JP2020187825A - デュアルイオン蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】容量が大きく、正極電位を低く抑え、かつ、低温環境下での放電容量の低下が抑制されたデュアルイオン蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】非水溶媒及び非水溶媒に溶解された電解質を含む電解液と、正極集電体及び正極集電体の表面に形成された正極活物質層を有し、正極活物質層は電解質のアニオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、負極集電体及び負極集電体の表面に形成された負極活物質層を有し、負極活物質層は電解質のカチオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極とを備え、正極活物質は黒鉛であり、負極活物質は一般式LiTi12で示されるチタン酸リチウムであって、所定条件で充電したときの黒鉛1g当たりの充電容量と充電電圧の関係を示す充電曲線は、黒鉛1g当たりの充電容量が40mAhg−1以上であって、充電電圧が3.25〜3.39Vの間に変曲点を有するデュアルイオン蓄電デバイス。
【選択図】図1

Description

本発明は、デュアルイオン蓄電デバイスに関する。
近年、環境問題の意識の高まりと共に、化石燃料を用いたエンジン自動車から、蓄電デバイスから電力を得てモーターを駆動する電気自動車への転換が急速に進んできている。上記の転換において、蓄電デバイスは、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯機器に用いられた小型のリチウムイオン二次電池を、基本的な動作原理や構造を踏襲しながら大型化したリチウムイオン二次電池が用いられている。
このようなリチウムイオン二次電池は、リチウムコバルト複合酸化物やリチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物等を正極活物質とし、主に人造黒鉛や天然黒鉛のような炭素質材料を負極活物質とし、非水溶媒に1M程度の濃度のLiPFなどのリチウム塩を溶解してなる非水電解液を含み、正極活物質を含む正極と負極活物質を含む負極が、ポリオレフィンなどのセパレータで隔絶された構造を持ち、充電時には、正極活物質からリチウムイオンが脱離して負極活物質に挿入され、放電時には、充電によって負極活物質に挿入されたリチウムイオンが脱離して、正極活物質に戻ることにより充放電される蓄電デバイスである。
しかしながら、このようなリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が十分でない。
エネルギー密度の高い蓄電デバイスとしては、炭素質材料を正極活物質に用い、炭素質材料を負極活物質に用い、非水溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解液を用いた、デュアルイオン蓄電デバイスが検討されている。デュアルイオン蓄電デバイスは、充電時に非水電解液中の電解質から乖離したアニオンが正極活物質へ、カチオンが負極活物質に挿入され、放電時は、正極活物質と負極活物質に挿入されたアニオン、及び、カチオンが電解液中へ脱離することにより充放電が行われる。
特許文献1には、正極活物質および負極活物質の両方に炭素質材料を用い、初期充電電圧が5.2〜6.0Vであり、かつ、段階的に電圧を上げて充電することによりエネルギー密度を挙げるデュアルイオン蓄電デバイスが記されている。
また、特許文献2には、正極活物質に黒鉛を用い、負極活物質にリチウム金属や黒鉛を用い、リチウム基準で5.4〜5.5Vまで充電することで、容量が得られることが記されている。
特許文献3には、非水溶媒として、エチルメチルカーボネート(EMC)と環状カーボネートを含む混合溶媒を用いたデュアルイオン蓄電デバイスが開示されている。この特許文献3の実施例には、正極活物質として黒鉛を用い、負極活物質としてチタン酸リチウム(LTO)を用い、電解液として、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を1.8M、ホウフッ化リチウム(LiBF)を0.2Mの割合で含む混合溶媒を用いたデュアルイオン蓄電デバイスが記載されている。
特開2017−204338号公報 特開2005−251472号公報 特開2018−41636号公報
しかしながら、上記特許文献1に示された負極活物質に炭素質材料を用いたデュアルイオン蓄電デバイスの場合、充電時の正極の電位は、リチウム基準(V vs.Li/Li)では5.25V以上となり、例えば45℃以上の高温にさらされた場合に、電解液の急速な分解が生じ、電解液の分解によって発生したガスによって電池が膨れる、電池の劣化が進み容量減少が生じるといった不具合がある。また、特許文献1および2で示された負極活物質に黒鉛やリチウム金属を用いた場合には、負極電極上にリチウムデンドライトが析出して、このデンドライトが内部短絡を引き起こし、リチウムイオン二次電池が発火や爆発する危険性がある。
また、蓄電デバイスは、一般に充放電容量が高く、サイクル寿命が長いことが要求される。特に、自動車用の蓄電デバイスなど屋外で利用されている蓄電デバイスでは、環境温度による充放電容量やサイクル寿命の変動が小さいことが要求されるが、従来のデュアルイオン蓄電デバイスでは、冬場の低温環境下では、電解液の粘性が増すなどの理由で、アニオンやカチオンの移動が阻害され、放電容量が低下し易い傾向があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、容量が大きく、正極電位を低く抑え、かつ、低温環境下での放電容量の低下が抑制されたデュアルイオン蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明の発明者は、正極活物質に黒鉛、負極活物質に一般式LiTi12で示されるチタン酸リチウム(LTO)を用いたデュアルイオン蓄電デバイスについて、容量の拡大と正極電位を低く抑えると共に低温環境下での放電容量の低下を抑える検討を行った。その結果、デュアルイオン蓄電デバイスを、温度25℃の環境下で、1Cの定電流で充電したときの黒鉛1g当たりの充電容量と充電電圧の関係を示す充電曲線において、黒鉛1g当たりの充電容量が40mAhg−1以上であって、充電電圧が3.25〜3.39Vの間に変曲点が発現するように、電解液の組成を調整することが有効であることを見出した。また、正極集電体として、X線光電子分光法により測定されたX線光電子分光スペクトルにおいて、74.8eV以上76.7eVの範囲内に最大ピーク値を有するピークが検出されるアルミニウム箔を用いることによって、正極電位をより低く抑えることが可能となることを見出した。さらに、電解液の電解質塩として、所定のリチウムイミド塩と六フッ化リン酸リチウムを用いることによって、低温環境下での放電容量の低下をより抑えることが可能となることを見出した。
従って、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
