JP2020189769A - 溶融ガラス搬送装置、ガラス製造装置及びガラス製造方法 - Google Patents

溶融ガラス搬送装置、ガラス製造装置及びガラス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】白金又は白金合金からなる導管内に溶融ガラスが満たされた際に、気泡の発生を抑制しながら、ガラス製造費用を抑えることができる溶融ガラス搬送装置を提供する。【解決手段】白金又は白金合金からなる導管を少なくとも1本含む溶融ガラス用導管構造体と、前記導管のうち少なくとも1本の導管の周囲に設けられた第1のセラミックス構造体と、前記第1のセラミックス構造体の周囲に設けられた第2のセラミックス構造体と、前記第1のセラミックス構造体と前記第2のセラミックス構造体との間に設けられた第3のセラミックス構造体と、を備え、前記第3のセラミックス構造体は、ガス流路を有し、前記ガス流路に200℃以上のガスが供給される、溶融ガラス搬送装置。【選択図】図1

Description

本発明は、溶融ガラス搬送装置、ガラス製造装置及びガラス製造方法に関する。
ガラス製造装置は、溶解装置、清澄装置(減圧脱泡装置や高温清澄装置を含む)、成形装置、及びこれらの装置を繋ぐ溶融ガラス搬送装置等を備える。
溶融ガラス搬送装置は、材質として白金又は白金合金が多用される。白金又は白金合金は、融点が高く、耐熱性に優れる耐熱金属であることに加えて、溶融ガラスに対する反応性が他の耐熱金属に比べて低い。また、高温での耐酸化性に優れ、高温でも強度をある程度確保することができる。
しかし、ガラスの組成によっては、白金又は白金合金からなる白金材料に溶融ガラスが接触すると、多くの気泡が発生する場合がある。該気泡は、溶融ガラスに含まれる水分が、白金材料と接触して解離すること、又は溶融ガラスを介して流れる電流によって誘起される電気分解に基づいて解離することにより、生成する酸素に起因して形成される。製造されるガラスに気泡が残留すると、ガラスの品質低下に繋がるおそれがある。
かかる気泡の発生を防止する方法として、特許文献1には、少なくとも1つの容器を囲むカプセルを備え、当該容器の非ガラス接触表面の周りの水素分圧が一定のレベル以上に維持されるように、前記カプセル内の水素の分圧を制御する閉ループ制御装置が記載されている。
特表2008−539160号公報
しかし、カプセル及び閉ループ制御装置は、それを構築するための投資費用及び運転費用の両方が高く、高コストとなる。
また、容器の非ガラス接触表面の周囲に供給される水蒸気等のガスは、その温度がせいぜい120〜150℃程度である。そのため、溶融ガラスが満たされている白金又は白金合金からなる導管(1300〜1500℃程度)は、当該ガスに触れることでその外表面が冷却され、導管内の溶融ガラスに温度差が生じる。これにより、導管内の溶融ガラスの飽和酸素溶解度に差が生じ、そこに電気回路が形成されると、一方では酸素が溶解し、他方では酸素の気泡が発生するという酸化還元が生じる。この酸素の気泡によるガラスの品質低下が懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、白金又は白金合金からなる導管の内部の溶融ガラスから発生する気泡を抑制しながら、ガラス製造費用を抑えることができる溶融ガラス搬送装置、ガラス製造装置及びガラス製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、白金または白金合金からなる導管を少なくとも1本含む溶融ガラス用導管構造体と、前記導管のうち少なくとも1本の導管の周囲に設けられた第1のセラミックス構造体と、前記第1のセラミックス構造体の周囲に設けられた第2のセラミックス構造体と、前記第1のセラミックス構造体と前記第2のセラミックス構造体との間に設けられた第3のセラミックス構造体と、を備え、前記第3のセラミックス構造体は、ガス流路を有し、前記ガス流路に200℃以上のガスが供給される、溶融ガラス搬送装置に関するものである。
本発明に係る溶融ガラス搬送装置によれば、白金又は白金合金からなる導管内部の溶融ガラスから発生する気泡を抑制しながら、ガラス製造費用を抑えることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る溶融ガラス搬送装置を示す断面図である。 図2は、図1における溶融ガラス用導管構造体のI−I断面部分における、ガス供給システムを説明するための概略図である。 図3(A)及び図3(B)は、図1に示す第1のセラミックス構造体、第2のセラミックス構造体及び第3のセラミックス構造体の拡大断面図であり、第3のセラミックス構造体におけるガス流路の形態を示す図である。 図4は、第3のセラミックス構造体におけるガス流路の一形態を説明するための概略断面図である。 図5は、ガス流路の一形態を説明するための、第3のセラミックス構造体の斜視図である。 図6は、第3のセラミックス構造体におけるガス流路の一形態を説明するための概略断面図である。 図7は、第3のセラミックス構造体におけるガス流路の一形態を説明するための概略断面図である。 図8は、本発明の第一実施形態に係るガラス製造装置を示す図である。 図9は、本発明の第二実施形態に係るガラス製造装置を示す図である。 図10は、本発明の第三実施形態に係るガラス製造装置を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。本明細書において、数値範囲を表す「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味する。
[溶融ガラス搬送装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る溶融ガラス搬送装置を示す断面図である。図2は、図1に示す溶融ガラス搬送装置のうち、溶融ガラス用導管構造体のI−I断面部分におけるガス供給システムを説明するための概略図である。
溶融ガラス搬送装置1は、溶融ガラス用導管構造体40と、第1のセラミックス構造体10と、第2のセラミックス構造体20と、底部煉瓦22と、第3のセラミックス構造体30と、ガス供給システム50とを備える。
第3のセラミックス構造体30は、ガス流路(図1及び図2では図示せず)を有し、第1のセラミックス構造体10に用いられる不定形耐火物を支持する。第3のセラミックス構造体30にガス供給システム50における供給管54A〜54Dや排気管56A、56Bをつなぐことで、ガス流路にガスを行き渡らせることができる。
溶融ガラス用導管構造体40は、白金又は白金合金からなる導管を少なくとも1本含む。図1においては、溶融ガラス用導管構造体40を構成する導管は、主管41及び分岐管42、43である。これらの導管の周囲には、第1のセラミックス構造体10が設けられ、第1のセラミックス構造体10の周囲には、第2のセラミックス構造体20が設けられる。第3のセラミックス構造体30は、第1のセラミックス構造体10と第2のセラミックス構造体20との間に設けられる。
溶融ガラス用導管構造体40は、鉛直方向に中心軸がある主管41と、主管41と連通し、水平方向に中心軸がある2本の分岐管42、43とを有する。1本の分岐管42は、主管41の下部側方から分岐し、もう1本の分岐管43は、主管41の上部側方から分岐する。主管41及び分岐管42、43は、いずれも円筒状であり、内部を溶融ガラスGが流れる。溶融ガラスGは、分岐管42から流入し、主管41を上向きに流れ、分岐管43へと流出する。なお、2本の分岐管は、それぞれ高さが異なっていればよく、溶融ガラスが、主管41の上部側方から流入し、主管41を下向きに流れ、主管41の下部側方へと流出するように設けられてもよい。
