JP2020502155A - 心臓病変を改善するための方法 - Google Patents

心臓病変を改善するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、心筋損傷に罹患するリスクがあるか、心筋損傷に罹患した疑いがある、または心筋損傷に罹患している被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の心筋損傷を予防または治療するための方法に関する。本発明はさらに、被験者の心筋損傷およびその関連疾患を予防及び/または治療するための、プラスミノーゲンを含む薬物、薬物組成物、製品、キットに関する。

Description

本発明は、心臓病変の治療、特に各原因による心筋損傷、心臓機能障害の治療に関するものである。
心臓病変はよく見られる一種類の疾患であり、冠状動脈アテローム性硬化症、冠状動脈心臓病、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、心膜炎などを含む。心臓病変を引き起こす要素は多くて互いに影響し合い、例えば、糖尿病は脂肪代謝障害のため高脂血症、アテローム性動脈硬化症を引き起こすことができ、さらに高脂血症とアテローム性動脈硬化症は糖尿病を厳重化させる。この互いに影響する関係において、アテローム性動脈硬化症は多くの心脳血管疾患の共通の病理的基礎であり、心血管系疾患の中で最もよく見られる疾患でもあり、人の健康に深刻な危害を及ぼす。アテローム性動脈硬化症の発生発展は、脂質の侵入、血小板の活性化、血栓の形成、内膜損傷、炎症性反応、酸化ストレス、血管平滑筋細胞(VSMC)活性化、選択的基質代謝、及び血管再建などを含む。アテローム性動脈硬化症のみについていえば、何の症状も感じられない。体内のある重要な器官とつながっている動脈が塞がれた後しか、この疾患が発見されることができない。これは、該器官における動脈が塞がれて引き起こされる症状が目立つからである。例えば、心臓の供血動脈の部分は塞がれると、狭心症が感じられるが、完全にふさがれると、心臓病を引き起こす可能性がある(塞がれた動脈により供血される心臓組織が死亡した)。
糖尿病も心臓病変を引き起こす潜在的要素の一つである。糖尿病患者において、最終糖化産物(advanced glycation end products,AGEs)は、アテローム性動脈硬化症病変の発生及び発展を促進することができる。AGEsは動脈壁内のグルコースとタンパク質およびリポタンパク質との非酵素糖化反応産物であり、対応する受容体と結合した後下記のメカニズムによりアテローム性動脈硬化症を加速することができる。長期高血糖はAGEsの生成を増加させることができ、AGEsはタンパク質、核酸および脂質を修飾して活性酸素種の生成を増加させ、酸化ストレスを増強でき、AGEsは好中球と酸素ラジカルの生成を増加させるとともに好中球NADPH酸化酵素の活性を増加させ、血管の酸化すとれるを促進し、糖尿病患者の心血管疾患の発生率を高めることができる。糖尿病により引き起こされる長期的高血糖状態は、深刻な糖尿病合併症を引き起こすことができ、その中には、糖尿病心筋症などが含まれている。
一方で、脂質代謝障害はよく糖尿病と合併して発生するので、糖尿病は「糖脂病」ともいわれる。糖尿病の発症メカニズムは、B細胞の機能障害およびインスリンの抵抗に相関し、慢性高血糖として表れるが、糖代謝障害はよく脂質代謝障害と合併している。糖尿病の脂質代謝障害はすでに心血管疾患の独立した危険因子となっており、主に高トリグリセリド血症、低レベルのHDL、及びLDL濃度の増加として表れている。研究によると、糖尿病患者の心血管疾患の発病率と死亡率は非糖尿病患者より明らかに高く、糖尿病はすでに心血管疾患の独立した危険要素となっている。
研究によると、糖尿病患者の心血管疾患の発病率と死亡率は非糖尿病患者より明らかに高く、糖尿病はすでに心血管疾患の独立の危険要素となっている[3]。前記心血管疾患の中で、アテローム性動脈硬化症の発症率は高く、糖尿病と合併することが多い。
糖尿病患者のアテローム性動脈硬化症の発生は様々な要素と関係しているが、血漿脂質レベルの異常は最も主要な要素である。近年来、腎臓病と脂質代謝障害との関係はますます注目されてきており、慢性進行性腎損傷に脂質代謝異常が伴われ、高脂血症は腎損傷を促進し厳重化させ、糸球体損傷に介在する他、尿細管間質損傷においても寄与する。
脂質代謝障害と糖尿病腎症との間は一定の相関性があることは、臨床研究により実証された。糖尿病患者には脂質代謝障害があり、上昇した脂質は糸球体基底膜に沈着して基底膜の細胞増殖と細胞外間質の生成を刺激する。早くとも1936年に、KimmelstielとWilsonは糖尿病腎症患者の腎動脈、糸球体および腎尿細管内に大量の脂質沈着を見つけた[7]。脂質代謝異常による糸球体と腎尿細管間質線維化は、腎機能の進行性損傷を引き起こす要因の一つである[8]。脂質代謝障害は人体に心臓病変の発生率を増加させ、例えば、脂肪肝の危害の一つとして、高血圧、冠状動脈性心臓病を誘発したり厳重化させたりして、心筋梗塞を引き起こして急死に至る。
本発明の研究により明らかなように、プラスミノーゲンは心臓病変を標的にして治療することができ、心臓病の治療に全く新しい構想を提供した。
本発明は下記項に係る。
一つの局面において、本発明は、項1.心筋損傷に罹患するリスクがあるか、心筋損傷に罹患した疑いがある、または心筋損傷に罹患している被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の心筋損傷を予防または治療するための方法に係る。
項2.前記心筋損傷は、虚血、炎症、アレルギー反応、自己免疫、血栓、微小循環性障害、外傷、放射線損傷、糖質代謝障害、脂肪代謝障害による心筋損傷を含む、項1に記載の方法。
項3.前記心筋損傷は、心筋炎と、心膜炎と、高血圧と、アテローム性動脈硬化症と、冠状動脈心臓病と、狭心症と、心筋梗塞と、不整脈と、心不全と、ショックと、汎発性血管内凝固と、微小循環性障害と、糖尿病と、高脂血症と、動脈、静脈血栓と、脂肪塞栓と、虚血再灌流と、全身性硬化症と、全身性エリテマトーデスと、冠状動脈狭窄と、リウマチ性心臓病と、僧帽弁狭窄/閉鎖不全症と、大動脈弁狭窄/閉鎖不全症とからなる群より選ばれる疾患による心筋損傷である、項1または2に記載の方法。
項4.前記心筋損傷は、虚血性心臓疾患による心筋損傷である、項1または2に記載の方法。
項5.前記虚血性心臓疾患は、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈心臓病、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、ショック、汎発性血管内凝固、微小循環性障害、虚血再灌流、冠状動脈狭窄、僧帽弁狭窄/閉鎖不全症、大動脈弁狭窄/閉鎖不全症である、項4に記載の方法。
項6.前記心筋損傷は、動脈、静脈血栓または脂肪塞栓による心筋損傷である、項1または2に記載の方法。
項7.前記血栓または塞栓は、アテローム性動脈硬化によるものである、項6に記載の方法。
もう一つの局面において、本発明は、項8.被験者に心筋組織を保護するために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の心筋損傷を予防または治療するための方法に係る。
項9.前記プラスミノーゲンは、心筋細胞損傷による心筋細胞アポトーシスを軽減する、項8に記載の方法。
項10.前記プラスミノーゲンは損傷心筋の修復を促進する、項8または9に記載の方法。
項11.前記プラスミノーゲンは損傷心筋の線維化を軽減する、項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
項12.前記プラスミノーゲンは心筋機能の回復を促進する、項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
項13.前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
もう一つの局面において、本発明は、項14.被験者に心筋保護のために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の脂質性心筋損傷を予防または治療するための方法に係る。
項15.前記プラスミノーゲンは心臓組織における脂質沈着を軽減する、項14に記載の方法。
項16.前記プラスミノーゲンは損傷心筋の修復を促進する、項14または15に記載の方法。
項17.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋組織の線維化を軽減する、項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
項18.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋細胞のアポトーシスを軽減する、項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
項19.前記プラスミノーゲンは、心筋機能の回復を促進する、項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
項20.前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
項21.前記プラスミノーゲンは、血清のトリグリセリドを低下させることと、低密度リポタンパク質を低下させることと、超低密度リポタンパク質を低下させることと、血清のコレステロールを低下させることと、血清の高密度リポタンパク質を上昇させることとからなる群より選ばれる一つ以上によって血脂を軽減する、項14〜20のいずれか1項に記載の方法。
もう一つの局面において、本発明は、項22.被験者に心筋保護のために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の炎症性心筋損傷を予防または治療するための方法に係る。
項23.前記炎症は、被験者の自己免疫による炎症である、項22に記載の方法。
項24.前記炎症は、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、心筋炎、心膜炎である、項23に記載の方法。
項25.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋の修復を促進する、項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
項26.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋組織の線維化を軽減する、項22〜25のいずれか1項に記載の方法。
項27.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋細胞のアポトーシスを軽減する、項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
項28.前記プラスミノーゲンは、心筋機能の回復を促進する、項22〜27のいずれか1項に記載の方法。
項29.前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、項22〜28のいずれか1項に記載の方法。
もう一つの局面において、本発明は、項30.被験者に心筋保護のために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者のアテローム性動脈硬化性心筋損傷を予防または治療するための方法に係る。
項31.前記心筋損傷は、被験者の冠状動脈心臓病によるものである、項30に記載の方法。
項32.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋の修復を促進する、項31に記載の方法。
項33.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋組織の線維化を軽減する、項30〜32のいずれか1項に記載の方法。
項34.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋細胞のアポトーシスを軽減する、項30〜33のいずれか1項に記載の方法。
項35.前記プラスミノーゲンは、心筋機能の回復を促進する、項30〜34のいずれか1項に記載の方法。
項36.前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、項30〜35のいずれか1項に記載の方法。
もう一つの局面において、本発明は、項37.被験者に心筋保護のために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の糖尿病によって引き起こされるか糖尿病と合併した心筋損傷を予防または治療するための方法に係る。
項38.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋の修復を促進する、項37に記載の方法。
項39.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋組織の線維化を軽減する、項37または38に記載の方法。
項40.前記プラスミノーゲンは、損傷心筋細胞のアポトーシスを軽減する、項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
項41.前記プラスミノーゲンは、心筋機能の回復を促進する、項37〜40のいずれか1項に記載の方法。
項42.前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、項37〜41のいずれか1項に記載の方法。
もう一つの局面において、本発明は、項43.被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の脂質沈着による心筋損傷を予防または治療するための方法に係る。
項44.前記脂質沈着は、被験者の脂肪代謝異常または糖質代謝異常による高脂血症によるものである、項43に記載の方法。
もう一つの局面において、本発明は、項45.被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の高脂血症によって引き起こされるまたは高脂血症に伴われる腎組織損傷を予防または治療するための方法に係る。
もう一つの局面において、本発明は、項46.被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の虚血再灌流性心筋組織損傷を予防または治療するための方法に係る。
項47.前記プラスミノーゲンは一種以上のその他の薬物または治療手段と併用することができる、項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
項48.前記一種以上のその他の薬物は、高血圧の治療薬、糖尿病の治療薬、アテローム性動脈硬化症の治療薬、慢性糸球体腎炎の治療薬、慢性腎盂腎炎の治療薬、腎病症候群の治療薬、腎機能不全の治療薬、尿毒症の治療薬、腎移植の治療薬、脂肪肝の治療薬、肝硬変の治療薬、肥満症の治療薬を含む、項47に記載の方法。
項49.前記その他の薬物は、脂質低下薬、抗血小板薬、血圧降下薬、血管拡張薬、血糖降下薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、肝臓保護薬、抗不整脈薬、強心薬、利尿薬、抗感染薬、抗ウイルス薬、免疫調節薬、炎症調節薬、抗腫瘍薬、ホルモン薬、チロキシンを含む、項48に記載の方法。
