JP2020505951A - 無細胞タンパク質合成のためのプロモーター構築物 - Google Patents

無細胞タンパク質合成のためのプロモーター構築物 Download PDF

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Abstract

本明細書で提供されるテクノロジーは、標的タンパク質収量における増加のためおよび/または無細胞タンパク質合成系におけるより低い鋳型濃度の使用を可能にするための、新規プロモーター構築物、方法および系に関する。

Description

本発明のテクノロジーは、標的タンパク質収量における増加のためおよび/または無細胞タンパク質合成系におけるより低い鋳型濃度の使用を可能にするための、プロモーター構築物、方法および系に関する。
新たな治療的タンパク質、技術的酵素、タンパク質操作および機能ゲノミクスに対する需要の増加は、迅速かつ効率的なタンパク質産生およびスクリーニングプラットホームを必要とする。
無細胞タンパク質合成(CFPS)の新興のテクノロジーは、この需要を満たす助けになり得る(Carlson et al., 2012)。粗製溶解物に基づくCFPS系は、in vivoの系を超えるいくつかの利点を提供し、タンパク質操作、バイオ医薬品製品開発およびポストゲノム研究における広い適用を提供する。
細胞ベースの発現と比較して、CFPSは、より短い処理時間ならびに反応条件の直接的な制御およびモニタリングなどの利点を提供する。PCR産物は、労力を要するクローニングおよび形質転換ステップなしの複数のタンパク質の同時発現のために直接使用され得る。CFPSプラットホームは、タンパク質フォールディングまたは非天然アミノ酸の取込みを促進するアクセサリー因子の付加を可能にする(Albayrak and Swartz, 2013;White et al., 2013)。これらは、生きた細胞中では産生できない細胞毒性タンパク質の発現も促進する。
粗製溶解物は、翻訳、タンパク質フォールディングおよびエネルギー代謝のために必要な成分を含み、従って、それらにアミノ酸、エネルギー基質、ヌクレオチドおよび塩を提供することは、RNA鋳型によってコードされるほとんど全てのタンパク質が合成されるのを可能にする。適切なRNAポリメラーゼがさらに補充されたカップリングされた転写/翻訳系では、DNA鋳型もまた使用され得る。
上述のように、伝統的な細胞ベースの発現方法とは対照的に、CFPSは、より短い処理時間、限定的なタンパク質加水分解、および毒性タンパク質、または規定された位置において特定の化学基もしくは非天然アミノ酸を含むタンパク質を発現する能力を提供する。さらに、この系のわかりやすい性質により、反応を直接制御およびモニタリングすることが可能になる。化学合成は、<40残基長のペプチドの迅速かつ制御された合成を可能にするが、これは、より大きいポリペプチドの産生のためには、経済的に実行可能な方法ではない。
最も広く使用される無細胞系は、大腸菌(Escherichia coli)抽出物(ECE)、コムギ胚芽抽出物(WGE)、ウサギ網状赤血球溶解物(RLL)および昆虫細胞抽出物(ICE)に基づく。これらは、タンパク質の発現、フォールディングおよび改変を異なる方法で増強する多様な細胞成分および補因子を含む。従って、最も適切な系は、標的タンパク質の起源および生化学的性質に依存する。ECEの調製は、単純かつ安価であり、一般に、標的タンパク質に依存して、バッチ反応において、1ミリリットル当たり数百マイクログラム〜ミリグラムという最も高いタンパク質収量を達成する。
対照的に、真核生物系は、あまり生産的ではなく、抽出物調製はより労力を要するが、複雑なタンパク質はより効率的に産生され得、拡張された翻訳後改変は支持される。WGEは通常、タンパク質および反応形式に依存して、1ミリリットル当たり数十マイクログラム〜ミリグラムの組換えタンパク質を生じるが、抽出物調製には4〜5日かかり、コムギ種子からの抽出物の収量は低い。RLL系の収量は、典型的には、WGEよりも規模が2オーダー低く、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)から調製されたICEは、最大で50μg/mLの収量を達成できる。
最近、CHO細胞および出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に基づく2つのさらなる真核生物系が記載されている。CHO抽出物は、最大で50μg/mLの活性ホタルルシフェラーゼを生じるが、発酵培地は非常に高価である。対照的に、酵母抽出物の調製は安価であるが、この系は、8μg/mLの活性ホタルルシフェラーゼという低い標的タンパク質レベルのみを産生する。従って、現在の無細胞系の欠点は、大量に迅速に調製され得る高度に生産的な真核生物無細胞系に対する需要を生み出している。
タバコBY−2細胞に基づくカップリングされていないCFPS系は、文献中に記載されている(Buntru et al. Buntru et al. BMC Biotechnology 2014, 14:37)。さらに、タバコBY−2細胞溶解物(BYL)に基づく高度に効率的なカップリングされた無細胞転写−翻訳系は、先行技術にも記載された(Buntru et al, Biotechnology and Bioengineering, Vol. 112, No. 5, 2015, 867-878)。
いくつかの試みが、例えば、異なるプロモーターならびに/または5’および3’非翻訳領域(UTR)を使用することによる鋳型の最適化によって無細胞系における標的タンパク質収量を増加させることが、これまでに記載されてきた。タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic virus)(TMV)由来のオメガ5’UTRは、無細胞コムギ胚芽抽出物(WGE)において高い標的タンパク質レベルを生じると同定されており、ウサギ網状赤血球溶解物(RLL)および大腸菌(Escherichia coli)抽出物(ECE)などの他の無細胞翻訳系においても機能的である(Gallie et al., 1987;Gallie and Walbot, 1992)。さらに、Sawasaki et al. (2002)および米国特許第7981617号明細書は、WGEにおける標的タンパク質収量を増加させるオメガ配列の上流の転写開始点としての、特定のトリプレット(GAA)の使用を記載している。しかし、無細胞in vitroタンパク質合成のさらなる改善が、なおも必要である。
従って、改善された無細胞in vitroタンパク質合成のための方法および構築物を提供することが、本開示の目的である。
本開示は一般に、無細胞タンパク質合成(in vitroタンパク質合成または略記してCFPSとも呼ばれる)の分野に関する。より具体的には、本開示は、標的タンパク質収量における増加のためおよび/または無細胞タンパク質合成系におけるより低い鋳型濃度の使用を可能にするための、プロモーター構築物、方法および系に関する。
第1の態様では、本開示は、標的ポリペプチドの効率的な無細胞タンパク質合成に適した新規DNAプロモーター構築物であって、5’−3’方向で、
a)RNAポリメラーゼのプロモーターエレメント、
b)転写開始部位(transcription start site)を含む少なくとも6つ連続するヌクレオチドの増強エレメント(enhancing element)であって、配列GGGAGA、GCAAGAまたはGGAAGAを含む、増強エレメント、
c)5’UTR配列エレメント、および
d)翻訳開始部位(translation initiation start site)
を含む、プロモーター構築物に関する。