溶融ガラス用導管構造体40を構成する導管(主管41及び分岐管42、43)は、白金又は白金合金からなる。白金合金は、例えば、白金−金合金、白金−ロジウム合金、白金−イリジウム合金である。また、導管は、白金又は白金合金にAl、ZrO、Yのような金属酸化物粒子を分散させた強化白金が用いられてもよい。
溶融ガラス用導管構造体は、図1に示す実施形態に限られず、主管となる導管1本のみから構成されても、主管と分岐管の2本以上の導管から構成されてもよい。また、第1のセラミックス構造体に覆われる導管は、主管でも分岐管でもよく、主管と分岐管が共に覆われていてもよい。
また、水平方向に中心軸がある導管を主管とした構成でもよい。この場合、溶融ガラス用導管構造体は、後述する図9の第1供給管251、第2供給管252、第3供給管253や、図10の第1搬送管111、第2搬送管112等に用いることができる。なお、該導管は、水平方向に延伸せず傾斜してもよいし、直管に限らず曲がり管であってもよい。
図1においては、主管41は、下端に底壁2を有する。底壁2には、溶融ガラスGの一部を外部に排出する排出口が設けられてもよい。また、主管41は、上端に溶融ガラスGからの放熱を防ぐ蓋部材が設けられてもよい。
主管41の内部における溶融ガラスGの高さ(以下、「溶融ガラスレベルGL」という。)は、分岐管43の上端よりも高い。そのため、分岐管43は、内部がすべて溶融ガラスGで満たされている。これにより、分岐管43において、溶融ガラス表層部からホウ酸成分などが蒸発して溶融ガラスが異質化することを防止し、ひいてはガラスにリーム(筋)などの欠陥が発生することを防止できる。
溶融ガラス用導管構造体40を構成する導管(主管41及び分岐管42、43)は、内径が50mm以上が好ましく、100mm以上がより好ましい。また、内径が500mm以下が好ましく、450mm以下がより好ましい。また、径方向における厚さが0.1mm以上が好ましく、3mm以下が好ましい。主管41の高さ(軸方向長さ)は、500mm以上が好ましく、800mm以上がより好ましい。また、高さは3000mm以下が好ましく、2700mm以下がより好ましい。また、分岐管42、43の軸方向長さは、50mm以上が好ましく、150mm以上がより好ましい。また、軸方向長さは1500mm以下が好ましく、1300mm以下がより好ましい。なお、分岐管42、43のように溶融ガラス用導管構造体に複数の分岐管が含まれる場合、それら複数の分岐管の大きさはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
図1において、溶融ガラス用導管構造体40は、主管41に対して2本の分岐管42、43がその一端側でそれぞれ連通している。分岐管42、43がその他端側において、さらに別の主管と連通するものであってもよい。
主管41は、その中心軸が厳密な意味で鉛直方向であることは必ずしも要求されず、その中心軸が鉛直方向に対してある程度傾斜するものであってもよい。また、分岐管42、43についても同様に、その中心軸が厳密な意味で水平方向であることは必ずしも要求されず、その中心軸が水平方向に対してある程度傾斜するものであってもよい。
主管41又は分岐管42、43は、周方向に360度連続する凸部及び凹部が、軸方向に沿って交互に設けられ、蛇腹状の外形をなしてもよい。
主管41は、内部に溶融ガラスGを撹拌するためのスターラーが設けられてもよい。スターラーは、少なくとも溶融ガラスGと接触する部分が白金又は白金合金からなる材料によって構成される。
第1のセラミックス構造体10は、通気率が1.0×10−13以上が好ましく、1.0×10−11以上がより好ましい。また、当該通気率が、第2のセラミックス構造体20の通気率よりも高いことが好ましい。なお、本明細書において通気率とは、JIS R 2115:2008に記載された方法に準拠して測定される値を意味する。
第1のセラミックス構造体10の通気率が1.0×10−13以上だと、第3のセラミックス構造体30におけるガス流路を流れるガスが第1のセラミックス構造体10を透過し、溶融ガラス用導管構造体40にガスを行き渡らせることができる。さらに、第1のセラミックス構造体10の通気率が第2のセラミックス構造体20の通気率よりも高いことにより、ガスが第2のセラミックス構造体20を透過するのを抑制できるため、ガス供給量を削減できる。特に、第1のセラミックス構造体10の通気率が1.0×10−11以上だと、第2のセラミックス構造体20に好ましく用いられる断熱煉瓦(例えば、後述するSP15、RB180、いずれも商品名、日の丸窯業株式会社製)の通気率よりも高いため、溶融ガラス用導管構造体40に、第3のセラミックス構造体30のガス流路からのガスを効率良く行き渡らせることができる。
第1のセラミックス構造体10は、平均開気孔率が20%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、また、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。ここで、平均開気孔率は、アルキメデス法や水銀ポロシメータによる測定により求めることができる。
該平均開気孔率が20%以上だと、第1のセラミックス構造体10の耐熱衝撃性が低下することを防止できる。また、該平均開気孔率が60%以下だと、溶融ガラスGに対する耐食性が低下することを防止できる。
第1のセラミックス構造体10は、溶融ガラスGが満たされている溶融ガラス用導管構造体40の周囲に設けられることから、特に高温の溶融ガラス、具体的には、1450℃以上の溶融ガラスに対する耐食性に優れていることが好ましい。
溶融ガラス用導管構造体40を構成する導管(主管41及び分岐管42、43)と、第1のセラミックス構造体10との間には、実質的に間隙が存在しないことが好ましい。具体的には、間隙が0.5mm未満であることが好ましい。これにより、溶融ガラスGから加わる膨張圧力による導管の変形を抑制できる。
第1のセラミックス構造体10は、導管の径方向における厚さが15mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、また、50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましい。該厚さが15〜50mmだと、溶融ガラス用導管構造体40を構成する導管と、第2のセラミックス構造体20との間隙に第1のセラミックス構造体10となるスラリー体を充填、焼結させて第1のセラミックス構造体10を形成する際の施工性に優れる。
第1のセラミックス構造体10は、溶融ガラス用導管構造体40を構成する導管と、第2のセラミックス構造体20との間隙にアルミナキャスタブルのような不定形のセラミックス材料が充填されたものであることが好ましい。かかる構成によれば、温度変化が生じた際に、導管と第2のセラミックス構造体20とがわずかに相対移動できるため、導管に亀裂が発生することを防止できる。アルミナキャスタブルは、アルミナ(Al)を主成分とするキャスタブル耐火物を意味し、Al含有量は、好ましくは90重量%以上である。アルミナキャスタブルの代わりに、SiOを90質量%以上含有するセラミックス材料や、ZrOを60質量%以上含有するセラミックス材料も好ましく用いることができる。
