JP2020198743A - 回転電機および自動車用電動補機システム - Google Patents

回転電機および自動車用電動補機システム Download PDF

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Kazuatsu Tago
一農 田子
裕司 辻
Yuji Tsuji
裕司 辻
金澤 宏至
Hiroshi Kanazawa
宏至 金澤
省三 川崎
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省三 川崎
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Abstract

【課題】トルクリプルを、より低減することができる回転電機を提供することである。【解決手段】集中巻きの回転電機であって、スロット数S=6n(nは整数)であり、n>2であり、極数Pは4n<P<8nの偶数であり、|P−S|は6の倍数でなく、SとPの最大公約数が2である回転電機1において、周方向に隣接するスロットの間に配置されたティースに巻線が巻回されており、対向する前記巻線が直列に結線されており、n個の三相インバータにより駆動され、前記n個の三相インバータの電流位相が独立に制御され、前記n個の三相インバータに対応する各々の巻線系統がその隣に配置される巻線系統と異なるように設けられる、ことを特徴とする。【選択図】図4A

Description

本発明は、回転電機および自動車用電動補機システムに関する。
近年の自動車は、油圧システムから電動システムへの移行や、ハイブリッド自動車、電気自動車の市場拡大の流れを受けて、電動パワーステアリング装置(以下、「EPS装置」と称する)や電動ブレーキ装置の装着率が急速に増大している。また、アイドリングストップやブレーキなどの運転操作の一部を自動化した車の普及を背景に、運転快適性の向上とともに車室内の静音化が進展している。また、運転操作の自動化に伴って、EPS装置によるアシストトルクの提供を消失させないため、インバータを含む電子制御部の2系統化が進展している。
車室内の振動、騒音に繋がる電気モータ起因の加振源としては、電気モータのトルク変動成分(コギングトルクやトルクリプル)と、電気モータのステータとロータの間に発生する電磁加振力がある。これらのうちトルク変動成分による振動エネルギーは、電気モータの出力軸を介して車室内へ伝搬し、また、電磁加振力による振動エネルギーは、EPS装置の機械部品などを介して車室内へ伝搬する。これらの振動エネルギーが車室内へ伝搬することで、車室内の振動、騒音に繋がっている。
例えば、EPS装置では、電気モータがステアリングホイール操作をアシストすることから、運転者はステアリングホイールを介して、電気モータのコギングトルク、トルクリプル、電磁加振力によるモータ振動を手に感じることになる。また、トルクリプルと電磁加振力によるモータ振動は、ステアリングホイールを介して騒音になる場合と、その他の経路を介して車室内前面ボードに至って騒音になる場合がある。
これを抑制するため、EPS装置に用いる電気モータでは、一般にコギングトルクをアシストトルクの1/1000未満に、トルクリプルをアシストトルクの1/100未満に抑制することが求められる。また、電磁加振力の主たる空間モードの最小次数が2以下でないことがよいとされる。
ここで、EPS装置に用いられる電気モータとしては、通常、小型化および信頼性の点から、永久磁石式のブラシレスモータ(以下、「永久磁石式回転電機」と称する)が使用される。永久磁石式回転電機には、大別して、出力密度で優れる表面磁石式(SPM)と、磁石コストで優れる埋め込み磁石式(IPM)があるが、何れの場合も、磁石コスト低減の点から、極数に応じた個数に分離された磁石が使用されることが多い。
例えば、埋め込み磁石式では、通常、磁石収納空間を持つ一体ロータコアを用いる。一体ロータコアはロータ磁極の製造精度が高いため、ロータ磁極とステータ間のエアギャップ長を短縮できる。磁石収納空間のブリッジ部からの磁束漏れにより、表面磁石式に対してトルクが低下するが、エアギャップ長の短縮によりトルク低下を抑制できる。また、矩形の磁石を使用できるため、磁石コストを低減できる。
ここで、従来の厳しいトルクリプル許容上限値を課す場合、IPMにおいても磁石トルクのみを利用する突出磁極形状のモータが用いられる。円筒IPM形ロータを用いる場合は、トルクリプルが5%程度になり、上述のトルクリプル許容上限値との乖離が大きかったことが理由である。
一方、自動車の自動運転が導入される場合、ステアリングホイールとEPS装置を従来のように機械的に連結せずに、電気信号で接続することが想定されている。この場合、ステアリングホイール経由の振動・騒音がなくなり、モータ振動許容上限値は緩和され、無人運転である場合はモータ振動許容上限値がさらに緩和されると考えられる。有人自動運転の場合は、運転者が操舵するときのステアリングホイールとEPS装置の接続が機械的か電気的かの違いがあり、モータ振動許容上限値は前者よりも後者の方が緩和されると考えられる。また、モータのトルクリプルの場合、NS磁極の対の数の6倍の次数である6次成分が基本の次数であり、12次以上が高次成分であるが、伝播途中の減衰は高次ほど大きいため、高次成分のモータ振動許容上限値が緩和されると考えられる。このように、自動運転の導入に伴ってモータ振動許容上限値のバリエーションが増加するとともに、緩和される傾向にあると考えられる。また、ステアリングホイールとEPS装置が機械的に接続される場合もトルクリプル高次成分の許容上限値が緩和される場合があると考えられる。このため、トルクリプルを低減できれば、トルク増加が見込まれる円筒IPM形ロータを使用できる余地が生じている。
また、EPS装置では正逆の両方に回転するため、磁極周囲の磁束集中を両回転方向に対称にする必要があり、対称な形状の磁極が用いられる。
12ティースを有するブラシレスモータの先行技術として、特許第3681332号公報に記載されたものがある。特許第3681332号公報の段落[0014]には、「固定子巻線24のU相には、U1+、U1−、U2+、U2−がそれぞれ接続され、V相には、V1+、V1−、V2+、V2−がそれぞれ接続され、W相には、W1+、W1−、W2+、W2−がそれぞれ接続される」と記載されている。また、図2から、U1+とU1−はステータの対向位置にある巻線であり、U2+とU2−、V1+とV1−、V2+とV2−、W1+とW1−、W2+とW2−は、ステータの対向位置にある巻線であることが読み取れる。また、特許第3681332号公報の段落[0032]〜[0035]には、(1)U1+、U1−、V1+、V1−、W1+、W1−の各固定子巻線に、正弦波電流を加えた場合に発生するトルクに電気角で60度を周期とするトルク脈動を発生する。(2)U2+、U2−、V2+、V2−、W2+、W2−の各固定子巻線に、正弦波電流を加えた場合に発生するトルクに電気角で60度を周期とするトルク脈動を発生する。前記(1)、(2)のトルク脈動は、電気角で30度の位相差があるために、発生トルクの脈動は逆相となり、前記(1)、(2)の合成されたトルクは、脈動トルクを低減したものとなることが記されている。ここで、電気角で60度を周期とするトルク脈動は、360度において6周期であり、6次の脈動である。
このように、特許第3681332号公報には、12ティースを有するステータにおいて、前記(1)の巻線に発生するトルク脈動と前記(2)の巻線に発生するトルクリプルの6次成分を低減するという考え方が示されている。
また、18ティースを有するブラシレスモータの先行技術として、特許第5989154号公報に記載されたものがある。特許第5989154号公報の図2には14極18スロットのモータ断面図が示されており、図14には、周方向に近距離の巻線を直列に接続する巻線結線図が示されている。また、特許第5989154号公報には、その段落[0027]〜[0030]の説明により、第1の電機子巻線と第2の電機子巻線が、モータ断面の左右で別系統とする構成であり、第1の電機子巻線と第2の電機子巻線が互いに電気角20°〜40°ずらして駆動され、「望ましくは電気角30°とすることによって6次のトルクリップルを低減することができる」と記されている。
特許第3681332号公報
特許第5989154号公報
特許第3681332号公報および特許第5989154号公報に開示されたブラシレスモータは、トルクリプルの低減に関して改良の余地が多く残されている。特に円筒ロータIPMにおいてはトルクリプルの高次成分も大きくなりやすいため、トルクリプルの高次成分も低減できることが望ましい。しかし、特許第3681332号公報に記された技術はトルクリプルの高次成分低減には適さない。また、特許第5989154号公報に記された技術は、特に円筒ロータIPMのようにロータコアとステータコアの距離が全周において近く、トルクリプルが大きくなりやすい場合には、6次成分の低減においても適さない。そこで、トルクリプル6次成分を低減するだけでなく、トルクリプル12次成分を低減することにより、低トルクリプルにすることが望まれる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、トルクリプルを、より低減することができる回転電機を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために本発明は、スロット数S=6n(nは整数)であり、n>2であり、極数Pは4n<P<8nの偶数であり、|P−S|は6の倍数でなく、SとPの最大公約数が2である回転電機1において、周方向に隣接するスロットの間に配置されたティースに巻線が巻回されており、対向する前記巻線が直列に結線されており、n個の三相インバータにより駆動され、前記n個の三相インバータの電流位相が独立に制御され、前記n個の三相インバータに対応する各々の巻線系統がその隣に配置される巻線系統と異なるように設けられる、ことを特徴とする。
本発明によれば、回転電機においてトルクリプルをより低減することができる。
