JP2020187154A - 光学ローパスフィルタおよび撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】3層の光学異方性素子により構成された光学ローパスフィルタにより、縦、横および斜め2方向において均等に偽色やモアレの発生を低減する。【解決手段】光学ローパスフィルタ6は、光入射側から光出射側に順に配置され、それぞれ入射した光線を常光線と異常光線に分離する第1、第2および第3の光学異方性素子1,2,3を有する。第1、第2および第3の光学異方性素子の光学面に直交する方向視において、第1の光学異方性素子にて入射光線から第1の異常光線が分離し、さらに第2の光学異方性素子にて第1の異常光線から屈曲するように第2の異常光線が分離する際の屈曲角をθ1とし、その後、第3の光学異方性素子にて第2の異常光線から屈曲するように第3の異常光線が分離する際の屈曲角をθ2とするとき、129°≦θ1≦131°および129°≦θ2≦131°なる条件を満足する。【選択図】図2
Description
本発明は、 撮像装置に好適な光学ローパスフィルタに関する。
CCDセンサやCMOSセンサ等の撮影素子を使用する撮像装置には、撮像画像において偽色やモアレの発生を抑えるために光学ローパスフィルタが用いられる。光学ローパスフィルタは、光により形成される点像の分布を制御することでナイキスト周波数以上の高周波の画像情報を制限する。
特許文献1には、光線を撮像素子の横方向に分離する複屈折光学素子と縦方向に分離する複屈折光学素子とを用いて、1本の入射光線を4本に分離する光学ローパスフィルタが開示されている。
一方、特許文献2には、それぞれ光線を分離する3層の複屈折光学素子の光線分離方向をそれぞれ、46°、48°、52°とした光学ローパスフィルタが開示されている。この光学ローパスフィルタでは、分離された8本の光線により形成される8つの点像の配置が縦横方向のそれぞれに対して45°となる方向の軸を基準として対称となるようにすることで、縦横方向において対称なMTFの実現を図っている。
特許文献1にて開示された光学ローパスフィルタでは、縦および横方向のカットオフ空間周波数に対して45°方向(斜め方向)のカットオフ空間周波数は√2倍となっている。しかしながら、斜め方向のモアレは偽色となって現れるために、より低い周波数でカットすることが望ましい。一方、縦および横方向のモアレは解像としてとらえることができるので、なるべくカットオフ空間周波数を高くすることが望ましい。また、斜め方向のMTFは緩やかな折り返しとなっているが、縦および横方向のMTFは急峻な折り返しとなるため、好ましくない。
また特許文献2にて開示された光学ローパスフィルタでは、縦方向と横方向のカットオフ空間周波数が互いに同一である。しかしながら、斜め方向ではローパス効果が異なり、強い色モアレが発生するおそがある。
本発明は、各方向において偽色やモアレの発生を低減できるようにした光学ローパスフィルタを提供する。
本発明の一側面としての光学ローパスフィルタは、光入射側から光出射側に順に配置され、それぞれ入射した光線を常光線と異常光線に分離する第1、第2および第3の光学異方性素子を有する。第1、第2および第3の光学異方性素子の光学面に直交する方向視において、第1の光学異方性素子にて入射光線から第1の異常光線が分離し、さらに第2の光学異方性素子にて第1の異常光線から屈曲するように第2の異常光線が分離する際の屈曲角をθ1とし、その後、第3の光学異方性素子にて第2の異常光線から屈曲するように第3の異常光線が分離する際の屈曲角をθ2とするとき、
129°≦θ1≦131°
129°≦θ2≦131°
なる条件を満足することを特徴とする。
129°≦θ1≦131°
129°≦θ2≦131°
なる条件を満足することを特徴とする。
