JP2020193361A - 溶融Zn−Al系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】銀白色で金属光沢の少ない優れた意匠性と端面耐食性とを有する溶融Zn−Al系めっき鋼板及びその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る溶融Zn−Al系めっき鋼板は、下地鋼板と、下地鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Al:5.1〜22.0%、Si:0〜2.2%(0%を含む)、Fe:0〜1.0%(0%を含む)を含み、残部がZn及び不可避的不純物である成分組成のめっき層を有し、めっき層の表面に形成されたスパングルの円相当径の平均値が0.2mm以上であり、めっき層の表面の光沢度が400以下であることを特徴とする。なお、スパングルの円相当径の平均値は、2.0mm以上であることが望ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、溶融Zn−Al系めっき鋼板及びその製造方法に関する。
溶融Zn−Al系めっき鋼板、例えばめっき層中にAlを質量%で25〜90%含有する溶融Zn−Al系めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板に比べて、加工を受けていない平板部において優れた耐食性(平板部耐食性)を示す。一般に、溶融Zn−Al系めっき鋼板は、鋼スラブを熱間圧延若しくは冷間圧延した薄鋼板を下地鋼板として用い、連続式溶融めっきラインの焼鈍炉にて下地鋼板に対し再結晶焼鈍及び溶融めっき処理を施すことによって製造される。溶融Zn−Al系めっき層は、下地鋼板との界面に存在し、Fe−Al系金属間化合物からなる界面合金層と、界面合金層上に存在する上層と、を備えている。さらに、上層は、主としてZnを過飽和に含有し、Alがデンドライト凝固した部分(α−Al相)と、残りのデンドライト間隙の部分(Znリッチ相)と、からなり、α−Al相は溶融Zn−Al系めっき層の膜厚方向に積層している。この上層の特徴的な皮膜構造により、表面からの腐食進行経路が複雑になり、腐食が容易に下地鋼板に到達しにくくなる。結果、溶融Zn−Al系めっき鋼板は、めっき層の厚みが同一の溶融亜鉛めっき鋼板に比べて、優れた平板部耐食性を有することが可能になる。
しかしながら、Alを質量%で25〜90%含有する溶融Zn−Al系めっき鋼板は、せん断端面や加工によってめっき層が欠損した箇所等、下地鋼板の露出した箇所が腐食環境に曝されると、めっき層の厚みが同一の溶融亜鉛めっき鋼板に比べて、早期に赤錆が発生する、すなわち端面耐食性が劣るという欠点を有している。これは、25%超もの多量のAlを含有することによって、めっき層自体の腐食が抑制され、反して下地鋼板に対する犠牲防食作用が弱まるためである。また、溶融Zn−Al系めっき鋼板のめっき層は、硬質のα−Al相と軟質のZnリッチ相とが混在した不均質組織になっているため、α−Al相とZnリッチ相との界面に応力が集中しやすい。このため、溶融Zn−Al系めっき鋼板を加工すると、α−Al相とZnリッチ相との界面を起点とする亀裂が発生し、亀裂を介して露出した下地鋼板が腐食しやすくなる。さらに、溶融Zn−Al系めっき鋼板では、めっき層と下地鋼板との界面に存在する界面合金層が、硬く脆性なFe−Al系金属間化合物からなり、加工時に亀裂の起点となるので、露出した下地鋼板の腐食を誘発する。
一方、Alを質量%で5%未満含有する一般的な溶融亜鉛めっき鋼板は、表面に金属光沢のある亀甲状のスパングル模様を有する場合がある。この場合、表面はギラギラ感を有し、なおかつ凹凸が著しいことから、用途によってはスパングル模様を微細化することが求められる。これに対して、めっき層中にAlを質量%で約55%、Siを1〜2%含有する溶融Zn−Al系めっき鋼板も表面にスパングル模様を有するが、そのスパングル模様は、粗大であり、金属光沢やギラギラ感が少なく、平滑で美麗な銀白色を呈している。すなわち、溶融Zn−Al系めっき鋼板は、意匠性の観点で通常の溶融亜鉛めっき鋼板と質を異にしている。このため、溶融Zn−Al系めっき鋼板は、優れた意匠性を活用して、生地(無塗装)のまま、あるいは、その表面にクロメート処理や薄膜樹脂塗布処理を施して使用される場合もある。
