JP2020202828A - タンパク質を産生させるために改善した宿主細胞 - Google Patents

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Abstract

【課題】改善した毒性−解毒性の系に基づきタンパク質を産生する宿主細胞、および該宿主細胞を用いたタンパク質の産生方法の提供。【解決手段】毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物を含む宿主細胞であって、但し、前記少なくとも2つの複製物は、前記毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質をコードする核酸配列とは異なるレプリコンにある宿主細胞、および該宿主細胞を用いて、分泌タンパク質、膜貫通タンパク質、または前記宿主細胞にとって毒性であるタンパク質を産生する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、組み換えタンパク質の産生のための異種系に関する。特に本発明は、改善した毒性−解毒性の系に基づきタンパク質を産生させるための方法に使用する宿主細胞に関する。
現在微生物は、タンパク質またはDNAの産生に広く使用されている。通常、これらの工程は、発現させる遺伝子を有するベクターとしての細菌性プラスミドの使用を必要とする。しかしながら微生物内でのプラスミドの維持は限定されており、よってプラスミドの不安定さが、組み換えタンパク質の産生またはDNAの産生において重要な懸念を提示している。
プラスミド担持細胞の増殖速度は、プラスミドを含まない細胞の増殖速度と比較して有意に減少していることが証明されている。1つの理論として、プラスミドの複製、転写、およびタンパク質の産生が、細胞の代謝にとって有意な負担を表すとの理論がある。よって培養工程では、プラスミドを失った細胞は、プラスミドをまだ有する細胞よりも高い適応度を呈しており、細菌集合において前者は後者を急激に上回る。
細胞集合でのプラスミドの減少を制限するため、およびプラスミドを含まない細胞の生存を避けるため、および培養物を支配するために、選択可能なマーカーがプラスミドに挿入された。
培養工程で使用される最も一般的な選択可能なマーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。しかしながら、抗生物質(または抗生物質耐性をコードする遺伝子)による産物またはバイオマスの混入は、医学または制御の観点から許容できるものではない。さらに抗生物質耐性遺伝子は、この環境で増殖する場合があり、または病原性株となる場合がある。さらに、近年の研究では、組み換えタンパク質を産生させるために抗生物質耐性遺伝子を使用することは、タンパク質の産生の収率を著しく下げることが例証されている(Peubez et al., Microbial Cell factories, 2010, 9:65)。
よって、プラスミドの維持を可能にし、抗生物質耐性遺伝子の欠点のない他の系が必要とされている。
抗生物質遺伝子の使用の代替例として、プラスミドに挿入した野生型のアレイによる変異した重要な染色体遺伝子の補完がある。たとえば、変異宿主がこの機能を提供する遺伝子を担持するプラスミドなしでは必須アミノ酸を合成することができない系が開発された。しかしながらこの手法は、増殖培地において可能な選択肢を著しく限定する。
開発された別の戦略は、プラスミド媒介型リプレッサーの量を調節することによって、lacオペレーターの制御下に置かれた重要な染色体遺伝子の抑制に打ち勝つ系である。しかしながらこの手法は、以下:(i)Lacプロモーターをタンパク質の発現などの他の目的に利用できなくさせる、(ii)系が、Lacプロモーターが機能的である大腸菌または他の細菌に限定される、および(iii)ラクトースを含む培地を回避しなければならない、といった限定を有する。
抗生物質耐性遺伝子の使用の別の代替的な系は、解毒剤と組み合わせた毒性タンパク質(すなわち宿主細胞にとって毒性である分子)の対に基づくものである。たとえば毒性遺伝子は、染色体の複製物から宿主細胞により発現し得、解毒剤はプラスミドにより保有されている。よって、プラスミドの存在が宿主細胞の生存にとって必要となる。対の毒素/解毒剤の例として、ccdA(解毒剤)/ccdB(毒素)系がある。CcdAおよびCcdBは、E.coli Fプラスミドによりコードされた解毒性タンパク質および毒性タンパク質である。共にこれらは、Fの複製物を受領しない娘細胞の死を確実にする。ccdBタンパク質の発現は、DNAギラーゼの再結合ステップに干渉し、宿主細胞の染色体が断片に切断される。解毒剤/毒素の対の他の例として、限定するものではないが、Kis/Kidタンパク質、Phd/Docタンパク質、RelB/relEタンパク質、PasB(またはPasC)/PasAタンパク質、mazF/mazeタンパク質が挙げられる。
解毒性/毒性の系は、たとえば米国特許第8,470,580号に記載されるクローニング方法(毒素をコードする遺伝子を含む宿主細胞を、対応する解毒剤をコードする遺伝子を含むプラスミドと組み合わせて使用する)で広く使用されている。よってこの系は、解毒遺伝子を発現する細胞のみが生存するため、対象の統合された遺伝子を有する細胞の直接的な選択を可能にする。
またこの系は、本発明者らによって従来より記載されているように、タンパク質の産生に使用されている(Szpirer and Milinkovitch, BioTechniques, 2005, 38(5):775−781)。予想外なことに、3〜5倍の組み換えタンパク質の産生レベルの増加が観察され、このことから、組み換えタンパク質の産生に関するこの系の顕著な将来性が証明された。
しかしながら本発明者らは、この系が毒性タンパク質の産生に使用される場合、たとえば対象の遺伝子内の変異、解毒性/毒性の系の変異などといったいくつかの欠点が現れる場合があることを観察した。改善したプラスミド安定化の系を開発するために、本発明者らは、毒性遺伝子の1つの複製物と組み合わせた解毒遺伝子の1つの複製物を含む従来の系を改変した。驚くことに、かつ予想外に、本発明者らは、宿主細胞のゲノムの毒性遺伝子の追加的な複製物の挿入がプラスミドの安定性を上げ、さらにはタンパク質の産生収率をも(相関しない方法で)上げることをも示した。
よって本発明は、対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生する宿主細胞であって、毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物を含む、宿主細胞に関する。一実施形態では、上記少なくとも2つの複製物は、毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質をコードする核酸配列と異なるレプリコンにある。一実施形態では、毒性タンパク質は、配列番号1または配列番号1と少なくとも75%の同一性を有するいずれかの核酸配列によりコードされているCcdBである。
一実施形態では、宿主細胞は、毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物をさらに含む。一実施形態では、上記解毒性タンパク質は、配列番号13または配列番号13と少なくとも75%の同一性を有するいずれかの核酸配列によりコードされているCcdAである。
一実施形態では、解毒性タンパク質をコードする核酸配列は、対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列が挿入されている、または挿入され得る発現系をさらに含むプラスミドにより、保有されている。一実施形態では、上記発現系は、T7プロモーター、Ptrc、Para、およびPlacを含む群から選択されるプロモーターを含む。別の実施形態では、上記発現系はT7プロモーターを含み、宿主細胞は、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子、好ましくはゲノムに挿入されたT7 RNAポリメラーゼ遺伝子、より好ましくはT7発現系におけるT7 RNAポリメラーゼ遺伝子をさらに含む。別の実施形態では、発現系は、T7プロモーターを含み、宿主細胞は、ゲノムの中に挿入された遺伝子改変したファージをさらに含み、好ましくは、上記ファージは、
T7発現系が挿入されており、
S、R、および/またはQ遺伝子が不活性化されており、
Intおよび/またはXis遺伝子が不活性化されている
ファージとして定義されている。
一実施形態では、宿主細胞は細菌、好ましくはグラム陰性細菌、より好ましくは腸内細菌科、さらにより好ましくは大腸菌である。一実施形態では、本発明の宿主細胞は、遺伝子tonA、galK、araB、araA、lon、ompT、rcsA、hsdR、mrr、endA、およびrecAのうちの少なくとも1つの不活性化をさらに含む。一実施形態では、本発明の宿主細胞は、gyrA遺伝子の少なくとも1つの追加的な複製物をさらに含む。
また本発明は、上述の宿主細胞と、解毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物および対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列が挿入されている、または挿入され得る発現系の少なくとも1つの複製物を含むベクターとを含むキットに関する。一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列は、T7プロモーター、Ptrc、Para、およびPlacを含む群から選択されるプロモーターの制御下にある。
本発明の別の目的は、対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生させる方法であって、上述の宿主細胞を培養することと、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を回収することとを含む、方法である。一実施形態では、組み換えタンパク質は、分泌タンパク質、膜貫通タンパク質、または細菌株にとって毒性であるタンパク質である。
定義
本発明では、以下の用語は以下の意味を有する。
本明細書中で使用される場合、「ペプチド」は、ペプチド結合により共に結合されている50個未満のアミノ酸の直鎖状ポリマーを表し、「ポリペプチド」は、ペプチド結合により共に結合されている少なくとも50個の直鎖状のポリマーを表し、タンパク質は、具体的には、1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドおよび任意に非ポリペプチド補因子により形成されている、機能的な実体を表す。
「組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質」は、組み換えDNAから、すなわち産生宿主細胞に人工的に挿入されたDNAから作製されたペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を表す。
「毒性タンパク質」は、当該毒性タンパク質を産生する宿主細胞にとって毒性であるタンパク質を表す。よって、本明細書中で使用される場合、毒性タンパク質は、本発明の宿主細胞にとって毒性である。
詳細な説明
本発明は、組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生する宿主細胞であって、毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物を含む宿主細胞に関する。一実施形態では、宿主細胞は、毒性タンパク質をコードする核酸配列の2つの複製物、またはこの核酸配列の3、4、5、もしくは6個の複製物(もしくはそれ以上)を含む。
毒性タンパク質の例として、限定するものではないが、CcdB、Kid、Doc、RelE、PasA、MazE、または、たとえばプラスミド由来もしくはプラスミド由来ではないバクテリオシンなどの他のいずれかの毒性分子が挙げられる。また、毒性タンパク質は、天然または人工的に毒性の毒性であり、細胞(原核細胞)の1つまたは複数の重要な機能に影響を与える毒性タンパク質とすることができる。遺伝子sacB(バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amylolique−faciens)由来)によりコードされるタンパク質、タンパク質GpE、タンパク質GATA−1、およびタンパク質Crpは、このような毒性分子の他の例である。遺伝子sacBは、大腸菌に毒性である産物へのスクロースの加水分解を触媒するレバンスクラーゼをコードする(Pierce et al. Proc. Natl. Acad. Sci., Vol. 89, N[deg.]6 (1992) p.2056−2060)。タンパク質GpEは、6個の固有の制限部位を含むバクテリオファージφX174由来のE遺伝子によりコードされている。GpEによって、大腸菌細胞の溶解がおきる(Heinrich et al., Gene, Vol. 42(3) (1986) p.345−349)。タンパク質GATA−1は、Trudelらにより説明されている(Biotechniques 1996, Vol. 20(4), p. 684−693)。タンパク質Crpは、Schlieperらにより説明されている(Anal. Biochem. 1998, Vol. 257(2), p. 203−209)。
好ましくは、本発明の宿主細胞は、少なくとも2つ、好ましくは2つの、タンパク質CcdBをコードする核酸配列の複製物を含む。一実施形態では、タンパク質CcdBをコードする核酸配列は、ccdB遺伝子(配列番号1)、または配列番号1と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%またはそれ以上の同一性を有する機能的なCcdBタンパク質をコードするいずれかの配列である。
一実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は、2つの複製物間の組み換え事象を回避するために、100%の同一性を有さない(たとえば約30%、好ましくは約35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%またはそれ以上の同一性を有する)。
