JP2020198725A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄電装置の電圧が直流電源の出力可能電圧の下限値より低い場合であっても、直流充電の実行を可能にすることである。【解決手段】ECUは、DC充電開始時において、蓄電装置の電圧がDC充電設備の出力下限電圧よりも低い場合には、昇圧処理を実行する。昇圧処理においてECUは、AC充電口にAC充電設備の充電ケーブルの充電コネクタが接続されていれば(S51においてYES)、AC充電を開始する(S52,53)。ECUは、蓄電装置の電圧がDC充電設備の出力下限電圧以上となるまでAC充電を継続する(S54においてNO)。そして、蓄電装置の電圧がDC充電設備の出力下限電圧以上になると(S54においてYES)、ECUは、AC充電を終了し(S55,S56)、DC充電を開始する。【選択図】図3
Description
本開示は、車両外部の電源から供給される電力を受けて車載の蓄電装置を充電できるように構成された車両に関する。
車両外部の直流電源から供給される直流電力を受けて車載の蓄電装置を充電する直流充電が可能に構成された車両が普及してきている。直流充電を開始する場合において、蓄電装置の電圧と、直流電源から車両に印加される電圧との差分が大きいと、当該差分に起因して蓄電装置に過電流が流れる可能性がある。
特開2011−166929号公報(特許文献1)には、直流電源から直流電力を供給して、蓄電装置を充電する充電装置が開示されている。直流電源は、複数のセルが直列接続された電池を含む。この充電装置は、電池のセル数を可変する回路を備え、蓄電装置の電圧に応じてセル数を変更する。これによって、直流充電時において、電池から蓄電装置に過電流が流れないようにしている。
しかしながら、直流電源と、蓄電装置との組み合わせによっては、直流充電を開始する場合に、直流電源の出力可能電圧の下限値よりも蓄電装置の電圧が低いというケースも想定される。このようなケースでは、直流充電を開始すると蓄電装置に過電流が流れる可能性がある。そのため、たとえば、直流電源と蓄電装置(車両)とに適合性がないと判定されて、車両において直流充電を不許可とする処理が行なわれる。その結果、車両の蓄電装置の充電機会を失ってしまう可能性がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蓄電装置の電圧が直流電源の出力可能電圧の下限値より低い場合であっても、直流充電の実行を可能にすることである。
この開示に係る車両は、車両外部の電源から供給される電力を受けて充電されるように構成された蓄電装置と、電源としての直流充電設備から供給される直流電力を用いて蓄電装置を充電する直流充電と、電源としての交流充電設備から供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電装置を充電する交流充電とを実行可能に構成された制御装置と、直流充電設備と通信可能に構成された通信装置とを備える。直流充電を開始する場合において、制御装置は、蓄電装置の電圧が、通信装置を介して取得した直流充電設備の出力可能電圧の下限値よりも低いときには、交流充電を実行し、蓄電装置の電圧が下限値以上となると、交流充電を終了して、直流充電を開始する。
上記構成によれば、車両は、直流充電を開始する場合において、蓄電装置の電圧が直流充電設備(直流電源)の出力可能電圧の下限値よりも低いときには、直流充電を開始せずに、交流充電を実行する。交流充電では、たとえば車載の充電器によって、交流充電設備から供給される交流電力が蓄電装置の電圧に応じた電圧を有する直流電力に変換される。交流充電では、上記のように交流電力が蓄電装置の電圧に応じた電圧を有する直流電力に変換されるため、蓄電装置に過電流が流れることを抑制して蓄電装置を充電することができる。そして、交流充電によって蓄電装置の電圧が直流充電設備の出力可能電圧の下限値以上となると、交流充電を終了して、直流充電を開始する。蓄電装置の電圧が直流充電設備の出力可能電圧の下限値以上となった場合に直流充電が開始されるので、直流充電によって蓄電装置に過電流が流れることを抑制することができる。すなわち、蓄電装置の電圧が直流充電設備の出力可能電圧の下限値より低い場合には、交流充電を経ることによって、直流充電が可能となる。これにより、車両の蓄電装置の充電機会が失われることを抑制することができる。
本開示によれば、蓄電装置の電圧が直流電源の出力可能電圧の下限値より低い場合であっても、直流充電の実行を可能にすることができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<全体構成>
図1は、実施の形態1に係る車両1、直流(DC:Direct Current)充電設備200および交流(AC:Alternating current)充電設備300の構成例を示すブロック図である。実施の形態1に係る車両1は、ハイブリッド自動車である例について説明するが、車両1は、DC充電設備200から供給される直流電力を受けて車載の蓄電装置を充電するDC充電、および、AC充電設備300から供給される交流電力を直流電力に変換して車載の蓄電装置を充電するAC充電が可能であればよい。たとえば、車両1は、電気自動車または燃料電池自動車であってもよい。
<全体構成>