上記した以外の本発明の課題、構成、作用および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態に係る永久磁石式回転電機の回転面内断面図である。 巻線の相とずれ角度の説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る回転電機の断面における巻線の系統・相・巻回方向とずれ角度の対応を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るY巻線結線図である。 本発明の第1の実施形態に係るΔ巻線結線図である。 3系統駆動の回路図である。 トルクリプル6次成分と12次成分の低減原理の説明図である。 従来の回転電機の巻線結線を説明する図である。 従来の回転電機の回転面内断面図である。 12スロットの回転電機のトルクリプル6次成分の低減原理の説明図である。 位相差に対するトルクリプル6次成分の変化の説明図である。 図4の巻線結線と半整数巻を用いる場合のティースへの巻き回しを示す図である。 図4の巻線結線と配線プレートを用いる場合のティースへの巻き回しを示す図である。 本発明の回転電機1の36スロットの例である。 本発明の第3の実施形態に係るステータの断面図である。 第4の実施形態の巻線結線の例である。 第4の実施形態の巻線結線の例である。 第4の実施形態の巻線結線の例である。 第4の実施形態の巻線結線の例である。 半整数巻使用時の位相差に対するトルクリプル各成分の変化の説明図である。 整数巻使用時の位相差に対するトルクリプル各成分の変化の説明図である。 電流位相角に対するトルクリプル各成分の計算値の説明図である。 電流に対するトルクリプル各成分の計算値の説明図である。 2系統駆動の回路図である。 従来の2系統回転電機の巻線結線を説明する図である。 トルクリプル波形の計算値の説明図である。 トルクリプル各成分とトルクの計算値の比較の説明図である。 図12Aの巻線結線と半整数巻を用いる場合のティースへの巻き回しを示す図である。 図12Aの巻線結線と配線プレートを用いる場合のティースへの巻き回しを示す図である。 図12Cの巻線結線と配線プレートを用いる場合のティースへの巻き回しを示す図である。 自動車用補機モータを適用した操舵装置の外観図である。
本発明は、18スロット以上の集中巻の回転電機において、巻線の結線を工夫することにより、トルクリプル6次成分のみでなく、12次成分を低減できる。その構成と原理を以下に説明する。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。ここでは、14極18スロットの回転電機を例にとって説明する。
(第1の実施形態)
図1から図5を用いて、本発明の第1の実施形態に係る巻線の結線を備えた永久磁石式回転電機1の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る永久磁石式回転電機1の回転面内断面図である。図2は、図1の巻線の相とずれ角度の説明図である。図3は、第1の実施形態に係る回転電機1の断面における巻線の系統・相・巻回方向とずれ角度の対応を示す図である。図4は、第1の実施形態に係る巻線結線図である。なお、図4は、3系統駆動の回路図である。
図1に示すように、本実施形態の永久磁石式回転電機1は、外周側に略環状のステータ10を配置し、内周側に略円柱状のロータ20を配置した、14極18スロット集中巻の永久磁石式回転電機である。ステータ10とロータ20の間にはエアギャップ30が設けられている。ステータ10は、ステータコア100、コアバック110、複数のティース130および複数の巻線140を有しており、エアギャップ30を介してロータ20と対向して配置されている。
ステータ10は、例えば次のようにして形成される。まず、電磁鋼板の分割打ち抜きコアを積層した複数の分割ティース130を形成する。次に、各ティース130に巻線を巻回して巻線140を形成した後、円環状に配置し、図示しないハウジングに焼嵌めまたは圧入して一体化する。このようにして、ステータ10が形成される。
また、ロータ20は、電磁鋼板を積層した鉄心であるロータコア200と、回転軸となるシャフト300とを有する。ロータコア200の外周には、周方向に14極の磁極部220が設けられている。磁極部220の各々は、周方向に長い1つの磁石挿入孔201を有し、磁石挿入孔201の両端の内周側に磁石止め部211を有し、磁石止め部211の間に矩形形状の磁石収容部212を有し、前記磁石収容部212に永久磁石210が収容される。永久磁石210は、周方向にN極とS極が交互に配置される。
図1に示すように、18スロットの固定子を構成するティースに記号を付けて区別する。記号の付け方は、反時計まわりの方向に隣接して並ぶ順に、T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T10、T11、T12、T13、T14、T15、T16、T17、T18のようにする。このティースT1〜T18に巻回される巻線は、系統番号と相と巻回方向(もしくは電流方向)を用いて記号を付けて、それぞれ、3U+、2V+、1V−、3W−、2U−、1U+、3V+、2W+、1W−、3U−、2V−、1V+、3W+、2U+、1U−、3V−、2W−、1W+のように区別されている。数字はグループ番号を表し、U、V、Wの記号はU相、V相、W相を表し、+と−は巻回方向(または電流方向)の正逆を表す。
ここで、図2と図3を用いてティースT1〜T18のそれぞれが有するずれ角度、グループ、相、巻回方向の決め方について説明する。ロータ20の各磁極はN極とS極が交互に並んでおり、NS極対を1周期として周方向に繰り返すため、NS極対が電気的な360度を表し、全周の電気角は360*7度である(「*」は乗算の演算子である)。このとき、ティース1個は電気角で360*7/18=140度である(「/」は除算の演算子である)。電気角の360度を図2のように円盤で表すとき、通し番号1のティースT1を0度に配置し、140度回転した位置に次番号のティースを配置していくと、図2に示すように、ティースを棒線で表して放射状に各ティースを配置した図を作成できる。図2において、ティースT1をU相とし、60度ピッチで各相の領域を決定できる。ただし、60度ピッチ各相の領域内では、60度ピッチの中央線に対してティース配置が対称になるようにする。あるいは、60度ピッチに含まれるティースの角度の平均と60度ピッチ中心角とが一致するように60度ピッチの範囲を設定する。また、各相の+、−の記号は、ティースに巻回す巻線の巻回方向の正逆を示す。ここで、各相の中央線上のティースのずれ角度を0度と定義すると、各ティースの属する相とずれ角度が一意的に決定される。14極18スロットの場合は、ずれ角度が−20、0、+20度の3つあるため、ずれ角度が同じ巻線を同じグループとしてグループ分けすると、3つのグループができる。各グループはグループ番号あるいは、ずれ角度の違いで区別できる。このとき、最小ずれ角度を第1グループ、最大ずれ角度を第2グループ、ずれ角度なしを第3グループとするように、60度ピッチ内のティースの両側から番号付けする。
このようにして決めたグループ番号・相・巻回方向は、図1に記してある。また、図3には、各ティース、巻線のグループ番号・相・巻回方向とずれ角度を永久磁石式回転電機1の各ティース・巻線に対応させて表した。
ここで、通電周波数とロータ回転数が同期しているとき、各相の中央(ずれ角度0度)においては、通電位相とロータ磁極回転の位相が一致している。しかし、ずれ角度があると、通電位相とロータ磁極回転位相がずれていることを示しており、例えばずれ角度−20度のティースT6は通電位相がロータ磁極回転位相よりも20度遅れており、ずれ角度+20度のティースT5は通電位相がロータ磁極回転位相よりも20度進んでいる。ここで、同じずれ角度の巻線を同じグループとするため、18個のティースと巻線が、ずれ角度が−20、0、+20度の3つのグループに分けられる。これらの巻線に従来の1系統通電のように、ずれ角度0度に合わせて共通位相で通電すると、ずれ角度の違う2つの巻線グループは、異なるトルク脈動とトルクを生じさせると考えられる。そこで、同じずれ角度を持つ巻線グループを同じ系統にし、3系統の通電として、ずれ角度がなくなるように各系統の通電位相に差をつけると、すべての巻線の通電位相がロータ磁極回転の位相に一致することになる。ここで、最小ずれ角度を第1系統、最大ずれ角度を第2系統、ずれ角度なしを第3系統とする。このとき、通電系統は、グループ番号または、ずれ角度で区別して表せる。
このとき、図1と図3に示した、3U+、2V+、1V−、3W−、2U−、1U+、3V+、2W+、1W−、3U−、2V−、1V+、3W+、2U+、1U−、3V−、2W−、1W+のグループ番号、相、巻回方向において、グループ番号は系統番号でもある。円環状のステータの対向位置にある巻線同士は、ずれ角度が同じであり、同じグループ・系統になっている。周方向に隣接する巻線同士は、ずれ角度が相互に違っており、違うグループ・系統になっている。すなわち、各巻線の系統はその隣に配置される巻線の系統とは異なる。
図4Aおよび図4Bに、このように結線したときの巻線の結線図を各系統について示す。図4Aの各系統の巻線はY結線であり、ずれ角度だけ回転して表示されている。また、矢印方向に図示された角度数値をその系統の相中央の通電位相に加えることによって、巻線の通電位相が相中央に揃うことを示している。ここで、系統の相中央の通電位相に加える角度は、系統のずれ角度×(−1)であり、これを基準ずらし角と定義する。図4BにはΔ結線の場合を示しており、各巻線は、ずれ角度だけ回転して表示されている。矢印方向に図示された角度数値をその系統の相中央の通電位相に加えることによって、巻線の通電位相が相中央に揃うことを示している。
図5は3系統巻線を駆動する回路ブロック図の一例を示す。構成について説明する。3相巻線で構成される第1系統巻線141aと、第1系統巻線141aに対して電気角で40度の位相差を持って構成される第2系統巻線141bと、第1系統巻線141aに対して電気角で20度の位相差を持って構成される第3系統巻線141cに、それぞれ第1駆動回路41a、第2駆動回路41bおよび第3駆動回路41cが接続されている。第1駆動回路41a、第2駆動回路41bおよび第3駆動回路41cのそれぞれにはインバータ回路及び制御用ECUが含まれている。これにより、3個の三相インバータの電流位相が独立に制御できる。
