ここで、触媒系の具体的な実施形態を説明する。本開示の触媒系は、異なる形態で実施されてもよく、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことが理解されよう。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全となり、また主題の範囲を当業者に完全に伝えるように、提供される。
一般的な略語を、以下に列記する。
R、Z、M、X、およびnは、上で定義したとおりであり;Meは、メチルであり;Etは、エチルであり;Phは、フェニルであり;Bnは、ベンジルであり;i−Prは、イソプロピルであり;n−Octは、n−オクチルであり;t−Buは、tert−ブチルであり;t−Octは、tert−オクチル(2,4,4−トリメチルペント−2−イル)であり;Tsは、トルエンスルホネートであり;THFは、テトラヒドロフランであり;Et2Oは、ジエチルエーテルであり;MeOHは、メタノールであり;DMAは、ジメチルアセトアミドであり;DMEは、ジメトキシエタンであり;CH2Cl2またはDCMは、ジクロロメタンであり;CCl4は、四塩化炭素であり;EtOHは、エタノールであり;CH3CNは、アセトニトリルであり;EtOAcは、酢酸エチルであり;C6D6は、重水素化ベンゼンまたはベンゼン−d6であり;CDCl3は、重水素化クロロホルムであり;DMSO−d6は、重水素化ジメチルスルホキシドであり;DBAは、ジベンジリデンアセトンであり;PPh3は、トリフェニルホスフィンであり;tBu3Pは、トリ−t−ブチルホスフィンであり;tBu3P Pd G2は、
であり;SiO2は、シリカゲルであり;Me4Siは、テトラメチルシランであり;NaOHは、水酸化ナトリウムであり;HClは、塩酸であり;NaHCO3は、重炭酸ナトリウムであり;NaOtBuは、ナトリウムtert−ブトキシドであり;K3PO4は、三塩基性リン酸カリウムであり;ブラインは、飽和塩化ナトリウム水であり;Na2SO4は、硫酸ナトリウムであり;MgSO4は、硫酸マグネシウムであり;n−BuLiは、n−ブチルリチウムであり;CuIは、ヨウ化銅(I)であり;Cs2CO3は、炭酸セシウムであり、HfCl4は、塩化ハフニウム(IV)であり、HfBn4は、ハフニウム(IV)テトラベンジルであり、ZrCl4は、塩化ジルコニウム(IV)であり;ZrBn4は、ジルコニウム(IV)テトラベンジルであり;N2は、窒素ガスであり;PhMeは、トルエンであり;MAOは、メチルアルミノキサンであり;MMAOは、変性メチルアルミノキサンであり;PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンであり;GCは、ガスクロマトグラフィーであり;LCは、液体クロマトグラフィーであり;NMRは、核磁気共鳴であり;HRMSは、高分解能質量分析装置であり;mmolは、ミリモルであり;g/molは、1モル当たりのグラム数であり;mLは、ミリリットルであり;Mは、モーラーであり;Nは、ノルマルであり;minは、分であり;hは、時間であり;dは、日であり;equivは、等量である。
本明細書において「独立して選択される(independently selected)」という用語は、R1、R2、R3、R4、およびR5などのR基が、同一であり得るか、または異なり得ること(例えば、R1、R2、R3、R4、およびR5がすべて、置換されたアルキルであり得るか、またはR1およびR2が置換されたアルキルであり得、R3がアリールであり得るなど)を示すために使用される。R基に関連付けられた化学名は、化学名の化学構造に対応するものとして当技術分野で認識されている化学構造を伝えることを意図するものである。したがって、化学名は、当業者に既知の構造的定義を補足および例示することを意図しており、排除することを意図していない。
「プロ触媒」という用語は、活性剤と組み合わせたときに触媒活性を有する化合物を指す。「活性剤」という用語は、プロ触媒を触媒的に活性な触媒に転換するようにプロ触媒と化学的に反応する化合物を指す。本明細書で使用されるとき、「助触媒」および「活性剤」という用語は交換可能な用語である。
ある特定の炭素原子含有化学基を記載するために使用される場合、「(Cx〜Cy)」の形態を有する括弧付きの表現は、化学基の非置換形態がxおよびyを含めてx個の炭素原子からy個の炭素原子までを有することを意味する。例えば、(C1〜C40)アルキルは、その非置換形態において1〜40個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態および一般構造において、ある特定の化学基は、RSなどの1つ以上の置換基によって置換してもよい。括弧付きの「(Cx〜Cy)」を使用して定義される、化学基のRS置換バージョンは、任意の基RSの同一性に応じてy個超の炭素原子を含有し得る。例えば、「RSがフェニル(−C6H5)である厳密に1つの基RSで置換された(C1〜C40)アルキル」は、7〜46個の炭素原子を含有し得る。したがって、一般に、括弧付きの「(Cx〜Cy)」を用いて定義される化学基が1つ以上の炭素原子含有置換基RSによって置換されるとき、化学基の炭素原子の最小および最大合計数は、xとyとの両方に、全ての炭素原子含有置換基RS由来の炭素原子の合計数を加えることによって、決定される。
いくつかの実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体の化学基(例えば、X、R、Yなど)の各々は、RS置換基を有しない非置換であり得る。他の実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体の化学基のうちの少なくとも1つは独立して、1つまたは2つ以上のRSを含有し得る。いくつかの実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体の化学基中のRSの合計は、20個を超えない。他の実施形態では、化学基R、X、Y、およびZ中のRSの合計は、10個を超えない。例えば、各R1〜5が2つのRSで置換された場合、X、Y、およびZをRSで置換することはできない。別の実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体の化学基中のRSの合計は、5つのRSを超えない場合がある。2つまたは3つ以上のRSが式(I)の金属−配位子錯体の同じ化学基に結合している場合、各RSは独立して、同一もしくは異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合しており、化学基の過置換を含み得る。
「置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した少なくとも1個の水素原子(−H)が置換基(例えばRS)によって置き換えられることを意味する。「過置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した全ての水素原子(H)が置換基(例えばRS)によって置き換えられることを意味する。「多置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した、少なくとも2個の、ただし、すべてよりは少ない水素原子が置換基によって置き換えられることを意味する。
「−H」という用語は、別の原子に共有結合している水素または水素ラジカルを意味する。「水素」および「−H」は、交換可能であり、明記されていない限りは、同一の意味を有する。
「(C1〜C40)ヒドロカルビル」という用語は、1〜40個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルを意味し、「(C1〜C40)ヒドロカルビレン」という用語は、1〜40個の炭素原子を有する炭化水素ジラジカルを意味し、ここで、各炭化水素ラジカルおよび各炭化水素ジラジカルは、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、環式(3個以上の炭素を有し、単環式および多環式、二環式を含む縮合および非縮合多環式を有する)または非環式であり、1つ以上のRSによって置換されているか、または置換されていない。
本開示において、(C1〜C40)ヒドロカルビルは、非置換もしくは置換の(C1〜C40)アルキル、(C3〜C40)シクロアルキル、(C3〜C20)シクロアルキル−(C1〜C20)アルキレン、(C6〜C40)アリール、または(C6〜C20)アリール−(C1〜C20)アルキレン(ベンジル(−CH2〜C6H5)など)であり得る。
「(C1〜C40)アルキル」および「(C1〜C18)アルキル」という用語は、非置換または1つ以上のRSによって置換されている、それぞれ、1〜40個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐炭化水素ラジカルおよび1〜18個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐炭化水素ラジカルを意味する。非置換(C1〜C40)アルキルの例は、非置換(C1〜C20)アルキル、非置換(C1〜C10)アルキル、非置換(C1〜C5)アルキル、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−ノニル、および1−デシルである。置換(C1〜C40)アルキルの例は、置換(C1〜C20)アルキル、置換(C1〜C10)アルキル、トリフルオロメチル、および[C45]アルキルである。「[C45]アルキル」(角括弧付き)という用語は、置換基を含むラジカル中に最大45個の炭素原子が存在することを意味し、例えば、それぞれ、(C1〜C5)アルキルである1つのRSによって置換された(C27〜C40)アルキルである。各(C1〜C5)アルキルは、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1−プロピル、1−メチルエチル、または1,1−ジメチルエチルであることができる。
「(C6〜C40)アリール」という用語は、6〜40個の炭素原子、そのうち少なくとも6〜14個の炭素原子は芳香環炭素原子である、非置換または(1つ以上のRSによって)置換された単環式、二環式、または三環式芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式芳香族炭化水素ラジカルは、1つの芳香環を含み、二環式芳香族炭化水素ラジカルは2つの環を有し、三環式芳香族炭化水素ラジカルは3つの環を有する。二環式または三環式芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルの環の少なくとも1つは芳香族である。芳香族ラジカルの他の1つまたは複数の環は独立して、縮合または非縮合の芳香族または非芳香族であり得る。非置換(C6〜C50)アリールの例としては、非置換(C6〜C20)アリール、非置換(C6〜C18)アリール、2−(C1〜C5)アルキル−フェニル、フェニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、インダセニル、ヘキサヒドロインダセニル、インデニル、ジヒドロインデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、およびフェナントレンが挙げられる。置換(C6〜C40)アリールの例としては、置換(C1〜C20)アリール、置換(C6〜C18)アリール、2,4−ビス([C20]アルキル)−フェニル、ポリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、およびフルオレン−9−オン−1−イルが挙げられる。
「(C3〜C40)シクロアルキル」という用語は、非置換であるかまたは1つ以上のRSで置換されている、3〜40個の炭素原子を有する飽和環式炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば(Cx〜Cy)シクロアルキル)は、x〜y個の炭素原子を有し、非置換であるか、または1つ以上のRSで置換されているかのいずれかであると同様な様式で定義される。非置換(C3〜C40)シクロアルキルの例は、非置換(C3〜C20)シクロアルキル、非置換(C3〜C10)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、およびシクロデシルである。置換(C3〜C40)シクロアルキルの例は、置換(C3〜C20)シクロアルキル、置換(C3〜C10)シクロアルキル、シクロペンタノン−2−イル、および1−フルオロシクロヘキシルである。
(C1〜C40)ヒドロカルビレンの例としては、非置換または置換の(C6〜C40)アリーレン、(C3〜C40)シクロアルキレン、および(C1〜C40)アルキレン(例えば(C1〜C20)アルキレン)が挙げられる。ジラジカルは、同じ炭素原子上(例えば、−CH2−)もしくは隣接する炭素原子(すなわち、1,2−ジラジカル)上にあり得るか、または1個、2個、もしくは3個以上の介在炭素原子(例えば、1,3−ジラジカル、1,4−ジラジカルなど)によって離間されている。いくつかのジラジカルとしては、1,2−、1,3−、1,4−、またはα,ω−ジラジカルが挙げられ、他のものとしては1,2−ジラジカルが挙げられる。α,ω−ジラジカルは、ラジカル炭素間に最大の炭素骨格間隔を有するジラジカルである。(C2〜C20)アルキレンα,ω−ジラジカルのいくつかの例としては、エタン−1,2−ジイル(すなわち−CH2CH2−)、プロパン−1,3−ジイル(すなわち−CH2CH2CH2−)、2−メチルプロパン−1,3−ジイル(すなわち−CH2CH(CH3)CH2−)が挙げられる。(C6〜C50)アリーレンα,ω−ジラジカルのいくつかの例としては、フェニル−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−3,7−ジイルが挙げられる。
「(C1〜C40)アルキレン」という用語は、非置換または1つ以上のRSで置換された1〜40個の炭素原子の飽和直鎖または分枝鎖のジラジカル(すなわち、ラジカルが環原子上にない)を意味する。非置換(C1〜C50)アルキレンの例は、非置換(C1〜C20)アルキレンであり、非置換−CH2CH2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−、−(CH2)7−、−(CH2)8−、−CH2C*HCH3、および−(CH2)4C*(H)CH3を含み、「C*」は、水素原子が、第二級もしくは第三級アルキルラジカルを形成するために除去される炭素原子を表す。置換(C1〜C50)アルキレンの例は、置換(C1〜C20)アルキレン、−CF2−、−C(O)−、および−(CH2)14C(CH3)2(CH2)5−(すなわち、6,6−ジメチル置換ノルマル−1,20−エイコシレン)である。前述のように、2つのRSは一緒になって、(C1〜C18)アルキレンを形成することができ、置換(C1〜C50)アルキレンの例としては、1,2−ビス(メチレン)シクロペンタン、1,2−ビス(メチレン)シクロヘキサン、2,3−ビス(メチレン)−7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,3−ビス(メチレン)ビシクロ[2.2.2]オクタンも挙げられる。
「(C3〜C40)シクロアルキレン」という用語は、非置換または1つ以上のRSによって置換されている、3〜40個の炭素原子を有する環式ジラジカル(すなわち、ラジカルが環原子上にある)を意味する。