本開示は、第2の態様では、無細胞タンパク質合成のためのmRNAを効率的に合成するための転写鋳型であって、本開示に従うプロモーター構築物を含み、目的のポリヌクレオチドおよび/または遺伝子が、翻訳開始部位に連結されている、転写鋳型に関する。
第3の態様では、本開示は、
a)本開示に従うDNAプロモーター構築物、
b)前記プロモーター構築物に連結された目的のポリヌクレオチドおよび/または遺伝子、ならびに
c)任意選択で、転写終結部位ポリアデニル化シグナル
を含む、発現カセットに関する。
第3の態様では、本開示は、無細胞タンパク質合成のための方法であって、無細胞タンパク質合成系において本開示に従う転写鋳型および/または本開示に従う発現カセットを使用することによって、タンパク質をin vitroで合成するステップを含む、方法に関する。
第4の態様では、本開示は、本開示に従うプロモーター構築物、本開示に従う転写鋳型または本開示に従う発現カセットを含む核酸ベクターに関する。
第5の態様では、本開示は、タンパク質合成に適した無細胞タンパク質合成系であって、
a)原核細胞溶解物または真核細胞溶解物、
b)反応緩衝液、ならびに
c)本開示に従う転写鋳型および/または発現カセットおよび/または核酸ベクター
を含む、無細胞タンパク質合成系に関する。
さらに、本開示は、本開示に従う無細胞タンパク質合成系、ならびに/または本開示に従うプロモーター構築物および/もしくは転写鋳型および/もしくは発現カセットおよび/もしくは核酸ベクターを含む、タンパク質スクリーニングおよび/または産生プラットホームに関する。
図1は、本開示に従うDNAプロモーター構築物の有利な実施形態(配列番号3)を示す。A:T7プロモーターエレメント、B:転写開始部位を含む増強エレメント、C:オメガ5’UTR配列エレメント、ここで、最後の3’ヌクレオチドは、クローニング(目的の遺伝子の組込み)を促進するために、(天然オメガ配列と比較して)AからCに変化している、D:翻訳開始部位。 図2は、8つの異なる鋳型濃度での異なるバリアントのベクターpIVEX_Omega+非ベクター対照を使用した、Strep−eYFPの発現を示す図である。これらのバリアントは、オメガ5’非翻訳領域の上流の転写開始点において、異なるヌクレオチド(図1の増強エレメントおよび図3の転写開始部位(tc s)を参照のこと)を含む。 図3は、オメガ5’非翻訳領域(UTR)の上流の転写開始点としての、異なるバリアントのヌクレオチド(エンハンサーエレメント、tc s)のDNA配列を示す。T7プロモーター、転写開始部位(tc s)、オメガ5’UTRおよび翻訳開始(tl s)の位置が示されている。
本開示は、発現される目的の標的タンパク質の収量を増加させるための新規エンハンサーエレメントを含むDNAプロモーター構築物を使用することによって、無細胞タンパク質合成のための新規構築物、方法および系、特に、タバコBY−2細胞溶解物におけるタンパク質合成に適した無細胞タンパク質合成系に関する。
本開示の有利な実施形態は、標的ポリペプチドの効率的な無細胞タンパク質合成に適したDNAプロモーター構築物であって、5’−3’方向で、
a)RNAポリメラーゼのプロモーターエレメント、
b)転写開始部位を含む少なくとも6つ連続するヌクレオチドの増強エレメントであって、配列GGGAGA、GCAAGAまたはGGAAGAを含む、増強エレメント、
c)5’UTR配列エレメント、および
d)翻訳開始部位
を含む、プロモーター構築物に関する。
新規DNAプロモーター構築物に起因して、特に、プロモーター構築物中に、TMV由来のオメガ5’UTR配列などの5’UTRエレメントの上流に余分なヌクレオチドを含むエンハンサーエレメントを添加することによって、目的のタンパク質の発現を、特に無細胞BYL系を使用することによって、極端に増加させることができる。転写開始部位にエンハンサーエレメントのさらなるヌクレオチドを有さない元のオメガ配列は、検出可能な標的タンパク質産生をほとんどもたらさなかった。
さらに、本開示に従う新規DNAプロモーター構築物、無細胞タンパク質合成系、発現カセット、方法および転写鋳型は、少なくとも大規模アプローチにおいて、重要なコストおよび効率的因子である非常に低い鋳型濃度の使用を可能にする。小規模のスクリーニングアプローチでは、例えば、微量のDNAのみが存在する微少流体ベースの方法によって、新規構築物および系は、タンパク質の生産性を増加させ、検出可能な量の標的タンパク質を生じ得る。新たなプロモーター構築物はまた、BYLよりも、他の無細胞のカップリングされた転写−翻訳系において、増加した標的タンパク質収量をもたらす可能性が最も高い。
一部の有利な実施形態では、本開示に従うDNAプロモーター構築物、ベクター、発現カセットおよび/または転写鋳型は、単離および/または精製される。本明細書で使用する場合、用語「単離された」とは、言及された材料が、その天然の環境、例えば細胞から取り出されていることを意味する。従って、単離された生物学的材料は、一部のまたは全ての細胞成分、即ち、天然の材料が天然に存在する細胞の成分(例えば、細胞質または膜成分)を含まなくてもよい。材料は、細胞抽出物または上清中に存在する場合、単離されたとみなすべきである。核酸分子の場合、単離された核酸には、PCR産物、単離されたmRNA、cDNAまたは制限断片が含まれる。別の実施形態では、単離された核酸は、好ましくは、それが見出され得る染色体から切り出され、より好ましくは、もはや、非コード領域に接続されてもおらず非コード領域に対して近位でもなく(しかし、その天然の調節領域またはその部分には接続されていてもよい)、または染色体中に見出される場合に単離された核酸分子によって含まれる遺伝子の上流もしくは下流に位置する他の遺伝子に接続されてもおらずかかる他の遺伝子に対して近位でもない。なお別の実施形態では、単離された核酸は、1つまたは複数のイントロンを欠く。単離された核酸分子には、プラスミド、コスミド、人工染色体などの中に挿入された配列、即ち、それがキメラ組換え核酸構築物の一部を形成する場合が含まれる。従って、具体的な実施形態では、組換え核酸は、単離された核酸である。単離されたタンパク質は、細胞中でそれが会合している他のタンパク質もしくは核酸またはその両方と会合していてもよく、あるいは、それが膜会合タンパク質である場合には細胞膜と会合していてもよい。単離されたオルガネラ、細胞または組織は、それが生物中で見出される解剖学的部位から取り出されている。単離された材料は、精製されていてもよいが、精製されている必要はない。
用語「精製された」とは、本明細書で使用する場合、無関係の材料、即ち、材料がそこから取得される天然の材料を含む混入物の存在を低減または排除する条件下で単離された材料を指す。
上述のように、本開示に従うDNAプロモーター構築物は、効率的な無細胞タンパク質合成に適切である。無細胞タンパク質合成(in vitroタンパク質合成または略記してCFPSとも呼ばれる)は、生きた細胞を使用せずに生物学的機構を使用するタンパク質の産生である。in vitroタンパク質合成環境は、細胞生存度を維持するために必要な細胞壁または恒常性条件によって束縛されない。従って、CFPSは、翻訳環境の直接的なアクセスおよび制御を可能にし、これは、タンパク質合成、非天然アミノ酸の取込み、ハイスループットスクリーニングおよび合成生物学を研究するために、タンパク質産生の最適化、タンパク質複合体の最適化を含むいくつかの適用にとって有益である。
「プロモーターエレメント」は、細胞においてRNAポリメラーゼに結合すること、および配列の転写を開始することが可能なDNA調節領域である。本発明を定義することを目的として、cDNAの上流に位置するプロモーター配列は、その3’末端において転写開始部位によって境界され、背景を上回って検出可能なレベルで転写を開始するために必要な最小数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)に延びる。cDNAの下流に位置するプロモーター配列((−)RNAを発現するため)は、その5’末端において転写開始部位によって境界され、背景を上回って検出可能なレベルで転写を開始するために必要な最小数の塩基またはエレメントを含むように下流(3’方向)に延びる。
