明細書に記載の方法のいずれかに従って使用するための説明書を更に含む。このキットは、処置に適している個体の選択についての説明を更に含んでよい。本発明のキットで提供される説明書は、典型的には、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)に書かれた説明書であるが、機械で読み取り可能な説明書(例えば、磁気又は光学保存ディスクに保持された説明書)も許容可能である。
例えば、いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3 scFv、完全長抗GPC3抗体、多重特異性抗GPC3分子(二重特異性抗GPC3抗体など)、又は抗GPC3免疫複合体など)を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクトを含む組成物と、b)有効量の少なくとも1つの他の剤であって、抗GPC3コンストラクトの効果(例えば、治療効果、検出効果)を増強する他の剤と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクトを含む組成物と、b)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3コンストラクト組成物を個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクトを含む組成物と、b)有効量の少なくとも1つの他の剤であって、抗GPC3コンストラクトの効果(例えば、治療効果、検出効果)を増強する他の剤と、c)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3コンストラクト組成物及び他の剤を個体に投与するための説明書と、を含む。抗GPC3コンストラクト及び他の剤は、別個の容器内に又は単一の容器内に存在し得る。例えば、キットは、1つの明確な組成物を含んでいてもよく、又は1つの組成物が抗GPC3コンストラクトを含み、別の組成物が別の剤を含む2つ以上の組成物を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3 scFv、完全長抗GPC3抗体、多重特異性抗GPC3分子(二重特異性抗GPC3抗体など)、又は抗GPC3免疫複合体など)を含む組成物と、b)抗GPC3コンストラクト/細胞複合体を含む組成物を形成するために当該抗GPC3コンストラクトを細胞(エフェクタ細胞、例えば、個体に由来する免疫細胞、CAR−T細胞、又はcaTCR−T細胞など)と組み合わせ、GPC3陽性疾患(HCCなど)の治療のために、抗GPC3コンストラクト/細胞複合体組成物を個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクトを含む組成物と、b)細胞(細胞傷害性細胞、例えば、細胞傷害性T細胞、CAR−T細胞、又はcaTCR−T細胞など)と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクトを含む組成物と、b)細胞(細胞傷害性細胞、例えば、細胞傷害性T細胞、CAR−T細胞、又はcaTCR−T細胞など)と、c)抗GPC3コンストラクト/細胞複合体を含む組成物を形成するために当該抗GPC3コンストラクトを当該細胞と組み合わせ、HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3コンストラクト/細胞複合体組成物を個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、細胞(細胞傷害性細胞、例えば、細胞傷害性T細胞、CAR−T細胞、又はcaTCR−T細胞など)と会合している抗GPC3コンストラクトを含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)細胞(細胞傷害性細胞、例えば、細胞傷害性T細胞、CAR−T細胞、又はcaTCR−T細胞など)と会合している抗GPC3コンストラクトを含む組成物と、b)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、当該組成物を個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、会合は、抗GPC3コンストラクトを細胞の表面上の分子と複合体化させることによる。いくつかの実施形態では、会合は、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3 CAR、抗GPC3 caTCR)の一部を細胞の外膜に挿入することによる。
いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3 scFv、完全長抗GPC3抗体、多重特異性抗GPC3分子(二重特異性抗GPC3抗体など)、抗GPC3 CAR、抗GPC3 caTCR、又は抗GPC3免疫複合体など)又はこれらのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)と、b)核酸(又は核酸のセット)を発現させるための宿主細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞、CAR−T細胞、又はcaTCR−T細胞など)と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)と、b)i)宿主細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞、CAR−T細胞、又はcaTCR−T細胞など)において当該抗GPC3コンストラクトを発現させ、ii)当該抗GPC3コンストラクト又は当該抗GPC3コンストラクトを発現している宿主細胞を含む組成物を調製し、iii)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、当該抗GPC3コンストラクト又は当該抗GPC3コンストラクトを発現している宿主細胞を含む組成物を個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は個体に由来する。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)と、b)当該核酸(又は核酸のセット)を発現させるための宿主細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞、CAR−T細胞、又はcaTCR−T細胞など)と、c)i)当該宿主細胞において当該抗GPC3コンストラクトを発現させ、ii)当該抗GPC3コンストラクト又は当該抗GPC3コンストラクトを発現している宿主細胞を含む組成物を調製し、iii)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、当該抗GPC3コンストラクト又は当該抗GPC3コンストラクトを発現している宿主細胞を含む組成物を個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分の発現は、誘導性である。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)は、誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞(例えば、T細胞、CAR−T細胞、caTCR T細胞)における抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分の発現は、エフェクタ細胞(例えば、TCR、CAR、caTCR)上のシグナル伝達受容体を介したシグナル伝達の際に誘導可能である。例えば、いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)は、キットの説明書に従って、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)をCAR−T細胞に導入し、当該抗GPC3コンストラクト又は当該抗GPC3コンストラクトを発現している宿主細胞を含む組成物を、GPC3陽性疾患を有する個体に導入した際に、CAR−T細胞上のCARを介したシグナル伝達に応答する誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)は、キットの説明書に従って、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)をcaTCR−T細胞に導入し、当該抗GPC3コンストラクト又は当該抗GPC3コンストラクトを発現している宿主細胞を含む組成物を、GPC3陽性疾患を有する個体に導入した際に、caTCR−T細胞上のcaTCRを介したシグナル伝達に応答する誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)は、NFAT由来プロモータに動作可能に連結している。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータである。いくつかの実施形態では、抗GPC3コンストラクト(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)又はそのポリペプチド部分をコードしている核酸(又は核酸のセット)は、IL−2プロモータに動作可能に連結している。
いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 CARをコードしている核酸を含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 CARをコードしている核酸を含むベクターを含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3 CARをコードしている核酸を含むベクターと、b)i)個体由来のT細胞などのエフェクタ細胞に当該ベクターを導入し、ii)抗GPC3 CARエフェクタ細胞を含む組成物を調製し、iii)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3 CARエフェクタ細胞組成物を当該個体に投与するための説明書と、を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 CARをコードしている第1の核酸と、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている第2の核酸と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 CARをコードしている核酸を含む第1のベクターと、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を含む第2のベクターと、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 CARをコードしている第1の核酸と、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている第2の核酸と、を含むベクターを含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3 CARをコードしている核酸を含む第1のベクター及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を含む第2のベクターと、b)i)個体由来のT細胞などのエフェクタ細胞に当該ベクターを導入し、ii)抗GPC3 CARエフェクタ細胞及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を含む組成物を調製し、iii)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3 CARエフェクタ細胞及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子組成物を当該個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3 CARをコードしている第1の核酸及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている第2の核酸を含むベクターと、b)i)個体由来のT細胞などのエフェクタ細胞に当該ベクターを導入し、ii)抗GPC3 CARエフェクタ細胞及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を含む組成物を調製し、iii)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3 CARエフェクタ細胞及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子組成物を当該個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸は、誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、(例えば、GPC3陽性疾患環境における)抗GPC3−CARのシグナル伝達を介して誘導可能である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸は、NFAT由来プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータである。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸は、IL−2プロモータの制御下にある。
いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 caTCRをコードしている核酸を含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 caTCRをコードしている核酸を含むベクターを含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3 caTCRをコードしている核酸を含むベクターと、b)i)個体由来のT細胞などのエフェクタ細胞に当該ベクターを導入し、ii)抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞を含む組成物を調製し、iii)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞組成物を当該個体に投与するための説明書と、を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 caTCRをコードしている第1の核酸と、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている第2の核酸と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 caTCRをコードしている核酸を含む第1のベクターと、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を含む第2のベクターと、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗GPC3 caTCRをコードしている第1の核酸と、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている第2の核酸と、を含むベクターを含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3 caTCRをコードしている核酸を含む第1のベクター及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸を含む第2のベクターと、b)i)個体由来のT細胞などのエフェクタ細胞に当該ベクターを導入し、ii)抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を含む組成物を調製し、iii)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子組成物を当該個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、a)抗GPC3 caTCRをコードしている第1の核酸及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている第2の核酸を含むベクターと、b)i)個体由来のT細胞などのエフェクタ細胞に当該ベクターを導入し、ii)抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子を含む組成物を調製し、iii)HCCなどのGPC3陽性疾患の治療のために、抗GPC3 caTCRエフェクタ細胞及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子組成物を当該個体に投与するための説明書と、を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸は、誘導性プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)の発現は、(例えば、GPC3陽性疾患環境における)抗GPC3 caTCRのシグナル伝達を介して誘導可能である。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸は、NFAT由来プロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモータは、NFAT由来のミニマルプロモータである。いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗GPC3分子(例えば、抗GPC3×CD3タンデムジscFv T細胞エンゲージャ)をコードしている核酸は、IL−2プロモータの制御下にある。
本発明のキットは、好適なパッケージに入っている。好適なパッケージには、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性パッケージ(例えば、密閉Mylar又はプラスチック袋)などが挙げられるが、これらに限定されない。キットは、場合により、緩衝材及び解釈的情報など追加構成要素を提供してよい。したがって、本願はまた、バイアル(密閉バイアルなど)、ボトル、ジャー、可撓性パッケージなどを含む製品を提供する。
抗GPC3コンストラクト組成物の使用に関する説明書は、一般に、意図する治療のための投薬量、投与スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、大量容器(例えば、複数回用量パッケージ)又は亜単位用量であってよい。例えば、1週間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、又はそれ以上のいずれかなどの長期間にわたって個体の有効な治療を提供するために、本明細書に開示の抗GPC3コンストラクト(単離された抗GPC3コンストラクト、例えば、抗GPC3 scFv、完全長抗GPC3抗体、多重特異性抗GPC3分子(二重特異性抗GPC3抗体など)、抗GPC3 CAR、抗GPC3 caTCR、又は抗GPC3免疫複合体など)の十分な投薬量を含むキットが提供され得る。キットはまた、複数の単位用量の抗GPC3コンストラクト及び医薬組成物と、使用説明書とを含んでいてもよく、例えば、院内薬局及び調剤薬局など薬局で保管及び使用するのに十分な量でパッケージ化される。
当業者は、本発明の範囲及び趣旨内でいくつかの実施形態が可能であることを理解するであろう。次に、以下の非限定的な実施例を参照して、本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を更に説明するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
例示的な実施形態
実施形態1.細胞表面結合グリピカン3(GPC3)を特異的に認識する抗体部分を含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態2.当該抗体部分が、高い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、低い結合親和性で可溶性GPC3に結合する、実施形態1に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態3.当該抗GPC3コンストラクトの当該細胞表面結合GPC3に対するKdが、約0.1nM〜約2nMである、実施形態2に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態4.当該抗GPC3コンストラクトと当該細胞表面結合GPC3との間の結合に競合する可溶性GPC3のIC50が、約1μg/mL〜約100μg/mLである、実施形態2又は3に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態5.当該抗体部分が、低い結合親和性で細胞表面結合GPC3を特異的に認識し、高い結合親和性で可溶性GPC3に結合する、実施形態1に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態6.当該抗GPC3コンストラクトの当該細胞表面結合GPC3に対するKdが、約10nM〜約100nMである、実施形態5に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態7.当該抗GPC3コンストラクトと当該細胞表面結合GPC3との間の結合に競合する可溶性GPC3のIC50が、約0.01μg/mL〜約1μg/mLである、実施形態5又は6に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態8.当該細胞表面結合GPC3が、HepG2細胞で発現するGPC3である、実施形態3〜7のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態9.当該細胞表面結合GPC3が、配列番号460又は配列番号462のアミノ酸配列を含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態10.当該可溶性GPC3が、配列番号461又は配列番号463のアミノ酸配列を含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態11.当該抗体部分が、配列番号460のアミノ酸配列を含むヒトGPC3内のエピトープを特異的に認識する、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態12.当該抗体部分が、配列番号460のアミノ酸1〜560(配列番号461)内のエピトープを特異的に認識する、実施形態11に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態13.当該抗体部分が、配列番号460のアミノ酸25〜580(配列番号462)内のエピトープを特異的に認識する、実施形態11に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態14.当該抗体部分が、配列番号460のアミノ酸25〜560(配列番号463)内のエピトープを特異的に認識する、実施形態11又は12に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態15.当該抗体部分が、GPC3のN末端断片内のエピトープを特異的に認識する、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態16.当該抗体部分が、配列番号460のアミノ酸25〜358(配列番号464)内のエピトープを特異的に認識する、実施形態15に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態17.当該抗体部分が、GPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態18.当該抗体部分が、ヘパリン硫酸側鎖を欠いているGPC3のC末端断片内のエピトープを特異的に認識する、実施形態17に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態19.当該抗体部分が、GC33と競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合しない、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態20.当該抗体部分が、配列番号460のアミノ酸524〜565(配列番号536)内のエピトープには結合しない、実施形態19に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態21.当該抗体部分が、配列番号460のアミノ酸524〜565(配列番号536)を含む断片には結合しない、実施形態19又は20に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態22.当該GPC3が、HepG2、Hep3B、Huh7、JHH−7、及び293からなる群から選択される細胞の表面上で発現する、実施形態1〜21のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態23.当該GPC3が癌細胞の表面上で発現する、実施形態1〜22のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態24.当該癌細胞が肝臓癌細胞である、実施形態23に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態25.当該癌細胞が肝細胞癌(HCC)である、実施形態24に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態26.細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む単離された抗GPC3コンストラクトであって、当該抗体部分が、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含む重鎖相補性決定領域(HC−CDR)1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含む軽鎖相補性決定領域(LC−CDR)1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態27.当該抗体部分が、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、実施形態26に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態28.当該抗体部分が、i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列又は配列番号307〜337のいずれか1つに対して少なくとも約95%の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、ii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列又は配列番号358〜388のいずれか1つに対して少なくとも約95%の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む、実施形態26又は27に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態29.当該抗体部分が、i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態28に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態30.