JP2020505309A - 不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの製造方法及びその得られる生成物 - Google Patents

不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの製造方法及びその得られる生成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、高電圧フラグメント化装置の使用による不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの製造方法、並びにそれらの得られる生成物及びそれらの使用に関する。さらに、本発明は、高電圧フラグメント化装置の使用並びに少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物を減少させるための分離ステップに関する。

Description

本発明は、高電圧フラグメント化装置の使用による不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの製造方法、並びにその得られる生成物及びその使用に関する。さらに、本発明は、高電圧フラグメント化装置の使用及び少なくとも1つの天然炭酸カルシウム中及び不純物含有材料中の不純物を減少させるための分離ステップに関する。
天然炭酸カルシウムは、紙、プラスチック、塗料、コーティング、コンクリート、セメント、化粧品、水処理及び/又は農業産業において最も一般的に使用される添加剤の1つである。特に、天然炭酸カルシウムは、いくつかの工業的に関連する用途において、充填剤及び/又は白色顔料として、粒子又は顔料の形態で使用される。例えば、天然炭酸カルシウムは、紙、プラスチック、コンクリート又はセメントに充填剤として添加され、より高価なマトリックス材料の消費を減少させ、及び/又は混合材料の少なくともいくつかの特性を改善する。最も重要な充填剤の中で、炭酸カルシウムは最大の市場量を占め、主にプラスチック分野で使用されている。あるいは、天然炭酸カルシウムは白色顔料として紙、塗料、インク、プラスチック、化粧品及び他の材料に添加して、波長選択的吸収の結果として光を反射又は透過させることによってこれらの製品を着色する。例えば、ヨーロッパの製紙業界単独で、白色顔料、特に炭酸カルシウムが、年間1000万トン超使用されている。
天然炭酸カルシウムは、岩石、例えば、大理石、石灰石、白亜などによくみられる物質で、真珠及び海洋生物、カタツムリ、卵の殻の主成分である。通常、天然炭酸カルシウムは採鉱によって得られる。その後、天然炭酸カルシウムは、例えば、サイクロン又は分級機によって、クラッシング(crushing)、グラインディング(grinding)、篩分け、及び分画などの湿式及び/又は乾式処理によって処理されなければならない。このような処理によって、巨大なスラブ、立方体又は塊の形態、又は大きな石、砂利又は砂の形態で通常採掘される天然炭酸カルシウムは、シュレッディング(shreding)及びクラッシングされ、その後、それぞれの用途に望ましい粒径を有するコミニューティング(comminuting)された天然炭酸カルシウムを得るためにグラインディングされる。
天然炭酸カルシウムは自然に見いだされる生成物であり、採掘によって得られるので、不純物を通常含有し、不純物は天然炭酸カルシウム粒子の特性に影響を与え、したがってそれらの使用に重大な欠点をもたらす可能性がある。したがって、不純物及び天然炭酸カルシウムは、不純物で汚染されていない、又はわずかにしか汚染されていない天然炭酸カルシウムを得るために、互いに分離されなければならない。
炭酸カルシウムなどの採掘石/岩石をシュレッディング、クラッシング及びグラインディングする処理及び方法、並びに不純物の含量が減少したフラグメント化鉱物を得るための分離法は既に知られている。
EP0941764号には、ミリング機を使用して鉱石をクラッシングする方法が開示されており、この方法は、鉱石及び粉砕部材をシェルの主ユニットに供給し、シェルの主ユニットを回転させるステップと、シェルの主ユニットの回転によってシェルの主ユニット内に粉砕部材を均一に分布させるステップと、粉砕部材の回転及び落下によって鉱石をクラッシングして所定の大きさの砕石にするステップとを含む。
EP2762233号は、鉱石材料又は岩石及び/又は特にスラグのコミニューティングのための方法及び装置に言及しており、鉱石は、湿式法では水の使用と組み合わせて、又は乾式法では水を使用しないでパルヴァライジング(pulverizing)される。EP2762233号のパルヴァライザーは、ミリングチャンバを形成する少なくとも2つの相互に可動なグラインディング要素から構成され、鉱石は、これら2つのクラッシング要素のうちの少なくとも1つの回転の形態での相対運動によってパルヴァライジングされる。
DE400229号には、鉱石をボールミルでグラインディングする湿式ミリング方法が開示されており、ボールミルが鉱石及びビーズ又はフリントを含むことを特徴とする。
CN105268532号は、鉱物分離技術の分野に特に適用される複合クラッシング及びグラインディングシステムについて言及する。複合クラッシング及びグラインディングシステムは、微細クラッシング装置及び鉱石グラインディング装置を含み、微細クラッシング装置は高圧ローラーミルであり、鉱石グラインディング装置は水平型ローラーミルであり、高圧ローラーミルの材料出力端は、水平型ローラーミルの材料入力端と連結される。
US4,671,464号は、鉱石様物質をコミニューティングして、ミル中で容易にかつより効率的にグラインディングされる不釣り合いに大量のよりフレーク状生成物を製造する方法及び装置に言及しており、この方法は、円錐状クラッシャーの入口の周囲全体に液体流を適用し、速度を増加させ、クラッシャーの投射を減少させて、概ねフレーク状の生成物を製造し、液体の存在下で鉱石をクラッシングし、鉱石及び液体スラリーをグラインディングミルに直接送ることを含む。
US3,990,966号は、カルサイト鉱石のスラリーをグラインディング及び形成し、浮遊剤の存在下でのカルサイトスラリーからの不純物の浮選によってカルサイトスラリーから前記不純物を分離し、得られるカルサイトスラリーを分級し、分級したカルサイトを増粘剤中に沈殿させ、生成物を乾燥させることによって、カルサイト鉱石を精製するための湿式方法に言及する。
CA1187212号は、浮選によってケイ酸塩を含有する炭酸塩鉱石を精製する方法に関し、ここで、鉱石は、不純物を放出するのに十分な微粉度までグラインディングされる。
US2013/200182号は、鉱石をクラッシング、グラインディング及びスライム除去して鉱石パルプを生成すること、鉱石パルプをコレクター試薬で調整すること、二酸化炭素と共に、より粗い浮選ステップ及びスカベンジャー浮選ステップにおけるケイ酸塩及び他の鉱物脈石からのアパタイト及び炭酸塩の優先浮選、並びにより清浄な浮選ステップ及びリクリーナー(recleaner)浮選ステップにおける炭酸塩からの選択的アパタイト浮選のうちの少なくとも1つを達成するために、浮選回路の少なくとも一部に二酸化炭素ガスを適用することを含む、火成及び堆積起源由来の実質的にケイ酸塩−炭酸塩のマトリックスを用いたリン酸塩鉱石からの泡沫浮選によってアパタイト濃縮物を得る方法に言及する。
US2010/021370号は、鉱石に少なくとも1つの一価イオン改質剤増強剤及び/又は泡沫相改質剤を添加すると共に、鉱石をクラッシングし、鉱石をグラインディングし、フラインディングされた鉱石を浮選処理にかけることによって、ケイ酸マグネシウム、粘液形成鉱物、及び/又は粘土を含有する鉱石からの価値ある硫化物又は貴重な鉱物の回収を強化する方法に言及する。
US4,663,279号は、銅、亜鉛、鉄及び他の鉱物の硫化物を含有する複合硫化物鉱石をクラッシング及びグラインディングし、グラインディングされた鉱石を分画浮選にかけて黄鉄鉱及び脈石から分離したバルク銅−亜鉛濃縮物を得、このバルク銅−亜鉛濃縮物を、マトリックス要素で満たされたオープンボア磁場を有する高勾配磁気セパレータに通し、磁性銅濃縮物及び非磁性亜鉛濃縮物を別々に回収することを含む、複合硫化物鉱石の選鉱方法について言及する。
炭酸カルシウムのような貴重な鉱物を不純物から分離することは、鉱石及び/又は岩石中の粒子が十分に小さく、炭酸カルシウムのような所望の鉱物及び不純物が組成物中に個々に存在する場合にのみ可能である。言い換えれば、所望の鉱物及び不純物を含む鉱石及び/又は岩石は、所望の鉱物及び不純物がある程度遊離されるように、分離の前にコミニューティングされなければならない。従来技術におけるコミニューション(comminution)は、通常グラインディングによって行われる。
しかし、不純物をグラインディングすると、いくつかの欠点が生じる。例えば、天然炭酸カルシウム内のケイ酸塩のような多量の不純物は、研磨特性を増加させる可能性があり、したがって、それぞれの用途に対して所望の粒度分布に到達するためにミリング/グラインディングされたとき、ミル及び/又はグラインディングビーズを損傷又は破壊する可能性がある。さらに、不純物は、天然炭酸カルシウム粒子を含む最終製品に、例えば、灰色又は黄色などの変色を誘発する可能性がある。一般に、このような変色は、不純物もコミニューティングされる場合、より大きく、より顕著である。さらに、天然炭酸カルシウム及び不純物を一緒にグラインディングした後、両方の粒子画分は、ほぼ同じ粒径を有し、したがって、特に篩分けによって、又は振盪台上で、天然炭酸カルシウムから不純物を分離することは、より困難である。さらに、不純物をグラインディングした後、これらの粒子は、より大きな体積比表面を有し、したがって、コミニューティングされた天然炭酸カルシウムから不純物を分離するために、泡沫浮選処理においてより多量のコレクター剤を使用しなければならない。また、これまで使用されてきたコレクター剤の多くは、水生及び環境に危険であると考えられている。さらに、グラインディングは大量の微細な粒子、大量の貴重な鉱物の微細な粒子も生成する。この微細な粒子は、その後の分離ステップを妨げ、例えば、尾鉱において微細な粒子のかなりの損失をもたらす可能性がある。さらに、微細な粒子の泡及び微細な粒子の生成物スラリーを脱水するためには、より高度な装置及びさらに高いエネルギー支出が必要であろう。
欧州特許出願公開第0941764号明細書 欧州特許出願公開第2762233号明細書 独国特許出願公開第400229号明細書 中国特許出願公開第105268532号明細書 米国特許第4,671,464号明細書 米国特許第3,990,966号明細書 カナダ国特許1187212号明細書 米国特許出願公開第2013/200182号明細書 米国特許出願公開第2010/021370号明細書 米国特許第4,663,279号明細書
したがって、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを製造するための改良された方法であって、既知の方法に関連して上記した問題の1つ以上を回避又は減少させる方法が必要である。天然炭酸カルシウム及び不純物を含有する材料からフラグメント化天然炭酸カルシウムを製造するためのこのような改良された方法は、特に、ミル及び/又はグラインディング媒体の損傷又は破壊を減少又は回避すべきである。さらに、フラグメント化天然炭酸カルシウム粒子を含む最終製品の変色は、減少されるか又は回避されるべきである。また、価値ある材料の微細な粒子の生成は減少されるか、回避されるべきである。さらに、この方法は扱いやすく、生態学的な方法であるべきである。また、有効性は満足できるものでなければならない。上記目的の少なくともいくつかは、本発明によって解決された。
本発明の一態様によれば、以下のステップを含む不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの製造方法が提供される。
i)少なくとも1つ天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を提供するステップ、
ii)任意選択的に、ステップi)の材料をクラッシングするステップ、
iii)水性溶媒を提供するステップ、
iv)ステップii)のクラッシングされた材料又はステップi)の材料をステップiii)の水性溶媒と接触させて、水性組成物を調製するステップ、
v)ステップiv)の水性組成物を、高電圧フラグメント化装置を用いて高電圧パルスフラグメント化に供するステップであって、印加電圧は100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加されるステップ、及び
vi)フラグメント化水性組成物から不純物を1つ以上のステップで分離し、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得るステップ。
本発明者らは、驚くべきことに、請求項1による不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの調製方法が、請求項1のステップv)による高電圧フラグメント化装置による高電圧パルスフラグメント化処理に起因して有利であることを見出した。本発明者らは、驚くべきことに、請求項1に記載の装置及び特定のパラメータを用いる高電圧パルスフラグメント化によって、クラッシング/シュレッディングされた天然炭酸カルシウム及び不純物を含有する材料をコミニューティング/フラグメント化して、天然炭酸カルシウム粒子及び不純物が少なくとも部分的に遊離する粒子を得ることが可能であることを見出した。その後、不純物は、フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料から分離されて、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得る。不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得るために、フラグメント化水性天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料から不純物を分離する前に、グラインディングステップを行う必要はない。
