一方において、本発明は糖尿病性神経損傷を予防及び/または修復する方法に係り、被験者に有効量のプラスミノゲンまたはプラスミンを投与することを含む。一方において本発明はプラスミノゲンまたはプラスミンを糖尿病性の神経損傷を予防及び/または修復する用途に用いることに係り、被験者に対して有効量のプラスミノゲンまたはプラスミンを投与することを含む。
一つの実施形態において、前記糖尿病性神経損傷は神経組織損傷、神経の炎症を含む。本発明はさらに糖尿病性神経損傷の関連疾患を治療及び/または予防する方法に係り、被験者に治療有効量のプラスミノゲンまたはプラスミンを投与することを含む。一つの実施形態において、前記糖尿病性神経損傷の関連症状は体の痛み、感覚減退、痺れ、熱さ、冷たさ、及び糖尿病性神経性疼痛を含み、糖尿病合併症によって引き起こされる自発性疼痛、痛覚減退(hypoalgesia)、痛覚過敏(hyperalgesia)などを含むがこれらに限られない。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、さらに依然としてプラスミノゲン活性を有するものである。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを有し、且つ依然としてプラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選択されるものである。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは例えば、体表、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、椎管内、局所注射、関節内注射または直腸投与によって全身または局所にて投与される。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは他の薬物または療法と組み合わせて投与できる。一つの実施形態において、前記他の薬物または療法は神経栄養薬、鎮痛系薬、糖尿病治療薬、抗感染薬、血圧降下薬、高脂血症治療薬、物理療法を含み、前記物理療法は例えば電磁療法、赤外線療法である。
一つの実施形態において、前記被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
一つの実施形態において、前記被験者のプラスミンまたはプラスミノゲンは低下している。具体的には、前記低下は先天的、継発的、及び/または局所的なものである。
一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノゲン活性を有するものである。一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12に基づいて、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を追加、削除及び/または置換したもので、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノゲンは以下から選ばれる保存的(conservative)な置換バリアントである:Glu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはマイクロプラスミノゲン。一つの実施形態において、プラスミノゲンはヒト天然プラスミノゲンであり、例えば配列2が示すプラスミノゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノゲンのオルソログである。もっとも好ましくは、本発明のプラスミノゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示される通りである。
一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは適切なポリペプチド担体または安定剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは毎日0.0001−2000mg/kg、0.001−800mg/kg、0.01−600mg/kg、0.1−400mg/kg、1−200mg/kg、1−100mg/kg、10−100mg/kg(体重一キロあたりで計算)または0.0001−2000mg/cm2、0.001−800mg/cm2、0.01−600mg/cm2、0.1−400mg/cm2、1−200mg/cm2、1−100mg/cm2、10−100mg/cm2(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量で投与され、好ましくは少なくとも一回繰り返し、好ましくは毎日投与される。局所投与の場合、前記用量はさらに状況に応じて調整することができる。
もう一方で、本発明はプラスミノゲンまたはプラスミンの糖尿病性神経損傷を予防及び/治療する薬物の製造における用途に係る。一方において、本発明は製薬方法に係り、プラスミノゲンまたはプラスミン及び薬学上の許容し得る担体を共に糖尿病性神経損傷を予防及び/治療する薬物に製造することを含む。
一つの実施形態において、前記糖尿病性神経損傷は神経組織損傷、神経の炎症を含む。本発明はさらにプラスミノゲンまたはプラスミンの、糖尿病性神経損傷及びその関連疾患を治療及び/または予防する薬物の製造における用途に係る。一つの実施形態において、前記糖尿病性神経損傷の関連疾患は体の痛み、感覚減退、痺れ、熱さ、冷たさ、及び糖尿病神経性疼痛を含み、糖尿病合併症によって引き起こされる自発性疼痛、痛覚減退、痛覚過敏を含むがこれらに限られない。一つの実施形態において、前記フィブリンプラスミンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミン活性を有する。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選択されるものである。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは例えば、体表、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、椎管内、局所注射、関節内注射または直腸投与によって全身または局所にて投与される。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは他の薬物または療法と組み合わせて投与される。一つの実施形態において、前記他の薬物または療法は神経栄養薬、鎮痛系薬、糖尿病治療薬、抗感染薬、血圧降下薬、高脂血症治療薬、物理療法を含み、前記物理療法は例えば電磁療法、赤外線療法である。
一つの実施形態において、前記被験者は哺乳動物で、好ましくはヒトである。
一つの実施形態において、前記被験者のフィブリンプロテアーゼまたはプラスミノゲンは低下している。具体的に、前記低下は先天的、継発的及び/または局所的である。
一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有する。一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12に基づいて、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を追加、削除及び/または置換したもので、且つ依然としてプラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然としてプラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノゲンは以下から選ばれる保存的な置換バリアントである:Glu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはマイクロプラスミノゲン。一つの実施形態において、プラスミノゲンはヒト天然プラスミノゲンであり、例えば配列2が示すプラスミノゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノゲンのオルソログである。もっとも好ましくは、本発明のプラスミノゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示される通りである。
一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは適切なポリペプチド担体または安定剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは毎日0.0001−2000mg/kg、0.001−800mg/kg、0.01−600mg/kg、0.1−400mg/kg、1−200mg/kg、1−100mg/kg、10−100mg/kg(体重一キロあたりで計算)または0.0001−2000mg/cm2、0.001−800mg/cm2、0.01−600mg/cm2、0.1−400mg/cm2、1−200mg/cm2、1−100mg/cm2、10−100mg/cm2(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量を投与され、好ましくは少なくとも一回繰り返し、好ましくは毎日投与される。局所投与の場合、前記用量はさらに状況に応じて調整することができる。
もう一方において、本発明は糖尿病性神経損傷を予防及び/または修復するためのプラスミノゲン、及び被験者の糖尿病性神経損傷を予防及び/または修復するための、プラスミノゲンまたはプラスミンを含有する薬物組成物に係る。一つの実施形態において、前記糖尿病性神経損傷は神経組織損傷、神経の炎症を含む。本発明はさらに被験者の糖尿病性神経損傷関連疾患を予防及び/または治療するためのプラスミノゲンに係り、及び糖尿病性神経損傷関連疾患の治療及び/または予防に用いられる、プラスミノゲンを含有する薬物組成物に係る。一つの実施形態において、前記糖尿病性神経損傷の関連疾患は体の痛み、感覚減退、痺れ、熱さ、冷たさ、及び糖尿病性神経疼痛を含み、糖尿病合併症によって引き起こされる自発性疼痛、痛覚減退、痛覚過敏を含むがこれに限られない。一つの実施形態において、前記フィブリンプラスミンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、さらに依然としてプラスミン活性を有するものである。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを有し、さらに依然としてプラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選択されるものである。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは例えば、体表、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、椎管内、局所注射、関節内注射または直腸投与によって全身または局所にて投与される。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは他の薬物または療法と組み合わせて投与される。一つの実施形態において、前記他の薬物または療法は神経栄養薬、鎮痛系薬、糖尿病治療薬、抗感染薬、血圧降下薬、高脂血症治療薬、物理療法を含み、前記物理療法は例えば電磁療法、赤外線療法である。
一つの実施形態において、前記被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
一つの実施形態において、前記被験者のプラスミンまたはプラスミノゲンは低下している。具体的には、前記低下は先天的、継発的、及び/または局所的なものである。
一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有する。一つお実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12に基づいて、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を追加、削除及び/または置換したもので、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノゲンは以下から選ばれる保存的な置換バリアントである:Glu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはマイクロプラスミノゲンである。一つの実施形態において、プラスミノゲンはヒト天然プラスミノゲンであり、例えば配列2が示すプラスミノゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノゲンのオルソログである。最も好ましくは、本発明のプラスミノゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示される通りである。
