JP2020511499A - 赤血球生成刺激タンパク質のインビトロでの糖鎖改変のための方法 - Google Patents

赤血球生成刺激タンパク質のインビトロでの糖鎖改変のための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、インビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質の生産のための方法に関し、該方法は、シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程、該赤血球生成刺激タンパク質をN-アセチルグルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2で処理する工程、該赤血球生成刺激タンパク質をガラクトシルトランスフェラーゼで処理する工程、ならびに該赤血球生成刺激タンパク質をシアリルトランスフェラーゼで処理する工程を含む。

Description

発明の分野
本発明は、インビトロ糖鎖改変(glycoengineered)赤血球生成刺激タンパク質、前記赤血球生成刺激タンパク質の生産方法、およびその使用に関する。
発明の背景
赤血球生成刺激タンパク質は、いくつかのN-グリコシル化部位を含む糖タンパク質である。タンパク質のグリカンパターンのバリエーションは、タンパク質機能に非常に大きな影響を及ぼす。例えば、タンパク質におけるN-結合グリカンの構造は、プロテアーゼ感受性、細胞内輸送、分泌、組織標的化、生物学的半減期、および細胞または生物におけるタンパク質の抗原性を含む、様々な特性に影響を与え得る。これらの特性の1つまたは複数の変化は、その自然環境でのタンパク質の有効性に大きな影響を与え、かつ、ペプチドがその目的のために生成される状況において治療薬としてのタンパク質の有効性にも影響を与える。
エリスロポエチン(EPO)は、3つのN-グリコシル化部位および1つのO-グリコシル化部位を有する糖タンパク質である。エリスロポエチンは、組換えDNA技術(Egrie, J C, Strickland, T W, Lane, J et al. (1986) Immunobiol. 72: 213-224(非特許文献1))を用いて生合成的に生産され、チャイニーズハムスターの卵巣組織細胞(CHO細胞)に導入されて発現されたクローン化ヒトEPO遺伝子の産物である。主要な完全に処理された型のヒトエリスロポエチン(hEPO)の一次構造が図1に示されている。2つのジスルフィド架橋が、Cys7-Cys161間およびCys29-Cys33間に存在する。糖部分を含まないEPOのポリペプチド鎖の分子量は18,236 Daである。無傷のEPO糖タンパク質では、分子量の約40%は、該タンパク質のグリコシル化部位で該タンパク質をグリコシル化する炭水化物基が占める(Sasaki, H, Bothner, B, Dell, A and Fukuda, M (1987) J. Biol. Chem. 262: 12059(非特許文献2))。
EPOの典型的なN-グリカンは、1つまたは2つのN-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する二分岐型、三分岐型、および四分岐型構造を含む(例えば、Postnikov et al. 2016 Russ. Chem. Rev. 85 99(非特許文献3)参照)。
EPOのN-グリカン上のより多数の末端シアル酸部分が、それほどシアリル化されていないEPO糖タンパク質と比較した場合、EPOのより高い比活性に関連していることが公知である(例えば、Imai et al., Eur. J. Biochem. 194 (1990), p. 457-462(非特許文献4)参照)。EPOの脱シアリル化は、循環中のEPOの半減期を短縮する(Ridley et al. J Natl Med Assoc. 1994 Feb;86(2): 129-35(非特許文献5))。
EPOのN-グリカンのより多数のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しまたはより多数の分岐はどちらも、EPOのより高い比生物活性に関連していると報告されている(例えば、WO 99/28346(特許文献1)参照)。
例えばWO 99/28346(特許文献1)により、EPOの産生のために遺伝子操作された宿主細胞を用いてEPOのグリカンパターンを改変することが公知である。
インビトロで、すなわち生産後に糖タンパク質のグリカンパターンを改変するための方法が示唆されている。EP 2661492(特許文献2)は、α-2,6-シアリル化グリカンの量を改善するための方法を開示している。EP 2664192(特許文献3)は、ポリ-N-アセチルラクトサミンの数を増加させることによって糖タンパク質の循環時間が長くなり得ることを開示しており、このことは、β3-N-アセチル-グルコサミントランスフェラーゼファミリーのメンバー(B3GNT1、2、3、4)を用いて達成されることを示唆している。
WO 2008/57683(特許文献4)は、EPOの精製のための方法を開示している。N-アセチル-グルコサミントランスフェラーゼおよびガラクトシルトランスフェラーゼを用いてインビトロでEPOのグリカンパターンを再構築して、好ましくは単一分岐上に、末端-GlcNAc-Gal部分を備える少なくとも1つのグリカン残基を有するグリコシル化EPOポリペプチドを形成することが示唆されている。
EP 2042196(特許文献5)は、グリカン結合を介して糖タンパク質、例えばEPOを修飾基(例えば、PEG)にコンジュゲートするための方法を開示している。修飾基を追加するための最適なグリカンパターンを提供するために、糖タンパク質のグリカンパターンを、グリコシド化および(再)グリコシル化の異なる工程を使用して再構築することができる。開示された方法では、糖結合修飾基は、それぞれの糖特異的グリコシルトランスフェラーゼを用いて糖タンパク質に結合される。シアル酸結合修飾基を結合するために、例えば、(a)シアリデーション(sialidaton)およびそれに続くシアル酸結合修飾基を用いるシアリル化;(b)N-アセチル-グルコサミントランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、およびシアリルトランスフェラーゼST3を用いる処理;または(c)シアリダーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、およびシアリルトランスフェラーゼST3を用いる処理によって、EPOのグリカンパターンを修飾することが示唆されている。
グリカンパターンのバリエーションはタンパク質機能に影響を与えるため、例えば、一定の品質を保証するために、ならびに/または赤血球生成刺激タンパク質の生物学的機能および/もしくは安定性を改善するために、所望かつ再現性のある、すなわちカスタマイズされたグリカンパターンを有する赤血球生成刺激タンパク質を生産する広く適用可能な方法が必要である。
WO 99/28346 EP 2661492 EP 2664192 WO 2008/57683 EP 2042196
Egrie, J C, Strickland, T W, Lane, J et al. (1986) Immunobiol. 72: 213-224 Sasaki, H, Bothner, B, Dell, A and Fukuda, M (1987) J. Biol. Chem. 262: 12059 Postnikov et al. 2016 Russ. Chem. Rev. 85 99 Imai et al., Eur. J. Biochem. 194 (1990), p. 457-462 Ridley et al. J Natl Med Assoc. 1994 Feb;86(2): 129-35
本発明は、以下の工程を含むインビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質の生産のための方法に関する:
(a)シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程、
(b)該赤血球生成刺激タンパク質をN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2で処理する工程、
(c)該赤血球生成刺激タンパク質をガラクトシルトランスフェラーゼで処理する工程、
(d)該赤血球生成刺激タンパク質をシアリルトランスフェラーゼで処理する工程。
本発明の一局面は、赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上のポリN-アセチルラクトサミンの繰り返し数を増加させるための本発明による方法の使用に関する。
本発明の別の局面は、そのN-グリカン上に制御された数のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するための本発明による方法の使用である。
本発明の別の局面は、赤血球生成刺激タンパク質の比活性を改善するための本発明による方法の使用である。
本発明の別の局面は、本発明の方法によって生産されるインビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質である。
本発明のすべての局面の一態様では、赤血球生成刺激タンパク質はエリスロポエチンである。
本発明は、制御された数のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有するインビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質を生産するための方法を提供する。本発明によると、赤血球生成刺激タンパク質をインビトロ糖鎖改変して、カスタマイズされたグリカンパターンを生じさせることができ、これにより、該赤血球生成刺激タンパク質の一定の製品品質を保証し、かつ/またはその比生物活性のような生物学的機能を改善することができる。本発明により、赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数を増加させることができる。