このように、請求項1による本発明の方法により、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを調製することができ、ミル及び/又はグラインディングビーズの損傷又は破壊が減少又は回避される。さらに、炭酸カルシウム及び不純物がミル中でコミニューティングされないので、フラグメント化天然炭酸カルシウム粒子を含む最終製品の変色を減少又は回避することができる。また、本発明の方法は、効果的で、取り扱いが容易で、生態学的である。さらに、微細な粒子の形成が回避又は減少される。特に、これは、請求項1のステップv)において印加電圧が100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数が0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離が10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加される、高電圧フラグメント化装置を使用することによって達成される。
本発明の第2の態様は、本出願に記載される方法によって得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムに関する。
本発明の第3の態様は、紙、プラスチック、塗料、コーティング、コンクリート、セメント、化粧品、水処理及び/又は農業用途における、本発明の方法によって得られる、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの使用に関し、紙中の不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、好ましくは、抄紙機のウェットエンド処理において、タバコ紙、板紙、及び/又はコーティング用途において、又は輪転グラビア印刷及び/又はオフセット印刷及び/又はインクジェット印刷及び/又は連続インクジェット印刷及び/又はフレキソ印刷及び/又は電子写真及び/又は装飾表面の支持体として使用される。
本発明の第4の態様は、少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物を減少させるための高電圧フラグメント化装置の使用であって、前記材料を、A)印加電圧は100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加される、高電圧フラグメント化装置を使用することによる高電圧パルスフラグメント化、及びB)フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料から不純物を1つ以上のステップで分離して、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得ることに供することによって、少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物を減少させるための高電圧フラグメント化装置の使用に関する。
本発明の有利な実施形態は、対応する従属請求項において定義される。
一実施形態によると、ステップi)の材料は、分離ステップvi)の前及び該ステップ中にグラインディングされない。
別の実施形態によれば、該方法は、好ましくは少なくとも1つのグラインディング助剤の存在下で、ステップvi)から得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムをグラインディングするさらなるステップvii)を含む。
別の実施形態によれば、ステップa)の天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の炭酸カルシウムの量は、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料の乾燥重量を基準として、80.0〜99.9重量%、好ましくは天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料の乾燥重量を基準として、90.0〜99.5重量%、より好ましくは95.0〜99.3重量%、最も好ましくは98.0〜99.0重量%である。
別の実施形態によると、ステップii)におけるクラッシングは、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、複合クラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマーミル、及びミネラルサイザーからなる群から選択される1つ以上クラッシャーにおいて実施され、好ましくは、ジョークラッシャーにおいて実施される。
別の実施形態によれば、ステップiii)の水性溶媒は水からなる。
別の実施形態によると、a)印加電圧は、120〜220kVの範囲、好ましくは140〜200kVの範囲、最も好ましくは150〜180kVの範囲であり、及び/又はb)パルス繰り返し数は、0.5〜5.0Hzの範囲、好ましくは0.6〜4.0Hzの範囲、最も好ましくは0.9〜3.0Hzの範囲であり、及び/又はc)装置の電極間の距離は、15〜200mmの範囲、好ましくは18〜100mmの範囲、最も好ましくは20〜40mmの範囲であり、及び/又はd)天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり120〜500間のパルス、好ましくは140〜400の間、最も好ましくは150〜320の間が印加される。
別の実施形態によれば、ステップv)で得られるフラグメント化材料は、100〜3000μm、好ましくは200〜2500μm、最も好ましくは250〜2000μmのトップカット粒径d98を有する粒子の形態である。
別の実施形態によると、ステップvi)における分離は、密度分離器、好ましくは回転流動床濃縮器若しくは振盪台、泡沫浮選機、センサ系選別機、好ましくはX線選別機、近赤外選別機若しくは光学選別機、静電分離器及び/又は磁気分離器からなる群から選択される1つ以上の分離器において実施され、好ましくは泡沫浮選機において実施される。
ホルマン−ウィルフリー800振盪台の設定の略図を示す。
本発明の目的について、以下の用語は以下の意味を有することを理解すべきである。
本発明の意味における「天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料」は、炭酸カルシウム(CaCO)及び不純物を含む、例えば、大理石、石灰石、ドロマイト又は白亜などの天然源から得られる炭酸カルシウム含有材料である。天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、天然炭酸カルシウムと不純物含有材料の総重量を基準として、30重量%又は50重量%又は70重量%という低いCaCOの最小含量を有し得る。本発明による天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、分離ステップの前に、ミリング及び/又はグラインディング装置で、乾式又は湿式のいずれかで、ミリング及び/又はグラインディングされていない。
用語「ミリング」及び「グラインディング」並びに「ミリング装置」及び「グラインディング装置」は、当業者に知られている。本発明の意味において、ミリング及びグラインディングは、ミリング及びグラインディングされた材料のコミニューションが、主に二次体との衝突、すなわち、自生粉砕ミル、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心インパクトミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、又は当業者に知られた他のそのような装置のうちの1つ以上における衝突から生じる条件を指す。ミリング及び/又はグラインディング中、天然炭酸カルシウム及び不純物は、約5〜100mmのトップカット粒径d98から約100〜2000μmのトップカット粒子サイズd98までほぼ等しくコミニューティングされる。約5〜100mmのトップカット粒径d98を有する天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、通常は巨大なスラブ、立方体若しくは塊の形態又は大きな石、砂利若しくは砂の形態で採掘される天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料をクラッシング及び/又はシュレッディングすることによって得られる。
用語「クラッシング」及び「シュレッディング」並びに「クラッシング装置」及び「シュレッディング装置」は、当業者に知られている。本発明の意味において、クラッシング及びシュレッディングは、クラッシング又はシュレッディングされた材料のコミニューションが、主に、クラッシング装置の2つの平行な又は接線上の固体表面の間に天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を保持し、その分子が互いに分離(フラクチャリング(fracturing))するか、又は互いに関連して整列を変化させる(変形)ようにクラッシングされる材料内に十分なエネルギーを生成するように表面を接合するのに十分な力を加えることによって得られる条件を指す。クラッシング又はシュレッディングは、例えば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、複合クラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマーミル、ミネラルサイザー、又は当業者に知られた他のそのような装置で実施することができる。約5〜100mmのトップカット粒径d98を有する天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、通常は巨大なスラブ、立方体若しくは塊の形態又は大きな石、砂利若しくは砂の形態で採掘される天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料をクラッシング及び/又はシュレッディングすることによって得られる。本発明によれば、材料をクラッシング及び/又はシュレッディングすることは、材料をグラインディング又はミリングすることとは異なる。
本発明の意味における「不純物」は、他の天然材料も含む炭酸カルシウムの化学組成とは異なる物質である。当業者は、物質の化学組成が炭酸カルシウムの化学組成と異なるかどうかを決定する方法を知っている。従来技術における一般的な方法は、例えば、反射光及び入射光顕微鏡又はX線粉末回折である。
本発明に係る「不純物含量が減少した」とは、このような材料が、このような分離ステップ前の同じ材料と比較して、これらの不純物を分離した後の材料の総重量を基準としてより少ない不純物を含むことを意味する。
本発明の意味における「フラグメント化」天然炭酸カルシウムは、高電圧パルスフラグメント化によってコミニューティングされた天然炭酸カルシウムを指す。本発明の意味における「高電圧パルスフラグメント化」は、反復放電を生成する高電圧フラグメント化装置内で実施される。電気エネルギーは、処理液に浸漬された材料に印加される。水のような誘電性液体は、電圧上昇時間が500ns未満に保たれると高い絶縁耐力を有する。その結果、放電が浸漬された物質から強制される。次いで、導入された電気エネルギーは音響衝撃波に変換され、その結果、材料内に大きな引張応力体制が生じる。したがって、高電圧パルスフラグメント化及び装置は当業者に知られており、例えば、スイスのSelfrag AGから市販されている。
本文書全体を通して、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料、天然炭酸カルシウム、不純物及び他の材料の「粒径」は、その粒径の分布によって記載される。値dは、粒子のx重量%がd未満の直径を有する直径を表す。これは、d20値は全粒子の20重量%がより小さい粒径であり、d75値は全粒子の75重量%がより小さい粒径であることを意味する。したがって、d50値は重量中央粒径であり、すなわち、全粒子の50重量%がこの粒径より大きく、50重量%がこの粒径より小さい。d98値は、全粒子の98重量%がその粒径より小さい粒径である。d98値は「トップカット」とも呼ばれる。本発明の目的について、粒径は、特に指定のない限り、トップカット粒径d98として特定される。粒径は、DIN 66165−1:2016−08パート1及びパート2に従って篩分けにより測定した。篩分けは、ISO 3310−1:2001−09パート1(ISO 3310−1:2000)に従い、金属線布の試験篩を用いて実施される。
本発明の意味における「水性組成物」又は「スラリー」は、不溶性固体、及び溶媒又は液体として少なくとも水、及び任意にさらなる添加剤を含み、通常は大量の固体を含み、したがって、それが形成される液体よりも粘性であり、より高い密度であり得る。
本発明の目的について、水性組成物の「固形分」は、全ての溶媒又は水が蒸発した後に残存する材料の量の尺度である。
