JP2020504232A - 耐熱性及び放熱性に優れた銅合金板材 - Google Patents

耐熱性及び放熱性に優れた銅合金板材 Download PDF

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Abstract

本発明はモバイル機器の発熱解消のためのシールドカン(shield can)用素材、自動車及びその他の半導体リードフレーム用素材、自動車を含む産業全般にかけて使用されるコネクタ、リレー、スイッチなどのような電気電子部品用素材に適する耐熱性及び放熱性に優れた銅合金板材及びその製造方法を提供する。

Description

本発明はモバイル機器の高熱解消のためのシールドカン(shield can)用素材、自動車及びその他の半導体リードフレーム用素材、自動車を含む産業全般にかけて使用されるコネクタ、リレー、スイッチなどの電気電子部品用素材に適する耐熱性及び放熱性に優れた銅合金板材及びその製造方法に関する。
モバイル製品の高性能化及び小型化により、強度特性に優れるだけではなく、製品内部で発生する熱を効果的に解消できる、即ち放熱特性に優れる素材が必要となっている。放熱用素材は、既存に通常使用された冷却ピンのような薄板形態の部品ではなく、ケースやカン形態の部品として使用された時に、構造的に内部に熱がこもるので、より優れた放熱特性が必要である。特に、ケースやカン形態の部品は、その内部の主要部品を外部の衝撃から保護するとともに(強度)、内部で発生してこもった熱を効果的に放出して内部の熱から保護する必要があるためである(放熱性)。
最近、電気自動車が急激に増加し、内燃機関自動車の電子化が加速化するに伴って、自動車電装部品の高圧及び高電流化が求められ、使用素材の高い導電性だけではなく、高圧及び高電流による抵抗発熱と自動車エンジンルームのような過酷な使用環境から発生する熱に対する耐久性も同時に必要となっている。従って、自動車の電気電子部品用の銅合金素材において、熱伝導率の基準値も技術の発展によって上向き調整が必要である。
従って、電気電子部品用の銅合金素材において、少なくとも350MPa以上の引張強度及び200W/mK以上の熱伝導率が求められ、かかる性能の基準値が、技術の発展と部品の小型化によって上向き調整されている。
また、電気電子部品用の銅合金素材は、ケースやカン、コネクタ、リレーなどのように加工が施される製品の場合、機械的強度とともに、安定した電力供給と熱及び電気信号の伝達が必要であるので、加工によるクラックを防止できる優れた曲げ性が必要である。
言い換えれば、電気電子部品用の銅合金素材には、中間以上の強度、高い放熱性と導電性、優れた耐熱性、そして優れた曲げ性が要求される。既存の銅合金のうち、かかる特性に最も近接する代表的な合金としては、強度と耐熱性に優れた(1)コルソン(Corson)系合金と、強度と導電性の均衡が良好な(2)銅−クロム(Cu−Cr)系合金がある。
コルソン系合金成分(Cu−Ni−Si)にコバルトを添加した韓国公開特許第10−2011−0088595号公報(特許文献1)では、強度と導電率、耐疲労性に優れた銅合金であって、Ni:1.0〜2.5質量%、Co:0.5〜2.5質量%、Si:0.3〜1.2質量%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる電子材料用銅合金であって、母相中に析出された第二相粒子のうち、粒径が5nm以上50nm以下であるものの個数密度が1×1012〜1×1014個/mmであり、粒径が5nm以上20nm未満であるものの個数密度は、粒径が20nm以上50nm以下であるものの個数密度に対する比で3〜6である電子材料用銅合金で、熱間圧延後に材料温度を950℃以上1050℃以下に加熱して溶体化処理を実施する工程を含む製造方法を記載している。この特許文献によれば、850MPa水準の降伏強度と45%IACS水準の電気伝導率を確保できるが、ニッケルとコバルトの総含量が3.0重量%水準であり、ニッケルとコバルト、シリコンの添加効果が発現するためには、熱間圧延の以外にさらに950〜1050℃の範囲で溶体化処理が必要である。溶体化処理はさらなる工程であるので、製造工程がもっと複雑と
なり、これは製造原価上昇の原因になる。なお、上記特許文献によるコルソン系銅合金は45%IACS水準の電気伝導率を有するので、現在求められる高い電気伝導率水準である75%IACS以上の電気伝導率に大きく及ばない。
