<硬貨処理装置>
以下、図面を参照して実施の形態に係る硬貨処理装置11を説明する。
図1は、実施の形態に係る硬貨処理装置11を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る硬貨処理装置11の要部を示す一部を断面とした平面図である。
図3は、実施の形態に係る硬貨処理装置11の要部構成を概略的に説明する図である。
図4は、実施の形態に係る硬貨処理装置11の図3に示すA−A断面矢視図である。
図5は、実施の形態に係る硬貨のグループ分けの一例を説明する図である。
図6は、実施の形態に係る硬貨処理装置11の硬貨と計数センサの受信部で受信される磁気の位相値及び振幅値との関係の一例を説明する図である。
<硬貨処理装置の構成>
以下に説明する硬貨処理装置11は、ユーザにより予め設定された単一金種の硬貨の計数を行う機能を有し、この単一金種の硬貨以外の硬貨はリジェクトできる機能を有する。ここで、以下の説明において、予め設定された計数対象の単一金種の硬貨を特定金種の硬貨とも言い、この特定金種以外の硬貨を異金種硬貨とも言う。一例として特定金種の硬貨として選択設定可能な計数対象硬貨は、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨及び500円硬貨の6金種である。硬貨処理装置11は、これら6金種の計数対象金種の中から選択された一の特定金種の硬貨を計数する。
図1に示すように、硬貨処理装置11は、その上部に、上方に開口するホッパ12と、ホッパ12の上部開口を開閉するホッパカバー13とを有している。ホッパ12は、投入された硬貨をプールする硬貨プール部である。図2に示すように、ホッパ12の下部は回転円板14で構成されている。この回転円板14は、繰出モータ(図示せず)で駆動されて鉛直軸回りに回転する。回転円板14は回転することにより硬貨を遠心力で外周側に移動させて繰り出す。回転円板14の外周側の近傍には、分別環(図示せず)が設けられている。分別環は、回転円板14から繰り出される硬貨を一枚ずつに分離する。ホッパ12には、ホッパ12内に残留する硬貨を検知する残留検知センサ(図示せず)が設けられている。硬貨処理装置11は、硬貨処理装置11の全体制御を行う制御部15(図3参照)を有している。ホッパ12の残留検知センサは、検知結果を制御部15に出力する。硬貨処理装置11は、各種パラメータ及び閾値などを記憶する記憶部16(図3参照)を有している。
図1に示すように、硬貨処理装置11は、ホッパ12よりも下側に本体部18を有している。本体部18は、ホッパ12よりも前方(操作者側)に突出している。本体部18は、その前部に、下方に突出するシュート19と、電源スイッチ20とを有している。シュート19は、シュート本体21と係止リング22とを有している。シュート本体21は、計数後の特定金種の硬貨を外部に放出する部分である。シュート本体21は、硬貨を下方に放出する。係止リング22は、シュート本体21に収納袋(図示せず)を係止する。その結果、シュート本体21は、係止リング22によって係止された収納袋内に硬貨を放出する。
本体部18は、側部に、放出口25と排除ボックス26とが設けられている。放出口25は、特定金種以外の異金種硬貨を外部に放出する部分である。放出口25は、本体部18から側方に開口している。排除ボックス26は、放出口25よりも下側に設けられている。排除ボックス26は、放出口25の開口に対応する位置で上方に開口している。排除ボックス26は、放出口25から放出された硬貨を上部開口から受け入れて収納する。
本体部18のホッパ12よりも前側部分の上面には、操作表示部30と搬送路幅調整ノブ31とが設けられている。操作表示部30は、操作者による押圧操作を受け付けると共に操作者に向けて表示を行う。搬送路幅調整ノブ31は、操作者により回転操作される。計数する特定金種の硬貨を選択する際に、搬送路幅調整ノブ31が対応する回転位置となるように回転操作される。
本体部18の内部には、図2に示すように、回転円板14、搬送駆動部35、搬送路36、排除孔37(リジェクト機構)、計数センサ38及び出金孔39、が設けられている。搬送路36は、回転円板14から繰り出された硬貨Cが搬送される部分である。搬送路36は、水平に配置されて直線状に延びている。搬送路36の延びる方向と直交する水平方向を搬送路36の幅方向と定義する。
搬送駆動部35は、回転円板14から一枚ずつ繰り出された硬貨Cを搬送路36に沿って移動させる。排除孔37は搬送路36に沿って搬送される硬貨Cを搬送路36から排除(リジェクト)する。計数センサ38は、搬送駆動部35で駆動されて搬送路36に沿って搬送される硬貨Cを、通過時に検知して計数する。また、計数センサ38は、搬送駆動部35で駆動されて搬送路36に沿って搬送される硬貨Cの属性の検出を行う。なお、硬貨Cは、基本的には、搬送路36を回転円板14から出金孔39に向けて搬送される。この搬送方向を基本搬送方向と定義する。以下の説明では、硬貨Cの基本搬送方向における回転円板14側を上流側、出金孔39側を下流側と定義する。
搬送駆動部35は、取込プーリ52と、駆動プーリ53と、フィードベルト54と、を有している。取込プーリ52は、回転円板14の外周部の鉛直上方に配置されている。取込プーリ52は、中心軸が水平に配置されている。駆動プーリ53は、搬送路36の出金孔39よりも下流側に配置されている。駆動プーリ53は、取込プーリ52と同径である。駆動プーリ53は、その中心軸53aが、取込プーリ52の中心軸52aと平行に配置されている。駆動プーリ53は、取込プーリ52と、軸方向の位置及び高さ位置を合わせている。
フィードベルト54は、無端状である。フィードベルト54は、取込プーリ52及び駆動プーリ53に掛け渡されている。取込プーリ52及び駆動プーリ53は、フィードベルト54にテンションをかけている。フィードベルト54は、搬送路36に沿って水平方向に延びている。搬送駆動部35は、その駆動プーリ53が、搬送モータ(図示せず)で駆動されて中心軸回りに回転する。この駆動プーリ53の中心軸回りの回転により、フィードベルト54及び取込プーリ52がそれぞれ中心軸回りに回転する。
搬送路36は、フィードベルト54の下側に設けられている。搬送路36はフィードベルト54に沿って延びている。搬送路36は、入口側通路部61と、一対の壁部63及び壁部64とを有している。入口側通路部61は、その上面62が水平に広がっている。入口側通路部61の上面62は平坦面となっており、回転円円板14から繰り出された硬貨Cが上面62に載置される。入口側通路部61は、取込プーリ52の鉛直下方に配置されている。一対の壁部63及び壁部64は、フィードベルト54を挟んでそれぞれ対向して配置されている。一対の壁部63及び壁部64は、入口側通路部61の上面62から鉛直上方に立ち上がっている。入口側通路部61は、回転円板14から繰り出された硬貨Cの下面を、その上面62で下側から支持する。
搬送駆動部35は、そのフィードベルト54が、入口側通路部61の上面62上の硬貨Cに上側において接触する。フィードベルト54は、この状態で、回転することにより、上面62上の硬貨Cを入口側通路部61から一対の壁部63,64の間に向けて搬送する。
一方の壁部63は、最も回転円板14側に入口ローラ71を有している。入口ローラ71は、鉛直軸回りに回転可能に設けられている。壁部63は、位置固定の固定壁73を備えている。固定壁73は、壁部64側に壁面72を有している。壁面72は、回転円板14から離れるようにフィードベルト54に沿って延びている。固定壁73は、上面62の広がる方向において入口側通路部61よりも回転円板14とは反対側まで延びている。固定壁73は、その壁面72が入口側通路部61の上面62から鉛直上方に立ち上がっている。
