JP2020199747A - 自動車用バックドア及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム部材と樹脂部材を備えるとともに両部材の接合強度が高く且つ軽量な自動車用バックドア及びその製造方法を提供すること。【解決手段】バックドアは、アルミニウム基材2の少なくとも一部の表面に1層又は複数層の樹脂コーティング層4が積層されたアルミニウム部材1と、アルミニウム部材1のアルミニウム基材2の樹脂コーティング層4側の面4aに接合された樹脂部材とを備える。樹脂コーティング層4は、アルミニウム基材2の表面処理された面に積層されている。樹脂コーティング層4の少なくとも1層が、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されている。【選択図】図6

Description

本発明は、自動車の車体後部に設けられる開閉式のバックドア及びその製造方法に関する。
なお本明細書及び特許請求の範囲では、文中に特に明示した場合を除き、「アルミニウム」の語は純アルミニウムとアルミニウム合金との双方を含む意味で用いられる。
ハッチバック式と呼ばれる自動車はその後部に開閉式のバックドアを備えている。この種の自動車にはバックドアの軽量化による燃費の改善が求められているが、アルミニウム、鉄などの金属製バックドアでは、軽量化が困難である。一方、樹脂製バックドアでは、バックドアに要求される剛性が不足する虞がある。
特許文献1(特開2015−71375号公報)は、アウターパネルとインナーパネルとからなるバックドアを開示している。このバックドアでは、アウターパネル及び/又はインナーパネルの少なくとも一部が金属/樹脂複合構造体を含んでおり、この構造体は、樹脂材料からなる構造体部と、アルミニウム等からなる金属体部と、樹脂材料からなるリブ部とを備えている。そして、金属体部が構造体部に接合されており、リブ部が構造体部及び/又は金属体部に接合されており、リブ部によってバックドアの剛性が高められている。
特開2015−71375号公報
上記特許文献1のバックドアのように、アルミニウム部材と樹脂部材を接合することでバックドアを製造する場合、バックドアに要求される強度(例:剛性)を満足させるためには両部材は強固に接合されていることが好ましい。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、アルミニウム部材と樹脂部材を備えるとともに両部材の接合強度が高く且つ軽量な自動車用バックドア及びその製造方法を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
1) アルミニウム基材の少なくとも一部の表面に1層又は複数層の樹脂コーティング層が積層されたアルミニウム部材と、前記アルミニウム部材の前記アルミニウム基材の前記樹脂コーティング層側の面に接合された樹脂部材とを備え、
前記樹脂コーティング層は、前記アルミニウム基材の表面処理された面に積層され、
前記樹脂コーティング層の少なくとも1層が、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されている自動車用バックドア。
2) 前記樹脂コーティング層が複数層であり、その少なくとも1層が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物から形成されており、
前記熱硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である前項1記載の自動車用バックドア。
3) 前記アルミニウム基材の表面処理された面と前記樹脂コーティング層との間に官能基付着層を有し、
前記官能基付着層が、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種から導入された官能基を有する前項1又は2記載の自動車用バックドア。
4) 前記表面処理が、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理及び化成処理からなる群より選ばれる少なくとも1種である前項1〜3のいずれかに記載の自動車用バックドア。
5) 前記コーティング層がプライマー層である前項1〜4のいずれかに記載の自動車用バックドア。
6) 前記アルミニウム基材は、A6000系合金のアルミニウム押出形材からなり、且つ、引張強度が240MPa以上及びヤング率が65GPa以上の特性を有している前項1〜5のいずれかに記載の自動車用バックドア。
7) 前記アルミニウム基材は、A4000系合金のアルミニウム鍛造材からなり、且つ、引張強度が350MPa以上及びヤング率が70GPa以上の特性を有している前項1〜5のいずれかに記載の自動車用バックドア。
8) 車体室内側に配置される樹脂製インナーパネルと、車体外側に配置される樹脂製アウターパネルと、前記両パネル間に配置されるアルミニウム製フレームとを備え、
前記フレームが前記アルミニウム部材であり、
前記各パネルが前記樹脂部材であり、
前記フレームにおける少なくとも前記各パネルとの接触面が前記樹脂コーティング層側の面であり、
前記各パネルが前記フレームの前記接触面に接合されている前項1〜7のいずれかに記載の自動車用バックドア。
9) 前項1〜8のいずれかに記載の自動車用バックドアの製造方法であって、
射出成形法、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法又はハンドレイアップ成形法により樹脂部材を成形する際に、アルミニウム部材のアルミニウム基材の樹脂コーティング層側の面に樹脂部材を接合する自動車用バックドアの製造方法。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1では、バックドアは、アルミニウム部材と樹脂部材を備えているので、バックドア全体がアルミニウム製のものに比べて軽量である。
さらに、樹脂部材が、アルミニウム部材のアルミニウム基材の樹脂コーティング層側の面に接合されるとともに、樹脂コーティング層がアルミニウム基材の表面処理された面に積層されており、しかも、樹脂コーティング層の少なくとも1層が、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されているので、アルミニウム部材と樹脂部材との接合強度が高い。
前項2〜5では、アルミニウム部材と樹脂部材との接合強度を確実に高めることができる。
前項6では、アルミニウム基材が高い引張強度及び高いヤング率を有するので、バックドアの薄肉化を図ることができ、そのため、バックドアの軽量化に寄与する。
前項7では、アルミニウム基材が高い引張強度及び高いヤング率を有するので、バックドアの薄肉化を図ることができ、そのため、バックドアの軽量化に寄与する。
前項8では、フレームがアルミニウム部材なので、バックドアの剛性を高めることができる。さらに、各パネルが樹脂部材なので、バックドアの軽量化を確実に図ることができる。
前項9では、バックドアの製造工程数を削減できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車用バックドアの概略正面図である。 図2は、図1中のA−A線端面図である。 図3は、同バックドアをインナーパネルとフレームとアウターパネルとに分離した状態を示す概略斜視図である。 図4は、第1樹脂部材(インナーパネル)を射出成形法により成形する際に、アルミニウム部材(フレーム)を金型内に配置した状態を示す概略断面図である。 図5は、第2樹脂部材(アウターパネル)を射出成形法により成形する際に、アルミニウム部材(フレーム)を金型内に配置した状態を示す概略断面図である。 図6は、アルミニウム部材のアルミニウム基材の表面処理された面に樹脂コーティング層が形成された状態を示す概略断面図である。 図7は、同アルミニウム部材と樹脂部材が接合された状態の概略断面図である。 図8は、同アルミニウム部材と樹脂部材が接着剤層を介して接合された状態の概略断面図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る自動車用バックドア10は、ハッチバック式自動車の後部荷室への荷物の積み込み及び積み下ろしの際に開閉して使用されるものである。
なお、同図中の符号「31」はバックドア10に設けられたガラスであり、符号「32」はバックドア10に設けられたテールランプである。
図2及び3に示すように、バックドア10は、車体室内(詳述すると車体荷室内)側に配置される樹脂製インナーパネル21と、車体外側に配置される樹脂製アウターパネル22と、両パネル21、22間に配置されるアルミニウム製フレーム11とを備えており、インナーパネル21とアウターパネル22とが両パネル21、22間にフレーム11を挟み込んだ態様で一体化されたサンドウィッチ構造になっている。フレーム11の全体形状は略「日」字状である。
バックドア10において、アルミニウム部材1は上述したフレーム11を構成するものであり、樹脂部材8は上述した各パネル21、22を構成するものである。したがって、フレーム11がアルミニウム部材1から構成されており、各パネル21、22が樹脂部材8から構成されている。
バックドア10では、上述したように各パネル21、22が樹脂部材8から構成されているので、バックドア10の軽量化が確実に図られている。