一実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は、異なる起源由来(たとえば少なくとも2つの細菌種由来)であり、または第1の複製物はプラスミド由来であり、第2の複製物は染色体由来である。たとえば、CcdBの第1の複製物は、E.coli O157:H7由来であってもよく、CcdBの第2の複製物は、Fプラスミド由来であってもよい。
一実施形態では、少なくとも2つの毒性タンパク質は100%同一ではあるが、100%の同一性を有さない核酸配列によりコードされている(すなわちこれら核酸配列は、所定のアミノ酸をコードするコドンが、同一のアミノ酸をコードする別のコドンにより置換されるなどの、非コード的な差異により異なる)。
一実施形態では、少なくとも2つの毒性タンパク質は、100%同一性ではない(たとえば約30%、好ましくは約35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%、またはそれ以上の同一性を有する)が、これら毒性タンパク質の作用は同一の解毒剤により相殺され得る。
一実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は、100%の同一性を有さないが、たとえばGuglielminiら(BMC Microbiology 2008, 8:104)に記載されるプログラムTAQ V1.0を使用したin silicoでの解析にしたがって、保存された推定ドメインがこの両方に含まれる。一実施形態では、毒性タンパク質をコードする核酸配列の第2の複製物は、第1の複製物に関連しており、プログラムTAQ V1.0を使用して同定された推定上の毒性タンパク質である。一実施形態では、毒性タンパク質をコードする核酸配列の第1の複製物はCcdBであり、第2の複製物は、Guglielmini et al., 2008によるプログラムTAQ V1.0を使用して同定された22個のin silicoで推測されたCcdBの毒素から選択される。
本発明の一実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は、対応する解毒性タンパク質をコードする核酸配列と異なるレプリコンの上、すなわち対応する解毒性タンパク質をコードする核酸配列を含まないレプリコンの上にある。特に、この実施形態では、プラスミドFの少なくとも2つの複製物を含む宿主細胞(プラスミドFは、毒性タンパク質をコードする核酸配列と解毒性タンパク質をコードする核酸配列との両方を含むレプリコンを含む)は、本発明の一部ではない。
一実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は、同一のレプリコンの上にある。別の実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は、少なくとも2つの別々のレプリコンの上にある。
一実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物のうちの少なくとも1つは、プラスミドの上にある。別の実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は、プラスミド上にある。
本発明の一実施形態では、毒性タンパク質(好ましくはCcdB)をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は染色体であり、すなわち宿主細胞のゲノムに挿入されている。
本発明の一実施形態では、毒性タンパク質をコードする核酸配列の2つの複製物は、宿主細胞のゲノムの中に挿入されており、それぞれが、宿主細胞の染色体の反対側に位置している。好ましくは、各複製物は、宿主細胞の染色体の非コード領域または不活性化される遺伝子に挿入されている。
たとえば、毒性タンパク質をコードする核酸配列の第1の複製物は、dcm遺伝子に導入されており、毒性タンパク質をコードする核酸配列の第2の複製物は、yjjKおよびslt遺伝子の間、すなわち、遺伝子間の非コード空間において大腸菌の染色体の反対側に挿入されている。
2つ以上の核酸配列またはポリペプチドの配列間の関係で使用される場合の用語「同一性」または「同一な」は、2つ以上の核酸残基またはアミノ酸残基(それぞれ)の鎖の間の一致数により決定される、核酸配列またはポリペプチド(それぞれ)の間の配列関連性の度合いを表す。「同一性」は、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)により提示されるギャップアライメント(任意)を有する2つ以上の配列間のうちより小さな配列の間での同一性の一致のパーセントを測定する。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法により容易に計算できる。このような方法として、限定するものではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics 5 and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991;およびCarillo et al., SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載される方法が挙げられる。同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致を得るように設計されている。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定する好ましいコンピュータプログラム法として、GAP(Devereux et al., Nucl. Acid. Res. \2, 387 (1984);Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul et al., J. MoI. Biol. 215, 403−410 (1990))を含むGCCプログラムパッケージが挙げられる。BLASTXプログラムは、米国立生物工学情報センター(NCBI)および他のソース(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., supra)から公開されている。また既知のSmith Watermanアルゴリズムを、同一性を決定するために使用してもよい。
好ましくは、毒性タンパク質をコードする核酸配列は、天然のプロモーターの制御下にある。たとえばタンパク質CcdBをコードする核酸配列は、ccdプロモーターに下流で融合し得る。よって解毒剤の存在下では、ccdプロモーターは強力に抑制されている。
一実施形態では、宿主細胞は、微生物、好ましくは原核生物、より好ましくは細菌、さらにより好ましくはグラム陰性細菌である。好ましくは、宿主細胞は、現在利用可能な分類学による腸内細菌科由来の細菌である。分類学が変化する場合、当業者は、本発明に使用できる細菌株を推測するように分類学の変化に適合する方法を承知している。腸内細菌科由来の細菌の例として、限定するものではないが、エシェリキア属(Escherichia)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、パンテア属(Pantoea)、フォトラブダス属(Photorhabdus)、プロビデンシア属(Providencia)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、赤痢菌属(Shigella)、モーガネラ属(Morganella)、およびエルシニア属(Yersinia)に属する細菌が挙げられる。好ましい実施形態では、宿主細胞はエシェリキア属に属しており、より好ましくは、宿主細胞は、大腸菌(E.coli:Escherichia coli)である。本発明に使用できる大腸菌株の例として、限定するものではないが、E.coli K−12、E.coli B、またはE.coli W、たとえばMG1655、W3110、DG1、DG2、Top10、DH10B、DH5alpha、HMS174、BL21、BL21(DE3)、HMS174(DE3)、BL21(DE3)pLysS、およびBL21(DE3)pLysEなどに由来する細菌株が挙げられる。
一実施形態では、宿主細胞の遺伝子は不活性化されていてもよい。
本明細書中使用される用語「不活性化された」は、転写または翻訳の段階での遺伝子の発現の中断または抑制を表す。好ましくは、用語「不活性化された」は、転写が抑制されている遺伝子を表す。本発明では、遺伝子の不活性化は、遺伝子の変異または遺伝子のコード配列内の発現系の挿入によるものであってもよい。本発明の意味では、用語「変異」は、遺伝子配列の安定した変化を表す。本発明において遺伝子の不活性化をもたらし得る変異の例として、限定するものではないが、点変異、挿入、欠失、および増幅、または遺伝子の重複が挙げられる。好ましくは、この変異は欠失である。本明細書中使用される用語「欠失」は、遺伝子の喪失または不存在、好ましくは全体的な遺伝子の喪失または不存在を意味する。より好ましくは、欠失は、欠失した遺伝子の開始コドンまたは開始コドンの前で開始し、欠失した遺伝子のストップコドンまたはストップコドンの後で終結する。
一実施形態では、遺伝子tonA(fhuAとしても知られている、配列番号2)が不活性化されている。TonA/FhuAタンパク質は、ファージT1、T5、およびPhi80の受容体である。
一実施形態では、遺伝子galK(配列番号3)が不活性化されている。この遺伝子の欠失は、相同組み換えに基づく方法により、遺伝子の欠失に関してgalKの陽性/陰性の選択の使用を可能にする。
一実施形態では、遺伝子araB(配列番号4)が不活性化されている。別の実施形態では、遺伝子araA(配列番号5)が不活性化されている。araBおよび/またはaraAの不活性化は、宿主細胞内のParaプロモーター(アラビノースにより誘導可能)の使用で推奨されている。
一実施形態では、遺伝子lon(配列番号6)および/または遺伝子ompT(配列番号7)が不活性化されている。Lonタンパク質はATP依存性プロテアーゼである。Omtタンパク質は、外膜プロテアーゼである。好ましくは、遺伝子lonおよびompTが不活性化されている。
一実施形態では、遺伝子rcsA(配列番号8)が不活性化されている。タンパク質RcsAは、嚢の合成の正のレギュレーターであり、Lonプロテアーゼにより分解される。
一実施形態では、遺伝子hsdR(配列番号9)および/または遺伝子mrr(配列番号10)が不活性化されている。HsdRおよびMrrタンパク質は、異なる特異性を有する制限酵素である。好ましくは遺伝子hsdRおよびmrrは、両方とも不活性化されている。
一実施形態では、遺伝子endA(配列番号11)および/または遺伝子recA(配列番号12)が不活性化されている。EndAは、DNAに特異的なエンドヌクレアーゼである。RecAは、プロテアーゼおよびヌクレアーゼの活性を伴う組み換えタンパク質である。好ましくは、遺伝子endAおよびrecAは、両方とも不活性化されている。
本発明の一実施形態では、遺伝子tonA、galK、araB、araA、lon、ompT、rcsA、hsdR、mrr、endA、およびrecAのうちの少なくとも1つが不活性化されている。好ましくは不活性化された遺伝子は欠失している。
好ましい実施形態では、遺伝子tonA、galK、araB、lon、ompT、rcsA、hsdR、mrr、endA、およびrecAが不活性化されている。好ましくは、遺伝子tonA、galK、araB、lon、ompT、rcsA、hsdR、mrr、endA、およびrecAは欠失している。
一実施形態では、本発明の宿主細胞は、少なくとも1つの追加的な、毒性タンパク質の標的をコードする核酸配列の複製物を含む。一実施形態では、宿主細胞は、2つの、毒性タンパク質の標的をコードする核酸配列の複製物、または3、4、5、もしくは6個の(もしくはそれ以上の)、この核酸配列の複製物を含む。好ましくは、上記少なくとも1つの追加的な複製物は染色体であり、すなわち宿主細胞のゲノム内に挿入されている。
毒性タンパク質がCcdBである一実施形態では、本発明の宿主細胞は、少なくとも1つの追加的な、タンパク質GyrAをコードする核酸配列の複製物を含んでもよい。
一実施形態では、タンパク質GyrAをコードする核酸配列は、gyrA遺伝子(配列番号15の配列)、または配列番号15と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上の同一性を有する機能的なGyrAタンパク質をコードするいずれかの配列である。
一実施形態では、毒性タンパク質の標的タンパク質をコードする核酸配列の第2の複製物は、毒性タンパク質をコードする核酸配列の複製物と同一の位置で、宿主細胞の染色体に挿入されている。一実施形態では、毒性タンパク質の標的タンパク質をコードする核酸配列の第2の複製物は、毒性タンパク質をコードする核酸配列の複製物に付随して挿入されている。
一実施形態では、本発明の宿主細胞は、本発明の宿主細胞により発現される毒性タンパク質の作用を相殺する解毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物を含む。
解毒性タンパク質の例として、限定するものではないが、CcdA(CcdBの解毒剤)、Kis(Kidの解毒剤)、Phd(Docの解毒剤)、RelB(RelEの解毒剤)、PasB(またはPasC)(PasAの解毒剤)、MazF(MazEの解毒剤)または免疫分子(バクテリオシンの解毒剤)が挙げられる。毒性分子に対する解毒性タンパク質は、対応する毒性分子が細胞(好ましくは原核細胞)によって産生される場合に、上記細胞に及ぼす上記毒性分子の作用を低減または抑制することができるいずれかのタンパク質である。
