JP2020202551A - モード変換器、rfモジュール、及び携帯端末 - Google Patents

モード変換器、rfモジュール、及び携帯端末 Download PDF

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Abstract

【課題】ポスト壁導波路のモードと、ポスト壁導波路とは異なる基板に帯状導体が形成された線路のモードとを変換するモード変換器において、環境温度の変化に起因する伝送不良を生じにくくすること。【解決手段】モード変換器(10)は、広壁(導体層12)に開口(121)が設けられたポスト壁導波路(PW)と、主面に帯状導体(16)が形成された誘電体製の基板(15)と、広壁(導体層12)と基板(15)とを接合する接合部材(半田18)と、を備え、平面視において、開口(121)と、帯状導体(16)とは、重畳している。【選択図】図1

Description

本発明は、ポスト壁導波路におけるモードと、帯状導体を含む線路におけるモードと、を変換するモード変換器に関する。
非特許文献1には、ポスト壁導波路の導波モードとマイクロストリップ線路の導波モードとを相互に変換するモード変換器が記載されている。
このような従来のモード変換器110a,110bを備えたRFモジュール101を図16,17に示す。図16及び図17の各々は、それぞれ、RFモジュール101の分解斜視図及び断面図である。
モード変換器110a,110bにおいて、ポスト壁導波路PWは、誘電体製の基板111と、基板111の一対の主面の各々にそれぞれ形成された一対の導体層112,113と、基板111の内部に形成されたポスト壁114と、を備えている。一対の導体層112,113のうち、平面視した場合にポスト壁114により取り囲まれている領域は、直方体状の導波領域を2方向(例えば上下方向)から挟み込む一対の広壁として機能し、ポスト壁は、導波領域を4方向(例えば前後左右方向)から取り囲む一対の狭壁及び一対のショート壁として機能する。ポスト壁114は、基板111の内部に柵状に配置された複数のスルービアであって、一対の導体層を互いに短絡する複数のスルービアにより構成されている。
また、モード変換器110a,110bにおいて、マイクロストリップ線路MSは、信号線として機能する帯状導体116a,116bと、導体層112からなるグランド層と、信号線とグランド層とを隔てる誘電体層115と、を備えており、ポスト壁導波路の一方の主面に直接形成されている。
そのうえで、ポスト壁導波路PWの導波モードとマイクロストリップ線路MSの導波モードとを相互に変換するために、モード変換器110a,110bは、マイクロストリップ線路MSを構成する帯状導体116a,116bの一方の端部に接続されたブラインドビアBVa,BVbを備えている。ブラインドビアBVa,BVbは、励振ピンとして機能する。なお、励振ピンは、ブラインドビアであってもよいし、スルービアであってもよい。
モード変換器110a,110bにおいては、帯状導体116a,116bをポスト壁導波路PWの入出力ポートとして利用することができる。例えば、図16及び図17に示すように、RFモジュール101は、ポスト壁導波路PWの両端部(ショート壁近傍)の各々に、それぞれ、モード変換器110a,110bを形成し、モード変換器110aの帯状導体116aにRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)121を実装し、モード変換器110bの帯状導体116bにアンテナ122を実装することによって得られる。RFモジュール101は、ポスト壁導波路PWの一方の主面にRFIC121及びアンテナ122を直接実装したRFモジュールである。
このようなRFモジュールにおいては、RFIC及びアンテナを、ポスト壁導波路を構成する基板とは別の基板(以下において実装基板と称する)に予め実装しておき、この実装基板と、ポスト壁導波路とを接合することによってRFモジュールを製造したいという要望がある。このような構成を有するRFモジュール101Aを図18に示す。図18は、RFモジュール101Aの断面図である。
この要望を実現する場合、図18に示すように、スルービアを用いて帯状導体116Aa,116Abを実装基板の裏側(ポスト壁導波路PWに近接する側)に引き出し、実装基板の裏側に引き出された帯状導体116Aa,116Abと、ブラインドビアBVa,BVbとをバンプBa,Bbを用いて接合する態様が考えられる。
ところで、ポスト壁導波路PWの基板111を構成する誘電体としては、石英や、セラミックスや、サファイヤや、シリコンなどが採用される場合が多い。一方、実装基板115Aを構成する誘電体としては、フッ素樹脂(例えばテフロン(登録商標))や、ガラスエポキシ樹脂や、液晶ポリマーや、ポリイミド樹脂や、シクロオレフィンなどが採用される場合が多い。このような場合、基板111を構成する誘電体の線膨張係数と、実装基板115Aを構成する誘電体の線膨張係数とが大きく異なる。そのため、バンプBa,Bbには、RFモジュール101Aを使用する環境温度の変化に伴い応力が繰り返し加わり、やがて、バンプBa,Bbの何れか又は両方にクラックが生じることにより、RFIC121とポスト壁導波路PWとの間、及び、アンテナ122とポスト壁導波路PWとの間の何れか又は両方において伝送不良が生じる場合がある(図18参照)。
実装基板115Aとポスト壁導波路PWとの接合を強固にするために、互いに対向する実装基板115Aの主面とポスト壁導波路PWの主面とを半田118を用いて接合する態様も考えられる(図18参照)。しかし、ポスト壁導波路PWの基板を構成する誘電体の線膨張係数と、実装基板を構成する誘電体の線膨張係数とが大きく異なる以上、バンプBa,Bbに加えて半田118を用いたとしても、クラックの発生を防ぐことは難しい。
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ポスト壁導波路におけるモードと、ポスト壁導波路とは異なる基板に形成された帯状導体を信号線とする線路におけるモードと、を変換するモード変換器であって、従来よりも環境温度の変化に起因する伝送不良が生じにくいモード変換器を提供することである。また、このようなモード変換器を備えたRFモジュール及び携帯端末を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るモード変換器は、一方の広壁に開口が設けられたポスト壁導波路と、一方の主面及び他方の主面の少なくとも何れかに帯状導体が形成された誘電体製の基板と、上記一方の広壁と上記基板とを直接又は間接に接合する接合部材と、を備え、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記開口の少なくとも一部と、上記帯状導体の少なくとも一部とは、重畳している。
上記の構成によれば、ポスト壁導波路の一方の広壁に設けられた開口を介して、ポスト壁導波路におけるモードと、ポスト壁導波路とは異なる基板に形成された帯状導体を信号線とする線路におけるモードと、結合させることができる。すなわち、本モード変換器は、従来のモード変換器が備えていた励振ピンを用いることなく、ポスト壁導波路におけるモードと、ポスト壁導波路とは異なる基板に形成された帯状導体を信号線とする線路におけるモードと、を変換することができる。したがって、本モード変換器は、従来のモード変換器よりも環境温度の変化に起因する伝送不良を生じにくい。
本発明の第2の態様に係るモード変換器は、上記第1の態様において、上記帯状導体は、TEM線路又は準TEM線路の信号線を構成する。
本モード変換器は、このように、TEM線路又は準TEM線路におけるモードと、ポスト壁導波路におけるモードと、を変換するモード変換器として好適である。
本発明の第3の態様に係るモード変換器は、上記第2の態様において、上記TEM線路又は準TEM線路は、マイクロストリップ線路、ストリップ線路、コプレナー線路、グランド付きコプレナー線路、及び平行2線路のうちいずれかである。
本モード変換器は、このように、マイクロストリップ線路、ストリップ線路、コプレナー線路、グランド付きコプレナー線路、及び平行2線路のうちいずれかにおけるモードと、ポスト壁導波路におけるモードと、を変換するモード変換器として好適である。
本発明の第4の態様に係るモード変換器は、上記第1〜第3の態様の何れかにおいて、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記帯状導体のうち上記開口と重畳している領域の近傍には、スタブが形成されている。
上記の構成によれば、スタブを適宜設計することによって、インピーダンス整合を図ることができ、延いては、本モード変換器における反射損失を抑制することができる。
本発明の第5の態様に係るモード変換器は、上記第1〜第4の態様の何れかにおいて、上記ポスト壁導波路は、フィルタ、方向性結合器、ダイプレクサ、及びアンテナの何れかとして機能する。
上記の構成によれば、帯状導体を信号線とする線路と、フィルタ、方向性結合器、ダイプレクサ、及びアンテナの何れかと、を結合する場合に、従来よりも環境温度の変化に起因する伝送不良を生じにくくさせることができる。
本発明の第6の態様に係るモード変換器は、上記第1〜第5の態様の何れかにおいて、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記ポスト壁導波路を構成する一対の狭壁同士は、平行であり、且つ、上記ポスト壁導波路の幅を二等分する点の集合である直線と、上記帯状導体の中心軸とは、ずれている。
上記の構成によれば、帯状導体の中心軸をポスト壁導波路の幅を二等分する点の集合である直線からずらして設けることができる。したがって、本モード変換器は、帯状導体を配置する場合の自由度を高めることができる。
本発明の第7の態様に係るモード変換器は、上記第6の態様において、上記開口は、台形状であり、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記開口は、上記台形状を形成する一対の底が上記一対の狭壁の各々と平行になるように、且つ、上記中心軸から上記一対の底のうち長さが短い底までの距離が、上記中心軸から上記一対の底のうち長さが長い底までの距離を上回る、ように配置されている。
上記の構成によれば、帯状導体の中心軸をポスト壁導波路の幅を二等分する点の集合である直線からずらして設けた場合に生じ得る反射特性及び透過特性の低下を抑制することができる。すなわち、本モード変換器は、帯状導体を配置する場合の自由度を高めつつ、反射特性及び透過特性の低下を抑制することができる。
本発明の第8の態様に係るモード変換器は、上記第1〜第7の態様の何れかにおいて、上記帯状導体に電気的に接続された中央導体を備えた同軸コネクタであって、少なくとも上記基板に固定された同軸コネクタを更に備えている。
上記の構成によれば、外部から同軸コネクタに結合されるモードと、ポスト壁導波路におけるモードとを、マイクロストリップ線路を介して変換することができる。そのうえで、本モード変換器は、従来のモード変換器が備えていた励振ピンを用いていないため、第1の態様に係るモード変換器と同様の効果を奏する。
上記の課題を解決するために、本発明の第9の態様に係るRFモジュールは、一方の広壁の第1のショート壁の近傍に第1の開口が設けられ、且つ、上記一方の広壁の第2のショート壁の近傍に第2の開口が設けられたポスト壁導波路と、一方の主面及び他方の主面の少なくとも何れかに第1の帯状導体が形成され、且つ、上記一方の主面及び上記他方の主面の少なくとも何れかに第2の帯状導体が形成され、且つ、上記一方の主面及び上記他方の主面の少なくとも何れかにアンテナが形成された誘電体製の基板と、上記一方の広壁と上記基板とを直接又は間接に接合する接合部材と、上記基板の一方の主面に実装され、且つ、何れかの端子が上記第1の帯状導体に電気的に接続されたRFICと、を備え、上記アンテナは、上記第2の帯状導体に電気的に接続され、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記第1の開口の少なくとも一部と、上記第1の帯状導体の少なくとも一部とは、重畳しており、且つ、上記第2の開口の少なくとも一部と、上記第2の帯状導体の少なくとも一部とは、重畳している。