特開2000−219949号公報 特開平2−175852号公報
上述したように、Alを質量%で約55%含有する溶融Zn−Al系めっき鋼板は、スパングル模様が粗大であり、銀白色で金属光沢の少ない優れた意匠性を有している。しかしながら、Alの含有率が5.1〜22.0%程度と少ない溶融Zn−Al系めっき鋼板であって、スパングル模様が粗大であり、銀白色で金属光沢の少ない優れた意匠性を有すると共に、優れた端面耐食性を有する溶融Zn−Al系めっき鋼板は提供されていない。このため、Alの含有率が5.1〜22.0%程度と少ない溶融Zn−Al系めっき鋼板であって、優れた意匠性及び端面耐食性を備える溶融Zn−Al系めっき鋼板の提供が期待されていた。
なお、特許文献1には、めっき層中にAlを質量%で30〜70%、Siを0.05〜2.0%含有し、残部がZn及び不可避不純物からなるめっき組成を有する溶融Zn−Al系めっき鋼板において、めっき処理前の還元ガス雰囲気及び露点を適宜調整することにより、めっき層表面のスパングルを微細化せずに開華させる方法が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、めっき層中にAlを質量%で30〜70%含有するめっきを対象とした技術であり、よりAl含有量の少ないめっきにおけるスパングルの粗大化による意匠性の向上については考慮されていない。
また、特許文献2には、めっき層中にAlを質量%で3〜10%、Siを0.01〜1.0%、Mgを0.05〜1.0%含有する溶融Zn−Al系めっき鋼板において、めっき層が凝縮する直前の半溶融状態において、冷却速度50〜300℃/秒の急冷処理を施すことにより、表面の亀甲スパングル模様を低減する方法が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法は、めっき浴へのMgの添加が必須であり、スパングル径を2mm以下に微細化することを志向した方法であり、Mgを添加しない溶融Zn−Al系めっきにおいてスパングルの粗大化により意匠性を向上する手法は検討されていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、銀白色で金属光沢の少ない優れた意匠性と端面耐食性とを有する溶融Zn−Al系めっき鋼板及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る溶融Zn−Al系めっき鋼板は、下地鋼板と、前記下地鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Al:5.1〜22.0%、Si:0〜2.2%(0%を含む)、Fe:0〜1.0%(0%を含む)を含み、残部がZn及び不可避的不純物である成分組成のめっき層を有し、該めっき層の表面に形成されたスパングルの円相当径の平均値が0.2mm以上であり、めっき層表面の光沢度が400以下であることを特徴とする。
本発明に係る溶融Zn−Al系めっき鋼板は、上記発明において、前記スパングルの円相当径の平均値が2.0mm以上であることを特徴とする。