第2のセラミックス構造体20は、通気率が1.0×10−11以下が好ましく、1.0×10−13未満がより好ましい。第2のセラミックス構造体20の通気率が1.0×10−11以下だと、ガスが第2のセラミックス構造体20を透過するのを抑制でき、ガス供給量を削減できる。特に、第2のセラミックス構造体20の通気率が1.0×10−13未満だと、第1のセラミックス構造体10の通気率よりも一般的には低くなり、ガス供給量をより効率良く削減できる。
第2のセラミックス構造体20は、アルミナ、マグネシア、ジルコン及びシリカからなる群から選択される少なくとも1つを主体とする断熱煉瓦が好ましく用いられる。具体例としては、シリカ・アルミナ質断熱煉瓦、ジルコニア質断熱煉瓦、マグネシア質断熱煉瓦等が挙げられる。市販品としては、SP−15(日の丸窯業株式会社製)、RB180(日の丸窯業株式会社製)、LBK3000(イソライト工業株式会社製)等が挙げられる。
底部煉瓦22は、主管41の底壁2の下側に設けられ、主管41、主管41の周囲に設けられる第1のセラミックス構造体10及び第3のセラミックス構造体30を支持する。底部煉瓦22は、耐食性に優れる煉瓦としてアルミナ、マグネシア、ジルコン及びシリカからなる群から選択される少なくとも1つを主体とする断熱煉瓦が好ましく用いられる。具体例としては、アルミナ・ジルコン質断熱煉瓦等が挙げられる。市販品としては、シリカ・アルミナ質断熱煉瓦、ZM−C(AGCセラミックス株式会社製)、RB180(日の丸窯業株式会社製)等が挙げられる。
溶融ガラス搬送装置1は、底部煉瓦22の代わりに、主管41の軸方向において、上から順に第1のセラミックス構造体、第2のセラミックス構造体が設けられてもよい。また、第1のセラミックス構造体と第2のセラミックス構造体との間に第3のセラミックス構造体が設けられてもよい。
第3のセラミックス構造体30は、第1のセラミックス構造体10と第2のセラミックス構造体20との間に位置し、ガス流路を有する。
第3のセラミックス構造体30は、ガス流路を有することにより、白金又は白金合金からなる導管に溶融ガラスが接触して発生する気泡(以下、「水素透過泡」という。)の生成を抑制することができる。水素透過泡は、白金材料たる導管の内部と外部との水素分圧差が大きくなるほど発生しやすい。これに対し、ガスを第3のセラミックス構造体30や第1のセラミックス構造体10に行き渡らせることで導管の外部の水素分圧を高くし、水素分圧差を小さくすることで、水素透過泡を抑制することができるようになる。ここで、導管の内部の水素分圧は、溶融ガラスに含まれる水分が多くなる(後述するβ−OH値が高くなる)ほど、高くなる。
ガスを第3のセラミックス構造体30にも行き渡らせる観点から、第3のセラミックス構造体30の通気率は1.0×10−12以上が好ましく、1.0×10−11以上がより好ましく、1.0×10−10以上がさらに好ましい。
第3のセラミックス構造体30は、第1のセラミックス構造体10及び第2のセラミックス構造体20に接触していても非接触でもよい。また、一部の領域が接触していて、他の領域が非接触でもよい。
第3のセラミックス構造体30が、第1のセラミックス構造体10及び第2のセラミックス構造体20の少なくとも一部の領域で接触することにより、溶融ガラスGから加わる膨張圧力による導管の変形を抑制できる。
第3のセラミックス構造体30が第1のセラミックス構造体10及び第2のセラミックス構造体20とすべての領域で接触している場合には、ガス流路は第3のセラミックス構造体30の内部に形成されていることとなる(図3(A)参照)。また、すべての領域で非接触である場合には、第3のセラミックス構造体30と第1のセラミックス構造体10及び第2のセラミックス構造体20との間にはそれぞれ、介在する別の部材が配されていることとなる。また、第3のセラミックス構造体30の非接触の領域の少なくとも一部にガス流路が形成されていてもよい。
また、第3のセラミックス構造体30が第1のセラミックス構造体10や第2のセラミックス構造体20と、一部の領域が接触していて、他の領域が非接触である場合、前記非接触の領域には、第3のセラミックス構造体30にガス流路が形成されていてもよい(図3(B)参照)。また、それと同時に、又はそれに代えて、前記別の部材が設けられていてもよい。
第3のセラミックス構造体は、導管の径方向における厚さが5〜20mmが好ましい。該厚さが5〜20mmだと、ガスの透過速度を調整しやすく、ガスを第3のセラミックス構造体30に効率良く行き渡らせることができる。
図3(A)及び図3(B)は、図1に示す第1のセラミックス構造体、第2のセラミックス構造体及び第3のセラミックス構造体の拡大断面図であり、第3のセラミックス構造体におけるガス流路の形態を示す図である。また、図4、図6及び図7は、第3のセラミックス構造体におけるガス流路の一形態を示す図である。図5は、ガス流路の一形態を説明するための、第3のセラミックス構造体の斜視図である。
図3(A)に示す第3のセラミックス構造体30Aは、その内部にガス流路32Aを有する。これは、第3のセラミックス構造体が第1のセラミックス構造体及び第2のセラミックス構造体と接触している場合にとられる形態である。
図3(B)に示す第3のセラミックス構造体30Bは、第2のセラミックス構造体20の一部と非接触であり、前記非接触の領域にガス流路32Bを有する。また、第3のセラミックス構造体は、第1のセラミックス構造体10の一部と非接触であり、前記非接触の領域にガス流路を有してもよい。
ガス流路が第3のセラミックス構造体30の内部に形成される場合、ガス流路の断面は一辺が3〜20mmの矩形状や、直径が3〜20mmの円形状が好ましい。また、ガス流路の断面サイズは5〜400mmであることが好ましい。
ガス流路が第3のセラミックス構造体30の表面に形成される場合、ガス流路は溝状となる。ガス流路の形状は特に限定されず、溝深さが一定である平面溝や、溝深さが一定でない溝でもよい。溝深さが一定でない溝とは、例えば、溝側方に対して溝中央部が深くなっている三角溝や円筒溝の他、溝側方に対して溝中央部が浅くなっている形状でもよい。溝の幅は3〜20mmが好ましく、溝の深さは3〜20mmが好ましい。
ガス流路の端から隣接するガス流路の端までの距離は10mm〜100mmが好ましい。
溶融ガラスから加わる膨張圧力による導管の変形を抑制する観点からは、第3のセラミックス構造体30は、第1のセラミックス構造体10及び第2のセラミックス構造体20の少なくともいずれか一方に対し、少なくとも一部が接触した領域を有することが好ましい。また、第3のセラミックス構造体30は、第1のセラミックス構造体10及び第2のセラミックス構造体20の両方と、少なくとも一部が接触した領域を有することがより好ましい。
第3のセラミックス構造体30のガス流路は、導管の周方向及び軸方向の少なくともいずれか一方の方向に沿って形成されることが好ましい。
例えば、図4に示すように、ガス流路32C、32Dは、導管の軸方向に沿って形成されている。当該ガス流路は2以上形成され、かつ、導管の周方向に間隔を空けて設けられていることが好ましい。なお、ガス流路32Cは、第3のセラミックス構造体30において、第2のセラミックス構造体20と非接触である領域に形成されたものである。ガス流路32Dは、第3のセラミックス構造体30において、第1のセラミックス構造体10と非接触である領域に形成されたものである。