「ヘテロ原子」という用語は、水素または炭素以外の原子を指す。1個または2個以上のヘテロ原子を含有する基の例としては、O、S、S(O)、S(O)2、Si(RC)2、P(RP)、N(RN)、−N=C(RC)2、−Ge(RC)2−、または−Si(RC)−が挙げられ、各RCおよび各RPは、非置換(C1〜C18)ヒドロカルビルまたは−Hであり、各RNは非置換(C1〜C18)ヒドロカルビルである。「ヘテロ炭化水素」という用語は、炭化水素の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられている分子または分子骨格を指す。「(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル」という用語は1〜40個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ラジカルを意味し、「(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビレン」という用語は1〜40個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ジラジカルを意味する。(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルまたは(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビレンのヘテロ炭化水素は、1個以上のヘテロ原子を有する。ヘテロヒドロカルビルのラジカルは、炭素原子上またはヘテロ原子上に存在することができる。ヘテロヒドロカルビレンの2つの基は、単一の炭素原子上または単一のヘテロ原子上に存在することができる。さらに、ジラジカルの2つのラジカルのうちの一方は炭素原子上に存在することができ、他方のラジカルは異なる炭素原子上に存在することができ、2つのラジカルのうちの一方は炭素原子上に存在することができ、他方はヘテロ原子上に存在することができ、または、2つのラジカルのうちの一方はヘテロ原子上に存在することができ、他方のラジカルは異なるヘテロ原子上に存在することができる。(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルおよび(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビレンは各々、非置換または(1つ以上のRSによって)置換、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、環式(単環式および多環式、縮合および非縮合多環式を含む)または非環式であってもよい。
(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルは、非置換であってもよく、または置換されてもよい。(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルの非限定的な例としては、(C1〜C40)ヘテロアルキル、(C1〜C40)ヒドロカルビル−O−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−S−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−S(O)−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−S(O)2−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−Si(RC)2−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−N(RN)−、(C1〜C40)ヒドロカルビル−P(RP)−、(C2〜C40)ヘテロシクロアルキル、(C2〜C19)ヘテロシクロアルキル−(C1〜C20)アルキレン、(C3〜C20)シクロアルキル−(C1〜C19)ヘテロアルキレン、(C2〜C19)ヘテロシクロアルキル−(C1〜C20)ヘテロアルキレン、(C1〜C40)ヘテロアリール、(C1〜C19)ヘテロアリール−(C1〜C20)アルキレン、(C6〜C20)アリール−(C1〜C19)ヘテロアルキレン、または(C1〜C19)ヘテロアリール−(C1〜C20)ヘテロアルキレンを挙げることができる。
「(C4〜C40)ヘテロアリール」という用語は、合計4〜40個の炭素原子および1〜10個のヘテロ原子を有する、非置換または(1つ以上のRSによって)置換された単環式、二環式、または三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、1つのヘテロ芳香環を含み、二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、2つの環を有し、三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、3つの環を有する。二環式または三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルにおける環のうちの少なくとも1つは、ヘテロ芳香族である。ヘテロ芳香族ラジカルの他の1つまたは複数の環は独立して、縮合または非縮合および芳香族または非芳香族であることができる。他のヘテロアリール基(例えば、一般に(Cx〜Cy)ヘテロアリール、(C4〜C12)ヘテロアリールなど)は、x〜y個の炭素原子(4〜12個の炭素原子など)を有し、かつ非置換または1つ以上のRSで置換されているものと同様な様式で定義される。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5員環または6員環である。5員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5マイナスh個の炭素原子を有し、hは、ヘテロ原子の数であり、1、2、または3であることができ、各ヘテロ原子は、O、S、N、またはPであり得る。
5員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピロール−1−イル、ピロール−2−イル、フラン−3−イル、チオフェン−2−イル、ピラゾール−1−イル、イソキサゾール−2−イル、イソチアゾール−5−イル、イミダゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、チアゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−2−イル、およびテトラゾール−5−イルが挙げられる。6員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、6マイナスh個の炭素原子を有し、hは、ヘテロ原子の数であり、1または2であることができ、ヘテロ原子は、NまたはPであり得る。
6員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピリジン−2−イル、ピリミジン−2−イル、およびピラジン−2−イルが挙げられる。二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6−または6,6−環系であり得る。縮合5,6−環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、インドール−1−イルおよびベンズイミダゾール−1−イルである。縮合6,6−環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、キノリン−2−イルおよびイソキノリン−1−イルである。三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6,5−、5,6,6−、6,5,6−、または6,6,6−環系であり得る。縮合5,6,5−環系の例は、1,7−ジヒドロピロロ[3,2−f]インドール−1−イルである。縮合5,6,6−環系の例は、1H−ベンゾ[f]インドール−1−イルである。縮合6,5,6−環系の例は、9H−カルバゾール−9−イルである。縮合6,5,6−環系の例は、9H−カルバゾール−9−イルである。縮合6,6,6−環系の例は、アクリジン−9−イルである。
「(C1〜C40)ヘテロアルキル」という用語は、1〜40個の炭素原子および1個以上のヘテロ原子の飽和直鎖または分岐鎖のラジカルを意味する。「(C1〜C40)ヘテロアルキレン」という用語は、1〜40個の炭素原子、および1個もしくは2個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖または分岐鎖のジラジカルを意味する。ヘテロアルキルまたはヘテロアルキレンのヘテロ原子としては、Si(RC)3、Ge(RC)3、Si(RC)2、Ge(RC)2、P(RP)2、P(RP)、N(RN)2、N(RN)、N、O、ORC、S、SRC、S(O)、およびS(O)2を挙げることができ、ヘテロアルキル基およびヘテロアルキレン基の各々は、非置換であるか、または1つ以上のRSによって置換されている。
非置換(C2〜C40)ヘテロシクロアルキルの例としては、非置換(C2〜C20)ヘテロシクロアルキル、非置換(C2〜C10)ヘテロシクロアルキル、アジリジン−1−イル、オキセタン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、ピロリジン−1−イル、テトラヒドロチオフェン−S,S−ジオキシド−2−イル、モルホリン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、ヘキサヒドロアゼピン−4−イル、3−オキサ−シクロオクチル、5−チオ−シクロノニル、および2−アザ−シクロデシルが挙げられる。
「ハロゲン原子」または「ハロゲン」という用語は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、またはヨウ素原子(I)のラジカルを意味する。「ハロゲン化物」という用語は、フッ化物(F−)、塩化物(Cl−)、臭化物(Br−)、またはヨウ化物(I−)のハロゲン原子のアニオン形態を意味する。
「飽和」という用語は、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、ならびに(ヘテロ原子含有基において)炭素−窒素、炭素−リン、および炭素−ケイ素二重結合を欠くことを意味する。飽和化学基が1つ以上の置換基RSで置換されている場合、1つ以上の二重結合および/または三重結合は、任意選択的に、置換基RS中に存在していてもよい。「不飽和」という用語は、1個以上の炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合、または(ヘテロ原子含有基において)1つ以上の炭素−窒素二重結合、炭素−リン二重結合、もしくは炭素−ケイ素二重結合を含有することを意味し、もしある場合、置換基RS中に、またはもしある場合、芳香環中もしくはヘテロ芳香環中に存在し得る二重結合を含まない。
本開示の実施形態は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含む触媒系を含む。
式(I)において、Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムから選択された金属であり、金属は、+2、+3、または+4の形式酸化状態を有し、nは、0、1、または2であり、nが1である場合、Xは、単座配位子または二座配位子であり、nが2である場合、各Xは、独立して選択された単座配位子であり、金属−配位子錯体は、全体的に電荷中性であり、Z1およびZ2の各々は独立して、−O−、−S−、−N(RN)−、または−P(RP)−から選択され、R1およびR8は独立して、−H、(C1〜−C40)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル、−Si(RC)3、−Ge(RC)3、−P(RP)2、−N(RN)2、−ORC、−SRC、−NO2、−CN、−CF3、RCS(O)−、RCS(O)2−、(RC)2C=N−、RCC(O)O−、RCOC(O)−、RCC(O)N(R)−、(RC)2NC(O)−、ハロゲン、式(II)を有するラジカル、式(III)を有するラジカル、および式(IV)を有するラジカルからなる群から選択される。
式(II)、(III)、および(IV)において、R31〜35、R41〜48、およびR51〜59の各々は独立して、(C1〜C40)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル、−Si(RC)3、−Ge(RC)3、−P(RP)2、−N(RN)2、−N=CHRC、−ORC、−SRC、−NO2、−CN、−CF3、RCS(O)−、RCS(O)2−、(RC)2C=N−、RCC(O)O−、RCOC(O)−、RCC(O)N(RN)−、(RC)2NC(O)−、ハロゲン、または−Hから選択され、ただし、R1またはR8のうちの少なくとも1つが式(II)を有するラジカル、式(III)を有するラジカル、または式(IV)を有するラジカルであることを条件とする。
式(I)において、R2〜4、R5〜7、およびR9〜10の各々は独立して、(C1〜C40)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル、−Si(RC)3、−Ge(RC)3、−P(RP)2、−N(RN)2、−N=CHRC、−ORC、−SRC、−NO2、−CN、−CF3、RCS(O)−、RCS(O)2−、(RC)2C=N−、RCC(O)O−、RCOC(O)−、RCC(O)N(RN)−、(RC)2NC(O)−、ハロゲン、および−Hから選択される。
1つ以上の実施形態では、R3およびR6は、−Si(RC)3であり、各RCは独立して、メチル、ブチル、n−オクチル、またはtert−オクチルから選択される。いくつかの実施形態では、R3およびR6は独立して、n−オクチルまたはtert−オクチル(1,1,3,3−テトラメチルブチルとも呼ばれる)である。
式(I)において、A1〜4の各々は独立して、ハロゲンまたは−Hから選択され、ただし、A1またはA2のうちの少なくとも1つがハロゲンであり、A3またはA4のうちの少なくとも1つがハロゲンであることを条件とする。いくつかの実施形態では、A1〜4の各々は独立して、ハロゲンである。
式(I)において、B1〜2の各々は、独立して選択される電子供与基または電子放出基である。「電子供与基」および「電子放出基」という用語は、交換可能である。電子供与基は、その電子密度の一部を、共鳴または誘導効果を介して共役π系に供与する原子または官能基であり、したがって、π系をより求核性にする。電子供与基の例としては、(C1〜C40)アルキル、−N(RN)2、−Si(RC)3、または−ORCが挙げられる。B1〜2の各々は独立して、(C1〜C40)アルキル、−N(RN)2、−Si(RC)3、または−ORCから選択される。1つ以上の実施形態では、B1〜2の各々は、tert−ブチルである。
式(I)において、Lは、(C2〜C40)ヒドロカルビレンまたは(C2〜C40)ヘテロヒドロカルビレンである。1つ以上の実施形態では、Z1〜Z2を連結するLのジラジカルは、2〜10個の原子を含む。
式(I)のいくつかの実施形態では、Lは、(C3〜C7)アルキル1,3−ジラジカル、例えば、−CH2CH2CH2−、−CH(CH3)CH2C*H(CH3)、−CH(CH3)CH(CH3)C*H(CH3)、−CH2C(CH3)2CH2−、シクロペンタン−1,3−ジイル、またはシクロヘキサン−1,3−ジイルなどを含む。いくつかの実施形態では、Lは、(C4〜C10)アルキル1,4−ジラジカル、例えば、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2C(CH3)2C(CH3)2CH2−、シクロヘキサン−1,2−ジイルジメチル、およびビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジイルジメチルなどを含む。いくつかの実施形態では、Lは、(C5〜C12)アルキル1,5−ジラジカル、例えば、−CH2CH2CH2CH2CH2−、1,3−ビス(メチレン)シクロヘキサンなどを含む。いくつかの実施形態では、Lは、(C6〜C14)アルキル1,6−ジラジカルを含み、Lは、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−または1,2−ビス(エチレン)シクロヘキサンから選択される。
1つ以上の実施態様において、Lは、(C2〜C40)ヘテロヒドロカルビレンであり、Lの部分の2〜10個の原子のうちの少なくとも1個は、ヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態では、Lは、−CH2Ge(R17)(R18)CH2−であり、式中、R17およびR18は独立して、(C2〜C30)ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態では、R17およびR18は独立して、(C3〜C30)ヒドロカルビル、例えば、2−プロピル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルなどである。
1つ以上の実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体中、R1もしくはR8のうちのいずれか1つ、またはR1およびR8の両方は、式(II)を有するラジカル、式(III)を有するラジカル、または式(IV)を有するラジカルから選択される。
式(II)、式(III)、または式(IV)を有するラジカルの一部として式(I)の金属−配位子錯体が存在する場合、式(I)の金属−配位子錯体の基R31〜35、R41〜48、およびR51〜59は各々独立して、(C1〜C40)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(RC)3、P(RP)2、N(RN)2、ORC、SRC、NO2、CN、CF3、RCS(O)−、RCS(O)2−、(RC)2C=N−、RCC(O)O−、RCOC(O)−、RCC(O)N(RN)−、(RN)2NC(O)−、ハロゲン、水素(−H)、またはそれらの組み合わせから選択される。各々独立して、RC、RP、およびRNは、非置換(C1〜C18)ヒドロカルビルまたは−Hである。