項50.前記薬物は、スタチン系、フィブラート系、ニコチン酸、コレスチラミン、クロフィブラート、益壽寧や血脂平や心脈楽のような不飽和脂肪酸、硫酸多糖類(Poly Saccharide Sulphate、Alginic Sodium Diester)のような脂質低下薬;アスピリン、ペルサンチン、クロピドグレル、シロスタのような抗血小板薬;ヒドララジン、ニトログリセリンと硝酸イソソルビド、ニトロプルシドナトリウム、プラゾシンのようなα1受容体遮断薬、フェントラミンのようなα受容体遮断薬、サルブタモールのようなβ2受容体刺激薬、カプトプリル、エナラプリル、ニフェジピンやジルチアゼム、サルブタモール酸、ミノキシジル、プロスタグランジン、カルジオナトリンのような血管拡張薬;ウロキナーゼとストレプトキナーゼ、組織型プラスミノーゲン活性化剤、単鎖ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化剤、TNK−組織型プラスミノーゲン活性化剤のような血栓溶解薬;ヘパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、ビバリルジンのような抗凝固薬を含む、項49に記載の方法。
項51.前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するものである、項1〜50のいずれか1項に記載の方法。
項52.前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12において、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を添加、削除及び/または置換したものであり、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、項1〜51のいずれか1項に記載の方法。
項53.前記プラスミノーゲンはプラスミノーゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、項1〜52のいずれか1項に記載の方法。
項54.前記プラスミノーゲンは、Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはそれらのプラスミノーゲン活性を保持した変異体である、項1〜53のいずれか1項に記載の方法。
項55.前記プラスミノーゲンは、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、またはその依然プラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、項1〜54のいずれか1項に記載の方法。
項56.前記プラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、またはその依然プラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、項1〜54のいずれか1項に記載の方法。
項57.前記プラスミノーゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示される通りである、項1〜56のいずれか1項に記載の方法。
項58.前記プラスミノーゲンは、ヒト由来の天然プラスミノーゲンである、項1〜57のいずれか1項に記載の方法。
項59.前記被験者はヒトである、項1〜58のいずれか1項に記載の方法。
項60.前記被験者はプラスミノーゲンが不足、または欠乏している、項1〜59のいずれか1項に記載の方法。
項61.前記不足または欠乏は、先天的、継発的及び/または局所的である、項60に記載の方法。
もう一つの局面において、本発明は、項62.項1〜61のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲンに係る。
もう一つの局面において、本発明は、項63.薬学的に許容される担体及び項1〜61のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲンを含む薬物組成物に係る。
もう一つの局面において、本発明は、項64.(i)項1〜61のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲンと、(ii)前記プラスミノーゲンを前記被験者に送達するための手段(means)とを含む、予防性または治療性キットに係る。
項65.前記手段はシリンジまたはバイアルである、項64に記載のキット。
項66.項1〜46のいずれか1項に記載の方法を実施するように前記プラスミノーゲンを前記被験者に投与することを指示するラベルまたはプロトコルをさらに含む、項64または65に記載のキット。
もう一つの局面において、本発明は、項67.ラベルを含む容器と、
(i)項1〜61のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲン、またはプラスミノーゲンを含む薬物組成物とを含む製品であって、
前記ラベルは、項1〜61のいずれか1項に記載の方法を実施するように前記プラスミノーゲンまたは組成物を前記被験者に投与することを指示する、製品に係る。
項68.その他の薬物を含む、もう一つ以上の部材または容器をさらに含む、項64〜66のいずれか1項に記載のキット、または項67に記載の製品。
項69.前記その他の薬物は、脂質低下薬、抗血小板薬、血圧降下薬、血管拡張薬、血糖降下薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、肝臓保護薬、抗不整脈薬、強心薬、利尿薬、抗感染薬、抗ウイルス薬、免疫調節薬、炎症調節薬、抗腫瘍薬、ホルモン薬、チロキシンからなる群より選ばれる、項68に記載のキットまたは製品。
本発明はさらに、項1〜61のいずれか1項に記載の方法を実施するためのプラスミノーゲンの用途に係る。
本発明はさらに、項1〜61のいずれか1項に記載の方法に用いられる薬物、薬物組成物、製品、キットの製造におけるプラスミノーゲンの用途に係る。
一部の実施形態において、前記キットまたは製品は、その他の薬物を含む、もう一つ以上の部材または容器をさらに含む。一部の実施形態において、前記その他の薬物は、脂質低下薬、抗血小板薬、血圧降下薬、血管拡張薬、血糖降下薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、肝臓保護薬、抗不整脈薬、強心薬、利尿薬、抗感染薬、抗ウイルス薬、免疫調節薬、炎症調節薬、抗腫瘍薬、ホルモン薬、チロキシンからなる群より選ばれる。
前記方法の一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは全身または局所投与により投与され、好ましくは、静脈内、筋肉内、皮下という経路により投与される。前記方法の一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは適切なポリペプチド担体または安定化剤と組み合わせて投与する。前記方法の一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは毎日0.0001〜2000mg/kg、0.001〜800mg/kg、0.01〜600mg/kg、0.1〜400mg/kg、1〜200mg/kg、1〜100mg/kg、10〜100mg/kg(体重一キロあたりで計算)または0.0001〜2000mg/cm、0.001〜800mg/cm、0.01〜600mg/cm、0.1〜400mg/cm、1〜200mg/cm、1〜100mg/cm、10〜100mg/cm(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量を投与し、好ましくは少なくとも一回繰り返し、好ましくは少なくとも毎日投与する。
本発明は、本発明に係る実施形態どうしの技術的特徴のすべての組み合わせを明確にカバーし、且つこれらの組み合わせた技術構成は前記実施形態が単独且つ明確に開示されているように、本出願で明確に開示されている。また、本発明はさらに各実施形態及び要素のすべてのサブの組み合わせを明確にカバーし、この組み合わせた技術構成は本明細書中において明確に開示されている。
[発明の詳細な説明]
プラスミンはプラスミノゲン活性化系(PA系)の重要な成分である。それは広スペクトルのプロテアーゼであり、細胞外マトリックス(ECM)の幾つかの成分を加水分解することができ、これらの成分はフィブリン、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン及びプロテオグリカンを含む。また、プラスミンは一部のプロマトリックスメタロプロテアーゼ(pro−MMP)を活性化させて活性のあるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)にすることができる。そのためプラスミンは細胞外タンパク加水分解作用の一つの重要な上流調節因子である。プラスミンはプラスミノゲンが二種類の生理性のPA:組織型プラスミノゲン活性化剤(tPA)またはウロキナーゼプラスミノゲン活性化剤(uPA)をタンパク質加水分解することで形成されるものである。プラスミノゲンは血漿及び他の体液中において、相対的レベルが比較的高く、従来的にはPA系の調節は主にPAの合成及び活性レベルよって実現されると考えられている。PA系成分の合成は異なる要素によって厳密な制御を受け、例えばホルモン、成長因子及びサイトカインである。また、この他に、プラスミンとPAsの特定の生理的阻害剤が存在する。プラスミンの主な阻害剤はα2−抗プラスミン(α2−antiplasmin)である。PAsの活性は、uPAとtPAのプラスミノーゲン活性剤阻害剤−1(PAI−1)に同時に阻害され、uPAを主に阻害するプラスミノーゲン活性剤阻害剤−2(PAI−2)によって調節される。一部の細胞表面には直接加水分解する活性のあるuPA特異性細胞表面受容体(uPAR)がある。
プラスミノゲンは単一鎖の糖タンパクであり、791個のアミノ酸からなり、分子量は約92kDaである。プラスミノゲンは主に肝臓で合成され、大量に細胞外液に存在している。血漿中に含まれるプラスミノゲンの含有量は約2μMである。そのためプラスミノゲンは組織及び体液中のタンパク質加水分解活性の大きな潜在的な由来である。プラスミノゲンには二種類の分子の形が存在する:グルタミン酸−プラスミノゲン(Glu−plasminogen)及びリジン−プラスミノゲン(Lys−plasminogen)である。天然的に分泌されかつ分解していない形のプラスミノゲンは一つのアミノ基末端(N−末端)グルタミン酸を有し、そのためグルタミン酸−プラスミノゲンと称される。しかし、プラスミンが存在する場合、グルタミン酸−プラスミノゲンはLys76−Lys77においてリジン−プラスミノゲンに加水分解される。グルタミン酸−プラスミノゲンと比較して、リジン−プラスミノゲンはフィブリンとより高い親和力を有し、さらにより高い速度でPAによって活性化されることができる。この二種類の形のプラスミノゲンのArg560−Val561ペプチド結合はuPA またはtPAによって切断され、これによりジスルフィド結合によって接続された二重鎖プロテアーゼプラスミンの形成をもたらす。プラスミノゲンのアミノ基末端部分は五つの相同性三環を含み、即ちいわゆるkringlesであり、カルボキシル基末端部分はプロテアーゼドメインを含む。一部のKringlesはプラスミノゲンとフィブリン及びその阻害剤α2−APの特異的相互作用を介在するリジン結合部位を含む。最も新しく発見されたのは38kDaのフィブリンプラスミノゲンフラグメントであり、kringlel−4を含み、血管生成の有効的な阻害剤である。このフラグメントはアンジオスタチン(Angiostatin)と命名され、幾つかのプロテアーゼ加水分解プラスミノゲンから生成される。
プラスミンの主な基質はフィブリンであり、フィブリンの溶解は病理学的血栓の形成を予防するキーポイントである。プラスミンはさらにECMの幾つかの成分に対する基質特異性を有し、これらはラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン及びゼラチンを含み、これはプラスミンがECM再建において重要な作用を有することを示している。間接的に、プラスミンはさらにいくつかのプロテアーゼ前駆体を活性プロテアーゼに変換することによりECMのその他の成分を分解し、MMP−1、MMP−2、MMP−3及びMMP−9を含む。そのため、以下のように提唱する人がいる。プラスミンは細胞外タンパク加水分解の重要な上流調節因子である可能性がある。また、プラスミンはいくつかの潜在的な形の成長因子を活性化させる能力を有する。体外において、プラスミンはさらに補体系の成分を加水分解させて走化性の補体フラグメントを放出することができる。
「プラスミン」は血液中に存在する非常に重要な酵素であり、フィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD−二量体に加水分解する。
「プラスミノーゲン」はプラスミンの酵素前駆体の形であり、swiss prot中の配列に基づいて、シグナルペプチドのヒト由来の天然プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列4)は計算によれば810個のアミノ酸からなり、分子量は約90kDであり、主に肝臓において合成され且つ血液中で循環できる糖タンパク質であり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列3に示される通りである。フルサイズのプラスミノーゲンは七つのドメインを含む:C末端に位置するセリンプロテアーゼドメイン、N末端に位置するPan Apple(PAp)ドメイン及び5つのKringleドメイン(Kringle1−5)を含む。swiss prot中の配列を参照すれば、そのシグナルペプチドは残基Met1−Gly19を含み、PApは残基Glu20−Val98を含み、Kringle1は残基Cys103−Cys181を含み、Kringle2は残基Glu184−Cys262を含み、Kringle3は残基Cys275−Cys352を含み、Kringle4は残基Cys377−Cys454を含み、Kringle5は残基Cys481−Cys560を含む。NCBIデータによれば、セリンプロテアーゼドメインは残基Val581−Arg804を含む。
