JP2020514517A - ポリマーを含む水性効果顔料ペースト、およびそれから製造されるベースコート - Google Patents

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Abstract

本発明は、少なくとも1種の効果顔料(a)ならびに水中のオレフィン性不飽和モノマーの3種のモノマー混合物(A)、(B)および(C)の逐次ラジカル乳化重合によって製造可能な少なくとも1種のポリマー(b)を含む水性効果顔料ペーストと、効果顔料ペーストを、ベースコート材料の製造に好適な少なくとも1種の水性結合剤含有成分と混合することによって製造可能な水性ベースコート材料と、このベースコート材料を使用してマルチコート塗装系を製造する方法と、水性効果顔料ペースト中に効果顔料を分散させるためのポリマー(b)の使用方法と、に関する。

Description

本発明は、少なくとも1種の効果顔料(a)、ならびに水中のオレフィン性不飽和モノマーの3種のモノマー混合物(A)、(B)および(C)の逐次ラジカル乳化重合によって製造可能な少なくとも1種のポリマー(b)を含む水性効果顔料ペーストと、効果顔料ペーストを、ベースコート材料の製造に好適な少なくとも1種の水性結合剤含有成分と混合することによって製造可能な水性ベースコート材料と、このベースコート材料を使用してマルチコート塗装系を製造する方法と、水性効果顔料ペースト中に効果顔料を分散させるためのポリマー(b)の使用方法と、に関する。
顔料ペーストおよびその中に使用されるポリマーは、当該技術分野において公知である。塗装産業における顔料ペーストの使用は、例えば、塗料を配合する間の顔料の無塵処理を確保するため、顔料分散の技術的に複雑な操作を実質的に容易にする。その上、ペーストに取り入れた結果として、顔料は、最適に湿り、非常によく分散され、したがって結果として生じた塗料において改善された分散状態が達成される。これは、塗料およびそれから製造される塗装系の一部の性能特性、例えば塗装系の一部への特に均一な色または色分布に改善をもたらす。
効果顔料も含有する顔料ペースト(効果顔料ペースト)は、同じ理由で、水性ベースコート材料などの塗料へ取り入れられる前に、最初に中間体として別々に製造されるが、その理由は、これらの顔料を塗料へ直接取り入れることは、特に直接的な添加の場合における顔料の不十分な分散および湿りに関連する、上で確認された課題が伴うためである。
一般の顔料ペースト、特に効果顔料ペーストの製造では、最適に調整されたペーストを得るために、ペースト結合剤として厳密に適合されたポリマーを使用しなければならない。ポリマーの個別適応および厳密な選択なしでは、問題の顔料は通常、最適に分散されず、したがって最終的にもたらされる塗装系の技術的性能特性も最適でない。
ここでの別の課題は、多くの場合、問題となるペースト結合剤は、常に塗料組成物の主要結合剤に対応するわけではなく、そのため、ペーストは、さらなる結合剤成分を塗料組成物中に取り入れる。その結果、塗料組成物の製造操作は、より複雑になる。その上、塗料の製造において配合の自由度が失われる。その理由は、ペースト中の特定のポリマーの使用が、その結果として、その他の塗料成分も、このポリマーに適合される必要があることを意味し得るためである。さらに、塗料中にさらなる添加剤および/または結合剤成分を使用する策略は、あまり余裕がなく、その理由は、それらの使用が、特に最重要である主要結合剤の分率を過度に低減し得るからである。結果として得られる塗料組成物中の主要結合剤に対応するペースト中のポリマー(ペースト結合剤)を使用することによって、配合の自由度における上記欠点を補償する試みが行われた場合、一般に主要結合剤の選択の面で妥協せざるをえず、したがって、結果として得られる塗料組成物およびそれで製造されるマルチコート塗装系の品質において、このような妥協は望ましくない。
さらに、環境的観点から、水溶性の顔料ペーストを使用することが望ましく、または有機溶媒の濃度を可能な限り低くすることが望ましい。
効果顔料ペーストを製造するために、様々な効果顔料のペースト化/分散の方法が、当該技術分野から知られている。米国特許第3,862,071号では、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂と(メタ)アクリル(コ)ポリマーとの混合物を使用して達成されている。
独国特許出願公開第10350719(A1)号明細書は、効果顔料ペーストを開示しており、これは効果顔料と同様に、主分散体中に存在する(メタ)アクリレートコポリマーを含む。しかし、独国特許出願公開第10350719(A1)号明細書に記載のこれらのポリマーは、比較的高いガラス転移温度を有し、この要因は不十分な付着性をもたらし得る。
国際公開第2015/090811(A1)号から知られるものは、水性顔料ペーストであり、これは効果顔料などの顔料と同様に、ポリウレタンの存在下でオレフィン性不飽和モノマーの混合物を共重合することによって製造可能なポリウレタン系コポリマーを含む。しかし、水性ベースコート材料などの塗料組成物に取り入れた後、国際公開第2015/090811(A1)号で開示される顔料ペーストは、必ずしも所望のピンホール堅牢性をもたらすとは限らない。
さらに、従来技術では、ポリエステルおよび比較的多量のブチルグリコールなどの有機溶媒を含む、公知の効果顔料ペーストがある。しかし、これらの効果顔料ペーストの欠点は、その低い貯蔵安定性ならびにその比較的高い溶媒含有率およびポリエステル含有率である。これらの種類の溶媒ベースの効果顔料ペーストは、例えば、国際公開第92/15405(A1)号に記載されている。
欧州特許第1534792(B1)号は、分散樹脂を含めた結合剤を含まないが、それらの成分のうちから非会合性(メタ)アクリルコポリマー増粘剤を必ず含まなければならない、水性金属顔料ペーストを開示している。対応する水性マイカ顔料ペーストは、欧州特許第1504068(B1)号から知られている。しかし、これらの効果顔料ペーストの欠点は、その製造中に増粘剤を必ず使用しなければならず、したがって十分な粘性を指定するために、これらのペーストを使用した水性ベースコート材料などの塗料の製造において比較的多量の水を必要とし、ひいては、その結果、結果として得られる塗料の固形分が不必要に少なくなることである。
最後に、欧州特許第1799783(B1)号は、水性効果顔料ペーストを開示しており、これは、効果顔料および表面活性化合物と同様に、ポリウレタン系グラフトコポリマーを含む。しかし、これらの効果顔料ペーストの欠点は、その比較的低い貯蔵安定性である。
したがって、上で確認された欠点を持たない水性効果顔料ペーストが必要とされている。
米国特許第3,862,071号 独国特許出願公開第10350719(A1)号明細書 国際公開第2015/090811(A1)号 国際公開第92/15405(A1)号 欧州特許第1534792(B1)号 欧州特許第1504068(B1)号 欧州特許第1799783(B1)号
したがって、本発明が対処する一課題は、ベースコート材料を製造するために使用することができ、従来技術で公知の効果顔料ペーストを上回る利点を有する、水性効果顔料ペーストを提供することである。本発明が対処する特定の課題は、十分な貯蔵安定性を有し、結果として、自動生産における使用に特に適している、水性効果顔料ペーストを提供することである。本発明が対処するさらなる課題は、効果顔料ペーストを使用して製造される対応する水性ベースコート材料中の主要結合剤と同様に使用することができるポリマーをペースト結合剤として含む水性効果顔料ペーストの提供である。これに応じて製造される水性ベースコート材料は、実際に改善できなかったとしても、特に良好な外観、十分なフロップ、および良好な付着性などの必須の技術性能特性を損なわない程度で、これらの特性の最適な実行をもたらすべきである。
この課題は、特許請求の範囲の主題およびまた、以下の本明細書中に記載するその主題の好ましい実施形態によって解決される。
したがって、本発明の第1の主題は、水性効果顔料ペーストであって、
(a)少なくとも1種の効果顔料と、
(b)平均粒径が100〜500nmの範囲であり、水中のオレフィン性不飽和モノマーの3種のモノマー混合物(A)、(B)および(C)の逐次ラジカル乳化重合によって製造可能な、逐次少なくとも1種のポリマーであり、
混合物(A)が、25℃での水中の溶解度が0.5g/l未満の少なくとも50質量%のモノマーを含み、混合物(A)から製造されたポリマーのガラス転移温度が10〜65℃であり、
混合物(B)が、少なくとも1種のポリ不飽和モノマーを含み、混合物(B)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−35〜15℃であり、
混合物(C)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−50〜15であり、
i. まず、混合物(A)が重合され、
ii. 次いで、i.で製造されたポリマーの存在下で混合物(B)が重合され、
iii. その後、ii.で製造されたポリマーの存在下で混合物(C)が重合される
少なくとも1種のポリマーと
を含む、水性効果顔料ペーストである。
本発明のさらなる主題は、本発明の少なくとも1種の効果顔料ペーストを成分(1)として、ベースコート材料の製造に好適であり、結合剤として使用できる少なくとも1種のポリマーを含む、少なくとも1種の水性成分(2)と混合することによって製造可能である、水性ベースコート材料であって、結合剤として使用できるこのポリマーが、同様に効果顔料ペースト中に存在するポリマー(b)を含み、かつ/またはそれとは異なる少なくとも1種のポリマーを含む、水性ベースコート材料である。以下の実験の項のセクション6.5および表6.8に記載の実験結果から明らかなように、組成が同じであるが異なる方法で製造されたベースコート材料のこの特定の製造は、例えば、ビットの発生率などの特性の面で、本発明のベースコート材料を区別する。
本発明のさらなる主題は、
(1a)水性ベースコート材料を基材に施与し、
(2a)段階(1a)で施与した塗料からポリマー膜を形成し、
(1b)任意に、さらなる水性ベースコート材料を、こうして形成されたポリマー膜に施与し、
(2b)任意に、段階(1b)で施与した塗料からポリマー膜を形成し、
(3)上記により得られた1以上のベースコート膜に、クリアコート材料を施与し、続いて、
(4)(各)ベースコート膜を、クリアコート膜とともに一緒に硬化させることによって、
マルチコート塗装系を製造する方法であって、
本発明のベースコート材料が、段階(1a)で使用されるか、または、この方法が、段階(1b)および(2b)をさらに含む場合、段階(1a)および/もしくは(1b)で使用される、方法である。段階(1a)で使用される基材は、好ましくは電着膜(EC)、より好ましくは電着材料の陰極析出によって適用される電着膜を有し、段階(1a)で使用されるベースコート材料は、EC塗装基材に直接適用され、基材に適用された電着膜(EC)は、好ましくは、段階(1a)の実行中に硬化される。
本発明のさらなる主題は、第1の主題に関連して識別されるポリマー、すなわち、平均粒径が100〜500nmの範囲であり、水中のオレフィン性不飽和モノマーの3種のモノマー混合物(A)、(B)および(C)の逐次ラジカル乳化重合によって製造可能なポリマーの使用であって、
混合物(A)が、25℃での水中の溶解度が0.5g/l未満の少なくとも50質量%のモノマーを含み、混合物(A)から製造されたポリマーのガラス転移温度が10〜65℃であり、
混合物(B)が、少なくとも1種のポリ不飽和モノマーを含み、混合物(B)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−35〜15℃であり、
混合物(C)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−50〜15であり、
i. まず、混合物(A)が重合され、
ii. 次いで、i.で製造されたポリマーの存在下で混合物(B)が重合され、
iii. その後、ii.で製造されたポリマーの存在下で混合物(C)が重合される、
水性効果顔料ペースト中に効果顔料を分散させるための、使用である。この分散は、水中でポリマー(b)を使用して効果顔料を予混合することを表す。
驚くべきことに、本発明の水性効果顔料ペーストは、傑出した貯蔵安定性が目立ち、その結果、自動生産における使用に特に適していることが見出された。
さらに驚くべきことに、本発明の水性効果顔料ペースト中に存在するポリマー(b)は、水性ベースコート材料中の主要結合剤として使用できるだけでなく、さらに、水性効果顔料ペースト中のペースト結合剤としても使用できることが見出された。その結果、ポリマー(b)を効果顔料ペースト中で使用できる可能性が与えられた結果として、ポリマー(b)とは異なるさらなるペースト結合剤の水準に合わせた系列にベースコート材料の他の塗料成分をあてがう必要がないため、ベースコート材料の製造において強化された配合自由度が得られる。その上、その結果として、効果顔料ペースト中にポリマー(b)も使用することは、これらの場合において、ベースコート材料の主要結合剤の分率が過度に低減されるわけではないため、ベースコート材料中のさらなる添加剤および/または結合剤成分の使用計画の余地が増える。特に驚くべきことに、ポリマー(b)を効果顔料ペースト中のペースト結合剤および結果として得られるベースコート材料の主要結合剤の両方として使用するにもかかわらず、結果として得られる塗料組成物およびそれによって製造されるマルチコート塗装系の品質は、例えば、良好な外観(ポッピング(pop)およびランニング(run)の発生率)、十分なフロップおよび色相、ならびに良好な付着性などの技術的性能特性の面で欠点がないことが見出された。
本発明の意味において、本発明の効果顔料ペーストに関連して、また、本発明のベースコート材料に関連して、用語「含む」は、好ましくは、「からなる」の意味を有する。この場合、成分(a)、(b)および水以外の本発明の効果顔料ペースト、ならびに成分(1)、(2)および水以外の本発明のベースコート材料の両方に、以下に記載の、任意に本発明の効果顔料ペーストならびに/または前記ペーストおよび/もしくは前記材料中に存在する本発明のベースコート材料中に存在する1種以上のさらなる成分に可能である。これらの全成分は、それぞれ、下記の好ましい実施形態に存在し得る。
本発明の効果顔料ペースト
本発明の顔料ペーストは、効果顔料ペーストである。顔料ペーストの概念は、当業者に知られており、例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998、第10編、452頁に定義されている。顔料ペーストは、ポリマーなどのキャリア材料中の顔料混合物の調合物であり、後続の用途より高い濃度で顔料が含まれる。これに応じて、効果顔料ペーストは、顔料として少なくとも1種の効果顔料、すなわち少なくとも1種の効果顔料(a)を含む顔料ペーストである。顔料ペーストの後続の用途は、一般に、ベースコート材料などの塗料組成物の製造において存在する。したがって顔料ペーストは、このような塗料組成物の製造のための前駆体のみを表すという点でベースコート材料などの塗料組成物とは区別される。したがって顔料ペーストそれ自体は、ベースコート材料として使用することができない。顔料ペースト中、通常、顔料とポリマーとの相対的質量比は、製造するために最終的にペーストが使用される塗料組成物においてより大きい。ポリマー(ペースト結合剤とも呼ばれる)および顔料などのキャリア材料以外の顔料ペーストは、通常、水および/または有機溶媒も含む。湿潤剤および/または増粘剤などの様々な添加剤も、顔料ペースト中に使用してよい。本発明の効果顔料ペースト中に存在するポリマー(b)は、顔料ペースト結合剤(ペースト結合剤)として使用される。本発明の効果顔料ペーストは、成分(a)および(b)を含む水性組成物を表す。
本発明の効果顔料ペーストは、水溶性である。これは、好ましくは、いずれの場合も本発明の効果顔料ペーストの総質量に対して、溶媒がその主要構成要素として好ましくは少なくとも20質量%の量の水を含有し、より低い分率の、好ましくは20質量%未満の有機溶媒を含有する系を含む。
本発明の効果顔料ペーストは、好ましくは、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、非常に好ましくは少なくとも30質量%、より特定すると少なくとも35質量%、最も好ましくは少なくとも40質量%の含水率を占める。
本発明の効果顔料ペーストは、好ましくは、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、20〜75質量%の範囲、より好ましくは25〜70質量%の範囲、非常に好ましくは30〜65質量%または30〜60質量%または30〜57.5質量%の範囲の含水率を占める。