本発明に係る溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法は、前記溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法であって、連続式溶融めっき設備において、質量%で、Al:5.1〜22.0%、Si:0〜2.2%(0%を含む)、Fe:0〜1.0%(0%を含む)を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成のめっき浴を用いて、下地鋼板に対して溶融めっき処理を施すステップと、めっき付着量を調整した後のめっき鋼板を8℃/秒以下の冷却速度で381℃まで冷却するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、銀白色で金属光沢の少ない優れた意匠性と端面耐食性とを有する溶融Zn−Al系めっき鋼板及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る溶融Zn−Al系めっき鋼板及びその製造方法について説明する。
〔構成〕
本発明に係る溶融Zn−Al系めっき鋼板は、下地鋼板と、下地鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Al:5.1〜22.0%、Si:0〜2.2%(0%を含む)、Fe:0〜1.0%(0%を含む)を含み、残部がZn及び不可避的不純物である成分組成のめっき層を有し、めっき層の表面に形成されたスパングルの円相当径の平均値が0.2mm以上である。
めっき層は、Zn−Al合金を主体としており、Al含有率は5.1%以上22.0%以下の範囲内にある。めっき層のAl含有率は、めっき浴のAl含有率とほぼ同一になる。めっき層のAl含有率が5.1%未満である場合、めっき層の凝固の際の初晶の結晶構造は六方最密格子(hcp)となる。これに対して、めっき層のAl含有率が5.1%以上である場合には、初晶の結晶構造は面心立方格子(fcc)となる。めっき層の表面には初晶の結晶構造によらずスパングルが生じるが、初晶の結晶構造が六方最密格子である場合、めっき層の表面は鏡面状の光沢でギラギラした外観となる。これに対して、初晶の結晶構造が面心立方格子である場合には、めっき層の表面は銀白色で光沢が少ない美麗な外観となる。
このため、意匠性に優れた外観を安定的に得るためには、めっき層の初晶の結晶構造を面心立方格子とすることが肝要であることから、めっき層のAl含有率の下限値は5.1%とする。一方、めっき層のAl含有率が22.0%超である場合には、めっき層中にZn濃度の著しく小さいAl富化相が析出するようになる。めっき層がAl富化相を有する場合、下地鋼板に対する犠牲防食作用が著しく弱まり、せん断端面や加工によりめっき層が欠損した箇所等の下地鋼板の露出した箇所が腐食環境に曝されると、めっき層の厚みが同一の溶融亜鉛めっき鋼板と比べ早期に赤錆が発生する。このため、下地鋼板の露出した箇所の耐食性(端面耐食性)を鑑み、めっき層のAl含有率の上限値は22.0%とする。めっき層のAl含有率は、好ましくは5.5%以上15.0%以下、より好ましくは6.0%以上10.0%以下の範囲内である。
めっき層は、Siを2.2%以下の範囲内で含有することもできる。Siは溶融Zn−Alめっき中のAlと下地鋼板との合金化反応を遅延させ、界面合金層を薄くする。これにより、曲げ・曲げ戻し等の特に激しい加工に供される場合において、加工時の界面合金層を起点としためっき剥離を抑制することができ、疵部の耐食性が向上する。その効果はAl濃度が10.0%を越えると飽和し、それ以上のSiの添加はコスト高や浴中ドロスの増加を招くと共に、単相Siとしてめっき層内に析出して耐食性を劣化させる。このため、めっき層のAl含有率の上限値が22.0%であることから、Siの含有率の上限値は2.2%とする。
めっき層のFe含有率は、下地鋼板とめっき層との界面に形成される界面合金層の成長に伴って増加し、界面合金層はめっき浴温度や母材のめっき浴への浸漬温度等を高くすると成長しやすい。めっき層のFe含有率が1.0%を超えて増加すると加工性が著しく低下するため、めっき層のFe含有率は1.0%以下(0%を含む)、望ましくは0.5%以下とする。
めっき層の残部はZn及び不可避的不純物である。なお、不可避不純物として、Ni,Cr,Mo,W,B,Be,Cd,Pb,Sn,Bi,Sb,Mg,Ca等の元素がそれぞれ0.02%以下の範囲内でめっき層に含有されていても本発明の効果を損なうことはない。従って、上記範囲内でこれらの元素が含有されていても本発明の所望の効果を得るのに何ら問題はない。