本発明の意味における用語「分離」又は「分離処理」は、天然炭酸カルシウムのような化学物質及び不純物の混合物を、混合物と呼ぶことができる2つ以上の異なる生成物混合物(そのうちの少なくとも1つは、混合物の成分の1つ以上に富む)に変換する方法を指す。場合によっては、分離によって混合物をその純粋な成分に完全に分けることができる。本発明による分離は、混合物の成分間の、大きさ、形状、質量、密度、表面の色又は化学的親和性のような混合物の成分の化学的特性又は物理的特性の相違に基づく。
用語「含む(comprising)」が、本説明及び特許請求の範囲において使用される場合、それは、機能的に重要な、又は機能的に重要でない他の明記されていない要素を除外しない。本発明の目的について、用語「からなる(consisting of)」は、「から構成される(comprising of」の好ましい実施形態であると考えられる。以下、ある群が、少なくとも特定の数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくは、これらの実施形態のみからなる群を開示すると理解されるべきである。
用語「含む(including)」又は「有する(having)」が使用される場合は常に、これらの用語は、上記で定義される「含む(comprising)」と同等であることを意味する。
単数形名詞に言及する際に不定冠詞又は定冠詞、例えば、「a」、「an」又は「the」が用いられる場合、他に何か具体的に述べられない限り、これにはその名詞の複数形が含まれる。
「得ることができる」又は「定義できる」及び「得られる(た)」又は「定義される(た)」などの用語は、互換的に使用される。これは、例えば、文脈が別段の明確な指示をしない限り、用語「得られる(た)」は、例えば、ある実施形態が、例えば、用語「得られる(た)」に続くステップの順番によって得られなければならないことを示すことを意味しないが、そのような限定的な理解は常に好ましい実施形態として用語「得られる(た)」又は「定義され(る)た」に含まれるということを意味する。
<図>
図1は、ホルマン−ウィルフリー800振盪台の設定の略図を示す。
以下に、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの調製方法の詳細及び好ましい実施形態をより詳細に記載する。これらの実施形態又は詳細は、本発明の方法によって得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムにも、また本発明の方法によって同様に得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの発明の使用にも当てはまることを理解すべきである。さらに、これらの実施形態又は詳細は、少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物を減少させるための、本発明による高電圧フラグメント化装置の使用にも当てはまる。
<天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料>
本発明の方法のステップi)は、少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有鉱物を提供することを指す。
「炭酸カルシウム」又は「天然炭酸カルシウム」は、石灰石又は白亜などの堆積岩、又は変成大理石岩から採掘された炭酸カルシウムの天然の形態であると理解される。炭酸カルシウムは、カルサイト、アラゴナイト、バテライトの3種類の結晶多形体として存在することが知られている。最も一般的な結晶多形であるカルサイトは、炭酸カルシウムの最も安定な結晶形態であると考えられる。アラゴナイトはあまり一般的ではなく、不連続又はクラスター化した針状斜方晶構造を有する。バテライトは最も稀な炭酸カルシウム多形体であり、一般に不安定である。炭酸カルシウムはほとんどカルサイト多形に限られており、これは三方晶系−菱面体晶と呼ばれ、炭酸カルシウム多形の中で最も安定である。本願の意味における炭酸カルシウムの用語「供給源」は、それから炭酸カルシウムが得られる天然の鉱物材料を指す。炭酸カルシウムの供給源は、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウムなどのような天然に存在する成分をさらに含むことができる。炭酸カルシウムの供給源は、例えば、大理石、白亜、カルサイト、ドロマイト、石灰石、又はそれらの混合物から選択することができる。
本発明の一実施形態によれば、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、大理石、白亜、石灰石、ドロマイト及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは大理石である。
本発明の意味における「大理石」は、再結晶炭酸塩鉱物、最も一般的にはカルサイト又はドロマイトから構成される炭酸カルシウム含有変成岩である。
本発明の意味における「白亜」は、鉱物カルサイトから構成される、柔らかく、白色で、多孔質で、堆積性の炭酸塩岩である。
本発明の意味における「石灰石」は堆積岩である。その主な材料は鉱物カルサイト及びアラゴナイトである。
本発明の意味における「ドロマイト」は、炭酸カルシウム含有岩石である。その主な材料は、CaMg(CO(「CaCO・MgCO」)の化学組成を有する炭酸カルシウム−マグネシウム−鉱物である。ドロマイト岩石は、ドロマイトの総重量を基準として、少なくとも30.0重量%、好ましくは35.0重量%超、より好ましくは40.0重量%超のMgCO、理想的には45〜46重量%のMgCOを含むことができる。
好ましくは、天然炭酸カルシウムは、ただ1つの炭酸カルシウムからなることができる。あるいは、天然炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムの異なる供給源から選択される2つの炭酸カルシウムの混合物からなってもよい。天然炭酸カルシウムはまた、炭酸カルシウムの異なる供給源から選択される2つ以上の炭酸カルシウムの混合物を含んでもよい。例えば、天然炭酸カルシウムは、ドロマイトから選択される1つの炭酸カルシウムと、カルサイト大理石から選択される1つの天然炭酸カルシウムとを含んでもよい。本発明の1つの好ましい実施形態によれば、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の天然炭酸カルシウムは、カルサイト大理石のみからなる。
天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、上記で定義される天然炭酸カルシウム及び不純物を含有するものである。本発明の意味における「不純物」は、炭酸カルシウムの化学組成とは異なる物質である。
本発明に従う方法によって除去又は減少されるべき不純物は、例えば、灰色、黒色、褐色、赤色、若しくは黄色、又は天然炭酸カルシウムの白色外観に影響を及ぼす任意の他の色を有する化合物であり、このためフラグメント化天然炭酸カルシウム粒子を含む最終製品の変色をもたらす可能性がある。あるいは、除去又は減少されるべき不純物は、白色であるが、天然炭酸カルシウムとは異なる物理的特性を有し、このため天然炭酸カルシウム、ひいては天然炭酸カルシウムを含む最終製品にも悪影響を与える。
本発明の一実施形態によれば、不純物は、硫化鉄、酸化鉄/水酸化鉄、グラファイト、ケイ酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましい実施形態によれば、出発物質、例えば、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、硫化鉄から選択される不純物を含んでいてもよい。
本発明の意味における硫化鉄又は硫酸鉄は、広範囲の化学量論式及び異なる結晶構造を含む鉄及び硫黄の化合物であると理解される。例えば、硫化鉄は、硫化鉄(II)FeS(マグネトパイライト(nagnetopyrite))又は磁硫鉄鉱Fe1−xS(式中、xは0〜0.2である)であることができる。硫化鉄はまた、二硫化鉄(II)FeS(黄鉄鉱又は白鉄鉱)であってもよい。硫化鉄は、鉄及び硫黄以外の他の元素、例えば、ニッケルをマッキノー鉱(Fe、Ni)1+xS(式中、xは0〜0.1である)の形態で含有することもできる。
天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物は、酸化鉄であってもよい。
本発明の意味における酸化鉄は、鉄及び酸化物から構成される化合物であると理解される。酸化鉄は、例えば、ウスタイトとしても知られる酸化鉄(II)FeO、マグネタイトとしても知られる酸化鉄(I,III)Fe、及びヘマタイトとしても知られる酸化鉄(III)Feを含む。酸化鉄には、元素鉄及び酸素の下に追加元素の水素を含む鉄水酸化物及び鉄オキシ水酸化物も含まれる。鉄水酸化物は、例えば、水酸化鉄(II)Fe(OH)及び水酸化鉄(III)Fe(OH)(バーナル石としても知られる)を含む。鉄オキシ水酸化物は、例えば、角柱針状結晶を形成する針鉄鉱としても知られるα−FeOOH、斜方晶系結晶構造を形成する鱗鉄鉱としても知られるγ−FeOOH、六方晶系に結晶化するフェロキシハイトδ−FeOOH、及びフェリハイドライトFeOOH・0.4HOを含む。酸化鉄は、例えば、シュバートマン石としても知られるFe(OH)(SO)・nHO中の硫黄、又はアカガネイトとしても知られるFeO(OH,Cl)中の塩化物などの追加の元素も含むことができる。
天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、グラファイトから選択される不純物を含むことができる。
本発明の意味におけるグラファイトは、炭素の同素体であると理解される。天然のグラファイトには、結晶性鱗状グラファイト、非晶質グラファイト、塊状グラファイトの3つの主な種類がある。結晶性鱗状グラファイト(略して鱗状グラファイト)は、単離された平らな平板状の粒子で、破損していなければ六角形の縁をもち、破損すると縁は不規則又は角張った形をとることがある。非晶質グラファイトは微細な粒子として存在し、石炭の熱変態、すなわち石炭化の最終段階の結果物であり、時にメタ無煙炭と呼ばれる。非常に微細な鱗状グラファイトは、この業界内でときに非晶質と呼ばれる。塊状(lump)グラファイト(鱗状(vein)グラファイトとも呼ばれる)は割れ目充てん鉱床又は裂け目に発生し、線維性又は針状結晶性凝集体の塊状の板状相互成長として現れる。
あるいは、白色顔料及び不純物含有材料中の不純物は、ケイ酸塩であってもよい。ケイ酸塩は着色性でも研磨性でもよい。
本発明の意味におけるケイ酸塩又はケイ酸塩鉱物は、ケイ素及び酸素を含む化合物であると理解される。さらに、ケイ酸塩は、例えば、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン又はカルシウムイオンなどのさらなるイオンを含むことができる。ケイ酸塩及びケイ酸塩鉱物は、ネオケイ酸塩、ソロケイ酸塩、シクロケイ酸塩、イノケイ酸塩、フィロケイ酸塩、及びテクトケイ酸塩並びに非晶質ケイ酸塩から選択することができる。ネオケイ酸塩は、SiO四面体が単離され、隣接物として金属イオンを有するケイ酸塩鉱物である。一般に知られているネオケイ酸塩は、ジルコン、ケイ酸亜鉛鉱、かんらん石、ムライト、フォルステライト、アルミノケイ酸塩又は鉄かんらん石である。ソロケイ酸塩は、ケイ素対酸素比が2:7の単離した二重四面体群を有するケイ酸塩鉱物である。一般に知られているソロケイ酸塩は、イラバイト(ilavite)、ゲーレン石、エピドート又はコーネルピンである。シクロケイ酸塩は、ケイ素対酸素比が1:3である、結合したSiO四面体の環を含む環状ケイ酸塩である。一般に知られているシクロケイ酸塩は、ベニトナイト(benitonite)、緑柱石又はトルマリンである。イノケイ酸塩又は鎖状ケイ酸は、ケイ酸塩四面体の連結鎖を有するケイ酸塩鉱物であり、単鎖の場合は1:3の比率でSiOを、二重鎖の場合は4:11の比率でSi11を有する。一般に知られているイノケイ酸塩は、頑火輝石、珪灰石、ロードナイト(rhodenite)、透輝石又は角閃岩、例えば、グリューネセン石、カミントン石、緑閃石(actinolithe)又は角閃石である。フィロケイ酸塩は、Si又は2:5のケイ素酸素比を有するケイ酸塩四面体の平行シートを形成するシート状ケイ酸塩である。一般に知られているフィロケイ酸塩は、粘土鉱物、例えば、タルク、カオリン、カオリン質粘土、ハロイサイト、ディッカイト、バーミキュライト、ノントロナイト、海泡石又はモンモリロナイト、雲母鉱物、例えば、黒雲母、白雲母、金雲母、リチア雲母若しくは海緑石、又は亜塩素酸塩鉱物、例えば、クリノクロアである。テクトケイ酸塩又は立体網状ケイ酸塩は、SiO四面体又は1:2のケイ素酸素比を有するケイ酸塩四面体の三次元骨格を有する。一般に知られているテクトケイ酸塩は、石英鉱物、例えば、石英、鱗珪石及びクリストバライト、長石鉱物、例えば、正長石及びマイクロライン(microline)を含むカリウム長石、斜長石、曹長石及び中性長石又は柱石を含むナトリウム又はカルシウム長石、及びゼオライト(zeolithe)である。非晶質ケイ酸塩は、例えば、珪藻土又はオパールである。
ケイ酸塩は、石英、雲母、角閃岩、長石、粘土鉱物及びそれらの混合物からなる群から選択することができ、好ましくは、石英であり得る。
本発明の方法は、石英及び/又は追加のケイ酸塩からなる不純物から天然炭酸カルシウムを分離するために特に企図される。例えば、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物は、石英のみからなる。あるいは、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物は、ケイ酸塩、例えば、雲母及び/又は長石のみからなる。好ましい実施形態によると、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物は、石英、雲母及び長石からなる。