また、バックドア10はその上端部に設けられたドアヒンジ(図示せず)を介して車体と連結されており、バックドア10を開けた際にはバックドア10がドアヒンジにて片持ち状に支持されるので、バックドア10には高い剛性が要求される。そこで、バックドア10の剛性を補うため、バックドア10の両パネル21、22間にフレーム11が挟み込まれている。さらに、フレーム11と各パネル21、22とが接合(接着)されており、これによりバックドア10の剛性が更に高められている。したがって、フレーム11に必ずしも補強リブを形成しなくてもバックドア10に要求される剛性を満足させることができる。そのため、フレーム11の作製が容易である。
次に、バックドア10の各部材の構成及びその製造方法について詳細に説明する。なお以下では、フレーム11を「アルミニウム部材1」とも記載し、各パネル(インナーパネル21、アウターパネル22)を「樹脂部材8」とも記載する。さらに、樹脂部材8について、インナーパネル21を構成する樹脂部材8とアウターパネル22を構成する樹脂部材8とを特に区別する場合は、前者を「第1樹脂部材8A」、後者を「第2樹脂部材8B」とも記載する。
[アルミニウム部材1]
アルミニウム部材1(フレーム11)は、図6に示すように、アルミニウム基材2と、アルミニウム基材2の表面上に積層された1層又は複数層の樹脂コーティング層4とを有している。
樹脂コーティング層4は、詳述するとアルミニウム基材2の表面処理された面上に積層されており、樹脂コーティング層4の少なくとも1層は、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されている。
アルミニウム基材2の表面処理された面は、図2に示すように、アルミニウム部材1(アルミニウム基材2)における少なくとも樹脂部材8との接合予定面であり、即ちアルミニウム部材1(基材2)における少なくとも樹脂部材8との接触面であり、具体的には、フレーム11におけるインナーパネル21との接触面11aとフレーム11におけるアウターパネル22との接触面11bとである。なお本発明では、アルミニウム基材2の表面処理された面は、その他に例えばアルミニウム基材2の表面全体であってもよい。
アルミニウム部材1は、アルミニウム基材2上にこのような樹脂コーティング層4が積層されていることにより、アルミニウム基材2に、樹脂部材8に対する優れた接合性(接着性)が付与される。したがって、樹脂コーティング層4はアルミニウム基材2のプライマー層5である。
ここで、プライマー層5とは、アルミニウム部材1と樹脂部材8が接合される際に、アルミニウム基材2と樹脂部材8との間に介在し、アルミニウム基材2の樹脂部材8に対する接合性(接着性)を向上させる層であることを意味する。
アルミニウム部材1について更に詳述する。
図6に示すように、アルミニウム部材1は、アルミニウム基材2の表面に形成された表面処理部2aの表面に官能基付着層3が設けられ、さらに、官能基付着層3の表面に樹脂コーティング層4が形成された構造を備えている。したがって、官能基付着層3はアルミニウム基材2の表面処理部2aと樹脂コーティング層4との間に形成されている。
なお本発明では、アルミニウム基材2の表面処理部2aと樹脂コーティング層4との間には必ずしも官能基付着層3が形成されていなくてもよい。すなわち、樹脂コーティング層4はアルミニウム基材2の表面処理部2aの表面に直接積層されていてもよい。
<アルミニウム基材2>
アルミニウム基材2のアルミニウム材料の種類は限定されるものではなく、例えばアルミニウム含有量が50質量%以上のものであり、具体的には、アルミニウム材料は、A6000系合金(例:A6061、A6082、A6110)、A4000系合金、A1000系合金、A390系合金などであることが好ましく、更に、アルミニウム材料は、Si含有量が10〜14質量%のアルミニウム合金であることがより好ましい。
特に、アルミニウム基材2はA6000系合金のアルミニウム押出形材からなるものであり、引張強度が240MPa以上及びヤング率が65GPa以上の特性を有していることが好ましい。この場合、アルミニウム基材2が高い引張強度(高強度)及び高いヤング率(高剛性)を有しているので、バックドア10の薄肉化を図ることができ、そのため、バックドア10の軽量化に寄与する。引張強度の上限は限定されるものではなく、例えば400MPaである。ヤング率の上限は限定されるものではなく、例えば70GPaである。
さらに、アルミニウム基材2はA4000系合金のアルミニウム鍛造材からなるものであり、引張強度が350MPa以上及びヤング率が70GPa以上の特性を有していることも好ましい。この場合、アルミニウム基材2が非常に高い引張強度(高強度)及び非常に高いヤング率(高剛性)を有しているので、バックドア10の更なる薄肉化を図ることができ、そのため、バックドア10の軽量化に非常に寄与する。引張強度の上限は限定されるものではなく、例えば480MPaである。ヤング率の上限は限定されるものではなく、例えば80GPaである。
アルミニウム基材2がアルミニウム鍛造材からなる場合、アルミニウム基材2は次の方法で製造されることが好ましい。
すなわち、アルミニウム基材2の好ましい製造方法では、所定の特性を有するアルミニウム材料の溶湯を連続鋳造装置に供給することにより鋳造棒を連続鋳造する工程と、鋳造棒を所定の長さに切断することによりビレット(素材)を得る工程と、ビレットを均質化処理する工程と、ビレットを外径面削する工程と、ビレットを熱間型鍛造加工することにより鍛造材としての概略平板棒形状の素形材を形成する工程とをこの記載の順に行う。次いで、素形材における所定の箇所(両端部など)に溶接用開先加工を機械加工(例:切削加工)により施すとともに、素形材における所定の箇所(樹脂部材8との接合予定面など)を機械加工(例:切削加工)により仕上げ加工する。このような素形材を複数作製し、これらをMIG溶接、摩擦撹拌接合等によって略「日」字状になるように接合する。これにより、アルミニウム鍛造材からなるアルミニウム基材2が得られる。
<表面処理(部)>
アルミニウム基材2における少なくとも樹脂部材8との接合予定面には表面処理部2aが形成されている。なお、表面処理部2aはアルミニウム基材2の一部とみなす。
表面処理としては、溶剤等による洗浄・脱脂処理、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理、化成処理(例:ベーマイト処理、ジルコニウム処理)等が挙げられ、アルミニウム基材2の表面に水酸基を生じさせる表面処理であることが好ましい。これらの処理は、1種のみであってもよく、2種以上を施してもよい。これらの表面処理の具体的な方法としては、公知の方法を用いることができる。
表面処理は、アルミニウム基材2の表面の清浄化、また、アンカー効果を目的として微細な凹凸を形成することによってアルミニウム基材2の表面を粗面化するものでもある。したがって、表面処理は、アルミニウム基材2の表面と、樹脂コーティング層4との接合性(接着性)を向上させることができ、また、樹脂部材8との接合性の向上にも寄与し得る。
したがって、アルミニウム部材1を製造する際、樹脂コーティング層4を形成する前に、アルミニウム基材2の表面処理が施される。表面処理としては、特に、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理及び化成処理からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
〔洗浄・脱脂処理〕
溶剤等による洗浄又は脱脂処理としては、例えば、アルミニウム基材2の表面を、アセトン、トルエン等の有機溶剤で洗浄したり拭いたりすることにより脱脂する等の方法が挙げられる。洗浄又は脱脂処理は、その他の表面処理の前に行われることが好ましい。
〔ブラスト処理〕
ブラスト処理としては、例えば、ショットブラストやサンドブラスト等が挙げられる。
〔研磨処理〕
研磨処理としては、例えば、研磨布を用いたバフ研磨や、研磨紙(サンドペーパー)を用いたロール研磨、電解研磨等が挙げられる。
〔エッチング処理〕
エッチング処理としては、例えば、アルカリ法、リン酸−硫酸法、フッ化物法、クロム酸−硫酸法、塩鉄法等の化学的エッチング処理、また、電解エッチング法等の電気化学的エッチング処理等が挙げられる。
特に、エッチング処理は、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いたアルカリ法が好ましく、更に、水酸化ナトリウム水溶液を用いた苛性ソーダ法が好ましい。
アルカリ法としては、例えば、アルミニウム基材2を、濃度3〜20質量%の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液(エッチング液)中に20〜70℃で1〜15分間浸漬させることにより行うことができる。添加剤として、キレート剤、酸化剤、リン酸塩等をエッチング液中に添加してもよい。また、浸漬後、5〜20質量%の硝酸水溶液等で中和(脱スマット)し、水洗、乾燥を行うことが好ましい。
〔化成処理〕
化成処理とは、主としてアルミニウム基材2の表面に、表面処理部2aとして化成皮膜を形成するものである。
化成処理としては、ベーマイト処理、ジルコニウム処理等が挙げられ、特にベーマイト処理が好ましい。
ベーマイト処理では、アルミニウム基材2を熱水処理することにより、アルミニウム基材2の表面にベーマイト皮膜が形成される。反応促進剤として、アンモニアやトリエタノールアミン等を水に添加してもよい。特に、アルミニウム基材2を、濃度0.1〜5.0質量%でトリエタノールアミンを含む90〜100℃の熱水中に3秒〜5分間浸漬して行うことが好ましい。