図1は、実施の形態1に係る車両1、直流(DC:Direct Current)充電設備200および交流(AC:Alternating current)充電設備300の構成例を示すブロック図である。実施の形態1に係る車両1は、ハイブリッド自動車である例について説明するが、車両1は、DC充電設備200から供給される直流電力を受けて車載の蓄電装置を充電するDC充電、および、AC充電設備300から供給される交流電力を直流電力に変換して車載の蓄電装置を充電するAC充電が可能であればよい。たとえば、車両1は、電気自動車または燃料電池自動車であってもよい。
DC充電設備200は、充電ケーブル210を介して車両1に直流電力を供給するための充電設備である。DC充電が行なわれる際には、充電ケーブル210の先端に設けられた充電コネクタ220が車両1(後述のDC充電口60)に接続される。
AC充電設備300は、充電ケーブル310を介して車両1に交流電力を供給するための充電設備である。AC充電が行なわれる際には、充電ケーブル310の先端に設けられた充電コネクタ320が車両1(後述のAC充電口70)に接続される。
図1を参照して、車両1は、蓄電装置10と、監視ユニット11と、システムメインリレー(以下「SMR(System Main Relay)」とも称する)15と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」とも称する)20と、モータジェネレータ31,32と、エンジン40と、動力分割装置45と、駆動軸50と、駆動輪55と、ECU(Electronic Control Unit)100とを備える。さらに、車両1は、DC充電口60と、DC充電リレー65と、通信装置67とを備える。また、車両1は、AC充電口70と、充電器73と、AC充電リレー75とを備える。
蓄電装置10は、車両1の駆動電源(すなわち動力源)として車両1に搭載される。蓄電装置10は、積層された複数の電池を含んで構成される。電池は、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池である。また、電池は、正極と負極との間に液体電解質を有する電池であってもよいし、固体電解質を有する電池(全固体電池)であってもよい。なお、蓄電装置10は、再充電可能な直流電源であればよく、大容量のキャパシタも採用可能である。
監視ユニット11は、蓄電装置10の状態を監視する。具体的には、監視ユニット11は、蓄電装置10の電圧VBを検出する電圧センサ12と、蓄電装置10に入出力される電流を検出する電流センサ13と、蓄電装置10の温度を検出する温度センサ14とを含む。各センサは、その検出結果を示す信号をECU100に出力する。
SMR15は、PCU20と蓄電装置10との間に電気的に接続される。SMR15が閉成状態であると、蓄電装置10からPCU20に電力が供給される。SMR15が開放状態であると、蓄電装置10からPCU20に電力が供給されない。SMR15は、ECU100からの制御信号に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。
PCU20は、ECU100からの制御信号に応じて、蓄電装置10に蓄えられた直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ31,32に供給する。また、PCU20は、モータジェネレータ31,32が発電した交流電力を直流電力に変換して蓄電装置10に供給する。PCU20は、モータジェネレータ31,32の状態をそれぞれ別々に制御可能に構成されており、たとえば、モータジェネレータ31を回生状態にしつつ、モータジェネレータ32を力行状態にすることができる。PCU20は、たとえば、モータジェネレータ31,32に対応して設けられる2つのインバータと、各インバータに供給される直流電圧を蓄電装置10の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
モータジェネレータ31,32の各々は、交流回転電機であり、たとえば、永久磁石がロータ(図示せず)に埋設された三相交流回転電機である。モータジェネレータ(MG1:Motor Generator 1)31は、動力分割装置45を介してエンジン40のクランク軸に連結される。モータジェネレータ31は、エンジン40を始動する際に蓄電装置10の電力を用いてエンジン40のクランク軸を回転させる。また、モータジェネレータ31はエンジン40の動力を用いて発電することが可能である。モータジェネレータ31によって発電された交流電力は、PCU20により直流電力に変換されて蓄電装置10に充電される。また、モータジェネレータ31によって発電された交流電力は、モータジェネレータ(MG2:Motor Generator 2)32に供給される場合もある。
モータジェネレータ32は、蓄電装置10からの電力およびモータジェネレータ31により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動軸50を回転させる。また、モータジェネレータ32は、制動時や加速度低減時には、回生制動によって発電することも可能である。モータジェネレータ32によって発電された交流電力は、PCU20により直流電力に変換されて蓄電装置10に充電される。
エンジン40は、たとえば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン40は、ECU100からの制御信号によって制御される。