EPOおよびそのグリコシル化部位の構造(出典Postnikov et al 2016 Russ. Chem. Rev. 85 99) 図2A〜E:EPOの典型的なグリコシル化パターン。図2A:2つの分岐を有するN-グリカン。図2B:3つの分岐を有するN-グリカン。図2C:4つの分岐を有するN-グリカン。図2D:4つの分岐および1つのポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを有するN-グリカン。図2E:4つの分岐および3つのポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを有するN-グリカン。
発明の詳細な説明
1. 定義
本明細書で特段に定義されない限り、本発明に関連して使用される科学技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈により他の意味に解すべき必要がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本開示の方法および技術は概して、当技術分野で周知の従来の方法に従って実施される。概して、本明細書に記載される生化学、酵素学、分子細胞生物学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、ならびにそれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般に使用されている。
本明細書で特段に定義されない限り、「〜を含む」という用語は、「〜からなる」という用語を含むものとする。
特定の値(例えば、温度、濃度、および時間など)に関連して本明細書で使用される「約」という用語は、「約」という用語が指す特定の値の±1%の変動を指すものとする。
本明細書で使用される「赤血球生成刺激タンパク質」は、例えばエリスロポエチン受容体に結合して二量体化をもたらすことによって、該受容体の活性化を直接的または間接的に引き起こすタンパク質を意味する。赤血球生成刺激タンパク質には、エリスロポエチン、およびエリスロポエチン受容体に結合して活性化させるその変異体、類似体、もしくは誘導体;エリスロポエチン受容体に結合して該受容体を活性化させる抗体;またはエリスロポエチン受容体に結合して活性化させるペプチドが含まれる。本明細書で意味するエリスロポエチンの変異体、類似体、または誘導体は、少なくとも3つのN-グリコシル化部位を含み、一態様では、該N-グリコシル化部位はAsn24、Asn38、およびAsn83である。赤血球生成刺激タンパク質には、限定されるものではないが、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンゼータ、およびそれらの類似体、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、模倣ペプチド(EMPl /ヘマチドを含む)、および模倣抗体が含まれる。例示的な赤血球生成刺激タンパク質には、エリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチンアゴニスト変異体、およびエリスロポエチン受容体に結合して活性化させるペプチドまたは抗体(および、それぞれの開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0215444号及び同第2006/0040858号に報告される化合物を含む)、ならびにそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、以下の特許または特許出願に開示されるエリスロポエチン分子またはその変異体もしくは類似体が含まれる:米国特許第4,703,008号;同第5,441,868号;同第5,547,933号;同第5,618,698号;同第5,621,080号;同第5,756,349号;同第5,767,078号;同第5,773,569号;同第5,955,422号;同第5,830,851号;同第5,856,298号;同第5,986,047号;同第6,030,086号;同第6,310,078号;同第6,391,633号;6,583,272号;同第6,586,398号;同第6,900,292号;同第6,750,369号;同第7,030,226号;同第7,084,245号;同第7,217,689号;PCT公開番号WO 91/05867;WO 95/05465;WO 99/66054;WO 00/24893;WO 01/81405;WO 00/61637;WO 01/36489;WO 02/014356;WO 02/19963;WO 02/20034;WO 02/49673;WO 02/085940;WO 03/029291;WO 2003/055526;WO 2003/084477;WO 2003/094858;WO 2004/002417;WO 2004/002424;WO 2004/009627;WO 2004/024761;WO 2004/033651;WO 2004/035603;WO 2004/043382;WO 2004/101600;WO 2004/101606;WO 2004/101611;WO 2004/106373;WO 2004/018667;WO 2005/001025;WO 2005/001136;WO 2005/021579;WO 2005/025606;WO 2005/032460;WO 2005/051327;WO 2005/063808;WO 2005/063809;WO 2005/070451;WO 2005/081687;WO 2005/084711;WO 2005/103076;WO 2005/100403;WO 2005/092369;WO 2006/50959;WO 2006/02646;WO 2006/29094;および米国特許出願公開番号US 2002/0155998;US 2003/0077753;US 2003/0082749;US 2003/0143202;US 2004/0009902;US 2004/0071694;US 2004/0091961;US 2004/0143857;US 2004/0157293;US 2004/0175379;US 2004/0175824;US 2004/0229318;US 2004/0248815;US 2004/0266690;US 2005/0019914;US 2005/0026834;US 2005/0096461;US 2005/0107297;US 2005/0107591;US 2005/0124045;US 2005/0124564;US 2005/0137329;US 2005/0142642;US 2005/0143292;US 2005/0153879;US 2005/0158822;US 2005/0158832;US 2005/0170457;US 2005/0181359;US 2005/0181482;US 2005/0192211;US 2005/0202538;US 2005/0227289;US 2005/0244409;US 2006/0088906;US 2006/0111279。
本明細書で使用される「類似体」という用語は、ポリペプチドに関して使用される場合、当業者に公知の生物学的アッセイを用いて決定されるように、親配列の生物学的活性を実質的に維持したままで、該親配列に対して挿入、欠失、または置換を有するアミノ酸配列を指す。本明細書で使用される、天然に存在するポリペプチドまたは類似ポリペプチドの「誘導体」という用語は、例えば水溶性ポリマー(例えば、ペグ化)、標識(例えば、放射性核種または様々な酵素)、または他の診断用部分もしくは標的指向部分もしくは治療用部分を結合させるように化学修飾されたポリペプチド、あるいは化学的手段による非天然アミノ酸の挿入または置換によって化学修飾されたポリペプチドを意味する。そのような誘導体は、本発明の非誘導体化分子の結合特性を保持するであろう。
一態様では、「赤血球生成刺激タンパク質」は3つ以上のN-グリコシル化部位を含む。
一態様では、赤血球生成刺激タンパク質はエリスロポエチンである。
「エリスロポエチン」または「EPO」という用語は、SEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を有する糖タンパク質を指す。一態様では、この用語は、SEQ ID NO: 1の配列と実質的に相同なアミノ酸配列を含み、その生物学的特性は、赤血球産生の刺激ならびに骨髄における委任赤血球前駆細胞の分裂および分化の刺激に関連する。本明細書で使用されるこれらの用語には、例えば部位特異的突然変異誘発によって意図的にまたは突然変異によって偶然に改変されたそのようなタンパク質が含まれる。一態様では、エリスロポエチンまたはEPO類似体という用語は、グリコシル化のための1〜6個の追加部位を有する類似体、糖タンパク質のカルボキシ末端に、少なくとも1つのグリコシル化部位を含む少なくとも1つの追加のアミノ酸を有する類似体、およびグリコシル化のための少なくとも1つの部位の再構成を含むアミノ酸配列を有する類似体を含む。本明細書で使用される、グリコシル化部位の「再構成」は、天然に存在するEPOにおける1つまたは複数のグリコシル化部位の欠失、および1つまたは複数の天然に存在しないグリコシル化部位の付加を意味する。これらの用語には、天然ヒトエリスロポエチンおよび組換えにより作製されるヒトエリスロポエチンの両方が含まれる。
本明細書で使用される「N-グリカン」という用語は、N-結合オリゴ糖、例えば、ポリペプチドのアスパラギン残基へのアスパラギンN-アセチルグルコサミン結合によって結合されたN-結合オリゴ糖を指す。N-グリカンは、Man3GlcNAc2(「Man」はマンノースを指し;「Glc」はグルコースを指し;「NAc」はN-アセチルを指し;「GlcNAc」はN-アセチルグルコサミンを指す)の共通の五糖コアを有する。五糖コアはフコシル化されてもよい。N-グリカンに関して使用される「トリマンノースコア」という用語は、構造Man3GlcNAc2(「Man3」)も指す。N-グリカンは、Man3コア構造に付加される末梢糖(例えば、フコース([本明細書では「Fuc」と略される]およびシアル酸)を含む分岐(枝分かれ)の数が異なる。N-グリカンは、その分岐成分(例えば、高マンノース、複合体、またはハイブリッド)に従って分類される。