ジルコニウム処理では、アルミニウム基材2を、例えば、リン酸ジルコニウム等のジルコニウム塩含有液に浸漬することにより、アルミニウム基材2の表面にジルコニウム化合物の皮膜が形成される。特に、アルミニウム基材2を、ジルコニウム処理用の化成剤(例えば、日本パーカライジング株式会社製「パルコート3762」、同「パルコート3796」等)の45〜70℃の液中に0.5〜3分間浸漬して行うことが好ましい。ジルコニウム処理は、苛性ソーダ法によるエッチング処理後に行うことが好ましい。
<官能基付着層3>
官能基付着層3は、アルミニウム基材2の表面処理された面と樹脂コーティング層4との間に両者に接して積層されている。官能基付着層3は、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種から導入された官能基を有する層であることが好ましい。
アルミニウム基材2の表面処理された面と樹脂コーティング層4との間に上述の官能基を有する層が形成されていることにより、官能基が反応して形成する化学結合により、アルミニウム基材2の表面と、樹脂コーティング層4との接合性を向上させる効果が得られ、また、樹脂部材8との接合性の向上にも寄与しうる。
したがって、アルミニウム部材1を製造する際、樹脂コーティング層4を形成する前に、アルミニウム基材2の表面処理された面を、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種で処理することにより、アルミニウム基材2の表面処理された面に官能基付着層3を形成することが好ましい。
アルミニウム基材2は、表面処理部2aが形成されていることにより、表面処理部2aの微細な凹凸によるアンカー効果と、官能基付着層3の官能基が反応して形成する化学結合との相乗効果によって、アルミニウム基材2の表面と、樹脂コーティング層4との接合性、及び、樹脂部材8との接合性を向上させることができる。
シランカップリング剤、イソシアネート化合物又はチオール化合物により、官能基付着層3を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。具体的には、アルミニウム基材2を、濃度5〜50質量%のシランカップリング剤等の常温〜100℃の溶液中に1分〜5日間浸漬した後、常温〜100℃で1分〜5時間乾燥させる等の方法により行うことができる。
〔シランカップリング剤〕
シランカップリング剤としては、例えば、ガラス繊維の表面処理等に用いられる公知のものを使用することができる。シランカップリング剤を加水分解させて生成したシラノール基、又はこれがオリゴマー化したシラノール基が、アルミニウム基材2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、樹脂コーティング層4や樹脂部材8と化学結合可能な該シランカップリング剤の構造に基づく官能基を、アルミニウム基材2に対して付与する(導入する)ことができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジチオールトリアジンプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
〔イソシアネート化合物〕
イソシアネート化合物によれば、該イソシアネート化合物中のイソシアナト基が、アルミニウム基材2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、樹脂コーティング層4や樹脂部材8と化学結合可能な該イソシアネート化合物の構造に基づく官能基を、アルミニウム基材2に対して付与する(導入する)ことができる。
イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、多官能イソシアネートであるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の他、ラジカル反応性基を有するイソシアネート化合物である2−イソシアネートエチルメタクリレート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMOI(登録商標)」)、2−イソシアネートエチルアクリレート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズAOI(登録商標)」、同「AOI−VM(登録商標)」)、1,1−(ビスアクリロイルオキシエチル)エチルイソシアネート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズBEI(登録商標)」)等が挙げられる。
〔チオール化合物〕
チオール化合物によれば、該チオール化合物中のメルカプト基(チオール基)が、アルミニウム基材2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、樹脂コーティング層4や樹脂部材8と化学結合可能な該チオール化合物の構造に基づく官能基を、アルミニウム基材2に対して付与する(導入する)ことができる。
チオール化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(例えば、三菱化学株式会社製「QX40」、東レ・ファインケミカル株式会社製「QE−340M」)、エーテル系一級チオール(例えば、コグニス(Cognis)社製「カップキュア3−800」)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) NR1」)等が挙げられる。
<樹脂コーティング層4>
樹脂コーティング層4は、アルミニウム基材2の表面処理された面、すなわち、アルミニウム基材2の表面処理部2aの表面に積層される。あるいはまた、上述したように官能基付着層3の表面に積層されていてもよい。
また、樹脂コーティング層4は、1層で構成されていてもよく、2層以上の複数層から構成されていてもよい。
樹脂コーティング層4は、アルミニウム基材2の表面処理された面上に、優れた接合性(接着性)で形成されるし、アルミニウム基材2の表面を保護し、アルミニウム基材2の表面の汚れの付着や酸化等の変質を抑制することができる。
また、樹脂コーティング層4によって、アルミニウム基材2の表面に、樹脂部材8との優れた接合性が付与され得る。さらに、上述のようにアルミニウム基材2の表面が保護された状態で、数ヶ月間の長期にわたって、優れた接合性が得られる状態を維持し得るアルミニウム部材1を得ることもできる。
このように、アルミニウム部材1では、樹脂コーティング層4によって、アルミニウム基材2に樹脂部材8に対する優れた接合性が付与され得ることから、樹脂コーティング層4は上述したようにアルミニウム基材2のプライマー層5である。
(現場重合型フェノキシ樹脂)
樹脂コーティング層4の少なくとも1層は、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されてなる層(以下、現場重合型フェノキシ樹脂層とも言う。)である。
現場重合型フェノキシ樹脂とは、熱可塑エポキシ樹脂や、現場硬化型フェノキシ樹脂、現場硬化型エポキシ樹脂等とも呼ばれる樹脂であり、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物とが触媒存在下で重付加反応することにより、熱可塑構造、すなわち、リニアポリマー構造を形成する。すなわち、架橋構造による3次元ネットワークを構成する熱硬化性樹脂とは異なり、熱可塑性を有する樹脂コーティング層4を形成することができる。
現場重合型フェノキシ樹脂は、このような特徴を有していることにより、現場重合によって、アルミニウム基材2との接合性に優れた樹脂コーティング層4を形成することができ、かつ、該樹脂コーティング層4を樹脂部材8との接合性に優れたものとすることができる。
したがって、アルミニウム部材1を製造する際、アルミニウム基材2の表面処理された面上で、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物を重付加反応させることにより、樹脂コーティング層4の少なくとも1層を形成することが好ましい。
現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物の重付加反応は、官能基付着層3の表面で行うことが好ましく、また、樹脂コーティング層4の現場重合型フェノキシ樹脂層以外の層の表面で行うことも好ましい。このような態様で形成された現場重合型フェノキシ樹脂層を含む樹脂コーティング層は、アルミニウム基材2との接合性に優れ、かつ、樹脂部材8との接合性に優れたものである。
樹脂組成物により樹脂コーティング層4を形成するコーティング方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。
なお、樹脂組成物は、現場重合型フェノキシ樹脂の重付加反応を十分に進行させ、所望の樹脂コーティング層4を形成させるため、溶剤や、必要応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、樹脂組成物の溶剤以外の含有成分中、現場重合型フェノキシ樹脂が主成分であることが好ましい。主成分とは、現場重合型フェノキシ樹脂の含有率が50〜100質量%であることを意味する。この含有率は60質量%以上であることが好ましく、更に80質量%以上であることがより好ましい。
現場重合型フェノキシ樹脂を得るための重付加反応性化合物として、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール性化合物との組み合わせが好ましい。
