JP2020514044A - 少なくとも1種の揮発性化合物を含むカプセルを製造する方法およびその方法から得られるカプセル - Google Patents

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Abstract

本発明は、固形マイクロカプセルを製造する方法であって、以下の工程、すなわち、a)単一の疎水性固形粒子を含む組成物C1a、又は親水性相中に分散された複数の疎水性固形粒子を含む組成物C1bである組成物C1を製造する工程と、b)前記組成物C1を温度Tbでポリマー組成物C2中に攪拌しながら添加し、これによりエマルジョン(E1)が得られる工程と、c)前記エマルジョン(E1)を温度Tcでポリマー組成物C3中に攪拌しながら添加し、これにより二重エマルジョン(E2)が得られる工程と、d)エマルジョン(E2)に剪断を加え、これにより二重エマルジョン(E3)が得られる工程と、e)組成物C2を重合し、これにより、組成物C3中に分散された固形マイクロカプセルが得られる工程とを含む、固形マイクロカプセルを製造する方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも1種の揮発性化合物を含むカプセルを製造する方法に関する。本発明はまた、こうして得られたカプセル、およびこれらのカプセルを含有する組成物に関する。
数多くの高揮発性化合物、特に芳香化合物が配合製品中にしばしば存在し、芳香化合物は、配合製品に興味深い匂い特性を与える。
これらの化合物が揮発性であることにより、これらの化合物はこれらを含有する配合製品から急速に蒸発し、このことはこれらの化合物の重要性を制限する、何故ならば、配合製品がこうしてその匂い特性を急速に失うからである。
加えて、これらの化合物のうちのいくつかは脆弱であり、加水分解、熱変性、または酸化のようなメカニズムによるこれらの環境との相互作用の結果として劣化し易く、このこともまた配合製品の匂い特性の寿命を制約する。
揮発性化合物のカプセル化は、化合物の蒸発を制限し、そしてこれらの劣化を防止し、従って配合製品の匂い特性の寿命を延ばすための極めて興味深い方法となる。
配合製品中の活性成分、特には揮発性化合物を保護および/または隔離するために、数多くのカプセルが開発されている。これらのカプセルは、数多くの中でもスプレー乾燥、界面重合、界面析出、または溶媒蒸発のような製造方法の結果として得られる。これらの方法のほとんどによって製造されるカプセル形成材料を通過する揮発性化合物の拡散時間は、極めて短いままであり、カプセルの極めて急速な漏れをもたらす。従って、これらを含有する配合製品の匂い特性の寿命は有意には長くはない。
揮発性化合物の拡散に対する真に効果的なバリアを提供することの難しさは、今日まで、これらの揮発性化合物の申し分のない保護および保持特性を備えたカプセルがないことを意味する。換言すれば、揮発性化合物の保護および保持特性が改善されたカプセルの開発は、不変の目的であり続けている。
従って、本発明の目的は、揮発性化合物、それも高揮発性化合物をカプセル化し、かつ上述の欠点を回避することである。
また、本発明の目的は、特には20μm未満、または更には5μm未満のサイズが制御されたカプセルを得るための二重エマルジョンカプセル化法を提供することである。
また、本発明の目的は、優れた保持能力を備えた、少なくとも1種の揮発性または更には高揮発性化合物を含有するカプセルを提供することである。
また、本発明の目的は、少なくとも1種の揮発性または更には高揮発性化合物を含有するカプセルであって、前記揮発性化合物を劣化させる可能性がある化学種の拡散を制限し、そしてそれによって揮発性化合物を劣化から保護するカプセルを提供することである。
また、本発明の目的は、高揮発性化合物の蒸発に対する効果的なバリア、および劣化に対する保護をもたらすカプセルを提供することにより、高揮発性化合物を含有する配合製品の性能を向上させることである。
従って、本発明は、固形マイクロカプセルを製造する方法であって、以下の工程、すなわち、
a)単一の疎水性固形粒子を含む組成物C1a、または親水性相中に分散された複数の疎水性固形粒子を含む組成物C1bである組成物C1を製造する工程であって、
前記疎水性固形粒子が、1種または2種以上の親油性揮発性化合物と1種または2種以上の疎水性材料とを含有し、前記材料が室温では固体であり、そしてTを上回る温度では液体である、
工程と、
b)前記組成物C1を温度Tでポリマー組成物C2中に攪拌しながら添加する工程であって、前記組成物C1およびC2が互いに非混和性であり、
前記組成物C1が組成物C1aである場合には、前記温度TがTよりも高く、そして組成物C1が組成物C1bである場合には、前記温度TがTよりも低く、
前記組成物C2が少なくとも1種のモノマーもしくはポリマーと、少なくとも1種の架橋剤と、随意選択的に少なくとも1種の(光)開始剤または架橋触媒とを含み、
前記組成物C2の粘度が25℃で500mPa.s〜100000mPa.sの範囲であり、そして好ましくは組成物C1の粘度よりも高く、これにより、組成物C2中に分散された組成物C1aまたはC1bの液滴を含むエマルジョン(E1)が得られる、
工程と、
c)前記エマルジョン(E1)を温度Tでポリマー組成物C3中に攪拌しながら添加する工程であって、前記組成物C2およびC3が互いに混和性でなく、前記エマルジョン(E1)が前記組成物C2中に分散された組成物C1aの液滴を含む場合には、前記温度TがTよりも高く、そしてエマルジョン(E1)が組成物C2中に分散された組成物C1bの液滴を含む場合には、前記温度TがTよりも低く、
前記組成物C3の粘度が25℃で500mPa.s〜100000mPa.sの範囲であり、好ましくはエマルジョン(E1)の粘度よりも高く、
これにより、組成物C3中に分散された液滴を含む二重エマルジョン(E2)が得られる、
工程と、
d)温度Tでエマルジョン(E2)に剪断を加える工程であって、工程a)の組成物C1が組成物C1aである場合には温度TはTよりも高く、そして工程a)の組成物C1が組成物C1bである場合には温度TはTよりも低く、
これにより、前記組成物C3中に分散された、サイズが制御された液滴を含む二重エマルジョン(E3)が得られる
工程と、
e)組成物C2を重合する工程であって、これにより、組成物C3中に分散された固形マイクロカプセルが得られる、
工程と
を含む、固形マイクロカプセルを製造する方法に関する。
本発明の方法は、コアと、その周囲でコアを完全にカプセルに包む固形封入体とを含む固形マイクロカプセルを調製するのを可能にし、コアは、1種または2種以上の揮発性の親油性化合物を含む少なくとも1種の疎水性固形粒子を含む組成物C1である。
本発明のカプセルは、それらが含有する揮発性化合物の蒸発を低減または排除さえするいくつかのメカニズムによって、揮発性化合物の優れた保持能力を有する。これらのメカニズムは以下の通りである。
− カプセルのコアは、揮発性化合物がその中で溶解可能である材料または材料混合物を含有する。揮発性化合物はこうしてこの材料に対して高い親和性を有しており、このことは揮発性を大幅に制限する。
− カプセルのコアが2つ以上の粒子を含有するときには、これらの粒子は親水性相中に分散され、その中では、揮発性化合物の溶解度は無視できるものである。このことは、粒子中に揮発性化合物を含有することを可能にし、カプセル外部へのこれらの拡散を防止する。
− カプセルの剛性封入体を形成するポリマーは、有利にはこの封入体を通過する化学種の拡散、特にはカプセル外部へ向かう揮発性化合物の拡散を制限する。
カプセルの剛性封入体を形成するポリマーはまた、有利にはこの封入体を通過する、揮発性化合物を劣化させる可能性のある化学種の拡散(または浸透)を制限し、それによって揮発性化合物を劣化から保護する。
本発明の方法は、架橋性の液相中に封入された揮発性化合物の粒子を含む液滴からなる二重エマルジョンを生成することからなる。これらの二重の液滴は、次いで架橋または重合により剛性カプセルにすることによって変換される前に、サイズを単分散にされる。この調製は以下に詳述するように5つの工程を含んでいる。
工程a)
本発明による方法の工程a)は、少なくとも1種の揮発性の親油性化合物を含有する少なくとも1つの疎水性固形粒子を含む組成物C1を調製することからなる。
本発明のマイクロカプセルのコアは、1つまたは2つ以上の粒子が含まれることが望まれるか否か応じて、すなわちC1(C1aまたはC1b)の性質に応じて、2つの異なる方法で製造することができる。
1つの態様によれば、組成物C1が組成物C1aである場合には、工程a)は、疎水性材料をTを上回る温度に加熱する工程と、これに続いて揮発性の親油性化合物を添加する工程と、そしてTよりも高い温度でその全体を混合する工程とを含む。
このように、ただ1つの粒子がコア内に望まれる場合には、組成物C1aを得るために、粒子を形成するように意図された疎水性材料または疎水性材料混合物はTよりも高い温度に加熱される。次いで、揮発性化合物が添加され、そしてこうして形成された混合物は、Tよりも高い温度を維持されながら攪拌される。
別の態様によれば、組成物C1が組成物C1bである場合には、工程a)が、随意選択的に更に少なくとも1種の分散剤および/または少なくとも1種のゲル化剤を含む、親水性相中に組成物C1aを分散する工程と、これに続いて、こうして得られた分散体をTを下回る温度で冷却する工程とをさらに含み、これにより、前記親水性相中に分散された疎水性固形粒子が得られる。
このように、マイクロカプセルコア内に幾つかの粒子が望まれる場合には、混合物C1aは、好ましくは以下に記載された少なくとも1種の分散剤および/または少なくとも1種のゲル化剤の存在において、C1aと非混和性の親水性相中に分散される。得られたエマルジョンは次いで、揮発性化合物粒子を固形物とするために、Tを下回る温度で冷却される。
組成物C1
本発明による組成物C1は、少なくとも1つの疎水性固形粒子を含み、前記粒子は、少なくとも1種の親油性揮発性化合物と少なくとも1種の、室温では固体であり、そしてTを上回る温度では液体である疎水性材料とを含有する。
1つの態様によれば、組成物C1は単一の疎水性固形粒子を含む。これは組成物C1aと称される。
別の態様によれば、組成物C1は複数の疎水性固形粒子を含み、それらは次いで親水性相中に分散される。このような組成物はC1bと称される。従って、組成物C1bは、親水性相中の組成物C1aの分散体に相当する。
上記のように、本発明による疎水性固形粒子は、1種または2種以上の揮発性の親油性化合物と1種または2種以上の疎水性材料とを含有し、前記材料が室温では固体であり、そしてTを上回る温度では液体である。
揮発性の親油性化合物
本発明による組成物C1は少なくとも1種の揮発性の親油性化合物を含む。また、この組成物は幾つかの揮発性化合物の混合物を含むことができる。
「揮発性化合物」とは、周囲温度(25℃)および大気圧(760mmHg)において、1時間未満で蒸発することができる化合物を意味する。従って、本発明による揮発性化合物は、周囲温度において、特にはゼロではない蒸気圧を有する液体、周囲温度および大気圧において、特には0.13Pa〜40000Pa(10−3〜300mmHg)、および好ましくは1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)、および好ましくは1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する液体である。本発明による揮発性化合物の蒸発速度は、特には国際公開第2006/013413号に記載された手順によって、そしてより具体的には下記の手順によって評価することができる。
15gの試験される揮発性化合物が、約0.3mのチャンバ内の天秤上に置かれた晶析装置(直径7cm)内へ導入され、温度(25℃)および湿度(相対湿度50%)に調整される。
液体を攪拌することなしに、ファン(PAPST-MOTOREN, reference 8550 N、回転数2700rpm)を備え、そしてこの化合物を容れた晶析装置の上方に鉛直位置に配置され、これによって、羽根が晶析装置の底部から20cmの距離で晶析装置に向けられた通気装置によって自由に蒸発される。
晶析装置内に残された揮発性化合物の質量が、規則的な時間間隔で測定される。
次いで、揮発性化合物の蒸発プロファイルは、時間(分)の関数として蒸発された製品の量(mg/cm)の曲線をプロットすることによって得られる。次いで、得られた曲線の起点における接線に相当する蒸発速度が計算される。蒸発速度は、単位面積(cm)当たりおよび単位時間(分)当たりで蒸発された揮発性化合物のmgで表される。
本発明の文脈において、揮発性化合物は親油性であり、従って疎水性材料中、具体的にはワックス/バター中に混和可能であり、そして存在する場合には、粒子が懸濁される親水性相中には非混和性である。本発明によれば、揮発性の親油性化合物は単一の化合物であるか、あるいは本発明の意味の範囲において使用することができるいずれかの揮発性の親油性化合物を含む混合物であることができる。