一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは適切なポリペプチド担体または安定剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは毎日0.0001−2000mg/kg、0.001−800mg/kg、0.01−600mg/kg、0.1−400mg/kg、1−200mg/kg、1−100mg/kg、10−100mg/kg(体重一キロあたりで計算)または0.0001−2000mg/cm2、0.001−800mg/cm2、0.01−600mg/cm2、0.1−400mg/cm2、1−200mg/cm2、1−100mg/cm2、10−100mg/cm2(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量を投与し、好ましくは少なくとも一回繰り返し、好ましくは毎日投与する。局所投与の場合、前記用量はさらに状況に応じて調整することができる。
もう一方において、本発明は被験者の糖尿病性神経損傷の予防及び/または修復に用いる、プラスミノゲンまたはプラスミンを含有する薬物組成物の製品または薬物キットに係る。一つの実施形態において、前記糖尿病性神経損傷は神経組織損傷、神経の炎症を含む。本発明はさらに被験者の糖尿病性神経損傷の関連疾患の治療及び/または予防に用いられる、プラスミノゲンまたはプラスミンを含有する薬物組成物の製品または薬物キットに係る。一つの実施形態において、前記糖尿病性神経損傷の関連疾患は体の痛み、感覚減退、痺れ、熱さ、冷たさ、及び糖尿病神経性疼痛を含み、糖尿病合併症によって引き起こされる自発性疼痛、痛覚減退、痛覚過敏を含むがこれらに限られない。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノゲン活性を有するものである。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは例えば、体表、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、椎管内、局所注射、関節内注射または直腸投与によって全身または局所にて投与される。一つの実施形態において、前記プラスミノゲンは一種類または複数種類の他の薬物または療法と組み合わせて投与することができる。一つの実施形態において、前記その他の薬物または療法は神経栄養薬、鎮痛系薬、糖尿病治療薬、抗感染薬、血圧降下薬、高脂血症治療薬、物理療法を含み、前記物理療法は例えば電磁療法、赤外線療法である。
一つの実施形態において、前記被験者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
一つの実施形態において、前記被験者のプラスミンまたはプラスミノゲンは低下している。具体的には、前記低下は先天的、継発的、及び/または局所的なものである。
一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノゲン活性を有する。一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12に基づいて、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を追加、削除及び/または置換したもので、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノゲンは以下から選ばれる保存的な置換バリアントである:Glu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはマイクロプラスミノゲン。一つの実施形態において、プラスミノゲンはヒト天然プラスミノゲンであり、例えば配列2が示すプラスミノゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノゲンのオルソログである。最も好ましくは、本発明のプラスミノゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示される通りである。
一つの実施形態において、前記製品または薬物キットは有効用量のプラスミノゲンを含有する容器を含む。好ましくは、該製品または薬物キットはさらに一種類または複数種類の他の薬物を含有する容器を含む。該製品または薬物キットはさらに使用プロトコルを含むことができ、これは前記プラスミノゲンを糖尿病によって引き起こされる神経損傷及びその関連症状の予防及び/または治療に用いることができることを説明するものであり、さらには以下のように説明することができる。即ち、前記プラスミノゲンは前記他の薬物を投与する前、投与と同時、及び/または後に投与できる。
一方において、本発明はプラスミノゲンまたはプラスミンの、被験者の糖尿病性血管病変によってもたらされる生体組織及び内臓臓器の損傷(ダメージ)を予防及び/または治療するための薬物、製品、薬物キットの製造における用途に係るものである。一つの実施形態において、前記組織及び内臓臓器の損傷(ダメージ)は大脳、心臓、肝臓、肺臓、腎臓、神経、網膜、皮膚、胃腸管の損傷(ダメージ)を含む。一方において、本発明はプラスミノゲンまたはプラスミンの被験者の糖尿病合併症を予防及び/または治療するための薬物、製品、薬物キットにおける用途に係る。一つの実施形態において、前記糖尿病合併症は糖尿病によって引き起こされる糖尿病性大脳病変、糖尿病性心臓病変、糖尿病性肝臓病変、糖尿病性腎臓病変、糖尿病性肺臓病変、糖尿病性神経病変、糖尿病網膜症、糖尿病性皮膚病変である。
一方において、本発明は製薬方法に係り、プラスミノゲンまたはプラスミンと薬学的に許容し得る担体から、被験者の糖尿病性血管病変によってもたらされる生体組織及び内臓臓器の損傷(ダメージ)を予防及び/または治療するための薬物、製品、薬物キットに製造することを含む。一つの実施形態において、前記組織及び内臓臓器の損傷(ダメージ)は大脳、心臓、肝臓、肺臓、腎臓、神経、網膜、皮膚、胃腸管の損傷(ダメージ)を含む。一方において、本発明は製薬方法に係り、プラスミノゲンまたはプラスミンの薬学的に許容し得る担体を、被験者の糖尿病合併症を予防及び/または治療するための薬物、製品、薬物キットに製造することを含む。一つの実施形態において、前記糖尿病合併症は糖尿病によって引き起こされる糖尿病性大脳病変、糖尿病性心臓病変、糖尿病性肝臓病変、糖尿病性腎臓病変、糖尿病性肺臓病変、糖尿病性神経病変、糖尿病網膜症、糖尿病性皮膚病変である。
一方において、本発明は被験者の糖尿病性血管病変によってもたらされる生体組織及び内臓臓器の損傷(ダメージ)を予防及び/または治療するためのプラスミノゲンまたはプラスミン、プラスミノゲンまたはプラスミンを含有する組成物、製品、薬物キットに係るものである。一つの実施形態において、前記組織及び内臓臓器の損傷(ダメージ)は大脳、心臓、肝臓、腎臓、肺臓、神経、網膜、胃腸管、皮膚の損傷(ダメージ)を含む。一方において、本発明は被験者の糖尿病合併症を予防及び/または治療するプラスミノゲン、プラスミノゲンを含有する薬物組成物、製品または薬物キットに係る。一つの実施形態において、前記糖尿病合併症は糖尿病によって引き起こされる糖尿病性大脳病変、糖尿病性心臓病変、糖尿病性肝臓病変、糖尿病性肺臓病変、糖尿病性腎臓病変、糖尿病性神経病変、糖尿病性血管病変、糖尿病網膜症、糖尿病性皮膚病変である。
一方において、本発明は被験者の糖尿病性血管病変によってもたらさる生体組織及び内臓臓器損傷(ダメージ)を予防及び/または治療する方法に係り、被験者にプラスミノゲンまたはプラスミン、プラスミノゲンまたはプラスミンを含有する薬物組成物、製品、薬物キットを投与することを含む。本発明はさらにプラスミノゲンまたはプラスミン、プラスミノゲンまたはプラスミンを含有する薬物組成物、製品、薬物キットの被験者の糖尿病性血管病変によってもたらされる生体組織及び内臓臓器損傷(ダメージ)を予防及び/または治療する用途に係るものである。一つの実施形態において、前記組織及び内臓臓器の損傷(ダメージ)は大脳、心臓、肝臓、肺臓、腎臓、神経、網膜、胃腸管、皮膚に対する損傷(ダメージ)を含む。一方において、本発明は被験者の糖尿病合併症を予防及び/または治療する方法に係り、被験者にプラスミノゲンまたはプラスミン、プラスミノゲンまたはプラスミンを含有する薬物組成物、製品または薬物キットを投与することを含む。本発明はさらにプラスミノゲンまたはプラスミン、プラスミノゲンまたはプラスミンを含有する薬物組成物、製品または薬物キットの、被験者の糖尿病合併症を予防及び/治療することにおける用途を含む。一つの実施形態において、前記糖尿病合併症は糖尿病によって引き起こされた糖尿病性大脳病変、糖尿病性心臓病変、糖尿病性肝臓病変、糖尿病性肺臓病変、糖尿病性腎臓病変、糖尿病性神経病変、糖尿病性血管病変、糖尿病性網膜病変、糖尿病性皮膚病変である。
一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有する。一つの実施形態において、プラスミノゲンは配列2、6、8、10または12に基づいて、1−100、1−90、1−80、1−70、1−60、1−50、1−45、1−40、1−35、1−30、1−25、1−20、1−15、1−10、1−5、1−4、1−3、1−2、1個のアミノ酸を追加、削除及び/または置換したもので、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはプラスミノゲン活性フラグメントを含有し、且つ依然プラスミノゲン活性を有するタンパク質である。一つの実施形態において、プラスミノゲンはGlu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、マイクロプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはそれらの任意の組み合わせから選ばれるものである。一つの実施形態において、プラスミノゲンは以下から選ばれる保存的な置換バリアントである:Glu−プラスミノゲン、Lys−プラスミノゲン、ミニプラスミノゲン、δ−プラスミノゲンまたはマイクロプラスミノゲンである。一つの実施形態において、プラスミノゲンはヒト天然プラスミノゲンであり、例えば配列2が示すプラスミノゲンのオルソログであり、例えば、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するプラスミノゲンのオルソログであり、例えばゴリラ、アカゲザル、マウス、ウシ、ウマ、イヌに由来するプラスミノゲンのオルソログである。最も好ましくは、本発明のプラスミノゲンのアミノ酸配列は配列2、6、8、10または12に示される通りである。
一つの実施形態において、前記被験者のプラスミンまたはプラスミノゲンは低下している。具体的には、前記低下は先天的、継発的、及び/または局所的なものである。
本発明は本発明の実施形態どうしの技術的特徴のすべての組み合わせを明確にカバーし、且つこれらの組み合わせ後の技術構成は本出願で明確に開示され、前記技術構成が単独且つ明確に開示されているのと一緒である。また、本発明はさらに各実施形態及び要素のすべてのサブの組み合わせをカバーし、さらに本明細書中において開示され、それぞれのサブの組み合わせが単独且つ明確に本明細書中において開示されているのと一緒である。
1、定義
「糖尿病」は遺伝的要素、免疫機能の乱れ、微生物感染及びその毒素、フリーラジカル毒素、精神要因などの各種病気誘発因子が生体に作用することによる、インスリン減退、インスリン抵抗などによって引き起こされる糖、タンパク質、脂肪、水及び電解質等の一連の代謝に乱れが生じる症候群であり、臨床的には高血糖を主な特徴とする。