また、ガス流路32Eは、導管の周方向に沿って形成されている。当該ガス流路は2以上形成され、かつ、導管の軸方向に間隔を空けて設けられていることが好ましい。なお、ガス流路32Eは、第3のセラミックス構造体30において、第2のセラミックス構造体20と非接触である領域に形成されたものである。すなわち、ガス流路32Eは、第3のセラミックス構造体30の外側表面(第2のセラミックス構造体20との境界)に形成されたものである。
図4に示すガス流路は、第1のセラミックス構造体10と非接触である領域に形成されたガス流路32Dと、第2のセラミックス構造体20と非接触である領域に形成されたガス流路32Cとが共に存在している。
さらに、第3のセラミックス構造体30のガス流路は、導管の周方向に沿って形成されたガス流路32Eと、導管の軸方向に沿って形成されたガス流路32C、32Dとを共に有している。
ガス流路が第3のセラミックス構造体30の外側の表面、すなわち、第2のセラミックス構造体20と非接触である領域に形成される場合の一例を、第3のセラミックス構造体30の斜視図として図5に示す。
図5では、導管の軸方向に沿って形成されたガス流路32Cと、導管の周方向に沿って形成されたガス流路32Eとが、それぞれ2本ずつ形成されている。これらガス流路32C、32Eはいずれも連通しているが、連通せずに各々独立し、ガス流路ごとに供給管と接続してガスが供給されてもよい。また、連通しているガス流路と、独立しているガス流路が併存していてもよい。
ガス流路は、導管の軸方向に沿って形成されたガス流路32C又は32Dと、周方向に沿って形成されたガス流路32E又は32F(図6参照)とをそれぞれ2本以上有し、それらが連通して、網目状のガス流路が形成されていることが好ましい。
また、ガス流路は導管の表面にらせん状に形成されていてもよい。
図6に示す第3のセラミックス構造体30においては、ガス流路32Dに加え、ガス流路32Fが導管の周方向に沿って形成されている。ガス流路32Fは、第3のセラミックス構造体30の、第1のセラミックス構造体10と非接触である領域に形成されたものである。すなわち、ガス流路32Fは、第3のセラミックス構造体30の内側表面(第1のセラミックス構造体10との境界)に形成されたものである。本実施形態では、ガス流路32Dとガス流路32Fとが連通しているが、連通せずに独立し、ガス流路ごとに供給管と接続してガスを供給してもよい。また、連通しているガス流路と、独立しているガス流路が併存していてもよい。
ガス流路を設けるに際し、図7に示すように、第3のセラミックス構造体30と第1のセラミックス構造体10との間の少なくとも一部の領域にさらに部材60を備えてもよい。部材60は、第1のセラミックス構造体10及び第3のセラミックス構造体30の少なくとも一部と接触し、ガス流路32Dの少なくとも一部を覆うように設けられている。
部材60は、溶融ガラス搬送装置の製造方法において、溶融ガラス用導管構造体40と第3のセラミックス構造体30を形成した後に第1のセラミックス構造体10を形成する場合に有用な態様である。この場合、第3のセラミックス構造体30には、第1のセラミックス構造体10と非接触である領域にガス流路32Dが形成されている。また、ガス流路32Dと共に、又はガス流路32Dに代えて、ガス流路32Fが形成されている場合にも、上記態様は有用である。すなわち、部材60は、第1のセラミックス構造体10及び第3のセラミックス構造体30の少なくとも一部と接触し、ガス流路32Fの少なくとも一部を覆うように設けられている場合にも、上記態様は有用である。
このような製造方法では、先に溶融ガラス用導管構造体40及び第3のセラミックス構造体30を形成し、それらの間隙に、第1のセラミックス構造体となるスラリー体を充填、焼結させることで第1のセラミックス構造体10を形成する。ガス流路32D、32Fは、第3のセラミックス構造体30の内側の表面、すなわち、第1のセラミックス構造体10側の表面に形成されている。そのため、スラリー体を充填する際に、前記間隙のみならずガス流路32D、32Fにもスラリー体が充填されてしまい、ガス流路32D、32Fが閉塞することが懸念される。これに対し、部材60によってガス流路32D、32Fの一部を覆ってスラリー体の流入を妨げることにより、スラリー体を充填した際にガス流路32D、32Fが閉塞するのを防ぐことができる。
部材60は、第3のセラミックス構造体30におけるガス流路のみならず、その他の部分を覆っていてもよい。また、第1のセラミックス構造体10と第3のセラミックス構造体30との間のすべての領域に、部材60が備えられてもよい。なお、部材60はガスの透過を妨げるものではない。さらに、部材60はガス流路32D、32Fに蓋をするような形態で設けられることから、ガス流路にガスが流通することを何ら妨げるものではない。
部材60は、溶融ガラス搬送装置1で使用した際、高温下で溶融、気化するような部材であってもよい。また、高温下でも溶融、気化せずに残存するような部材であってもよく、この場合、セラミックス膜や耐熱性繊維体を好ましく用いることができる。ここで耐熱性とは、ガラス繊維の場合は、ガラス繊維が使用温度よりも高い軟化点を有することを意味し、セラミックス繊維の場合は、セラミックス繊維が使用温度よりも高い融点を有することを意味する。
耐熱性繊維体としては、ガラス繊維若しくはセラミックス繊維を含むものが好ましく、又はこれら繊維の集合体であるものが好ましい。その形態は特に限定されないが、複数の繊維を布状に編んだものでもよく、複数の繊維を塊状に絡めたものであってもよい。布状に編んだ耐熱性繊維体は、フレキシブル性や加工性に優れる。そのため、溶融ガラス用導管構造体40や第1のセラミックス構造体10の形状に沿わせるような態様で、広い範囲を覆うことも可能である。
ガラス繊維又はセラミックス繊維を含む耐熱性繊維体は、酸化物基準の質量%表示で、SiOが50%以上含まれるものが、ガス流路に第1のセラミックス構造体10となるスラリー体が流入するのをより効果的に防ぐことができることから、より好ましい。
同様に、スラリー体の流入を防ぐ観点から、部材60の厚みは0.5mm以上が好ましい。また、厚すぎると第1のセラミックス構造体10又は第3のセラミックス構造体30の強度が低下するおそれがあることから、その厚みは20mm以下が好ましい。なお、部材の厚みはその平均値を意味する。
図1及び図2に示すように、溶融ガラス搬送装置1は、ガス供給システム50をさらに備えることが好ましい。ガス供給システム50は、ガスを生成するガス生成装置51、生成されたガスを加熱するガス加熱装置、及び加熱されたガスを前記ガス流路に供給する供給管54A〜54Dを有する。好ましくは、前記ガス流路を通過したガスを排気する排気管56A、56Bをさらに有する。
図1及び図2においては、ガス供給システム50は、ガスを生成するガス生成装置51と、ガスの流量を調節する調節弁52と、ガスを第3のセラミックス構造体30のガス流路に供給する4本の供給管54A〜54Dと、第3のセラミックス構造体30のガス流路を通過したガスを排気する2本の排気管56A、56Bとを有する。複数の供給管54A〜54Dを有することにより、ガスを第3のセラミックス構造体30のガス流路に効率良く行き渡らせることができる。なお、ガス供給システム50は、第3のセラミックス構造体30に形成されたガス流路の形態に合わせて、供給管や排気管の本数、設置箇所等を適宜変更することができる。