1つの態様によれば、揮発性の親油性化合物は、芳香剤、フラボノイド、ポリ不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物から選択される。
本発明によれば、揮発性の親油性化合物は混合物の形態であることができる。従って、本発明による揮発性の親油性化合物は単一の芳香剤(または単一の香料)またはいくつかの芳香剤の混合物(またはいくつかの香料の混合物)を含むことができる。
芳香剤の中では、いずれかの種類の香料またはフレグランスを挙げることができ、これらの用語はここでは区別なしに使用される。これらの香料またはフレグランスは当業者によく知られており、特には、例えば、S. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals (Montclair, NJ, 1969)、S. Arctander, Perfume and Flavor Materials of Natural Origin (Elizabeth, NJ, 1960)、the International Fragrance Association's list (IFRA http://www.ifraorg.org/en/ingredients)および“Flavor and Fragrance Materials,” 1991 (Allured Publishing Co. Wheaton, III, USA)において述べられているものが挙げられる。
本発明の文脈において使用される香料は、天然生産物、例えば抽出物、精油、アブソリュート、レジノイド、樹脂、コンクリートなど、ならびに、基本的な合成物質、例えば炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、酸、エステル、アセタール、ケタール、ニトリルなど、例えば飽和および不飽和化合物、脂肪族、脂環式、および複素環式化合物を挙げることができる。
1つの態様によれば、芳香剤は、前記芳香剤の総質量に対して10質量%未満、または更には7.5質量%未満の、2.1未満のClogPしか有さない化合物を含む。1つの態様によれば、芳香剤は2.1未満のClogPしか有さない化合物を含まない。
別の態様によれば、揮発性の親油性化合物は、有機溶媒、例えば飽和および不飽和、ハロゲン化および非ハロゲン化、直鎖状、分枝状、および環状の脂肪族炭化水素、ハロゲン化および非ハロゲン化芳香族炭化水素、アルコール、グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、およびこれらの誘導体、ケトン、例えばアセトン、ブタノン、またはメチルイソブチルケトン、エステル、直鎖状および環状、脂肪族および芳香族エーテル、例えばメチルt−ブチルエーテルまたはテトラヒドロフラン、グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ならびにプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される。
別の態様によれば、揮発性の親油性化合物は、難燃剤、例えば臭素化化合物、例えばデカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化エポキシドオリゴマー、リン化合物、例えばリン酸アルキル、リン酸アリール、リン酸ビスアリール、短鎖および中鎖クロロパラフィン(最大炭素原子数約25)から選択される。
1つの態様によれば、揮発性化合物の質量含有率は、組成物C1aの質量に対して50%〜99%の範囲、好ましくは70%〜98%の範囲である。
1つの態様によれば、組成物C1が組成物C1bであるときには、組成物C1aはC1bの質量の20%〜70%の範囲である。この場合揮発性化合物の質量は、C1bの質量の10%〜69.3%の範囲、好ましくは14%〜68.6%の範囲である。
1つの態様によれば、カプセル(組成物C1aまたはC1bによって形成された)のコアはカプセルの質量の20%〜70%の範囲である。従って、揮発性化合物の質量は、コアが組成物C1a(単一の粒子)によって形成されたカプセルの場合には、カプセルの質量の10%〜69.3%の範囲(好ましくは14%〜68.6%の範囲)であり、コアが組成物C1b(いくつかの粒子の分散体)によって形成されたカプセルの場合には、カプセルの質量の2%〜48.5%の範囲(好ましくは2.8%〜48%の範囲)である。
疎水性材料
本発明による組成物C1の疎水性粒子は、少なくとも1種の疎水性材料を含有する。
1つの態様によれば、前記疎水性材料は室温で固形化合物であり、そしてTよりも高い温度Tでは液体化合物である。好ましくは、Tは30℃〜80℃の範囲であり、好ましくは35℃〜55の範囲℃である。
1つの態様によれば、疎水性材料は、ワックス、バター、ペースト状脂肪性物質、およびこれらの混合物から選択される。
ワックス
本発明の目的において、「ワックス」という用語は親油性化合物であって、室温(25℃)では固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を伴い、融点が30℃以上〜最大で120℃、好ましくは80℃である、化合物を意味する。
この融点を測定するための手順が以下に記述される。
本発明に基づいて使用することができるワックスは、動物、植物、鉱物、または合成由来尾の、固形であり、かつ室温では変形可能な、または変形可能でないワックス、およびこれらの混合物から選択することができる。
特には、炭化水素系ワックス、例えば蜜蝋、ラノリンワックス、およびシナ蝋、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラ蝋、オリキュリーワックス、アルファワックス、コルクファイバーワックス、サトウキビワックス、木蝋、およびはぜ蝋、モンタンワックス、微結晶ワックス、パラフィン、およびオゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ合成によって得られるワックス、およびワックスコポリマーおよびこれらのエステルを使用することができる。
ポリビニルエーテルワックス、セチルパルミテートを基剤とするワックス、グリセロールエステルおよび脂肪酸ワックス、エチレンコポリマーワックス、酸化ポリエチレンワックス、エチレンホモポリマーワックス、ポリエチレン、ポリエーテルワックス、エチレン/ビニルアセテートコポリマーワックス、およびポリプロピレンワックス、Kahlwax(商標)2039の名称で販売されているワックス(INCI名:Candelilla cera)、およびKahl Wachsraffinerie社によるKahlwax(登録商標)6607 (INCI名: Helianthus Annuus 種子ワックス)、SACI CFPAによるCasid HSA (INCI名:ヒドロキシステアリン酸)、Performa(商標)260 (INCI名: 合成ワックス)およびNew PhaseによるPerforma(商標)103 (INCI名: 合成ワックス)、およびKokyu Alcohol Kogyo 社によるAJK-CE2046 (INCI名:セテアリルアルコール、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド)。
また、直鎖状または分枝状のC8−C32の脂肪鎖を有する動物または植物油の触媒水素化によって得られるワックスを挙げることもできる。
これらの中で、水素化ホホバ油、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ヤシ油、および水素化ラノリン油、HETERENE社によって“HEST 2T-4S”の名称で販売されているジテトラステアレート(トリメチロール−1,1,1プロパン)、HETERENE社によってHEST 2T-4Bの名称で販売されているジ−(1,1,1−トリメチロールプロパン)テトラ−エネヘネートを挙げることができる。
また、植物油、例えばヒマシ油またはオリーブ油のエステル交換および水素化によって得られるワックス、例えばSophim社によってPhytowax ricin 16L64(登録商標)および22L73(登録商標)およびPhytowax Olive 18L57の名称で販売されているワックスを使用することもできる。このようなワックスは仏国出願公開第2792190号明細書に記載されている。
本発明の意味におけるワックスとしては、炭化水素(n−アルカン、分枝状アルカン、オレフィン、環状アルカン、イソプレノイド)、ケトン(モノケトン、β−ジケトン)、第二級アルコール、アルカンジオール(アルカン−1,2−ジオール、アルカン−2,3−ジオール、アルカン−α,ωジオール)、酸(アルケン酸およびアルカン酸)、エステルワックス(第一級アルコールエステルおよび第二級アルコールエステル)、ジエステルワックス(アルカンジオールジエステル、ヒドロキシル酸ジエステル)、トリエステルグリセロール、アルカン−1,2−ジオール、ω−ヒドロキシ酸、および脂肪酸のトリエステル、ヒドロキシマロン酸、脂肪酸、およびアルコールのエステル、ヒドロキシル酸、脂肪酸、および脂肪アルコールのトリエステル、脂肪酸、ヒドロキシル酸、およびジオールのトリエステル)およびポリエステルワックス(脂肪酸のポリエステル)を挙げることもできる。例えば、n−オクタコサン、n−ヘプタコサン、n−ヘキサコサン、n−ペンタコサン、n−テトラコサン、n−トリコサン、n−ドコサン、n−ヘネイコサン、およびn−エイコサンを挙げることができる。n−ノナデカン、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘニコシルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、リグノシルアルコール、セリルアルコール、1−ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、クルイチルアルコール、1−オクタコサノール、1−ノナコサノール、ミリシルアルコール、メリッシルアルコール、1−トリアコンタノール、および1−ドトリアコンタノール。
本発明の文脈においてワックスとして使用することができる脂肪酸は、例えば、セロチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、アラキジン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ペンタデシル酸、マルガリン酸、ノナデシル酸、ヘニコシル酸、トリコシル酸、ペンタコシル酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、およびノナコシル酸である。
本発明の文脈においてワックスとして使用することができる脂肪酸エステルは、例えばセチルパルミテート、セチルオクタノエート、セチルラウレート、セチルラクテート、セチルイソノナノエート、セチルステアレート、ステアリルステアレート、ミリスチルステアレート、セチルミリステート、イソセチルステアレート、グリセリルトリミリステート、グリセリルトリパルミテート、グリセリルモノステアレートおよびグリセリルおよびセチルパルミテートである。
シリコーンワックスを使用することもでき、有利には、シリコーンワックスは、好ましくは低融点の、置換型ポリシロキサンであってよい。
この種類の商業的シリコーンワックスの中では、特には、Abilwax 9800, 9801または9810 (GOLDSCHMIDT)、KF910およびKF7002 (SHIN ETSU)、または176-1118-3および176-11481 (GENERAL ELECTRIC)の名称で販売されているものが挙げられる。
また、使用することができるシリコーンワックスは、アルキルまたはアルコキシジメチコーン、例えば以下の商業的製品、すなわちAbilwax 2428, 2434および2440 (GOLDSCHMIDT)、またはVP 1622およびVP 1621 (WACKER)、ならびに(C20−C60)アルコキシジメチコーン、具体的には特に(C30−C45)アルコキシジメチコーン、例えばGE-Bayer Silicones社によってSF-1642の名称で販売されているシリコーンワックスであってもよい。
シリコーンまたはフッ素化基で改質された炭化水素ワックス、例えばシリコニルカンデリラ、シリコニル蜜ろう、およびKoster Keunenによるフルオロビーズワックス(Fluorobeeswax)を使用することもできる。
ワックスはフッ素化ワックスから選択することもできる。
バターまたはペースト状脂肪