2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。具体的には、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)834」、同「jER(登録商標)1001」、同「jER(登録商標)1004」、同「jER(登録商標) YX−4000」等が挙げられる。
2官能フェノール化合物としては、ビスフェノール、ビフェノール等が挙げられる。これらのうち、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、これらの組み合わせとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールA、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF、ビフェニル型エポキシ樹脂と4,4’−ビフェノール等が挙げられる。また、例えば、ナガセケムテックス株式会社製「WPE190」と「EX−991L」との組み合わせも挙げられる。
現場重合型フェノキシ樹脂の重付加反応のための触媒としては、例えば、トリエチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン;トリフェニルホスフィン等のリン系化合物等が好適に用いられる。
重付加反応は、反応化合物等の種類にもよるが、120〜200℃で、5〜90分間加熱して行うことが好ましい。具体的には、樹脂組成物をコーティングした後、適宜溶剤を揮発させ、その後、加熱して重付加反応を行うことにより、現場重合型フェノキシ樹脂層を形成することができる。
(熱硬化性樹脂)
樹脂コーティング層4が複数層からなる場合、そのうちの少なくとも1層は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物から形成されてなる層(以下、熱硬化性樹脂層とも言う。)であることも好ましい。熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂層の各層は、これらの樹脂のうちの1種単独で形成されていてもよく、2種以上が混合されて形成されていてもよい。あるいはまた、2層以上の各層が異なる種類の熱硬化性樹層であってもよい。
樹脂コーティング層4が、現場重合型フェノキシ樹脂層と、熱硬化性樹脂層との積層構成であることにより、熱硬化性樹脂に基づく強度や耐衝撃性等の種々の特性を備えた樹脂コーティング層でコーティングされたアルミニウム部材1を構成することができる。
なお、熱硬化性樹脂層、及び現場重合型フェノキシ樹脂層の積層順序は、特に限定されるものではないが、樹脂部材8との優れた接合性を得る観点から、現場重合型フェノキシ樹脂層が、樹脂コーティング層4の最表面となるように積層することが好ましい。
熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物により、樹脂コーティング層4のうちの少なくとも1層を形成するコーティング方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。
なお、樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の硬化反応を十分に進行させ、所望の樹脂コーティング層を形成させるため、溶剤や、必要応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、樹脂組成物の溶剤以外の含有成分中、熱硬化性樹脂が主成分であることが好ましい。主成分とは、熱硬化性樹脂の含有率が50〜100質量%であることを意味する。この含有率は60質量%以上であることが好ましく、更に80質量%以上であることがより好ましい。
なお、本発明で言う熱硬化性樹脂は、広く、架橋硬化する樹脂を意味し、加熱硬化タイプに限られず、常温硬化タイプや光硬化タイプも包含するものとする。光硬化タイプは、可視光や紫外線の照射によって短時間での硬化も可能である。光硬化タイプを、加熱硬化タイプ及び/又は常温硬化タイプと併用してもよい。光硬化タイプとしては、例えば、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)LC−760」、同「リポキシ(登録商標)LC−720」等のビニルエステル樹脂が挙げられる。
〔ウレタン樹脂〕
ウレタン樹脂は、通常、イソシアナト基と水酸基との反応によって得られる樹脂であり、ASTM D16において、「ビヒクル不揮発成分10wt%以上のポリイソシアネートを含む塗料」と定義されるものに該当するウレタン樹脂が好ましい。ウレタン樹脂は、一液型であっても、二液型であってもよい。
一液型ウレタン樹脂としては、油変性型(不飽和脂肪酸基の酸化重合により硬化するもの)、湿気硬化型(イソシアナト基と空気中の水との反応により硬化するもの)、ブロック型(ブロック剤が加熱により解離し再生したイソシアナト基と水酸基が反応して硬化するもの)、ラッカー型(溶剤が揮発して乾燥することにより硬化するもの)等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い容易性等の観点から、湿気硬化型一液ウレタン樹脂が好適に用いられる。具体的には、昭和電工株式会社製「UM−50P」等が挙げられる。
二液型ウレタン樹脂としては、触媒硬化型(イソシアナト基と空気中の水等とが触媒存在下で反応して硬化するもの)、ポリオール硬化型(イソシアナト基とポリオール化合物の水酸基との反応により硬化するもの)等が挙げられる。
ポリオール硬化型におけるポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、ポリオール硬化型におけるイソシアナト基を有するイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p−フェニレンジシソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やその多核体混合物であるポリメリックMDI等の芳香族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族イソシアネート等が挙げられる。
ポリオール硬化型の二液型ウレタン樹脂におけるポリオール化合物とイソシアネート化合物の配合比は、水酸基/イソシアナト基のモル当量比が0.7〜1.5の範囲であることが好ましい。
二液型ウレタン樹脂において使用されるウレタン化触媒としては、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジメチルエーテルアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレン−トリアミン、N−メチルモルフォリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン等のアミン系触媒;ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレエート等の有機錫系触媒等が挙げられる。
ポリオール硬化型においては、一般に、ポリオール化合物100質量部に対して、ウレタン化触媒が0.01〜10質量部配合されることが好ましい。
〔エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂である。
エポキシ樹脂の硬化前のプレポリマーとしては、エーテル系ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル系エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適に用いられる。これらのうち、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、具体的には、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)1001」等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製「D.E.N.(登録商標)438(登録商標)」等が挙げられる。
エポキシ樹脂に使用される硬化剤としては、脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物、フェノール樹脂、チオール類、イミダゾール類、カチオン触媒等の公知の硬化剤が挙げられる。硬化剤は、長鎖脂肪族アミン又は/及びチオール類との併用により、伸び率が大きく、耐衝撃性に優れるという効果が得られる。
チオール類の具体例としては、上述した表面処理におけるチオール化合物として例示したものと同じ化合物が挙げられる。これらの中でも、伸び率及び耐衝撃性の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)が好ましい。
〔ビニルエステル樹脂〕
ビニルエステル樹脂は、ビニルエステル化合物を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂とも呼ばれるが、ビニルエステル樹脂には、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂も包含するものとする。