本発明の効果顔料ペーストは、好ましくは、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、20質量%未満、より好ましくは0から20質量%未満の範囲、非常に好ましくは0.5〜20質量%または0.5〜17.5質量%または0.5〜15質量%の範囲の分率の有機溶媒を占める。有機溶媒の添加は、特に効果顔料(a)としてアルミニウム効果顔料を含む効果顔料ペーストに適している。特に効果顔料(a)としてマイカ担持金属酸化物顔料が使用される場合、本発明の効果顔料ペーストは、別法で、完全にまたはほぼ完全に有機溶媒を含まなくてもよい。このような場合、有機溶媒の分率は、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、好ましくは10質量%未満、より特定すると5質量%未満である。
本発明の効果顔料ペーストの固形分は、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、好ましくは15〜65質量%、より好ましくは17.5〜60質量%、特に好ましくは20〜55質量%、より特定すると22.5〜50質量%、最も好ましくは25〜45質量%の範囲である。固形分、すなわち、不揮発性物質の分率は、以下に記載の本発明に従って決定される。
本発明の効果顔料ペーストの固形分と本発明の効果顔料ペースト中の含水率とのパーセンテージ合計は、好ましくは50質量%超、より好ましくは少なくとも55または少なくとも60質量%、非常に好ましくは少なくとも65または少なくとも70質量%、より特定すると少なくとも75質量%である。ひいては好ましくは、50超から99質量%、特に55または60から97.5質量%の範囲である。例えば、本発明の効果顔料ペーストが、30質量%の固形分および65質量%の含水率を有する場合、上記の固形分と含水率とのパーセンテージ合計は95質量%である。
本発明の効果顔料ペーストは、好ましくは、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、1.0〜25質量%、より好ましくは1.5〜20質量%、非常に好ましくは2.0〜17.5質量%、より特定して2.5〜15質量%、最も好ましくは4.0〜12.5質量%の範囲の分率のポリマー(b)部分を含む。効果顔料ペースト中のポリマー(b)の分率は、ポリマー(b)を含み、効果顔料ペーストの製造中に使用される水性分散体の固形分(不揮発性物質の分率または固体の分率とも呼ばれる)を決定することによって決定または指定することができる。
本発明の効果顔料ペーストは、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも11または12質量%、より好ましくは少なくとも13または14質量%、より特定すると少なくとも15または16または17または18質量%、最も好ましくは少なくとも19質量%の分率の効果顔料(a)を含む。
本発明の効果顔料ペーストは、好ましくは、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、10〜50質量%、より好ましくは10〜45質量%、非常に好ましくは10〜40質量%、より特定すると11〜35質量%、最も好ましくは12〜30質量%または12〜27.5質量%の範囲の分率の効果顔料(a)を含む。
効果顔料ペースト中の少なくとも1種の効果顔料(a)とポリマー(b)との相対的質量比は、好ましくはいずれの場合も少なくとも1:1または少なくとも1.2:1または少なくとも1.5:1またはそれ以上、より好ましくは少なくとも2.0:1またはそれ以上、非常に好ましくは少なくとも2.5:1またはそれ以上、より特定すると少なくとも3.0:1またはそれ以上である。
効果顔料ペースト中の少なくとも1種の効果顔料(a)とポリマー(b)との相対的質量比は、好ましくは10:1〜1:1もしくは8:1〜1:1の範囲、より好ましくは10:1〜1.2:1もしくは10:1〜1.5:1の範囲または8:1〜1.2:1もしくは8:1〜1.5:1の範囲である。
本発明の効果顔料ペースト中に存在する全成分(成分(a)、(b)および水、ならびに、追加的に任意に存在するさらなる成分)の質量%で表す分率は、効果顔料ペーストの質量比に対して、合計して100質量%になる。
効果顔料(a)
本発明の効果顔料ペーストは、成分(a)として少なくとも1種の効果顔料を、好ましくは、効果顔料ペーストの総質量に対して、少なくとも10質量%の量で含む。
当業者は、効果顔料の概念を熟知している。対応する定義が、例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998、第10編、176頁および471頁に見られる。顔料の一般的な定義およびそのさらなる特殊化は、DIN55943(日付:2001年10月)で管理されている。効果顔料は、好ましくは、光学的効果または色彩および光学的効果の両方、特に光学的効果を付与する顔料である。したがって用語「光学的効果および着色顔料」、「光学的効果顔料」および「硬化顔料」は、好ましくは区別なく使用可能である。
好ましい効果顔料は、例えば、層状アルミニウム顔料、金青銅、酸化青銅および/もしくは酸化鉄−アルミニウム顔料、真珠伯などの真珠光沢顔料、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマスおよび/もしくはマイカ担持金属酸化物顔料、ならびに/またはその他の効果顔料、例えば層状黒鉛、層状酸化鉄、PVD膜で構成される多層効果顔料、および/もしくは液晶ポリマー顔料などのプレートレット形状の金属効果顔料である。顔料ペースト中、特に好ましいのは、層状効果顔料、特に層状アルミニウム顔料およびマイカ担持金属酸化物顔料である。したがって、少なくとも1種の効果顔料(a)として、本発明の効果顔料ペーストは、好ましくは、少なくとも1種の金属効果顔料、例えば少なくとも1種の好ましい層状のアルミニウム効果顔料および/または少なくとも1種のマイカ担持金属酸化物顔料を含む。
本発明の効果顔料ペーストは、任意に、少なくとも1種の効果顔料(a)とは異なるさらなる顔料、より特定すると着色顔料および/または充填剤を含んでもよい。しかし、好ましくは、本発明の効果顔料ペーストは、このような着色顔料および充填剤などのさらなる顔料を含有しない。
ポリマー(b)
本発明の効果顔料ペーストは、平均粒径が100〜500nmであり、水中のオレフィン性不飽和モノマーの3種のモノマー混合物(A)、(B)および(C)の逐次ラジカル乳化重合によって製造可能な、少なくとも1種のポリマー(b)であって、
混合物(A)が、25℃での水中の溶解度が0.5g/l未満の少なくとも50質量%のモノマーを含み、混合物(A)から製造されたポリマーのガラス転移温度が10〜65℃であり、
混合物(B)が、少なくとも1種のポリ不飽和モノマーを含み、混合物(B)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−35〜15℃であり、
混合物(C)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−50〜15であり、
i. まず、混合物(A)が重合され、
ii. 次いで、i.で製造されたポリマーの存在下で混合物(B)が重合され、
iii. その後、ii.で製造されたポリマーの存在下で混合物(C)が重合される、
少なくとも1種のポリマー(b)を含む。
ポリマー(b)は、シードコアシェルポリマー(SCSポリマー)と呼ばれるものを表す。ポリマー(b)および該ポリマーを含む水性分散体は、例えば、国際公開第2016/116299(A1)号から知られる。ポリマー(b)は、好ましくは、(メタ)アクリルコポリマーである。
本発明の効果顔料ペースト中に存在するポリマー(b)は、顔料ペースト結合剤(ペースト結合剤)として使用される。本発明の意味における用語「結合剤」は、DIN EN ISO4618(ドイツ版、日付:2007年3月)に従い、好ましくは、本発明の効果顔料ペーストまたは本発明のベースコート材料などの膜形成に関与する組成物の不揮発性物質の部分を指し、少なくとも1種の効果顔料(a)および他の顔料ならびに/または任意に存在する充填剤など、その中に存在する顔料とは別である。不揮発性物質の分率は、下記の方法によって決定することができる。これに応じて、結合剤構成要素は、本発明の効果顔料ペーストまたは本発明のベースコート材料などの組成物の結合剤の含有量に寄与する特定の成分である。例としては、ポリマー(b)、架橋剤、例えばメラミン樹脂および/または遊離もしくはブロックポリイソシアネートおよび/または高分子添加剤を含むベースコート材料が考えられる。
ポリマー(b)は、好ましくは、本発明の効果顔料ペーストを製造するための水性分散体の形態で使用される。
ポリマー(b)の製造は、いずれの場合も水中におけるオレフィン性不飽和モノマーの3種の混合物(A)、(B)および(C)の逐次ラジカル乳化重合を含む。したがって、これは、i.まず混合物(A)を重合し、次いでii.iで製造したポリマーの存在下で混合物(B)を重合し、さらに、iii.iiで製造したポリマーの存在下で混合物(C)を重合する、多段ラジカル乳化重合である。したがって3種のモノマー混合物の全ては、ラジカル乳化重合(すなわち、段階または重合段階)によって重合され、いずれの場合も別々に実施し、これらの段階は逐次的に行われる。時間の観点からいえば、各段階は、互いの直後に進めてよい。一段階が終わった後、問題となる反応液を特定の期間の間、保存すること、および/または、別の反応容器に移すことは、同じくらい可能であり、そうすることによって初めて、次の段階の実行に移ることができる。ポリマー(b)の製造は、好ましくは、モノマー混合物(A)、(B)および(C)の重合以外の重合工程を含まない。
ラジカル乳化重合の概念は、当業者に公知であり、以下でさらに詳細に説明していく。重合中、オレフィン性不飽和モノマーは、水性媒体中で、好ましくは少なくとも1種の水溶性開始剤を使用し、少なくとも1種の乳化剤の存在下で重合する。対応する水溶性開始剤も同様に公知である。少なくとも1種の水溶性開始剤は、好ましくは、過硫酸カリウム、ナトリウムまたはアンモニウム、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、2,2’−アゾビス(2−アミドイソプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アボビス(4−シアノペンタン酸)、ならびに例えば過酸化水素および過硫酸ナトリウムなどの前記開始剤の混合物からなる群から選択される。規定された好ましい群の同様のメンバーは、それ自体が公知であるレドックス開始剤系である。レドックス開始剤系は、特に、少なくとも1種の過酸化物を含む化合物を、少なくとも1種のレドックス共開始剤(例としては、例えば、アルカリ金属の亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩またはテトラチオ酸塩などの還元的硫黄化合物およびアンモニウム化合物、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物ならびに/またはチオ尿素)と組み合わせて含む開始剤である。したがってペルオキソ二硫酸塩とアルカリ金属亜硫酸水素塩またはアンモニウム亜硫酸水素塩との組合せを使用することが可能であり、例としては、アンモニウムペルオキシ二硫酸塩およびアンモニウム二亜硫酸塩がある。過酸化物含有化合物とレドックス共開始剤との質量比は、好ましくは50:1から0.05:1である。
開始剤と組み合わせて、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、バナジウムまたはクロム塩、例えば硫酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、塩化銅(I)、酢酸マンガン(II)、酢酸バナジウム(II)、塩化マンガン(II)などの遷移金属触媒を追加で使用することが可能である。重合において使用されるオレフィン性不飽和モノマーの総質量に基づいて、これらの遷移金属塩を、慣例に従って、0.1〜1000ppmの量で用いる。したがって過酸化水素と鉄(II)塩、例えば、0.5〜30質量%の過酸化水素と0.1〜500ppmのモール塩との組合せを使用することが可能であり、分率の範囲は、いずれの場合も各重合段階において使用したモノマーの総質量に基づく。開始剤は、好ましくは、各重合段階において使用したモノマーの総質量に対して0.05〜20質量%、好ましくは0.05〜10、より好ましくは0.1〜5質量%の量で使用される。
乳化重合は、連続媒体としての水、および追加で好ましくは少なくとも1種の乳化剤(好ましくはミセルの形態)を含む反応媒体中で進行する。重合は、水中における水溶性開始剤の分解によって開始する。成長ポリマー鎖は、乳化剤ミセル中に取り込まれ、次いでさらなる重合がミセル内で生じる。したがって、モノマー、少なくとも1種の水溶性開始剤、および少なくとも1種の乳化剤と同様に、反応混合物は主に水からなる。規定の成分、すなわちモノマー、水溶性開始剤、乳化剤、および水は、好ましくは、少なくとも95質量%の反応混合物を構成する。反応混合物は、好ましくは、これらの成分からなる。少なくとも1種の乳化剤は、好ましくは、いずれの場合も各重合段階において使用したモノマーの総質量に対して、0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、非常に好ましくは0.1〜3質量%の量で使用される。乳化剤も同様に、原則として知られている。使用した乳化剤は、非イオン性乳化剤であってもイオン性乳化剤であってもよく、両性イオン、また任意で前記乳化剤の混合物も含まれる。好ましい乳化剤は、10〜40個の炭素原子を有する、任意にエトキシ化および/またはプロポキシ化されたアルカノールである。これらのエトキシ化および/またはプロポキシ化の程度は様々であってもよい(例としては、5〜50個の分子単位からなるポリ(オキシ)エチレンおよび/またはポリ(オキシ)プロピレン鎖で修飾された付加物がある)。規定の生成物の硫酸化、スルホン酸化またはリン酸化誘導体も使用することができる。このような誘導体は、一般に、中和形態で用いられる。特に好ましい乳化剤は、中和されたジアルキルスルホコハク酸エステルまたはアルキルジフェニルオキシドスルホネートであり、好適に、例えばCytecからEF−800として市販されている。乳化重合は、適切な判断下で、0〜160℃、好ましくは15〜95℃、より好ましくは60〜95℃の温度で実施される。この操作は、好ましくは酸素がない状況で、好ましくは不活性ガス雰囲気下で行われる。一般に、低圧または高圧の使用も可能であるが、重合は、大気圧下で実施される。特に、大気圧下での水、使用したモノマーおよび/または有機溶媒の沸点より高い重合温度を用いた場合、高圧が一般に選択される。
ポリマー(b)の製造における個々の重合段階は、例えば、「スターブドフィード(starved feed)」重合(「スターブフィード(starve feed)」または「スターブフェッド(starve fed)」重合としても知られる)と呼ばれるもので実施してもよい。本発明の意味におけるスターブドフィード重合は、反応液(反応混合物とも呼ばれる)中の遊離オレフィン性不飽和モノマーの量が反応時間を通して最小化される乳化重合である。これは、オレフィン性不飽和モノマーの計量添加が、全反応時間にわたって、反応液中の遊離モノマーの分率が、いずれの場合も各重合段階において使用したモノマーの総量に対して、6.0質量%、好ましくは5.0質量%、より好ましくは4.0質量%、特に有利には3.5質量%を超えないように行われることを意味する。これらの制限内でさらに好ましいのは、0.01〜6.0質量%、好ましくは0.02〜5.0質量%、より好ましくは0.03〜4.0質量%、より特定すると0.05〜3.5質量%のオレフィン性不飽和モノマーの濃度範囲である。例えば、反応中に検出できる最大質量分率は、0.5質量%、1.0質量%、1.5質量%、2.0質量%、2.5質量%または3.0質量%であり得、一方で、他の全ての検出値は、ここで示した値より低い。各重合段階において使用したモノマーの総量(総質量とも呼ばれる)は、明らかに、段階iではモノマー混合物(A)の総量に対応し、段階iiではモノマー混合物(B)の総量に対応し、段階iiiではモノマー混合物(C)の総量に対応する。本明細書における反応液中のモノマーの濃度は、例えば、ガスクロマトグラフィーによって決定してもよい。その場合、反応液の試料は、サンプリングの直後に液体窒素で冷却され、開始剤として4−メトキシフェノールが添加される。次の工程で、試料をテトラヒドロフラン中で溶解し、次いでn−ペンタンを添加して、サンプリングの時点で形成されたポリマーを析出させる。次いで、液相(上澄み)を、モノマーを決定するための極性カラムおよび無極性カラムを使用した、また、水素炎イオン化検出器を使用した、ガスクロマトグラフィーによって分析する。ガスクロマトグラフィーによる決定のための典型的なパラメーターは、以下の通り、すなわち、5%フェニル、1%ビニルメチルポリシロキサン相を有する25mのシリカキャピラリーカラムまたは50%フェノールおよび50%メチルポリシロキサン相を有する30mのシリカキャピラリーカラム、キャリアガス水素、分割噴射機150℃、オーブン温度50〜180℃、水素炎イオン化検出器、検出器の温度275℃、内部標準イソブチルアクリレートである。本発明の目的のためのモノマーの濃度は、好ましくは、ガスクロマトグラフィーによって、より特定すると上記のパラメーターに応じて決定される。