本発明の目的において、「バター」(「ペースト状脂肪物質」とも称される)は、可逆的な固体/液体状態変化を伴う親油性脂肪化合物であって、25℃の温度かつ大気圧(760mmHg)で所定の液体分率と固体分率とを含む化合物を意味するものと理解される。換言すれば、ペースト状化合物の溶融開始温度は25℃未満であることができる。25℃で測定されるペースト状化合物の液体分率は化合物の9質量%〜97質量%の範囲であってよい。25℃におけるこのような液体分率は好ましくは15質量%〜85質量%の範囲、より好ましくは40質量%〜85質量%の範囲である。好ましくは、1種または2種以上のバターは溶融終了温度が60℃未満である。好ましくは、1種または2種以上のバターの硬度は6MPa以下である。
好ましくは、バターまたはペースト状脂肪物質は、固体状態において異方性結晶組織を有、これはX線観察により見ることができる。
本発明の目的において、溶融温度は、ISO 11357-3; 1999に記載された熱分析(DSCによる)において観察される最大吸熱ピーク温度に相当する。ペーストまたはワックスの融点は示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社による“DSC Q2000”の名称で販売されている熱量計を使用して測定することができる。
溶融温度の測定、および溶融終了温度の決定に関して、試料調製および測定の手順は次のとおりである。80℃まで予め加熱され、磁気攪拌することによって得られたペースト状脂肪物質(またはバター)またはワックスの5mgの試料を、同等に加熱されたスパチュラを使用して、気密のアルミニウムカプセルまたは坩堝内に容れる。2回の試験が、結果の再現可能性を確実にするために行われる。
測定は上述の熱量計上で行われる。オーブンに窒素スイープが施される。冷却はRCS90熱交換器によって確実にされる。次いで試料に以下の手順に付される:すなわち先ず試料を温度20℃にされ、そして次いで加熱速度5℃/分で20℃から80℃までの第1温度上昇に付され、次いで5℃/分の冷却速度で80℃から−80℃まで冷却され、そして最後に5℃/分の加熱速度で−80℃から80℃までの第2温度上昇に付される。第2温度上昇中に、空の坩堝およびバター試料を含有する坩堝によって吸収される電力差の変動が、温度の関数として測定される。化合物の融点は、温度の関数として吸収される電力差の変動を表す曲線のピークの頂点に相当する温度の値である。溶融終了温度は、試料の95%が溶融されたときの温度に相当する。
25℃におけるバター(またはペースト状脂肪物質)の液体質量分率は、バターの溶融エンタルピーに対する25℃で消費される熱の比に等しい。バターまたはペースト状化合物の溶融エンタルピーは、固体状態から液体状態に移ったときに化合物によって消費されるエンタルピーである。
バターは、その質量全体が結晶性固体形態にあるときに、固体状態にあると言われる。バターは、その質量全体が液体形態にあるときに、液体状態にあると言われる。バターの溶融エンタルピーは、基準ISO 11357-3: 1999に従って分当たり温度を5℃または10℃上昇させることによって引き起こされる、熱量計によって得られた溶融曲線全体の積分に等しい。バターの溶融エンタルピーは、化合物が固体状態から液体状態へ移るのに必要なエネルギーの量である。これはJ/gで表される。
25℃において消費される融解エンタルピーは、液体分率と固体分率とからなる試料が、固体状態からこれが25℃において有する状態へ変化するために、試料によって吸収されるエネルギーの量である。32℃において測定されたバターの液体分率は好ましくは化合物の30質量%〜100質量%、好ましくは50質量%〜100質量%、より好ましくは60質量%〜100質量%である。32℃で測定されたバターの液体分率が100%である場合には、ペースト状化合物の溶融終了範囲の温度は32℃以下である。32℃で測定されたバターの液体分率は、バターの溶融エンタルピーに対する32℃において消費される融解エンタルピーの比に等しい。32℃において消費される溶融エンタルピーは23℃において消費される溶融エンタルピーと同様に計算される。
硬度測定のための、試料調製および測定の手順は以下の通りである。バターを、充填率約75%で75mm直径のモールド内に容れる。熱履歴を克服し、結晶化を制御するために、モールドをVotsch VC0018のプログラミング可能なオーブン内に容れ、ここで先ず60分間に亘って80℃まで加熱し、次いで5℃/分の冷却速度で80℃から0℃まで冷却し、次いで、60分間に亘って安定化温度0℃で放置し、次いで加熱速度5℃/分で0℃から20℃までの温度上昇に付し、次いで180分に亘って安定化温度20℃で放置する。Swantech TA/TX2iテクスチュロメータで圧縮力測定を行う。使用するプローブはテクスチャに従って選択する:すなわち、極めて剛性の原材料に対しては2mm直径の円筒形鋼製プローブを選択し、剛性の原材料に対しては12mm直径の円筒形鋼プローブを選択する。測定は3つの工程を含む:すなわち、試料の表面を自動的に検出した後の第1工程では、プローブは、測定速度0.1mm/sで動き、そして貫通深さ0.3mmでバター内に貫通し、これにより、ソフトウェアは到達した最大力値を記録され;第2のいわゆる弛緩段階では、プローブはこの位置で1秒間にわたって留まり、ここで1秒間の弛緩後に力が記録され;最後に、第3のいわゆる引き抜き工程では、プローブは速度1mm/sでその初期位置に戻り、そしてプローブの引き抜きエネルギー(負の力)が記録される。
第1工程において測定された硬度の値は、ニュートンで測定された最大圧縮力を、本発明によるバターまたはエマルジョンと接触する、mmで表されるテクスチュロメータシリンダの表面積で割り算したものに相当する。得られた硬度の値はメガパスカルまたはMPaで表される。
ペースト状脂肪物質またはバターは、合成化合物および植物由来化合物から選択されてよい。ペースト状脂肪物質は、植物由来の出発材料から合成的に得ることができる。
ペースト状脂肪物質は有利には以下のもの、すなわち、
− ラノリンおよびその誘導体、例えばラノリンアルコール、オキシエチレン化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンエステル、例えばイソプロピルラノレート、オキシプロピレン化ラノリン、
− ポリマーまたは非ポリマーシリコーン化合物、例えば高分子量のポリジメチルシロキサン、炭素原子数8〜24のアルキルまたはアルコキシタイプの側鎖を有するポリジメチルシロキサン、特にステアリルジメチコーン、
− ポリマーまたは非ポリマーフッ素化化合物、
− ビニルポリマー、具体的には、
− オレフィンのホモポリマー、
− オレフィンのコポリマー、
− 水素化ジエンのホモポリマーおよびコポリマー、
− 好ましくはC−C30アルキル基を有するアルキル(メト)アクリレートの直鎖状または分枝状オリゴマー、ホモまたはコポリマー、
− C−C30アルキル基を有するビニルエステルのホモまたはコポリマーオリゴマー、
− C−C30アルキル基を有するビニルエーテルのホモまたはコポリマーオリゴマー、
− 1つまたは2つ以上のC−C100、好ましくはC−C50ジオール間のポリエーテル化から生じる脂溶性ポリエーテル、
− エステルおよびポリエステル、および、
− これらの混合物、
から選択される。
本発明の好ましい態様によれば、具体的なバターは植物由来、例えば2000年6月15日付け発行のUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry (“Fats and Fatty Oils”, A. Thomas, D01: 10.1002/14356007.a10_173, 項目13.2.2.2Fに記載されたもの、シアバター、ボルネオタロウ、および関連の脂肪(植物性バター)である。
より具体的には、25℃の温度および大気圧(760mmHg)において、所定の液体分率と固体分率とを含むC10−C18トリグリセリド(INCI名:C10-18 Triglycerides)、シアバター、ニロティカ(Nilotica)シアバター(Butyrospermum parkii)、ガラム(Galam)バター(Butyrospermum parkii)、ボルネオバターまたは脂肪またはテンカワン・タロウ(Shorea stenoptera)、ショレアバター、イリペバター、マドゥーカ(Madhuca)バター、またはバッシア・マドゥーカ・ロンギフォリア(Bassia Madhuca longifolia)、マウラ(mowrah)バター(Madhuca Latifolia)、カチャウ(Katiau)バター(Madhuca mottleyana)、プルワラ(Phulwara)バター(M. butyracea)、マンゴーバター(Mangifera indica)、ムルムル(Murumuru)バター(Astrocatyum murumuru)、コクム(Kokum)バター(Garcinia Indica)、ウキューバ(Ucuuba)バター(Virola sebifera)、トゥクマ(Tucuma)バター、パイニャ(Painya)バター(Kpangnan)(Pentadesma butyracea)、コーヒーバター(Coffea arabica)、アンズバター(Prunus Armeniaca)、マカデミアバター(Macadamia Temifolia)、ブドウ中のバター(Vitis vinifera)、アボカドバター(Persea gratissima)、オリーブバター(Olea europaea)、スイートアーモンドバター(Prunus amygdalus dulcis)、ココアバター(Theobroma cacao)、およびヒマワリバター、INCI名Astrocaryum Murumuru Seed Butterのバター、INCI名Theobroma Grandiflorum Seed Butterのバター、およびINCI名Irvingia Gabonensis Kernel Butterのバター、ホホバエステル(ワックスと油水素化ホホバとの混合物)(INCI名:Jojoba esters)、およびシアバターのエチルエステル(INCI名:Shea butter ethyl esters)、およびこれらの混合物。
1つの態様によれば、組成物C1が組成物C1aである場合には、疎水性材料の質量含有率は、組成物C1aの質量に対して1%〜50%の範囲、好ましくは2%〜30%の範囲である。
1つの態様によれば、組成物C1が組成物C1bである場合には、組成物C1aはC1bの質量の20%〜70%の範囲である。従って疎水性材料の質量含有率は、組成物C1bの質量に対して0.2%〜35%の範囲、好ましくは0.4%〜21%の範囲である。
親水性相
組成物C1が組成物C1bであるときには、これは、上述の疎水性固形粒子が分散されている親水性相を含む。
1つの態様によれば、C1bの親水性相は少なくとも1種の分散剤および/または少なくとも1種のゲル化剤を含む。
好ましくは、前記親水性相は前記親水性相の質量に対して、1質量%〜10質量%の範囲、好ましくは2質量%〜6質量%の範囲の1種または2種以上のゲル化剤と、1質量%〜10質量%の範囲、好ましくは1質量%〜4質量%の範囲の1種または2種以上の分散剤を含有する。
分散剤
上述の親水性相は更に、下記のゲル化剤とは異なる少なくとも1種の分散剤を含んでよい。分散剤は好ましくは、ポリアクリレート、糖/多糖と脂肪酸とのエステル、具体的にはデキストリンと脂肪酸とのエステル、イヌリンと脂肪酸とのエステル、またはグリセロールと脂肪酸とのエステル、ポリアミド、シリコーンのポリエーテルおよびポリエステル、エトキシル化アルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
1つの態様によれば、分散剤は界面活性剤であり、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性または双性界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群から選択されてよく、好ましくは非イオン性界面活性剤から選択されてよい。
本発明において使用し得る界面活性剤としては、欧州特許出願1764084号明細書に記載されているものが挙げられる。
好ましくは、本発明において使用し得る界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステルおよびこれらのオキシエチレン化誘導体、例えばSpan 60という名称でICIによって販売されているソルビタンモノステアレート(CTFA名:Sorbitan stearate)、Span 40という名称でICIによって販売されているソルビタンモノパルミテート(CTFA名:Sorbitan palmitate)、Tween、具体的にはPolysorbate 60 (Tween 60), Polysorbate 65 (Tween 65), Polysorbate 80 (Tween 80)という名称でICI社によって販売されているオキシエチレン化ソルビタンステアレート、パルミテートおよびオレエート(CTFA名:Polysorbate)から選択された非イオン性界面活性剤である。