あるいは、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物(単数又は複数)は、白色を有するケイ酸塩を含むことができる。例えば、不純物は、ケイ酸塩、例えば、珪灰石、カオリン、カオリン質粘土、モンモリロナイト、タルク、珪藻土又は海泡石を含むことができる。本発明の好ましい実施形態において、不純物は白色を有するケイ酸塩からなり、より好ましくは、不純物は1種類の白色ケイ酸塩のみからなる。例えば、不純物は、珪灰石、カオリン、カオリン質粘土、モンモリロナイト、タルク、珪藻土又は海泡石のみからなっていてもよい。本発明の方法に従って得られ、分離されるこれらの不純物は、さらに処理し、適切な用途に使用することができる。白色ケイ酸塩のみを含有し、好ましくは本発明の方法によって得られた1つの白色ケイ酸塩のみを含有する不純物は、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムと同じ方法で使用することができる。
一実施形態によれば、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、1種類の不純物のみを含む。好ましくは、不純物は硫化鉄又はケイ酸塩であり、好ましくは、黄鉄鉱、石英、雲母、及び長石からなる群から選択される。
別の実施形態によると、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、少なくとも2つの異なる種類の不純物を含む。例えば、不純物は硫化鉄及びケイ酸塩を含む。本発明の好ましい実施形態によると、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、黄鉄鉱、石英、雲母、及び長石を含む。
天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、さらなる物質、例えば、ヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄、窒素を含んでもよい炭化水素のような有機汚染物質を含み得る。このような有機汚染物質は、例えば、アンスラックソライト(anthraxolithe)、シュンガ石、油臭石灰岩又はキアストライトである。
本発明の好ましい実施形態において、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、天然炭酸カルシウム及び不純物のみからなる。
ステップi)の天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の炭酸カルシウムの量は、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料の乾燥重量を基準として、30.0〜99.9重量%、又は50.0〜99.9重量%、又は70.0〜99.9重量%であることができる。
好ましい実施形態において、ステップi)の天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の炭酸カルシウムの量は、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料の乾燥重量を基準として、80.0〜99.9重量%、好ましくは90.0〜99.5重量%、より好ましくは95.0〜99.3重量%、最も好ましくは98.0〜99.0重量%である。
本発明の別の実施形態によると、ステップ1)の天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の炭酸カルシウム:不純物の量は、天然炭酸カルシウム及び不純物の乾燥重量を基準として、30:70〜99.9:0.1、又は天然炭酸カルシウム及び不純物の乾燥重量を基準として、50:50〜99.9:0.1又は70:30〜99.9:0.1である。好ましくは、ステップ1)の天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の炭酸カルシウム:不純物の量は、天然炭酸カルシウム及び不純物の乾燥重量を基準として、80.0:20.0〜99.9:0.1、より好ましくは天然炭酸カルシウム及び不純物の乾燥重量を基準として、90.0:10.0〜99.5:0.5、さらにより好ましくは95.0:5.0〜99.7:0.3、最も好ましくは98.0:2.0〜99.0:1.0である。
ステップi)の天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の天然炭酸カルシウム及び不純物の総量は、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料の総重量に対して、少なくとも90重量%、好ましくは天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料の総重量に対して、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%に相当することができる。
<天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料のクラッシング>
本発明の方法のステップii)は、ステップi)の材料を任意にクラッシングすることを指す。
本発明による天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、採鉱によって得ることができ、したがって、巨大なスラブ、立方体若しくは塊の形態、又は大きな石、砂利若しくは砂の形態であってもよい。この場合、この材料は、それをステップv)の高電圧パルスフラグメント化に供する前に、さらにコミニューティングされなければならない。
「クラッシング」は、当業者に知られており、クラッシングされた材料のコミニューションは主に、クラッシング装置の2つの平行な又は接線上の固体表面の間に天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を保持し、その分子が互いに分離(フラクチャリング)するか、又は互いに関連して整列を変化させる(変形)ようにクラッシングされる材料内に十分なエネルギーを生成するように表面を接合するのに十分な力を加えることによって得られる条件を指す。
クラッシング装置は当業者に知られており、市販されている。本発明の一実施形態によると、クラッシングは、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、複合クラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマーミル、及びミネラルサイザーからなる群から選択される1つ以上クラッシャーにおいて実施され、好ましくは、ジョークラッシャーにおいて実施される。
ジョークラッシャーは、粒子を破壊するために圧縮力を使用し、この機械的圧力は、一方が固定され、他方が往復運動するクラッシャーの2つのジョーによって達成される。ジョー又はトグルクラッシャは、1組の垂直ジョーからなり、一方のジョーは静止状態に保たれ、固定ジョーと呼ばれ、他方のジョーはスイングジョーと呼ばれ、カム又はピットマン機構によって固定ジョーに対して前後に移動する。ジョークラッシャーは、例えば、ドイツのmetso社からC120の商品名で、又はスウェーデンのAubema社からCJ613の商品名で、又はインドのAmbica社から入手可能である。
ジャイレトリークラッシャーは、基本概念においてジョークラッシャーに類似しており、凹面及び円錐ヘッドからなり、両面は典型的にはマンガン鋼表面で裏打ちされている。内錐はわずかに円運動をするが、回転しない。その代わり、運動は偏心配置によって生じる。ジャイレトリークラッシャーは、例えば、ドイツのThyssen Krupp社からKB 54−67、KB 54−75又はKB 63−114の商品名で入手可能である。
コーンクラッシャーはジャイレトリークラッシャーとほぼ同じ動作で、クラッシングチャンバの傾きがより小さく、クラッシングゾーン間の平行ゾーンが多い。コーンクラッシャーは、耐摩耗性のマントルで覆われた偏心回転スピンドルと、マンガンの凹面又はボウルライナーで覆われた包囲凹面ホッパーとの間で岩を絞ることによって岩を砕く。コーンクラッシャーは、複合コーンクラッシャー、スプリングコーンクラッシャー、油圧式コーンクラッシャー、ジャイレトリークラッシャーの4種類に分けられる。コーンクラッシャーは、例えば、カナダのWestpro社からCSH900、NCC1200又はCF900の商品名で入手可能である。
複合クラッシャーは、高容量クラッシングチャンバと、固定打撃ブレードと、2つの衝撃プレートと、高容量で高減速比を達成することが可能であるローターの周りに効果的に配置された1つのグラインディング経路とを有するダブルロータ一次インパクトクラッシャーである。複合クラッシャーは、例えば、日本の(株)アーステクニカからAP−6C、AP−7BrC又はAP−7SCの商品名で入手可能である。
インパクトクラッシャーは、材料をクラッシングするために圧力ではなく衝撃の使用を伴う。材料は、パルヴァライジングされた材料が漏出することができるように、底部、端部、又は側部に所望のサイズの開口部を備えるケージ内に収納される。インパクトクラッシャーには、水平軸インパクタと垂直軸インパクタの2つの種類がある。インパクトクラッシャーは、例えば、米国のStedman社からMega−Slam MS4230又はMega−Slam MS6490の商品名で入手可能である。
ハンマーミルは、小さなハンマーを繰り返し打つことで、骨材を細かくシュレッディングまたは、クラッシングすることを目的とするミルである。ハンマーミルは、例えば、米国のSchutte Buffalo社から18シリーズCirc−U−Flow Hammer Mill又は44シリーズCirc−U−Flow Hammer Millの商品名で入手可能である。
ミネラルサイザーの基本概念は、直径の小さな軸上に、直接高トルク駆動システムによって低速で駆動される大きな歯を有する2つのローターを使用することである。このデザインはサイザー技術を用いて材料を破壊する際に相互作用する3つの主要な原理を生み出す。独自の原理は、3段階破壊作用、回転スクリーン効果、及びディープスクロール歯型である。ミネラルサイザーは、例えば、英国のMining Machinery Developments(MMD)から500シリーズ、1000シリーズ又は1500シリーズの商品名で入手可能である。
巨大なスラブ、立方体若しくは塊の形態、又は大きな石、砂利若しくは砂の形態で通常採掘される天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料をクラッシングすることによって、約5〜100mmのトップカット粒径d98を有する天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を得る。ステップii)の後に得られる天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、好ましくは5〜80mm、より好ましくは5〜60mm、最も好ましくは5〜50mmの範囲のトップカット粒径d98を有することができる。
しかし、採掘された天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料が、すでに約5〜100mmのトップカット粒径d98を有する場合、クラッシングステップは必要ない。このような場合、請求項1に記載の方法は、クラッシングステップii)なしで実施される。
本発明の好ましい実施形態によると、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、100mmを超えるトップカット粒径d98を有し、したがって、クラッシングステップii)は必須である。
本発明によれば、ステップi)の天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、分離ステップvi)の前又は間にグラインディングされない。本発明によれば、材料をクラッシング及び/又はシュレッディングすることは、材料をグラインディング又はミリングすることとは異なる。
本発明の意味におけ「ミリング」又は「グラインディング」は、ミリング又はグラインディングされた材料のコミニューションが、主に二次体との衝撃から生じる条件を指す。ミリング及び/又はグラインディング中、天然炭酸カルシウム及び不純物は、約5〜100mmのトップカット粒径d98から約100〜2000μmのトップカット粒径d98までほぼ等しくコミニューティングされる。約5〜100mmのトップカット粒径d98を有する天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、通常は巨大なスラブ、立方体若しくは塊の形態又は大きな石、砂利若しくは砂の形態で採掘される天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料をクラッシング及び/又はシュレッディングすることによって得られる。
ミリング又はグラインディングは、当業者に知られており、任意の従来のグラインディング装置、すなわち、自生粉砕ミル、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心インパクトミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、又は当業者に知られた他のそのような装置のうちの1つ以上において実施することができる。炭酸カルシウム含有鉱物粉末が湿式重質炭酸カルシウム含有鉱物材料を含む場合、グラインディングステップは、自生グラインディングが起こるような条件下で、並びに/又は水平ボールミリング、及び/若しくは当業者に知られた他のこのような方法によって実施することができる。ミリング又はグラインディングは、乾式又は湿式のいずれかで行うことができる。