糖の略語を含む、本明細書で使用される略語は、当技術分野で一般的に使用されている略語である。他の一般的な略語には、ペプチドN-グリコシダーゼF(EC 3.2.2.18)を指す「PNGase」が含まれる。基質UDP-GlcNAcは、UDP-N-アセチルグルコサミンの略語である。中間体ManNAcは、N-アセチルマンノサミンの略語である。中間体ManNAc-6-Pは、N-アセチルマンノサミン-6-リン酸の略語である。中間体Sia-9-Pは、シアル酸-9-リン酸の略語である。中間体シチジン一リン酸-シアル酸は「CMP-Sia」と略される。シアル酸は、本明細書では「Sia」、「Neu5Ac」、「NeuAc」、または「NANA」と略される。
赤血球生成刺激タンパク質、例えばエリスロポエチン上のN-グリカンは、N-結合オリゴ糖の五糖コア構造に結合した1つまたは複数のN-アセチルラクトサミン単位を含む。本明細書で使用されるオリゴ糖「分岐」の数は、五糖コア構造に結合した個々のオリゴ糖鎖の数を指す。例えば、図2Aに明示されているように、2つの個々のオリゴ糖鎖が五糖コア構造に結合しているため、N-グリカンは2つの分岐を含み、二分岐型である。例えば、図2Bに明示されているように、3つの個々のオリゴ糖鎖が五糖コア構造に結合しているため、N-グリカンは3つの分岐を含み、三分岐型である。例えば、図2Cに明示されているように、4つの個々のオリゴ糖鎖が五糖コア構造に結合しているため、N-グリカンは4つの分岐を含み、四分岐型である。
赤血球生成刺激タンパク質、例えばエリスロポエチン上のN-グリカンは、N-結合オリゴ糖の五糖コア構造に結合したポリN-アセチルラクトサミン単位を含む。本明細書で使用されるポリN-アセチルラクトサミンの「繰り返し」という用語は、最初のN-アセチルラクトサミン単位の1つが差し引かれた、1つのオリゴ糖分岐内の該N-アセチルラクトサミン単位の数を指す。例えば、図2Dに明示されているように、2つのN-アセチルラクトサミン単位が1つのオリゴ糖分岐内に存在し、このことは、該オリゴ糖が1つのポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むことを意味する。例えば、図2Eに明示されているように、4つのN-アセチルラクトサミン単位が1つのオリゴ糖分岐内に存在し、このことは、オリゴ糖が3つのポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むことを意味する。
本明細書で使用される「シアル酸」という用語は分子群を指し、ここで共通分子が、アセチル基が結合した5炭素位で修飾された塩基性9炭素ノイラミン酸コアを有するN-アセチル-5-ノイラミン酸(Neu5Ac)を含む。5炭素位におけるNeu5Acの一般的な誘導体には、次のものが含まれる:アセチル基の代わりにヒドロキシル基を有する2-ケト-3-デオキシ-d-グリセロ-d-ガラクトノン酸(KDN);5-N-アセチル基の脱N-アセチル化により、ノイラミン(Neu)が生成される;S-N-アセチル基のヒドロキシル化により、N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)が生成される。これらの4つの分子(Neu5Ac、KDN、Neu、およびNeu5Gc)の4位、7位、8位、および9位のヒドロキシル基は、この化合物群を拡大するためにO-アセチル基、O-メチル基、O-硫酸基、およびリン酸基でさらに置換することができる。さらに、不飽和型およびデヒドロ型のシアル酸が存在することが知られている。
本明細書で使用される「シアル酸を含まない」という用語は、末端シアル酸部分を含むN-グリカンを実質的に含まない赤血球生成刺激タンパク質の集団を指す。一態様では、本明細書で使用される「シアル酸を含まない」という用語は、5%以下のシアル酸部分を含むN-結合グリカンの相対度数を含む赤血球生成刺激タンパク質の集団を指す。一態様では、シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、約0%のシアル酸部分を含むN-結合グリカンの相対度数を含む。
本明細書に記載される「N-結合グリカンの相対度数」は、赤血球生成刺激タンパク質の集団内のすべての糖構造に関連する、赤血球生成刺激タンパク質の集団内の異なるグリカンパターンのパーセンテージを意味する。一態様では、赤血球生成刺激タンパク質の集団の相対度数は、(実施例2に記載されている一態様における)全タンパク質の質量分析によって同定されるすべての糖構造に関連する赤血球生成刺激タンパク質の集団内の異なるグリカンパターンのパーセンテージを指す。一態様では、赤血球生成刺激タンパク質の集団の相対度数は、エンドプロテイナーゼGlu-Cでの酵素消化後の質量分析(実施例1に記載されている一態様では、LCMSペプチドマッピング)によって同定されたすべての糖構造に関連する赤血球生成刺激タンパク質の集団内の異なるグリカンパターンのパーセンテージを指す。
本明細書に記載される「インビトロでの糖鎖改変(in vitro glycoengineering)」という用語は、赤血球生成刺激タンパク質が組換え発現系で発現され、かつ好ましい態様では精製された後に、インビトロで行われる赤血球生成刺激タンパク質のN-結合グリカン構造の酵素的変化を意味する。本発明の用語の範囲内のインビトロでの糖鎖改変は、インビトロでの糖鎖改変の関心対象であった赤血球生成刺激タンパク質の集団内に含まれる赤血球生成刺激タンパク質の少なくとも一部のN-結合グリカン構造からの少なくとも1つの糖残基の切断を包含し得る。本発明の用語の範囲内のインビトロでの糖鎖改変は、インビトロでの糖鎖改変の関心対象であった赤血球生成刺激タンパク質の集団内に含まれる糖タンパク質の少なくとも一部のN-結合グリカン構造への少なくとも1つの糖残基の付加も常に包含する。
本発明の用語の範囲内のインビトロでの糖鎖改変は、組換え発現系で発現され、かつ好ましい一態様では精製された赤血球生成刺激タンパク質の酵素処理の一連の工程を含む。一態様では、前記酵素処理は、赤血球生成刺激タンパク質のN-結合オリゴ糖構造から末端糖残基を切断する能力を有する酵素での酵素処理の少なくとも1つの工程を含む。一態様では、前記酵素は、シアリダーゼが選択される。一態様では、前記酵素処理は、グリコシルトランスフェラーゼ、好ましい一態様では赤血球生成刺激タンパク質のN-結合オリゴ糖構造に末端糖残基を付加する能力を有するグリコシルトランスフェラーゼでの、赤血球生成刺激タンパク質の処理を含む。一態様では、前記酵素処理は、N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼ、好ましい一態様ではβ-1,3-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ2(B3GNT2)での、赤血球生成刺激タンパク質の処理を含む。一態様では、B3GNT2はSEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を含む。一態様では、B3GNT2はSEQ ID NO: 2のアミノ酸配列からなる。一態様では、前記酵素処理は、ガラクトシルトランスフェラーゼ、好ましい一態様ではβ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ1(GalT1)での赤血球生成刺激タンパク質の処理を含む。一態様では、GalT1はSEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含む。一態様では、前記酵素処理は、N-シアリルトランスフェラーゼ、好ましい一態様ではα2,3-シアリルトランスフェラーゼ(ST3)またはα2,6-シアリルトランスフェラーゼ(ST6)での、赤血球生成刺激タンパク質の処理を含む。一態様では、N-シアリルトランスフェラーゼはST3である。
酵素的に「処理する」または酵素「処理」という用語は、赤血球生成刺激タンパク質を水溶液中、好ましくは緩衝液中でそれぞれの酵素に接触させることを意味する。
2. 本発明の態様の詳細な説明
本発明は、インビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質の生産のための方法に関し、該方法は、以下の工程を含む:
(a)シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程、
(b)該赤血球生成刺激タンパク質をN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2で処理する工程、
(c)該赤血球生成刺激タンパク質をガラクトシルトランスフェラーゼで処理する工程、
(d)該赤血球生成刺激タンパク質をシアリルトランスフェラーゼで処理する工程。
本発明では、赤血球生成刺激タンパク質の一定の製品品質を保証し、かつ/またはその生物学的機能を改善することができる、制御可能かつ再現性のある数のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むN-結合グリカンを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するために、組換え産生された赤血球生成刺激タンパク質は一連の酵素処理に供される。本発明では、ポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数を、最初の赤血球生成刺激タンパク質と比較して増加させることができる。一連の酵素処理は、上記と同じ順序で実行される。
