JP2020191876A - 結腸直腸癌のためのメチル化マーカー - Google Patents

結腸直腸癌のためのメチル化マーカー Download PDF

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Abstract

【課題】高感度で優れた特異度を有する結腸の前悪性及び悪性腫瘍性変化の非侵襲的検出方法の提供。【解決手段】被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因をスクリーニングする方法であって、被験体に由来する生物学的サンプル内のセプチン9遺伝子のメチル化状態及び1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化状態を検出することによって、該生物学的サンプルをアッセイするステップを含み、該1つのさらなるマーカー遺伝子は、イカロスファミリージンクフィンガー1遺伝子及び分岐鎖アミノトランスフェラーゼ1遺伝子から選択され、セプチン9及び該1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化が被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因を示す方法。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年6月4日に出願された米国仮出願第62/007,687号の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
結腸直腸癌(colorectal cancer、CRC)は、癌の3番目によく見られる形態であり、西洋における癌関連死の2番目の原因である。その自然な進化(腺腫-癌腫の連続はほとんどの患者に起こると考えられている)及び非外科的方法による接近可能性により、それは、早期検出及び予防に適している。
早期検出は、CRCの治癒のチャンスを大幅に改善する。結腸内視鏡検査は、極めて特異的で感度のよい検査であるが、腸の準備及び患者の協力を要する侵襲的検査である。それはまた、重大な合併症の軽微なリスクに関連しており、一般化使用を減少させる。
高感度で優れた特異度を有する結腸の前悪性及び悪性腫瘍性変化の非侵襲的検出が必要とされている。
いくつかの実施形態では、被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因をスクリーニングする方法であって、被験体に由来する生物学的サンプル内のセプチン9(Septin 9)遺伝子のメチル化状態及び1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化状態を決定することによって、該生物学的サンプルをアッセイするステップを含み、該1つのさらなるマーカー遺伝子は、イカロス(Ikaros)ファミリージンクフィンガー1(IKZF1)遺伝子及び分岐鎖アミノトランスフェラーゼ1(BCAT1)遺伝子から選択され、セプチン9及び該1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化が、被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因を示す、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルをアッセイするステップは、セプチン9遺伝子、IKZF1遺伝子、及びBCAT1遺伝子のメチル化状態を決定することを含む。いくつかの実施形態では、セプチン9遺伝子のメチル化状態及び1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化状態を決定することは、増幅、PCR法、等温増幅、NASBA法、LCR法、メチル化特異的増幅、メチル化特異的PCR(MSP)、ネステッドMSP、Heavy-Methyl(商標)、バイサルファイト配列決定、DNAアレイを用いた検出、オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いた検出、CpGアイランドマイクロアレイを用いた検出、制限酵素を用いた検出、COBRA法、リアルタイムPCR、HeavyMethyl(商標)リアルタイムPCR、MSP MethyLight(商標)、MethyLight(商標)Algo(商標)、QM法、ヘッドループ(Headloop) MethyLight(商標)、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)、HeavyMethyl(商標)Scorpion(商標)、MSP Scorpion(商標)、ヘッドループ Scorpion(商標)法、メチル化感受性プライマー伸長、及びMS-SNuPE(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長)の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは血液又は血漿サンプルである。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは便サンプル、浣腸洗浄液、外科的切片又は組織生検である。いくつかの実施形態では、新生物は癌である。いくつかの実施形態では、新生物は腺腫である。いくつかの実施形態では、新生物は前癌状態である。いくつかの実施形態では、前記被験体はヒトである。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルはゲノムDNAを含む。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは無細胞DNAを含む。