ガス生成装置51は、例えば水蒸気を生成するには、ボイラーが用いられる。また、ガス生成装置51と共に、又はそれに代えて、所望のガスが充填されたガスボンベを用いることもできる。これらの態様により、所望の単体ガス又は混合ガスを供給することができる。
なお、ガス加熱装置は図示されていないが、生成されたガスはガス加熱装置により加熱され、供給管54A〜54Dを通ってガス流路に導入される。ガス加熱装置では、ガス流路に供給されるガスが200℃以上となるように加熱する。
調節弁52は、供給管54A〜54Dに1個ずつ設けられることが好ましく、それにより、供給管54A〜54Dのガス供給量を独立に制御することができる。
供給管54A〜54Dは、第2のセラミックス構造体20を貫通し、第3のセラミックス構造体30のガス流路に接続される。また、前記ガス流路の端部が外部から視認できる場合には、供給管54A〜54Dは、第2のセラミックス構造体20を貫通することなく、ガス流路に直接接続されてもよい。
図1において、供給管54A、54Bは、鉛直方向の位置が主管41の軸方向中央部である。供給管54C、54Dは、鉛直方向の位置が主管41の軸方向下部である。供給管54A、54Cは、水平方向の位置が溶融ガラスGの流れ方向上流側である。供給管54B、54Dは、水平方向の位置が溶融ガラスGの流れ方向下流側である。ただし、供給管の配置は、ガス流路によって適宜変更されるものであり、上記形態に限定されるものではない。
例えば、供給管は、図1において、鉛直方向の位置が主管41の軸方向上部であってもよい。また、水平方向の位置が図2の紙面上下方向(溶融ガラスGの流れ方向に直交する方向)の上側又は下側であってもよい。
供給管54A〜54Dが第3のセラミックス構造体30のガス流路に供給するガスの温度は、200℃以上である。これにより、導管内部に溶融ガラスGが満たされて高温になっている場合であっても、導管内の溶融ガラスGが冷却されることに伴う電気分解による気泡の発生を抑制することができる。ガス流路に供給されるガスの温度は250℃以上が好ましい。
また、ガスの温度は、ステンレススチール(SUS)等の汎用的な金属で配管を構成する観点から600℃以下が好ましく、550℃以下がより好ましい。
ガスの種類は、上記電気分解による気泡の発生を抑制できれば特に限定されず、例えば水蒸気(HO)、N、H、O、Ar、He、Ne、Xe、CO、CO等が挙げられる。これらガスを1種用いても2種以上用いてもよい。
また、電気分解の他に、溶融ガラス中には水分が含まれるが、この水分が導管を形成するPt界面で分解されてOとHとが生成することによっても気泡(酸素)が発生する。この気泡(酸素)の発生を抑制するためには、導管外部の水素分圧を上げて、水素分子(H)が導管を通過しないようにすることが好ましい。このように、導管外部の水素分圧を上げるためには、ガス流路に供給されるガスは水素原子を含むことが好ましく、水蒸気及びHの少なくともいずれか一方を含むガスを用いることがより好ましい。
さらに、導管の白金又は白金合金が酸化されてPtOとなるのを抑制する観点からは、ガス流路に供給されるガスは不活性ガスを含むことが好ましく、N、Ar、He、Ne、Xe及びCOからなる群より選ばれる少なくとも1種のガスを含むことがより好ましい。また、上記水素原子を含むガスに加えて、不活性ガスをさらに含む混合ガスとすることがさらに好ましい。
供給管54A〜54Dが第3のセラミックス構造体30のガス流路に供給するガス圧力は、1Pa〜24kPaが好ましく、1kPa以下がより好ましく、50Pa以下がさらに好ましい。該ガス圧力が1Pa以上だと、ガスを第3のセラミックス構造体30のガス流路に充分に行き渡らせることができる。また、該ガス圧力が24kPa以下だと、主管41等の導管の外部圧力が高くなり過ぎず、導管が変形するのを防止できる。
図2に示す供給管は、ガス生成装置51から第3のセラミックス構造体30のガス流路に向かう途中で、供給管54A、54Bに分岐している。なお、この形態に限定されず、例えば、ガス生成装置51と第3のセラミックス構造体30のガス流路とに接続される供給管が、途中で分岐せずに、独立に設けられてもよい。
排気管56A、56Bは、供給管54A〜54Dと同様に、第2のセラミックス構造体20を貫通し、第3のセラミックス構造体30のガス流路に接続される。また、前記ガス流路の端部が外部から視認できる場合には、排気管は、第2のセラミックス構造体20を貫通することなく、ガス流路に直接接続されてもよい。
図1において、排気管56A、56Bの位置は、鉛直方向の位置が主管41の軸方向上部である。排気管56Aは、水平方向の位置が溶融ガラスGの流れ方向上流側である。排気管56Bは、水平方向の位置が溶融ガラスGの流れ方向下流側である。ただし、排気管の配置は、ガス流路によって適宜変更されるものであり、上記形態に限定されるものではない。
例えば、排気管は、図1において、鉛直方向の位置が主管41の軸方向中央部又は下部であってもよい。また、水平方向の位置が図2の紙面上下方向(溶融ガラスGの流れ方向に直交する方向)の上側又は下側であってもよい。
排気管56A、56Bは、主管41内部における溶融ガラスの高さ(溶融ガラスレベルGL)よりも低い位置に設けられることが好ましい。これは、溶融ガラスレベルGLよりも高い位置に排気管が設けられると、主管41の内部圧力が外部圧力よりも小さくなり、主管41が変形するおそれがあるからである。
また、溶融ガラス用導管構造体40が、主管と分岐管とを少なくとも1本ずつ有する場合において、供給管及び排気管の少なくともいずれか一方は、主管41内部の溶融ガラスレベルGLよりも低い位置に設けられることが好ましい。なお、ここでの主管41は鉛直方向に中心軸があり、主管41と連通している分岐管は水平方向に中心軸があるものとする。
供給管54A〜54D及び排気管56A、56Bは、第2のセラミックス構造体20を貫通する部分及び第3のセラミックス構造体30のガス流路に接続される部分において、耐熱性に優れる絶縁管であることが好ましい。溶融ガラス用導管構造体40は通電加熱されることもあるため、絶縁管を用いることによって、供給管及び排気管に電流が流れることを防ぐことができる。絶縁管は、セラミックスチューブが好ましく用いられ、その具体例としては、ポーセレン管等が挙げられる。
溶融ガラス搬送装置1は、第3のセラミックス構造体30のガス流路を通して溶融ガラス用導管構造体40の外部に200℃以上のガスを行き渡らせることができる。そのため、電気分解による気泡の発生を抑制することができる。また、水素原子を含むガスを用いると、溶融ガラスに含まれる水分が多い(後述するβ−OH値が高い)条件でガラスを製造しても、水素透過泡の形成を抑制できる。さらには、不活性ガスを含むガスを用いると、PtO形成を抑制することができる。また、従来技術に示すようなカプセル及び閉ループ制御装置を構築する必要がないため、投資費用及び運転費用の両方を抑えることができる。
[ガラス製造装置及びガラス製造方法]
(第一実施形態)
図8は、本発明の第一実施形態に係るガラス製造装置を示す図である。図8を用いて、本発明の第一実施形態に係るガラス製造装置及びガラス製造方法を説明する。なお、図8は、溶融ガラス搬送装置1、1A、上昇管202及び下降管203の周囲に配設され、これらを断熱被覆する断熱用レンガなどの断熱材を省略している。
