JP2020514396A - Lrp1結合剤およびその使用 - Google Patents

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Abstract

本明細書では、LRP1の結合ドメインIに結合し、Tsp−1を刺激することにおけるプロサポシンの活性を模倣する剤が提供される。さらに、本明細書では、プロテアーゼ、セリン2(PRSS2)のLRP1への結合を阻害することにより、PRSS2の機能(例えば、Tsp−1を抑制する能力)を阻害する剤が提供される。がんを処置することにおけるこれらの剤を使用する方法も提供される。

Description

関連出願
本願は、2017年3月22日に出願され、「LRP1結合剤およびその使用」と題された米国仮出願第62/475,133号の35 U.S.C. § 119(e)下の利益を主張し、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
背景
がん患者の治療の現在の標準は、広範に作用する細胞傷害剤(化学療法)、放射線、および、特定の分泌タンパク質、細胞表面受容体、またはキナーゼを標的とする指向性治療薬からなる。歴史的に、腫瘍微小環境を標的とする治療薬には、(抗VEGF療法に限定されていた)抗血管新生薬および免疫調節薬の2つのクラスがある。微小環境を標的とする療法の主な欠点の1つは、それらが直接的な抗腫瘍活性を有しないため、それらの単剤療法としての有効性が限定されていることである。逆に、直接的な抗腫瘍活性を有する、標的療法および化学療法の主な欠点は、意図しない有害な副作用に加えて、患者が薬物に対する耐性を発現することである。
概要
本明細書では、強力な抗血管新生かつ抗腫瘍形成タンパク質であるトロンボスポンジン1(Tsp−1)の活性を刺激することにより、抗がん活性を有し、かつ、がんの再発および/または転移を防ぐためにがん微小環境を標的とする新規がん治療戦略が提供される。
本開示のいくつかの側面は、がんを処置する方法を提供し、該方法は、それを必要とする対象に、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)の結合ドメインIに結合する剤の有効量を投与することを含む。
いくつかの態様において、LRP1の結合ドメインIは、LRP1のアミノ酸1〜172を含む。いくつかの態様において、剤はタンパク質またはペプチドである。
いくつかの態様において、剤は抗体である。いくつかの態様において、抗体はポリクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体はLRP1の結合ドメインIにおけるアミノ酸151〜172(配列番号3)に結合する。
いくつかの態様において、剤は小分子である。いくつかの態様において、小分子は以下からなる群から選択される:脂質、単糖、二次情報伝達物質、代謝産物、および生体異物。
いくつかの態様において、剤のLRP1の結合ドメインIへの結合は、Rho−GTPase経路を活性化する。いくつかの態様において、Rho経路はLRP1媒介Rho−GTPase経路である。いくつかの態様において、剤のLRP1の結合ドメインIへの結合はトロンボスポンジン1(Tsp−1)を刺激する。
いくつかの態様において、剤は、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、気管内、脳室内、静脈内、または腹腔内投与される。
いくつかの態様において、がんは転移性である。いくつかの態様において、がんは、胆道がん;膀胱がん;脳がん;神経膠芽腫;髄芽腫;乳がん;子宮頚がん;絨毛癌;大腸がん;子宮内膜がん;食道がん;胃がん;血液腫瘍;急性リンパ性および骨髄性白血病;多発性骨髄腫;エイズ関連白血病および成人T細胞白血病、リンパ腫;上皮内腫瘍;ボーエン病;パジェット病;肝臓がん;肺がん;リンパ腫;ホジキン病;リンパ球性リンパ腫;神経芽細胞腫;口腔がん;扁平上皮癌;卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;直腸がん;肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;脂肪肉腫;線維肉腫;骨肉腫;皮膚がん;睾丸がん;間質腫瘍および生殖細胞腫瘍;甲状腺がん;および腎臓がんである。いくつかの態様において、がんは前立腺がん、乳がん、卵巣がん、または膵臓がんである。
本開示の他の側面は、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)の結合ドメインIに結合する抗体を提供する。いくつかの態様において、LRP1の結合ドメインIはLRP1のアミノ酸1〜172を含む。いくつかの態様において、抗体は、LRP1の結合ドメインIにおけるアミノ酸151〜172(配列番号3)に結合する。
いくつかの態様において、抗体はポリクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体はTsp−1を刺激する。
さらに、本明細書では、トロンボスポンジン1(Tsp−1)を刺激する剤の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを処置する方法が提供される。いくつかの態様において、剤は、Tsp−1を抑制するプロテアーゼ、セリン2(PRSS2)の能力を阻害する。いくつかの態様において、剤はLRP1の結合ドメインIに結合する。いくつかの態様において、剤は、PRSS2の低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)への結合を阻害する。
さらに、本明細書では、プロテアーゼ、セリン2(PRSS2)の機能を阻害する第1の剤の有効量、および低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)の結合ドメインIに結合する第2の剤の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを処置する方法が提供される。いくつかの態様において、第1の剤および第2の剤は同時に投与される。いくつかの態様において、第1の剤および第2の剤は連続的に投与される。
開示の1以上の態様の詳細は、以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴または利点は、以下の図面およびいくつかの態様の詳細な説明から、また添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の側面をさらに実証するために含まれ、本明細書に提示される特定の態様の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1以上を参照することにより、よりよく理解され得る。図面中:
図1.ビヒクルコントロールまたは20および40mg/kg/日の用量のペプチドで処置したAsPc1腫瘍の平均腫瘍量のプロット。 図2A〜2B.(図2A)原発性膵臓腫瘍および(図2B)プサプチドまたはビヒクルコントロールで処置したマウスの肺および脾臓の代表的な画像。 図3A〜3B.(図3A)患者の腹水から確立された9つの卵巣がん細胞株および(図3B)乳がん細胞株MCF7、SkBr3、およびMDA−MB−231におけるCD36およびβ−アクチンのウェスタンブロット。 図4.SCIDマウスは、1x10個の卵巣がん細胞が注射され、ペプチド(40mg/kg/QD)またはシスプラチン(4mg/kg QOD)で処置された(n=12/群)。 図5.ビヒクルコントロールまたはペプチド(プサプチド)で処置されたマウスの腹水におけるGr1+(x軸)細胞およびCD11b+(y軸)細胞のFACS分析。
図6A〜6B.(図6A)未処置(−)またはPC3細胞単独のまたはRAPと組み合わせた馴化培地で処置した前立腺線維芽細胞におけるTsp−1およびβ−アクチンの発現、および(図6B)未処置(−)またはPC3細胞単独のまたはPKC阻害剤Go6983(PKCi)と組み合わせた馴化培地で処置した前立腺線維芽細胞におけるTsp−1、p53およびβ−アクチンの発現のウェスタンブロット分析。 図7.未処置(−)またはPC3細胞またはPC3M−LN4細胞の馴化培地で処置した、空のベクター(pLKO)またはLRP1に特異的な2つの独立したshRNA配列を発現するレンチウイルスベクターが形質導入されたMRC5肺線維芽細胞におけるTsp−1、p53およびβ−アクチン発現のウェスタンブロット分析。 図8A〜8B.(図8A)未処置(−)またはpsapペプチド単独または25または50μgのrhRAPと組み合わせて処置された肺線維芽細胞におけるTsp−1およびβ−アクチン発現のウェスタンブロット分析、および(図8B)未処置(−)またはpsapペプチド単独またはY27632で処置された、肺線維芽細胞におけるTsp−1およびβ−アクチン発現のウェスタンブロット分析。
図9.未処置(−)またはNaClの濃度を上げながらCu2+/ヘパリンセファロースカラムで分画したLN4 CMで処置した肺線維芽細胞におけるTsp−1およびβ−アクチン発現のウェスタンブロット分析。 図10.PC3およびPC3M−LN4細胞におけるPRSS2およびβ−アクチン発現のウェスタンブロット分析。 図11.未処置(−)またはLN4 CM単独またはSTIとの組み合わせで処置された肺線維芽細胞におけるTsp−1およびβ−アクチン発現のウェスタンブロット分析。 図12.未処置(−)またはLN4 CM単独またはRac1阻害剤と組み合わせて処置された肺線維芽細胞におけるTsp−1およびβ−アクチン発現のウェスタンブロット分析。 図13A〜13B。(図13A)miniLRP1受容体の模式図。(図13B)未処置(−)または環状プロサポシンペプチドで処置した293T細胞におけるTsp−1、miniLRPおよびβ−アクチン発現のウェスタンブロット分析。
図14A〜14B.プロサポシンおよびPRSS2の両方がTsp−1発現の調節のためのLRP1を必要とする。 図15A〜15C.PRSS2をサイレンシングすることにより、Tsp−1抑制および腫瘍形成が遮断される。 図16A〜16B.LRP1ペプチドのPSAP(図16A)またはPRSS2(図16B)との免疫共沈降。 図17.PRSS2の活性部位における変異は、Tsp−1の抑制に影響を与えない。変異は、PRSS2の酵素活性を消失させるであろうPRSS2活性部位においてなされた。変異体は配列決定され、変異の存在を確認した。野生型および変異体PRSS2タンパク質は293T細胞に異所的にトランスフェクトし、馴化培地を使用してWI−38線維芽細胞を処置した。次いで、Tsp−1およびβ−アクチン発現はウェスタンブロットによって分析された。Tsp−1を抑制するPRSS2の能力は影響を受けないことがわかり、LRP1の結合部位は活性部位になく、この領域に対する抗体は酵素のプロテアーゼ活性に影響を与えないことを示した。
特定の態様の詳細な説明
本明細書では、抗がん活性、および、がんの再発および/または転移を防ぐためにがん微小環境を標的とする能力の両方を有する新規がん治療戦略が提供される。本明細書に記載の抗がん戦略は、少なくとも部分的に、強力な抗血管新生かつ抗腫瘍形成タンパク質であるトロンボスポンジン1(Tsp−1)の活性を刺激することに依存している。「Tsp−1」は、ジスルフィド結合ホモ三量体タンパク質のサブユニットである。Tsp−1は、細胞と細胞および細胞とマトリックスの相互作用を媒介する接着性糖タンパク質である。Tsp−1は、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、V型コラーゲン、およびインテグリンアルファ−V/ベータ−1に結合し、血小板凝集、血管新生、および腫瘍形成に役割を果たすことが示されている。本開示の目的のために、Tsp−1は強力な抗腫瘍形成因子かつ抗血管新生因子であり、その活性化は腫瘍増殖および転移を抑制し、腫瘍微小環境における血管新生を抑制する。