「糖尿病合併症」は糖尿病プロセスにおける血糖の制御不良によって引き起こされる身体のその他の臓器または組織のダメージまたは機能障害であり、肝臓、腎臓、心臓、網膜、神経系のダメージまたは機能障害等を含む。世界保健機関(WHO)の統計によれば、糖尿病合併症は100種類以上あり、現在における合併症が最も多い疾患である。
「糖尿病性微小血管病変」とは糖尿病患者の生体の各臓器または組織の微小循環において異なる程度の異常がもたらす微小血管障害である。微小血管障害が形成するプロセスは概ね以下である:微小循環の機能性改変、内皮損傷、基膜の厚み増大、血液粘度の上昇、赤血球の凝集、血小板の粘着及び凝集、最終的には微小血栓形成及び/または微小血管閉塞をもたらす。
前記「糖尿病性微小血管病変」は組織または臓器の局所血管損傷、血流不順、細胞の酸素欠乏、血液凝塊の形成、血栓及び炎症をもたらし、さらには周辺の組織及び臓器の機能に影響し、これにより「糖尿病合併症」をもたらす。このため、本発明の請求項の技術構成における「糖尿病性微小血管病変」及び「糖尿病合併症」という用語に言及した場合、いずれも糖尿病によって引き起こされる血栓形成をカバーするものである。
「糖尿病性脳神経病変」は「糖尿病性神経症」とも呼ばれ、糖尿病高血糖を特徴とする生体の代謝障害により引き起こされる神経系の疾患であり、糖尿病によって引き起こされる神経損傷によってもたらされるものである。
「糖尿病性神経損傷」は感覚神経の障害、運動神経の障害及び自主的神経の障害を含む。そのうち感覚神経の障害は通常は比較的ひどく、よく見られる症状は疼痛であり、焼けるような痛み、電極で刺すような痛み、針で刺すような痛み及び様々な異なる患者体験等を含む。
「糖尿病性神経損傷関連疾患」は糖尿病高血糖を特徴とする生体代謝障害によって引き起こされる神経系の一連の疾患であり、糖尿病によって引き起こされる神経系損傷によってもたらされ、以下を含むがこれらに限られない:体の痛み、感覚減退、痺れ、熱さ、冷たさ、及び糖尿病神経性疼痛、糖尿病合併症によって引き起こされる自発性疼痛、痛覚減退(hypoalgesia)、痛覚過敏(hyperalgesia)等を含むがこれらに限られない。
「糖尿病性神経疼痛」は糖尿病の神経病変の最もよく見られる形であり、通常は糖尿病感覚神経のダメージによってもたらされる。主な疼痛は通常、温度及び触覚の喪失を伴い、疼痛の発生は足の感覚の場合が多く、同時に腕及び胴体にも発生する。一般的には末梢及び中枢神経疼痛に分けることができる。周囲神経疼痛は周囲神経の損傷によって引き起こされ、中枢神経疼痛は中枢神経系及び/または脊髄損傷によって引き起こされる。
「プラスミン」は血液中に存在する非常に重要な酵素であり、フィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD−二量体に加水分解する。
「プラスミノゲン」はプラスミンの酵素前駆体の形であり、swiss prot中の配列に基づいて、シグナルペプチドの天然ヒト由来プラスミノゲンのアミノ酸配列(配列4)は計算によれば810個のアミノ酸からなり、分子量は約90kDであり、主に肝臓において合成され且つ血液中で循環できる糖タンパク質であり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列3に示される通りである。フルサイズのプラスミノゲンは七つのドメインを含む:C末端に位置するセリンプロテアーゼドメイン、N末端に位置するPan Apple(PAp)ドメイン及び5つのKringleドメイン(Kringle1−5)を含む。swiss prot中の配列を参照すれば、そのシグナルペプチドは残基Met1−Gly19を含み、Papは残基Glu20−Val98を含み、Kringle1は残基Cys103−Cys181を含み、Kringle2は残基Glu184−Cys262を含み、Kringle3は残基Cys275−Cys352を含み、Kringle4は残基Cys377−Cys454を含み、Kringle5は残基Cys481−Cys560を含む。NCBIデータによれば、セリンプロテアーゼドメインは残基Val581−Arg804を含む。
Glu−プラスミノゲンは天然のフルサイズのプラスミノゲンであり、791個のアミノ酸からなる(19個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを含まない)、該配列をコードするcDNA配列は配列1に示される通りであり、そのアミノ酸配列は配列2に示される通りである。体内において、さらにGlu−プラスミノゲンの第76−77位のアミノ酸の位置で加水分解することにより形成されたLys−プラスミノゲンが存在し、例えば配列6に示されるものであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列5が示す通りである。Δ−プラスミノゲン(δ−plasminogen)はフルサイズのプラスミノゲンにKringle2−Kringle5構造の欠損が生じているフラグメントであり、Kringle1及びセリンプロテアーゼドメインしか含有せず(非特許文献27、30参照)、δ−プラスミノゲンのアミノ酸配列(配列8)を報告している文献があり(非特許文献30)、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は例えば配列7である。ミニプラスミノゲン(Mini−plasminogen)はKringle5及びセリンプロテアーゼドメインからなり、残基Val443−Asn791(シグナルペプチドGlu−プラスミノゲン配列を含まないGlu残基を開始アミノ酸とする)について文献が報告しており(非特許文献28参照)、そのアミノ酸配列は配列10に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列9が示す通りである。しかしマイクロプラスミノゲン(Micro−plasminogen)はセリンプロテアーゼドメインのみ含有し、そのアミノ酸配列は残基Ala543−Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノゲン配列のGlu残基は開始アミノ酸である)と文献が報告し(非特許文献29)、特許文献CN102154253Aはそれが残基Lys531−Asn791を含むと開示し(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)、本特許の配列は特許文献CN102154253Aを参照でき、そのアミノ酸配列は配列12に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列11に示される通りである。
本発明の「プラスミン」と「フィブリンプラスミン」、「繊維タンパクプラスミン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。「プラスミノゲン」と「フィブリンプラスミノゲン」、「繊維タンパクプラスミノゲン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。
循環過程において、プラスミノゲンは閉鎖した非活性コンフォメーションであるが、血栓または細胞表面に結合した際、プラスミノゲン活性化剤(plasminogen activator,PA)の介在下において、開放性のコンフォメーションを有する活性プラスミンとなる。活性を有するプラスミンはさらにフィブリン凝塊をフィブリン質加水分解生成物及びD−二量体に加水分解して、これにより血栓を溶解させる。そのうちプラスミノゲンのPapドメインはプラスミノゲンを非活性閉鎖コンフォメーションにする重要な決定クラスターであり、しかしKRドメインは受容体及び基質上のリジン残基と結合できるものである。プラスミノゲン活性化剤としての酵素は、既に複数種類知られ、以下を含む:組織プラスミノゲン活性化剤(tPA)、ウロキナーゼプラスミノゲン活性化剤(uPA)、カリクレイン及び凝結因子XII(ハーゲマン因子)などである。
「プラスミノゲン活性フラグメント」とはプラスミノゲンのタンパク質において、基質中のターゲット配列と結合してタンパク質加水分解機能を発揮できる活性フラグメントである。本発明はプラスミノゲンの技術構成に係り、プラスミノゲン活性フラグメントでプラスミノゲンの替わりとする技術構成を含む。本発明に記載のプラスミノゲン活性フラグメントはプラスミノゲンのセリンプロテアーゼドメインを含むタンパク質であり、好ましくは、本発明に記載のプラスミノゲン活性フラグメントは配列14、配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性のアミノ酸配列を含有するタンパク質を含むものである。そのため、本発明に記載のプラスミノゲンは該プラスミノゲン活性フラグメントを含み、且つ依然該プラスミノゲン活性を有するタンパク質を含む。
現在、血液中のプラスミノゲン及びその活性測定方法は以下を含む:組織フィブリンプラスミノゲン活性化剤の活性に対する測定(t−PAA)、血漿組織プラスミノゲン活性化剤抗原に対する測定(t−PAAg)、血漿組織プラスミノゲン活性に対する測定(plgA)、血漿組織プラスミノゲン抗原に対する測定(plgAg)、血漿組織プラスミノゲン活性化剤の阻害物活性に対する測定、血漿組織プラスミノゲン活性化剤の阻害物抗原に対する測定、血漿プラスミン−抗プラスミン複合物に対する測定(PAP)。最もよく見られる測定方法は発色基質法である:測定対象の血漿中にストレプトキナーゼ(SK)と発光基質を添加し、測定対象の血漿中のプラスミノゲンはSKの作用下においてPLMとなり、後者は発光基質に作用し、それから分光光度計で測定し、吸光度の増加はプラスミノゲンの活性と正比例関係となる。この他にも免疫化学法、ゲル電気泳動法、免疫比濁法、放射免疫拡散法などを用いて血液中のフィブリンプラスミノゲン活性に対して測定を行うことができる。
「オルソロジー(orthology)」とは異なる種どうしのオルソログ(ortholog)であり、タンパク質の相同物もDNAの相同物も含む。それは具体的に異なる種どうしの同じ祖先の遺伝子から進化して得られるタンパク質または遺伝子を言う。本発明のプラスミノゲンはヒト天然プラスミノゲンを含み、さらには異なる種に由来する、プラスミノゲン活性を有するプラスミノゲン直系同源物または直系同系物である。
「保存的置換バリアント」とはそのうちの一つの指定されたアミノ酸残基が改変されたがタンパク質または酵素の全体のコンフォメーション及び機能を変えないものであり、これは類似の特性(例えば酸性、アルカリ性、疎水性など)のアミノ酸でペアレントタンパク質中のアミノ酸配列中のアミノ酸を置換するものを含むがこれらに限られない。類似の性質を有するアミノ酸は知られている通りである。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性のアルカリ性アミノ酸であり且つ互いに置き換えることができる。同じように、イソロイシンは疎水アミノ酸であり、ロイシン、メチオニンまたはバリンによって置換されることができる。そのため、機能の類似する二つのタンパク質またはアミノ酸配列の類似性は異なる可能性もある。例えば、MEGALIGNアルゴリズムに基づいて70%〜99%の類似性(同一性)を有する。「保存的置換バリアント」はさらにBLASTまたはFASTAアルゴリズムに基づいて60%以上のアミノ酸同一性を有するポリペプチドまたは酵素であり、75%以上に達すればさらによく、最も好ましくは85%以上に達し、さらには90%以上に達するのが最も好ましく、さらに天然またはペアレントタンパク質または酵素と比較して同じまたは基本的に類似する性質または機能を有する。
「分離された」プラスミノゲンとは天然環境から分離及び/または回収されたプラスミノゲンタンパク質である。いくつかの実施形態において、前記プラスミノゲンは(1)90%を超える、95%を超える、または98%を超える純度(重量で計算した場合)になるまで精製し、例えばLowry法によって決まるもので、例えば99%(重量で計算した場合)を超えるまで精製する、(2)少なくともスピニングカップ配列分析装置によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基が得られる程度になる精製する、または(3)同質性になるまで精製する。該同質性はクマシーブリリアントブルーまたは銀染色により還元性または非還元性条件下のドデシル硫酸ナトリウムーポリアクリルアミノゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって決まるものである。分離されたプラスミノゲンはバイオエンジニアリング技術により組み換え細胞から製造することができ、さらに少なくとも一つの精製ステップで分離されたプラスミノゲンを含む。