ガラス製造装置500は、溶解装置100、減圧脱泡装置200、成形装置300及び溶融ガラス搬送装置1、1Aを備える。溶融ガラス搬送装置1Aは、溶解装置100と減圧脱泡装置200との間に設けられ、溶解装置100と減圧脱泡装置200とを接続する。また、溶融ガラス搬送装置1は、減圧脱泡装置200と成形装置300との間に設けられ、減圧脱泡装置200と成形装置300とを接続する。
溶解装置100は、ガラス原料が供給される溶解槽104と、ガラス原料を溶融するためのバーナ102とを備える。バーナ102は、天然ガスや重油などの燃料をガスと混合して燃焼することで火炎を形成し、火炎をガラス原料に向かって放射することによって、ガラス原料を上方から加熱する。
ここで、ガスとして主に空気を用いるバーナを空気燃焼バーナ、ガスとして主に酸素を用いるバーナを酸素燃焼バーナという。酸素燃焼バーナは、空気燃焼バーナよりも、排気量が少ないので、熱効率が高く、CO排出量やNO排出量が少ない点で優れている。バーナ102は、複数設けられるのが好ましい。全て酸素燃焼バーナが用いられてもよく、酸素燃焼バーナと空気燃焼バーナとを併用してもよい。
減圧脱泡装置200は、減圧脱泡槽201、上昇管202、下降管203及び減圧ハウジング204を備える。
円筒形状をした減圧脱泡槽201は、その長軸が水平方向に配向するように減圧ハウジング204内に収納配置されている。減圧脱泡槽201の一端の下面には垂直方向に配向する上昇管202が、他端の下面には下降管203が取り付けられている。上昇管202及び下降管203は、その一部が減圧ハウジング204内に位置している。
上昇管202は、減圧脱泡槽201と連通しており、溶解槽104からの溶融ガラスGを、溶融ガラス搬送装置1Aを介して減圧脱泡槽201に導入する。下降管203は、減圧脱泡槽201に連通しており、減圧脱泡後の溶融ガラスGを、溶融ガラス搬送装置1を介して成形装置300に導出する。減圧ハウジング204内において、減圧脱泡槽201、上昇管202及び下降管203の周囲には、これらを断熱被覆する断熱用レンガなどの断熱材が配設されている。
減圧脱泡槽201、上昇管202及び下降管203は、溶融ガラスの導管であるため、耐熱性及び溶融ガラスに対する耐食性に優れた材料を用いて作製されている。一例を挙げると、白金製、白金合金製、又は白金もしくは白金合金に金属酸化物を分散させてなる強化白金製である。また、セラミックス系の非金属無機材料製、すなわち、緻密質耐火物製であってもよい。また、緻密質耐火物に白金又は白金合金を内張したものであってもよい。
成形装置300では、溶融ガラスGを成形し、所定形状の成形ガラスを得る。成形ガラスは、徐冷された後、必要に応じて切断、加工されて製品となる。
成形装置300は、製品としてガラス板を得るには、フロート成形装置やフュージョン成形装置が用いられる。フロート成形装置は、浴槽内の溶融錫の浴面に溶融ガラスを連続的に供給して、帯板状に成形する装置である。フュージョン成形装置は、断面略V字状の樋の内部に溶融ガラスを連続的に供給し、樋から左右両側に溢れ出た溶融ガラスを、樋の下縁で合流させて帯板状に成形する装置である。
成形装置300は、製品としてガラス容器やガラス管を得るには、成形方法としてブロー法、ベロー法、ダウンドロー法又はプレス法に係る成形装置が用いられる。
溶融ガラス搬送装置1は、前述した図1に示す溶融ガラス搬送装置1に対応し、主管41、分岐管42、43及びスターラー44を備える。主管41は、内部に溶融ガラスGを撹拌するためのスターラー44が設けられる。分岐管42は、下降管203に接続され、溶融ガラスGを主管41へと搬送する。分岐管43は、成形装置300に接続され、溶融ガラスGを成形装置300へと搬送する。
溶融ガラス搬送装置1Aは、主管41A、分岐管42A、43A及びスターラー44を備える。溶融ガラス搬送装置1Aは、溶融ガラスGが主管41Aの上部側方から流入し、主管41A内を下向きに流れ、主管41Aの下部側方へと流出するように分岐管42A、43Aが設けられる点で、溶融ガラス搬送装置1とは異なるが、その他の装置構成は共通する。
なお、ガラス製造装置500は、溶融ガラス搬送装置1及び溶融ガラス搬送装置1Aの少なくともいずれか一方が第3のセラミックス構造体30及びガス供給システム50を備えていればよく、他方が第3のセラミックス構造体30及びガス供給システム50を備えない構成であってもよい。この第3のセラミックス構造体30のガス流路に、200℃以上のガスを供給する。
ガラス製造装置は、減圧脱泡装置200の代わりに、高温清澄タイプの清澄装置(以下、「高温清澄装置」という。)が用いられてもよい(第二実施形態として詳細を後述する。)。高温清澄装置は、泡抜きを効率良く行うために、清澄槽を流れる溶融ガラスの温度をできるだけ高く設定して溶融ガラスの粘性を下げ、泡の成長速度を大きくして泡径を増大させることで、泡の浮上速度を上げ、泡抜きができるように運転する装置である。
本発明の第一実施形態に係るガラス製造方法は、ガラス製造装置500を用い、ガラス原料を溶解装置100にて溶融することで溶融ガラスGを作製し、溶融ガラスGを減圧脱泡装置200にて脱泡処理し、成形装置300によって所定形状の成形ガラスを得る。成形ガラスは、徐冷された後、必要に応じて切断されて製品(例えばガラス板)となる。
(第二実施形態)
図9は、本発明の第二実施形態に係るガラス製造装置を示す図である。図9を用いて、本発明の第二実施形態に係るガラス製造装置及びガラス製造方法を説明する。ここで、溶解装置100、成形装置300及び溶融ガラス搬送装置1Aは、第一実施形態の記載と重複する部分について説明を省略する。なお、図9は、清澄装置250、溶融ガラス搬送装置1A、第1供給管251、第2供給管252及び第3供給管253の周囲に配設され、これらを断熱被覆する断熱用レンガなどの断熱材を省略している。
ガラス製造装置600は、溶解装置100、清澄装置250、成形装置300及び溶融ガラス搬送装置1Aを備える。溶融ガラス搬送装置1Aは、溶解装置100と清澄装置250との間、及び、清澄装置250と成形装置300との間の少なくともいずれか一方に設けられることが好ましい。
ガラス製造方法としては、溶解工程、清澄工程及び成形工程をこの順に含み、溶解工程及び清澄工程との間、並びに、清澄工程及び成形工程との間の少なくともいずれか一方に、溶融ガラス搬送工程をさらに含む。溶融ガラス搬送工程において、溶融ガラス搬送装置1Aを用い、溶融ガラス搬送装置1Aにおける第3のセラミックス構造体のガス流路に200℃以上のガスを供給する。
図9においては、ガラス製造装置600は、溶解装置100、清澄装置250、成形装置300、溶融ガラス搬送装置1A、第1供給管251、第2供給管252及び第3供給管253を備える。
第1供給管251は、溶解装置100と清澄装置250とを接続する。溶融ガラス搬送装置1Aは、清澄装置250と成形装置300との間に設けられる。第2供給管252は、清澄装置250と溶融ガラス搬送装置1Aとを接続する。第3供給管253は、溶融ガラス搬送装置1Aと成形装置300とを接続する。
溶解装置100では、バーナ102によってガラス原料が加熱され、例えば1500℃〜1630℃の溶融ガラスGが得られる。溶解槽104の溶融ガラスGは、第1供給管251を流れて、清澄装置250に供給される。