ゲル化剤
上述の親水性相はさらに、上述の分散剤とは異なる少なくとも1種のゲル化剤を含んでよい。
ゲル化剤は親水性相、そして従って組成物C1bの粘度を増大させることに寄与し、このことは有利には組成物C1bの動力学的安定性を確実にし、従って本製造方法の継続の間の相変換のリスクを防止する。また、組成物C1bの比較的高い粘度は、工程b)の最後に得られるエマルジョン(E1)の安定性を確実にする。
1つの態様によれば、ゲル化剤は、好ましくは5,000g/mol超の分子量を有する分枝ポリマー、5,000g/mol超の分子量を有するポリマー、およびこれらの混合物から選択される。これらのゲル化剤について、以下により詳細に説明される。
1つの態様によれば、ゲル化剤は、好ましくは5,000g/mol超の、好ましくは10,000g/mol〜500,000g/molの範囲、例えば50000g.mol−1〜300,000gmol−1の範囲の分子量を有する分枝ポリマーである。
1つの態様によれば、ゲル化剤は、好ましくは5,000g/mol超の、好ましくは10,000g/mol〜500,000g/molの範囲、例えば50000g.mol−1〜300,000gmol−1の範囲の分子量を有するポリマーである。
別の態様によれば、ゲル化剤は、セルロース誘導体、ポリアクリレート、ポリウレタン、およびこれらの誘導体、ポリエーテルおよびこれらの誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン(PVP)およびその誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)およびその誘導体、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)およびこれらの誘導体、多糖類、タンパク質誘導体、脂肪酸塩、グリセロール誘導体、グリコールウリル誘導体、およびこれらの混合物から選択される。これらのゲル化剤については以下により詳細に説明される。
勿論のこと、親水性相中での実施の観点から、当業者は、親水性または水溶性のゲル化剤を選択することになる。この選択は当業者にとっては通常の知識である。
1つの態様によれば、親水性相はC1bの質量に対して30質量%〜80質量%の範囲である。カプセルのコアはカプセルの質量の20%〜70%の範囲である。親水性相は従って好ましくはカプセルの質量の6%〜56%の範囲である。
1つの態様によれば、組成物C1bは、組成物C1bの総質量に対して30質量%〜80質量%の範囲の親水性相と、20質量%〜70質量%の範囲の疎水性粒子とを含む。
工程b)
本発明による方法の工程b)は、第1エマルジョン(E1)を調製することからなる。
第1エマルジョンは、ポリマー組成物C1a(あるいはC1b)と非混和性のC2中の組成物C1a(あるいはC1b)の液滴の分散体からなり、この分散体は、C1a(あるいはC1b)をC2中に攪拌しながら液滴状に添加することにより形成される。
工程b)中、パラメータTを考慮に入れつつ、組成物C1の温度は0℃〜100℃、の範囲好ましくは10℃〜80℃の範囲、そして好ましくは15℃〜60℃の範囲である。工程b)中、パラメータTを考慮に入れつつ、組成物C2の温度は0℃〜100℃の範囲、好ましくは10℃〜80℃の範囲、そして好ましくは15℃〜60℃の範囲である。
工程b)における添加条件下で、組成物C1およびC2は互いに混和性ではない。このことは、組成物C2中に可溶化することができる組成物C1の量(質量)が組成物C2の総質量に対して、5%以下、好ましくは1%未満、そして好ましくは0.5%未満であること、そして組成物C1中に可溶化することができる組成物C2の量(質量)が組成物C1の総質量に対して、5%以下、好ましくは1%未満、そして好ましくは0.5%未満であることを意味する。
このように、組成物C1は攪拌下で組成物C2と接触し、組成物C2は、単独の液滴と呼ばれる液滴の形態をなして分散される。
組成物C2は、組成物C2中に分散された組成物C1の液滴を含むエマルジョンを形成するように攪拌される。このエマルジョンは「単独エマルジョン」またはC2中C1(C1−in−C2)エマルジョンとも称される。
工程b)を実施するために、エマルジョンを形成するために通常使用されるいずれかの種類の攪拌器、例えば機械的攪拌器、静的乳化器、超音波ホモジナイザ、メンブレンホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、コロイドミル、高剪断分散器、または高速ホモジナイザを利用することができる。
組成物C1は上記のとおりである。
単一粒子を含有するカプセルを得るために、Tよりも高い温度でC2中にC1aを添加することを選択する。換言すれば、この態様では、第1エマルジョンの液滴のコアは全体的にC1aから、または単一の疎水性固形粒子から形成される。
いくつかの粒子を含有するカプセルを得るためには、Tを下回る温度でC1bをC2中に添加することを選択することになる。
組成物C2
組成物C2は、マイクロカプセルの将来の固形封入体を形成するように意図されている。
方法の最後に得られるカプセルの封入体の厚さを制御するために、C2中C1(C1−in−C2)の体積分率は0.1〜0.7の範囲であってよい。
1つの態様によれば、組成物C1の体積と組成物C2の体積との比は1:10〜10:1の範囲である。好ましくは、この比は1:3〜5:1の範囲、好ましくは1:3〜3:1の範囲である。
この態様によれば、エマルジョン(E1)の液滴の不安定化速度は著しく遅い。このことは、エマルジョンが不安定化される前にマイクロカプセルの封入体が工程e)の間に重合されるのを可能にする。重合が完了すると、次いで熱力学的安定化をもたらす。このように、組成物C2の比較的高い粘度は、工程b)の最後に得られたエマルジョン(E1)の安定性を確実にする。
好ましくは、組成物C2の粘度は25℃で1000mPa.s〜50,000mPa.sの範囲、好ましくは2000mPa.s〜25,000mPa.sの範囲、そして例えば3000mPa.s〜15,000mPa.sの範囲である。
好ましくは、組成物C2の粘度は組成物C1の粘度よりも高い。
粘度は、直径60mmおよび角度2度の円錐と、25℃で設定された温度制御セルとを備えたモデルHaake Rheostress(登録商標)600のレオメータ−によって測定される。粘度の値は10秒−1の剪断速度に対して読み取られる。
組成物C1およびC2間の界面張力は低いことが好ましい。典型的には、これらの界面張力は0mN/m〜50mN/mの範囲、好ましくは0mN/m〜20mN/mの範囲である。
組成物C1およびC2間の低い界面張力も、工程b)の最後に得られるエマルジョン(E1)の安定性を確実にするのを可能にするので有利である。
組成物C2は少なくとも1種のモノマーまたはポリマー、少なくとも1種の架橋剤、および随意選択的に少なくとも1種の(光)開始剤または架橋触媒を含有し、それによってこれを架橋可能にする。
1つの態様によれば、組成物C2は、組成物C2の総質量に対して50質量%〜99質量%の範囲のモノマーもしくはポリマー、またはモノマーもしくはポリマーの混合物を含む。
1つの態様によれば、組成物C2は、組成物C2の総質量に対して1質量%〜20質量%の範囲の架橋剤、または架橋剤の混合物を含む。
1つの態様によれば、組成物C2は、組成物C2の総質量に対して0.1質量%〜5質量%の範囲の光開始剤、または光開始剤の混合物を含む。
1つの態様によれば、組成物C2は、組成物C2の質量に対して0.001質量%〜70質量%の範囲の架橋剤を含む。
本発明によれば、「モノマー」または「ポリマー」という用語は単独で、または他のモノマーまたはポリマーとの組み合わせで、重合によって固形材料を形成するのに適した任意の基本単位を意味する。
これらのモノマーは、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N−ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシド官能基からなる群から選択された少なくとも1種の反応性官能基を含むモノマーから選択されてよい。
具体的には、モノマーは、上述の反応性官能基のうちの少なくとも1種を含有するモノマーから、そしてこれに加えて第一級、第二級、第三級アルキルアミン官能基、第四級アミン官能基、スルフェート官能基、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、カルボキシレート、ヒドロキシル、ハロゲン官能基、およびこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の官能基を含有するモノマーから選択されてよい。
組成物C2中に使用されるポリマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスルフィド、およびポリジメチルシロキサンから選択されてよく、前記ポリマーは更に、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N−ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシド官能基からなる群において選択される少なくとも1種の反応性官能基を含有する。
このようなポリマーの例としては、下記ポリマー、すなわちポリ(2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート)、ポリ(2−(2−ナフチルオキシ)エチルアクリレート)、ポリ(2−(2−ナフチルオキシ)エチルメタクリレート)、ポリソルビトールジメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ((2−(1−ナフチルオキシ)エタノール)、ポリ(2−(2−ナフチルオキシ)エタノール)、ポリ(1−クロロ−2,3−エポキシプロパン)、ポリ(n−ブチルイソシアネート)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(p−ベンズアミド)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(N−(メタクリルオキシエチル)スクシンイミド)、ポリベンズイミダゾール、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリクロラール、ポリ塩化トリフルオロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリヒドリドシルセスキオキサン、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(メチル2−アクリルアミド−2−メトキシアセテート)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリ−モノ−ブチルマレエート、ポリブチルメタクリレート、ポリ(N−tert−ブチルメタクリルアミド)、ポリ(N−ブチルメタクリルアミド)、ポリシクロヘキシルメタクリルアミド、ポリ(m−キシレンビスアクリルアミド2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、N,N−ジメチルメタクリルアミド)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリイソブチルメタクリレート、ポリ(4−シクロヘキシルスチレン)、ポリシクロールアクリレート、ポリシクロールメタクリレート、ポリジエチルエトキシメチレンマロネート、ポリ(2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート)、ポリ(1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(N,N−ジメチルアニリンジヒドラジド)、ポリ(イソフタル酸ジヒドラジン)、イソフタルポリ酸、ポリジメチルベンジルケタル、エピクロロヒドリン、ポリ(エチル−3,3−ジエトキシアクリレート)、ポリ(エチル−3,3−ジメチルアクリレート)、ポリ(エチルビニルケトン)、ポリ(ビニルエチルケトン)、ポリ(ペンテン−3−オン)、ポリホルムアルデヒド、ポリ(ジアリルアセタール)、ポリフマロニトリル、ポリグリセリルプロポキシトリアクリレート、ポリグリセリルトリメタクリレート、ポリグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ポリグリシジルアクリレート、ポリ(n−ヘプチルアクリレート)、ポリ(アクリル酸n−ヘプチルエステル)、ポリ(n−ヘプチルタクリレート)、ポリ(3−ヒドロキシプロピオニトリル)、ポリ(2−ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(N−(メタクリルオキシエチル)フタルイミド、ポリ(1,9−ノナンジオールジアクリレート)、ポリ(1,9−ノナンジオールジメタクリレート)、ポリ(N−(n−プロピル)アクリルアミド)、ポリ(オルト−フタル酸)、ポリ(イソフタル酸)、ポリ(1,4−ベンゼンジカルボン酸)、ポリ(1,3−ベンゼンジカルボン酸)、ポリ(フタル酸)、ポリ(モノ−2−アクリルオキシエチルエステル)、テレフタルポリ酸、フタル酸ポリ無水物、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリソルビトールペンタアクリレート、ポリビニルブロモアセテート、ポリクロロプレン、ポリ(ジ−n−ヘキシルシリレン)、ポリ(ジ−n−プロピルシロキサン)、ポリジメチルシリレン、ポリジフェニルシロキサン、ポリビニルプロピオネート、ポリビニルトリアセトキシシラン、ポリビニルトリス−tert−ブトキシシラン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレンコ−ビニルアセテート、ポリ(ビスフェノール−Aポリスルホン)、ポリ(1,3−ジオキセパン)、ポリ(1,3−ジオキソラン)、ポリ(1,4−フェニレンビニレン)、ポリ(2,6−ジメチル−1A−フェニレンオキシド)、ポリ(4−ヒドロキシ安息香酸)、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリメチルアクリロニトリル、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルシルメチレン、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリ(フェニルシルセスキオキサン)、ポリ(ピロメリトイミド−1,4−ジフェニルエーテル)、ポリテトラヒドロフラン、ポリチオフェン、ポリ(トリメチレンオキシド)、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン−コ−ビニルアセテート、ポリ(ペルフルオロエチレンプロピレン)、ポリ(ペルフルオロアルコキシルアルカン)、またはポリ(スチレン−アクリロニトリル)が挙げられる。
「架橋剤」という用語は、モノマーまたはポリマー、あるいはモノマーまたはポリマーの混合物をその重合中に架橋することができる少なくとも2つの反応性官能基を有する化合物を意味する。
架橋剤は、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N−ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシド官能基からなる群から選択された少なくとも2つの官能基を含有する分子の中から選択されてよい。
架橋剤として、具体的には以下のものが挙げられる。
− ジアクリレート、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリルオキシフェニル)プロパン、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ビス(2−メタクリルオキシエチル)N,N’−1,9−ノニレンビスカルバメート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−フェニレンジアクリレート、アリルメタクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、テトラエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、N,N−ジアリルアクリルアミド、2,2−ビス[4−(2−アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、グリシジルメタクリレート;
− 多官能性アクリレート、例えばジペンタエリトリトールペンタアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンジアミンテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート;
− 他の反応性官能基をも有するアクリレート、例えばプロパルギルメタクリレート、2−シアノエチルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−アクリルオキシスクシンイミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N−(3アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリド、N−(t−BOC−アミノプロピル)メタクリルアミド、2−アミノエチルメタクリレートヒドロクロリド、モノアクリルオキシエチルホスフェート、o−ニトロベンジルメタクリレート、アクリル酸無水物、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N−ジアリルアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−(2−アクリルオキシエトキシ(acryloxyaehoxy))−2−ヒドロキシベンゾフェノン、N−(フタルイミドメチル)アクリルアミド、シナミルメタクリレート。
「光開始剤」という用語は、光輻射線の作用を受けて断片化することのできる化合物を意味するように使用される。
本発明に基づいて使用し得る光開始剤は、技術状況において知られており、例えば、”Les photoinitiateurs dans la reticulation des revetements [Photoinitiators in the crosslinking of coatings]”, G. Li Bassi, Double Liaison - Chimie des Peintures [Double Bond - Chemistry of Paints], no 361, November 1985, p. 34-41;”Applications industrielles de la polymerisation photoinduite [Industrial applications of photoinduced polymerisation]”, Henri Strub, L'Actualite Chimique [Chemical News], February 2000, p. 5-13; および”Photopolymeres: considerations theoriques et reaction de prise [Photopolymers: theoretical considerations and setting reaction”, Marc, JM Abadie, Double Liaison - Chimie des Peintures [Double Bond - Chemistry of Paints], no 435-436, 1992, p. 28-34に記載されている。
これらの光開始剤は次のものを含む。
− α−ヒドロキシケトン、例えばBASF社の商品名DAROCUR(商標)1173および4265, IRGACURE(商標)184, 2959および500、ならびにCYTEC社の商品名ADDITOL(商標)CPKで市販されている2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン。
− α−アミノケトン、具体的には、例えばBASF社の商品名IRGACURE(商標)907および369で市販されている2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1。
− 例えばLAMBERTIの商品名ESACURE(商標)TZTで市販されている芳香族ケトン、またはLAMBERTIの商品名ESACURE(商標)ITXで市販されているチオキサントン、およびキノン。これらの芳香族ケトンは多くの場合、水素供与体化合物、第三級アミン、特にアルカノールアミンを必要とする。LAMBERTI社によって市販されている第三級アミンESACURE(登録商標)EDBを挙げることができる。
− α−ジカルボニル誘導体。これらのうち最も一般的なものの代表は、BASF社の商品名IRGACURE(商標)651で市販されているベンジルジメチルケタルである。商業的に入手可能な製品がLAMBERTI社によって商品名ESACURE(商標)KB1で市販されている。そして
− アシルホスフィンオキシド、例えばBASF社の商品名IRGACURE(商標)819、1700および1800、DAROCUR(商標)4265、LUCIRIN(商標)TPO、およびLUCIRIN(商標)TPO-Lで市販されているビス−アシルホスフィンオキシド(BAPO)。
光開始剤の中では、芳香族ケトン、ベンゾフェノン、フェニルグリオキシレート、例えば、フェニルグリオキシル酸のメチルエステル、オキシムエステル、例えば[1−(4−フェニルスルファニルベンゾイル)ヘプチリデンアミノ]ベンゾエート、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、およびオキシムスルホネートが挙げられる。
1つの態様によれば、組成物C2は更に、マイクロカプセル封入体の特性を改善することができ、および/またはマイクロカプセルケーシングに新しい特性を提供することができる付加的なモノマーまたはポリマーを含むこともできる。
これらの付加的なモノマーまたはポリマーの中では、pH、温度、UVまたはIRに対して感受性を有する基を含有するモノマーまたはポリマーを挙げることができる。
これらの付加的なモノマーまたはポリマーは、固形マイクロカプセルの破裂を誘発し、そしてpH、温度、UVまたはIRを介して刺激を与えた後、続いてこれらの内容物の放出を誘発することができる。
これらの付加的なモノマーまたはポリマーは、次の官能基、すなわちアクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、N−ビニルエーテル、メルカプトエステル、チオレン、シロキサン、エポキシ、オキセタン、ウレタン、イソシアネート、およびペルオキシドからなる群の中から選択された少なくとも1種の反応性官能基を含有するモノマーまたはポリマー、ならびに以下の基、すなわち
− 疎水性基、例えばフッ素化基、例えばトリフルオロエチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ペンタフルオロプロピルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、またはフルオロフェニルイソシアネート、
− pH感受性基、例えば第一級、第二級、または第三級アミン、カルボン酸、ホスフェート基、スルフェート基、ニトレート基、またはカーボネート基、
− UV感受性またはUV開裂性基(またはフォトクロミック基)、例えばアゾベンゼン、スピロピラン、2−ジアゾ−1,2−ナフトキノン、o−ニトロベンジル、チオール、または6−ニトロ−ベラトロイルオキシカルボニル、例えばポリ(エチレンオキシド)−ブロック−ポリ(2−ニトロベンジルメタクリレート)、および、具体的にはLiu et al., Polymer Chemistry 2013, 4, 3431-3443に記載されているような他のブロックコポリマー、
− IR感受性またはIR開裂性基、例えばo−ニトロベンジルまたは2−ジアゾ−1,2−ナフトキノン、例えばLiu et al., Polymer Chemistry 2013, 4, 3431-3443に記載されているポリマー、および
− 温度感受性基、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、
のうちの1つを含有するモノマーまたはポリマーの中から選択されてよい。
工程c)
本発明による方法の工程c)は、第2エマルジョン(E2)を調製することにある。
第2エマルジョンは、C2と非混和性である組成物C3中の第1エマルジョンの液滴の分散体から成り、この分散体は、C3中に攪拌しながら第1エマルジョンを液滴状に添加することにより形成される。
上述のように、(組成物C1が組成物C1aであるとき)単一粒子を含有するカプセルを得るために、第2エマルジョンの調製はTよりも高い温度で行われる。(組成物C1が組成物C1bであるとき)いくつかの粒子を含有するカプセルを得るためには、第2エマルジョンの調製はTを下回る温度で行われる。