他方の壁部64は、最も回転円板14側にガイド壁81を有している。ガイド壁81は、回転円板14の外周面に沿って湾曲する円弧状をなしている。壁部64は、移動可能な可動壁83を備えている。可動壁83は、壁部63側に壁面82を有している。壁面82は、ガイド壁81の取込プーリ52側の端部近傍からフィードベルト54に沿って延びている。可動壁83は、上面62の広がる方向において入口側通路部61よりも回転円板14とは反対側まで延びている。可動壁83は、その壁面82が入口側通路部61の上面62から鉛直上方に立ち上がっている。
可動壁83の壁面82と、固定壁73の壁面72とは、平行である。可動壁83の壁面82と、固定壁73の壁面72とは、高さ位置を合わせて相互に対向している。可動壁83は、固定壁73に対し近接及び離間するように水平移動する。その際に、可動壁83は、その壁面82を固定壁73の壁面72と平行させた状態を維持する。また、その際に、可動壁83は、固定壁73との延在方向の位置関係も維持する。
ガイド壁81は、一端が可動壁83に連結ピン85で連結されている。連結ピン85は、鉛直に沿っている。ガイド壁81は、連結ピン85を中心に回転可能となっている。また、ガイド壁81には、他端にその長さ方向に延びる長穴86が形成されている。この長穴86内には、鉛直に沿う位置固定のピン87が配置されている。ガイド壁81は、可動壁83が移動する際に、長穴86をピン87に対し移動させながら、連結ピン85を中心に可動壁83に対し回転する。これにより、ガイド壁81は、可動壁83の水平移動に追従する。
一対の壁部63,64の回転円板14側は入口91となっている。この入口91は、入口ローラ71と、ガイド壁81の連結ピン85側の端部とで形成されている。この入口91の幅は、可動壁83の壁面82と固定壁73の壁面72との間隔と等しく設定されている。湾曲形状のガイド壁81は、回転円板14から繰り出された硬貨Cを一対の壁部63,64間に向かうように案内する。ガイド壁81の入口91側の端は、連結ピン85を介して可動壁83と連結されている。よって、ガイド壁81の入口91側の端は、可動壁83と連動して移動する。
搬送路36は、固定壁73の鉛直方向下側に、位置固定の支持部101を有している。支持部101は、壁面72よりも可動壁83側に突出している。支持部101は、その上面102が入口側通路部61の上面62と同一平面に配置されている。上面102は、上面62の広がる方向において上面62から回転円板14とは反対側に延びている。
搬送路36は、可動壁83の鉛直方向下側に、支持部103を有している。支持部103は、壁面82よりも固定壁73側に突出している。支持部103は、その上面104が入口側通路部61の上面62と同一平面に配置されている。上面104は、上面62の広がる方向において上面62から回転円板14とは反対側に延びている。支持部103は、可動壁83に固定されている。よって、支持部103は、可動壁83と一体に移動する。
搬送路36は、一対の支持部101,103の下流側に、出口側通路部112を有している。出口側通路部112は、その上面111が上面62,102,104と同一平面に配置されている。出口側通路部112は、硬貨Cの下面を、その上面111で下側から支持する。壁面72を含む固定壁73と、壁面82を含む可動壁83とは、出口側通路部112まで延びている。一対の壁部63,64は、入口側通路部61と出口側通路部112との間で硬貨Cの外周面を案内する。
入口側通路部61と一対の支持部101,103と出口側通路部112とで囲まれた部分が排除孔37となっている。よって、一対の支持部101,103は、相互間に排除孔37を形成している。平面視において、排除孔37は硬貨Cの搬送方向に沿って延びる長方形形状をなしている。排除孔37は、搬送路36を厚み方向に貫通して設けられている。排除孔37は、リジェクトシュート(図示せず)を介して図1に示す放出口25に繋がっている。よって、排除孔37に落下した硬貨Cは放出口25から放出される。放出口25から放出された硬貨Cは排除ボックス26に収容される。
一対の支持部101,103は、中間通路部121を構成している。中間通路部121は、その上面102,104が入口側通路部61と出口側通路部112との間で硬貨Cの下面の外周側を支持する。入口側通路部61の上面62と、中間通路部121の上面102,104と、出口側通路部112の上面111とが、搬送路36の上面である搬送面125を構成している。搬送面125は、水平に広がる平坦面となっている。
計数センサ38は、搬送面125の広がる方向において、出口側通路部112の位置に設けられている。計数センサ38は、出口側通路部112の上面111上を移動する硬貨Cを検知して計数する。計数センサ38は、磁気センサである。計数センサ38は、検出結果である磁気データを制御部15(図3参照)に出力する。
搬送路36には、出口側通路部112の下流側に、出金孔39が設けられている。出金孔39は、出口側通路部112の計数センサ38で検知され計数された後の硬貨Cを搬送路36から落下させる。出金孔39から落下した硬貨Cは、内部シュート(図示せず)を介して図1に示すシュート19のシュート本体21内に案内される。よって、出金孔39から落下した硬貨Cは、シュート本体21から硬貨処理装置11の外部に放出される。
図2に示すように、搬送駆動部35のフィードベルト54は、回転円板14から入口側通路部61上に一枚ずつ繰り出された硬貨Cに上側において接触する。そして、フィードベルト54は、このように接触する硬貨Cを一対の壁部63,64の入口91側から排除孔37に向け搬送する。すると、フィードベルト54で搬送される硬貨Cは、排除孔37で落下しなければ、さらに出口側通路部112に向け移動して、最終的に出金孔39に落下する。
搬送路36には、回転円板14から硬貨Cが、一枚ずつ、入口側通路部61の上面62上に繰り出されることになる。このとき、硬貨Cは、一対の壁部63,64の固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との間に向けて繰り出される。搬送駆動部35は、そのフィードベルト54が、入口側通路部61の上面62上の硬貨Cに上側から接触する。そして、フィードベルト54は、接触する硬貨Cを搬送路36に沿って移動させる。その際に、硬貨Cは、その外周面が一対の壁部63,64で案内される。また、その際に、硬貨Cは、その下面が、入口側通路部61の上面62上から中間通路部121の上面102,104上、さらには出口側通路部112の上面111上を移動する。このとき、中間通路部121は硬貨Cの下面の外周側を上面102,104で支持する。
このようにして、搬送駆動部35及び搬送路36は、硬貨Cを、入口側通路部61から中間通路部121及び出口側通路部112を介して出金孔39に向けて搬送することになる。言い換えれば、硬貨Cは、入口側通路部61、中間通路部121及び出口側通路部112で支持されて、搬送駆動部35の駆動により移動する。その際に、一対の壁部63,64は、硬貨Cの外周面を案内する。また、その際に、中間通路部121は、硬貨Cの下面の外周側を支持する。搬送駆動部35と搬送路36とが、硬貨Cを上下から挟持して搬送する硬貨搬送部128を構成している。搬送駆動部35は、硬貨搬送部128の駆動部分かつ上側部分を構成している。搬送路36は、硬貨搬送部128の下側部分を構成している。
可動壁83及び支持部103は、搬送路36の幅方向に移動可能となっている。可動壁83及び支持部103は、幅変更機構(図示せず)で移動位置が調整される。よって、搬送路36は、この幅変更機構によって幅が変更可能に構成されている。図1に示す搬送路幅調整ノブ31には、その回転位置を検知する回転位置センサ(図示せず)が設けられている。幅変更機構は、回転位置センサの検知結果に応じて、一対の壁部63,64間の距離及び一対の支持部101,103間の距離を変更する。言い換えれば、幅変更機構は、搬送路36の幅を変更する。さらに言い換えれば、幅変更機構は、排除孔37の幅を、搬送路36の幅の変更に伴って変更する。幅変更機構は、搬送路36の幅及び排除孔37の幅を、任意の幅に設定できるようになっている。