上記の構成によれば、本RFモジュールは、本発明の第1の態様に係るモード変換器と同様に、従来のモード変換器が備えていた励振ピンを用いることなく、ポスト壁導波路におけるモードと、RFICが接続された帯状導体を信号線とする線路におけるモードと、を変換することができ、且つ、ポスト壁導波路におけるモードと、アンテナにおけるモードとを変換することができる。したがって、本RFモジュールは、従来のRFモジュールよりも環境温度の変化に起因する伝送不良を生じにくい。
上記の課題を解決するために、本発明の第10の態様に係る携帯端末は、上記第9の態様に係るRFモジュールを送信モジュール、受信モジュール、及び送受信モジュールの少なくとも何れかとして備えている。
上記の構成によれば、本携帯端末は、本発明の第6の態様に係るRFモジュールと同様の効果を奏する。
上記の課題を解決するために、本発明の第11の態様に係るRFモジュールは、一対の広壁と、狭壁と、一対のショート壁とにより導波領域が形成されたポスト壁導波路であって、(1)一方の広壁のうち一方のショート壁を含む一方の端部領域に第1の開口が設けられ、且つ、(2)上記一方の広壁のうち他方のショート壁を含む他方の端部領域に第2の開口が設けられ、且つ、(3)上記一方の端部領域と、上記他方の端部領域とが平行且つ近接して配置されているポスト壁導波路と、一方の主面及び他方の主面の少なくとも何れかに第3の帯状導体及び第4の帯状導体が形成された誘電体製の基板と、上記一方の広壁と上記基板とを直接又は間接に接合する接合部材と、上記基板の一方の主面に実装され、且つ、出力端子及び入力端子の各々が、それぞれ、上記第3の帯状導体及び上記第4の帯状導体に電気的に接続されたRFICと、を備え、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記第1の開口の少なくとも一部と、上記第3の帯状導体の少なくとも一部とは、重畳しており、且つ、上記第2の開口の少なくとも一部と、上記第4の帯状導体の少なくとも一部とは、重畳している。
上記の構成によれば、RFICの出力端子とポスト壁導波路の一方の端部領域とを第3の帯状導体を介して電磁気的に結合させることができ、ポスト壁導波路の他方の端部領域とRFICの入力端子とを第4の帯状導体を介して電磁気的に結合させることができる。したがって、本RFモジュールは、RFICの出力端子から供給されたモードを、ポスト壁導波路を通過させたうえで、RFICの入力端子に供給することができる。そのうえで、本RFモジュールは、従来のモード変換器が備えていた励振ピンを用いることなく、ポスト壁導波路におけるモードと、ポスト壁導波路とは異なる基板に形成された帯状導体を信号線とする線路におけるモードと、結合させることができる。したがって、本RFモジュールは、第1の態様に係るモード変換器と同様の効果を奏する。
本発明の第12の態様に係るRFモジュールは、上記第11の態様において、上記ポスト壁導波路は、フィルタとして機能する、ように構成されている。
上記の構成によれば、RFICの出力端子から供給されたモードに対してフィルタリング処理を施されたモードをRFICの入力端子に供給することができる。
本発明の第13の態様に係るRFモジュールは、上記第11の態様又は上記第12の態様において、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記一方の端部領域を構成する上記狭壁同士、及び、上記他方の端部領域を構成する上記狭壁同士は、平行であり、且つ、上記一方の端部領域の幅を二等分する点の集合である直線と、上記第3の帯状導体の中心軸とは、ずれており、且つ、上記他方の端部領域の幅を二等分する点の集合である直線と、上記第4の帯状導体の中心軸とは、ずれている。
上記の構成によれば、第3の帯状導体の中心軸を第1の端部領域の幅を二等分する点の集合である直線からずらして設けることができ、且つ、第4の帯状導体の中心軸を第2の端部領域の幅を二等分する点の集合である直線からずらして設けることができる。したがって、本RFモジュールは、RFICの出力端子及び入力端子の端子間距離に応じて、第3の帯状導体及び第4の帯状導体を配置する場合の自由度を高めることができる。
本発明の第14の態様に係るRFモジュールは、上記第13の態様において、上記第1の開口及び上記第2の開口は、台形状であり、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、(1)上記第1の開口は、上記台形状を形成する一対の底が上記一方の端部領域を構成する上記狭壁同士と平行になるように、且つ、上記第3の帯状導体の上記中心軸から上記第1の開口の上記一対の底のうち長さが短い底までの距離が、上記第3の帯状導体の上記中心軸から上記第1の開口の上記一対の底のうち長さが長い底までの距離を上回る、ように配置されており、(2)上記第2の開口は、上記台形状を形成する一対の底が上記他方の端部領域を構成する上記狭壁同士と平行になるように、且つ、上記第4の帯状導体の上記中心軸から上記第2の開口の上記一対の底のうち長さが短い底までの距離が、上記第4の帯状導体の上記中心軸から上記第2の開口の上記一対の底のうち長さが長い底までの距離を上回る、ように配置されている。
上記の構成によれば、第3の帯状導体の中心軸を一方の導波領域の幅を二等分する点の集合である直線からずらして設けた場合に生じ得る反射特性及び透過特性の低下を抑制することができ、且つ、第4の帯状導体の中心軸を他方の導波領域の幅を二等分する点の集合である直線からずらして設けた場合に生じ得る反射特性及び透過特性の低下を抑制することができる。すなわち、本RFモジュールは、RFICの出力端子及び入力端子の端子間距離に応じて、第3の帯状導体及び第4の帯状導体を配置する場合の自由度を高めつつ、反射特性及び透過特性の低下を抑制することができる。
本発明の第15の態様に係るRFモジュールは、上記第13又の態様又は上記第14の態様において、上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記第3の帯状導体の上記中心軸及び上記第4の帯状導体の上記中心軸は、何れも、上記一方の端部領域の幅を二等分する点の集合である上記直線と、上記他方の端部領域の幅を二等分する点の集合である上記直線との間に位置する。
RFICの出力端子及び入力端子の端子間距離は、一方の導波領域の幅を二等分する点の集合である直線と他方の導波領域の幅を二等分する点の集合である直線との間の距離よりも狭い場合がある。上記の構成によれば、第3の帯状導体の中心軸及び第4の帯状導体の中心軸を一方の導波領域の幅を二等分する点の集合である直線と他方の導波領域の幅を二等分する点の集合である直線との間に配置することによって、第3の帯状導体の中心軸及び第4の帯状導体の中心軸の軸間距離をより狭くすることができる。したがって、本RFモジュールは、RFICの出力端子及び入力端子の端子間距離に応じて、第3の帯状導体及び第4の帯状導体を配置する場合の自由度を更に高めることができる。
本発明の一態様によれば、ポスト壁導波路におけるモードと、ポスト壁導波路とは異なる基板に形成された帯状導体を信号線とする線路におけるモードと、を変換するモード変換器であって、従来よりも環境温度の変化に起因する伝送不良が生じにくいモード変換器を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、このようなモード変換器を備えたRFモジュール及び携帯端末を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るモード変換器の平面図である。 図1に示したモード変換器の断面図である。 図1に示したモード変換器の第1の変形例の断面図である。 図1に示したモード変換器の第2の変形例の平面図である。 図1に示したモード変換器の第3の変形例の断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るRFモジュールの分解斜視図である。 図6に示したRFモジュールの断面図である。 本発明の第1の実施例であるモード変換器の変換特性をシミュレーションした結果を示すモード変換器の断面図である。 本発明の第1の実施例であるモード変換器の変換特性をシミュレーションした結果を示すモード変換器の平面図である。 本発明の第1の実施例及び参考例であるモード変換器の反射特性及び透過特性を示すグラフである。 本発明の第1の実施例及び参考例であるモード変換器の透過特性を拡大して示すグラフである。 本発明の第2の実施例であるモード変換器の反射特性及び透過特性と、本発明の第3の実施例であるモード変換器の反射特性及び透過特性と、を示すグラフである。 本発明の第2の実施例であるモード変換器の透過特性と、本発明の第3の実施例であるモード変換器の透過特性と、を拡大して示すグラフである。 本発明の第4の実施例群であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第4の実施例群であるモード変換器の透過特性を示すグラフである。 従来のモード変換器を備えたRFモジュールの分解斜視図である。 従来のモード変換器を備えたRFモジュールの断面図である。 従来のモード変換器を備えたRFモジュールであって、図17に示すRFモジュールとは別の態様のRFモジュールの断面図である。 本発明の第5の実施例であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第5の実施例であるモード変換器の透過特性を示すグラフである。 本発明の第6の実施例群であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第6の実施例群であるモード変換器の透過特性を示すグラフである。 図1に示したモード変換器の第4の変形例の断面図である。 本発明の第7の実施例群であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第8の実施例群であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第9の実施例であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第9の実施例であるモード変換器の透過特性を示すグラフである。 図1に示したモード変換器の第5の変形例の平面図である。 本発明の第10の実施例群であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第10の実施例群であるモード変換器の透過特性を示すグラフである。 図1に示したモード変換器の第6の変形例の平面図である。 本発明の第11の実施例群であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第11の実施例群であるモード変換器の透過特性を示すグラフである。 本発明の第12の実施例群であるモード変換器の反射特性を示すグラフである。 本発明の第12の実施例群であるモード変換器の透過特性を示すグラフである。 本発明の第3の実施形態に係るRFモジュールの平面図である。 図1に示したモード変換器の第7の変形例の断面図である。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係るモード変換器10について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、モード変換器10の平面図である。図2は、モード変換器10の断面図であって、図1に示したA−A’線に沿った断面における断面図である。なお、本発明の各実施形態に係るモード変換器及びRFモジュールは、何れも、28GHz帯(例えば27GHz以上29.5GHz以下の帯域)を動作帯域として想定している。
<モード変換器10の構成>
図1及び図2に示すように、モード変換器10は、ポスト壁導波路PWと、マイクロストリップ線路MSと、半田18とを備えている。ポスト壁導波路PW及びマイクロストリップ線路MSについては、後述する。半田18は、ポスト壁導波路PWの導体層12と、マイクロストリップ線路MSの導体層17とを短絡するとともに接合する接合部材の一例である。半田18は、導体層12と導体層17とを互いに平行又は略平行な状態で、導体層12と導体層17とを接合する。後述するように導体層17は、基板15の互いに対向する一対の主面のうち導体層12に近い側の主面に形成されている。したがって、半田18は、導体層12と基板15とを、導体層17を介して間接に接合する、ともいえる。なお、以下において、基板15の互いに対向する一対の主面のうち、導体層12から遠い側の主面を一方の主面とも称し、導体層12に近い側の主面を他方の主面とも称する。以下において、後述するショート壁14cを構成するスルービア14iの中心軸と、半田18との最短距離を距離D3と呼ぶ。距離D3は、適宜定めることができるが、本実施形態においては、D3=850μmである。