本発明の一態様では、工程(a)で提供されるシアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、5%〜0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む。本発明の一態様では、工程(a)で提供されるシアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、2%〜0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む。本発明の一態様では、工程(a)で提供されるシアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、1%〜0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む。本発明の一態様では、工程(a)で提供されるシアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、約0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む。
本発明の一態様では、シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、赤血球生成刺激タンパク質をシアリダーゼで処理することによって提供される。一態様では、シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、約37℃の水溶液中で赤血球生成刺激タンパク質をシアリダーゼで処理することによって提供される。一態様では、シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、約37℃の水溶液中で10〜24時間、赤血球生成刺激タンパク質をシアリダーゼで処理することによって提供される。一態様では、シアリダーゼはノイラミニダーゼである。一態様では、ノイラミニダーゼはSEQ ID NO: 6のものである。一態様では、シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、35〜38℃の水溶液中で赤血球生成刺激タンパク質をノイラミニダーゼで処理することによって提供される。一態様では、シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、約37℃の水溶液中で赤血球生成刺激タンパク質をノイラミニダーゼで処理することによって提供される。一態様では、シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質は、約37℃の水溶液中で10〜24時間、赤血球生成刺激タンパク質をノイラミニダーゼで処理することによって提供される。本発明の一態様では、シアリダーゼ処理赤血球生成刺激タンパク質は、工程(b)の処理の前に精製される。
一態様では、本発明の方法は、酵素処理の前に、組換え産生された赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程を含む。好ましい一態様では、方法は、酵素処理の前に、CHO細胞で産生された赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程を含む。CHO細胞における赤血球生成刺激タンパク質の産生のための方法は、当技術分野で周知である(CHO細胞でのEPO産生の例:EP0205564;EP0148605;Egrie, J C, Strickland, T W, Lane, J et al. (1986) Immunobiol. 72: 213-224; Inoue N, Takeuchi M, Ohashi H, Suzuki T (1995) Biotech Ann Rev. 1 : 297-313)。
本発明の方法の工程(b)では、工程(a)で提供されるシアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質のN-結合グリカンにGlcNAcが加えられる。
本発明の方法の一態様では、工程(b)は、UDP-N-アセチルグルコサミンの存在下で、水溶液中で行われる。本発明の方法の一態様では、工程(b)はpH 7〜8で行われ、一態様では、約pH 7.5で行われる。本発明の方法の一態様では、工程(b)は、マンガンイオンおよびカルシウムイオンの存在下で、好ましい一態様ではMnCl2およびCaCl2の存在下で行われる。本発明の方法の一態様では、工程(b)は、NaCl、マンガンイオン、およびカルシウムイオンの存在下で、pH 7〜8のトリス緩衝液中で行われる。本発明の方法の一態様では、工程(b)は、約20〜25 mMのトリス、約100〜150 mMのNaCl、および約5〜10 mMのMnCl2、および約5〜10 mMのCaCl2を含む、約pH 7.5のトリス緩衝液中で行われる。本発明の方法の一態様では、工程(b)の処理は、約10〜30時間、好ましい一態様では約16〜約24時間行われる。本発明の方法の一態様では、工程(b)の処理は、約37℃で約10〜30時間行われる。
本発明の方法の一態様では、工程(b)における赤血球生成刺激タンパク質とN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2との間の重量比は、>1:1である。本発明の方法の一態様では、工程(b)における赤血球生成刺激タンパク質とN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2との間の重量比は、100:1未満であり、かつ1:1を超える。本発明の方法の一態様では、工程(b)における赤血球生成刺激タンパク質とN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2との間の重量比は、2:1〜1:1である。本発明の方法の一態様では、工程(b)における赤血球生成刺激タンパク質とN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2との間の重量比は、約3:2である。
一態様では、本発明の方法は、工程(b)の後、かつガラクトシルトランスフェラーゼでの処理の前に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含む。それにより、工程(b)で使用されたグリコシルトランスフェラーゼの活性化された糖基質が除去される。その結果、赤血球生成刺激タンパク質へのGlcNAc部分の制御されないさらなる付加が回避される。このことにより、ポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数の制御された増加が可能となる。
本発明の方法の一態様では、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程は、約pH 6〜7、好ましい一態様では約pH 6.5の水溶液への緩衝液交換によって行われる。一態様では、水溶液はUDP-ガラクトースを含む。
本発明の方法の一態様では、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程は、最大20 kDaの分子量カットオフフィルターを介した約pH 6.5の緩衝水溶液への緩衝液交換によって行われ、該緩衝液は約20 mMのマンガンイオンを含む。一態様では、緩衝液は約20 mMのMnCl2を含む。一態様では、水溶液は、約20mMのマンガンイオンおよびUDP-ガラクトースを含む。
本発明の方法の工程(c)では、工程(b)でN-結合グリカンに付加されたGlcNAc部分にGalが付加される。
本発明の一態様では、工程(c)における赤血球生成刺激タンパク質の処理は、ガラクトシルトランスフェラーゼGalT1での処理である。好ましい一態様では、工程(c)における赤血球生成刺激タンパク質の処理は、SEQ ID NO: 4のガラクトシルトランスフェラーゼGalT1での処理である。
本発明の方法の一態様では、工程(c)は、UDP-ガラクトースの存在下でガラクトシルトランスフェラーゼGalT1を用いて行われる。本発明の方法の一態様では、工程(c)は、pH 6〜7、好ましい一態様では約pH 6.5の緩衝水溶液中で行われ、該緩衝液は、好ましい一態様ではMnCl2として、約20 mMのマンガンイオンを含む。本発明の方法の一態様では、工程(c)は約32〜37℃で行われる。本発明の方法の一態様では、工程(c)は約32〜37℃で4〜10時間行われる。
本発明の方法の一態様では、工程(c)の処理は、約2〜10時間、好ましい一態様では約3〜約5時間行われる。
本発明の方法の一態様では、工程(c)における赤血球生成刺激タンパク質とガラクトシルトランスフェラーゼ(一態様ではGalT1)との間の重量比は、>1:1である。本発明の方法の一態様では、工程(c)における赤血球生成刺激タンパク質とガラクトシルトランスフェラーゼ(一態様ではGalT1)との間の重量比は、15:1〜1:1である。本発明の方法の一態様では、工程(c)における赤血球生成刺激タンパク質とガラクトシルトランスフェラーゼ(一態様ではGalT1)との間の重量比は、15:1〜2:1である。
一態様では、本発明の方法は、工程(c)の後、かつシアリルトランスフェラーゼでの処理の前に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含む。それにより、工程(c)で用いられたグリコシルトランスフェラーゼの活性化された糖基質が除去される。その結果、赤血球生成刺激タンパク質へのGal部分の制御されないさらなる追加が回避される。このことにより、ポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数の制御された増加が可能となる。
一態様では、本発明の方法は、工程(c)の後、かつシアリルトランスフェラーゼでの処理の前に、ガラクトシルトランスフェラーゼ(一態様ではGalT1)を除去する工程を含む、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含む。一態様では、ガラクトシルトランスフェラーゼ(一態様では、GalT1)の除去は、イオン交換クロマトグラフィーによって行われる。このことにより、ポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数の制御された増加と、後続のシアリル化工程でのより良い基質変換とが可能となる。