第1駆動回路41aは、各相の電流をフィードバックできるように相電流の検出手段CtU1、CtV1およびCtW1を有している。第2駆動回路41bは、各相の電流をフィードバックできるように相電流の検出手段CtU2、CtV2およびCtW2を有している。第3駆動回路41cは、各相の電流をフィードバックできるように相電流の検出手段CtU3、CtV3およびCtW3を有している。第1駆動回路41a、第2駆動回路41bおよび第3駆動回路41cのそれぞれは、相電流の検出手段CtU1〜CtW3により、電流指令に対して実際に流れている電流を測定することで、2系統間のアンバランスを補正している。これにより、第2系統巻線141b、第3系統巻線141cの電流位相を調整することができる。第1駆動回路41aにはバッテリーBat1が接続され、第2駆動回路41bにはバッテリーBat2が接続され、第3駆動回路41cにはバッテリーBat3が接続される。バッテリーBat1とバッテリーBat2とバッテリーBat3は、互いに独立したバッテリーである。また、バッテリーBat1、Bat2及びBat3を充電するための発電機42も独立した系統端子を有しており、バッテリーBat1、Bat2及びBat3のそれぞれに独立して電力を供給できるようになっている。図5では発電機42は1つの筐体から独立した発電電圧を供給する構造として説明したが、完全に3系統を分けられるように3個の発電機からそれぞれ供給するようにしても良い。また、第1駆動回路41a、第2駆動回路41bおよび第3駆動回路41cは、互いの状況を把握できるように通信手段43a、43bおよび43cを有しており、異常発生時に不具合側のモータ駆動の低下分を助けるように動作できるようになっている。
次に、図6を用いて、本実施形態によるトルクリプルの低減原理について説明する。各巻線のずれ角度が消えるように、位相差をつけて通電する場合、どの系統の巻線もロータ磁極回転位相と同じ位相になり、ロータとの相互作用がどの系統も位相以外は同じになる。このため、どの系統も発生させるトルク波形が同じ形になり、位相が電気的に20度ずれているだけになる。このときのトルク脈動波形を模式的に図6に示す。トルク脈動は、基本次数(42次)の1周期が電気角60度であるが、1/3周期ずれた3つの同一波形を重ね合わせることになるので、図6に示すように、基本次数(42次)と2倍次数(84次)が相殺されて3倍次数が残ることになる。3倍次数のトルク脈動は円筒形ロータにおいて小さいことが期待できる。また、各巻線がロータ磁極と同位相でロータを駆動するので、共通位相で通電するよりもトルクが増加することが期待できる。
また、n系統の場合においても図6と同様に考えると、電気角で60/n度の位相差をつけることにより、各系統のトルク脈動が1/n周期ずれ、6*1、6*2、・・・、6*(n−1)次が除去され、影響の小さい6*n次の高次成分が残るため、トルクリプルが減少することが分かる。
次に、磁場解析によるトルクリプルの低減の検証について説明する。図1に示した永久磁石式回転電機1の断面形状に基づいて磁場解析を実施して得た、位相差なしと位相差20度のトルクリプルを表1に示す。表1は、14極18スロットのモータのトルクリプルの計算値を説明する表である。
Figure 2020198743
ここでは、巻回数5.5ターン、電流50Aとして計算した。表1において、位相差0度の場合は、1系統通電や2系統の位相差なしの通電と同じであり、第1グループと第2グループの巻線は、ロータ磁極の位相とずれ角度を持ってロータを駆動する場合になっている。このとき、極対6次(14極18スロットなので全周では42次)のトルクリプルは目標の1%を大きく超えており、特に弱め磁束極限の電流位相85度において20%に達していた。
これに対して、第1系統の位相差が20度、第2系統の位相差が−20度、第3系統の位相差が0度の場合は、表1に示すように、極対6次と極対12次のトルクリプルが極めて小さかった。この理由は、3つの系統が同条件のため、結果としてトルク脈動波形が同じ形であり、位相だけが1/3周期ずれたことにより、完全に相殺されたためである。
表2は、14極18スロットのモータのトルク比の計算値を説明する表である。
Figure 2020198743
表2に示すように、トルク比は、位相差を0度から20度にすると、電流位相0度で4%増加し、電流位相30度で6%増加した。この理由は、各巻線がロータ磁極と同位相でロータを駆動するためである。
ここで、系統間位相差20度の電流位相85度において、トルクリプル全体が5.34%である(表1参照)のは、極対18次(14極18スロットなので全周では126次)成分が5%程度になっているためである。本実施形態で使用したロータ磁極形状が、コギングトルクと同じ次数(この例では極対18次)のトルクリプル成分を低減する形状であるためである。
上記の検討から、18スロットの集中巻モータで、同じずれ角度を持つ巻線を同じ系統として、3つの系統でずれ角度を消すように位相差をつけると、基本次数と2倍次数のトルクリプルを消しうることが示された。この方式では失陥時に1つの系統が使えない場合、残存アシストトルクは健全時の2/3になる。このため大重量大型車の失陥時を含めたアシストトルク提供の方式の1つとなりうる。6nスロットの回転電機でn系統の場合は、失陥時に1つの系統が使えない場合、残存アシストトルクは健全時の(n−1)/nになり、失陥時でも大重量大型車に十分なアシストトルクを提供できる。
ここで、特許第3681332号公報に示される10極12スロットの場合は、図7Aに示す2つの巻線結線を並列に用いており、図7Bに示すティース・巻線の配置になっている。2つの巻線結線は30度の位相差を内在しており、2つの巻線結線のトルク脈動が1/2周期ずれているため、並列にして電流を共通位相で通電すると、トルクリプルを低減できるとしている。ただし、トルクリプルを完全に除去することはできない。これは、共通位相通電の場合、上述したように、実際には、ロータ磁極の位相から1Uを含む巻線グループは15度遅れ、2Uを含む巻線グループは15度進むように通電されるためである。このとき、遅れ側と進み側でトルク脈動とトルクの大きさが違ってしまうため、完全な相殺ができないためである。
完全に相殺するためには、1Uを含む巻線グループを第1系統として位相差を15度とし、2Uを含む巻線グループを第2系統として位相差を−15度として、ロータ磁極の位相と巻線通電位相を同じにし、トルク波形を1/2周期ずれる以外は全く同じにする必要がある。このようにした時のトルク脈動の波形を図7Cに示す。図7Cによれば、極対6次のトルクリプルを除去できることが理解できる。しかし、円筒形ロータを用いる際には、2倍次数の大きなトルク脈動が残るため、極対6次のトルクリプル低減のみでは好ましくない。これに対して、本発明の実施形態では、極対6次に加えて極対12次のトルクリプルを除去することができ、トルクリプルを大きく低減可能である。
次に、位相差が基準ずらし角から変化したときの影響について図8を用いて説明する。すべての系統の位相差を基準ずらし角から同じ方向に変化させる場合は、電流位相を変化させる場合と同じであるので、この場合を除き、各系統の位相が相対的に変化する場合について述べる。ここでは、代表例として、ずれ角度0度の系統は変化させずに、位相差が±20度の系統において±10度から±30度に変化した場合、すなわち、基準ずらし角−10度から基準ずらし角+10度まで位相差の絶対値が変化した場合を述べる。図8に、基準ずらし角からの位相差の変化に対する、トルクリプル6次成分の変化を、電流位相が0度と85度について示す。図8に示されるように、電流位相0度は位相差が変化しても2%未満であり、従来(5%)よりも小さい。一方、電流位相85度では、5(=15/n)度の変化で5%程度、10(=30/n)度の変化で10%程度にトルクリプル6次成分が増加した。
電流位相が85度ではトルクが小さいためにトルクリプルが大きくなりやすいが、ハンドルの高速操舵時に対応しており感度が低いため、従来と同様の5%程度でも問題ない。そのため、位相差の基準ずらし角からの変化は、15/n(14極18スロットでは5度)度以内の範囲にあることが好ましい。
図9Aに、図4に示した巻線結線を、ティースの並びに対する、導線の巻方向、渡り、口出し、中性点の結線を表す図として示す。図9Aにおいて、ティースの並びは図1のステータを外側から見た配置になっており、直列結線された対向巻線の渡り線(9本)が口出しと軸方向逆側になっている構成になっている。直列結線された対向巻線は同相の同グループ巻線である。中性点の結線は3つの系統のそれぞれに存在し、溶接接続される。口出し線は各系統に3本存在しており、図9Aの例からさらに引き回すと系統ごとに口出し線をまとめることも可能である。この例の場合、各巻線の巻き数は半整数になる。
図9Bに、図4に示した巻線結線を、口出しと軸方向同側に配線プレートを有する場合に、ティースの並びに対する、導線の巻方向、渡り、口出し、中性点の結線を表す図として示す。図9Bにおいて、渡り線と中性点の結線は、配線プレート内に予め配置されている。このとき、巻線の端部が配線プレートに溶接接続されると、渡り線と中性点の結線が完成する構成になっている。口出し線は図9Aと同様に存在しているが、系統ごとに口出し線をまとめるために、口出し線の引き回しを配線プレート内に含めることも可能である。この例の場合、各巻線の巻き数は整数になる。
(第2の実施形態)
これまで14極18スロット永久磁石式回転電機を回転電機1の例として説明したが、ずれ角度は、極数とスロット数が決まれば図2で説明した手順により、各ティース・巻線に対して一意的に決定される。また、トルクリプルの6次と12次の成分を除去するには、18スロットよりも小さい回転電機の整数倍の極数・スロット数であってはならない。このため、18スロット以上であって、極数とスロット数が4:6、8:6、10:12、14:12の回転電機を含まない回転電機を考える。また、S(スロット数)とP(極数)の最大公約数が2であるような基本単位の回転電機を考える。このような回転電機1は、スロット数S=6n(nは整数)であり、n>2であって、極数Pは4n<P<8nの偶数であり、|P−S|(PとSの差の絶対値)は6の倍数でなく、SとPの最大公約数が2である。回転電機1において、周方向に隣接するスロットの間に配置されたティースに巻線が巻回されている。本発明の集中巻回転電機は、対向する前記巻線が直列に結線されており、n個の三相インバータにより駆動され、前記n個の三相インバータの電流位相が独立に制御され、前記n個の三相インバータに対応する各々の巻線系統がその隣に配置される巻線系統と異なるように設けられる。
また、巻線のずれ角度の一般的な決定手順は、前記回転電機の回転子の回転方向に各ティースの番号を1からSまで付け、磁極ピッチの電気角180°に対して前記ティースピッチの電気角を180*P/S=θとし、番号1のティースを円周上の0°の位置に配置し、番号2のティースを円周上のθの位置に配置し、番号3のティースを円周上の2θの位置に配置し、これを繰り返して番号Sのティースを円周上の(S−1)θの位置に配置する。前記円周を6分割したときの円弧の周方向中心の角度と、当該円弧に含まれるS/6個のティースの平均角度が一致するように円周が6分割されるとき、S/6個のティースの平均角度(相中央角度)をずれ角度0としてS/6個のティースのそれぞれにずれ角度を配することができる。このとき、本発明の集中巻回転電機は、異なる円弧に属して同じずれ角度を有するティースの巻線を1つのグループとして同じ系統とすることを特徴とする。前記の手順でずれ角度を決定すると、ずれ角度はn個存在し、通電系統は、グループ番号またはずれ角度で区別して表せる。