用語の「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書において互いに置き換えて使用でき、いかなる長さのアミノ酸の重合体をも指し、遺伝的にコードされた及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されまたは派生したアミノ酸、及び修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む。該用語は融合タンパク質を含み、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質を含むがこれに限られず、異種性と同種性由来のリーダー配列(N端メチオニン残基を有するか有しない)を含む融合物;などである。
参照ペプチド配列の「アミノ酸配列同一性パーセンテージ(%)」の定義は、必要な時にギャップを導入することで最大のパーセンテージ配列の同一性を実現した後、如何なる保存的な置換も配列同一性の一部として見なさない場合、候補配列中における参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同じアミノ酸残基のパーセンテージである。パーセンテージのアミノ酸配列の同一性を測定することを目的とした比較は本分野の技術範囲における複数種類の方式によって実現でき、例えば公衆が入手できるコンピュータソフトウエア、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアによって実現できる。当業者は引用配列の適切なパラメータを決めることができ、比較対象の配列のフルサイズを比較することで最大比較の要求を実現するための如何なるアルゴリズムも含む。しかし、本発明の目的のために、アミノ酸配列の同一性パーセンテージは配列比較コンピュータソフトウエアALIGN−2により得られるものである。
ALIGN−2を用いることによりアミノ酸配列を比較する場合、アミノ酸配列Aと所定のアミノ酸配列Bのアミノ酸配列同一性%(または所定のアミノ酸配列Bのあるアミノ酸配列と同一性を有する所定のアミノ酸配列Aの占める%)は以下のように計算される:
分数X/Y×100
そのうちXは配列比較プログラムALIGN−2において該プログラムのA及びBの比較において同一でマッチングすると評価したアミノ酸残基の数であり、且つそのうちYはBにおけるアミノ酸残基の総数である。以下のように理解するべきである:アミノ酸配列Aの長さとアミノ酸配列Bの長さが等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列の同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは異なる。明確に説明した場合を除き、本文中において使用するすべてのアミノ酸配列同一性値%は前記の段落に記載の通りであり、ALIGN−2コンピュータプログラムによって得られるものである。
本文において使用されているように、用語の「治療」及び「処理」は期待される薬理及び/または生理的効果が得られることを言う。前記効果は疾患またはその症状を完全または一部予防すること、及び/または疾患及び/またはその症状を一部または完全に治癒するものとすることができる。且つ以下を含む:(a)疾病が被験者の体内で発生することを予防し、前記被験者は疾患の要因を持っているが、該疾患を有すると診断されていない状況である;(b)疾患を抑制し、その形成を阻害する;及び(c)疾患及び/またはその症状を減軽し、即ち疾患及び/またはその症状を解消させる。
用語の「個体」、「被験者」及び「患者」は本明細書中において互いに置き換えて使用でき、哺乳動物を指し、ネズミ(ラット、マウス)、ヒト以外の霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限られない。
「治療上有効量」または「有効量」とは、哺乳動物またはその他の被験者に投与して、疾患の治療に用いられる際に疾患の前記予防及び/または治療を実現できるプラスミノゲンの量である。「治療上有効量」は使用するプラスミノゲン、治療しようとする被験者の疾患及び/または症状の重症度及び年齢、体重などに従って変化するものである。
2.本発明のプラスミノゲンの製造
プラスミノゲンは自然界から分離及び精製され、さらに治療の用途に用いられるものであり、さらには標準的な化学ペプチド合成技術によって合成することができる。化学的手法によりポリペプチドを合成する際、液相または固相で合成を行うことができる。固相ポリペプチド合成(SPPS)(配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に附着させ、順番に配列中の残りのアミノ酸を添加する)はプラスミノゲンの化学的合成に適したものである。各種形式のSPPS、例えばFmoc及びBocは、プラスミノゲンの合成に用いることができる。固相合成に用いられる技術は以下に記載されている:Barany及びSolid−Phase Peptide Synthesis;3−284ページ、The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.第二巻:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.,Merrifield,tら J.Am.Chem.Soc.,85:2149−2156(1963);Stewartら,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984);及びGanesan A.2006Mini Rev.Med Chem.6:3−10及びCamarero JAら 2005Protein Pept Lett.12:723−8。簡単に言えば、その上にペプチド鎖が構築された機能性ユニットにより不溶性の多孔ビーズを処理する。カップリング/脱保護の繰り返し循環後に、附着した固相の遊離N末端アミンと単一のN保護を受けているアミノ酸ユニットをカップリングさせる。それから、該ユニットを脱保護させ、他のアミノ酸と連結する新しいN末端アミンを露出させる。ペプチドを固相上に固定したままにし、それからそれを切除する。
標準的な組み換え方法により本発明のプラスミノゲンを生産することができる。例えば、プラスミノゲンをコードする核酸を発現ベクター中に挿入し、それと発現ベクター中の制御配列を操作可能に接続させる。発現制御配列はプロモーター(例えば天然に関連されているプロモーター、または異種由来のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサー素子及び転写終了配列を含むが、これらに限られない。発現の制御はベクター中の真核プロモーター系とすることができ、前記ベクターは真核宿主細胞(例えばCOSまたはCHO細胞)を形質転換またはトランスフェクションさせることができる。一旦ベクターを適切な宿主に導入すれば、ヌクレオチド配列の高レベル発現及びプラスミノゲンの収集及び精製の条件下において宿主を維持できる。
適切な発現ベクターは通常宿主体内において附加体または宿主染色体DNAの整合部分として複製される。通常、発現ベクターは選択マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性またはネオマイシン耐性)を含み、外部由来に期待のDNA配列によって形質転換されたそれらの細胞に対して測定を行うことに有用である。
大腸菌(Escherichia coli)はターゲット抗体をコードするポリヌクレオチドのクローンに用いられる原核宿主細胞の例である。その他の使用に適した微生物宿主は桿菌を含み、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びその他の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び各種シュードモナス属(Pseudomonas)種である。これらの原核宿主において、発現ベクターを生成でき、通常は宿主細胞と許容する発現制御配列(例えば複製開始点)を含むものである。また、多くの公知のプロモーターが存在し、例えば乳糖プロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、β−ラクタマーゼプロモーター系、またはファージλ由来のプロモーター系である。プロモーターは通常発現を制御し、遺伝子配列を操縦する場合、さらにリボソームの結合位置配列を有し、転写及び翻訳を起動させてもよい。
その他の微生物、例えば酵母も発現に用いることができる。酵母(例えば出芽酵母(S.cerevisiae))及びピキア(Pichia)が適した酵母宿主細胞の例であり、そのうちの適切な担体は必要に応じて発現制御配列(例えばプロモーター)、複製開始点、終止配列など含む。典型的なプロモーターは3−ホスホグリセリン酸キナーゼ及びその他の糖分解酵素を含む。誘導型酵母はエタノール脱水素酵素、イソ細胞色素C、及び麦芽糖とガラクトースの利用のための酵素のプロモーターによって起動される。
微生物以外に、哺乳動物細胞(例えば体外細胞培養物中において培養された哺乳動物細胞)も本発明のプラスミノゲンの発現に用いることができる(例えばターゲット抗−Tau抗体をコードするポリヌクレオチド)。例えばWinnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)参照。適した哺乳動物宿主細胞はCHO細胞系、各種Cos細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、及び形質転換されたB細胞またはハイブリドーマである。これらの細胞に用いられる発現ベクターは発現制御配列、例えば複製開始点、プロモーター、及びエンハンサー(Queenら,Immunol.Rev.89:49(1986))、及び必要とされる加工情報位置、例えばリボソームの結合位置、RNAの切断位置、ポリアデノシン酸化位置、及び転写終止子配列を含むことができる。適切な発現制御配列の例はウサギ免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウィルス、サイトメガロウイルスなどの派生のプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照すること。
一旦合成(化学または組み換え方式)されれば、本分野の標準的な手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニテイカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動などにより本発明に記載のプラスミノゲンを精製することができる。該プラスミノゲンは基本的に純粋なものであり、例えば少なくとも約80%から85%の純度で、少なくとも約85%〜90%の純度で、少なくとも約90%〜95%の純度で、または98%〜99%の純度またはさらに純度が高いものであり、例えば汚染物を含まず、前記汚染物は例えば細胞砕片、ターゲット抗体以外の大分子などである。
3.薬物配合剤
必要とする純度のプラスミノゲンと選択可能な薬用担体、賦形剤、または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol,A.ed.(1980))を混合して凍結乾燥製剤または水溶液を形成して治療用配合剤を得る。許容可能な担体、賦形剤、安定剤は所要の用量及び濃度下において被験者に対して毒性がなく、さらに例えばリン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸などの緩衝剤を含む。抗酸化剤はアスコルビン酸和メチオニンを含む;防腐剤(例えばベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド水和物;塩化ヘキサメチレンジアミン;塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブタノールまたはベンジルエタノール;アルキルパラヒドロキシ安息香酸エステル、例えばメチルまたはプロピルのパラヒドロキシ安息香酸エステル;ピロカテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンチルエタノール;m−クレゾール);低分子量ポリペプチド(少なくとも10個の残基を有するもの);タンパク質例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリゼニールピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニンまたはリジンである;単糖、二糖及びその他の炭水化物はブドウ糖、マンノース、またはデキストリンを含む;キレート剤は例えばEDTAである;糖類は例えばショ糖、マンニトール、フコースまたはソルビトールである;塩形成イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば亜鉛−タンパク複合体);及び/または非イオン界面活性剤、例えばTWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)である。好ましくは凍結乾燥された抗−VEGF抗体配合剤であり、WO 97/04801に記載されているとおりであり、本明細書において参考とされるものである。