好ましい実施形態では、毒性タンパク質はCcdBであり、宿主細胞は、CcdAをコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物を含む。一実施形態では、タンパク質CcdAをコードする核酸配列は、ccdA遺伝子(配列番号13の配列)または配列番号13と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%、またはそれ以上の同一性を有する機能的なCcdAタンパク質をコードするいずれかの配列である。本明細書中で使用される場合、「機能的な」CcdAタンパク質は、配列番号13と少なくとも75%の同一性を有し、細胞に及ぼすCcdBの作用を低減または抑制するCcdAの能力を保持しているタンパク質に関する。
一実施形態では、解毒性タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、たとえばプラスミド、バクテリオファージ、ウイルス、陽イオン性小胞、または他のいずれかの種類のベクターなどのベクターにより、好ましくはプラスミドにより、保有される。よって、当業者は、解毒性タンパク質をコードする核酸配列の複製物の数が、使用するプラスミドの種類に依存することを容易に推測し得る。たとえば、pBR322ファミリーのプラスミドは、通常、約1〜約100個、好ましくは約20〜約50個の範囲の複製物の数で、細胞に存在する:pUCファミリーのプラスミドは、通常、約100個〜約500個、好ましくは約150〜約200個の範囲の複製物の数で細胞に存在する。しかしながら、当業者は、宿主細胞内のプラスミドの複製物の数が、複製速度および/または宿主細胞の増殖にも依存し得ることをも容易に推測し得る。
よって、好ましい実施形態では、本発明の宿主細胞は、(1)毒性タンパク質に対する解毒剤をコードする核酸配列および(2)産生される対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質をコードする核酸配列、または産生される対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質をコードする核酸配列を挿入するための挿入部位を担持する、少なくとも1つのベクター、好ましくはプラスミドの複製物をさらに含む。
一実施形態では、対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質をコードする核酸配列は発現系の中に含まれており、または挿入部位は、挿入されると、対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列が発現系の中に含まれるように構成されている。特に、対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列は、プロモーターの制御下で配置されている、または挿入の後に配置される。
本明細書中で使用される場合、「発現系」は、系の転写に関する追加的なフラグメントに操作可能に結合した対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列をコードするフラグメントから構成された直鎖状または環状のDNA分子を表す。
追加的なフラグメントは、プロモーターおよびストップコドンの配列を含む。発現系は、1つまたは複数の複製開始点、1つまたは複数の選択マーカー、およびリボソーム結合部位をコードする配列をさらに含んでもよい。
「操作可能に結合した」は、フラグメントが、たとえばいったん転写がプロモーターで開始すると、ストップコドンへとコードしたフラグメントを通過するように機能付けするよう構成されていることを意味する。
本発明の意味での「プロモーター」は、RNAポリメラーゼの結合および転写の開始を許容する発現を制御する配列である。
本発明の一実施形態では、核酸配列は、「強力な」プロモーターの制御下にある。強力なプロモーターは、RNAポリメラーゼ、他方で通常は天然に存在する対応するRNAポリメラーゼに対するプロモーター配列の高い結合親和性、ならびに他方でのRNAポリメラーゼによるmRNAの形成の高い比率を特徴とする。
好ましい実施形態では、核酸配列は、「誘導可能なプロモーター」の制御下にある。「誘導可能なプロモーター」は、外部要因、たとえば誘導原(「誘導因子」とも呼ばれる)分子の存在またはリプレッサー分子の不存在、または温度の増減、モル浸透圧濃度、もしくはpH値のような物理的な要因といった外部要因により調節され得るプロモーターである。異なるプロモーターおよびそれぞれの誘導の原則は、Makridesらにより概説されている(Microbiological Reviews, 1996, (60)3:512−538)。本発明に使用し得る誘導可能なプロモーターの例として、限定するものではないが、tacまたはtrcプロモーター、lacまたはlacUV5プロモーター(すべてがラクトースまたはその類似体のIPTG(イソプロピルチオール−β−D−ガラクトシド)により誘導可能である)、厳密に調節可能なaraBADプロモーター(Para;Guzman et al., 1995,アラビノースにより誘導可能)、trpプロモーター(βインドールアクリル酸の付加、またはトリプトファンの飢餓により誘導可能、トリプトファン付加により抑制可能)、ラムダプロモーターPL(λ)(温度の上昇による誘導)、phoAプロモーター(リン酸塩の飢餓により誘導可能)、PprpB(プロピオン酸塩で誘導)、または組み換えペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質発現に適した他のプロモーターが挙げられ、すべてが、大腸菌のRNAポリメラーゼを使用する。
とりわけ誘導可能なプロモーターは、「漏出」発現事象を示すプロモーターである。このようなプロモーター(いわゆる「漏出性プロモーター」)は、原則として誘導可能であるが、外部から誘導することなく基底の発現を示す。非誘導性の条件下で漏出発現を示す誘導可能なプロモーターは、構成的プロモーターと同様に作用し得る(すなわち、安定して連続的に活性であり、または特定の培養条件の結果として活性化または亢進されてもよい)。漏出性プロモーターは、連続して操作する培養工程に特に有益であってもよい。漏出性プロモーターの例として、T7プロモーターおよびtrpプロモーターがある。本発明の意味では、用語「T7プロモーター」は、バクテリオファージT7のゲノム、ならびにT7 RNAポリメラーゼによる転写を媒介する特性を有する当該プロモーターのコンセンサス配列および変異体に存在するプロモーターを含む。バクテリオファージT7は、17個の異なるプロモーター配列を含み、このうちのすべてが、高度に保存されたヌクレオチド配列を含む。
本発明の一実施形態では、プロモーターは構成的であってもよく、すなわち他方で誘導の必要性または他方で抑制の可能性がなく、発現を制御するプロモーターであってもよい。よって、特定のレベルで連続し、安定した発現が存在する。例として、強力な構成的HCDプロモーター(Poo et al., Biotechnology Letters, 2002, 24:1185−1189; Jeong et al., Protein expression and purification, 2004, 36:150−156)が、構成的な発現に使用されてもよい。
好ましくは、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の発現は、たとえば選択下などの特定の条件で誘導される。
好ましい実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列は、T7プロモーター、IPTGにより誘導可能なプロモーター、たとえばPtrcプロモーターもしくはPtacプロモーター、またはアラビノースにより誘導可能なプロモーター、たとえばParaなどの制御下に置かれている。
好ましい実施形態では、解毒性タンパク質をコードする核酸配列は、直接機能的であり、すなわち、機能的な解毒性タンパク質を直接コードする。さらに一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列、または挿入部位は、解毒性タンパク質をコードする核酸配列の中に置かれていない。
一実施形態では、本発明のベクターは、cer遺伝子座を含む。cer遺伝子座は、「ダイマーのカタストロフ」として知られているマルチマーの集積の増加を防止することにより、ColE1および関連するプラスミドの安定した遺伝を可能にする。マルチマーの分解は、cer部位でのXerCd部位特異的リコンビナーゼの作用を介して達成される。好ましくは、cer遺伝子座が本発明のベクター内に挿入される場合、宿主細胞は大腸菌である。
一実施形態では、本発明のベクターは、抗生物質耐性遺伝子を全く含まない。別の実施形態では、本発明の宿主細胞は、抗生物質耐性遺伝子を全く含まない。一実施形態では、本発明のベクターも宿主細胞も、抗生物質耐性遺伝子を全く含まない。よってこの実施形態では、本発明の宿主細胞およびベクターを使用して対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生する際に、抗生物質が必要とされない。
また本発明は、本発明の宿主細胞を含むキットであって、毒性タンパク質をコードする核酸の少なくとも2つの複製物と、上述の少なくとも1つのベクター(好ましくはプラスミド)とを含む、キットに関する。好ましくは、上記ベクターは、毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸配列と、発現系における対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質をコードする核酸配列、または発現系における対象の組み換えペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質をコードする核酸配列を挿入するための挿入部位とを担持する。
好ましい実施形態では、本発明の宿主細胞は、宿主細胞のゲノムに挿入されているタンパク質CcdBをコードする少なくとも2つの核酸配列を含み、本発明のベクターは、CcdAをコードする少なくとも1つの核酸配列を担持する。
一実施形態では、ベクターは、発現系の中に対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列を挿入することにより、対象のペプチド、ポリペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生する機能的なベクターを得るための発現系および挿入部位を含む。よって、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生する本発明のベクターで宿主細胞を形質転換する前に、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列は、ベクターの中の挿入部位に挿入されなければならない。挿入部位の中に核酸配列を挿入する方法は当業者によく知られており、これは通常制限酵素の使用に基づくものである。
対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に関して、たとえば工業用のペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質、または治療用のペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質といった、製造スケールで生産されるべきいずれかのペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を表してもよい。
本発明の方法により産生させることができるペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の例は、限定するものではないが、酵素、調節タンパク質、受容体、ペプチド(たとえばペプチドホルモン)、サイトカイン、抗体、ナノボディ、膜または輸送タンパク質である。
また、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、ワクチン接種、ワクチン、抗原結合タンパク質、免疫刺激タンパク質、アレルゲン、完全長の抗体もしくは抗体のフラグメントまたは誘導体に使用される抗原であってもよい。抗体の誘導体は、単鎖抗体、(scFv)、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、単一ドメイン抗体(VHまたはVLフラグメント)、ラクダ単一可変ドメイン(VHH)、またはたとえばAndersenおよびReilly(Current Opinion in Biotechnology, 2004, 15:456−462)またはHolligerおよびHudson(Nature Biotechnology, 2005 (23)9: 1126−1136)に記載される他の抗体型から選択されてもよい。