本発明の方法の一態様では、工程(c)の後に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程は、約pH 6〜7、好ましい一態様では約pH 6.5の水溶液への緩衝液交換によって行われる。一態様では、水溶液はCMP-N-アセチルノイラミン酸を含む。
本発明の方法の一態様では、工程(c)の後に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程は、最大20 kDaの分子量カットオフフィルターを介した約pH 6.5の緩衝水溶液への緩衝液交換によって行われる。本発明の方法の一態様では、工程(c)の後に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程は、最大20 kDaの分子量カットオフフィルターを介した、CMP- N-アセチルノイラミン酸を含む約pH 6.5の緩衝水溶液への緩衝液交換によって行われる。
本発明の方法の工程(d)では、工程(c)でN-結合グリカンに加えられたGal部分にシアル酸が加えられる。
本発明の方法の一態様では、工程(d)における赤血球生成刺激タンパク質の処理は、シアリルトランスフェラーゼST3での処理である。好ましい一態様では、工程(d)における赤血球生成刺激タンパク質の処理は、SEQ ID NO: 4のシアリルトランスフェラーゼST3での処理である。このことにより、α-2,3-シアリル化N-グリカンの高い相対度数を有する赤血球生成刺激タンパク質の生産が可能となる。シアリル化N-グリカンの高い相対度数は、赤血球生成刺激タンパク質のより高い比生物活性およびより高い血清半減期にさらに寄与し得る。
本発明の方法の一態様では、上記のようにシアリルトランスフェラーゼST3を用いる方法の一態様では、工程(d)は、CMP-N-アセチルノイラミン酸の存在下で行われる。本発明の方法の一態様では、工程(d)は、pH 6〜7、好ましい一態様では約pH 6.5の緩衝水溶液中で行われる。本発明の方法の一態様では、工程(d)は、10〜20時間、好ましい一態様では約16〜約18時間行われる。本発明の方法の一態様では、工程(d)は、約37℃で10〜20時間、好ましい一態様では約16〜約18時間行われる。
本発明の方法の一態様では、工程(d)における赤血球生成刺激タンパク質とシアリルトランスフェラーゼ(一態様ではST3)との間の重量比は>1:1である。本発明の方法の一態様では、工程(d)における赤血球生成刺激タンパク質とシアリルトランスフェラーゼ(一態様ではST3)との間の重量比は>1:1〜50:1である。本発明の方法の一態様では、工程(d)における赤血球生成刺激タンパク質とシアリルトランスフェラーゼ(一態様ではST3)との間の重量比は2:1〜50:1である。
本発明の一態様では、工程(d)における赤血球生成刺激タンパク質の処理は、シアリルトランスフェラーゼST6での処理である。好ましい一態様では、工程(d)における赤血球生成刺激タンパク質の処理は、SEQ ID NO: 5のシアリルトランスフェラーゼST6での処理である。
本発明はまた、赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数を増加させるための本発明の方法の使用に関する。
本発明の別の局面は、赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数を増加させるための本発明の方法である。
本発明の別の局面は、赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上の制御された数のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するための本発明の方法の使用である。一態様では、方法は、N-グリコシル化部位当たり最大15個のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するために使用される。一態様では、方法は、N-グリコシル化部位当たり2〜15個のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するために使用される。一態様では、方法は、N-グリコシル化部位当たり2〜12個のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するために使用される。一態様では、方法は、N-グリコシル化部位当たり4〜10個のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するために使用される。
一態様では、方法は、赤血球生成刺激タンパク質当たり最大15個のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するために使用される。一態様では、方法は、赤血球生成刺激タンパク質当たり2〜15個のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するために使用される。
本発明の別の局面は、赤血球生成刺激タンパク質の比活性を改善するための本発明の方法の使用である。
本発明の別の局面は、本発明の方法によって生産されるインビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質である。
本発明の別の局面は、赤血球生成刺激タンパク質の集団であり、各N-グリコシル化部位に3つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むN-結合グリカンの相対度数が、90%を超え、一態様では99%を超え、一態様では約100%であり、一態様では正確に100%であることを特徴とする。
本発明の赤血球生成刺激タンパク質の集団内のすべての赤血球生成刺激タンパク質は、2つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを含む。その結果として、本発明の赤血球生成刺激タンパク質の集団は、0または1つのポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を含まない。これに関連して、(0または1つのポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を)「含まない」とは、0.1%以下の割合、一態様では0%の割合を指す。この「割合」という用語は、試料中の分子の数を指し、例えば、1%の割合は、100個の赤血球生成刺激タンパク質分子のうちの1つの赤血球生成刺激タンパク質を意味する。
本発明の別の局面は、赤血球生成刺激タンパク質の集団であり、個々の赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が少なくとも10であることを特徴とする。一態様では、赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数は10〜40である。
一態様では、本発明の赤血球生成刺激タンパク質の集団は、各N-グリコシル化部位上に3つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むN-結合グリカンの相対度数が99%を超え、一態様では約100%であり、一態様では正確に100%であること;および赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が10を超え、一態様では10〜40であることを特徴とする。一態様では、N-グリコシル化部位当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数は少なくとも2である。一態様では、N-グリコシル化部位当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数は少なくとも3である。
一態様では、赤血球生成刺激タンパク質の集団は、本発明の方法によって生産される。
3. 本発明の特定の態様
以下に、本発明の特定の態様を列挙する。
1.(a)シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程、
(b)該赤血球生成刺激タンパク質をN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2で処理する工程、
(c)該赤血球生成刺激タンパク質をガラクトシルトランスフェラーゼで処理する工程、
(d)該赤血球生成刺激タンパク質をシアリルトランスフェラーゼで処理する工程
を含む、インビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質の生産のための方法。
2. 赤血球生成刺激タンパク質がエリスロポエチンである、態様1の方法。
3. 工程(b)が、UDP-N-アセチルグルコサミンの存在下で、水溶液中で行われることを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
4. 工程(b)がpH 7〜8で行われることを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
5. 工程(b)が約pH 7.5で行われることを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
6. 工程(b)が、マンガンイオンおよびカルシウムイオンの存在下で行われることを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
7. 工程(b)が、MnCl2およびCaCl2の存在下で行われることを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