Glu−プラスミノーゲンは天然のフルサイズのプラスミノーゲンであり、791個のアミノ酸からなる(19個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを含まない)。該配列をコードするcDNA配列は配列1に示される通りであり、そのアミノ酸配列は配列2に示される通りである。体内において、さらにGlu−プラスミノーゲンの第76−77位のアミノ酸の位置で加水分解することにより形成されたLys−プラスミノーゲンが存在し、例えば配列6に示されるものであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列5が示す通りである。δ−プラスミノーゲン(δ−plasminogen)はフルサイズのプラスミノーゲンにKringle2−Kringle5構造の欠損が生じているフラグメントであり、Kringle1及びセリンプロテアーゼドメインしか含有せず、δ−プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列8)を報告している文献があり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は例えば配列7である。ミニプラスミノーゲン(Mini−plasminogen)はKringle5及びセリンプロテアーゼドメインからなり、残基Val443−Asn791(シグナルペプチドGlu−プラスミノーゲン配列を含まないGlu残基を開始アミノ酸とする)について文献が報告しており、そのアミノ酸配列は配列10に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列9が示す通りである。しかしマイクロプラスミノーゲン(Micro−plasminogen)はセリンプロテアーゼドメインのみ含有し、そのアミノ酸配列は残基Ala543−Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノーゲン配列のGlu残基は開始アミノ酸である)と文献が報告し、特許文献CN102154253Aはそれが残基Lys531−Asn791を含むと開示し(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)、本特許の配列は特許文献CN102154253Aを参照でき、そのアミノ酸配列は配列12に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列11に示される通りである。
本発明の「プラスミン」と「フィブリンプラスミン」、「繊維タンパクプラスミン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。「プラスミノーゲン」と「フィブリンプラスミノーゲン」、「繊維タンパクプラスミノーゲン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。
本願において、プラスミノーゲンの「欠乏」とは、被験者体内のプラスミノーゲンの含有量または活性が正常な人より低く、被験者の正常な生理学的機能に影響を及ぼすのに十分に低いことをいう。プラスミノーゲンの「欠乏」の意味は、被験者体内のプラスミノーゲンの含有量または活性が正常な人より明らかに低く、活性または発現が極微量であり、外部供給によってのみ正常な生理学的機能を維持できることである。
当業者は以下のように理解できる。本発明のプラスミノーゲンのすべての技術構成はプラスミンに適用でき、そのため、本発明に記載の技術構成はプラスミノーゲン及びプラスミンをカバーするものである。
循環プロセスにおいて、プラスミノーゲンは閉鎖した非活性コンフォメーションであるが、血栓または細胞表面に結合した際、プラスミノーゲン活性化剤(plasminogen activator,PA)の介在下において、開放性のコンフォメーションを有する活性プラスミンとなる。活性を有するプラスミンはさらにフィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD−二量体に加水分解させ、これにより血栓を溶解させる。そのうちプラスミノーゲンのPApドメインはプラスミノーゲンを非活性閉鎖コンフォメーションにする重要なエピトープであり、しかしKRドメインは受容体及び基質上のリジン残基と結合できるものである。プラスミノーゲン活性化剤としての酵素は、既に複数種類知られ、以下を含む:組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤(uPA)、カリクレイン及び血液凝固因子XII(ハーゲマン因子)などである。
「プラスミノーゲン活性フラグメント」とはプラスミノーゲンタンパク質において、基質中のターゲット配列と結合してタンパク質加水分解機能を発揮できる活性フラグメントである。本発明はプラスミノーゲンの技術構成に係り、プラスミノーゲン活性フラグメントでプラスミノーゲンの代替とする技術構成を含む。本発明に記載のプラスミノーゲン活性フラグメントはプラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインを含むタンパク質であり、好ましくは、本発明に記載のプラスミノーゲン活性フラグメントは配列14、配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性のアミノ酸配列を含有するタンパク質を含むものである。そのため、本発明に記載のプラスミノーゲンは該プラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然として該プラスミノーゲン活性を有するタンパク質を含む。
現在、血液中のプラスミノーゲン及びその活性測定方法は以下を含む:組織フィブリンプラスミノーゲン活性化剤の活性に対する測定(t−PAA)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤抗原に対する測定(t−PAAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性に対する測定(plgA)、血漿組織プラスミノーゲン抗原に対する測定(plgAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物活性に対する測定、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物抗原に対する測定、血漿プラスミン−抗プラスミン複合体に対する測定(PAP)。最もよく見られる測定方法は発色基質法である:測定対象(被験者)の血漿中にストレプトキナーゼ(SK)と発光基質を添加し、測定対象の血漿中のプラスミノーゲンはSKの作用下においてプラスミンとなり、後者は発光基質に作用し、それから分光光度計で測定し、吸光度の増加はプラスミノーゲンの活性と正比例の関係となる。この他にも免疫化学法、ゲル電気泳動法、免疫比濁法、放射免疫拡散法などを用いて血液中のフィブリンプラスミノーゲン活性に対して測定を行うことができる。
「オルソログ(ortholog)」とは異なる種どうしのホモログであり、タンパク質の相同物もDNAの相同物も含む。それは具体的に異なる種どうしの同じ祖先の遺伝子から進化して得られるタンパク質または遺伝子を言う。本発明のプラスミノーゲンはヒト由来の天然プラスミノーゲンを含み、さらには異なる種に由来する、プラスミノーゲン活性を有するプラスミノーゲンオルソログを含む。
「保存的置換バリアント」とはそのうちの一つの指定されたアミノ酸残基が改変されたがタンパク質または酵素の全体のコンフォメーション及び機能を変えないものであり、これは類似の特性(例えば酸性、塩基性、疎水性など)のアミノ酸でペアレントタンパク質中のアミノ酸配列中のアミノ酸を置換するものを含むがこれらに限られない。類似の性質を有するアミノ酸は知られている通りである。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性の塩基性アミノ酸であり且つ互いに置き換えることができる。同じように、イソロイシンは疎水アミノ酸であり、ロイシン、メチオニンまたはバリンによって置換されることができる。そのため、機能の類似する二つのタンパク質またはアミノ酸配列の類似性は異なる可能性もある。例えば、MEGALIGNアルゴリズムに基づいて70%〜99%の類似性(同一性)を有する。「保存的置換バリアント」はさらにBLASTまたはFASTAアルゴリズムに基づいて60%以上のアミノ酸同一性を有するポリペプチドまたは酵素を含み、、75%以上に達すればさらによく、最も好ましくは85%以上に達し、さらには90%以上に達するのが最も好ましく、さらに天然またはペアレントタンパク質または酵素と比較して同じまたは基本的に類似する性質または機能を有する。
「分離された」プラスミノーゲンとは天然環境から分離及び/または回収されたプラスミノーゲンタンパク質である。いくつかの実施形態において、前記プラスミノーゲンは(1)90%を超える、95%を超える、または98%を超える純度(重量で計算した場合)になるまで精製し、例えばLowry法によって決まるもので、例えば99%(重量で計算した場合)を超えるまで精製する、(2)少なくともスピニングカップ配列分析装置によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基が得られる程度になる精製する、または(3)同質性になるまで精製する。該同質性はクマシーブリリアントブルーまたは銀染色により還元性または非還元性条件下のドデシル硫酸ナトリウムーポリアクリルアミノゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって決まるものである。分離されたプラスミノーゲンはバイオエンジニアリング技術により組み換え細胞から製造することができ、さらに少なくとも一つの精製ステップで分離されたプラスミノーゲンを含む。
用語の「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書において互いに置き換えて使用でき、いかなる長さのアミノ酸の重合体を指し、遺伝的にコードされた及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されまたは派生したアミノ酸、及び修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む。該用語は融合タンパク質を含み、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質を含むがこれに限られず、異種性と同種性由来のリーダー配列(N端メチオニン残基を有するか有しない)を含む融合物;等々である。
参照ポリペプチド配列の「アミノ酸配列同一性パーセンテージ(%)」の定義は、必要に応じてギャップを導入することで最大のパーセンテージ配列の同一性を実現した後、如何なる保存的な置換も配列同一性の一部として見なさない場合、候補配列中における参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同じアミノ酸残基のパーセンテージである。パーセンテージのアミノ酸配列の同一性を測定することを目的とした比較は本分野の技術範囲における複数種類の方式によって実現でき、例えば公衆が入手できるコンピュータソフトウエア、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアによって実現できる。当業者は配列をアライメントするための適切なパラメータを決めることができ、比較対象の配列のフルサイズに対して最大比較の要求を実現するための如何なるアルゴリズムも含む。しかし、本発明の目的のために、アミノ酸配列の同一性パーセンテージは配列比較コンピュータソフトウエアALIGN−2により得られるものである。
ALIGN−2を用いることによりアミノ酸配列を比較する場合、所定のアミノ酸配列Aの所定のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(または所定のアミノ酸配列Bに対して、と、またはについてのあるアミノ酸配列と同一性を有する又は含む所定のアミノ酸配列Aともいう)は以下のように計算される:
分数X/Y×100
そのうちXは配列アライメントプログラムALIGN−2において該プログラムのA及びBのアライメントにおいて同一でマッチングすると評価したアミノ酸残基の数であり、且つそのうちYはBにおけるアミノ酸残基の総数である。以下のように理解するべきである:アミノ酸配列Aの長さとアミノ酸配列Bの長さが等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列の同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは異なる。特に断りのない限り、本文中において使用するすべてのアミノ酸配列同一性値%は前記の段落に記載の通りであり、ALIGN−2コンピュータプログラムによって得られるものである。
本文において使用されているように、用語の「治療」及び「処理」は期待される薬理及び/または生理的効果が得られることを言う。前記効果は疾患またはその症状を完全または一部予防すること、及び/または疾患及び/またはその症状を一部または完全に治癒するものとすることができる。さらに以下を含む:(a)疾患が被験者の体内で発生することを予防し、前記被験者は疾患の要因を持っているが、該疾患を有すると診断されていない状況であること;(b)疾患を抑制し、その形成を阻害すること;及び(c)疾患及び/またはその症状を減軽し、即ち疾患及び/またはその症状を減退させること。
用語の「個体」、「被験者」及び「患者」は本明細書中において互いに置き換えて使用でき、哺乳動物を指し、ネズミ(ラット、マウス)、ヒト以外の霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限られない。
「治療上有効量」または「有効量」とは、哺乳動物またはその他の被験者に投与して疾患の治療に用いられる際に疾患の前記予防及び/または治療を実現できるプラスミノーゲンの量である。「治療上有効量」は使用するプラスミノーゲン、治療しようとする被験者の疾患及び/または症状の重症度及び年齢、体重などに従って変化するものである。
本発明のプラスミノーゲンの調製
プラスミノーゲンは治療の用途に用いられるために、自然界から分離及び精製されるものでもよく、標準的な化学ペプチド合成技術によって合成することでもよい。化学的手法によりポリペプチドを合成する際、液相または固相で合成を行うことができる。固相ポリペプチド合成(SPPS)(配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に附着させ、順番に配列中の残りのアミノ酸を添加する)はプラスミノーゲンの化学的合成に適したものである。各種形式のSPPS、例えばFmoc及びBocは、プラスミノーゲンの合成に用いることができる。固相合成に用いられる技術は以下に記載されている:Barany及びSolid−Phase Peptide Synthesis;3−284ページ、The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.第二巻:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.,Merrifield,tら J.Am.Chem.Soc.,85:2149−2156(1963);Stewartら,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984);及びGanesan A.2006Mini Rev.Med Chem.6:3−10及びCamarero JAら 2005Protein Pept Lett.12:723−8。簡単に言えば、その上にペプチド鎖が構築されている機能性ユニットにより不溶性の多孔ビーズを処理する。カップリング/脱保護の繰り返し循環後に、附着した固相の遊離N末端アミンと単一のN保護を受けているアミノ酸ユニットをカップリングさせる。それから、該ユニットを脱保護し、他のアミノ酸と接続する新しいN末端アミンを露出させる。ペプチドを固相上に固定したままにし、それからそれを切除する。