清澄装置250では、溶融ガラスGの温度が調整されて、溶融ガラスG中に含まれるガス成分が除去される。清澄装置250は、高温清澄装置であることが好ましい。この場合、溶融ガラスGは、例えば1500℃〜1700℃まで昇温させられる。清澄された溶融ガラスGは、第2供給管252を流れて、溶融ガラス搬送装置1Aに供給される。
溶融ガラス搬送装置1Aでは、スターラー44によって溶融ガラスGが攪拌され、溶融ガラスGの成分が均質化される。主管41A内の溶融ガラスGの温度は、例えば1250℃〜1450℃である。主管41A内の溶融ガラスGの粘度は、例えば500ポアズ〜1300ポアズである。均質化された溶融ガラスGは、第3供給管253に流入し、第3供給管253の中を流れる過程で、温度が制御されながら冷却され、成形装置300に供給される。
なお、図9では、溶融ガラス搬送装置1Aの分岐管42A、43Aを省略しているが、分岐管42A、43Aは、それぞれ第2供給管252、第3供給管253に接続される。
(第三実施形態)
図10は、本発明の第三実施形態に係るガラス製造装置を示す図である。図10を用いて、本発明の第三実施形態に係るガラス製造装置及びガラス製造方法を説明する。ここで、溶解装置100、成形装置300及び溶融ガラス搬送装置1Aは、第一実施形態の記載と重複する部分について説明を省略する。なお、図10は、溶融ガラス搬送装置1A、第1搬送管111及び第2搬送管112の周囲に配設され、これらを断熱被覆する断熱用レンガなどの断熱材を省略している。
ガラス製造装置700は、溶解装置100、成形装置300、溶融ガラス搬送装置1A、第1搬送管111及び第2搬送管112を備える。溶融ガラス搬送装置1Aは、溶解装置100と成形装置300との間に設けられる。第1搬送管111は、溶解装置100と溶融ガラス搬送装置1Aとを接続する。第2搬送管112は、溶融ガラス搬送装置1Aと成形装置300とを接続する。
溶解装置100では、バーナ102によってガラス原料が加熱され、溶融ガラスGが得られる。溶融ガラスGは、溶解槽104にて清澄処理が施される。ここで、ソーダライムガラスやアルカリホウケイ酸ガラス等のアルカリ含有ガラスは、第一実施形態の減圧脱泡装置200や第二実施形態の清澄装置250を備えなくても、溶解槽104にて清澄処理が可能である。清澄された溶融ガラスGは、第1搬送管111を流れて、溶融ガラス搬送装置1Aに供給される。
溶融ガラス搬送装置1Aでは、スターラー44によって溶融ガラスGが攪拌され、溶融ガラスGの成分が均質化される。均質化された溶融ガラスGは、第2搬送管112に流入し、第2搬送管112の中を流れる過程で、温度が制御されながら冷却され、成形装置300に供給される。
なお、図10では、溶融ガラス搬送装置1Aの分岐管42A、43Aを省略しているが、分岐管42A、43Aは、それぞれ第1搬送管111、第2搬送管112に接続される。
(ガラス)
上記溶融ガラス搬送装置を備えたガラス製造装置により製造されるガラスは、必要に応じて切断、加工され、例えばガラス板の製品となる。製品としてのガラス板は、各種ディスプレイ用ガラス基板に用いられる場合、無アルカリガラス基板であることが好ましい。無アルカリガラスとは、NaO、KO等のアルカリ金属酸化物を実質的に含有しないガラスをいう。実質的に含有しないとは、アルカリ金属酸化物の含有量の合量が0.1質量%以下であることを指す。
ガラス板は、酸化物基準の質量%表示で、
SiO:54〜66%
Al:10〜23%
:0〜12%
MgO:0〜12%
CaO:0〜15%
SrO:0〜16%
BaO:0〜15%
MgO+CaO+SrO+BaO:8〜26%
を含有する無アルカリガラスで構成されることが好ましい。
得られたガラスは、β−OH値が0.15〜0.5mm−1が好ましく、0.25mm−1以上がより好ましく、0.35mm−1以上がさらに好ましい。β−OH値は、ガラス中の水分量の指標として用いられる値である。
ガラスのβ−OH値が0.15〜0.5mm−1だと、減圧脱泡装置や清澄装置内の溶融ガラスに含まれる気泡が成長しやすくなり、脱泡処理や清澄処理が促進される。また、該β−OH値が0.35mm−1以上だと、バーナ燃焼の酸素燃焼比率を高くすることができ、排ガスの生成が抑制されるため、ガラス製造の運転費用を低減できる。
β−OH値は、脱泡処理後又は清澄処理後の溶融ガラスを板状に成形したガラス試験片、又はガラス容器等を切断し、研磨機で板状に加工したガラス試験片の透過率を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて測定し、下記式により求めることができる。
β−OH値=(1/X)log10(T/T
X:ガラス板厚(mm)
:参照波数4000cm−1における透過率(%)
:水酸基吸収波数3570cm−1付近における最小透過率(%)
β−OH値は、ガラス原料中の水分量、溶解槽中の水蒸気濃度、溶解槽におけるバーナ燃焼方法(酸素燃焼、空気燃焼)などに支配される。特に、β−OH値は、バーナ燃焼方法を調整することにより、簡便に調整できる。具体的には、β−OH値を高くするには、バーナ燃焼の酸素燃焼比率を高くし、β−OH値を低くするには、バーナ燃焼の空気燃焼比率を高くする。
ガラス板は、ディスプレイ用のカバーガラスとして用いられる場合、化学強化用ガラスであることが好ましい。化学強化用ガラスを化学強化処理した化学強化ガラスがカバーガラスとして用いられる。化学強化処理は、ガラス表面に含まれるアルカリイオンのうちイオン半径の小さいイオン(例えばNaイオン)をイオン半径の大きいイオン(例えばKイオン)に置換することにより、ガラス表面から所定の深さの圧縮応力層を形成する。
ガラス板は、窓ガラスや車両用ガラスとして用いられる場合、ソーダライムガラスであることが好ましい。
製品としてのガラスが、ビーカーなどのガラス製理化学機器やガラスポットなどの耐熱調理器具として用いられる場合、ホウケイ酸ガラスであることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに説明する。なお、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
[実験例1、2及び比較例1]
図8に示すガラス製造装置500を用いて、溶融ガラス中の水分量を多くした際に発生する気泡について、第3のセラミックス構造体のガス流路に供給するガスの温度ごとに評価を行った。なお、当該気泡は、導管である白金材料に溶融ガラスが接触して発生するものである。
ガラス製造装置500における溶融ガラス搬送装置1は、主管41及び分岐管42、43の周囲に、第1のセラミックス構造体10、第3のセラミックス構造体30及び第2のセラミックス構造体20がこの順で設けられた構造である。第3のセラミックス構造体30におけるガス流路は、第1のセラミックス構造体と非接触である領域に設けられ、主管41の軸方向に沿って40本、主管41の周方向に沿って15本、それぞれ設けられている。各ガス流路は連通している。ガス流路は20〜70mmピッチで設けられている。
なお、ガス流路は、一本あたり2mm程度の幅の平面溝とした。溝の深さは2mm程度である。
溶融ガラス搬送装置1における第1のセラミックス構造体10、第2のセラミックス構造体20、第3のセラミックス構造体30の通気率は、それぞれ5.7×10−13、2.2×10−12、9.9×10−12である。