また、韓国公開特許第10−2010−0113644号公報(特許文献2)は、クロムとコバルトを添加して特性を向上させた高強度高伝導性のコルソン系合金であって、Ni:1.0〜4.5質量%、Si:0.50〜1.2質量%、Co:0.1〜2.5質量%、Cr:0.003〜0.3質量%を含有し、NiとCoの合計質量のSiに対する質量濃度比([Ni+Co]/Si比)が4≦[Ni+Co]/Si≦5であり、残部Cu及び不可避不純物で構成される電子材料用の銅合金であり、材料中に分散されるサイズが0.1μm〜5μmであるCr−Si化合物に対して、その分散粒子中のSiに対するCrの原子濃度比が1〜5であり、その分散密度が1×10個/mmを超え1×10個/mm以下である電子材料用の銅合金を開示している。この特許文献による合金も先行文献1と類似する800MPa水準の降伏強度と45%IACS水準の電気伝導率を確保でき、電気伝導率の減少を抑制するためにクロムを添加することによりクロムが過剰添加されたシリコンと反応して母材内に化合物を生成させて高伝導化を図ることができると記載されている。しかし、上記特許文献も添加元素であるニッケルとコバルト、シリコンの特性が発現するためには、熱間圧延以外のさらなる溶体化処理が必ず必要であった。
銅−クロム系合金としては、韓国公開特許第10−2017−0018881号公報(特許文献3)に、Crを0.10〜0.50質量%、Mgを0.01〜0.50質量%含み、Zr、Tiのうちのいずれか1種を合計0.00〜0.20質量%含有する第1添加元素群、及びZn、Fe、Sn、Ag、Si、Niのうちのいずれか1種を合計0.00〜0.50質量%含有する第2添加元素群からなる群から選択される1種を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅合金板材であって、板の幅方向TDに垂直な断面において、粒径が30μm以下の結晶粒が30〜70%の面積率を有することを特徴とする銅合金板材が記載されている。この特許文献によれば、150℃中で1000時間放置した時の応力緩和率が20%以下と優れ、90°Wの曲げ時、R/tが1.0でクラックが発生しないと記載されているが、確保可能な引張強度が430MPaであって比較的に低い。また、酸化性が高いマグネシウムを主要成分として含有し、酸化性が非常に高いジルコニウム(Zr)とチタニウム(Ti)を添加元素群に含むことにより、鋳造時に気泡を頻繁に発生させて健全なインゴットが得られない。これを解決するためには、高費用の真空又は半真空の鋳造炉を使用するか、又は一般大気炉での鋳造時に添加元素の酸化を防止し製品内の残留量を高めるワイヤ送給(wire feeding)のような高費用の方法が必要であり、溶湯の管理も容易ではない。
韓国公開特許第10−2011−0088595号公報 韓国公開特許第10−2010−0113644号公報 韓国公開特許第10−2017−0018881号公報
本発明は上記課題を解決するためのものであって、耐熱性及び放熱性に優れ、かつ自動車を含む電気電子部品に求められる水準の強度を有し、優れた曲げ性を有する自動車を含む電気電子部品用の銅合金板材及びその製造方法を提供する。
本発明による電気電子部品用の銅合金板材は、クロム(Cr)0.20〜0.40質量%、
コバルト(Co)0.01〜0.15質量%を含み、珪素(Si)、マグネシウム(Mg)、及びスズ(Sn)からなる添加元素群から選ばれる少なくとも1種を合計0.00〜0.15質量%含有し、残部の銅(Cu)及び不可避不純物からなる。添加元素群は任意成分である。銅合金は軟化抵抗温度450℃以上、熱伝導率280W/m・K以上である。
銅合金板材はコバルト(Co)を0.05〜0.15質量%の範囲で含むことができる。銅合金板材は添加元素群を0.05〜0.15質量%の範囲で含むことができる。銅合金板材の軟化抵抗温度は500℃以上である。銅合金板材の熱伝導率は300W/m・K以上である。銅合金板材は90°曲げにおいてクラックがないR/t比が1.0以下である。銅合金板材は90°曲げにおいてクラックがないR/t比が0.5以下である。銅合金板材の熱伝導率κ(単位:W/m・K)と電気伝導率σ(単位:1/Ωm)の関係は、κ=2.24(±0.02)×10−8WΩK−2×1/Ωm×293.15(K)を満たす。