いくつかの実施形態では、DNAのメチル化分析の方法であって、(a)メチル化シトシンに影響せずに、非メチル化シトシン塩基をウラシルスルホネートに、又はシトシンと異なる結合挙動を有する別の塩基に変換することができる1つ以上の試薬で、生物学的サンプルに由来するDNAを処理するステップ; 及び(b)処理されたDNAを以下を用いて増幅するステップ: (i)セプチン9遺伝子に特異的なプライマー; (ii)IZKF1又はBCAT1遺伝子に特異的なプライマー; 及び(c)増幅されたDNAを検出するステップを含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、処理されたDNAを、(i)セプチン9遺伝子に特異的なプライマー; (ii)IZKF1遺伝子に特異的なプライマー; 及び(iii)BCAT1遺伝子に特異的なプライマーを用いて増幅するステップを含む。
いくつかの実施形態では、DNAのメチル化分析の方法であって、(a)非メチル化シトシン塩基をウラシルスルホネートに変換することができる1つ以上の試薬で、生物学的サンプルに由来するDNAを処理するステップ; 及び(b)処理されたDNAを以下を用いて増幅するステップ: (i)配列番号1及び2及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; (ii)配列番号4及び5及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 又は配列番号7及び8及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 及び(iii)場合により、配列番号3、配列番号6、及び配列番号9及びそれらの変異体から選択されるオリゴヌクレオチド; 及び(c)増幅されたDNAを検出するステップを含む、方法が本明細書に開示される。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド組成物であって、(i)配列番号1及び2及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド;(ii)(1)配列番号4及び5及びそれらの変異体、又は(2)配列番号7及び8及びそれらの変異体、を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 及び(iii)場合により、配列番号3、配列番号6、配列番号9及びそれらの組み合わせから選択されるオリゴヌクレオチド、を含むか又はそれらから本質的になる、オリゴヌクレオチド組成物が本明細書に開示される。
図1は、セプチン9、IKZF1、及びBCAT1メチル化マーカー単独及び組み合わせの感度及び特異度を例示する。IKZF1及びBCAT1をセプチン9に加えると、20個のさらなる症例の捕捉がもたらされた(10%の感度増加)。 図2は、セプチン9、IKZF1、及びBCAT1メチル化マーカー単独又は組み合わせの結腸直腸癌ステージによる感度を例示する。IKZF1及びBCAT1をセプチン9に加えると、さらなる13個のステージIIの症例及び6個のステージIIIの症例が捕捉され、早期癌の検出が改善された。 図3は、絶対数における(3A)及び全体のパーセントによる(3B)、ステージによる結腸直腸癌の検出における、セプチン9、IKZF1及びBCAT1メチル化マーカー単独又は組み合わせの感度を例示する。 図4は、≧1ウェル、≧2ウェル、及び≧3ウェルを用いた結腸直腸癌の検出における、セプチン9、IKZF1、及びBCAT1メチル化マーカー単独及び組み合わせの感度及び特異度を例示する。 図5は、結腸直腸癌の検出における様々なプロトコル間の性能の差を例示する。
結腸直腸新生物の検出のための方法、プライマー、試薬及びキットが本明細書に記載される。
本開示の理解を容易にするために、いくつかの用語及び語句を以下に定義する。
本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、数値に言及するとき、用語「約」は、列挙した値のプラス又はマイナス10%を意味する。
本明細書で使用される用語「増幅」又は「増幅する」は、標的核酸をコピーし、それによって、選択された核酸配列のコピー数を増加させる方法を含む。増幅は、指数関数的であっても直線的であってもよい。標的核酸は、DNA又はRNAのいずれかであり得る。このように増幅された配列は、「アンプリコン」としても知られる「増幅産物」を形成する。本明細書中以下に記載される例示的な方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いる増幅に関するが、核酸の増幅のための数多くの他の方法が当技術分野で公知である(例えば、等温法、ローリングサークル法など)。当業者は、これらの他の方法を、PCR法の代わりに、又はPCR法とともに使用してもよいことを理解する。例えば、Saiki, “Amplification of Genomic DNA” in PCR Protocols, Innis et al., Eds., Academic Press, San Diego, CA 1990, pp. 13-20; Wharamet al., Nucleic Acids Res., 29(11):E54-E54, 2001; Hafneret al., Biotechniques, 30(4):852-56, 858, 860, 2001; Zhonget al., Biotechniques, 30(4):852-6, 858, 860, 2001を参照。