細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む単離された抗GPC3コンストラクトであって、当該抗体部分が、i)配列番号307〜337のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、ii)配列番号358〜388のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態31.細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む単離された抗GPC3コンストラクトであって、当該抗体部分が、i)配列番号1〜31のいずれか1つのアミノ酸配列、配列番号52〜82のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号103〜133のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号154〜184のいずれか1つのアミノ酸配列、配列番号205〜235のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号256〜286のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態32.GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む単離された抗GPC3コンストラクトであって、当該抗体部分が、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約3個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列又は最大約5個のアミノ酸置換を含むその変異型を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態33.当該抗体部分が、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR1、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR2、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むHC−CDR3を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR1、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR2、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むLC−CDR3を含むVLとを含む、実施形態32に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態34.当該抗体部分が、i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列又は配列番号338〜357のいずれか1つに対して少なくとも約95%の配列同一性を有するその変異型を含むVHと、ii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列又は配列番号389〜408のいずれか1つに対して少なくとも約95%の配列同一性を有するその変異型を含むVLとを含む、実施形態32又は33に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態35.当該抗体部分が、i)配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態34に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態36.GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む単離された抗GPC3コンストラクトであって、当該抗体部分が、配列番号338〜357のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHのHC−CDRと、配列番号389〜408のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLのLC−CDRとを含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態37.細胞表面結合GPC3を特異的に認識する抗体部分を含む単離された抗GPC3コンストラクトであって、当該抗体部分が、i)配列番号32〜51のいずれか1つのアミノ酸配列、配列番号83〜102のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号134〜153のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVHと、ii)配列番号185〜204のいずれか1つのアミノ酸配列、配列番号236〜255のいずれか1つのアミノ酸配列、及び配列番号287〜306のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLとを含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態38.実施形態1〜37のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクトと競合的にGPC3に特異的に結合する抗体部分を含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態39.実施形態1〜37のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクトと競合的に同じ又は実質的に同じGPC3エピトープに特異的に結合する抗体部分を含む、単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態40.当該GPC3を特異的に認識する抗体部分が、キメラである、ヒトである、部分的にヒト化されている、完全にヒト化されている、又は半合成である、実施形態1〜39のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態41.当該GPC3を特異的に認識する抗体部分が、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である、実施形態1〜40のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態42.当該GPC3を特異的に認識する抗体部分がscFvである、実施形態41に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態43.当該GPC3を特異的に認識する抗体部分がFab又はFab’である、実施形態41に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態44.当該GPC3を特異的に認識する抗体部分が、場合によりリンカーを介してFc断片に融合している、実施形態1〜43のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態45.当該Fc断片がIgG1 Fc断片である、実施形態44に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態46.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、完全長抗体である、実施形態1〜40及び44〜45のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態47.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、単一特異性である、実施形態1〜46のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態48.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、多重特異性である、実施形態1〜46のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態49.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、二重特異性である、実施形態48に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態50.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、単鎖ダイアボティ(scDb)、二重親和性リターゲティング(DART)抗体、F(ab’)2、二重可変ドメイン(DVD)抗体、ノブ・インツー・ホール(KiH)抗体、ドック・アンド・ロック(DNL)抗体、化学的に架橋された抗体、ヘテロ多量体抗体、又はヘテロコンジュゲート抗体である、実施形態48又は49に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態51.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、ペプチドリンカーによって連結された2つのscFvを含むタンデムscFvである、実施形態50に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態52.当該ペプチドリンカーが、TSGGGGS(配列番号474)のアミノ酸配列を含む、実施形態51に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態53.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、第2の抗原を特異的に認識する第2の抗体部分を更に含む、実施形態48〜52のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態54.当該第2の抗原が、T細胞の表面上における抗原である、実施形態53に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態55.当該第2の抗原が、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、CD40L、及びHVEMからなる群から選択される、実施形態54に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態56.当該第2の抗原がCD3εである、実施形態55に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態57.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、GPC3を特異的に認識するN末端scFvと、CD3εを特異的に認識するC末端scFvとを含むタンデムscFvである、実施形態56に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態58.当該第2の抗原が、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、又は好中球の表面上における抗原である、実施形態53に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態59.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、(a)当該抗体部分を含む細胞外ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含むキメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態1〜43のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態60.当該細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む、実施形態59に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態61.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、(a)当該抗体部分を含む細胞外ドメインと、(b)第1のTCR膜貫通ドメイン(TCR−TM)を含む第1のTCRドメイン(TCRD)及び第2のTCR−TMを含む第2のTCRDを含むT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含み、当該TCRMが、少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を促進する、キメラ抗体−T細胞受容体(TCR)コンストラクト(caTCR)である、実施形態1〜43のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態62.当該第1のTCR−TMが、第1の天然に生じるTCRの膜貫通ドメインのうちの1つに由来し、当該第2のTCR−TMが、当該第1の天然に生じるTCRの他の膜貫通ドメインに由来する、実施形態61に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態63.当該TCR−TMのうちの少なくとも1つが天然には生じない、実施形態61に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態64.当該TCRMが、当該第1の天然に生じるT細胞受容体膜貫通ドメインを含むTCRMと比べて、当該少なくとも1つのTCR会合シグナル伝達分子の動員を増強させる、実施形態63に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態65.当該第1の天然に生じるTCRがγ/δTCRである、実施形態62に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態66.当該第1の天然に生じるTCRがα/βTCRである、実施形態62に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態67.当該TCR会合シグナル伝達分子が、CD3δε、CD3γε、及びζζからなる群から選択される、実施形態61〜66のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態68.当該単離された抗GPC3コンストラクトが、当該抗体部分及びエフェクタ分子を含む免疫複合体である、実施形態1〜58のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態69.当該エフェクタ分子が、薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、及び核酸からなる群から選択される治療薬である、実施形態68に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態70.当該治療薬が薬物又は毒素である、実施形態69に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態71.当該エフェクタ分子が標識である、実施形態68に記載の単離された抗GPC3コンストラクト。