工程c)の添加条件下では、組成物C2およびC3は互いに混和性ではない。このことは、組成物C3中に可溶化することができる組成物C2の量(質量)が組成物C3の総質量に対して、5%以下、好ましくは1%未満、そして好ましくは0.5%未満であること、そして組成物C2中に可溶化することができる組成物C3の量(質量)が組成物C2の総質量に対して、5%以下、好ましくは1%未満、そして好ましくは0.5%未満であることを意味する。
このように、組成物(E1)が攪拌下で組成物C3と接触すると、組成物C3は、ダブル液滴と呼ばれる液滴の形態を成して分散される。連続相C3中のこれらのエマルジョン(E1)液滴の分散体をエマルジョン(E2)と呼ぶ。
典型的には、工程c)中に形成された二重の液滴は、上記組成物C1の単独の液滴に対応する。組成物C1は、前記単独の液滴を完全にカプセルに包む組成物封入体C2によって取り囲まれている。
工程c)中に形成されたダブル液滴は、組成物C1の少なくとも2つの単独の液滴を含んでもよい。前記単独の液滴は、前記単独の液滴を完全にカプセルに包む組成物封入体C2によって取り囲まれている。
このように、前記ダブル液滴は、組成物C1の1つまたは2つ以上の単独の液滴からなるコアを含み、組成物C2の層は前記コアを取り囲んでいる。
結果として得られるエマルジョン(E2)は概ね多分散二重エマルジョン(C3中C2中C1エマルジョン(C1−in−C2−in−C3エマルジョン))である。この多分散二重エマルジョンは、二重の液滴がエマルジョン(E2)中に明確なサイズ分布を有していないことを意味している。
組成物C2およびC3間の非混和性は、組成物C2の層と組成物C3との混合を防止するのを可能にし、ひいてはエマルジョン(E2)の安定性を保証する。
組成物C2およびC3間の非混和性はまた、液滴のコアから組成物C3への組成物C1の揮発性化合物の移動を防止するのを可能にする。
工程c)を実施するために、エマルジョンを形成するために通常使用されるいずれかの種類の攪拌器、例えば機械的攪拌器、静的乳化器、超音波ホモジナイザ、メンブレンホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、コロイドミル、高剪断分散器、または高速ホモジナイザを利用することができる。
組成物C3
1つの態様によれば、組成物C3の25℃における粘度は、エマルジョン(E1)の25℃における粘度よりも高い。
本発明によれば、組成物C3の25℃における粘度は、500mPa.s〜100,000mPa.sの範囲である。
好ましくは、組成物C3の25℃における粘度は、3,000mPa.s〜100,000mPa.sの範囲、好ましくは5,000mPa.s〜80,000mPa.sの範囲、例えば7,000mPa.s〜70,000mPa.sの範囲である。
この態様によれば、組成物C3によって形成された連続相の粘度が極めて高いことを考慮すると、エマルジョン(E2)の二重の液滴の不安定化速度は、本発明の方法の継続時間に対して著しく遅い。このことは結果として、カプセルの封入体の重合が完成するまでの、エマルジョン(E2)の、そして次いでエマルジョン(E3)の動力学的安定化をもたらす。カプセルはひとたび重合されると、熱力学的に安定となる。
従って、組成物C3の極めて高い粘度は、工程b)の終了時に得られるエマルジョン(E2)の安定性を保証する。
この系の高い粘度は、二重エマルジョン(E2)の動力学的安定性を有利に保証し、ひいては、製造法の継続時間に亘って二重エマルジョンが相から外れることを防止する。
好ましくは、組成物C2およびC3間の界面張力は低い。組成物C2およびC3間の低い界面張力はまた、工程c)の最後に得られるエマルジョン(E2)の安定性を有利に確実にすることを可能にする。
C3中の第1エマルジョン(E1)の体積分率を0.05から0.5まで、適切に変化させることにより、一方では生産収率を改善し、そして他方では、カプセルの平均直径を変化させることができる。この工程の最後には、第2エマルジョンのサイズ分布は比較的広い。
1つの態様によれば、エマルジョン(E1)の体積と組成物C3の体積との比は1:10〜10:1の範囲である。好ましくは、この比は1:9〜3:1の範囲、好ましくは1:9〜1:1の範囲である。
1つの態様によれば、組成物C3は更に上記のような少なくとも1種のゲル化剤を含んでよい。
1つの態様によれば、組成物C3は加えて、好ましくは分子量が5000g/molよりも大きい少なくとも1種の分枝ポリマー、および/または分子量が5000g/molよりも大きい少なくとも1種のポリマー、および/またはシリケートのような固形粒子を含む。
1つの態様によれば、組成物C3は好ましくは分子量が5000g/molよりも大きい、好ましくは10,000g/mol〜500,000g/molの範囲の、例えば50,000g/mol〜300,000g/molの範囲の、ゲル化剤として使用し得る少なくとも1種の分枝ポリマーを含む。
「分枝ポリマー」という用語は、2つの末端基間に少なくとも1つの分枝点を有するポリマーを意味するために使用される。分枝点は、分枝鎖またはペンダント鎖とも呼ばれる側鎖が固定された鎖の地点である。
分枝ポリマーの中では、例えばグラフトポリマー、櫛形ポリマー、あるいは星形ポリマーまたはデンドリマーを挙げることができる。
1つの態様によれば、組成物C3は分子量が5000g/molよりも大きい、好ましくは10,000g/mol〜500,000g/molの範囲の、例えば50,000g/mol〜300,000g/molの範囲の、ゲル化剤として使用可能な少なくとも1種のポリマーを含む。
ゲル化剤として使用することができるポリマーとしては、単独でまたは互いに混合した状態で使用される以下の化合物を挙げることができる。
− セルロース誘導体、例えばセルロースエーテル、すなわちメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはメチルヒドロキシプロピルセルロース;
− ポリアクリレート(カルボマーとしても知られる)、例えばポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリ(N−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)(pHPMA);
− ポリアクリルアミド、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM);
− ポリビニルピロリドン(PVP)およびその誘導体;
− ポリビニルアルコール(PVA)およびその誘導体;
− ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)およびその誘導体、例えばポリ(エチレングリコール)アクリレート/メタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート/ジメタクリレート、ポリプロピレンカーボネート;
− 多糖類、例えばカラギナン、イナゴマメガムまたはタラガム、デキストラン、キサンタンガム、キトサン、アガロース、ヒアルロン酸、ジェランガム、グアールガム、アラビアガム、トラガカントガム、ダイユータンガム、オーツガム、カラヤガム、ガティガム、カードランガム、ペクチン、コンニャクガム、デンプン;
− タンパク質誘導体、例えばゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ポリリシン、アルブミン、カゼイン;
− シリコーン誘導体、例えばポリジメチルシロキサン(ジメチコーンとしても知られる)、アルキルシリコーン、アリールシリコーン、アルキルアリールシリコーン、ポリエチレングリコールジメチコーン、ポリプロピレングリコールジメチコーン;
− ワックス、例えばジエステルワックス(アルカンジオールジエステル、ヒドロキシル酸ジエステル)、トリエステルワックス(トリアシルグリセロール、アルカン−1,2−ジオール、ω−ヒドロキシ酸および脂肪酸のトリエステル、ヒドロキシマロン酸、脂肪酸、およびアルコールのエステル、ヒドロキシル酸、脂肪酸、および脂肪アルコールのトリエステル、脂肪酸、ヒドロキシル酸、およびジオールのトリエステル)、ならびにポリエステルワックス(脂肪酸のポリエステル)。本発明の文脈においてワックスとして使用できる脂肪酸エステルは、例えばセチルパルミテート、セチルオクタノエート、セチルラウレート、セチルラクテート、セチルイソノナノエート、およびセチルステアレート、ステアリルステアレート、ミリスチルステアレート、セチルミリステート、イソセチルステアレート、グリセリルトリミリステート、グリセリルトリパルミテート、グリセリルモノステアレート、またはセチルグリセリルパルミテート;
− ワックスとして使用することができる脂肪酸、例えばセロチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、アラキジン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ペンタデシル酸、マルガリン酸、ノナデシル酸、ヘンイコシル酸、トリコシル酸、ペンタコシル酸、ヘプタコシル酸、モンタン酸、またはノナコシル酸;
− 脂肪酸塩、具体的には脂肪酸アルミニウム塩、例えばアルミニウムステアレート、ヒドロキシルアルミニウムビス(2−エチルヘキサノエート);
− 異性化ホホバ油;
− 水素化ヒマワリ油;
− 水素化ヤシ油;
− 水素化ラノリン油;ヒマシ油およびその誘導体、特に変性水素化ヒマシ油、またはヒマシ油と脂肪アルコールとのエステル化によって得られる化合物;
− ポリウレタンおよびその誘導体;
− スチレンポリマー、例えばスチレンブタジエン;ポリオレフィン、例えばポリイソブテン。
1つの態様によれば、組成物C3は、ゲル化剤として使用し得る固形粒子、例えばクレイ、シリカ、およびシリケートを含む。
ゲル化剤として使用することができる固形粒子としては、クレイ、および具体的には(層状シリケートとしても知られる)フィロシリケートのカテゴリに属するシリケートを挙げることができる。本発明の文脈において使用し得るシリケートの一例としては、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルガイト、セピオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ソーコナイト、ノントロナイト、カオリナイト、タルク、セピオライト、チョークを挙げることができる。ヒュームド合成シリカを使用してもよい。前記クレイ、シリケート、およびシリカは、有機分子、例えばポリエーテル、エトキシル化アミド、第四級アンモニウム塩、長鎖ジアミン、長鎖エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールによって有利に改質することができる。
これらの粒子は単独でまたは互いに混合した状態で使用することができる。
1つの態様によれば、組成物C3は、分子量が5000g/molよりも大きい少なくとも1種のポリマー、および固形粒子を含む。前述の化合物のいずれかの混合物をも使用することができる。
工程d)
本発明による方法の工程d)は、第2エマルジョン(E2)の液滴のサイズを精緻化することにある。
(組成物C1が組成物C1aであるとき)単一粒子を含有するカプセルを得るために、サイズの精緻化はTよりも高い温度で行われる。次いで第2単分散エマルジョンは、より低い温度Tまで冷却させておく。
(組成物C1が組成物C1bであるとき)いくつかの粒子を含有するカプセルを得るためには、サイズの精緻化はTを下回る温度で行われる。
工程d)は、均質な制御された剪断力をエマルジョン(E2)に加えることにあり、前記加えられる前記剪断速度は10s−1〜100,000s−1の範囲である。
1つの態様によれば、工程c)において得られた多分散の二重の液滴に、サイズ精緻化プロセスを施す。このプロセスは、液滴に剪断力を加えて液滴を破断することによって均質であり且つ制御された直径を有する新しいダブル液滴にすることにある。好ましくは、この断片化工程は、欧州特許出願第15306428.2号明細書に記載された方法に基づくクエット型高剪断セルを使用することにより実施される。
1つの態様によれば、工程d)において、工程c)の最後に得られる第2エマルジョン(E2)は、連続相中に分散された多分散の二重の液滴を、ミキサ内で剪断を加えることからなり、ミキサは均質な制御された剪断を加える。
このように、この態様によれば、工程d)は、均質な制御された剪断を前記エマルジョン(E2)に加えることからなり、加えられる前記剪断速度は1000s−1〜100,000s−1である。