<水性溶媒の提供>
本発明の方法のステップiii)によれば、水性溶媒が提供される。
本発明に係る「水性溶媒」は、水、及び任意に水と混和性であるさらなる溶媒を含む溶液である。好ましくは、任意のさらなる溶媒は不燃性である。
本発明の水は、処理水又は脱塩水であってよい。好ましい実施形態によると、水は脱塩水である。本発明の意味における「脱塩水」又は「脱イオン水」とは、ナトリウム、カルシウム、鉄、及び銅のようなカチオン、並びに塩化物及び硫酸塩のようなアニオンのような、そのミネラルイオンのほとんど全てが除去された水を指す。当業者は、脱塩水の調製法を知っている。
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップiii)の水性溶媒は水からなる。
<クラッシングされた材料を接触させて水性組成物を調製すること>
本発明のステップ(iv)によれば、ステップ(ii)のクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料をステップ(iii)の水性溶媒と接触させて、水性組成物を調製する。
接触は、水性組成物又は混合物を形成するために1ステップ又は数ステップで実施することができる。
本発明の一実施形態によれば、ステップ(iv)は、ステップ(ii)のクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料を第1のステップで提供するステップ、及びその後ステップ(iii)の水性溶媒を添加するステップを含む。本発明の別の実施形態によれば、ステップ(iv)は、第1のステップにおいて、ステップ(iii)の水性溶媒を提供するステップ、及びその後ステップ(ii)のクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料を添加するステップを含む。さらに別の実施形態によれば、ステップ(ii)の少なくとも1つのクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料及びステップ(iii)の水性溶媒を同時に接触させる。好ましい実施形態によると、ステップ(iv)は、ステップ(ii)のクラッシングされた材料、すなわち、クラッシングされた天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料、又はステップ(i)の材料を第1のステップで提供するステップ、及びその後ステップ(iii)の水性溶媒を添加するステップを含む。
ステップ(iii)の水性溶媒を一定の流量で添加することができる。あるいは、ステップ(iii)の水性溶媒を、ステップ(ii)のクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料に1ステップで加えてもよい。ステップ(iii)の水性溶媒を、ステップ(ii)のクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料に、複数ステップで添加することも可能である。あるいは、ステップ(iii)の水性溶媒を、ステップ(ii)のクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料に、同一量でないポーション、すなわち、より多いポーション及びより少ないポーションで添加することも可能である。
別の実施形態によれば、ステップ(iv)は、ステップ(ii)のクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料をステップ(iii)の水性溶媒と、1ステップ又は複数ステップで接触させて、水性組成物を得ることからなる。
接触ステップ(iv)は、当技術分野で知られた任意の手段によって実施することができる。例えば、ステップ(ii)のクラッシングされた材料又はステップ(i)の材料及びステップ(iii)の水性溶媒を、噴霧及び/又は混合によって接触させることができる。噴霧又は混合に適した処理装置は当業者に知られている。
本発明の一実施形態によれば、方法のステップ(iv)は噴霧によって実施される。本発明の別の実施形態によれば、方法のステップ(iv)は、混合によって実施される。
ステップ(iv)における混合は、当業者に知られた任意の従来の手段によって達成することができる。当業者は、彼の方法の装置に従って、混合速度及び温度のような混合条件を適合させるであろう。さらに、混合は均質化条件下で行うことができる。
例えば、混合及び均質化は、プラウシェアミキサーを用いて実施することができる。プラウシェアミキサーは、機械的に作られた流動床の原理によって機能する。プラウシェアブレードは、水平円筒ドラムの内壁の近くで回転し、混合物の成分を生成物床から開放混合空間に運ぶ。機械的に作られた流動床は、大きなバッチさえも非常に短時間で確実に激しく混合する。乾式操作で塊を分散させるために、チョッパー及び/又は分散機が用いられる。本発明の処理に使用できる装置は、例えば、ドイツのGebrueder Loedige Maschinenbau GmbHから、又はドイツのVISCO JET Ruhrsysteme GmbHから入手可能である。
本発明の別の実施形態によれば、ステップiv)は、少なくとも1秒間、好ましくは少なくとも1分間、例えば、少なくとも10分間、15分間、30分間、45分間又は60分間実施される。好ましい実施形態によれば、ステップiv)は、1秒〜60分の範囲の時間、例えば、30秒間又は1分間又は2分間、好ましくは15分〜45分の範囲の時間実施される。例えば、混合ステップiv)は30分間±5分間実施される。
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップiv)は、20〜120℃の範囲の温度で、及び/又は1秒〜60分の範囲の時間、例えば、30秒間又は1分間又は2分間実施される。
また、例えば、得られた混合物の所望の固形分又はブルックフィールド粘度を制御及び/又は維持及び/又は達成するために、方法のステップ(iv)中に追加の水を導入することができることも、本発明の範囲内である。一実施形態によると、ステップiv)で得られた水性組成物は、水性組成物の総重量を基準として、50〜80重量%、好ましくは水性組成物の総重量を基準として55〜75重量%、最も好ましくは60〜70重量%の固形分を有する。得られた水溶液のブルックフィールド粘度は10〜10000mPa・s、好ましくは50〜1000mPa・sである。
<高電圧パルスフラグメント化>
本発明のステップv)によれば、ステップiv)の水性組成物は、高電圧フラグメント化装置を使用することにより高電圧パルスフラグメント化を受け、ここで印加電圧は100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加される。このような手順により、フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料が得られる。
したがって、「高電圧パルスフラグメント化」及び装置は当業者に知られており、市販されている。より正確には、高電圧パルスフラグメント化は、鉱物又は相の境界に沿った材料の遊離又は脆弱化を可能にし、このためパルス電力技術、物理的(電気的)材料の不連続性、及び高電圧並びに機械工学的技術の組合せにより汚染を伴うことなく、制御された選択的フラグメント化を可能にする技術である。高電圧フラグメント化装置は、反復放電を生成する。電気エネルギーは、水性溶媒に浸漬された(クラッシングされた)天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を含む、ステップiv)の水性組成物に加えられる。水のような誘電性液体は、電圧上昇時間が500ns未満に保たれていると高い絶縁耐力を有する。その結果、クラッシングされた天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料から放電が強制される。導入された電気エネルギーは音響衝撃波に変換され、クラッシングされた天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料内に大きな引張応力体制が生じる。
(クラッシングされた)天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物、並びに欠陥、例えば、(クラッシングされた)天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の結晶欠陥は、このような材料の電気的特性及び音響的特性の不連続性をもたらす可能性がある。誘電率の不連続性は、粒界における電場を増強し、放電チャネルを境界に強いる。生成したプラズマの突然の膨張は、10000barまでの局部圧力の衝撃波を生成する。衝撃波と音響的不連続性の相互作用は、これらの界面に引張応力を集中させる。
高電圧パルスフラグメント化は、これらの効果を使用して、鉱物又は相の境界に沿って物質を遊離させ、粒子境界に沿って物質を弱め、又は汚染を導入することなく物質のサイズを減少させる。高電圧パルスフラグメント化は、「電気パルスフラグメント化」又は「電気パルス分離」の表題の下でも知られている。
原理的には、高電圧フラグメント化装置は、フラグメント化される材料のための容器、容器内の少なくとも2つの電極、及びパルス高電圧を生成するための装置を備える。
本発明のステップv)によれば、ステップiv)の水性組成物は、高電圧フラグメント化装置を用いて高電圧パルスフラグメント化を受け、ここで印加電圧は100〜250kVの範囲である。好ましい実施形態では、印加電圧は120〜220kVの範囲、より好ましくは140〜200kVの範囲、最も好ましくは150〜180kVの範囲である。
本発明によれば、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲である。好ましい実施形態において、パルス繰り返し数は0.5〜5.0Hzの範囲、より好ましくは0.6〜4.0Hzの範囲、最も好ましくは0.9〜3.0Hzの範囲である。本発明の意味における「パルス繰り返し数」は、Hzで測定される。用語「パルス繰り返し数」は、本発明に従って「周波数」という用語と同義で使用される。
本発明によれば、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲である。好ましい実施形態によれば、装置の電極間の距離は、15〜200mmの範囲、より好ましくは18〜100mmの範囲、最も好ましくは20〜40mmの範囲である。
本発明によれば、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加される。好ましい実施形態によれば、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり、120〜500の間のパルス、より好ましくは140〜400の間、最も好ましくは150〜320の間が印加される。
本発明の一実施形態によると、a)印加電圧は、120〜220kVの範囲、好ましくは140〜200kVの範囲、最も好ましくは150〜180kVの範囲、又はb)パルス繰り返し数は、0.5〜5.0Hzの範囲、好ましくは0.6〜4.0Hzの範囲、最も好ましくは0.9〜3.0Hzの範囲、又はc)装置の電極間の距離は、15〜200mmの範囲、好ましくは18〜100mmの範囲、最も好ましくは20〜40mmの範囲、又はd)天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり、120〜500の間のパルス、好ましくは140〜400の間、最も好ましくは150〜320の間で印加される。
本発明の別の実施形態によると、a)印加電圧は、120〜220kVの範囲、好ましくは140〜200kVの範囲、最も好ましくは150〜180kVの範囲、及びb)パルス繰り返し数は、0.5〜5.0Hzの範囲、好ましくは0.6〜4.0Hzの範囲、最も好ましくは0.9〜3.0Hzの範囲、及びc)装置の電極間の距離は、15〜200mmの範囲、好ましくは18〜100mmの範囲、最も好ましくは20〜40mmの範囲、及びd)天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり、120〜500の間のパルス、好ましくは140〜400の間、最も好ましくは150〜320の間で印加される。
本発明の一実施形態によると、高電圧パルスフラグメント化のパラメータは、ステップv)中に修正されてもよい。例えば、装置の電極間の距離は、ステップv)中に減少され得る。本発明の1つの例示的実施形態によると、ステップv)の開始時の装置の電極間の距離は、40mmである。ステップv)中、装置の電極間の距離は、30mmに、最終的には20mmに減少される。減少は、連続法であってもよく、又は複数のステップ、例えば、2つ以上のステップ、例えば、3つ、4つ、又は5つのステップで実施されてもよい。
したがって、高電圧パルスフラグメント化及び装置は、当業者に知られており、例えば、スイスのSelfrag AGから市販されている。
本発明の例示的実施形態によると、Selfrag Lab S2.1 Labor Fragmentieranlage装置が使用され、ここで印加電圧は170kVであり、パルス繰り返し数は2.0Hzであり、装置の電極間の距離はステップv)の開始時に40mmであり、次いで30mmに減少され、最終的に20mmに減少され、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり160パルスが印加される。