本明細書に記載されるDNAプロモーター構築物は、好ましくは、コード鎖、即ち、その塩基配列が、産生されるRNA転写物(チミンがウラシルによって置き換えられているが)の塩基配列に対応するDNA鎖である。この鎖はコドンを含むが、非コード鎖はアンチコドンを含む。転写の間、RNAポリメラーゼIIは、非コード鎖に結合し、アンチコドンを読み取り、それらの配列を転写して、相補的塩基を有するRNA転写物を合成する。慣習により、コード鎖は、DNA配列を示す場合に使用される鎖である。これは、5’から3’の方向で提示される。
本開示は、特に、新規DNAプロモーター構築物に関し、このプロモーター構築物は、RNAポリメラーゼのプロモーターエレメントを含む。プロモーターまたはプロモーターエレメントは、構造遺伝子の転写を指示するDNA配列である。典型的には、プロモーターは、構造遺伝子(または目的のポリヌクレオチドおよび/もしくは遺伝子)の転写開始部位に対して近位の、遺伝子の5’領域中に位置する。
用語「RNAポリメラーゼ」は、遺伝子中のプロモーター領域を同定しそれに結合して転写を開始するために特異的DNA配列またはエレメントを使用するDNA依存的RNAポリメラーゼ(RNA Pol)を含む。特定のRNA Polは、1つのサブユニット(例えば、T3およびT7などのバクテリオファージ、ならびにミトコンドリア由来のもの)のみを有するが、細菌および真核生物由来の他のRNA Polは、効率的な転写のためにさらなるタンパク質因子を必要とするマルチサブユニット酵素である。
マルチマー酵素は、精製されたサブユニットから再構成するのが困難である。対照的に、バクテリオファージ由来のより小さいモノマーRNA Polは、さらなるタンパク質因子の助けなしに、終結およびDNA鋳型からの転写物の放出を含め、転写を実施できる。これらの特色により、バクテリオファージRNA Polは、in vitro転写反応のための優れたツールになる。
一部の実施形態では、RNAポリメラーゼのプロモーターエレメントは、コアプロモーターエレメント、即ち、例えばTATAボックスおよび転写開始点を含む、作動可能に連結されたコード配列の発現のために必須のヌクレオチド配列を含むミニマルプロモーターまたはプロモーターエレメントである。この定義によって、コアプロモーターは、活性を増強し得るまたは組織特異的活性を付与し得る特定の配列の非存在下で、検出可能な活性を有しても有さなくてもよい。
例えば、別個のDNA配列特異性を有する以下の異なるファージRNA Polが、in vitro転写のために市販されている:
上に列挙した配列は、その3’末端に転写開始部位(tc s)を含む(太字でマークした)。
従って、有利な実施形態では、本開示のDNAプロモーター構築物は、RNAポリメラーゼのプロモーターエレメントを含み、このRNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼおよびSP6 RNAポリメラーゼからなる群から選択される。
特に、元の転写開始部位を有さないRNAポリメラーゼのプロモーターエレメントが含まれる。従って、RNAポリメラーゼのプロモーターエレメントは、例えば、
・TAATACGACTCACTATA(配列番号6)−T7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列
・AATTAACCCTCACTAAA(配列番号7)−T3 RNAポリメラーゼのプロモーター配列
・AATTTAGGTGACACTATA(配列番号8)−SP6 RNAポリメラーゼのプロモーター配列
・AATTAGGGCACACTATA(配列番号9)−K11 RNAポリメラーゼのプロモーター配列
・TAATACGACTCACTAAT(配列番号10)−BA14 RNAポリメラーゼのプロモーター配列
の群から選択される。
有利な実施形態では、プロモーターエレメントは、T7 RNAポリメラーゼに由来し、特に、プロモーターエレメントは、配列番号13の配列を含むまたはそれからなる。
本開示に従うDNAプロモーター構築物は、少なくとも6つ連続するヌクレオチドの増強エレメントをさらに含む。増強エレメント内には、転写開始部位(簡便には、例えば、ヌクレアーゼS1を用いてマッピングすることによって規定される)が見出される。転写開始部位は、遺伝子配列の5’末端の、転写が開始する位置である。
「核酸分子」とは、一本鎖形態または二本鎖らせんのいずれかの、リン酸エステルポリマー形態のリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)もしくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン;「DNA分子」)、またはそれらの任意のホスホエステルアナログ、例えば、ホスホロチオエート(phosphorothioate)およびチオエステルを指す。
「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド配列」は、DNAおよびRNA中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)であり、2つ以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ヌクレオチド配列は、典型的には、タンパク質を作製するために細胞機構によって使用される情報を含む遺伝情報を保有する。
前記増強エレメントは、プロモーターエレメントと以下の5’UTR配列エレメントとの間に位置し、例えば、有利な実施形態では、増強エレメントの配列は、プロモーターエレメントの最後の3’ヌクレオチドの後で始まり、5’UTR配列エレメントの最初の5’ヌクレオチドの前で終わる。一部のさらなる有利な実施形態では、前記プロモーターエレメントと5’UTRエレメントとの間の前記増強エレメントの5’末端における最初のヌクレオチドは、グアニン(G)であり、前記増強エレメントの3’末端の6番目のヌクレオチドは、アデニン(A)である。
増強エレメントの有利な実施形態は、配列GGGAGA、GCAAGAまたはGGAAGAからなる。さらなる有利な実施形態では、増強エレメントは、配列GAAGAA、GTAAGAもしくはGCAAGAを含むまたはそれからなる。
上述のように、増強エレメントは、RNAポリメラーゼプロモーターエレメントと5’UTR配列エレメントとの間に位置する。5’非翻訳領域(5’UTR)(リーダー配列またはリーダーRNAとしても公知)は、それぞれ、翻訳開始コドンおよびコード配列のすぐ上流のmRNAの領域である。5’UTR配列エレメントは、転写されるmRNA上の5’非翻訳領域をコードするDNA配列である。5’UTR内には、リボソームが結合し翻訳を開始するのを可能にする、リボソームによって認識される配列が存在する(Mignone et al., 2002によって概説される)。翻訳開始の機構は、原核生物および真核生物において異なる。
一部の有利な実施形態では、5’UTR配列エレメントは、タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic virus)(TMV)由来のオメガ5’UTR配列をコードするDNA配列である。5’UTR配列エレメントの他の好ましい例は、タバコエッチウイルス(Tobacco etch virus)(TEV)の5’UTRをコードするDNA配列である。タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic virus)由来の5’UTR配列の例は、配列番号14に示され、タバコエッチウイルス(Tobacco etch virus)由来の5’UTR配列の例は、配列番号15に示される。