本発明の配合剤は治療を必要とする具体的な症状の必要とする一種類以上の活性化合物を含有してもよく、好ましくは活性が相補的で互いに副作用を有しないものである。例えば、血圧降下薬、抗不整脈薬、糖尿病治療薬等である。
本発明のプラスミノゲンは例えば凝集技術または界面重合によって作られるマイクロカプセル中に被包されることができ、例えば、膠質薬物輸送系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン剤、ナノ粒子及びナノカプセル)中に入れまたはエマルジョン状液中のヒドロキシメチルセルロースまたはゲルーマイクロカプセル及びポリ―(メタアクリル酸メチル)マイクロカプセル中に入れることができる。これらの技術は以下に開示されている。Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)。
体内に投与することに用いられる本発明のプラスミノゲンは必ず無菌である必要がある。これは凍結乾燥及び再度配合する前または後に除菌ろ過膜でろ過することで容易に実現できる。
本発明のプラスミノゲンは緩衝製剤を調製できる。緩衝製剤の適切な実例は一定の形状を有し且つ糖タンパクを含む固体の疎水性重合体の半透過基質を含み、例えば膜またはマイクロカプセルである。緩衝基質の実例はポリエステル、水性ゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリル酸エステル)(Langerら,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277(1981);Langer,Chem.Tech.,12:98−105(1982))またはポリ(ビニールエタノール)、ポリラクチド(米国特許3773919,EP 58,481)、L−グルタミン酸とγメチル−L−グルタミン酸の共重合体(Sidman,ら,Biopolymers 22:547(1983)),分解できないエチレン−ビニルアセテート(ethylene−vinyl acetate)(Langer,ら,出所は前記と同じ)、または分解可能な乳酸−ヒドロキシ酢酸共重合体、例えばLupron DepotTM(乳酸−ヒドロキシ酢酸共重合体及びリュープロレリン(leuprolide)酢酸エステルからなる注射可能なミクロスフェア体)、及びポリD−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。重合体、例えばエチレン−酢酸エチル及び乳酸−ヒドロキシ酢酸は、持続的に100日間以上分子を放出することができ、しかしいくつかの水性ゲルがタンパク質を放出する時間は比較的短い。関連のメカニズムに応じてタンパク質を安定化させる合理的なストラテジーにより設計できる。例えば、凝集のメカニズムが硫化ジスルフィド結合の交換によって分子間S−S結合を形成するであれば、メルカプト基残基を修飾することにより、酸性溶液中から凍結乾燥させ、湿度を制御し、適切な添加剤を用いて、及び特定の重合体基質組成物を開発することで安定化を実現する。
4.投与及び使用量
異なる方式、例えば静脈内、腹膜内、皮下、頭蓋骨内、髄腔内、動脈内(例えば頸動脈)、筋肉内、鼻内、体表または皮内投与または脊髄または脳内輸送により本発明の薬物組成物の投与を実現できる。エアロゾル製剤例えば鼻噴霧製剤は活性剤を含有する精製した水性またはその他の溶液及び防腐剤と等張剤を含有する。このような製剤を鼻粘膜と許容し得るpH及び等張状態に調整する。
一部の場合において、以下の方式により本発明のプラスミノゲン薬物組成物を修飾または調製することができ、これにより血液脳関門を貫通する能力を提供する。各種腸内及び胃腸外の投与ルート、内服、静脈内等を含むもので血栓及び/または血栓関連疾患を患っている個体に対してこのようなプラスミノゲン組成物を投与する。
胃腸外での投与に用いられる製造物は無菌水性または非水性溶液、懸濁液及び乳剤を含む。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は水、アルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含み、食塩水及び緩衝媒介を含む。胃腸外媒介物は塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、または固定油である。静脈内媒介物は液体及び栄養補充物、電気分解補充物などを含む。されには防腐剤及びその他の添加剤、例えば抗微生物製剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明のプラスミノゲンは血液脳関門の通過を促進する薬剤と配合されている。いくつかの場合において、本発明のプラスミノゲンは直接またはアダプターにより血液脳関門の通過を促進する担体分子、ペプチドまたはタンパク質と融合する。一部の実施形態において、本発明のプラスミノゲンは内在性血液脳関門(BBB)受容体に結合するポリペプチドと融合する。プラスミノゲンと内在性血液脳関門受容体に結合するポリペプチドは、BBBの通過を促進する。内在性血液脳関門(BBB)受容体に結合するポリペプチドは抗体、例えばモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントを含み、それは特異的に内在性BBB受容体に結合する。適切な内在性BBB受容体はインスリン受容体を含むがこれに限られず、抗体はリポソームに内包されたものである。例えば米国特許公開文書No.2009/0156498を参照すること。
医療関係者は各種臨床的要素により用量案を決めることができる。例えば医学分野で公知のように、任意の患者の用量は複数の要素によって決められ、これらの要素は患者の体型、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与回数及び経路、全体の健康度、及び同時に投与するその他の薬物を含む。本発明が含有するプラスミノゲンの薬物組成物の用量の範囲は例えば被験者体重に対して毎日約0.0001〜2000mg/kgであり、または約0.001〜500mg/kg(例えば0.02mg/kg,0.25mg/kg,0.5mg/kg,0.75mg/kg,10mg/kg,50mg/kgなど)である。例えば、用量は1mg/kg体重または50mg/kg体重または1−50mg/kgの範囲とすることができ、または少なくとも1mg/kgである。この例示性の範囲より高いまたは低い用量もカバーされ、特に前記の要素を考慮した場合である。前記範囲中の中間用量も本発明の範囲内に含まれるものである。被験者は毎日、隔日、毎週または経験分析によって決められた任意のスケジュール表に従ってこのような用量を投与できる。例示的な用量の日程表は連続数日1−10mg/kg投与することである。本発明の薬物の投与過程において血栓及び血栓関連疾患の治療効果及び安全性はリアルタイムに評価、定期的に評価すべきである。
5.治療効力及び治療安全性
本発明の一つの実施形態はプラスミノゲンを用いて被験者を治療した後、治療効力及び治療安全性に対して判断を行うことに係る。
治療効力評価:治療開始週間(ベースライン週)からあらかじめ設定された治療ステージまでの間に被験者に対して日常の平均疼痛評価を行い、前記評価は例えば11点VAS量表による疼痛スコア付け、LANSS量表、神経病理性疼痛量表(NPS)またはLikert量表(0−10点に応じてレベル評価を行う)などによって行われる。例えばVAS量表であり、0は痛みがない、11は痛みが耐えられないことを示している。そのうち、
0点:痛みがない;
3点以下:軽微な痛みがあるが、我慢できる;
4−6点:被験者が痛みを感じて且つ睡眠に影響しているが、まだ我慢できる;
7−10点:被験者には強い痛みがあり、痛みが我慢しづらく、食欲と睡眠に影響を及ぼす。
より精細なVAS量表でスコア付けを行うこともでき、例えば100−ミリスケールにより疼痛を評価する。
疼痛指数を主な評価指標とし、これとともに二次的な評価指標を設置し、例えば関節活動度、機能状況、クオリティ・オブ・ライフなどである。
安全性評価:また、本発明はプラスミノゲン及びそのバリアントを使用して被験者に対して治療を行うプロセス中、及び治療後における、前記治療案の安全性に対する判断に係り、有害事象のモニタリング、臨床実験室評価、心電図(ECG)、バイタルサイン測定、及び物理及び神経検査等を含むがこれらに限られず、さらに被験者の薬物の血清半減期、治療半減期、半数中毒量(TD50)、半数致死量(LD50)に対して統計を行う。有害事象は薬物を投与する患者または臨床試験被験者における如何なる不利な医学事象として定義され、前記事象は該治療と因果関係を有する必要がない。そのうち有害事象は頭痛、めまい、上気道感染、悪心等を含むがこれらに限られない。
6.製品または薬物キット
本発明の一つの実施形態は製品または薬物キットに係るものであり、本発明のプラスミノゲン/プラスミンを含有する。前記製品は好ましくは一つの容器、ラベルまたはパンフレットを含む。適切な容器はボトル、小瓶、注射器などである。容器は各種材料例えばガラスまたはプラスチックから作られることができる。前記容器は組成物を含有し、前記組成物は本発明の疾患または症状を有効に治療し且つ無菌の入口を有する(例えば前記容器は静脈輸液用パックまたは小瓶であり、皮下注射針によって貫通される栓を含む)。前記組成物中の少なくとも一種類の活性化剤がプラスミノゲン/プラスミンである。前記容器上にあるまたは添付されているラベルは前記組成物を本発明の前記糖尿病神経損傷の治療に用いられると説明するものである。前記製品はさらに薬用緩衝液を含有する第二容器を含み、前記薬用緩衝液は例えばリン酸塩緩衝の食塩水、リンガー溶液及びブドウ糖溶液である。さらには商業及び使用者の角度から見ると必要とされるその他の物質、即ちその他の緩衝液、希釈剤、濾過物、針及び注射器を含むことができる。また、前記製品は使用説明を有するパンフレットを含み、これは例えば前記組成物の使用者にプラスミノゲン組成物及び疾患の治療に伴うその他の薬物を患者に投与することを指示するものである。
実施例1はプラスミノゲンの実験動物体重に対する影響に関するものである。
14−15週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループ各5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して1mg/0.1mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。0、3、6、12日目にそれぞれ体重を測定する。結果は以下を示している。プラスミノゲン投与グループと溶媒PBS投与対照グループは0、3、6、12日目において体重に顕著な差異がない(図1)。これは、プラスミノゲンは動物体重に対して影響が大きくないことを示している。
実施例2はプラスミノゲンの糖尿病マウスの疼痛感知能力に対する修復促進に関するものである。
14−15週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS対照グループ及びプラスミノゲン投与グループで、各グループ5匹ずつである。