遊離モノマーの分率は、様々な方法で制御することができる。遊離モノマーの分率を低く維持させる一可能性は、オレフィン性不飽和モノマーの混合物を実際の反応液中に入れる(この反応液中で、モノマーが開始剤と接触する)ために非常に低い計量速度を選択することである。全てのモノマーが、反応液中にあると実質的にすぐ反応できるように、計量速度が非常に低い場合、遊離モノマーの分率が最小化されることを確実にできる。計量速度に加えて、反応液中に常に十分なラジカルが存在し、添加したモノマーのそれぞれを極度に迅速に反応させることが重要である。この方法では、さらなるポリマー鎖の成長が保証され、遊離モノマーの分率は低い状態を保つ。この目的のために、反応条件は、好ましくは、開始剤の供給を、オレフィン性不飽和モノマーの計量を開始する前に始めるように選択される。計量は、好ましくは、少なくとも5分前、より好ましくは少なくとも10分前に始める。好みに応じて、いずれの場合も開始剤の総量に対して、少なくとも10質量%、より好ましくは少なくとも20質量%、非常に好ましくは少なくとも30質量%の開始剤が、オレフィン性不飽和モノマーの計量を開始する前に添加される。開始剤の一定の分解を可能にする温度の選択が優先される。開始剤の量も同様に、反応液中でラジカルが十分に存在する中で重要な要因である。開始剤の量は、随時、添加されたモノマーを反応させるために十分なラジカルがあるように選択すべきである。開始剤の量が増加すれば、同時に反応できるモノマーの量も増加する。
反応速度を決定するさらなる要因は、モノマーの反応性である。したがって遊離モノマーの分率に対する制御は、開始剤の量、開始剤の添加速度、モノマーの添加速度、およびモノマーの選択の相互作用によって誘導される。計量の減速だけではなく、開始剤の量の増加および開始剤の添加の開始を早めることも、遊離モノマーの濃度を上記の制限より下に維持する目的を助ける。反応中のいずれの時点でも、遊離モノマーの濃度は、上記のガスクロマトグラフィーによって決定することができる。この分析が、例えば、ほんのわずかな高反応性のオレフィン性不飽和モノマーの結果として、スターブドフィード重合の極限値に近づく遊離モノマーの濃度を見出した場合、反応を制御するために上記のパラメーターを利用することができる。この場合、例えば、モノマーの計量速度を減速することができる、または開始剤の量を減少させることができる。
本発明の目的のために、少なくとも重合段階iiおよびiiiの場合、スターブドフィード条件下で実施させることが好ましい。これは、これらの2つの重合段階中で新規の粒子核の形成が効果的に最小化されるという利点を有する。代わりに、段階iの後に存在する粒子(したがって、以下ではシードとも呼ばれる)を、モノマー混合物Bの重合によって段階iiでさらに成長させることができる(したがって、以下ではコアとも呼ばれる)。同様に、段階iiのアドに存在する粒子(以下では、シードおよびコアを含むポリマーとも呼ばれる)を、モノマー混合物Cの重合によって段階iiiでさらに成長させることができ(したがって、以下ではシェルとも呼ばれる)、最終的にはシード、コアおよびシェルを含有する粒子を含むポリマー(b)が得られる(SCSポリマーとも呼ばれる)。段階iも同様に、当然ながら、スターブドフィード条件下で実施することができる。
混合物(A)、(B)および(C)は、オレフィン性不飽和モノマーの混合物である。好適なオレフィン性不飽和モノマーは、モノまたはポリオレフィン性不飽和であってもよい。まず第1に、以下に記載のものは、原則として使用でき、全混合物(A)、(B)および(C)にわたって好適なモノマーならびに任意の好ましいモノマーである。個々の混合物の特に好ましい実施形態は、以下で対処される。
好適なモノオレフィン性不飽和モノマーの例としては、特に、(メタ)アクリレートベースのモノオレフィン性不飽和モノマー、アリル基を含むモノオレフィン性不飽和モノマー、およびビニル基を含む他のモノオレフィン性不飽和モノマー(例えば、ビニル芳香族モノマーなど)が挙げられる。本発明の目的のための用語(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートの両方を包含する。任意の速度での使用に好ましいのは、排他的になる必要はないが、(メタ)アクリレートベースのモノオレフィン性不飽和モノマーである。
(メタ)アクリレートベースのモノオレフィン性不飽和モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸およびエステル、ニトリル、または(メタ)アクリル酸のアミドであってもよい。優先されるのは、非オレフィン性不飽和基Rを有する(メタ)アクリル酸のエステルである。
Figure 2020514517
基Rは、飽和脂肪族、芳香族、または混合飽和脂肪族−芳香族であってもよい。本発明の目的のための脂肪族基は、芳香族ではない全ての有機基である。好ましくは、基Rは、脂肪族である。飽和脂肪族基は、純粋な炭化水素基であってもよく、または架橋基由来のヘテロ原子(例えば、エーテル基またはエステル基由来の酸素)を含んでもよく、かつ/またはヘテロ原子を含む官能基(例えば、アルコール基)によって置換されていてもよい。したがって、本発明の目的のために、ヘテロ原子を含む架橋基とヘテロ原子を含む官能基(すなわち、ヘテロ原子を含む末端官能基)との間で明確な区別がされる。
いずれの速度においても、必ずしも排他的である必要はないが、飽和脂肪族基Rが純粋な炭化水素基(アルキル基)であるモノマー、言い換えれば架橋基由来のヘテロ原子(例えば、エーテル基由来の酸素)を一切含まず、官能基(例えば、アルコール基)による置換もされないモノマーを使用することが優先される。Rがアルキル基である場合、例えば、直鎖、分枝、または環状アルキル基であり得る。このようなアルキル基は、当然ながら、直鎖および環状または分枝および環状構造成分も有し得る。アルキル基は、好ましくは、1〜20個、より好ましくは1〜10個の炭素原子を有する。
特に好ましい、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸のモノ不飽和エステルは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロアルキル((メタ)アクリル酸シクロペンチルなど)、(メタ)アクリル酸イソボルニル、および(メタ)アクリル酸シクロヘキシルであり、非常に特定的に優先されるのは、(メタ)アクリル酸n−およびtert−ブチルならびにメタクリル酸メチルである。
その他の好適な基Rの例は、ヘテロ原子を含む官能基(例えば、アルコール基またはリン酸エステル基)を含む飽和脂肪族基である。好適な、1つ以上のヒドロキシル基で置換される飽和脂肪族基を有する(メタ)アクリル酸のモノ不飽和エステルは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、および(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルであり、非常に特定的に優先されるのは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルである。好適な、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリル酸のモノ不飽和エステルは、例えば、モノメタクリル酸ポリプロピレングリコールのリン酸エステル、例えばRhodiaから市販されているSipomer PAM200である。さらに可能なビニル基を含むモノオレフィン性不飽和モノマーは、上記のアクリレートベースのモノマーとは異なり、オレフィン性不飽和ではないビニル基上にR’基を有するモノマーである。
Figure 2020514517
基R’は、飽和脂肪族、芳香族、または混合飽和脂肪族−芳香族であってもよく、芳香族および混合飽和脂肪族−芳香族基が優先され、脂肪族成分は、アルキル基を表す。
特に好ましいさらなる、ビニル基を含むモノオレフィン性不飽和モノマーは、具体的には、ビニルトルエン、アルファ−メチルスチレン、とりわけスチレンである。
また、R’基が以下の構造:
Figure 2020514517
を有する、ビニル基を含むモノ不飽和モノマーも可能であり、式中、基R1およびR2は、それぞれ、または共に合計7個の炭素原子を含むアルキル基である。この種のモノマーは、Momentiveから名称VeoVa(登録商標)10で市販されている。
原則として好適なさらなるモノマーは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾリン、およびさらには不飽和α−β−カルボン酸などのオレフィン性不飽和モノマーである。
好適なポリオレフィン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン性不飽和基R”を有する(メタ)アクリル酸のエステルが挙げられる。基R”は、例えば、アリル基または(メタ)アクリロイル基であってもよい。
Figure 2020514517
好ましいポリオレフィン性不飽和モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタン−1,4−ジオール、ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
さらに、好ましいポリオレフィン性不飽和化合物は、3つ以上のOH基を有するアルコールのアクリルおよびメタクリル酸エステル、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはグリセロールトリ(メタ)アクリレートなどを包含するが、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートモノアリルエーテル、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレートジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートジアリルエーテル、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートトリアリルエーテル、トリアリルスクロース、およびペンタアリルスクロースも包含する。また、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルなどの一価または多価アルコールのアリルエーテルも可能である。使用する場合、好ましいポリオレフィン性不飽和モノマーは、ヘキサンジオールジアクリレートおよび/またはアリル(メタ)アクリレートである。
個々の重合段階において使用されるモノマー混合物(A)、(B)および(C)に関しては、好ましくは、以下に説明する、観察される特定の条件がある。まず第一に、混合物(A)、(B)および(C)は、いずれにしても、互いに異なっている。したがって、これらは、それぞれ、異なるモノマーおよび/または異なる比率の少なくとも1種の所定のモノマーを含む。
混合物(A)
混合物(A)は、25℃での水溶性が0.5g/l未満である、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも55質量%のオレフィン性不飽和モノマーを含む。このような好ましいモノマーはスチレンである。水中のモノマーの溶解度は、以下に記載の方法によって決定される。
モノマー混合物(A)は、好ましくは、ヒドロキシ官能性モノマーを含有しない。同様に、好ましくは、モノマー混合物(A)は、酸官能性モノマーを含有しない。非常に好ましくは、モノマー混合物(A)は、ヘテロ原子を含む官能基を有するモノマーを一切含有しない。これは、存在する場合、ヘテロ原子が、架橋基の形態でのみ存在することを意味する。これは、例えば、(メタ)アクリレートベースであり、基Rとしてアルキル基を有する、上記のモノオレフィン性不飽和モノマーにおける場合である。
モノマー混合物(A)は、好ましくは、独占的にモノオレフィン性不飽和モノマーを含む。
モノマー混合物(A)は、好ましくは、少なくとも1種の、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸のモノ不飽和エステルと、少なくとも1種の、ビニル基を含むモノオレフィン性不飽和モノマーとを含み、ビニル基上に配置されたラジカルは、芳香族であるか、または混合飽和脂肪族−芳香族であり、この場合、ラジカルの脂肪族部分はアルキル基である。
混合物(A)中に存在するモノマーは、それらから製造されたポリマーが、10〜65℃、好ましくは30〜50℃のガラス転移温度を持つように選択される。ここでのガラス転移温度は、以下に記載の方法によって決定することができる。
モノマー混合物(A)の乳化重合によって段階iで製造されるポリマーは、シードとも呼ばれる。シードは、好ましくは、20〜125nmの平均粒径を持つ(以下に記載の動的光散乱によって測定、判定法4を参照)。
混合物(B)
混合物(B)は、少なくとも1種のポリオレフィン性不飽和モノマー、より好ましくは少なくとも1種のジオレフィン性不飽和モノマーを含む。このような好ましい一モノマーは、ヘキサンジオールジアクリレートである。モノマー混合物(B)は、好ましくは、ヒドロキシ官能性モノマーを含有しない。同様に好ましくは、モノマー混合物(B)は、酸官能性モノマーを含有しない。非常に好ましくは、モノマー混合物(B)は、ヘテロ原子を含む官能基を有するモノマーを一切含有しない。これは、ヘテロ原子が、存在する場合、架橋基の形態でのみ存在することを意味する。これは、例えば、(メタ)アクリレートベースであり、基Rとしてアルキル基を持つ上記のモノオレフィン性不飽和モノマーにおける場合である。
好ましくは、モノマー混合物(B)ならびに少なくとも1種のポリオレフィン性不飽和モノマーは、いずれにしても、以下のさらなるモノマー、まず第一には、少なくとも1種の、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸のモノ不飽和エステル、および第二には、少なくとも1種の、ビニル基を含み、ビニル基上に位置する基が芳香族または混合飽和脂肪族−芳香族基であり、その場合、ラジカルの脂肪族部分がアルキル基である、モノオレフィン性不飽和モノマーを含む。
ポリ不飽和モノマーの分率は、好ましくは、モノマー混合物(B)中のモノマーの総モル量に対して0.05〜3モル%である。
混合物(B)中に存在するモノマーは、それらから製造されたポリマーが、−35から15℃、好ましくは−25から+7℃のガラス転移温度を持つように選択される。ここでのガラス転移温度は、以下に記載の方法によって決定することができる。
モノマー混合物(B)の乳化重合により段階iiにおいてシードの存在下で製造されるポリマーは、コアとも呼ばれる。次いで、段階iiの後、結果としてシードおよびコアを含むポリマーが得られる。段階iiの後に得られるポリマーは、好ましくは、80〜280nm、好ましくは120〜250nmの平均粒径を持つ(以下に記載の動的光散乱によって測定、判定法4を参照)。
混合物(C)
混合物(C)中に存在するモノマーは、それらから製造されるポリマーが、−50から15℃、好ましくは−20から+12℃のガラス転移温度を持つように選択される。ここでのガラス転移温度は、以下に記載の方法によって決定することができる。
この混合物(C)のオレフィン性不飽和モノマーは、好ましくは、シード、コアおよびシェルを含む、結果として得られるポリマーが、10〜25酸価を有するように選択される。これに応じて、混合物(C)は、好ましくは、少なくとも1種のα−β不飽和カルボン酸、特に好ましくは(メタ)アクリル酸を含む。混合物(C)のオレフィン性不飽和モノマーは、さらに、またはあるいは、好ましくは、シード、コアおよびシェルを含む、結果として得られるポリマーが、0〜30、好ましくは10〜25のOH数を有するように選択される。前記酸価およびOH数は全て、全体的に用いられたモノマー混合物に基づいて計算された値である。