本発明の回転電機1において、同相の同じずれ角度の巻線はステータ円環の対向位置に対として存在するため、1つの系統の1つの相の巻線の結線は、同相の同じずれ角度の巻線の直列結線すなわち対向巻線の直列結線である。3相の巻線はY結線あるいはΔ結線にすることができる。回転電機1のn個の系統のそれぞれを、電流位相が独立に制御できるn個の三相インバータに接続して駆動することによりトルクリプルを低減できる。このとき、各系統に接続される三相インバータの位相は相中央に対して、系統のずれ角度×(−1)の基準ずらし角に近い位相差がつけられる。
表3に、スロット数が48までの回転電機1の例を示す。また、表3は、回転電機1の系統数、結線、ずれ角度を説明する表である。
Figure 2020198743
各巻線の相・巻回方向・ずれ角度・グループ・系統は、これまで説明した手順により決定でき、結線は対向巻線の直列結線である。ずれ角度の小さい方から番号Nを付けると、各ずれ角度は表3に示す式で表される。これにより、ずれ角度に対応する系統の通電時の位相差を決定できる。図10に26極36スロットの場合に、ティース番号に対応するずれ角度と、グループ番号・相・巻回方向を図3と同様にして示す。グループ数は6であり、ずれ角度は−25、−15、−5、5、15、25度の6つであり、対向巻線が同相同一ずれ角度の対になっている。隣接巻線のずれ角度が異なるため、隣り合う巻線は別のグループに属し、別の系統に属する。これは、他の6nスロットの場合でも同様である。
基本系統数nの回転電機1において、ずれ角度がなくなるように各系統の通電位相に差をつけると、すべての巻線の通電位相がロータ磁極回転の位相に一致し、各系統のトルク脈動波形が同じ形状になる。各系統のトルク脈動波形は1/n周期ずれるため、6*1、6*2、・・・、6*(n−1)次が除去され、影響の小さい6*n次の高次成分が残り、トルクリプルが大幅に減少する。また、すべての巻線の通電位相がロータ磁極回転の位相に一致するため、位相差のない時よりもトルクが増加する。このとき、トルクリプルを従来よりも低減するためには、電流位相の相中央角度からの位相差は、基準ずらし角度−15/n度と基準ずらし角度+15/n度の範囲内にあることが好ましい。
また、回転電機1を各系統の三相インバータに接続する際に、直列結線された同相の同グループ巻線が半整数巻数を有し、当該巻線の渡り線を口出しと軸方向逆側に配置できる。あるいは、回転電機1を各系統の三相インバータに接続する際に、直列結線された同相の同グループ巻線が整数巻数を有し、ティース巻線端部が配線プレートに溶接接続されており、口出しと軸方向同側に配線プレートを配置できる。
なお、表3に示すP,Sに対して、|P−S|を6で割った余りは2又は4である。
(第3の実施形態)
本発明の第2の実施形態では、SとPの最大公約数が2の場合の回転電機1について説明した。ここでは、図11と表4を用いて、回転電機1のSとPをm倍(mは整数)したスロット数と極数を有する回転電機2について説明する。
図11には、一例として、28極36スロットのステータ断面図に、図3と同様にして、ティース番号、ずれ角度、グループ番号・相・巻回方向を示す。28極36スロットは、14極18スロットの2倍であるため、ステータ円環は第1の半周と残る第2の半周に分けられる。第1の半周に図3と同じ並びで、ティース番号、ずれ角度、グループ番号・相・巻回方向が示される。第2の半周は、第1の半周の繰り返しであるため、ティース番号とグループ番号に下線を付けて繰り返して示す。このとき、第1の半周の半分をセクター1、残りの半分をセクター2、第2の半周の半分をセクター3、残りの半分をセクター4とする。ずれ角度は−20、0、20度の3つである。同相同一ずれ角度の巻線を直列結線する場合は、機械角で180度の位置の対向巻線と機械角で90度の位置の巻線を直列結線して、3グループ・3系統にすることができる。あるいは、セクター1とセクター2において、同相同一ずれ角度の巻線を直列結線する場合は、機械角で90度の位置の巻線を直列結線して、3グループ・3系統にすることができる。セクター3とセクター4においても同様に、3グループ・3系統を作れるので、合計6系統にできる。通電時に、ずれ角度をなくすように位相差をつけると、6次と12次のトルクリプルを除去して、トルクリプルを低減できる。あるいは、セクター1とセクター4において3系統を作り、セクター2とセクター3において3系統を作ることもできる。
ここで、図2と同様にずれ角度を決定する際においては、3番以上の奇数番のセクターのティース、巻線の相・巻回方向、ずれ角度は、電気角1周期の円盤上において、1番のセクターのティース、巻線の相・巻回方向、ずれ角度と、重なる。また、2番以上の偶数番のセクターのティース、巻線の相・巻回方向、ずれ角度は、円盤上において、2番のセクターのティース、巻線の相・巻回方向、ずれ角度と、重なる。このため、電気角1周期の円盤上で重ならない2つのセクターをモータの1単位と捉えて、結線を構成する必要がある。
表4にスロット数が48以下の時の、それぞれの極数とスロット数の回転電機2の例を示す。また、表4は、回転電機2の系統数、結線、ずれ角度を説明する表である。
Figure 2020198743
回転電機2の極数とスロット数の最大公約数は2mであり、セクター数も2mである。回転電機2の1つの系統の1つの相の巻線結線は、全セクターからセクター対を選んで結線する自由度があるため、選ぶセクター対の数により系統の数が決まる。このとき、選ぶセクター対の数はmの約数であり、この数のセクター対において同相同一ずれ角度の巻線を直列結線する。このとき、全セクターはm/(mの約数)に分割され、m/(mの約数)=Mもmの約数であり、系統数は、n×Mになる。ずれ角度は、回転電機1と同じく、−30(1−1/n)から+30(1−1/n)まであり、60/n刻みにn個ある。3相の巻線はY結線あるいはΔ結線にすることができる。回転電機2のn×M個の系統のそれぞれを、電流位相が独立に制御できるn×M個の三相インバータに接続して駆動することによりトルクリプルを低減できる。このとき、各系統に接続される三相インバータの位相は相中央に対して、系統のずれ角度×(−1)の基準ずらし角に近い位相差がつけられる。
回転電機2において、ずれ角度がなくなるように各系統の通電位相に差をつけると、すべての巻線の通電位相がロータ磁極回転の位相に一致し、各系統のトルク脈動波形が同じ形状になる。各系統のトルク脈動波形は1/n周期ずれるため、6*1、6*2、・・・、6*(n−1)次が除去され、影響の小さい6*n次の高次成分が残り、トルクリプルが大幅に減少する。また、すべての巻線の通電位相がロータ磁極回転の位相に一致するため、位相差のない時よりもトルクが増加する。このとき、トルクリプルを従来よりも低減するためには、電流位相の相中央角度からの位相差は、基準ずらし角度−15/n度と基準ずらし角度+15/n度の範囲内にあることが好ましい。
また、回転電機2を各系統の三相インバータに接続する際に、直列結線された同相の同グループ巻線が半整数巻数を有し、当該巻線の渡り線を口出しと軸方向逆側に配置できる。あるいは、回転電機2を各系統の三相インバータに接続する際に、直列結線された同相の同グループ巻線が整数巻数を有し、ティース巻線端部が配線プレートに溶接接続されており、口出しと軸方向同側に配線プレートを配置できる。
これまでの実施形態においては、1つの系統の1つの相の巻線として、同相同一ずれ角度の巻線を直列結線して、巻線のずれ角度をなくすように、各系統に位相差をつけて通電する例を説明した。また、各系統の位相差が基準ずらし角に近い範囲において、トルクリプルを低減する効果が生じることを説明した。すなわち、巻線のずれ角度を小さくするような結線と通電位相を工夫できれば、トルクリプルを低減可能であると考えられる。そこで、以下では、これまで説明したよりも少ない系統数であっても、トルクリプル低減が可能な構成について説明する。
(第4の実施形態)
回転電機1において、系統数をnより少なくする場合について説明する。このとき、回転電機1は、スロット数S=6n(nは整数)であり、n>2であって、極数Pは4n<P<8nの偶数であり、|P−S|は6の倍数でなく、SとPの最大公約数が2である回転電機1において、周方向に隣接するスロット間に配置されたティースに巻線が巻回されており、対向して直列結線された前記巻線を有し、n未満で1以外の2nの約数をKとするとき、K個の三相インバータにより駆動され、前記K個の三相インバータの電流位相が独立に制御され、前記K個の三相インバータに対応する各々の巻線系統は、前記巻線が周方向に隣接する個数が、2n/Kが偶数のときn/K以下、2n/Kが奇数のとき(2n/K−1)/2+1以下である集中巻回転電機の構成になる。
また、前記回転電機の回転子の回転方向に各ティースの番号を1からSまで付け、磁極ピッチの電気角180°に対して前記ティースピッチの電気角を180*P/S=θとし、番号1のティースを円周上の0°の位置に配置し、番号2のティースを円周上のθの位置に配置し、番号3のティースを円周上の2θの位置に配置し、これを繰り返して番号Sのティースを円周上の(S−1)θの位置に配置し、前記円周を6分割したときの円弧の周方向中心の角度と、当該円弧に含まれるS/6個のティースの平均角度が一致するように円周が6分割されており、S/6個のティースの平均角度(相中央角度)をずれ角度0としてS/6個のティースのそれぞれにずれ角度を配するときにおいて、同じずれ角度を有するティースの巻線を1つのグループとする。
前記Kがnの約数のときは、巻線グループをK個に分割してずれ角度の近い(n/K)個の巻線グループを直列結線して通電系統数をKとする。あるいは、前記Kがnの約数でないときは、(n/K)の端数は0.5であり、2n/Kは奇数でnの約数であり、n個のグループを2n/Kずつにずれ角度の近いグループの組に分割したとき、各々のグループの組において、中央ずれ角度のグループの巻線を両側の(2n/K−1)/2個のグループを有する2つのグループ群に分配して2個の集約グループとし、集約グループの個数を全体でKとし、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をKとする。