本発明によれば、3層の光学異方性素子により構成され、各方向において均等に偽色やモアレの発生を低減することが可能な光学ローパスフィルタを実現することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例である光学ローパスフィルタ6を備えた撮像装置としてのデジタルカメラ100の構成を示す。不図示の被写体から撮像光学系5に入射した撮像光は、光学ローパスフィルタ6を通過して撮像素子7に到達する。撮像素子7は、光学ローパスフィルタ6を通過した撮像光により形成される光学像を光電変換(撮像)する。光学ローパスフィルタ6は、撮像光に対して、該撮像光により形成される点像の分布を制御することでナイキスト周波数以上の高周波の光学像情報を制限するローパス効果を付与する。
図2は、光学ローパスフィルタ6の構成を示す。光学ローパスフィルタ6は、物体側(被写体側または光入射側)から像側(撮像素子側または光出射側)に順に、第1の複屈折光学素子(第1の光学異方性素子)1と第2の複屈折光学素子(第2の光学異方性素子)2と第3の複屈折光学素子(第3の光学異方性素子)3とが積層された構成を有する。第1〜第3の複屈折光学素子1〜3はそれぞれその複屈折性により入射した光線を分離する。本実施例では、これら第1〜第3の複屈折光学素子1〜3の組み合せによって光学ローパス特性を実現する。
第1〜第3の複屈折光学素子1〜3はそれぞれ、長辺と短辺を有する長方形(ただし、複屈折光学素子の表裏と向きが分かるように一部が切り欠かれる場合がある)の平行平板として形成されている。図2に示すように、各複屈折光学素子の長辺(つまりは図1に示した撮像素子7の長辺)が延びる第1の方向(横方向)をx軸方向とし、短辺が延びる第2の方向(縦方向)をy軸方向とする。撮像素子7においてx軸方向およびy軸方向は画素配列方向であり、これらは各複屈折光学素子の長辺が延びる方向および短辺が延びる方向に一致する。各複屈折光学素子において、x軸およびy軸方向に平行なxy面を素子面(光学面)という。素子面および撮像素子7の撮像面に直交する方向を光軸方向という。なお、図2に示されている第1および第2の複屈折光学素子1,2のそれぞれの光軸方向での厚さは、実際は数100μm程度である。
図3(a),(b)は、各複屈折光学素子(1,2)の光学軸の方位を示している。各複屈折光学素子は、一軸性結晶である水晶やニオブ酸リチウムにより構成されている。図3(a)に示すように各複屈折光学素子を光軸方向から見ると、一軸性結晶の光学軸(両太矢印で示す)はx軸方向に対してφ=0°(y軸方向に対して−90°)の方位を向いている。また、図3(b)に示すように各複屈折光学素子をy軸方向から見ると、一軸性結晶の光学軸は光軸方向に対して角度Ψだけ(素子面に対して90°−Ψだけ)傾いている。以下の説明において、角度Ψを傾斜角という。傾斜角Ψは、一般には45°±20°の範囲に設定される。
このように光学軸が素子面に対して傾いた平行平板としての複屈折光学素子に入射した光線は、図3(c),(d)に示すように、常光線と異常光線の2つの光線に分離される。具体的には、図3(c)に示すように、光軸方向から複屈折光学素子に入射した光線8は、複屈折光学素子をまっすぐ透過する常光線9と、斜めに透過する異常光線10とに分離する。常光線9と異常光線10とが分離する方向(図3(c)ではx軸方向)を光線分離方向という。
常光線9は光線分離方向に直交する方向に電場が振動する偏光であり、異常光線10は光線分離方向と平行な方向に電場が振動する偏光である。すなわち、常光線9と異常光線10は、偏光方向が互いに直交する直線偏光である。常光線9と異常光線10の光線分離方向での分離幅(以下、光線分離幅という)は、複屈折光学素子の材料固有の屈折率異方性の大きさΔnと、光学軸の傾斜角Ψおよび複屈折光学素子(平行平板)の厚みdとから一意に決まる。逆に、同じ分離幅に対して、傾きとΨと厚さdの組み合わせは無数にある。
後述する具体的な実施例1〜3では、複屈折光学素子を点像の分離幅a,bと分離方向Φとで表す。
図22(a)〜(c)を用いて、一般的な2層の複屈折光学素子による光線分離について説明する。図22(a)〜(c)中の〇は光軸方向から見た光線を示している。また、実線の両矢印の向きと長さはそれぞれ、分離後の光線の偏光方向と強度を示している。