(ポスト壁導波路PW)
図1及び図2に示すように、ポスト壁導波路PWは、基板11と、導体層12,13と、ポスト壁14と、を備えている。
基板11は、誘電体からなる板状部材であり、本実施形態においては石英製である。基板11を構成する誘電体は、石英に限定されるものではなく、例えばモード変換器10の中心周波数などに応じて、ポスト壁導波路の基板として採用した場合に伝送損失を抑制することが可能な誘電体から適宜選択することができる。なお、基板11の厚さT11は、適宜選択することができる。
導体層12及び導体層13の各々は、基板11の互いに対向する一対の主面の各々にそれぞれ形成された層状部材である。導体層12,13は、導体からなる層状部材であり、本実施形態においては銅製である。導体層12,13を構成する導体は、銅に限定されるものではなく、適宜選択することができる。また、導体層12,13の厚さも適宜選択することができ、厚さが相対的に薄い導体膜とよばれる層状部材であってもよいし、厚さが相対的に厚い導体板とよばれる層状部材であってもよい。
ポスト壁14は、基板11の内部に柵状に配置された複数のスルービア141〜14nによって構成されている。ここで、nは、2以上の任意の整数である。また、以下において、スルービア141〜14nの各々を一般化してスルービア14iとも記載する。ここで、iは、1以上n以下の整数である。ポスト壁14は、互いに対向する一対の狭壁14a,14bと、ショート壁14cと、ショート壁14cに対向する別のショート壁(図1及び図2には図示せず)とにより構成されている。各スルービア14iは、円筒形状又は円柱形状(本実施形態においては円筒形状)の導体により構成されている。
各スルービア14iは、基板11の一方の主面から他方の主面に至っており、導体層12と導体層13とを短絡している。また、各スルービア14iの直径DT(図1参照)は、ポスト壁導波路PWの幅W1や、ポスト壁導波路PWの形状の複雑さ等に応じて適宜定めることができるが、本実施形態においては、DT=100μmとする。
モード変換器10において、導体層12,13は、基板11を2方向(例えば上下方向)から挟み込み、且つ、狭壁14a,14bは、基板11の一部領域を2方向(例えば左右方向)から挟み込み、且つ、ショート壁14c及び上記他のショート壁は、基板11の一部領域を2方向(例えば前後方向)から挟み込む。導体層12,13と、狭壁14a,14bと、ショート壁14cと、上記他のショート壁とにより6方向から挟み込まれた基板11の一部領域は、モード変換器10の導波領域として機能する。この導波領域は、図1において2点鎖線で3方を囲まれた領域として図示されており、図2においてスルービア14iより右側の領域であって、導体層12と導体層13とにより挟まれた領域として図示されている。なお、図1に図示した2点鎖線は、各スルービア14iの中心を通る直線である。図1に示すように、狭壁14aと狭壁14bとは互いに平行であり、ショート壁14cと、狭壁14a,14bの各々とは、互いに直行している。以下において、狭壁14aと狭壁14bとの間隔をポスト壁導波路PWの幅W1と呼ぶ。幅W1は、動作帯域等に応じて適宜定めることができるが、本実施形態においては、W1=4mmである。
図1及び図2に示すように、ポスト壁導波路PWの一方の広壁を構成する導体層12には、開口121が設けられている。開口121は、長方形状であり、ショート壁14cの近傍に、且つ、長辺がショート壁14cに沿い(本実施形態においては平行)、短辺が狭壁14a,14bに沿う(本実施形態においては平行)ように設けられている。以下において、開口121とショート壁14cとの最短距離を距離D1と呼び、開口121の幅(短辺に沿った長さ)を幅W2と呼び、長さ(長辺に沿った長さ)を長さL2と呼ぶ。距離D1、幅W2、及び長さL2の各々は、動作帯域等に応じて適宜定めることができるが、本実施形態においては、D1=100μmであり、W2=400μmであり、L2=3.2mmである。このように構成されたポスト壁導波路PWは、TE線路として機能し、開口121を介して導波領域に結合された高周波を、導波領域の長軸方向に沿って導波する。
(マイクロストリップ線路MS)
図1及び図2に示すように、マイクロストリップ線路MSは、基板15と、帯状導体16と、導体層17とを備えている。
基板15は、誘電体からなる板状部材である。基板15を構成する誘電体は、例えばモード変換器10の中心周波数などに応じて、マイクロストリップ線路の基板として採用した場合に伝送損失を抑制することが可能な誘電体から適宜選択することができる。なお、基板15の厚さT15は、適宜選択することができる。
また、市販されている実装基板(例えば、Megtron6(登録商標)やRogers RT/duroid(登録商標)5880など)の基板部分を基板15として利用することもできる。この場合、実装基板の互いに対向する一対の主面のうち、一方の主面である導体層をパターニングすることによって後述する帯状導体16を形成し、実装基板の他方の主面である導体層をパターニングすることによって後述する導体層17を形成することができる。
帯状導体16は、基板15の一方の主面(図2においては、ポスト壁導波路PWの導体層12から遠い側の主面)に形成された長方形状の導体パターンであり、マイクロストリップ線路MSの信号線として機能する。以下において、帯状導体16の幅を幅W3と呼び、帯状導体16の先端部であって、平面視において開口121から突出している先端部の長さを長さL3と呼ぶ。幅W3及び長さL3の各々は、動作帯域等に応じて適宜定めることができるが、本実施形態においては、W3=600μmであり、L3=600μmである。
長さL3は、マイクロストリップ線路MSとポスト壁導波路PWとのインピーダンス整合に影響を与える。そのため、長さL3を好適に設計することによって、インピーダンス整合を高めることができ、延いては、モード変換器10における反射損失を抑制することができる。
導体層17は、基板15の他方の主面(図2においては、ポスト壁導波路PWの導体層12から近い側の主面)に形成された導体パターンであり、マイクロストリップ線路MSのグランド層として機能する。本実施形態において、導体層17は、図1に示すように、平面視した場合にポスト壁導波路PWの導波領域(すなわちポスト壁14により取り囲まれた領域)の外側に形成されている。以下において、ショート壁14cを構成するスルービア14iの中心軸と、導体層17との最短距離を距離D2と呼ぶ。距離D2は、適宜定めることができるが、本実施形態においては、D2=850μmである。すなわち、本実施形態において、D2=D3である(図1及び図2参照)。なお、導体層17を形成する領域及び距離D2は、開口121が形成されている位置等に応じて適宜設計することができ、導波領域の外側から開口121の近傍にまで至ってもよい。さらにいえば、平面視した場合に、導体層17は、基板15の他方の主面のうち少なくとも開口121と対向する領域に形成されていなければよく、開口121と対向する領域以外の領域の一部に形成されていてもよいし、開口121と対向する領域以外の領域の全部に形成されていてもよい。
帯状導体16及び導体層17は、導体製であり、本実施形態においては銅製である。帯状導体16及び導体層17を構成する導体は、銅に限定されるものではなく、適宜選択することができる。また、帯状導体16の厚さ及び幅、並びに、導体層17の厚さも適宜選択することができ、厚さが相対的に薄い導体膜とよばれる層状部材であってもよいし、厚さが相対的に厚い導体板とよばれる層状部材であってもよい。
図1に示した領域において、帯状導体16は、長方形状である。ただし、帯状導体16は、少なくとも開口121と平面視において重畳する領域の近傍が帯状であればよく、開口121から遠い側の端部は、如何なる形状にパターニングされていてもよい。開口121から遠い側の端部には、例えばRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の端子を接続するための導体パッドを形成することができる。また、本実施形態において、開口121から近い側の端部は、2つの角を有するようにパターニングされている。しかし、開口121から近い側の端部の形状は、限定されるものではない。
帯状導体16は、ポスト壁導波路PWを平面視した場合(図1参照)に、開口121から遠い側の端部がポスト壁導波路PWの導波領域の外側に配置されており、帯状の部分がショート壁14c及び開口121を横切り、開口121から近い側の端部が開口121の近傍であって、上記導波領域に配置されている。したがって、モード変換器10において、ポスト壁導波路PWを平面視した場合、開口121の中央近傍の一部と、帯状導体16の一部とは、重畳している。
このように構成されたマイクロストリップ線路MSは、準TEM線路あるいは二導体線路と呼ばれる線路の一態様である。
なお、本実施形態においては、基板15の一方の主面のみに帯状導体16が形成されているが、例えば図5に示す帯状導体16Cのように、基板15の両方の主面に亘って帯状導体が形成されていてもよい。
また、本実施形態においては、基板15の一方の主面及び他方の主面の少なくとも何れかに帯状導体が形成されてなる線路として、マイクロストリップ線路MSを用いてモード変換器10について説明した。しかし、本発明の一態様において、基板15の一方の主面及び他方の主面の少なくとも何れかに帯状導体が形成されてなる線路は、マイクロストリップ線路MSに限定されず、ストリップ線路であってもよいし、コプレナー線路であってもよいし、グランド付きコプレナー線路であってもよいし、平行2線路であってもよい。
(モードの変換)
モード変換器10において、マイクロストリップ線路MSにおけるモードと、ポスト壁導波路PWにおけるモードとは、帯状導体16の一部と、開口121の一部とが平面視において重畳している領域を介して結合される。すなわち、モード変換器10は、励振ピンを用いることなく、帯状導体16とは直接接触しない開口121を介して、これらのモードを変換することができる。
(導体層12と基板15との隙間)
図2に示すように、導体層12と基板15との間には、開口121の部分も含み、空隙が形成されている。この空隙は、隙間のまま(すなわち空気が充填されたまま)の状態であってもよいし、樹脂材料などの誘電体を充填されていてもよい。空隙に樹脂材料を充填する場合、例えば、硬化前の液体状である樹脂材料をスルービア14iの何れかから注入し、注入したスルービア14iとは異なるスルービア14iから樹脂材料が浸み出してくることを確認できれば、空隙の多くの領域は、樹脂材料により充填されていると見做せる。その後、樹脂材料を硬化させればよい。
空隙に誘電体を充填する場合、充填する誘電体を適宜選択することによって、基板11と基板15との間に生じ得る比誘電率の不連続を緩和することができる。
(ポスト壁導波路PWの機能)
モード変換器10において、ポスト壁導波路PWは、フィルタ、方向性結合器、ダイプレクサ、及びアンテナの何れかとして機能するように、導波領域を構成されていてもよい。ポスト壁導波路PWを用いてフィルタ、方向性結合器、ダイプレクサ、及びアンテナの何れかの機能を実現する場合、既存のフィルタ、方向性結合器、ダイプレクサ、及びアンテナのなかから用途に応じた構成を適宜選択すればよい。なお、アンテナは、アレイアンテナであることが好ましい。
<第1の変形例>
本発明の第1の変形例であって、図1及び図2に示したモード変換器10の変形例であるモード変換器10Aについて、図3を参照して説明する。図3は、モード変換器10Aの断面図である。
モード変換器10Aは、モード変換器10をベースにして、モード変換器10から導体層17を省略し、半田18を接着剤18Aに置き換えることによって得られる。接着剤18Aは、導電性を有さない樹脂材料により構成されている。接着剤18Aは、導体層12と基板15とを直接に接合している。以下において、接着剤18Aの厚さを厚さTAと呼ぶ。厚さTAを適宜設計することによって、マイクロストリップ線路MSにおける帯状導体16と導体層12との結合の度合いを調整することができる。
導体層17を省略した場合であっても、ポスト壁導波路PWの導体層12がマイクロストリップ線路MSのグランド層として機能する。したがって、モード変換器10Aのマイクロストリップ線路MSは、基板15と、帯状導体16と、導体層12とを備えているといえる。