次に、図12から図19を用いて、具体的に、14極18スロットを例にとって、本発明の第4の実施形態に係る永久磁石式回転電機1を説明する。図12は、第4の実施形態に係る巻線の結線図であり、第1の実施形態で説明した図4と対応している。なお、第1の実施形態と共通の部分は説明を一部省略する。
14極18スロットの場合、2n=S/3=6であり、n未満の1以外の約数は2であり、2系統通電でトルクリプルを低減することができる。2n/K=3であり、3個の巻線グループの組が1つあり、中央のずれ角度0度のグループの巻線を両側のずれ角度−20度と+20度のグループに分配して2個の集約グループとする。すなわち、最小ずれ角度の巻線グループを第1系統、最大ずれ角度の巻線グループを第2系統とし、中間ずれ角度の第3グループの巻線を第1系統と第2系統に分配する。結線図の例で表すと図12A〜図12Dに示すようになる。1U+と1U−に組み合わされる第3グループの巻線が3U+でY結線の中性点側にある場合を図12Aに示す。3U−である場合を図12Bに示す。3U+でY結線の口出し側にある場合を図12Cに示す。3U+で1U+と1U−の間にある場合を図12Dに示す。ここで、第1系統のU相巻線の3つの巻線のずれ角度は、3U+は0度、1U+と1U−は−20度であり、ずれ角度の平均は−40/3度である。これを消すように通電位相をつけた場合、第1系統のU相巻線の位相の個々のずれ角度は、3U+は40/3度に、1U+と1U−は−20/3度になり、ずれ角度の平均は40/3度から0度に減少し、絶対値の平均も40/3度から80/9度に減少する。このため、2系統通電においても、通電位相によりずれ角度を小さくできるため、トルクリプルを低減し、トルクを増加しうると考えられる。Δ結線においても同様に2系統の結線を構成して系統巻線のずれ角度を小さくするように通電することが可能である。ここで、1つの巻線系統は、グループ1とグループ3、また、グループ2とグループ3の巻線が周方向に隣接しうるため、隣接する個数は2以下である。すなわち、2n/K=3が奇数であり、(2n/K−1)/2+1=2以下である。
ここで、第1系統のU相巻線のずれ角度の平均は−40/3度であるので、通電位相を+40/3度としたときに第1系統の平均ずれ角度は0となって、なくすことができる。また、第1系統のU相巻線のずれ角度の絶対値の平均は40/3度であり、通電位相が+20度のときに第1系統のずれ角度の絶対値の平均は(+20+|20−20|+|20−20|)/3=20/3となって、最も小さくなる。通電位相があるときのずれ角度の平均とずれ角度の絶対値の平均は、最適位相からのずれの符号付き平均と絶対値の平均であり、両方ともに小さい方がトルクリプルを低減できると考えられる。このため、トルクリプルを低減する第1系統の最適な位相差は、+40/3度と+20度の間にあると考えられる。
一般的に表すと、位相差がない時に、系統内の巻線のずれ角度の平均の絶対値を平均角度Aとし、系統内の巻線のずれ角度の絶対値の平均を平均角度Bとすると、平均角度Aと平均角度Bは系統巻線の最適位相からのずれの大きさを表す。ある位相差Cにおける系統内の巻線のずれ角度の平均の絶対値を平均角度ACとし、系統内の巻線のずれ角度の絶対値の平均を平均角度BCとし、平均角度AC<平均角度A、且つ平均角度BC<平均角度Bであれば、位相差Cにおいてトルクリプルを低減できると考えられる。ここで、系統に位相差を加えた時に、系統内の巻線のずれ角度の平均が最小(0)になる位相差を位相差Aとし、系統内の巻線のずれ角度の絶対値の平均が最小になる位相差を位相差Bとする。トルクリプルを低減する第1系統の最適な位相差は、位相差Aと位相差Bの間にあると考えられる。また、位相差Bは範囲を持つ場合があり、このときの最適な位相差は位相差Aである。このとき、位相差のない時に比べて各巻線のずれ角度が平均的に小さくなるため、トルクリプルが減少し、トルクが増加すると考えられる。
ここで、図12Aに示す2系統の場合の巻回数は、第1系統のU相巻線で見ると、口出し線と渡り線を軸方向逆側にする場合は、1U−と1U+が半整数(たとえば5.5ターン)であり、3U+が整数(たとえば6ターン)である。軸方向の一方側に配線プレートを配置する場合は、1U−と1U+と3U+がともに整数(たとえば6ターン)である。このとき、3つの巻線からなるU相巻線の総巻回数は17ターンか18ターンのいずれかになり、3巻線のずれ角度の巻回数の多寡による重みは前者がやや不均一で後者は均一である。そこで、各通電電流につけるべき位相を調べるために、位相差を変えてトルクリプルの各成分を、電流位相0、30、85度について計算した。総巻回数17ターンの結果を図13Aに示し、総巻回数18ターンの結果を図13Bに示す。図13A及び図13Bから、電流位相85度の42次トルクリプルを除くと、いずれもトルクリプルが十分小さいため、電流位相85度の42次トルクリプルによって最適な位相差を決定する。結果として、単純平均の±40/3度とは異なり、総巻回数17ターンの場合は相中央から±17度、総巻回数18ターンの場合は相中央から±15〜15.5度が最適な位相差である。
ここで、図13Aでの位相差Aは220/17度であり、位相差Bは20度である。この位相差A及び位相差Bを図13Aに矢印で示す。また、図13Bでの位相差Aは40/3度であり、位相差Bは20度である。この位相差A及び位相差Bを図13Bに矢印で示す。図13A及び図13Bに示されるように、電流位相が0度と30度のトルクリプルの6次と12次の成分および電流位相が85度のトルクリプルの6次成分は、位相差Aと位相差Bの間に最小値を有しており、最小値を与える位相差から離れると値が増加する。また、電流位相85度のトルクリプル6次成分以外は、従来の5%程度の値に対して小さな値である。一方、電流位相が85度ではトルクが小さいためにトルクリプルが大きくなりやすいが、ハンドルの高速操舵時に対応して感度が低いため、従来と同様の値でも問題ない。そのため、トルクリプル低減効果のある位相差の範囲は、平均角度Aと平均角度Bの中央値から15/n(14極18スロットでは5度)度の範囲である。
次に、図13Aに示した最適位相差において、電流位相を変化させたときのトルクリプル各成分と、電流に対するトルクリプル各成分を磁場解析で計算した。図14Aに、100Aの時の電流位相に対するトルクリプル各成分を示す。また、図14Bに電流位相20度の時の電流に対するトルクリプル各成分を示す。図14Aに示すように、トルクリプル6次は電流位相85度以下において0.4%以下であり、12次は電流位相60度以下において0.3%未満、電流位相85度以下において1.2%未満であり、18次は電流位相85度以下において5%未満であった。また、図14Bに示すように、電流位相20度でトルクリプル各成分は0.4%未満であった。このため、この巻線結線においては、トルクリプルを低減できる結果になった。上述のように、巻線のずれ角度を小さくするという考え方を用いると、2系統に集約した巻線結線でトルクリプルを十分小さくできる。
図15は2系統巻線を駆動する回路ブロック図の一例を示す。構成について説明する。3相巻線で構成される第1系統巻線141aと、第1系統巻線141aに対して電気角で34度の位相差を持って構成される第2系統巻線141bに、それぞれ第1駆動回路41a及び第2駆動回路41bが接続されている。駆動回路にはインバータ回路及び制御用ECUが含まれている。これにより、3個の三相インバータの電流位相が独立に制御できる。
また、駆動回路には各相の電流をフィードバックできるように相電流の検出手段CtU1〜CtW2をそれぞれ有しており、電流指令に対して実際に流れている電流を測定することで2系統間のアンバランスを補正している。第2系統巻線の電流位相を調整することができる。それぞれの駆動回路には独立したバッテリーBat1及びBat2が接続され、更にバッテリーを充電するための発電機42も独立した系統端子を有しており独立して電力を供給できるようになっている。この図では発電機42は1つの筐体から独立した発電電圧を供給する構造として説明したが、完全に2系統を分けられるように2個の発電機からそれぞれ供給するようにしても良い。また、第1駆動回路41aと第2駆動回路41bはお互いの状況を把握できるように通信手段43を有しており、異常発生時に不具合側のモータ駆動の低下分を助けるように動作できるようになっている。
これに対して、従来の考え方では、周方向に近い3つの巻線を結線し、第1系統と第2系統の巻線を円環の左右に分離するように配置する。この場合、図16に示すような結線構成になる。第1系統のU相巻線で見ると、3U+、1U−、2U+が含まれており、3種のずれ角度がすべて含まれており平均ずれ角度は0度になっている。ここで、相中央に合わせて共通位相で通電する場合を考えると、3巻線の組を作る結線方法にはよらずに同じようにモータを駆動できるため、図16の従来の場合でも問題はなく、むしろ製造しやすい利点があった。
このため、通電位相をずらす強い理由は存在しないが、第1系統と第2系統の位相を半周期ずらすと基本次数のトルクリプルを低減できるという考え方が存在する。この場合、第1系統のU相巻線の個々のずれ角度は、3U+は+15度で15度増加し、1U−は−5度で10度減少し、2U+は+35度で15度増加する。ずれ角度の平均は0度から+15度に増加し、絶対値の平均でも40/3度から55/3度に増加する。このとき、巻線のずれ角度が大きくなるため、トルクリプル低減効果は小さいと考えられ、トルクも減少すると考えられる。
図4Aと図12Aと図16に示した結線構成を用いて、電流50A、電流位相0度で磁場解析して得たトルクリプル波形を図17Aに示す。また、トルクリプル各成分の比較と、位相差なしの従来のトルクに対するトルク比の比較を図17Bに示す。ただし、2系統の計算では3巻線の総巻回数17ターンの巻線結線を使用し、トルクの比較では総巻回数で比例させて補正した。図17Aにおいて、3系統の位相差有のトルクリプル波形は基本次の3倍次波形が現れており、振幅が小さかった。2系統の位相差有のトルクリプル波形は、基本次の3倍次波形が主体であり、基本次と2倍次が少し含まれる振幅の小さい波形になっていた。これに対して、従来の巻線結線では、位相差なしで大きな基本次数の波形が存在し、位相差30度をつけても基本次数の振幅が2/3程度にしか減少しなかった。図17Bにおいて、トルクリプルを各成分で見ると、3系統の位相差有では基本次と2倍次が消えており、2系統の位相差有では基本次と2倍次が小さく1%未満であった。このように、2系統の巻線結線の位相差有は、6次トルクリプルと12次トルクリプルがおもに1%未満であった。これに対して、従来の巻線結線では、基本次が最も大きく、2系統で位相差をつけても1.9%と大きかった。また、従来の位相差なしに対するトルクの比は、3系統位相差有で4%、2系統位相差有で2%増加したが、従来の巻線結線の位相差有は3.3%減少した。これらの結果は、すなわち、トルクリプルが小さいか大きいか、またトルクが大きいか小さいかは、通電位相を含めた巻線のずれ角度が小さいか大きいかによって決まっていると考えられる。また、これらの結果に示されるように、円筒形ロータを用いてトルクリプルが大きくなりやすい場合であっても、本発明の巻線結線方式により、従来の巻線結線方式に比べてトルクリプルを大きく改善できることが示された。