上述した本発明による銅合金板材は、上述した銅合金板材の組成に合わせて溶解炉に溶解鋳造したインゴットを用意する工程;得られたインゴットを850〜1000℃で1〜4時間、均質化熱処理する工程;加工率40〜95%の熱間圧延を行う工程;熱間圧延を終了すると同時に水冷して、素材の表面温度が600℃以上である条件で溶体化処理する工程;加工率87〜98%の冷間圧延を行う工程;430〜520℃で1〜10時間、析出熱処理する工程;及び加工率10〜70%の冷間圧延で仕上げ圧延する工程を含み、90°曲げにおいてクラックがないR/t比が1.0以下である。
析出熱処理工程の後、仕上げ圧延する工程の前に、加工率30〜90%の冷間圧延及び550℃〜700℃の温度範囲で10〜100秒、中間熱処理する工程を含むことができる。製造方法により得られた銅合金板材は、90°曲げにおいてクラックがないR/t比が0.5以下である。
本発明による銅合金板材は、高耐熱性及び高放熱性を有するとともに、強度と曲げ性に優れる。本発明による銅合金板材は、既存の電気電子部品や冷却ピンのような板状の部品だけではなく、各種モバイル及び電子機器用部品の電子波遮蔽及び放熱を目的として使用されるシールドカン(Shield can)のようなカン又はケース種類の素材にも使用できる。また、高温の環境に露出されるか、又は長時間の応力維持が必要なコネクタやリレー、スイッチなどの製品において、強度と導電性の側面で高い信頼性を提供できる。上記分野以外にも優れた耐熱性、放熱性、強度及び曲げ性に基づいて様々な分野に適用できる。
本発明による銅合金板材の試験片(実施例11)と既存合金の軟化抵抗温度を示すグラフである。 本発明による銅合金板材の試験片(実施例2)の平均サイズが10nm以下である微細コバルト析出物を示すTEM写真である。 本発明による銅合金板材の試験片(実施例11)の析出物を示すTEM写真であって、図3のa)はサイズが約500nmであるCrSi化合物にコバルトが約1質量%含有された粗大な析出物の形状と組成を示し、図3のb)はサイズが200nm以下の比較的に小さいCrSi化合物にコバルトが約10質量%含有された微細な析出物の形状と組成を示す。
本発明は中間以上の強度、高耐熱性、高放熱性及び優れた曲げ性を有する電気電子部品用の銅合金板材を提供する。
本発明による電気電子部品用の銅合金板材は、クロム(Cr)0.20〜0.40質量%、コバルト(Co)0.01〜0.15質量%を含み、珪素(Si)、マグネシウム(Mg)、及びスズ(Sn)からなる添加元素群から選ばれる少なくとも1種を合計0.00〜0.15質量%含有し、残部である銅(Cu)及び不可避不純物からなる。添加元素群は任意成分である。
また、銅合金板材はコバルト(Co)を0.05〜0.15質量%の範囲で含むことができる。銅合金板材は添加元素群を0.05〜0.15質量%の範囲で含むことができる。
以下、本発明による銅合金板材の成分組成について説明する。
(1)Cr:0.20〜0.40質量%
本発明の銅合金板材において、Crは金属Cr又はSiとの化合物として析出されて強度及び軟化抵抗性の向上に寄与する。Cr含有量が0.20質量%未満であっても若干の強度向上効果はあるが、本発明による合金の目標物性を得るためには不足する。なお、Cr含有量が0.40質量%を超えると、粗大な析出物が過剰に生成されて曲げ性に悪影響を及ぼす場合があり、また添加量に比例する特性向上の効果が得られない。従って、Cr含有量は0.20質量%以上0.40質量%以下である。
(2)Co:0.01〜0.15質量%
本発明の銅合金板材において、Coは金属Co又はSi、Mg、Snとの化合物として析出されて強度及び軟化抵抗性の向上に寄与する。Co含有量が0.01質量%未満であると、Coの添加による軟化抵抗性の向上が不十分であり、0.15質量%を超えると、軟化抵抗性は増大するが、曲げ性及び導電性の確保が難しいか、又は析出熱処理の温度と時間が増加して曲げ性と導電性の確保が可能であっても原材料費用が増加するので勧められない(現在、Coの価格はCuの約10倍)。従って、Co含有量は0.01乃至0.15質量%範囲である。特に、コバルト含量が0.05質量%以上であり、添加元素群が合計0.05質量%以上であると、軟化抵抗特性が既存の合金に比べて顕著に向上するので、軟化抵抗温度500℃以上を満たす。
(3)添加元素群(Si、Mg、Sn):総合0.00〜0.15質量%