このように構成されたモード変換器10Aは、10と同様の効果をそうする。
また、図3においては、導体層12と基板15との間に空隙が形成されている。しかし、上述したように、この空隙は、隙間のまま(すなわち空気が充填されたまま)の状態であってもよいし、樹脂材料などの誘電体を充填されていてもよい。モード変換器10Aにおいては、例えば、基板15の主面に接着剤18Aを塗布し、基板15を導体層12に貼り付けることによって、空隙を形成することなく導体層12と基板15とを接合することができる。
接着剤18Aは、半田18と比較して弾性率が高いため、環境温度の変化に伴い生じ得る応力を緩和することができる。
<第2の変形例>
本発明の第2の変形例であって、図1及び図2に示したモード変換器10の変形例であるモード変換器10Bについて、図4を参照して説明する。図4は、モード変換器10Bの平面図である。
モード変換器10Bは、モード変換器10をベースにして、モード変換器10が備えている帯状導体16を帯状導体16Bに置き換えることによって得られる。本変形例においては、帯状導体16Bは、長さL3が帯状導体16の長さL3よりも短く設計されており、L3=200μmである。
帯状導体16Bは、図4に示すように、帯状である主部16B1と、何れも長方形状である2つのスタブ16B1,16B2とを備えている。主部16B1は、帯状導体16に対応する導体パターンであり、スタブ16B1,16B2の各々は、何れも長方形状の導体パターンである。主部16B1及びスタブ16B1,16B2は、単一の導体パターンである帯状導体16Bを形成する。
スタブ16B1,16B2の各々は、平面視において、主部16B1のうちポスト壁導波路PWの導波領域の外側の区間の何れかの位置であって、帯状である主部16B1の中心軸を対称軸として線対称となる位置に、それぞれ設けられている。
本変形例において、スタブ16B1,16B2は、長方形状であり、長辺が上記対称軸に交わる(本実施形態においては直交する)ように、且つ、短辺が上記対称軸に沿う(本実施形態においては平行となる)ように配置されている。しかし、スタブ16B1,16B2の形状及び配置する場合の向きは、本変形例の態様に限定されるものではない。スタブ16B1,16B2は、図4に示すように端部が開放されたオープンスタブであってもよいし、短絡されたショートスタブと呼ばれるスタブであってもよい。
上述したように本変形例では、長さL3が帯状導体16の長さL3よりも短く設計されている。そのため、モード変換器10Bにおいて帯状導体16と同様にスタブを有さない帯状導体を採用した場合、モード変換器10の場合よりもインピーダンス整合が悪くなる。このように、インピーダンス整合が悪い場合に、スタブ16B1,16B2を適宜設計することによって、マイクロストリップ線路MSとポスト壁導波路PWとのインピーダンス整合を図ることができ、延いては、モード変換器10Bにおける反射損失を抑制することができる。
<第3の変形例>
本発明の第3の変形例であって、図1及び図2に示したモード変換器10の変形例であるモード変換器10Cについて、図5を参照して説明する。図5は、モード変換器10Cの断面図である。
モード変換器10Cは、モード変換器10をベースにして、モード変換器10が備えている帯状導体16を帯状導体16Cに置き換えることによって得られる。
帯状導体16Cは、図5に示すように、第1の導体パターン16C1と、第2の導体パターン16C2とを備えている。第1の導体パターン16C1及び第2の導体パターン16C2は、何れも帯状の導体パターンである。後述するように、第1の導体パターン16C1は、基板15の一方の主面(導体層12から遠い側の主面)に形成されており、第2の導体パターン16C2は、基板15の他方の主面(導体層12から近い側の主面)に形成されている。第1の導体パターン16C1と、第2の導体パターン16C2とは、スルービア16C3を用いて電気的に接続されている。
第1の導体パターン16C1は、帯状導体16と同様に、基板15の一方の主面に形成された帯状の導体パターンであり、その先端部がポスト壁導波路PWの導波領域の外側に配置されている。
第2の導体パターン16C2は、基板15の他方の主面に形成された帯状の導体パターンである。第2の導体パターン16C2の一方の先端部は、ポスト壁導波路PWの導波領域の外側であって、平面視において第1の導体パターン16C1の一方の先端部と重畳するように配置されている。第2の導体パターン16C2の帯状の部分は、平面視においてショート壁14c及び開口121を横切り、第2の導体パターン16C2の他方の先端部が平面視において開口121の近傍であって、導波領域に配置されている。したがって、モード変換器10Cにおいて、ポスト壁導波路PWを平面視した場合、開口121の中央近傍の一部と、帯状導体16Cの一部とは、重畳している。帯状導体16Cにおいても、第2の導体パターン16C2の他方の先端部であって、開口121から突出している先端部の長さを長さL3と呼ぶ。
スルービア16C3は、平面視において導波領域の外側の領域であって、第1の導体パターン16C1の一方の先端部と、第2の導体パターン16C2の一方の先端部とが重畳する領域に形成された円筒形状又は円柱形状(本実施形態においては円筒形状)の導体により構成されている。本変形例において、スルービア16C3の直径は、300μmである。
モード変換器10においては、帯状導体16を基板15の一方の主面のみに形成された単一の導体パターンを用いて実現している。しかし、モード変換器10Cのように、帯状導体16Cは、第1の導体パターン16C1及び第2の導体パターン16C2の各々が、それぞれ、基板15の一方の主面及び他方の主面に形成されており、スルービア16C3を用いて導通されていてもよい。この場合、第1の導体パターン16C1は、導体層17とともにマイクロストリップ線路を形成し、第2の導体パターン16C2は、導体層12とともにマイクロストリップ線路を形成する。本変形例においては、半田18Cの厚さTSを適宜設計することによって、マイクロストリップ線路MSにおける第2の導体パターン16C2と導体層12との結合の度合いを調整することができる。
また、本発明の一態様において、帯状導体16に対応する帯状導体は、基板15の一方の主面ではなく、他方の主面に形成されていてもよい。この場合、少なくとも帯状導体と導体層12とが対向する領域を、導電性を持たない接着剤18Aを用いて接合することによって、帯状導体と導体層12とが短絡されるのを防ぐことができる。この場合、帯状導体は、導体層12とともにマイクロストリップ線路を形成する。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係るRFモジュール1について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、RFモジュール1の分解斜視図である。なお、図6においては、導体層17及び半田18の図示を省略している。図7は、RFモジュール1の断面図であって、後述する帯状導体16a,16bの中心軸と一致する直線を通る断面における断面図である。なお、説明の便宜上、第1の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図6及び図7に示すように、モード変換器10aと、モード変換器10bと、RFIC21と、アンテナ22とを備えている。モード変換器10a及びモード変換器10bの各々は、何れも、図1及び図2に示したモード変換器10の一具体例であり、モード変換器10と同様に構成されている。モード変換器10aを構成する各部材には、モード変換器10を構成する各部材の符号の末尾に「a」を付した符号を付し、モード変換器10bを構成する各部材には、モード変換器10を構成する各部材の符号の末尾に「b」を付した符号を付す。なお、帯状導体16aは、第1の帯状導体の一態様であり、帯状導体16bは、第2の帯状導体の一態様である。
RFモジュール1は、(1)ポスト壁導波路PWの一対のショート壁の近傍に、それぞれ、入出力ポートとして機能するモード変換器10a,10bを形成し、(2)モード変換器10aの帯状導体16aにRFIC21を実装し、(3)モード変換器10bの帯状導体16bにアンテナ22を実装することによって得られる。RFモジュール1は、基板15の一方の主面(導体層12から遠い側の主面)側にRFIC21及びアンテナ22を実装し、ポスト壁導波路PWの一方の主面側(導体層12の表面)に基板15の他方の主面側を実装したRFモジュールである。
本実施形態においては、モード変換器10a及びモード変換器10bの構成のうち、モード変換器10について説明しなかった構成についてのみ説明する。具体的には、帯状導体16aの先端部のうち開口121aから突出している一方の先端部と逆側の他方の先端部(開口121aから遠い側の先端部)と、帯状導体16bの先端部のうち開口121bから突出している一方の先端部と逆側の他方の先端部(開口121bから遠い側の先端部)とについてのみ説明する。
帯状導体16aの他方の先端部は、帯状導体16aの帯状部分には、該帯状部分よりも幅が広く、RFIC21の信号端子と接続するための信号用導体パッドが接続されている。また、信号用導体パッドの両脇には、信号用導体パッドを挟み込むように、RFIC21のグランド端子と接続するためのグランド用導体パッドが2つ形成されている。各グランド用導体パッドは、導体層12と短絡されている。このように、帯状導体16aの他方の先端部近傍には、RFIC21を実装するための端子であって、グランド用−信号用−グランド用の順番で導体パッドが配列されたGSG配置の端子が形成されている。RFIC21は、バンプを用いて、このGSG配置の端子に実装されている。
帯状導体16bの他方の先端部には、アンテナ22が実装(接続)されている。なお、本実施形態においてアンテナ22の態様は限定されるものではなく、導体パターンを用いて放射素子を構成可能なアンテナから適宜選択することができる。そのため、図6及び図7においては、アンテナ22の具体的な形状を図示していない。なお、アンテナ22としては、各々が導体パターンにより構成された複数の放射素子を備えたパッチアンテナが好適である。本実施形態においては、帯状導体16bとアンテナ22とを単一の導体パターンとして実現している。帯状導体16bは、給電線として機能する。
以上のように、RFモジュール1は、導体層12の一方のショート壁である第1のショート壁の近傍に第1の開口である開口121aが設けられ、且つ、導体層12の他方のショート壁である第2のショート壁の近傍に第2の開口である開口121bが設けられたポスト壁導波路PWと、一方の主面に帯状導体16aが形成され、且つ、一方の主面に帯状導体16bを給電線とするアンテナが形成された誘電体製の基板15と、導体層12と、基板15の他方の主面とが互いに平行又は略平行な状態で、導体層12と基板15の他方の主面に形成された導体層17とを接合する接合部材である半田18と、基板15の一方の主面に実装され、且つ、何れかの端子が帯状導体16aの他方の先端部に接続された信号用導体パッドに接続されたRFIC21と、を備えている。RFモジュール1において、ポスト壁導波路PWを平面視した場合に、開口121aの一部と、帯状導体16aの一部とは、重畳しており、且つ、開口121bの一部と、帯状導体16bの一部とは、重畳している。
RFモジュール1は、RFIC21及びアンテナ22の機能に応じて、送信モジュール、受信モジュール、及び送受信モジュールの何れかとして機能する。
また、本発明の一態様には、RFモジュール1を備えている携帯端末も含まれる。RFモジュール1が備えている、マイクロストリップ線路MSa,MSbと、モード変換器10a,10bと、ポスト壁導波路PWとは、何れも、28GHz帯を動作帯域として、伝送損失を抑制することができるため、5G用のRFモジュールとして好適に用いることができる。
なお、本実施形態では、RFモジュール1が備えている2つのモード変換器として、モード変換器10の構成を採用していた。しかし、RFモジュール1が備えている2つのモード変換器の構成は、モード変換器10の構成に限定されるものではなく、各変形例に記載された構成であってもよいし、第1の実施形態及び各変形例に記載の構成を適宜組み合わせた構成であってもよい。
〔実施例〕
<第1の実施例>