本発明の別の例示的実施形態によると、Selfrag Lab S2.1 Labor Fragmentieranlage装置が使用され、ここで印加電圧は160kVであり、パルス繰り返し数は1.0Hzであり、装置の電極間の距離はステップv)の開始時に40mmであり、次いで30mmに減少され、最終的に20mmに減少され、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり300パルスが印加される。
このような手順により、フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有物質が得られる。本発明の一実施形態によれば、ステップv)で得られるフラグメント化材料は、100〜3000μm、好ましくは200〜2500μm、最も好ましくは250〜2000μmのトップカット粒径d98を有する粒子の形態である。
<フラグメント化水性組成物からの不純物の分離>
本発明のステップvi)によれば、不純物は、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得るために、1以上のステップにおいて、フラグメント化水性組成物から分離される。本発明に係る「不純物含量が減少した」とは、このような材料が、このような分離ステップ前の同じ材料と比較して、これらの不純物を分離した後の材料の総重量を基準としてより少ない不純物を含むことを意味する。
分離装置は当業者に知られており、市販されている。本発明の一実施形態によると、ステップvi)における分離は、密度分離器、好ましくは回転流動床濃縮器若しくは振盪台、泡沫浮選機、センサベースの選別機、好ましくはX線選別機、近赤外線選別機若しくは光学選別機、静電分離器及び/又は磁気分離器からなる群から選択される1つ以上の分離器において実施され、好ましくは泡沫浮選機において実施される。
密度分離は、異なる鉱物は異なる密度を持ち得るという原理に基づいている。これらの物質の比重に応じて、それらを分離することが可能である。密度分離器は、例えば、回転流動床濃縮器又は振盪台である。他の知られた密度分離器は、例えば、空気テーブル、螺旋分級機、ハイドロサイクロン又はジグである。
回転流動床濃縮器は、その回転中心で供給される急速に回転するボウルである。それは遠心力を利用して、ボウルの傾斜壁に沿って上向きに流れる薄い液膜で輸送される粒子を分離する。沈降の差により、高密度の粒子と粗い粒子はボウル内で濃縮されるが、軽くて細かい粒子は溢水と共に排除される。ボウルの速い回転速度は、重力の数百倍の高い遠心力を生じる。ボウルの底部では、インペラーがボウルの回転を供給物に伝達し、この供給物は、遠心力によって、回転しているボウルの基部に当たるとすぐに上方に流れ出る。回転流動床濃縮器は、例えば、英国のFalcon Concentrators Inc.からFalcon L40の商品名で入手可能である。
本発明の1つの例示的実施形態によると、分離装置は、200gの遠心加速に相当するドラム回転速度、約2L/分のスラリー供給流、及び約4L/分の流動化水流で操作される回転流動床濃縮器、好ましくはFalcon L40である。
振盪台は、原料の粒子粒をその比重、密度、大きさ、形状の違いにより分離する薄層せん断流処理装置である。台のデッキは、振動器を使用して与えられる主軸に沿った往復運動又は偏心ヘッド運動を有し、台表面は、リフル又は溝と呼ばれるいくつかのテーパ状ストリップを備えて製造されている。振盪台は、例えば、英国のHolman−Wilfley社からHolman 800の商品名で入手可能である。
本発明の例示的実施形態によると、分離装置は、軸方向に約−0.6°の勾配、横方向に約−6.5°の勾配、及び3つの出口流れのためのスプリッタープレートを有し、乾燥粉末供給速度約56g/分及び総水流量約10.7L/分で操作される振盪台、好ましくはHolman 800である。
泡沫浮選機は、長方形又は円筒形の機械的に撹拌されたセル又はタンク、浮選カラム、Jamesonセル又は脱インキ浮選機などの装置であり、泡沫浮選を行うことができる。空気吸収法で分類すると、2つの異なる浮選装置、すなわち、空気圧機械と機械式マシーンがある。泡沫浮選機は、例えば、フィンランドのOutotec社からSkimAir浮選ユニット又はTankcellの商品名で入手可能である。
浮選方法は、従来の浮選方法又は逆浮選方法であることができる。本発明の意味における「従来の浮選方法」又は「直接浮選方法」は、所望の天然炭酸カルシウム粒子がその中で直接浮遊し、生成した泡から回収され、不純物を含有する懸濁液を残す浮選方法である。本発明の意味における「逆浮選方法」又は「間接浮選方法」は、不純物がその中で直接浮選し、生成した泡から回収され、所望の天然炭酸カルシウム粒子を含有する懸濁液を残す浮選方法である。本発明の例示的実施形態によると、浮選方法は逆浮選方法である。さらに、コレクター剤を泡沫浮選方法において使用することができる。本発明の意味における「コレクター剤」は、化学吸着又は物理吸着のいずれかによって想定される粒子によって吸着される化合物である。コレクター剤は不純物の表面をより疎水性にする。コレクター剤は、当業者に知られており、市販されている。
センサベースの選別機は、粒子がセンサ技術によって単独で検出され、次いで、増幅された機械的、水圧的、又は空気圧的方法によって排出される選別機である。本発明による好ましいセンサベースの選別機は、X線選別機、近赤外選別機又は光学選別機である。X線選別機は、例えば、米国のSteinert社からSteinert XSS Tの商品名で入手可能であり、近赤外選別機は、例えば、米国のSteinert社からSteinert NISの商品名で入手可能である。
静電分離器は、低エネルギー荷電ビーム中で質量によって粒子を分離する装置である。静電分離器の動作原理はコロナ放電であり、2枚のプレートが近接して配置され、高電圧が印加される。この高電圧は、イオン化された粒子を分離するために使用される。静電分離器は、例えば、ドイツのHamosからHamos EMS又はHamos KMSの商品名で入手可能である。
磁気セパレータによって、磁力を用いて混合物から磁気感受性材料を抜き出すことができる。磁気分離器は、例えば、ドイツのHamosからHamos HS又はHamos FFSの商品名で入手可能である。
本発明者らは、驚くべきことに、請求項1に記載の方法によって、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを調製することが可能であることを見出した。少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を任意にクラッシングすること、(クラッシングされた)材料を水性溶媒と接触させること、高電圧フラグメント化装置を使用して、得られた水性組成物を高電圧パルスフラグメント化に供すること、及びその後にフラグメント化水性組成物から不純物を分離して、不純物含量が減少されたフラグメント化天然炭酸カルシウムを得ることの組み合わせは、不純物含量が減少されたフラグメント化天然炭酸カルシウムを含有する材料を得るために、不純物をフラグメント化水性天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料から分離する前にグラインディングステップを実施する必要がないため、有利である。このように、請求項1に記載の本発明の方法により、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを調製することができ、ミル及び/又はグラインディングビーズの損傷又は破壊が減少又は回避される。さらに、フラグメント化天然炭酸カルシウム粒子を含む最終製品の変色を減少又は回避することができる。天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料がミルでコミニューティングされないためである。さらに、本発明の方法は、扱いやすく、生態学的な方法であり、有効性は満足のいくものである。本発明の方法によって、微細な粒子の形成も回避又は減少させることができる。
分離ステップvi)の後に得られるフラグメント化天然炭酸カルシウム中の不純物の量は減少する。より正確には、ステップvi)で得られた不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウム中の不純物の量は、ステップi)で提供される材料中の不純物の量よりも、少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、さらにより好ましくは少なくとも5重量%、最も好ましくは少なくとも10重量%少ない。例えば、ステップvi)で得られた不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウム中の不純物の量は、ステップi)で提供される材料中の不純物の量よりも0.5重量%〜40重量%の間、好ましくは1重量%〜35重量%の間、より好ましくは5重量%〜32重量%の間、さらにより好ましくは10重量%〜25重量%の間、最も好ましくは15重量%〜25重量%の間少ない。しかし、一実施形態において、ステップvi)で得られた不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウム中の不純物の量は、ステップi)で提供される材料中の不純物の量よりも少なくとも50重量%少ない。
不純物は、フラグメント化天然炭酸カルシウム粒子を含む最終製品に、例えば、灰色又は黄色などの変色を誘発する可能性がある。本発明の方法によって得られるフラグメント化天然炭酸カルシウムでは、不純物の量が減少するので、不純物の含量が減少した得られたフラグメント化天然炭酸カルシウム及び最終製品の変色も減少し得る。
本発明の一実施形態によれば、ステップvi)で得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムのTAPPI輝度が改善される。より正確には、ステップvi)で得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムのTAPPI輝度は、ステップi)で提供される材料のTAPPI輝度よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%高い。
本発明の別の実施形態によれば、ステップvi)で得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの黄色指数が減少する。より正確には、ステップvi)で得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの黄色指数は、ステップi)で提供される材料の黄色指数よりも少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%低い。
<追加の方法のステップ>
一実施形態によれば、本発明の方法は、好ましくは少なくとも1つのグラインディング助剤の存在下で、ステップvi)から得られた不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムをグラインディングするさらなるステップvii)を含む。したがって、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの調製方法は、以下のステップを含むことができる。
i)少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を提供するステップ、
ii)ステップi)の材料を任意にクラッシングするステップ、
iii)水性溶媒を提供するステップ、
iv)ステップii)のクラッシングされた材料又はステップi)の材料をステップiii)の水性溶媒と接触させて、水性組成物を調製するステップ、
v)ステップiv)の水性組成物を、高電圧パルスフラグメント化装置を用いて高電圧パルスフラグメント化に供するステップであって、印加電圧は100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加されるステップ、
vi)粉砕された水性組成物から不純物を1つ以上のステップで分離し、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得るステップ、及び
vii)好ましくは、少なくとも1つのグラインディング助剤の存在下、ステップvi)から得られた不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムをグラインディングするステップ。
グラインディングステップは、当業者に周知の全ての技術及びグラインダーによって実施することができる。グラインディングステップは、例えば、コミニューションが主として二次体との衝撃から生じるような条件下で、すなわち、自生粉砕ミル、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、遠心インパクトミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、又は当業者に知られた他のそのような装置のうちの1つ以上において、従来の粉砕装置を用いて実施することができる。グラインディングステップは、バッチ式又は連続的に、好ましくは連続的に実施することができる。
好ましい実施形態によると、グラインディング助剤は、ステップvii)中に添加することができる。グラインディング助剤は、それぞれグリコール又はアルカノールアミンのような非イオン性又はカチオン性グラインディング助剤であることができる。存在する場合、これらのグラインディング助剤は、一般に、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの表面積に対して、0.1〜5mg/mの量である。