本発明による銅合金板材は、任意にSi、Mg、Snからなる群から選択された少なくとも1種を含む。任意に添加可能な元素を便宜上添加元素群と呼び、これに含まれた元素はCoと共に化合物を形成すると知られている。各々の元素は個々に添加された時にも強度及び軟化抵抗性の向上に寄与するが、2種以上を組み合わせて添加すると、添加含有量に対比して効果がさらに改善される。これは、添加元素が本発明の銅合金板材の構成元素であるクロム及びコバルトと反応して、例えば、Cr−Si、Co−Si、Co−Sn、Co−Mgなどの化合物を複合的に生成して強度を増大させ、化合物を生成できず、母材に固溶されて残留する元素の含量を減少させることにより、導電性の増大を図り、析出硬化の効果が極大化するためである。
本発明において、添加元素群の総含量の範囲は0.00〜0.15質量%である。添加元素がこの範囲、即ち、0.15質量%以下に含まれる場合、最終的に得られる銅合金板材は軟化抵抗温度450℃以上及び熱伝導率280W/m・K以上を満たし、コバルト含量が0.05質量%以上である時、添加元素群が合計0.05質量%以上であると、軟化抵抗特性が既存の合金に比べて顕著に向上して軟化抵抗温度500℃以上及び熱伝導率280
W/m・K以上を満たす。
1)Si
添加元素群のうち、SiはCr、Co及びMgとの化合物として析出することにより強度及び軟化抵抗性の向上に寄与する。Si含有量が0.15質量%を超える場合、曲げ性及び導電性の確保が難しい。Si含有量は好ましくは0.01乃至0.15質量%である。Siの単独添加時の含量は、好ましくは0.02乃至0.15質量%範囲である。
2)Mg
添加元素群のうちMgは合金系内に固溶されることとCo及びSi、Snとの化合物として析出することにより強度及び軟化抵抗性の向上に寄与する。Mg含有量が0.15質量%を超える場合、曲げ性の確保が難しく、鋳造時の酸化による残留量制御が難しい。Mg含有量は、好ましくは0.01乃至0.15質量%である。Mgの単独添加時の含量は、好ましくは0.02乃至0.15質量% 範囲である。
3)Sn
添加元素群のうちSnは合金系内に固溶されることとCo及びMgとの化合物として析出することにより強度及び軟化抵抗性の向上に寄与する。Sn含有量が0.15質量%を超える場合、曲げ性及び導電性の確保が難しい。Snの含有量は、好ましくは0.01乃至0.15質量%である。Snの単独添加時の含量は、好ましくは0.02乃至0.15質量%範囲である。
(4)残量の銅(Cu)及びその他不可避不純物
残量の銅及びその他不可避不純物が含まれることができる。
しかし、本発明の銅合金板材の組成において、一般的な合金元素である鉄(Fe)及びニッケル(Ni)は、導電性特性の範囲を維持する条件内では強化の効果は発現されないので、0.1質量%以下に管理することが好ましい。
本発明の銅合金板材の組成において、アルミニウム(Al)とマンガン(Mn)は溶湯内における成分維持が難しい反面、添加量に比べて効果が十分に発現されないので、0.1質量%以下に管理することが好ましい。
なお、リン(P)成分は一般的に溶湯内における酸素除去に効果的であるが、本発明による銅合金板材においてリン(P)成分は溶湯内の酸素除去によりCr酸化物の形成を減少させるなどの溶湯清浄度の上昇効果も一部あるものの、クロム(Cr)化合物の析出能を低下させて伝導度と強度の上昇に妨害要素として作用するので、0.01質量%以下に管理することが好ましい。実際に同じ条件で0.01質量%のPが添加された時、電気伝導率が1%IACSほど上昇する程度であるので、それ以下の含量で添加すると、本発明による銅合金板材において伝導度に決定的な影響を及ぼさない。
本発明の銅合金板材の特性
(1)軟化抵抗性
本発明による銅合金板材は高い軟化抵抗性を有する。軟化抵抗性は軟化抵抗温度で表す
。軟化抵抗温度とは、完成品に製造された銅合金板材を各温度で30分間熱処理した後に変化する硬度値を測定する時、初期(熱処理前)硬度値の80%を示す温度値を意味する。従って、軟化抵抗温度の分析により材料が使用条件により発生した熱と高温の環境において外部から受けた熱に対して、初期強度をどのくらい維持するかを評価することができる。軟化抵抗温度が高い材料は高温及び高温の環境においても容易に劣化せず、初期強度を維持する能力に優れるので、機械的機能において高い信頼性を提供する。
軟化抵抗温度は試験片を50℃温度の間隔で熱処理しながら硬度変化を測定し、その値を打点として硬度(Y軸)−温度(X軸)の折れ線グラフで作図した後、初期硬度値の80%地点と交差する温度値を導出して求める。
本発明による銅合金板材の軟化抵抗温度は450℃以上であり、好ましくは500℃以上である。図1を参照すると、本発明による銅合金板材の軟化抵抗温度は、類似した強度と導電性を有するC19400合金やC19210合金に比べて100℃以上高いことが確認できる。