溶融ガラス搬送装置1において、ガス供給システム50によって第3のセラミックス構造体30のガス流路に水蒸気を供給した。その際の水蒸気の供給温度及び供給圧力は表1に示すとおりである。なお、本実施例では、溶融ガラス搬送装置1Aは、第3のセラミックス構造体30及びガス供給システム50を備えていない。
無アルカリガラス組成のガラス原料を溶解槽104にて溶融することで溶融ガラスGを作製し、溶融ガラスGを減圧脱泡装置200にて脱泡処理し、フロート法にて溶融ガラスを帯板状のガラスリボンに成形し、ガラスリボンを徐冷して切断し、板厚0.50mmのガラス板(実施例1、2及び比較例1)を得た。
実施例1、2及び比較例1のガラス組成は、酸化物基準の質量%表示で、SiO:59.8%、Al:17.2%、B:7.8%、MgO:3.1%、CaO:4.1%、SrO:7.7%、BaO:0.1%、Cl:0.2%であった。
また得られたガラス板のβ−OH値を、先述した方法により求めた。結果を表1に示す。
得られたガラス板について、暗室の中でガラス板側面から光を照射し、ガラス板主表面を検査するエッジライト検査により、20μm超サイズの泡欠陥の個数を調べ、前記泡欠陥の密度を算出した。ここで、泡欠陥の密度とは、ガラス板主表面における単位面積(m)当たりの泡欠陥の個数を意味する。結果を表1に示す。
上記結果から、本発明によれば、ガス流路に供給するガスの供給温度を200℃以上にすることで、ガス供給温度が120℃である場合に比べて、20μm超サイズの泡欠陥の密度を1/50にすることができた。
当該泡欠陥の形成を抑制できることにより、得られるガラス製品の品質低下を効果的に抑制できることが判った。
本発明を詳細に、また特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
製造されるガラスの用途は、建築用、車両用、液晶ディスプレイ用、有機ELディスプレイ用、カバーガラス用、理化学機器用、調理器具用、又はその他の各種用途が挙げられる。
1、1A 溶融ガラス搬送装置
10 第1のセラミックス構造体
20 第2のセラミックス構造体
22 底部煉瓦
30、30A、30B 第3のセラミックス構造体
32A〜32F ガス流路
40 溶融ガラス用導管構造体
41 主管
42、43 分岐管
44 スターラー
50 ガス供給システム
51 ガス生成装置
52 調節弁
54A〜54D 供給管
56A、56B 排気管
60 部材
100 溶解装置
200 減圧脱泡装置
250 清澄装置
300 成形装置
500、600、700 ガラス製造装置
G 溶融ガラス
GL 溶融ガラスレベル

Claims (18)

  1. 白金又は白金合金からなる導管を少なくとも1本含む溶融ガラス用導管構造体と、
    前記導管のうち少なくとも1本の導管の周囲に設けられた第1のセラミックス構造体と、
    前記第1のセラミックス構造体の周囲に設けられた第2のセラミックス構造体と、
    前記第1のセラミックス構造体と前記第2のセラミックス構造体との間に設けられた第3のセラミックス構造体と、を備え、
    前記第3のセラミックス構造体は、ガス流路を有し、前記ガス流路に200℃以上のガスが供給される、溶融ガラス搬送装置。
  2. 前記ガスが600℃以下である、請求項1に記載の溶融ガラス搬送装置。
  3. 前記ガスが水素原子を含むガスである、請求項1又は2に記載の溶融ガラス搬送装置。
  4. 前記ガスがさらに不活性ガスを含む混合ガスである、請求項3に記載の溶融ガラス搬送装置。
  5. 前記第3のセラミックス構造体は、内部に前記ガス流路を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送装置。
  6. 前記第3のセラミックス構造体は、前記第1のセラミックス構造体及び前記第2のセラミックス構造体の少なくともいずれか一方の、少なくとも一部と非接触であり、前記非接触の領域に前記ガス流路を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送装置。
  7. 前記ガス流路は、前記導管のうち少なくとも1本の導管の、周方向及び軸方向の少なくともいずれか一方の方向に沿って形成された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送装置。
  8. 前記ガス流路は、前記軸方向に沿って2以上形成され、かつ、前記周方向に間隔を空けて形成された、請求項7に記載の溶融ガラス搬送装置。
  9. 前記ガス流路は、前記周方向に沿って2以上形成され、かつ、前記軸方向に間隔を空けて形成された、請求項7又は8に記載の溶融ガラス搬送装置。
  10. 前記第1のセラミックス構造体と前記第3のセラミックス構造体との間の少なくとも一部の領域にさらに部材を備え、
    前記部材は、前記第1のセラミックス構造体及び前記第3のセラミックス構造体と接触し、前記ガス流路の少なくとも一部を覆うように設けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送装置。
  11. 前記部材は、ガラス繊維又はセラミックス繊維を含み、酸化物基準の質量%表示で、SiO含有量が50%以上である、請求項10に記載の溶融ガラス搬送装置。
  12. 前記部材の厚さは0.5mm以上である、請求項10又は11に記載の溶融ガラス搬送装置。
  13. さらにガス供給システムを備え、
    前記ガス供給システムは、ガスを生成するガス生成装置と、生成された前記ガスを加熱するガス加熱装置と、加熱された前記ガスを前記ガス流路に供給する供給管と、を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送装置。
  14. 前記ガス供給システムは、前記ガス流路を通過した前記ガスを排気する排気管をさらに有する、請求項13に記載の溶融ガラス搬送装置。
  15. 前記溶融ガラス用導管構造体は、前記導管として、鉛直方向に中心軸がある主管と、前記主管と連通し、水平方向に中心軸がある分岐管と、を少なくとも1本ずつ有し、
    前記供給管及び前記排気管の少なくともいずれか一方は、前記主管に満たされる溶融ガラスの高さよりも低い位置に設けられた、請求項14に記載の溶融ガラス搬送装置。
  16. 溶解装置、清澄装置及び成形装置を備えるガラス製造装置であって、
    請求項1〜15のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送装置をさらに備え、
    前記溶解装置と前記清澄装置との間、及び、前記清澄装置と前記成形装置との間の少なくともいずれか一方に前記溶融ガラス搬送装置が設けられた、ガラス製造装置。
  17. 溶解工程、清澄工程及び成形工程をこの順に含むガラス製造方法であって、
    前記溶解工程及び前記清澄工程との間、並びに、前記清澄工程及び前記成形工程との間の少なくともいずれか一方に、溶融ガラス搬送工程をさらに含み、
    前記溶融ガラス搬送工程において、請求項1〜15のいずれか一項に記載の溶融ガラス搬送装置を用い、前記溶融ガラス搬送装置における第3のセラミックス構造体のガス流路に200℃以上のガスを供給する、ガラス製造方法。
  18. 得られたガラスのβ−OH値が0.15〜0.5mm−1である、請求項17に記載のガラス製造方法。
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