実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して1mg/0.1mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。プラスミノゲン投与後の0、3、6、12日目にVon−Freyファイバー(Stoelting,USA)を用いて動物の機械性損傷に関する感受度を測定する。2.0gの力を開始力として、まずその左足を測定する。5回の刺激中に4回の足を引っ込める反応があれば陽性で、該動物の機械的損傷に対する閾値と記録する。2.0gの力の刺激反応が陰性であれば、1ランク大きい力でその右足を刺激し、このように左右足を交互に刺激し、陽性反応が見られるまで行う(非特許文献31)。Von−Freyファイバー実験の統計結果が示すように、投薬3日後及び投薬11日後にいずれもその50%疼痛に対する閾値は顕著に溶媒PBS投与対照グループより低く(図2)、これはプラスミノゲンの糖尿病マウスの機械的接触によって誘発される疼痛(mechanical allodynia)に対する応答能力の修復を示している。
実施例3はプラスミノゲンの糖尿病マウスの冷刺激に対する神経感知の回復に関するものである。
14−15週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループで、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して1mg/0.1mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。投薬後の0、3、6、12日目に針注射器で一滴のアセトン液滴を押し出してさらに糖尿病マウスの足裏に接触させ、それが足裏全体を覆うようにする。左足から始め、3分間間隔で交互にその左右足を刺激し、全部で10回刺激し、その足を引っ込める反応の回数を統計する。反応パーセンテージ=足を引っ込めた回数/刺激回数×100のパーセンテージである。
実験結果は以下を示している。0及び3日目に、プラスミノゲン投与グループ及び溶媒PBS投与対照グループはアセトン刺激に対して顕著な差異がなく、6日目から顕著な差異が観察され、12日目に極めて顕著な差異が観察されている(図3)。これは投薬から6日後に冷たさに対する感覚が顕著に敏感になり、12日目に顕著な差異が現れていることを示している。これは、プラスミノゲンは極めて顕著に糖尿病マウスの冷刺激に対する神経感知損傷を修復していることを示している。
実施例4はプラスミノゲンの糖尿病マウスの機械的な疼痛に対する感知の修復の促進に関するものである。
14−15週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループで、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して1mg/0.1mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。プラスミノゲンを投与した後の0、3、6、12日目に27番標準規格注射針(27gauge−needle)でマウスの足裏に軽く接触するが真皮層を穿刺しない力加減でdb/dbマウスの足裏を刺激し、左足から始め、3分間間隔で交互にその左右足を刺激し、全部で10回刺激し、その足を引っ込める反応の回数をカウントする。反応パーセンテージ=足を引っ込めた回数/刺激回数×100のパーセンテージである。プラスミノゲン投与グループと溶媒PBS投与対照グループの針穿刺反応に対する差異は極めて顕著で、P値は0.0001より小さい(図4)。これは、プラスミノゲンは極めて顕著に糖尿病によってもたらされた神経の機械性疼痛に対する感知の損傷を回復させたことを示している。
実施例5はプラスミノゲンの糖尿病マウス後期の神経損傷マウスに対する体重の影響を示したものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループで、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録し、連続的に15日間投薬する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。0、4、7、11、16日目にそれぞれ体重を測定する。結果は以下を示している。プラスミノゲン投与グループと溶媒PBS投与対照グループは0、4、7、11、16日目において体重に顕著な差異がない(図5)。これは、プラスミノゲンは動物体重に対して影響が大きくないことを示している。
実施例6はプラスミノゲンの糖尿病後期神経損傷マウスの機械的な誘発による疼痛に対する感知能力の修復促進に関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS対照グループ及びプラスミノゲン投与グループで、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。連続的に15日間投薬する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。プラスミノゲン投与後の0、4、7、11、16日目にVon−Freyファイバー(Stoelting,USA)を用いて動物の機械性損傷に関する感受度を測定する。2.0gの力を開始力として、まずその左足を測定する。5回の刺激中に2回の足を引っ込める反応があれば陽性で、陽性であれば、1ランク小さい力でその右足に対して刺激を行う;陰性であれば、1ランク大きい力でその右足を刺激し、このように左右足を交互に刺激し、刺激の間隔は5分間であり、全部で6回刺激し、それからS.R.Chaplan et al.(1994)(非特許文献32)で紹介した方法によりその50%足の引っ込めが生じる閾値を計算する。
研究により、溶媒PBS投与対照グループと比較して、プラスミノゲン投与グループの糖尿病マウスの機械的誘発疼痛に対する反応の均一性が増加し、且つ16日目測定した際に溶媒PBS投与対照グループと比較して極めて顕著な差異が見られている(図6)。これはプラスミノゲンが神経損傷末期の糖尿病マウスの機械的な誘発による疼痛(mechanical allodynia)に対する応答能力を修復していることを示している。
実施例7はプラスミノゲンの糖尿病後期神経損傷マウスの冷刺激に対する感知の回復に関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループで、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。連続的に15日間投薬する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。投薬後の0、4、7、11、16日目に針注射器で一滴のアセトン液滴を押し出してさらに糖尿病マウスの足裏に接触させ、それが足裏全体を覆うようにする。左足から始め、3分間間隔で交互にその左右足を刺激し、全部で10回刺激し、その足を引っ込める反応の回数をカウントする。反応パーセンテージ=足を引っ込めた回数/刺激回数×100のパーセンテージである。
実験結果は以下を示している。0及び4日目に、プラスミノゲン投与グループ及び溶媒PBS投与対照グループはアセトン刺激に対して顕著な差異がなく、7日目から顕著な差異が観察され、16日目に極めて顕著な差異が観察され、P値<0.0001である(図7)。これは投薬から15日後に、糖尿病マウスは冷刺激に対する反応がほとんど完全に回復していることを回復し、これは、プラスミノゲンは極めて顕著に糖尿病末期マウスの冷刺激に対する刺激損傷を修復していることを示している。
実施例8はプラスミノゲンの糖尿病後期神経損傷マウスの機械性の疼痛に対する感知の修復の促進に関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループであり、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。連続的に15日間投与する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。プラスミノゲンを投与した後の0、4、7、11、16日目に27番標準規格注射針(27gauge−needle)でマウスの足裏に軽く接触するが真皮層を穿刺しない力加減でdb/dbマウスの足裏を刺激し、左足から始め、3分間間隔で交互にその左右足を刺激し、全部で10回刺激し、その足を引っ込める反応の回数をカウントする。反応パーセンテージ=足を引っ込めた回数/刺激回数×100のパーセンテージである。
実験結果は以下を示している。プラスミノゲンを投与した7日目またはより早く糖尿病後期神経損傷マウスの針刺激痛の感知に対する異なる程度の回復が見られ、11日及び16日目にプラスミノゲン投与グループ及び溶媒PBS投与対照グループマウスは針刺激反応に対して極めて顕著な差異、及び顕著な差異が見られている(図8)。これはプラスミノゲンが顕著に糖尿病後期マウスの機械性の疼痛に対する感知を顕著に修復したことを示している。
実施例9はプラスミノゲンの糖尿病後期神経損傷マウスの神経組織損傷に対する保護作用に関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループであり、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。連続的に15日間投薬する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。16日目にマウスを殺処分して坐骨神経を取り10%中性ホルマリン固定液中において24時間固定する。固定後の坐骨神経をエタノールで段階的に脱水させ及びキシレンで透明にした後にパラフィンで包埋させる。組織切片の厚みは5μmで、切片を脱パラフィンさせて再水和した後にヘマトキシリン及びエオジンで染色させ(HE染色)、1%塩酸エタノールで分化させ、アンモニア水で安定化させ、さらにエタノールで段階的に脱水させて封入する。切片を顕微鏡下において400倍下にて観察する。
実験結果は以下を示している。溶媒PBS投与対照グループの坐骨神経繊維の隙間が広くなり、比較的大きい数量のミエリン鞘軸索の腫れが見られ(↑)、少量の軸索の崩壊が見られている(▲)(図9A)。しかしプラスミノゲン投与グループは神経繊維の配列が緊密で、少量のミエリン鞘軸索の腫れ、崩壊が見られるのみである(図9B)。これは、プラスミノゲンが糖尿病後期マウスの神経組織損傷に対して一定の修復作用を有することを示している。
実施例10はプラスミノゲンが糖尿病後期の神経損傷マウスの神経組織フィブリンレベルを減少させることに関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹を準備し、ランダムで二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミン投与グループであり、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重測定してからグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与して1日目と記録する。連続的に15日間投与する。プラスミノゲン投与グループに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じてプラスミノゲンを尾部から静脈注射を行い、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。16日目にマウスを殺処分してから坐骨神経を取り、10%中性ホルマリン固定液にて24時間固定する。固定後の坐骨神経をエタノールで段階的に脱水させてさらにキシレンで透明にした後にパラフィンで包埋させる。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに再水和して1回水洗いして、PAPマーカーで組織を囲む。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、3回水洗いする。10%の正常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間封止する;余分の血清を吸い取る。ウサギ抗マウスフィブリン(フィブリノーゲン)抗体(Abcam)室温で1時間インキュベーションしまたは4℃で終夜インキュベーションし、TBSで3回洗う。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで3回洗う。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で顕色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒再染色して、流水で5分間洗い流す。透明になるよう段階的に脱水してから封止を行い、顕微鏡下で400倍下にて切片を観察する。