5’UTR配列エレメントのすぐ後に、翻訳開始部位をコードするDNAトリプレットが位置する。翻訳開始部位または開始コドンは、リボソームによって翻訳されるメッセンジャーRNA(mRNA)転写物の最初のコドンである。開始コドンは通常、真核生物ではメチオニンをコードし、原核生物では改変型Met(fMet)をコードする。最も一般的な開始コドンはAUGである。
一部の有利な実施形態では、標的ポリペプチドの効率的な無細胞タンパク質合成に適したDNAプロモーター構築物は、5’−3’方向で、
a)特に、配列番号12を含む、RNAポリメラーゼのT7プロモーターエレメント、
b)特に、GGGAGA、GCAAGAまたはGGAAGAを有する、転写開始部位を含む少なくとも6つ連続するヌクレオチドの増強エレメント、
c)特に、配列番号14を有する、タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic virus)(TMV)由来のオメガ5’UTR配列、および
d)翻訳開始部位
を含む。
従って、有利な実施形態では、本開示に従うプロモーター構築物は、
a)配列番号3に示される核酸配列、および
b)a)と少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される配列を含む。
本開示に従うプロモーター構築物のさらに有利な実施形態は、
a)配列番号4に示される核酸配列、および
b)a)と少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される配列を含む。
「パーセント配列同一性」とは、2つのアミノ酸またはポリヌクレオチド配列に関して、それらの配列を最適にアラインした場合に、2つの配列において同一である残基の百分率を指す。従って、85%のアミノ酸配列同一性は、2つの最適にアラインされたポリペプチド配列中のアミノ酸の85%が同一であることを意味する。パーセント同一性は、例えば、配列をアラインし、2つのアラインされた配列間の一致の正確な数を計数し、短い方の配列の長さによって除算し、結果に100を乗算することによる、2つの分子間の配列情報の直接的な比較によって、決定され得る。容易に入手可能なコンピュータープログラム、例えば、ペプチド分析のためにSmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズムを適応させるALIGN14、National Biomedical Research Foundation、Washington、DCが、分析を補助するために使用され得る。15。ヌクレオチド配列同一性を決定するためのプログラムは、SmithおよびWatermanのアルゴリズムにこれもまた依存する、BESTFIT、FASTAおよびGAPプログラムなど、Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8(Genetics Computer Group、Madison、WIから入手可能)において入手可能である。これらのプログラムは、製造業者によって推奨され、上で言及されたWisconsin Sequence Analysis Packageに記載されるデフォルトパラメーター5を用いて容易に利用される。配列類似性を決定するために適切なアルゴリズムの例は、以前に記載されたBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公に入手可能である。同様に、パーセント相同性を決定するためのコンピュータープログラムもまた、容易に入手可能である。
さらに、本開示は、無細胞タンパク質合成のためのmRNAを効率的に合成するための転写鋳型であって、本開示に従うプロモーター構築物を含み、目的の構造遺伝子、ポリヌクレオチドまたは遺伝子が、翻訳開始部位に連結されている、転写鋳型に関する。
本明細書の開示に記載される転写鋳型構築物は、好ましくは、コード鎖、即ち、その塩基配列が、産生されるRNA転写物(チミンがウラシルによって置き換えられているが)の塩基配列に対応するDNA鎖である。この鎖はコドンを含むが、非コード鎖はアンチコドンを含む。転写の間、RNA Pol IIは、非コード鎖に結合し、アンチコドンを読み取り、それらの配列を転写して、相補的塩基を有するRNA転写物を合成する。慣習により、コード鎖は、DNA配列を示す場合に使用される鎖である。これは、5’から3’の方向で提示される。
しかし、記載されたプロモーター構築物とは対照的に、本開示に従う転写鋳型は、翻訳開始部位に連結された目的の構造遺伝子および/またはポリヌクレオチドおよび/または遺伝子を含む。
構造遺伝子(または目的のポリヌクレオチドおよび/もしくは遺伝子)は、次いで特定のポリペプチドに特徴的なアミノ酸の配列へと翻訳されるメッセンジャーRNA(mRNA)へと転写されるDNA配列である。
さらに、本開示は、
a)本開示に従うDNAプロモーター構築物、
b)前記プロモーター構築物に連結された目的のポリヌクレオチドおよび/または遺伝子、ならびに
c)任意選択で、転写終結部位ポリアデニル化シグナル
を含む、発現カセットに関する。
本発明によれば、当業者の技術範囲内の慣習的な分子生物学、微生物学および組換えDNAの技術が使用され得る。かかる技術は、文献中に完全に説明されている。例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (本明細書で「Sambrook et al., 1989」);DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (D. N. Glover ed. 1985);Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed. 1984);Nucleic Acid Hybridization [B. D. Hames & S. J. Higgins eds. (1985)];Transcription And Translation [B. D. Hames & S. J. Higgins, eds. (1984)];Animal Cell Culture [R. I. Freshney, ed. (1986)];Immobilized Cells And Enzymes [IRL Press, (1986)];B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984);F. M. Ausubel et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)を参照のこと。
「発現カセット」とは、規定された制限部位においてベクター中に挿入され得る発現産物をコードするDNAコード配列またはDNAのセグメントを指す。カセットの制限部位は、適切なリーディングフレームでのカセットの挿入を確実にするように設計される。一般に、外来DNAは、ベクターDNAの1つまたは複数の制限部位において挿入され、次いで、伝播性のベクターDNAと共に宿主細胞中にベクターによって運搬される。発現ベクターなどの、DNAが挿入または付加されたDNAのセグメントまたは配列は、「DNA構築物」とも呼ばれ得る。一般的な型のベクターは、「プラスミド」であり、これは一般に、さらなる(外来)DNAを容易に受容でき、適切な宿主細胞中に容易に導入され得る、通常は細菌起源の、二本鎖DNAの自己充足型の分子である。プラスミドベクターは、コードDNAおよびプロモーターDNAを含み、外来DNAを挿入するのに適切な1つまたは複数の制限部位を有する場合が多い。コードDNAは、特定のタンパク質または酵素の特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列である。プロモーターDNAは、コードDNAの発現を開始、調節または他の方法で媒介もしくは制御するDNA配列である。プロモーターDNAおよびコードDNAは、同じ遺伝子または異なる遺伝子由来であり得、同じまたは異なる生物由来であり得る。組換えクローニングベクターは、クローニングまたは発現のための1つまたは複数の複製系、宿主における選択のための1つまたは複数のマーカー、例えば、抗生物質耐性、および1つまたは複数の発現カセットを含む場合が多い。