本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はそれらの任意の組み合わせからなる短いポリマーを指す。オリゴヌクレオチドは、一般的に、約10、11、12、13、14、15、20、25、又は30〜約150ヌクレオチド(nt)の長さ、より好ましくは約10、11、12、13、14、15、20、25、又は30〜約70ntである。
本明細書で使用される場合、「プライマー」は、標的ヌクレオチド配列に相補的であり、DNA又はRNAポリメラーゼの存在下でプライマーの3'末端にヌクレオチドの付加をもたらすオリゴヌクレオチドである。プライマーの3'ヌクレオチドは、最適な伸長及び/又は増幅のために、一般に、対応するヌクレオチド位置で標的配列と同一であるべきである。用語「プライマー」は、合成され得る全ての形態のプライマーを含み、ペプチド核酸プライマー、ロックド核酸(LNA)プライマー、ホスホロチオエート修飾プライマー、標識されたプライマーなどが挙げられる。本明細書で使用される場合、「フォワードプライマー」は、DNAのアンチセンス鎖に相補的なプライマーである。「リバースプライマー」は、DNAのセンス鎖に相補的である。
標的核酸に特異的なオリゴヌクレオチド(例えば、プローブ又はプライマー)は、適切な条件下で標的核酸に「ハイブリダイズする」。本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション」又は「ハイブリダイジング」は、規定されたハイブリダイゼーション条件下で塩基対合によってオリゴヌクレオチド一本鎖が相補鎖とアニールするプロセスを指す。これは、2つの相補的ポリヌクレオチド間の特異的な、すなわち非ランダムな、相互作用である。ハイブリダイゼーション、及びハイブリダイゼーションの強さ(すなわち、核酸間の結合の強さ)は、核酸間の相補性の程度、関与する条件のストリンジェンシー、及び形成されたハイブリッドのTmなどの因子によって影響を受ける。
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドは、目的の標的にハイブリダイズすることができ、目的としない核酸に実質的にハイブリダイズすることができない場合、核酸に対して「特異的」である。高レベルの配列同一性は好ましく、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%及びより好ましくは少なくとも98%の配列同一性を含む。配列同一性は、当技術分野で周知のアルゴリズム(例えば、BLAST)を用いるデフォルト設定を有する市販のコンピュータプログラムを使用して決定することができる。
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマー)の「変異体」は、特定のオリゴヌクレオチドと類似の長さを有し(5ヌクレオチド以内)、特定のオリゴヌクレオチドと実質的に同じ領域にハイブリダイズする。一実施形態では、変異体オリゴヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で特定のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、一般に、比較的高いアニーリング温度(例えば約60〜63℃)を含み、それは、変異体オリゴヌクレオチドのその標的への結合に有利であり、それが一時的に結合し得る任意のオフターゲット配列からの変異体オリゴヌクレオチドの解離を導く。
用語「目的の領域」は、配列決定される核酸の領域を指す。
本明細書で使用される場合、用語「生物学的サンプル」は、目的の核酸を含有するサンプルを指す。生物学的サンプルは、臨床サンプル(すなわち、患者から直接得られる)又は単離された核酸を含み得、細胞性若しくは無細胞性の液体及び/又は組織(例えば、生検)サンプルであり得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、被験体から収集された組織又は体液から得られる。サンプル源としては、喀痰(処理又は未処理)、気管支肺胞洗浄(BAL)、気管支洗浄(BW)、全血又は任意のタイプの単離血液細胞(例えば、リンパ球)、体液、脳脊髄液(CSF)、尿、血漿、血清、又は組織(例えば、生検材料)が挙げられるが、限定されない。試験サンプル及び参照サンプルを得る方法は、当業者に周知であり、限定されないが、吸引、組織切片、血液又は他の液体の吸引、外科的又は針生検、パラフィン包埋組織の採取、体液の採取、便の採取などを含む。本文脈では、生物学的サンプルは、好ましくは、血液、血清又は血漿である。
本明細書で使用される場合、用語「被験体」は、ヒトなどの哺乳動物を指すが、家畜(例えば、イヌ、ネコなど)、農用動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、又は実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)の別の動物であってもよい。用語「患者」は、目的の遺伝子多型を有するか、又は有することが疑われる「被験体」を指す。
本明細書で使用される場合、用語「ステージIの癌」、「ステージIIの癌」、「ステージIIIの癌」及び「ステージIV」は、癌のTNMステージ分類を指す。ステージIの癌は、典型的には、原発腫瘍が起源の器官に限定されることを特定する。ステージIIは、腫瘍が結腸の筋肉壁を通って広がっていることを意図する。ステージIIIは、腫瘍がリンパ節に広がっていることを意図する。ステージIVは、原発腫瘍が他の器官に広がっていることを意図する。
本明細書で使用される場合、「メチル化状態」は、目的の遺伝子におけるシトシン残基(CpG対で見い出される)のメチル化レベルを指す。CpG部位に関して使用される場合、メチル化状態は、メチル化又は非メチル化であり得る。目的の遺伝子のメチル化レベルは、任意の適切な手段によって決定される。
メチル化分析
いくつかの実施形態では、被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因をスクリーニングする方法であって、被験体に由来する生物学的サンプル内のセプチン9遺伝子のメチル化状態及び1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化状態を決定することによって、該生物学的サンプルをアッセイするステップを含み、該1つのさらなるマーカー遺伝子は、イカロスファミリージンクフィンガー1(IKZF1)遺伝子及び分岐鎖アミノトランスフェラーゼ1(BCAT1)遺伝子から選択され、セプチン9及び該1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化は、被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因を示す、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルをアッセイするステップは、セプチン9遺伝子、IKZF1遺伝子、及びBCAT1遺伝子のメチル化状態を決定することを含む。
いくつかの実施形態では、DNAのメチル化分析の方法であって、(a)メチル化シトシンに影響せずに、非メチル化シトシン塩基をウラシルスルホネートに、又はシトシンと異なる結合挙動を有する別の塩基に変換することができる1つ以上の試薬で、生物学的サンプルに由来するDNAを処理するステップ; 及び(b)処理されたDNAを以下を用いて増幅するステップ: (i)セプチン9遺伝子に特異的なプライマー、(ii)IZKF1又はBCAT1遺伝子に特異的なプライマー; 及び(c)増幅されたDNAを検出するステップを含む、方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、処理されたDNAを、(i)セプチン9遺伝子に特異的なプライマー; (ii)IZKF1遺伝子に特異的なプライマー; 及び(iii)BCAT1遺伝子に特異的なプライマーを用いて増幅するステップを含む。
セプチン9
ヒトセプチン9遺伝子(MLLセプチン様融合タンパク質、MLLセプチン様融合タンパク質MSF-A、Sipa、Eseptin、Msf、セプチン様タンパク質卵巣/胸部セプチン(Ov/Brセプチン)及びセプチンD1としても知られている)は、セプチン遺伝子ファミリーのメンバーである。セプチン遺伝子ファミリーのメンバーは、小胞輸送から細胞質分裂に及ぶ複数の細胞機能に関連していると考えられている。セプチン9遺伝子は、4つの転写物変異体、セプチン9変異体、及びQ9HC74変異体(セプチン9転写物の切断型である)を含むことが知られている。セプチン9及びQ9HC74転写物は、それぞれ、CpGリッチプロモーター領域を含む。セプチン9の作用の破壊は、不完全な細胞分裂をもたらし、セプチン9は、プロトオンコジーンMLLの融合パートナーであることが示されており、腫瘍形成における役割を示唆している。
IZKF1
ヒトイカロスファミリージンクフィンガータンパク質1(IZKF1)遺伝子は、DNA結合タンパク質イカロスをコードする遺伝子としても知られている。IZKF1タンパク質は、主な腫瘍抑制因子であることが見い出されており、その機能の喪失は、リンパ性白血病に関連している。IKZF1は、顆粒球、B細胞、T細胞及びナチュラルキラー細胞において上方制御され、赤芽球、巨核球及び単球において下方制御されることが知られている。
BCAT1
ヒト分岐鎖アミノトランスフェラーゼ1(BCAT1)遺伝子は、ロイシン、イソロイシン及びバリンなどの分岐鎖アミノ酸の代謝における第1段階の触媒を担う酵素をコードする。BCAT1は、発現が制限されており、胚組織などの特定の組織、成人の脳、卵巣及び胎盤においてのみ見られると考えられている。BCAT1遺伝子の発現は、酵母における増殖及びヒト癌における転移能の増加と関連している。
いくつかの実施形態では、さらなる遺伝子がメチル化状態について分析される。いくつかの実施形態では、IRF4、GRASP、CAHM、VIM1、TMEFF2、SOX21、SLC5A15、NPY.ST8SIA1、ZSCAN18、COL4A2、DLX5、FGF5、FOXF1、FOXI2、及びSDC2から選択されるさらなる遺伝子が、メチル化状態について分析される。