ビニルエステル樹脂としては、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができ、また、具体的には、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R−802」、同「リポキシ(登録商標)R−804」、同「リポキシ(登録商標)R−806」等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、イソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリルモノマー(及び、必要に応じて水酸基含有アリルエーテルモノマー)を反応させて得られるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。具体的には、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R−6545」等が挙げられる。
ビニルエステル樹脂は、有機過酸化物等の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
有機過酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアリルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等が挙げられる。これらをコバルト金属塩等と組み合わせることにより、常温での硬化も可能となる。
コバルト金属塩としては、特に限定されるものではないが、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられる。これらの中でも、ナフテン酸コバルト又は/及びオクチル酸コバルトが好ましい。
〔不飽和ポリエステル樹脂〕
不飽和ポリエステル樹脂は、ポリオール化合物と不飽和多塩基酸(及び、必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。
不飽和ポリエステル樹脂としては、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができ、また、具体的には、昭和電工株式会社製「リゴラック(登録商標)」等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、ビニルエステル樹脂についてと同様の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
[バックドア10]
図7に示すように、バックドア10では、アルミニウム部材1のアルミニウム基材2の樹脂コーティング層4側の面4aと樹脂部材8とが接合されている。なお、樹脂コーティング層4は上述したようにアルミニウム基材2のプライマー層5である。
本実施形態では、詳述すると、アルミニウム部材1のアルミニウム基材2の樹脂コーティング層4側の面4aと樹脂部材8とが直接接するようにして接合されている。
上述したように、樹脂コーティング層4側の面4aは、樹脂部材8との接合性に優れているため、アルミニウム部材1と樹脂部材8とが高い接合強度で接合されたバックドア10を製造することができる。
樹脂コーティング層4の厚さ(乾燥後厚さ)は、樹脂部材8の樹脂の種類や接合面積にもよるが、樹脂コーティング層4側の面4aにおける樹脂部材8との優れた接合性を得る観点から、1μm〜10mmであることが好ましく、より好ましくは2μm〜8mm、さらに好ましくは3μm〜5mmである。
具体的には、アルミニウム部材1と樹脂部材8としての炭素繊維強化樹脂部材(CFRP部材)とを接合一体化する場合、アルミニウム部材1と樹脂部材8としてのガラス繊維強化樹脂部材(GFRP部材)とを接合一体化する場合などでは、樹脂コーティング層4の厚さは0.1〜10mmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜8mm、さらに好ましくは0.5〜5mmである。
樹脂部材8の樹脂の種類は限定されるものではなく、ポリプロピレン等の一般的な合成樹脂でよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の自動車部品等に用いられるような樹脂等も挙げられる。また、樹脂部材8の樹脂は、補強繊維(例:炭素繊維、ガラス繊維)を含有する樹脂であってもよい。そのような樹脂として、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)等が挙げられ、更に、シートモールディングコンパウンド(SMC)、バルクモールディングコンパウンド(BMC)等のシート状成形体等も挙げられる。
なお、SMCとは、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂、重合性不飽和単量体、硬化剤、低収縮剤及び充填剤等を混合したものを、補強繊維(例:炭素繊維、ガラス繊維)に含浸させることによって得られるシート状成形体である。
バックドア10の製造方法としては、アルミニウム部材1と樹脂部材8とをそれぞれ別個に作製したものを接合(接着)して一体化させる方法が挙げられる。
特に、バックドア10の製造方法として、樹脂部材8を成形するのと同時に、アルミニウム部材1と樹脂部材8を接合することで一体化する方法が好ましい。具体的には、射出成形法(インサート成形法を含む)、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法、ハンドレイアップ成形法等の方法で樹脂部材8を成形する際に、アルミニウム部材1のアルミニウム基材2の樹脂コーティング層4側の面4aに樹脂部材8を接合することにより、アルミニウム部材1と樹脂部材8とを一体化させ、これによりバックドア10を得ることができる。この場合、バックドア10の製造工程数の削減を図ることができる。
具体的には、図4に示すように、第1樹脂部材8A(即ち、インナーパネル21を構成する樹脂部材8)と第2樹脂部材8B(即ち、アウターパネル22を構成する樹脂部材8)をそれぞれ例えば射出成形法により成形する場合では、射出成形用金型40A内にアルミニウム部材1(即ちフレーム11)を配置し、射出装置(図示せず)により第1樹脂部材8Aの樹脂を金型40Aのキャビティー41Aに射出(その射出方向45A)することにより、第1樹脂部材8Aが成形され、これと同時にアルミニウム部材1と第1樹脂部材8Aが接合される。
その後、図5に示すように、第1樹脂部材8Aが接合されたアルミニウム部材1を射出成形用金型40B内に配置し、射出装置(図示せず)により第2樹脂部材8Bの樹脂を金型40Bのキャビティー41Bに射出(その射出方向45B)することにより、第2樹脂部材8Bが成形され、これと同時にアルミニウム部材1と第2樹脂部材8Bが接合される。以上の方法により、バックドア10が製造される。
図4及び5において、符号「44A」及び「44B」は製品を金型から取り出すノックアウトピンである。
なお本発明では、上述したバックドア10の製造方法では、上述したように第1樹脂部材8Aを成形した後で第2樹脂部材8Bを成形してもよいし、これとは逆に、第2樹脂部材8Bを成形した後で第1樹脂部材8Aを成形してもよい。
次に、本発明のもう一つの実施形態について以下に説明する。
図8に示すように、バックドア10は、アルミニウム部材1のアルミニウム基材2の樹脂コーティング層4側の面4aと樹脂部材8とが接着剤層7を介して接合一体化されていてもよい。
このように、樹脂部材8の樹脂の種類によっては、接着剤を用いることにより、アルミニウム部材1と樹脂部材8とがより高い接合強度で接合されたバックドア10を得ることができる。
接着剤層7の接着剤としては、樹脂部材8の樹脂の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、ビニルエステル樹脂系等の公知の接着剤を用いることができる。
なお、接合(接着)時の加熱温度によっては、接合(接着)後に室温に冷却する過程で、アルミニウム基材2と樹脂部材8との熱膨張係数の差に起因してバックドア10が熱変形を生じやすくなる。このような熱変形を抑制緩和する観点から、接着剤層7の厚さは、樹脂コーティング層4と接着剤層7との合計厚さが4μm以上になるようにし、アルミニウム基材2と樹脂部材8との間に伸び率の大きい特性を有する部分を所定の厚みで設けておくことが望ましい。上述の合計厚さは、接合時の温度変化(接合持の加熱温度から室温冷却までの温度変化)における樹脂コーティング層4及び接着剤層7の伸び率等の物性を考慮して求められることが好ましい。合計厚さの好ましい上限は10mmである。
ここで、アルミニウム部材1と樹脂部材8を接合する場合において、両部材1、8を接合する層を接合層といい、その厚さを接合層の厚さという。したがって、アルミニウム部材1の樹脂コーティング層4側の面4aに接着剤層7が形成されている場合は、樹脂コーティング層4と接着剤層7との両層4、7が接合層であり、両層4、10の合計厚さが接合層の厚さである。また、アルミニウム部材1の樹脂コーティング層4側の面4aに接着剤層7が形成されていない場合は、樹脂コーティング層4が接合層であり、樹脂コーティング層4の厚さが接合層の厚さである。
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、アルミニウム部材と接合される樹脂部材の数は2つであるが、本発明では、樹脂部材の数は2つであることに限定されるものではなく、その他に例えば1つであってもよいし複数であってもよい。
本発明に関連した実施試験例及び比較試験例を以下に示す。ただし、本発明は下記実施試験例に限定されるものではない。
<実施試験例1>
アルミニウム基材としてのアルミニウム板を熱間型鍛造により成形した。したがって、アルミニウム板は鍛造材からなる。そして、アルミニウム板の表面を機械切削加工により平滑にした。