いくつかの実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体の化学基(例えば、X、R1〜59、L、およびB1〜2)のいずれかまたはすべては、非置換であり得る。他の実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体の化学基X、R1〜59、L、およびB1〜2のいずれかもしくはすべては、1つもしくは2つ以上のRSで置換され得るか、またはいずれも非置換であり得る。2つまたは3つ以上のRSが式(I)の金属−配位子錯体の同じ化学基に結合している場合、化学基の個々のRSは、同じ炭素原子もしくはヘテロ原子に、または異なる炭素原子もしくはヘテロ原子に結合し得る。いくつかの実施形態では、化学基X、R1〜59、L、およびB1〜2のいずれかまたはすべてが、RSで過置換され得るか、いずれも非過置換であり得る。RSで過置換されている化学基では、個々のRSはすべて同じであってもよく、または独立して選択されてもよい。
式(I)の金属−配位子錯体中の基R1およびR8は、互いに独立して選択される。例えば、R1は、式(II)、(III)、もしくは(IV)を有するラジカルから選択され得、R8は、(C1〜C40)ヒドロカルビルであり得るか、またはR1は、式(II)、(III)、もしくは(IV)を有するラジカルから選択され得、R8は、R1のものと同じもしくは異なる、式(II)、(III)、もしくは(IV)を有するラジカルから選択され得る。R1およびR8の両方は、式(II)のラジカルであり得、その場合、基R31〜35は、R1およびR8と同じであるか、または異なる。他の例では、R1およびR8の両方は、式(III)のラジカルであり得、その場合、基R41〜48は、R1およびR8と同じであるか、もしくは異なり、またはR1およびR8の両方は、式(IV)のラジカルであり得、その場合、基R51〜59は、R1およびR8と同じであるか、もしくは異なる。
1つ以上の実施形態では、R1またはR8のうちの1つまたは両方は、式(II)を有するラジカルであり、R32およびR34は独立して、tert−ブチルまたは3,5−ジ−(tert−ブチル)フェニルである。
いくつかの実施形態では、R1またはR8のうちの1つが式(III)を有するラジカルである場合、R42およびR47のうちの1つまたは両方は、tert−ブチルであり、R41、R43〜46、およびR48の各々は、−Hである。他の実施形態では、R43およびR46のうちの1つまたは両方は、tert−ブチルであり、R41〜42、R44〜45、およびR47〜48は、−Hである。1つ以上の実施形態では、R1またはR8のうちの1つが式(III)を有するラジカルである場合、R42およびR47の両方は、−Hである。
式(I)の金属−配位子錯体中のMは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、またはハフニウム(Hf)などの遷移金属であり得、遷移金属は、+2、+3、または+4の形式酸化状態を有し得る。(X)nの下付き文字nは、金属Mに結合または関連付けられた配位子Xの数を指し、1、2、または3の整数である。
式(I)の金属−配位子錯体中の金属Mは、金属−配位子錯体を調製するために、単一段階合成または多段階合成に後で供される金属前駆体に由来し得る。好適な金属前駆体は、単量体(1つの金属中心)もしくは二量体(2つの金属中心)であり得るか、または2より大きい複数の金属中心、例えば、3つ、4つ、5つ、もしくは6つ以上の金属中心を有し得る。好適なハフニウムおよびジルコニウムの前駆体の具体例としては、例えば、HfCl4、HfMe4、Hf(CH2Ph)4、Hf(CH2CMe3)4、Hf(CH2SiMe3)4、Hf(CH2Ph)3Cl、Hf(CH2CMe3)3Cl、Hf(CH2SiMe3)3Cl、Hf(CH2Ph)2Cl2、Hf(CH2CMe3)2Cl2、Hf(CH2SiMe3)2Cl2、Hf(NMe2)4、Hf(NEt2)4、およびHf(N(SiMe3)2)2Cl2;ZrCl4、ZrMe4、Zr(CH2Ph)4、Zr(CH2CMe3)4、Zr(CH2SiMe3)4、Zr(CH2Ph)3Cl、Zr(CH2CMe3)3Cl、Zr(CH2SiMe3)3Cl、Zr(CH2Ph)2Cl2,Zr(CH2CMe3)2Cl2、Zr(CH2SiMe3)2Cl2、Zr(NMe2)4、Zr(NEt2)4、Zr(NMe2)2Cl2、Zr(NEt2)2Cl2、Zr(N(SiMe3)2)2Cl2、TiBn4、TiCl4、およびTi(CH2Ph)4が挙げられるが、これらに限定されない。これらの例のルイス塩基付加物も金属前駆体として好適であり、例えば、エーテル、アミン、チオエーテル、およびホスフィンがルイス塩基として好適である。具体例としては、HfCl4(THF)2、HfCl4(SMe2)2、およびHf(CH2Ph)2Cl2(OEt2)が挙げられる。活性化金属前駆体は、イオン性または双性イオン化合物、(M(CH2Ph)3 +)(B(C6F5)4 −)または(M(CH2Ph)3 +)(PhCH2B(C6F5)3 −)などであることができ、MはHfまたはZrであると上で定義されている。
式(I)に従う金属−配位子錯体では、各Xは、共有結合、配位結合、またはイオン結合を介してMと結合する。nが1である場合、Xは、単座配位子または二座配位子であり得、nが2である場合、各Xは、独立して選択された単座配位子であり、他の基Xと同じであっても、異なっていてもよい。概して、式(I)に従う金属−配位子錯体は、全体的に電荷中性である。いくつかの実施形態では、単座配位子はモノアニオン性配位子であり得る。モノアニオン性配位子は−1の正味の形式酸化状態を有する。各モノアニオン性配位子は独立して、ヒドリド、(C1〜C40)ヒドロカルビルカルバニオン、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルカルバニオン、ハライド、ニトレート、カーボネート、ホスフェート、スルフェート、HC(O)O−、HC(O)N(H)−、(C1〜C40)ヒドロカルビルC(O)O−、(C1〜C40)ヒドロカルビルC(O)N((C1〜C20)ヒドロカルビル)−、(C1〜C40)ヒドロカルビルC(O)N(H)−、RKRLB−、RKRLN−、RKO−、RKS−、RKRLP−、またはRMRKRLSi−であり得、式中、各RK、RL、およびRMは独立して、水素、(C1〜C40)ヒドロカルビル、もしくは(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルであるか、またはRKおよびRLは一緒になって、(C2〜C40)ヒドロカルビレンもしくは(C1〜C20)ヘテロヒドロカルビレンを形成し、RMは、上で定義したとおりである。
他の実施形態では、少なくとも1つの単座配位子Xは、他のいずれの配位子Xからも独立して、中性配位子であり得る。特定の実施形態では、中性配位子は、RXNRKRL、RKORL、RKSRL、またはRXPRKRLなどの中性ルイス塩基基であり、式中、各RXは独立して、水素、[(C1〜C10)ヒドロカルビル]3Si(C1〜C10)ヒドロカルビル、(C1〜C40)ヒドロカルビル、[(C1〜C10)ヒドロカルビル]3Si、または(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビルであり、RKおよびRLの各々は独立して、上で定義したとおりである。
さらに、各Xは、他のいずれの配位子Xからも独立した、ハロゲン、非置換(C1〜C20)ヒドロカルビル、非置換(C1〜C20)ヒドロカルビルC(O)O−、またはRKRLN−である単座配位子であり得、式中、RKおよびRLの各々は独立して、非置換(C1〜C20)ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態では、各単座配位子Xは、塩素原子、(C1〜C10)ヒドロカルビル(例えば、(C1〜C6)アルキルもしくはベンジル)、非置換(C1〜C10)ヒドロカルビルC(O)O−、またはRKRLN−であり、式中、RKおよびRLの各々は独立して、非置換(C1〜C10)ヒドロカルビルである。
少なくとも2つの基Xが存在するような、nが2または3であるさらなる実施形態では、任意の2つの基Xは一緒になって、二座配位子を形成することができる。二座配位子を含む例示的な実施形態では、二座配位子は中性二座配位子であることができる。一実施形態では、中性二座配位子は、式(RD)2C=C(RD)−C(RD)=C(RD)2のジエンであり、式中、各RDは独立して、H、非置換(C1〜C6)アルキル、フェニル、またはナフチルである。いくつかの実施形態では、二座配位子は、モノアニオン性−モノ(ルイス塩基)配位子である。いくつかの実施形態では、二座配位子は、ジアニオン性配位子である。ジアニオン性配位子は、−2の正味の形式酸化状態を有する。一実施形態では、各ジアニオン性配位子は独立して、カーボネート、オキサレート(すなわち−O2CC(O)O−)、(C2〜C40)ヒドロカルビレンジカルバニオン、(C1〜C40)ヘテロヒドロカルビレンジカルバニオン、ホスフェート、またはスルフェートである。
さらなる実施形態では、Xは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2,2−ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、またはクロロから選択される。いくつかの実施形態では、nは2であり、各Xは同じである。場合によっては、少なくとも2つのXは互いに異なる。他の実施形態では、nは、2であり、各Xは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2,2−ジメチルプロピル、トリメチルシリルメチル、フェニル、ベンジル、およびクロロのうちの異なる1つである。一実施形態では、nは、2であり、少なくとも2つのXは独立して、モノアニオン性単座配位子である。特定の実施形態では、nは、2であり、2つのX基は一緒になって、二座配位子を形成する。さらなる実施形態では、二座配位子は、2,2−ジメチル−2−シラプロパン−1,3−ジイルまたは1,3−ブタジエンである。
式(I)の金属−配位子錯体では、各Z1〜2は独立して、O、S、N(C1〜C40)ヒドロカルビル、またはP(C1〜C40)ヒドロカルビルである。いくつかの実施形態では、各Zは異なる。例えば、一方のZはOであり、他方のZはNCH3である。いくつかの実施形態では、一方のZはOであり、一方のZはSである。別の実施形態では、一方のZはSであり、一方のZはN(C1〜C40)ヒドロカルビル(例えば、NCH3)である。さらなる実施形態では、各Zは同じである。さらに別の実施形態では、各ZはOである。別の実施形態では、各ZはSである。
触媒系の特定の実施形態では、式(I)に従う金属−配位子錯体は、プロ触媒1〜7のうちのいずれかの構造を有する錯体を含み得るが、これらに限定されない。
プロ触媒活性化
本開示の触媒系は、式(I)に従う金属−配位子錯体を含む。式(I)に従う金属−配位子錯体は、触媒的に活性な形態であり得るか、または触媒的に不活性であり得るか、もしくは触媒的に活性な形態よりも少なくとも実質的に触媒活性が低いプロ触媒の形態であり得る。プロ触媒1〜7は、式(I)に従う様々な金属−配位子錯体の触媒的に不活性な形態である。プロ触媒形態の式(I)の金属−配位子錯体を含むプロ触媒系は、オレフィン重合反応の金属系触媒を活性化するための当該技術分野で既知の任意の技術により触媒的に活性にされ得る。例えば、式(I)の金属−配位子錯体は、金属−配位子錯体を活性化助触媒と接触させるか、または金属−配位子錯体を活性化助触媒と組み合わせることによって、触媒的に活性にされ得る。好適な活性化技術の別の例としては、バルク電気分解が挙げられる。前述の活性化助触媒および技術のうちの1つ以上の組み合わせもまた企図される。プロ触媒形態の式(I)に従う金属−配位子錯体をかかる活性化技術のいずれかに供すると、式(I)に従う金属−配位子錯体の触媒的に活性化された形態が得られる。いくつかの実施形態では、式(I)に従う金属−配位子錯体の触媒的に活性化された形態は、前述の活性化技術のいずれかによって、式(I)に従う金属−配位子錯体のプロ触媒形態から少なくとも1つのXを分裂させた結果であり得る。
助触媒成分
式(I)の金属−配位子錯体を含む触媒系は、オレフィン重合反応の金属系触媒を活性化するための当該技術分野で既知の任意の技術により触媒的に活性にされ得る。例えば、式(I)の金属−配位子錯体を含むものは、錯体を活性化助触媒と接触させるか、または錯体を活性化助触媒と組み合わせることによって、触媒的に活性にされ得る。本明細書に使用するのに好適な活性化助触媒としては、アルキルアルミニウム、ポリマーまたはオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとしても知られる)、中性ルイス酸、および非ポリマー、非配位性、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)が挙げられる。好適な活性化技術は、バルク電気分解である。前述の活性化助触媒および技術のうちの1つ以上の組み合わせもまた企図される。「アルキルアルミニウム」という用語は、モノアルキルアルミニウムジヒドリドもしくはモノアルキルアルミニウムジハライド、ジアルキルアルミニウムヒドリドもしくはジアルキルアルミニウムハライド、またはトリアルキルアルミニウムを意味する。ポリマーアルモキサンまたはオリゴマーアルモキサンの例としては、メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサン、およびイソブチルアルモキサンを挙げることができる。
ルイス酸活性剤(助触媒)は、本明細書に記載されるように、1〜3個の(C1〜C20)ヒドロカルビル置換基を含有する第13族金属化合物を含む。一実施形態では、第13族金属化合物は、トリ((C1〜C20)ヒドロカルビル)−置換アルミニウム、トリ((C1〜C20)ヒドロカルビル)−ホウ素化合物、トリ((C1〜C10)アルキル)アルミニウム、トリ((C6〜C18)アリール)ホウ素化合物、およびそれらのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体である。さらなる実施形態では、第13族金属化合物は、トリス(フルオロ置換フェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。いくつかの実施形態では、活性化助触媒は、テトラキス((C1〜C20)ヒドロカルビルボレートまたはトリ((C1〜C20)ヒドロカルビル)アンモニウムテトラキス((C1〜C20)ヒドロカルビル)ボレート(例えば、ビス(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)である。本明細書で使用される場合、「アンモニウム」という用語は、((C1〜C20)ヒドロカルビル)4N+、((C1〜C20)ヒドロカルビル)3N(H)+、((C1〜C20)ヒドロカルビル)2N(H)2 +、(C1〜C20)ヒドロカルビルN(H)3 +、またはN(H)4 +である窒素カチオンを意味し、各(C1〜C20)ヒドロカルビルは、2つ以上存在する場合、同じであっても、異なっていてもよい。
中性ルイス酸活性剤(助触媒)の組み合わせとしては、トリ((C1〜C4)アルキル)アルミニウムとハロゲン化トリ((C6〜C18)アリール)ホウ素化合物、とりわけ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの組み合わせを含む混合物が挙げられる。他の実施形態は、そのような中性ルイス酸混合物とポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせ、および単一の中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせである。(金属−配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ−フェニルボラン):(アルモキサン)[例えば、(第4族金属−配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ−フェニルボラン):(アルモキサン)]のモル数比は、1:1:1〜1:10:100であり、他の実施形態では、1:1:1.5〜1:5:30である。