動力分割装置45は、たとえば、サンギヤ、キャリア、および、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構であって、エンジン40が発生した動力を、駆動輪55に伝達される動力と、モータジェネレータ31に伝達される動力とに分割する。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)100a、メモリ100bおよび入出力バッファ(図示せず)を含み、センサ等からの信号の入力や各機器への制御信号の出力を行なうとともに、各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
ECU100のメモリ100bには、蓄電装置10の充電時において、蓄電装置10に印加可能な電圧の下限である充電下限電圧、および、蓄電装置10に印加可能な電圧の上限である充電上限電圧等の情報が予め記憶されている。充電下限電圧および充電上限電圧は、蓄電装置10の仕様等によって定められる。
ECU100は、蓄電装置10のSOC(State Of Charge)を算出可能に構成される。SOCの算出方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、または、開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の推定による手法など、種々の公知の手法を採用できる。
DC充電口60は、DC充電設備200の充電ケーブル210の先端に設けられた充電コネクタ220が接続可能に構成される。充電ケーブル210には、電力線L1,L2、通信信号線L3および信号線L4が含まれる。DC充電口60に充電コネクタ220が接続されると、DC充電設備200の電力線L1,L2、通信信号線L3および信号線L4が、車両1の電力線DCPL,DCNL、通信信号線CLおよび信号線SL1とそれぞれ接続される。
電力線DCPL,DCNLは、DC充電口60とDC充電リレー65とを接続する。DC充電リレー65は、蓄電装置10とDC充電口60との電気的な接続/遮断を行なうためのリレーである。DC充電リレー65は、SMR15およびPCU20を接続する電力線PL,NLと、DC充電口60との間に電気的に接続される。DC充電リレー65およびSMR15を介して、DC充電設備200からの直流電力が蓄電装置10へ供給され、蓄電装置10が充電される(DC充電)。DC充電リレー65は、ECU100からの制御信号に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。
通信信号線CLは、DC充電口60と通信装置67とを接続する。通信装置67は、通信信号線CLを介してDC充電設備200と通信可能に構成される。車両1とDC充電設備200との間における通信は、たとえば、CAN(Controller Area Network)の通信プロトコルに従う通信(以下「CAN通信」とも称する)で行なわれる。なお、車両1とDC充電設備200との間における通信は、CAN通信に限定されるものではなく、たとえば、電力線通信(PLC:Power Line Communication)で行なうようにしてもよい。
DC充電開始時において、車両1は、通信装置67を介して、充電下限電圧、充電上限電圧、現在の蓄電装置10のSOCおよび現在の蓄電装置10の電圧VB等を含む蓄電装置10に関する電池情報をDC充電設備200に送信する。また、DC充電開始時において、車両1は、通信装置67を介して、DC充電設備200の出力可能電圧範囲を含むDC充電設備200の仕様情報をDC充電設備200から取得する。出力可能電圧範囲は、詳細には、DC充電設備200の出力可能電圧の下限値(以下「出力下限電圧Vo_min」とも称する)および上限値である。
信号線SL1は、DC充電口60とECU100とを接続する。DC充電設備200は、DC充電開始時に、信号線L4を介して車両1に「充電開始信号」を送信する。ECU100は、DC充電口60および信号線SL1を介して充電開始信号を取得する。ECU100は、充電開始信号を取得すると、DC充電の充電シーケンスが開始されることを認識する。充電開始信号は、たとえば、DC充電設備200に対する充電開始操作に連動して、DC充電設備200から出力される。充電開始操作は、たとえば、DC充電設備200に設けられた充電開始ボタン(図示せず)がユーザによって押されることである。
AC充電口70は、AC充電設備300の充電ケーブル310の先端に設けられた充電コネクタ320が接続可能に構成される。充電ケーブル310には、電力線L5,L6、および信号線L7が含まれる。AC充電口70に充電コネクタ320が接続されると、AC充電設備300の電力線L5,L6、および信号線L7が、車両1の電力線ACPL,ACNL、および信号線SL2とそれぞれ接続される。
信号線SL2は、AC充電口70とECU100との間に設けられる。信号線SL2は、車両1とDC充電設備200との間で所定の情報をやり取りするためのパイロット信号CPLTを伝達するための信号線である。パイロット信号CPLTは、たとえば、充電ケーブル310の定格電流を示す情報を有するパルス信号である。
また、AC充電口70とECU100との間には、信号線SL3が設けられる。信号線SL3は、AC充電口70と、充電コネクタ320との接続状態を示すコネクタ信号PISWを伝達するための信号線である。コネクタ信号PISWは、AC充電口70と、充電コネクタ320との接続状態に応じて、その電位が異なる。ECU100は、コネクタ信号PISWの電位に基づいて、AC充電口70と、充電コネクタ320との接続状態を判定する。