図22(a)に示すように第1の複屈折光学素子に入射した光線401は、図22(b)に示すように該入射光線401と同じ位置の常光線401′とこれに対して第1の複屈折光学素子の光線分離方向である0°方向(図中の右方向)にずれる異常光線402とに分離される。入射光線401が無偏光の光線であると、分離後の常光線401′と異常光線402の強度は互いに等しく、それぞれ入射光線401の1/2の強度を有する。
次に図22(c)に示すように光線401′と光線402が第2の複屈折光学素子に入射すると、光線401′は常光線401″とこれに対して第2の複屈折光学素子の光線分離方向である45°方向(図中の右上方向)にずれる異常光線403とに分離される。また、光線402は、常光線402′とこれに対して同じく45°方向にずれる異常光線404とに分離される。こうして、入射光線401が4本の光線401″,402′,403,404に分離される。分離後の401″,402′,403,404の強度は互いに等しく、それぞれ入射光線401の1/4の強度を有する。
一方、本実施例では、各複屈折光学素子の光線分離方向が45°方向とは異なるため、分離後の光線の強度が互いに異なる。ここでは、各複屈折光学素子の光線分離方向が30°方向である場合について、図4(a)〜(c)を用いて説明する。図4(a)〜(c)においても、〇は光軸方向から見た光線を示し、実線の両矢印の向きと長さはそれぞれ分離後の光線の偏光方向と強度を示している。
図4(a)に示すように第1の複屈折光学素子に入射した光線501は、図4(b)に示すように該入射光線501と同じ位置の常光線501′とこれに対して第1の複屈折光学素子の光線分離方向である0°方向(図中の右方向)にずれる異常光線(第1の異常光線)502とに分離される。入射光線501が無偏光の光線であると、分離後の常光線501′と異常光線502の強度は互いに等しく、それぞれ入射光線501の1/2の強度を有する。
次に図4(c)に示すように光線501′と光線502が第2の複屈折光学素子に入射すると、光線501′は常光線501″とこれに対して第2の複屈折光学素子の光線分離方向である30°方向(図中の右上方向)にずれる異常光線503とに分離される。この際、光線501′の偏光方向に対して第2の複屈折光学素子の光線分離方向が60°傾いているために、分離後の常光線501″と異常光線503の強度が互いに異なる。分離前の常光線501′をベクトル(破線の両矢印)で表すとき、該ベクトルを光線分離方向において2つの直交線分に分離することになる。すなわち、常光線501″と異常光線503は、sin60°(=√3/2):cos60°(=1/2)の振幅比で分離され、該振幅比の2乗である3/4:1/4の強度比で分離される。
一方、図4(b)に示した光線502は、図4(c)に示すように第2の複屈折光学素子により常光線502′とこれに対して30°方向にずれた異常光線(第2の異常光線)504とに分離される。この際、光線502の偏光方向に対して第2の複屈折光学素子の光線分離方向が30°傾いているために、分離後の常光線502′と異常光線504の強度が互いに異なる。分離前の光線502をベクトル(破線の両矢印)で表すとき、該ベクトルを光線分離方向において2つの直交線分に分離することになる。すなわち、常光線502′と異常光線504は、sin30°(=1/2):cos30°(=√3/2)の振幅比で分離され、該振幅比の2乗である1/4:3/4の強度比で分離される。
このように斜方形の頂点に位置するように分離された後の4本の光線501″,503,502′,504のうち、斜方形の対角線が長い方の対角頂点に位置する光線501″と光線504は入射光線501の強度に対して3/8の強度を有する。また、対角線が短い方の対角頂点に位置する光線503と光線502′は入射光線501の強度に対して1/8の強度を有する。
本実施例では、第1および第2の複屈折光学素子の配置を、図4(d)に示すように角度θeを用いて定義する。角度θeは、光軸方向視(素子面に直交する方向視)において、第1の光学異方性素子にて入射光線から第1の異常光線が分離し、さらに第2の光学異方性素子にて第1の異常光線から屈曲するように第2の異常光線が分離する際の屈曲角である。言い換えれば、光軸方向視において第1および第2の複屈折光学素子により異常光線が分離されていく分離経路の屈曲角である。