めっき層表面のスパングルの円相当径の平均値は0.2mm以上である。スパングルの円相当径の平均値が0.2mm未満である場合、個々のスパングルは目視で判別できず、本発明の特徴とする銀白色の美麗なスパングル外観とならない。スパングルの円相当径の平均値は、より好ましくは2.0mm以上とする。また、スパングルの円相当径の平均値の上限値は、好ましくは20.0mm以下である。この円相当径は、光学顕微鏡による観察で容易に測定できる。
めっき層の表面の光沢度は400以下である。なお、光沢度はJIS Z 8741に規定される60度鏡面光沢法により測定するものとする。光沢度が400超である場合、表面が強い光反射性を有するギラギラとした外観となり、スパングルの美麗さが劣り、本発明の特徴とする銀白色の美麗なスパングル外観とならない。めっき層の表面の光沢度は、より好ましくは300以下とする。
本発明に係る溶融Zn−Al系めっき鋼板は、化成処理せずに使用しても、高い耐食性を示す。しかしながら、一般的な連続式溶融めっき設備に設置されている化成処理装置において適当な化成処理を施してもよく、それによりさらに耐食性が向上する。化成処理としては、クロメート処理や各種クロムフリー化成処理を用いることが耐食性改善に有効であるので好ましい。クロメート処理は、塗布型、反応型、電解型のいずれの処理法でもよく、また処理液組成や処理方法も特に制限されず、従来のものから適当に選択することができる。好ましいクロメート処理法は、短い処理時間で耐食性の向上効果が大きい塗布型クロメート処理である。クロメート処理により形成するクロメート皮膜の付着量は、Cr金属換算量として3〜150mg/mの範囲内でよい。
溶融Zn−Al系めっき鋼板は、上記のようにクロメート処理若しくはクロムフリー化成処理を施し又は施さずに、薄膜の樹脂被覆を施すこともできる。被覆に適した樹脂種としては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、エポキシ、ビニルブチラール等を例示できる。樹脂被覆としては、溶剤系の樹脂塗料も使用できるが、樹脂を水に分散ないし溶解させた水系の樹脂塗料を用いることが好ましい。樹脂の被覆厚みは5μm以下とすることが好ましい。樹脂被覆がこれより厚膜になると、コスト増大に加えて成形時に樹脂カスが発生し、外観が悪化する。より好ましい樹脂の被覆厚みは0.5〜3.0μmの範囲内である。
本発明において用いられる下地鋼板の種類は、特に限定はされない。例えば、酸洗脱スケール処理した熱延鋼板若しくは鋼帯、又は、それらを冷間圧延して得られた冷延鋼板若しくは鋼帯を用いることができる。熱間圧延工程は、スラブ加熱、粗圧延、及び仕上げ圧延を経て巻き取る通常の方法で実施すればよい。さらに、加熱温度、仕上げ圧延温度等についても特に限定されるものではなく、通常の温度で実施できる。熱間圧延後に行われる酸洗工程も通常用いられる方法によって行えばよく、塩酸や硫酸等を用いた洗浄が挙げられる。酸洗工程後に行われる冷間圧延工程についても特に限定はされないが、例えば30〜90%の圧下率で行うことができる。圧下率が30%以上であれば機械特性が劣化することがない。一方、圧下率が90%以下であれば圧延コストがアップしない。冷延鋼板を母材に用いる場合には、焼鈍していないものを用いるのが経済的で望ましいが、焼鈍済みのものでも構わない。
〔製造方法〕
本発明に係る溶融Zn-Al系めっき鋼板の製造方法は、Al:5.1〜22.0%、Si:0〜2.2%(0%を含む)、Fe:0〜1.0%(0%を含む)を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成のめっき浴を用いて下地鋼板に対して溶融めっき処理を施すステップと、めっき付着量を調整した後のめっき鋼板を8℃/秒以下の冷却速度で381℃まで冷却するステップと、を含む。