固定壁73及び支持部101が固定側搬送路ガイド壁131を構成している。可動壁83及び支持部103が可動側搬送路ガイド壁132を構成している。よって、幅変更機構は、可動側搬送路ガイド壁132の移動位置を調整する。これら固定側搬送路ガイド壁131及び可動側搬送路ガイド壁132が、指定された特定金種よりも小径の硬貨Cを排除孔37から排除する。
また、指定された特定金種よりも大径の硬貨Cについては、図2に二点鎖線で示すように、入口91を構成する入口ローラ71とガイド壁81とがこれに接して、搬送路36の入口側通路部61よりも回転円板14とは反対側への移動を規制する。入口側通路部61には、壁部63の入口ローラ71の近傍に、一対の壁部63,64の入口91で移動が規制されて滞留する硬貨Cを検知して、その信号を制御部15(図3参照)に出力する硬貨検知センサ126が設けられている。硬貨検知センサ126は、入口91を通過する硬貨Cも検知する。
制御部15は、搬送路幅調整ノブ31の回転位置に応じて幅変更機構(図示せず)を制御して、搬送路36の幅及び排除孔37の幅を変更する。その際に、排除孔37は、搬送路上36で搬送される特定金種の硬貨を搬送路36から落下させることなく、特定金種よりも小径の異金種硬貨を搬送路36から落下させることができる幅に設定される。言い換えれば、排除孔37は、搬送路36上で搬送される異金種硬貨を落下させて搬送路36から搬送路36外にリジェクトする。
例えば、搬送路幅調整ノブ31の回転位置が500円硬貨を選択する位置に設定されると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を所定の500円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の500円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な500円硬貨よりも直径の小さい円形状の適正な10円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の500円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の500円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の500円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の10円硬貨、100円硬貨、5円硬貨、50円硬貨、1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、500円硬貨よりも大径の硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、例えば、搬送路幅調整ノブ31の回転位置が10円硬貨を選択する位置に設定される。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を所定の10円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の10円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な10円硬貨よりも直径の小さい円形状の適正な100円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の10円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の10円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の10円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の100円硬貨、5円硬貨、50円硬貨、1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、10円硬貨よりも大径の硬貨、例えば500円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、例えば、搬送路幅調整ノブ31の回転位置が100円硬貨を選択する位置に設定される。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を所定の100円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の100円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な100円硬貨よりも直径の小さい適正な円形状の5円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の100円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の100円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の100円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の5円硬貨、50円硬貨、1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、100円硬貨よりも大径の硬貨、例えば10円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、例えば、搬送路幅調整ノブ31の回転位置が5円硬貨を選択する位置に設定される。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を所定の5円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の5円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な5円硬貨よりも直径の小さい適正な円形状の50円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の5円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の5円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の5円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の50円硬貨、1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、5円硬貨よりも大径の硬貨、例えば100円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、例えば、搬送路幅調整ノブ31の回転位置が50円硬貨を選択する位置に設定される。