式(I)の金属−配位子錯体を含む触媒系を活性化して、1つ以上の助触媒、例えば、カチオン形成助触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせを組み合わせることによって、活性触媒組成物を形成することができる。好適な活性化助触媒としては、ポリマーまたはオリゴマーアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、ならびに不活性、相溶性、非配位性、イオン形成性化合物が挙げられる。例示的な好適な助触媒としては、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1−)アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、前述の活性化助触媒のうちの1つ以上は、互いに組み合わせて使用される。特に好ましい組み合わせは、トリ((C1〜C4)ヒドロカルビル)アルミニウム、トリ((C1〜C4)ヒドロカルビル)ボラン、またはホウ酸アンモニウムとオリゴマーもしくはポリマーアルモキサン化合物との混合物である。式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル数と1つ以上の活性化助触媒の総モル数との比は、1:10,000〜100:1である。いくつかの実施形態では、この比は、少なくとも1:5000であり、他のいくつかの実施形態では少なくとも1:1000、および10:1以下であり、さらに他のいくつかの実施形態では、1:1以下である。アルモキサンを単独で活性化助触媒として使用する場合、用いられるアルモキサンのモル数は、式(I)の金属−配位子錯体のモル数の少なくとも100倍であることが好ましい。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを単独で活性化助触媒として使用する場合、いくつかの他の実施形態では、式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル数に対して用いられるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのモル数は、0.5:1〜10:1、1:1〜6:1、または1:1〜5:1である。残りの活性化助触媒は一般に、式(I)の1つ以上の金属−配位子錯体の総モル量におおよそ等しいモル量で用いられる。
ポリオレフィン
前の段落に記載される触媒系は、オレフィン、主にエチレンおよびプロピレンの重合に利用される。いくつかの実施形態では、重合スキーム中に単一種類のオレフィンまたはα−オレフィンのみが存在し、ホモポリマーを生成する。しかしながら、追加のα−オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα−オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子、または3〜8個の炭素原子を有し得る。例示的なα−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテン、エチリデンノルボルネンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のα−オレフィンコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から、または代替的に1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択することができる。
エチレン系ポリマー、例えば、エチレンのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)、ならびにα−オレフィンなどの任意選択的な1つ以上のコモノマーは、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも50重量パーセント含み得る。「少なくとも50重量パーセントから」によって包含される個々の値および部分範囲は全て、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレンのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)、ならびにα−オレフィンなどの任意選択的な1つ以上のコモノマーは、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも60重量パーセント、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも70重量パーセント、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも80重量パーセント、エチレン由来のモノマー単位を50〜100重量パーセント、またはエチレン由来のモノマー単位の80〜100重量パーセント含み得る。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも90モルパーセント含み得る。エチレン由来のモノマー単位の少なくとも90モルパーセントからの個々の値および部分範囲はすべて本明細書に含まれ、本明細書では別々の実施形態として開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも93モルパーセント、モノマー単位を少なくとも96モルパーセント、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも97モルパーセント、または代替的に、エチレン由来のモノマー単位を90〜100モルパーセント、エチレン由来のモノマー単位を90〜99.5モルパーセント、もしくはエチレン由来のモノマー単位を97〜99.5モルパーセント含み得る。
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、50%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(mol%)〜20mol%を含み、さらなる実施形態では、追加のα−オレフィンの量は少なくとも5mol%〜10mol%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンは1−オクテンである。
任意の従来の重合プロセスを使用してエチレン系ポリマーを生成してもよい。そのような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、またはそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本開示および本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒系は、任意選択的に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器または第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系の存在下で両方の反応器において重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、単一反応器系、例えば、単一ループ反応器系において、溶液重合によって生成され得、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本開示内に記載される触媒系、および前の段落に記載される任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーを生成するための重合プロセスは、触媒系の存在下でエチレンと少なくとも1つの追加のα−オレフィンを重合することを含む。1つ以上の実施形態では、触媒系は、助触媒または追加の触媒なしで、その触媒的に活性な形態で、式(I)に従う金属−配位子錯体を含み得る。さらなる実施形態では、触媒系は、少なくとも1つの助触媒と組み合わせて、そのプロ触媒形態、触媒的に活性な形態、または両方の形態の組み合わせで、式(I)に従う金属−配位子錯体を含み得る。さらなる実施形態では、触媒系は、少なくとも1つの助触媒および少なくとも1つの追加の触媒と組み合わせて、そのプロ触媒形態で、式(I)に従う金属−配位子錯体を含み得る。さらなる実施形態では、触媒系は、第1の触媒および少なくとも1つの追加の触媒、ならびに任意選択で少なくとも1つの助触媒を含むことができ、第1の触媒は、その触媒的に活性な形態で、式(I)に従う金属−配位子錯体である
エチレン系ポリマーは、1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。そのような添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含むことができる。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーおよび1つ以上の添加剤の重量に基づいて、そのような添加剤を合計約0〜約10重量パーセント損なうことができる。エチレン系ポリマーは、充填剤をさらに含むことができ、充填剤としては、有機または無機充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーとすべての添加剤または充填剤の合計重量に基づいて、例えば、炭酸カルシウム、タルク、またはMg(OH)2などの約0〜約20重量パーセントの充填剤を含有し得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーとさらに配合されてブレンドを形成することができる。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーを生成するための重合プロセスは、触媒系の存在下でエチレンと少なくとも1つの追加のα−オレフィンを重合することを含むことができ、触媒系は、式(I)の少なくとも1つの金属−配位子錯体を組み込む。式(I)の金属−配位子錯体を組み込むかかる触媒系から得られたポリマーは、ASTM D792(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に従って、例えば、0.850g/cm3〜0.950g/cm3、0.880g/cm3〜0.920g/cm3、0.880g/cm3〜0.910g/cm3、または0.880g/cm3〜0.900g/cm3の密度を有し得る。
別の実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体を含む触媒系から得られたポリマーは、5〜15のメルトフロー比(I10/I2)を有し、メルトインデックスI2は、ASTM D1238(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に従って、190℃および2.16kg荷重で測定され、メルトインデックスI10は、ASTM D1238に従って、190℃および10kg荷重で測定される。他の実施形態では、メルトフロー比(I10/I2)は5〜10であり、他では、メルトフロー比は5〜9である。
いくつかの実施形態では、式(I)の金属−配位子錯体を含む触媒系から得られたポリマーは、1〜10の分子量分布(MWD)を有し、MWDは、Mw/Mnとして定義され、Mwは、重量平均分子量であり、Mnは、数平均分子量である。他の実施形態では、触媒系から得られたポリマーは、1〜6のMWDを有する。別の実施形態は、1〜3のMWDを含み、他の実施形態は、1.5〜2.5のMWDを含む。
本開示に記載される触媒系の実施形態は、形成されたポリマーの高分子量およびポリマーに組み込まれたコモノマーの量の結果として、固有のポリマー特性をもたらす。
本開示の1つ以上の特色は、次の実施例の観点で例示される。
実施例1:2−ブロモ−4−(t−ブチル)−3−フルオロフェノールの調製
グローブボックス内で、40mLのバイアルに2−ブロモ−3−フルオロフェノール(7.64g、40mmol、1.0当量)および2−クロロ−2−メチルプロパン(8.7mL、80mmol、2.0当量)を充填した。AlCl3(213mg、1.6mmol、0.04当量)を緩徐に添加して、反応温度を40℃未満に維持した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、追加のAlCl3(160mg、1.2mmol、0.03当量)を添加した。反応混合物を室温で12時間(h)撹拌した後、反応混合物をシリカゲル(SiO2)カラムクロマトグラフィーにより精製した。6.36gの収量の薄茶色の油を収集した(64%の理論収量)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.15(t,J=8.9Hz,1H),6.75(dd,J=8.7,1.7Hz,1H),5.44(s,1H),1.35(d,J=1.2Hz,9H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−101.41(s,1F).
実施例2:2−ブロモ−4−(t−ブチル)−5−フルオロフェノールの調製
グローブボックス内で、40mLのバイアルに2−ブロモ−5−フルオロフェノール(7.64g、40mmol、1.0当量)および2−クロロ−2−メチルプロパン(8.7mL、80mmol、2.0当量)を充填した。AlCl3(213mg、1.6mmol、0.04当量)をアリコートによってアリコートを添加して、反応温度を40℃未満に維持した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、追加のAlCl3(160mg、1.2mmol、0.03当量)を添加した。室温で12時間撹拌した後、反応混合物をSiO2カラムクロマトグラフィーにより精製した。8.45gの収量の薄茶色の油を収集した(85%の理論収量)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.33(d,J=8.3Hz,1H),6.72(d,J=13.0Hz,1H),5.40(d,J=1.5Hz,1H),1.33(d,J=1.1Hz,9H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−108.01(s,1F).
実施例3:2−ブロモ−4−(t−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノールの調製
グローブボックス内で、40mLのバイアル中の3,5−ジフルオロフェノール(6.505g、50mmol、1.0当量)の2−メトキシ−2−メチルプロパン(13.1mL、110mmol、2.2当量)溶液に、ZrCl4(5.826g、25mmol、0.5当量)を緩徐に添加して、反応混合物を30〜40℃に保った。反応物を室温で2時間、次いで、50℃で48時間撹拌した。反応物を飽和水溶液(sat.aq.)のNH4Clおよび2モーラー(M)HClで反応を停止させ、次いで、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル抽出物を飽和水溶液の塩化ナトリウム(ブライン)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をSiO2カラムクロマトグラフィーにより精製した。5.29gの収量の薄茶色の油を収集した(57%の理論収量)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.33−6.29(m,2H),5.28(s,1H),1.42(t,J=2.2Hz,9H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−105.44(s,1F).
撹拌棒を装備した40mLのバイアルに、4−(t−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノール(2.2g、11.8mmol、1.0当量)、パラトルエンスルホン酸(pTSA)一水和物(2.035g、11.8mmol、1.0当量)、アセトニトリル(15mL)を添加した。反応混合物を約15分間0〜10℃(氷水浴)に冷却し、N−ブロモスクシンイミド(NBS)(2.103g、11.8mmol、1.0当量)を緩徐に添加した。反応物を室温で一晩撹拌させた。翌日、反応混合物を濃縮させ、残渣をSiO2カラムクロマトグラフィーにより精製した。薄茶色の油2.04gの収量を収集した(65%の理論収量)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.56(dd,J=13.8,2.3Hz,1H),5.59(s,1H),1.44(t,J=2.3Hz,9H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−98.45(d,J=7.4Hz,1F),−105.74(d,J=7.4Hz,1F).