フィブリノーゲンはフィブリンの前駆体であり、組織に損傷が存在する状況下において、有機体の損傷に対する刺激応答反応として、フィブリノーゲンは加水分解してフィブリンとなる(非特許文献33〜35)。そのためフィブリノーゲンレベルを損傷の程度の一つの指標とすることができる。
研究により以下が示されている。溶媒PBS投与対照グループ(図10A)と比較して、プラスミノゲン投与グループ(図10B)のマウス坐骨神経のフィブリンのレベルが低下し、これはプラスミノゲンが神経組織の損傷をある程度修復していることを示している。
実施例11はプラスミノゲンが糖尿病末期肝臓組織フィブリンレベルを低減させることに関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹を準備し、ランダムで二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミン投与グループであり、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重測定してからグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与して1日目と記録する。連続的に31日間投与する。プラスミノゲン投与グループに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じてプラスミノゲンを尾部から静脈注射を行い、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。32日目にマウスを殺処分してから肝臓を取り、10%中性ホルマリン固定液にて24時間固定する。固定後の腎臓組織をエタノールで段階的に脱水させてさらにキシレンで透明にした後にパラフィンで包埋させる。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに再水和して1回水洗いする。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、2回水洗いし、毎回5分間である。10%の正常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間封止する;時間になった後に、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を囲む。ウサギ抗マウスフィブリン(フィブリノーゲン)抗体(Abcam)4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間である。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間である。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で顕色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒再染色して、流水で5分間洗い流す。透明になるよう段階的に脱水してから封止を行い、顕微鏡下で200倍下にて切片を観察する。
フィブリノーゲンはフィブリンの前駆体であり、組織に損傷が存在する状況下において、有機体の損傷に対する刺激応答反応として、フィブリノーゲンは加水分解してフィブリンとなる(非特許文献33〜35)。そのためフィブリノーゲンレベルを損傷の程度の一つの指標とすることができる。
研究により以下が示されている。溶媒PBS投与対照グループ(図11A)と比較して、プラスミノゲン投与グループ(図11B)のマウス肝臓組織のフィブリンの陽性着色が浅く、これはプラスミノゲンを注射することで顕著に糖尿病マウス肝臓フィブリンの沈着を低減させ、プラスミノゲンは糖尿病マウスの肝臓損傷に対して顕著な修復効果を有することが示されている。
実施例12はプラスミノゲンの糖尿病末期マウス肝臓組織の炎症修復に関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹準備し、ランダムで二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミン投与グループであり、各グループ5匹である。実験開始当日を0日目として体重測定してからグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与して1日目と記録する。連続的に31日間投与する。プラスミノゲン投与グループのマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じてプラスミノゲンを尾部から静脈注射を行い、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。プラスミノゲンを31日間投与した後にマウスを殺処分してから肝臓組織を取り、10%中性ホルマリン固定液中にて24時間固定する。固定後の肝臓組織をエタノールで段階的に脱水させてさらにキシレンで透明にした後にパラフィンで包埋させる。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに再水和して1回水洗いする。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、2回水洗いし、毎回5分間である。10%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間封止する;時間になった後に、血清を遠心により廃棄し、PAPマーカーで組織を囲む。F4/80のウサギポリグローナル抗体(Abcam)4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間である。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗う。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で顕色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒再染色して、流水で5分間洗い流す。透明になるよう段階的に脱水してから封止させ、切片を顕微鏡下で400倍にて観察する。
F4/80はマクロファージマーカーである。マクロファージは炎症段階の主なマクロファージ細胞であり、炎症反応の程度及びステージを表している。プラスミノゲン投与グループ(図12B)と溶媒PBS投与対照グループ(図12A)を比較した場合、プラスミノゲン投与グループのネズミのF4/80陽性レベルは明らかに低下し、これはプラスミノゲンを投与した後の肝臓組織の炎症の程度が減軽されていることを示している。図12CはF4/80免疫組織陽性発現数の定量分析の結果であり、プラスミノゲン投与グループのF4/80の発現量が顕著に減少され、且つ統計学的差異を有し、プラスミノゲンは糖尿病マウスの肝臓炎症の修復を顕著に促進できることを示している。
実施例13はプラスミノゲンの糖尿病末期マウス腎臓フィブリン加水分解の促進に関するものである。
24−25週齢db/dbオスマウスを20匹準備し、ランダムで二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミン投与グループであり、各グループ10匹である。実験開始当日を0日目として体重測定してからグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与して1日目と記録する。連続的に31日間投与する。プラスミノゲン投与グループに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じてプラスミノゲンを尾部から静脈注射を行い、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。32日目にマウスを殺処分してから腎臓を取り、10%中性ホルマリン固定液にて24時間固定する。固定後の腎臓組織をエタノールで段階的に脱水させ及びキシレンで透明化処理した後にパラフィンで包埋処理を行う。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに再水和して1回水洗いする。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、2回水洗いし、毎回5分間である。10%の正常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間封止する;時間になった後に、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を囲む。ウサギ抗マウスフィブリン(フィブリノーゲン)抗体(Abcam)4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間である。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間である。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で顕色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒再染色して、流水で5分間流す。透明になるよう段階的に脱水してから封止させ、顕微鏡下で200倍にて切片を観察する。
フィブリノーゲンはフィブリンの前駆体であり、組織に損傷が存在する状況下において、有機体の損傷に対する刺激応答反応として、フィブリノーゲンは加水分解してフィブリンとなって損傷部位に沈着する(非特許文献33〜35)。そのためフィブリノーゲンレベルを損傷の程度の一つの指標とすることができる。
結果により、プラスミノゲン投与グループ(図13B)は溶媒PBS投与対照グループ(図13A)と比較した場合、フィブリノゲンの陽性着色が浅い。これはプラスミノゲンを注射することで顕著に糖尿病マウスの腎臓フィブリン沈着を低下させることができ、プラスミノゲンは糖尿病マウスの腎臓ダメージに対して顕著な修復作用を有することが示されている。
実施例14はプラスミノゲンの糖尿病末期マウスの腎臓アポトーシス阻害タンパクBcl−2の発現促進に関するものである。
24−25週齢db/dbオスマウスを20匹準備し、ランダムで二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミン投与グループであり、各グループ10匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重測定してからグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与して1日目と記録する。連続的に31日間投与する。プラスミノゲン投与グループに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じてプラスミノゲンを尾部静脈から注射を行い、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。32日目にマウスを殺処分し、腎臓を取り10%中性ホルマリン固定液中において24時間固定させる。固定後の腎臓組織をエタノールで段階的に脱水させ及びキシレンで透明化処理した後にパラフィンで包埋処理を行う。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに再水和して1回水洗いする。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、2回水洗いし、毎回5分間である。10%の正常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間封止する;時間になった後に、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を囲む。ウサギ抗マウスBcl−2抗体(Abcam)4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間である。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間である。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で顕色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒再染色して、流水で5分間流す。透明になるよう段階的に脱水させてから封止を行い、顕微鏡下で200倍下にて切片を観察する。