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を所定の50円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の50円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な50円硬貨よりも直径の小さい適正な円形状の1円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の50円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の50円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の50円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、50円硬貨よりも大径の硬貨、例えば5円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、例えば、搬送路幅調整ノブ31の回転位置が1円硬貨を選択する位置に設定される。すると、制御部15は、変更機構によって、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を所定の1円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の1円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な1円硬貨よりも小径の硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の1円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の1円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の1円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径の硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、1円硬貨よりも大径の硬貨、例えば50円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
このように、硬貨処理装置11では、特定金種の硬貨に混入した異金種硬貨を排除孔37からリジェクトすることができる。なお、異金種硬貨を排除孔37に落下させる構成として、排除孔37の幅を幅変更機構により任意の幅に設定できるようにする以外の構成を採用することも可能である。例えば、搬送路36に沿って上流側から下流側に向けて段階的に幅が狭くなる孔が設けられていても良い。この場合、特定金種の硬貨用の孔から落下した硬貨を内部シュートでシュート本体21に搬送する。また、特定金種以外の硬貨用の孔から落下した硬貨を内部シュートで放出口25に搬送する。このように内部シュートを切り替える機構を設けることになる。
搬送路36において、基本搬送方向における排除孔37の下流側に計数センサ38が設けられている。これにより、硬貨処理装置11では、基本的に特定金種の硬貨のみを計数センサ38で計数することができる。
計数センサ38は、硬貨Cの計数を行う。図4に示すように、計数センサ38は透過型の磁気センサである。計数センサ38は、所定の長さに巻かれた発信コイル(図示せず)を有する発信部141と、所定の長さに巻かれた受信コイル(図示せず)を有する受信部142とを有して構成されている。
発信コイル及びこれを有する発信部141は、図3に示すように、搬送路36の搬送面125の上方に設けられている。発信コイル及び発信部141は、搬送路36の幅方向に沿って設けられている。発信コイル及び発信部141は、搬送路36の搬送面125に平行に配置されている。
図4に示すように、受信コイル及びこれを有する受信部142は、搬送路36の搬送面125の下方に設けられている。受信コイル及び受信部142は、搬送路36の幅方向に沿って設けられている。受信コイル及び受信部142は、搬送路36の搬送面125に平行に配置されている。受信コイル及び受信部142は、発信コイル及び発信部141と平行に配置されている。受信コイル及び受信部142と、発信コイル及び発信部141とは、搬送路36が延びる方向の位置を合わせている。受信コイル及び受信部142と、発信コイル及び発信部141とは、搬送路36の幅方向の位置を合わせている。
以上により、発信部141及び受信部142を有する計数センサ38は、搬送路36の幅方向に沿って設けられている。計数センサ38は、搬送路36の搬送面125を搬送路36の幅方向に横断している。
計数センサ38の発信部141は、交流電流を生成する交流電源回路145に接続されている。発信部141は、交流電源回路145から供給された交流電流の周期及び振幅に応じた周期及び振幅の交流磁界Hを発生させる。発信部141で発生した交流磁界Hは受信部142で受信される。
ここで、発信部141と受信部142との間に硬貨Cなどが存在すると、発信部141で発生した交流磁界Hを受信部142で受信した際の交流磁界Hの位相値及び振幅値が、何もない場合に対して変動する。受信部142で受信される交流磁界Hは、発信部141と受信部142との間に存在する硬貨Cの金種(例えば、硬貨Cの材質、直径、厚みなど)に起因して位相値及び振幅値が変動する。
計数センサ38では、発信部141で発生した交流磁界Hに対する受信部142で受信した交流磁界Hの位相値及び振幅値の変動を捉えて硬貨Cが計数センサ38を通過したか否かを検知できるようになっている。言い換えれば、計数センサ38では、発信部141で発生した交流磁界Hと受信部142で受信した交流磁界Hとの位相値及び振幅値の変動を捉えて硬貨Cの有無を検知できるようになっている。
なお、実施の形態では、発信部141の発信コイル及び受信部142の受信コイルは、少なくとも搬送路36の幅の所定範囲、好ましくは全長に亘って設けられている。言い換えれば、発信コイル、発信部141、受信コイル及び受信部142は、搬送路36の搬送面125を搬送路36の幅方向に横断している。これにより、計数センサ38は、搬送路36の搬送面125上で搬送される硬貨Cが搬送路36の幅方向のどの位置を通過しても当該硬貨Cの直径に起因する交流磁界Hの位相値及び振幅値を適切に検知することができる。
ここで、実施の形態では、計数センサ38として透過型の磁気センサを用いている。これにより、図4に示すように、計数センサ38の発信部141と受信部142との間に存在する硬貨Cの金種の違いにより受信部142で受信される交流磁界Hの位相値及び振幅値(この交流磁界Hの位相値及び振幅値を硬貨の磁気的性質とも言う)が変動する。すなわち、計数センサ38は、硬貨Cの属性として、硬貨Cの磁気的性質を検出する。この受信部142で受信される交流磁界Hの位相値及び振幅値(磁気的性質)に基づいて硬貨Cを大まかにグループ分けすることができる。
<硬貨のグループ分けの一例>
次に、実施の形態に係る硬貨のグループ分けの一例を説明する。
図5に示すように、現在、日本国内で主に流通している硬貨は、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、旧500円硬貨、新500円硬貨がある。言い換えれば、現在、日本国内で通常使用される硬貨としてこれらの7種類の硬貨が市場で流通している。硬貨処理装置11は、これらの7種類の硬貨の計数に対応している。
前述した7種類の硬貨のうち、1円硬貨はアルミニウム材、5円硬貨は黄銅材、10円硬貨は青銅材、50円硬貨と100円硬貨とは白銅材、旧500円硬貨は白銅材、新500円硬貨はニッケル黄銅材を用いて形成されている。
これらの1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、新500円硬貨及び旧500円硬貨を直径の大きさの順番に並べると、1円硬貨(直径20mm)、50円硬貨(直径21mm)、5円硬貨(直径22mm)、100円硬貨(直径22.6mm)、10円硬貨(直径23.5mm)、新旧500円硬貨(直径26.5mm)の順番で直径が大きくなる。なお、旧500円硬貨と新500円硬貨の直径は同じ大きさである。