実施例4:2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−5−オクチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの調製
ArLi溶液の調製:グローブボックス内で、乾燥した40mLのバイアルに2−(4−オクチルフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(2.906mL、10.0mmol、1.0当量)および乾燥したTHF(10mL)を充填し、溶液を30分間、冷凍庫内で−30℃まで冷却した。冷凍庫から取り出した後、n−BuLi(4.8mL、12.0mmol、1.2当量)を冷却した溶液に緩徐に添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。
クロスカップリング反応:グローブボックス内で、250mLの丸底フラスコ(丸底フラスコ)に1−ブロモ−3,5−ジ−t−ブチルベンゼン(2.694mL、10.0mmol、1.0当量)、tBu3P Pd G2(Buchwaldの第2世代プレ触媒、154mg、0.30mmol、0.03当量)、およびトルエン(40mL)を充填した。丸底フラスコに蓋をし、密封し、グローブボックスから取り出し、上記で調製したArLi溶液を室温で90分かけてシリンジポンプを介して緩徐に添加した。メタノール(MeOH)で反応を停止させた。溶媒を蒸発させ、生成物をSiO2カラムクロマトグラフィーにより精製した。3.67gの収量の無色の固体を収集した(77%の理論収量)。
ホウ素化:グローブボックス内で、乾燥した40mLのバイアルに、上記で調製した2−((3’,5’−ジ−t−ブチル−5−オクチル−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)オキシ)テトラヒドロ−2Hピラン(3.67mL、7.67mmol、1.0当量)およびTHF(30mL)を充填し、次いで、冷凍庫内で−30℃に冷却した。冷凍庫から取り出した後、n−BuLi(4.3mL、10.7mmol、1.4当量)を、冷却した溶液に滴下して添加し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボロラン(iPrOBpin)(2.35mL、11.5mmol、1.5当量)を一度に添加し、得られた混合物を一晩撹拌した。水(3mL)を反応液に添加し、溶媒を回転蒸発によって除去した。残渣をCH2Cl2(150mL)中に溶解し、ブラインで数回洗浄した。MgSO4で乾燥させ、濾過した後、溶媒を除去して生成物を得た。粗生成物をさらに精製することなく使用した。4.27gの収量の無色の固体を収集した(92%の理論収量)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.52(d,J=2.4Hz,1H),7.38(d,J=1.9Hz,2H),7.35(t,J=1.8Hz,1H),7.23(d,J=2.4Hz,1H),4.99(t,J=3.1Hz,1H),2.93−2.86(m,1H),2.69−2.61(m,1H),2.61−2.55(m,2H),1.79−1.56(m,4H),1.44−1.09(m,44H),0.91−0.82(m,3H).
実施例5:1−(メトキシメトキシ)−4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)ベンゼンの調製
熱電対、還流凝縮器、および窒素パッドを装備した500mLの三口丸底フラスコに、ジメトキシメタン(24.73g、325mmol)、トルエン(100mL)、およびZn(OAc)2(9.0mg、0.066mmol)を充填した。塩化アセチル(25.51g、325mmol)を撹拌しながらシリンジを介して5分かけて添加した。発熱反応が観察され、温度が次の10分間で37℃まで徐々に上昇した。この時点で、反応を冷却するために冷水浴を適用した。温度が30℃に低下したら、冷水浴を除去し、反応混合物を周囲温度でさらに4時間撹拌させた。
4−tert−オクチルフェノールの一部(51.58g、250mmol)を添加した後、ジイソプロピルエチルアミン(iPr2NEt、42.00g、325mmol)を5分かけて添加した。得られた反応混合物を周囲温度で1時間撹拌し(約2℃の温度上昇で開始時にわずかに発熱反応が観察された)、次いで、60℃で一晩(18時間)加熱した。反応混合物のアリコートを取り、NH4Cl飽和溶液で処理し、EtOAcで抽出した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、次いで、氷水浴でさらに冷却した。飽和水溶液のNH4Cl溶液(100mL)を、温度を30℃未満に維持するような速度で添加した(発熱反応が観察され、温度が5分で23〜30℃に上昇した)。(過剰のMOM−Clが完全に分解されることを確実にするため)二相性反応混合物を1〜2時間撹拌し、次いで、ヘキサン(100mL)で希釈した。2つの相が分離した。有機層を水(150mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4のプラグを通して濾過し、回転蒸発を使用して減圧下で乾燥するまで濃縮させ、無色の油として所望の生成物を得た(60.85g、97%収量)。粗生成物をさらに精製することなく、実施例6で使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.27(d,J=8.8Hz,2H),6.94(d,J=8.8Hz,2H),5.15(s,2H),3.48(s,3H),1.7(s,2H),1.34(s,6H),0.72(s,9H).13C NMR(75MHz,CDCl3)δ154.90,143.58,127.06,115.47,94.65,57.00,55.94.38.04,32.33,31.78,31.61.
実施例6:2−(2−(メトキシメトキシ)−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの調製
オーバーヘッド撹拌器、凝縮器、温度計、窒素パッドを装備した2Lの四口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で1−(メトキシメトキシ)−4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)ベンゼン(62.00g、248mmol)および無水THF(350mL)を装填した。混合物をドライアイスアセトン浴で−70℃未満に冷却した。ヘキサン中の1.6Mのn−BuLiの溶液(201mL、322mmol、1.3当量)を−65〜−74℃で30分かけてシリンジポンプを介して添加した。得られた混合物を−65℃未満で1.5時間撹拌した後、冷却浴を除去して、反応混合物を1.5時間周囲温度まで加温した。反応混合物を再び−70℃未満に冷却し、iPrOBPin(64.83g、348mmol、1.4当量)を、温度を−65℃未満に維持するような速度でシリンジポンプを介して添加した(20分)。得られた混合物を−65℃未満でさらに1時間撹拌し、次いで、一晩(16時間)周囲温度まで徐々に加温した。その後、氷水(500g)を添加し、混合物を20〜30分間撹拌した。反応混合物を相分離のために2リットルの分液漏斗に移した。底部の水溶液の層を別の分液漏斗に排出し、EtOAc(250mL×2)で抽出した。合わせた有機相を、NH4Cl(250mL)、水(250mL)、およびブライン(250mL)の飽和水溶液で洗浄し、無水Na2SO4(50g)のプラグを通して濾過した。回転蒸発を使用した減圧下での揮発物の蒸発により、茶色の油残渣を得て、それを45℃(1mmHg)の真空オーブン内でさらに一晩乾燥させた後、粗生成物を茶色の油(92.5g、93%の収量)として得た。粗生成物は、生成物(85〜90%)、および対応するボロン酸(10〜15%)の混合物であった。粗生成物をさらに精製することなく、実施例8で使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.63(d,J=2.6Hz,1H),7.37(dd,J1=8.7Hz,J2=2.6Hz,1H),6.93(d,J=8.7Hz,1H),5.15(s,2H),3.51(s,3H),1.71(s,2H),1.35(s,6H),1.34(s,12H),0.72(s,9H).
実施例7:5’−クロロ−1,1’:3’,1’‘−テルフェニルの調製
オーバーヘッド機械式撹拌器、還流凝縮器、正の窒素パッド、熱電対、および加熱マントルを装備した2Lの三口丸底フラスコに、窒素下で、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)(2.245g、10.0mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh3)(5.246g、20.0mmol)、および脱気したトルエン(625mL)を装填した。混合物を、すべての固体が溶解するまで周囲温度で撹拌した(およそ10分でオレンジ色の溶液が形成され、いくらかのオレンジ色の固体が後に沈殿した)。次いで、1,3−ジブロモ−5−クロロベンゼン(135.2g、500.0mmol)、フェニルボロン酸(152.4g、1.25mol、2.5当量)、および脱気した2.0MのNa2CO3(625mL、1.25mol)を丸底フラスコに添加した。混合物を周囲温度で撹拌した。発熱反応が観察され、反応温度は次の20分間で67℃まで徐々に上昇し、暗褐色の混合物が得られた。暗褐色の混合物を50℃未満に冷却し、相分離のために分液漏斗に移した。トルエン(200mL)および水(300mL)を添加した。底部の水溶液の層を排出して廃棄した。有機層を水(500mL×2)およびブライン(200mL)で洗浄した。洗浄した有機相をシリカゲル(80g)のベッドを通して濾過した。湿ったケーキをトルエン(100mL)と、ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(200mL、ヘキサン/酢酸エチル=体積比1:4)とで洗浄した。
回転蒸発を使用して揮発物を減圧下で除去して固体残渣(145g)を得、これをエタノール(EtOH)(250mL)から再結晶化して、122.50gの所望の生成物を得た。濾液を減圧下で濃縮させ、残渣をEtOH(50mL)から再結晶化して、生成物の第2の部分(3.94g)を得た。総生成物は126.44g(95%の理論収量)であった。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.66(t,J=1.6Hz,1H),7.62m,2H),7.60(m,2H),7.55(d,J=1.6Hz,2H),7.48(m,1H),7.46(m,2H),7.44(m,1H),7.30−7.42(m,2H).
実施例8:2−(メトキシメトキシ)−5’−フェニル−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)−1,1’:3’,1’‘−テルフェニルの調製
機械式撹拌器、還流凝縮器(N2入口付き)、熱電対、およびゴム製セプタムを装備した1Lの三口丸底フラスコに、5’−クロロ−1,1’:3’,1’‘−テルフェニル(50.00g、189mmol)および2−(2−(メトキシメトキシ)−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(76.2g、198.3mmol、1.05当量)、テトラヒドロフラン(THF、290mL)、ならびに2ノルマル(N)NaOH(283mL、566mmol、3当量)の溶液を充填した。得られた二相性溶液を機械的に撹拌し、窒素で30分間パージした。
別個のバイアル中で、Pd(OAc)2(212mg、0.5mol%)と2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2′,4′,6′−トリイソプロピルビフェニル(XPhos)(900mg、1mol%)とを合わせ、脱気した10mLのTHF中に溶解し、周囲温度で約10分間撹拌した。得られたクリアな深紫色の触媒溶液を、皮下シリンジを介して反応容器に添加した。反応物をN2下で撹拌した。反応は発熱性であり、外部加熱源なしで45℃に加熱した。
発熱がおさまったとき(温度は45℃に到達した後に低下し始めた)。反応混合物を周囲温度まで冷却し、EtOAc(20mL)で希釈した。内容物を分液漏斗に移した。底部の水溶液の層を分離させ、EtOAc(1×10mL)で抽出した。合わせた有機画分を減圧下で回転蒸発を使用して濃厚な黒いシロップに濃縮させ、次いで、ヘキサン(50mL)中に溶解し、シリカゲルのパッドを通して洗い流し、1:1のCH2Cl2−ヘキサン(800mL)で溶出した。濾液を減圧下で回転蒸発を使用して濃縮させ、粘性のある茶色の残渣として所望の生成物82.5g(91%の理論収量)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.77(m,1H),7.72−7.68(m,6H),7.47(t,J=7.4Hz,4H),7.40−7.35(m,3H),7.30(dd,J1=2.4Hz,J2=8.6Hz,1H),7.15(d,J=8.6Hz,1H),5.10(s,2H),3.40(s,3H),1.74(s,2H),1.41(s,6H),0.76(s,9H).
実施例9:2−(2−(メトキシメトキシ)−5’−フェニル−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)−[1,1’:3’,1’‘−テルフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの調製
凝縮器、機械式撹拌器、温度計、および窒素パッドを装備した3Lの三口丸底フラスコに、2−(メトキシメトキシ)−5’−フェニル−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)−1,1’:3’,1’‘−テルフェニル(125.0g、261mmol)、および無水テトラヒドロフラン(THF、750mL)を装填した。混合物をドライアイス/アセトン浴で−70℃に冷却した。ヘキサン中の1.6Mのn−BuLiの溶液(220mL、353mmol)を、−70℃〜−60℃で60分(3.5mL/分)かけてシリンジポンプを介して添加した。混合物を−70℃未満で1時間撹拌し、次いで、撹拌しながら室温まで2時間加温した。その後、得られた混合物を再び−70℃に冷却し、iPrOBPin(68.02g、366mmol)を−70℃で60分かけて添加した。混合物を−70℃で2時間撹拌し、次いで、周囲温度まで加温し、一晩(16時間)撹拌した。この時間の後、溶液を0℃に冷却し、水(250mL)を緩徐に添加し、続いて1NのHCl(およそ345mL)を添加して、pHを6〜7に調節した。EtOAc(1L)の添加後、10分間撹拌した。二相性混合物が分離した。水層をEtOAc(250mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(250mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた。乾燥剤を濾過し、有機層を減圧下で濃縮させた。残渣を40℃(1〜2mmHg)で一晩さらに乾燥させて、153.0g(97%の収量)を得た。この材料をさらに精製することなく、次のステップで使用した。EtOAcからの再結晶化によりさらなる精製が達成され、白色の結晶生成物が得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.78−7.74(m,3H),7.72−7.67(m,4H),7.52(d,J=2.6Hz,1H),7.47−7.42(m,4H),7.38−7.33(m,2H),4.86(s,2H),2.89(s,3H),1.76(s,2H),1.42(s,6H),1.37(s,12H),0,77(s,9H).