用語「標的ポリペプチドの合成」または「発現」とは、遺伝子産物の生合成を指す。構造遺伝子の場合、発現/合成には、mRNAへの構造遺伝子の転写、および次いで、1つまたは複数のポリペプチドへのmRNAの翻訳が関与する。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」または「タンパク質」は、隣接残基のアルファ−アミノ基とカルボキシル基との間のペプチド結合によって互いに接続された一連の直鎖アミノ酸残基を指すために、本明細書で相互交換可能に使用される。アミノ酸残基は、好ましくは、天然の「L」異性体形態である。しかし、所望の機能的特性がポリペプチドによって保持される限り、「D」異性体形態の残基で任意のL−アミノ酸残基を置換し得る。さらに、アミノ酸には、20種の「標準的な」アミノ酸に加えて、改変型および異常なアミノ酸が含まれる。
「連結された」とは、2つ以上の分子間の非共有結合または共有結合を指す。連結は、直接的または間接的であり得る。2つの分子は、それら2つの分子が接続分子(リンカー)を介して連結される場合、間接的に連結されている。2つの分子は、それらを連結する介在分子が存在しない場合、直接的に連結されている。上述のように、目的のポリヌクレオチドおよび/または遺伝子ならびに前記プロモーター構築物は、好ましくは、互いに直接的に連結される。
プロモーター、ターミネーターまたはポリアデニル化シグナルは、遺伝子の開始点(例えば、最初のコドン)に対して近位であり、遺伝子の終結点(例えば、最後のコドン)に対して遠位である場合、遺伝子の「上流」である。プロモーター、ターミネーターまたはポリアデニル化シグナルは、遺伝子の終結点に対して近位であり、遺伝子の開始点に対して遠位である場合、遺伝子の「下流」である。遺伝子と機能的に関連する、本発明のプラスミド中のプロモーターは、遺伝子のセンス鎖またはアンチセンス鎖の転写を促進するような配向にされる。
上述のように、DNAプロモーター構築物は、例えば、翻訳可能なRNA産物の発現を駆動することが可能なT7 RNAポリメラーゼプロモーター、T3 RNAポリメラーゼプロモーターまたはSP6 RNAポリメラーゼプロモーターを含み得る。例えば、発現カセットは、任意選択で、転写されるRNAの3’末端においてポリアデニル化シグナルを含み得る。
本開示は、本開示に従うDNAプロモーター構築物、転写鋳型または発現カセットを含む核酸ベクターにも関する。核酸ベクターは、クローニングベクターおよび/または発現ベクターであり得る。
用語「ベクター」には、それが連結された別の核酸を輸送することが可能な核酸分子が含まれる。1つの型のベクターは、「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントがその中にライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す。別の型のベクターは、さらなるDNAセグメントがウイルスゲノム中にライゲーションされ得るウイルスベクターである。特定のベクターは、それが導入される宿主細胞における自律的複製が可能である(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入の際に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得、それにより、宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクターは、それが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することが可能である。かかるベクターは、本明細書で「発現系」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において利用される発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。プラスミドは、ベクターの最も一般に使用されている形態であるので、本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は、相互交換可能に使用され得る。しかし、本開示は、等価な機能を果たすかかる他の形態の発現ベクター、例えば、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む意図である。
本開示は、タンパク質合成に適した無細胞タンパク質合成系であって、
a)原核細胞溶解物または真核細胞溶解物、
b)反応緩衝液、ならびに
c)前記請求項のいずれか一項に記載の転写鋳型および/または発現カセットおよび/または核酸ベクター
を含む、無細胞タンパク質合成系にも関する。
一部の有利な実施形態では、真核細胞溶解物は、タバコBY−2細胞溶解物である。
2つの基本的な成分が、かかるin vitroタンパク質発現を達成するために必要である:(1)標的タンパク質をコードする遺伝子鋳型(mRNAまたはDNA)、ならびに(2)必要な転写および翻訳の分子機構を含む反応溶液。細胞抽出物(または無細胞タンパク質合成(CFPS)系)は、
・mRNA転写のためのRNAポリメラーゼ、
・ポリペプチド翻訳のためのリボソーム、
・tRNAおよびアミノ酸、
・酵素補因子およびエネルギー源、
・適切なタンパク質フォールディングに必須の細胞成分
を含む、反応溶液の分子の全てまたはほとんどを供給する。
無細胞in vitro転写のための鋳型DNAは、直鎖、環状プラスミドまたはPCR断片であり得る。しかし、DNAは、転写される遺伝子の上流にプロモーター配列を含まなくてはならない。
細胞溶解物は、酵素の正確な組成および割合、ならびに翻訳に必要な構成要素を提供する(通常、エネルギー源およびアミノ酸も、合成を持続させるために添加する必要がある)。細胞膜は、細胞のサイトゾルおよびオルガネラ成分のみを残して除去される(従って、用語「無細胞抽出物/溶解物」)。無細胞タンパク質発現のために開発された最初の型の溶解物は、原核生物に由来した。より最近、昆虫細胞、哺乳動物細胞およびヒト細胞由来の抽出物に基づく系が開発され、市販されている。
本開示に従う無細胞タンパク質合成系は、原核細胞溶解物または真核細胞溶解物などの生物学的抽出物/溶解物を含む。タンパク質の転写/翻訳のための反応ミックスは、高分子、例えば、DNA、mRNAなどの産生のための鋳型;合成される高分子のためのモノマー、例えば、アミノ酸、ヌクレオチドなど、ならびに合成に必要なそのような補因子、酵素および他の試薬、例えば、リボソーム、tRNA、ポリメラーゼ、転写因子およびエネルギー再生系、例えば、クレアチンリン酸/クレアチンキナーゼなどを含む。かかる合成反応系は、当該分野で周知であり、文献中に記載されている。ポリペプチド合成のためのいくつかの反応化学が、本発明の方法において使用され得る。例えば、反応化学は、2002年1月8日に発行された米国特許第6,337,191号明細書および1月2日に発行された米国特許第6,168,931号明細書に記載されている。