モノマー混合物(C)は、好ましくは、少なくとも1種のα−β不飽和カルボン酸と、少なくとも1種の、ヒドロキシル基によって置換されたアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のモノ不飽和エステルとを含む。より好ましくは、モノマー混合物(C)は、少なくとも1種のα−β不飽和カルボン酸、少なくとも1種の、ヒドロキシル基によって置換されたアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のモノ不飽和エステル、および少なくとも1種の、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸のモノ不飽和エステルを含む。本発明との関連において、さらに特定せずにアルキル基について言及される場合、これは常に、官能基およびヘテロ原子を有さない純粋なアルキル基を意味する。
段階iiiにおいて、モノマー混合物(C)の乳化重合によってシードおよびコアの存在下で製造されたポリマーは、シェルとも呼ばれる。次いで段階iii後の結果として、シード、コアおよびシェルを含むポリマー、すなわちポリマー(b)が得られる。その製造後、ポリマー(b)は、100〜500nm、好ましくは125〜400nm、非常に好ましくは130〜300nmの平均粒径を持つ(下記のような動的光散乱によって測定、判定法4を参照)。
モノマー混合物の分率は、好ましくは、以下のように互いにつり合いを取る。いずれの場合にも混合物(A)、(B)および(C)の個々の量の合計に対して、混合物(A)の分率は0.1〜10質量%であり、混合物(B)の分率は60〜80質量%であり、混合物(C)の分率は10〜30質量%である。
既に上で指摘したように、ポリマー(b)は、好ましくは、本発明の効果顔料ペーストを製造するために水性分散体の形態で使用される。この水性分散体は、好ましくは、5.0〜9.0、より好ましくは7.0〜8.5、非常に好ましくは7.5〜8.5のpHを持つ。pHは、それ自体の製造中、例えばさらに低いことが確認されている塩基を使用することによって、一定に維持することができる、またはポリマーが製造された後に意図的に設定してもよい。特に好ましい実施形態において、この水性分散体が、5.0〜9.0のpHを有し、その中に存在する少なくとも1種のポリマー(b)が、100〜500nmの粒径を有するということである。さらにより好ましい範囲の組合せは、以下:7.0〜8.5のpHおよび125〜400nmの粒径、より好ましくは7.5〜8.5のpHおよび130〜300nmの粒径である。
記載される段階iからiiiは、好ましくは、pHの調整のために知られている酸または塩基を添加せずに実施される。例えば、ポリマー(b)の製造において、段階iiiとの関連において好ましいことから、カルボキシ官能性モノマーを次いで使用する場合、段階iiiが終了した後、分散体のpHは7未満であってもよい。これに応じて、pHをより高い値に、例えば好ましい範囲内の値に調整するために、塩基を添加する必要があり得る。上記から、段階iii後のこの場合のpHは、好ましくは特に有機窒素含有塩基、例えばアンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン、また炭酸水素ナトリウムまたはホウ酸塩などの塩基、また前記物質の混合物の添加によって、それに対応して調整されるか、または調整される必要がある。しかし、これは、乳化重合の前、間もしくは後、または個別の乳化重合間にpHを調整するといった可能性を排除しない。同様に、モノマーの選択の結果により、pHを所望の値に調整する必要が全くない可能性もある。ここでのpHの測定は、好ましくは、pH複合電極(例えば、Mettler−Toledo InLab(登録商標)Routine)を有するpHメーター(例えば、Mettler−Toledo S20 SevenEasy pHメーター)を使用して実施される。
本発明の効果顔料ペーストを製造するためにポリマー(b)を水性分散体の形態で使用した場合、不発性物質の分率は、いずれの場合も水性分散体の総質量に対して、好ましくは15〜40質量%の範囲、より好ましくは20〜30質量%の範囲である。ここでの不揮発性物質の分率は、以下に記載の方法によって決定される。使用される水性分散体は、好ましくは、いずれの場合も分散体の総質量に対して、55〜75質量%、特に好ましくは60〜70質量%の含水率を占める。分散体の固形分と分散体の含水率との合計パーセンテージは、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%である。次に好ましいのは、80〜99質量%、より特定すると90〜97.5質量%の範囲である。これに応じて、使用される水性分散体は、大部分が水およびポリマー(b)からなり、特に有機溶媒などの環境に負担になる成分はごく少量のみ含むか、または全く含まない。
本発明の効果顔料ペーストのさらなる任意の成分
本発明の効果顔料ペーストは、さらに、任意の構成要素および任意の成分を含んでもよい。
少なくとも1種の効果顔料(a)以外に、効果顔料ペーストは、効果顔料(a)とは異なる典型的な着色顔料をさらに含んでもよい。当業者は、着色顔料の概念を熟知している。用語「着色顔料(coloring pigment)」および「着色顔料(color pigment)」は区別なく用いられる。使用される着色顔料は、有機および/または無機顔料であってもよい。着色顔料は、好ましくは、無機着色顔料である。使用される特に好ましい着色顔料は、白色顔料、有彩顔料および/または黒色顔料である。白色顔料の例は、二酸化チタン、亜鉛白、硫化亜鉛、およびリトポンである。黒色顔料の例は、カーボンブラック、鉄マンガン黒(iron manganese black)、およびブラックスピネルである。有彩顔料の例は、酸化クロム、酸化クロム水和物緑(chromium oxide hydrate green)、コバルトグリーン、ウルトラマリン緑、コバルトブルー、群青、マンガニーズブルー、ウルトラマリンバイオレット、コバルトバイオレットおよびマンガニーズバイオレット、赤色酸化鉄、硫セレン化カドミウム、モリブデン酸塩レッド、ウルトラマリンレッド、褐色酸化鉄、混合褐色、スピネル相およびコランダム相、ならびにクロムオレンジ、黄色酸化鉄、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化亜鉛カドミウム、クロムイエロー、ならびにバナジウム酸ビスマスである。着色顔料の分率は、好ましくは、いずれの場合も水性効果顔料ペーストの総質量に対して、1.0〜40.0質量%、好ましくは2.0〜35.0質量%、より好ましくは5.0〜30.0質量%の範囲の状態にある。しかし、好ましくは、本発明の効果顔料ペーストは、単独の顔料として少なくとも1種の効果顔料(a)を含み、好ましくは追加の着色顔料を含有しないことを意味する。好ましくは、さらに、本発明の効果顔料ペーストは、充填剤を含有しない。
効果顔料ペーストは、任意でさらに、少なくとも1種の増粘剤(thickener)(濃厚剤(thickening agent)とも呼ばれる)を含んでもよい。このような増粘剤の例として、無機増粘剤(例としては、フィロケイ酸塩などの金属ケイ酸塩)および有機増粘剤(例としては、ポリ(メタ)アクリル酸増粘剤および/または(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートコポリマー増粘剤、ポリウレタン増粘剤、ならびに高分子ワックスがある)がある。金属ケイ酸塩は、好ましくは、スメクタイトの群から選択される。特に優先的には、スメクタイトは、モンモリロナイトおよびヘクトライトの群から選択される。より特定すると、モンモリロナイトおよびヘクトライトは、ケイ酸マグネシウムアルミニウムならびにフィロケイ酸マグネシウムナトリウムおよびフィロケイ酸リチウムフッ素マグネシウムナトリウムからなる群から選択される。これらの無機フィロケイ酸塩は、例えば、Laponite(登録商標)の商標名で販売されている。ポリ(メタ)アクリル酸をベースとした増粘剤、ならびに(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートコポリマー増粘剤は、好適な塩基で任意に架橋および/または中和されている。このような濃厚剤の例として、アルカリ膨潤性エマルション(ASE)、およびその疎水的に改質された変異体、「親水的に改質されたアルカリ膨潤性エマルション」(HASE)がある。これらの濃厚剤は、好ましくは、アニオン性である。Rheovis(登録商標)AS1130などの対応する製品が市販されている。ポリウレタンをベースとした濃厚剤(例えば、ポリウレタン会合性濃厚剤)は、好適な塩基で任意に架橋および/または中和されている。Rheovis(登録商標)PU1250などの対応する製品が市販されている。好適な高分子ワックスの例としては、エチレン酢酸ビニルコポリマーをベースとした、任意に改質された高分子ワックスが挙げられる。このような一製品は、例えば、Aquatix(登録商標)8421の商標名で市販されている。少なくとも1種の増粘剤が、好ましくは、本発明の効果顔料ペースト中に、いずれの場合も効果顔料ペーストの総質量に対して、最大10質量%、より好ましくは最大7.5質量%、非常に好ましくは最大5質量%、より特定すると最大3質量%、最も好ましくは最大2質量%の量で存在する。
所望の用途に応じて、本発明の効果顔料ペーストは、(a)さらなる成分として1種以上の通常用いられる添加剤を含んでもよい。例えば、既に上で指摘したように、効果顔料ペーストは、特定の分率の少なくとも1種の有機溶媒を含んでもよい。さらに、効果顔料ペーストは、反応性希釈剤、充填剤、光安定剤、酸化防止剤、脱気剤、乳化剤、滑剤、重合阻害剤、ラジカル重合の開始剤、付着促進剤、流量調整剤、膜形成補助剤、垂れ制御剤(SCA)、難燃剤、腐食防止剤、乾燥剤、殺生物剤、および艶消し剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。これらは、公知の通常の分率で使用され得る。これらの量は、本発明の効果顔料ペーストの総質量に対して、好ましくは0.01〜20.0質量%、より好ましくは0.05〜15.0質量%、非常に好ましくは0.1〜10.0質量%、特に好ましくは0.1〜7.5質量%、より特定すると0.1〜5.0質量%、最も好ましくは0.1〜2.5質量%である。
本発明の効果顔料ペーストは、顔料ペーストの製造に慣例的かつ公知の混合アセンブリおよび混合方法を用いて製造することができる。
本発明のベースコート材料
本発明の効果顔料ペーストは、水性ベースコート材料の製造に適している。したがって本発明のさらなる主題は、水性ベースコート材料であり、このベースコート材料は、成分(1)として本発明の少なくとも1種の効果顔料ペーストを、ベースコート材料の製造に適した、結合剤として使用できる少なくとも1種のポリマーを含む少なくとも1種の水性成分(2)と混合させることによって製造可能であり、該ポリマーは、同様に効果顔料ペースト中に存在するポリマー(b)を含む、かつ/またはそれとは異なる少なくとも1種のポリマーを含む結合剤として使用できる。
本発明のベースコート材料中に存在する全ての成分(1)、(2)および水ならびに追加で存在するさらなる任意の成分の質量%で表す分率は、ベースコート材料の総質量に対して、合計して100質量%になる。
本発明の効果顔料ペーストと関連する上記の全ての好ましい実施形態は、効果顔料ペーストの成分(a)および(b)に関連した本発明のベースコート材料を製造するための効果顔料ペーストの使用に関する好ましい実施形態でもある。
ベースコート材料の概念は、当業者に公知であり、例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、1998、第10編、57頁で定義されている。これに応じて、ベースコートは、より具体的には、自動車仕上げおよび一般産業塗料に使用される、より特定すると色を付与する、かつ/または色を付与し、光学的効果を付与する中塗り塗料である。これは一般に、サーフェーサーまたはプライマーサーフェーサーで前処理しておいた金属またはプラスチック基材に適用され、場合によってはプラスチック基材への直接の適用もされる。さらに(例えば、サンダー仕上げによる)前処理する必要があり得る古い塗装も同様に、基材としての機能を果たす。ここでは複数のベースコート膜に適用することは完全に恒例化している。これに応じて、このような場合、第1のベースコート膜は、第2のための基材を表す。特に環境影響からベースコート膜を保護するために、少なくとも1つの追加のクリアコート膜が適用される。
本発明のベースコート材料の製造のために使用される成分(2)は、結合剤として用いることができる少なくとも1種のポリマーを含み、結合剤として用いることができるこのポリマーは、効果顔料ペースト中に存在するポリマー(b)および/またはそれとは異なる少なくとも1種のポリマーを含む。好ましくは、結合剤として用いることができ、成分(2)中に存在するポリマーは、同様に効果顔料ペースト中にも存在するポリマー(b)を含む。
本発明の効果顔料ペーストをその製造中で使用した結果、ベースコート材料は、少なくとも1種のポリマー(b)を含む。少なくとも1種のポリマー(b)は、好ましくは、ベースコート材料の主要結合剤である。主要結合剤は、好ましくは、各塗料組成物の総質量に対してより多くの分率で存在するベースコート材料などの他の結合剤成分が塗料組成物中に含まれない場合、本発明との関連において結合剤成分に使用される用語である。結合剤の概念は、DIN EN ISO4618(ドイツ版、日付:2007年3月)を基準として既に上で定義したものである。
本発明のベースコート材料は、水性である。これは、好ましくは、その主要の溶媒が、いずれの場合も本発明のベースコート材料の総質量に対して、好ましくは少なくとも20質量%の量の水である系を含み、好ましくは20質量%未満の量の低分率の有機溶媒を含む。
本発明のベースコート材料は、好ましくは、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも25質量%、非常に好ましくは少なくとも30質量%、より特定すると少なくとも35質量%の含水率を占める。
本発明のベースコート材料は、好ましくは、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、20〜65質量%の範囲、より好ましくは25〜60質量%の範囲、非常に好ましくは30〜55質量%の範囲の含水率を占める。
本発明のベースコート材料は、好ましくは、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、20質量%未満の範囲、より好ましくは0から20質量%未満の範囲、非常に好ましくは0.5から20質量%未満または15質量%までの範囲の分率の有機溶媒を含む。
本発明のベースコート材料の固形分は、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、好ましくは10〜45質量%、より好ましくは11〜42.5質量%、非常に好ましくは12〜40質量%、より特定すると13〜37.5質量%の範囲である。固形分、すなわち、不揮発性物質の分率は、以下に記載の方法に従って決定される。
本発明のベースコート材料の固形分と本発明のベースコート材料中の含水率との合計パーセンテージは、好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも50質量%である。次に好ましいのは、40〜95質量%、より特定すると45または50〜90質量%の範囲である。例えば、本発明のベースコート材料が、18質量%の固形分および25質量%の含水率を有する場合、上記の固形分と含水率との合計パーセンテージは43質量%である。
本発明のベースコートは、好ましくは、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、1.0〜20質量%、より好ましくは1.5〜19質量%、非常に好ましくは2.0〜18.0質量%、より特定すると2.5〜17.5質量%、最も好ましくは3.0〜15.0質量%の範囲の分率のポリマー(b)を含む。ベースコート材料中のポリマー(b)の分率は、ポリマー(b)を含む水性分散体の固形分(不揮発性物質の分率または固体の分率とも呼ばれる)を決定することによって決定または指定され、効果顔料ペースト(成分1)のみを製造するだけでなく、任意に成分(2)を製造するためにも使用することができる。
本発明のベースコートは、好ましくは、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、1〜20質量%、より好ましくは1.5〜18質量%、非常に好ましくは2〜16質量%、より特定すると2.5〜15質量%、最も好ましくは3〜12質量%または3〜10質量%の範囲の分率の効果顔料(a)を含む。