実施例10:2−(4−ブロモフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピランの調製
pTSA一水和物(0.088g、0.462mmol)を、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(11.7mL、138.7mmol)中の0℃の4−ブロモフェノール(8.00g、46.2mmol)溶液に添加した。混合物をこの温度で45分(min)間撹拌した。この時間の後、Et2O(50mL)および1NのNaOH(25mL)を反応フラスコに添加した。混合物を分液漏斗に移し、層を分離させた。水相をEt2O(50mL)でさらに抽出した。有機物をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、次いで、減圧下で乾燥するまで濃縮させて、静置すると結晶化する無色の油として所望の化合物を得た(11.8g、94%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.41−7.33(m,2H),6.98−6.89(m,2H),5.37(t,J=3.3Hz,1H),3.87(ddd,J=11.4,9.6,3.2Hz,1H),3.59(dtd,J=11.4,4.1,1.4Hz,1H),2.05−1.91(m,1H),1.94−1.79(m,2H),1.78−1.52(m,3H).13C NMR(101MHz,CDCl3)δ156.17,132.19,118.31,113.83,96.51,62.00,30.26,25.13,18.65.
実施例11:ジメチル(オクチル)(4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)フェニル)シランの調製
ヘキサン中の2.4Mのn−BuLi(13.2mL、32mmol)を、THF(60mL)中の2−(4−ブロモフェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(7.75g、30mmol)で充填した100mLのフラスコに−78℃で緩徐に添加した。混合物をこの温度で45分間撹拌し、次いで、未希釈のn−オクチル(ジメチル)クロロシラン(6.55g、7.50mL、32mmol)を緩徐に添加した。反応物を−78℃で30分間維持し、次いで、室温に加温し、冷浴を終了した(18時間撹拌)。NH4Cl(20mL)水溶液の添加により反応を停止させ、二相性混合物を30分間力強く撹拌し、次いで、相を分液漏斗に移した。Et2O(20mL)を添加し、次いで、層を分離させた。水相をEt2O(20mL)でさらに抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(15mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、乾燥するまで濃縮させた。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20gのCELITE装填カートリッジ、80gのSiO2、60mL/分、0%のEtOAc〜15%のEtOAc)を使用して粗残渣を直接精製して、無色の油として8.5g(81%)の生成物を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.48−7.39(m,2H),7.10−7.01(m,2H),5.46(app t,J=3.3Hz,1H),3.93(ddd,J=11.6,9.5,3.1Hz,1H),3.62(app dtd,J=11.3,4.0,1.4Hz,1H),2.1−1.48(m,6H),1.35−1.19(m,12H),0.93−0.84(m,3H),0.76−0.67(m,2H),0.23(s,6H).13C NMR(101MHz,CDCl3)δ157.88,135.02,131.80,115.97,96.23,62.16,33.79,32.08,30.53,29.44,29.42,25.40,24.05,22.82,18.95,16.07,14.26,−2.66.LCMS ES/APCIMS m/z371[(M+Na)+].
比較触媒とプロ触媒1、2、3、4、5、6、および7の一般的な合成を図に示す。実施例12〜30は、一般的な合成スキームの例を例示している。
代表的な実施例:比較触媒C1の合成
実施例12.ビス(クロロメチル)ジイソプロピルゲルマンの調製:ステップ1aおよび2
グローブボックス内で、100mLの丸底フラスコにGeCl4(8.578g、40mmol、1.0当量)および乾燥したトルエン(50mL)を充填した。フラスコにセプタムで蓋をし、密封し、グローブボックスから取り出し、ドライアイス−アセトン浴を使用して−78℃に冷却した。THF中の塩化イソプロピルマグネシウム溶液(2M、41mL、82.0mmol、2.05当量)を予め冷却した溶液に滴加した。反応混合物を固化させ、−78℃で1時間、次いで、室温で3時間保った。反応混合物をグローブボックスに入れ、フリット漏斗で濾過した。濾液を250mLの丸底フラスコ内で収集した。固体をヘキサン(50mL)ですすいだ。THF(100mL)を濾液に添加した。丸底フラスコに蓋をし、密封し、グローブボックスから取り出し、ドライアイス−アセトン浴で−78℃に冷却した。ブロモクロロメタン(7.8mL、120.0mmol、3.0当量)を添加した。ヘキサン中のn−BuLiの溶液(2.5M、32.8mL、82.0mmol、2.05当量)を、シリンジポンプを使用して3時間の期間にわたってフラスコの冷却壁に添加した。混合物を一晩(16時間)室温まで加温した。次いで、飽和水溶液のNH4Cl(50mL)を添加した。2つの層が分離した。水溶液の層をジエチルエーテル(2×60mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、シリカゲルのプラグを通して濾過し、減圧下で濃縮させた。粗生成物をさらに精製することなく、次のステップに使用した。9.3gの収量の無色の油を収集した(90%の理論収量)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ3.17(s,4H),1.66−1.54(m,2H),1.20(d,J=7.4Hz,12H).
実施例13:ビス((2−ブロモ−4−フルオロフェノキシ)メチル)ジイソプロピルゲルマンの調製:ステップ3
グローブボックス内で、40mLのバイアルに、ビス(クロロメチル)ジイソプロピルゲルマン(4.28g、16.6mmol、1.0当量)、2−ブロモ−4−フルオロフェノール(9.514g、50.0mmol、3.0当量)、K3PO4(14.1g、66.4mmol、4.0当量)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(20mL)を充填した。反応混合物を80℃で一晩、次いで、100℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を水(150mL)の中に注いだ。溶液を酢酸エチルで抽出し、水で2回、次いで、1MのKOHで2回、次いで、ブラインで洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、シリカゲルの短いプラグを通して濾過し、濃縮させた。粗生成物を精製することなく、次のステップに使用した。7.31gの収量の無色の油を収集した(78%の理論収量)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.29−7.24(m,2H),7.02−6.96(m,4H),4.13(s,4H),1.75−1.62(m,2H),1.27(d,J=7.4Hz,12H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−122.60(s,2F).
実施例14.6’’,6’’’’’−(((ジイソプロピルゲルマンジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−3’’−フルオロ−5’−メチル−[1,1’:3’,1’’−テルフェニル]−2’−オール)の調製:ステップ4
グローブボックス内で、40mLのバイアルに、ビス((2−ブロモ−4−フルオロフェノキシ)メチル)ジイソプロピルゲルマン(1.7g、3.0mmol、1.0当量)、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−メチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(4.56g、9.0mmol、3.0当量)、Na2CO3(1.91g、18mmol、6当量)、および脱気したTHF(12mL)を添加した。バイアルをグローブボックスから除去し、水(6mL)を添加した。完全な脱気を確実にするために、撹拌溶液を通して窒素を5分間パージした。THF(2mL)中のPd(dba)2(0.069g、0.12mmol、0.04当量)およびt−Bu3P(0.049g、0.24mmol、0.08当量)の予め混合された溶液を添加した。反応物を70℃で18時間力強く撹拌した。室温まで冷却した後、有機層を100mLの丸底フラスコに移し、バイアルをTHF(4.0mL)ですすいだ。MeOH(15mL)および濃縮されたHCl(1mL)を添加し、次いで、還流(80〜90℃)で2時間加熱した。反応混合物を回転蒸発により濃縮させた。水(50mL)を添加し、生成物をジエチルエーテル(70mL×3)で抽出した。抽出物をMgSO4上で乾燥させ、シリカゲルのプラグを通して濾過した。溶媒を除去した後、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。2.335gの収量の白色固体を収集した(78%の理論収量)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.44(t,J=1.8Hz,2H),7.30(d,J=1.8Hz,4H),7.10−7.06(m,2H),7.01(dd,J=8.8,3.2Hz,2H),6.91−6.88(m,2H),6.85−6.78(m,2H),6.67−6.62(m,2H),5.35(s,2H),3.77(s,4H),2.29(s,6H),1.34(s,36H),1.20−1.09(m,2H),0.79(d,J=7.4Hz,12H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−123.74(s,2F).
実施例15:比較触媒C1の調製:ステップ5
グローブボックス内で、撹拌棒付きのオーブン乾燥した100mLのボトルにZrCl4(0.466g、2.0mmol、1.0当量)と無水CH2Cl2(50mL)を充填した。バイアルを、冷凍庫内で少なくとも30分間、−30℃に冷却した。バイアルを冷凍庫から取り出した。MeMgBr(ジエチルエーテル中3M、2.8mL、8.4mmol、4.2当量)を、撹拌した懸濁液に添加した。2分後、6’’,6’’’’’−(((ジイソプロピルゲルマンジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−3’’−フルオロ−5’−メチル−[1,1’:3’,1’’−テルフェニル]−2’−オール)を固体として添加した。得られた混合物を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、CELITE(商標)のプラグに通過させた。プラグをCH2Cl2(10mL)で洗浄した。溶媒を真空下で除去して、暗色固体を得て、これをヘキサン(20mL)で洗浄し、次いで、トルエン(40mL)で抽出した。トルエン抽出物を真空下で乾燥させた。1.584gの収量の薄茶色の固体を収集し、71%の収量を得た。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.07(br s,2H),7.65(t,J=1.8Hz,2H),7.19(d,J=2.4Hz,2H),7.02(dd,J=9.1,3.1Hz,2H),6.87−6.77(m,4H),5.58−5.47(m,2H),4.73(d,J=11.7Hz,2H),3.54(d,J=11.6Hz,2H),2.18(s,6H),1.37(s,36H),0.62−0.53(m,12H),0.53−0.42(m,2H),0.05(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−116.57(m,2F).
実施例16:比較触媒C2の調製
比較触媒C2を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−3−フルオロフェノールを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製する。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ7.99(br s,2H),7.68(t,J=1.8Hz,2H),7.26−7.20(m,4H),7.04−6.99(m,2H),6.82−6.74(m,2H),6.68−6.61(m,2H),5.42(d,J=8.3Hz,2H),4.72(d,J=11.6Hz,2H),3.61(d,J=11.5Hz,2H),2.18(s,6H),1.39(br s,36H),0.65−0.45(m,14H),0.02(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−112.81(m,2F).
実施例17:比較触媒C3の調製
比較触媒C3を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−5−フルオロフェノールを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.10(br s,2H),7.90−7.84(m,2H),7.56(br s,2H),7.21(d,J=2.3Hz,2H),7.04−6.99(m,2H),6.87(d,J=2.4Hz,2H),6.51(td,J=8.3,2.5Hz,2H),5.46(dd,J=9.1,2.6Hz,2H),4.80(d,J=11.7Hz,2H),3.62(d,J=11.6Hz,2H),2.21(s,6H),1.48(br s,36H),0.61−0.42(m,14H),0.10(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−109.86(m,2F).
実施例18:比較触媒C4の調製
比較触媒C4を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−4−(t−ブチル)フェノールを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.79(t,J=1.8Hz,2H),7.55(d,J=2.5Hz,2H),7.28−7.18(m,5H),7.08−6.98(m,3H),5.68(d,J=8.6Hz,2H),4.81(d,J=11.6Hz,2H),3.67(d,J=11.6Hz,2H),2.26(s,6H),1.46(s,36H),1.25(s,18H),0.67−0.52(m,14H),−0.05(m,6H).
実施例19:比較触媒C5の調製
比較触媒C5を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノールを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ7.85−7.82(m,2H),7.06−6.99(m,6H),6.90(dd,J=10.8,8.8Hz,2H),6.72−6.68(m,2H),5.45(dd,J=10.4,6.9Hz,2H),4.71(d,J=11.7Hz,2H),3.52(d,J=11.6Hz,2H),2.17(s,6H),1.59−1.23(m,36H),0.59−0.51(m,12H),0.48−0.37(m,2H),0.11(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−133.64(d,J=22.5Hz,2F),−140.19(d,J=22.4Hz,2F).
実施例20:プロ触媒1の調製
プロ触媒1を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−4−(t−ブチル)−3−フルオロフェノールを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ7.96(br s,2H),7.75(t,J=1.8Hz,2H),7.37−7.30(m,2H),7.24(d,J=2.3Hz,2H),7.11−7.00(m,4H),5.48(d,J=8.7Hz,2H),4.70(d,J=11.4Hz,2H),3.64(d,J=11.4Hz,2H),2.20(s,6H),1.59−1.30(m,54H),0.66−0.49(m,14H),−0.05(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−108.61(m,2F).
実施例21:プロ触媒2の調製
プロ触媒2を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−4−(t−ブチル)−5−フルオロフェノールを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.18(br s,2H),7.93−7.85(m,2H),7.59(br s,2H),7.42(d,J=9.1Hz,2H),7.24(d,J=2.4Hz,2H),7.08−6.98(m,2H),5.51(d,J=12.3Hz,2H),4.81(d,J=11.6Hz,2H),3.67(d,J=11.7Hz,2H),2.22(s,6H),1.51(br s,36H),1.30(s,18H),0.64−0.45(m,14H),0.08(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−105.56(m,2F).
実施例22:プロ触媒3の調製
プロ触媒3を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−4−(t−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノールを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.04(br s,2H),7.83(br s,2H),7.24−7.18(m,4H),7.08−6.98(m,2H),5.32(dd,J=13.0,1.8Hz,2H),4.68(d,J=11.5Hz,2H),3.62(d,J=11.5Hz,2H),2.18(s,6H),1.63−1.36(m,54H),0.65−0.45(m,14H),0.10(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−102.26(d,J=7.0Hz,2F),−104.70(d,J=7.0Hz,2F).
実施例23:比較プロ触媒C10の調製
比較触媒C10を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−4−(t−ブチル)フェノール、ならびにステップ4と同じモル当量の2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−メチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(実施例14)の代わりに2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−オクチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボロランを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.14(br s,2H),7.80(t,J=1.9Hz,2H),7.59(d,J=2.5Hz,2H),7.34(dd,J=19.0,2.4Hz,4H),7.20(dd,J=8.6,2.5Hz,2H),5.70(d,J=8.6Hz,2H),4.86(d,J=11.6Hz,2H),3.71(d,J=11.5Hz,2H),2.72−2.54(m,4H),1.75−1.21(m,78H),0.95−0.87(m,6H),0.72−0.59(m,14H),−0.03(s,6H).
実施例24:プロ触媒4の調製
プロ触媒4を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−4−(t−ブチル)−3−フルオロフェノール、ならびにステップ4と同じモル当量の2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−メチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(実施例14)の代わりに2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−オクチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボロランを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.04(br s,2H),7.76(t,J=1.9Hz,2H),7.61(br s,2H),7.43(t,J=2.8Hz,2H),7.34(d,J=2.4Hz,2H),7.08(t,J=8.8Hz,2H),5.50(dd,J=8.8,1.1Hz,2H),4.75(d,J=11.5Hz,2H),3.69(d,J=11.4Hz,2H),2.69−2.49(m,4H),1.71−1.60(m,4H),1.58−1.19(m,74H),0.96−0.87(m,6H),0.73−0.57(m,14H),−0.04(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−108.63(m,2F).
実施例25:プロ触媒5の調製
プロ触媒5を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに22−ブロモ−4−(t−ブチル)−5−フルオロフェノール、ならびにステップ4と同じモル当量の2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−オクチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(実施例14)の代わりに2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−オクチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボロランを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.21(br s,2H),7.93−7.86(m,2H),7.63(br s,2H),7.46(d,J=9.2Hz,2H),7.34(d,J=2.4Hz,2H),7.21(d,J=2.4Hz,2H),7.08−6.94(m,2H),5.54(d,J=12.3Hz,2H),4.86(d,J=11.7Hz,2H),3.72(d,J=11.7Hz,2H),2.69−2.51(m,4H),1.74−1.19(m,78H),0.96−0.86(m,6H),0.69−0.53(m,14H),0.10(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−105.54(m,2F).
実施例26:プロ触媒7の調製
プロ触媒7を、ステップ3と同じモル当量の2−ブロモ−4−フルオロフェノール(実施例13)の代わりに2−ブロモ−4−(t−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノール、ならびにステップ4と同じモル当量の2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−オクチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(実施例14)の代わりに2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−5−オクチル−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,2,3−ジオキサボロランを使用して、図に示される一般的な合成に従って調製した。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.09(br s,2H),7.87−7.81(m,2H),7.58(br s,2H),7.34−7.27(m,4H),5.35(dd,J=12.9,1.8Hz,2H),4.74(d,J=11.5Hz,2H),3.68(d,J=11.5Hz,2H),2.66−2.47(m,4H),1.73−1.18(m,78H),0.96−0.85(m,6H),0.71−0.51(m,14H),0.12(s,6H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−102.23(d,J=7.1Hz,2F),−104.67(d,J=7.1Hz,2F).
代表的な実施例:プロ触媒3の合成
実施例27:5,5’−((メソ−ペンタン−2,4−ジイル)ビス(オキシ))ビス(4−ブロモ−2−(tert−ブチル)−1,3−ジフルオロベンゼン)の調製:ステップ1b
乾燥したTHF(25mL)を、2−ブロモ−4−(tert−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノール(2.51g、9.48mmol)、PPh3(2.49g、9.48mmol)、およびメソ−ペンタン−2,4−ジオール(0.47g、4.51mmol)で充填した250mLの丸底フラスコに添加した。混合物を0℃に冷却し、次いで、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)(1.87mL、9.48mmol)を添加した。冷浴を緩徐に終了しながら、反応物を一晩撹拌した。次いで、揮発物を減圧下で除去した。ヘキサン(5mL)を粗残渣に添加し、これをその後に減圧下で除去し(これを5回繰り返した)、次いで、残渣を高真空下で乾燥させた。残渣をヘキサン(15mL)で処理して粉砕し、これにより白色沈殿物を形成した。固体(PPh3O)を濾過により除去し、最初のフラスコおよび固体をヘキサン(2×25mL)で洗浄した。ヘキサン濾液を乾燥するまで濃縮させて、残渣をCELITEに乾燥装填し、次いで、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の40gのSiO2、40mL/分、0%のEtOAc〜20%のEtOAc)を使用して精製した。生成物は、依然としていくらかの不純物を含有しているように見えた。粘着性の固体材料をアセトニトリル(CH3CN)(10mL)中に取り込んだところ、生成物は不溶性であったが、汚染物質のほとんどは可溶性であった。不溶性であった生成物を濾過により収集し、CH3CN(2×4mL)で洗浄して、白色固体として1.75g(65%の理論収量)の生成物を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.56(dd,J=14.7,2.1Hz,2H),4.57(h,J=6.2Hz,2H),2.39(dt,J=13.8,6.8Hz,1H),1.85(dt,J=14.2,5.9Hz,1H),1.45(t,J=2.3Hz,18H),1.39(d,J=6.1Hz,6H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−96.89(d,J=6.9Hz),−105.82(d,J=8.1Hz).
実施例28:6,6’’’’−((メソ−ペンタン−2,4−ジイル)ビス(オキシ))ビス(3−(tert−ブチル)−2,4−ジフルオロ−5’’−フェニル−5’−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)−[1,1’:3’,1’’:3’’,1’’’−クアテルフェニル]−2’−オール)の調製:ステップ4
脱気したTHF(12mL)および脱気した水(3mL)を、ボロン酸エステル(0.82g、1.36mmol)、5,5’−((メソ−ペンタン−2,4−ジイル)ビス(オキシ))ビス(4−ブロモ−2−(tert−ブチル)−1,3−ジフルオロベンゼン)(0.33g、0.540mmol)、固体NaOH(0.11g、2.72mmol)、およびクロロ(クロチル)[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)(Pd−Amphos)(0.01g、0.02mmol)で充填した40mLの丸底フラスコに添加した。反応物を55℃に加温し、この温度で18時間維持した。この時間の後、反応物を室温まで冷却した。混合物を分液漏斗に移し、トルエン(25mL)および水(10mL)を添加し、層を分離させた。有機物をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。
上記の溶液に、MeOH(10mL)を濃縮HCl(ガラスピペットから8滴)と共に添加した。フラスコを還流凝縮器に取り付け、77℃(外部温度)に加温した。溶液を撹拌しながら、この温度で6時間保った。溶液を室温まで冷却し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣をCELITE(商標)に乾燥装填し、次いで、逆相フラッシュクロマトグラフィーを使用して(CH3CN中、50g、C18修飾シリカ、35mL/分、0%のTHF〜50%のTHFで20分かけて)直接精製し、白色固体として0.61g(86%の理論収量)の配位子を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.81−7.73(m,6H),7.70−7.61(m,8H),7.51−7.29(m,14H),7.16−7.07(m,2H),6.38−6.16(m,2H),5.15(d,J=4.6Hz,1H),5.07(d,J=2.0Hz,1H),4.45−4.18(m,2H),2.04−1.90(m,1H),1.81−1.63(m,4H),1.60−1.20(m,31H),1.15(dd,J=6.1,3.5Hz,3H),1.09(dd,J=9.9,6.0Hz,3H),0.83−0.65(m,18H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−103.88,−104.01(m),−104.06(d,J=8.1Hz),−104.11(d,J=8.1Hz),−104.23(t,J=7.0Hz).LCMS(ES/APCIMS m/z1329[(M+Na)+].
実施例29:プロ触媒3の調製
実施例29の反応のための出発材料を、ステップ1bと同じモル当量の2−ブロモ−4−(tert−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノール(実施例27)の代わりに2−ブロモ−3,5−ジフルオロフェノール、ならびにステップ4と同じモル当量の2−(2−(メトキシメトキシ)−5’−フェニル−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)−[1,1’:3’,1’’−テルフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(実施例28)を使用して、一般的な合成に従って調製した。
金属化反応:Et2O(0.35mL)中の3MのMeMgBrを、トルエン(6mL)中の−30℃のZrCl4(0.059g、0.28mmol)の溶液に添加した。3分間撹拌した後、配位子(0.33g、0.28mmol)の−30℃のトルエン(2mL)溶液を添加した。反応物を室温で5時間撹拌し、次いで、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をヘキサン(10mL)中に取り込んだところ、材料のほとんどは不溶性であった。不均一混合物を、CELITE(商標)が詰まったフリット漏斗プラグに通過させた。CELITE(商標)プラグをヘキサン(10mL)で洗浄した。新しい収集バイアルを使用し、CELITE(商標)プラグをCH2Cl2(2×15mL)で抽出した。CH2Cl2抽出物を減圧下で除去して、白色固体として0.25g(69%の理論収量)のプロ触媒を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.25−7.98(m,4H),7.99−7.92(m,1H),7.92−7.84(m,1H),7.81−7.67(m,8H),7.63−7.53(m,2H),7.46−7.37(m,8H),7.37−7.26(m,4H),7.15−7.06(m,2H),4.85(app dd,J=13.1,1.8Hz,1H),4.69(app dd,J=13.2,1.8Hz,1H),4.14−3.98(m,1H),3.64−3.39(m,1H),1.84(app d,J=14.5Hz,2H),1.70(app dd,J=17.9,14.5Hz,2H),1.52−1.16(m,31H),1.13−0.97(m,1H),0.83−0.65(m,21H),0.59(d,J=6.7Hz,3H),−0.77(s,3H),−0.92(s,3H).19F{1H}NMR(376MHz,CDCl3)δ−105.23(dd,J=10.0,6.8Hz),−105.99(d,J=6.7Hz),−106.09(d,J=6.6Hz).
実施例30:プロ触媒6の調製
実施例30の反応のための出発材料を、ステップ1bと同じモル当量の2−ブロモ−4−(tert−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノール(実施例27)の代わりに2−ブロモ−4−(t−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノール、ならびにステップ4と同じモル当量の(3’’,5’’−ジ−tert−ブチル−5’−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−6−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−[1,1’:3’,1’’−テルフェニル]−3−イル)ジメチル(オクチル)シラン(実施例28)を使用して、一般的な合成に従って調製した。
金属化反応:Et2O(0.2mL)中の3MのMeMgBrを、トルエン(5mL)中の−30℃のZrCl4(0.035g、0.148mmol)溶液に添加した。5分間撹拌した後、配位子(0.28g、0.147mmol)の−30℃のトルエン(2mL)溶液を添加した。混合物を3時間撹拌し、次いで、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をヘキサン(25mL)中に取り込み、次いで、溶液をCELITE(商標)が詰まったフリット漏斗プラグに通過させた。CELITE(商標)プラグをヘキサン(20mL)で洗浄した。ヘキサンを減圧下で除去して、茶色固体として0.26g(89%の理論収量)のプロ触媒を得た。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.73−8.36(m,2H),8.34−8.29(m,1H),8.29−8.23(m,1H),8.10(app dd,J=10.7,1.7Hz,2H),7.96−7.74(m,9H),7.62−7.50(m,5H),5.73(dd,J=13.2,1.8Hz,1H),5.42(dd,J=13.3,1.9Hz,1H),4.36−4.20(m,1H),3.85−3.70(m,1H),1.47−1.25(m,114H),1.09−0.97(m,1H),0.96−0.67(m,13H),0.46(d,J=6.7Hz,3H),0.43−0.34(m,1H),0.33−0.22(m,12H),0.02(s,3H),−0.13(s,3H).19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−103.88(d,J=6.3Hz),−104.41(d,J=6.7Hz),−105.49(d,J=6.7Hz),−106.82(d,J=6.3Hz).