本発明の第1の実施例であり、図4に示したモード変換器10Bの実施例について、図8〜図11を参照して説明する。図8及び図9の各々は、それぞれ、本実施例のモード変換器10Bの変換特性をシミュレーションした結果を示す、モード変換器10Bの断面図及び平面図である。図10は、本実施例のモード変換器10B及び参考例のモード変換器の反射特性及び透過特性を示すグラフである。図11は、本実施例のモード変換器10B及び参考例のモード変換器の透過特性を拡大して示すグラフである。なお、反射特性は、SパラメータS(1,1)の周波数依存性を意味し、透過特性は、SパラメータS(2,1)の周波数依存性を意味する。この点については、後述する各実施例についても同様である。
本実施例のモード変換器10Bは、図4に示したモード変換器10Bにおいて、28GHz帯を含む動作帯域を実現することを目指し、以下の設計パラメータを採用した。なお、本明細書においては、27GHz以上29.5GHz以下を動作帯域とし、SパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、且つ、SパラメータS(2,1)が−0.5dBを上回れば良好な性能とみなす。この点については、後述する各実施例であって、27GHz以上29.5GHz以下を動作帯域とする各実施例についても同様である。なお、図10及び図11に示した一点鎖線のうちy軸に平行な一点鎖線は、27GHz及び29.5GHzを示す。また、図10に示した一点鎖線のうちx軸に平行な一点鎖線は、−20dBを示し、図11に示した一点鎖線のうちx軸に平行な一点鎖線は、−0.5dBを示す。
(設計パラメータ)
・基板11:石英製(T11=0.86mm)
・ポスト壁導波路PW:W1=4mm
・基板15:Megtron6(登録商標)(T15=300μm)
・導体層12,13,17:銅製(厚さ18μm)
・開口121:L2=3.2mm、W2=400μm、D1=100μm、D2=D3=850μm
・帯状導体16B:銅製(厚さ18μm)、L3=200μm、W3=600μm
・スタブ16B1,16B2:長辺の長さ600μm、短辺の長さ300の長方形状
・半田18:TS=30μm
なお、参考例のモード変換器は、本実施例のモード変換器10Bからスタブ16B1,16B2を省略することによって得られる。
図8及び図9を参照すれば、モード変換器10Bにおいて、マイクロストリップ線路MSにおける準TEMモードと、ポスト壁導波路PWにおけるTEモードとが、開口121を介して良好に変換されていることが分かった。
参考例について図10及び図11を参照すると、反射特性が24GHz以上32GHz以下の全帯域において−20dBを上回り、透過特性が24GHz以上32GHz以下の全帯域において−0.5GHzを下回ることが分かった。すなわち、参考例は、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域で良好な性能を有しないことが分かった。
一方、帯状導体16Bにスタブ16B1,16B2を追加した本実施例のモード変換器10Bは、図10に示すように、25.2GHz以上30.4GHz以下の帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、図11に示すように、26.3GHz以上32GHz以下の帯域においてSパラメータS(2,1)が−0.5dBを上回ることが分かった。すなわち、本実施例のモード変換器10Bは、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域で良好な性能を有することが分かった。
<第2,第3の実施例>
本発明の第2,第3の実施例であり、図1及び図2に示したモード変換器10の実施例について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、第2の実施例のモード変換器10の反射特性及び透過特性と、第3の実施例のモード変換器10の反射特性及び透過特性と、を示すグラフである。図13は、第2の実施例のモード変換器10の透過特性と、第3の実施例のモード変換器10の透過特性と、を拡大して示すグラフである。
第2の実施例のモード変換器10は、以下の設計パラメータを採用した。
(設計パラメータ)
・基板11:石英製((T11=0.86mm)
・ポスト壁導波路PW:W1=4mm
・基板15:Megtron6(登録商標)(T15=300μm)
・導体層12,13,17:銅製(厚さ18μm)
・開口121:L2=3.2mm、W2=400μm、D1=100μm、D2=D3=850μm
・帯状導体16B:銅製(厚さ18μm)、L3=600μm、W3=600μm
・半田18:TS=30μm
また、第3の実施例のモード変換器10は、第2の実施例のモード変換器10をベースにし、基板15の厚さT15を300μmから100μmに変更するとともに、半田18の厚さTSをTS=150μmに変更することによって得られた。
第2の実施例について図12及び図13を参照すると、反射特性が24GHz以上32GHz以下の全体域において−20dBを下回り、透過特性が24GHz以上32GHz以下の全体域において−0.5GHzを上回ることが分かった。すなわち、第2の実施例は、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域で良好な性能を有することが分かった。
第3の実施例について図12及び図13を参照すると、反射特性が24GHz以上32GHz以下の全帯域において−20dBを下回り、透過特性が24GHz以上32GHz以下の全帯域において−0.5GHzを上回ることが分かった。すなわち、第3の実施例は、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域で良好な性能を有することが分かった。
<第4の実施例群>
本発明の第4の実施例群であり、図1及び図2に示したモード変換器10の実施例群について、図14及び図15を参照して説明する。図14は、第4の実施例群の各モード変換器10の反射特性を示すグラフである。図15は、第4の実施例群の各モード変換器10の透過特性を示すグラフである。
第4の実施例群の各モード変換器10は、上述した第3の実施例のモード変換器10をベースにし、厚さTSを100μm以上300μm以下の範囲内で変化させることによって得られる。したがって、図14及び図15に示した各プロットのうちTS=150μmのプロットは、図12及び図13に示した第3の実施例のプロットと同じである。
第4の実施例群について、図14を参照すると、27GHz以上29.5GHz以下の帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを下回るのは、厚さTSが150μm以上225μm以下のモード変換器10であった。
また、第4の実施例群について、図15を参照すると、27GHz以上29.5GHz以下の帯域においてSパラメータS(2,1)が−0.5GHzを上回るのは、TSが100μm以上250μm以下のモード変換器10であった。
以上の結果より、第4の実施例群において、モード変換器10は、厚さTSが150μm以上225μm以下である場合に、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域で良好な性能を有することが分かった。
<第5の実施例>
本発明の第5の実施例であり、図1及び図2に示したモード変換器10の実施例について、図19及び図20を参照して説明する。図19及び図20の各々は、それぞれ、本実施例のモード変換器10の反射特性及び透過特性を示すグラフである。
本実施例のモード変換器10は、図1及び図2に示したモード変換器10において、Eバンドと呼ばれる71GHz以上86GHz以下の帯域を動作帯域とすることを目指し、以下の設計パラメータを採用した。具体的には、本実施例のモード変換器10において、カットオフ周波数として59.62GHzを採用した。なお、該カットオフ周波数の1.5倍である77.5GHzにおける管内波長は、3.1mmである。
なお、上述したように、本明細書においては、Eバンドを動作帯域とし、SパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、且つ、SパラメータS(2,1)が−0.5dBを上回れば良好な性能とみなす。この点については、後述する各実施例であって、Eバンドを動作帯域とする各実施例についても同様である。なお、図19及び図20に示した一点鎖線のうちy軸に平行な一点鎖線は、71GHz及び86GHzを示す。また、図19に示した一点鎖線のうちx軸に平行な一点鎖線は、−20dBを示し、図20に示した一点鎖線のうちx軸に平行な一点鎖線は、−0.5dBを示す。
(設計パラメータ)
・基板11:石英製(T11=0.45mm)
・ポスト壁導波路PW:W1=1.54mm
・基板15:Megtron6(登録商標)(T15=125μm)
・導体層12,13:銅製(厚さ10μm)
・導体層17:銅製(厚さ18μm)
・開口121:L2=1.4mm、W2=150μm、D1=75μm、D2=D3=375μm
・帯状導体16B:銅製(厚さ20μm)、L3=275μm、W3=250μm
・半田18:TS=30μm
本実施例のモード変換器10は、図19に示すように、69.8GHz以上88.2GHz以下の帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、図20に示すように、68.4GHz以上90GHz以下の帯域においてSパラメータS(2,1)が−0.5dBを上回ることが分かった。すなわち、本実施例のモード変換器10Bは、動作帯域であるEバンドにおいて良好な性能を有することが分かった。
<第6の実施例群>
本発明の第6の実施例群であり、図1及び図2に示したモード変換器10の実施例群について、図21及び図22を参照して説明する。図21は、第6の実施例群のモード変換器10の反射特性を示すグラフである。図22は、第6の実施例群のモード変換器10の透過特性を示すグラフである。
本実施例群のモード変換器10は、図1及び図2に示したモード変換器10において、28GHz帯を含む動作帯域を実現することを目指し、以下の設計パラメータを採用した。具体的には、本実施例のモード変換器10において、カットオフ周波数として19.68GHzを採用した。なお、該カットオフ周波数の1.42倍である28GHzにおける管内波長は、7.7mmである。
なお、図21及び図22に示した一点鎖線のうちy軸に平行な一点鎖線は、27GHz及び29.5GHzを示す。また、図21に示した一点鎖線のうちx軸に平行な一点鎖線は、−20dBを示す。
本実施例群のモード変換器10は、以下の設計パラメータを採用した。第6の実施例群のモード変換器10の各々は、基板15の厚さT15を、50μm以上300μm以下の範囲内で変化させることによって得られる。また、厚さT15を上述した範囲内で変化させることにともない、帯状導体16の幅W3を厚さT15の2倍になるように変化させている。すなわち、第6の実施例群のモード変換器10において、幅W3は、100μm以上600μm以下の範囲内で変化させている。このように、厚さT15の二倍になるように幅W3を定めることによって、マイクロストリップ線路MSの入力インピーダンスをおおよそ50Ωにすることができる。
(設計パラメータ)
・基板11:石英製(T11=0.86mm)
・ポスト壁導波路PW:W1=4mm
・基板15:Megtron6(登録商標)(T15=50,100,200,300μm)
・導体層12,13:銅製(厚さ10μm)
・導体層17:銅製(厚さ18μm)
・開口121:L2=3.2mm、W2=400μm、D1=100μm、D2=D3=850μm
・帯状導体16B:銅製(厚さ18μm)、L3=600μm、W3=100,200,400,600μm
・半田18:TS=30μm
本実施例群のモード変換器10の各々は、図21に示すように、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、図22に示すように、該動作帯域においてSパラメータS(2,1)が−0.5dBを上回ることが分かった。すなわち、本実施例群のモード変換器10の各々は、上記動作帯域において良好な性能を有することが分かった。
<第4の変形例>
本発明の第4の変形例であって、図1及び図2に示したモード変換器10の変形例であるモード変換器10Dについて、図23を参照して説明する。図23は、モード変換器10Dの断面図である。