プロサポシンまたはプロサポシン由来ペプチドは、Tsp−1の活性を刺激できることが以前に示され、複数種のがんを処置することに有効である(例えば、PCT公開WO2009002931、WO/2011/084685およびWO/2013/096868、WO2015148801および米国特許出願第12/640,788号および第13/516,511号を参照、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
本開示は、少なくとも部分的に、プロサポシンまたはプロサポシン由来ペプチドのTsp−1に対する刺激活性が低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)によって媒介されるという発見に基づいている。「低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)」、別名アルファ−2−マクログロブリン受容体(A2MR)、アポリポタンパク質E受容体(APOER)、または表面抗原分類91(CD91)は、受容体媒介エンドサイトーシスに関与する細胞の細胞膜において発見された受容体を形成するタンパク質である。ヒトでは、LRP1はLRP1遺伝子によってコードされている。LRP1は重要なシグナル伝達タンパク質であり、リポタンパク質代謝および細胞運動などの様々な生物学的プロセス、および神経変性疾患、アテローム性動脈硬化、およびがんなどの疾患に関与している。
LRP1遺伝子は、トランスゴルジ複合体のフューリンによって処理され、非共有結合で結合する515kDaのアルファ鎖および85kDaのベータ鎖をもたらす、600kDaの前駆体タンパク質をコードする。LDLRファミリーのメンバーとして、LRP1は、システインに富む補体型リピート、EGF(遺伝子)リピート、β−プロペラドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含む。LRP1の細胞質ドメインはアルファ鎖であり、2、8、10、および11個のシステインに富む補体型リピートを含む4つのリガンド結合ドメイン(「結合ドメインI〜IV」と呼ばれる)を含む。これらのリピートは、細胞外マトリックスタンパク質、成長因子、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤複合体、およびリポタンパク質代謝に関与する他のタンパク質に結合する。4つのドメインのうち、IIおよびIVはタンパク質のリガンドの大部分に結合する。EGFリピートおよびβ−プロペラドメインは、エンドソーム内部などの低pH条件でリガンドを放出し、β−プロペラはリガンド結合リピートでリガンドを置換すると仮定されている。膜貫通ドメインは、100残基の細胞質側末端を含むβ鎖である。この側末端は、エンドサイトーシスおよびシグナル伝達におけるタンパク質の機能を担う2つのNPxYモチーフを含む。
今日まで、LRP1の結合ドメインIに結合するリガンドは同定されていない。本明細書に記載されるように、LRP1の結合ドメインIは、LRP1のおよそアミノ酸1〜200を含み、LRP1の最初の2つのβ−プロペラドメインを含む。「およそ」は、LRP1の結合ドメインIが200アミノ酸よりも15%以下で長いまたは短いものであり得ることを意味する。例えば、LRP1の結合ドメインIは、LRP1タンパク質のアミノ酸
を含み得る。いくつかの態様において、LRP1の結合ドメインIは、LRP1タンパク質のアミノ酸1〜172を含む。
本開示は、LRP1の結合ドメインIに結合するリガンドの同定をさらに提供する。本開示の図および例で実証されるように、プロサポシンまたはプロサポシン由来ペプチドはLRP1の結合ドメインIに結合することが見出され、プロサポシン由来ペプチドの結合はTsp1を活性化し、がんを抑制する(例えば、図13Aおよび13B)。本開示において同定されるLRP1の結合ドメインIの別のリガンドは、プロテアーゼ、セリン2(PRSS2)である(例えば、図10)。「PRSS2」は、トリプシノーゲンであり、セリンプロテアーゼのトリプシンファミリーのメンバーである。PRSS2は膵臓によって分泌され、小腸でその活性型に切断される。それはリジンまたはアルギニンのカルボキシル基に関与するペプチド結合に対して活性がある。本明細書で実証されるように、PRSS2は腫瘍微小環境におけるTsp−1の活性を抑制し、したがってがんの進行を促進する。Tsp−1を抑制するPRSS2の能力は、PRSS2のLRP−1タンパク質の結合ドメインIへの結合によって媒介される。
したがって、本開示のいくつかの側面は、LRP1の結合ドメインIに結合する剤を提供する。かかる剤は、プロサポシンまたはプロサポシン由来ペプチドの活性を模倣し、LRP1の結合ドメインIに結合するときにTsp−1を活性化する。いくつかの態様において、剤は、LRP1タンパク質のアミノ酸1〜172内のペプチドに結合する。いくつかの態様において、剤は、LRP1タンパク質のアミノ酸140〜180の領域内のペプチドに結合する。例えば、限定することなく、剤は、LRP1タンパク質のアミノ酸
に結合し得る。
いくつかの態様において、剤は、LRP1タンパク質のアミノ酸151〜172に結合する。例えば、剤は、LRP1タンパク質のアミノ酸
に結合し得る。
いくつかの態様において、剤は、LRP1タンパク質の結合ドメインIにおけるアミノ酸140〜164に結合する。例えば、剤は、LRP1タンパク質のアミノ酸
に結合し得る。
いくつかの態様において、剤は、LRP1タンパク質の結合ドメインIにおけるアミノ酸151〜164に結合する。例えば、剤は、LRP1タンパク質のアミノ酸
に結合し得る。
いくつかの態様において、剤は、LRP1タンパク質(例えば、アミノ酸1〜172)の結合ドメインIの種々の部分に結合する剤の混合物であり得る。
全長LRP1、LRP1のアミノ酸1〜172、LRP−1のアミノ酸140〜164、LRP1のアミノ酸151〜172、およびLRP1のアミノ酸151〜164のアミノ酸配列が提供される。本明細書で提供されるアミノ酸番号は、全長LRP1タンパク質に対応している。当業者は、本明細書に記載の剤により結合されるペプチドの位置およびアミノ酸配列を確認することができる。
いくつかの態様において、LRP1の結合ドメインIに結合する剤はタンパク質またはペプチドである。いくつかの態様において、LRP1の結合ドメインIに結合する剤は抗体である。いくつかの態様において、LRP1の結合ドメインIに結合する剤は抗体断片である。いくつかの態様において、LRPタンパク質の結合ドメインI(例えば、アミノ酸1〜172)に結合する剤は小分子である。当業者は、任意のタンパク質またはペプチドに結合する小分子を同定する方法に精通している。
本明細書に記載の剤(例えば、抗体または小分子)は、LRP1タンパク質の結合ドメインI(例えば、アミノ酸1〜172)に結合するときにRho−GTPase経路を活性化する。いくつかの態様において、Rho−GTPase経路はLRP1によって媒介される。これは、少なくとも部分的に、プロサポシン由来ペプチドがRho−GTPase経路をLRP1依存的な様式で活性化し(例えば、図8A)、次にTsp−1を刺激し、がんを抑制するという本開示の発見、および、プロサポシン由来ペプチドが結合ドメインIにおけるLRP1に結合する(例えば、図13Aおよび13B)という本開示の発見に基づいている。
「Rho−GTPase」は、すべての真核細胞の様々なシグナル伝達経路を制御する分子スイッチである。Rho GTPaseは、アクチン細胞骨格の調節、細胞極性、微小管ダイナミクス、膜輸送経路、および転写の調節に重要な役割を果たす。「Rho−GTPase経路」は、Rho GTPaseによって調節されるシグナル伝達経路を指す。「Rho−GTPase経路を活性化する」は、Rho GPTaseによって調節されるシグナル伝達経路の強度が、活性化後に以前と比較して、少なくとも30%(たとえば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍以上)増強されることを意味する。
本明細書で使用される「刺激する」は、生体分子(例えば、タンパク質)のレベルまたは活性を活性化または増加させることを意味する。例えば、本開示の剤が「Tsp−1を刺激する」は、Tsp1の発現レベルまたは活性レベルが、剤の存在下で、剤の非存在下と比較して、少なくとも30%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍以上)増加することを意味する。
さらに、本明細書では、PRSS2の機能を阻害する剤が提供される。「PRSS2の機能」は、そのプロテアーゼ機能およびそれが有する任意の他の生物学的機能を指す。PRSS2の既知の生物学的機能は、以下を含むが、これらに限定されない:(i)膵炎を有する対象における上方制御;(ii)卵巣腫瘍におけるプロウロキナーゼの活性化;(iii)関節リウマチ滑膜炎組織におけるII型コラーゲン三重らせんの切断;および(iv)II型コラーゲンに富む軟骨マトリックスの分解。本明細書では、PRSS2がLRP1に結合し、Tsp−1を抑制することが記載されている。
いくつかの態様において、剤は、Tsp−1を抑制するPRSS2の能力を阻害し得る。いくつかの態様において、剤はPRSS2の発現を阻害する。いくつかの態様において、剤は、PRSS2のLRP1への(例えば、LRP1の結合ドメインIへの)結合を阻害する。いくつかの態様において、剤は、PRSS2の酵素活性(プロテアーゼ活性)を阻害しない。
本明細書で使用される「阻害する」は、発現を防止すること、タンパク質(例えばPRSS2)のレベルを低下させること、または生体分子(例えばタンパク質)の活性を減少させることを意味する。例えば、PRSS2の発現を阻害する剤は、PRSS2の発現を防止し得、またはPRSS2のレベルを、剤の非存在下と比較して、少なくとも30%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%以上)低下させ得る。PRSS2のLRP1への結合を阻害する剤は、LRP1に結合するPRSS2の量を、剤の非存在下と比較して(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%以上)低下させ得る。