実施例31:比較触媒C7の調製
実施例31の反応のための出発材料を、ステップ1bと同じモル当量の2−ブロモ−4−(tert−ブチル)−3,5−ジフルオロフェノール(実施例27)の代わりに2−ブロモ−3,5−ジフルオロフェノール、ならびにステップ4と同じモル当量の2−(2−(メトキシメトキシ)−5’−フェニル−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)−[1,1’:3’,1’’−テルフェニル]−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(実施例28)を使用して、一般的な合成に従って調製した。
金属化反応:
Et2O(0.41mL)中の3MのMeMgBrを、トルエン(6mL)中の−30℃のZrCl4(0.071g、0.30mmol)溶液に添加した。4分間撹拌した後、配位子(0.36g、0.30mmol)の−30℃のトルエン(2mL)溶液を溶液に添加した。得られた混合物を4時間撹拌し、次いで、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をヘキサン/トルエン(2:1、30mL)中に取り込み、次いで、溶液をCELITE(商標)が詰まったフリット漏斗プラグに通過させた。CELITE(商標)プラグをヘキサン/トルエン(1:1、10mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去して、いくらかの不純物を含有する黄褐色の材料を得た。材料をヘキサン/トルエン(4:1、10mL)中に取り込んだ。この溶液を、CELITE(商標)が詰まったフリット漏斗プラグに通過させた。CELITE(商標)プラグをヘキサン/トルエン(4:1、5mL)で洗浄した。合わせた濾液および洗浄液を減圧下で乾燥するまで濃縮させて、黄褐色の固体として0.27g(67%の理論収量)の所望のプロ触媒を得た。
1H NMR(400MHz,C6D6)δ8.53−8.21(m,4H),8.21−8.15(m,1H),8.15−8.10(m,1H),7.87−7.63(m,10H),7.40(app t,J=2.7Hz,1H),7.32−7.24(m,9H),7.18−7.16(m,4H),6.39−6.13(m,2H),5.33−5.18(m,1H),5.11−4.94(m,1H),4.22(p,J=6.8Hz,1H),3.73−3.56(m,1H),1.88−1.55(m,4H),1.44−1.38(m,6H),1.36(s,3H),1.32(s,3H),1.11(ddd,J=16.3,11.5,8.7Hz,1H),0.87(s,9H),0.77(s,9H),0.58−0.42(m,4H),0.33(d,J=6.7Hz,3H),−0.12(s,3H),−0.25(s,3H).
19F{1H}NMR(376MHz,C6D6)δ−109.52(d,J=5.9Hz),−110.08(d,J=5.9Hz),−110.16(d,J=5.9Hz),−111.06(d,J=6.4Hz).
バッチ反応器重合のための手順
反応環境に導入する前に、原料(エチレン、1−オクテン)およびプロセス溶媒(ExxonMobil CorporationからISOPAR Eという商標で市販されている狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)をモレキュラーシーブで精製した。1ガロン(3.79L)の撹拌オートクレーブ反応器にISOPAR Eおよび1−オクテンを充填した。次いで、反応器を所望の温度に加熱し、エチレンを充填して、全圧をおよそ420psigとした。修飾メチルアルミノキサン(MMAO)と共に、所望の金属−配位子錯体と助触媒([HNMe(C18H37)2][B(C6F5)4])とを混合し、追加の溶媒を加えて総体積を約15〜20mLとすることによって、触媒組成物を不活性雰囲気下のドライボックス内で調製した。次いで、活性化触媒混合物を反応器中に急速注入した。重合中にエチレンを供給し、必要に応じて反応器を冷却することによって、反応器圧力および温度を一定に保った。10分後、エチレンの供給を止め、溶液を窒素パージした樹脂製ケトルに移した。ポリマーを真空オーブン中で徹底的に乾燥させ、重合実験の間に反応器を熱いISOPAR Eで徹底的にすすいだ。
ミニプラント重合の手順
反応環境に導入する前に、原料(エチレン、1−オクテン)およびプロセス溶媒(ExxonMobil CorporationからIsopar Eという商標で市販されている狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)をモレキュラーシーブで精製した。水素は高純度グレードとして加圧シリンダー内に供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給(エチレン)ストリームを、機械式圧縮機を介して525psigの反応圧力以上に加圧する。溶媒とコモノマー(1−オクテン)の供給を、機械容積式ポンプを介して525psigの反応圧力以上に加圧する。AkzoNobelから市販されているMMAOを不純物スカベンジャーとして使用した。個々の触媒成分(プロ触媒または助触媒)を、精製された溶媒(Isopar E)を用いて特定の成分濃度まで手動でバッチ希釈し、525psigの反応圧力以上に加圧した。助触媒は、Boulder Scientificから市販されている[HNMe(C18H37)2][B(C6F5)4]であり、式(I)の金属−配位子錯体に対して1.2モル比で使用した。すべての反応供給流を質量流量計で測定し、独立してコンピュータ自動弁制御システムで制御した。
連続溶液重合を5リットル(L)の連続撹拌タンク反応器(CSTR)中で実施した。反応器は、すべての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分の供給の独立した制御を有する。反応器への溶媒、モノマー、コモノマー、および水素を合わせた供給を、5℃〜50℃の間のどこか、典型的には、25℃に温度制御する。重合反応器への新鮮なコモノマーの供給を、溶媒の供給と共に供給する。典型的には新鮮な溶媒の供給を制御し、各注入器は、新鮮な供給物の総質量流量の半分を受ける。計算された指定モル比(1.2モル当量)に基づいて、助触媒を式(I)の金属−配位子錯体に供給する。各位置での新鮮な注入の直後に、静的混合要素を用いて供給ストリームを循環重合反応器の内容物と混合する。重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は、第1の反応器ループから出て、(第1の反応器の圧力を指定された目標値に維持する役割を果たす)制御バルブを通過する。ストリームが反応器を出るとき、反応を停止させるためにそれを水と接触させる。さらに、この時点で、酸化防止剤などの様々な添加剤を添加することができる。次いで、触媒失活剤(catalyst kill)および添加剤を均一に分散させるために、ストリームを別の静的混合要素のセットに通過させた。
添加剤の添加に続いて、他のより低い沸点反応成分からのポリマーの分離に備えて、流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)を、熱交換器に通過させて、ストリーム温度を上昇させた。次いで、ストリームを、二段分離脱揮システムに進入させ、そこでポリマーが溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーから除去された。分離および脱揮されたポリマー溶融物を、水中ペレット化のために特別に設計されたダイを通してポンプで送り、均一な固体ペレットに切断し、乾燥させ、貯蔵用のボックス内に移した。
触媒効率および得られたポリマーの特徴を、各々がB1〜2位のアルキル、およびA1〜4位の少なくとも2つのフッ素原子を有する、式(I)に従う構造を有するプロ触媒1〜7について評価した。比較プロ触媒C1〜C9は以下の構造を有した。
重合反応を、前述の単一反応器系の条件に従って実施し、それらの反応の各々において、プロ触媒1〜7または比較プロ触媒C1〜C9のうちの1つを触媒系の金属−配位子錯体として添加した。得られたポリマーの特性を表1および表2に報告する。
重合条件:1.47KgのIsopar−E;100gのオクテン;100gのエチレン;温度は160℃とし;全圧は410psiとした。プロ触媒:活性剤の比率は1:1.2とし;活性剤は[HNMe(C
18H
37)
2][B(C
6F
5)
4]とし;MMAOを、50:1のモル比(Al:プロ触媒)で不純物スカベンジャーとして使用し;反応時間は10分であった。*効率(Eff)は、触媒中の活性金属(ZrまたはHf)1グラム当たり10
6グラムのポリマー単位。
0.6MM超の効率を有し、95℃未満の融解温度(T
m)、1,000,000g/mol超の分子量、0.894g/cc(1立方センチメートル当たりのグラム数)未満の密度を有するポリマーをもたらすプロ触媒は、最も望ましい組み合わせの特性を有する。プロ触媒1〜3は、これらの特徴を示し、0.6MM超の効率を有するポリマーを生成した。比較プロ触媒C1〜C7の多くは高い効率を有したが、低い分子量または望ましいものよりも高い融解温度を有するポリマー、例えば、0.6MM超の効率を有したが、95℃超の融解温度を有したポリマーをもたらしたプロ触媒C1およびC4などを生成した。
*効率は、活性金属(HfまたはZr)1グラム当たり10
6グラムのポリマー単位で定義される。供給速度は、溶媒(27.4kg/h)、エチレン(3.62kg/h)、1−オクテン(1.52kg/h)であった。出口エチレン濃度を9g/L(87%変換)で一定に保った。
重合反応を、前述のミニプラントの条件に従って実施し、それらの反応の各々において、プロ触媒4〜7または比較プロ触媒C8〜C9のうちの1つを触媒系の金属−配位子錯体として添加した。プロ触媒4〜7は、B1位およびB2位のアルキル基、ならびにA1〜2の少なくとも1つのフッ素原子、およびA3〜4位の少なくとも1つのフッ素原子を有した。比較プロ触媒C8〜C9は、(1)A1〜2位のフッ素原子およびA3〜4位のフッ素原子と、(2)B1〜2位のアルキルとを有したか、またはフッ素原子もアルキルも有しなかった。プロ触媒4〜7は、0.900g/cc未満の密度および6.5未満のI10/I2比を有するポリマーをもたらしたが、比較プロ触媒C8〜C9は、より大きい密度またはより大きいI10/I2比を有するポリマーをもたらした。
したがって、A1〜4位の少なくとも2つのフッ素原子、およびB1〜2位のアルキルの両方を有する金属−配位子錯体を組み込んだ触媒系は、0.900g/cc未満の密度、および6.5未満のI10/I2比を有するポリマーをもたらした。比較プロ触媒C8〜C9を含む触媒系は、0.900g/cc超の密度、または6.5超のI10/I2比のいずれかを有するポリマーを生成した。
測定基準
密度
密度を測定した試料を、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D−1928に従って調製した。測定は、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM D−792の方法Bを使用して、試料プレスの1時間以内に行った。
メルトインデックス
メルトインデックス(I2)を、全体が参照により本明細書に組み込まれるASTM−D1238に従って、190℃/2.16kgの条件下で測定し、10分当たりに溶出されるグラム数で報告した。メルトフロー比(I10)を、ASTM−D1238に従って、190℃/10kgの条件下で測定し、10分当たりに溶出されるグラム数で報告した。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
以下の手順に従って、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを、それらの特性についてGPCにより試験した。GPCシステムはWaters(Milford、Mass.)のオンボード示差屈折計(RI)を装備した150℃高温クロマトグラフからなる(他の好適な高温GPC機器としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)モデル210およびモデル220が挙げられる)。追加の検出器としては、Polymer ChAR(Valencia,Spain)のIR4赤外線検出器、Precision Detectors(Amherst,Mass.)の2角度レーザー光散乱検出器モデル2040、およびViscotek(Houston,Tex.)の150R4−毛管溶液粘度計を挙げることができる。最後の2つの独立した検出器と、最初の検出器のうちの少なくとも1つとを有するGPCは、時に「3D−GPC」と称されるが、「GPC」という用語単独では、概して、従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度または90度のいずれかを計算のために使用した。
データ収集は、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3、および4チャネルViscotek Data Manager DM400を使用して行った。本システムには、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)のオンライン溶媒脱気デバイスを装備した。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラム、または20ミクロンの混合細孔サイズが詰まった4つの30cmのPolymer Labsのカラム(MixA LS、Polymer Labs)などの好適な高温GPCカラムを使用することができる。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で操作し、カラムコンパートメントは150℃で操作した。50ミリリットルの溶媒中の0.1グラムのポリマーの濃度で試料を調製した。クロマトグラフ溶媒および試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒に窒素を散布した。ポリエチレン試料を160℃で4時間(4h)優しく撹拌した。注入量は200マイクロリットル(μL)であった。GPCを通る流量を、1ml/分に設定した。
実施例を流す前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準を流すことによって、GPCカラムセットを較正した。標準の分子量(Mw)は、1モル当たり(g/mol)580〜8,400,000グラムに及び、標準は6つの「カクテル」混合物中に含有される。各標準混合物には、個々の分子量間で少なくとも10の分離があった。標準混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入した。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量については50mLの溶媒中0.025g、および1,000,000g/mol未満の分子量については50mLの溶媒中0.05gで調製した。ポリスチレン標準を、30分間優しくかき混ぜながら、80℃で溶解した。劣化を最小限に抑えるために、まず、狭い標準混合物を、そして最も高い分子量(Mw)成分から降順で流した。ポリスチレン標準ピーク分子量を、Mark−Houwink定数を使用してポリエチレンMwに変換した。定数を得たら、溶出カラムの関数としてのポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度に関する2つの線形基準通常較正(linear reference conventional calibrations)を構築するために2つの値を使用した。
効率の測定
触媒効率を、溶液重合プロセスにおいて使用される触媒の量に対する生成されたポリマーの量に関して測定した。
特許請求の範囲に記載の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような変更および変形が添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にある限り、記載した実施形態の変更および変形をカバーすることが意図される。