アルミニウム板のアルミニウム材料は、昭和電工株式会社製「AHS(登録商標)−1」のアルミニウム合金であり、すなわち具体的には、A4000系合金に属するものであってSi:11.0質量%、Fe:0.23質量%、Cu:2.0質量%、Mg:0.6質量%、残部がAl及び不可避不純物からなる化学成分を有するものであり、またアルミニウム板の引張強度は400MPaであり、そのヤング率は78GPaであった。
また、アルミニウム板の寸法は長さ100mm、幅25mm及び厚さ1.6mmであった。
(表面処理工程)
アルミニウム板(即ちアルミニウム基材)を濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1.5分間浸漬した後、濃度5質量%の硝酸水溶液で中和し、水洗、乾燥を行うことにより、エッチング処理を行った。
次に、エッチング処理後のアルミニウム板を、トリエタノールアミンを0.3質量%含有する水溶液中で3分間煮沸することによって、ベーマイト処理を行い、これによりアルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−503」;シランカップリング剤)2.48g(0.01モル)を工業用エタノール1000gに溶解させた80℃のシランカップリング剤含有溶液中に、ベーマイト処理後のアルミニウム板を3分間浸漬した。その後、アルミニウム板を取り出して乾燥させ、これによりベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、一液型ウレタン樹脂(昭和電工株式会社製「UM−50P」)を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが15μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することによって、溶剤の揮発と硬化を行い、1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)を形成した。
さらに、熱硬化性樹脂層の表面に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1004」)100g、ビスフェノールA 12.6g、及びトリエチルアミン0.45gを、アセトン209g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、乾燥後の厚さが10μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより2層目の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ15μmの熱硬化性樹脂層、及び厚さ10μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材を射出成形用金型内に配置し、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、バルクモールディングコンパウント(BMC)(昭和電工株式会社社製「リゴラック(登録商標)RNC−980」)からなる板状の樹脂部材を、射出成形機(ファナック株式会社製「α‐S100iA」;金型温度160℃、成形圧力100MPa、成形時間3分)により射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体Aを作製した。
接合体Aにおいて、樹脂部材の寸法は長さ45mm、幅10mm及び厚さ3mmであり、またアルミニウム部材と樹脂部材との接合部の長さは5mmであった。
また、アルミニウム部材を常温の空気中で3ヶ月間保存し、その後、アルミニウム部材と樹脂部材を上記と同様に接合し、これによりアルミ−樹脂接合体Bを作製した。
<比較試験例1>
実施試験例1と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。そして、アルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例1と同様にBMCからなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材との接合を試みた。樹脂部材の成形後、金型内から両部材を取り出すと、アルミニウム部材と樹脂部材は接合しておらず樹脂部材が脱落した。
<実施試験例2>
(表面処理工程)
実施試験例1と同じアルミニウム板を準備した。そして、アルミニウム板について実施試験例1と同様に表面処理工程を行い、これにより、アルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、アルミニウム板のベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりに3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−5103」;シランカップリング剤)2.34g(0.01モル)を用いたこと以外は実施試験例1と同様に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、可視光硬化型ビニルエステル樹脂(昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)LC−720」)を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが15μmになるようにスプレー法にて塗布した後、アルミニウム板の表面から2cm離れた位置から、波長385nmのLED光を10分間照射することによって、官能基付着層3の表面に1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂(光硬化タイプ)層)を形成した。
さらに、熱硬化性樹脂層の表面に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1004」)100g、ビスフェノールA 12.6g、及びトリエチルアミン0.45gを、アセトン209g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、乾燥後の厚さが10μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより2層目の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ15μmの熱硬化性樹脂層、及び厚さ10μmの現場重合型フェノキシ樹脂の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接着剤層形成工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、常温硬化型接着剤を厚さが30μmとなるように層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。
なお、常温硬化型接着剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」)100g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」;硬化剤)70g、及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール10gを混合してなる常温硬化型接着剤を用いた。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材の接着剤層の表面に、実施試験例1と同様にBMCからなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体Aを作製した。
また、アルミニウム部材を常温の空気中で3ヶ月間保存し、その後、アルミニウム部材と樹脂部材を上記と同様に接合し、これによりアルミ−樹脂接合体Bを作製した。
<比較試験例2>
実施試験例2と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。このアルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例2と同様に常温硬化型接着剤を層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。次に、実施試験例2と同様にアルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体Aを作製した。
また、アルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を常温の空気中で3ヶ月間保存し、その後、アルミニウム部材と樹脂部材を上記と同様に接合し、これによりアルミ−樹脂接合体Bを作製した。
〔接合性評価〕
上記実施試験例1、2及び比較試験例、2で作製したアルミ−樹脂接合体について、常温で1日間放置後、ISO 19095 1−4に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製万能試験機オートグラフ「AG−IS」;ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH)にて、引張剪断接合強度試験を行い、接合強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2020199747