タンパク質の発現を阻害する剤は、当該技術分野で知られている。例えば、タンパク質発現はRNA干渉(RNAi)によって阻害され得る。「RNA干渉(RNAi)は、標的mRNA分子を中和することにより、RNA分子が遺伝子発現または翻訳を阻害する生物学的プロセスである。いくつかの態様において、剤は、PRSS2の発現を阻害するマイクロRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、またはショートヘアピンRNA(shRNA)である。「マイクロRNA」は、RNAサイレンシングおよび遺伝子発現の転写後調節において機能する小さな非コードRNA分子(約22ヌクレオチドを含む)である。「siRNA」は、タンパク質コード遺伝子の短期サイレンシングを誘導するために一般的に使用されるRNA干渉(RNAi)ツールである。siRNAは、分解のために特定のmRNAを特異的に標的とするように設計された合成RNA二重鎖である。「shRNA」は、RNA干渉(RNAi)を介して標的遺伝子発現をサイレンシングするために使用できる、タイトなヘアピンターンを持つ人工RNA分子である。細胞におけるshRNAの発現は、典型的には、プラスミドの送達によって、またはウイルスまたは細菌ベクターを通じて達成される。いくつかの態様において、PRSS2の発現を阻害するshRNAは、CCGGTCTGAGTTCTGGTGCCGACTACTCGAGTAGTCGGCACCAGAACTCAGATTTTTGのヌクレオチド配列(配列番号4)を含む。例示的なshRNA配列は限定することを意味していない。当業者は、本明細書に記載のRNA分子のいずれかを使用する遺伝子サイレンシングの方法に精通している。
いくつかの態様において、剤は、PRSS2のLRP1への結合を阻害する。いくつかの態様において、PRSS2のLRP1への結合を阻害することにより、PRSS2によるTsp−1の抑制が阻害される。「Tsp−1の抑制を阻害する」は、剤がTsp−1の発現または活性に対するPRSS2の抑制を、剤の非存在下と比較して、少なくとも30%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%以上)低下させることを意味する。
いくつかの態様において、PRSS2のLRP1への結合を阻害する剤は、PRSS2に結合するタンパク質またはペプチドである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、LRP1の結合ドメインI(例えば、LRP1のアミノ酸1〜172)に由来する。例えば、PRSS2のLRP1への結合を阻害するタンパク質またはペプチドは、LRP1タンパク質のアミノ酸
に対応するアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの態様において、PRSS2のLRP1への結合を阻害するタンパク質またはペプチドは、LRP1タンパク質のアミノ酸
に対応するアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%以上同一であるアミノ酸配列を含み得る。
いくつかの態様において、PRSS2のLRP1への結合を阻害するタンパク質またはペプチドは、LRP1タンパク質のおよそアミノ酸140〜180に対応するアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む。例えば、PRSS2のLRP1への結合を阻害するタンパク質またはペプチドは、LRP1タンパク質のアミノ酸
に対応するアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの態様において、PRSS2のLRP1への結合を阻害するタンパク質またはペプチドは、LRP1タンパク質のアミノ酸151〜172(配列番号3)に対応するアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、PRSS2のLRP1への結合を阻害するタンパク質またはペプチドは、LRP1タンパク質のアミノ酸140〜164(配列番号18)に対応するアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、PRSS2のLRP1への結合を阻害するタンパク質またはペプチドは、LRP1タンパク質のアミノ酸151〜164(配列番号19)に対応するアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、PRSS2のLRP1への結合を阻害するタンパク質またはペプチドは、抗体または抗体断片である。いくつかの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体はポリクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体は、PRSS2がLRP−1に結合するPRSS2の領域に結合する。いくつかの態様において、PRSS2機能を阻害する剤は小分子である。
用語「結合する」は、2つのエンティティ(例えば、2つのタンパク質)の関連付けを指す。2つのエンティティ(例えば、2つのタンパク質)は、それらの間の親和性(KD)が、<10−4M、<10−5M、<10−6M、<10−7M、<10−8M、<10−9M、<10−10M、<10−11M、または<10−12Mであるとき、互いに結合すると考えられる。当業者は、2つのエンティティ(例えば、2つのタンパク質)の親和性をどのように査定するかについて精通している。
用語「タンパク質」、「ペプチド」、および「ポリペプチド」は、本明細書では互換的に使用され、ペプチド(アミド)結合によって一緒に結合されたアミノ酸残基のポリマーを指す。用語は、任意の大きさ、構造、または機能のタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを指す。典型的には、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドは、少なくとも3アミノ酸長であろう。タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドは、個々のタンパク質またはタンパク質の集合を指し得る。タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドにおける1以上のアミノ酸は、例えば、炭水化物基、ヒドロキシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーション、機能化、または他の修飾のためのリンカーなどの化学的エンティティの追加により修飾され得る。タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドは、単一分子であっても、または多分子複合体であってもよい。タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドは、天然に存在するタンパク質またはペプチドの単なる断片であってもよい。タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドは、天然に存在する、組換え、または合成、またはそれらの任意の組み合わせのものであり得る。
タンパク質に「由来する」ペプチド(例えば、LRP1の結合ドメインIに由来するペプチド)は、ペプチドがタンパク質から得られ、それが対応するタンパク質の断片と相同性を共有するアミノ酸配列を有することを意味する。ペプチドのアミノ酸配列は、それが対応するタンパク質の断片のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一であってもよい。タンパク質に由来するペプチドは、化学修飾、アミノ酸置換、および/または非天然アミノ酸も含み得る。
「抗体」または「免疫グロブリン(Ig)」は、外因性物質(例えば、バクテリアおよびウイルスなどの病原体)を中和するために免疫系によって使用される、主に形質細胞によって生成される大きなY字型タンパク質である。抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMに分類される。「抗体」および「抗体断片」は、抗体全体および任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)またはその単鎖を含む。「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、またはその抗原結合部分を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3の3つのドメインで構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインで構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的な補体系の最初の成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。
基本的な4鎖抗体単位は、2つの同一のL鎖および2つのH鎖で構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は、5つの基本的なヘテロ四量体単位と、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドで構成され、したがって10の抗原結合部位を含み、一方、分泌されたIgA抗体は重合して、J鎖とともに2〜5個の基本的な4鎖単位を含む多価集合体を形成し得る)。IgGの場合、4鎖単位は一般に約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に結合しているが、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに結合している。各HおよびL鎖は、一定の間隔で鎖内ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、αおよびγ鎖の各々について3つの定常ドメイン(CH)、μおよびεアイソタイプについて4つのCHドメインがこれに続く。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)を有し、その他方の末端に定常ドメイン(CL)が続く。VLはVHとアラインメントし、CLは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とアラインメントする。特定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖の可変ドメインの間に界面を形成すると考えられている。VHおよびVLのペアリングは、単一の抗原結合部位を形成する。種々のクラスの抗体の構造および特性について(例えば、Basic and Clinical Immunology, 8th edition, Daniel P. Stites, Abba I. Terr and Tristram G. Parslow (eds.), Appleton & Lange, Norwalk, Conn., 1994, page 71 and Chapter 6、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
任意の脊椎動物種のL鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパおよびラムダと呼ばれる2つの明確に異なる種の1つに割り当てられ得る。免疫グロブリンは、重鎖(CH)の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、種々のクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。5つのクラスの免疫グロブリンがある:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM。それぞれα、δ、ε、γ、およびμと指定される重鎖を有する。γおよびαクラスは、CH配列および機能の比較的小さな違いに基づいてサブクラスにさらに分割される。例えば、ヒトは以下のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2。
Vドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は可変ドメインの110アミノ酸の範囲に均等に分布していない。代わりに、V領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる15〜30アミノ酸の比較的不変のストレッチで構成され、各々9〜12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極端な可変性のより短い領域で区切られる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは各々4つのFRを含み、βシート構造を接続し、場合によってはβシート構造の一部を形成するループを形成する3つの超可変領域によって接続された、βシート構成を主に採用する。各鎖の超可変領域はFRにより近接して一緒に保持され、他の鎖の超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照、これは参照により本明細書に組み込まれる)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)への抗体の関与など、様々なエフェクター機能を示す。
本開示にしたがって使用するための「抗体断片」は、抗体の抗原結合部分を含む。抗体の抗原結合部分は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって実行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例は、(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(例えば、Ward et al., (1989) Nature 341:544-546に記載、これは参照により本明細書に組み込まれる);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。さらに、Fv断片の2つのドメインVLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされているが、それらは組換え方法を使用して、合成リンカーによって結合され得、合成リンカーは、それらが、VLおよびVH領域が対になって一価分子を形成する単一タンパク質鎖として作成されることを可能にする(単鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。かかる単鎖抗体は、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることも意図されている。これらの抗体断片は、当業者に知られている従来の技術を使用して得られ、断片は、全長抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングされる。
いくつかの態様において、抗体断片は、Fc断片、Fv断片、または単鎖Fv断片であり得る。Fc断片は、ジスルフィドにより一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、この領域は、特定種の細胞に見られるFc受容体(FcR)によって認識される部分でもある。
Fv断片は、完全な抗原認識および結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなり、非共有結合で緊密に結合している。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖およびL鎖から各々3ループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
「sFv」または「scFv」とも略される単鎖Fvは、単一のポリペプチド鎖に接続されたVHおよびVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含む(例えば、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994); Borrebaeck 1995に記載、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
抗体は単離され得る。単離された抗体は、その自然環境の成分から同定および分離および/または回収されたものである。その自然環境の汚染成分は、抗体の診断的または治療的使用を妨げる材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。好ましい態様において、抗体は、(1)ローリー法によって決定される抗体の95重量%超、最も好ましくは99重量%超まで、(2)回転カップシークエネーター(spinning cup sequenator)の使用によるN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーまたは、好ましくは銀染色を使用した還元または非還元条件下でのSDS−PAGEによる均一性まで精製される。抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離された抗体は、組換え細胞内のin situの抗体を含む。しかしながら、通常は、少なくとも1つの精製ステップで単離された抗体が調製される。
いくつかの態様において、本開示の抗体はモノクローナル抗体である。「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体であり、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る潜在的な天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に向けられている。さらに、種々の決定基(エピトープ)に対する種々の抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体に汚染されずに合成され得る利点がある。修飾語「モノクローナル」は、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明において有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法論により調製され得、または、細菌、真核動物または植物細胞における組換えDNA方法を使用して作成され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。モノクローナル抗体は、例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)に記載の技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーからも単離され得、これは参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書のモノクローナル抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来する、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であるが、鎖(単数または複数)の残りが、所望の生物学的活性を示す限り、別の種に由来する、または別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体、ならびにかかる抗体の断片の対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体を含む(米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)を参照)。本明細書の目的のキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば、旧世界猿、類人猿など)に由来する可変ドメイン抗原結合配列、およびヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
いくつかの態様において、本開示の抗体はポリクローナル抗体である。「ポリクローナル抗体」は、抗原の複数の免疫原決定基と反応する種々の抗体分子の混合物である。ポリクローナル抗体は、哺乳動物の血液、分泌物、または他の体液、または卵から単離または精製され得る。ポリクローナル抗体も組換え体であり得る。組換えポリクローナル抗体は、組換え技術を使用して生成されたポリクローナル抗体である。組換えにより生成されたポリクローナル抗体は、通常、高濃度の種々の抗体分子を含み、その全部または大部分(例えば、80%超、85%超、90%超、95%超、99%超、またはそれよりも超えて)が、複数のエピトープで構成される抗原に対して所望の結合活性を示している。
抗体(例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)を産生する方法は、当該技術分野で知られている。例えば、ポリクローナル抗体は、動物、好ましくは哺乳動物を選択したアレルゲンで免疫し、続いて抗体産生Bリンパ球を血液、骨髄、リンパ節、または脾臓から単離することにより調製され得る。代替的に、抗体産生細胞は、動物から単離され得、抗体が産生されるアレルゲンにin vitroで曝露され得る。次いで、抗体産生細胞は培養され、任意で骨髄腫などの不死化細胞株と融合させた後、抗体産生細胞の集団を得ることができる。いくつかの態様において、Bリンパ球は、出発物質として、完全なヒトポリクローナル抗体を生成するために、アレルギー患者の組織から単離され得る。抗体は、マウス、ラット、ブタ(豚)、ヒツジ、ウシ材料、またはヒト免疫グロブリン遺伝子についての他のトランスジェニック動物において、完全ヒトポリクローナル抗体を生成するための出発材料として産生され得る。いくつかの態様において、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてのトランスジェニックマウスまたは他の動物(例えば、米国特許第5,939,598号に開示)では、動物は免疫され、Bリンパ球の抽出またはポリクローナル血清の精製による動物からのポリクローナル抗体の調製前に特定の抗体のin vivo生成および抗体産生細胞を刺激し得る。
モノクローナル抗体は、典型的には、骨髄腫細胞と所望の抗原で免疫したマウス脾臓細胞との融合を伴う細胞培養によって作成される(すなわち、ハイブリドーマ技術)。細胞の混合物は希釈され、マイクロタイターウェル上の単一の親細胞からクローンを増殖させる。次いで、種々のクローンによって分泌された抗体は、抗原に結合するそれらの能力について(ELISAまたは抗原マイクロアレイアッセイまたはイムノドットブロットなどの試験で)アッセイされる。最も生産的かつ安定的なクローンが、将来の使用のために選択される。