モード変換器10Dは、モード変換器10をベースにして、導体層17の端辺のうち開口121に近接する側の端辺の位置と、半田18に対応する半田18Dの端辺のうち開口121に近接する側の端辺の位置とを異ならせることによって得られる。なお、本変形例においても、ショート壁14cを構成するスルービア14iの中心軸と、導体層17との最短距離のことを距離D2と呼び、ショート壁14cを構成するスルービア14iの中心軸と、半田18との最短距離のことを距離D3と呼ぶ。図23に示したモード変換器10Dにおいて、距離D2及び距離D3は、差分ΔDが正であるものとして、D3=D2+ΔDすなわちD3>D2となるように定められている。
本発明の一態様においては、モード変換器10Dのように、距離D2及び距離D3の各々が異なっていてもよい。また、本変形例では、距離D2及び距離D3がD3>D2を満たす場合を用いて説明している。しかし、モード変換器10Dの一態様において、距離D2及び距離D3は、D3<D2を満たすように構成されていてもよい。
<第7の実施例群>
本発明の第7の実施例群であり、図23に示した第4の変形例の実施例群であるモード変換器10Dについて、図24を参照して説明する。図24は、本実施例群のモード変換器10Dの反射特性を示すグラフである。なお、本実施例群のモード変換器10Dは、Eバンドを動作帯域とすることを目指して設計されている。
本実施例群のモード変換器10Dは、第5の実施例のモード変換器10をベースにし、差分ΔDとしてΔD=100μm,200μmを採用することによって得られる。なお、図24に示すΔD=0μmのプロットは、第5の実施例のモード変換器10の反射特性である。
図24を参照すれば、差分ΔDが大きくなればなるほど動作帯域の帯域幅が狭くなることが分かった。換言すれば、できるだけ帯域幅が広い動作帯域を実現するために、差分ΔDは、小さいほうが好ましい。
<第8の実施例群>
本発明の第8の実施例群であり、図23に示した第4の変形例の実施例群であるモード変換器10Dについて、図25を参照して説明する。図25は、本実施例群のモード変換器10Dの反射特性を示すグラフである。なお、本実施例群のモード変換器10Dは、28GHz帯を含む動作帯域を実現することを目指して設計されている。
本実施例群のモード変換器10Dは、第6の実施例群のモード変換器10のうち基板15の厚さT15が300μmであるモード変換器10をベースにし、差分ΔDとしてΔD=100μm,200μmを採用することによって得られる。
図25を参照すれば、差分ΔDが大きくなればなるほど動作帯域の帯域幅が狭くなることが分かった。換言すれば、できるだけ帯域幅が広い動作帯域を実現するために、差分ΔDは、小さいほうが好ましい。
<第9の実施例>
本発明の第9の実施例であり、図1及び図2に示したモード変換器10の実施例について、図26及び図27を参照して説明する。図26は、第9の実施例のモード変換器10の反射特性を示すグラフである。図27は、第9の実施例のモード変換器10の透過特性を示すグラフである。
本実施例群のモード変換器10は、図1及び図2に示したモード変換器10において、32GHz帯を含む動作帯域であって、できるだけ帯域幅が広い動作帯域を実現することを目指し、以下の設計パラメータを採用した。具体的には、本実施例のモード変換器10において、カットオフ周波数として21.3GHzを採用した。なお、該カットオフ周波数の1.5倍である32GHzにおける管内波長は、9.38mmである。
(設計パラメータ)
・基板11:石英製(T11=0.86mm)
・ポスト壁導波路PW:W1=4mm
・基板15:Megtron6(登録商標)(T15=100μm)
・導体層12,13:銅製(厚さ10μm)
・導体層17:銅製(厚さ20μm)
・開口121:L2=3.2mm、W2=400μm、D1=100μm、D2=D3=850μm
・帯状導体16B:銅製(厚さ20μm)、L3=600μm、W3=200μm
・半田18:TS=30μm
本実施例のモード変換器10の各々は、図26に示すように、21.5GHz以上44GHz以下の帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、図27に示すように、22GHz以上44.8GHz以下の帯域においてSパラメータS(2,1)が−0.5dBを上回ることが分かった。すなわち、本実施例群のモード変換器10の各々は、22GHz以上44GHz以下の帯域において良好な性能を有することが分かった。
<第5の変形例>
本発明の第5の変形例であって、図1及び図2に示したモード変換器10の変形例であるモード変換器10Eについて、図28を参照して説明する。図28は、モード変換器10Eの平面図である。
モード変換器10Eは、モード変換器10をベースにして、帯状導体16を帯状導体16Eに置換することによって得られる。
帯状導体16Eは、帯状導体16と同一に形成された長方形状の導体パターンである。帯状導体16Eは、帯状導体16と比較して、基板15の一方の主面上における位置が異なっている。具体的には、基板15の一方の主面を平面視した場合に、帯状導体16は、ポスト壁導波路PWの長手方向に平行な直線であって、ポスト壁導波路PWの幅W1を二等分する点の集合である直線であるB−B’線にその中心軸が一致するように配置されている。一方、帯状導体16Eは、基板15の一方の主面を平面視した場合に、B−B’線からギャップΔGだけ平行にずれて配置されている。図28においては、帯状導体16Eの中心軸と一致する直線をC−C’線で示している。
このように、帯状導体16Eの中心軸をB−B’線からずらして設けることができることによって、モード変換器10Eは、帯状導体16Eを配置する場合の自由度を高めることができる。
<第10の実施例群>
本発明の第10の実施例群であり、図28に示したモード変換器10Eの実施例群について、図29及び図30を参照して説明する。図29は、第10の実施例群の各モード変換器10Eの反射特性を示すグラフである。図30は、第10の実施例群の各モード変換器10Eの透過特性を示すグラフである。
本実施例群のモード変換器10Eは、図28に示したモード変換器10Eにおいて、28GHz帯を含む動作帯域を実現することを目指し、以下の設計パラメータを採用した。本実施例群のモード変換器10Eの各々は、ギャップΔGを0μm以上900μm以下の範囲内で変化させることによって得られる。
(設計パラメータ)
・基板11:石英製(T11=0.86mm)
・ポスト壁導波路PW:W1=4mm
・基板15:Megtron6(登録商標)(T15=100μm)
・導体層12,13:銅製(厚さ10μm)
・導体層17:銅製(厚さ18μm)
・開口121:L2=3.2mm、W2=400μm、D1=100μm、D2=D3=850μm
・帯状導体16B:銅製(厚さ18μm)、L3=600μm、W3=200μm、ΔG=0,100,200,300,400,500,600,700,800,900μm
・半田18:TS=30μm
図29を参照すれば、本実施例群のモード変換器10Eにおいて、(1)ギャップΔGが0μm以上500μm以下である場合、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、(2)ギャップΔGが600μmである場合、上記動作帯域の一部においてSパラメータS(1,1)が−20dBを上回り、(3)ギャップΔGが700μm以上900μm以下である場合、上記動作帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを上回ることが分かった。
また、図30を参照すれば、本実施例群のモード変換器10Eにおいて、(4)ギャップΔGが0μm以上800μm以下である場合、上記動作帯域においてSパラメータS(2,1)が−0.5dBを上回り、(5)ギャップΔGが900μmである場合、上記動作帯域においてSパラメータS(2,1)が−0.5dBを下回ることが分かった。
以上の結果から、本実施例群のモード変換器10Eは、上記動作帯域において良好な性能を示すために、ギャップΔGとして0μm以上500μm以下の範囲内に含まれる値を採用することが好ましいことが分かった。
<第6の変形例>
本発明の第6の変形例であって、図28に示したモード変換器10Eの変形例であるモード変換器10Fについて、図31を参照して説明する。図31は、モード変換器10Fの平面図である。
モード変換器10Fは、モード変換器10Eをベースにして、開口121を開口121Fに置換することによって得られる。なお、モード変換器10Fが備えている帯状導体16Fは、モード変換器10Eが備えている帯状導体16Eと同一に構成されている。
開口121Fは、開口121と同様にポスト壁導波路PWの一方の広壁を構成する導体層12に設けられた開口であるが、その形状が開口121とは異なる。具体的には、基板15の一方の主面を平面視した場合に、開口121の形状は、長辺がショート壁14cに平行であり、短辺が狭壁14a,14bに平行である長方形状である。一方、開口121Fの形状は、本変形例では、開口121における一対の短辺の各々に対応する部分を一対の底(上底及び下底)とする等脚台形状である。なお、開口121Fの形状は、少なくとも台形状であればよく、等脚台形であることが好ましい。
以下において、開口121Fの幅(短辺に沿った長さ)の最小値(すなわち図31に示した配置における上底の長さ)を幅W2aと呼び、開口121Fの幅の最大値(すなわち図31に示した配置における下底の長さ)を幅W2bと呼ぶ。
ポスト壁導波路PWの幅W1を二等分する点の集合であるB−B’線を境界として、2つに分けられるモード変換器10Fの領域のうち、(1)帯状導体16Fの中心軸(C−C’線ともいえる)が配置されている側の領域(図31に示した配置における下側の領域)を第1の領域と称し、(2)帯状導体16Fの中心軸が配置されていない側の領域(図31に示した配置における上側の領域)を第2の領域と称する。開口121Fは、一対の底のうち、長い方の底が上記第1の領域に位置し、短い方の底が上記第2の領域に位置するように、導体層12に設けられている。別の言い方をすれば、帯状導体16Fの中心軸から上底までの距離が、該中心軸から下底までの距離を上回る。なお、図31に示した配置において、上底は、一対の底のうち長さが短い底であり、下底は、一対の底のうち長さが長い底である。
幅W2a及び幅W2bの各々は、動作帯域やギャップΔG等に応じて適宜定めることができるが、本実施形態においては、幅W2a,W2bの各々として、W2a=100μm及びW2b=400μmを採用している。
図28に示したモード変換器10Eのように、帯状導体16Eの中心軸をB−B’線からずらして設けた場合、該中心軸がB−B’線に一致している場合と比較して、反射特性及び透過特性が低下する場合がある。モード変換器10Fにおいては、帯状導体16Fの中心軸をB−B’線からずらして設けたうえで、等脚台形状の開口121Fを採用している。したがって、帯状導体16Fの中心軸をB−B’線からずらして設けた場合に生じ得る反射特性及び透過特性の低下を抑制することができる。すなわち、モード変換器10Fは、帯状導体16Fを配置する場合の自由度を高めつつ、反射特性及び透過特性の低下を抑制することができる。
<第11の実施例群>
本発明の第11の実施例群であり、図31に示したモード変換器10Fの実施例群について、図32及び図33を参照して説明する。図32は、第11の実施例群の各モード変換器10Fの反射特性を示すグラフである。図33は、第11の実施例群の各モード変換器10Fの透過特性を示すグラフである。
本実施例群のモード変換器10Fは、図31に示したモード変換器10Fにおいて、28GHz帯を含む動作帯域を実現することを目指し、第10の実施例群であるモード変換器10Eのうち、ΔG=600μmであるモード変換器10Eをベースにした。そのうえで、幅W2bを400μmに固定し、幅W2aを50μm以上400μm以下の範囲内で変化させることによって得られる。なお、図32及び図33に示したプロットのうち、W2a=400μmであるプロットは、ΔG=600μmであるモード変換器10Eに対応する。
図32を参照すれば、本実施例群のモード変換器10Fにおいて、幅W2aを400μmから50μmまで縮小することにともなって、反射特性が改善されることが分かった。より具体的には、本実施例群のモード変換器10Fにおいて、(1)幅W2aが50μm以上300μm以下である場合、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、(2)幅W2aが350μm以上400μm以下である場合、上記動作帯域の一部においてSパラメータS(1,1)が−20dBを上回ることが分かった。
