JP2020190135A - 道路構造および道路施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレキャストコンクリート版を敷き詰めて形成された道路において、杭に対する固定部分の応力を均一化する。【解決手段】プレキャストコンクリート版(路版)1を用いて形成される道路構造であって、道路領域の地面上に立設された複数の杭3の上に、三角形のプレキャストコンクリート版1が、当該三角形の各角部が杭3の頂部に対応するように敷き詰められ、杭3の頂部と、対応するプレキャストコンクリート版1の角部とが締結部材(ボルト)4によって固定される。【選択図】図2
Description
本発明は、プレキャストコンクリート版を敷き詰めて形成される道路構造およびその道路施工方法に関する。
特許文献1には、工場で製作されたプレキャストコンクリート版を、現場まで運搬して道路を施工する技術が開示されている。
この施工方法では、まず、道路を施工する領域を所定の深さまで切削した後、路床、路盤の土工を行う。続いて、グラウト材の漏出を防止するために路盤上にシートを敷設する。そして、工場から運搬してきたプレキャストコンクリート版をシートの上に敷設し、コッターを用いてプレキャストコンクリート版を結合する。その後、必要部分にグラウト材を充填して、これを養生させて道路を完成する。
特許文献2には、杭を用いる道路の施工について記載がある。すなわち、道傾斜面に基礎杭を打ち込み、道路の長さ方向に隣接する基礎杭の上端に受け梁を設け、受け梁上に床板を配置することで道路を構成する。また、受け梁をプレキャストコンクリート版で形成することも記載されている。
ここで、特許文献1によるプレキャストコンクリート版を敷設する道路施工では、現場でのコンクリート打ちが不要であり工期を短縮することができ、また工場でコンクリート版を製作するため、高品質のコンクリートを得ることができるなどのメリットがある。
しかしながら、特許文献1では、プレキャストコンクリート版を路盤上に水平に敷設する必要があり、そのアライメント等の作業に多くの時間が必要になる場合もある。
また、特許文献2に示されるように、杭を用いることも考えられるが、特許文献2はプレキャストコンクリート版を受け梁に用いることを示すだけであり、プレキャストコンクリート版により道路を構成する場合に杭を用いる場合の構成を示唆するものではない。ここで、杭の頂部にプレキャストコンクリート版を固定する構造であると、プレキャストコンクリート版の平坦度が悪い場合などにおいて、プレキャストコンクリート版とこれを固定する杭の固定部分における応力が均一でなくなる場合が考えられる。この場合、特定の固定部分における応力が大きくなり、耐久性が低下する可能性がある。
本発明は、杭を用いてプレキャストコンクリート版を敷き詰めて形成された道路において、杭に対する固定部分の応力を均一化することを目的とする。
本発明は、プレキャストコンクリート版を用いて形成される道路構造であって、道路領域の地面上に立設された複数の杭の上に、三角形のプレキャストコンクリート版が、当該三角形の各角部が杭の頂部に対応するように敷き詰められ、杭の頂部と、対応するプレキャストコンクリート版の角部とが締結部材によって固定される。
締結部材はボルトであり、プレキャストコンクリートの各角部には貫通穴が設けられ、貫通穴を通るボルトにより杭の頂部と対応するプレキャストコンクリート版の角部とが固定されるとよい。
本発明は、プレキャストコンクリート版を用いて道路を形成する道路の施工方法であって、道路領域の地面に複数の杭を立設し、立設された複数の杭の上に、三角形のプレキャストコンクリート版を、当該三角形の各角部が杭の頂部に対応するように敷き詰め、杭の頂部と、対応するプレキャストコンクリート版の角部とを締結部材によって固定する。
本発明によれば、プレキャストコンクリート版が三角形であり、3つの角部を杭に固定した場合に、がたつきの発生を抑制して、固定部分の応力を均一化でき、耐久性の低下を抑制できる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態における道路構造を示す斜視図である。図2は、図1の一部の拡大図であり、一部のプレキャストコンクリート版(以下、「路版」)を取り除いたときの斜視図である。図3は、組立後の路版をボルトの位置で垂直方向に切断したときの断面図である。
「道路構造」
路版1は、工場などで運搬可能な形や大きさに予め製造された板状のプレキャストコンクリートであり、路版1を現場で並べて敷設することで道路が形成される。