前述したように1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、新500円硬貨及び旧500円硬貨を直径の大きい順番又は小さい順番で並べた場合に互いに隣接する硬貨の直径の差異は3mm以下となっている。具体的に、1円硬貨と50円硬貨との直径の差異は1mm、50円硬貨と5円硬貨との直径の差異は1mm、5円硬貨と100硬貨との直径の差異は0.6mm、100円硬貨と10円硬貨との直径の差異は0.9mm、10円硬貨と新旧500円硬貨との直径の差異は3mmとなっている。
新旧500円硬貨を除いた、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨及び100円硬貨においては、互いに隣接する硬貨の直径の差異は1mm以下となっている。よって、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨及び100円硬貨においては、計数対象の特定金種の硬貨(例えば100円硬貨)に、並び順において隣接する異金種硬貨(例えば5円硬貨)が変形した場合に、変形した異金種硬貨(例えば5円硬貨)は、当該異金種硬貨を排除するための排除孔37に落下せず、排除孔37を通過してしまう恐れがある。
ここで、前述した搬送路36及び搬送駆動部35で、多量の1円硬貨、多量の5円硬貨、多量の10円硬貨、多量の50円硬貨、多量の100円硬貨、多量の新500円硬貨及び多量の旧500円硬貨を、それぞれ搬送し、計数センサ38の発信部141と受信部142との間に、これらを通過させる試験を行った。すると、受信部142で受信した交流磁界Hの位相値及び振幅値は、振幅値を横軸にとり、位相値を縦軸にとってプロットすると、図6に示す分布となった。
図6に示すように、実施の形態では、この分布から、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、新500円硬貨及び旧500円硬貨を、1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨とを含む銅系の第1グループと、50円硬貨と100円硬貨とを含む白銅系の第2グループと、新旧500円硬貨を含むニッケル黄銅系の第3グループと、の3つのグループに分類している。なお、1円硬貨は、5円硬貨及び10円硬貨と材質や直径、厚みは全く異なるが、受信部142で受信した交流磁界Hの位相値及び振幅値(磁気的性質)は5円硬貨及び10円硬貨に比較的近い値となるため第1グループに分類した。
前述した第1グループに分類される1円硬貨、5円硬貨及び10円硬貨は、受信部142で受信した交流磁界Hの位相値が、他の第2グループに分類される50円硬貨及び100円硬貨の位相値と比較して大きい。また、第1グループは、受信部142で受信した交流磁界Hの位相値が、第3グループに分類される新500円硬貨及び旧500円硬貨の位相値と比較して大きい。また、第1グループは、振幅値が第2グループよりも小さくなっている。
第2グループは、受信部142で受信される交流磁界Hの位相値が、他の第1グループの位相値と第3グループの位相値との間に位置し、振幅値は他の第1グループ及び第3グループの振幅値と比較して大きくなっている。
第3グループは、受信部142で受信される交流磁界Hの位相値が、他の第1グループ及び第2グループの位相値と比較して小さい。第3グループは、振幅値が第2グループの振幅値と比較して小さくなっている。
そして、実施の形態では、図6に示す分布に基づいて、第1グループの分布範囲と、第3グループの分布範囲との間の所定の位相閾値を設定している。また、第1グループの分布範囲及び第3グループの分布範囲と、第2グループの分布範囲との間の所定の振幅閾値を設定している。
制御部15は、計数センサ38で検出される硬貨Cの磁気的性質と、前述した位相閾値及び振幅閾値とに基づいて、硬貨Cが第1グループ、第2グループ及び第3グループの何れに属しているかを分類する。
すなわち、制御部15は、発信部141と受信部142との間を硬貨Cが通過する際に受信部142で受信した交流磁界Hの位相値及び振幅値のうちの位相値が前述した位相閾値より大きく、且つ、振幅値が前述した振幅閾値以下であれば、この硬貨Cは、第1グループに属すると判定する。また、制御部15は、発信部141と受信部142との間を硬貨Cが通過する際に受信部142で受信した交流磁界Hの位相値及び振幅値のうちの位相値が前述した位相閾値以下であり、且つ、振幅値が前述した振幅閾値以下であれば、この硬貨は、第3グループに属すると判定する。また、制御部15は、発信部141と受信部142との間を硬貨Cが通過する際に受信部142で受信した交流磁界Hの振幅値が、前述した振幅閾値よりも大きければ、この硬貨は、第2グループに属すると判定する。
制御部15は、出口側通路部112上で搬送されて計数センサ38で検出される硬貨Cが、予め設定された特定金種の硬貨の属するグループと判定した場合、当該硬貨Cは、この特定金種の硬貨であると判断する。一方、制御部15は、出口側通路部112上で搬送されて計数センサ38で検出される硬貨Cが、予め設定された特定金種の硬貨の属するグループとは異なるグループに属すると判定した場合、当該硬貨Cは異金種硬貨であると判断する。
図5に戻って、第1グループに属する1円硬貨、5円硬貨及び10円硬貨は、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、新500円硬貨及び旧500円硬貨を直径の大きい順番又は小さい順番で並べた場合に互いに隣接しない硬貨である。1円硬貨の直径と5円硬貨の直径との差異は2mm、5円硬貨の直径と10円硬貨の直径との差異は1.5mmとなる。
また、第2グループに属する50円硬貨及び100円硬貨も、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、新500円硬貨及び旧500円硬貨を直径の大きい順番又は小さい順番で並べた場合に互いに隣接しない硬貨である。50円硬貨の直径と100円硬貨の直径との差異は1.6mmとなる。
その結果、例えば閾値を1.5mmに設定した場合、第1グループに属する1円硬貨、5円硬貨及び10円硬貨の直径の差異は、何れも閾値(1.5mm)以上となる。同様に、第2グループに属する50円硬貨及び100円硬貨の直径の差異も、閾値(1.5mm)以上となる。
よって、複数のグループを構成する第1グループ及び第2グループは、何れも、同一のグループに属する複数金種の硬貨の直径の差異が閾値(1.5mm)以上となるように設定されている。また、複数のグループを構成する第1グループ及び第2グループは、各々異なる金種の複数の1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、新500円硬貨及び旧500円硬貨を直径の大きい順番または直径の小さい順番で並べた場合、互いに隣接しない硬貨同士を同一のグループとするように設定されている。さらに、複数のグループは、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、新500円硬貨及び旧500円硬貨を直径の大きい順番または小さい順番に並べた場合に、互いに隣接しない1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨とが属する第1グループと、互いに隣接しない50円硬貨と100円硬貨とが属する第2グループと、500円硬貨が属する第3グループと、を含んでいる。
図6に示す硬貨の金種と位相値と振幅値とを関連付けた情報と、金種のグループ分けに関する、位相閾値及び振幅閾値を含む情報とが、記憶部16(図3参照)に記憶されている。