また、本発明の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、たとえばB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、I−HV、インフルエンザなどの病原性ウイルスのゲノムにコードされているタンパク質(ウイルス性抗原)、たとえばコートタンパク質、コアタンパク質、プロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ;血小板由来増殖因子(PDGF)、幹細胞増殖因子(SCF)、肝細胞増殖因子(HGF)、形質転換増殖因子(TGF)、神経成長因子(NGF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様増殖因子(IGF)などの増殖因子;腫瘍壊死因子、インターフェロン、インターロイキンなどのサイトカイン;エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、トロンボポエチンなどの造血性因子;黄体化ホルモン放出ホルモン(LB−RH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、インスリン、ソマトスタチン、成長ホルモン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体化ホルモン(LU)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、バソプレシン、オキシトキシン(oxytoxin)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤性ラクトゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、セルレイン、モチリンなどのペプチドホルモン;エンケファリン、エンドルフィン、ダイノルフィン、キョートルフィンなどの沈痛性ペプチド;スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)、アスパラギナーゼ、カリクレインなどの酵素;ペプチド神経伝達物質、たとえばボンベシン、ニューロテンシン(neutrotensin)、ブラジキニン、P物質、アルツハイマー病のアミロイドペプチド(AD)、SODl、プレセニリン(presenillin)1および2、レニン、Dシヌクレイン、アミロイドA、アミロイドP、アクチビン、抗−HER−2、ボンベシン、エンケファリナーゼ、プロテアーゼ阻害剤、治療用酵素、D1−アンチトリプシン、哺乳類のトリプシン阻害剤、哺乳類の膵性トリプシン阻害剤、カルシトニン、心肥大因子、カルジオトロフィン(カルジオトロフィン−1など)、CDタンパク質(CD−3、CD−4、CD−8およびCD−19など)、CFTR、CTNF、DNase、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、サイトカイン、トランスサイレチン、アミリン、リポタンパク質、リンホカイン、リゾチーム、成長ホルモン(ヒト成長ホルモンを含む)、ウシ成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、増殖因子、脳由来神経栄養性増殖因子、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(D FGFおよびD FGFなど)、インスリン様増殖因子−Iおよび−II、des(1−3)−IGF−I(脳のIGF−I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質、神経成長因子(NGF−Dなど)、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、成長ホルモンもしくは増殖因子の受容体、形質転換増殖因子(TGF)(TGF−D、TGF−D1、TGF−D2、TGF−D3、TGF−D4またはTGF−D5など)、神経栄養因子(ニューロトロフィン−3、−4、−5、または−6など)、ゲルゾリン、グルカゴン、カリクレイン、ミュラー管阻害物質、神経栄養因子、p53、タンパク質AまたはD、プロリラキシン、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、リウマトイド因子、ロドプシン、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)、インヒビン、インスリン、インスリン鎖、インスリンA鎖、インスリンD鎖、インスリン受容体、プロインスリン、黄体化ホルモン、インテグリン、インターロイキン(IL)(IL−1〜IL−10、IL−12、IL−13など)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、フィブリリン、卵胞刺激ホルモン、凝固因子(VIIIC因子、IX因子、組織因子、およびフォンウィレブランド因子など)、抗凝固因子(タンパク質C、心房性ナトリウム利尿因子(atrial naturietic factor)、肺サーファクタントなど)、プラスミノーゲン活性化因子(ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーターまたはウロキナーゼなど)、トロンビン、腫瘍壊死因子−DまたはD、D−ケト酸デヒドロゲナーゼ、アドレシン、骨形成タンパク質(BMP)、コラーゲン、コロニー刺激因子(CSF)(M−CSF、GM−CSFおよびG−CSFなど)、崩壊促進因子、ホーミング受容体、インターフェロン(インターフェロン−α、γ、およびβなど)、ケラチン、骨誘導因子、PRNP、調節タンパク質、スーパーオキシドジスムターゼ、膜表面タンパク質、輸送タンパク質、T細胞受容体、gp120(HIb)イムノトキシンなどの抗原、心房性ナトリウム利尿ペプチド、精嚢外分泌タンパク質、D2−ミクログロブリン、PrP、プレカルシトニン(precalcitonin)、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン6、アタキシン7、ハンチンチン、アンドロゲン受容体、CREB結合タンパク質、gpl 20、p300、CREB、API、ras、NFAT、jun、fos、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentaorubral pallidoluysian atrophy)関連タンパク質、微生物タンパク質(たとえばマルトース結合タンパク質、ABCトランスポーター、グルタチオンSトランスフェラーゼ、チオレドキシン、D−ラクタマーゼ)、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、スーパーオキシドジスムターゼ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、リボヌクレアーゼ、カタラーゼ、ウリカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、トリプシン、パパイン、アルカリホスファターゼ、β−グルコロニダーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼまたはバトロキソビンなどの酵素、オピオイド、たとえばエンドルフィン、エンケファリン、または非天然のオピオイド、ホルモンまたはニューロペプチド、たとえばカルシトニン、グルカゴン、ガストリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コレシストキニン、黄体形成ホルモン、ゴナドトロピン−放出ホルモン(releassing hormone)、絨毛性ゴナドトロピン、コルチコトロピン放出因子、バソプレシン、オキシトシン、抗利尿性ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、リラキシン、プロラクチン、ペプチドYY、ニューロペプチドY、膵性ポリペプチド、レプチン、CART(コカインおよびアンフェタミン制御転写物)、CART関連ペプチド、ペリリピン、MC−4などのメラノコルチン(メラニン細胞刺激ホルモン)、メラニン濃縮ホルモン、ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリン、エンドセリン、セクレチン、アミリン、血管作用性小腸ペプチド(VIP)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、ボンベシン、ボンベシン様ペプチド、チモシン、ヘパリン結合タンパク質、可溶性CD4、視床下部性放出因子およびメラトニン(melanotonin)、またはそれらの機能的な類似体により例示することができる。本発明の別の実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、プロテアーゼ(たとえばエンテロキナーゼ、カスパーゼ、トリプシン様セリンプロテアーゼ)、リパーゼ、ホスファターゼ、グリコシルヒドロラーゼ(たとえばマンノシダーゼ、キシロシダーゼ、フコシダーゼ)、キナーゼ、モノまたはジオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミダーゼ、エステラーゼ、ホスファターゼなどのプロセッシング酵素であってもよい。
このような哺乳類のポリペプチドの好ましい供給源として、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、オオカミ、およびげっ歯類の供給源が挙げられ、ここではヒトのタンパク質が特に好ましい。
また本発明の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の変異体を含む。これらの変異体は、たとえば上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質と同一の活性を有し、上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質のアミノ酸配列において、1つまたは複数の欠失、置換、挿入、および/または付加したアミノ酸を伴うアミノ酸配列を含むペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を含む。このようなペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質と同一の活性を有し、かつ上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質のアミノ酸配列において、1つまたは複数の欠失、置換、挿入、および/または付加したアミノ酸を伴うアミノ酸配列を含むペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質により例示することができる。欠失、置換、挿入、および付加から選択される2つ以上の異なる種類の改変は、同時に行われてもよい。
また本発明のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の「部分的なペプチドまたはポリペプチド」をも含む。対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の部分的なペプチドまたはポリペプチドは、上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質のアミノ酸配列の一部が中断されず作用しているアミノ酸配列を含む部分的なペプチドまたはポリペプチドによって例証することができ、ここで部分的なペプチドまたはポリペプチドは、好ましくは上記対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質と同一の活性を有する。このような部分的なペプチドまたはポリペプチドは、上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質のアミノ酸配列において少なくとも20個、好ましくは少なくとも50個のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列により、例証することができる。このペプチドまたはポリペプチドは、好ましくは上述の対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の活性に関与する領域に対応するアミノ酸配列を含む。さらに本発明で使用される部分的なペプチドまたはポリペプチドはまた、このペプチドの改変により得た部分的なペプチドまたはポリペプチドとすることができ、ここでは1つまたは複数のアミノ酸残基(たとえば約1〜20個、より好ましくは約1〜10、およびさらにより好ましくは約1〜5個)が、このアミノ酸配列から欠失、このアミノ酸配列で置換、このアミノ酸配列に挿入、および/またはこのアミノ酸配列に付加されている。本発明で使用される部分的なペプチドまたはポリペプチドはまた、抗体産生用の抗原として使用することもできる。
本発明の一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、ヒト成長ホルモン、ヒトインスリン、卵胞刺激ホルモン、VIII因子、エリスロポエチン(Erythropoeietin)、顆粒球コロニー刺激因子、α−グラクトシダーゼ(Alpha−glactosidase)A、α−L−イズロニダーゼ、N−アセチル(actetyl)ガラクトサミン−4−スルファターゼ、ドルナーゼアルファ、組織プラスミノーゲン活性化因子、グルコセレブロシダーゼ、インターフェロン、インスリン様増殖因子1、ウシソマトトロピン、ブタソマトトロピン、ウシキモシン、およびB型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質を含む群から選択される。
また対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、環化、グリコシル化、リン酸化、メチル化、酸化、脱水、タンパク質分解切断などの、周辺質における翻訳後および輸送後の修飾を経た、修飾されたペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をも含む。
一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、細胞外媒体中の生体分子(本明細書中「細胞外生体分子」と呼ばれる)を代謝する酵素である。一実施形態では、細胞外生体分子は、多糖または脂質を含む。本発明の一実施形態では、多糖は、アルギン酸塩、ペクチン、セルロース、セロビオース、ラミナリン、またはそれらの混合物を含む。本発明の一実施形態では、脂質は、脂肪酸、糖脂質、ベタイン脂質、グリセロ脂質、リン脂質、グリセロリン脂質(glycerolphospholipid)、スフィンゴ脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、サッカロ脂質、ポリケチド、またはそれらの混合物を含む。本発明の一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、多糖を単糖、オリゴ糖、またはその両方に変換する酵素である。本発明の一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、脂質を脂肪酸、単糖、またはその両方に変換する酵素である。本発明の一実施形態では、単糖またはオリゴ糖は、オリゴアルギン酸塩、マンヌロン酸塩、グルロン酸塩、マンニトール、a−ケト酸、4−デオキシ−L−エリスロ−ヘキソースウロースウロナート(4−deoxy−L−erythro−hexoselulose uronate)(DEHU)、2−ケト−3−デオキシ D−グルコナート(KDG)、グルコース、グルクロン酸塩、ガラクツロン酸塩、ガラクトース、キシロース、アラビノース、またはマンノースである。本発明の一実施形態では、脂肪酸は、14:0、トランス−14、16:0、16:ln−7、トランス−16、16:2n−6、18:0、18:ln−9、18:2n−6、18:3n−6、18:3n−3、18:4n−3、20:0、20:2n−6、20:3n−6、20:4n−3、20:4n−6、または20:5n−3である。