(2)熱伝導率
本発明による銅合金板材は優れた熱伝導率特性を示す。熱伝導率は材料が熱を伝達する特性を意味し、熱伝導率が高い材料を高放熱材料という。
熱伝導率はウィーデマン−フランツの法則(Wiedemann-Franz law)によって電気伝導率との一定の比例関係を有し、その比例程度を示すローレンツ定数の値は、材料の種類及び合金の構成成分と含量によって微細な差を有する。一般的な金属材料の熱伝導率と電気伝導率の関係はκ/σ=LTの式に従い、ここで、κは熱伝導率であって単位がW/m・Kであり、Lはローレンツ定数(Lorenz number)であって単位はWΩK−2であり、Tは絶対度であって単位はKであり、σは電気伝導率であって単位は(Ωm)−1である。
銅合金の熱伝導率と電気伝導率の関係は、ウィーデマン−フランツの法則(Widemann-Franz law)の関係式κ/σ=LTの式、即ち、κ=LσTに従い、本発明による銅合金のローレンツ定数値Lは、2.24(±0.02)×10−8WΩK−2である。即ち、熱伝導率κと電気伝導率σの関係式において、κ=2.24(±0.02)×10−8WΩK−2×1/Ωm×293.15(K)の式を満たす。ここで、電気伝導率1/Ωmの値は5.8001×10×%IACS/100の式により求められ、293.15(K)の値は20℃を意味する。
ウィーデマン−フランツの法則(Wiedemann-Franz law)に従う熱伝導率−電気伝導率の関係式において、本発明による銅合金板材のローレンツ定数値(L)は2.24(±0.02)×10−8WΩK−2、即ち、2.24(±0.02)×0.00000001WΩK−2である。従って本発明による銅合金板材は簡単な電気伝導率を測定後、導出されたローレンツ定数値を代入すると、合金の熱伝導率を把握することができ、その信頼範囲は±0.9%水準であって良好である。
(3)強度
本発明による銅合金板材は電気電子及び自動車用の部品素材などに適用可能な十分な強度を有する。これに関連して、現在、目的の素材として使用中であるC19400(Cu-Fe-P-Zn系)、C19210(Cu-Fe-P系)、C26800(Cu-Zn系)合金の物性と比較した時、求められる強度は引張強度350〜600MPaの範囲と把握される。
本発明による銅合金板材の実施例に基づいて銅合金板材は該当要求強度を満たす。
(4)曲げ性
本発明による銅合金板材の曲げ性特性は、銅合金板材の適用分野によって求められる曲げ性の水準が相異する。例えば、リードフレーム素材のようなスタンピング(stamping)又はエッチング(etching)工程による加工部品の場合、曲げ性よりは強度、伝導度及び表面の美麗な品質の特性がさらに要求されるが、コネクタのようにプレス作業による曲げ加工部品の場合は、強度及び伝導度の特性とともに曲げ性も満たさなければならない。本発明による銅合金板材は90°曲げ実験でクラックが発生しないR/t値が1.0以下であり、必要に応じて析出熱処理の条件を変更することによりR/t=0.5以下を満たす。
本発明による銅合金板材の製造方法
本発明による銅合金板材は、上述した本発明による銅合金板材の組成に合わせて溶解炉で溶解してインゴットを鋳造し(溶解鋳造工程)、得られたインゴットを850〜1000℃で1〜4時間均質化熱処理(均質化熱処理工程)した後、加工率40〜95%の熱間圧延(熱間圧延工程)を終了すると同時に溶質元素の析出を阻止するために水冷して溶質元素を固溶させて溶体化処理する(溶体化処理工程)。この時、溶体化は、熱間圧延が完了した素材を冷却工程で水冷処理して溶質元素を過飽和させて固溶させる過程により形成されるので、先行文献1、2のような溶体化のための加熱工程が追加されない。従って、水冷処理前の素材の表面温度が高いほど溶体化の効果が優れ、好ましくは600℃以上であり、より好ましくは700℃以上である。
次に、加工率87〜98%の冷間圧延(冷間圧延工程)により析出駆動力を増大させた後、430〜520℃で1〜10時間析出熱処理する(析出熱処理工程)。