標準的な組み換え方法により本発明のプラスミノーゲンを生産する。例えば、プラスミノーゲンをコードする核酸を発現ベクター中に挿入し、それと発現ベクター中の制御配列を操作可能に接続させる。発現制御配列はプロモーター(例えば天然に関連されているプロモーター、または異種由来のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント及び転写終了配列を含むが、これらに限られない。発現の制御はベクター中の真核プロモーターシステムとすることができ、前記ベクターは真核宿主細胞(例えばCOSまたはCHO細胞)を形質転換またはトランスフェクションさせる。一旦ベクターを適切な宿主に導入すれば、ヌクレオチド配列の高レベル発現及びプラスミノーゲンの収集及び精製に適した条件下において宿主を維持する。
適切な発現ベクターは通常宿主体内において附加体または宿主染色体DNAの整合部分として複製される。通常、発現ベクターは選択マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性またはネオマイシン耐性)を含み、インビトロで所望のDNA配列によって形質転換されたそれらの細胞に対して測定を行うことに有用である。
大腸菌(Escherichia coli)は目的抗体をコードするポリヌクレオチドをクローンする原核宿主細胞の例である。その他の使用に適した微生物宿主は桿菌を含み、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びその他の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び各種シュードモナス属(Pseudomonas)種である。これらの原核宿主において、発現ベクターを生成でき、通常は宿主細胞と相容する発現制御配列(例えば複製開始点)を含むものである。また、多くの公知のプロモーターが存在し、例えば乳糖プロモーターシステム、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、β−ラクタマーゼプロモーターシステム、またはファージλ由来のプロモーターシステムである。プロモーターは一般的に発現を制御し、必要に応じて遺伝子配列を制御する場合に、転写及び翻訳を起動するために、さらにリボソームの結合位置配列を有してもよい。
その他の微生物、例えば酵母も発現に用いることができる。酵母(例えばサッカロミセス(S.cerevisiae))及びピキア(Pichia)が適した酵母宿主細胞の例であり、そのうちの適切な担体は必要に応じて発現制御配列(例えばプロモーター)、複製開始点、終止配列など含む。典型的なプロモーターは3−ホスホグリセリン酸キナーゼ及びその他の糖分解酵素を含む。誘導型酵母プロモーターはアルコール脱水素酵素、イソチトクロムC、及びマルトースとガラクトースの利用のための酵素のプロモーターを含む。
微生物以外に、哺乳動物細胞(例えば体外細胞培養物中において培養された哺乳動物細胞)も本発明のプラスミノーゲンの発現および生成に用いることができる(例えば目的抗−Tau抗体をコードするポリヌクレオチド)。例えばWinnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)参照。適した哺乳動物宿主細胞はCHO細胞系、各種Cos細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、及び形質転換されたB細胞またはハイブリドーマを含む。これらの細胞に用いられる発現ベクターは発現制御配列、例えば複製開始点、プロモーター、及びエンハンサー(Queenら,Immunol.Rev.89:49(1986))、及び必要とされる加工情報位置、例えばリボソームの結合サイト、RNAの切断サイト、ポリアデノシン酸化サイト、及び転写ターミネーター配列を含むことができる。適切な発現制御配列の例はウサギ免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウィルス、サイトメガロウイルスなどの派生のプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照すること。
一旦合成(化学または組み換え的に)されれば、本分野の標準的な手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニテイカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動などにより本発明に記載のプラスミノーゲンを精製することができる。該プラスミノーゲンは基本的に純粋なものであり、例えば少なくとも約80%から85%の純度で、少なくとも約85%〜90%の純度で、少なくとも約90%〜95%の純度で、または98%〜99%の純度またはさらに純度が高いものであり、例えば汚染物を含まず、前記汚染物は例えば細胞砕片、目的抗体以外の大分子などである。
薬物配合剤
所望の純度のプラスミノーゲンと必要に応じた薬用担体、賦形剤、または安定化剤(Remington′s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol,A.ed.(1980))を混合して凍結乾燥製剤または水溶液を形成して治療用の配合剤を得る。許容可能な担体、賦形剤、安定化剤は所要の用量及び濃度下において被験者に対して毒性がなく、さらに例えばリン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸などの緩衝剤を含む。抗酸化剤はアスコルビン酸和メチオニンを含む;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメチレンジアミン;塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブタノールまたはベンジルアルコール;アルキルパラヒドロキシ安息香酸エステル、例えばメチルまたはプロピルパラヒドロキシ安息香酸エステル;ピロカテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;m-クレゾール);低分子量ポリペプチド(少なくとも10個の残基を有するもの);タンパク質例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンである;単糖、二糖及びその他の炭水化物はグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む;キレート剤は例えばEDTAである;糖類は例えばショ糖、マンニトール、フコースまたはソルビトールである;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば亜鉛−タンパク複合体);及び/または非イオン界面活性剤、例えばTWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)である。好ましくは凍結乾燥された抗−VEGF抗体配合剤であり、WO 97/04801に記載されているとおりであり、本明細書において参考とされるものである。
本発明の配合剤は治療を必要とする具体的な症状の必要とする一種類以上の活性化合物を含有してもよく、好ましくは活性が相補的で互いに副作用を有しないものである。例えば、血圧降下薬、抗不整脈薬、糖尿病治療薬等である。
本発明のプラスミノーゲンは例えば凝集技術または界面重合によって作られるマイクロカプセル中に内包ことができ、例えば、膠質薬物輸送系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン剤、ナノ粒子及びナノカプセル)中に入れまたは粗エマルジョン状液中のヒドロキシメチルセルロースまたはゲルーマイクロカプセル及びポリ―(メタアクリル酸メチル)マイクロカプセル中に入れることができる。これらの技術はRemington′s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
体内に投与することに用いられる本発明のプラスミノーゲンは必ず無菌である必要がある。これは凍結乾燥及び再度配合する前または後に除菌濾過膜で濾過することで容易に実現できる。
本発明のプラスミノーゲンは緩衝製剤を調製できる。緩衝製剤の適切な実例は一定の形状を有し且つ糖タンパクを含む固体の疎水性重合体の半透過マトリックスを含み、例えば膜またはマイクロカプセルである。緩衝基質の実例はポリエステル、水性ゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリル酸エステル)(Langerら,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277(1981);Langer,Chem.Tech.,12:98−105(1982))またはポリ(ビニールアルコール)、ポリラクチド(米国特許3773919,EP 58,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸の共重合体(Sidman,ら,Biopolymers 22:547(1983)),分解できないエチレン−ビニルアセテート(ethylene−vinyl acetate)(Langer,ら,出所は前記と同じ)、または分解可能な乳酸−ヒドロキシ酢酸共重合体、例えばLupron DepotTM(乳酸−ヒドロキシ酢酸共重合体及びリュープロレリン(leuprolide)酢酸エステルからなる注射可能なミクロスフェア体)、及びポリD−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。重合体、例えばエチレン−酢酸エチル及び乳酸−ヒドロキシ酢酸は、持続的に分子を100日間以上放出することができ、しかしいくつかの水性ゲルがタンパク質を放出する時間は比較的短い。関連のメカニズムに応じてタンパク質を安定化させる合理的なストラテジーにより設計できる。例えば、凝集のメカニズムが硫化ジスルフィド結合の交換によって分子間S−S結合を形成するであれば、メルカプト基残基を修飾することにより、酸性溶液中から凍結乾燥させ、湿度を制御し、適切な添加剤を用いて、及び特定の重合体基質組成物を開発することで安定化を実現できる。
投与及び使用量
異なる方式、例えば静脈内、腹膜内、皮下、頭蓋骨内、髄腔内、動脈内(例えば頸動脈)、筋肉内投与により本発明の薬物組成物の投与を実現できる。
胃腸外での投与に用いられる製造物は無菌水性または非水性溶液、懸濁液及び乳剤を含む。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばオリーブオイルのような植物油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は水、アルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含み、塩水及び緩衝媒介を含む。胃腸外媒介物は塩化ナトリウム溶液、リンガ―デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、または固定油である。静脈内媒介物は液体及び栄養補充物、電気分解補充物などを含む。されには防腐剤及びその他の添加剤、例えば抗微生物製剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在してもよい。
医療関係者は各種臨床的要素により用量案を決めることができる。例えば医学分野で公知のように、任意の患者の用量は複数の要素によって決められ、これらの要素は患者の体型、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与回数及び経路、全体の健康度、及び同時に投与するその他の薬物を含む。本発明が含有するプラスミノーゲンの薬物組成物の用量の範囲は例えば被験者体重に対して毎日約0.0001〜2000mg/kgであり、または約0.001〜500mg/kg(例えば0.02mg/kg,0.25mg/kg,0.5mg/kg,0.75mg/kg,10mg/kg,50mg/kgなど)とすることができる。例えば、用量は1mg/kg体重または50mg/kg体重または1−50mg/kgの範囲とすることができ、または少なくとも1mg/kgである。この例示性の範囲より高いまたは低い用量もカバーされ、特に前記の要素を考慮した場合である。前記範囲中の中間用量も本発明の範囲内に含まれるものである。被験者は毎日、隔日、毎週または経験分析によって決められた任意のスケジュール表に従ってに従ってこのような用量を投与できる。例示的な用量のスケジュール表は連続数日1−10mg/kg投与することである。本発明の薬物の投与過程において治療効果及び安全性はリアルタイムに評価すべきである。
製品または薬物キット
本発明の一つの実施形態は製品または薬物キットに係るものであり、糖尿病によって引き起こされる心血管疾患及びその関連疾患を治療するための本発明のプラスミノーゲンまたはプラスミンを含有する。前記製品は好ましくは一つの容器、ラベルまたはプロトコルを含む。適切な容器はボトル、バイアル、注射器などである。容器は各種材料例えばガラスまたはプラスチックから作られることができる。前記容器は組成物を含有し、前記組成物は本発明の疾患または症状を有効に治療し且つ無菌の入口を有する(例えば前記容器は静脈輸液用パックまたはバイアルであり、皮下注射針によって貫通される栓を含む)。前記組成物中の少なくとも一種類の活性化剤がプラスミノーゲン/プラスミンである。前記容器上にあるまたは添付されているラベルは前記組成物を本発明の前記糖尿病によって引き起こされる心血管疾患及びその関連疾患の治療に用いられると説明するものである。前記製品はさらに薬用緩衝液を含有する第二容器を含み、前記薬用緩衝液は例えばリン酸塩緩衝の塩水、リンガー溶液及びグルコース溶液を含む。さらには商業及び使用者の角度から見ると必要とされるその他の物質、即ちその他の緩衝液、希釈剤、濾過物、針及び注射器を含むことができる。また、前記製品は使用説明を有するプロトコルを含み、これは例えば前記組成物の使用者にプラスミノーゲン組成物及び疾患の治療に伴うその他の薬物を患者に投与することを指示するものである。