本発明の一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、細胞外生体分子を汎用化学製品に変換する酵素である。本発明の一実施形態では、汎用化学製品は、エタノール、ブタノール、またはバイオディーゼルである。本発明の一実施形態では、バイオディーゼルは、脂肪酸、脂肪酸エステル、またはテルペノイドである。
一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は分泌タンパク質である。一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は天然に分泌されており、すなわち同ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列は、天然に、その分泌をもたらすシグナルペプチドを含む。別の実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は人工的に分泌されており、すなわち同ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列はシグナルペプチドに融合することにより、その分泌を可能にする。本発明の文脈で使用され得るシグナルペプチドの例として、限定するものではないが、OmpAシグナルペプチド(配列番号17)、DsbAシグナルペプチド(配列番号18)、またはPhoAシグナルペプチド(配列番号19)が挙げられる。
別の実施形態では、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は膜貫通タンパク質である。
別の実施形態では、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、宿主細胞に毒性であるタンパク質である。
一実施形態では、本発明の宿主細胞は、好ましくは発現系に位置する、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の発現を誘導するタンパク質をコードする核酸配列をさらに含む。
このような核酸配列の例として、限定するものではないが、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子、T7遺伝子1が挙げられる。この場合、T7 RNAポリメラーゼの発現は、T7プロモーターの制御下におかれた対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の発現を誘導する。
好ましくは、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の発現を誘導するタンパク質をコードする核酸配列は、T7発現系である。T7発現系は、米国特許第4,952,496号に記載されており、この文献は本明細書中参照として援用されている。T7発現系は、T7 RNAポリメラーゼの全体のコード配列(すなわちT7遺伝子1)を含む、T7ファージ由来のDNAフラグメントを含む。T7遺伝子1の天然の活性プロモーターは除去され、誘導可能なlacUV5プロモーターは、コード配列の前に挿入された。lacUV5プロモーターは、培養培地にIPTGを添加することにより、誘導される。
一実施形態では、本発明の宿主細胞は、そのゲノムの中に挿入されたファージを含む。対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質がT7プロモーターの制御下に置かれている一実施形態では、上記遺伝的に改変したファージは、国際特許出願第2013/004817号(参照として本明細書中に援用)に記載されている。一実施形態では、上記遺伝的に改変したファージは、
発現系(好ましくはT7発現系)が挿入されており、
Sおよび/またはR遺伝子が不活性化されている
ファージとしてさらに定義されている。
本発明の一実施形態では、ファージのIntおよび/またはXis遺伝子(複数可)が不活性化されている。
一実施形態では、遺伝的に改変したファージは、
発現系(好ましくはT7発現系)が挿入されており、
S、R、および/またはQ遺伝子が不活性化されており、
Intおよび/またはXis遺伝子が不活性化されている
ファージとしてさらに定義されている。
本発明に使用できるファージの例として、限定するものではないが、ラムダ(λ)ファージ(Enterobacteria phage lambda、アクセッション番号NC_001416)、ラムダ様ファージおよびラムドイドファージが挙げられる。ラムダファージは、大腸菌ファージλとしても知られており、大腸菌に感染させるウイルスである。ラムダは、テンペレートバクテリオファージである。ラムダ様ファージは、長い非収縮性の尾を特徴とするバクテリオファージおよび古細菌ウイルスのファミリーを形成する。ラムドイドファージは、ラムダファージの天然の近縁種である。これらの大部分は大腸菌で増殖するが、数種は、たとえばサルモネラ・チフィリウムなどの他の宿主細胞からもたらされる。本発明に使用できるラムダ様ファージおよびラムドイドファージの例として、限定するものではないが、大腸菌ファージ434、phi80、phi81、HK97、P21およびP22が挙げられる。
一実施形態では、ファージはラムダDE3(アクセッション番号EU078592)である。ラムダDE3ファージは、改変したラムダファージD69であり、lacUV5プロモーターの制御下で、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子を含む。
好ましい実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列番号14を有し、(DE3)ΔS−C、Δxis−ea10であるファージP11である(DE3は、ラムダファージDE3を表し、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子は、int遺伝子の配列の中に統合されている)。上記改変したファージP11は、配列NC_001416に対応しており、遺伝子S、R、Rz、XisおよびIntのコード配列が欠失している。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP12であり、遺伝子IntおよびSのコード配列が欠失している(P12の一例は、配列DE3 ΔS、Δxis−ea10である)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP13であり、遺伝子S、R、Rz、Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P13の一例は、配列DE3 ΔS−C、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP14であり、遺伝子RおよびIntのコード配列が欠失している(P14の一例は、配列DE3 ΔRである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP15であり、遺伝子QおよびIntのコード配列が欠失している(P15の一例は、配列DE3 ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP16であり、遺伝子SおよびXisのコード配列が欠失している(P16の一例は、配列NC_001416 ΔS、Δxis−ea10である)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP17であり、遺伝子RおよびXisのコード配列が欠失している(P17の一例は、配列NC_001416 ΔR、Δxis−ea10である)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP18であり、遺伝子QおよびXisのコード配列が欠失している(P18の一例は、NC_001416 Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP19であり、遺伝子R、RzおよびIntのコード配列が欠失している(P19の一例は、配列DE3 ΔR、ΔRzである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP20であり、遺伝子S、RzおよびIntのコード配列が欠失している(P20の一例は、配列DE3 ΔS、ΔRzである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP21であり、遺伝子Rz、Q、およびIntのコード配列が欠失している(P21の一例は、配列DE3 ΔRz、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP22であり、遺伝子S、QおよびIntのコード配列が欠失している(P22の一例は、配列DE3 ΔS、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP23であり、遺伝子R、Q、およびIntのコード配列が欠失している(P23の一例は、配列DE3 ΔR、 ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP24であり、遺伝子S、RおよびIntのコード配列が欠失している(P24の一例は、配列DE3 ΔS、 ΔRである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP25であり、遺伝子R、RzおよびXisのコード配列が欠失している(P25の一例は、配列NC_001416 ΔR、Δxis−ea10、ΔRzである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP26であり、遺伝子S、RzおよびXisのコード配列が欠失している(P26の一例は、配列NC_001416 ΔS、 Δxis−ea10、ΔRzである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP27であり、遺伝子Q、RzおよびXisのコード配列が欠失している(P27の一例は、配列NC_001416 ΔRz、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP28であり、遺伝子S、QおよびXisのコード配列が欠失している(P28の一例は、配列NC_001416 ΔS、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP29であり、遺伝子R、QおよびXisのコード配列が欠失している(P29の一例は、配列NC_001416 ΔR、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP30であり、遺伝子R、SおよびXisのコード配列が欠失している(P30の一例は、配列NC_001416 ΔS、Δxis−ea10、ΔRである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP31であり、遺伝子R、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P31の一例は、配列DE3 ΔR、Δxis−ea10である)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP32であり、遺伝子S、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P32の一例は、配列DE3 ΔS、Δxis−ea10である)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP33であり、遺伝子Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P33の一例は、配列DE3 Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP34であり、遺伝子S、R、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P34の一例は、配列DE3 ΔS、Δxis−ea10、ΔRである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP35であり、遺伝子R、Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P35の一例は、配列DE3 ΔR、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP36であり、遺伝子S、Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P36の一例は、配列DE3 ΔS、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP37であり、遺伝子R、Rz、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P37の一例は、配列DE3 