いくつかの実施形態では、DNAのメチル化分析の方法であって、(a)非メチル化シトシン塩基をウラシルスルホネートに変換することができる1つ以上の試薬で、生物学的サンプルに由来するDNAを処理するステップ; 及び(b)処理されたDNAを以下を用いて増幅するステップ: (i)配列番号1及び2及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; (ii)配列番号4及び5及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 又は配列番号7及び8及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 及び(iii)場合により、配列番号3、配列番号6、及び配列番号9及びそれらの変異体から選択されるオリゴヌクレオチド; 及び(c)増幅されたDNAを検出するステップを含む、方法が本明細書に開示される。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド組成物であって、(i)配列番号1及び2及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; (ii)(1)配列番号4及び5及びそれらの変異体、又は(2)配列番号7及び8及びそれらの変異体、を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 及び(iii)場合により、配列番号3、配列番号6、配列番号9及びそれらの組み合わせから選択されるオリゴヌクレオチド、を含むか又はそれらから本質的になる、オリゴヌクレオチド組成物が本明細書に開示される。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、結腸直腸新生物の検出に有用である。いくつかの実施形態では、結腸直腸新生物は前悪性である。いくつかの実施形態では、結腸直腸新生物は悪性である。いくつかの実施形態では、結腸直腸新生物は、癌のステージに関係なく結腸直腸癌(例えば、ステージI、II、III又はIV)である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌はステージIの癌である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌はステージIIの癌である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌はステージIIIの癌である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌はステージIVの癌である。いくつかの実施形態では、結腸直腸新生物は、腺腫のサイズに関係なく(例えば、3cm超; 3cm以下; 1cm超; 1cm以下)、腺腫である。いくつかの実施形態では、腺腫は進行した腺腫であると考えられる。
結腸直腸新生物が検出されるいくつかの実施形態では、結腸直腸新生物を特徴付けるために(例えば、結腸直腸新生物を悪性又は前悪性と特徴付けるために)(例えば、結腸直腸新生物を結腸直腸癌の特定のステージ内に特徴付けるために)、さらなる技術が行われる。
いくつかの実施形態では、本発明は、経時的にメチル化状態をモニタリングする方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、毎月、6ヶ月毎、毎年、2年毎、3年毎、4年毎、5年毎、又はより長い時間間隔で実施することができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、結腸直腸新生物の治療をモニタリングする方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、治療の成功をモニターするために、治療の直前、治療中及び/又は治療後に実施することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、治療の成功を確実にする又はモニターするために、疾患のない患者に対して間隔を置いて実施される。
いくつかの実施形態では、本発明は、結腸直腸新生物の発症に対する被験体のリスクプロファイルを得る方法を提供する。
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、血液又は血漿サンプルである。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、便サンプル、浣腸洗浄液、外科的切片又は組織生検である。いくつかの実施形態では、新生物は癌である。いくつかの実施形態では、新生物は腺腫である。いくつかの実施形態では、新生物は前癌状態である。いくつかの実施形態では、前記被験体はヒトである。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルはゲノムDNAを含む。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは無細胞DNAを含む。
メチル化の検出方法
いくつかの実施形態では、セプチン9遺伝子のメチル化状態及び1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化状態を決定することは、任意の適切な方法によって行われる。一次組織サンプル又は患者サンプル、例えば血液、尿、糞便又は唾液などにおいて特定の座位で異なってメチル化されたDNAを検出するための、いくつかの方法が利用可能である(Kristensen and Hansen Clin Chem. 55: 1471-83, 2009; Ammerpohl et al. Biochim Biophys Acta. 1790:847-62, 2009; Shames et al. Cancer Lett. 251 : 187-98, 2007; Clark et al. Nat Protoc. 1 :2353-64, 2006において概説されている)。