Bcl−2は細胞アポトーシス阻害タンパクであり、アポトーシス刺激因子の作用下において発現が減少するように制御される(非特許文献36、37)。結果は以下を示している。プラスミノゲン投与グループ(図14B)の腎細管上皮細胞の陽性発現着色は明らかに溶媒PBS投与対照グループ(図14A)より深く、且つ前者の着色範囲がより広い。定量分析結果は観察結果と一致し、且つ顕著な差異を有する(図14Cに示す通り)。これは、プラスミノゲンは糖尿病マウス腎臓アポトーシス阻害分子Bcl−2的の発現を促進させ、これにより糖尿病マウス腎臓組織細胞のアポトーシスを阻害することを示している。
実施例15はプラスミノゲンの糖尿病末期マウスの網膜損傷に対する改善に関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス20匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループとプラスミノゲン投与グループで、各グループ10匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与して且つ1日目と記録し、31日間連続的に投与する。プラスミノゲン投与グループのマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与グループに対して同じ体積のPBSを投与する。32日目にマウスを殺処分して左側眼球を取り、パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行う。固定後の眼球から網膜を剥離した後、1mL 3%パンクレアチン(Solarbio)のEPチューブ中に入れ、振動テーブルにおいて37℃で2〜3h振動消化させる。網膜に軟化、脱落の現象が現れてからていねいに網膜を蒸留水の入ったEPチューブ中に移し、振動テーブルにおいて37℃で2〜3h振動させ、網膜上の余分な組織を脱落させる。優しく網膜を処理し、血管層のみが残るようにしてからスライド上にサンプルを広げて載せ、自然乾燥させる。網膜をSchiff氏液で染色させ(PAS染色)、1%塩酸エタノールで分化させ、アンモニア水で安定化させ、さらにエタノールで段階的に脱水させてキシレンで透明にしてから封入を行い、顕微鏡下で400倍下にて観察を行う。
実験結果から分かるように、プラスミノゲン投与グループ(図15B)と比較して、溶媒PBS投与対照グループ(図15A)のdb/dbマウス網膜毛細血管の管径の太さが不均一で、血管の管壁が厚くなり深く染色させ、血管内皮細胞(Δ)が増殖し、周細胞(↓)が明らかに減少している。これに対してプラスミノゲン投与グループは病理的改変に明らかに減軽されている;定量分析により、プラスミノゲン投与グループは溶媒PBS投与対照グループと比較した場合、無細胞血管の長さ(図15C)が顕著に低下し、且つ統計学的分析結果から顕著な差異があると示されている。これはプラスミノゲンが糖尿病後期のマウス網膜損傷の修復を顕著に促進できることを示している。
実施例16はプラスミノゲンの糖尿病によってもたらされる網膜微小血栓の溶解の促進に関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループとプラスミノゲン投与グループで、各グループ5匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与して且つ1日目と記録し、15日間連続的に投与する。プラスミノゲン投与グループのマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与グループに対して同じ体積のPBSを投与する。16日目に眼球を摘出して採血し、全血を静置した後に血清を用いて血液中のD−二量体の含有量(D−dimer)を測定する。
結果は以下を示している。投薬15日後に、血清中のD−二量体の含有量が顕著に上昇し(図16)、これはプラスミノゲンを投与した後に、糖尿病によってもたらされる微小血栓が顕著に溶解していることを示している。
実施例17はプラスミノゲンの糖尿病末期心筋損傷の修復促進に関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス28匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ12匹で、プラスミノゲン投与グループ16匹である。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。連続的に31日間投与する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し,溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。32日目に眼球を摘出して採血を行い、3500r/minにて15−20分間遠心を行い、さらに上澄み液を取って心筋トロポニンIの濃度測定を行う。
心筋トロポニンI(cardiac troponin,CTNI)は心筋損傷の重要なマーカーであり、その血清濃度は心筋損傷の程度を反映できる(非特許文献38)。結果は以下を示している。プラスミノゲン投与グループの心筋トロポニンIの濃度は明らかに溶媒PBS対照グループより低く、且つ極めて顕著な統計学差異を有する(図17)。これはプラスミノゲンが糖尿病後期のマウスの心筋損傷の修復を顕著に促進できることを示している。
実施例18はプラスミノゲンの糖尿病末期マウスの腎臓損傷を低減させることに関するものである。
24−25週齢のdb/dbオスマウス8匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループで、毎組各4匹である。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。連続的に31日間投与する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し、溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。32日目に生理的指標を測定してから、マウスを殺処分して肝臓組織を取り10%中性ホルマリン固定液中において24時間固定させる。固定した後の肝臓組織をエタノールで段階的に脱水させ及びキシレンで透明にした後にパラフィンで包埋させる。組織切片の厚みは5μmで、切片を脱パラフィンさせて再水和した後にさらに1回水洗いする。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、2回水洗いし、毎回5分間である。ヤギ抗マウスIgM(HRP)抗体(Abcam)室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間である。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で顕色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒再染色して、流水で5分間洗い流す。透明になるよう段階的に脱水させてから封止させ、顕微鏡下で400倍下にて切片を観察する。
IgM抗体はアポトーシス及び壊死した細胞を除去する過程において重要な役割を果たしている(非特許文献39〜41)。そのため、それは組織器官の損傷状況を反映することができる。
結果は以下を示している。プラスミノゲン投与グループ(図18B)のマウス腎糸球体IgMの陽性着色は溶媒PBS投与対照グループより浅く(図18A)、且つ範囲も対照グループより小さく、統計分析の結果と観察結果は一致している(図18C)。これはプラスミノゲンを注射した後の腎糸球体の損傷が明らかに改善され、プラスミノゲンは糖尿病マウスの生体損傷に対して顕著な修復機能を有することを反映している。
実施例19はプラスミノゲンの糖尿病マウス肝臓損傷の修復促進に関するものである。
25−28週齢のdb/dbオスマウス9匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ3匹、プラスミノゲン投与グループ6匹である。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。連続的に31日間投与する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し,溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。プラスミノゲンを31日間投与した後に眼球を摘出して全血を採取し、血清が析出してから4℃、3500r/minにて10分間遠心させ、上澄み液を取って測定を行う。本実験はグルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素測定薬物キット(南京建成生物工程研究所、品番C009−2)を使用して、ライトマン−フランケル法(Reitman−Frankel)を用いて血清中のグルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素(ALT)の含有量を測定する。
グルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素は肝臓の健康状態を示す重要な指標であり(非特許文献42、43)、グルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素の正常参考値の範囲は9〜50U/Lである。測定結果は以下を示している。溶媒PBS投与対照グループの血清中のALTの含有量は明らかに正常な生理的数値より高く、プラスミノゲン投与グループは既に体内の正常レベルに戻り、且つプラスミノゲン投与グループは溶媒PBS投与対照グループより顕著に低く、且つ統計学的差異を有する(図19)。これは糖尿病末期モデルマウスにおいて、プラスミノゲンを注射することでより効果的に肝損傷を修復できることを示している。
実施例20はプラスミノゲンの糖尿病マウスの痛覚感知能力の修復促進に関するものである。
8週齢のdb/dbオスマウス8匹を取り、ランダムに二つのグループに分け、溶媒PBS投与対照グループ及びプラスミノゲン投与グループで、4匹ずつである。実験開始当日を0日目として体重計測してグループ分けを行い、実験2日目からプラスミノゲンまたはPBSを投与し始め、且つ1日目と記録する。連続的に8日間投与する。プラスミノゲン投与グループマウスに対して2mg/0.2mL/匹/日に応じて尾部静脈からプラスミノゲンを注射し,溶媒PBS投与対照グループに対して同じ体積のPBSを投与する。プラスミノゲン投与後の0、3、6、9日目にVon−Freyファイバー(Stoelting,USA)を用いて動物の機械性損傷に関する感受度を測定する。2.0gの力を開始力として、まずその左足を測定する。5回の刺激中に2回の足を引っ込める反応があれば陽性で、陽性であれば、1ランク小さい力でその右足に対して刺激を行う;陰性であれば、1ランク大きい力でその右足を刺激し、このように左右足を交互に刺激し、刺激の間隔は5分間であり、全部で6回刺激し、それからS.R.Chaplan et al.(1994)(非特許文献32)で紹介した方法によりその50%足の引っ込めが生じる閾値を計算する。
db/dbマウスは4週前後で糖尿病マウスとなり、8−12週で痛覚過敏が生じ、12週以後に痛覚脱感作となる(非引用文献45、46)。そのため、8週齢の痛覚過敏期にあるdb/dbマウスを選択して実験を行う。
結果は以下を示している。溶媒PBS投与対照グループと比較して、プラスミノゲン投与グループのマウスの痛覚閾値が顕著に上昇している(図20)。これは、プラスミノゲンは糖尿病早期神経損傷による痛覚過敏(過剰感知)を顕著に減軽できることを示している。