ΔR、Δxis−ea10、ΔRzである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP38であり、遺伝子S、Rz、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P38の一例は、配列DE3 ΔS、Δxis−ea10、ΔRzである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP39であり、遺伝子Rz、Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P39の一例は、配列DE3 ΔRz、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP40であり、遺伝子S、R、QおよびIntのコード配列が欠失している(P40の一例は、配列DE3 ΔS、ΔR、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP41であり、遺伝子S、R、RzおよびIntのコード配列が欠失している(P41の一例は、配列DE3 ΔS−Cである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP42であり、遺伝子R、Rz、QおよびIntのコード配列が欠失している(P42の一例は、配列DE3 ΔR、ΔRz、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP43であり、遺伝子S、Rz、QおよびIntのコード配列が欠失している(P43の一例は、配列DE3 ΔS、ΔRz、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP44であり、遺伝子S、R、QおよびXisのコード配列が欠失している(P44の一例は、配列NC_001416 ΔS、ΔR、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP45であり、遺伝子S、R、RzおよびXisのコード配列が欠失している(P45の一例は、配列NC_001416 ΔS−C、Δxis−ea10である)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP46であり、遺伝子R、Rz、QおよびXisのコード配列が欠失している(P46の一例は、配列NC_001416 ΔR、ΔRz、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP47であり、遺伝子S、Rz、QおよびXisのコード配列が欠失している(P47の一例は、配列NC_001416 ΔS、ΔRz、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP48であり、遺伝子S、R、Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P48の一例は、配列DE3 ΔS、ΔR、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP49であり、遺伝子S、Rz、Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P49の一例は、配列DE3 ΔS、ΔRz、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP50であり、遺伝子R、Rz、Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P50の一例は、配列DE3 ΔR、ΔRz、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP51であり、遺伝子S、R、Q、RzおよびIntのコード配列が欠失している(P51の一例は、配列DE3 ΔS−C、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001416に対応するP52であり、遺伝子S、R、Rz、QおよびXisのコード配列が欠失している(P52の一例は、配列NC_001416 ΔS−C、Δxis−ea10、ΔQである)。
別の実施形態では、遺伝的に改変したファージは、配列NC_001415に対応するP53であり、遺伝子Q、XisおよびIntのコード配列が欠失している(P53の一例は、配列DE3 Δxis−ea10、ΔQである)。
また本発明は、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生させる方法であって、
毒性タンパク質、好ましくはCcdBをコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物と、
毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質、好ましくはCcdAをコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物と、
対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物と
を含む、本発明の宿主細胞を培養することと、
対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を回収することと
を含む、方法に関する。
一実施形態では、毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物は、宿主細胞のゲノムの中に挿入されている。
一実施形態では、毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物、および対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物が、同一のベクターにより担持されている。よって、ベクターを含む宿主細胞のみが増殖され、ベクターを含まない宿主細胞は毒性タンパク質の毒性作用により死滅する。
本発明の一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列は、発現系の中に含まれている。この実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の産生は、直接的であり、すなわち、たとえば発現系に含まれるプロモーターが誘導される培地での培養により、発現系の遺伝子発現からもたらされる。たとえば一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列は、pLacまたはpTRCプロモーターの制御下に置かれており、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の発現は、IPTGが培養培地に添加される際に誘導される。さらに別の実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列は、Paraプロモーターの制御下に置かれており、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の発現は、アラビノースを培養培地に添加する際に誘導される。
別の実施形態では、本発明の宿主細胞は、宿主細胞のゲノムに挿入されているlacプロモーター、好ましくはlacUV5プロモーターの制御下でT7 RNAポリメラーゼの核酸配列を含む別の発現系をさらに含む。この実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生させる工程は、T7プロモーターの制御下で対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の核酸配列と、解毒性タンパク質をコードする核酸配列と含むベクター、好ましくはプラスミドを用いた宿主細胞の形質転換を含む。T7プロモーター由来の発現は、T7プロモーターに厳密に特異的であるT7 RNAポリメラーゼの制御下にあり、すなわちT7プロモーターは、バクテリオファージT7のRNAポリメラーゼによってのみ利用することができる。IPTGが培養培地に添加される際、T7 RNAポリメラーゼは、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の発現を可能にするlacプロモーターからの転写により発現される。
一実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、培養ブロス中の宿主細胞により分泌される。この実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、当業者に既知の方法を使用して培養ブロスから容易に回収され得る。
別の実施形態では、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、培養ブロス中の宿主細胞によって分泌されない。対象の細胞内または周辺質のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を回収する方法もまた、当該分野でよく知られている。
このような方法の例として、限定するものではないが、変性条件において全タンパク質を回収するための、トリクロロ酢酸(TCA)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含むクラッキングバッファー(cracking buffer)の使用、または超音波処理、フレンチプレス、もしくは天然の条件(変性条件ではない)において全細胞質内タンパク質を回収するための圧力下で細菌を破壊するための均等物の使用が挙げられる。次に、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質は、限定するものではないが、アフィニティカラムまたはイオン交換カラムの使用を含む特定の方法を使用して、精製することができる。
また本発明は、上述の宿主細胞を調製する方法をも表す。
本発明の宿主細胞を調製する方法は、宿主細胞のゲノムの中に毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物、好ましくは2つの複製物を挿入することを含む。好ましく、上記毒性タンパク質はCcdBであり、より好ましくは上記毒性タンパク質をコードする核酸配列は配列番号1である。
一実施形態では、本発明の宿主細胞を調製する方法は、宿主細胞の核酸配列を欠失する欠失のステップを含む。
遺伝子の配列を挿入または欠失する方法は、当業者によく知られている。より効率的な方法は、プロファージRac由来のラムダRedコード遺伝子またはrecEおよびrecT遺伝子により媒介される相同組み換え方法である。この方法は、DatsenkoおよびWanner(PNAS 97−12, 6640−6645, 2000)ならびにStewartら(WO0104288)を含む数人の研究者により良好に説明された。PCR産物は、欠失する遺伝子の近くの領域または核酸配列が挿入される領域に相同である20〜60ntの伸張を伴うプライマーを使用して作製される。少量の細菌のみが対象のフラグメントを効率的に組み換えるため、それを選択するための強力な選択マーカーを有する必要がある。抗生物質のマーカーは、組み換え体を選択するために使用することができる:改変したプライマーは、抗生物質耐性遺伝子を増幅させるために使用する。組み換え遺伝子の形質転換および活性化の後、組み換え細菌を、適切な抗生物質を含む培地上で選択する。この場合、標的化した遺伝子または領域は、抗生物質耐性遺伝子により置換されている。次の欠失のため同一の戦略を使用するために、第2のステップの間にこの抗生物質耐性遺伝子を除去する必要がある。DatsenkoおよびWannerらの文献に記載されるように、FRT(FLP認識標的)部位の横に配置されている抗生物質耐性遺伝子を使用することが可能である。次に耐性遺伝子を、FLPリコンビナーゼをコードするヘルパープラスミドを使用することにより除去する。抗生物質耐性遺伝子は、この部位特異的なリコンビナーゼにより除去されるが、この方法は痕跡が残る:1つの部位特異的な組み換え部位は、抗生物質耐性遺伝子を除去した後でも存在する。
この部位の存在を回避するため、より好ましくは本発明の方法は、マーカー遺伝子としてgalKを使用する。galKの選択の原則は、Warmingら(Nucleic acid research, 2005, 33(4))に記載されている。この方法は、第1の組み換え(挿入)の間、陽性選択マーカー(ガラクトースを含む最少培地で増殖)としてgalKを使用する。このマーカーの除去を、第2の相同組み換えステップの間に行う。このステップの間、galKを、2−デオキシ−ガラクトース(DOG)を含む最少培地での陰性選択マーカーとして使用する。galK遺伝子産物、ガラクトキナーゼは、ガラクトース分解経路の第1のステップを触媒する。また、ガラクトキナーゼは、DOGガラクトース類似体のリン酸化を効率的に触媒する。この反応の産物は、さらに代謝することができず、毒性分子(2−デオキシ−ガラクトース−1−リン酸塩)の蓄積をもたらす。この方法の利点は、標的化遺伝子の欠失および選択マーカーの除去の後に、特定の組み換え部位の存在を回避することにある。
一実施形態では、本発明の方法は、本明細書中上記で定義した遺伝的に改変したファージによる宿主細胞の感染ステップをさらに含む。本発明の一実施形態では、上記感染ステップは、ヘルパーファージの使用を含む。本発明の意味では、用語「ヘルパーファージ」は、別のファージの欠失または不活性化を補完するために使用されるファージを表す。ヘルパーファージは、細菌を感染させることができ、またはファージの原液を調製することができるよう上記別のファージに失われた機能を提供する。通常、ヘルパーファージは、cIマイナス(リプレッサーを有さず、よって病原性である)であるため、それ自体が溶原菌を形成することができない。