図1は24〜25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の血清中の心筋トロポニン含有量の検出結果を示すものである。その結果、プラスミノーゲン投与群の心筋トロポニンIの濃度は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的にとても有意である(**は、P<0.01を表す)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病末期のマウスの心筋損傷の修復を有意に促進できることを示している。 図2はApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の心臓臓器係数(心係数)の統計結果を示すものである。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの心臓臓器係数は溶媒PBS投与対照群より明らかに低い。これは、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの心臓損傷による心臓の代償性肥大を改善できることを示している。 図3はApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の大動脈洞のオイルレッドO染色の代表的写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの大動脈洞における脂肪沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが大動脈洞における脂肪沈着を改善できることを示している。 図4はApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の大動脈弁のHE染色の代表的写真を示すものである。AとCは溶媒PBS投与対照群であり、BとDはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの大動脈弁におけるプラーク沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかも大動脈弁の融合程度では前者は後者より小さい。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症モデルマウスの大動脈弁損傷を改善できることを示している。 図5はApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の心臓のIgM免疫染色の代表的写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの心臓IgMの陽性発現(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症による心臓損傷の回復を促進できることを示している。 図6はApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の大動脈洞のシリウスレッド染色の代表的写真を示すものである。A、Cは溶媒PBS投与対照群であり、B、Dはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群の大動脈洞の血管内壁におけるコラーゲン沈着(矢印に表記される)の面積は溶媒PBS投与対照群より明らかに小さい。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症モデルマウスの大動脈洞の線維化レベルを軽減することができることを示している。 図7はプラスミノーゲンを20日投与した後の3%コレステロール高脂血症モデルマウスの心臓リスク指数の計算結果を示すものである。その結果、プラスミノーゲン投与群のCRIは溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的にとても有意である。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスに心臓疾患が発症するリスクを効果的に低めることができることを示している。 図8は16週齢の高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の大動脈洞のオイルレッドO染色の観察結果を示すものである。AとCは溶媒PBS投与対照群であり、BとDはプラスミノーゲン投与群であり、Eは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの大動脈洞における脂肪沈着は溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの大動脈洞における脂肪沈着を改善できることを示している。 図9は16週齢の高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の大動脈洞のHE染色の代表的写真を示すものである。AとCは溶媒PBS投与対照群であり、BとDはプラスミノーゲン投与群である。その結果、溶媒PBS投与対照群の大動脈管壁には泡沫細胞沈着が見えられ(矢印に示される)、プラークの沈着が深刻である;プラスミノーゲン投与群の大動脈管壁には軽度の泡沫細胞沈着のみが見えられ、しかも内膜下には明らかなアテローム性プラーク沈着が見えられず、プラスミノーゲン投与群の大動脈の損傷が軽い。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの大動脈洞内壁の、脂質沈着による損傷を改善できることを示している。 図10は16週齢の高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の心臓フィブリンの免疫組織化学染色の写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの心臓フィブリンの陽性発現は溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症による心臓損傷を減少させることができることを示している。 図11は16週齢の高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の心臓のIgM免疫染色の代表的写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの心臓IgMの陽性発現は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが高脂血症による心臓損傷を軽減できることを示している。 図12は16週齢の高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の心臓のシリウスレッド染色の代表的写真である。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスのコラーゲンの沈着は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの心臓線維化を軽減できることを示している。 図13は16週齢の高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の血清の心筋トロポニンの検出結果を示すものである。その結果、溶媒PBS投与対照群の血清の心筋トロポニン濃度はプラスミノーゲン投与群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症による心臓損傷を修復できることを示している。 図14は26週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の心室のオイルレッドO染色の代表的写真である。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの心室における脂質沈着(矢印に示される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心室における脂質沈着を減少させ、心室損傷の修復を促進することができることを示している。 図15は16週齢の高脂血症モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の大動脈洞のシリウスレッド染色の代表的写真である。AとCは溶媒PBS投与対照群であり、BとDはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群の大動脈洞の血管内壁におけるコラーゲンの沈着(矢印に示される)面積は溶媒PBS投与対照群より明らかに小さい。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの大動脈洞の線維化レベルを低減できることを示している。 図16はブレオマイシンにより誘発された全身性硬化症モデルマウスにプラスミノーゲンを21日投与した後の心臓シリウスレッド染色の代表的写真である。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。研究の結果、ブレオマイシンにより誘発された全身性硬化症モデルマウスにおいて、溶媒PBS投与対照群の心臓コラーゲンの沈着(矢印に表記される)程度がプラスミノーゲン投与群より高いことは示されている。これは、プラスミノーゲンがブレオマイシンにより誘発される心臓線維化を効果的に減少させることができることを示している。 図17は24〜25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを31日投与した後の心臓のマッソン(massоn)染色の観察結果である。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、溶媒PBS投与対照群の心筋繊維間に青色の増殖したコラーゲン繊維(矢印に表記される)が見えられ、軽度の心筋線維化が呈されている。プラスミノーゲン投与群の心筋繊維間に少量の水色の増殖したコラーゲン繊維が見えられ、対照群と比べ、心筋線維化は明らかに軽減されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心臓の線維化を改善することができることを示している。 図18は17〜18週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の心臓のシリウスレッド染色の代表的写真である。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスのコラーゲン繊維の沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心臓線維化を減少させることができることを示している。 図19は26〜27週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを35日投与した後の心臓のシリウスレッド染色の代表的写真である。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスのコラーゲン繊維の沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心臓線維化を弱めることができることを示している。 図20はApoEアテローム性動脈硬化モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の心室のオイルレッドO染色の代表的写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群であり、Cは定量分析結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの心室における脂肪沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化モデルマウスの心室における脂肪沈着を改善し、脂質沈着による心室損傷の修復を促進することができることを示している。 図21はApoEアテローム性動脈硬化モデルマウスにプラスミノーゲンを30日投与した後の心臓のシリウスレッド染色の代表的写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与群のコラーゲン沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの心臓線維化を軽減することができることを示している。
[実施例]
[実施例1]
実施例1は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心筋損傷に対する保護作用に関するものである。
糖尿病には通常心血管アテローム性動脈硬化症が伴われる[1,2]。心血管アテローム性動脈硬化症は、心筋細胞の虚血損傷を引き起こし得る。心筋トロポニンI(Cardiac troponin I,CTNI)は、心筋損傷の重要なマーカーであり、その血清における濃度は、心筋損傷の程度を反映することができる[3]。本実験は、心筋トロポニンIを検出することでプラスミノーゲンが心筋損傷に対する修復作用を観察する。
24〜25週齢のdb/dbオスマウス28匹を取ってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で12匹とプラスミノーゲン投与群で16匹とした。実験開示当日を0日として体重を測って群に分け、群分けした次の日からプラスミノーゲンまたはPBSを投与してその日を1日目とし、連続して31日間投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。32日目に眼球を摘出して採血し、3500r/分で15〜20分間遠心分離して上澄み液を取り、心筋トロポニンIの濃度測定を行った。その結果、プラスミノーゲン投与群の心筋トロポニンIの濃度は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的にとても有意である(図1)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心筋損傷の修復を有意に促進できることを示している。
[実施例2]
実施例2は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症マウスの心臓の代償性肥大を改善することに関するものである。
6週齢のオスApoEマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症モデルを誘発した[4,5]。モデル化後の各マウスから、投薬の3日前に50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。投与期間は30日間であり、投与期間中に引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投与した31日目に体重を測ってマウスを殺処分し、心臓を取って重量を測って、心係数を計算した。心係数(%)=心臓重量/体重×100。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの心係数は溶媒PBS投与対照群(図2)より明らかに低い。これは、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの心臓損傷による心臓の代償性肥大を軽減できることを示している。
[実施例3]
実施例3は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症マウスの大動脈洞における脂質沈着を改善することに関するものである。
6週齢のオスApoEマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症モデルを誘発した[4,5]。モデル化後の各マウスから、投薬の3日前に50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。それぞれ15%、30%スクロース中において4℃で終夜沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、凍結切片の厚みは8μmであり、オイルレッドOで15分間染色し、75%アルコールで5秒間分別し、そしてヘマトキシリンで30秒間核を染色し、グリセリンゼラチンに封入させた。切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(図3B)マウスの大動脈洞における脂肪沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(図3A)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症の大動脈洞における脂質沈着を改善できることを示している。
[実施例4]