実施形態72.実施形態1〜71のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクトのポリペプチド構成要素をコードしている、単離された核酸。
実施形態73.実施形態72に記載の単離された核酸を含む、ベクター。
実施形態74.実施形態1〜71のいずれか1つに記載の抗GPC3コンストラクト、実施形態72に記載の単離された核酸、又は実施形態73に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
実施形態75.実施形態53〜67のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクトを発現する、エフェクタ細胞。
実施形態76.当該エフェクタ細胞がT細胞である、実施形態75に記載のエフェクタ細胞。
実施形態77.当該T細胞が、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、及びナチュラルキラーT細胞からなる群から選択される、実施形態76に記載のエフェクタ細胞。
実施形態78.当該抗GPC3コンストラクトの発現が、当該エフェクタ細胞の活性化によって誘導される、実施形態75〜77のいずれか1つに記載のエフェクタ細胞。
実施形態79.当該エフェクタ細胞が、キメラ抗体−T細胞受容体(TCR)コンストラクト(caTCR)を更に含む、実施形態75〜78のいずれか1つに記載のエフェクタ細胞。
実施形態80.実施形態1〜71のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト又は実施形態75〜79のいずれか1つに記載のエフェクタ細胞と、医薬的に許容される担体と、を含む医薬組成物。
実施形態81.実施形態1〜71のいずれか1つに記載の単離された抗GPC3コンストラクト、実施形態72に記載の単離された核酸、実施形態73に記載のベクター、実施形態74に記載の単離された宿主細胞、実施形態75〜79のいずれか1つに記載のエフェクタ細胞、又は実施形態80に記載の医薬組成物を含むキット。
実施形態82.サンプル中のGPC3を検出する方法であって、当該サンプルを、実施形態71に記載の単離された抗GPC3コンストラクトと接触させることと、標識の存在を検出することと、を含む、方法。
実施形態83.当該サンプルが、細胞表面結合GPC3を有する細胞を含む、実施形態82に記載の方法。
実施形態84.当該サンプルが可溶性GPC3を含む、実施形態83に記載の方法。
実施形態85.GPC3陽性疾患を有する個体を治療する方法であって、有効量の実施形態80に記載の医薬組成物を当該個体に投与することを含む、方法。
実施形態86.当該投与が静脈内又は腫瘍内の経路を介する、実施形態85に記載の方法。
実施形態87.当該投与が、第1の疾患部位に対して遠位の注入部位に行われる、実施形態85に記載の方法。
実施形態88.付加療法を当該個体に投与することを更に含む、実施形態85〜87のいずれか1つに記載の方法。
実施形態89.GPC3陽性疾患を有する個体を診断する方法であって、a)有効量の実施形態71に記載の単離された抗GPC3コンストラクトを当該個体に投与することと、b)当該個体における標識のレベルを決定することであって、閾値レベルを上回る当該標識のレベルが、当該個体が当該GPC3陽性疾患を有することを示す、決定することと、を含む、方法。
実施形態90.GPC3陽性疾患を有する個体を診断する方法であって、a)当該個体に由来するサンプルを、実施形態71に記載の単離された抗GPC3コンストラクトと接触させることと、b)当該サンプル中の当該単離された抗GPC3コンストラクトに結合している細胞の数を決定することであって、閾値レベルを上回る、当該単離された抗GPC3コンストラクトに結合している細胞の数の値が、当該個体が当該GPC3陽性疾患を有することを示す、決定することと、を含む、方法。
実施形態91.当該GPC3陽性疾患が癌である、実施形態85〜90のいずれか1つに記載の方法。
実施形態92.当該癌が、HCC、黒色腫、肺扁平上皮細胞癌、卵巣癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、精巣非セミノーマ胚細胞腫瘍、胃癌、及び脂肪肉腫からなる群から選択される、実施形態91に記載の方法。
実施形態93.当該癌がHCCである、実施形態92に記載の方法。
実施形態94.当該癌が転移性HCCである、実施形態93に記載の方法。
実施形態95.単離された抗GPC3コンストラクトを生成する方法であって、(a)当該抗GPC3コンストラクトを発現するのに有効な条件下で、実施形態72に記載の単離された核酸、又は実施形態73に記載のベクター、又は実施形態74に記載の単離された宿主細胞を含む宿主細胞を培養することと、(b)発現した抗GPC3コンストラクトを当該宿主細胞から得ることと、を含む、方法。
実施形態96.工程(a)が、当該単離された核酸又は当該ベクターを含む宿主細胞を生成することを更に含む、実施形態95に記載の方法。
材料及び方法
細胞株HepG2及びSK−Hep1は、American Type Culture Collectionから入手した。HepG2は、ヒト肝細胞癌細胞株(ATCC HB−8065)である。SK−Hep1は、肝内皮腺癌細胞株(ATCC HTB−52)である。細胞株を、37℃/5%CO2で10%FBSを添加したRPMI 1640又はDMEM中で培養した。
FITC標識抗His抗体は、本明細書に記載の二重特異性抗GPC3 T細胞エンゲージャ抗体を検出するために、Thermo Fisher Scientific(カタログMA1−81891)から購入し、これはC末端に6×Hisタグを有している。
GC33は、アミノ酸524〜565からなるヒトC末端GPC3断片で免疫されたマウス由来のモノクローナル抗体である(Ishiguro et al.,Cancer Res 2008;68:9832−9838)。図7Bで使用したGC33抗体は、Roche Diagnostics(カタログ790−4564)から購入した。
組み換えヒトGPC3断片の生成
組み換えヒトGPC3(560)タンパク質は、GPIアンカー部位を欠いているヒトGPC3の細胞外ドメインを含み、更にそのC末端で6×Hisタグに融合している、完全長ヒトGPC3前駆体タンパク質のアミノ酸1〜560(配列番号461)を含む。組み換えヒトGPC3(560)タンパク質は、レンチウイルスベクターpCDH EF1−MCS(System Biosciences)から発現させた。
ビオチン化GPC3(560)(bt−GPC3(560))は、標準的なプロトコル(Altman,J.D.& Davis,M.M.,Current Protocols in Immunology 17.3.1−17.3.33,2003)に従って調製した。簡潔に述べると、BirA基質ペプチド(BSP)をコードしているDNAを、組み換えヒトGPC3(560)タンパク質(配列番号461)のC末端にライゲーションし、ベクターpET−27bにクローニングし、大腸菌BL21細胞に形質転換し、次いで、細菌培養物から封入体として単離した。GPC3(560)−BSPタンパク質を、限外濾過によって濃縮し、サイズ排除クロマトグラフィによって更に精製した。次いで、GPC3(560)−BSPペプチドを、BirA媒介性酵素反応を介してビオチン化し、続いて、高分解能アニオン交換クロマトグラフィによって精製した。
GPC3−51mer断片は、完全長ヒトGPC3前駆体タンパク質のアミノ酸510〜560(配列番号467)を表し、このペプチド及び当該ペプチドのビオチン化形態は、Elim Biopharmaceuticalsによって合成された。
SK−Hep1−GPC3細胞の生成
GPC3タンパク質を過剰発現するSK−Hep1細胞は、レンチウイルスベクター(pCDH EF1−MCS、System Biosciences)上に担持された完全長ヒトGPC3(配列番号460)を使用してEureka Therapeuticsによって作製され、本明細書では「SK−Hep1−GPC3」と称される。
HepG2 GPC3ノックアウト(HepG2−GPC3−KO)細胞の生成
HepG2 GPC3ノックアウト細胞株HepG2−GPC3−KO−2、KO−3、及びKO−11は、記載のとおり(lentiCRISPR−V2,OriGene;Sanjana et al.,Nat Methods.2014;11:783−784)市販のCRISPR−Cas9ベクターを使用して生成した。GPC3特異的ガイドRNA(gRNA)配列を、lentiCRISPR−V2主鎖にクローニングし、ベクターを使用してStb13細菌を形質転換した。陽性クローンの配列を決定し、HEK 293FT細胞にトランスフェクトして、GPC3−CRISPRレンチウイルスを作製した。HepG2細胞に感染させ、選択下で2週間培養し、FACS分析によってGPC3発現について測定した。
FACS分析
FACSは、GPC3のC末端部に結合する市販のマウス抗ヒトGPC3抗体(1G12、Santa Cruz Biotech sc−65443)を使用して行った。50μLのIG12抗体をPBS+5% FBS中で50、100、及び200倍希釈し、GPC3+HepG2細胞と共に4℃で1時間インキュベートした。細胞をPBS中で洗浄し、PEコンジュゲートマウス抗IgG二次抗体(Vector Labs#EI−2007)を、5% FBSを含むPBSで1:200希釈して添加し、暗所で4℃にて更に30分間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、固定した。
FACS分析結果を図8に要約する。生成された13個のHepG2−GPC3−KO細胞株全てが、抗hGPC3抗体(1G12)結合について陰性であり、これによって、HepG2細胞においてGPC3発現のノックアウトに成功したことが実証された。配列決定分析により、HepG2−GPC3−KO細胞株KO#2、KO#3、及びKO#11がGPC3陰性であったことを更に確認した。13個のHepG2−GPC3−KO細胞株のうち、HepG2−GPC3−KO−2、HepG2−GPC3−KO−3、及びHepG2−GPC3−KO−11細胞株を更なる研究のために使用した。
ファージディスプレイライブラリのパニング
Eureka Therapeutics E−ALPHA(商標)ファージライブラリ(ヒトscFvファージライブラリ)を、GPC3反応性ファージクローンのパニングによってスクリーニングした。以下の試薬:マウス抗M13 mAb(Thermo Fisher Scientific(#MA1−12900)、PE抗マウスIgG(Vector Labs(#EI−2007)、及び固定緩衝液(Biolegend#420801)を用いて、ファージクローンの単離及びFACS分析を実施した。対照マウス抗GPC3抗体(クローン1G12)は、Santa Cruz Biotech(#SC−65443)から購入した。
ELISAパニング
ストレプトアビジンでコーティングされ、ビオチン化GPC3ペプチド標的(bt−GPC3(560)又はbt−GPC3−51mer)でブロッキング及びコーティングされた96ウェルプレートにおいてELISAパニングを実施し、次いで、ファージライブラリ(ファージカプシド上で発現したヒトscFvを含む)と共にインキュベートした。未結合のファージを洗い流した後、結合したファージを溶出し、増幅し、数ラウンドの選択の過程で再パニングした。次いで、ELISAパニングされたクローンを、GPC3を発現しているHepG2細胞への結合についてスクリーニングした。
ビーズパニング
ストレプトアビジン及びbt−GPC3−51merペプチドでコーティングされたDYNABEADS(登録商標)で、ビーズパニングを実施した。インキュベーションのためにファージライブラリを添加した。未結合のファージを洗い流した後、ビーズに結合しているファージをトリプシンで溶出し、数ラウンドのビーズ−GPC3−51merインキュベート、洗浄、及び溶出を行った。陽性ファージクローンを、GPC3+HepG2細胞及びGPC3−HepG2−GPC3−KO細胞への結合について更に試験した。
細胞パニング
懸濁液中でGPC3を発現しているSK−Hep1−GPC3細胞と共にファージクローンをインキュベートすることによって、細胞パニングを実施した。未結合のファージを洗浄によって除去した。結合したファージを有する細胞を、マウス抗M13抗体、続いて、PEコンジュゲート抗マウス二次抗体と共にインキュベートし、次いで、フローサイトメトリーによって確認した。SK−Hep1−GPC3細胞に対して選択されたファージクローンを、GPC3+HepG2細胞及びGPC3−HepG2−GPC3−KO細胞に対して更にスクリーニングした。
実施例1.ヒトGPC3に特異的なヒト抗体コンストラクトの生成及び選択