AC充電リレー75は、蓄電装置10とAC充電口70との電気的な接続/遮断を行なうためのリレーである。AC充電リレー75は、SMR15およびPCU20を接続する電力線PL,NLと、AC充電口70との間に電気的に接続される。AC充電リレー75は、ECU100からの制御信号に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。
充電器73は、AC充電口70とAC充電リレー75との間に電気的に接続される。充電器73は、ECU100からの指令に従って、AC充電口70に入力される交流電力を、蓄電装置10の電圧VBに応じた電圧を有する直流電力に変換する。充電器73によって電力変換された直流電力は、AC充電リレー75およびSMR15を介して蓄電装置10へ供給され、蓄電装置10が充電される(AC充電)。
ここで、上述のように、AC充電においては、AC充電設備300から車両1(AC充電口70)に供給された電力が充電器73によって、蓄電装置10の電圧VBに応じた電圧を有する直流電力に変換される。そのため、AC充電においては、充電器73を適切に制御することによって、蓄電装置10に過電流が流れることを抑制することができる。
一方で、DC充電においては、DC充電開始時における蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低いというケースが想定され得る。このようなケースにおいては、DC充電を開始すると、両者の差分の大きさによっては、蓄電装置10に過電流が流れる可能性がある。これを抑制するために、DC充電開始時の蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低い場合には、たとえば、DC充電設備200と蓄電装置10(車両1)とに適合性がないと判定して、車両1は、DC充電を不許可とする処理を実行することが考えられる。しかしながら、DC充電を不許可としてしまうと、車両1の蓄電装置10の充電機会を失ってしまう。そこで、実施の形態1に係る車両1は、現在の蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低い場合には、昇圧処理を実行する。
<昇圧処理>
昇圧処理は、蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低い場合において、蓄電装置10に過電流を流すことなくDC充電を実行できるようにするための処理である。具体的には、昇圧処理では、AC充電によって蓄電装置10を充電し、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上となるようにする。昇圧処理によって蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上になると、車両1は、AC充電を終了してDC充電を開始する。
昇圧処理は、蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低い場合において、蓄電装置10に過電流を流すことなくDC充電を実行できるようにするための処理である。具体的には、昇圧処理では、AC充電によって蓄電装置10を充電し、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上となるようにする。昇圧処理によって蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上になると、車両1は、AC充電を終了してDC充電を開始する。
昇圧処理によって蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上となった場合にDC充電が開始されるので、DC充電によって蓄電装置10に過電流が流れることを抑制することができる。
昇圧処理において、DC充電開始時の蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_minより低い場合には、車両1は、即座にDC充電を不許可とするのではなく、AC充電が可能か否かを判定する。AC充電が可能な場合には、車両1は、AC充電を経ることによって、DC充電を可能にする。これにより、車両1の蓄電装置10の充電機会が失われることを抑制することができる。
<ECUおよびDC充電設備で実行される処理>
以下、図2および図3を参照しながら、DC充電および昇圧処理についての具体的な処理の手順について説明する。
以下、図2および図3を参照しながら、DC充電および昇圧処理についての具体的な処理の手順について説明する。
図2は、車両1のECU100およびDC充電設備200で実行されるDC充電に関する処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、車両1のDC充電口60に充電ケーブル210の充電コネクタ220が接続された状態において、充電開始操作が行なわれること、たとえばDC充電設備200の充電開始ボタン(図示せず)が押されることによって開始される。図2に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、ECU100およびDC充電設備200によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がECU100および/またはDC充電設備200内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