本発明の別の実施形態によれば、ステップvi)の前、ステップvi)中、又はステップvi)の後に、1つ以上の添加剤を水性懸濁液に添加することができる。考えられる添加剤は、例えば、pH調整剤、溶媒(水、有機溶媒(複数可)及びそれらの混合物);抑制剤、例えば、デンプン、ケブラコ、タンニン、デキストリン及びグアーガム;及び高分子電解質、例えば、ポリホスフェート及び水ガラスであり、これらは、しばしば、抑制効果と組み合わされて分散効果を有する。既知の他の慣用の添加剤は、発泡剤(frother)(発泡剤(foaming agent))、例えば、メチルイソブチルカルビノール、トリエトキシブタン、松油、テルピネオール及びポリプロピレンオキシド及びそのアルキルエーテルであり、中でも、メチルイソブチルカルビノール、トリエトキシブタン、松油、テルピネオールが好ましい発泡剤である。好ましい実施形態によれば、添加剤は、pH調整剤、溶媒、抑制剤、高分子電解質、発砲剤、コレクター剤及びそれらの混合物を含む群から選択される。
本発明の別の実施形態によれば、本発明の方法は、任意のステップii)又はステップi)の後かつ好ましくはステップiii)の前に、150mm以下の、好ましくは100〜10mmの、より好ましくは80〜20mmの、最も好ましくは70〜30mmの開口サイズを有する1つ以上のスクリーンの使用によるスクリーニング及び前記スクリーンによって保持された1以上の過大画分を除去するさらなるステップviii)を含む。例えば、40mmの開口サイズを有する1つ以上のスクリーンが使用され、前記スクリーンによって保持される過大画分が除去される。
本発明の別の実施形態によれば、本発明の方法は、任意のステップii)又はステップi)又はステップviii)の後かつ好ましくはステップiii)の前に、1mm以上、好ましくは25〜3mm、より好ましくは20〜5mm、最も好ましくは15〜8mmの開口サイズを有する1つ以上のスクリーンの使用によるスクリーニング及び前記スクリーンを通過した1つ以上の過小画分が除去されるさらなるステップix)を含む。例えば、10mmの開口サイズを有する1つ以上のスクリーンが使用され、前記スクリーンによって保持される過小画分が除去される。
あるいは、本発明による方法は、任意のステップii)又はステップi)の後かつ好ましくはステップiii)の前に、150mm以下、好ましくは100〜10mm、より好ましくは80〜20mm、最も好ましくは70〜30mmの開口サイズを有する1つ以上のスクリーンの使用によるスクリーニング及び該スクリーンによって保持される1つ以上の過小画分を除去するさらなるステップx)を含んでもよい。例えば、50mmの開口サイズを有する1つ以上のスクリーンが使用され、前記スクリーンによって保持される過小画分が除去される。
本発明の別の実施形態によれば、本発明による方法は、ステップv)の後かつ好ましくはステップvi)の前に、1500μm以下、好ましくは1300〜500μm、より好ましくは1200〜600μm、最も好ましくは1100〜750μmの開口サイズを有する1つ以上のスクリーンの使用によるスクリーニング及び前記スクリーンによって保持される1つ以上の過大画分を除去するさらなるステップxi)を含む。
不純物含量が減少した得られたフラグメント化天然炭酸カルシウムは、さらに処理されてもよく、例えば、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、水性懸濁液から分離されてもよく、及び/又は洗浄ステップ及び/又は表面処理ステップ及び/又は乾燥ステップにかけてもよい。
不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、当業者に既知の任意の従来の分離手段によって水性組成物から分離することができる。
本発明の一実施形態によれば、本発明による方法は、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを、好ましくは遠心分離又は濾過によって、機械的に脱水するステップをさらに含む。機械的脱水方法の例は、例えば、ドラムフィルター又はフィルタープレスによる濾過、ナノ濾過、又は遠心分離である。あるいは、脱水は熱を用いて実施することができる。熱による脱水方法の例は、例えば、蒸発器内での熱の適用による濃縮方法である。好ましい実施形態によると、機械的脱水は、濾過及び/又は遠心分離によって実施される。
本発明の一実施形態によれば、該方法は、特に、分離ステップvi)がコレクター剤を用いた泡沫浮選によって行われる場合、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを水で洗浄するステップをさらに含む。不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、水及び/又は適当な溶媒、好ましくは水で洗浄することができる。好適な溶媒は当技術分野で知られており、例えば、4〜14個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、エーテル及びジエーテル、グリコール、アルコキシル化グリコール、グリコールエーテル、アルコキシル化芳香族アルコール、芳香族アルコール、それらの混合物、又はそれらと水との混合物である。例えば、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを、水及び/又は適当な溶媒、好ましくは水で1回、2回又は3回洗浄することができる。
分離後、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを乾燥させて、不純物含量が減少した乾燥されたフラグメント化天然炭酸カルシウムを得ることができる。本発明の方法の一実施形態によれば、乾燥は、60〜200℃の範囲、好ましくは80〜150℃の範囲の温度で実施することができる。好ましくは、乾燥は、不純物含量が減少した乾燥されたフラグメント化天然炭酸カルシウムの含水率が、不純物含量が減少した乾燥されたフラグメント化天然炭酸カルシウムの総重量を基準として0.01〜5重量%の間になるまで実施される。
一般に、乾燥ステップは、任意の適切な乾燥装置を用いて実施することができ、例えば、蒸発器、フラッシュ乾燥機、オーブン、噴霧乾燥機及び/又は真空チャンバのような装置を使用する、熱乾燥及び/又は減圧下での乾燥を含むことができる。乾燥ステップは、減圧、周囲圧力、又は高圧下で行うことができる。100℃未満の温度については、減圧下で乾燥ステップを実施することが好ましい場合がある。
<不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウム>
不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、本発明の方法によって得ることができる。
より正確には、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、以下のステップを含む方法によって得ることができる。
i)少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を提供するステップ、
ii)ステップi)の材料を任意にクラッシングするステップ、
iii)水性溶媒を提供するステップ、
iv)ステップii)のクラッシングされた材料又はステップi)の材料をステップiii)の水性溶媒と接触させて、水性組成物を調製するステップ、
v)ステップiv)の水性組成物を、高電圧フラグメント化装置を用いて高電圧パルスフラグメント化に供するステップであって、印加電圧は100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加されるステップ、及び
vi)フラグメント化水性組成物から不純物を1つ以上のステップで分離し、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得るステップ。
一実施形態によると、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、100〜3000μm、好ましくは200〜2500μm、最も好ましくは250〜2000μmのトップカット粒径d98を有する粒子の形態である。
<不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの使用>
本発明の方法により得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、紙、プラスチック、塗料、コーティング、コンクリート、セメント、化粧品、水処理及び/又は農業用途に使用することができ、紙中の不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、抄紙機のウェットエンドステップ、タバコ紙、板紙、及び/若しくはコーティング用途に、又は輪転グラビア印刷及び/若しくはオフセット印刷及び/若しくはインクジェット印刷及び/若しくは連続インクジェット印刷及び/若しくはフレキソ印刷及び/若しくは電子写真及び/若しくは装飾表面の支持体として使用するのが好ましい。
<少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物を減少させるための高電圧フラグメント化装置の使用>
本発明によれば、少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物を減少させるための高電圧フラグメント化装置の使用は、該材料を以下に供することによって提供される。
A)印加電圧は100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加される高電圧フラグメント化装置を使用することによる高電圧パルスフラグメント化、及び
B)フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料から不純物を1つ以上のステップで分離して、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得ること。
本発明によれば、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料は、分離ステップB)の前及び分離ステップB)中にはグラインディングされない。
<実験>
<1.測定方法>
<粒状材料の粒度分布(直径<Xの粒子の質量%)及びトップカット粒径(d98)>
粒度分布(PSD)及び相関するトップカット粒径d98は、DIN 66165−1:2016−08パート1及びパート2に従った篩分けにより測定した。篩分けは、ISO 3310−1:2001−09パート1(ISO 3310−1:2000)に従い、金属線布の試験篩を用いて行う。
<スラリー中の材料の重量固形分(重量%)>
重量固形分は、固体材料の重量を水性スラリーの総重量で割ることによって決定した。固体材料の重量は、スラリーの水相を蒸発させて、得られた材料を一定の重量まで乾燥させることによって得られた固体材料を秤量することにより決定する。
<不純物含量の測定>
0.5gの天然炭酸カルシウム及び不純物含有鉱物、天然炭酸カルシウム又は不純物をX線回折(XRD)により分析する。まずRetsch社のラボディスクミルでサンプルをミリングし、乾燥機で20〜40分間、60℃で乾燥させる。Bruker D8 Advance粉末回折計を用いてブラッグの法則に従ってサンプルを分析した。この回折計は、2.2kWのX線管、サンプルホルダー、Θ−Θゴニオメーター、及びVÅNTEC−1検出器からなる。ニッケルフィルター処理したCu Kα放射線を全ての実験で用いた。プロファイルは、毎分0.7°のスキャン速度及び2Θで0.007°のステップサイズを用いて自動的に記録したチャートであった。得られた粉末回折パターンを、ICDD PDF 2データベースの参照パターンに基づいて、DIFFRACplusソフトウェアパッケージEVA及びSEARCHを用いて鉱物含量によって分類した。回折データの定量分析は、多相サンプル中の異なる相の量の決定を意味し、DIFFRACplusソフトウェアパッケージTOPASを使用して実施する。
<2.クラッシングされた天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料>
実施例1〜3について、カルサイト大理石を天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料として使用する。カルサイト大理石は、以下の表に見られるように、実施例によって、異なる量の不純物を含む。不純物の量を、天然炭酸カルシウムと不純物含有材料の総重量を基準として、重量%で示す。この材料をRetsch社のジョークラッシャーBB300でクラッシングし、DIN規格66165−1:2016−08に従って、ISO規格3310−1:2000に従う40mmのスクリーン上で0〜40mmに、その後ISO規格3310−1:2000に従う10mmのスクリーン上で10〜40mmにスクリーニングする。トップカット粒径d98が40mmの得られたクラッシングされた天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を実施例1〜3で用いる。
Figure 2020505309
<3.実施例>
<実施例1>