<硬貨処理装置の動作:リジェクト処理を含む計数処理>
次に、硬貨処理装置11の計数処理中に、計数対象の特定金種の硬貨の中に一部が変形した異金種硬貨が混入していた場合のリジェクト処理の動作を説明する。実施の形態では、具体的に、第2グループに属する100円硬貨(特定金種の硬貨)の計数を行う場合において、第2グループとは異なる第1グループに属する一部が変形した5円硬貨(異金種硬貨)が混入した場合に、この5円硬貨を計数用の計数センサ38で検出して搬送路36外にリジェクトする場合を例示して説明する。
図7は、計数処理の動作を説明するフローチャートである。
図8は、リジェクト処理の動作を説明する図であり、搬送路36、排除孔37及び計数センサ38の近傍の図である。
硬貨処理装置11では、計数処理を行う場合、搬送路幅調整ノブ31の回転位置が計数対象の特定金種の硬貨を選択する位置に設定されて、操作表示部30に、図7に示すように、ステップS101でスタート操作が入力される(ステップS101:YES)。具体的には、搬送路幅調整ノブ31の回転位置が100円硬貨を選択する位置に設定されて、操作表示部30に、スタート操作が入力される(ステップS101:YES)。
操作表示部30を介してスタート操作が入力されると(ステップS101:YES)、ホッパ12に投入された硬貨の計数を開始する。制御部15は、ステップS102において、ホッパ12から繰り出された最初の硬貨が計数センサ38を通過することで計数センサ38から出力された磁気的性質(振幅値、位相値)を取得する。そして、制御部15は、計数センサ38から取得した最初の硬貨の磁気的性質と、記憶部16に記憶された3つのグループの磁気的性質(振幅値、位相値)とを比較し、最初の硬貨の磁気的性質が、予め設定された3つのグループ(図6参照)のどのグループに属するのかを判断する。そして、制御部15は、最初の硬貨が属するグループを決定する。そして、制御部15は、このホッパ12に投入された硬貨を特定金種の硬貨と記憶する。
具体的には、ホッパ12に投入された硬貨が100円硬貨である場合、制御部15は、計数センサ38から取得した100円硬貨の磁気的性質と、記憶部16に記憶された3つのグループの磁気的性質とを比較し、ホッパ12に投入された硬貨が100円硬貨の属する第2グループであると判断して決定する。
それと共に、制御部15は、ステップS103において、幅変更機構(図示せず)によって、可動側搬送路ガイド壁132の位置を調整し、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を、この特定金種の硬貨(100円硬貨)に対応する所定の計数距離とする。具体的には、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を100円硬貨計数距離とする。
ステップS104において、制御部15は、磁気センサ38の発信部141から交流磁界Hを発生させ、交流磁界Hから受信部142で振幅と位相を検出し、基準値になるように発信部141の出力量と出力タイミングとを調整するセンサ調整を行う。
その後、ステップS105において、回転円板14及び搬送駆動部35を、基本搬送方向で硬貨Cを搬送する向きに駆動する。
そして、制御部15は、ステップS106において、搬送駆動部35で駆動されて搬送路36に沿って基本搬送方向に搬送される硬貨Cの交流磁界Hを計数センサ38の受信部142で受信してその位相値と振幅値とを取得する。すると、制御部15は、ステップS107において、ステップS106で受信部142により取得した硬貨Cの属性である交流磁界Hの位相値及び振幅値に基づいて、計数センサ38で検出された硬貨Cが特定金種の硬貨と同じグループに属するか否かを判定する。すなわち、受信部142により取得した交流磁界Hの位相値と位相閾値との関係と、受信部142により取得した交流磁界Hの振幅値と振幅閾値との関係とから、計数センサ38で検出された硬貨が、ステップS102で決定したグループに属するか否かを判定する。
具体的に、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、新500円硬貨及び旧500円硬貨を直径の大きい順番又は小さい順番で並べた場合に、特定金種の100円硬貨と異金種の5円硬貨とは隣接する関係の硬貨(各々の硬貨の直径が近い硬貨)である。そして、この5円硬貨Cの一部が僅かに変形している場合、本来5円硬貨をリジェクトするための排除孔37に、この5円硬貨Cが落下せず、この5円硬貨Cが搬送路36で搬送されてしまう(図8の(A)参照)。その結果、この5円硬貨Cが計数センサ38に到達することになり、制御部15は、計数センサ38の受信部142により、発信部141と受信部142との間に5円硬貨Cが存在する場合の交流磁界Hの位相値及び振幅値を取得することになる(図8の(B)参照)。
この場合、この5円硬貨Cに対して受信部142により取得した交流磁界Hの位相値及び振幅値は、位相値が位相閾値よりも大きく、振幅値が振幅閾値以下であることになり、制御部15は、計数センサ38で検出した硬貨(5円硬貨)が第1グループに属し、ステップS102で決定した特定金種の硬貨(100円硬貨)が属する第2グループには属さないと判定することになる(ステップS107:NO)。他方、特定金種である100円硬貨が計数センサ38を通過した場合、特定金種である100円硬貨について受信部142により取得した交流磁界Hは、振幅値が振幅閾値よりも大きくなって、制御部15は、計数センサ38で検出した硬貨がステップS102で決定した第2グループに属すると判定することになる(ステップS107:YES)。
計数センサ38で検出された硬貨Cが、ステップS102で決定したグループに属していれば(ステップS107:YES)、この硬貨Cは特定金種の硬貨であるので、ステップS108に進む。ステップS108では、制御部15は、この特定金種の硬貨Cをカウントする。このようにカウントされた硬貨Cは、搬送駆動部35でそのまま基本搬送方向の下流側に搬送され、出金孔39から落下してシュート本体21から放出される。制御部15は、この硬貨Cに対する処理を終了して、ステップS109に進む。ステップS109では、硬貨検知センサ126等の検知結果から、この硬貨Cの次の硬貨Cがあるか否かを判断し、次の硬貨Cがあれば(ステップS109:NO)、ステップS106に戻って、この次の硬貨Cの交流磁界Hの位相値と振幅値とを取得する。次の硬貨Cがなければ(ステップS109:YES)、計数処理を終了する。
具体的に、制御部15は、硬貨Cに対し受信部142により取得した交流磁界Hの振幅値が振幅閾値より大きく、この硬貨CがステップS102で決定した第2グループに属すると判定すると(ステップS107:YES)、この硬貨Cは特定金種の100円硬貨であるので、ステップS108において、制御部15は、この特定金種の100円硬貨をカウントして、この硬貨Cに対する処理を終了する。
計数センサ38で検出された硬貨Cが、ステップS102で決定したグループに属していなければ(ステップS107:NO)、この硬貨Cは特定金種の硬貨ではないので、ステップS110に進む。
ステップS110において、制御部15は、前述したステップS107で特定金種の硬貨(100円硬貨)でないと判断した硬貨Cを、搬送駆動部35を駆動して計数センサ38を搬送方向に抜ける位置まで移動させた後、停止させる(図8の(C)参照)。