DC充電口60に充電ケーブル210の充電コネクタ220が接続された状態において、充電開始操作が行なわれると、DC充電設備200は、充電開始信号を車両1に送信する(S1)。
車両1のECU100は、充電開始信号を受信すると、充電開始操作がされたことを検出し、DC充電設備200との間でCAN通信を開始する(S10,S2)。
CAN通信が開始されると、車両1とDC充電設備200との間で充電開始前の情報交換処理が実行される(S20,S3)。具体的には、車両1のECU100は、充電下限電圧、充電上限電圧、現在の蓄電装置10のSOCおよび現在の蓄電装置10の電圧VB等を含む蓄電装置10に関する電池情報をDC充電設備200に送信する。一方、DC充電設備200は、出力可能電圧範囲、詳細には出力可能電圧の下限値(出力下限電圧Vo_min)および上限値を含む、DC充電設備200の仕様情報を車両1に送信する。
DC充電設備200から仕様情報を取得すると、車両1のECU100は、現在の蓄電装置10の電圧VBと、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minとを比較する(S30)。車両1のECU100は、現在の蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上である場合には(S30においてYES)、DC充電を開始する(S40)。
一方、現在の蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低い場合には(S30においてNO)、そのままDC充電を開始してしまうと、両者の差分の大きさによっては、蓄電装置10に過電流が流れる可能性がある。現在の蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低い場合には(S30においてNO)、車両1のECU100は、昇圧処理を実行する(S50)。
図3は、車両1のECU100で実行される昇圧処理の手順を示すフローチャートである。図3、後述する図4および図5に示すフローチャートの各ステップは、ECU100によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がECU100内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
ECU100は、AC充電口70に、AC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されているか否かを判定する(S51)。AC充電口70に、AC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されているか否かの判定は、コネクタ信号PISWに基づいて行なわれる。
AC充電口70に、AC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されていない場合には(S51においてNO)、ECU100は、DC充電を不許可とする処理を実行するとともに、DC充電を不許可とする通知をする(S59)。AC充電口70に、AC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されていなければ、AC充電を実行できないので、蓄電装置10の電圧VBをDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上にすることができないためである。蓄電装置10の電圧VBをDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上にすることができないと、過電流抑制の観点から、DC充電を許可することは好ましくない。なお、S59における通知は、たとえば、車両1のナビゲーション装置(図示せず)の表示画面への表示や、音声による通知とすることができる。
一方、AC充電口70に、AC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されている場合には(S51においてYES)、ECU100は、AC充電リレー75を閉成状態にする(S52)。そして、ECU100は、充電器73を制御してAC充電を開始する(S53)。
AC充電を開始すると、ECU100は、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上となるまでAC充電を継続する(S54においてNO)。そして、ECU100は、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上となると(S54においてYES)、AC充電を終了させる(S55)。そして、ECU100は、AC充電リレー75を開放状態にする(S56)。
図2に戻り、ECU100は、昇圧処理において蓄電装置10の電圧VBをDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上にできた場合には、DC充電を開始する(S40)。これによって、蓄電装置10に過電流を流すことなく、DC充電を行なうことができる。なお、昇圧処理においてDC充電を不許可とする処理が実行されている場合には(S59)、ECU100は、S40においてDC充電を開始せずに処理を終了させる。