実施例4は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症マウスの大動脈洞損傷を改善することに関するものである。
6週齢のオスApoEマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症モデルを誘発した[4,5]。モデル化後の各マウスから、投薬の3日前に50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、投与期間中に引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。大動脈洞の組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水してヘマトキシリン及びエオシンで染色(HE染色)させ、1%塩酸エタノールで分別させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコールで段階的に脱水させて封入させ、切片を光学顕微鏡下で40倍(図4A、4B)、200倍(図4C、4D)にて観察した。
染色の結果、プラスミノーゲン投与群(図4B、4D)マウスの大動脈洞における脂質プラーク沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(図4A、4C)より明らかに少なく、しかも大動脈弁の融合程度では前者は後者より小さい。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症における大動脈弁膜の損傷を改善できることを示している。
[実施例5]
実施例5は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症マウスの心臓損傷を改善することに関するものである。
6週齢のオスApoEマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症モデルを誘発した[4,5]。モデル化後の各マウスから、投薬の3日前に50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、投与期間中に引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせてから1回水洗った。PAPマーカーで組織を丸で囲み、3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、ヤギ抗マウスIgM(HRP)抗体(Abcam)を滴加して室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、水洗いした後にヘマトキシリンで30秒複染色して、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。IgM抗体は、アポトーシス細胞及び壊死細胞の排除において重要な役割を果たし、損傷した組織器官の局所IgM抗体のレベルは、損傷の程度と正比例に相関している[6,7]。よって、検出した組織器官の局所IgM抗体のレベルは該組織器官の損傷状況を反映することができる。実験の結果、プラスミノーゲン投与群マウス(図5B)の心臓IgM陽性発現は、溶媒PBS投与対照群(図5A)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンがApoEマウスの心筋損傷を明らかに改善できることを示している。
[実施例6]
実施例6は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症マウスの心臓線維化レベルを低減することに関するものである。
6週齢のオスApoEマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症モデルを誘発した[4,5]。モデル化後の各マウスから、投薬の3日前に50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、投与期間中に引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸エタノールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
シリウスレッド染色は、コラーゲンを長期的に染色することができ、病理学的切片の特殊染色法として、シリウスレッド染色はコラーゲン組織を特異的に表示することができる。
染色の結果、プラスミノーゲン投与群(図6B)の心臓動脈洞のアテローム性硬化部分のコラーゲン沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(図6A)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの心臓組織におけるコラーゲンの沈着を低減し、心臓の線維化を低減できることを示している。
[実施例7]
実施例7は、プラスミノーゲンが3%コレステロール高脂血症モデルマウスの心臓発症リスクを低めることに関するものである。
9週齢のオスC57マウス16匹に3%コレステロール高脂肪食(南通トロフィー)を4週間給餌して高脂血症を誘発し[8,9]、このモデルを3%コレステロール高脂血症モデルとし、モデル化後のマウスに引き続き3%コレステロール高脂肪食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール(T−CHO)を測定し、モデルマウスを総コレステロール濃度と体重によってランダムに二つの群に分け、各群で8匹ずつとした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。20日目に投与した後、マウスを16時間禁食し、21日目に眼窩静脈叢から50μL採血して遠心分離して上澄み液を取り、総コレステロール検出キット(南京建成生物工程研究所、品目番号A111−1)を用いて総コレステロール含有量を測定した。高密度リポタンパク質コレストロール検出キット(南京建成生物工程研究所、品目番号A112−1)を用いて高密度リポタンパク質コレストロール含有量を測定した。
心臓リスク指数(cardiac risk index,CRI)は、血脂障害によって心臓疾患が誘発されるリスクを評価するためのものである[10]
心臓リスク指数=T−CHO/HDL−C。
その結果、プラスミノーゲン投与群のCRIは溶媒PBS投与対照群より明らかに小さく、しかもその差が統計学的にとても有意である(図7)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの心臓疾患の発症リスクを効果的に低めることができることを示している。
[実施例8]
実施例8は、プラスミノーゲンが16週齢の高脂血症モデルマウスの大動脈洞における脂質沈着を低減することに関するものである。
6週齢のオスC57マウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症を誘発し[8,9]、このモデルを16週齢高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹とプラスミノーゲン投与群で5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。それぞれ15%、30%スクロース中において4℃で終夜沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、大動脈洞の凍結切片の厚みは8μmであり、オイルレッドOで15分間染色し、75%アルコールで5秒間分別し、そしてヘマトキシリンで30秒間核を染色し、グリセリンゼラチンに封入させた。切片を光学顕微鏡下で40倍(図8A、8B)、200倍(図8C、8D)にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(図8B、8D)マウスの大動脈洞における脂肪沈着は溶媒PBS投与対照群(図8A、8C)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(図8E)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの大動脈洞における脂質沈着を低減できることを示している。
[実施例9]
実施例9は、プラスミノーゲンが16週齢の高脂血症モデルマウスの大動脈洞損傷を改善することに関するものである。
6週齢のオスC57マウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症を誘発し[8,9]、このモデルを16週齢高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹とプラスミノーゲン投与群で5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。大動脈洞の組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに浸水してヘマトキシリン及びエオシンで染色(HE染色)させ、1%塩酸エタノールで分別させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコールで段階的に脱水させて封入させ、切片を光学顕微鏡下で40倍(図9A、9B)、200倍(図9C、9D)にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(図9A、9C)の大動脈洞内壁には泡沫細胞沈着があり(矢印に示される)、プラークの沈着が深刻である;プラスミノーゲン投与群(図9B、9D)の大動脈洞内壁には軽度の泡沫細胞沈着のみが見えられ、しかも内膜下には明らかなアテローム性プラーク沈着が見えられず、プラスミノーゲン投与群の大動脈洞内壁の損傷が軽い。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの大動脈洞内壁の損傷を改善できることを示している。
[実施例10]
実施例10は、プラスミノーゲンが16週齢の高脂血症モデルマウスの心臓フィブリンの発現を低減することに関するものである。
6週齢のオスC57マウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症を誘発し[8,9]、このモデルを16週齢高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹とプラスミノーゲン投与群で5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水洗った。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。ウサギ抗マウスフィブリン抗体(Abcam)を滴加して4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒複染色して、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
フィブリノーゲンはフィブリンの前駆体であり、組織に損傷が存在する状況下において、生体の損傷に対する応答反応として、フィブリノーゲンはフィブリンに加水分解されて損傷部位に沈着する[11,12]。そのため、損傷局所のフィブリンのレベルを損傷程度の一つのマーカーとすることができる。
免疫組織化学染色の結果、プラスミノーゲン投与群マウス(図10B)の心臓フィブリンの陽性発現は溶媒PBS投与対照群(図10A)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(図10C)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症による心筋損傷を減少させることができることを示している。
[実施例11]
実施例11は、プラスミノーゲンが16週齢の高脂血症モデルマウスの心筋損傷を効果的に保護することに関するものである。
6週齢のオスC57マウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症を誘発し[8,9]、このモデルを16週齢高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹とプラスミノーゲン投与群で5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水洗った。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。5%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングした;時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、水で2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗マウスIgM(HRP)抗体(Abcam)を室温で1時間インキュベーションし、PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで核を30秒染色して、流水で5分間流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹にし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
IgM抗体は、アポトーシス細胞及び壊死細胞の排除において重要な役割を果たし、損傷した組織器官の局所IgM抗体のレベルは、損傷の程度と正比例に相関している[6,7]。よって、検出した組織器官の局所IgM抗体のレベルは該組織器官の損傷程度を反映することができる。
免疫染色の結果、プラスミノーゲン投与群マウス(図11B)の心臓IgM陽性発現は、溶媒PBS投与対照群(図11A)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデル動物の心臓損傷を減少させることができることを示している。
[実施例12]
実施例12は、プラスミノーゲンが16週齢の高脂血症モデルマウスの心臓線維化を軽減することに関するものである。
6週齢のオスC57マウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症を誘発し[8,9]、このモデルを16週齢高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹とプラスミノーゲン投与群で5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸エタノールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
シリウスレッド染色は、コラーゲンを長期的に染色することができ、病理学的切片の特殊染色法として、シリウスレッド染色はコラーゲン組織を特異的に表示することができる。
染色の結果、プラスミノーゲン投与群(図12B)のコラーゲン沈着は溶媒PBS投与対照群(図12A)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの心臓組織におけるコラーゲンの沈着を低減し、心筋の線維化を軽減できることを示している。
[実施例13]
実施例13は、プラスミノーゲンが16週齢の高脂血症モデルマウスの心筋損傷を修復することに関するものである。