ステップS111では、制御部15は、回転円板14及び搬送駆動部35を逆転させて硬貨Cを基本搬送方向とは逆方向に搬送し、ステップS112において、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を500円硬貨が落下可能な最大値とするリジェクト処理を行う(図8の(D)参照)。すると、この異金種硬貨である硬貨Cは排除孔37から落下し、放出口25から排除ボックス26に向けて放出される。制御部15は、搬送駆動部35を逆転させて排除孔37への落下に必要な所定時間経過すると、この硬貨Cに対する処理を終了して、ステップS113に進む。ステップS113では、硬貨検知センサ126等の検知結果から、この硬貨Cの次の硬貨Cがあるか否かを判断し、次の硬貨Cがあれば(ステップS113:NO)、ステップS105に戻って、回転円板14及び搬送駆動部35を、基本搬送方向で硬貨を搬送する向きに駆動し、ステップS106で次の硬貨Cの交流磁界の位相値と振幅値とを取得する。次の硬貨Cがなければ(ステップS113:YES)、計数処理を終了する。
具体的に、制御部15は、変形した異金種硬貨である5円硬貨の交流磁界Hを受信部142により取得すると、交流磁界Hは、位相値が位相閾値より大きく、且つ、振幅値が振幅閾値以下となるため、この硬貨CがステップS102で決定した第2グループではなく第1グループに属すると判定することになる(ステップS107:NO)。すると、ステップS111において、制御部15は、回転円板14及び搬送駆動部35を逆転させて硬貨Cを基本搬送方向とは逆方向に搬送し、ステップS112において、固定側搬送路ガイド壁131と可動側搬送路ガイド壁132との距離を500円硬貨が落下可能な最大値とする。すると、変形した異金種硬貨である5円硬貨Cは排除孔37から排除ボックス26に向けて放出される。
なお、他の具体例としては、例えば、特定金種の硬貨が5円硬貨であり、異金種硬貨である50円硬貨の変形硬貨が混入している場合もある。この場合、ステップS102で決定したグループが第1グループとなり、ステップS106において、制御部15は、異金種硬貨である50円硬貨の変形硬貨の交流磁界Hを受信部142により取得すると、交流磁界Hの振幅値が振幅閾値よりも大きくなるため、この硬貨CがステップS102で決定した第1グループではなく第2グループに属すると判定することになって、前述した方法と同様の方法で、この異金種硬貨C(50円硬貨)を排除孔37から排除ボックス26に向けて放出することになる。
また、他の具体例としては、例えば、特定金種の硬貨が10円硬貨であり、異金種硬貨である100円硬貨の変形硬貨が混入している場合もある。この場合、ステップS102で決定したグループが第1グループとなり、ステップS106において、制御部15は、異金種硬貨である100円硬貨の変形硬貨の交流磁界Hを受信部142により取得すると、交流磁界Hの振幅値が振幅閾値よりも大きくなるため、この硬貨CがステップS102で決定した第1グループではなく第2グループに属すると判定することになって、前述した方法と同様の方法で、この異金種硬貨C(100円硬貨)を排除孔37から排除ボックス26に向けて放出することになる。
また、他の具体例としては、例えば、特定金種の硬貨が50円硬貨であり、異金種硬貨である1円硬貨の変形硬貨が混入している場合もある。この場合、ステップS102で決定したグループが第2グループとなり、ステップS106において、制御部15は、異金種硬貨である1円硬貨の変形硬貨の交流磁界Hを受信部142により取得すると、交流磁界Hの位相値が位相閾値よりも大きくなり、振幅値が振幅閾値以下となるため、この硬貨CがステップS102で決定した第2グループではなく第1グループに属すると判定することになって、前述した方法と同様の方法で、この異金種硬貨C(1円硬貨)を排除孔37から排除ボックス26に向けて放出することになる。
以上により、制御部15は、搬送路36に沿って硬貨Cを搬送し、搬送路36に沿って搬送される硬貨Cの計数と当該硬貨Cの属性としての磁気的性質の検出とを共通の計数センサ38で行い、検出された硬貨Cの磁気的性質に基づいて当該硬貨Cを複数のグループに分類する。言い換えれば、制御部15は、計数センサ38で検出された硬貨Cの磁気的性質に基づいて当該硬貨Cを複数のグループの何れに属するか判断する。そして、制御部15は、搬送される硬貨Cが、特定金種の硬貨の属するグループとは異なるグループに属すると判定した場合、当該硬貨Cを異金種硬貨であると判断する。
加えて、制御部15は、搬送路36上で搬送される硬貨Cが、計数センサ38による磁気的性質の検出により異金種硬貨であると判定した場合、当該異金種硬貨を、計数センサ38による磁気的性質の検出時の搬送方向とは反対方向に排除孔37の位置まで搬送する。それと共に、制御部15は、図示略の幅変更機構により排除孔37の幅を異金種硬貨が落下可能な幅に変更して当該異金種硬貨を搬送路36から排除する。
ここで、特定金種の硬貨を計数する硬貨処理装置では、入金部に投入された硬貨を検知して計数を行うための計数センサが設けられている。計数センサは、一般的に透過型又は反射型の磁気センサが用いられる。本願発明者は、鋭意検討の結果、この計数センサ(透過型又は反射型の磁気センサ)を用いて、硬貨を大まかにグループ分けできることを見出した。これを利用して、実施の形態の硬貨処理装置11では、硬貨Cが、計数対象の特定金種の硬貨が属するグループに属しないと判定した場合に、当該硬貨Cは異金種硬貨であると判断するようにした。
以上の通り、実施の形態では、
(1)特定金種の硬貨Cを計数する機能を有する硬貨処理装置11であって、硬貨Cが搬送される搬送路36と、搬送路36上で搬送される硬貨Cの計数と当該硬貨Cの属性の検出とを行う計数センサ38と、計数センサ38で検出された硬貨Cの属性に基づいて当該硬貨を複数のグループに分類する制御部15と、を有し、制御部15は、搬送路36上で搬送される硬貨Cが、前記特定金種の硬貨の属するグループとは異なるグループに属すると判定した場合、当該硬貨Cは異金種硬貨であると判断する構成とした。
このように構成すると、硬貨処理装置11は、搬送路36上で搬送される硬貨Cの計数を行うための計数センサ38を利用して、硬貨Cの属性を検出し、検出した硬貨Cの属性に基づいて当該硬貨Cを複数のグループに大まかにグループ分けする。そして、当該硬貨Cが、計数対象である特定金種の硬貨の属するグループとは異なるグループに属すると判定した場合、当該硬貨Cは異金種硬貨であると判断する。よって、硬貨処理装置11は、投入された硬貨Cが、目的とする特定金種の硬貨の属するグループとは異なるグループに属すると判定した場合、当該硬貨Cを異金種硬貨であると判断することができる。このように、硬貨Cの計数を行う計数センサ38が検出する硬貨Cの属性に基づいて、計数した硬貨Cが異金種硬貨であるか否かを判定できる。異金種硬貨の検出に計数センサ38を利用することで部品コストの増加を抑えつつ、異金種硬貨の検出を適切に行うことができ、異金種硬貨の適切なリジェクトも可能となる。従って、硬貨の金種(材質)を検出するためだけに専用の精度の高い材質検出センサを設ける場合と比べて、コストの増加を抑えつつ、目的とする特定金種以外の異金種の硬貨を検出することが可能となる。
また、材質検出センサが設けられていない既存の硬貨処理装置に、このような材質検知センサを後から取り付けることは困難であるが、硬貨を計数するための既存の計数センサ38を利用するので、ソフトウェアを変更するだけで既存の硬貨処理装置11をそのまま使用して、異金種硬貨の検出を適切に行うことができる。
さらに、材質検出センサにおいて、硬貨の金種を正確に判別するためには、金種とセンサ出力値との校正作業(センサ調整)を行う必要があり、このセンサ調整作業が煩雑であるが、計数センサ38は、硬貨の属性を大まかに判別すればいいので、材質を高精度に検出するための煩雑なセンサ調整(校正)を必要としない。
(2)計数センサ38は、搬送路36の幅方向に沿って設けられている構成とした。