めっき層のAl含有率は、めっき浴のAl含有率とほぼ同一になる。従って、めっき浴の化学組成は、所望の合金組成と同一とすればよい。めっき浴の温度は、一般的なZn−Al二元系平衡状態図より読み取られる、めっき層組成の合金の凝固開始温度よりも30〜60℃の範囲高めることが好ましい。60℃を超えてめっき浴の温度を高めると、めっき浴に浸漬したときの界面合金層の発達が著しくなるので好ましくない。
下地鋼板をめっき浴に浸漬し、ガスワイピング等の公知の方法によりめっき付着量を所定の量に調整する。めっき付着量は、本発明では特に限定されるものではないが、適正な操業効率を確保するために、下地鋼板の片面当たり30〜250g/mの範囲内が好適である。
本発明の特長である、銀白色で光沢が少なく、意匠性に優れた粗大なスパングル外観を得るためには、上記の浴成分調整とめっき付着量調整後の381℃までの冷却速度制御が最も肝要である。ここで、381℃は面心立方格子と六方最密格子の共晶温度に相当し、これより高温では液相成分が存在している。各組成の溶融Zn−Alめっき浴に対し鋭意検討を行った結果、381℃までの冷却速度を8℃/秒以下とすることにより、本発明で規定する成分範囲にあるいずれの溶融Zn−Alめっき浴においても、銀白色で光沢が少なく、意匠性に優れた粗大なスパングル外観を得られることがわかった。
381℃まで8℃/秒以下の冷却速度で徐冷を施すことにより、未凝固のめっき層内でめっき浴成分の分配が進行し、面心立方格子構造のデンドライトが十分に形成され、約55%のAlを含有する溶融Al−Zn系めっき鋼板と類似した外観となる。これに対して、381℃までの冷却速度が8℃/秒より速い場合には、めっき浴成分の分配が十分に進行せず、強制凝固されることによってZnとAlの共晶状の組織が形成される。しかしながら、この共晶状の組織は、六方最密格子構造のめっき層と同様、光沢のあるスパングル外観であり、凝固収縮に起因する凹凸も有するため著しく外観品質に劣る。スパングル外観が光沢から銀白色・無光沢に遷移する冷却速度はめっき浴組成に依存し、Al含有率が5.1%で8℃/秒、Al含有率が7%で20℃/秒程度である。以上のことから、ガスワイピングによりめっき付着量を調整後のめっき鋼板の381℃まで冷却速度は8℃/秒以下とする。
次に、本発明に係るZn−Al系めっき鋼板の実施例を説明する。
常法で製造した板厚0.8mmの極低炭素冷延鋼板を下地鋼板として用い、溶融めっき設備において本発明例及び比較例の溶融Zn−Al系めっき鋼板を製造した。具体的には、めっき浴の組成を種々変化させ、めっき浴の温度はZn−Al二元系平衡状態図より推定される凝固開始温度より40℃高い温度とした。めっき浴へ浸入させる際の下地鋼板の温度はめっき浴の温度と同一の温度とし、浸漬時間を1秒、めっき厚さをガスワイピングの流量調整によりめっき付着量50g/mに制御し、本発明例及び比較例の溶融Zn−Al系めっき鋼板を製造した。なお、めっき浴の組成は、本発明例及び比較例の製造に用いためっき浴から約2gを採取し、化学分析によって確認した。本発明例及び比較例のめっき浴及びめっき層の組成を以下の表1に示す。
〔意匠性評価〕
本発明例及び比較例の溶融Zn−Al系めっき鋼板について、スパングルの平均径及び光沢度に基づいて意匠性を評価した。スパングルの平均径及び光沢度は、以下に示す評価基準(評点)により評価した。
(スパングルの平均径)
20個のスパングルを無作為に抽出し、スパングルの最大径と最小径の平均値を測定し、20個の測定値の平均値を評価対象の溶融Zn−Al系めっき鋼板におけるスパングルの平均直径とした。評価は、以下に示す3段階の評価基準(評点)を設定して行い、評点○以上を合格とした。結果を以下の表1に併せて示す。
◎:スパングルの平均直径≧2mm
○:0.2mm≦スパングルの平均直径<2.0mm
×:スパングルの平均直径<0.2mm
(光沢度)
JIS Z 8741(1997年)に基づいて、光沢度計で60度鏡面光沢度(G60)を測定した。評価は、以下に示す3段階の評価基準によって評価し、評点○以上を合格とした。結果を以下の表1に併せて示す。