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒトにおける使用のために(例えば、治療薬として)「ヒト化」される。非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含むキメラ抗体である。ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域の残基が、所望の抗体の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域の残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含み得る。これらの変更は、抗体の性能をさらに向上させるためになされる。一般に、ヒト化抗体は、すべてまたは実質的にすべての超可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、すべてまたは実質的にすべてのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのすべてを実質的に含む。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);および Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照。
本明細書で使用される「小分子」は、生物学的プロセスの調節において機能し得る低分子量(例えば、<900ダルトン)の有機または無機化合物の分子を指す。小分子の非限定的な例は、脂質、単糖、二次情報伝達物質、他の天然産物および代謝産物、ならびに薬物および他の生体異物を含む。
「脂質」は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、D、E、およびK)、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質などを含む天然に存在する分子の群を指す。「単糖」は、加水分解してより単純な糖を与えることができない糖(例えば、グルコース)のクラスを指す。単糖の非限定的な例は、グルコース(デキストロース)、フルクトース(レブロース)およびガラクトースを含む。「二次情報伝達物質」は、細胞表面の受容体で受け取った(例えば、タンパク質ホルモン、成長因子などからの)シグナルを、細胞質ゾルおよび/または核の標的分子に中継する分子である。二次情報伝達物質分子の非限定的な例は、サイクリックAMP、サイクリックGMP、イノシトール三リン酸、ジアシルグリセロール、およびカルシウムを含む。「代謝産物」は、代謝の中間産物として形成される分子である。代謝産物の非限定的な例は、エタノール、グルタミン酸、アスパラギン酸、5’グアニル酸、イソアスコルビン酸、酢酸、乳酸、グリセロール、およびビタミンB2を含む。「生体異物」は、通常は生物によって天然に産生されない、または生物内に存在するとは予想されない、生物内に見られる外来化学物質である。生体異物の非限定的な例は、薬物、抗生物質、発癌物質、環境汚染物質、食品添加物、炭化水素、および農薬を含む。
剤(例えば、LRP−1の結合ドメインIに結合するおよび/またはTsp−1を刺激する剤、またはTsp−1を阻害するPRSS2の能力を阻害する剤)は、医薬組成物に製剤化され得る。いくつかの態様において、医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。本明細書で使用される用語「薬学的に許容可能な担体」は、対象、例えばヒトへの投与に好適である1以上の適合性の固体または液体充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。薬学的に許容可能な担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者の組織に有害ではない(例えば、生理学的に適合性、無菌、生理学的pHなど)という意味で「許容可能」である。用語「担体」は、天然または合成の有機または無機成分を示し、活性成分と組み合わされて適用を促進する。医薬組成物の成分はまた、本開示の分子と、そして所望の医薬効果を実質的に損なう相互作用がないような方法で、互いに混合され得る。薬学的に許容可能な担体として機能し得る材料のいくつかの例は、以下を含む:(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)スターチ、例えばコーンスターチおよびポテトスターチ;(3)セルロース、およびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロースおよび酢酸セルロース;(4)トラガカント粉;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク;(8)賦形剤、例えばカカオバターおよび座薬ワックス;(9)油、例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG);(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンガー液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)充填剤、例えばポリペプチドおよびアミノ酸;(23)血清成分、例えば血清アルブミン、HDLおよびLDL;(22)C2〜C12アルコール、例えばエタノール;(23)医薬製剤に用いられる他の非毒性適合物質。湿潤剤、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤および抗酸化剤も製剤中に存在し得る。
医薬組成物は、単位剤形で便利に提供されてもよく、薬学の技術分野で周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。本開示の医薬組成物に関して使用されるときの用語「単位用量」は、対象の単位投薬量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な希釈剤(すなわち、担体またはビヒクル)に関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性物質を含む。
医薬組成物の製剤は、投与の経路に依存し得る。非経口投与または腫瘍内、腫瘍周囲、病巣内または病巣周囲投与に好適な注射用調製物は、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液を含み、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して既知の技術にしたがって製剤化され得る。滅菌注射用調製物は、例えば1,3プロパンジオールまたは1,3ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液または乳液でもあり得る。用いられ得る許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー液、U.S.Pおよび等張性塩化ナトリウム溶液などがある。さらに、無菌の固定油は溶媒または懸濁媒体として従来から用いられている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の刺激の少ない固定油が用いられ得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。注射可能な製剤は、例えば、バクテリア保持フィルターでの濾過により、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解または分散され得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌され得る。
局所投与の場合、医薬組成物は、当該技術分野で一般的に知られているように、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤化され得る。局所投与は、当該技術分野で周知の経皮送達系を利用し得る。例は、皮膚パッチである。
経口投与に好適な組成物は、各々が所定量の抗炎症剤を含むカプセル、錠剤、ロゼンジなどの個別の単位として提供され得る。他の組成物は、水性液体またはシロップ、エリキシルまたはエマルジョンなどの非水性液体中の懸濁液を含む。
他の送達系は、徐放、遅延放出、または持続放出送達系を含み得る。かかる系は、抗炎症剤の繰り返し投与を避けることができ、対象および医師の利便性を高める。多種の放出送達系が利用可能であり、当業者に知られている。それらは、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ無水物などのポリマーベースの系を含む。薬物を含む前述のポリマーのマイクロカプセルは、例えば、米国特許第5,075,109号に記載されている。送達系は、以下の非ポリマー系も含む:コレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸などのステロールを含む脂質、またはモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドなどの中性脂肪;ヒドロゲル放出系;シラスティック(sylastic)系;ペプチドベースの系;ワックスコーティング;従来の結合剤および賦形剤を使用した圧縮錠剤;部分的に融合したインプラントなど。具体的な例は、以下を含むが、これらに限定されない:(a)抗炎症剤がマトリックス内の形態で含まれる侵食系、例えば米国特許第4,452,775号、第4,667,014号、第4,748,034号および第5,239,660号に記載のもの、および、(b)活性成分が制御された速度でポリマーから浸透する拡散系、例えば米国特許第3,832,253号および第3,854,480号に記載されているもの。さらに、ポンプベースのハードウェア送達系が使用され得、その一部は移植に適合している。
長期持続放出インプラントの使用は、慢性症状の処置に特に好適であり得る。本明細書で使用される長期放出は、少なくとも30日間、好ましくは60日間、治療レベルの活性成分を送達するようにインプラントが構築および配置されることを意味する。長期持続放出インプラントは、当業者に周知であり、上記の放出系のいくつかを含む。
いくつかの態様において、治療的投与に使用される医薬組成物は無菌でなければならない。滅菌は、滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロンの膜)を通じた濾過により容易に達成される。代替的に、防腐剤を使用して、微生物の増殖または作用を防ぐことができる。様々な防腐剤が周知であり、例えば、フェノールおよびアスコルビン酸を含む。環状psapペプチドおよび/または医薬組成物は、通常、熱変性および酸化変性に対して非常に安定している場合、凍結乾燥形態で、または水溶液として保存される。調製物のpHは典型的には約6〜8であるが、特定の場合にはより高いまたはより低いpH値も適切であり得る。
本開示の他の側面は、本明細書に記載の剤および医薬組成物を使用して、がんを処置する方法を提供する。いくつかの態様において、方法は、それを必要とする対象に、Tsp−1を刺激する剤の有効量を投与することを含む。いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載のLRP−1の結合ドメインIに結合する剤(例えば、LRP1のアミノ酸151〜172を標的とする抗体)を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの態様において、方法は、Tsp−1を抑制するPRSS2の能力を阻害する剤を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの態様において、方法は、PRSS2(例えば、PRSS2のTsp−1を抑制する能力)を阻害する第1の剤の有効量、およびLRP1の結合ドメインIに結合する第2の剤の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。複数の剤が投与されるとき、それらは同時にまたは連続的に投与され得る。当業者(例えば、医師)は、投与の様式を決定することができる。