また、図33を参照すれば、本実施例群のモード変換器10Fにおいて、幅W2aを400μmから50μmまで縮小することにともなって、透過特性が改善されることが分かった。なお、本実施例群のモード変換器10Fにおいて、幅W2aが50μm以上400μm以下である場合、上記動作帯域においてSパラメータS(2,1)は、−0.5dBを上回った。
以上の結果から、本実施例群のモード変換器10Fは、上記動作帯域において良好な性能を示すために、幅W2aとして50μm以上300μm以下の範囲内に含まれる値を採用することが好ましいことが分かった。
<第12の実施例群>
本発明の第12の実施例群であり、図31に示したモード変換器10Fの実施例について、図34及び図35を参照して説明する。図34は、第12の実施例群の各モード変換器10Fの反射特性を示すグラフである。図35は、第12の実施例群の各モード変換器10Fの透過特性を示すグラフである。
本実施例のモード変換器10Fは、図31に示したモード変換器10Fにおいて、28GHz帯を含む動作帯域を実現することを目指し、第10の実施例群であるモード変換器10Eのうち、ΔG=700μmであるモード変換器10Eをベースにした。そのうえで、幅W2bを400μmに固定し、幅W2aとして50μm及び400μmを採用することによって得られる。なお、図34及び図35に示したプロットのうち、W2a=400μmであるプロットは、ΔG=700μmであるモード変換器10Eに対応する。
図34を参照すれば、本実施例群のモード変換器10Fにおいて、W2a=50μmを採用することによって、W2a=400μmを採用する場合と比較して、反射特性が改善されることが分かった。より具体的には、本実施例群のモード変換器10Fにおいて、(1)幅W2aが50μmである場合、27GHz以上29.5GHz以下の動作帯域においてSパラメータS(1,1)が−20dBを下回り、(2)幅W2aが400μmである場合、上記動作帯域の一部においてSパラメータS(1,1)が−20dBを上回ることが分かった。
また、図35を参照すれば、本実施例群のモード変換器10Fにおいて、W2a=50μmを採用することによって、W2a=400μmを採用する場合と比較して、透過特性が改善されることが分かった。なお、本実施例群のモード変換器10Fにおいて、幅W2aが50μm以上400μm以下である場合、上記動作帯域においてSパラメータS(2,1)は、−0.5dBを上回った。
以上の結果から、本実施例群のモード変換器10Fは、上記動作帯域において良好な性能を示すために、幅W2aとして50μm以上400μm未満の範囲内に含まれる値を採用することが好ましいことが分かった。
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態に係るRFモジュール1Fについて、図36を参照して説明する。図36は、RFモジュール1Fの平面図である。
図36に示すように、RFモジュール1Fは、一対のモード変換器であるモード変換器10Fa及びモード変換器10Fbと、RFIC21Fと、を備えている。RFIC21Fは、モード変換器10Faのマイクロストリップ線路MSFa、及び、モード変換器10Fbのマイクロストリップ線路MSFbを構成する基板15Fの一方の主面(モード変換器10Faのポスト壁導波路PWFa及びモード変換器10Fbのポスト壁導波路PWFbから遠い側の主面)に実装されている。
RFIC21Fは、出力ポートと入力ポートとを備えている。出力ポートは、信号端子E1aと、信号端子E1aを挟み込むように配置されたグランド端子E2a,E3aとにより構成されている。入力ポートは、信号端子E1bと、信号端子E1bを挟み込むように配置されたグランド端子E2b,E3bとにより構成されている。すなわち、出力ポート及び入力ポートの各々は、グランド用−信号用−グランド用の順番で端子が配列されたGSG配置のポートである。
<モード変換器10Fa,10Fbの構成>
モード変換器10Fa及びモード変換器10Fbの各々は、何れも、図31に示したモード変換器10Fの一具体例であり、モード変換器10Fと同様に構成されている。そのため、本実施形態において、モード変換器10Fa,10Fbについては、モード変換器10Fa,10Fbの各々を構成する各部材と、モード変換器10Fを構成する各部材との対応関係を示すに留め各部材の説明を省略する。
図36に示すように、モード変換器10Fa,10Fbの各々は、それぞれ、ポスト壁導波路PWFa,PWFbと、マイクロストリップ線路MSFa,MSFbと、を備えている。
(ポスト壁導波路PWFa,PWFb)
ポスト壁導波路PWFaと、ポスト壁導波路PWFbとは、各々の延伸方向が平行且つ近接して配置されている。ポスト壁導波路PWFaと、ポスト壁導波路PWFbとは、図36に図示されていない領域において電磁気的に結合されることによって、1つのポスト壁導波路PWFを構成している。したがって、ポスト壁導波路PWFaは、ポスト壁導波路PWFの一方の端部領域であり、ポスト壁導波路PWFbは、ポスト壁導波路PWFの他方の端部領域である。ポスト壁導波路PWFを平面視した場合の形状は、特に限定されず適宜定めることができる。
ポスト壁導波路PWFaは、ポスト壁導波路PWFを構成する一対のショート壁のうち一方のショート壁であるショート壁14acを含む。ポスト壁導波路PWFbは、ポスト壁導波路PWFを構成する一対のショート壁のうち他方のショート壁であるショート壁14bcを含む。ポスト壁導波路PWFaにおいて、一方の広壁を構成する導体層12Fのうちショート壁14acの近傍には開口121Fa(第1の開口の一例)が設けられている。ポスト壁導波路PWFbにおいて、一方の広壁を構成する導体層12Fのうちショート壁14bcの近傍には開口121Fb(第2の開口の一例)が設けられている。開口121Fa,121Fbは、モード変換器10Fにおける開口121Fに対応する。
開口121Fa,121Fbは、等脚台形状である。なお、開口121Fa,121Fbは、台形状であってもよい。ポスト壁導波路PWFを平面視した場合に、開口121Faは、等脚台形状を形成する一対の底がポスト壁導波路PWFaを構成する狭壁14Faa及び狭壁14Fabbの各々と平行になるように、且つ、後述する帯状導体16Faの中心軸から開口121Faの一対の底のうち長さが短い底までの距離が、帯状導体16Faの中心軸から開口121Faの一対の底のうち長さが長い底までの距離を上回る、ように配置されている。また、ポスト壁導波路PWFを平面視した場合に、開口121Fbは、等脚台形状を形成する一対の底がポスト壁導波路PWFbを構成する狭壁14Fba及び狭壁14Fabbの各々と平行になるように、且つ、後述する帯状導体16Fbの中心軸から開口121Fbの一対の底のうち長さが短い底までの距離が、帯状導体16Fbの中心軸から開口121Fbの一対の底のうち長さが長い底までの距離を上回る、ように配置されている。また、開口121Faの一対の底のうち長さが長い底は、狭壁14Fabb側にあり、開口121Fbの一対の底のうち長さが長い底は、狭壁14Fabb側にある。
ポスト壁導波路PWFa,PWFbと、マイクロストリップ線路MSFa,MSFbとは、図36に図示していない半田を用いて接合されている。この半田は、導体層12Fと導体層17Fとを短絡するとともに接合する接合部材の一例であり、モード変換器10が備えている半田18に対応する。
ポスト壁導波路PWFは、導波領域の形状及びサイズに依存したカットオフ周波数を有する。したがって、ポスト壁導波路PWFは、ハイパスフィルタとして機能する。また、導波領域の内部に電磁気的に結合した複数の共振器を設けた場合、ポスト壁導波路PWFは、バンドパスフィルタとして機能する。したがって、RFモジュール1Fは、(1)RFIC21Fの出力ポートからマイクロストリップ線路MSFaを介してポスト壁導波路PWFに供給された高周波に対して所定のフィルタリング処理を施したうえで、(2)フィルタリング処理を施された高周波をポスト壁導波路PWFからマイクロストリップ線路MSFbを介してRFIC21Fの入力ポートに供給することができる。
ポスト壁導波路PWFa,PWFbを含むポスト壁導波路PWFは、基板11Fと、導体層12F,13Fと、を備えている。基板11F及び導体層12F,13Fは、ポスト壁導波路PWFa,PWFbを含むポスト壁導波路PWFにおいて共通の部材である。また、ポスト壁導波路PWFa,PWFbの各々は、それぞれ、ポスト壁14Fa,14Fbを備えている。基板11Fは、モード変換器10の基板11に対応し、導体層12F,13Fは、モード変換器10の導体層12,13に対応し、ポスト壁14Fa,14Fbは、モード変換器10のポスト壁14に対応する。なお、導体層13Fは、図36に図示されていない。
RFモジュール1Fにおいて、ポスト壁導波路PWFa,PWFbの各々は、それぞれの導波領域が延伸されている方向が平行になるように、且つ、それぞれの間隔ができるだけ狭くなるように配置されている。そのため、ポスト壁導波路PWFa,PWFbの各々は、ポスト壁14Fa,14Fbを構成する狭壁のうちポスト壁導波路PWFa,PWFbを隔てる狭壁14Fabbを共有している。ショート壁14Facとともにポスト壁14Faを構成する狭壁14Faaと狭壁14Fabbとは、互いに平行である。また、ショート壁14Fbcとともにポスト壁14Fbを構成する狭壁14Fbaと狭壁14Fabbとは、互いに平行である。
(マイクロストリップ線路MSFa,MSFb)
マイクロストリップ線路MSFa,MSFbは、基板15Fと、導体層17Fとを備えている。基板15F及び導体層17Fは、マイクロストリップ線路MSFa,MSFbにおいて共通の部材である。マイクロストリップ線路MSFa,MSFbの各々は、それぞれ、帯状導体16Fa,16Fbを備えている。基板15Fは、モード変換器10の基板15に対応し、導体層17Fは、モード変換器10の導体層17に対応し、帯状導体16Fa,16Fbは、モード変換器10の帯状導体16に対応する。また、帯状導体16Fa,16Fbの各々は、それぞれ、第3の帯状導体及び第4の帯状導体の一例である。
モード変換器10Faにおいて、マイクロストリップ線路MSFaにおけるモードと、ポスト壁導波路PWFaにおけるモードとは、帯状導体16Faの一部と、開口121Faの一部とが平面視において重畳している領域を介して結合される。同様に、モード変換器10Fbにおいて、マイクロストリップ線路MSFbにおけるモードと、ポスト壁導波路PWFbにおけるモードとは、帯状導体16Fbの一部と、開口121Fbの一部とが平面視において重畳している領域を介して結合される。すなわち、モード変換器10Fa,10Fbは、励振ピンを用いることなく、帯状導体16Fa,16Fbとは直接接触しない開口121Fa,121Fbを介して、これらのモードを変換することができる。
RFモジュール1Fにおいて、モード変換器10Fa,10Fbの各々は、狭壁14Fabbを構成する各スルービアの中心軸を含む平面を対称面として、鏡映対称になるように構成されている。
図36に示したB−B’線は、図31に示したB−B’線と同じく、ポスト壁導波路PWFaの幅を二等分する点の集合である直線であり、図36に示したC−C’線は、図31に示したC−C’線と同じく、帯状導体16Faの中心軸と一致する直線である。図36に示したD−D’線は、ポスト壁導波路PWFbの幅を二等分する点の集合である直線であり、図36に示したE−E’線は、帯状導体16Fbの中心軸と一致する直線である。
図36に示すように、帯状導体16Fa,16Fbの各々は、それぞれ、B−B’線の位置及びD−D’線の位置を基準として、それぞれの中心軸同士の間隔が近づく方向に、ギャップΔGa,ΔGbだけ平行にずれて配置されている。すなわち、ポスト壁導波路PWFを平面視した場合に、帯状導体16Faの中心軸及び帯状導体16Fbの中心軸は、何れも、B−B’線とD−D’線との間に位置する。なお、RFモジュール1Fにおいて、ΔGa=ΔGbである。そこで、以下においては、ギャップΔGa,ΔGbのことを単にギャップΔGとも記載する。
<RFIC21Fを実装するための構成>
帯状導体16Faの一対の先端部のうち、開口121Faに近く且つ開口121Faから突出している先端部を一方の先端部とし、開口121Faから遠い側の先端部を他方の先端部と称する。帯状導体16Faの他方の先端部は、RFIC21Fの信号端子E1aと接続するための信号用導体パッドとして機能する。帯状導体16Faの他方の先端部の両脇には、該他方の先端部を挟み込むように、RFIC21Fのグランド端子E2a,E3aの各々と接続するためのグランド用導体パッドG2a,G3aが形成されている。グランド用導体パッドG2a,G3aの各々は、導体層12Fと短絡されている。このように、帯状導体16Faの他方の先端部及び近傍には、RFIC21Fの出力ポートを接続するための端子であって、グランド用−信号用−グランド用の順番で導体パッドが配列されたGSG配置の端子が形成されている。