図4(d)において、第1の複屈折光学素子への入射光線501の一部が、該第1の複屈折光学素子によりその光線分離方向である0°方向に異常光線502に分離される。さらに、該光線502は、第2の複屈折光学素子によりその光線分離方向である30°方向に異常光線504に分離される。この分離経路の屈曲角はθe=120°である。なお、屈曲角θeは0°≦θe≦180°の範囲で表現する。このような定義は、同じ点像の配置でも、分離経路が異なると分離後の光線の強度が異なるために必要である。
図4(e)〜(h)は、第1および第2の複屈折光学素子による分離後の光線の位置は図4(c)と同じであるが、分離経路および屈曲角θeが図4(d)とは異なる場合を示す。図4(h)に示すθeは30°である。
図4(e)に示すように第1の複屈折光学素子に入射した光線601は、図4(f)に示すように入射光線601と同じ位置の常光線601′とこれに対して第1の複屈折光学素子の光線分離方向である180°方向(図中の左方向)にずれる異常光線602とに分離される。入射光線601が無偏光の光線であると、分離後の常光線601′と異常光線602の強度は互いに等しく、それぞれ入射光線601の1/2の強度を有する。
次に図4(g)に示すように光線601′と光線602が第2の複屈折光学素子に入射すると、光線601′は常光線601″とこれに対して第2の複屈折光学素子の光線分離方向である30°方向(図中の右上方向)にずれる異常光線603とに分離される。このとき図4(c)と同様に、常光線601″と異常光線603は3/4:1/4の強度比で分離される。
一方、図4(f)に示した光線602は、図4(g)に示すように第2の複屈折光学素子により常光線602′とこれに対して30°方向にずれた異常光線604とに分離される。このとき図4(c)と同様に、常光線602′と異常光線604は1/4:3/4の強度比で分離される。
このように斜方形の頂点を形成するように分離された後の4本の光線601″,603,602′,604のうち、斜方形の対角線が短い方の対角頂点に位置する光線601″と光線604は入射光線601の強度に対して3/8の強度を有する。また、対角線が長い方の対角頂点に位置する光線603と光線602′は1/8の強度を有する。
このように、上述した屈曲角θeが異なることにより、分離後の4本の光線の位置が同じであっても強度の関係が異なる。このため、分離後の4本の光線に対して所望の強度関係(強度分布)を得るためには、屈曲角θeを適切に設定する必要がある。第2および第3の複屈折光学素子の配置についても同様である。
本実施例では、光軸方向視において、第1の複屈折光学素子にて入射光線から第1の異常光線が分離し、さらに第2の光学異方性素子にて第1の異常光線から屈曲するように第2の異常光線が分離する際の屈曲角θeをθ1とする。また、その後、第3の複屈折光学素子にて第2の異常光線から屈曲するように第3の異常光線が分離する際の屈曲角θeをθ2とする。このとき、
129°≦θ1≦131° (1)
129°≦θ2≦131° (2)
なる条件を満足することが望ましい。また、第1および第3の複屈折光学素子における光線分離幅aは互いに等しく、かつ第2の複屈折光学素子における光線分離幅bと異なることが望ましい。さらにθ1=θ2であることが望ましいが、θ1≠θ2であってもよい。
129°≦θ1≦131° (1)
129°≦θ2≦131° (2)
なる条件を満足することが望ましい。また、第1および第3の複屈折光学素子における光線分離幅aは互いに等しく、かつ第2の複屈折光学素子における光線分離幅bと異なることが望ましい。さらにθ1=θ2であることが望ましいが、θ1≠θ2であってもよい。
また、第2の複屈折光学素子における光線分離方向が、撮像素子7における互いに直交する2つの画素配列方向である横方向と縦方向のうちいずれか一方と平行であることが望ましい。これにより、後述する撮像面位相差AFを良好に行うことができる。
図5(a),(b),(c)はそれぞれ、実施例1である光学ローパスフィルタにおける第1、第2および第3の複屈折光学素子1,2,3での光線分離方向を光軸方向から見て示している。これらの図において、●は各複屈折光学素子に入射した光線(および常光線)を示し、○は分離した異常光線を示す。