また、本発明の第4の実施形態における14極18スロットの回転電機1を各系統の三相インバータに接続する際に、図12Aのように直列結線された同相巻線においては、図18Aに示すように、同グループの巻線が半整数巻数を有し、当該巻線の渡り線を口出しと軸方向逆側に配置できる。あるいは、回転電機1を各系統の三相インバータに接続する際に、図12Aのように直列結線された同相巻線においては、図18Bに示すように、同グループの巻線が整数巻数を有し、ティース巻線端部が配線プレートに溶接接続されており、口出しと軸方向同側に配線プレートを配置できる。また、図12Dのように直列結線された同相巻線においては、図19に示すように、同グループの巻線整数巻数を有し、ティース巻線端部が配線プレートに溶接接続されており、口出しと軸方向同側に配線プレートを配置できる。
(第5の実施形態)
本発明の第4の実施形態において詳細に説明した、系統数をnより小さくする場合の、14極18スロット以外の例について、表3の系統ずれ角度より右側を用いて説明する。1つの相の巻線の総数は2n=S/3であり、n系統のときは1つの系統の巻線数は同一ずれ角度の対向する2巻線であるが、系統数をnより小さいKにするときは巻線総数をK個に等分配するため、Kは2nの約数であり、2以上n未満の数であり、1つの系統の巻線数は2n/Kである。ずれ角度は、−30(1−1/n)から+30(1−1/n)まであり、60/n刻みにn個あり、同じずれ角度を有するティースの巻線を1つのグループとする。各グループの基準ずらし角はずれ角度×(−1)である。
このとき、トルクリプルの低減は、系統巻線の結線と、系統の位相により、巻線ずれ角度を小さくすることで実現される。結線については、表3の結線方式の列にあるように、あるグループをずれ角度の近いグループに分配したり、ずれ角度の近いグループを統合したりしてグループ数を減らす。前者については14極18スロット以外の例で説明した。後者については、例えば、n=4、S=24、P=22の例において、基本系統数4以外の相の巻線総数8の約数は2であるので、−22.5度と−7.5度のグループを直列結線して第1の系統とし、22.5度と7.5度のグループを直列結線して第2の系統とする。このとき、巻線のずれ角度を小さくする通電の位相の1つの目安は平均ずれ角度×(−1)であり、それぞれ、+15度と−15度である。ここで、K=2はn=4の約数であるので、巻線グループをK個に分割でき、ずれ角度の近い(n/K)=2個の巻線グループを直列結線して通電系統数をK=2とする。ここで、1つの巻線系統は、グループ−22.5度とグループ−7.5度、また、グループ22.5度とグループ7.5度の巻線が周方向に隣接しうるため、隣接する個数は2以下である。すなわち、2n/K=4が偶数であり、2n/K/2=2以下である。
また、例えば、n=5、S=30、P=22では、基本系統数5以外の相の巻線総数10の約数は2であるので、−24度と−12度のグループと24度と12度のグループに、0度のグループを分配して、前者の直列結線を第1の系統とし、後者の直列結線を第2の系統としたとき、巻線のずれ角度を小さくする通電の位相の1つの目安は、それぞれ、14.4度と−14.4度である。ここで、K=2はn=5の約数でなく、(n/K)=2.5であり、2n/K=5は奇数でnの約数であるため、n個のグループを2n/K=5ずつにずれ角度の近いグループの2つの組に分割したとき、各グループの組において、中央ずれ角度のグループの巻線を両側の(2n/K−1)/2=2個のグループを有する2つのグループ群に分配して2つの集約グループとし、集約グループの個数を全体でK=2とし、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をK=2とている。ここで、1つの巻線系統は、グループ−24度と−12度と0度、また、グループ24度と12度と0度の巻線が周方向に隣接しうるため、隣接する個数は3以下である。すなわち、2n/K=5が奇数であり、(2n/K−1)/2+1=3以下である。
また、例えば、図11に示すステータ断面図の、n=6、S=36、P=26の場合では、基本系統数6以外の相の巻線総数12の約数は2、3、4である。K=2の場合は、−25度と−15度と−5度のグループを直列結線して第1の系統とし、25度と15度と5度のグループを直列結線して第2の系統とし、巻線のずれ角度を小さくする通電の位相の1つの目安は、それぞれ、+15度と−15度である。K=3の場合は、−25度と−15度のグループを直列結線して第1の系統とし、25度と15度のグループを直列結線して第2の系統とし、−5度と5度のグループを直列結線して第3の系統とし、巻線のずれ角度を小さくする通電の位相の1つの目安は、それぞれ、+20度と−20度と0度である。K=4の場合は、−25度と−5度のグループに−15度のグループを分配して2つのグループに集約し、各集約グループを直列結線して第1の系統と第3の系統とし、25度と5度のグループに15度のグループを分配して2つのグループに集約し、各集約グループを直列結線して第2の系統と第4の系統とし、巻線のずれ角度を小さくする通電の位相の1つの目安は、それぞれ、65/3度と25/3度と−65/3度と−25/3度である。ここで、K=4はn=6の約数でなく、(n/K)=1.5であり、2n/K=3は奇数でnの約数であるため、n個のグループを2n/K=3ずつにずれ角度の近いグループの4つの組に分割したとき、各グループの組において、中央ずれ角度のグループの巻線を両側の(2n/K−1)/2=1個の巻線を有する2つのグループに分配して2つの集約グループとし、集約グループの個数を全体でK=4とし、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をK=4とている。ここで、K=4の例の1つの巻線系統は、グループ−25度と−15度、グループ−5度と−15度、グループ25度と15度、また、グループ5度と15度の巻線が周方向に隣接しうるため、隣接する個数は2以下である。すなわち、2n/K=3が奇数であり、(2n/K−1)/2+1=2以下である。
これまで述べたように、また、表3に示すように、ずれ角度の数nより少ないK個の系統数を有し、K個の三相インバータにより駆動され、前記K個の三相インバータの電流位相が独立に制御され、トルクリプルを低減できる回転電機1を構成できる。系統数Kの回転電機1において、ずれ角度が小さくなるように各系統の通電位相に差をつけると、トルク波形が、n系統通電でずれ角度をなくす位相差をつけたときのトルク波形に近づき、6*1、6*2、・・・、6*(n−1)次が低減され、影響の小さい6*n次の高次成分が残り、トルクリプルが大幅に減少する。また、位相差のない時よりもトルクが増加する。
ここで、系統数Kの回転電機1において、系統巻線の平均ずれ角度を最小とする位相差を位相差Aとし、ずれ角度絶対値の平均を最小とする位相差を位相差Bとする。なお、ずれ角度絶対値の平均を最小とする位相差が範囲を有する場合は、位相差B=位相差Aとする。このとき、基準ずらし角を(位相差A+位相差B)/2とする。トルクリプルを従来よりも低減するためには、電流位相の相中央角度からの位相差は、基準ずらし角度−15/n度と基準ずらし角度+15/n度の範囲内にあることが好ましい。
第5の実施形態でこれまで説明した通電位相差の目安は、系統内の巻線のずれ角度の平均が最小(0)になる位相差Aを数値として示した。第2の位相差として、系統内の巻線のずれ角度の絶対値の平均が最小になる位相差Bが存在する。n=4、S=24、P=22、K=2の例では、位相差Aの+15度に対応する位相差Bは7.5〜22.5度であり、その範囲でずれ角度の絶対値の平均は一定値30/4度である。このとき、位相差を15度とすると、ずれ角度の平均は、平均値A=15から0に、ずれ角度絶対値の平均は、平均値B=15から30/4に双方とも減少するため、トルクリプルを低減可能になる。また、位相差の範囲を15−7.5度〜15+7.5度とすることができる。
n=5、S=30、P=22、K=2の例では、位相差Aの+14.4度に対応する位相差Bは12度であり、ずれ角度の絶対値の平均は7.2度である。このとき、位相差を14.4度とすると、ずれ角度の平均は、平均値A=14.4から0に、ずれ角度絶対値の平均は、平均値B=14.4から7.2に双方とも減少するため、トルクリプルを低減可能になる。また、位相差の範囲を(14.4+12)/2−6度〜(14.4+12)/2+6度とすることができる。
n=6、S=36、P=26、K=2の例では、位相差Aの+15度に対応する位相差Bは15度であり、ずれ角度の絶対値の平均は一定値20/3度である。このとき、位相差を15度とすると、ずれ角度の平均は、平均値A=15から0に、ずれ角度絶対値の平均は、平均値B=15から20/3に双方とも減少するため、トルクリプルを低減可能になる。また、位相差の範囲を15−5度〜15+5度とすることができる。
n=6、S=36、P=26、K=3の例では、位相差Aの+20度に対応する位相差Bは15〜25度であり、その範囲でずれ角度の絶対値の平均は一定値10度である。また、位相差Aの0度に対応する位相差Bは−5〜+5度であり、その範囲でずれ角度の絶対値の平均は一定値5度である。このとき、3系統の位相差を20、0、−20度の位相差Aとすると、ずれ角度の平均は、平均値A=15から0に、ずれ角度絶対値の平均は、平均値B=15から25/3に双方とも減少するため、トルクリプルを低減可能になる。また、位相差の範囲を位相差A−5度〜位相差A+5度とすることができる。
n=6、S=36、P=26、K=4の例では、位相差Aの+65/3度に対応する位相差Bは25度であり、ずれ角度の絶対値の平均は一定値10/3度である。また、位相差Aの+25/3度に対応する位相差Bは5度であり、ずれ角度の絶対値の平均は一定値10/3度である。このとき、4系統の位相差を+65/3、+25/3、−25/3、−65/3度の位相差Aとすると、ずれ角度の平均は、平均値A=15から0に、ずれ角度絶対値の平均は、平均値B=15から10/3に双方とも減少するため、トルクリプルを低減可能になる。また、位相差の範囲を(位相差A+位相差B)/2−5度〜(位相差A+位相差B)/2+5度とすることができる。