[1]非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解された電解質を含む電解液と、正極集電体及び前記正極集電体の表面に形成された正極活物質層を有し、前記正極活物質層は前記電解質のアニオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、負極集電体及び前記負極集電体の表面に形成された負極活物質層を有し、前記負極活物質層は前記電解質のカチオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極とを備えるデュアルイオン蓄電デバイスであって、前記正極活物質は黒鉛であり、前記負極活物質は一般式LiTi12で示されるチタン酸リチウムであって、温度25℃の環境下で、1Cの定電流で充電したときの前記黒鉛1g当たりの充電容量と充電電圧の関係を示す充電曲線は、前記黒鉛1g当たりの充電容量が40mAhg−1以上であって、前記充電電圧が3.25〜3.39Vの間に変曲点を有することを特徴とするデュアルイオン蓄電デバイス。
[2]デュアルイオン蓄電デバイスの充電電圧の上限が3.5Vであることを特徴とする[1]に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[3]前記黒鉛の(002)面の面間隔が、3.360nm以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[4]前記電解質のアニオンが、PF 、BF 、TFSI((CFSO)、FSI((FSO)から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1つに記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[5]前記電解質のカチオンが、Liを含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1つに記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[6]前記非水溶媒が、鎖状カーボネートを含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1つに記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[7]前記非水溶媒が、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1つに記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[8]前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方が、カーボンナノチューブ、炭素繊維、気相法炭素繊維、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック類から選ばれる少なくとも1種の導電助剤を含むことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1つに記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[9]前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方が、カーボンナノチューブとカーボンブラック類とを含むことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1つに記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[10]前記カーボンブラック類が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[8]または[9]に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[11]前記電解質は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)からなる群より選択される少なくとも1種のリチウムイミド塩と、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)とを含み、前記正極集電体は、X線光電子分光法により測定されたX線光電子分光スペクトルにおいて、74.8eV以上76.7eVの範囲内に最大ピーク値を有するピークが検出されるアルミニウム箔である含むことを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1つに記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[12]前記六フッ化リン酸リチウム1モルに対して、前記リチウムイミド塩を0.5モル以上10モル以下の範囲内で含む[11]に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
[13]前記電解質が、さらに、六フッ化リン酸リチウム1モルに対して、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)を0.05モル以上10モル以下の範囲内で含む[11]または[12]に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
本発明によれば、容量が大きく、正極電位を低く抑え、かつ、低温環境下での放電容量の低下が抑制されたデュアルイオン蓄電デバイスを提供することが可能となる。
実施例1にて作製したコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを、温度25℃の環境下で、1Cの定電流で充電したときの正極活物質1g当たりの充電容量と充電電圧との関係をプロットした充電曲線である。 比較例1にて作製したコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを、温度25℃の環境下で、1Cの定電流で充電したときの正極活物質1g当たりの充電容量と充電電圧との関係をプロットした充電曲線である。 予備実験1にて作製したコイン型評価セルのサイクリックボルタンメトリー(CV)の測定結果である。 予備実験2にて作製したコイン型評価セルのサイクリックボルタンメトリー(CV)の測定結果である。 予備実験3にて作製したコイン型評価セルのサイクリックボルタンメトリー(CV)の測定結果である。 予備実験4にて作製したコイン型評価セルのサイクリックボルタンメトリー(CV)の測定結果である。 予備実験2において、CV測定を行ったコイン型評価セルのアルミニウム箔のX線光電子分光スペクトルである。 予備実験2において、CV測定を行っていないコイン型評価セルのアルミニウム箔のX線光電子分光スペクトルである。 予備実験5にて作製したコイン型評価セルのサイクリックボルタンメトリー(CV)測定結果である。
以下、本発明の一実施形態に係るデュアルイオン蓄電デバイスについて説明する。なお、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本実施形態に係るデュアルイオン蓄電デバイスは、非水溶媒及びこの非水溶媒に溶解された電解質を含む電解液と、正極集電体及びこの正極集電体の表面に形成された正極活物質層を有し、正極活物質層は電解質のアニオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、負極集電体及びこの負極集電体の表面に形成された負極活物質層を有し、負極活物質層は電解質のカチオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極とを備える。
<正極>
正極は、正極集電体と、この正極集電体の表面に形成された正極活物質層とを有する。
[正極集電体]