6週齢のオスC57マウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症を誘発し[8,9]、このモデルを16週齢高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹とプラスミノーゲン投与群で5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、30日目に投与した後マウスを禁食し、マウスを16時間禁食し、31日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離して上澄み液を取り、心筋トロポニン(Cardiac troponin I,CTNI)検出キット(南京建成)を用いて血清における心筋トロポニン濃度を測定した。
心筋トロポニンIは、心筋損傷の重要なマーカーであり、その血清における濃度は、心筋損傷の程度を反映することができる[3]
測定した結果、溶媒PBS投与対照群の血清における心筋トロポニン濃度はプラスミノーゲン投与群より明らかに高く、しかもその差が統計学的に有意である(図13)。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの心臓損傷を有意に改善できることを示している。
[実施例14]
実施例14は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心室における脂質沈着を低減することに関するものである。
26週齢のオスdb/dbマウス9匹を取ってランダムに群分けし、プラスミノーゲン投与群で4匹と溶媒PBS投与対照群で5匹とした。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、35日投与した。36日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。それぞれ15%、30%スクロース中において4℃で終夜沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、凍結切片の厚みは8μmであり、オイルレッドOで15分間染色し、75%アルコールで5秒間分別し、そしてヘマトキシリンで30秒間核を染色し、グリセリンゼラチンに封入させた。切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群マウス(図14B)の心室における脂質沈着(矢印に示される)は溶媒PBS投与対照群(図14A)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心室における脂肪の沈着を低減し、心室損傷の修復を促進できることを示している。
[実施例15]
実施例15は、プラスミノーゲンが16週齢の高脂血症モデルマウスの大動脈洞線維化を軽減することに関するものである。
6週齢のオスC57マウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症を誘発し[8,9]、このモデルを16週齢高脂血症モデルとした。モデル化後のマウスに引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹とプラスミノーゲン投与群で5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。大動脈洞の組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸エタノールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で40倍(図15A、15B)、200倍(図15C、15D)にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(図15B、15D)の大動脈洞血管内壁におけるコラーゲン沈着(矢印に示される)の面積は溶媒PBS投与対照群(図15A、15C)より明らかに小さい。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの大動脈洞の線維化レベルを軽減できることを示している。
[実施例16]
実施例16は、プラスミノーゲンが全身性硬化症モデルマウスの心臓線維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス10匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からモデルを構築して投薬し、0.1mg/0.1mL/匹/日でブレオマイシンを皮下注射して全身性硬化症を誘発させ[13]、当日からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、21日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。22日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の心臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブレオマイシンにより誘発された全身性硬化症モデルマウスにおいて、溶媒PBS投与対照群(図16A)の心臓コラーゲン沈着がプラスミノーゲン投与群(図16B)より高いことは観察された。これは、プラスミノーゲンがブレオマイシンにより誘発された心臓線維化を効果的に減少させることができることを示している。
[実施例17]
実施例17は、プラスミノーゲンが24〜25週齢の糖尿病マウスの心臓線維化を改善することに関するものである。
24〜25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重を測ってから群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、31日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを投与した。プラスミノーゲンを31日間投与した後にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の心臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは4μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから重クロム酸カリウム溶液に終夜置いた。鉄ヘマトキシリンで3〜5分間染色して流水で流した。1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水で1秒処理してから水で洗った。ポンソー酸性マゼンタ溶液にて8分間染色し、水中で素早く濯いだ。1%リンモリブデン酸水溶液で約2分間処理し、アニリンブルー溶液にて6分間複染色した。1%氷酢酸で約1分間濯いだ。無水エタノールで脱水させてキシレンで透徹にしてから封入し、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
糖尿病の最も一般的な合併症は結合組織の過剰な蓄積(病理的線維化)であり、心筋間質の線維化は糖尿病の心筋病変の特徴性病理的変化であるかもしれない[14,15]
マッソン(Masson)染色は組織の線維化を示すことができる。その結果、溶媒PBS投与対照群(図17A)の心筋繊維間に青色の増殖したコラーゲン繊維(矢印に表記される)が見えられ、軽度の心筋線維化が呈されている。プラスミノーゲン投与群(図17B)の心筋繊維間に少量の水色の増殖したコラーゲン繊維が見えられ、対照群と比べ、心筋線維化は明らかに軽減されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心臓の線維化を改善することができることを示している。
[実施例18]
実施例18は、プラスミノーゲンが17〜18週齢の糖尿病マウスの心臓のコラーゲン沈着を減少させることに関するものである。
17〜18週齢のdb/dbオスマウス8匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群4匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、35日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを投与した。プラスミノーゲンを35日間投与した後にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の心臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(図18B)マウスのコラーゲン繊維の沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(図18A)より明らかに少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることができることを示し、プラスミノーゲンが心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることにより、比較的に若い(17〜18週齢)糖尿病マウスの心臓組織の線維化を減少させることができることを示唆している。
[実施例19]
実施例19は、プラスミノーゲンが26〜27週齢の糖尿病マウスの心臓のコラーゲン沈着を減少させることに関するものである。
26〜27週齢のdb/dbオスマウス9匹を取り、ランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群に5匹とプラスミノーゲン投与群に4匹とした。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、35日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを投与した。プラスミノーゲンを35日間投与した後にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の心臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッドで60分間染色した後、流水で流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(図19B)マウスのコラーゲン繊維の沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(図19A)より明らかに少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることができることを示し、プラスミノーゲンが心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることにより、比較的に老齢(26〜27週齢)糖尿病マウスの心臓組織の線維化を減少させることができることを示唆している。
[実施例20]
実施例20は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症マウスの心室における脂質沈着を改善することに関するものである。
6週齢のオスApoEマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症モデルを誘発した[4,5]。モデル化後の各マウスから、投薬の3日前に50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。それぞれ15%、30%スクロース中において4℃で終夜沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、心室の凍結切片の厚みは8μmであり、オイルレッドOで15分間染色し、75%アルコールで5秒間分別し、そしてヘマトキシリンで30秒間核を染色し、グリセリンゼラチンに封入させた。切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(図20B)の心室における脂肪沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(図20A)より明らかに少なく、しかもその差は統計学的に有意である(図20C)。これは、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症モデルマウスの心室における脂質沈着を改善し、脂質沈着による心室損傷の修復を促進できることを示している。
[実施例21]
実施例21は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化症マウスの心臓線維化レベルを低減することに関するものである。
6週齢のオスApoEマウス13匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化症モデルを誘発した[4,5]。モデル化後の各マウスから、投薬の3日前に50μLの血液を採取して総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、モデルマウスをT−CHO含有量によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で7匹とプラスミノーゲン投与群で6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。30日間投与し、投与期間中に引き続き高脂肪高コレステロール食を与えた。31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸エタノールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
シリウスレッド染色は、コラーゲンを長期的に染色することができ、病理学的切片の特殊染色法として、シリウスレッド染色はコラーゲン組織を特異的に表示することができる。
染色の結果、プラスミノーゲン投与群(図21B)のコラーゲン沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(図21A)より明らかに少ない。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化症モデルマウスの心臓組織におけるコラーゲンの沈着を低減し、心筋の線維化を軽減できることを示している。



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Claims (69)

  1. 心筋損傷に罹患するリスクがあるか、心筋損傷に罹患した疑いがある、または心筋損傷に罹患している被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の心筋損傷を予防または治療するための方法。