8. 工程(b)が、NaCl、マンガンイオン、およびカルシウムイオンの存在下で、pH 7〜8のトリス緩衝液中で行われることを特徴とする、態様1〜4のうち1つの方法。
9. 工程(b)が、約pH 7.5のトリス緩衝液中で行われることを特徴とし、該トリス緩衝液は、約25mMのトリス、約150mMのNaCl、および約10mMのMnCl2、および約10mMのCaCl2を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
10. 工程(b)の処理が約10〜30時間行われる、前記態様のいずれか1つの方法。
11. 工程(b)の処理が約16〜約24時間行われる、前記態様のいずれか1つの方法。
12. 工程(b)の処理が約37℃で行われる、前記態様のいずれか1つの方法。
13. 工程(b)における赤血球生成刺激タンパク質とN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2との間の重量比が>1:1である、前記態様のいずれか1つの方法。
14. 工程(b)の後、かつガラクトシルトランスフェラーゼでの処理の前に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含むことを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
15. 得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程が、約pH 6〜7の水溶液への緩衝液交換によって行われる、態様14の方法。
16. 得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程が、約pH 6.5の水溶液への緩衝液交換によって行われる、態様14の方法。
17. 得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程が、最大20 kDaの分子量カットオフフィルターを介した約pH 6.5の緩衝水溶液への緩衝液交換によって行われ、該緩衝液が約20 mMのマンガンイオンを含む、態様14〜16のうち1つの方法。
18. 緩衝液が約20 mMのMnCl2を含む、態様17の方法。
19. 緩衝液がUDP-ガラクトースを含む、態様17または18の方法。
20. 工程(c)が、UDP-ガラクトースの存在下でガラクトシルトランスフェラーゼGalT1を用いて行われることを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
21. 工程(c)がpH 6〜7の緩衝水溶液中で行われることを特徴とし、該緩衝液がマンガンイオンを含む、態様20の方法。
22. 緩衝液が約6.5のpHを有する、態様21の方法。
23. 緩衝液が20 mMのマンガンイオンを含む、態様21または22の方法。
24. 緩衝液がMnCl2を含む、態様21〜23のうち1つの方法。
25. 工程(c)の処理が約2〜10時間行われる、態様20〜24のうち1つの方法。
26. 工程(c)の処理が約3〜約5時間行われる、態様20〜24のうち1つの方法。
27. 工程(c)における赤血球生成刺激タンパク質とガラクトシルトランスフェラーゼとの間の重量比が>1:1である、態様20〜26のうち1つの方法。
28. 工程(c)の後、かつシアリルトランスフェラーゼでの処理の前に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含むことを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
29. 得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程が、約pH 6〜7の水溶液への緩衝液交換によって行われる、態様28の方法。
30. 得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程が、約pH 6.5の水溶液への緩衝液交換によって行われる、態様28の方法。
31. 得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程が、最大20 kDaの分子量カットオフフィルターを介した約pH 6.5の緩衝水溶液への緩衝液交換によって行われる、態様28〜30のうち1つの方法。
32. 水溶液がCMP-N-アセチルノイラミン酸を含む、態様29〜31のうち1つの方法。
33. 工程(d)がシアリルトランスフェラーゼST3を用いて行われることを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
34. 工程(d)がCMP-N-アセチルノイラミン酸の存在下で行われることを特徴とする、態様33の方法。
35. 工程(d)がpH 6〜7の緩衝水溶液中で行われる、態様33または34の方法。
36. 工程(d)が約pH 6.5の緩衝水溶液中で行われる、態様33または34の方法。
37. 工程(d)が10〜20時間行われる、態様33〜36のうち1つの方法。
38. 工程(d)が約16〜約18時間行われる、態様33〜36のうち1つの方法。
39. 工程(d)が約37℃で行われる、態様33〜38のうち1つの方法。
40. 工程(d)における赤血球生成刺激タンパク質とシアリルトランスフェラーゼとの間の重量比が>1:1である、態様33〜39のうち1つの方法。
41. シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質が、5%〜0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
42. シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質が、2%〜0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
43. シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質が、1%〜0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
44. シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質が、約0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
45. シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質が、赤血球生成刺激タンパク質をシアリダーゼで処理することによって提供されることを特徴とする、前記態様のいずれか1つの方法。
46. 酵素処理の前に、CHO細胞で産生された赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程を含む、前記態様のいずれか1つの方法。
47. 赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数を増加させるための、前記態様のいずれか1つの方法の使用。
48. そのN-グリカン上に制御された数のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するための、態様1〜46のうち1つの方法の使用。
49. N-グリコシル化部位当たり最大15個のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するための、態様1〜46のうち1つの方法の使用。
50. N-グリコシル化部位当たり2つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するための、態様49の使用。
51. 赤血球生成刺激タンパク質の比活性を改善するための、態様1〜46のうち1つの方法の使用。
52. 態様1〜46のいずれか1つの方法によって生産される、インビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質。
53. 態様1〜46のいずれか1つの方法によって生産される、インビトロ糖鎖改変エリスロポエチン。
54. 各N-グリコシル化部位に3つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むN-結合グリカンの相対度数が90%を超えることを特徴とする、赤血球生成刺激タンパク質の集団。
55. 各N-グリコシル化部位に3つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むN-結合グリカンの相対度数が99%を超える、態様54の赤血球生成刺激タンパク質の集団。
56. 各N-グリコシル化部位に3つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むN-結合グリカンの相対度数が約100%である、態様54の赤血球生成刺激タンパク質の集団。
57. 各N-グリコシル化部位に3つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むN-結合グリカンの相対度数が正確に100%である、態様54の赤血球生成刺激タンパク質の集団。
58. 0または1つのポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を含まない、態様54〜57のうち1つの赤血球生成刺激タンパク質の集団。
59. 0または1つのポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を0.1%以下の割合で含む、態様54〜57のうち1つの赤血球生成刺激タンパク質の集団。
60. 0または1つのポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を0%の割合で含む、態様54〜57のうち1つの赤血球生成刺激タンパク質の集団。