がんを「処置する」またはがんの「処置」は、がんの発症の予防、低減、または停止、がんの症状の低減または排除、がんの増殖の抑制または阻害、既存のがんの転移および/または浸潤の予防または低減、がんの退縮の促進または誘導、がん細胞の増殖の阻害または抑制、血管新生の低減および/またはアポトーシスのがん細胞の量の増加を含むが、これらに限定されない。
「有効量」は、がんの処置などの医学的に望ましい結果を提供するのに十分な剤の投薬量である。有効量は、処置中の特定の疾患または障害、処置中の対象の年齢および身体的状態、状態の重症度、治療の期間、併用療法の性質、特定の投与経路、および医療従事者の知識と専門知識内の同様の要因によって変化する。ヒトなどの対象への投与は、典型的には、約0.001、0.01、0.1、または1mg/kgから最大50、100、150、または500mg/kg以上の投薬量が用いられ得る。
いくつかの態様において、有効量は、対象に毒性を引き起こさない剤の投薬量である。いくつかの態様において、有効量は、対象に対する低下した毒性を引き起こす剤の投薬量である。毒性を測定するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、肝臓、脾臓、および/または腎臓の生検/組織学;肝臓毒性についてのアラニントランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼおよびビリルビンアッセイ、および腎臓毒性についてのクレアチニンレベル)。
本明細書に記載の剤および医薬組成物は、全身投与、局所投与または局部投与を含む様々な投与の様式用に製剤化され得る。様々な投与経路が利用可能である。選択される特定の様式は、処置されるがんの種類および治療効果に必要な投薬量に依存する。開示の方法は、一般的に言えば、医学的に許容可能である投与の任意の様式、すなわち臨床的に許容されない副作用を引き起こすことなく有効レベルの活性化合物を生成する任意の様式を使用して実施され得る。かかる投与の様式は、経口、直腸、局所、鼻、皮内、または非経口経路を含むが、これらに限定されない。用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、または点滴を含む。本明細書に記載の医薬組成物はまた、局所効果および全身効果を発揮するために、腫瘍内、腫瘍周囲、病変内、気管内、脳室内、腹腔内または病変周囲経路により好適に投与される。
技術および製剤は一般的にRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Pharmaceutical Press; 22nd edition および他の同様の参考文献において見出され得る。投与される場合、psapペプチドは、薬学的に許容可能な量および薬学的に許容可能な組成物で適用され得る。医薬組成物および薬学的に許容可能な担体も本明細書に記載されている。かかる調製物は、通常、塩、緩衝剤、防腐剤、適合性のある担体、および必要に応じて他の治療薬を含んでもよい。医薬で使用されるとき、塩は薬学的に許容可能であるべきであるが、薬学的に許容可能でない塩は、その薬学的に許容可能な塩を調製するために便利に使用され得、開示の範囲から除外されない。かかる薬理学的および薬学的に許容可能な塩は、以下の酸から調製されるものを含むが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸など。また、薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類塩として調製され得る。
いくつかの態様において、記載の剤または医薬組成物によるがんの処置は、化学療法剤、放射線、細胞増殖抑制剤、抗VEGF剤、抗血管新生因子、p53再活性化剤および/または手術などの別の療法と組み合わせることができる。
対象は、げっ歯類、例えばラットまたはマウス、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シチメンチョウ、ニワトリ、および霊長類、例えばサルを含むがこれらに限定されない、ヒトまたは脊椎動物、または哺乳動物を意味するものとする。本開示の方法は、それを必要とする対象を処置するのに有用である。それを必要とする対象は、(すなわち、遺伝子試験を介して)がんを発症するリスクを有する対象またはがんを有する対象であり得る。
がんを有する対象は、当該技術分野で公知の任意の方法(例えば、血液試験、組織学、CTスキャン、X線、MRI、身体検査、細胞遺伝学的分析、尿分析、または遺伝子試験)を使用して特定され得る。がんを有する疑いのある対象は、疾患の1以上の症状を示す場合がある。がんの徴候および症状は、当業者に周知である。いくつかの例示的な実験室の試験は、乳がんのがん抗原(CA)15−3、癌胎児性抗原(CEA)およびHER−2、子宮頸がんのヒトパピローマウイルス(HPV)E6およびE7腫瘍性タンパク質、アルファフェトタンパク質(AFP)、AFP画分L3、P4/5、および+IIバンド、前立腺がんの前立腺特異抗原(PSA)、および卵巣およびHCCの血清CA−125などのがんバイオマーカーについての試験および肝細胞癌(HCC)の超音波検査を含むが、これらに限定されない。
がんは良性または悪性であり得、転移している場合と転移していない場合がある。本明細書では、白血病、リンパ腫、ミエローマ、癌、転移性癌、肉腫、アデノ―マ、神経系がんおよび泌尿生殖器がんを含むがこれらに限定されない、任意の種類のがんが考慮される。例示的ながんの種類は、成人および小児の急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、AIDS関連がん、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、胆道がん、骨肉腫、線維性組織球腫、脳がん、脳幹神経膠腫、小脳星細胞腫、悪性神経膠腫、神経膠芽腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視床下部神経膠腫、乳がん、男性乳がん、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原因不明の癌、中枢神経系リンパ腫、小脳星細胞腫、悪性神経膠腫、子宮頚がん、小児がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性および骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸直腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜がん、上衣細胞腫、食道がん、ユーイング家系腫瘍、頭蓋外生殖細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼内ミエローマ、網膜芽腫、胆嚢がん、胃がん、消化管間質腫瘍、頭蓋外生殖細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、卵巣生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部および視覚経路神経膠腫、眼内メラノーマ、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、腎細胞がん、喉頭がん、口唇空洞がん、小細胞肺がん、非小細胞肺、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンストローム・マクログロブリン腫(Waldenstrom macroglobulinema)、悪性線維性組織球腫、髄芽腫、メラノーマ、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、扁平頸部がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体がん、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、前立腺がん、直腸がん、横紋筋肉腫、唾液腺がん、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、非メラノーマ皮膚がん、小腸がん、扁平上皮癌、扁平頸部がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、睾丸がん、咽頭がん、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、移行上皮がん、栄養芽球性腫瘍、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、絨毛癌、血液腫瘍、成人T細胞白血病、リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、間質腫瘍および生殖細胞腫瘍、またはウィルムス腫瘍を含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、がんはメラノーマまたは卵巣がんである。

がんの転移期への進行は、その致死性の主な要因である。腫瘍が致命的な転移を形成するためには、血管系またはリンパ系へのアクセスを獲得し(血管内侵入)、輸送中に生存し、血管またはリンパ管を出て(血管外遊出)、転移部位で増殖しなければならない[1]。このプロセスにおいて、腫瘍とその微小環境との間の異型シグナル伝達は、腫瘍の増殖、血管新生、および免疫応答を媒介する因子の産生および分泌を調節することにより、腫瘍の増殖に影響を及ぼし得る。プロサポシンおよびPRSS2の2つのタンパク質は、微小環境でTsp−1を調節する分泌タンパク質を同定するように設計された機能的プロテオミクスのスクリーニングを通じて同定された[2]。プロサポシンは、弱転移性の腫瘍によって優先的に発現され、腫瘍微小環境におけるTsp−1を刺激する。逆に、PRSS2は高転移性の細胞によって優先的に発現され、腫瘍微小環境においてTsp−1発現を阻害する。Tsp−1は、多様式の活性、具体的には、(1)それが広く作用する抗血管新生因子であること、(2)それがCD36を発現する腫瘍に対する直接的な抗腫瘍活性を有すること、および(3)それがCD47への結合を介してマクロファージの食作用およびT細胞の活性化を促進すること[3〜5]を介して腫瘍の増殖および進行を阻害する。プロサポシンのTsp−1刺激活性およびPRSS2のTsp−1抑制活性は、両方ともLRP1への結合を介して媒介されることが決定されている。本明細書では、プロサポシンのTsp−1刺激活性を模倣し、PRSS2のTsp−1抑制活性を遮断する抗体が提供される。