正極集電体としては、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、ステンレス鋼箔、ニッケル箔、チタン箔、炭素シートなどをはじめ、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔またはステンレス鋼箔の表面に炭素、ダイアモンドライクカーボン、ニッケル、チタンまたは銀などの表面処理膜を付着させた複合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。集電体を構成する材料のなかでは、アルミニウムおよびアルミニウム合金が好ましい。正極集電体としての箔の厚みは、特に限定されないが、5μm以上40μm以下の範囲内になることが好ましく、10μm以上30μm以下の範囲内にあることがより好ましい。アルミニウム箔の厚みが5μm未満の場合、正極集電体の強度が低下するおそれがある。一方、アルミニウム箔の厚みが40μmを超えると、所定形状の電池ケースに収容するためには、正極活物質層の厚さを相対的に薄くすることが必要となり、デュアルイオン蓄電デバイスの容量が低下するおそれがある。
本実施形態では、電解質にリチウムイミド塩が含まれ、アルミニウム箔を正極集電体に用いる場合は、LiPFと共存させることが好ましい。リチウムイミド塩を単独で用いる場合、正極集電体にアルミニウム箔を用いると、蓄電デバイスが使用される条件によっては、リチウムイミド塩のアニオンによってアルミニウム箔が腐食され、溶出する場合があるからである。LiPFのアニオンであるPF は、最初の充電時に、アルミニウム箔の表面と優先的に反応して、Al−F結合を有する化合物の被膜(不動態膜)が形成し、リチウムイミド塩のアニオンとアルミニウム箔との腐食反応を抑制する作用があるためである。
電解液中のLiPFの含有量は、リチウムイミド塩1モルに対して、0.01モル以上15モル以下の範囲内にあることが好ましく、0.1モル以上10.0モル以下の範囲内にあることが特に好ましい。
電解質にリチウムイミド塩が含まれ、LiPFを共存させた際のアルミニウム箔は、X線光電子分光法(XPS)により測定されたX線光電子分光スペクトルにおいて、74.8eV以上76.7eVの範囲内に最大ピーク値を有するピークが検出されるようにされている。このピークは、Al−F結合を示すと考えられる。すなわち、このピークが検出されるアルミニウム箔は、表面にAl−F結合を有する化合物の被膜(不動態膜)が形成されていると考えられる。
なお、アルミニウム箔は、デュアルイオン蓄電デバイスの組立て直後は、上記のピークを有していなくてもよい。上述のとおり、電解質としてリチウムイミド塩とLiPFとを併用することによって、最初の充電時に、アルミニウム箔の表面にAl−F結合を有する化合物の被膜(不動態膜)が形成されるからである。デュアルイオン蓄電デバイスの製造時に使用するアルミニウム箔としては、電池用の集電体として利用されている各種のアルミニウム箔を用いることができる。アルミニウム箔の純度は99.3質量%以上であることが好ましく、99.85質量%以上であることがより好ましい。
[正極活物質層]
正極活物質層は、正極活物質と、バインダーと、導電助剤とを含むことが好ましい。正極活物質層の正極活物質、バインダー及び導電助剤の含有率は、好ましくは、正極活物質が70質量%以上99.5質量%以下の範囲内であり、バインダーが0.1質量%以上25質量%以下の範囲内であり、導電助剤が0.1質量%以上25質量%以下の範囲内である。
本実施形態において用いる正極活物質は、黒鉛を含む。黒鉛は、天然黒鉛であってもよいし、人造黒鉛であってもよい。黒鉛は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。天然黒鉛としては、鱗片状天然黒鉛、塊状黒鉛、土状天然黒鉛などを用いることができる。人造黒鉛としては、鱗片状人造黒鉛、塊状人造黒鉛、球状人造黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。また、黒鉛は、アニオン透過性のある炭素質材料などでコーティングされていてもよい。
黒鉛の結晶構造は大きく分けて、ABABからなる層構造の六方晶と、ABCABCからなる層構造の菱面体晶とがある。本実施形態においては、六方晶を有する黒鉛と菱面体晶を有する黒鉛のいずれも用いることができる。
黒鉛の(002)面の面間隔であるd(002)は、本発明の目的を達成できれば特に限定されないが、0.3365nm以下が好ましく、0.3363nm以下がより好ましく、0.3360nm以下がさらに好ましい。d(002)の下限は0.3354nmである。
バインダーとしては、例えば、フッ素樹脂、ゴム、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、カルボキシメチルセルロース(CMC)系樹脂、天然高分子系樹脂を用いることができる。フッ素樹脂の例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。ゴムの例としては、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。天然高分子樹脂の例としては、ゼラチン、キトサン、アルギン酸系などが挙げられる。これらのバインダーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
導電助剤としては、例えば、カーボンナノチューブ、炭素繊維、気相法炭素繊維、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック類を用いることができる。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであってもよいし、多層カーボンナノチューブであってもよい。カーボンブラック類の例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。これらの導電助剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせた導電助剤としては、単層カーボンナノチューブとアセチレンブラックの2種を組み合わせたものを用いることが好ましい。
[正極の製造方法]
正極は、例えば、正極活物質とバインダーと導電助剤とを溶媒に分散させた正極活物質層形成用ペーストを、正極集電体の表面に塗布し、乾燥することによって製造することができる。正極活物質層形成用ペーストの溶媒としては、N−メチルピロリドンなどの極性有機溶媒や水を用いることができる。正極活物質層形成用ペーストの塗布方法としては、特に制限はなく、例えば、ドクターブレード、ダイコータ、バーコータ、ロールコータなどの塗工装置を用いて行うことができる。
正極の活物質層の厚みは、5〜100μmで、より好ましくは、10〜70μmで、さらに好ましくは、15〜35μmである。
<負極>
負極は、負極集電体と、この負極集電体の表面に形成された負極活物質層とを有することが好ましい。
[負極集電体]
負極集電体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどを用いることができる。また、負極集電体の形状としては、箔、シート、フィルム、メッシュなどの形状とすることができる。負極集電体の厚みは、特に限定されないが、5μm以上40μm以下の範囲内になることが好ましく、8μm以上30μm以下の範囲内にあることがより好ましい。
[負極活物質層]
負極活物質層は、負極活物質と、バインダーと、導電助剤とを含むことが好ましい。負極活物質層の負極活物質、バインダー及び導電助剤の含有率は、好ましくは、負極活物質が70質量%以上99.5質量%以下の範囲内であり、バインダーが0.1%以上25質量%以下の範囲内であり、導電助剤が0.1質量%以上25質量%以下の範囲内である。