61. 個々の赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が少なくとも4である、態様54〜60のうち1つの赤血球生成刺激タンパク質の集団。
62. 個々の赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が少なくとも10である、態様54〜60のうち1つの赤血球生成刺激タンパク質の集団。
63. 個々の赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が最大40である、態様54〜62のうち1つの赤血球生成刺激タンパク質の集団。
64. 赤血球生成刺激タンパク質がエリスロポエチンである、態様54〜63のうち1つの赤血球生成刺激タンパク質の集団。
アミノ酸配列の説明
SEQ ID NO: 1 エリスロポエチン165aa
Figure 2020511499
SEQ ID NO: 2 N-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2
Figure 2020511499
SEQ ID NO: 3 ガラクトシルトランスフェラーゼGalT1
Figure 2020511499
SEQ ID NO: 4 ヒトα2,3-シアリルトランスフェラーゼ(ST3)
Figure 2020511499
SEQ ID NO: 5 ヒトα2,6-シアリルトランスフェラーゼ(ST6)
Figure 2020511499
SEQ ID NO: 6 ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)由来のノイラミニダーゼ
Figure 2020511499
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために提供され、その真の範囲は添付の特許請求の範囲に示される。本発明の精神から逸脱することなく、示された手順に変更を加えることができることを理解されたい。
実施例1:
EPOのインビトロでの糖鎖改変によるポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数の増加(B3Gnt2処理とGalT1処理との間に精製なし)
CHO細胞での組換え産生によってエリスロポエチン(EPO)を提供した(EP 0205564;EP 0148605も参照)。
組換えEPOのインビトロでの糖鎖改変(IV GE)処理を次のように行った。
pH 7.5の緩衝水溶液中での、37°Cで18時間のノイラミニダーゼ(Roche)とのインキュベーションによってEPOを脱シアリル化した。
N-結合グリカンへのGlcNAc部分の付加のために、1.5 mgの脱シアリル化エリスロポエチンを1.0 mgのN-アセチルグルコサミントランスフェラーゼ、B3GnT2(25mMのTris、150mMのNaCl、pH 7.5に溶解)と混合した。8.8 mgのUDP-N-アセチルグルコサミン、2.5 mgのMnCl2、および2.2 mgのCaCl2(それぞれ水に溶解)を溶液に加えた。試料を37℃で24時間インキュベートした。
続いて、N-結合グリカンへのGal部分の付加のために、149μgのガラクトシルトランスフェラーゼ、GalT1および3mgのUDP-ガラクトースを加え、その後37℃で5時間インキュベートした。
最後に、54μgのシアリルトランスフェラーゼ、ST3、70mgのCMP-N-アセチルノイラミン酸、17μgのアルカリホスファターゼ、および20μlの10mMのZnCl2溶液を加え、37℃で18時間インキュベートした。
得られたインビトロ糖鎖改変エリスロポエチンのN-結合グリカン上に存在する糖構造の分析を、エンドプロテイナーゼGlu-C消化後にLCMSペプチドマッピングによって行った。このために、250μgの試料を(塩酸グアニジニウムを用いて)変性させ、(ジチオトレイトールを用いて)還元し、(ヨード酢酸を用いて)カルボキシメチル化し、最後にエンドプロテイナーゼGlu-Cで消化した。この消化物を、RP-UHPLCとオンライン結合質量分析計によって分析した。得られたデータセットを、N-グリコシル化部位(アスパラギン24、38、および83)を有するペプチドの特有のグリカンシグナルについて評価した。
グリコシダーゼでもグリコシルトランスフェラーゼでも全く処理されなかった組換え産生されたエリスロポエチン(「IVGE前のEPO」)と前述のように本発明の方法から得られたエリスロポエチン(「IVGE後のEPO」)とを比較する以下の表に結果を示す。「繰り返し」という用語は、上記定義されたポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを指す。
(表1)IVGE前のEPO(比較データ)
示されたN-グリコシル化部位に存在するそれぞれのN-グリカンに0、1つ、2つ、または3つ以上のポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むエリスロポエチン糖タンパク質の割合を示す。
Figure 2020511499
(表2)IVGE前のEPO(比較データ)
Figure 2020511499
(表3)IVGE後のEPO
示されたN-グリコシル化部位に存在するそれぞれのN-グリカンにおける0、1つ、2つ、または3つ以上のポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むエリスロポエチン糖タンパク質の割合を示す。
Figure 2020511499
(表4)IVGE後のEPO
示されたN-グリコシル化部位に存在するそれぞれのN-グリカンにおけるポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しの数の最小数および範囲を示す。
Figure 2020511499
(表5)IVGE後のEPO
Figure 2020511499
結果は、IVGE法によりEPO分子の集団が得られ、すべての個々のEPO分子が、各N-グリコシル化部位にいくつかのポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを含むことを示している。すべてのEPO分子は、分子当たり少なくとも20個のポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを含む。
未処理のCHO産生EPOは、EPO分子当たり0または1つのポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する個々の分子を79%の割合で含む。
実施例2:
EPOのインビトロでの糖鎖改変(B3Gnt2処理とGalT1処理との間およびGalT1処理とST3処理との間の精製工程)による制御された数のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し
実施例1のようにCHO細胞での組換え産生によってエリスロポエチン(EPO)を提供した。
組換えEPOのインビトロでの糖鎖改変(IVGE)処理を以下のように行った:
実施例1に記載されているようにEPOを脱シアリル化した。
N-結合グリカンへのGlcNAc部分の付加のために、90μgの脱シアリル化エリスロポエチン糖タンパク質を、60μgのN-アセチルグルコサミントランスフェラーゼB3GnT2(25mMのTris、150mMのNaCl、pH 7.5に溶解)、ならびにpH 7.5の10 mMのCaCl2および10 mMのMnCl2を含む25 mM Tris緩衝液中の525μgのUDP-N-アセチルグルコサミンと混合した。試料を37℃で16時間インキュベートした。EPO糖タンパク質を含む試料の3分の1を分析目的で使用した。
Vivaspin遠心分離カラム(10 kDフィルター)を用いて、pH 6.5の20 mMのMnCl2および20 mMのUDP-ガラクトースを含む100 mMのMES緩衝液への緩衝液交換によってEPO糖タンパク質の残留物を精製した。
N-結合グリカンへのGal部分の付加のために、27μgのガラクトシルトランスフェラーゼ、GalT1をEPO糖タンパク質試料に加え、続いて32℃で4時間インキュベートした。その後、材料の半分を分析目的で使用した。
150 mg/mlのCMP-N-アセチル-ノイラミン酸を含む100mMのMES、pH 6.5への緩衝液交換によってEPO糖タンパク質の残留物を精製した。27μgのシアリルトランスフェラーゼ、ST3を加え、続いて37℃で16時間インキュベートした。
得られたインビトロ糖鎖改変エリスロポエチンのN-結合グリカンに存在する糖鎖構造の分析を質量分析によって行った。このために、試料をさらに調製することなく、試料をUHPLCシステムに注入した。UHPLCシステムを質量分析計に接続した。データセット(デコンボリューションされた和スペクトル)を、グリカン特有のシグナルに関して評価した。
グリコシダーゼでもグリコシルトランスフェラーゼでも全く処理されなかった組換え産生されたエリスロポエチン(「IVGE前のEPO」)と前述のように本発明の方法から得られたエリスロポエチン(「IVGE後のEPO」)とを比較して結果を以下のデータセットに示す。「繰り返し」という用語は、上記定義されたポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを指す。
(表6)IVGE前のEPO(比較データ)
Figure 2020511499
(表7)IVGE後のEPO
Figure 2020511499
未処理のCHO産生EPOは、EPO分子当たり0または1つのポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する個々の分子を80%の割合で含んでいたが、インビトロ糖鎖改変EPOは、2つ以上のポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを有するEPO糖タンパク質を100%含んでいた。EPO糖タンパク質当たりのポリN-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数は12以上であるのに対し、未処理のCHO産生EPOは、EPO糖タンパク質当たり約1つのポリN-アセチルラクトサミンの繰り返しを含んでいた。