以上のように、実施の形態1に係る車両1は、DC充電開始時において、蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低い場合には、昇圧処理を実行する。昇圧処理では、AC充電により、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上に充電される。そして、昇圧処理によって蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上となった状態において、DC充電が開始される。このように、DC充電開始時に、蓄電装置10の電圧VBが、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_minよりも低い場合であっても、DC充電を行なうことが可能となる。これにより、車両1の蓄電装置10の充電機会が失われることを抑制することができる。
なお、DC充電開始時において蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_minより低い場合には、DC充電を実行せずに、AC充電により蓄電装置10を所望のSOCまで充電することも可能である。しかしながら、一般的に、AC充電による単位時間あたりの充電量は、DC充電による単位時間あたりの充電量よりも小さい。実施の形態1に係る車両1によれば、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_minより低い場合において、AC充電により蓄電装置10を所望のSOCまで充電することに比べて、充電に要する時間を短縮することが可能である。
[変形例]
実施の形態1では、昇圧処理において、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されていない場合には(図3のS51においてNO)、車両1は、DC充電を不許可とした(図3のS59)。しかしながら、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されていない場合には、即座にDC充電を不許可とするのではなく、ユーザに、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320を接続することを促す接続要求を通知してもよい。
実施の形態1では、昇圧処理において、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されていない場合には(図3のS51においてNO)、車両1は、DC充電を不許可とした(図3のS59)。しかしながら、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されていない場合には、即座にDC充電を不許可とするのではなく、ユーザに、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320を接続することを促す接続要求を通知してもよい。
図4は、変形例に係る車両1のECU100で実行される昇圧処理の手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、図3のフローチャートに対して、S61およびS63の処理を追加したものである。その他の処理については図3と同様であるため、ここでは繰り返し説明しない。
ECU100は、AC充電口70に、AC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されていない場合には(S51においてNO)、ユーザに、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320を接続することを促す接続要求を通知する(S61)。通知は、たとえば、車両1のナビゲーション装置(図示せず)の表示画面への表示や、音声による通知とすることができる。
次いで、ECU100は、初回のS61における通知をしてから所定時間が経過したか否かを判定する(S63)。所定時間は、たとえば、S61の通知を受けたユーザが、AC充電口70に、AC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320を接続することが十分できる時間に設定される。
所定時間が経過していない場合には(S63においてNO)、ECU100は、処理をS51に戻す。所定時間が経過した場合には(S63においてYES)、ECU100は、処理をS59に進める。
以上のように、変形例に係る車両1は、昇圧処理において、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320が接続されていない場合には、即座にDC充電を不許可とするのではなく、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320を接続することを促す接続要求をユーザに通知する。当該通知を受けたユーザは、AC充電口70にAC充電設備300の充電ケーブル310の充電コネクタ320を接続することによって、AC充電を開始して、蓄電装置10の電圧VBを、DC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上にすることができる。蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上になれば、DC充電を開始することができる。