この実施例は、ヒトGPC3(hGPC3)に特異的なヒト抗体コンストラクトの生成を示す。具体的には、この実施例は、ネイティブフォーマットのヒトGPC3(細胞表面結合GPC3)に特異的に結合するヒトscFvの生成を示す。正常ドナー及び/又は自己免疫疾患ドナーから生成されたナイーブ又は半合成のヒト抗体ライブラリを使用して、本明細書に記載のヒト抗体コンストラクトを開発し、そのネイティブな立体構造の細胞表面結合ヒトGPC3に対するパニングを介して、ヒトGPC3に対する高い特異性に基づいて選択した。したがって、これらのヒト抗GPC3抗体コンストラクト(例えば、抗GPC3 scFv)は、例えば、完全長IgG、多重特異性抗GPC3抗体分子、抗GPC3 CAR、又は抗GPC3 caTCRを構築するための抗体構成要素の有用な供給源を提供する。
抗ヒトGPC3コンストラクトを開発するための例示的な概略を表3に示す。このプロセスは、Eureka Therapeutics E−ALPHA(商標)ファージライブラリからのヒトGPC3特異的及び生物活性抗体コンストラクトの同定で始めた。
Eureka Therapeuticsで構築されたヒトscFv抗体ファージディスプレイライブラリのコレクション(多様性=10×1010)(商標E−ALPHA(商標)ファージライブラリ)を、ヒトGPC3に特異的なヒト抗体コンストラクト(例えば、scFv)の選択に使用した。E−ALPHA(商標)ファージライブラリは、完全にナイーブなヒト重鎖及び軽鎖レパートリーを含むナイーブライブラリ、並びに完全にナイーブなヒト軽鎖レパートリー及び完全にランダム化された重鎖CDR3領域を有する半合成重鎖を含む半合成ライブラリを含んでいた。健常ドナーのPBMC及び脾臓から、又は自己免疫疾患(全身性紅斑性狼瘡及び関節リウマチなど)ドナーのPBMCから、ナイーブ抗体レパートリーをクローニングした。
細胞表面結合GPC3(GPC3A)に対するパニングストラテジー及びファージライブラリスクリーニング
GPC3+細胞に対するパニング
E−ALPHA(商標)scFvファージライブラリを、組み換えGPC3を発現しているSK−Hep1細胞(SK−Hep1−GPC3)とのコインキュベーションによってヒトGPC3に対してスクリーニング(パニング)し、次いで、いずれもフローサイトメトリー(方法の項を参照されたい)を用いて、GPC3+HepG2細胞への結合によって確認した。20万個のSK−Hep1−GPC3細胞を、ファージライブラリ(約1×107pfu)と共に4℃で1時間コインキュベートした。細胞/ファージ混合物をPBST中で洗浄し、マウス抗M13抗体と共に4℃で1時間インキュベートし、PBST中で再度洗浄し、次いで、PEコンジュゲート抗マウスIgGと共に暗所で4℃にて30分間インキュベートし、FACS分析に供した。
最初のSK−Hep1−GPC3スクリーニングから得られた36個の陽性クローンを、同じ手順を用いて、GPC3+HepG2細胞株に対する細胞表面hGPC3結合について更に検証した。33個のファージクローンは、FACS分析を使用して、GPC3+HepG2細胞に対する特異的結合(表4)を示した。FACSは、方法の項に記載のとおり実施した。簡潔に述べると、市販のマウス抗ヒトGPC3抗体(1G12、Santa Cruz Biotech sc−65443)を希釈し、4℃で1時間、GPC3+HepG2細胞と共にインキュベートした。細胞をPBS中で洗浄し、PEコンジュゲートマウス抗IgG二次抗体(Vector Labs#EI−2007)を添加し、暗所で4℃にて更に30分間インキュベートした。次いで、細胞をPBSで洗浄し、固定した。14個の例示的なGPC3+HepG2結合クローンのFACS分析を図1A〜図1Gに示し、これによって、強力な細胞表面結合GPC3結合が実証された。また、GPC3+HepG2細胞とのインキュベーションにヘルパーファージも使用し、対照とした。
GPC3Aスクリーニングから得られたファージクローンを、Eureka Therapeuticsによって作製されたGPC3ノックアウト細胞株HepG2−GPC3−KO−2及びHepG2−GPC3−KO−3への結合について更に試験した(方法の項における「HepG2 GPC3ノックアウト(HepG2−GPC3−KO)細胞の生成」を参照されたい)。GPC3+HepG2細胞株への結合によって同定された33個のクローンのうち、5個のクローン(GPC3A−34、37、38、58、及び62)は、HepG2−GPC3−KO細胞株(HepG2−GPC3−KO−2及びHepG2−GPC3−KO−3)に対する結合をほとんど又は全く示さず、これによって、GPC3陽性細胞結合についての高い特異性が実証された。FACS分析を図2A〜図2Fに例示する:GPC3A−39(図2A)、GPC3A−46(図2B)、GPC3A−56(図2C)、及びGPC3A−64(図2E)は、GPC3+HepG2細胞株への顕著な結合を示し、HepG2−GPC3−KO細胞株へは比較的低レベルの結合しか示さなかった。一方、GPC3A−58(図2D)は、GPC3+HepG2細胞株に対して高レベルの結合を示し、HepG2−GPC3−KO細胞株にはほとんど結合を示さなかった。いくつかのクローンは、GPC3+HepG2及びHepG2−GPC3−KO細胞株の両方に対して高レベルの結合を示した(データは示さず)。
GPC3Aファージクローンの可溶性GPC3への結合を、ELISAによって試験した。3つの形態の可溶性ビオチン化GPC3タンパク質(GPC3
(560)、R&D Systems GPC3タンパク質[カタログ2119−GP−0505]、及びGPC3−51mer)を使用して、記載のとおり(方法の項を参照されたい)96ウェルELISAプレートをコーティングした。全てのクローンが、GPC3
(560)及びGPC3(R&D Systems)に結合することができ、クローンGPC3A−37、−42、−43、及び−47は、GPC3
(560)に対して最も少ない結合を示し、GPC3−51merに対する結合は示さなかった(データは示さず)。
51mer GPC3断片(GPC3B)を使用するパニングストラテジー及びファージライブラリスクリーニング
他方、ビオチン化C末端51mer hGPC3断片(bt−GPC3−51mer、方法の項を参照されたい)を使用して、3種類のファージライブラリパニングを実施した。このスクリーニングストラテジーをGPC3Bと命名し、表4に概説した。
プレートパニング
PBS中2μg/mLの体積100μLのビオチン化GPC3−51mer断片(方法の項を参照されたい)を使用してプレートパニングスクリーニングを実施し、ストレプトアビジンでコーティングした96ウェルELISAプレートに添加して、4℃で一晩インキュベートした。室温で2時間、PBS中5%脱脂粉乳(NFDM)でプレートをブロッキングした。更に2回洗浄した後、100μLのファージライブラリ(2×1012pfu/mLの力価を有する)を個々のウェルに添加した。138個のファージクローンを試験した。プレートを4℃で2時間インキュベートし、PBSTBで6回洗浄した。室温で10分間、トリプシン(1mg/mLで100μL)によってウェルを溶出した。溶出したファージを標準的な方法に従って回収した。hGPC3−51mer断片に対する特異的ファージ結合を濃縮するために、3ラウンドのプレートパニングを実施した。このスクリーニングを使用して、138個の単離されたファージクローンのうち99個はELISAによって陽性であり、53個の固有のクローンが同定された。
プレート+細胞パニング
サブトラクションパニングについてはSK−Hep1細胞株及びポジティブパニングについてはSK−Hep1−GPC3細胞株を使用して、138個の単離されたファージクローンに対して2ラウンドのプレートパニング、続いて、1ラウンドの細胞パニングの第2のパニングスクリーニングを実施した。3ラウンド目の細胞パニングでは、室温で2時間コインキュベートすることによって、約4×107個のSK−Hep1細胞を各ファージライブラリのサブトラクションパニングに使用した。同様に4℃で2時間コインキュベートすることによって、約1×107個のSK−Hep1−GPC3細胞を各ファージライブラリのポジティブパニングに使用した。細胞/ファージ混合物をPBS中10% FBSで4回洗浄し、PBSのみで2回洗浄した。室温で10分間、特異的に結合したファージをトリプシン(1mg/mLで1mL)で溶出した。溶出したファージを、標準的な技術を用いてレスキューした。このパニング方法を使用して、138個のクローンのうち更に14個の固有のクローンを単離した。
ビーズパニング
追加の92個の単離されたファージクローンについて、ビーズパニングスクリーニングもまた実施した。50μLのDYNABEADS(登録商標)をPBST中で2回洗浄し、500μLのファージライブラリ(2×1012pfu/mLの力価を有する)に再懸濁させた。ファージ/ビーズ混合物を室温で2時間インキュベートして、ストレプトアビジンに対して非特異的結合を示すファージを枯渇させた。同じ洗浄手順を使用して、別に50μLのDYNABEADS(登録商標)を調製し、2.5% PBSM中2.4μg/mLのbt−GPC3−51mer断片溶液500μLに再懸濁させ、室温で15分間インキュベートし、次いで、2回洗浄した。ファージライブラリを吸引し、bt−GPC3−51mer断片/ビーズ混合物と混合し、次いで、4℃で2時間インキュベートし、PBSMで5〜10回洗浄した。室温で10分間、トリプシン(1mg/mLで400μL)を使用して結合したファージを溶出させ、標準的な技術を用いてレスキューした。hGPC3−51mer断片に対するGPC3特異的ファージ結合を濃縮するために、3ラウンドのビーズパニングを実施した。ビーズパニング法を使用して、更に62個の固有のクローンを単離した。
GPC3Bスクリーニングから同定された全てのこれら129個の固有のクローンのうち20個を、フローサイトメトリーを使用して、GPC3+HepG2細胞に結合する能力について試験した。陽性細胞パニングについては、20万個のGPC3+HepG2細胞をPBS中5% FBS及び0.05% NaN3 50μLに懸濁させた。サブトラクションパニングについては、20万個のHepG2−GPC3ノックアウト細胞(HepG2−GPC3−KO−2)をPBS中5% FBS及び0.05%NaN3 50μLに懸濁させた。GPC3Bファージ及び陰性対照ファージ(ヘルパーファージ)をPBS中約1.0×1011pfu/mLで添加し、4℃で1時間インキュベートした。混合物をPBST中で洗浄し、5% FBS(PBS中)及び0.05% NaN3中体積100μLのマウス抗M13抗体の200倍希釈物(方法の項を参照されたい)を添加し、4℃で更に1時間インキュベートした。混合物をPBS中で再度洗浄し、PBS中5%FBS及び0.05% NaN3 100μL中の200倍希釈した二次PE抗マウスIgG抗体を添加し、4℃で更に1時間暗所でインキュベートした。混合物をPBS中で2回洗浄し、体積150μLの3倍希釈した固定緩衝液で固定した。試験した20個クローンのうち、いずれもHepG2−GPC3−KO−2細胞への結合を示さなかった。図3A〜図3Dに例示されるように、GPC3Bファージクローン#81、#87、及び#115は、GPC3+HepG2細胞への強い結合を示し、一方、GPC3B−80クローンは弱い結合を示したが、これらのうちのいずれも、HepG2−GPC3−KO−2細胞への結合は全く示さなかった。
GPC3Bスクリーニングから得られたこれら20個のクローンを、ELISAアッセイ(方法の項を参照されたい)を用いて可溶性ビオチン化GPC3(560)及びGPC3−51merへの結合について更に試験した。20個のクローンのうちの16個は、bt−GPC3−51merへの強い結合を示し、可溶性bt−GPC3(560)へは更に強い結合を示した。3個のクローンは、bt−GPC3−51merへの強い結合を示したが、可溶性bt−GPC3(560)への結合は示さなかった。1個のクローンは、いずれの可溶性タンパク質にも結合できなかった(データは示さず)。
実施例2.抗GPC3二重特異性抗体コンストラクト
ヒト抗GPC3抗体を使用した二重特異性抗体コンストラクトの生成
この実施例は、ヒトGPC3に特異的なヒトscFv断片を使用した多重特異性抗GPC3分子の構築を示す。具体的には、この実施例は、ネイティブフォーマット(細胞表面で発現)のヒトGPC3に結合する第1の抗体部分(例えば、scFv)と、T細胞上のCD3に結合する第2の抗体部分(例えば、scFv)とを有する二重特異性抗体の構築を示す。ヒトGPC3を発現する標的細胞を殺傷するようにT細胞をダイレクトするために、本明細書に記載のこれらの多重特異性抗GPC3分子(例えば、タンデムジscFv抗GPC3 T細胞エンゲージャ)を使用することができる。
(GPC3A及びGPC3Bスクリーニングの両方からの)特異的細胞表面GPC3結合は示すが、GPC3−KO細胞結合はほとんど又は全く示さないヒトGPC3特異的ファージクローンのscFv配列を使用して、二重特異性抗体(「L2K」と称される)を生成した。N末端にヒトGPC3特異的ファージクローンのVL−VHscFv配列、そして、C末端に抗ヒトCD3εマウスモノクローナルscFv(抗GPC3×CD3ジ−scFv;例えば、Brischwein,K.et al.,Mol.Immunol.43:1129−1143,2006を参照されたい)を含む単鎖フォーマットを用いて、二重特異性抗体を構築した。GPC3A−34、GPC3B−87、GPC3A−37、GPC3A−45、GPC3A−46、GPC3A−55、及びGPC3A−58抗体クローン由来の例示的な抗GPC3×CD3ジ−scFv抗体は、それぞれ配列番号488、489、及び511〜515のアミノ酸配列を含む。
抗ヒトGPC3 scFv及び抗ヒトCD3ε scFvをコードしているDNA断片を、Genewiz又はGenscriptによって合成し、標準的な組み換えDNA技術を用いて哺乳類発現ベクターpQD−T(Eureka Therapeutics,Inc.)にサブクローニングした。精製及び検出のために、ヘキサヒスチジンタグをC末端に挿入した。HEK293細胞を二重特異性抗体発現ベクターでトランスフェクトし、二重特異性抗GPC3抗体生成のために7日間培養した。FPLC AKTAシステムによるHisTrap HPカラム(GE healthcare)又は細胞培養体積に基づくHis GraviTrapカラム(GE healthcare)を使用して、HEK293細胞上清から二重特異性抗体を精製した。HEK293細胞培養上清を清澄化し、低イミダゾール濃度(20mM)でカラムに装填し、次いで、定組成高イミダゾール濃度溶出緩衝液(500mM)を使用して、結合している二重特異性抗GPC3抗体を溶出した。精製されたヒトGPC3二重特異性抗体の分子量を、ゲル電気泳動によって非還元条件下で測定した。二重特異性抗GPC3抗体(抗GPC3 scFv−抗CD3 scFv)に対応するバンド(約98kD)が、ゲル上の主な種として観察された(データは示さず)。