本発明は、制御された数のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有するインビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質を生産するための方法を提供する。本発明によると、赤血球生成刺激タンパク質をインビトロ糖鎖改変して、カスタマイズされたグリカンパターンを生じさせることができ、これにより、該赤血球生成刺激タンパク質の一定の製品品質を保証し、かつ/またはその比生物活性のような生物学的機能を改善することができる。本発明により、赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数を増加させることができる。
[本発明1001]
(a)シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程、
(b)該赤血球生成刺激タンパク質をN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2で処理する工程、
(c)該赤血球生成刺激タンパク質をガラクトシルトランスフェラーゼで処理する工程、
(d)該赤血球生成刺激タンパク質をシアリルトランスフェラーゼで処理する工程
を含む、インビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質の生産のための方法。
[本発明1002]
工程(b)が、マンガンイオンおよびカルシウムイオンの存在下で行われることを特徴とする、本発明1001の方法。
[本発明1003]
工程(b)における赤血球生成刺激タンパク質とN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2との間の重量比が、>1:1である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
工程(b)の後、かつガラクトシルトランスフェラーゼでの処理の前に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含むことを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
工程(c)が、UDP-ガラクトースの存在下でガラクトシルトランスフェラーゼGalT1を用いて行われることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
工程(c)の後、かつシアリルトランスフェラーゼでの処理の前に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含むことを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1007]
工程(d)が、シアリルトランスフェラーゼST3を用いて行われることを特徴とする、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質が、2%〜0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1009]
赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数を増加させるための、前記本発明のいずれかの方法の使用。
[本発明1010]
N-グリコシル化部位当たり2つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するための、本発明1001〜1008のいずれかの方法の使用。
[本発明1011]
本発明1001〜1008のいずれかの方法によって生産される、赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が10を超える、インビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質。
[本発明1012]
各N-グリコシル化部位に2つを超えるポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有するN-結合グリカンの相対度数が90%を超えることを特徴とし、かつ赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が10を超えることを特徴とする、赤血球生成刺激タンパク質の集団。
[本発明1013]
0または1つのポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を含まない、本発明1012の赤血球生成刺激タンパク質の集団。
[本発明1014]
赤血球生成刺激タンパク質がエリスロポエチンである、本発明1001〜1008のいずれかの方法、本発明1009もしくは1010の使用、本発明1011のインビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質、または本発明1012もしくは1013の赤血球生成刺激タンパク質の集団。
[本発明1015]
赤血球生成刺激タンパク質の比活性を改善するための、本発明1001〜1008のいずれかの方法の使用。

Claims (15)

  1. (a)シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質を提供する工程、
    (b)該赤血球生成刺激タンパク質をN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2で処理する工程、
    (c)該赤血球生成刺激タンパク質をガラクトシルトランスフェラーゼで処理する工程、
    (d)該赤血球生成刺激タンパク質をシアリルトランスフェラーゼで処理する工程
    を含む、インビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質の生産のための方法。
  2. 工程(b)が、マンガンイオンおよびカルシウムイオンの存在下で行われることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 工程(b)における赤血球生成刺激タンパク質とN-アセチル-グルコサミン-トランスフェラーゼB3GNT2との間の重量比が、>1:1である、請求項1または2記載の方法。
  4. 工程(b)の後、かつガラクトシルトランスフェラーゼでの処理の前に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  5. 工程(c)が、UDP-ガラクトースの存在下でガラクトシルトランスフェラーゼGalT1を用いて行われることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  6. 工程(c)の後、かつシアリルトランスフェラーゼでの処理の前に、得られた赤血球生成刺激タンパク質を精製する工程を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  7. 工程(d)が、シアリルトランスフェラーゼST3を用いて行われることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  8. シアル酸を含まない赤血球生成刺激タンパク質が、2%〜0%のシアル酸を含むN-結合グリカンの相対度数を含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  9. 赤血球生成刺激タンパク質のN-グリカン上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返し数を増加させるための、前記請求項のいずれか一項記載の方法の使用。
  10. N-グリコシル化部位当たり2つ以上のポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を提供するための、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法の使用。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項記載の方法によって生産される、赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が10を超える、インビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質。
  12. 各N-グリコシル化部位に2つを超えるポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有するN-結合グリカンの相対度数が90%を超えることを特徴とし、かつ赤血球生成刺激タンパク質当たりのポリ-N-アセチルラクトサミンの平均繰り返し数が10を超えることを特徴とする、赤血球生成刺激タンパク質の集団。
  13. 0または1つのポリ-N-アセチルラクトサミンの繰り返しを有する赤血球生成刺激タンパク質を含まない、請求項12記載の赤血球生成刺激タンパク質の集団。
  14. 赤血球生成刺激タンパク質がエリスロポエチンである、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法、請求項9もしくは10記載の使用、請求項11記載のインビトロ糖鎖改変赤血球生成刺激タンパク質、または請求項12もしくは13記載の赤血球生成刺激タンパク質の集団。
  15. 赤血球生成刺激タンパク質の比活性を改善するための、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法の使用。
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