図5(a)に示すように、第1の複屈折光学素子1に入射した光線701からは第1の異常光線702がx軸方向に対して50°の方向に分離する。また図5(b)に示すように、第2の複屈折光学素子2に入射した光線703からは第2の異常光線704がx軸方向に対して0°の方向に分離する。さらに図5(c)に示すように、第3の複屈折光学素子3に入射した光線705からは第3の異常光線706がx軸方向に対して−50°の方向に分離する。第1および第3の複屈折光学素子1,3の光線分離幅はともにaであり、第2の複屈折光学素子2の光線分離幅はbである。
図6(a)〜(c)は、本実施例の光学ローパスフィルタにおける第1、第2および第3の複屈折光学素子1,2,3による異常光線の分離経路を光軸方向から見て示している。表1は、実施例1に対応する数値例1を示す。
図6(a)に示すように第1の複屈折光学素子1に入射した光線は常光線801と第1の異常光線802に分離され、さらに図6(b)に示すように第2の複屈折光学素子2に入射した第1の異常光線802は常光線802′と第2の異常光線803に分離される。第1の異常光線802から第2の異常光線803への分離経路における屈曲角θ1は130°である。その後、図6(c)に示すように、第3の複屈折光学素子3に入射した第2の異常光線803は、常光線803′と第3の異常光線804に分離される。第2の異常光線802から第3の異常光線803への分離経路における屈曲角θ2は130°である。
一方、第1の複屈折光学素子1を通過した常光線801から第2の複屈折光学素子2により異常光線805が分離し、さらにこの異常光線805から第3の複屈折光学素子3により異常光線806が分離する。また第1および第2の複屈折光学素子2を通過した常光線801から第3の複屈折光学素子3により異常光線807が分離し、第2の複屈折光学素子2を通過した常光線802′から第3の複屈折光学素子3により異常光線808が分離する。こうして図6(c)に示すように、第1の複屈折光学素子1への入射光線が、第2および第3の複屈折光学素子2,3を通過することで、x軸方向に延びる2辺を有する六角形の頂点に位置する6本の光線(6つの点像)と該六角形の内側に位置する2本の光線(2つの点像)に分離される。
図7は、数値例1の光学ローパスフィルタにより分離された8本の光線により形成される8つの点像の配置と強度を示している。図7中の点像の大きさ(面積)は、その点像の強度を示している。すなわち、点像の大きさが大きいほどその強度が高いことを示す。8つの点像の強度は、それぞれを形成する光線の偏光方向と分離角度で決まる。本実施例では、中段内側の2つの点像の強度が最も高く、上下段の4つの点像の強度がやや低く、中段左右の2つの点像の強度が最も低くなっている。
6つの点像が頂点に位置する六角形は、正六角形に比べて、x軸方向よりy軸方向において短く、横に広がった形状を有する。しかし、中段左右の2つの点像に比べて上下段の4つの点像の強度が高い。x軸方向では分離の距離があるが、分離する強度は低く、y軸方向では分離の距離が近いが、分離する強度が強い。このように距離と強度が相殺されることでx軸方向とy軸方向におけるローパスフィルタ効果の強度バランスをとっている。
図8は、図7に示した8つの点像の2次元MTFを示す。横軸および縦軸は、撮像素子7のナイキスト周波数によって規格化されたMTFを示す。等高線は、MTF0.2の間隔で示されている。
図8の中心部においてMTF0.8を示す等高線がほぼ円になっており、低い空間周波数の領域ではy軸方向とx軸方向とでローパスフィルタ効果の強度が互いに等しくなっている。また、x軸方向、y軸方向および±45°方向の全ての方向でカットオフ空間周波数が存在しており、このカットオフ空間周波数はナイキスト周波数の1.4倍から1.8倍程度の周波数である。