この態様によれば、継続時間とは無関係に、エマルジョンの地点間で変化し得る所与の時点で、剪断速度がエマルジョンの部分全てに対して同一である最大値になったときに、ミキサ内で、剪断速度は制御されかつ均質であると言われる。ミキサの正確な形態は、エマルジョン全体がこのデバイスの同じ最大剪断速度に付されている限り、本発明によればさほど重要ではない。工程d)を実施するのに適したミキサは、具体的には米国特許第5,938,581号明細書に記載されている。
第2エマルジョンは、これがセルを通過するときに、均質な制御された剪断を加えられてよい。セルは、
− (クエット型とも呼ばれる)2つの同心的な回転シリンダ
− 2つの平行な回転ディスク、または
− 2つの平行な振盪プレート
によって形成されている。
この態様によれば、第2エマルジョンに加えられる剪断速度は、1,000s−1〜100,000s−1の範囲、好ましくは1,000s−1〜50,000s−1の範囲、そして好ましくは2,000s−1〜20,000s−1の範囲である。
本態様によれば、工程d)中、第2エマルジョンをミキサ内に導入し、次いでこれに剪断を加える。その結果、第3エマルジョンが形成される。第3エマルジョン(E3)は第2エマルジョン(E2)に対して化学的に同一ではあるものの、単分散の二重の液滴からなっており、これに対してエマルジョン(E2)は、多分散の二重の液滴からなっている。第3エマルジョン(E3)は典型的には、組成物C1の1つまたは2つ以上の液滴からなるコアと、前記コアをカプセルに包む組成物C2の層とを含む二重の液滴の分散体から成っている。前記二重の液滴は組成物C3中に分散される。
第2エマルジョンと第3エマルジョンとの相違点は、二重の液滴のサイズ変動である。すなわち、第2エマルジョンの液滴はサイズが多分散であるのに対して、第3エマルジョンの液滴は、上記断片化メカニズムによって単分散である。
好ましくは、この態様によれば、第2エマルジョンを連続的にミキサ内へ導入する。このことは、ミキサの入口で導入される二重エマルジョン(E2)の量が、ミキサの出口の第3エマルジョン(E3)の量と同じであることを意味する。
エマルジョン(E3)の液滴のサイズが重合後の固形マイクロカプセルの液滴のサイズに事実上相当する以上、工程d)中に剪断速度を調節することにより、マイクロカプセルのサイズ、および封入体の厚さを調節することが可能である。液滴サイズの減少と剪断速度の増大との間には強い相関関係がある。これにより、工程d)中に加えられる剪断速度を変えることによって、マイクロカプセルの結果として生じる寸法を調節することができる。
好ましい態様によれば、工程d)中に実行されるミキサはクエット型ミキサである。クエット型ミキサは、2つの同心的なシリンダ、すなわち内径Rの1つの外側シリンダと、外径Rの内側シリンダとを含み、外側シリンダは定置であり、内側シリンダは角速度ωで回転する。
本発明の方法に適したクエット型ミキサは、TSR France社によって提供されることができる。
1つの態様によれば、クエット型ミキサの内側回転シリンダの角速度ωは30rad.s−1以上である。
例えば、クエット型ミキサの内側回転シリンダの角速度ωは約70rad.s−1以上である。
クエット型ミキサの定置の外側シリンダの寸法は、内側回転シリンダと定置外側シリンダとの間の空間(d=R−R)を調整するように選択されてよい。
1つの態様によれば、2つの同心的なシリンダ間の空間(d=R−R)は50μm〜1000μmの範囲、好ましくは100μm〜500μmの範囲、例えば200μm〜400μmの範囲である。
例えば、2つの同心的なシリンダ間の距離dは100μmに等しい。
この態様によれば、工程d)中、第2エマルジョンは、典型的にはポンプを介して、ミキサの入口で導入され、2つの同心的なシリンダ間の空間に向かって導かれる。外側シリンダは定置であり、内側シリンダは角速度ωで回転する。
ダブルエマルジョンが2つのシリンダ間の空間内にあるときに、前記エマルジョンに加えられる剪断速度は以下の等式:
によって与えられる。
上記式中、
− ωは内側回転シリンダの角速度であり、
− Rは固定外側シリンダの内径であり、そして
− Rは回転内側シリンダの外径である。
別の態様によれば、組成物C3の粘度は25℃で2000mPa.sよりも高く、工程d)は、1000s−1未満の剪断速度をエマルジョン(E2)に加えることにある。
この態様によれば、断片化工程d)は、剪断速度1000s−1未満でエマルジョンを形成するために通常使用されるあらゆるタイプのミキサを利用することにより実施することができる。この場合、組成物C3の粘度は2000mPa.sよりも高く、すなわち、仏国特許出願第1661787号明細書に記載されたもののような条件下にある。
この段階の終了時に形成された二重の液滴の幾何学的特性は、将来のカプセルの幾何学的特性を特徴付ける。
この態様によれば、工程d)において、連続相中に分散された多分散液滴からなるエマルジョン(E2)に、例えばミキサ内で、低い剪断速度、すなわち1000s−1未満で剪断を施す。
この態様によれば、工程d)に加えられる剪断速度は、例えば10s−1〜1000s−1の範囲である。
好ましくは、工程d)に加えられる剪断速度は厳密に1000s−1未満である。
この態様によれば、エマルジョン(E2)の液滴は、これに高い剪断応力が加えられる場合にのみ、エマルジョン(E3)の微細な、そして単分散の液滴に事実上断片化することができる。
エマルジョン(E2)の液滴に加えられる剪断応力σは、工程d)時の攪拌中にエマルジョンに加えられる巨視的剪断力から生じる液滴の単位面積当たりの接線力として定義される。
剪断応力σ(Paで表される)、組成物C3の粘度η(Pa・sで表される)、および工程d)中に攪拌しながらエマルジョン(E2)に加えられる剪断速度γ(s−1で表される)は、下記等式によって連関される。
こうして、この態様によれば、組成物C3の高い粘度により、たとえ剪断速度が低く、かつ剪断力が不均質であるとしても、エマルジョン(E2)の液滴に極めて高い剪断応力をミキサ内で加えることができる。
この態様に基づく工程d)を実施するのに際して、エマルジョンを形成するために通常使用されるあらゆるタイプの攪拌器、例えば機械的攪拌器、静的乳化器、超音波ホモジナイザ、メンブレンホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、コロイドミル、高剪断分散器、または高速ホモジナイザを利用することができる。
好ましい態様によれば、工程d)を実施するために、単純な乳化器、例えば羽根付き攪拌器、または静的乳化器が使用される。実際には、この態様は制御された剪断も1000s−1よりも高い剪断力も必要としないので、このことが可能である。
工程e)
本発明の方法の工程e)は、本発明による固形マイクロカプセルの封入体の架橋、それによる形成から成っている。
この工程は、カプセルの期待される保護および保持性能を達成すること、およびカプセルの熱力学的安定性を保証することの両方を可能にし、これにより、合体または硬化のようないかなる不安定化メカニズムをも永久的に防止する。
1つの態様によれば、組成物C2が光開始剤を含むときには、工程e)は、組成物C2の光重合を開始することができる光源、具体的には好ましくは100nm〜400nmの波長で発光するUV光源に、具体的には15分間未満の時間にわたってエマルジョン(E3)を暴露する光重合工程である。
この態様によれば、工程e)は、エマルジョン(E3)に光重合を施すことにある。従って、このことは組成物C2の光重合を可能にする。この工程は、上記揮発性化合物をカプセル化するマイクロカプセルを得るのを可能にする。
1つの態様によれば、工程e)は、組成物C2の光重合を開始することができる光源にエマルジョン(E3)を暴露することにある。
好ましくは、光源はUV光源である。
1つの態様によれば、UV光源は、波長100nm〜400nmの範囲で発光する。
1つの態様によれば、エマルジョン(E3)は、15分間未満、そして好ましくは5〜10分の範囲の時間にわたって光源に暴露される。
工程e)中、光硬化性組成物C2からなる前述の二重の液滴の封入体は架橋され、それにより粘弾性ポリマー封入体に変えられる。粘弾性ポリマー封入体は揮発性化合物をカプセルに包み、そして機械的に誘発されるメカニズムが存在しない状態では、放出されることからこの揮発性化合物を保護する。
別の態様によれば、組成物C2が光開始剤を含まないときには、工程e)は、光源に暴露することのない重合工程であり、この重合工程e)の継続時間は好ましくは8時間〜100時間であり、および/またはこの工程e)は、20℃〜80℃の温度で実施される。
この態様によれば、重合は、例えば熱に対する暴露によって開始される(熱開始)か、あるいは単にモノマー、ポリマーおよび架橋剤を互いに、または触媒と接触させることによって開始される。重合時間はこの場合概ね数時間よりも長い。
好ましくは、組成物C2の重合の工程d)は8時間〜100時間の時間にわたって、20℃〜80℃の範囲の温度で実施される。
組成物C3中に分散された固形マイクロカプセルを含む、工程e)の最後に得られた組成物は、いつでも使用できる状態にあり、そしてカプセルのいかなる付加的な後処理工程も必要とすることなしに使用することができる。
こうして得られたマイクロカプセルの封入体の厚さは典型的には0.1μm〜20μmの範囲、好ましくは0.2μm〜10μmの範囲、好ましくは0.2μm〜8μmの範囲である。
1つの態様によれば、工程e)の最後に得られた固形マイクロカプセルは、固形シェルと、具体的には組成物C3によって形成される外部媒体(または連続相)との間の界面には、いかなる界面活性剤も含まない。
本発明の方法は、記載された工程のうちのいずれにおいても、界面活性剤を必要としないという利点をもたらす。本発明の方法はこうして、活性成分の放出後に得られる最終生成物の特性を変更し得る添加物の存在を低減するのを可能にする。
本発明はまた、上記方法に基づいて得ることができる一連の(一組の)固形マイクロカプセルであって、それぞれのマイクロカプセルが
− 上記組成物C1を含むコアと、
− 周囲でコアを完全にカプセルに包む固形封入体であって、前記マイクロカプセルの平均直径が1μm〜30μmの範囲であり、剛性封入体の厚さが0.1μm〜20μmの範囲であり、そしてマイクロカプセル直径分布の標準偏差が50%未満、具体的には25%未満、または1μm未満である、固形封入体と、
を含む。
上記のように、本発明の方法は、単分散粒子を得ることを可能にする。また、上述の一連の固形マイクロカプセルは、サイズが単分散である粒子の集団から形成される。従って、マイクロカプセルの直径の分布の標準偏差は50%未満、特には25%未満、または1μm未満である。
固形マイクロカプセルのサイズ分布は、Hydro SV測定セルを備えたMastersizer 3000 (Malvern Instruments)を使用した光散乱技術によって測定することができる。
1つの態様によれば、前述の固形マイクロカプセルは、(組成物C2から得られる)架橋されたポリマーから全体的になる固形封入体を含む。
上記のように、本発明の方法は、固形マイクロカプセルを得るのを可能にする。従って本発明はまた、コアと、周囲でコアを完全にカプセル化する剛性封入体とを含む固形マイクロカプセルであって、コアが組成物C1であり、そして前記剛性封入体が架橋されたポリマーから成り、前記カプセルの直径が1μm〜30μmの範囲であり、前記剛性封入体の厚さが0.1μm〜20μmの範囲であり、これにより組成物C1は、
− 単一の疎水性固形粒子を含む組成物C1a、
− または親水性相中に分散された複数の疎水性固形粒子を含む組成物C1b、
であり、
前記疎水性固形粒子が1種または2種以上の親油性揮発性化合物と1種または2種以上の疎水性材料とを含有し、前記材料が室温では固体であり、そしてTを上回る温度では液体であり、Tが30℃〜80℃の範囲である。
本発明はまた、上記一連の固形マイクロカプセルを含む組成物に関する。
別の態様によれば、組成物は具体的には芳香剤のレベルで、少なくとも組成物C1中に、互いに異なる本発明による固形マイクロカプセルの少なくとも1つのダブル集団を含む。この態様は、具体的には非相容性の揮発性化合物を、これらが同じ溶液中に存在する場合に安定的に且つ効率的にカプセル化するのを可能にする点で有利である。
本発明のカプセルは、ポリマー、エラストマー、ゴム、塗料、接着剤、シール、モルタル、紙、ワニス、またはコーティング、合成化学製品、洗濯製品、洗剤製品、洗濯・ホームケア製品、農薬製品、例えば、肥料、除草剤、殺虫剤、防かび剤、または駆除剤、テキスタイル、石油化学製品、例えば潤滑剤、燃料、ビチューメン、掘削流体、および坑井刺激流体に使用される活性成分を保護するために使用されると有利であり得る。
本発明はまた、上記一連の固形マイクロカプセルを含む組成物に機械的剪断応力を加える工程を含む、揮発性化合物を放出する方法に関する。
「...〜...である」および「...〜...の範囲の」および「...から...まで」という表現は、特に断りのない限りは限界値を含むものとして理解されるべきである。