必要に応じて、仕上げ圧延(finishing milling)の前に、加工率30〜90%冷間圧延し、その後550℃〜700℃範囲の温度で10〜100秒範囲の時間条件で中間熱処理(冷間圧延及び中間熱処理工程)を実施することができる。この工程の実施は、析出熱処理後の製品の厚さと仕上げ圧延後の厚さに大きい差が発生して目標物性(強度、導電性)の範囲から外れるか、又は目的の特性(曲げ性)の確保が難しい場合に適用でき、また現場析出熱処理設備の工程や製造条件により発生可能な焼着(熱と圧力による部分的接合)や析出熱処理後の酸洗い(pickling)工程によるスクラッチなどの表面品質の問題を解決するためにも実施することができる。この時、中間熱処理は強度の減少を目的とするが、導電性は最小に減少するか又は減少してはいけないので、電気伝導率が0.5〜3%IACS範囲内で減少するように焼鈍処理することが重要である。0.5%IACS未満に電気伝導率が減少する場合には焼鈍の効果がなく、3%IACSを超えて電気伝導率が減少した場合には焼鈍の効果は大きいが、導電性及び強度の減少によって開発合金の目標特性から外れる恐れがある。
最後に、加工率10〜70%の冷間圧延(最終冷間圧延工程)により仕上げ圧延して得られる。通常、この工程で強度及び曲げ性のような物性が最終的に決定される。一般的に冷間圧延工程によって例えば、素材の強度が増加し、曲げ性と導電性は減少する。従って、強度は増加させ、曲げ性と導電性の減少を減らす圧延条件が求められる。好ましくは加工率は20〜50%であり、この範囲で加工率に対する強度増大の効率性が最も高く、強度、曲げ性、導電性の適切な均衡を達成できる。
一般的に、銅合金材において強度と曲げ性は互いに逆の特性を有するので、同時達成が
難しい。それにもかかわらず、本発明による銅合金板材の場合、引張強度基準370〜600MPa水準の強度を有しながら、90°曲げにおいてクラック(crack)のないR/t比が1.0以下を満たす曲げ性を確保している。また優れた曲げ性が求められる用途の銅合金板材の製造のために、析出熱処理条件を上述したように調節して、R/t比が0.5以下を満たす曲げ性を確保できる。
本発明による銅合金板材は、成分元素によって様々な析出物を形成する。本発明による銅合金板材にはCr、Co、Si、Mg、Sn元素が個々に或いは結合した形態で析出物が生成され、かかる析出物は強度及び軟化抵抗温度の向上と共に、母材内の固溶した元素を減少させることにより導電性を向上させて、熱伝導率を増大させる。
以下、本発明の実施例について説明する。
表1は本発明による銅合金板材の成分を示す。表1に示した組成によって銅合金板材の試験片を以下のように得られる。
Figure 2020504232
表1に示す成分によって、各々1kg基準に銅を含む合金元素を配合して高周波溶解炉で溶解し、厚さ20mm、幅50mm、長さ110〜120mmのインゴットを鋳造した(溶解鋳造工程)。この時、Cr成分の配合は、酸化によるCr含有量の減少を最小化するために、Cu−10質量%Cr母合金を用いた。得られたインゴットは、急速冷却及び収縮孔などの不良部を除去するために、下端と上端を各々10mmと20mmずつ切断した後、中間部分のインゴットを用いて850〜1000℃のボックス炉(box furnace)で2時間の間均質化熱処理を実施して(均質化熱処理工程)、加工率50%の熱間圧延を進行した(熱間圧延工程)。熱間圧延が終了すると同時に水冷して、溶体化処理した(溶体化処理工程)。熱間圧延後、表面に生成された酸化スケール(Oxide scale)はフライス盤(Milling machine)を用いて除去し、その後加工率94%の冷間圧延(冷間圧延工程)により析出駆動力を増大させた。なお、実施例10は冷間圧延及び中間熱処理工程を追加して製造された試験片の結果であって、加工率89%の冷間圧延
(冷間圧延工程)により析出駆動力を増大させている。
その後、ボックス炉を用いて450℃と500℃の温度条件で各々3時間ずつ析出熱処理(析出熱処理工程)を実施した。
仕上げ圧延の前工程として冷間圧延及び中間熱処理工程を追加して製造された実施例10は、析出熱処理工程以後に加工率64%の冷間圧延を行い、650℃で30秒の間中間熱処理(冷間圧延及び中間熱処理工程)を実施した。この時、減少した電気伝導率は0.6%IACSである。同じ成分の実施例11では、冷間圧延及び中間熱処理工程を省略した。
最後に加工率30%の冷間圧延(最終冷間圧延工程)で仕上げ圧延して目標物性を確保した。
表1において、実施例1〜6はCu-CR-Co系合金であって、添加元素群(Si、Mg、Sn)を含まない例であり、Co含量の下限と上限の範囲の実施例を含む。実施例7〜26はCu-CR-Co系合金に添加元素群(Si、Mg、Sn)を含有した場合であり、実施例17〜22は添加元素群の含量において上限範囲である。実施例23及び24はCr含量において下限と上限の範囲であり、実施例25及び26は添加元素群(Si、Mg、Sn)を組み合わせた成分合金の効果に対する実施例である。