上記通知を行なうことによって、車両1の蓄電装置10の充電機会が失われることをさらに抑制することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1においては、DC充電開始時に、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_minより低い場合には、AC充電により蓄電装置10の電圧VBをDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上になるように充電した。車両1がエンジン40を備えるハイブリッド自動車である場合には、AC充電に代えて、エンジン40の動力を用いて蓄電装置10を充電することも可能である。実施の形態2では、車両1は、DC充電開始時に、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_minより低い場合には、エンジン40の動力を用いて蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上になるように蓄電装置10を充電する例について説明する。
実施の形態1においては、DC充電開始時に、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_minより低い場合には、AC充電により蓄電装置10の電圧VBをDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上になるように充電した。車両1がエンジン40を備えるハイブリッド自動車である場合には、AC充電に代えて、エンジン40の動力を用いて蓄電装置10を充電することも可能である。実施の形態2では、車両1は、DC充電開始時に、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_minより低い場合には、エンジン40の動力を用いて蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上になるように蓄電装置10を充電する例について説明する。
ハイブリッド自動車である車両1は、エンジン40を作動させて、エンジン40の動力を用いてモータジェネレータ31により発電する。そして、モータジェネレータ31によって発電された交流電力をPCU20により直流電力に変換し、当該変換した直流電力により、蓄電装置10を充電する。
図5は、実施の形態2に係る車両1のECU100で実行される昇圧処理の手順を示すフローチャートである。
昇圧処理において、ECU100は、エンジン40を作動させる(S81)。具体的には、ECU100は、エンジン40を作動させて、エンジン40の動力を用いてモータジェネレータ31により発電する。そして、ECU100は、モータジェネレータ31によって発電された交流電力を、PCU20により直流電力に変換し、蓄電装置10を充電する。
エンジン40の動力を用いた充電を開始すると、ECU100は、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上となるまで充電を継続する(S83においてNO)。そして、ECU100は、蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上となると(S83においてYES)、エンジン40を停止させる(S85)。
エンジン40を作動させて、エンジン40の動力を用いて蓄電装置10の電圧VBがDC充電設備200の出力下限電圧Vo_min以上になるまで充電することによって、蓄電装置10に過電流を流すことなく、DC充電を行なうことができる。すなわち、実施の形態1と同様に、車両1の蓄電装置10の充電機会が失われることを抑制することができる。なお、上記の説明から認識し得るように、実施の形態2においては、AC充電に関する構成、具体的には、AC充電口70、充電器73およびAC充電リレー75を備えなくてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、10 蓄電装置、11 監視ユニット、12 電圧センサ、13 電流センサ、14 温度センサ、15 SMR、20 PCU、31,32 モータジェネレータ、40 エンジン、45 動力分割装置、50 駆動軸、55 駆動輪、60 DC充電口、65 DC充電リレー、67 通信装置、70 AC充電口、73 充電器、75 AC充電リレー、100 ECU、100a CPU、100b メモリ、200 DC充電設備、300 AC充電設備、210,310 充電ケーブル、220,320 充電コネクタ、ACNL,ACPL,DCNL,DCPL,L1,L2,L5,L6,NL,PL 電力線、CL,L3 通信信号線、L4,L7,SL1,SL2,SL3 信号線。
Claims (1)
- 車両外部の電源から供給される電力を受けて充電されるように構成された蓄電装置と、
前記電源としての直流充電設備から供給される直流電力を用いて前記蓄電装置を充電する直流充電と、前記電源としての交流充電設備から供給される交流電力を直流電力に変換して前記蓄電装置を充電する交流充電とを実行可能に構成された制御装置と、
前記直流充電設備と通信可能に構成された通信装置とを備え、
前記直流充電を開始する場合において、前記制御装置は、
前記蓄電装置の電圧が、前記通信装置を介して取得した前記直流充電設備の出力可能電圧の下限値よりも低いときには、前記交流充電を実行し、
前記蓄電装置の電圧が前記下限値以上となると、前記交流充電を終了して、前記直流充電を開始する、車両。
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