まとめると、この実施例は、細胞表面上で発現したヒトGPC3(すなわち、ネイティブフォーマット)に特異的な第1の抗体部分と、CD3に特異的な第2の抗体部分とを有する二重特異性抗GPC3分子の構築の成功を示す。このような二重特異性分子の更なる特性評価について以下に記載する。二重特異性抗GPC3抗体の生成及び更なる特性評価のために、GPC3Aスクリーニングから20個の固有のクローン及びGPC3Bスクリーンから14個の固有のクローンを選択した(表4)。
ヒト肝細胞癌細胞株に結合する抗GPC3二重特異性抗体(GPC3A L2K)
GPC3を発現しているHCC細胞株を、2回の実験で、ヒトGPC3+HepG2細胞、GPC3陰性SK−Hep1細胞、及びSK−Hep1−GPC3(GPC3過剰発現)細胞を使用して、フローサイトメトリーによって抗GPC3二重特異性抗体結合について試験した。
精製及び検出のためにC末端に挿入されたヘキサヒスチジンタグを有する抗ヒトCD3εscFvと非GPC3結合scFvを融合させることによって、上記と同様に対照−L2K二重特異性抗体を生成した。この対照−L2K抗体を陰性GPC3結合対照として使用した。
GPC3A L2K二重特異性抗体又は対照−L2K二重特異性抗体を、GPC3陰性SK−Hep1細胞及び(別々に)SK−Hep1−GPC3細胞と共に、4℃で1時間、PBS中5% FBS及び0.05% NaN3中最終濃度5μg/mLでインキュベートした。次いで、細胞をPBSで1回洗浄した。APCコンジュゲート抗Hisタグマウス抗体(R&D Systems)を、PBS中5%FBS及び0.05% NAN3で20倍希釈し、体積100μLで洗浄した細胞に添加し、暗所で4℃にて1時間インキュベートした。次いで、細胞をPBSで2回洗浄した。150μLの体積のPBS中固定緩衝液(BioLegend)の3倍希釈物で細胞を固定した。図4A及び図4Bに示されるように、GPC3A L2K二重特異性抗体は、GPC3陰性SKSK Hep1細胞に結合できず、GPC3過剰発現SK−Hep1−GPC3細胞には良好に結合した。
GPC3A L2K二重特異性抗体又は対照−L2K二重特異性抗体を、GPC3+ HepG2細胞と共に、4℃で1時間、PBS中5% FBS及び0.05% NaN3中最終濃度5μg/mLでインキュベートし、次いで、PBSで1回洗浄した。APCコンジュゲート抗Hisタグマウス抗体(R&D Systems)を、PBS中5% FBS及び0.05% NaN3で20倍希釈し、体積100μLで添加し、暗所で4℃にて1時間インキュベートし、次いで、PBSで2回洗浄した。150μLの体積のPBS中固定緩衝液(BioLegend)の3倍希釈物で細胞を固定した。図5A〜図5Bは、対照−L2K抗体とGPC3+HepG2細胞との間の結合と比べたとき、GPC3+HepG2細胞に対するGPC3A L2K二重特異性抗体の顕著な結合を示す。
ヒト肝細胞癌細胞株に結合する抗GPC3二重特異性抗体(GPC3B L2K)
Bスクリーニングに由来する抗GPC3×CD3ジ−scFv抗体(GPC3B L2K二重特異性抗体)を、2回の実験で、ヒトGPC3+HepG2細胞、HepG2−GPC3−KO細胞、GPC3陰性SK−Hep1細胞、及びSK−Hep1−GPC3(GPC3過剰発現)細胞を使用して、フローサイトメトリーによって同様に試験する。
GPC3B L2K二重特異性抗体又は対照−L2K二重特異性抗体を、GPC3陰性SK−Hep1細胞及び(別々に)SK−Hep1−GPC3細胞と共に、4℃で1時間、PBS中5% FBS及び0.05% NaN3中最終濃度5μg/mLでインキュベートする。次いで、細胞をPBSで1回洗浄する。APCコンジュゲート抗Hisタグマウス抗体(R&D Systems)を、PBS中5% FBS及び0.05% NaN3で20倍希釈し、体積100μLで洗浄した細胞に添加し、暗所で4℃にて1時間インキュベートする。次いで、細胞をPBSで2回洗浄する。150μLの体積のPBS中固定緩衝液(BioLegend)の3倍希釈物で細胞を固定する。GPC3B L2K二重特異性抗体のGPC3陰性SK−Hep1細胞及びGPC3過剰発現SK−Hep1−GPC3細胞への結合を比較するために、FACS分析を実施する。細胞表面結合ヒトGPC3特異性を示すGPC3B L2K二重特異性抗体は、SK−Hep1−GPC3細胞に対して顕著な結合を示し、GPC3陰性SK−Hep1細胞に対してはほとんど又は全く結合を示さないと予想される。
また、GPC3B L2K二重特異性抗体及び対照L2K二重特異性抗体を、GPC3+HepG2細胞への結合について試験する。2セットの抗体を、GPC3+ HepG2細胞と共に、4℃で1時間、PBS中5%FBS及び0.05% NaN3中最終濃度5μg/mLでインキュベートし、次いで、PBSで1回洗浄した。APCコンジュゲート抗Hisタグマウス抗体(R&D Systems)を、PBS中5%FBS及び0.05% NaN3で20倍希釈し、体積100μLで添加し、暗所で4℃にて1時間インキュベートし、次いで、PBSで2回洗浄する。150μLの体積のPBS中固定緩衝液(BioLegend)の3倍希釈物で細胞を固定する。GPC3B L2K二重特異性抗体及び対照L2K二重特異性抗体のGPC3+Hep2細胞への結合を比較するために、FACS分析を実施する。細胞表面結合ヒトGPC3特異性を示すGPC3B L2K二重特異性抗体は、GPC3+HepG2細胞に対して顕著な結合を示すと予測され、一方、対照L2K二重特異性抗体については、これら細胞に対する結合ははほとんど又は全くみられないと予想される。
また、GPC3B L2K二重特異性抗体及び対照−L2K二重特異性抗体を、HepG2−GPC3−KO細胞と共に、4℃で1時間、PBS中5% FBS及び0.05% NaN3中最終濃度5μg/mLでインキュベートする。次いで、細胞をPBSで1回洗浄する。APCコンジュゲート抗Hisタグマウス抗体(R&D Systems)を、PBS中5% FBS及び0.05% NAN3で20倍希釈し、体積100μLで洗浄した細胞に添加し、暗所で4℃にて1時間インキュベートする。次いで、細胞をPBSで2回洗浄する。150μLの体積のPBS中固定緩衝液(BioLegend)の3倍希釈物で細胞を固定する。GPC3B L2K二重特異性抗体及び対照IgG1アイソタイプ抗体のHepG2−GPC3−KO細胞への結合を比較するために、FACS分析を実施する。細胞表面結合ヒトGPC3特異性を示すGPC3B L2K二重特異性抗体は、IgG1アイソタイプ対照抗体と同様に、HepG2−GPC3−KO細胞に対する結合をほとんど又は全く示されないと予想される。
実施例3.ヒトGPC3二重特異性抗体の特性評価
ヒト肝細胞株への結合についての可溶性GPC3との競合
組み換えビオチン化GPC3(560)タンパク質を使用する競合結合アッセイ(IC50)において、細胞表面結合GPC3に対する抗体を、GPC3+HepG2細胞に結合する能力について試験した(方法の項を参照されたい)。抗GPC3 L2K抗体(GPC3Aスクリーニング由来)又は対照L2K二重特異性抗体を、様々な濃度の可溶性bt−GPC3(560)タンパク質とプレミックスし、4℃で1時間インキュベートした。次いで、HepG2細胞を添加し、混合物を4℃で更に1時間インキュベートした。APCコンジュゲート抗Hisタグ抗体(R&D Systems、#IC050A)を20倍希釈で添加して、L2K抗体結合を検出した(L2K抗体は、C末端Hisタグを保有している)。また、ストレプトアビジン−PE(Vector Labs EI−2007)を200倍希釈で添加し、暗所で4℃にて30分間インキュベートして、可溶性bt−GPC3(560)タンパク質をモニタリングした。マウス抗GPC3抗体陽性対照(1G12、Santa Cruz#sc−65443)を、PEコンジュゲート抗マウスIgG(H+L)を使用して、同じ条件下で、可溶性bt−GPC3(560)タンパク質の有り無しで処理した。表5は、試験した6つのGPC3A L2K抗体のIC50値を示す。全てのGPC3 L2Kが、抗GPC3陽性対照抗体(1G12)よりもはるかに高いIC50値を示し、GPC3A−37及びGPC3A−46が最高値を示した、すなわち、可溶性GPC3の存在による影響が最小であった。図6から分かるように、全てのGPC3A L2K二重特異性抗体の中央蛍光強度(MFI)は、対照−L2K二重特異性抗体及び抗GPC3陽性対照抗体(1G12)の両方よりも、HepG2細胞上に存在するGPC3に対して顕著に強い結合を示した。更に、大部分のGPC3A L2K二重特異性抗体は、GPC3A−37及びGPC3A−46クローンなど、競合アッセイにおいて可溶性bt−GPC3(560)タンパク質よりも細胞表面結合GPC3に対してはるかに高い特異性を示した。
同様に、上記のように組み換えビオチン化GPC3(560)タンパク質を使用する競合結合アッセイ(IC50)において、クローンGPC3B−87 L2KをGPC3+HepG2細胞に結合する能力について試験した。GC33 L2K(L2Kに変換されたGC33抗体)及び抗CD19 L2Kを対照として使用した。簡潔に述べると、GPC3B−87 L2K二重特異性抗体又は対照−L2K二重特異性抗体を、様々な濃度の可溶性bt−GPC3(560)タンパク質とプレミックスし、4℃で1時間インキュベートした。HepG2細胞を添加し、混合物を4℃で更に1時間インキュベートした。次いで、APCコンジュゲート抗Hisタグ抗体(R&D Systems、#IC050A)を20倍希釈で添加して、L2K抗体結合を検出した(L2K抗体はC末端Hisタグを保有している)。ストレプトアビジン−PE(Vector Labs EI−2007)を200倍希釈で添加し、暗所で4℃にて30分間インキュベートして、可溶性bt−GPC3(560)タンパク質をモニタリングした。マウス抗GPC3抗体陽性対照(1G12、Santa Cruz#sc−65443)を、PEコンジュゲート抗マウスIgG(H+L)を使用して、同じ条件下で、可溶性bt−GPC3(560)タンパク質の有り無しで処理した。FACS分析を実施した。
図10及び表12に示すように、GPC3B−87 L2K(IC
50 0.12μg/mL)及びGC33 L2K(IC
50 0.86μg/mL)はいずれも、試験したGPC3A L2Kよりもはるかに低いIC
50を示した(1.2〜4.6μg/mLのIC
50)。このことは、GPC3B−87 L2K及びGC33 L2Kの細胞表面GPC3への結合が、GPC3A L2Kの細胞表面GPC3への結合よりも、可溶性GPC3によってより容易に競合除去(competed off)され得ることを示唆している。
GPC3A及びGPC3B L2KクローンのHepG2細胞に対する結合親和性
GPC3を発現しているHCC細胞株を、ヒトGPC3+HepG2細胞を使用して、フローサイトメトリーによって、抗GPC3二重特異性抗体(GPC3 L2Kクローン)結合について試験した。
精製及び検出のためにC末端に挿入されたヘキサヒスチジンタグを有する抗ヒトCD3εscFvと非GPC3結合scFvを融合させることによって、対照L2K二重特異性抗体を生成した。ET−901 L2Kと命名したこの対照L2K抗体を、GPC3結合の陰性対照として使用した。GC33のscFvを使用して参照抗GPC3二重特異性抗体も同様に生成し、GC33 L2Kと命名した。
GPC3A L2Kクローン(GPC3A−34 L2K、GPC3A−37 L2K、GPC3A−45 L2K、GPC3A−46 L2K、GPC3A−55 L2K、及びGPC3A−58 L2K)、GPC3B L2Kクローン(GPC3B−87 L2K)、参照GC33 L2K二重特異性抗体、又は陰性対照抗CD19 L2Kを、4℃で1時間、PBS中5%FBS及び0.05%NaN3中最終濃度5μg/mLで、GPC3陽性HepG2細胞と共にインキュベートし、次いでPBSで1回洗浄した。APCコンジュゲート抗Hisタグマウス抗体(R&D Systems)を、PBS中5%FBS及び0.05%NaN3で20倍希釈し、体積100μLで添加し、暗所で4℃にて1時間インキュベートし、次いで、PBSで2回洗浄した。150μLの体積のPBS中固定緩衝液(BioLegend)の3倍希釈物で細胞を固定した。別の対照として、任意のL2K二重特異性抗体の非存在下で、HepG2細胞を、APCコンジュゲート抗Hisタグマウス抗体(R&D Systems)と共にインキュベートした。図11は、GPC3 L2KクローンのGPC3陽性HepG2細胞への顕著な結合を示した。
具体的には、6個のGPC3A L2K二重特異性抗体クローン(GPC3A−34 L2K、GPC3A−37 L2K、GPC3A−45 L2K、GPC3A−46 L2K、GPC3A−55 L2K、GPC3A−58 L2K)、及び1個のGPC3B L2K二重特異性抗体クローン(GPC3B−87 L2K)をFACSによってアッセイして、参照抗GPC3 GC33 L2Kと共に、GPC3+HepG2細胞に対する結合親和性を決定した。6個のGPC3A L2Kクローンは、0.045〜0.12μg/mLのEC
50を示し、見かけのK
d値は0.86〜2.4nMであった。GPC3B L2Kクローン(GPC3B−87 L2K)は、はるかに弱い結合を示し、EC
50は4.3μg/mLであり、見かけのK
dは84nMであった。GC33 L2Kは、0.14μg/mLのEC
50を示し、見かけのK
dは2.7nMであった。GC33 L2K(K
d=2.7nM)と比較して、全てのGPC3A L2Kクローン、特に、GPC3A−37 L2K(K
d=0.92nM)、GPC3A−46 L2K(K
d=1.0nM)、及びGPC3A−55 L2K(K
d=0.86nM)は、より高い結合親和性を示した(表13及び図11を参照されたい)。
T細胞媒介性細胞傷害アッセイ