  2. 前記心筋損傷は、虚血、炎症、アレルギー反応、自己免疫、血栓、微小循環性障害、外傷、放射線損傷、糖質代謝障害、脂肪代謝障害による心筋損傷を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記心筋損傷は、心筋炎と、心膜炎と、高血圧と、アテローム性動脈硬化症と、冠状動脈心臓病と、狭心症と、心筋梗塞と、不整脈と、心不全と、ショックと、汎発性血管内凝固と、微小循環性障害と、糖尿病と、高脂血症と、動脈、静脈血栓と、脂肪塞栓と、虚血再灌流と、全身性硬化症と、全身性エリテマトーデスと、冠状動脈狭窄と、リウマチ性心臓病と、僧帽弁狭窄/閉鎖不全症と、大動脈弁狭窄/閉鎖不全症とからなる群より選ばれる疾患による心筋損傷である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記心筋損傷は、虚血性心臓疾患による心筋損傷である、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記虚血性心臓疾患は、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈心臓病、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、ショック、汎発性血管内凝固、微小循環性障害、虚血再灌流、冠状動脈狭窄、僧帽弁狭窄/閉鎖不全症、大動脈弁狭窄/閉鎖不全症である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記心筋損傷は、動脈、静脈血栓または脂肪塞栓による心筋損傷である、請求項1または2に記載の方法。
  7. 前記血栓または塞栓は、アテローム性動脈硬化によるものである、請求項6に記載の方法。
  8. 被験者に心筋組織を保護するために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の心筋損傷を予防または治療するための方法。
  9. 前記プラスミノーゲンは、心筋細胞損傷による心筋細胞アポトーシスを軽減する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記プラスミノーゲンは損傷心筋の修復を促進する、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記プラスミノーゲンは損傷心筋の線維化を軽減する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記プラスミノーゲンは心筋機能の回復を促進する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 被験者に心筋保護のために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の脂質性心筋損傷を予防または治療するための方法。
  15. 前記プラスミノーゲンは心臓組織における脂質沈着を軽減する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記プラスミノーゲンは損傷心筋の修復を促進する、請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋組織の線維化を軽減する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋細胞のアポトーシスを軽減する、請求項14〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記プラスミノーゲンは、心筋機能の回復を促進する、請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記プラスミノーゲンは、血清のトリグリセリドを低下させることと、低密度リポタンパク質を低下させることと、超低密度リポタンパク質を低下させることと、血清のコレステロールを低下させることと、血清の高密度リポタンパク質を上昇させることとからなる群より選ばれる一つ以上によって血脂を軽減する、請求項14〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 被験者に心筋保護のために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の炎症性心筋損傷を予防または治療するための方法。
  23. 前記炎症は、被験者の自己免疫による炎症である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記炎症は、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、心筋炎、心膜炎である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋の修復を促進する、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋組織の線維化を軽減する、請求項22〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋細胞のアポトーシスを軽減する、請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記プラスミノーゲンは、心筋機能の回復を促進する、請求項22〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、請求項22〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 被験者に心筋保護のために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者のアテローム性動脈硬化性心筋損傷を予防または治療するための方法。
  31. 前記心筋損傷は、被験者の冠状動脈心臓病によるものである、請求項30に記載の方法。
  32. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋の修復を促進する、請求項31に記載の方法。
  33. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋組織の線維化を軽減する、請求項30〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋細胞のアポトーシスを軽減する、請求項30〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記プラスミノーゲンは、心筋機能の回復を促進する、請求項30〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、請求項30〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 被験者に心筋保護のために有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の糖尿病によって引き起こされるか糖尿病と合併した心筋損傷を予防または治療するための方法。
  38. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋の修復を促進する、請求項37に記載の方法。
  39. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋組織の線維化を軽減する、請求項37または38に記載の方法。
  40. 前記プラスミノーゲンは、損傷心筋細胞のアポトーシスを軽減する、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記プラスミノーゲンは、心筋機能の回復を促進する、請求項37〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記プラスミノーゲンは、心筋損傷後の拡張及び心臓の代償性肥大を軽減する、請求項37〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の脂質沈着による心筋損傷を予防または治療するための方法。
  44. 前記脂質沈着は、被験者の脂肪代謝異常または糖質代謝異常による高脂血症によるものである、請求項43に記載の方法。
  45. 被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の高脂血症によって引き起こされるまたは高脂血症に伴われる腎組織損傷を予防または治療するための方法。
  46. 被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の虚血再灌流性心筋組織損傷を予防または治療するための方法。
  47. 前記プラスミノーゲンは一種以上のその他の薬物または治療方法と併用することができる、請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記一種以上のその他の薬物は、高血圧の治療薬、糖尿病の治療薬、アテローム性動脈硬化症の治療薬、慢性糸球体腎炎の治療薬、慢性腎盂腎炎の治療薬、腎病症候群の治療薬、腎機能不全の治療薬、尿毒症の治療薬、腎移植の治療薬、脂肪肝の治療薬、肝硬変の治療薬、肥満症の治療薬を含む、請求項47に記載の方法。
  49. 前記その他の薬物は、脂質低下薬、抗血小板薬、血圧降下薬、血管拡張薬、血糖降下薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、肝臓保護薬、抗不整脈薬、強心薬、利尿薬、抗感染薬、抗ウイルス薬、免疫調節薬、炎症調節薬、抗腫瘍薬、ホルモン薬、チロキシンを含む、請求項48に記載の方法。
  50. 前記薬物は、スタチン系、フィブラート系、ニコチン酸、コレスチラミン、クロフィブラート、益壽寧や血脂平や心脈楽のような不飽和脂肪酸、硫酸多糖類のような脂質低下薬;アスピリン、ペルサンチン、クロピドグレル、シロスタのような抗血小板薬;ヒドララジン、ニトログリセリンと硝酸イソソルビド、ニトロプルシドナトリウム、プラゾシンのようなα1受容体遮断薬、フェントラミンのようなα受容体遮断薬、サルブタモールのようなβ2受容体刺激薬、カプトプリル、エナラプリル、ニフェジピンやジルチアゼム、サルブタモール酸、ミノキシジル、プロスタグランジン、カルジオナトリンのような血管拡張薬;ウロキナーゼとストレプトキナーゼ、組織型プラスミノーゲン活性化剤、単鎖ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化剤、TNK−組織型プラスミノーゲン活性化剤のような血栓溶解薬;ヘパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、ビバリルジンのような抗凝固薬を含む、請求項49に記載の方法。
  51. 前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するものである、請求項1〜50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記プラスミノーゲンは配列2、6、8、10または12において、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を添加、削除及び/または置換したものであり、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、請求項1〜51のいずれか1項に記載の方法。
  53. 前記プラスミノーゲンはプラスミノーゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、請求項1〜52のいずれか1項に記載の方法。
  54. 前記プラスミノーゲンは、Glu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ−プラスミノーゲンまたはそれらのプラスミノーゲン活性を保持した変異体である、請求項1〜53のいずれか1項に記載の方法。
  55. 前記プラスミノーゲンは、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、またはその依然プラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、請求項1〜54のいずれか1項に記載の方法。
  56. 前記プラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、またはその依然プラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、請求項1〜54のいずれか1項に記載の方法。
  57. 前記プラスミノーゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示される通りである、請求項1〜56のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記プラスミノーゲンは、ヒト由来の天然プラスミノーゲンである、請求項1〜57のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記被験者はヒトである、請求項1〜58のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記被験者はプラスミノーゲンが不足、または欠乏している、請求項1〜59のいずれか1項に記載の方法。
  61. 前記不足または欠乏は、先天的、継発的及び/または局所的である、請求項60に記載の方法。
  62. 請求項1〜61のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲン。
  63. 薬学的に許容される担体及び請求項1〜61のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲンを含む薬物組成物。
  64. (i)請求項1〜61のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲンと、(ii)前記プラスミノーゲンを前記被験者に送達するための手段(means)とを含む、予防性または治療性キット。
  65. 前記手段はシリンジまたはバイアルである、請求項64に記載のキット。
  66. 請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法を実施するように前記プラスミノーゲンを前記被験者に投与することを指示するラベルまたはプロトコルをさらに含む、請求項64または65に記載のキット。
  67. ラベルを含む容器と、
    (i)請求項1〜61のいずれか1項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲン、またはプラスミノーゲンを含む薬物組成物とを含む製品であって、
    前記ラベルは、請求項1〜61のいずれか1項に記載の方法を実施するように前記プラスミノーゲンまたは組成物を前記被験者に投与することを指示する、製品。
  68. その他の薬物を含む、もう一つ以上の部材または容器をさらに含む、請求項64〜66のいずれか1項に記載のキット、または請求項67に記載の製品。
  69. 前記その他の薬物は、脂質低下薬、抗血小板薬、血圧降下薬、血管拡張薬、血糖降下薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、肝臓保護薬、抗不整脈薬、強心薬、利尿薬、抗感染薬、抗ウイルス薬、免疫調節薬、炎症調節薬、抗腫瘍薬、ホルモン薬、チロキシンからなる群より選ばれる、請求項68に記載のキットまたは製品。
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