帯状導体16Faの他方の先端部には、バンプB1aを用いて信号端子E1aが接続され、グランド用導体パッドG2a,G3aの各々には、それぞれ、バンプB2a,B3aを用いてグランド端子E2a,E3aの各々が接続されている。
同様に、帯状導体16Fbの一対の先端部のうち、開口121Fbに近く且つ開口121Fbから突出している先端部を一方の先端部とし、開口121Fbから遠い側の先端部を他方の先端部と称する。帯状導体16Fbの他方の先端部及び近傍には、RFIC21Fの入力ポートを接続するための端子であって、GSG配置の端子が形成されている。このGSG配置の端子は、帯状導体16Fbの他方の先端部と、該他方の先端部を挟み込むように配置されたグランド用導体パッドG2b,G3bとにより構成されている。帯状導体16Fbの他方の先端部には、バンプB1bを用いて信号端子E1bが接続され、グランド用導体パッドG2b,G3bの各々には、それぞれ、バンプB2b,B3bを用いてグランド端子E2b,E3bの各々が接続されている。
RFモジュール1Fによれば、帯状導体16Faの中心軸がB−B’線に一致するように帯状導体16Faが設けられ、且つ、帯状導体16Fbの中心軸がD−D’線に一致するように帯状導体16Fbが設けられている場合と比較して、帯状導体16Fa,16Fbの各々の中心軸同士の間隔を2ΔGだけ狭めることができる。したがって、出力ポートを構成する信号端子E1aと、入力ポートを構成する信号端子E1bとの間隔が、B−B’線とD−D’線との間隔(すなわち、ポスト壁導波路PWFa,PWFbの幅)よりも狭いRFIC21Fを、マイクロストリップ線路MSFa,MSFbに実装する場合であっても、容易に実装することができる。
<第7の変形例>
本発明の第7の変形例であって、図1及び図2に示したモード変換器10の変形例であるモード変換器10Gについて、図37を参照して説明する。図37は、モード変換器10Gの断面図である。
モード変換器10Gは、モード変換器10をベースにして、コネクタ19Gを追加することによって得られる。コネクタ19Gは、所望の動作帯域に含まれる高周波を伝送可能なコネクタであればよく、例えば、市販されているコネクタの中から適宜選択することができる。したがって、モード変換器10Gにおいて、コネクタ19Gの内部構造は限定されない。そのため、図37においては、コネクタ19Gの内部構造の図示を省略している。本変形例では、コネクタ19Gとして、同軸コネクタの対を構成するジャック側コネクタ及びプラグ側コネクタのうちジャック側コネクタを採用している。
コネクタ19Gは、マイクロストリップ線路MSの端部であって、開口121を介してポスト壁導波路PWと結合している端部と逆側の端部において、基板15Gに対して固定されている。
同軸コネクタであるコネクタ19Gは、中央導体と、外側導体とを備えている。中央導体は、マイクロストリップ線路MSの帯状導体16と電気的に接続されている。外側導体は、シェルとも呼ばれ、マイクロストリップ線路MSの導体層17と電気的に接続されている。
このように構成されたモード変換器10Gは、外部からコネクタ19Gに結合されるモードと、ポスト壁導波路PWにおけるモードとを、マイクロストリップ線路MSを介して変換することができる。そのうえで、モード変換器10Gは、従来のモード変換器が備えていた励振ピンを用いていないためモード変換器10と同様の効果を奏する。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10Fa,10Fb,10G モード変換器
PW,PWFa,PWFb ポスト壁導波路
11 基板
12,13 導体層
121,121F 開口
121Fa,121Fb 開口(第1の開口、第2の開口)
14,14Fa,14Fb ポスト壁
14a,14b,14Faa,14Fba,14Fb 狭壁
14c,14Fac,14Fbc ショート壁
14i スルービア
15 基板
16,16B,16C,16E,16F 帯状導体
16a,16b 帯状導体(第1の帯状導体、第2の帯状導体)
16Fa,16Fb 帯状導体(第3の帯状導体、第4の帯状導体)
16B1,16B2 スタブ
16C1 第1の導体パターン
16C2 第2の導体パターン
16C3 スルービア
17 導体層
18,18C,18D 半田(接合部材)
18A 接着剤(接合部材)
19G コネクタ
MS,MSFa,MSFb マイクロストリップ線路
1,1F RFモジュール
21,21F RFIC
22 アンテナ

Claims (15)

  1. 一方の広壁に開口が設けられたポスト壁導波路と、
    一方の主面及び他方の主面の少なくとも何れかに帯状導体が形成された誘電体製の基板と、
    上記一方の広壁と上記基板とを直接又は間接に接合する接合部材と、を備え、
    上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記開口の少なくとも一部と、上記帯状導体の少なくとも一部とは、重畳している、
    ことを特徴とするモード変換器。
  2. 上記帯状導体は、TEM線路又は準TEM線路の信号線を構成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモード変換器。
  3. 上記TEM線路又は準TEM線路は、マイクロストリップ線路、ストリップ線路、コプレナー線路、グランド付きコプレナー線路、及び平行2線路のうちいずれかである、
    ことを特徴とする請求項2に記載のモード変換器。
  4. 上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記帯状導体のうち上記開口と重畳している領域の近傍には、スタブが形成されている、
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のモード変換器。
  5. 上記ポスト壁導波路は、フィルタ、方向性結合器、ダイプレクサ、及びアンテナの何れかとして機能する、
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のモード変換器。
  6. 上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記ポスト壁導波路を構成する一対の狭壁同士は、平行であり、且つ、上記ポスト壁導波路の幅を二等分する点の集合である直線と、上記帯状導体の中心軸とは、ずれている、
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のモード変換器。
  7. 上記開口は、台形状であり、
    上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記開口は、上記台形状を形成する一対の底が上記一対の狭壁の各々と平行になるように、且つ、上記中心軸から上記一対の底のうち長さが短い底までの距離が、上記中心軸から上記一対の底のうち長さが長い底までの距離を上回る、ように配置されている、
    ことを特徴とする請求項6に記載のモード変換器。
  8. 上記帯状導体に電気的に接続された中央導体を備えた同軸コネクタであって、少なくとも上記基板に固定された同軸コネクタを更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のモード変換器。
  9. 一方の広壁の第1のショート壁の近傍に第1の開口が設けられ、且つ、上記一方の広壁の第2のショート壁の近傍に第2の開口が設けられたポスト壁導波路と、
    一方の主面及び他方の主面の少なくとも何れかに第1の帯状導体が形成され、且つ、上記一方の主面及び上記他方の主面の少なくとも何れかに第2の帯状導体が形成され、且つ、上記一方の主面及び上記他方の主面の少なくとも何れかにアンテナが形成された誘電体製の基板と、
    上記一方の広壁と上記基板とを直接又は間接に接合する接合部材と、
    上記基板の一方の主面に実装され、且つ、何れかの端子が上記第1の帯状導体に電気的に接続されたRFICと、を備え、
    上記アンテナは、上記第2の帯状導体に電気的に接続され、
    上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記第1の開口の少なくとも一部と、上記第1の帯状導体の少なくとも一部とは、重畳しており、且つ、上記第2の開口の少なくとも一部と、上記第2の帯状導体の少なくとも一部とは、重畳している、
    ことを特徴とするRFモジュール。
  10. 請求項9に記載のRFモジュールを送信モジュール、受信モジュール、及び送受信モジュールの少なくとも何れかとして備えている、
    ことを特徴とする携帯端末。
  11. 一対の広壁と、狭壁と、一対のショート壁とにより導波領域が形成されたポスト壁導波路であって、(1)一方の広壁のうち一方のショート壁を含む一方の端部領域に第1の開口が設けられ、且つ、(2)上記一方の広壁のうち他方のショート壁を含む他方の端部領域に第2の開口が設けられ、且つ、(3)上記一方の端部領域と、上記他方の端部領域とが平行且つ近接して配置されているポスト壁導波路と、
    一方の主面及び他方の主面の少なくとも何れかに第3の帯状導体及び第4の帯状導体が形成された誘電体製の基板と、
    上記一方の広壁と上記基板とを直接又は間接に接合する接合部材と、
    上記基板の一方の主面に実装され、且つ、出力端子及び入力端子の各々が、それぞれ、上記第3の帯状導体及び上記第4の帯状導体に電気的に接続されたRFICと、を備え、
    上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記第1の開口の少なくとも一部と、上記第3の帯状導体の少なくとも一部とは、重畳しており、且つ、上記第2の開口の少なくとも一部と、上記第4の帯状導体の少なくとも一部とは、重畳している、
    ことを特徴とするRFモジュール。
  12. 上記ポスト壁導波路は、フィルタとして機能する、
    ことを特徴とする請求項11に記載のRFモジュール。
  13. 上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記一方の端部領域を構成する上記狭壁同士、及び、上記他方の端部領域を構成する上記狭壁同士は、平行であり、且つ、上記一方の端部領域の幅を二等分する点の集合である直線と、上記第3の帯状導体の中心軸とは、ずれており、且つ、上記他方の端部領域の幅を二等分する点の集合である直線と、上記第4の帯状導体の中心軸とは、ずれている、
    ことを特徴とする請求項11又は12に記載のRFモジュール。
  14. 上記第1の開口及び上記第2の開口は、台形状であり、
    上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、
    上記第1の開口は、上記台形状を形成する一対の底が上記一方の端部領域を構成する上記狭壁同士と平行になるように、且つ、上記第3の帯状導体の上記中心軸から上記第1の開口の上記一対の底のうち長さが短い底までの距離が、上記第3の帯状導体の上記中心軸から上記第1の開口の上記一対の底のうち長さが長い底までの距離を上回る、ように配置されており、
    上記第2の開口は、上記台形状を形成する一対の底が上記他方の端部領域を構成する上記狭壁同士と平行になるように、且つ、上記第4の帯状導体の上記中心軸から上記第2の開口の上記一対の底のうち長さが短い底までの距離が、上記第4の帯状導体の上記中心軸から上記第2の開口の上記一対の底のうち長さが長い底までの距離を上回る、ように配置されている、
    ことを特徴とする請求項13に記載のRFモジュール。
  15. 上記ポスト壁導波路を平面視した場合に、上記第3の帯状導体の上記中心軸及び上記第4の帯状導体の上記中心軸は、何れも、上記一方の端部領域の幅を二等分する点の集合である上記直線と、上記他方の端部領域の幅を二等分する点の集合である上記直線との間に位置する、
    ことを特徴とする請求項13又は14に記載のRFモジュール。
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