本実施形態において用いる負極活物質は、一般式がLiTi12で表されるLTOを含む。
バインダーとしては、例えば、フッ素樹脂、ゴム、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、カルボキシメチルセルロース(CMC)系樹脂、天然高分子系樹脂を用いることができる。フッ素樹脂、ゴム、天然高分子系樹脂の例は、正極のバインダーの場合と同じである。
導電助剤としては、例えば、カーボンナノチューブ、炭素繊維、気相法炭素繊維、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック類を用いることができる。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであってもよいし、多層カーボンナノチューブであってもよい。カーボンブラック類の例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。これらの導電助剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせた導電助剤としては、単層カーボンナノチューブとアセチレンブラックの2種を組み合わせたものを用いることが好ましい。
[負極の製造方法]
負極は、例えば、負極活物質とバインダーと導電助剤とを溶媒に分散させた負極活物質層形成用ペーストを、負極集電体の表面に塗布し、乾燥することによって製造することができる。負極活物質層形成用ペーストの溶媒の例は、正極活物質層形成用ペーストの場合と同じである。負極活物質層形成用ペーストの塗布方法の例は、正極活物質層形成用ペーストの場合と同じである。
負極の活物質層の厚みは、5〜100μmで、より好ましくは、10〜70μmで、さらに好ましくは、15〜35μmである。
<電解液>
電解液は、非水溶媒と電解質を含む。本実施形態のデュアルイオン蓄電デバイスでは、充電時には、電解液中の電解質のアニオンが正極活物質に、電解液中の電解質のカチオンが負極活物質にそれぞれ吸蔵され、放電時には、正極活物質中のアニオンが電解液に、負極活物質中のカチオンが電解液にそれぞれ放出される。
[非水溶媒]
非水溶媒としては、電解質を溶解可能な有機溶媒が用いられる。非水溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)及びブチレンカーボネート(BC)などを用いることができる。鎖状カーボネートとしては、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びジエチルカーボネート(DEC)などを用いることができる。これらの環状カーボネート及び鎖状カーボネートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
非水溶媒は、1種もしくは2種以上の鎖状カーボネート、あるいは鎖状カーボネートと環状カーボネートとの混合物であることが好ましく、1種の鎖状カーボネートであることが特に好ましい。1種の鎖状カーボネートは、EMCであることが好ましい。鎖状カーボネートと環状カーボネートとの混合物は、体積比で50:50〜99:1(前者:後者)の範囲内にあることが好ましい。
[電解質]
本実施形態において、電解質は、アニオンが、PF 、BF 、TFSI((CFSO)、FSI((FSO)から選ばれる1種以上を含み、カチオンがLiを含んでいる必要がある。このようなアニオンとカチオンの組み合わせから、電解質としては、LiPF、LiBF、LiFSI、LiTFSIなどが例示されるが、これに限定されない。
電解液中の電解質の濃度は、2M以上5M以下の範囲にある。
本実施形態においては、電解液の組成を、温度25℃の環境下で、1Cの定電流で充電したときの黒鉛1g当たりの充電容量と充電電圧の関係を示す充電曲線において、黒鉛1g当たりの充電容量が40mAhg−1以上であって、充電電圧が3.25〜3.39Vの間に変曲点が発現するように調整する。なお、変曲点は、充電曲線の傾き(=充電電圧/黒鉛1g当たりの充電容量)が減少する点である。
本発明者は、デュアルイオン蓄電デバイスの放電容量と、充放電曲線との関係を詳しく検討した結果、大きな放電容量を示すデュアルイオン蓄電デバイスは、充電曲線において前記の範囲に変曲点を発現する傾向があることを見出した。そして、さらに検討を重ねた結果、後述の実施例で明らかにされているように、電解液の組成(電解質のアニオンとカチオンの組み合わせ、非水溶媒の種類とその組み合わせ、電解質濃度)によって、充電曲線の変曲点の発現する位置が変動する、あるいは変曲点が発現しない場合があることが判明した。充電曲線に変曲点が発現する理由は、次のように考えられる。
一般に、電解質が非水溶媒に溶解する際、電解液はアニオンとカチオンに電離する。この電離したアニオンとカチオンは、それぞれに非水溶媒分子と溶媒和して、安定化する。アニオンと溶媒和している非水溶媒分子の数は、アニオンの種類と非水溶媒の種類、組み合わせによって変化する。また、電解質の濃度によっても溶媒和している非水溶媒分子の数が変化する可能性もある。すなわち、電解液の組成によって、アニオンと溶媒和している非水溶媒分子の数が変化する。
一方、アニオンが正極活物質の黒鉛に挿入する際は、溶媒和した非水溶媒分子の一部もしくは全部がアニオンから脱離し、その脱離したアニオンが黒鉛の層間に挿入される。この非水溶媒分子がアニオンから脱離する際に要するエネルギーが充電電圧を決定しているものと考えられる。従って、充電電圧を低減させるためには、非水溶媒分子がアニオンから脱離する際に要するエネルギーが高くならないように、電解液の組成を調整することが必要である。
また、黒鉛に挿入されたアニオンは、黒鉛の層間を黒鉛粒子の内部まで拡散して、層間化合物を形成する。この層間化合物はステージ構造を形成し、最もアニオンの挿入数の少ないステージが、ステージIVで、アニオンの挿入数が増加するにつれて、ステージIII→ステージII→ステージIと変化することが知られている(文献:Jeffery A.Read,J.Phys.Chem.,C2015,119,8438.を参照)。
充電曲線に変曲点が発現するのは、黒鉛に形成されている層間化合物のステージが遷移することによって、非水溶媒分子がアニオンから脱離する際に要するエネルギーが低くなったためであると考えられる。そして、層間化合物のステージが遷移することに起因し、その結果として容量の増大が生起されると考えられる。
なお、電解液の組成によって変曲点の発現する位置が変動する、あるいは変曲点が発現しない場合があるのは、電解液の組成によって黒鉛に形成されている層間化合物のステージの遷移の起こりやすさが変化するためであると考えられる。
また、本発明者は、リチウムイミド塩はデュアルイオン蓄電デバイスの低温環境下での放電容量の低下を抑える作用があることを見出した。リチウムイミド塩にデュアルイオン蓄電デバイスの低温環境下での放電容量の低下を抑える作用がある理由は、必ずしも明らかではないが、電解液中の非水溶媒分子と、アニオンまたは/およびカチオンとの溶媒和の形態がリチウムイミド塩を含まない場合と異なることやリチウムイミド塩の解離度の違いにより、低温での放電特性の低下を抑制する効果を発揮するためであると考えられる。このリチウムイミド塩による効果を得るために、電解液中のリチウムイミド塩の含有量は、前出の充電曲線の変曲点の位置が、充電電圧と正極活物質(黒鉛)1g当たりの充電容量が前述の範囲内となる量であれば特に制限はないが、0.01M以上4.0M以下の範囲内にあることが好ましい。