表1中の「接合強度評価」欄における符号の意味は次のとおりである。
○:接合強度が20MPa以上
×:接合強度が20MPa未満
−:アルミニウム部材と樹脂部材が接合していない。
<実施試験例3>
(表面処理工程)
実施試験例1と同じアルミニウム板を準備した。そして、アルミニウム板について実施試験例1と同様に表面処理工程を行い、これにより、アルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−903」;シランカップリング剤)2gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有溶液中に、ベーマイト処理後のアルミニウム板を3分間浸漬した。その後、アルミニウム板を取り出して乾燥させ、これによりベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、ビスフェノールA 24g、及びトリエチルアミン0.4gを、アセトン250g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが10μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより1層目の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
さらに、現場重合型フェノキシ樹脂層の表面に、ビニルエステル樹脂(昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R−6540」;引張伸び率20%)100g、オクチル酸コバルト0.5g、及び有機過酸化物触媒(化薬アクゾ株式会社製「硬化剤328E」)1.5gを混合してなる熱硬化性樹脂組成物を、スプレー法で塗布して常温で硬化させる操作を数回繰り返し行うことによって、厚さ2mmの2層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂(常温硬化タイプ)層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ10μmの現場重合型フェノキシ樹脂層、及び厚さ2mmの熱硬化性樹脂層の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接着剤層形成工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、常温硬化型接着剤を厚さが20μmとなるように層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。
なお、常温硬化型接着剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」)100g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」;硬化剤)70g、及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール10gを混合してなる常温硬化型接着剤を用いた。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材の接着剤層の表面に、実施試験例1と同様にBMCからなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体を作製した。
<比較試験例3>
実施試験例3と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。このアルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例3と同様に常温硬化型接着剤を層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。次に、実施試験例3と同様にアルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体を作製した。
<実施試験例4>
(表面処理工程)
実施試験例1と同じアルミニウム板を準備した。そして、アルミニウム板を、濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1.5分間浸漬した後、濃度5質量%の硝酸水溶液で中和し、水洗、乾燥を行うことにより、エッチング処理を行った。
次に、エッチング処理後のアルミニウム板を、純水中で10分間煮沸した後、250℃で10分間ベーキングすることによって、ベーマイト処理を行い、これによりアルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−903」;シランカップリング剤)2gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有溶液中に、ベーマイト処理後のアルミニウム板を20分間浸漬した。その後、アルミニウム板を取り出して乾燥させ、これによりベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、ビスフェノールA 24g、及びトリエチルアミン0.4gを、アセトン250g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが90μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ90μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材を射出成形用金型内に配置し、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)(SABIC社製「LEXAN(登録商標) 121R−111」)からなる板状の樹脂部材を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度300℃、ツール温度110℃、インジェクションスピード10mm/sec、ピーク/ホールディング圧力100/80[MPa/MPa])により射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体を作製した。
<比較試験例4>
実施試験例4と同様に表面処理工程及び官能基付与層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。そして、アルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例4と同様にPC樹脂からなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材との接合を試みたところ、アルミニウム部材と樹脂部材は全く接合していなかった。
<実施試験例5>
実施試験例4と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム板を準備した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」)100g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」;硬化剤)70g、及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール10gを、アセトン344gに溶解してなる硬化性樹脂組成物を、乾燥後の厚さが5μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって、溶剤の揮発と硬化を行い、1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)を形成した。
さらに、熱硬化性樹脂層の表面に、実施試験例4と同様の方法により現場硬化型フェノキシ樹脂層を厚さ80μmで形成し、2層目の樹脂コーティング層とした。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ5μmの熱硬化性樹脂層、及び厚さ80μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の2層からなる樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)の表面に、実施試験例4と同様にPC樹脂からなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂複合体を作製した。
<比較試験例5>
実施試験例4と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム板を準備した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、実施試験例5と同様に1層目の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)を形成したが、この熱硬化性樹脂層の表面には2層目の樹脂コーティング層(即ち現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成しなかった。
(接合工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層(熱硬化性樹脂層)の表面に、実施試験例4と同様にPC樹脂からなる板状の樹脂部材を射出成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材との接合を試みたところ、アルミニウム部材と樹脂部材は全く接合していなかった。