y軸方向とx軸方向とでローパスフィルタ効果の強度差を小さくするためには、MTFを確認しながら第1および第3の複屈折光学素子の光線分離幅aに対する第2の複屈折光学素子の光線分離幅bの比を調整すればよい。しかし、いちいちMTFを計算しなくても、x軸方向とy軸方向のそれぞれにおける複数の点像の標準偏差σx,σyを比べればよいことを発明者は経験的に知っている。強度による重み付けをして求めた点像のx軸方向とy軸方向での標準偏差σx,σyがσx=σyとなるように光線分離幅a,bの比を調整することで、x軸方向とy軸方向でのローパスフィルタ効果の強度差を小さくすることができる。
σxとσyが互いに異なる場合でも、σx/σyが下記の式(3)の条件を満足するとよい。
1/1.2(=0.83)≦σx/σy≦1.2 (3)
式(3)の条件を満足することで、低周波数域におけるx軸方向とy軸方向のMTFの差を許容範囲に抑えつつ、σxとσyを高周波数域でのMTFの調整に用いることができる。よりx軸方向とy軸方向でのローパスフィルタ効果の強度差を小さくするためには、
1/1.05(=0.95)≦σx/σy≦1.05 (3)′
なる条件を満足するとよい。
式(3)の条件を満足することで、低周波数域におけるx軸方向とy軸方向のMTFの差を許容範囲に抑えつつ、σxとσyを高周波数域でのMTFの調整に用いることができる。よりx軸方向とy軸方向でのローパスフィルタ効果の強度差を小さくするためには、
1/1.05(=0.95)≦σx/σy≦1.05 (3)′
なる条件を満足するとよい。
表1に、数値例1における標準偏差σx,σyとその比σx/σyを示している。
図9(a)は図7に示した2次元MTFのうちx軸方向とy軸方向のMTFを示し、図9(b)は2つの斜め方向としての+45°方向および−45°方向のMTFを示す。縦軸はMTFを示し、横軸は空間周波数をナイキスト周波数に対する倍率で示している。
図9(a)に示すように、x軸方向とy軸方向のMTFは、低周波数域では互いに一致している。ナイキスト周波数の0.5倍以上の空間周波数においては互いにずれているが、MTFの差は10%以下であり、問題はない。図9(b)に示すように、±45°方向のMTFは互いに等しい。
さらに、x軸方向、y軸方向および±45°方向のMTFカーブは、互いに概ね等しい形状を有し、かつそれぞれ理想的な形状を有する。MTF0%ですぐに折り返すMTFカーブでは、カットオフ空間周波数領域が狭く、モアレや偽色が発生しやすい。これに対して本実施例では、x軸方向のMTFはナイキスト周波数の1.4倍から2.0倍の空間周波数帯域で10%以下であり、y軸方向のMTFはナイキスト周波数の1.2倍から1.6倍の空間周波数帯域で10%以下である。また±45°方向のMTでは、ナイキスト周波数の1.2倍から1.9倍の空間周波数帯域で10%以下である。このように、本実施例の光学ローパスフィルタは、x軸方向、y軸方向および±45°方向において広いカットオフ空間周波数領域を有しており、良好なローパスフィルタ性能を有する。
最近のデジタルカメラには、撮像面位相差検出方式でのAF(オートフォーカス)を行うものがある。この撮像面位相差AFでは、被写体像を撮像する撮像素子に撮像光学系の射出瞳を分割して対の信号を出力する位相差検出用の複数の画素を設け、該対の信号の位相差から算出したデフォーカス量に応じて撮像光学系のフォーカシングを行う。撮像面位相差AFでは、射出瞳の分割方向(位相差検出方向)でのローパスフィルタ効果が高いことが重要である。
ピントを合わせたい被写体に撮像素子のナイキスト周波数より高い空間周波数の繰り返しパターンが存在する場合には、モアレが発生する。この際、分割された別々の瞳領域を通過した光線により形成されるモアレの強弱は必ずしも同位置で発生するとは限らない。そして、たまたま発生したモアレの強弱パターンの左右差を、デフォーカスと誤検出するおそれがある。このため、撮像面位相差AFの位相差検出方向において高いローパスフィルタ効果を与えることでモアレを抑制することが必要である。