ベースコート材料中の少なくとも1種の効果顔料(a)とポリマー(b)との相対的質量比は、好ましくは、4:1〜1:4の範囲、より好ましくは2:1〜1:4の範囲、非常に特定すると2:1〜1:3の範囲、より特定すると1:1〜1:3または1:1〜1:2.5の範囲である。
本発明の効果顔料ペーストを使用して製造される本発明の水性ベースコート材料は、好ましくは、少なくとも効果顔料ペーストを混合することによってベースコート材料中に取り入れられるポリマー(b)の水性分散体を含む。ポリマー(b)は、既に上に記載したものである。本発明の水性ベースコート材料は、少なくとも本発明の効果顔料ペーストをその製造中に使用することによって、少なくとも1種の効果顔料、すなわち少なくとも1種の効果顔料(a)を少なくとも含む。対応する効果顔料(a)は、既に上に記載したものである。これに加えて、本発明の水性ベースコート材料は、効果顔料(a)、すなわち着色顔料とは異なるさらなる顔料を含んでもよい。対応する顔料は、同様に、既に上に記載したものである。これらの顔料は、好ましくは、ベースコート材料の製造に使用される成分(2)中に存在する。ベースコート材料中の全ての顔料の総分率は、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、好ましくは0.5〜40.0質量%、より好ましくは2.0〜20.0質量%、非常に好ましくは3.0〜15.0質量%の範囲である。
本発明の水性ベースコート材料は、好ましくは、結合剤として、ポリマー(b)とは異なる少なくとも1種のポリマー、より特定するとポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレートおよび/または規定のポリマーのコポリマー、より特定するとポリウレタン−ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはポリウレタン−ポリ尿素からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーをさらに含む。ポリマー(b)とは異なるこのポリマーは、好ましくは、ベースコート材料の製造に使用される成分(2)中に存在する。ここでは、成分(2)がポリマー(b)を含有する可能性はないが、代わりに、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレートおよび/または規定のポリマーのコポリマー、より特定するとポリウレタン−ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはポリウレタン−ポリ尿素からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。
好ましいポリウレタンは、例えば、独国特許出願公開第19948004(A1)号明細書の4頁19行目から11頁29行目(Polyurethane prepolymer B1)、欧州特許出願第0228003(A1)号の3頁24行から5頁40行、欧州特許出願第0634431(A1)号の3頁38行から8頁9行、および国際特許出願第92/15405号の2頁35行から10頁32行に記載されている。
好ましいポリエステルは、例えば、独国特許出願公開第4009858(A1)号明細書の6列53行から7列61行および10列24行から13列3行、または国際公開第第2014/033135(A2)号の2頁24行から7頁10行および28頁13行から29頁13行に記載されている。
好ましいポリウレタンポリ(メタ)アクリレートコポリマー((メタ)アクリレートポリウレタン)およびそれらの製造は、例えば、国際公開第91/15528(A1)号の3頁21行から20頁33行、および独国特許出願公開第4437535(A1)号明細書の2頁27行から6頁22行に記載されている。
好ましいポリウレタン−ポリ尿素コポリマーは、好ましくは平均粒径が40〜2000nmのポリウレタン−ポリ尿素粒子であり、このポリウレタン−ポリ尿素粒子は、いずれの場合も反応形態であり、アニオン基および/またはアニオン基に変換可能な基を含む少なくとも1種のイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーならびに2つの一級アミノ基および1つもしくは2つの二級アミノ基を含む少なくとも1種のポリアミンを含む。このようなコポリマーは、好ましくは、水性分散体の形態で使用される。この種のポリマーは、原則として、例えば、ポリイソシアネートとポリオールおよびポリアミンの通常の重付加によって製造可能である。このようなポリウレタン−ポリ尿素粒子の平均粒径は、以下に記載の通りに決定される(以下に記載の動的光散乱によって測定、判定法4を参照)。
ベースコート材料中のポリマー(b)とは異なる該ポリマーの分率は、好ましくは、ベースコート材料中のポリマー(b)の分率より少ない。記載のポリマーは、好ましくは、ヒドロキシ官能性であり、特に好ましくは、15〜200mg KOH/g、より好ましくは20〜150mg KOH/gの範囲のOH数を持つ。
特に優先的には、ベースコート材料は、少なくとも1種のヒドロキシ官能性ポリウレタン−ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、より好ましくは少なくとも1種のヒドロキシ官能性ポリウレタン−ポリ(メタ)アクリレートコポリマーおよび少なくとも1種のヒドロキシ官能性ポリエステル、ならびに任意の、好ましくはヒドロキシ官能性ポリウレタン−ポリ尿素コポリマーを含む。
結合剤としてのさらなるポリマーの分率は、広範に変動し得、好ましくは、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、1.0〜25.0質量%、より好ましくは3.0〜20.0質量%、非常に好ましくは5.0〜15.0質量%の範囲の状態にある。
本発明のベースコート材料は、それ自体が公知の少なくとも1種の典型的な架橋剤をさらに含んでもよい。架橋剤を含む場合、その架橋剤は、好ましくは少なくとも1種のアミノ樹脂および/または少なくとも1種のブロックまたは遊離ポリイソシアネート、好ましくはアミノ樹脂である。アミノ樹脂の中でも、メラミン樹脂が特に好ましい。ベースコート材料が架橋剤を含む場合、これらの架橋剤、特にアミノ樹脂および/またはブロックもしくは遊離ポリイソシアネート、非常に好ましくはアミノ樹脂、次に好ましくはメラミン樹脂の分率は、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、好ましくは0.5〜20.0質量%、より好ましくは1.0〜15.0質量%、非常に好ましくは1.5〜10.0質量%の範囲の状態にある。架橋剤の分率は、好ましくは、ベースコート材料中のポリマー(b)の分率より少ない。
本発明のベースコート材料のさらなる任意の成分
本発明のベースコート材料は、さらなる任意の構成要素または任意の成分を含んでもよい。これらは、着色顔料、充填剤、増粘剤、有機溶媒、および上記のさらなる添加剤などの、本発明の効果顔料ペーストに関連する、上で確認されたものと同じさらなる構成要素である。
着色顔料の分率は、いずれの場合も水性ベースコート材料の総質量に対して、好ましくは1.0〜40.0質量%、より好ましくは2.0〜35.0質量%、非常に好ましくは5.0〜30.0質量%の範囲である。少なくとも1種の増粘剤は、本発明のベースコート材料中に、いずれの場合もベースコート材料の総質量に対して、好ましくは最大10質量%、より好ましくは最大7.5質量%、非常に好ましくは最大5質量%、より特定すると最大3質量%、最も好ましくは最大2質量%の量で存在する。少なくとも1種のさらなる添加剤の量は、本発明のベースコート材料の総質量に対して、好ましくは0.01〜20.0質量%、より好ましくは0.05〜15.0質量%、非常に好ましくは0.1〜10.0質量%、特に好ましくは0.1〜7.5質量%、より特定すると0.1〜5.0質量%、最も好ましくは0.1〜2.5質量%である。
本発明のベースコート材料は、ベースコート材料の製造に一般的かつ公知の混合アセンブリおよび混合方法を用いて製造できるが、混合成分(成分(1))として本発明の効果顔料ペーストを使用する。
水性効果顔料ペースト中に効果顔料を分散するためのポリマー(b)の使用
ポリマー(b)は、水性効果顔料ペースト中に効果顔料を分散させるのに適している。本発明のさらなる主題は、水性効果顔料ペースト中、好ましくは効果顔料を、効果顔料ペーストの総質量に対して少なくとも10質量%の量で含むペースト中に前記顔料を分散させるための、本発明の第1の主題と関連して識別されるポリマー(b)の使用である。
本発明の効果顔料ペーストおよび本発明のベースコート材料に関連した上記の全ての好ましい実施形態は、効果顔料ペーストの総質量に対して、少なくとも10質量%の量で効果顔料を含む水性効果顔料ペースト中に前記顔料を分散させるためのポリマー(b)の使用に関する好ましい実施形態でもある。
マルチコート塗装系
本発明のさらなる主題は、
(1a)水性ベースコート材料を基材に施与し、
(2a)段階(1a)で施与した塗料からポリマー膜を形成し、
(1b)任意に、さらなる水性ベースコート材料を、こうして形成されたポリマー膜に施与し、
(2b)任意に、段階(1b)で施与した塗料からポリマー膜を形成し、
(3)上記により得られた1以上のベースコート膜に、クリアコート材料を施与し、、続いて、
(4)(各)ベースコート膜を、クリアコート膜とともに一緒に硬化させることによって、
マルチコート塗装系を製造する方法であって、
本発明のベースコート材料が、段階(1a)で使用されるか、または、本方法が、段階(1b)および(2b)をさらに含む場合、段階(1a)および/もしくは(1b)で、好ましくは段階(1b)で使用される、方法である。本発明の効果顔料ペーストおよび本発明の水性ベースコート材料の上記全ての(好ましい)型も、本発明の方法に適用可能である。この方法は、効果付与ならびに色および効果付与のマルチコート塗装系の製造に用いられる。
段階(1a)で使用される基材は、好ましくは、電着膜(EC)、より好ましくは電着塗料の陰極析出によって適用された電着膜を有し、段階(1a)で使用されるベースコート材料は、EC塗装された、好ましくは金属基材に直接適用され、基材に適用された電着膜(EC)は、好ましくは、段階(1a)の実行中に硬化される。次いで、段階(4)において、好ましくは、段階(1a)および(2a)に従って、好ましくは陰極硬化電着膜で塗装された好ましくは金属基材に適用されたベースコート膜は、さらなるベースコート膜と共同で硬化され、段階(1b)および(2b)に従って第1のベースコート膜に適用され、次に、段階(3)に従って、クリアコート膜を用いて、さらなるベースコート膜に適用される。
本発明の水性ベースコート材料の適用は、通常、サーフェーサーまたはプライマーサーフェーサーを用いて前処理しておいた金属またはプラスチック基材に対して行われる。前記ベースコート材料はまた、任意に、プラスチック基材に直接適用され得る。あるいは、本発明の水性ベースコート材料は、好ましくは、基材、特に金属基材のサーフェーサーまたはプライマーサーフェーサーを用いた前処理もせずに適用してもよく、この場合、本発明の方法は、好ましくは、段階(1b)および(2b)を含み、少なくとも2つのベースコート膜が適用され、本発明のベースコート材料は、段階(1a)および/または(1b)中、より好ましくは段階(1b)中のみで用いられることを意味する。この場合、使用される金属基材は、好ましくは、硬化電着膜で塗装されている。
金属基材が塗装される場合、サーフェーサーもしくはプライマーサーフェーサーの適用または本発明の水性ベースコート材料の適用に先立って、電着系で塗装されることも好ましい。プラスチック基材が塗装される場合、サーフェーサーもしくはプライマーサーフェーサーの適用または本発明の水性ベースコート材料の適用に先立って、前処理されることも好ましい。このような前処理に最もよく用いられる方法は、火炎滅菌、プラズマ処理、およびコロナ放電である。優先的には、火炎滅菌が用いられる。本発明の水性ベースコート材料(複数可)の金属基材への適用は、自動車産業との関係において一般的な膜厚、例えば、5〜100マイクロメートル、好ましくは5〜60マイクロメートル、特に好ましくは5〜30マイクロメートルの範囲で行われ得る。これは、例えば、圧縮エアスプレー、エアレススプレー、高速回転、静電スプレーの適用(ESTA)などのスプレー適用法を、単独でまたは例えば熱風スプレーなどのホットスプレーの適用と共同で用いて行われる。
水性ベースコート材料(複数可)の適用後、公知の方法によって乾燥してよい。例えば、好ましい(一成分)ベースコート材料を室温(23℃)で1〜60分間フラッシュオフし、続いて、好ましくは任意のやや高温30〜90℃で乾燥させる。本発明との関係におけるフラッシュオフおよび乾燥は、有機溶媒および/または水の蒸発を意味し、その結果、塗料は乾燥してくるが、依然として硬化されておらず、または今のところ完全に架橋された塗膜は形成されていない。
次いで、ここでも通常の方法によって市販の一般的なクリアコート材料が適用され、ここでも膜厚は通常の範囲内の、例えば5〜100マイクロメートルである。
クリアコート材料の適用後、例えば、室温(23℃)で1〜60分間フラッシュオフし、任意で乾燥することができる。次いでクリアコートを、適用したベースコートと共に硬化する。この段階で、例えば、架橋反応が生じ、それによってマルチコートの効果付与ならびに/または色および効果付与の塗装系が基材上に製造される。硬化は、好ましくは、60〜200℃の温度の熱によって達成される。プラスチック基材の塗装は、基本的に、金属基材と同様の方法で行われる。しかし、ここでは、硬化は、一般に非常に低温の30〜90℃で行われる。したがって、優先的には、二成分クリアコート材料が使用される。
本発明の方法を用いて、金属および非金属基材、より特定するとプラスチック基材、好ましくは自動車本体またはその部品を塗装することができる。本発明の方法は、OEM仕上げの一部としての二重仕上げにも用いることができる。これは、本発明の方法の手段によって塗装された基材が、2回目も同様に本発明の方法の手段によって塗装されることを意味する。
段階(1a)の前記基材は、欠点を持つマルチコート塗装系でもあり得る。この欠点を持つマルチコート塗装系の基材の場合、基材は、良好または完全に塗り直しされる最初の仕上げのものである。本発明の方法は、マルチコート塗装系の欠点の修復に応じて好適である。欠点または塗膜欠陥は、通常、その形状またはその外観に応じて示される、塗装上のまたは塗装における欠陥に対して一般に用いられる用語である。当業者は、このような塗膜欠陥の想定される種類を数多く承知している。これらは、例えば、Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、235頁、「Film defects」に記載されている。
判定法
1.不揮発性物質の分率の決定
不揮発性物質の分率(固形分)は、DIN EN ISO 3251(日付:2008年6月)に従って決定される。1gの試料を量り分け、あらかじめ乾燥しておいたアルミニウム皿に移し、試料を乗せた皿を125℃の乾燥キャビネット中で60分間乾燥させ、デシケーター中で冷却し、次いで重さを再び量る。使用した試料の総量に対する残留分は、不揮発性物質の分率に対応する。
2.ポリマー(b)の製造に使用される水中の混合物(A)のモノマーの溶解度の決定
水中のモノマーの溶解度は、水性相の上のガス空間との平衡を確立することによって決定される(参考文献X.−S.Chai、Q.X.Hou、F.J.Schork、Journal of Applied Polymer Science 99巻、1296〜1301頁(2006年)と同様)。この目的のために、20mlのガス空間を有する試料管中、2mlなどの所定の容量の水を、溶解できないほど多めの質量の各モノマーと混合する、またはいずれにしても選択した水量の中で完全に溶解させる。さらに乳化剤(試料混合物の総質量に対して10ppm)を添加する。平衡濃度を得るために、混合物を連続的に振る。上澄み気相を不活性ガスで置き換えて、平衡を再確立させる。除去した気相中、検出される物質の分率をそれぞれ(例えば、ガスクロマトグラフィーによって)測定する。水中の平衡濃度は、気相中のモノマーの分率をグラフとしてプロットすることによって決定することができる。曲線の傾きは、過度のモノマー分率が混合物から除去されるとすぐに、実質的に一定の値(S1)から大きな負の傾き(S2)に変化する。ここでの平衡濃度は、傾きS1の直線と傾きS2の直線の交点で達成する。記載される判定は、25℃で行われる。
3.混合物(A)、(B)および(C)それぞれのモノマーからいずれの場合において得られるポリマーのガラス転移温度の決定