〔接合性評価〕
上記実施試験例3〜5及び比較試験例3〜5で作製したアルミ−樹脂接合体について、上記と同じ試験条件及び方法で引張剪断接合強度試験を行い、接合強度を測定した。これらの結果を表2に示す。なお、表2中の「接合強度評価」欄における符号の意味は表1と同じである。
Figure 2020199747
<実施試験例6>
実施試験例1と同じアルミニウム板を準備した。そして、アルミニウム板を、濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に1.5分間浸漬した後、濃度5質量%の硝酸水溶液で中和し、水洗、乾燥を行うことにより、エッチング処理を行った。
次に、エッチング処理後のアルミニウム板を、トリエタノールアミンを0.3質量%含有する水溶液中で3分間煮沸することによって、ベーマイト処理を行い、これによりアルミニウム板の表面に表面処理部(表面凹凸を有するベーマイト皮膜)を形成した。
(官能基付着層形成工程)
次に、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−603」;シランカップリング剤)4gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有水溶液中に、ベーマイト処理後のアルミニウム板を20分間浸漬した。その後、アルミニウム板を取り出して乾燥させ、これによりベーマイト皮膜(表面処理部)の表面に官能基付着層を形成した。
(樹脂コーティング層形成工程)
次に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」)100g、ビスフェノールA 61.6g、及びトリエチルアミン0.6gを、アセトン300g中に溶解してなる現場重合型フェノキシ樹脂組成物を、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、乾燥後の厚さが3μmになるようにスプレー法にて塗布した。そして、空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷し、これにより樹脂コーティング層(現場重合型フェノキシ樹脂層)を形成した。
以上の方法により、アルミニウム板の官能基付着層の表面に、厚さ3μmの現場重合型フェノキシ樹脂層の樹脂コーティング層が形成された板状のアルミニウム部材を作製した。
(接着剤層形成工程及び接合工程)
次に、アルミニウム部材の樹脂コーティング層の表面に、二液型ウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが2μmとなるように層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。なお、二液型ウレタン系接着剤として、昭和電工株式会社製の「ビニロール(登録商標)OLY−5438−6」100g、「ビニロール(登録商標)OLX−7872」5.45g、及び「ビニロール(登録商標)ショクバイエキB」10gを混合してなる接着剤を用いた。
(接合工程)
次に、アルミニウ部材をトランスファ成形用金型内に配置し、アルミニウム部材の接着剤層の表面に、PBT−GF30からなる板状の樹脂部材をトランスファ成形法により成形することにより、アルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体を作製した。なお、PBT−GF30とは、ガラス繊維が30%配合されたポリブチレンテレフタレート(即ちガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート)である。
<比較試験例6>
実施試験例6と同様に表面処理工程及び官能基付着層形成工程を順次行ったアルミニウム部材(樹脂コーティング層なし)を準備した。このアルミニウム部材の官能基付着層の表面に、実施試験例6と同様に二液型ウレタン系接着剤を層状に塗布した。そして、空気中に常温で24時間放置することで当該接着剤層を硬化させた。次に、実施試験例6と同様にアルミニウム部材と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体を作製した。
〔接合性評価〕
上記実施試験例6及び比較試験例6で作製したアルミ−樹脂接合体について、上記と同じ試験条件及び方法で引張剪断接合強度試験を行い、接合強度を測定した。これらの結果を表3に示す。なお、表3中の「接合強度評価」欄における符号の意味は表1と同じである。
Figure 2020199747
以上の表1〜3の評価結果から分かるように、実施試験例1〜6のアルミ−樹脂接合体はいずれも高い接合強度を有していた。
また、アルミニウム基材として別のアルミニウム材料からなるアルミニウム板を熱間型鍛造により成形し、その後、アルミニウム板の表面を機械切削加工により平滑にした。アルミニウム板のアルミニウム材料は、Si:0.6質量%、Fe:0.25質量%、Cu:0.3質量%、Mg:1.0質量%、残部がAl及び不可避不純物からなる化学成分を有するものである。
次に、実施試験例1〜6と同様にアルミニウム板と樹脂部材を接合し、これによりアルミ−樹脂接合体を作製した。そして、これらの接合体について、上記と同じ試験条件及び方法で引張剪断接合強度試験を行い、接合強度を測定した。その結果、これらの接合体はいずれも高い接合強度を有していた。
したがって、本発明によれば、アルミニウム部材と樹脂部材が強固に接合されたバックドアを製造しうると考えられる。
この発明は、例えばハッチバック式自動車用のバックドア及びその製造方法に利用可能である。
1:アルミニウム部材
2:アルミニウム基材
2a:表面処理層
3:官能基付着層
4:樹脂コーティング層
5:プライマー層
7:接着剤層
8:樹脂部材
8A:第1樹脂部材
8B:第2樹脂部材
10:バックドア
11:フレーム
21:インナーパネル
22:アウターパネル

Claims (9)

  1. アルミニウム基材の少なくとも一部の表面に1層又は複数層の樹脂コーティング層が積層されたアルミニウム部材と、前記アルミニウム部材の前記アルミニウム基材の前記樹脂コーティング層側の面に接合された樹脂部材とを備え、
    前記樹脂コーティング層は、前記アルミニウム基材の表面処理された面に積層され、
    前記樹脂コーティング層の少なくとも1層が、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されている自動車用バックドア。
  2. 前記樹脂コーティング層が複数層であり、その少なくとも1層が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物から形成されており、
    前記熱硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の自動車用バックドア。
  3. 前記アルミニウム基材の表面処理された面と前記樹脂コーティング層との間に官能基付着層を有し、
    前記官能基付着層が、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種から導入された官能基を有する請求項1又は2記載の自動車用バックドア。
  4. 前記表面処理が、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理及び化成処理からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用バックドア。
  5. 前記コーティング層がプライマー層である請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用バックドア。
  6. 前記アルミニウム基材は、A6000系合金のアルミニウム押出形材からなり、且つ、引張強度が240MPa以上及びヤング率が65GPa以上の特性を有している請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用バックドア。
  7. 前記アルミニウム基材は、A4000系合金のアルミニウム鍛造材からなり、且つ、引張強度が350MPa以上及びヤング率が70GPa以上の特性を有している請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用バックドア。
  8. 車体室内側に配置される樹脂製インナーパネルと、車体外側に配置される樹脂製アウターパネルと、前記両パネル間に配置されるアルミニウム製フレームとを備え、
    前記フレームが前記アルミニウム部材であり、
    前記各パネルが前記樹脂部材であり、
    前記フレームにおける少なくとも前記各パネルとの接触面が前記樹脂コーティング層側の面であり、
    前記各パネルが前記フレームの前記接触面に接合されている請求項1〜7のいずれかに記載の自動車用バックドア。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の自動車用バックドアの製造方法であって、
    射出成形法、トランスファ成形法、プレス成形法、フィラメントワインディング成形法又はハンドレイアップ成形法により樹脂部材を成形する際に、アルミニウム部材のアルミニウム基材の樹脂コーティング層側の面に樹脂部材を接合する自動車用バックドアの製造方法。
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