がん患者の治療の現在の標準は、特定の分泌タンパク質、細胞表面受容体、またはキナーゼを標的とする、広範に作用する細胞傷害剤(化学療法)、放射線、および指向性治療薬からなる。歴史的に、腫瘍微小環境を標的とする治療薬には、抗血管新生薬(抗VEGF療法に限定されていた)および免疫調節薬の2つのクラスがあった。微小環境を標的とする療法の主な欠点の1つは、直接的な抗腫瘍活性を有しないため、単剤療法としての有効性が限定されていることである。逆に、直接的な抗腫瘍活性を有する標的療法および化学療法の主な欠点は、意図しない有害な副作用に加えて、患者が薬物に対する耐性を発現することである。そのため、標的療法/化学療法および抗血管新生/免疫調節薬の組み合わせを伴う治療戦略は、抗腫瘍薬の活性を介して最初に腫瘍を縮小させ、次いで腫瘍微小環境を標的とする療法の活性を介して腫瘍を追い詰めて逃がさないという目的で使用されている。腫瘍微小環境を特異的に標的とする、強力な抗腫瘍、抗血管新生、および免疫調節活性を有するタンパク質であるTsp−1の発現を増加させる抗体の開発は、非常に大きな治療可能性を有するだろう。
プロサポシンは、腫瘍転移の新規抑制因子として最初に同定され、かかる阻害は、腫瘍微小環境においてp53、続いてTsp−1を刺激することにより達成されることが実証された[2]。強力な抗腫瘍および抗転移活性を有するプロサポシンからの5−アミノ酸環状ペプチドが同定された。目的1において、プサプチドの結合親和性および活性が最適化される。目的2において、最適化されたプサプチドが治療剤として開発され、原発性および転移性がんの正所性異種移植片、同系および自発的な遺伝モデルにおいて試験される。目的2において、CD36、CD47、Tsp−1およびpsapの発現についての患者の腫瘍組織試料もスクリーニングされ、プサプチドの潜在的な適応を拡大する。目標2については、コラボレーションが、ダナファーバーがん研究所およびハーバード大学医学部Drapkin研究室、ならびにノルウェーのベルゲン大学がんバイオマーカーセンターAkslen研究室、ブリガムアンドウィメンズ病院およびハーバード大学医学部Kimmelman研究室と行われる。
プサプチドは、原発性膵臓腫瘍の増殖および転移を阻害する
通常、腫瘍増殖を刺激して強力な抗血管新生および抗腫瘍形成タンパク質Tsp−1を発現するように動員される、骨髄由来骨髄細胞を刺激するプロサポシン由来の4−アミノ酸ペプチドが同定された。
プロサポシンペプチドは、腫瘍微小環境における骨髄由来細胞においてTsp−1を刺激することにより、転移を阻害することが示されている[6]。そのため、psapが、微小環境が腫瘍量の大部分を含むがんである転移性膵臓がんの処置に有効性を有するだろうという仮説を試験した[7]。したがって、ホタルルシフェラーゼを発現する1x10個のAsPc1ヒト膵臓がん細胞をSCIDマウスの膵臓に注入した。腫瘍を25日間増殖させ、その時点でルシフェラーゼ強度はすべての腫瘍について1x10超だった。次いで、20mg/kgおよび40mg/kg QDの用量のプサプチドで処置を開始した。コントロール(ビヒクル)処置マウスが瀕死になった21日間の処置後に、すべてのマウスを犠牲死させた。図1および2Aに示されているように、プサプチドは原発性腫瘍の増殖を著しく阻害することができた。さらに重要なことに、この細胞株および一般的な膵臓がんの転移の最も一般的な2つの部位である肝臓および脾臓の検査では、転移はまったく観察されなかった(図2B)。
複数のヒトがん細胞がCD36を発現する
Tsp−1は、細胞表面受容体CD36に結合することによりそのアポトーシス促進活性を引き出すため、ヒトがん細胞株がこの受容体を発現するかどうかを調べた。患者の腹水に由来する原発性ヒト卵巣がん細胞ならびに主要なサブタイプ(ER、HER2、およびトリプルネガティブ)を表す3つの乳がん細胞株のパネルをスクリーニングした。驚くべきことに、すべての細胞が容易に検出可能なレベルのCD36を発現していることがわかった(図3Aおよび3B)。この観察から、プサプチドは、CD36へのTsp−1結合を介して卵巣がん細胞にアポトーシスを誘導し、血管新生を阻害することにより、卵巣がんに対して著しい効力を有するだろうと予測された。この仮説は、目的1で試験される。
卵巣がんは、骨髄由来骨髄細胞をペプチドの標的である腹水に動員する。
プロサポシンおよび治療用ペプチドの活性が、Gr1/Cd11b単球によって媒介されることが実証された[6]。そのため、図4で処置したマウスの腹水を、FACS分析によってGr1/CD11b細胞の存在について調べた。コントロール処置マウスの腹膜液は、>70%Gr1/Cd11b細胞で構成され、ペプチド処置によって「治療」した腹腔マウスの液は約30%Gr1/Cd11b細胞で構成されていることを観察した(図5)。これは、卵巣腫瘍細胞がこれらのBM由来細胞を動員していることを示す。
Tsp−1のプロサポシン刺激はLRP1によって媒介される
低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)がプロサポシンの取り込みを媒介できることが実証されている[8]。したがって、プロサポシンが腫瘍関連線維芽細胞におけるTsp−1およびp53の発現をどのように刺激できるかを決定するため、受容体結合タンパク質(RAP)、拮抗阻害剤またはLRP1結合の存在下および非存在下で、前立腺線維芽細胞をPC3馴化培地で処置した。ウェスタンブロット分析は、RAPの存在下では、PC3馴化培地はもはやTsp−1を刺激しないことを明らかにした(図6A〜6B)。LRP1のライゲーションが細胞内Ca2+貯蔵を放出することも実証されている[9]。Tsp−1のプロサポシン媒介刺激がこの経路を利用するかどうかを決定するために、PKC阻害剤Go6983の存在下および非存在下で線維芽細胞をPC3細胞からのCMで処置した。ウェスタンブロット分析を介して、PKCの阻害によりTsp−1およびp53の刺激が消失することを観察した。したがって、プロサポシンはLRP1への結合を介して機能すると考えられる。
さらに、肺線維芽細胞におけるLRP1発現を2つの独立したshRNA配列でノックダウンし、Tsp−1発現への効果を調べた。LRP1をノックダウンすることは、刺激の非存在下ではTsp−1発現に効果を有しないことがわかった(図7)。細胞をRAPで処置することから得られた結果と一致して、肺線維芽細胞を弱転移性のPC3細胞株または転移性のPC3−LIN4細胞株のいずれかの馴化培地で処置したとき、空のベクターで形質導入された細胞において観察したように、Tsp−1の刺激を観察しなかった(図7)。驚くべきことに、LRP1をサイレンシングすることは、LN4馴化培地による抑制LRP1も抑止させ、この活性がLRP1の下流のシグナル伝達経路によっても媒介されることを示した(図7)。
プロサポシンによるLRP1からTsp−1刺激に至る経路を描くために、異なる条件下でLRP1によって刺激されることが報告されている2つの経路、RhoおよびRac[10]を選択して調べた。RAPの同時処置が用量依存的にTsp−1の刺激を遮断したため、ペプチドはLRP1依存的な様式でTsp−1を刺激することを観察した(図8A)。さらに、Rhoキナーゼ阻害剤Y27632の存在下で肺線維芽細胞をペプチドで処置したとき、Tsp−1の刺激を完全に抑止した(図8B)。
次いで、PC3M−LN4細胞が腫瘍微小環境においてTsp−1を抑制するメカニズムに注意を向けた。その際、LN4馴化培地(CM)を、NaClの濃度を上げながらCu2+/ヘパリンセファロースカラムで分画した。溶出画分を使用して肺線維芽細胞を処置し、Tsp−1誘導をウェスタンブロットで分析した。0.9Mと1.0Mとの間のNaClで溶出した画分は、Tsp−1を刺激できることがわかった(図9)。タンデム液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によって溶出画分のタンパク質含有量を分析することにより、LN4 CMの活性画分には存在するが、隣接する画分またはPC3 CMと同じNaCl濃度で溶出した画分には存在しないタンパク質を同定した。同定したタンパク質は、セリンプロテアーゼPRSS2であった。LC/MS分析を、PC3およびLN4細胞におけるPRSS2発現のウェスタンブロットを実行することにより検証した。これにより、PRSS2がLN4細胞で著しく高いレベルで発現していることが明らかになった(図10)。次いで、PRSS2がTsp−1の抑制を媒介していることを、Tsp−1の抑制を完全に抑止にするセリンプロテアーゼ阻害剤STIの存在下および非存在下で肺線維芽細胞をLN4 CMで処置することにより検証した(図11)。最後に、PRSS2が誘導するTsp−1の抑制を媒介しているLRP1から発するシグナル伝達経路を詳細に説明することを求めた。psapが、LRP1が媒介するRho経路の活性化を介してTsp−1を刺激している場合、おそらく、2つの経路が拮抗的であるため、PRSS2はLRP1が媒介するRac経路の活性化を介してTsp−1の抑制を誘導すると推測した。Rac1阻害剤の存在下および非存在下でWI38細胞をLN4 CMで処置することにより、Tsp−1の抑制が緩和されることを観察し、Tsp−1レベルは基底レベルに回復した(図12)。STIは、PRSS2に対する特異性のその欠如およびトリプシンファミリーのすべてのメンバーを阻害するその能力により、PRSS2によって媒介されるTsp−1の抑制を遮断することができるが、実行可能な治療戦略を表さない。同じ理由で、PRSS2を阻害するように設計された化合物も、セリンプロテアーゼおよびトリプシンファミリーの活性部位の保存された性質により、特異性に欠けるであろう。したがって、Tsp−1を抑制するその能力を遮断するPRSS2に結合するように設計された抗体は、強力な抗がん治療剤になると考えられる。
最後に、プロサポシンペプチドによるTsp−1の刺激に必要なLRP1受容体の最小領域を決定することを求めた。これらの研究では、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインに融合した細胞外ドメインの異なる領域を含むLRP1の変異体を利用した(図13A)[11]。次いで、非常に低レベルのTsp−1を発現し、ペプチドによって刺激されてTsp−1を産生しない293T細胞に、これらのコンストラクトをトランスフェクトした(図13B)。サイクリックpsapペプチドは、miniLRP1aおよびminiLRP1bをトランスフェクトした293T細胞においてTsp−1を刺激できるが、他のminiLRP1コンストラクトをトランスフェクトした細胞においては刺激できないことがわかった。驚くべきことに、miniLRP1aおよびminiLRP1bの両方が、N末端および最初の2つのβ−プロペラドメインを含む唯一の変異体である。これらの結果に基づいて、プロサポシンおよびpsapペプチドはLRP1のこの領域への結合を介してTsp−1発現を刺激すると考えられる。LRP1のこの領域に結合する抗体は、ペプチドの活性を模倣し、おそらくさらに高い親和性で結合し、向上した薬物動態(PK)および薬力学的(PD)特性を有すると考えられる。
PSAPおよびPRSS2の両方に結合するLRP1ペプチド
プロサポシン(PSAP)および/またはPRSS2に結合するLRP1の結合部位をマッピングするために、LRP1の結合ドメインI(配列番号3および7〜18)に由来するペプチドを、PSAPまたはPRSS2で免疫共沈降するそれらの能力について試験した。結果は、ペプチド12(LRP1のアミノ酸140〜164に対応)およびペプチド13(LRP1のアミノ酸151〜172に対応)がPRSS2およびPSAPの両方に結合することを示す(図16A〜16B)。ペプチド12およびペプチド13は、LRP1のアミノ酸151〜164に対応する領域において重複しており、PRSS2およびPASPの結合部位がLRP1のこの領域内にあることを示す。