ヘルパーファージを使用してファージで宿主細胞を感染させる工程は、当該分野でよく知られている。一実施形態では、第1のステップは溶菌液の調製であり、第2のステップは溶原化である。簡潔に述べると、ヘルパーファージの細菌溶菌液は、“Molecular cloning: a laboratory manual”, Sambrook et al. (2001, ISBN 978−087969577−4)または“Large− and Small−Scale Preparation of Bacteriophage lambda lysate and DNA”, Su et al., BioTechniques 25:44−46 (July 1998)に記載される標準的な方法を使用して調製され得る。対象のファージの調製は、溶菌サイクルを開始させるためにファージの誘導の後に同一の原則を使用して(ほとんどの場合、UV照射、または溶原菌がDNA損傷もしくは宿主のSOS応答、もしくはCroの産生を経るいずれかの状況を使用して)、かつ失われた機能を提供するヘルパーファージを使用して、行われてもよい。ヘルパーファージの代わりとして、失われた機能をコードするプラスミドの使用がある。
次に、ファージの溶菌液を標的化した細菌と混合し、LBプレートにプレーティングすることにより、溶原菌を得ることができる(Novagen製のラムダDE3溶原化キットに記載、ユーザープロトコルTB031、または代替的な方法が、Studier and Moffat, Journal of Molecular Biology, 1986, 189:113−130に記載されている)。選択ファージは、対象のファージを含む細菌を特異的に選択するために使用することができる。この選択ファージは、対象のファージと同一の免疫を有する病原性ファージである。結果として、選択ファージは、cIリプレッサー(DE3ラムダファージにおけるC2とも呼ばれる)を産生するため、対象のファージのためにプラークを形成できず、または細菌性溶原菌を殺すことができない。
一実施形態では、本発明の方法は、(1)毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質をコードする核酸配列および(2)対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列を担持するベクター、好ましくは本明細書中上述されるプラスミドで本発明の宿主細胞を形質転換することをさらに含む。ベクターで細胞を形質転換する方法は、当該分野でよく知られており、限定するものではないが、化学的な形質転換およびエレクトロポレーションが挙げられる。
よって、本発明の宿主細胞を使用して対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を産生させる方法は、以下の利点を提示する:
いずれかのペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、さらには宿主細胞に毒性であるペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に使用することができる。
宿主細胞のゲノムの中のccdB遺伝子を挿入することが当業者にとって容易であるため、任意の宿主細胞に使用することができる。
以下の実施例で示されるように、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の産生収率が上がる。
以下の実施例で示されるように、特に対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質が宿主細胞にとって毒性である場合、対象のペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質をコードする核酸配列を含むベクターの安定性を上げることが可能である。
一部の実施形態では、抗生物質を使用することを含まず、宿主細胞およびベクターは、両方とも抗生物質耐性遺伝子を含まない。
pVHH6ベクターのマップである。 pVHH6ΔKanの24時間の誘導後の、W3110ccdB株におけるPCRスクリーニングを示す写真である。誘導後の培養は、抗生物質を用いることなくプレート上で画線培養し、20個のコロニーでPCRを行った。VHH6(A)、ccdB(B)、および細胞株に特異的な(C)遺伝子にわたるPCRの結果が示されている。左の矢印は、予測されるPCR産物の大きさを示す。上の矢印は、ccdBの変質を示す。 SDS−PAGEにおける、W3110 pVHH6、W3110ccdB pVHH6ΔKanおよびW31102ccdB pVHH6ΔKan株の産生の比較を示す写真である。非誘導型(NI)および誘導型の試料の間で差異が観察されたが、特に、誘導した試料間で差異が観察された(四角形)。 pTraGベクターのマップである。 SDS−PAGEにおける、W3110ccdB pTraGおよびW31102ccdB pTraG株の産生の比較を示す写真である。非誘導型(NI)および誘導型の試料の間で差異が観察されたが、誘導した試料間では観察されなかった。 クマシーブルー染色(左)またはウェスタンブロット(右)による、SDS−PAGEにおける、W3110 pD1.3、W3110ccdB pD1.3ccdAΔAmp、およびW31102ccdB pD1.3ccdAΔAmp株の産生の比較を示す2つの写真の組み合わせである。ウェスタンブロットにより、非誘導型(NI)および誘導型(I)の試料の間で差異が良好に観察される。 pStaby1.2 TraGの24時間の誘導後のSE3(BL21(DE3)2ccdB)株におけるPCRのスクリーニングを示す写真である。誘導後の培養は、ペトリ皿上での画線培養し、22個のコロニーでPCRを行った。TraG(A)、ccdA(B)、最初のccdB(C)、および第2のccdB(D)遺伝子にわたるPCRの結果が示されている。左の矢印は、予測されるPCR産物の大きさを示す。 SE1 pStabyTraGおよびSE4(BL21(DE3)2ccdB 2gyrA)pStabyTraG株の産生の比較を示すSDS−PAGEゲルの写真である。非誘導型(NI)および誘導型(I)の試料の間で差異が観察される。 SDS−PAGEにおける、W3110ccdB pVHH6ΔKan、W31102ccdB pVHH6ΔKan、およびW31102ccdB 2gyrA pVHH6ΔKan株の産生の比較を示す写真である。非誘導型(NI)および誘導型(I)の試料の間で差異が観察されるが、特に、誘導した試料の間で差異が観察された。
実施例
本発明を、さらに以下の実施例により例証する。
実施例1:ccdB遺伝子の複製は、産生の収率を上げる
Staby(登録商標)技術(宿主染色体内のccdB遺伝子の1つの複製物の挿入に基づく技術、Delphi Genetics, StabyExpress(登録商標)製品、国際特許第9958652号)によりもたらされる安定性を試験するために、本出願人は、大腸菌においても毒性の特性を有するように見える分泌タンパク質(VHH6と名付けられた可変重鎖抗体フラグメント)を生成した。W3110 E.coli株(遺伝的背景:E.coli K12、遺伝子型:FλINV(rrnD−rrnE)rph−1)を、産生株の宿主として使用し、かつpBR322ベクター(pVHH6;図1)上のpTrcプロモーターを用いて発現を実現した。従来の抗生物質安定化システム(ここではカナマイシン耐性)を使用したW3110株の産生を、Staby(登録商標)技術(ccdB遺伝子が株の染色体の中に導入されている)を使用するよう改変されたW3110ccdB株の産生と比較した。この比較で使用したベクターは両方ともccdA遺伝子を含むものであり、W3110ccdBに使用したベクターを、カナマイシン耐性遺伝子(pVHH6ΔKan)に関して欠失させた。
抗生物質を含むまたは含まないLB培地(10ml)で、株を30℃で増殖させ、OD600が0.5に達した際に4時間誘導した(0.5mM、IPTG)。これらのゆっくりとした誘導条件下での両選択系におけるプラスミドの安定性が100%であるにも関わらず、SDS−PAGEにより解析される際の産生は明らかではなかった。より強力な誘導条件を、以下のように使用した(ここでは、灌流に基づく連続した培養の後)。株を、500mlの培養槽で増殖させ、灌流:新鮮な培地の添加(最大5l)および培養槽のOD600を常に0.3に維持するためにオーバーフローを除去することにより、OD600を0.3に一定して維持した。5lの灌流の後、OD600を増加させ、最終的に、培養物が0.5のOD600に達した際に誘導を24時間実現させた。抗生物質選択システムを使用して、発現ベクターを安定化させる場合、最終的なプラスミドの安定性を、適切な抗生物質(プラスミドによりコードされた耐性遺伝子による)を含むまたは含まないプレート上に細菌をプレーティングすることにより、決定した。抗生物質を含まないプレートは、細菌の総数を決定するために使用し、抗生物質を含むプレートは、未だにプラスミドを含む細菌の数を決定するために使用する。
プラスミドの安定性を、抗生物質(抗生物質を含むプレート上にコロニーがない)を使用した細菌に関して、約0%に評価した。
ccdAおよびccdBに基づきStaby(登録商標)システムを使用する場合、抗生物質耐性遺伝子は存在しない。結果として、プラスミドの存在の有無を、PCRにより試験する。本出願人がStaby(登録商標)システムを使用するため、染色体の細菌における選択ccdB遺伝子およびプラスミドにおけるccdA解毒遺伝子の存在により、プレート上で増殖したすべての細菌はプラスミドを含むべきであると本出願人は仮説を立てた。予想外なことに、本出願人は、コロニーでのPCRの実験により約65%の安定性を観察した(図2B)。実際に、たとえ安定性が顕著に増大したとしても、Staby(登録商標)技術が100%の安定性を提供しないということは初めてである。
さらに、保持された65%のうち、対象の遺伝子(VHH6遺伝子)は、試験したすべてのプラスミドにおいて部分的または完全な欠失により変異していた(図2A)。予測されるものよりも大きなccdBのPCRのバンドを抽出し、シークエンシングした。シークエンシングの結果は、ccdB遺伝子が、小さな挿入配列(insAB)の挿入(配列番号16)により不活性化されていることを示す。株に特異的なPCRの結果(図2C)により、ccdB遺伝子にわたり増幅していないバンドは、ccdB領域における大きな欠失または挿入によるものであり得る。この実験を繰り返し、同等の結果を観察した。
よって、Staby(登録商標)技術は、この種の安定化システムの不活性化を回避するように改善されなければならない。毒性遺伝子の第2の複製物は、yjjKおよびslt遺伝子の間に挿入されている(W31102ccdB株をもたらす)。これらの遺伝子は、第1のccdB遺伝子の位置に関して大腸菌染色体の反対側に位置しており、遺伝子間の空間はノンコーディングであるように見えるため、選択された。
W3110、W3110ccdBおよびW31102ccdB株における産生を比較するために、以下のプロトコルを使用した。10mlのLB培地で、単一のコロニーを37℃で一晩増殖させた。後日、10mlの新鮮なLB培地の接種のために、各培養物から1μlを使用した。培養物を37℃で一晩増殖させた。さらなる作製を行うために、このステップを再度反復した(培養槽で実現される)。後日、10mlの新鮮なLB培地の接種のために、各培養物から10μlを使用した。培養物を30℃で増殖させ、24時間OD6000.5で誘導した。これらのステップの間、W3110株にのみカナマイシンを使用した。発現プラスミドを維持するためにこの抗生物質を使用したにも関わらず、この安定性は誘導後で約0%であった。他方で、このより穏やかなプロトコル(:ccdB遺伝子およびプラスミドccdA遺伝子に対して行われたすべてのPCRは予測された大きさのものであった)下での両Staby(登録商標)システム(すなわち1または2個のccdB遺伝子)では、プラスミドの安定性は約100%であった。W31102ccdB培養物のいくつかのVHH6遺伝子のみが変異していた(27%)。
また、産生を、クマシーブルーSDS−PAGEにより比較した(図3)。予想外なことに、W31102ccdB株の産生の収率は、他の株よりもずっと多かった(VHH6=27kDa)。この種の収率の増加は、すでにStaby(登録商標)技術により報告されているが、ccdB遺伝子の1つの複製物を用いたものであった(Peubez et al., Microbial Cell Factories 2010, 9:65; Sodoyer et al., In: Antibiotic Resistant Bacteria − A Continuous Challenge in the New Millennium 2012)。ここで、この収率の増加は、驚くべきことに、プラスミドが安定であり、ccdB遺伝子の1つの複製物を含む細菌に存在しているという事実にも関わらず2つのccdBの複製物が存在する場合にのみ起こる。
実施例2:他のタンパク質を産生させるStaby(登録商標)2ccdB技術の使用
ccdB遺伝子の2つの複製物を含む株の使用がすべてのタンパク質(ccdBの1つの複製物のみですでに良好に発現したタンパク質を含む)にとって可能であるかどうかを試験するために、本出願人は、70kDaのTraGタンパク質の産生を試験した(Szpirer et al., 2000, Mol. Microbiol. 37(6) 1283−1292)。解毒剤CcdAおよびTraG(pTraG)をコードしたプラスミドを含むW3110(DE3)ccdBおよびW3110(DE3)2ccdB株を構築した(図4)。traG遺伝子は、T7プロモーターの制御下にあった。これらの株およびプラスミドは、プラスミドを安定化させるためにStaby(登録商標)技術を使用する。第1の観察は、ccdAをコードするプラスミドの存在下でccdB遺伝子の2つの複製物の存在がW3110株の生存率および増殖に影響しない:プラスミドのccdA遺伝子の1つの複製物、完全な生存率を得るために十分である、ということであった。