腫瘍細胞傷害を、LDH細胞傷害アッセイ(Promega)を使用してアッセイした。全血(Blood Centers of the Pacific)由来のヒトT細胞(AllCells)又はFicoll精製細胞を、製造業者の仕様書に従ってCD3/CD28 DYNABEADS(登録商標)(Invitrogen)で活性化及び増殖させた。10%FBS+100U/mL IL−2を含むRPMI1640培地で活性化T細胞を培養及び維持し、活性化後7〜14日目に使用した。T細胞は、FACS分析によって>99%CD3+であった。活性化T細胞及び標的細胞を、二重特異性抗体(0.2μg/mL;GPC3A L2K又はGPC3B L2K)と共に5:1比で16時間共培養した。培養上清中のLDH活性を測定することによって、細胞傷害を測定した。
図7A及び図7Bに示すように、GPC3A及びGPC3Bスクリーニングの両方に由来する二重特異性抗GPC3×CD3抗体は、ヒトGPC3特異的に癌細胞の殺傷を有効に媒介した。C末端ヒトGPC3断片で免疫したマウスに由来するモノクローナル抗体GC33(方法の項を参照されたい)も、GPC3特異的殺傷について試験した(図7B)。結果は、GC33の癌細胞殺傷能力がGPC3特異的ではなかったことを示すが、その理由は、GC33がGPC3ノックアウト細胞株HepG−GPC3−KO−2並びにGPC3陽性細胞株HepG2及びSK−Hep1−GPC3の殺傷を媒介したためである。他方、GPC3A L2K二重特異性抗体#43、#53、#58、及び#61(とりわけ、図7A)並びにGPC3B L2K二重特異性抗体#87(図7B)は、GPC3陽性細胞(HepG2及びSK−Hep1−GPC3)のロバストな殺傷を媒介したが、GPC3陰性細胞株(SK−Hep1及びHepG2−GPC3−KO細胞)に対しては有意な効果を有しない。
実施例4.マウス抗hGPC3単一特異性IgG抗体の構築
マウスIgG1重鎖のFc領域を発現するクローニングプラスミド及びIgG1軽鎖を発現するプラスミドを使用してマウスIgG1定常領域及びFc領域配列に融合させるためにGPC3A−39、46、51、56、58、及び64の重鎖及び軽鎖可変領域配列(それぞれ、VH及びVLについて、配列番号311及び362、318及び369、323及び374、328及び379、330及び381、336及び387)を使用して、完全長マウス抗ヒトGPC3(hGPC3)単一特異性IgG抗体を構築した。得られた抗体クローンを、抗GPC3 mIgG1クローンA−39、−46、−51、−56、−58、及び−64と命名した。例示的な抗GPC3 mIgG1 A−39の配列は、配列番号505のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号506のアミノ酸配列を含む軽鎖と、を含む。GPC3Bクローン87の重鎖及び軽鎖可変領域(配列番号350及び401)、並びに抗GPC3抗体GC33の重鎖及び軽鎖可変領域(配列番号503及び504)を使用して、それぞれ、完全長GPC3B単一特異性IgG抗体及び完全長GC33抗体を同様に構築し、抗GPC3 mIgG1クローンB−87及び抗GPC3 mIgG1−GC33と命名する。
簡潔に述べると、記載のとおり(Tomimatsu,K.et al.,Biosci.Biotechnol.Biochem.73(7):1465−1469,2009)、HEK293及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株で、選択されたファージクローンの完全長マウスIgG1を生成した(データは図示せず)。GPC3クローン可変領域を、マウスIgG1重鎖及び軽鎖定常領域を有する哺乳類発現ベクターにサブクローニングした。精製された完全長IgG抗体の分子量を電気泳動によって還元及び非還元条件下の両方で測定してタンパク質の純度を決定したところ、95%を超えると計算された(データは示さず)。
フローサイトメトリーによって、GPC3陽性HepG2及びGPC3陰性SK−Hep1細胞に対する結合について、抗GPC3 mIgG1抗体を試験した。10μg/mLの構築された抗体を、氷上で1時間細胞に添加した。洗浄後、PEコンジュゲート抗マウスIgG(H及びL)(Vector Labs#EI−2007)を添加して(暗所で4℃にて30分間、そして、2回洗浄)、抗体結合を検出した。図9Aから分かるように、全ての抗GPC3 mIgGがGPC3陽性HepG2細胞に結合することが見出され、一方、二次抗体及び対照抗体のみ(対照mIgG1)では同じ細胞に結合しなかった。抗GPC3 mIgG又は対照mIgG1のいずれも、SK−Hep1細胞への結合を示さなかった(図9B)。抗GPC3 mIgG1クローンB−87及びmIgG−GC33抗体を用いて、同じFACS分析を実施した。
ELISAによるラットGPC3に対するGPC3A mIgG1抗体の反応性
GPC3特異的及び陰性対照(ET−901)マウスキメラIgG1を、ELISAアッセイにおいてラットGPC3ペプチドに対する結合について試験した。100ng/mLから始まる合計8つの濃度の3倍連続希釈物で抗体を試験した。PBS中2μg/mLで体積100μLのビオチン化ラットGPC3をストレプトアビジンプレート上にコーティングし、ストレプトアビジンでコーティングした96ウェルELISAプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。室温で2時間、PBS中5%脱脂粉乳(NFDM)でプレートをブロッキングした。PBST緩衝液中5μg/mLで構成されたGPC3A mIgG1クローン(A−34、−46、−53、−58、−61)、並びに陰性対照ET−901 mIgG1を、それぞれ、室温で1時間、別々のラットbt−GPC3でコーティングされたウェルでインキュベートした。プレートをPBSTで洗浄し、抗マウスFc(Bethyl Labs#A90−131P、1:2000希釈)と共に室温で30分間インキュベートした。PBSTで洗浄した後、1−STEP(商標)Ultra TMB−ELISA基質溶液(Thermofisher Scientific#34028)を用いて反応を顕色し、2N硫酸で停止した。5個のGPC3A mIgG1クローンのうちの4個(A−34、−46、−58、−61)は、陰性対照抗CD19 mIgG1と比較して、ラットbt−GPC3と反応した(図12)。GPC3A−53mIgG1クローンは、ラットbt−GPC3と反応しなかった。付随する実験では、試験した全てのGPC3A mIgG1クローン(A−34、−46、−53、−58、−61)がヒトGPC3と反応した(図12)。
実施例5.細胞表面及び可溶性GPC3に対する抗hGPC3単一特異性及び二重特異性抗体の結合プロファイルの決定
この実施例は、選択された単一特異性及び二重特異性抗体のGPC3結合プロファイルを示す。具体的には、この実施例は、(実施例4に記載のとおり)選択された抗hGPC3単一特異性mIgG1クローンのエピトープ結合部位の特性評価について記載する。他方、本実施例はまた、クローンGC33 mIgG1及び二重特異性GC33−L2Kと共に、本発明の選択された抗hGPC3単一特異性mIgG1クローン及びヒト抗hGPC3抗CD3二重特異性抗体(実施例2に記載のGPC3A L2K及びGPC3B L2K)の、可溶性組み換えヒトGPC3(すなわち、ヒトGPC3(560)、hGPC3の残基1〜560aa)又は癌細胞表面上のGPC3抗原、例えば、GPC3陽性HepG2及びSK−Hep1−GPC3細胞への結合プロファイルについて記載する。
GPC3A mIgGクローンのエピトープ結合部位特性評価
GPC3エピトープのビニングを実施して、異なるエピトープが参照GC33−mIgG1、並びに抗hGPC3単一特異性mIgG1クローンGPC3A−37 mIgG及びGPC3A−55 mIgGによって認識されるかどうかを判定した。2つのmIgGタンパク質が異なるエピトープに結合するかどうかを判定するために、第1の対のmIgGタンパク質及びGPC3を反応させて、GPC3上のその結合エピトープを第1のmIgGに占有させた後、第2の異なるmIgGを添加した。簡潔に述べると、結合親和性を決定し、1:1結合部位、部分フィットモデルを使用して、結合パラメータを計算した。mIgGタンパク質とGPC3との第1の対合の後(対の一方の実体がストレプトアビジン−バイオセンサに固定化されている)、バイオセンサによって検出されたシグナルにおけるスパイクは、第1のmIgGとGPC3との間の結合を反映しており、洗浄後、第1の対のmIgG/GPC3は、ストレプトアビジンでコーティングされたプレートに結合したままである。続いて、第2のmIgGをGPC3/第1のmIgGの固定化された対に添加した際、シグナルにおける更なるスパイクは第2のmIgGと固定化GPC3との間の結合を反映しており、これは、第2のmIgGが、第1のmIgGとの反応後にGPC3上に残された未結合のエピトープと反応したことを示す。したがって、第2のmIgGを添加した際のシグナルにおけるスパイクは、第1及び第2のmIgGが異なるエピトープに結合することを示す。反対に、第2のmIgGを添加した際にシグナルにおけるスパイクが存在しないことは、第1及び第2のmIgGが同じエピトープに結合することを示し得る。
線形フォーマットのGPC3エピトープビニングでは、5μg/mLのビオチン化GPC3をストレプトアビジンバイオセンサにロードした。過剰な抗原を洗い流した後、mIgGタンパク質を逐次添加したが、ここでは、第1のmIgGを50μg/mLで添加し、続いて、第2のmIgGを100μg/mLで添加した。具体的には、まず、GC33−mIgG1を50μg/mLで添加してシグナルにおけるスパイクを誘発し、それによって、GC33−mIgG1のGPC3エピトープへの特異的結合を示す(図13)。続いて、GPC3A−37 mIgG又はGPC3A−55 mIgGのいずれかを100μg/mLで添加した。両方の場合において、GPC3A−37 mIgG又はA−55 mIgGのいずれかを添加した際にも第2のスパイクがの記録され(図13)、このことは、GPC3A−37 mIgG及びGC33−mIgG1が異なるエピトープに結合すること、そして、GPC3A−55 mIgG及びGC33−mIgG1も異なるエピトープに結合することを示す。
更なる実験では、まずGPC3A−37 mIgGを50μg/mLで添加したところ、シグナルにおけるスパイクが誘発され、それによってGPC3A−37 mIgGのGPC3エピトープへの特異的結合を示した。続いて、GPC3A−55 mIgGを100μg/mLで添加したところ、第2のスパイクが誘発され、このことは、GPC3A−37 mIgG及びGPC3A−55 mIgGが異なるエピトープに結合したことを示す(図13)。上記の結果を組み合わせると、GC33 mIgG1、GPC3A−37 mIgG、及びGPC3A−55 mIgGは、それぞれ、GPC3上の異なるエピトープに結合する。
サンドイッチフォーマットのGPC3エピトープビニングでは、mIgGタンパク質をビオチン化し、ストレプトアビジンバイオセンサ上に5μg/mLで固定した。過剰のmIgGを洗い流した後、GPC3を固定化された抗体に10μg/mLで添加し、固定化されたmIgGに結合したままにした。洗浄後、次に、第2のmIgGを10μg/mLで添加し、結合をモニタリングした。
具体的には、(第1のmIgG1として)GC33−mIgG、GPC3A−37 mIgG、及びGPC3A−55 mIgGタンパク質のそれぞれをビオチン化し、5μg/mLでストレプトアビジンバイオセンサ上にそれぞれ固定化した。過剰のmIgGを洗い流した後、10μg/mLのGPC3を固定化された抗体に添加したところ、3つの試験したmIgGのそれぞれについてスパイクが誘発され、それによって、GC33−mIgG、GPC3A−37 mIgG、及びGPC3A−55 mIgGのそれぞれのGPC3エピトープへの特異的結合を示す。過剰のGPC3抗原を洗い流した後、10μg/mLの第2のmIgG(第1のmIgGとは異なる)を添加し、結合をモニタリングした。線形フォーマットのエピトープビニングと同様に、第2の異なるmIgGを後で添加すると、シグナルにおける更なるスパイクが誘発され(図14)、したがって、GC33−mIgG1、GPC3A−37 mIgG、及びGPC3A−55 mIgGがそれぞれ、GPC3上の異なるエピトープに結合することを示す。
可溶性組み換えヒトGPC3タンパク質に対するGPC3−L2K結合
抗hGPC3抗hGPC3 L2K二重特異性抗体(クローンGPC3A−34、GPC3A−37、GPC3A−45、GPC3A−46、GPC3A−55、GPC3A−58に由来するGPC3A L2K)のビオチン化組み換えGPC3
(560)(bt−GPC3
(560))への結合特性を、製造業者の指示に従って、単一サイクル反応速度モードにおいて、BIACORE(商標)X100機器(GE Healthcare)及びBiotin CAPture Kit(GE Healthcare、カタログ番号28−9202−33)を使用して、表面プラズモン共鳴技術によって測定した。アッセイで使用したタンパク質の全てを、使用前にHBS−E緩衝液で希釈した。簡潔に述べると、5〜10μg/mLのbt−GPC3
(560)を、CAPture試薬で予め官能化されたセンサチップ上に固定化し、フローセルに注入した。30μL/分の流速で90秒間の会合相、続いて、90秒間の解離相で、0.3〜5mg/mLの様々な二重特異性抗体を注入することによって、固定化抗原に対するL2K二重特異性抗体の親和性を測定した。各ランの最後に、Biotin CAPture kitに提供された試薬を使用して、センサチップの表面を再生した。1:1結合モデルを用いて非線形回帰分析によって結合定数を決定した(BIACORE(商標)X−100評価ソフトウェア、図15A及び15B)。次いで、会合−オン速度−k
on、親和性定数−k
a、解離定数−k
d、及び平衡解離定数−K
dを、各L2Kクローンについて計算した(表14)。
HepG2(GPC3陽性)細胞への結合
HepG2細胞を、用量依存性の抗hGPC3 mIgG1又はBsAb結合について試験する。簡潔に述べると、10、3.3、1.1、0.37、0.12、0.041、0.014、又は0μg/mLの抗hGPC3 mIgG1又はBsAbと共に、HepG2細胞を、氷上で1時間インキュベートする。PBS緩衝液による短時間の洗浄ラウンド後、二次抗体APC標識抗Hisタグ抗体でBsAbを検出する。PE標識抗マウス二次抗体でmIgG1抗体を検出する。用量依存曲線(MFI対BsAb濃度)のEC50によって、HepG2細胞に対する親和性について、抗GPC3 mIgG1又はBsAbを評価する。更に、EC50値に基づいて、見かけのKdを決定する。クローンGC33 mIgG1に対する本発明のmIgG1クローンのEC50又は見かけのKd比を計算する。クローンGC33 BsAbに対する本発明のBsAbクローンのEC50又は見かけのKd比も計算する。