例1:本発明による固形カプセルの製造
凝集防止型攪拌プロペラを備えた機械的攪拌器(Ika Eurostar 20)を使用して、全ての攪拌工程を実施する。
工程a):カプセルのコアの形成(粒子の分散体−組成物C1b)

組成物C1aを、35℃で恒温にされ500rpmで攪拌された浴内に、ワックスの溶解が完了するまで容れる。組成物Bを、35℃で恒温にされ200rpmで攪拌された浴内に、均質化が完了するまで容れる。次いで組成物C1aを組成物Bに、依然として35℃で、2000rpmで攪拌しながら液滴状に添加する。混合物を5分間に亘って2000rpmで攪拌し、次いで30%の振幅で、20分間(パルス5s/2s)に亘って超音波処理(Vibra-cell 75042, Sonics)をこれに施す。超音波処理中、温度が35℃を超えた場合には、混合物を氷によって冷却する。
冷却後、1.05gの改質ポリエチレングリコールゲル化剤(Aculyn 44N, Dow)を、ゲル化するまで500rpmで攪拌しながら混合物に添加する。組成物C1bがこうして得られる。
工程b):第1エマルジョン(E1)の調製

組成物C1を2000rpmで攪拌しながら、温度T=20℃で組成物C2に液滴状に添加する。第1エマルジョン(E1)がこうして得られる。
工程c):第2エマルジョン(E2)の調製

組成物C3を、均質化が完了するまで1000rpmで攪拌する。次いで第1のエマルジョン(E1)を1200rpmで攪拌しながら、温度T=20℃で組成物C3に液滴状に添加する。このことは第2のエマルジョン(E2)をもたらす。
工程d):第2のエマルジョンのサイズの精緻化
先行の工程で得られた第2の多分散エマルジョンを1200rpmで10分間に亘って温度T=20℃で攪拌する。単分散エマルジョン(E3)をこうして得る。
工程e):カプセル封入体の細網化
前工程で得られた第2の単分散エマルジョン(E3)を、波形長365nmで0.1W/cmの最大光強度を有するUV光源(Dymax LightBox ECE 2000)によって15分間に亘って照射する。
例1に基づく固形マイクロカプセルは良好なサイズ分布を有し、つまり平均サイズ2.4μmおよび標準偏差1.1μmまたは46%を有する。更に、例1に基づくマイクロカプセルによる揮発性の親油性化合物、つまり有機溶媒のカプセル化の質を、30日間にわたって室温で監視した。
攪拌後であっても、特にカプセル化有機溶媒の色の変化または匂いの発散はない。またカプセルの懸濁液中の相分離もない。このことは、組成物C3と非混和性の有機溶媒の漏れがないことを示している。
例1に基づく固形マイクロカプセルはこのように、揮発性の親油性化合物、具体的には有機溶媒を効果的にカプセル化するのに特に適していることが判る。
例2:本発明による固形カプセルの製造
凝集防止型攪拌プロペラを備えた機械的攪拌器(Ika Eurostar 20)を使用して、全ての攪拌工程を実施する。
工程a):カプセルのコアの形成(粒子の分散体−組成物C1b)

組成物C1aを、35℃で恒温にされ500rpmで攪拌された浴内に、ワックスの溶解が完了するまで容れる。組成物Bを、35℃で恒温にされ200rpmで攪拌された浴内に、均質化が完了するまで容れる。次いで組成物C1aを組成物Bに、依然として35℃で、2000rpmで攪拌しながら液滴状に添加する。次いでこれに、乳化ロッドを使用して5分間に亘って高攪拌を施し、そして30%の振幅で、3分間に亘って超音波処理を施す(Vibra-cell 75042, Sonics, パルス5s/2s)。超音波処理中、温度が35℃を超えた場合には、混合物を氷によって冷却する。
冷却後、0.4gの改質ポリエチレングリコールゲル化剤(Aculyn 44N, Dow)を、ゲル化するまで500rpmで攪拌しながら混合物に添加する。組成物C1bがこうして得られる。
工程b):第1のエマルジョン(E1)の調製

組成物C1を2000rpmで攪拌しながら、温度T=20℃で組成物C2に液滴状に添加する。第1のエマルジョン(E1)がこうして得られる。
工程c):第2のエマルジョン(E2)の調製

組成物C3を、均質化が完了するまで2000rpmで攪拌する。次いで第1エマルジョン(E1)を1分間に亘って2000rpmで攪拌しながら、温度T=20℃で組成物C3に液滴状に添加する。このことは第2エマルジョン(E2)をもたらす。
工程d):第2のエマルジョンのサイズの精緻化
先行の工程で得られた第2の多分散エマルジョンを1200rpmで10分間に亘って温度T=20℃で攪拌する。単分散エマルジョン(E3)をこうして得る。
工程e):カプセル封入体の細網化
前工程で得られた第2の単分散エマルジョン(E3)を、波形長365nmで0.1W/cmの最大光強度を有するUV光源(Dymax LightBox ECE 2000)によって15分間にわたって照射する。
例2に基づく固形マイクロカプセルは良好なサイズ分布を有し、つまり平均サイズ10μmおよび標準偏差3.7μmまたは37%を有する。
さらに、揮発性の親油性化合物、つまりベータ−イオノンのカプセル化の質を高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって評価した。
2000rpmで20分に亘って遠心分離することにより、マイクロカプセルをそれらの連続相から分離した。次いでHPLCによって上澄みを分離することにより、存在するベータ−イオノンの量を定量化し、それによってカプセル化効率に遡る。カプセル化されていないベータ−イオノンの量0.5%±0.2%が定められた。従って、本発明によるカプセルは、初めにカプセル化されたベータ−イオノンの99.5±0.2%を効率的に保持することができる。
例2に基づく固形マイクロカプセルはこのように、揮発性の親油性化合物、具体的にはベータ−イオノンのような発香分子を効果的にカプセル化するのに特に適していることが判る。

Claims (15)

  1. 固形マイクロカプセルを製造する方法であって、以下の工程、すなわち、
    a)単一の疎水性固形粒子を含む組成物C1a、または親水性相中に分散された複数の疎水性固形粒子を含む組成物C1bのいずれかである組成物C1を製造する工程であって、
    前記疎水性固形粒子が、1種または2種以上の親油性の揮発性化合物と1種または2種以上の疎水性材料とを含有し、前記材料が室温では固体であり、そしてTを上回る温度では液体である、
    工程と、
    b)前記組成物C1をポリマー組成物C2中に温度Tで攪拌しながら添加する工程であって、前記組成物C1およびC2が互いに非混和性であり、
    前記組成物C1が組成物C1aである場合には、前記温度TがTよりも高く、そして組成物C1が組成物C1bである場合には、前記温度TがTよりも低く、
    前記組成物C2が少なくとも1種のモノマーまたはポリマーと、少なくとも1種の架橋剤と、随意選択的に少なくとも1種の(光)開始剤または架橋触媒とを含み、
    前記組成物C2の粘度が25℃で500mPa.s〜100000mPa.sの範囲であり、そして好ましくは組成物C1の粘度よりも高く、これにより、組成物C2中に分散された組成物C1aまたはC1bの液滴を含むエマルジョン(E1)が得られる、
    工程と、
    c)前記エマルジョン(E1)をポリマー組成物C3中に温度Tで攪拌しながら添加する工程であって、前記組成物C2およびC3が互いに混和性でなく、前記エマルジョン(E1)が前記組成物C2中に分散された組成物C1aの液滴を含む場合には、前記温度TがTよりも高く、そしてエマルジョン(E1)が組成物C2中に分散された組成物C1bの液滴を含む場合には、前記温度TがTよりも低く、
    前記組成物C3の粘度が25℃で500mPa.s〜100000mPa.sの範囲であり、好ましくはエマルジョン(E1)の粘度よりも高く、
    これにより、組成物C3中に分散された液滴を含む二重エマルジョン(E2)が得られる、
    工程と、
    d)温度Tでエマルジョン(E2)に剪断を加える工程であって、工程a)の組成物C1が組成物C1aである場合には温度TはTよりも高く、そして工程a)の組成物C1が組成物C1bである場合には温度TはTよりも低く、
    これにより、前記組成物C3中に分散された、サイズが制御された液滴を含む二重エマルジョン(E3)が得られる、
    工程と、
    e)組成物C2を重合する工程であって、これにより、組成物C3中に分散された固形マイクロカプセルが得られる、
    工程、
    とを含む、固形マイクロカプセルを製造する方法。
  2. 前記疎水性材料が、ワックス、バター、またはペースト状脂肪性物質、およびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記揮発性の親油性化合物が、芳香剤、フラボノイド、不飽和脂肪酸、有機溶媒、難燃剤、およびこれらの混合物から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. C1bの親水性相が、少なくとも1種の分散剤と少なくとも1種のゲル化剤とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ゲル化剤が、好ましくは分子量5000g.mol−1超の分枝状ポリマー、分子量5000g.mol−1超のポリマー、およびこれらの混合物から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記分散剤が、界面活性剤、特には非イオン性界面活性剤、ポリアクリレート、糖/多糖類と脂肪酸とのエステル、特にはデキストリンと脂肪酸とのエステル、イヌリンと脂肪酸とのエステル、グリセロールと脂肪酸とのエステル、ポリアミド、シリコーンのポリエーテルおよびポリエステル、エトキシル化アルコール、およびこれらの混合物から選択される、請求項4に記載の方法。
  7. 前記組成物C1が組成物C1aである場合には、工程a)が、前記疎水性材料をTを上回る温度に加熱する工程と、これに続いて前記親油性の揮発性化合物を添加する工程と、Tよりも高い温度で全体を混合する工程とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記組成物C1が組成物C1bである場合には、工程a)が更に前記親水性相中に前記組成物C1aを分散する工程と、これに続いて、こうして得られた分散体をTを下回る温度で冷却する工程とを含み、これにより、前記親水性相中に分散された疎水性固形粒子が得られる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程d)が、均質な制御された剪断を前記エマルジョン(E2)に加えることからなり、加えられる剪断速度が1,000s−1〜100,000s−1の範囲である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記組成物C3の粘度が25℃で2000mPa.sよりも大きい場合に、工程d)は、1,000s−1未満の剪断速度を前記エマルジョン(E2)に加えることからなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記組成物C2が光開始剤を含む場合に、工程e)は、前記組成物C2の光重合を開始することができる光源、特には好ましくは100nm〜400nmの範囲の波長で発光するUV光源に前記エマルジョン(E3)を、特には15分間未満の継続時間に亘って暴露する光重合工程である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記組成物C2が光開始剤を含まない場合に、工程e)は、光源への暴露のない重合工程であり、前記重合工程d)の継続時間は好ましくは8時間〜100時間の範囲であり、および/または前記工程e)は20℃〜80℃の範囲の温度で実施される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる一連の固形マイクロカプセルであって、それぞれのマイクロカプセルが
    − 請求項1〜8のいずれか1項で規定された組成物C1を含むコアと、
    − その周囲で前記コアを完全にカプセルに包む固形封入体と
    を含み、
    前記マイクロカプセルの平均直径が1μm〜30μmの範囲であり、前記剛性封入体の厚さが0.1μm〜20μmの範囲であり、前記マイクロカプセルの直径の分布の標準偏差が50%未満、好ましくは25%未満、または1μm未満である、
    一連の固形マイクロカプセル。
  14. 請求項13に記載の一連の固形マイクロカプセルを含む組成物。
  15. 請求項14に記載の一連の固形マイクロカプセルを含む組成物に機械的剪断応力を加える工程を含む、揮発性化合物を放出する方法。
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