路版1は、工場などで運搬可能な形や大きさに予め製造された板状のプレキャストコンクリートであり、路版1を現場で並べて敷設することで道路が形成される。
本実施形態において路版1は三角形であり、路体2に立設された杭3の上に敷設される。ここで、路体2とは、道路を施工する領域を掘り下げて形成される道路構造の最下層の地面をいうが、本実施形態では路体2の表面が露出しており、道路領域における地面が路体2を構成する。杭3は、下部が路体2に打設されることで、路体2に立設される。杭3は、円筒形状で形成され、その頂部には固定部材15が固定され、ここにねじ穴6が設けられる。なお、この例では、杭3の頂部に固定部材15を配置し、この固定部材15にねじ穴6を設ける。固定部材15上に緩衝材7を介し、路版1を載置し、路版1に設けた貫通穴5を介し、固定部材15のねじ穴6に締結部材としてのボルト4をねじ込み、路版1を杭3に固定する。ここで、固定部材15は、周縁が延長部分15aを有するキャップ形状となっている。そこで、円筒状の杭3の頂部に容易に位置決めすることができる。固定部材15と杭3は、溶接、接着の他、ねじ固定や、キーおよびキー溝を利用して固定してよい。
本実施形態では、1本の杭3の頂部に対し、対応する6枚の路版1の一角を突き合わせるように載置し、それぞれの路版1を締結具であるボルト4で杭3の頂部に締結する。このため、杭3の頂部には、載置された各路版1の貫通穴5と対向する各位置にねじ穴6が形成される。ねじ穴6には、雌ねじが切ってあり、ボルト4のねじ部が螺合されることで、路版1が杭3の頂部に固定される。また、杭3の頂部(杭3と各路版1の角部との間)には、緩衝材7が配置され、路版1の振動を抑制する。緩衝材7には、ゴム、ウレタンなどの弾力のある材質のものを採用するとよい。なお、貫通穴5およびねじ穴6に対向する緩衝材7の位置には、ボルト4を通すための貫通穴8が形成されている。
路版1の角部の裏面であって杭3の頂部(厳密には緩衝材7)と当接する部分には、切り欠き9が形成されている。この切り欠き9は、断面が円形状の杭3を収容する扇形状をしており、6枚の路版1が1つの杭3に載置されたときに、6枚の路版1の切り欠き9によって、杭3が収まる円筒形状の溝が形成されるようになっている。これにより、路版1と杭3との位置決め、換言すると路版1の貫通穴5と杭3のねじ穴6との位置合わせが容易となる。
「三角形の路版」
図4は、三角形の路版1を敷き詰めて形成した道路を上から見た模式図である。このように、ほぼ正三角形(2等辺三角形)の路版1を交互に反対向きに配置することで、長尺の道路が形成される。そして、三角形の各路版1の3つの角部がそれぞれ杭3の頂部に固定される。なお、正三角形であれば、1つの杭3に対して支持される6つの路版1の支持部面積を同一にでき、均一な支持が容易となる。このように、路版1が三角形であると、その角部を杭3で支持する場合に、3点支持となる。3点支持の場合、その3点によって1つの平面が決定されるため、杭3の頂面(固定点)の高さに違いが生じても、3点の固定点について応力は均一になる。例えば、四角形の四隅を杭3の頂部にそれぞれ固定した場合、路版1の厚みが不均一であることなどに起因して、固定点の高さに差が生じた場合、一方の三点支持と、他方の三点支持で、路版1の規定する面が異なる。従って、4点で固定した場合に、がたつきが生じまた固定における応力が均一でなくなる。3点支持であれば、このような不具合の発生を防止することができる。
図4は、三角形の路版1を敷き詰めて形成した道路を上から見た模式図である。このように、ほぼ正三角形(2等辺三角形)の路版1を交互に反対向きに配置することで、長尺の道路が形成される。そして、三角形の各路版1の3つの角部がそれぞれ杭3の頂部に固定される。なお、正三角形であれば、1つの杭3に対して支持される6つの路版1の支持部面積を同一にでき、均一な支持が容易となる。このように、路版1が三角形であると、その角部を杭3で支持する場合に、3点支持となる。3点支持の場合、その3点によって1つの平面が決定されるため、杭3の頂面(固定点)の高さに違いが生じても、3点の固定点について応力は均一になる。例えば、四角形の四隅を杭3の頂部にそれぞれ固定した場合、路版1の厚みが不均一であることなどに起因して、固定点の高さに差が生じた場合、一方の三点支持と、他方の三点支持で、路版1の規定する面が異なる。従って、4点で固定した場合に、がたつきが生じまた固定における応力が均一でなくなる。3点支持であれば、このような不具合の発生を防止することができる。