ナイキスト周波数付近の高い周波数の信号を除去するために画像処理としてのローパスフィルタ処理を行うことも可能である。しかし、このローパスフィルタ処理は、ナイキスト周波数の1.0倍から1.4倍程度の周波数の信号のみを除去することができるにすぎず、ナイキスト周波数の0.6倍から1.0倍の周波数の信号を消してしまう。ナイキスト周波数の1.6倍から2.0倍の周波数の信号が折り返って発生するモアレは、ナイキスト周波数の0倍から0.4倍の低周波数の信号であり、画像処理ではこの信号を区別することができない。このため、光学ローパスフィルタによってナイキスト周波数の1.6倍から2.0倍の周波数の信号を消すことが不可欠である。
本実施例の光学ローパスフィルタは、x軸方向においてナイキスト周波数の1.4倍から2.0倍の周波数にて10%以下のMTFが得られるため、撮像面位相差AFにおいてx軸方向を位相差検出方向とするカメラに対して最適な性能を有する。
以上の撮像面位相差AFにおけるメリットは、特に1000万画素を超える画素数の撮像素子を用いたデジタルカメラにおいて得られる。すなわち、カラーフィルタがベイヤー配列で設けられている撮像素子における互いに直交する画素配列方向での画素ピッチp[μm]が、
1.0≦p≦7.0 (4)
なる条件を満足するデジタルカメラにおいて得られる。画素ピッチが式(4)の上限値より大きい場合は、撮像素子の画素数が少なく、また相対的に撮像光学系の性能が高いので、光学ローパスフィルタの意味合いが式(4)を満足する場合とは異なるものとなる。もともと高解像度を必要としない場合や動画撮像のように画素数のフォーマットが決まっている場合は、ローパスフィルタ効果を強くしてモアレや偽色の発生を極力抑えることが求められるためである。一方、画素ピッチが式(4)の下限値を下回る場合は、撮像光学系の解像力が足りないために本実施例のような光学ローパスフィルタを必要としない。数値例1では、画素ピッチpを5μmとしている。
1.0≦p≦7.0 (4)
なる条件を満足するデジタルカメラにおいて得られる。画素ピッチが式(4)の上限値より大きい場合は、撮像素子の画素数が少なく、また相対的に撮像光学系の性能が高いので、光学ローパスフィルタの意味合いが式(4)を満足する場合とは異なるものとなる。もともと高解像度を必要としない場合や動画撮像のように画素数のフォーマットが決まっている場合は、ローパスフィルタ効果を強くしてモアレや偽色の発生を極力抑えることが求められるためである。一方、画素ピッチが式(4)の下限値を下回る場合は、撮像光学系の解像力が足りないために本実施例のような光学ローパスフィルタを必要としない。数値例1では、画素ピッチpを5μmとしている。
また、上述した1000万画素超の撮像素子に対して、ローパスフィルタ効果の強度を以下の式(5)に示した範囲で調整することが望ましい。本実施例では屈折角θ1,θ2を狭い範囲に限定しているため、ローパスフィルタ効果の強度は撮像素子の画素ピッチPに対する光線分離幅の比で決定される。y軸方向でのローパスフィルタ効果の強度は、光線分離幅aのみで決まる。一方、x軸方向では、ローパスフィルタ効果の強度は光線分離幅bに依存するが、x軸方向とy軸方向でのローパスフィルタ効果の強度を均等にするために、bはaに依存する。このため、ローパスフィルタ効果の強度はaと比例関係が成り立つ。このため、第1および第3の光学異方性素子1,3の光線分離幅をa[μm]とするとき、
0.8≦p/a≦1.4 (5)
なる条件を満足することが好ましい。この場合、光線分離幅aは3.57[μm]から6.25[μm]の範囲で調整することが好ましい。このため、画素ピッチpが3[μm]から6[μm]程度の撮像素子を用いることが好ましい。光線分離幅aを大きくするほど、ローパスフィルタ効果は強くなり、より低周期数域からMTFを低減することができる。一方、光線分離幅aを小さくするほど、ローパスフィルタ効果が弱くなり、より高周波数域までMTFが残る。
0.8≦p/a≦1.4 (5)
なる条件を満足することが好ましい。この場合、光線分離幅aは3.57[μm]から6.25[μm]の範囲で調整することが好ましい。このため、画素ピッチpが3[μm]から6[μm]程度の撮像素子を用いることが好ましい。光線分離幅aを大きくするほど、ローパスフィルタ効果は強くなり、より低周期数域からMTFを低減することができる。一方、光線分離幅aを小さくするほど、ローパスフィルタ効果が弱くなり、より高周波数域までMTFが残る。