◎:G60≦300
○:300<G60≦400
×:G60>400
〔耐食性評価〕
本発明例及び比較例の溶融Zn−Al系めっき鋼板について、平坦部耐食性、端面耐食性、及び曲げ加工部耐食性(0T曲げ部耐食性)を評価した。
(平板部耐食性)
本発明例及び比較例の溶融Zn−Al系めっき鋼板をそれぞれ50mm×50mmのサイズに剪断して評価用サンプルを作製し、各評価用サンプルの端面をシールし、千葉県銚子市内の沿岸部における屋外曝露試験に1年間供した。そして、平板部の赤錆面積率から各サンプルの無加工平板部における耐食性を評価した。評価は、下記に示す4段階の評価基準(評点)を設定して行い、評点○以上を合格とした。評価結果を表1に併せて示す。
◎:赤錆面積率=0%
○:0%<赤錆面積率≦1%
△:1%<赤錆面積率≦5%
×:赤錆面積率>5%
表1に示すように、本発明例の溶融Zn−Al系めっき鋼板は平板部耐食性に優れていることが確認された。
(端面耐食性)
本発明例及び比較例の溶融Zn−Al系めっき鋼板をそれぞれ20mm×20mmのサイズに剪断して評価用サンプルを作製し、各評価用サンプルを曝気した水温25℃のイオン交換水に浸漬し、24時間後に取り出した。そして、剪断端面の外観写真を画像解析することにより赤錆の発生状況を定量化し、4端面の赤錆面積率を平均することで、各サンプルの剪断端面の耐食性を評価した。評価は、下記に示す4段階の評価基準(評点)を設定して行い、評点○以上を合格とした。評価結果を表1に併せて示す。
◎:赤錆面積率=0%
○:0%<赤錆面積率≦5%
△:5%<赤錆面積率≦20%
×:赤錆面積率>20%
表1に示すように、本発明例の溶融Zn−Al系めっき鋼板は端面耐食性に優れていることが確認された。
(曲げ加工部耐食性)
本発明例及び比較例の溶融Zn−Al系めっき鋼板をそれぞれ50mm×50mmのサイズに剪断して評価用サンプルを作製し、各評価用サンプルに対して180°曲げの加工(0T曲げ)を施した後、端面をシールし、千葉県銚子市の沿岸部における屋外曝露試験に3か月間供した。そして、曲げ頂点部の赤錆面積率から各サンプルの曲げ加工部における耐食性を評価した。評価は、下記に示す4段階の評価基準(評点)を設定して行い、評点○以上を合格とした。評価結果を表1に併せて示す。
◎:赤錆面積率=0%
○:0%<赤錆面積率≦1%
△:1%<赤錆面積率≦5%
×:赤錆面積率>5%
表1に示すように、本発明例の溶融Zn−Al系めっき鋼板は曲げ加工部耐食性に優れていることが確認された。
Figure 2020193361

Claims (3)

  1. 下地鋼板と、前記下地鋼板の少なくとも片面に、質量%で、Al:5.1〜22.0%、Si:0〜2.2%(0%を含む)、Fe:0〜1.0%(0%を含む)を含み、残部がZn及び不可避的不純物である成分組成のめっき層を有し、該めっき層の表面に形成されたスパングルの円相当径の平均値が0.2mm以上であり、めっき層の表面の光沢度が400以下であることを特徴とする溶融Zn−Al系めっき鋼板。
  2. 前記スパングルの円相当径の平均値が2.0mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板。
  3. 連続式溶融めっき設備において、質量%で、Al:5.1〜22.0%、Si:0〜2.2%(0%を含む)、Fe:0〜1.0%(0%を含む)を含み、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成のめっき浴を用いて、下地鋼板に対して溶融めっき処理を施すステップと、めっき付着量を調整した後のめっき鋼板を8℃/秒以下の冷却速度で381℃まで冷却するステップと、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融Zn−Al系めっき鋼板の製造方法。
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