いくつかの実施形態では、メチル化状態分析は、増幅、PCR法、等温増幅、NASBA法、LCR法、メチル化特異的増幅、メチル化特異的PCR(MSP)、ネステッドMSP、Heavy-Methyl(商標)、バイサルファイト配列決定、DNAアレイを用いた検出、オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いた検出、CpGアイランドマイクロアレイを用いた検出、制限酵素を用いた検出、COBRA法、リアルタイムPCR、HeavyMethyl(商標)リアルタイムPCR、MSP MethyLight(商標)、MethyLight(商標)Algo(商標)、QM法、ヘッドループMethyLight(商標)、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)、HeavyMethyl(商標)Scorpion(商標)、MSP Scorpion(商標)、ヘッドループ Scorpion(商標)法、メチル化感受性プライマー伸長、及びMS-SNuPE(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長)の少なくとも1つによって達成される。DNAメチル化レベルを評価するために使用されるさらなる技術には、メチル化のための制限酵素ランドマークゲノムスキャニング(RLGS-M)、包括的ハイスループット相対メチル化(CHARM)分析、メチル化DNA免疫沈降、メチル化特異的制限酵素分析、及び定量的バイサルファイトパイロシーケンシングが含まれる。(例えば、その全体が参照により組み込まれる、PCT公開第WO2012/034170号を参照のこと)
特定の実施形態では、本発明は、結腸直腸新生物の存在を検出するためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、そのようなキットは、本明細書に開示されるように、結腸直腸新生物に特異的な1つ以上のメチル化マーカー遺伝子を検出及び/又は特徴付けするために有用、十分又は必要な試薬を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示されるように、メチル化マーカー遺伝子のメチル化状態を検出するために必要な試薬を含有する。いくつかの実施形態では、キットは、被験体から生物学的サンプルを得る及び保存するために必要な成分及び試薬を含有する。
本発明は以下の態様も提供する。
[1] 被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因をスクリーニングする方法であって、
被験体に由来する生物学的サンプル内のセプチン9(Septin 9)遺伝子のメチル化状態及び1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化状態を検出することによって、該生物学的サンプルをアッセイするステップを含み、該1つのさらなるマーカー遺伝子は、イカロス(Ikaros)ファミリージンクフィンガー1(IKZF1)遺伝子及び分岐鎖アミノトランスフェラーゼ1(BCAT1)遺伝子から選択され、セプチン9及び該1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化が、被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因を示す、方法。
[2] 生物学的サンプルをアッセイするステップが、セプチン9遺伝子、IKZF1遺伝子、及びBCAT1遺伝子のメチル化状態を決定することを含む、[1]に記載の方法。
[3] セプチン9遺伝子のメチル化状態及び1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化状態を決定することが、増幅、PCR法、等温増幅、NASBA法、LCR法、メチル化特異的増幅、メチル化特異的PCR(MSP)、ネステッドMSP、Heavy-Methyl(商標)、バイサルファイト配列決定、DNAアレイを用いた検出、オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いた検出、CpGアイランドマイクロアレイを用いた検出、制限酵素を用いた検出、COBRA法、リアルタイムPCR、HeavyMethyl(商標)リアルタイムPCR、MSP MethyLight(商標)、MethyLight(商標)Algo(商標)、QM法、ヘッドループ(Headloop) MethyLight(商標)、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)、HeavyMethyl(商標)Scorpion(商標)、MSP Scorpion(商標)、ヘッドループ Scorpion(商標)法、メチル化感受性プライマー伸長、及びMS-SNuPE(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長)の少なくとも1つを含む、[1]に記載の方法。
[4] 前記生物学的サンプルが血液又は血漿サンプルである、[1]に記載の方法。
[5] 前記生物学的サンプルが便サンプル、浣腸洗浄液、外科的切片又は組織生検である、[1]に記載の方法。
[6] 前記新生物が癌である、[1]に記載の方法。
[7] 前記新生物が腺腫である、[1]に記載の方法。
[8] 前記新生物が前癌状態である、[1]に記載の方法。
[9] 前記被験体がヒトである、[1]に記載の方法。
[10] 前記生物学的サンプルがゲノムDNAを含む、[1]に記載の方法。
[11] 前記生物学的サンプルが無細胞DNAを含む、[1]に記載の方法。
[12] DNAのメチル化分析の方法であって、