リチウムイミド塩を用いる際は、LiPFを共存させる必要がある。この理由は後述する。電解液中のLiPFの含有量は、前出の充電曲線の変曲点の位置が、充電電圧と正極活物質1g当たりの充電容量が前述の範囲内となる量であれば特に制限はないが、0.01M以上4.0M以下の範囲内にあることが好ましい。
さらに、LiBFをリチウムイミド塩と共存させてもよい。LiBFをリチウムイミド塩と共存することによって、デュアルイオン蓄電デバイスの低温環境下での放電容量の低下を抑える作用がある。この理由も必ずしも明らかではないが、LiBFの存在によって電解液と電極界面と電荷移動抵抗が低減するためであると考えられる。電解液中のLiBFの含有量は、前出の充電曲線の変曲点の位置が、充電電圧と正極活物質1g当たりの充電容量が前述の範囲内となる量であれば特に制限はないが、0.01M以上4.0M以下の範囲内にあることが好ましい。
[電解液添加剤]
本発明の特性を損なわない限り、VC(ビニレンカーボネート)、LiBOB(リチウムビスオキサレートボラート)、LiDFOB(リチウムジフルオロオキサラトボレート)などの添加剤を電解液に共存させてもよい。
<デュアルイオン蓄電デバイスの構成>
本実施形態のデュアルイオン蓄電デバイスの構成としては特に制限はなく、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角型などの蓄電デバイスの構成として採用されている公知の構成とすることができる。
コイン型、ボタン型、ラミネート型のデュアルイオン蓄電デバイスは、正極と負極とを、正極活物質層と負極活物質層が互いに対向するように、セパレータを介して積層した積層体を、電解液と共に、電池ケースに収容して封止した構成の蓄電デバイスである。セパレータとしては、例えば、多孔質膜、不織布、紙を用いることができる。多孔質膜としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン製多孔質膜、フッ素樹脂製多孔質膜を用いることができる。不織布としては、ポリプロピレン製不織布、セルロース製不織布、ガラス繊維製不織布を用いることができる。
円筒型、角型のデュアルイオン蓄電デバイスは、正極と負極とを、正極活物質層と負極活物質層が互いに対向するように、セパレータを介して捲回した捲回体を、電解液と共に、電池ケースに収容して封止した構成の蓄電デバイスである。また、捲回体をラミネート型に入れてもよい。セパレータとしては、多孔質膜、不織布、紙を用いることができる。
<活性化>
本実施形態のデュアルイオン蓄電デバイスでは、電解液と電極・セパレータの積層体を電池ケースに収容して封止した後に、充電を行って活性化する。充電の終止電圧は、3.40V以上3.75V以下、好ましくは3.40V以上3.55V以下、より好ましくは、3.40V以上3.50V以下である。充電電圧がこの範囲より高いと電解液中の非水溶媒やLiBOB等の添加剤の分解が生じる危険があり、また、充電電圧がこの範囲より低いと、アニオンが黒鉛に挿入されないためである。なお、本実施形態において、充電曲線に変曲点が発現するのは、活性化後のデュアルイオン蓄電デバイスであって、活性化のための充電では、充電曲線に変曲点が発現してもよいし、発現しなくてもよい。
充電時の電流値は高くなりすぎると、黒鉛にイオンを挿入することによって生成する層間化合物の構造を破壊するおそれがあり、また、電圧が上昇して電解液が分解するおそれがある。このための充電時の電流値は小さい方が好ましいが、電流値が小さくなりすぎると充電に時間を要する。このため、充電時の電流値は、0.01Cから1C、好ましくは0.05Cから0.5C、より好ましくは0.1C〜0.3Cである。さらに、電流値は、充電や放電の途中で変化させてよい。
リチウムイミド塩とLiPFを共存させた場合は、正極集電体(アルミニウム箔)に、X線光電子分光法により測定されたX線光電子分光スペクトルにおいて、74.8eV以上76.7eVの範囲内に最大ピーク値を有するピークが検出されるように、最初の充電を行う。充電方法は、前出と同じである。
本実施形態で、デュアルイオン蓄電デバイスによれば、電解質として、所定のリチウムイミド塩とLiPFを共存させた場合は、正極集電体は、X線光電子分光法により測定されたX線光電子分光スペクトルにおいて、74.8eV以上76.7eVの範囲内に最大ピーク値を有するピークが検出されるアルミニウム箔であるので、低温環境下での放電容量の低下が抑制される。特に、LiPFの含有量は、リチウムイミド塩1モルに対して、0.01モル以上15モル以下の範囲内にあることが好ましく、0.1モル以上10.0モル以下の範囲内で含むことによって、リチウムイミド塩による低温環境下での放電容量の低下の抑制効果を確実に得ることができる。
<実施例1>
[正極の作製]
正極活物質として、人造黒鉛粉末(日立化成株式会社製HPG−6、d(002)=0.3358nm)を93.0質量部、導電助剤としてアセチレンブラック3.0質量%、バインダーとして、アルギン酸系バインダーとカルボキシメチルセルロースを合計2.0質量%とアクリル樹脂2.0質量%の割合で混合した。得られた混合物に水を投入し、撹拌混合して正極活物質層形成用ペーストを調製した。
正極集電体として、アルミニウム箔(厚さ:15μm)を用意した。このアルミニウム箔の表面に、ダイコート法で、上記の正極活物質層形成用ペーストを塗布し、乾燥して、正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極を作製した。得られた正極活物質層の厚さを、マイクロメーターを用いて計測したところ、35μmであった。
[負極の作製]
負極活物質として、LTOを93.0質量%、導電助剤としてアセチレンブラック3.0質量%、バインダーとしてPVDFを4.0質量%の割合で混合した。得られた混合物に、N−メチルピロリドンを投入し、撹拌混合して負極活物質層形成用ペーストを調製した。なお、LTOは、炭酸リチウムとアナターゼ型酸化チタンとを、リチウムとチタンの化学量論比が4:5になる割合で混合し、次いで得られた混合物を、マッフル炉を用いて昇温速度10℃/分で800℃まで昇温し、この温度で5時間保持した後、室温まで自然冷却することによって合成した。
負極集電体として、アルミニウム箔(厚さ:15μm)を用意した。このアルミニウム箔の表面に、ダイコート法で、上記の負極活物質層形成用ペーストを塗布し、乾燥して、負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極を作製した。得られた負極活物質層の厚さを、マイクロメーターを用いて計測したところ、15μmであった。
[電解液の調製]
非水溶媒として、EMCを用意した。このEMCに、電解質として、LiPFを濃度が3Mとなるように溶解して、電解液を調製した。なお、電解液の調製は、室温で露点が−40℃以下のドライルームで行った。
[コイン型デュアルイオン蓄電デバイスの作製]
前記で作製した正極を直径14mm、前記で作製した負極を直径12mmの円板状に打ち抜いた物を、露点−40℃以下のドライルームに移し、150℃で24時間真空乾燥した。その後、真空乾燥後の正極と負極を、正極活物質層と負極活物質層とが対向するようにニッポン高度紙工業株式会社製の紙セパレータ(商品名:TF4425)を介して積層した。得られた積層体と上記の電解液とを、アルミニウムをクラッドしたSUS316L製2032コインセルに収容し、封止して、コイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
[コイン型デュアルイオン蓄電デバイスの活性化]
コイン型デュアルイオン蓄電デバイスを、25℃の恒温槽中で0.3Cに相当する電流値で3.5VまでCCモード(定電流モード)で充電して活性化した。この後、CVモード(定電圧モード)に切り替え、30分間充電を続けた。さらに、0.3Cに相当する電流値で、2Vまで放電を行った。