ガラス転移温度Tは、DIN 51005(日付:2005年8月)「Thermal Analysis(TA)−terms」およびDIN 53765「Thermal Analysis−Dynamic Scanning Calorimetry(DSC)」(日付:1994年3月)に基づく方法で実験により決定される。これは、15mgの試料を試料ボートに量り分け、ボートをDSC機器に導入することを要する。開始温度まで冷却した後、50ml/minの不活性ガス(N)のパージング下、10K/minの加熱速度で1回目と2回目の測定を行い、各測定の間で冷却して開始温度に戻す。測定は、推定されるガラス転移温度より約50℃低い温度から推定されるガラス転移温度より約50℃高い温度までの温度範囲で行われる。DIN53765のセクション8.1に従って記録されたガラス転移温度は、比熱容量における変化の半分(0.5デルタcp)に到達する第2の測定の温度である。これは、DSC線図(温度に対する熱流のプロット)から決定される。これは、ガラス転移の前後の外挿基線間の中心線と、測定プロットとの交点に対応する温度である。測定において推定されるガラス転移温度の有用な判定のために、公知のFox式を用いてもよい。Fox式は、分子量を含まずに、ホモポリマーのガラス転移温度およびその質量分率に基づき、優れた近似を示すため、合成段階において当業者にとって有用なツールとして使用することができ、目標に向かう試験を介して所望のガラス転移温度を設計することを可能にする。
4.ポリマー(b)および任意で用いることができるポリウレタン−ポリ尿素粒子の平均粒径の決定
平均粒径は、DIN ISO13321(日付:2004年10月)に基づく方法における動的光散乱(光子相関分光法:PCS)によって決定される。測定は、25±1℃でMalvern Nano S90(Malvern Instruments製)を使用して行われる。この機器は、3〜3000nmのサイズ範囲に対応し、633nmで4mWのHe−Neレーザーを備えている。各試料を、分散媒体とした粒子を含まない脱イオン水で希釈し、次いで1mlのポリスチレンキュベット中で好適な散乱強度にて測定する。デジタル相関器を使用し、Zetasizer ソフトウェア、バージョン7.11、(Malvern Instruments製)を補助として用いて評価を行った。測定を5回実施し、第2の新しく製造した試料に対して測定を繰り返す。ポリマー(b)に関し、平均粒径は、測定した平均粒径の算術数値平均(Z平均、数値平均)を指す。この場合の5回判定の標準偏差は、4%以下である。任意に用いることができるポリウレタン−ポリ尿素粒子に関しては、平均粒径は、個々の調合物の平均粒径の算術体積平均(V平均、体積平均)を指す。5つの個々の測定値の体積平均の最大偏差は、±15%である。50〜3000nmの認定された粒径を有するポリスチレン標準で検証を行う。
5.数平均分子量の決定
数平均分子量(M)は、別段の指定がない限り、E.Schroder、G.Muller、K.−F.Arndt、「Leitfaden der Polymercharakterisierung」[Principles of polymer characterization]、Akademie−Verlag、Berlin、47〜54頁、1982年に従って、50℃でトルエン中の濃度系列に対し、使用する機器の実験較正定数を決定するために較正物質としてベンゾフェノンを用いた、モデル10.00の蒸気圧浸透圧計(Knauer製)を使用して決定される。
6.膜厚の決定
膜厚は、DIN EN ISO 2808(日付:2007年5月)、方法12Aに従い、ElektroPhysik製のMiniTest(登録商標)3100−4100機器を使用して決定する。
7.明度およびフロップ指数の決定
明度およびフロップ指数を決定するために、二重静電塗装の手段によるやり方で、塗料組成物など、より特定すると水性ベースコート材料などの分析中の試料を、寸法32×60cmで既にサーフェーサー系で塗装された鋼製パネルに適用し、結果として全体の膜厚(乾燥膜厚)を12〜17μmにする。ここでの第1の適用工程の後、室温(23℃)での3分間のフラッシュオフ相が続く。次いで、別の静電塗装工程を実施し、結果として得られる水性ベースコート膜を室温で10分間フラッシュオフし、その後、80℃の強制空気オーブン中でさらに10分乾燥させる。乾燥した水性ベースコート膜に、乾燥膜厚40〜45μmで市販の二成分クリアコート材料(BASF Coatings GmbH製のProGloss(登録商標))を塗布する。結果として得られるクリアコート膜を室温で10分間フラッシュオフする。この後、140℃の強制空気オーブン中でさらに20分間硬化させる。このようにして塗装された基材を、X−Rite製の分光光度計(X−Rite MA68 Multi−Angle Spectrophotometer)を使用して測定する。測定中、表面を光源で照射する。可視範囲内のスペクトル検出を様々な角度で実施する。この方法で得られたスペクトル測定値を、標準スペクトル値および使用した光源の反射スペクトルを導入して用いて、CIEL*a*b*色空間内の色度を計算することができ、ここで、L*は明るさを特徴付け、a*は赤色−緑色の値、b*は黄色−青色の値を特徴付ける。この方法は、例えば、特に少なくとも1種の効果顔料をその顔料として含む塗装についてASTM E2194−12に記載されている。いわゆる金属効果を定量化するために用いられることが多い導出値は、いわゆるフロップ指数であり、明度と観測角との間の関係を説明する(A.B.J.Rodriguez、JOCCA、1992(4)、150〜153頁参照)。フロップ指数(FL)は、次式に従い、15°、45°および110°の視角で見られる明度から計算することができる。
FL=2.69(L*15°−L*110°1.11/(L*45°0.86
式中、L*は、各角度(15°、45°および110°)で測定した明度を表す。
8.付着性の判定
塗料組成物など、より特定すると水性ベースコート材料などの検討中の試料の付着性を判定するために、以下の一般的な手順に従ってマルチコート塗装系を製造する。
最初の仕上げ
寸法10cm×20cmの硬化電着系(BASF Coatings GmbH製のCathoGuard(登録商標)800)で塗装された金属基材の上に、水性ベースコート材料などの検討中の試料を、2回の空圧式塗布によって適用し、全体の膜厚(乾燥膜厚)を22〜26μmに製造する。空圧式塗布1回目と2回目の間に、3分間の室温(23℃)におけるフラッシュオフがある。室温でさらに5分のフラッシュオフを行った後、結果として得られた水性ベースコート膜を70℃の強制空気オーブン中で10分間乾燥させる。乾燥した水性ベースコート膜に、標的膜厚40〜45μmで、市販の二成分クリアコート材料(BASF Coatings GmbH製のProGloss(登録商標))を適用する。結果として得られたクリアコート膜を室温で10分間フラッシュする。この後、140℃の強制空気オーブン中でさらに20分間硬化させる。この方法で得られる系は、以下、最初の仕上げ(系a)と呼ぶ。あるいは、ベースコートおよびクリアコート膜の硬化を20分/125℃(以下、焼成不足の最初の仕上げ、系b)または30分/160℃(以下、過焼成された最初の仕上げ、系c)で実施する。
再仕上げ
最初の仕上げの上に、あるいは焼成不足の最初の仕上げの上に、第2のベースコート/クリアコート系を、最初の仕上げについて記載したものと同じ方法で適用し、最初の仕上げと同様に第2のベースコート膜およびクリアコート膜の硬化を実施する。これにより2つの異なるマルチコート系が得られ、以下、再仕上げと呼び、異なる乾燥条件によって区別される。系Aは、系a上の再仕上げであり、第2のベースコート膜およびクリアコート膜が140℃で20分間硬化され、系Bは、系b上の再仕上げを示し、第2のベースコート膜およびクリアコート膜の対応する硬化が20分/125℃で実施される。
曝露されていない試料、さらには凝縮水への曝露後の試料に対して付着性の検討に取り掛かった。この目的のために、塗装基材を10日間の間、DIN EN ISO 6270−2(日付:2005年9月)によるCH試験条件下の気候室内で保管する。続いて、気候室から取り出してから24時間後に、塗装基材に対して対応する試験を行う。
技術特性を評価するために、マルチコート塗装系を、ストーンチップ付着(stone−chip adhesion)について検討する。この目的のために、DIN EN ISO 20567−1(2007年4月)、方法Bに従うストーンチップ試験を実施した。結果として得られる損傷パターンを、同様に、DIN EN ISO 20567−1に従って評価した。
さらに、DIN55662(2009年12月)、方法B(DIN EN ISO 17872(2007年6月)付録Aに従ったSikkensスクラッチ針による対角クロス塗布)に従って水蒸気噴流(steam jet)試験を、あらかじめDIN EN ISO 20567−1、方法Bによるストーンチップ試験を受けた基材に対して実施する。損傷パターンの目視評価のために、以下のスケールを使用した。
KW0=試料に変化なし
KW1=存在する損傷の若干の除去
KW2=塗膜中に存在する損傷の明確に見える除去
KW3=噴流の領域内での塗膜の完全な剥離
KW4=噴流の領域を越えた塗膜の完全な剥離
KW5=基材に至る完全な塗膜の分離
9.凝縮曝露前後の外観ならびに凝縮曝露後の膨れおよびブリスタリングの判定
塗装基材のレベリングまたはうねりを、Byk/Gardner製のWave Scan機器を使用して評価する。マルチコート塗装系で塗装された基材を、セクション4(付着性の判定)に記載する通りに製造する。
外観を評価する目的のために、レーザー光線を60°の角度で分析中の表面上に向け、10cmの距離における機器によって短波範囲(0.3〜1.2mm)および長波範囲(1.2〜12mm)の反射光における変動を記録する(長波=LW、短波=SW、値が小さいほど、外観が良好である)。さらに、マルチコート系の表面中の反射した像の鮮明さの指標として、機器は、特徴変数「写像性(DOI)」(値が大きいほど、外観が良好である)を決定する。対応する検討を、曝露されていない試料および凝縮水に曝露した後の試料に対して実施した。この目的のために、塗装基材を、DIN EN ISO 6270−2(日付:2005年9月)に従ってCH試験条件下にある気候室内で10日間の期間にわたって保管する。次いで、気候室から取り出してから24時間後の塗装基材を、レベリングおよびうねりについて評価し、試料を膨れおよびブリスタリングについても検査する。
ブリスターの発生を、以下の通りに、2つの値:
−ブリスターの数を、1〜5の量の数値によって評価する(m1は非常に少なく、m5は非常に多いブリスターを示す)。
−ブリスターのサイズを、ここでも1〜5のサイズの数値によって評価する(g1は非常に小さく、g5は非常に大きいブリスターを示す)。
の組合せにより評価する。
これに応じて、記号表示m0g0は、凝縮水貯蔵後にブリスターのない塗装を意味し、ブリスタリングの観点から満足な結果を表す(sat.=満足な結果)。
10.ポッピングおよびランニングの発生の評価
試料のポッピングの傾向を判定するために、以下の一般的な手順に従い、DIN EN ISO 28199−1(日付:2010年1月)およびDIN EN ISO 28199−3(日付:2010年1月)に基づく方法においてマルチコート塗装系を製造する。
標準電着材料(BASF Coatings GmbH製のCathoGuard(登録商標)800)で塗装された、寸法57cm×20cmの多孔鋼板(DIN EN ISO 28199−1、セクション8.1、バージョンA)を、DIN EN ISO 28199−1、セクション8.2(バージョンA)と同様に製造する。この後、DIN EN ISO 28199−2、セクション8.3に基づく方法において、分析中の試料、例えば塗料組成物に、0μm〜40μmの範囲を目標膜厚(乾燥した材料の膜厚)とし、ウェッジ形態の単回塗りで、静電塗装を施す。結果として得られた塗膜を、事前にフラッシュオフ時間を設けず、80℃の強制空気オーブン中で5分間乾燥させる。ポッピング限界、すなわちポッピングが生じる膜厚の決定を、DIN EN ISO 28199−3、セクション5に従って行う。
11.貯蔵安定性の判定
貯蔵安定性の判定のために、100mlの分析中の試料、例えば効果顔料を含有するペーストを計量ビーカーに入れる。室温(23℃)で2週間貯蔵した後、問題とする試料を、顔料の予想沈下および上澄みセラムの潜在的な形成について検査する。セラムが存在する場合、セラムの体積を読み取り、試料の総体積に対する比率を記録する。上記の貯蔵後、メッシュサイズが270μmの標準プラスチックふるいを使用して試料を濾過し、沈降について濾過ケーキを調べる。
12.OH数および酸価の決定
OH数および酸価は、それぞれ、計算によって決定される。
実施例および比較例
以下の実施例および比較例は、本発明を例示するために役立つが、限定するものと解釈すべきではない。
別段の指定がない限り、いずれの場合も、部で表す数値は、質量による部であり、パーセントで表す数値は、質量によるパーセンテージである。
1.水性分散体AD1の製造
1.1 以下に指定した、水性分散体AD1の製造に使用される成分の意味は、以下の通りである。
DMEA ジメチルエタノールアミン
DI水 脱イオン水
EF800 Aerosol(登録商標)EF−800、Cytecから市販されている乳化剤
APS ペルオキソ二硫酸アンモニウム
1,6−HDDA 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
2−HEA 2−ヒドロキシエチルアクリレート
MMA メタクリル酸メチル
1.2 多段SCSポリアクリレートを含む水性分散体AD1の製造
モノマー混合物(A)、段階i
以下の表1.1による項目1および2の80質量%を、還流冷却器を備えた鋼製反応容器(5L容量)中に入れ、80℃に加熱する。表1.1の「初期投入」で列挙した残りの分率の成分を別の容器中で予混合する。この混合物と、これとは別の「開始剤溶液」(表1.1、項目5および6)を20分にわたって同時に反応容器に滴下で加え、反応液中のモノマーの分率を、反応時間全体を通して、段階iで使用したモノマーの総量に対して6.0質量%を超えないようにする。続けて30分間、攪拌する。
モノマー混合物(B)、段階ii
表1.1の「Mono 1」で示す成分を、別の容器中で予混合する。この混合物を、2時間にわたって反応容器に滴下で加え、反応液中のモノマーの分率を、反応時間全体を通して、段階iiで使用したモノマーの総量に対して6.0質量%を超えないようにする。続けて1時間、攪拌する。
モノマー混合物(C)、段階iii
表1.1の「Mono 2」で示す成分を、別の容器中で予混合する。この混合物を、1時間にわたって反応容器に滴下で加え、反応液中のモノマーの分率を、反応時間全体を通して、段階iiiで使用したモノマーの総量に対して6.0質量%を超えないようにする。続けて2時間、攪拌する。
その後、反応混合物を60℃に冷却し、中和混合物(表1.1、項目20、21および22)を別の容器中で予混合する。中和混合物を、40分にわたって反応容器に滴下で加え、反応液のpHを7.5〜8.5のpHに調整する。続いて、反応生成物をさらに30分間攪拌し、25℃に冷却し、濾過する。
結果として得られた水性分散体AD1の固形分を、反応モニタリングのために決定した。結果を、決定されたpHおよび粒径と共に、表1.2に記録する。
Figure 2020514517
Figure 2020514517
2.水性ポリウレタン−ポリ尿素分散体PD1の製造
部分的に中和されたプレポリマー溶液の製造
スターラー、内部温度計、還流冷却器および電気加熱を備えた反応容器中、559.7質量部の直鎖ポリエステルポリオールおよび27.2質量部のジメチロールプロピオン酸(GEO Speciality Chemicals製)を窒素下で、344.5質量部のメチルエチルケトン中に溶解した。直鎖ポリエステルジオールは、あらかじめ、二量化脂肪酸(Pripol(登録商標)1012、Croda)、イソフタル酸(BP Chemicals製)およびヘキサン−1,6−ジオール(BASF SE製)(開始材料の質量比: 二量化脂肪酸:イソフタル酸:ヘキサン−1,6−ジオール=54.00:30.02:15.98)から製造され、73mg KOH/g固形分のヒドロキシル数、3.5mg KOH/g固形分の酸価、1379g/molの計算した数平均分子量、および1350g/molの蒸気圧浸透圧法により決定された数平均分子量を有していた。結果として得られた溶液に、30℃で連続的に、213.2質量部のジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)W、Covestro AG)(イソシアネート含有率32.0質量%)、および3.8質量部のジブチルスズジラウレート(Merck製)を添加する。この後、攪拌しながら80℃に加熱した。溶液のイソシアネート含有率が1.49質量%で一定になるまで、この温度で攪拌を継続した。その後、626.2質量部のメチルエチルケトンをプレポリマーに添加し、反応混合物を40℃に冷却した。40℃に到達したら、11.8質量部のトリエチルアミン(BASF SE製)を2分間にわたって滴下で加え、バッチをさらに5分間攪拌した。