さらに、図4に示すように、三角形の路版1を用いた場合には、道路の進行方向に対し、各路版1の2辺を斜めにすることが容易である。これによって、車両走行に伴う路版1への力が斜辺によって分割される。すなわち、図4の中央の行の右から2番目の路版1に、矢印で示したように、車両の走行方向の反対方向に掛かる車両走行による力は、路版1の前方斜辺を考えた場合に、路版1の各締結部(ボルト4)に対しては、斜辺方向の力と、斜辺に垂直な方向の力に分割される。このため、路版1に掛かる最大荷重を小さくすることができる。
図5は、三角形の路版1を敷き詰めて形成した道路の他の構成例を示す図である。この例では、直角三角形の路版1を用いている。この構成においても、上述の構成と同様の作用効果が得られる。
「手順」
次に、本実施形態における道路施工方法の手順について図6を用いて説明する。まず、道路を施工する場所について、3次元測量する(S101)。そして、測量結果に基づいて、杭3を打設する位置、高さなどの道路施工についての各種の仕様を決定することで、道路を設計する(S102)。設計結果に基づき道路の施工領域を所定の深さまで切削する(S103)。本実施形態では、図1,2に示すように路版1と路体2との間に空間14が形成されるよう深く掘り下げる。
次に、本実施形態における道路施工方法の手順について図6を用いて説明する。まず、道路を施工する場所について、3次元測量する(S101)。そして、測量結果に基づいて、杭3を打設する位置、高さなどの道路施工についての各種の仕様を決定することで、道路を設計する(S102)。設計結果に基づき道路の施工領域を所定の深さまで切削する(S103)。本実施形態では、図1,2に示すように路版1と路体2との間に空間14が形成されるよう深く掘り下げる。
続いて、杭3を設計通りの間隔、高さで打設する(S104)。例えば、(株)技研製作所のサイレントパイラー(登録商標)等の圧入機を使用して杭3を所望の深さまで打ち込む。特に、各杭3の頂部が路面から路版1の厚み分下の位置で所定の高さになるように打設する。そして、杭3の打設が終了した場合には、杭3の頂部に固定部材15を固定する(S105)。
次に、クレーン等を使用して杭3の上に路版1を載置し(S106)、路版1を、ボルトで杭3に固定する(S107)。
路版1を敷設すると、路版1の間(継ぎ目)、目地にグラウト材を充填する(S108)。そして、グラウト材を養生させる(S109)。このようにして、道路が完成する。
ところで、本実施形態では、前述したように路版1下(路版1と路体2との間)に空間14を形成するように施工できる。空間14を形成することで、その空間14を様々な目的で利用させることが可能となる。例えば、ゲリラ豪雨などの際に増水した場合、一時的な貯水空間として利用できる。あるいは、インフラ(電気、ガス、水道、情報等に用いる配管やケーブル等の構造物)の設置空間として利用できる。
1 路版、2 路体、3 杭、4 ボルト、5 貫通穴、6 ねじ穴、7 緩衝材、8 貫通穴、14 空間、15 固定部材。
Claims (3)
- プレキャストコンクリート版を用いて形成される道路構造であって、
道路領域の地面上に立設された複数の杭の上に、三角形のプレキャストコンクリート版が、当該三角形の各角部が杭の頂部に対応するように敷き詰められ、
杭の頂部と、対応するプレキャストコンクリート版の角部とが締結部材によって固定される、
道路構造。 - 請求項1に記載の道路構造であって、
締結部材はボルトであり、
プレキャストコンクリートの各角部には貫通穴が設けられ、貫通穴を通るボルトにより杭の頂部と対応するプレキャストコンクリート版の角部とが固定される、
道路構造。 - プレキャストコンクリート版を用いて道路を形成する道路の施工方法であって、
道路領域の地面に複数の杭を立設し、
立設された複数の杭の上に、三角形のプレキャストコンクリート版を、当該三角形の各角部が杭の頂部に対応するように敷き詰め、
杭の頂部と、対応するプレキャストコンクリート版の角部とを締結部材によって固定する、
道路の施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019096280A JP2020190135A (ja) | 2019-05-22 | 2019-05-22 | 道路構造および道路施工方法 |
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- 2019-05-22 JP JP2019096280A patent/JP2020190135A/ja active Pending
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