また、回転電機1を各系統の三相インバータに接続する際に、直列結線された同相の同グループ巻線が半整数巻数を有し、当該巻線の渡り線を口出しと軸方向逆側に配置できる。あるいは、回転電機1を各系統の三相インバータに接続する際に、直列結線された同相の同グループ巻線が整数巻数を有し、ティース巻線端部が配線プレートに溶接接続されており、口出しと軸方向同側に配線プレートを配置できる。
(第6の実施形態)
第3の実施形態で説明した回転電機2の系統数がn×Mより少ない場合を、表4の系統ずれ角度より右側と図11を用いて説明する。回転電機2においては、2個のセクター内に、同一ずれ角度の巻線が2個あるため、セクター2個を単位として巻線結線を構成する。
n未満で1以外の2nの約数をKとするとき、2m/M個のセクター内において、前記Kがnの約数のときは、n個の巻線グループをK個に分割してずれ角度の近い(n/K)個の巻線グループを直列結線して通電系統数をKとし、前記Kがnの約数でないときは、n個のグループを2n/Kずつにずれ角度の近いグループの組に分割し、各々のグループの組において、中央ずれ角度のグループの巻線を両側の(2n/K−1)/2個のグループを有する2つのグループ群に分配して2個の集約グループとし、集約グループの個数を全体でKとし、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をKとする。このとき、K*M個の三相インバータにより駆動され、前記K*M個の三相インバータの電流位相が独立に制御される集中巻回転電機が得られる。また、前記K個の三相インバータに対応する各々の巻線系統は、前記巻線が周方向に隣接する個数が、2n/Kが偶数のときn/K以下、2n/Kが奇数のとき(2n/K−1)/2+1以下である集中巻回転電機の構成になる。
ここで、系統数K*Mの回転電機2において、系統巻線の平均ずれ角度を最小とする位相差を位相差Aとし、ずれ角度絶対値の平均を最小とする位相差を位相差Bとする。なお、ずれ角度絶対値の平均を最小とする位相差が範囲を有する場合は、位相差B=位相差Aとする。このとき、基準ずらし角を(位相差A+位相差B)/2とする。トルクリプルを従来よりも低減するためには、電流位相の相中央角度からの位相差は、基準ずらし角度−15/n度と基準ずらし角度+15/n度の範囲内にあることが好ましい。
また、回転電機1を各系統の三相インバータに接続する際に、直列結線された同相の同グループ巻線が半整数巻数を有し、当該巻線の渡り線を口出しと軸方向逆側に配置できる。あるいは、回転電機1を各系統の三相インバータに接続する際に、直列結線された同相の同グループ巻線が整数巻数を有し、ティース巻線端部が配線プレートに溶接接続されており、口出しと軸方向同側に配線プレートを配置できる。
表4に示すように、28極36スロットの場合は、基本系統数は3、6であり、それ以外には、S/3=12の約数として2あるいは4の系統数の構成が可能である。
表4で、n=3、m=2、S=36、P=28、K=2の例では、M=1であり、2m/M=4個のセクター内において、K=2がn=3の約数でないため、n*m/M=3*2個のグループを2n/K*m/M=3*2個のずれ角度の近いグループの組とし、中央ずれ角度0度のグループの巻線を両側の(2n/K−1)/2*m/M=1*2個のグループを有する2つのグループ群に分配して2個の集約グループとし、集約グループの個数を全体でK*M=2とし、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をK*M=2とする。図11で説明すると、2n/K=3個のずれ角度は、−20、0、+20度であり、セクター1〜4の−20度と+20度の2つのグループ群に、0度のグループの巻線を分配して2個の集約グループとし、集約グループの個数は全体でK*M=2であり、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をK*M=2とする。このとき、2個の集約グループに対して、位相差Aは、それぞれ、40/3度と−40/3度であり、位相差Bは20度と−20度である。基準ずらし角は、それぞれ、50/3度と−50/3度であり、トルクリプルを従来よりも低減するためには、電流位相の相中央角度からの位相差は、基準ずらし角度−15/n度から基準ずらし角度+15/n度の範囲内にあることが好ましい。
表4で、n=3、m=2、S=36、P=28、K=4の例では、M=2であり、2m/M=2個のセクター内において、K=2がn=3の約数でないため、n=3個のグループを2n/K=3のずれ角度の近いグループの組とし、中央ずれ角度0度のグループの巻線を両側の(2n/K−1)/2=1個のグループを有する2つのグループ群に分配して2個の集約グループとし、集約グループの個数を全体でK*M=4とし、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をK*M=4とする。図11で説明すると、2n/K=3個のずれ角度は、−20、0、+20度であり、セクター1と2の−20度と+20度の2つのグループ群に、0度のグループの巻線を分配して2個の集約グループとする。このとき、2個の集約グループに対して、位相差Aは、それぞれ、40/3度と−40/3度であり、位相差Bは20度と−20度である。また、セクター3と4の−20度と+20度の2つのグループ群に、0度のグループの巻線を分配して2個の集約グループとする。集約グループの個数は全体でK*M=4であり、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をK*M=4とする。なお、2個のセクターは、セクター1と4、セクター2と3であってもよい。通電位相差については同様であるので省略する。
ここで、例外について述べる。系統数を少なくする際に、mが奇数のとき、セクター対を1系統として全体でm系統とすることは、位相差なしの通電となってしまい、好ましくない。また、m個のセクターをn系統にして全体で2n系統とすることもできるが、失陥時にモータとしてのバランスが崩れるため好ましくない。
(第7の実施形態)
これまで、ずれ角度を小さくするようにした巻線結線と通電位相を用いて、6次および12次のトルクリプルを低減する好適な構成の例として、14極18スロットの例を、図1〜図5、図8、図9A、図9B、図12A、図12B、図12C、図12D、図13A、図13B、図15、図18A、図18B、及び図19を用いて、説明した。この14極18スロットは、極数とスロット数が最小の構成である。12スロットにおいては、10極12スロットは前記のように極対6次のみを低減可能であり、8極12スロットは2極3スロットの4倍であり、ずれ角度が0度であるため、巻線結線と通電位相によるトルクリプル低減はできないためである。
ここで、振動の一因である電磁加振力と極数とスロット数の関係について説明する。電磁加振力の空間次数は極数とスロット数の最大公約数であり、空間次数は2次主体でないことが好ましい。空間次数の2次が主体になるのは、図7Bの10極12スロットのように、前記最大公約数が2であるとともに、同相の巻線がステータ円環の対向位置に集中する構造の場合に生じる。これは対向位置の巻線配置が同じであるため、ステータとロータの磁気的引力が対向位置で強まるからである。これに対して、14極18スロットの場合は、最大公約数は2であるが、図3に示すように、U相の1U−と2U+に対向して1U+と2U−が存在し、さらに機械角で90度回転した位置に3U+に対向して3U−が存在する。このとき、磁気的引力が対向位置で強まる位置は対向位置と機械角で90度回転した位置になり、空間4次と空間2次の混在し、空間2次の加振力が弱まる。また、図10に示した26極36スロットの場合も、同様であり、最大公約数は2であるが、U相巻線が円環上に10か所あり、空間2次の加振力が弱まる。このように、|P−S|が4以上であれば、同相の巻線がステータ円環の対向位置に集中することがなく、空間2次の加振力が弱まる。
このため、14極18スロットの場合は、ずれ角度を小さくするようにした巻線結線と通電位相を用いて、6次および12次のトルクリプルを低減する最小の構成であり、EPS装置において騒音を生じにくい。
(第8の実施形態)
第7の実施形態で説明した永久磁石式回転電機1(回転電機400)を用いた操舵装置500の例を図20に示す。ステアリングホイール(不図示)に連結されたステアリングシャフト502の下端にはピニオン(不図示)が設けられ、このピニオンは車体左右方向へ長いラック(不図示)と噛み合っている。このラックの両端には前輪を左右方向へ操舵するためのタイロッド503が連結されており、ラックはラックハウジング504に覆われている。そして、ラックハウジング504とタイロッド503との間にはゴムブーツ505が設けられている。
ステアリングホイールを回動操作する際のトルクを補助するため、EPS装置506が設けられている。即ち、ステアリングシャフト502の回動方向と回動トルクとを検出するセンサ507が設けられ、センサ507の検出値に基づいてラックにギヤ510を介して操舵補助力を付与するモータ400と、モータ400を制御する制御用ECU509とが設けられている。
このような構造において、制御用ECU509は、センサ507により検出された操舵角の変化率から操舵開始を検出し、モータ400の出力を使用するように制御することができる。
上記のように永久磁石式回転電機1を備え、この永久磁石式回転電機1を用いて、電動パワーステアリングシステムを構成することにより、車室内に伝搬する振動や騒音を抑制できる。また、その他の自動車用電動補機装置、たとえば電動ブレーキを行う自動車用電動補機装置に適用することでも、振動や騒音を抑制することが可能である。さらには、本実施形態の永久磁石式回転電機1の採用は自動車分野に限定されず、低振動化が好ましい産業用の永久磁石式回転電機全般にも適用可能である。
<その他>