プレポリマーとジエチレントリアミンジケチミンとの反応
30.2質量部のメチルイソブチルケトン中のジエチレントリアミンジケチミンの71.9質量%希釈液(プレポリマーイソシアネート基とジエチレントリアミンジケチミン(1つの2級アミノ基を有する)との比: 5:1mol/mol、ブロックされた1級アミノ基当たり2つのNCO基に対応する)を、続いて、1分間にわたって、反応温度を1℃少しだけ上げて混合し、次いでプレポリマー溶液を添加した。メチルイソブチルケトン中のジエチレントリアミンジケチミンの希釈した調合物を、あらかじめ、110〜140℃のメチルイソブチルケトン中でのジエチレントリアミン(BASF SE製)とメチルイソブチルケトンとの反応中、反応の水の共沸除去によって製造した。メチルイソブチルケトンによる希釈を用いて、124.0g/eq.のアミン等価質量(溶液)を設定した。3310cm−1での残留吸着に基づく赤外分光法は、98.5%の1級アミノ基のブロッキングを見出した。イソシアネート基を含むポリマー溶液の固形分は、45.3%であることを見出した。
分散および真空蒸留
40℃で30分攪拌した後、反応容器の内容物を7分にわたって1206質量部の脱イオン水(23℃)中に分散させた。メチルエチルケトンを減圧下で、45℃にて、結果として得られた分散体から蒸留により取り出し、溶媒および水の任意の損失は脱イオン水で補い、40質量%の固形分を得た。結果として得られた分散体は、白色で安定性、高固形分かつ低粘性であり、架橋粒子を含有し、3カ月後でも一切の沈殿が見られなかった。
結果として得られたミクロゲル分散体(PD1)の特性は、以下の通りであった。
固形分(130℃、60分、1g): 40.2質量%
メチルエチルケトン含有率(GC): 0.2質量%
メチルイソブチルケトン含有率(GC): 0.1質量%
粘性(23℃、回転式粘度計、剪断速度=1000/s): 15mPa・s
酸価: 17.1mg KOH/g固形分
中和度(計算値): 49%
pH(23℃): 7.4
粒径(光子相関分光法、容積平均): 167nm
ゲル分率(凍結乾燥): 85.1質量%
ゲル分率(130℃): 87.3質量%
3.効果顔料ペーストを製造するための前駆体の製造
これらの前駆体は、効果顔料をペーストするための混合ワニスを表す。
3.1 非発明の混合ワニスML1の製造
47.0質量部の独国特許出願公開第19948004(A1)号明細書、実施例2、20頁10〜21行によるグラフトコポリマーの主分散体、29.2質量部の脱イオン水、6質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、2.5質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、15質量部の1−プロポキシ−2−プロパノールおよび0.3質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンを互いに混合させる。結果として得られた混合物を続いて、均一化する。欧州特許第1799783(B1)号明細書(段落[0072]の「混合ワニス1」)を基準にしてML1を製造した。ML1は、予混合物AS2、AS7、AS12およびAS17の製造に使用する。
3.2 非発明の混合ワニスML2の製造
81.9質量部の脱イオン水、2.7質量部のRheovis(登録商標)AS1130(BASF SE製)、8.9質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、3.2質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、および3.3質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンを互いに混合させる。結果として得られた混合物を続いて、均一化する。欧州特許第1534792(B1)号明細書、11段1〜13行([0056]の段落)を基準にしてML2を製造した。ML2は、予混合物AS3、AS8、AS13およびAS18の製造に使用する。
3.3 本発明の混合ワニスML3の製造
47.0質量部の水性分散体AD1、29.2質量部の脱イオン水、6質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、2.5質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、15質量部の1−プロポキシ−2−プロパノールおよび0.3質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンを互いに混合させ、結果として得られた混合物を続いて均一化する。
3.4 本発明の混合ワニスML4の製造
47.0質量部の水性分散体AD1、29.2質量部の脱イオン水、6質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、2.5質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、15質量部のブチルグリコールおよび0.3質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンを互いに混合させ、結果として得られた混合物を続いて均一化する。
3.5 本発明の混合ワニスML5の製造
47.0質量部の水性分散体AD1、41.2質量部の脱イオン水、6質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、2.5質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、1.5質量部のRheovis(登録商標)AS1130(BASF SE製)および1.8質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンを互いに混合させ、結果として得られた混合物を続いて均一化する。
3.6 本発明の混合ワニスML6の製造
47.38質量部の水性分散体AD1、41.29質量部の脱イオン水、6.05質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、2.52質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、0.76質量部のRheovis(登録商標)AS1130(BASF SE製)および1.0質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンを互いに混合させ、結果として得られた混合物を続いて均一化する。
3.7 本発明の混合ワニスML7の製造
47.0質量部の水性分散体AD1、41.2質量部の脱イオン水、6.0質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、2.5質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、および1.5質量部のRheovis(登録商標)AS1130(BASF SE製)を互いに混合させ、結果として得られた混合物を続いて均一化する。
3.8 本発明の混合ワニスML8の製造
47.86質量部の水性分散体AD1、43.45質量部の脱イオン水、6.11質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、および2.54質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)を互いに混合させ、結果として得られた混合物を続いて均一化する。
3.9 本発明の混合ワニスML9の製造
16.30質量部の国際公開第2014/033135(A2)号の28頁13〜33行(実施例BE1)に従って製造したポリエステル、73.37質量部の脱イオン水、6.05質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、2.52質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、0.76質量部のRheovis(登録商標)AS1130(BASF SE製)および1.0質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンを互いに混合させ、結果として得られた混合物を続いて均一化する。
3.10 本発明の混合ワニスML10の製造
89.67質量部の脱イオン水、6.05質量部の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシンジオール(ブチルグリコール中52%)(BASF SE製)、2.52質量部のDispex Ultra FA 4437(BASF SE製)、0.76質量部のRheovis(登録商標)AS1130(BASF SE製)および1.0質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンを互いに混合させ、結果として得られた混合物を続いて均一化する。
4.着色顔料ペーストおよびサーフェーサーペーストの製造
4.1 白色ペーストwP1の製造
白色ペーストを、33.4質量部のTayca MT500 HD Titanium Rutile(Tayca Corporation)、52.6質量部の国際公開第91/15528(A1)号、23頁26行〜24頁24行に従って製造した水性結合剤分散体、2.5質量部のDisperbyk(登録商標)−184(BYK−Chemie GmbH)、2.7質量部の1−プロポキシ−2−プロパノールおよび8.8質量部の脱イオン水によって製造する。
4.2 赤色ペーストrP1の製造
赤色ペーストを、12質量部のSicotrans RedL2818(BASF SE製)、49.7質量部の国際公開第91/15528(A1)号、23頁26行〜24頁24行に従って製造した水性結合剤分散体、2質量部のブチルグリコール、1質量部の水中10%ジメチルエタノールアミン、2質量部のDisperbyk(登録商標)−184(BYK−Chemie GmbH)、3質量部の市販のポリエーテル(BASF SE製のPluriol(登録商標)P900)および30.3質量部の脱イオン水から製造する。
4.3 バイオレットペーストvP1の製造
バイオレットペーストを、18.4質量部の顔料Quindo(登録商標)Violet 19 228−6902(Sun Chemical製)、61.4質量部の国際公開第92/15405(A1)号、15頁23〜28行と14頁13行〜15頁13行に従って製造したポリウレタン分散体、5.6質量部の脱イオン水、2.6質量部の水中10%ジメチルエタノールアミンおよび2質量部の市販のポリエーテル(BASF SE製のPluriol(登録商標)P900)から製造する。
4.4 黒色ペーストsP1の製造
黒色ペーストを、58.9質量部の国際公開第92/15405号、14頁13行〜15頁13行に従って製造したポリウレタン分散体、10.1質量部のカーボンブラック(Orion Engineered Carbons製のColor Black FW2)、5質量部の独国特許出願公開第4009858(A1)号明細書の実施例D、16段37〜59行に従って製造したポリエステル、7.8質量部の10%ジメチルエタノールアミン水溶液、2.2質量部の市販のポリエーテル(BASF SE製のPluriol(登録商標)P900)、7.6質量部のブチルジグリコールおよび8.4質量部の脱イオン水から製造する。
5.効果顔料ペーストの製造
5.1 効果顔料ペーストAS1〜AS30の製造
表5.1〜5.6に列挙した成分を指定の順序で合わせ、混合物が均一化されるまで少なくとも20分間攪拌する。攪拌は、好ましくは、トロイダル流パターンを確立するように、言い換えれば、ドーナツ効果が観察されるように実施する。効果顔料ペーストは、以下、効果顔料予混合物とも呼ばれる。
Figure 2020514517
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6.水性ベースコート材料の製造
6.1 非発明の水性ベースコート材料WBL1、WBL2、WBL4およびWBL5ならびに本発明の水性ベースコート材料WBL3およびWBL6の製造
表6.1の「水性相」に列挙した成分を指定の順序で共に攪拌して水性混合物を形成する。次の工程において、予混合物を、「効果顔料予混合物」に列挙した成分から製造する。この予混合物を水性混合物に添加する。次いで10分間攪拌し、脱イオン水およびジメチルエタノールアミンを使用して、pH8および回転式粘度計(Anton Paar製のC−LTD80/QC加熱システムを有するRheolab QC)を使用して23℃で測定した剪断荷重1000s−1下の粘度85〜90mPa・s(WBL1〜WBL3)または110mPa・s(WBL4〜WBL6)を設定する。
Figure 2020514517

Figure 2020514517
6.2 非発明の水性ベースコート材料WBL7およびWBL10ならびに本発明の水性ベースコート材料WBL8、WBL9、WBL11およびWBL12の製造
表6.2の「水性相」に列挙した成分を指定の順序で共に攪拌して水性混合物を形成する。次の工程において、予混合物を、「効果顔料予混合物」に列挙した成分から製造する。この予混合物を水性混合物に添加する。次いで10分間攪拌し、脱イオン水およびジメチルエタノールアミンを使用して、pH8および回転式粘度計(Anton Paar製のC−LTD80/QC加熱システムを有するRheolab QC)を使用して23℃で測定した剪断荷重1000s−1下のスプレー粘度85±5mPa・s(WBL7〜WBL9)または115±5mPa・s(WBL10〜WBL12)を設定する。
Figure 2020514517

Figure 2020514517
6.3 非発明の水性ベースコート材料WBL13〜WBL15、WBL18〜WBL20、WBL23〜WBL25およびWBL28〜WBL30ならびに本発明の水性ベースコート材料WBL16、WBL17、WBL21、WBL22、WBL26、WBL27、WBL31およびWBL32の製造
表6.3〜6.6の「水性相」に列挙した成分を、いずれの場合も指定の順序で共に攪拌して水性混合物を形成する。次の工程において、予混合物を、いずれの場合も「効果顔料予混合物」に列挙した成分から製造する。対応する予混合物を各水性混合物に添加する。次いで10分間攪拌し、脱イオン水およびジメチルエタノールアミンを使用して、pH8および回転式粘度計(Anton Paar製のC−LTD80/QC加熱システムを有するRheolab QC)を使用して23℃で測定した剪断荷重1000s−1下のスプレー粘度75±5mPa・sを設定する。
Figure 2020514517

Figure 2020514517
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Figure 2020514517
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Figure 2020514517

Figure 2020514517
6.4 非発明の水性ベースコート材料WBL33および本発明の水性ベースコート材料WBL34の製造
表6.7の「水性相」に列挙した成分を指定の順序で共に攪拌して水性混合物を形成する。次の工程において、一予混合物をそれぞれ、「効果顔料予混合物I」および「効果顔料予混合物II」にそれぞれ列挙した成分から製造する。次いでこれらの予混合物をそれぞれ水性混合物に添加する。次いで10分間攪拌し、脱イオン水およびジメチルエタノールアミンを使用して、pH8および回転式粘度計(Anton Paar製のC−LTD80/QC加熱システムを有するRheolab QC)を使用して23℃で測定した剪断荷重1000s−1下のスプレー粘度80±5mPa・sを設定する。
Figure 2020514517
6.5 非発明の水性ベースコート材料WBL34aおよびWBL34b(本発明の水性ベースコート材料WBL34と同じ全体組成を有する)の製造
本発明の水性ベースコート材料WBL34(製造法はセクション6.4を参照)との直接的な比較として、WBL34と同じ全体組成を有するが、製造法において、すなわち、効果顔料予混合物Iの使用において異なる、2種の非発明の代替的な水性ベースコート材料を製造した。WBL34aおよびWBL34bの配合は、以下の表6.8のWBL34の配合と対比される。