(a)メチル化シトシンに影響せずに、非メチル化シトシン塩基をウラシルスルホネートに、又はシトシンと異なる結合挙動を有する別の塩基に変換することができる1つ以上の試薬で、生物学的サンプルに由来するDNAを処理するステップ; 及び
(b)処理されたDNAを以下を用いて増幅するステップ:
(i)セプチン9遺伝子に特異的なプライマー
(ii)IKZF1又はBCAT1遺伝子に特異的なプライマー; 及び
(c)増幅されたDNAを検出するステップ
を含む、方法。
[13] 処理されたDNAを、(i)セプチン9遺伝子に特異的なプライマー; (ii)IKZF1遺伝子に特異的なプライマー; 及び(iii)BCAT1遺伝子に特異的なプライマーを用いて増幅するステップを含む、[12]に記載の方法。
[14] DNAのメチル化分析の方法であって、
(a)非メチル化シトシン塩基をウラシルスルホネートに変換することができる1つ以上の試薬で、生物学的サンプルに由来するDNAを処理するステップ; 及び
(b)処理されたDNAを以下を用いて増幅するステップ:
(i)配列番号1及び2及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド;
(ii)配列番号4及び5及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 又は配列番号7及び8及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 及び
(iii)場合により、配列番号3、配列番号6、及び配列番号9及びそれらの変異体から選択されるオリゴヌクレオチド; 及び
(c)増幅されたDNAを検出するステップ
を含む、方法。
[15] 前記処理されたDNAが、配列番号4及び5及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなるオリゴヌクレオチド、並びに配列番号7及び8及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなるオリゴヌクレオチドを用いて増幅される、[14]に記載の方法。
[16] オリゴヌクレオチド組成物であって、
(i)配列番号1及び2及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド;
(ii)(1)配列番号4及び5及びそれらの変異体; 又は(2)配列番号7及び8及びそれらの変異体、を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 及び
(iii)場合により、配列番号3、配列番号6、配列番号9及びそれらの組み合わせから選択されるオリゴヌクレオチド
を含むか又はそれらから本質的になる、オリゴヌクレオチド組成物。
[17] 配列番号4及び5及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のオリゴヌクレオチド; 並びに配列番号7及び8及びそれらの変異体を含むか又はそれらからなる一対のヌクレオチドを含む、[16]に記載のオリゴヌクレオチド組成物。
リアルタイムPCRによるメチル化マーカー検出
血漿を、患者から得た全血から分離し、凍結した。全核酸を、磁気ビーズ技術を用いて血漿から抽出し、QIAsymphonyプラットフォームを用いて精製した。
Zymo Research EZ-96 DNA methylation-Directキットを、核酸のバイサルファイト変換に使用した。このキットはまた、変換後の核酸のクリーンアップ及び濃縮に使用される。
存在する場合、メチル化セプチン9、IKZF1、及びBCAT1 DNAを、Viia 7機器(Life Technologies)を用いて、以下に示すように、メチル化及びバイサルファイト変換特異的プライマー及びTaqManプローブを用いて増幅及び検出した。増幅可能なDNAの存在のための内部対照として、β-アクチン(ACTB)の増幅及び検出を用いた; ACTBプライマー及びプローブは、バイサルファイト変換β-アクチン配列に特異的である。
Figure 2020191876
品質管理目的のために、4つの異なる対照を使用した。陽性対照については、「高陽性」若しくは「2ng/mL」並びに「低陽性」若しくは「0.2ng/mL」対照サンプルを作製した。陽性対照のそれぞれについて、酵素的にメチル化されたヒトゲノムDNAを、プールされた正常ヒト血漿に、示された最終濃度(2ng/mL又は0.2ng/mLのいずれか)までスパイクした。「マーカー陰性」対照を、非メチル化対照ゲノムDNAを、プールされた正常血漿に10ng/mlの濃度までスパイクして作製した。最後に、1×PBSの抽出ブランク対照を使用した。

Claims (1)

  1. 被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因をスクリーニングする方法であって、
    被験体に由来する生物学的サンプル内のセプチン9(Septin 9)遺伝子のメチル化状態及び1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化状態を検出することによって、該生物学的サンプルをアッセイするステップを含み、該1つのさらなるマーカー遺伝子は、イカロス(Ikaros)ファミリージンクフィンガー1(IKZF1)遺伝子及び分岐鎖アミノトランスフェラーゼ1(BCAT1)遺伝子から選択され、セプチン9及び該1つのさらなるマーカー遺伝子のメチル化が、被験体において結腸直腸新生物又は結腸直腸新生物を発症する素因を示す、方法。
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