[コイン型デュアルイオン蓄電デバイスの充放電評価]
活性化したコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを、25℃の恒温槽中で1Cに相当する電流値で3.5VまでCCモードで充電し、この後、CVモードに切り替え、30分間充電を続けた。充電終了後、1Cに相当する電流値で2Vまで放電した。この放電によって得られた放電容量を初期の放電容量とした。
図1に、コイン型デュアルイオン蓄電デバイスを充電したときの正極活物質1g当たりの充電容量と充電電圧との関係をプロットした充電曲線を示す。また、表1に変曲点の充電容量と充電電圧と、初期放電容量の測定結果を記した。
図1の充電曲線から、変曲点は、正極活物質1g当たりの充電容量が50mAhg−1、セル電圧3.32Vで生じ、初期の放電容量は100mAhg−1であることが確認された。
<実施例2〜6>
表1に記載の電解質および非水溶媒の組み合わせで、実施例1と同様にコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製し、得られたコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを活性化した後、充放電評価を行った。その結果を、表1に示す。
<比較例1〜5>
表1に記載の電解質および非水溶媒の組み合わせで、実施例1と同様にコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製し、得られたコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを活性化した後、充放電評価を行った。図2に比較例1で作製したコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを充電したときの充電電圧と正極活物質1g当たりの充電容量との関係をプロットした充電曲線を示す。また、表1に比較例1〜5のコイン型デュアルイオン蓄電デバイスで測定された変曲点における充電電圧と充電容量、初期放電容量の測定結果を示す。
Figure 2020187825
表1の結果から、実施例1〜6のコイン型デュアルイオン蓄電デバイスは、変曲点が正極活物質1g当たりの充電容量が45mAhg−1以上で、充電電圧が3.28〜3.34Vの範囲にあり、初期の放電容量は83mAhg−1以上と高い値を示すことが分かった。
一方、比較例1のコイン型デュアルイオン蓄電デバイスは、図2に示すように、変曲点が、正極活物質1g当たりの充電容量が36mAhg−1で本発明の範囲よりも低く、充電電圧が3.40Vで本発明の範囲よりも高い位置で発生し、初期の放電容量は52mAhg−1と低くなった。比較例2〜5の場合は、変曲点が観察されなかった。また、初期の放電容量が最大でも61mAhg−1と、実施例1〜6よりも小さかった。変曲点が観察されなかったのは、黒鉛に形成される層間化合物のステージの遷移が十分に進行しなかったためであると考えられる。すなわち、この結果から電解液の組成によって、黒鉛に形成される層間化合物のステージの遷移の起こりやすさが変化することが確認された。
<実施例7〜27、比較例6〜7>
表2に記載の電解質および非水溶媒の組み合わせで、実施例1と同様にコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製し、得られたコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを活性化した後、充放電評価を行った。その結果を、表2に示す。
Figure 2020187825
表2から、実施例7〜27で得られたコイン型デュアルイオン蓄電デバイスは、いずれも変曲点が3.33〜3.39Vの範囲内にあり、正極活物質1g当たりの充電容量は、44mAhg−1以上で、初期放電容量は62mAhg−1以上あることが確認された。一方、比較例6〜7は、変曲点が観察されず、初期の放電容量も小さいことが確認された。
<予備実験1>
[電解液の調製]
非水溶媒として、EMCを用意した。このEMCに、電解質として、LiTFSIを濃度が3Mとなるように溶解して、電解液を調製した。
[コイン型評価セルの作製]
直径12mm、厚さ15μmの円板状のアルミニウム箔と、直径14mm、厚さ100μmの円板状のリチウム箔とが対向するようにポリエチレン製セパレータを介して積層した。得られた積層体と上記の電解液とを、アルミニウムをクラッドしたSUS316L製2032コインセルに収容し、封止して、コイン型評価セルを作製した。この場合、アルミニウム箔を、アルミニウムをクラッドしたSUS316L製コイン型セルケース側とした。コイン型評価セルの作製は、露点を−40℃以下に調整したドライルーム内にて行った。
[サイクリックボルタンメトリー(CV)測定]
電圧走査範囲をリチウム基準電圧で3.0〜6.0Vとし、走査速度を1.0mV/secの条件で、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。測定温度は25℃とした。その結果を、図3に示す。図3において、横軸は金属Liに対する電位(V)を表し、縦軸は応答電流(mA)を表す。
図3の結果から、CV測定の1サイクル目において100μA台の大きな酸化応答電流が流れ、箔の腐食が進行しているものと考えられた。
<予備実験2>
[電解液の調製]
非水溶媒として、EMCを用意した。このEMCに、電解質として、LIPFを濃度が1M、LiTFSIを濃度が2M、LiBFを濃度が0.4Mとなるように溶解して、電解液を調製した。
[コイン型評価セルの作製]
上記の電解液を用いたこと以外は、予備実験1と同様にしてコイン型評価セルを作製した。
[サイクリックボルタンメトリー(CV)測定]
得られたコイン型評価セルについて、予備実験1と同様にして、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を5サイクル行った。その結果を、図4に示す。
図4の結果から、CV測定の1サイクル目では、約3.6Vから応答電流が流れ始めて、4.0Vで電流増加の傾きが減少して、そのままの傾きを維持しながら6.0Vに到達した。ただし、酸化電流値は、1μA台で、予備実験1と比較して、2桁電流値が低下していた。さらに、サイクルを重ねるとサイクル毎に酸化電流値が減少し、ほぼ0となった。これは、前出のようにLiPFによってアルミニウム箔表面に不動態膜が形成されるためであると考えられる。
<予備実験3>
EMCに、電解質として、LIPFを濃度が1M、LiTFSIを濃度が1M、LiBFを濃度が0.4Mとなるように溶解して、電解液を調製した。この電解液を用いて、予備実験1と同様にCV測定を1サイクル行った。その結果を、図5に示す。図5では、予備実験1の1サイクル目と同様な電流値で、LiTFSI濃度の影響を受けていないことが分かった。
<予備実験4>
EMCに、電解質として、LIPFを濃度が1M、LiTFSIを濃度が2Mとなるように溶解して、電解液を調製した。この電解液を用いて、予備実験1と同様にCV測定を1サイクル行った。その結果を、図6に示す。図6では、予備実験1の1サイクル目と同様な電流値で、LiBFの有無の影響を受けていないことが分かった。
以上の結果から、アルミニウム箔表面の不動態膜はLiPFの存在によって生成したものであることが分かった。また、リチウムイミド塩はLiPFの共存下で、アルミニウム箔が使用できることが分かった。
<予備実験5>
[アルミニウム箔のX線光電子分光スペクトル測定]