以上説明した各実施形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1…永久磁石式回転電機、10…ステータ、20…ロータ、30…エアギャップ、100…ステータコア、110…コアバック、120…嵌合部、130…ティース、T1〜T18…ティース、140…巻線、3U+、2V+、1V−、3W−、2U−、1U+、3V+、2W+、1W−、3U−、2V−、1V+、3W+、2U+、1U−、3V−、2W−、1W+…固定子巻線、U1、V1、W1…第1系統口出し、120…分割固定子コアの嵌合部、200…ロータコア、201…磁石挿入孔、210…永久磁石、211…磁石止め部、212…磁石収容部、220…磁極部、300…シャフト、400…モータ、500…操舵装置、502…ステアリングシャフト、503…タイロッド、504…ラックハウジング、505…ゴムブーツ、506…EPS装置、507…センサ、509…制御用ECU、510…ギヤ、CtU1〜CtW3…電流検出器、Bat1〜Bat3…バッテリー

Claims (14)

  1. スロット数S=6n(nは整数)であり、n>2であり、極数Pは4n<P<8nの偶数であり、|P−S|は6の倍数でなく、SとPの最大公約数が2である、集中巻きの回転電機であって、
    周方向に隣接するスロットの間に配置されたティースに巻線が巻回されており、対向する前記巻線が直列に結線されており、n個の三相インバータにより駆動され、前記n個の三相インバータの電流位相が独立に制御され、前記n個の三相インバータに対応する各々の巻線系統がその隣に配置される巻線系統と異なるように設けられる
    ことを特徴とする回転電機。
  2. 請求項1に記載の回転電機であって、
    前記回転電機の回転子の回転方向に各ティースの番号を1からSまで付け、磁極ピッチの電気角180°に対してティースピッチの電気角を180*P/S=θとし、番号1のティースを円周上の0°の位置に配置し、番号2のティースを円周上のθの位置に配置し、番号3のティースを円周上の2θの位置に配置し、これを繰り返して番号Sのティースを円周上の(S−1)θの位置に配置し、前記円周を6分割したときの円弧の周方向中心の角度と、当該円弧に含まれるS/6個のティースの平均角度が一致するように円周が6分割されており、S/6個のティースの平均角度(相中央角度)をずれ角度0としてS/6個のティースのそれぞれにずれ角度を配するときにおいて、異なる円弧に属して同じずれ角度を有するティースの巻線を1つのグループとして同じ系統とする
    ことを特徴とする回転電機。
  3. スロット数S=6n(nは整数)であり、n>2、であって、極数Pは4n<P<8nの偶数であり、|P−S|は6の倍数でなく、SとPの最大公約数が2であり、前記Sをm倍(mは整数)したスロット数Sm、及び前記Pをm倍した極数Pmを有する集中巻の回転電機であって、
    周方向に隣接するスロットの間に配置されたティースに巻線が巻回されており、
    前記回転電機の回転子の回転方向に各ティースの番号を1からSまで付け、磁極ピッチの電気角180°に対してティースピッチの電気角を180*P/S=θとし、番号1のティースを円周上の0°の位置に配置し、番号2のティースを円周上のθの位置に配置し、番号3のティースを円周上の2θの位置に配置し、これを繰り返して番号Sのティースを円周上の(S−1)θの位置に配置し、前記円周を6分割したときの円弧の周方向中心の角度と、当該円弧に含まれるS/6個のティースの平均角度が一致するように円周が6分割されており、S/6個のティースの平均角度(相中央角度)をずれ角度0としてS/6個のティースのそれぞれにずれ角度を配するときにおいて、S/2m個の巻線を含み周方向に隣接して配置された2m個のセクターを有し、mの約数をMとしたとき、2m/M個のセクター内で同一ずれ角度の巻線を直列結線して1つの系統として、n*M個の三相インバータにより駆動され、前記n*M個の三相インバータの電流位相が独立に制御され、前記n*M個の三相インバータに対応する各々の巻線系統がその隣に配置される巻線系統と異なるように設けられる
    ことを特徴とする回転電機。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の回転電機であって、
    前記インバータの通電位相には、当該系統の相中央の角度から位相差がつけられており、前記ずれ角度×−1を基準ずらし角としたとき、前記位相差は、基準ずらし角−15/n<前記位相差<基準ずらし角+15/nの範囲にある
    ことを特徴とする回転電機。
  5. 請求項2又は請求項3に記載の回転電機であって、
    直列結線された同相の同グループ巻線が半整数巻数を有し、当該巻線の渡り線を口出しと軸方向逆側に有する
    ことを特徴とする回転電機。
  6. 請求項2又は請求項3に記載の回転電機であって、
    直列結線された同相の同グループ巻線が整数巻数を有し、ティース巻線端部が配線プレートに溶接接続されており、口出しと軸方向同側に配線プレートを有する
    ことを特徴とする回転電機。
  7. スロット数S=6n(nは整数)であり、n>2であって、極数Pは4n<P<8nの偶数であり、|P−S|は6の倍数でなく、SとPの最大公約数が2である集中巻きの回転電機であって、
    周方向に隣接するスロット間に配置されたティースに巻線が巻回されており、対向して直列結線された前記巻線を有し、n未満で1以外の2nの約数をKとするとき、K個の三相インバータにより駆動され、前記K個の三相インバータの電流位相が独立に制御され、前記K個の三相インバータに対応する各々の巻線系統は、前記巻線が周方向に隣接する個数が、2n/Kが偶数のときn/K以下、2n/Kが奇数のとき(2n/K−1)/2+1以下である
    ことを特徴とする回転電機。
  8. 請求項7に記載の回転電機であって、
    前記回転電機の回転子の回転方向に各ティースの番号を1からSまで付け、磁極ピッチの電気角180°に対してティースピッチの電気角を180*P/S=θとし、番号1のティースを円周上の0°の位置に配置し、番号2のティースを円周上のθの位置に配置し、番号3のティースを円周上の2θの位置に配置し、これを繰り返して番号Sのティースを円周上の(S−1)θの位置に配置し、前記円周を6分割したときの円弧の周方向中心の角度と、当該円弧に含まれるS/6個のティースの平均角度が一致するように円周が6分割されており、S/6個のティースの平均角度(相中央角度)をずれ角度0としてS/6個のティースのそれぞれにずれ角度を配するときにおいて、同じずれ角度を有するティースの巻線を1つのグループとして、前記Kがnの約数のときは、n個の巻線グループをK個に分割してずれ角度の近い(n/K)個の巻線グループを直列結線して通電系統数をKとし、前記Kがnの約数でないときは、n個のグループを2n/Kずつにずれ角度の近いグループの組に分割し、各々のグループの組において、中央ずれ角度のグループの巻線を両側の(2n/K−1)/2個のグループを有する2つのグループ群に分配して2個の集約グループとし、集約グループの個数を全体でKとし、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をKとする
    ことを特徴とする回転電機。
  9. スロット数S=6n(nは整数)であり、n>2であって、極数Pは4n<P<8nの偶数であり、|P−S|は6の倍数でなく、SとPの最大公約数が2であり、前記Sをm倍(mは整数)したスロット数Sm、及び前記Pをm倍した極数Pmを有する集中巻の回転電機であって、
    周方向に隣接するスロット間に配置されたティースに巻線が巻回されており、
    前記回転電機の回転子の回転方向に各ティースの番号を1からSまで付け、磁極ピッチの電気角180°に対してティースピッチの電気角を180*P/S=θとし、番号1のティースを円周上の0°の位置に配置し、番号2のティースを円周上のθの位置に配置し、番号3のティースを円周上の2θの位置に配置し、これを繰り返して番号Sのティースを円周上の(S−1)θの位置に配置し、前記円周を6分割したときの円弧の周方向中心の角度と、当該円弧に含まれるS/6個のティースの平均角度が一致するように円周が6分割されており、S/6個のティースの平均角度(相中央角度)をずれ角度0としてS/6個のティースのそれぞれにずれ角度を配するときにおいて、S/2m個の巻線を含み周方向に隣接して配置された2m個のセクターを有し、mの約数をMとし、2m/M個のセクター内で同一ずれ角度の巻線を1つのグループとし、n未満で1以外の2nの約数をKとするとき、2m/M個のセクター内において、前記Kがnの約数のときは、n個の巻線グループをK個に分割してずれ角度の近い(n/K)個の巻線グループを直列結線して通電系統数をKとし、前記Kがnの約数でないときは、n個のグループを2n/Kずつにずれ角度の近いグループの組に分割し、各々のグループの組において、中央ずれ角度のグループの巻線を両側の(2n/K−1)/2個のグループを有する2つのグループ群に分配して2個の集約グループとし、集約グループの個数を全体でKとし、各集約グループ内の巻線を直列結線して通電系統数をKとし、K*M個の三相インバータにより駆動され、前記K*M個の三相インバータの電流位相が独立に制御される
    ことを特徴とする回転電機。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の回転電機であって、
    前記インバータの通電位相には、当該系統の相中央の角度から位相差がつけられており、系統巻線の平均ずれ角度と系統巻線を構成する各巻線のずれ角度絶対値の平均が最小となる角度の平均値を基準ずらし角としたとき、前記位相差は、基準ずらし角−15/n度<前記位相差<基準ずらし角+15/n度の範囲にある
    ことを特徴とする回転電機。
  11. 請求項8又は請求項9に記載の回転電機であって、
    直列結線された同相の同一ずれ角度の対向巻線が半整数巻数を有し、その渡り線を口出しと軸方向逆側に有し、前記対向巻線に直列結線される非対向の巻線は整数巻数を有して口出しと軸方向同側にて溶接接続される
    ことを特徴とする回転電機。
  12. 請求項8又は請求項9に記載の回転電機であって、
    口出しと軸方向同側に配線プレートを有し、前記ティースに巻回された巻線が整数巻数を有し、ティース巻線端部が配線プレートに溶接接続される
    ことを特徴とする回転電機。
  13. 請求項2、請求項4、請求項5、請求項6、請求項8、請求項10、請求項11、及び請求項12のいずれか1項に記載の回転電機であって、
    P=14、S=18である
    ことを特徴とする回転電機。
  14. 請求項13に記載の回転電機を備え、前記回転電機を用いて、電動パワーステアリングまたは電動ブレーキを動作させる
    ことを特徴とする自動車用電動補機システム。
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