比較例1はCoを全く含まないCu-CR系合金であり、比較例2及び3は各々Cr含有量の下限未満の値と上限を超えた値を示し、比較例4〜7はCoと添加元素群の含量が上限範囲を超えた銅合金板材の試験片である。
表1の実施例により得られた銅合金板材の試料の物性値を測定した結果を、以下の表2と表3に示す。
以下、銅合金板材の試験片の特性(物性値)分析方法について説明する。銅合金板材の試験片の特性分析は、析出熱処理後、加工率30%に冷間圧延した試験片を対象として実施し、450℃で3時間析出熱処理した試験片の結果は表2に、500℃で3時間析出熱処理した試験片の結果は表3に各々示す。
硬度はINSTRON社のTUKON2500ビッカース硬度器を使用して1kg荷重で測定し、引張強度はZWICK ROELL社のZ100満能試験機を使用して測定し、電気伝導率はFOERSTER社のSIGMATEST2.069を使用して測定した。
軟化抵抗温度の分析時、熱処理は、THERMO SCIENTIFIC社のThermolyne5.8L D1ベンチトップマッフル炉(Benchtop Muffle Furnace)を使用して実施した。軟化抵抗温度の算出は試験片を300/350/400/450/500/550/600/650/700℃の温度で各々30分ずつ熱処理した後に硬度値を測定して、硬度(Y軸)−温度(X軸)の折れ線グラフで作図した後、初期硬度値の80%地点と交差する温度値を導出して示した。これに関連して、図1に実施例9に該当する銅合金板材の試験片(図1には"発明合金"と表示)を既存の合金と比較して示した。
曲げ性の評価は、0.3mm厚さの試験片を圧延方向と水平方向(Bad way)に90°曲げて観察した後、R(最小曲げ半径)/t(板材の厚さ)値を算出した。最小の曲げ半径値Rは、曲げ試験治具の直角部の角R値であり、各々0.00、0.05、0.75、0.1
0、0.15、0.20、0.25、0.30、0.40、0.50のR値を有する治具を使用しており、曲げ性の判定では、50倍実物顕微鏡による観察時にクラックが発生しない最大のR/t値を選定して示した。
熱伝導率はNETZSCH社のLFA457MicroFlash装備を使用して分析し、SIGMATESTの電気伝導率値と測定された熱伝導率値を比較分析して、実施例の合金によるローレンツ定数(L)値を計算して一定の範囲を導き出した。
導き出した一定の比率範囲を、ウィーデマン−フランツの法則(Wiedemann-Franz law)に従う熱伝導率−電気伝導率の関係式において、本発明による銅合金板材のローレンツ定数値の範囲として提示し、この値(L)は上述したように2.24(±0.02)×10−8WΩK−2、即ち、2.24(±0.02)×0.00000001WΩK−2であり、その信頼範囲は±0.9%水準である。
表2は温度450℃で3時間析出熱処理した後、加工率30%に仕上げ圧延した試験片の特性測定の結果である。
Figure 2020504232
表3は温度500℃で3時間析出熱処理した後、加工率30%に仕上げ圧延した試験片の特性測定の結果である。
Figure 2020504232
本発明による銅合金板材は、以上の実施例から分かるように、既存の合金素材に比べて非常に優れた軟化抵抗特性と熱伝導率を同時に有し、強度と曲げ性に優れた素材である。反面、比較例に関連して、Coを全く含まないCu−Cr系合金である比較例1の試験片は軟化抵抗特性を満たさない。Cr含有量の下限値未満の比較例2は軟化抵抗特性が不足し、上限を超えた比較例3の特性は上限値を有する実施例6に比べて特性の向上が殆どなく、曲げ性は却って減少している。比較例4乃至7はCoと添加元素群の含量が上限範囲を超えた合金であって、軟化抵抗特性は満たすが、曲げ性と熱伝導性が不足する。
なお、本発明による実施例1乃至26の銅合金板材の試験片の熱伝導率−電気伝導率の
関係は、上記提示した常数(L)値2.24(±0.02)×10−8WΩK−2の範囲に従い、上述した製造方法による場合、90°曲げにおいてクラックのないR/t比が1.0以下、必要によって0.5以下を満たす銅合金板材の製造が可能である。
なお、本発明による銅合金板材の析出物を観察するために、TEM分析をレプリカ(replica)方法で行った。
本発明による銅合金板材において、コバルト成分が個々に析出物を形成する場合、そのサイズは平均10nm以下であり、走査電子顕微鏡(SEM)や光学顕微鏡では観察自体が難しい程度に非常に微細である。例えば、実施例2の銅合金板材のTEM写真を図2に示す。図2から分かるように、コバルト粒子が非常に微細な形態の析出物が観察され、コバルトが個々に析出物を形成する場合、非常に微細なサイズを有することが分かる。