上記のCV測定を行ったコイン型評価セルのアルミニウム箔と、CV測定を行っていないコイン型評価セルのアルミニウム箔のX線光電子分光スペクトルを下記のようにして測定した。
アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で、コイン型評価セルを解体し、取り出したアルミニウム箔をEMCにて洗浄し、真空乾燥した。真空乾燥後のアルミニウム箔について、X線光電子分光法(XPS)によりX線光電子分光スペクトルを測定した。X線光電子分光スペクトルの測定条件は、以下のとおりである。
測定装置:複合型電子分光分析装置(PHI社製、ESCA−5800)
X線源:Monochromated Al Kα線(1486.6eV)300W
光電子取り出し角度:45゜(測定深さ:約4nm)
測定エリア:2mm×0.8mm
図7は、予備実験2とおいて、CV測定を行ったコイン型評価セルを解体した後、アルミニウム箔を取り出し、このアルミニウム箔のX線光電子分光スペクトルであり、図8は、CV測定を行っていないコイン型評価セルのアルミニウム箔のX線光電子分光スペクトルである。
図7及び図8において、横軸は、結合エネルギー(eV)を示し、縦軸は強度を示す。図7及び図8において、丸実線は実測値であり、×実線は、フィッティング(波形分離して得られた各成分の和、フィッティングと実測値が近いほど、精度が高い)である。破線、一点鎖線、二点鎖点は、それぞれ波形分離で得られた金属アルミニウム、Al−O結合、Al−F結合を表す。
図7と図8のX線光電子分光スペクトルを比較すると、CV測定を行ったコイン型評価セルのアルミニウム箔は、Al−F結合に相当するピークが大きくなっている。このことから、予備実験2のコイン型評価セルは、CV測定の1サイクル目で、アルミニウム箔表面にAl−F結合を有する化合物の被膜が形成される反応により、応答電流が大きく低下し、2サイクル目以降の応答電流の低減はAl−F結合がより多く生成したことによるものと考えられる。
<予備実験6>
[コイン型評価セルの作製]
アルミニウム箔(厚さ:15μm)の一方の表面を、黒鉛を含むコート層(厚み2μm)で被覆した。次いで、この被覆アルミニウム箔を、円板状に打ち抜いた。
アルミニウム箔の代わりに、上記の円板状の被覆アルミニウム箔を用い、被覆アルミニウム箔の黒鉛を含むコート層の面がセパレータと接するように配置したこと以外は、予備実験2と同様にしてコイン型評価セルを作製した。
作製したコイン型評価セルについて、予備実験1と同様にサイクリックボルタンメトリー(CV)測定した。その結果を図9に示す。
図9の結果から、1サイクル目の応答電流値が、予備実験2と比較して、顕著に大きくなった。また、2サイクル目以降は徐々に応答電流値が低下したが、予備実験2よりは、応答電流が2〜3桁大きく、明らかに予備実験2とは異なる挙動であった。
また、予備実験1と同様に、CV測定を行ったコイン型評価セルのアルミニウム箔のX線光電子分光スペクトルを測定したところ、表面には、Al−Fの結合に相当するピークは確認できなかった。
以上の結果から、電解質として、リチウムイミド塩を用いる場合は、LiPFやLiBFを併用すること、集電体として用いるアルミニウム箔は、炭素質材料のようなコート層を有しないことが望ましいことが確認された。
<実施例31>
正極活物質として、人造黒鉛粉末(日立化成株式会社製HPG−6、d(002)=0.3358nm)を93.0質量%、導電助剤として、単層カーボンナノチューブ(CNT)を0.2質量%とアセチレンブラック2.8質量%、バインダーとして、アルギン酸系バインダーとカルボキシメチルセルロースを合計2.0質量%とアクリル樹脂2.0質量%の割合で混合した。得られた混合物に水を投入し、撹拌混合して正極活物質層形成用ペーストを調製した。
正極集電体として、アルミニウム箔(厚さ:15μm)を用意した。このアルミニウム箔の表面に、ダイコート法で、上記の正極活物質層形成用ペーストを塗布し、乾燥して、正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極を作製した。得られた正極活物質層の厚さをマイクロメーターを用いて計測したところ、35μmであった。
[負極の作製]
負極活物質として、LTOを92.8質量%、導電助剤として、CNTを0.4質量%とアセチレンブラック2.8質量%、バインダーとして、PVDFを4.0質量%の割合で混合した。得られた混合物に、N−メチルピロリドンを投入し、撹拌混合して負極活物質層形成用ペーストを調製した。なお、LTOは、炭酸リチウムとアナターゼ型酸化チタンとを、リチウムとチタンの化学量論比が4:5になる割合で混合し、次いで得られた混合物を、マッフル炉を用いて昇温速度10℃/分で800℃まで昇温し、この温度で5時間保持した後、室温まで自然冷却することによって合成した。
負極集電体として、アルミニウム箔(厚さ:15μm)を用意した。このアルミニウム箔の表面に、ダイコート法で、上記の負極活物質層形成用ペーストを塗布し、乾燥して、負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極を作製した。得られた負極活物質層の厚さを、マイクロメーターを用いて計測したところ、15μmであった。
[電解液の調製]
非水溶媒として、EMCを用意した。このEMCに、電解質として、LiPFを濃度が1M、LiTFSIを濃度が1Mとなるように溶解して、電解液を調製した。
[コイン型デュアルイオン蓄電デバイスの作製]
得られた正極を直径14mm、得られた負極を直径12mmの円板状に打ち抜いたものを露点−40℃以下のドライルームに移し、150℃で24時間真空乾燥した。乾燥後の正極と負極を、正極活物質層と負極活物質層とが対向するようにニッポン高度紙工業株式会社製の紙セパレータ(商品名:TF4425)を介して積層した。得られた積層体と上記の電解液とを、アルミニウムをクラッドしたSUS316L製2032コインセルに収容し、封止して、コイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<実施例32>
電解液のLiPFの濃度を1.5Mとし、LiTFSIの濃度を1.5Mとしたこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<実施例33>
電解液にさらに、LiBFを濃度が0.4Mとなるように溶解したこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<実施例34>
電解液のLiPFの濃度を1.5Mとし、LiTFSIの濃度を1.5Mとしたこと、さらに、LiBFを濃度が0.5Mとなるように溶解したこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<実施例35>
電解液の非水溶媒として、EMCを90体積%、PCを10体積%の割合で含む混合溶媒を用いたこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<実施例36>
電解液の非水溶媒として、EMCを90体積%、PCを10体積%の割合で含む混合溶媒を用い、LiPFの濃度を1.5Mとし、LiTFSIの濃度を1.5Mとしたこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<実施例37>
電解液の非水溶媒として、EMCを90体積%、PCを10体積%の割合で含む混合溶媒を用い、さらに、LiBFを濃度が0.4Mとなるように溶解したこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<実施例38>