実施例6.抗GPC3キメラ抗原受容体の構築及び特性評価
レンチウイルスCAR発現ベクターを使用して、抗GPC3 CARを構築した。抗GPC3クローン(GPC3A−34、GPC3A−37、GPC3A−45、GPC3A−46、GPC3A−55、GPC3A−58、及びGPC3B−87、本明細書では「GPC3A−CAR」又は「GPC3B−CAR」と称される)由来のscFvのそれぞれをCAR発現ベクター上に移植した。GC33 CARを構築するために、GC33由来のscFvも使用した。各CARコンストラクトは、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。GPC3A−34、GPC3A−37、GPC3A−45、GPC3A−46、GPC3A−55、及びGPC3A−58抗体クローンに由来する例示的なCARは、それぞれ、配列番号491及び516〜521のアミノ酸配列を含む。
1日間、インターロイキン−7及びインターロイキン−15の存在下で、CD3/CD28ビーズ(DYNABEADS(登録商標)、Invitrogen)で刺激することによって、ヒト一次T細胞を活性化した。濃縮されたレンチウイルスを、MOI6で72時間、レトロネクチン(Takara)コーティングされた6ウェルプレート内のT細胞に適用した。形質導入効率を表15に示す。
形質導入されたCAR T細胞(GPC3A、GPC3B、又はGC33 CAR−T細胞)の機能評価を、LDH細胞傷害アッセイを用いて行った。CAR−T細胞及び標的細胞(HepG2、HepG2−GPC3−KO、SK−Hep1、又はSK−Hep1−GPC3)を、2:1のエフェクタ対標的比で混合し、ここでは、試験ウェル当たり100,000個の標的細胞を播種し、200,000個のCAR T細胞で処理した(感染CAR T細胞は正規化すると67%CAR陽性であった)。一晩インキュベートした後に、LDH細胞傷害アッセイを実施した。
7個のGPC3A又はGPC3B CARのパネル、並びにGC33 CARをT細胞に形質導入し、標的細胞株HepG2、HepG2−GPC3−KO、SK−Hep1、及びSK−Hep1−GPC3に対して試験した。CARコンストラクト、GPC3A−CAR−37、GPC3A−CAR−45、GPC3A−CAR−46、GPC3A−CAR−55、GPC3A−CAR−58、GPC3B CAR−87)が形質導入されたT細胞は、HepG2及びSK−Hep1−GPC3などのGPC3陽性細胞株を特異的に殺傷した(図16)。しかしながら、野生型SK−Hep1又はHepG2−GPC3−KOなどのGPC3陰性細胞は、同じCAR T細胞によってあまり認識されなかった。これらのLDH細胞傷害実験では、GPC3A−CAR−37、GPC3A−CAR−55、及びGPC3A−CAR−58 CARを含むCAR−Tは、GPC3陽性標的細胞の殺傷において高い効率を示したが、GPC3陰性細胞の非特異的殺傷は少なかった(図16)。
LDH細胞傷害アッセイの第2のバッチでは、CAR−T細胞及び標的細胞(HepG2、HepG2−GPC3−KO、SK−Hep1、SK−Hep1−GPC3、JHH−5、A498、又はPANC−1)を、2:1のエフェクタ対標的比で混合し、ここでは、試験ウェル当たり100,000個の細胞を播種し、200,000個の抗GPC3 CAR陽性T細胞で処理した(感染CAR T細胞は正規化するとCARについて37.1%陽性であった)。CAR−T細胞の形質導入効率を表16に示す。一晩インキュベートした後に、LDHアッセイを実施した。
図17A及び図17Bに示されているとおり、CARコンストラクト、GPC3A−CAR−37、GPC3A−CAR−45、GPC3A−CAR−46、GPC3A−CAR−55、及びGPC3B−CAR−87が形質導入されたT細胞は、HepG2、SK−Hep1−GPC3、及びJHH−5などのGPC3陽性細胞株を特異的に殺傷した。しかしながら、A−498、PANC−1、野生型SK−Hep1細胞、及びHepG2−GPC3−KOなどのGPC陰性標的細胞は、同じCAR T細胞によってあまり認識されなかった(図16A及び図16B)。これらの実験は、GPC3陰性細胞に顕著な影響を及ぼすことなく、GPC3を発現している腫瘍細胞を特異的に標的とする抗GPC3 GPC3A又はGPC3B CAR−Tを使用した際の治療効果を示す。
実施例7.抗AFP caTCR−1及び抗CD3/抗GPC3二重特異性抗体が形質導入されたT細胞の構築及び特性評価
抗AFP caTCR(配列番号522及び523)又は抗AFP caTCR+抗GPC3/抗CD3 BsAb(配列番号511)のいずれかをコードしているレンチウイルスを一次T細胞に形質導入した。形質導入効率を評価するために、caTCR陽性細胞の百分率の測定値を決定した。抗AFP caTCRは、EF1−アルファプロモータ(配列番号527)の制御下にあり、抗GPC3/抗CD3 BsAbは、6個のNFAT応答エレメント(配列番号524)及びミニマルTAプロモータ(配列番号525)を含むNFAT由来プロモータ(配列番号526)の制御下にあった。モックT細胞と混合することによって、T細胞を指定の受容体陽性百分率と一致させた。2.5:1のエフェクタ対標的比で2つの細胞株:HEPG2(AFP+/GPC3+)及びHepG2−GPC3−KO(AFP+/GPC3−)を使用した。Cytox 96非放射性細胞傷害アッセイ(Promega)を使用して、16時間インキュベートした後に特異的T細胞溶解を測定した。
インビトロ殺傷データは、抗AFP caTCR+抗GPC3/抗CD3 BsAbを形質導入したT細胞における抗GPC3/抗CD3 BsAbの発現が、T細胞の用量範囲全体にわたって、GPC3依存的に、抗AFP caTCRのみを形質導入したT細胞と比較して、形質導入されたT細胞の効力を増加させたことを示す(図18)。細胞傷害性効力の増加を実証した反応はまた、放出されるサイトカイン(IFNγ、TNFα、及びIL−2)の量の増加も示した(図19)。したがって、抗GPC3/抗CD3 BsAbの誘導性発現は、T細胞の効力及びサイトカイン生成を増加させた。
抗AFP caTCR T細胞傷害性は別として、抗原によって誘導された抗GPC3/抗CD3 BsAbの細胞傷害性を直接測定するために、BsAb透過性膜を有するトランスウェルを使用した。2.5×105個のSK−HEP1−GPC3(GPC3+)又はSK−HEP1(GPC3−)腫瘍細胞及び4×106個の受容体陰性「モック」T細胞を、下部チャンバ内に一緒に播種した。2.5×105個の抗AFP caTCRでトランスフェクトされたT細胞を、2.5×105個の対応する標的細胞SK−HEP1−MG(AFP+)又はSK−HEP1(AFP−)と共に、上部チャンバ内に一緒に播種した。抗AFP caTCR+抗GPC3/抗CD3 BsAb T細胞をAFP陽性(SK−Hep1−MG)腫瘍細胞で刺激した場合、分泌された抗GPC3/抗CD3 BsAbはトランスウェル膜を通過し、GPC3陽性SK−Hep1−GPC3腫瘍細胞の溶解を刺激することができた(図20)。これらの結果は、抗AFP caTCR+抗GPC3/抗CD3 BsAb T細胞が、caTCR受容体の係合に応答して、特定の完全機能性抗GPC3/抗CD3 BsAbを分泌できること、そして、このようなBsAbの治療効果をcaTCR療法に対して相加的に使用できることを示す。
実施例8.抗AFP caTCR−1及び抗GPC3キメラ刺激受容体が形質導入されたT細胞の構築及び特性評価
抗AFP結合部分をコードしている核酸断片(配列番号528及び529)を使用して、caTCR−1コンストラクト(caTCR−1−0又はTCR−1−TM5)を生成した。抗GPC3結合部分をコードしている核酸断片(配列番号309及び360)を使用して、CD28の膜貫通及び細胞内シグナル伝達配列(配列番号530)を含むCSR(すなわち、CSR1)を生成した。
インビトロにおける殺傷
HEPG2細胞(AFP及びGPC3を発現しているヒト肝癌細胞)及びHEPG2−GPC3−KO細胞を、2.5:1のエフェクタ対標的比でT細胞刺激についての標的細胞として使用した。Cytox 96非放射性細胞傷害アッセイ(Promega)を使用して、16時間インキュベートした後に特異的T細胞溶解を測定した。
抗AFP−caTCR−1−0(配列番号532、533)又は抗AFP−caTCR−1−TM5(配列番号534、535)のいずれかを有する抗GPC3−CSR(配列番号531)の発現の結果、インビトロでHEPG2細胞を溶解することができる完全機能性細胞傷害性T細胞が得られた(図21)。caTCR−1−0のみを発現しているT細胞は、caTCR−1(caTCR−1−0又はcaTCR−1−TM5)及びCSR(約55%〜約65%)の両方を発現しているものよりも特異的殺傷がはるかに少なかった(約15%)。対照的に、HEPG2−GPC3−KO標的細胞を使用したとき、caTCR及びCSRの両方を発現しているT細胞については、特異的殺傷が約10%に減少した(図21)が、このことは、CSRとその標的リガンドとの係合が、増大した細胞傷害性に関与することを示している。
サイトカイン分泌
インビトロ殺傷実験の上清に放出されたサイトカインの濃度を、Bio−plex Pro Human Cytokine 8 plexキット(BioRad)を使用してBioplex 200(Luminex)で測定した。caTCR標的抗原及びCSR標的リガンドの両方を発現しているHEPG2標的細胞については、CSR陽性及びcaTCR陽性T細胞は、ca−TCR−1−0のみを発現しているT細胞よりも多くの細胞傷害性サイトカインを放出した(図22)。対照的に、CSR標的リガンドを欠いているHEPG2−GPC3−KO標的細胞については、ca−TCR−1−0のみ又はcaTCR及びCSRの両方を発現しているT細胞間の差はほとんど又は全くなかった(図22)。
細胞内サイトカイン発現
分泌阻害剤ブレフェルジンA(BFA)の存在下において、E:T比1:2で、T細胞を標的細胞(HEPG2)で4時間刺激した。T細胞を透過処理し、サイトカイン特異的抗体を使用して、腫瘍刺激に応答して発現したサイトカインを検出した。フローサイトメトリーを用いて、サイトカイン陽性細胞の百分率を決定した。CSR陽性及びcaTCR陽性T細胞は、ca−TCR−1−0のみを発現しているT細胞よりも多くの細胞内サイトカインを発現した(表17)。
まとめると、結果は、CSRの添加が、異なるcaTCR標的抗原及びCSR標的リガンドを有するcaTCR+CSR T細胞の感度及び応答性を増大させることを示す。これらのCSR−caTCR二重陽性T細胞で発現し、それから放出されるサイトカインの量が増加することは、caTCR−1及びCSRの両方の共刺激によってT細胞の細胞傷害能が上昇するという更なる証拠を提供する。
脱顆粒
T細胞を蛍光コンジュゲート抗CD107aと混合し、エンドサイトーシス阻害剤モネンシンの存在下において、1:2のE:T比で、HEPG2標的細胞で4時間刺激した。caTCR T細胞上でCSRが係合するとT細胞の脱顆粒が増加し、このことは、CSRが、意図する腫瘍細胞に対する治療用T細胞の反応性をより高めることを更に実証する(図23)。
増殖
T細胞を細胞内色素CFSEで標識し、指定日に残存しているCFSE陽性細胞の色素希釈度及び数を測定した。
それぞれのT細胞を一晩血清飢餓処理し、CellTrace CFSE(Thermo Fisher C34554)を用いてCFSEで標識した。100,000個のT細胞を2:1のE:Tでインキュベートし、指定日にT細胞が分割したとき、CFSE色素の連続希釈を観察するために、フローサイトメトリーを使用した。T細胞の総数をFACによって計数した。
CFSE希釈度はCSR刺激によって増加し、このことは、これらのT細胞がより高い増殖能を有していたことを示す(図24)。重要なことに、細胞数も増加し、このことは、細胞がより良好に増殖するだけでなく、その存続性も維持されることを意味する(表18)。
結果は、本発明者らが、CSR及びcaTCRの両方をリガンド陽性腫瘍細胞で同時に刺激することができたこと、そして、CSR及びcaTCRの共刺激が、caTCR T細胞の細胞傷害性、増殖能、及び存続性を増強したことを示す。これらが、養子移入を用いてcaTCRベースの治療の治療能を増大させる全ての特徴である。
実施例9:抗AFP caTCR−1及び抗GPC3 CSRで形質導入されたT細胞のインビボ有効性試験
抗AFP caTCR−1及び抗GPC3 CSR−1の両方を発現しているT細胞のインビボ抗腫瘍活性(コンストラクト情報については実施例8を参照されたい)を、樹立されたヒトAFP+/HLA−A2+Hep G2肝癌異種移植モデルにおいて試験した。SCID−Beigeマウスの右側腹部に、Hep G2細胞を皮下(s.c.)移植した。腫瘍が約100mm3に達したとき、(1)5×106個の非形質導入ドナー適合(モック)T細胞、(2)同じ抗AFP結合部分を含む抗AFP CAR(配列番号528及び529)を発現している2×106個のT細胞、又は(3)抗AFP caTCR−1及び抗GPC3 CSR−1の両方を発現している2×106個のT細胞のいずれかをマウスに腫瘍内(i.t.)注射した(n=6マウス/群)。その全体的な外観、体重、及び有害応答の他の臨床的徴候(低体温、努力性呼吸、及び後肢麻痺/衰弱を含む)をモニタリングすることによって、マウスにおけるT細胞注入から生じる健康効果を評価した。
図25に示すように、抗AFP CAR T細胞処理及び抗AFP caTCR−1/抗GPC3 CSR−1 T細胞処理の両方から、顕著かつ有意な(****p<0.0001;ダネットの多重比較試験)腫瘍成長阻害が生じた。全ての抗AFP CAR−T処理されたマウス及び抗AFP caTCR−1/抗GPC3 CSR−1 T細胞処理されたマウスは、試験期間にわたって正常な歩行、姿勢、及び活動/応答性を示した。更に、抗AFP CAR−T処理されたマウス及び抗AFP caTCR−1/抗GPC3 CSR−1 T細胞処理されたマウスは、試験中に体重が減少しなかった。全体として、処理されたマウスにおいて観察可能な異常パラメータがなかったことは、抗AFP caTCR−1/抗GPC3 CSR−1 T細胞療法の安全性を示す。