従来のStaby(登録商標)システム(1つのccdB遺伝子)の下でのTraGの産生は、新規のStaby(登録商標)システム(2つのccdB遺伝子)を用いた産生と同等である(図5)。しかしながら、1つのccdBを用いた産生は、すでに非常に良好な収率をもたらしており、よってこの収率の増加は、新規のStaby(登録商標)システムを使用しても可能ではない場合がある。
本出願人の以前の結果を確認するために、別の産生を実現させた。抗体フラグメントは、モデル(D1.3=重鎖および軽鎖では24kDa、または関連する鎖では50kDa)として選択され、Paraプロモーター(アラビノース誘導)を使用して発現された。ベクター(pBAD24)は、ccdB遺伝子(複数可)を含む株に適合されている(ccdAの挿入およびアンピシリン耐性遺伝子の欠失)。
図6に示されるように、産生収率は、ccdB遺伝子の1つまたは2つの複製物を使用することにより強力に増加しているが、本出願人は、2つの株の間の差異(増殖および速度を含む)を観察しなかった。
結果として、ccdBの2つの複製物を含む株の使用は、いずれかのタンパク質の産生に使用され得る。しかしながら、この収率の利点は各タンパク質に依存しており、収率がccdBの1つの複製物のみを使用する際にすでに非常に高い場合、2つの複製物をコードする株は同一の結果を提供する。工業生産者および研究者は、彼らの実験を開始する際にタンパク質の産生が困難かそうでないかどうかを知らないため、従来の産生が困難なタンパク質に関して同一の株を利用でき、かつ最も困難なタンパク質に関して設計された株を用いてすぐに開始できるといった利点がある。
実施例3:他の宿主株でタンパク質を産生する2ccdB技術の使用
大腸菌株は、K12型およびB型に分けられている。W3110株はK12株であるため、B株に対する2ccdB技術の適用性を試験した。よって、ccdBの2つの複製物を、E.coli B(BL21(DE3)型−遺伝子背景:E.coli B−遺伝子型F−ompT gal dcm lon hsdS(r−m−)λ(DE3[lacI lacUV5−T7 gene1]))のゲノムに導入して、SE3株を得た。次に、灌流した培養を、いくつかの作製を終えた後にTraGタンパク質を生成するため実現させた。24時間の誘導の後のプラスミドの安定性は100%である(図7)。すべてのccdB遺伝子は、これらの発現条件下で無変化である。
同様の結果が、以下の遺伝子型:F−endA1 glnV44 thi−1 recA1 relA1 gyrA96 deoR nupG Φ80dlacZΔM15 Δ(lacZYA−argF)U169、hsdR17(rK−mK+)、λ‐、dcm::FRTccdB yjjK::FRTccdBを有する別のK12由来の株で得られた。この株は、ccdB遺伝子の2つの複製物が上述のように挿入されたDH5αに由来するものであった。
これらの結果は、ccdB遺伝子の2つの複製物の挿入を含む異なる大腸菌株を構築することが可能であることを示す。これら2つの複製物の存在は有害ではない。
実施例4:gyrA遺伝子の複製
上述のように、Staby(登録商標)技術は、大腸菌に関するCcdBタンパク質の毒性に基づくものである。CcdA解毒剤はccdB遺伝子の発現を阻害するため、選択圧は、この毒性遺伝子に対して適用される。よって、CcdBに対する一部の大腸菌耐性株を見出す可能性は低い。しかしながら、この種の耐性は、変異剤の存在下で数回の増殖を使用することにより、人工的に単離されている(Bernard et al., J Mol Biol. 1992, 226:735)。この耐性株は、アルギニン462をシステインに変えるgyrA遺伝子の変異(CcdBの標的)を提示する。
本出願人の毒性タンパク質モデルVHH6(実施例1参照)の発現の間、野生型ccdB遺伝子を用いるが、プラスミド(よってccdA遺伝子)を用いることなく株を単離した。よってこれらの株はCcdBに耐性があった。これらの株のgyrA遺伝子を、別のまだ記載されていないアミノ酸(セリン)へのアルギニン462の改変を確認するために、シークエンシングした。
この特許で述べられるようにccdB遺伝子を複製することにより、本出願人は、gyrA遺伝子に関する選択圧が増加し、より容易にCcdB耐性株を作製すると推測する。これらの変異株を回避するために、gyrA遺伝子の複製もまた実現させた。この新規のgyrAの複製物を、組み換えアームとして使用される相同領域により囲まれたgyrA、カナマイシン、およびccdB遺伝子を含むDNAフラグメントの形質導入により、SE2株のyjjK遺伝子およびslt遺伝子の間のccdBの第2の複製物と同時に統合させた。この組み換え事象を、カナマイシン耐性遺伝子を使用して選択した。この遺伝子は、FLPリコンビナーゼを使用して除去される2つのFRT部位により囲まれていた。この構築は成功しており、株の生存率は変化しなかった。TraGの発現特性を、実施例2のように試験し、SE4(BL21(DE3)2ccdB 2gyrA)と呼ばれるSE2株の誘導体を用いて行った。
図8に示されるように、従来のStaby(登録商標)システム(1つのccdB遺伝子)の下でのTragの産生は、新規のStaby(登録商標)システム(2つのccdB遺伝子+1つの追加的なgyrAの複製物)を用いた産生と同等である。しかしながら、1つのccdBを用いた産生はすでに非常に良好な収率を提供しており、よってこの収率の増加は、新規のStaby(登録商標)システムを使用することによるものであっても可能ではない場合がある。本出願人は、2つのccdBおよび1つの追加的なgyrAの複製物(1つの複製物はすでに存在)の付加が、CcdB毒性タンパク質の高い毒性によってタンパク質の量を低下させないことを観察することができる。
同様の遺伝的な改変を、E.coli W3110誘導体(KW4: W31102ccdB 2gyrと呼ばれる株)に使用した。この株を、毒性タンパク質モデルVHH6の産生に関して他のW3110株と比較した。産生の後、各株を、プラスミドの存在に関して試験し、100%の保持がすべての株で観察された。図9に示されるように、VHH6の産生は、ccdB遺伝子の2つの複製物が存在する場合により良好である(図9)。さらに、S4株について述べられているように、2つのccdBおよび1つの追加的なgyrAの複製物(1つの複製物はすでに存在)の付加は、産生されるタンパク質の量を低下するものではなく、増殖特性に影響しない。
実施例5:E.coli O157由来のccdBの使用
Fプラスミド以外の別の起源由来のccdB遺伝子の複製物が、2ccdBシステムで使用され得るかを検証するために、本出願人は、E.coli O157:H7由来のccdBの複製物を含む株を構築した。E.coli O157:H7由来のccdB遺伝子は、(1)(アミノ酸レベルで)Fプラスミド由来のccdB遺伝子と36%のみの相同性を有するため、および(2)Fプラスミド由来の同一のCcdAタンパク質により阻害されるため、選択された。
最初に、DNAフラグメントを細菌ゲノムに挿入した後に耐性遺伝子を切除できる2つのFRT部位により囲まれたccdBO157遺伝子およびカナマイシン耐性遺伝子を含むDNAフラグメントを構築した。この構築物をプラスミドに結合し、B462(gyrA462変異の存在によりCcdBに耐性がある株)に形質転換した。第2に、耐性遺伝子の除去の後に新規のKW5株(W3110 yjjK::FRTccdBO157)を作製するため、Pbadプロモーターの制御下でccdAをコードするプラスミドを含むE.coli W3110のyjjKおよびslt遺伝子の間に、このフラグメントを挿入した。この株をWT株として増殖させ、Pbadプロモーターが抑制される(アラビノースの不存在下)場合に予測されるように、ccdBO157遺伝子は細菌を殺傷する。これらの結果は、ccdBO157遺伝子を使用して株を構築することが可能であることを示す。CcdBO157タンパク質の産物は、FプラスミドCcdAにより相殺され、本発明に使用することができる。
実施例6:本発明の宿主細胞のさらなる改変
次に本出願人は、Q、S、R、およびRz遺伝子が欠失している発現系を含む遺伝的に改変したファージを含む細菌株に対する2ccdBシステムの適用性を試験した。これら遺伝子の欠失は、ファージの偶発的な再活性化が起こる場合の宿主細胞の溶解を防止する。
相同組み換えによる欠失を可能にするために、2つのFRT部位を備え、Q、S、R、およびRz遺伝子に隣接する領域に囲まれたカナマイシン耐性遺伝子を含むDNAフラグメント(国際特許公開公報第2013004817号にすでに記載)を、SE2株[BL21(DE3)dcm::FRTccdB]に形質導入して、カナマイシン耐性遺伝子を除去した後にBL21(DE3)dcm::FRTccdB QSRRz::FRT株を作製した。第2に、yjjK::FRTkanFRTccdBをコードする別のフラグメントを、BL21(DE3)dcm::FRTccdB QSRRz::FRTに形質導入して、カナマイシン耐性遺伝子を除去した後にSE5[BL21(DE3)dcm::FRTccdB yjjK::FRTccdB QSRRz::FRT]を作製した。最終的な株は、上述の2つのccdB遺伝子、および細菌の溶解を回避するQ、S、R、Rz遺伝子の欠失を含む。
また、SE5株を、改変していないQSSRz相同株(SE3)と比較する。両株ともSE1株と同一の速度で増殖しており、対照タンパク質(TraG)の産生もまた同一の結果を提供する。

Claims (15)

  1. 毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも2つの複製物を含む宿主細胞であって、
    但し、前記少なくとも2つの複製物は、前記毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質をコードする核酸配列とは異なるレプリコンにある、
    宿主細胞。
  2. 前記毒性タンパク質が、配列番号1、または配列番号1と少なくとも75%の同一性を有する任意の核酸配列、によりコードされるCcdBである、請求項1に記載の宿主細胞。
  3. 前記毒性タンパク質に対する解毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物をさらに含む、請求項1または2に記載の宿主細胞。
  4. 前記解毒性タンパク質が、配列番号13、または配列番号13と少なくとも75%の同一性を有する任意の核酸配列、によりコードされるCcdAである、請求項3に記載の宿主細胞。
  5. 目的の組み換えペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質をコードする核酸配列、または組み換え核酸、が挿入されているか挿入され得る発現系をさらに含むプラスミドによって、前記解毒性タンパク質をコードする核酸配列が担持されている、請求項3または4に記載の宿主細胞。
  6. 前記発現系が、T7プロモーター、Ptrc、Para、およびPlacを含む群から選択されるプロモーターを含む、請求項5に記載の宿主細胞。
  7. 前記発現系がT7プロモーターを含み、前記宿主細胞がT7 RNAポリメラーゼの遺伝子、好ましくは前記宿主細胞のゲノムに挿入されたT7 RNAポリメラーゼの遺伝子、より好ましくはT7発現系におけるT7 RNAポリメラーゼの遺伝子、をさらに含む、請求項5または6に記載の宿主細胞。
  8. 前記発現系がT7プロモーターを含み、前記宿主細胞が、そのゲノム内に挿入された遺伝的に改変したファージをさらに含み、好ましくは前記ファージが、
    T7発現系が挿入されており、
    S、R、および/またはQ遺伝子が不活性化されており、
    Intおよび/またはXis遺伝子が不活性化されている
    ファージとして定義される、
    請求項5〜7のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  9. 細菌、好ましくはグラム陰性細菌、より好ましくは腸内細菌科、さらにより好ましくは大腸菌である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  10. 遺伝子tonA、galK、araB、araA、lon、ompT、rcsA、hsdR、mrr、endA、およびrecAのうち少なくとも1つの不活性化をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  11. gyrA遺伝子の少なくとも1つの追加的な複製物をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の宿主細胞。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の宿主細胞、および
    前記解毒性タンパク質をコードする核酸配列の少なくとも1つの複製物と、目的の組み換えペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質をコードする核酸配列、または目的の組み換え核酸、が挿入されているか挿入され得る発現系の少なくとも1つの複製物と、を含むベクター、
    を含む、キット。
  13. 前記目的のペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質をコードする核酸配列が、T7プロモーター、Ptrc、Para、およびPlacを含む群から選択されるプロモーターの制御下にある、請求項12に記載のキット。
  14. 目的の組み換えペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質または目的の組み換え核酸を産生させる方法であって、請求項1〜11のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養することと、前記目的のペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質または目的の組み換え核酸を回収することと、を含む方法。
  15. 前記組み換えタンパク質が、分泌タンパク質、膜貫通タンパク質、または前記細菌株にとって毒性であるタンパク質である、請求項14に記載の方法。
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