無細胞発現系は、DNA鋳型からのタンパク質合成(転写および翻訳)またはmRNA鋳型からのタンパク質合成(翻訳のみ)を支持し得る。原理上、無細胞発現系は、2つの別々の逐次的反応(カップリングされていない)として、または同時的に1つの反応(カップリングされた)として、転写ステップおよび翻訳ステップを達成するように設計され得る。
原核生物大腸菌(Escherichia coli)抽出物ベースの無細胞系は、急速に開発された(総説については、Carlson, E. D. et al. "Cell-free protein synthesis: Applications come of age," Biotechnol. Adv. 30, 1185-1194, (2012)を参照のこと)。本発明の目的のために、任意の原核細胞溶解物または真核細胞溶解物が、無細胞タンパク質合成系として使用され得る。無細胞タンパク質合成系としての原核細胞溶解物として、大腸菌(E. coli)S30無細胞抽出物が、Zubay, G. (1973, Ann. Rev. Genet. Vol 7, p. 267)によって記載された。これらは、発現される遺伝子が、適切な原核生物調節配列、例えば、プロモーターおよびリボソーム結合部位を含むベクター中にクローニングされている場合に使用され得る。
無細胞系は、転写および翻訳が、抽出物へのDNAの添加後に同時に起こる場合、「カップリングされた」とみなされる。一部の有利な実施形態では、本開示に従う無細胞タンパク質合成系は、カップリングされた無細胞タンパク質合成系である。
しかし、真核生物無細胞溶解物は、種々の翻訳後プロセシング活性を保持することに少なくとも部分的に起因して、多くの理由のために好ましい発現系である。例えば、イヌミクロソーム膜を無細胞コムギ胚芽抽出物に添加することで、シグナルペプチド切断およびコアグリコシル化などのプロセシング事象が試験され得る。真核細胞溶解物はまた、幅広い種類のウイルスおよび他の原核生物RNA、ならびに真核生物mRNAのin vitro翻訳を支持する。
以前に開発された主要な真核生物CFPSプラットホームには、コムギ胚芽抽出物(WGE)(Goshima, N. et al. "Human protein factory for converting the transcriptome into an in vitro-expressed proteome," Nat. Methods 5, 1011-1017 (2008);Hoffmann, M. et al. in Biotechnol Annu Rev Vol. 10, 1-30 (Elsevier, 2004);Takai et al. (2010))、ウサギ網状赤血球溶解物(RRL)(Jackson, R. J. et al. in Methods Enzymol Vol. Vol. 96 (eds. Becca Fleischer, Sidney Fleischer) Ch. 4, 50-74 (Academic Press, 1983));昆虫細胞抽出物(ICE)(Ezure, T et al. "A cell-free protein synthesis system from insect cells," Methods Mol. Biol. 607, 31-42 (2010);Kubick, S et al. in Current Topics in Membranes, Vol. 63 (ed. Larry DeLucas) 25-49 (Academic Press, 2009);Tarui, H. et al. "Establishment and characterization of cell-free translation/glycosylation in insect cell (Spodoptera frugiperda 21) extract prepared with high pressure treatment," Appl. Microbiol. Biotechnol. 55, 446-453 (2001));リーシュマニア・タレントラエ(Leishmania tarentolae)抽出物(Kovtun, O. et al. "Towards the construction of expressed proteomes using a Leishmania tarentolae based cell-free expression system," PLoS One 5, el4388 (2010);Mureev, S. et al. "Species-independent translational leaders facilitate cell-free expression," Nat. Biotechnol. 27, 747-752 (2009));ならびにHeLaおよびハイブリドーマ細胞抽出物(Mikami, S. et al. in Cell-Free Protein Production Vol. 607 Methods in Molecular Biology (eds. Yaeta Endo, Kazuyuki Takai, & Takuya Ueda) Ch. 5, 43-52 (Humana Press, 2010))から作製された系が含まれる。これらの真核生物溶解物は全て、研究者の間で一般的であり、広く入手可能である。
本開示によれば、無細胞タンパク質合成系として使用される細胞抽出物は、細胞溶解、高速遠心分離(30,000RCF)、事前インキュベーション、透析および低速遠心分離(4,000RCF)の逐次的ステップを含む方法によって調製され得る。本開示で使用される細胞は、好ましくは、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、コムギ胚芽、イネ胚芽、オオムギ胚芽、CHO細胞、ハイブリドーマ細胞および網状赤血球からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
本開示の有利な実施形態では、タバコBY−2細胞溶解物が好ましい。このタバコBY−2細胞溶解物は、例えば、Buntru et al. BMC Biotechnology 2014, 14:37およびBuntru et al, Biotechnology and Bioengineering, Vol. 112, No. 5, 2015, 867-878によって記載される方法によって調製され得る(実施例を参照のこと)。
表1には、本開示に従うDNAプロモーター構築物中に含まれる増強エレメントの一部の有利な実施形態が列挙される(図3を参照のこと)。エンハンサーエレメントV9は、先行技術(Buntru et al., 2015)の公知のエンハンサーエレメントである。先行技術で公知のエンハンサーエレメントとは対照的に、特に、エンハンサーエレメントV4、V5およびV8を含むプロモーター構築物は、驚くべきことに、非常に低い濃度で使用することができ、このことは、スクリーニングアッセイおよび/またはタンパク質スクリーニングおよび/または産生プラットホームにおけるそれらの使用にとって重要である。従って、本開示の一部の有利な実施形態では、本開示に従うプロモーター構築物および/またはタンパク質発現のための鋳型は、0.025μgと0.5μgとの間の濃度で、無細胞タンパク質合成系において、または方法および/もしくはタンパク質スクリーニングおよび/もしくは産生プラットホームにおいて使用される。