クラッシングされた天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料500gを10リットルの反応容器に入れ、Selfrag装置(Selfrag Lab S2.1 Labor Fragmentieranlage)のパルス電極が脱塩水と接触するように脱塩水に浸漬した。2Hzのパルス繰り返し数、170kV(キロボルト)の印加電圧、及び40mmの初期電極距離を用いて高電圧フラグメント化を実施し、印加された80パルスにわたって前記電極距離を20mmに減少させ、約450μmのd50及び2000μmのトップカット粒径d98を有する0〜2000μmの材料のフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を得た。こうして得られたフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を、DIN規格66165−1:2016−08に従って、ISO規格3310−1:2000に従う1mmのスクリーン上でスクリーニングし、その後乾燥させて、0〜1000μmのフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料画分を得た。
フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料画分を水と混合して、フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を基準として14重量%の固形分を有する水性スラリーを得た。前記水性スラリーを、バッチモードで操作される密度選別のためのFalcon社の回転流動床濃縮システムL40に供した。ドラム回転速度は200gの遠心加速に相当し、スラリー供給流量は毎分約2リットル、流動化流量は毎分約4リットルであった。選別結果を下表に示す。約69重量%の尾鉱への黄鉄鉱の回収及び約5.6重量%の尾鉱への無色鉱物(炭酸塩及びケイ酸塩)の損失が観察できる。それらの異なる密度による無色ケイ酸塩鉱物(例えば、白雲母)の回収率及び着色硫化鉄鉱物(例えば、黄鉄鉱)の回収率は、有意差があることは明らかである。
Figure 2020505309
実施例1から分かるように、本発明の方法により、天然炭酸カルシウムの量を98.46重量%から98.8重量%に増加させることができるので、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの調製が可能である。
<実施例2>
クラッシングされた天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料500gを10リットルの反応容器に入れ、Selfrag装置(Selfrag Lab S2.1 Labor Fragmentieranlage)のパルス電極が脱塩水と接触するように脱塩水に浸漬した。1Hzのパルス繰り返し数、160kV(キロボルト)の印加電圧、及び40mmの初期電極距離を用いて高電圧フラグメント化を実施し、印加された150パルスにわたって前記電極距離を20mmに減少させ、約290μmのd50及び2000μmのトップカット粒径d98を有する0〜2000μmの材料のフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を得た。こうして得られたフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を、DIN規格66165−1:2016−08に従って、ISO規格3310−1:2000に従う800μmのスクリーン上でスクリーニングし、その後乾燥させて、0〜800μmのフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料画分を得た。
フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料画分を水と混合して、水性スラリーを得、それを直接泡沫浮選(逆浮選、ここで、泡沫から回収された不純物は尾鉱に相当する)に付した。浮選の結果を下表に示す。約78重量%の尾鉱(泡)への不純物の回収及び約2重量%の尾鉱への天然炭酸カルシウムの損失が観察できる。
Figure 2020505309
実施例2から分かるように、本発明の方法により、不純物の量を0.44重量%から0.1重量%に減少させることができるので、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの調製が可能である。
<実施例3>
クラッシングされた天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料500gを10リットルの反応容器に入れ、Selfrag装置(Selfrag Lab S2.1 Labor Fragmentieranlage)のパルス電極が脱塩水と接触するように脱塩水に浸漬した。1Hzのパルス繰り返し数、160kV(キロボルト)の印加電圧、及び40mmの初期電極距離を用いて高電圧フラグメント化を実施し、印加された150パルスにわたって前記電極距離を20mmに減少させ、約290μmのd50及び2000μmのトップカット粒径d98を有する0〜2mmの材料のフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を得た。こうして得られたフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を、DIN規格66165−1:2016−08に従って、ISO規格3310−1:2000に従う800μmのスクリーン上でスクリーニングし、その後乾燥させて、0〜800μmのフラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料画分を得た。
フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有物質画分を、軸方向の傾きが約−0.6°、横方向の傾きが約−6.5°、最大ストローク頻度及び最大ストローク長、乾燥カルサイト大理石の供給速度が毎分約56g、総水流量が毎分約10.7Lで、3つの出口流(軽質画分(66cm)、中質画分(55cm)及び重質画分(軸の傾き方向に対して垂直))に対するスプリッタープレートの位置を図1に示すように設定した、Holman−Wilfley 800振盪台上での密度選別用供給物として用いた。振盪台の結果を下表に示す。これから分かるように、重質画分への不純物の回収率が約36重量%である一方、天然炭酸カルシウムは、この画分へはわずか約24重量%であることが報告されている。中質画分への天然炭酸カルシウムの回収率が約58重量%である一方で、不純物は、この画分へは約35重量%であることが報告されている。軽質画分では、不純物が約29重量%の回収率で寄与する一方、天然炭酸カルシウムは、この画分へはわずか約17重量%であることが報告されている。
Figure 2020505309
実施例3から分かるように、本発明の方法により、不純物の量を、中質画分中の0.57重量%から0.34重量%に減少させることができるので、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの調製が可能である、

Claims (12)

  1. 不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの製造方法であって、以下のステップ:
    i)少なくとも1つ天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料を提供するステップ、
    ii)任意選択的に、ステップi)の材料をクラッシングするステップ、
    iii)水性溶媒を提供するステップ、
    iv)ステップii)のクラッシングされた材料又はステップi)の材料をステップiii)の水性溶媒と接触させて、水性組成物を調製するステップ、
    v)ステップiv)の水性組成物を、高電圧フラグメント化装置を用いて高電圧パルスフラグメント化に供するステップであって、印加電圧は100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加されるステップ、及び
    vi)フラグメント化水性組成物から不純物を1つ以上のステップで分離し、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得るステップ
    を含む方法。
  2. ステップi)の材料が、分離ステップvi)の前及び分離ステップvi)中にグラインディングされない、請求項1に記載の方法。
  3. ステップvi)から得られる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを、好ましくは少なくとも1つのグラインディング助剤の存在下でグラインディングする、さらなるステップvii)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップa)の天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の炭酸カルシウムの量が、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料の乾燥重量を基準として、80.0〜99.9重量%、好ましくは天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料の乾燥重量を基準として90.0〜99.5重量%、より好ましくは95.0〜99.3重量%、最も好ましくは98.0〜99.0重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ステップii)におけるクラッシングが、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、複合クラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマーミル、及びミネラルサイザーからなる群から選択される1つ以上クラッシャーにおいて実施され、好ましくは、ジョークラッシャーにおいて実施される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ステップiii)の水性溶媒が水からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. a)印加電圧が、120〜220kVの範囲、好ましくは140〜200kVの範囲、最も好ましくは150〜180kVの範囲であり、及び/又は
    b)パルス繰り返し数が、0.5〜5.0Hzの範囲、好ましくは0.6〜4.0Hzの範囲、最も好ましくは0.9〜3.0Hzの範囲であり、及び/又は
    c)装置の電極間の距離が、15〜200mmの範囲、好ましくは18〜100mmの範囲、最も好ましくは20〜40mmの範囲であり、及び/又は
    d)天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり120〜500の間のパルス、好ましくは140〜400の間、最も好ましくは150〜320の間が印加される、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップv)で得られるフラグメント化材料が、100〜3000μm、好ましくは200〜2500μm、最も好ましくは250〜2000μmのトップカット粒径d98を有する粒子の形態である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ステップvi)における分離が、密度分離器、好ましくは回転流動床濃縮器若しくは振盪台、泡沫浮選機、センサ系選別機、好ましくはX線選別機、近赤外線選別機若しくは光学選別機、静電分離器及び/又は磁気分離器からなる群から選択される1つ以上の分離器で実施され、好ましくは泡沫浮選機で実施される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウム粉砕物。
  11. 紙、プラスチック、塗料、コーティング、コンクリート、セメント、化粧品、水処理及び/又は農業用途における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムの使用であって、紙中の不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムは、好ましくは、抄紙機のウェットエンド処理において、タバコ紙、板紙、及び/又はコーティング用途において、又は輪転グラビア印刷及び/又はオフセット印刷及び/又はインクジェット印刷及び/又は連続インクジェット印刷及び/又はフレキソ印刷及び/又は電子写真及び/又は装飾表面の支持体として使用される使用。
  12. 少なくとも1つの天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料中の不純物を減少させるための高電圧フラグメント化装置の使用であって、前記材料を、
    A)前記高電圧フラグメント化装置を使用することにより高電圧パルスフラグメント化すること、ここで、印加電圧は100〜250kVの範囲であり、パルス繰り返し数は0.2〜7.0Hzの範囲であり、装置の電極間の距離は10〜300mmの範囲であり、天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料1kgあたり100〜700の間のパルスが印加される、及び
    B)フラグメント化天然炭酸カルシウム及び不純物含有材料から不純物を1つ以上のステップで分離して、不純物含量が減少したフラグメント化天然炭酸カルシウムを得ること
    に供する使用。
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