WBL34aの場合、WBL34とは対照的に、混合ワニスML6の代わりに混合ワニスML9を使用し、このML9は、本発明に従って使用され、分散体AD1中に存在するポリマー(b)をWBL34の配合中の「水性相」に列挙されるポリエステル成分で置き換えることによってML6と対照を成す。WBL34aの「水性相」中のこのポリエステル成分の分率は、それに応じて減少した。WBL34の場合、その中に存在する効果顔料予混合物Iおよび/または混合ワニスML6を介して配合中に取り入れられる、本発明に従って使用され、分散体AD1中に存在するポリマー(b)の分率は、それに応じて対照的に、WBL34aの「水性相」中で増加した。
同様の方法で、WBL34と対照的なWBL34bの製造の場合、混合ワニスML6を混合ワニスML10で置き換え、この目的のために、ML6と比較して、分散体AD1は一切使用されず、代わりにその量は脱イオン水で置き換えられた。これに応じてWBL34bの「水性相」中のポリエステル成分の分率は減少した。これに応じて、WBL34の場合、ML6を含有する効果顔料予混合物Iを介して配合中に取り入れられた、本発明に従って使用され、分散体AD1中に存在するポリマー(b)の分率は、対照的に、WBL34bの「水性相」中で増加した。
WBL34aおよびWBL34bの製造は、WBL34と同じ方法で行われた。表6.8の「水性相」に列挙された成分を指定の順序で共に攪拌して水性混合物を形成する。次の工程において、一予混合物それぞれを、「効果顔料予混合物I」および「効果顔料予混合物II」それぞれに列挙した成分から製造する。次いでこれらの予混合物をそれぞれ水性混合物に添加する。次いで10分間攪拌し、脱イオン水およびジメチルエタノールアミンを使用して、pH8および回転式粘度計(Anton Paar製のC−LTD80/QC加熱システムを有するRheolab QC)を使用して23℃で測定した剪断荷重1000s−1下のスプレー粘度80±5mPa・sを設定する。
Figure 2020514517
混合ワニスML9およびML10それぞれを使用して、非発明の水性ベースコート材料WBL34aおよびWBL34bを製造した後、各効果顔料予混合物Iを「水性相」中に取り入れた後に、これらの水性ベースコート材料に非常に多数の小片が含まれていたことが明らかになり、これは望ましくない。対照的に、混合ワニスML6を含む本発明の効果顔料予混合物Iを使用して製造された、本発明のベースコート材料WBL34は、小片を全く含んでいなかった。これらの結果は、製造プロセスの結果としてのみ、WBL34がWBL34aおよびWBL34bとは異なる特性を有することを示す。
7.効果顔料予混合物AS1〜AS30のいくつかの貯蔵安定性の研究および比較
7.1 効果顔料予混合物AS1〜AS20のいくつかの貯蔵安定性についての研究を、上記の方法に従って行う。表7.1は結果をまとめたものである。
Figure 2020514517
本発明の混合ワニスML5およびML7(AS4〜AS5、AS9〜10、AS14〜15を製造するために使用される)をベースとした効果顔料予混合物は、傑出した貯蔵安定性を有する。ポリエステル樹脂およびブチルグリコールを使用した、または非発明の混合ワニスML1(欧州特許第1799783(B1)号に基づく方法において製造される)を使用した効果顔料予混合物は、対照的に、場合により、使用する顔料によっては、劇的なセラムの形成を示した。
7.2 効果顔料予混合物AS21〜AS28のいくつかの貯蔵安定性についての研究を、上記の方法に従って行う。表7.2は結果をまとめたものである。
Figure 2020514517
研究した全ての予混合物AS21、AS23〜AS25およびAS27〜AS28は、傑出した貯蔵安定性を有する。
7.3 効果顔料予混合物AS29およびAS30の貯蔵安定性についての研究を、上記の方法に従って行う。表7.3は結果をまとめたものである。
Figure 2020514517
例えば、BASF SE製の商標名Paliocrom(登録商標)で得られる酸化鉄塗装アルミニウム顔料を、本発明の混合ワニスML6を使用して処理し、安定性の予混合物を形成することができることは明らかであり、これは、濾過後でも、例えば、不十分な安定化の結果として生じる顔料の塊などの残留物を示さない。
8.水性ベースコート材料およびそれから得られた塗料の特性の研究および比較
8.1 フロップおよびポッピングの発生に関しての、WBL1、WBL2、WBL4およびWBL4(全て非発明のもの)ならびに水性ベースコート材料WBL3およびWBL6(両方とも本発明のもので、それぞれ、本発明の混合ワニスML3を含む)間の比較
フロップおよびポッピングの発生に関してのWBL1〜WBL6の研究を、上記の方法に従って行った。表8.1および8.2は結果をまとめたものである。
Figure 2020514517
Figure 2020514517
従来技術と比較して、すなわち、ブチルグリコール(WBL1およびWBL4)と組み合わせた、および、それぞれ欧州特許第1534792(B1)号、11段1〜13行に基づく方法において製造された混合ワニスML2(WBL2およびWBL5)と組み合わせたポリエステル樹脂中の顔料の予混合物と比較して、本発明の混合ワニスML3の使用は、いずれの場合もフロップに関しては同様の結果をもたらす。ポッピングに対する感受性も同様に、WBL3およびWBL6の製造において使用される混合ワニスML3によって悪影響を受けない。
8.2 フロップの面での、WBL7およびWBL10(非発明)と水性ベースコート材料WBL8およびWBL9(本発明の混合ワニスML4を含む)ならびに、それぞれ、WBL11およびWBL12(本発明の混合ワニスML5を含む)との間の比較
フロップに関してのWBL7〜WBL12の研究を、上記の方法に従って行う。表8.3は結果をまとめたものである。
Figure 2020514517
フロップに関しては、WBL8およびWBL11ならびにWBL9およびWBL12それぞれの製造において使用される、本発明の混合ワニスML4およびML5で達成可能な結果は、従来技術(欧州特許第1799783(B1)号に基づく方法において製造され、WBL7およびWBL10の製造において使用されるML1)と比較して達成されたものと同等であるが、7.1で既に記載したML1と比較して、ML5(ML4も)では、顕著に優れた効果顔料予混合物の貯蔵安定性が達成される(表7.1:AS2、AS7、AS12およびAS17(全てML1を含有する)AS4、AS9、AS14およびAS19(全てML5を含有する)との比較を参照)。さらに、この混合ワニスは非常に少量の有機溶媒(約5質量%)しか含有しないため、ML5は、例えばベースコート材料の配合中でより自由を与える。
8.3 色相およびフロップに関しての、WBL13〜WBL15、WBL18〜WBL20、WBL23〜WBL25およびWBL28〜WBL30(全て本発明ではない)と、水性ベースコート材料WBL16およびWBL17、WBL21およびWBL22、WBL26およびWBL27、ならびにWBL31およびWBL32との間の比較
フロップおよび色相それぞれに関してのWBL13〜WBL32の検討を、上記の方法に従って行った。表8.4は結果をまとめたものである。
Figure 2020514517
結果は、本発明の混合ワニスML7により、いずれの場合も、標準物質と同じレベルに位置しているフロップ効果を達成することが可能であることを実証している。さらに一般には、ML7をベースとする水性ベースコート材料は、比較例のベースコート材料より高い固形分を有する。特に、非発明の混合ワニスML2の使用は、非常に良好な効果顔料の配向をもたらすが、スプレー粘度を設計するために水で補償する必要がある、比較的高い増粘剤の分率に起因して、固形分が低くなる傾向がある。
8.4 異なる塗装系における、また凝縮水への曝露の前後の外観における(再仕上げ)付着特性の面での、非発明の水性ベースコート材料WBL33と水性ベースコート材料WBL34(本発明の混合ワニスML6を含有する)との比較
WBL33およびWBL34に対する研究を、上記の方法に従って行った。表8.5および8.6は結果をまとめたものである。
Figure 2020514517
従来技術(欧州特許第1534792(B1)号、11段1〜13行に基づく方法において製造されたML2)と比較した本発明の混合ワニスML6の使用は、凝縮前後の外観に対して悪影響がない。全ての塗装系は、ブリスターおよび膨れがなく、同様の測定値を出した。
Figure 2020514517
付着特性も同様に、類似したものであることが判明し、ストーンチップ付着に関しては、水性ベースコート材料WBL33(非発明の混合ワニスML2を含有する)およびWML34(本発明の混合ワニスML6を含有する)の両方で、全ての塗装系にわたって同じ値が見出された。測定値において、当業者が推測する変動幅の範囲内で、ストーンチップに対する水蒸気噴流試験の値も同様であると解釈することができる。

Claims (15)

  1. (a)少なくとも1種の効果顔料と、
    (b)少なくとも1種のポリマーと、を含む水性効果顔料ペーストであって、
    前記(b)少なくとも1種のポリマーは平均粒径が100〜500nmの範囲であり、水中のオレフィン性不飽和モノマーの3種のモノマー混合物(A)、(B)および(C)の逐次ラジカル乳化重合によって製造可能であり、
    混合物(A)が、25℃での水中の溶解度が0.5g/l未満の少なくとも50質量%のモノマーを含み、前記混合物(A)から製造されたポリマーのガラス転移温度が10〜65℃であり、
    混合物(B)が、少なくとも1種のポリ不飽和モノマーを含み、前記混合物(B)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−35〜15℃であり、
    混合物(C)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−50〜15であり、
    i. まず、前記混合物(A)が重合され、
    ii. 次いで、i.で製造されたポリマーの存在下で前記混合物(B)が重合され、
    iii. その後、ii.で製造されたポリマーの存在下で前記混合物(C)が重合されることを特徴とする水性効果顔料ペースト。
  2. 前記効果顔料(a)を、前記効果顔料ペーストの総質量に対して少なくとも10質量%の量で含む、請求項1に記載の効果顔料ペースト。
  3. 少なくとも1種の効果顔料(a)として、金属効果顔料および/またはマイカ顔料担持金属酸化物を含む、請求項1または2に記載の効果顔料ペースト。
  4. 少なくとも1種の効果顔料(a)として、アルミニウム顔料を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  5. 前記効果顔料ペースト中の前記少なくとも1種の効果顔料(a)と前記ポリマー(b)との相対質量比が、10:1から1:1の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  6. 前記ポリマー(b)を、前記効果顔料ペーストの総質量に対して1.5〜20質量%の範囲の量で含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  7. それぞれの場合において、前記混合物(A)、(B)および(C)の個々の量の合計に対して、前記ポリマー(b)を製造するために使用した前記混合物(A)の分率が0.1〜10質量%であり、前記ポリマー(b)を製造するために使用した前記混合物(B)の分率が60〜80質量%であり、前記ポリマー(b)を製造するために使用した前記混合物(C)の分率が10〜30質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  8. 前記混合物(A)が、アルキル基を有する、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸の単不飽和エステルと、ビニル基を含み、前記ビニル基上に配置された、芳香族であるか、または混合された飽和脂肪族−芳香族である基を有し、後者の場合に、前記基の脂肪族部分がアルキル基である、少なくとも1種のモノオレフィン性不飽和モノマーと、を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  9. 少なくとも1種のポリオレフィン性不飽和モノマー以外の前記混合物(B)が、アルキル基を有する、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸の単不飽和エステルと、ビニル基を含み、前記ビニル基上に配置された、芳香族であるか、または混合された飽和脂肪族−芳香族である基を有し、後者の場合に、前記基の脂肪族部分がアルキル基である、少なくとも1種のモノオレフィン性不飽和モノマーと、をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  10. 前記混合物(A)および(B)が、ヒドロキシ官能性モノマーおよび酸官能性モノマーのいずれも含有しない、請求項1から9のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  11. 前記混合物(C)が、少なくとも1種のα−β不飽和カルボン酸と、ヒドロキシル基によって置換されたアルキル基を有する、少なくとも1種のメタ(アクリル)酸の単不飽和エステルと、アルキル基を有する、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸の単不飽和エステルと、を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  12. 前記ポリマー(b)を製造するための段階iからiiiにおける、オレフィン性不飽和モノマーの計量添加が、反応液中の遊離モノマーの分率が、全反応時間にわたって、各重合段階において使用したモノマーの総量に対して6.0質量%以下になるような方法で行われる、請求項1から11のいずれか一項に記載の効果顔料ペースト。
  13. 水性ベースコート材料であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1種の効果顔料ペーストを成分(1)として、ベースコート材料の製造に好適であり、結合剤として使用できる少なくとも1種のポリマーを含む、少なくとも1種の水性成分(2)と混合することによって製造可能であり、結合剤として使用できるこのポリマーが、同様に前記効果顔料ペースト中に存在するポリマー(b)を含み、かつ/またはそれとは異なる少なくとも1種のポリマーを含む、水性ベースコート材料。
  14. (1a)水性ベースコート材料を基材に施与し、
    (2a)段階(1a)で施与した塗料からポリマー膜を形成し、
    (1b)任意に、さらなる水性ベースコート材料を、前記形成されたポリマー膜に施与し、
    (2b)任意に、段階(1b)で施与した塗料からポリマー膜を形成し、
    (3)これにより得られた1以上のベースコート膜に、クリアコート材料を施与し、、続いて、
    (4)(各)ベースコート膜を、クリアコート膜とともに一緒に硬化させることによって、
    マルチコート塗装系を製造する方法であって、
    請求項13に記載のベースコート材料が、段階(1a)で使用されるか、または、前記方法が、段階(1b)および(2b)をさらに含む場合、段階(1a)および/もしくは(1b)で使用される、方法。
  15. 水中のオレフィン性不飽和モノマーの3種のモノマー混合物(A)、(B)および(C)の逐次ラジカル乳化重合によって製造可能な、粒径100〜500nmのポリマーを使用する方法であって、
    前記混合物(A)が、25℃での水中の溶解度が0.5g/l未満の少なくとも50質量%のモノマーを含み、前記混合物(A)から製造されたポリマーのガラス転移温度が10〜65℃であり、
    混合物(B)が、少なくとも1種のポリ不飽和モノマーを含み、前記混合物(B)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−35〜15℃であり、
    混合物(C)から製造されたポリマーのガラス転移温度が−50〜15であり、
    i. まず、前記混合物(A)が重合され、
    ii. 次いで、i.で製造されたポリマーの存在下で前記混合物(B)が重合され、
    iii. その後、ii.で製造されたポリマーの存在下で前記混合物(C)が重合される、
    水性効果顔料ペースト中に効果顔料を分散させるための、使用方法。
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