表2には、本開示に従うDNAプロモーター構築物の有利な実施形態が示される(配列番号3)。配列番号4は、プロモーター構築物のさらなる実施形態であり、配列番号5は、先行技術に開示されたプロモーター構築物である。配列番号1は、T7プロモーターエレメントと5’UTR配列エレメントとの間に増強エレメントを有さないプロモーター構築物の核酸配列であり、配列番号2は、T7プロモーターエレメントと5’UTR配列エレメントとの間に3つの核酸のみを有するプロモーター構築物の核酸配列である。配列番号6〜10は、元の転写開始部位を有さないRNAポリメラーゼのプロモーターエレメントの例である。配列番号11〜13は、元の転写開始部位を有さないRNAポリメラーゼのプロモーターエレメントの例である。配列番号14は、タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic virus)(TMV)由来のオメガ5’UTR配列の例であり、配列番号15は、タバコエッチウイルス(Tobacco etch virus)由来のオメガ5’UTR配列の例である。
本明細書で使用する場合、「発現鋳型」または「核酸鋳型」とは、ポリペプチドまたはタンパク質へと翻訳され得る少なくとも1つのRNAを転写するための基質として機能する核酸を指す。発現鋳型には、DNAまたはRNAから構成される核酸が含まれる。発現鋳型のための核酸として使用するためのDNAの適切な供給源には、ゲノムDNA、cDNA、およびcDNAへと変換され得るRNAが含まれる。ゲノムDNA、cDNAおよびRNAは、任意の生物学的供給源、例えば、とりわけ、組織サンプル、生検、スワブ、痰、血液サンプル、便サンプル、尿サンプル、剥離物由来であり得る。ゲノムDNA、cDNAおよびRNAは、宿主細胞またはウイルス起源由来であり得、現存生物および絶滅生物を含む任意の種由来であり得る。本明細書で使用する場合、「発現鋳型」、「核酸鋳型」および「転写鋳型」は、同じ意味を有し、相互交換可能に使用される。
本明細書で使用する場合、「翻訳鋳型」とは、ポリペプチドまたはタンパク質を合成するためにリボソームによって使用され得る発現鋳型からの転写のRNA産物を指す。用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」とは、本明細書で使用する場合、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含む)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む)、およびプリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドである任意の他の型のポリヌクレオチドを指す。用語「核酸」、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」の間には、長さの区別は意図されず、これらの用語は、相互交換可能に使用される。これらの用語は、分子の一次構造のみを指す。従って、これらの用語は、二本鎖および一本鎖DNA、ならびに二本鎖および一本鎖RNAを含む。本発明での使用のために、オリゴヌクレオチドは、塩基、糖またはリン酸骨格が改変されたヌクレオチドアナログ、ならびに非プリンまたは非ピリミジンヌクレオチドアナログもまた含み得る。
一部の有利な実施形態では、本開示に従う無細胞タンパク質合成系および方法では、タンパク質合成は、反応緩衝液の存在下で実現される。用語「反応緩衝液」または「反応混合物」とは、本明細書で使用する場合、無細胞タンパク質合成/発現を実施するために必要な試薬を含む溶液を指す。
DNA転写鋳型(またはRNA翻訳鋳型)からの無細胞タンパク質合成を促進するための反応緩衝液は、さらなるNTPを含み得、二価カチオン補因子もまた含まれ得る。反応混合物は、無細胞タンパク質合成を可能にするために必要な全ての試薬を含む場合、完全と言われる。
反応成分が、簡便さ、貯蔵安定性を理由として、または成分濃度の適用依存的な調整を可能にするために、成分全体のサブセットを各々が含む別々の溶液として慣用的に貯蔵されること、および反応成分が、完全な反応混合物を創出するために反応前に組み合わされることが、当業者に理解される。さらに、反応成分が、商業化のために別々に包装されること、および有用な市販のキットが、本発明の反応成分の任意のサブセットを含み得ることが、当業者に理解される。
前記無細胞タンパク質合成系を使用することによってタンパク質をin vitroで合成するための典型的な設定は、以下に記載される。溶解物アリコートは、−80℃での貯蔵から取られ、室温で解凍される。タンパク質発現を開始させるために、核酸鋳型(カップリングされた転写−翻訳反応の場合にはDNA、カップリングされていない転写−翻訳反応の場合にはmRNA)が、溶解物に添加され、さらにHEPES緩衝液、グルタミン酸マグネシウム、グルタミン酸カリウム、NTP(カップリングされた転写−翻訳反応についてはATP、GTP、CTPおよびUTP、カップリングされていない転写−翻訳反応についてはATPおよびGTP)、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、およびT7 RNAポリメラーゼ(カップリングされた転写−翻訳反応についてのみ)から構成される反応混合物が添加される。カップリングされた転写−翻訳反応およびカップリングされていない転写−翻訳反応の両方は、サーモミキサー中で25℃および700rpmで18時間実施される。標的タンパク質の性質に基づいて、合成されたタンパク質は、異なる方法、例えば、蛍光測定、酵素アッセイおよびSDS PAGEによって分析され得る。
タバコBY−2溶解物(BYL)の調製
脱液胞化(evacuolated)BY−2プロトプラストからの溶解物の調製を、顕著な改変を伴って、Komoda et al. (2004)およびGursinsky et al. (2009)に記載されたとおりに実施した。プロトプラストを、細胞を発酵培地中で3.5%(v/v)Rohament CLおよび0.2%(v/v)Rohapect UF(共にAB Enzymes、Darmstadt、Germanyから)で直接処理することによって、連続発酵の指数増殖期にある細胞から調製した。培地のモル浸透圧濃度を、360mMマンニトールの添加によって調整した。得られたプロトプラストを、0.7Mマンニトール、20mM MgClおよび5mM PIPES−KOH(pH7.0)中(下から上に)70%(v/v、3ml)、40%(v/v、5ml)、30%(v/v、3ml)、15%(v/v、3ml)および0%(3ml)のPercoll(GE Healthcare、Munich、Germany)を含む不連続Percoll勾配上に層状化した。スウィングバケットローター中で25℃で1時間の6,800gでの遠心分離後、脱液胞化プロトプラストを、40〜70%(v/v)のPercoll溶液界面から回収した。脱液胞化プロトプラストを、50mlのComplete EDTA−free Protease Inhibitor Mixture(Roche Diagnostics、Mannheim、Germany)当たり1錠を補充した3容積のTR緩衝液(30mM HEPES−KOH(pH7.4)、60mMグルタミン酸カリウム、0.5mMグルタミン酸マグネシウム、2mM DTT)中に懸濁し、Dounce組織グラインダー(Sigma−Aldrich、St.Louis、Missouri、USA)を30ストロークで使用して破壊した。核および非破壊細胞を、4℃で10分間の500gでの遠心分離によって除去した。次いで、上清を、−80℃で1mLアリコート中で凍結した。
バッチ反応におけるBYLのin vitro翻訳活性