このように構成すると、硬貨処理装置11では、計数センサ38が搬送路36の幅方向に沿って設けられているので、この計数センサ38により搬送路36上で搬送される硬貨Cの直径に起因する属性を検出することができる。また、硬貨Cの搬送時に幅方向の片寄りがあっても、硬貨Cの属性を適切に取得することができる。
(3)硬貨Cの属性は、硬貨Cの磁気的性質であり、制御部15は、硬貨Cの磁気的性質に基づいて、硬貨Cを複数のグループに分類する構成とした。
このように構成すると、硬貨処理装置11では、計数センサ38により硬貨Cの材質と直径と厚みとに応じて決まる磁気的性質を検出することができる。よって、制御部15は、この計数センサ38を利用して検出された磁気的性質に基づいて、硬貨Cを大まかにグループ分けすることができる。
(4)複数のグループは、同一のグループに属する複数金種の硬貨の直径の差異が第1閾値以上となるように設定されている構成とした。
このように構成すると、硬貨処理装置11では、一の硬貨の直径と、この一の硬貨と同一のグループに属する他の硬貨の直径との差異が所定の第1閾値以上となるように硬貨をグループ分けするので、一の硬貨を特定金種の硬貨とした場合、この一の硬貨と同一グループに分類された異金種硬貨を直径の差異で適切に検出することができる。
(5)複数のグループは、各々異なる金種の複数の硬貨を直径の大きい順番または直径の小さい順番で並べた場合、互いに隣接しない硬貨同士を同一のグループとするように設定されている構成とした。
このように構成すると、硬貨処理装置11では、互いに隣接しない直径の硬貨同士を同一のグループに分類するので、同一グループに属する特定金種の硬貨と異金種硬貨との直径の差異は所定の閾値以上異なることとなる。よって、硬貨処理装置11では、同一グループに分類された異金種硬貨を適切に検出することができる。
(6)複数のグループは、硬貨を直径の大きい順番または小さい順番に並べた場合に互いに隣接しない1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨とが属する第1グループと、50円硬貨と100円硬貨とが属する第2グループと、500円硬貨が属する第3グループと、を含む構成とした。
このように構成すると、制御部15は、磁気的性質が近い1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨とを同一の第1グループに分類する。ここで、1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨とは、硬貨の直径の大きい順番又は小さい順番に並べた場合、互いに隣接しない金種の硬貨である。よって、大まかに分類された同一の第1グループに属する1円硬貨と5円硬貨と10円硬貨とであっても、目的とする特定金種の硬貨(例えば、10円硬貨)と、特定金種以外の異金種硬貨(例えば、1円硬貨又は5円硬貨)とは、直径が大きく(所定の閾値以上)異なるので、特定金種の硬貨(例えば、10円硬貨)の属するグループと同一のグループに属する異金種硬貨(1円硬貨又は5円硬貨)を適切に検出することができる。
さらに制御部15は、第1グループに分類した場合と同様に、硬貨の磁気的性質が近い50円硬貨と100円硬貨とを同一の第2グループに分類する。ここで、50円硬貨と100円硬貨とは、硬貨の直径の大きい順番又は小さい順番で並べた場合に互いに隣接しない金種の硬貨である。よって、大まかに分類された同一の第2グループに属する50円硬貨と100円硬貨とであっても、目的とする特定金種の硬貨(例えば、100円硬貨)と、特定金種以外の異金種硬貨(例えば、50円硬貨)とは、直径が大きく(所定の閾値以上)異なるので、特定金種の硬貨(例えば、100円硬貨)の属するグループと同一のグループに属する異金種硬貨(50円硬貨)を適切に検出することができる。
なお、第3グループに分類された500円硬貨の直径は、他の硬貨(1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨)の直径との差異が大きいため、500円硬貨を大まかにグループ分けしておくことで、500円硬貨以外の異金種硬貨の検出を適切に行うことができる。
(7)搬送路36上で搬送される異金種硬貨を搬送路36から排除するリジェクト機構(排除孔37)を備えている構成とした。
このように構成すると、硬貨処理装置11では、搬送路36上で搬送される異金種硬貨を排除孔37によって確実にリジェクトすることができる。
(8)リジェクト機構は、搬送路36上で搬送される異金種硬貨を搬送路36から落下させることができる幅に設定された排除孔37であり、排除孔37の幅を変更する幅変更機構を有し、制御部15は、搬送路36上で搬送される硬貨が異金種硬貨であると判定した場合、当該異金種硬貨を属性の検出時の搬送方向とは反対方向に排除孔37の位置まで搬送すると共に、幅変更機構により排除孔37の幅を異金種硬貨が落下可能な幅に変更して異金種硬貨を排除する構成とした。
このように構成すると、制御部15は、搬送路36上で搬送される硬貨が、目的とする金種の硬貨が属するグループと異なるグループに属する硬貨であると判定した場合、当該硬貨を搬送方向とは逆方向に搬送させると共に、排除孔37を当該硬貨が落下可能な幅に変更することで、当該硬貨を排除孔37から確実に落下させてリジェクトすることができる。
(9)特定金種の硬貨Cを計数する硬貨処理方法であって、搬送路36に沿って硬貨Cを搬送し、搬送路36に沿って搬送される硬貨Cの計数と当該硬貨Cの属性の検出とを行い、検出された硬貨Cの属性に基づいて当該硬貨Cを複数のグループに分類し、搬送される硬貨Cが、前記特定金種の硬貨の属するグループとは異なるグループに属すると判定した場合、当該硬貨Cを異金種硬貨であると判断する構成とした。
このように構成すると、搬送路36上で搬送される硬貨Cの検知を行うためのセンサを利用して、硬貨Cの属性を検出し、検出した硬貨Cの属性に基づいて当該硬貨Cを複数のグループに大まかにグループ分けする。そして、当該硬貨Cが、特定金種の硬貨の属するグループとは異なるグループに属すると判定した場合、当該硬貨Cは異金種硬貨であると判断する。よって、投入された硬貨Cが、目的とする特定金種の硬貨の属するグループとは異なるグループに属すると判定した場合、当該硬貨Cを異金種硬貨であると判断することができる。このように、硬貨Cの検知を行うセンサが検出する硬貨Cの属性に基づいて、検知した硬貨Cが異金種硬貨であるか否かを判定できる。異金種硬貨の検出に、硬貨Cを検知するセンサを利用することで部品コストの増加を抑えつつ、異金種硬貨の検出を適切に行うことができる。従って、硬貨Cの金種を判別するためだけに専用の材質検出センサを設ける場合と比べて、コストの増加を抑えることができ、その上で特定金種以外の金種の硬貨を検出することが可能となる。また、既存のセンサを利用するので、ソフトウェアを変更するだけで済む。さらに、センサは、硬貨の属性を大まかに判別すればいいので、材質を高精度に検出するための煩雑なセンサ調整(校正)を必要としない。
(10)硬貨Cの属性は、当該硬貨Cの磁気的性質であり、硬貨Cの磁気的性質に基づいて、当該硬貨Cを複数のグループに分類する構成とした。
このように構成すると、センサにより硬貨の材質と直径と厚みとに応じて決まる磁気的性質を検出することができる。よって、このセンサを利用して検出された磁気的性質に基づいて、硬貨を大まかにグループ分けすることができる。
(11)複数のグループを、各々異なる金種の複数の硬貨を直径の大きい順番または直径の小さい順番で並べた場合、互いに隣接しない硬貨同士を同一のグループとするように設定する構成とした。
このように構成すると、互いに隣接しない直径の硬貨同士を同一のグループに分類するので、同一グループに属する特定金種の硬貨と異金種硬貨との直径の差異は所定の閾値以上異なることとなる。よって、同一グループに分類された異金種硬貨を適切に検出することができる。