電解液の非水溶媒として、EMCを90体積%、PCを10体積%の割合で含む混合溶媒を用い、LiPFの濃度を1.5Mとし、LiTFSIの濃度を1.5Mとしたこと、さらに、LiBFを濃度が0.5Mとなるように溶解したこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<比較例31>
電解液にLiTFSIを用いずに、LiPFの濃度を3.5Mとしたこと、さらに、LiBFを濃度が0.5Mとなるように溶解したこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<比較例32>
電解液の非水溶媒として、EMCを90体積%、PCを10体積%の割合で含む混合溶媒を用い、電解液にLiTFSIを用いずに、LiPFの濃度を3.5Mとしたこと、さらに、LiBFを濃度が0.5Mとなるように溶解したこと以外は、実施例31と同様にしてコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製した。
<評価>
コイン型デュアルイオン蓄電デバイスを、25℃の恒温槽中で0.3Cの電流値で3.5VまでCC充電した。この後、CVモードに切り替え、30分間充電を続けた。次いで、2.0Vまで0.3Cの電流値で放電を行った。この操作をさらに2回行った。次いで、電流値を1Cに変更して同様の操作を行い、1C放電時に得られた放電容量を初期容量とした。
低温容量維持率の測定は、充電を25℃の恒温槽中で1Cの電流値で3.5VまでCC充電した。この後、CVモードに切り替え、30分間充電を続けた。恒温槽の温度を−30℃に切り替え、−30℃に到達後2時間保持してから、1Cで2.0Vまで放電した。−30での低温容量維持率は、下記の式を用いて算出した。
(−30℃での放電容量/25℃での放電容量)×100 (%)
結果を表3に示す。電解質がLiTFSIとLiPFとを含む実施例31〜38のコイン型デュアルイオン蓄電デバイスは、電解質がLiTFSIを含まない比較例31、32のコイン型デュアルイオン蓄電デバイスと比較して、−30℃の低温容量維持率が高くなった。特に、さらにLiBFを含む実施例33、34、37、38は、低温容量維持率が高くなった。
Figure 2020187825
<比較例33>
正極は活物質層の厚みを60μm、負極は活物質層の厚みを40μmとした以外は実施例31と同様にコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製し、低温特性の評価を行った。
結果を表3に併せて記す。実施例31と比較例33を比べた結果、実施例31は両電極を薄くすることで比較例33よりも−30℃の低温容量維持率が高くなり、両電極を薄膜化することが有効であることが確認された。
<比較例34>
正極はCNTを用いずアセチレンブラックを3.0質量%、負極はCNTを用いずアセチレンブラックを3.0質量%とした以外は実施例31と同様にコイン型デュアルイオン蓄電デバイスを作製し、低温特性の評価を行った。
結果を表3に併せて記す。実施例31と比較例34を比べた結果、実施例31はCNTを電極に添加することで比較例34よりも−30℃の低温容量維持率が高くなり、CNTの添加が有効であることが確認された。

Claims (13)

  1. 非水溶媒及び前記非水溶媒に溶解された電解質を含む電解液と、正極集電体及び前記正極集電体の表面に形成された正極活物質層を有し、前記正極活物質層は前記電解質のアニオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、負極集電体及び前記負極集電体の表面に形成された負極活物質層を有し、前記負極活物質層は前記電解質のカチオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極とを備えるデュアルイオン蓄電デバイスであって、
    前記正極活物質は黒鉛であり、
    前記負極活物質は一般式LiTi12で示されるチタン酸リチウムであって、
    温度25℃の環境下で、1Cの定電流で充電したときの前記黒鉛1g当たりの充電容量と充電電圧の関係を示す充電曲線は、前記黒鉛1g当たりの充電容量が40mAhg−1以上であって、前記充電電圧が3.25〜3.39Vの間に変曲点を有することを特徴とするデュアルイオン蓄電デバイス。
  2. デュアルイオン蓄電デバイスの充電電圧の上限が3.5Vであることを特徴とする請求項1に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  3. 前記黒鉛の(002)面の面間隔が、3.360nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  4. 前記電解質のアニオンが、PF 、BF 、TFSI、FSIから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  5. 前記電解質のカチオンが、Liを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  6. 前記非水溶媒が、鎖状カーボネートを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  7. 前記非水溶媒が、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  8. 前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方が、カーボンナノチューブ、炭素繊維、気相法炭素繊維、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック類から選ばれる少なくとも1種の導電助剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  9. 前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方が、カーボンナノチューブとカーボンブラック類とを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  10. 前記カーボンブラック類が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項8または9に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  11. 前記電解質は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドからなる群より選択される少なくとも1種のリチウムイミド塩と、六フッ化リン酸リチウムとを含み、
    前記正極集電体は、X線光電子分光法により測定されたX線光電子分光スペクトルにおいて、74.8eV以上76.7eVの範囲内に最大ピーク値を有するピークが検出されるアルミニウム箔である含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  12. 前記六フッ化リン酸リチウム1モルに対して、前記リチウムイミド塩を0.5モル以上10モル以下の範囲内で含む請求項11に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
  13. 前記電解質が、さらに、六フッ化リン酸リチウム1モルに対して、四フッ化ホウ酸リチウムを0.05モル以上10モル以下の範囲内で含む請求項11または12に記載のデュアルイオン蓄電デバイス。
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