BYLの性能を、プラスミドpIVEX_GAAAGA_Omega_Strep−eYFPを鋳型として使用してレポータータンパク質eYFPを産生することによって調査した。カップリングされた転写−翻訳反応を、インキュベーターシェーカー(Kuehner、Basel、Switzerland)中で25℃および500rpmで16時間、50μlアリコート中で実施した。標準的な反応は、40%(v/v)BYL、40mM HEPES−KOH(pH7.8)、8.5mMグルタミン酸マグネシウム、3mM ATP、1.2mM GTP、1.2mM CTP、1.2mM UTP、30mMクレアチンリン酸、0.1μg/μLクレアチンキナーゼ、80ng/μlベクターDNAおよび50ng/μl自家製T7 RNAポリメラーゼを含んだ。
eYFPからの蛍光シグナルを、485/20nm励起フィルターおよび528/20nm発光フィルターを備えたSynergy HT Multi−Mode Microplate Reader(Biotek、Bad Friedrichshall、Germany)を使用して定量化した。eYFPの量を、DNA鋳型なしのBYL転写−翻訳反応における異なる濃度のeYFPに基づく検量線を生成することによって決定した。eYFP標準を、BYL転写−翻訳系を使用して産生し、Strep−Tactin(登録商標)Sepharose(登録商標)によって精製した。精製されたeYFPの濃度を、比色アッセイ(Bradford, 1976)を使用して決定した。
鋳型ベクターの設計および試験
ベクターpIVEX_Omega_Strep−eYFP中の転写開始部位(tc s)を、オメガ5’UTR配列の上流の異なるヌクレオチドの付加によって改変した。合計で9つの異なるバリアントを設計し、pIVEX_Omega_Strep−eYFPベクター中に取り込んだ。ここで、バリアント1(V1)は、転写開始部位にさらなるヌクレオチドを有さない元の配列に対応し、V2〜V9は、8つの改変された配列を示す(図3)。
異なるベクターバリアント(V1〜V9)を、タバコBY2細胞から調製した無細胞BY−2溶解物(BYL)を使用するカップリングされた転写−翻訳系において比較した(Buntru et al., 2015)。N末端Strep−タグを含むモデルタンパク質eYFP(Strep−eYFP)の産生のために、50μlの反応容積当たり0.0625、0.0125、0.025、0.5、1、2、4および8μgの8つの異なる鋳型濃度のベクター(V1〜V9)を使用し、1サンプル当たり各々3つの独立した反応を調製した(図2)。転写開始部位にさらなるヌクレオチドを有さない元のオメガ配列(V1)は、全ての鋳型濃度においてeYFP蓄積をほとんどもたらさなかった。さらなるGAAトリプレットを有するオメガ配列(V2)は、50μlの反応当たり4または8μgのプラスミドの高い鋳型濃度でのみ、eYFP蓄積をもたらした。対照的に、バリアントV4、V5およびV8は、50μlのIVTT反応当たり0.25μgの低い鋳型濃度において最も高いeYFP収量を生じた。全体的な最も高いeYFP収量は、バリアントV4およびV7を使用して達成された。最も低い鋳型濃度における最も高いeYFP収量は、バリアントV4を使用して達成された。50μlの反応当たり0.0625μgの低い鋳型プラスミドが、溶解物1mL当たりおよそ1μgのeYFPの検出可能なeYFPシグナルをもたらした。
結果
図2は、8つの異なる鋳型濃度(50μlの反応容積当たり0.0625、0.0125、0.025、0.5、1、2、4および8μgのベクター(V1〜V9))で異なるバリアントのベクターpIVEX_Omegaを使用した、Strep−eYFPの発現を示す。これらのバリアントは、オメガ5’非翻訳領域の上流の転写開始点において異なるヌクレオチドを含む。反応を、25℃および500rpmで16時間、50μlスケールで実施した。eYFPからの蛍光シグナルを、485/20nm励起フィルターおよび528/20nm発光フィルターを備えた蛍光リーダーを使用して定量化した。eYFPの量を、DNA鋳型なしのBYL転写−翻訳反応における異なる濃度のeYFPに基づく検量線を生成することによって決定した。eYFP標準を、BYL転写−翻訳系を使用して産生し、Strep−Tactin(登録商標)Sepharose(登録商標)によって精製した。精製されたeYFPの濃度を、比色アッセイを使用して決定した。データは、各々3つの独立した転写−翻訳実験の平均および標準偏差を示す。
先行技術で公知のエンハンサーエレメントとは対照的に、特に、エンハンサーエレメントV4、V5およびV8を含むプロモーター構築物は、驚くべきことに、スクリーニングアッセイおよび/またはタンパク質スクリーニングおよび/または産生プラットホームにおけるそれらの使用にとって重要な非常に低い濃度で使用され得る。
参考文献

Claims (11)

  1. 標的ポリペプチドの効率的な無細胞タンパク質合成に適したDNAプロモーター構築物であって、5’−3’方向で、
    a)RNAポリメラーゼのプロモーターエレメント、
    b)転写開始部位を含む少なくとも6つ連続するヌクレオチドの増強エレメントであって、配列GGGAGA、GCAAGAまたはGGAAGAを含む、増強エレメント、
    c)5’UTR配列エレメント、および
    d)翻訳開始部位
    を含む、プロモーター構築物。
  2. 前記5’UTR配列エレメントが、タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic virus)(TMV)由来のオメガ5’UTR配列である、請求項1に記載のプロモーター構築物。
  3. RNAポリメラーゼの前記プロモーターエレメントが、T7プロモーターエレメントである、請求項1または2のいずれか一項に記載のプロモーター構築物。
  4. 前記DNAプロモーター構築物が、
    a)配列番号3に示される核酸配列、および
    b)a)と少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列
    からなる群から選択される配列を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロモーター構築物。
  5. 無細胞タンパク質合成のためのmRNAを効率的に合成するための転写鋳型であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロモーター構築物を含み、目的のポリヌクレオチドおよび/または遺伝子が、前記翻訳開始部位に連結されている、転写鋳型。
  6. a)請求項1〜4のいずれか一項に記載のDNAプロモーター構築物、
    b)前記プロモーター構築物に連結された目的のポリヌクレオチドおよび/または遺伝子、ならびに
    c)任意選択で、転写終結部位ポリアデニル化シグナル
    を含む、発現カセット。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のDNAプロモーター構築物を含む核酸ベクター。
  8. クローニングベクターおよび/または発現ベクターである、請求項7に記載の核酸ベクター。
  9. タンパク質合成に適した無細胞タンパク質合成系であって、
    a)原核細胞溶解物または真核細胞溶解物、
    b)反応緩衝液、ならびに
    c)請求項5〜8のいずれか一項に記載の転写鋳型および/または発現カセットおよび/または核酸ベクター
    を含み、前記真核細胞溶解物がタバコBY−2細胞溶解物である、無細胞タンパク質合成系。
  10. 無細胞タンパク質合成のための方法であって、請求項9に記載の無細胞タンパク質合成系を使用することによって、タンパク質をin vitroで合成するステップを含む、方法。
  11. 請求項9に記載の無細胞タンパク質合成系を含む、タンパク質スクリーニングおよび/または産生プラットホーム。
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