shRNA配列:
PRSS2
TRCN0000046736(Sigma ID)
配列:CCGGTCTGAGTTCTGGTGCCGACTACTCGAGTAGTCGGCACCAGAACTCAGATTTTTG(配列番号4)
LRP1
1:TRCN0000257134(Sigma ID)
配列:CCGGACAGCTTCCTGAGGGCTAATTCTCGAGAATTAGCCCTCAGGAAGCTGTTTTTTG(配列番号5)
2:TRCN0000257100(Sigma ID)
配列:CCGGGATCCGTGTGAACCGCTTTAACTCGAGTTAAAGCGGTTCACACGGATCTTTTTG(配列番号6)
LRP1結合ドメインIおよびペプチド配列
ペプチド1(LRP1のアミノ酸1〜24):
IDAPKTCSPKQFACRDQITCISKGW(配列番号7)
ペプチド2(LRP1のアミノ酸15〜39):
RDQITCISKGWRCDGERDCPDGSDE(配列番号8)
ペプチド3(LRP1のアミノ酸25〜49):
RCDGERDCPDGSDEAPEICPQSKAQ(配列番号9)
ペプチド4(LRP1のアミノ酸40〜64):
APEICPQSKAQRCQPNEHNCLGTEL(配列番号10)
ペプチド5(LRP1のアミノ酸50〜74):
RCQPNEHNCLGTELCVPMSRLCNGV(配列番号11)
ペプチド6(LRP1のアミノ酸65〜89):
TELCVPMSRLCNGVQDCMDGSDEGP(配列番号12)
ペプチド7(LRP1のアミノ酸75〜99):
QDCMDGSDEGPHCRELQGNCSRLGC(配列番号13)
ペプチド8(LRP1のアミノ酸90〜114):
HCRELQGNCSRLGCQHHCVPTLDGP(配列番号14)
ペプチド9(LRP1のアミノ酸100〜126):
QHHCVPTLDGPTCYCNSSFQLQADGKT(配列番号15)
ペプチド10(LRP1のアミノ酸115〜139):
TCYCNSSFQLQADGKTCKDFDECSV(配列番号16)
ペプチド11(LRP1のアミノ酸125〜149):
KTCKDFDECSVYGTCSQLCTNTDGS(配列番号17)
ペプチド12(LRP1のアミノ酸140〜164、PRSS2およびプロサポシンの両方に結合する):
YGTCSQLCTNTDGSFICGCVEGYLL(配列番号18)
ペプチド13(LRP1のアミノ酸151〜172、PRSS2およびプロサポシンの両方に結合する):
FICGCVEGYLLQPDNRSCKAKN(配列番号3)
PRSS2の活性部位における変異はTsp−1の抑制に影響を与えない
pCMVSPORT6.1の野生型PRSS2は、QuickChange変異誘発キットを使用して変異させた:G191R、S200A、S200TおよびS200C(以下に示すヌクレオチド配列)。FuGeneトランスフェクション試薬を使用して、野生型および変異体のコンストラクトを293T細胞にトランスフェクトした。48時間後、変異体タンパク質を含む馴化培地を回収し、WI−38線維芽細胞を終夜処置するために使用した。処置後、細胞を回収し、溶解し、タンパク質濃度をBio-Radタンパク質アッセイによって決定した。同等レベルのタンパク質を各ウェルに添加し、ポリアクリルアミドSDSゲルでランした。次いで、標準プロトコルを使用して、Tsp−1およびb−アクチンに対する抗体によるウェスタンブロッティングを行った。
Tsp−1を抑制するPRSS2の能力は影響を受けないことがわかり、LRP1の結合部位は活性部位にないこと、および、この領域に対する抗体は酵素のプロテアーゼ活性に影響を与えないことを示した(図17)。
PRSS2タンパク質およびヌクレオチド配列
参考文献
さらに詳述することなく、当業者は、上記の説明に基づいて、本開示を最大限に利用できると考えられる。したがって、特定の態様は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる形であれ開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書で引用されるすべての刊行物は、本明細書で参照される目的または主題のために参照により組み込まれる。
本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」および「an」は、反対に明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
上記の説明から、当業者は本開示の本質的な特徴を容易に確認することができ、その精神および範囲から逸脱することなく、本開示の様々な変更および修正を行って様々な用途および条件に適合させることができる。したがって、他の態様も特許請求の範囲内にある。

Claims (33)

  1. 低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)の結合ドメインIに結合する剤の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを処置する方法。
  2. LRP1の結合ドメインIが、LRP1のアミノ酸1〜172を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 剤がタンパク質またはペプチドである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 剤が抗体である、請求項3に記載の方法。
  5. 抗体がポリクローナル抗体である、請求項4に記載の方法。
  6. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項5に記載の方法。
  7. 抗体が、LRP1の結合ドメインIにおけるアミノ酸151〜172(配列番号3)に結合する、請求項5または6に記載の方法。
  8. 抗体が、LRP1の結合ドメインIにおけるアミノ酸140〜164(配列番号18)に結合する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 抗体が、LRP1の結合ドメインIにおけるアミノ酸151〜164(配列番号19)に結合する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 剤が小分子である、請求項1に記載の方法。
  11. 小分子が、脂質、単糖、二次情報伝達物質、代謝産物、および生体異物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 剤のLRP1の結合ドメインIへの結合が、Rho−GTPase経路を活性化する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. Rho経路が、LRP−1媒介Rho−GTPase経路である、請求項12に記載の方法。
  14. 剤のLRP1の結合ドメインIへの結合が、トロンボスポンジン1(Tsp−1)を刺激する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 剤が、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、気管内、脳室内、静脈内、または腹腔内投与される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. がんが転移性である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. がんが、胆道がん;膀胱がん;脳がん;神経膠芽腫;髄芽腫;乳がん;子宮頚がん;絨毛癌;大腸がん;子宮内膜がん;食道がん;胃がん;血液腫瘍;急性リンパ性および骨髄性白血病;多発性骨髄腫;エイズ関連白血病および成人T細胞白血病、リンパ腫;上皮内腫瘍;ボーエン病;パジェット病;肝臓がん;肺がん;リンパ腫;ホジキン病;リンパ球性リンパ腫;神経芽細胞腫;口腔がん;扁平上皮癌;卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;直腸がん;肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;脂肪肉腫;線維肉腫;骨肉腫;皮膚がん;睾丸がん;間質腫瘍および生殖細胞腫瘍;甲状腺がん;および腎臓がんである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. がんが、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、または膵臓がんである、請求項17に記載の方法。
  19. 低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)の結合ドメインIに結合する、抗体。
  20. LRP1の結合ドメインIが、LRP1のアミノ酸1〜172を含む、請求項19に記載の抗体。
  21. LRP1の結合ドメインIにおけるアミノ酸151〜172(配列番号3)に結合する、請求項19または20に記載の抗体。
  22. 抗体が、LRP1の結合ドメインIにおけるアミノ酸140〜164(配列番号18)に結合する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 抗体が、LRP1の結合ドメインIにおけるアミノ酸151〜164(配列番号19)に結合する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
  24. ポリクローナル抗体である、請求項19〜23のいずれか一項に記載の抗体。
  25. モノクローナル抗体である、請求項19〜23のいずれか一項に記載の抗体。
  26. Tsp−1を刺激する、請求項19〜25のいずれか一項に記載の抗体。
  27. トロンボスポンジン1(Tsp−1)を刺激する剤の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを処置する方法。
  28. 剤が、Tsp−1を抑制するプロテアーゼ、セリン2(PRSS2)の能力を阻害する、請求項27に記載の方法。
  29. 剤が、LRP1の結合ドメインIに結合する、請求項27に記載の方法。
  30. 剤が、PRSS2の低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)への結合を阻害する、請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. プロテアーゼ、セリン2(PRSS2)の機能を阻害する第1の剤の有効量、および低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)の結合ドメインIに結合する第2の剤の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、がんを処置する方法。
  32. 第1の剤および第2の剤が同時に投与される、請求項31に記載の方法。
  33. 第1の剤および第2の剤が連続的に投与される、請求項31に記載の方法。
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