上述した添加元素群の元素をさらに添加した形態の本発明による銅合金板材では、クロム、コバルトと共に添加元素が結合されて析出物を形成する。例えば、シリコン元素を追加した実施例11による試験片のTEM写真を図3に示す。図3のa)を参照すると、サイズ500nm以上の比較的に大きい析出物は、CrSi化合物にコバルトを約1質量%含有する析出物として観察される。また、サイズ200nm以下の比較的に小さい析出物は、CrSi化合物にコバルトを約10質量%含有する析出物として観察される(図3のb))。これにより、析出物のサイズが小さい場合にコバルト含有量が高いことが確認できる。シリコン以外の他の添加元素群成分を含有した場合にも、機械、物理的特性とクロム及びコバルトとの熱力学的な関係からして、図3のb)の場合と類似すると思われる。

Claims (11)

  1. クロム(Cr)0.20〜0.40質量%、コバルト(Co)0.01〜0.15質量%、残部の銅(Cu)及び不可避不純物を含有し、珪素(Si)、マグネシウム(Mg)、及びスズ(Sn)からなる添加元素群から選ばれる少なくとも1種を合計0.00〜0.15質量%含有してもよい銅合金板材であって、軟化抵抗温度が450℃以上であり、熱伝導率が280W/m・K以上であることを特徴とする、電気電子部品用の銅合金板材。
  2. 前記コバルトは0.05〜0.15質量%範囲である、請求項1に記載の電気電子部品用の銅合金板材。
  3. 前記添加元素群は合計0.05〜0.15質量%範囲である、請求項1に記載の電気電子部品用の銅合金板材。
  4. 前記銅合金板材の軟化抵抗温度は500℃以上である、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の電気電子部品用の銅合金板材。
  5. 前記銅合金板材の熱伝導率は300W/m・K以上である、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の電気電子部品用の銅合金板材。
  6. 前記銅合金板材は90°曲げにおいてクラックがないR/t比が1.0以下である、請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の電気電子部品用の銅合金板材。
  7. 前記銅合金板材は90°曲げにおいてクラックがないR/t比が0.5以下である、請求項6に記載の電気電子部品用の銅合金板材。
  8. 前記銅合金板材の熱伝導率κと電気伝導率σの関係は、κ=2.24(±0.02)×10−8WΩK−2×1/Ωm×293.15(K)を満たす、請求項1に記載の電気電子部品用の銅合金板材。
  9. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つによる電気電子部品用の銅合金板材の製造方法であって、
    前記方法は以下の工程:
    請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つによる銅合金板材の組成に合わせて溶解炉に溶解鋳造したインゴットを用意する工程;
    得られたインゴットを850〜1000℃で1〜4時間、均質化熱処理する工程;
    加工率40〜95%の熱間圧延を行う工程;
    熱間圧延を終了すると同時に水冷して、素材の表面温度が600℃以上である条件で溶体化処理する工程;
    加工率87〜98%の冷間圧延を行う工程;
    430〜520℃で1〜10時間、析出熱処理する工程;及び
    加工率10〜70%の冷間圧延で仕上げ圧延する工程を含み、
    最終的に得られた銅合金板材は90°曲げにおいてクラックがないR/t比が1.0以下である、電気電子部品用の銅合金板材の製造方法。
  10. 前記析出熱処理工程の後、仕上げ圧延する工程の前に、加工率30〜90%の冷間圧延及び550℃〜700℃の温度範囲で10〜100秒、中間熱処理する工程を含む、請求項9に記載の電気電子部品用の銅合金板材の製造方法。
  11. 銅合金板材は、90°曲げにおいてクラックがないR/t比が0.5以下である、請求
    項9に記載の電気電子部品用の銅合金板材の製造方法。
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