式(5)の下限値を下回るような画素ピッチが小さな撮像素子を用いる場合には、撮像光学系自体のMTFが不足するため、光学ローパスフィルタ自体が不要となる。一方、式(5)の上限値を超えるような画素ピッチが大きな撮像素子を用いる場合には、モアレを解像感として視認することができず、単なる弊害と感じられるおそれがある。この場合は、本実施例および後述する他の実施例により得られるローパスフィルタ効果よりも強いローパスフィルタ効果が必要となる。
図5(a),(c)および図6(a),(c)に示した第1および第3の複屈折光学素子1,2は、y軸回りで表裏を反転した同一の複屈折光学素子であり、表裏を分かり易くするために長方形の四隅のうち一箇所に斜めの切欠きが設けられた形状を有する。これにより、互いに異なる2種類の複屈折光学素子を用いる必要がない。一方、図5(b)および図6(b)に示した第2の複屈折光学素子2は、y軸回りで表裏を反転してもx軸方向に光線を分離する作用は変わらない。このため、第2の複屈折光学素子2の上側の2つの隅にy軸方向に延びる軸に関して対称に切欠きを設けて、第2の複屈折光学素子2が図5(b)からx軸回りで回転した状態で第1および第3の複屈折光学素子1,3と組み合わせられることを防止している。
そして、第1、第2および第3の複屈折光学素子1,2,3を組み合わせた光学ローパスフィルタはy軸回りで表裏を反転させてもそのローパスフィルタ効果は変わらないため、表側と裏側のいずれが撮像素子を向くようにカメラに組み付けてもよい。
次に、実施例2の光学ローパスフィルタについて説明する。表1は、本実施例に対応する数値例2を示している。実施例2(数値例2)の光学ローパスフィルタは、実施例1の光学ローパスフィルタと光線分離幅aを同じとし、光線分離幅bを異ならせ、さらに分離経路の屈曲角θ1,θ2を異ならせたものである。また本実施例でも、実施例1と同様に、撮像素子の画素ピッチpを5μmとしている。
本実施例でも、実施例1と同様に、光学ローパスフィルタへの入射光線は第1〜第3の複屈折光学素子により8本の光線に分離される。これら8本の光線により形成される8つの点像を図10に示す。
図10において、第1の複屈折光学素子に図中の中段左側の位置にて入射した入射光線から異常光線(第1の異常光線)が上段左側の位置に分離される。さらに、この異常光線から第2の複屈折光学素子により異常光線(第2の異常光線)が上段右側の位置に分離される。その後、この異常光線から第3の複屈折光学素子により異常光線(第3の異常光線)が中段右側の点に分離する。本実施例における異常光線の分離経路の屈曲角θ1,θ2はともに131°である。
一方、第1の複屈折光学素子を通過した常光線から第2の複屈折光学素子により異常光線が中段における左から2番目の位置に分離する。さらにこの異常光線から第3の複屈折光学素子により異常光線が下段右側の位置に分離する。また第1および第2の複屈折光学素子2を通過した常光線から第3の複屈折光学素子3により異常光線が下段左側の位置に分離し、第2の複屈折光学素子2を通過した常光線から第3の複屈折光学素子3により異常光線が中段の右から2番目の位置に分離する。こうして図10に示すように、第1の複屈折光学素子1への入射光線が、第2および第3の複屈折光学素子を通過することで、x軸方向に延びる2辺を有する六角形の頂点に位置する6本の光線(6つの点像)と該六角形の内側に位置する2本の光線(2つの点像)に分離される。
本実施例における8つの点像の強度は、実施例1と同様に、中段内側の2つの点像の強度が最も高く、上下段の4つの点像の強度がやや低く、中段左右の2つの点像の強度が最も低くなっている。
また表1に示すように、本実施例における点像のx軸方向とy軸方向の標準偏差σx,σyは、σx=σyと等しく、実施例1と同様に光線分離幅と強度分布が逆になる、すなわちx軸方向では分離の距離があるが、分離する強度は低く、y軸方向では分離の距離が近いが分離する強度が強くなることで、x軸方向とy軸方向におけるローパスフィルタ効果の強度バランスをとっている。
図8と同様の図11は、図10に示した8つの点像の2次元MTFを示す。また、図9(a),(b)と同様の図12(a),(b)はそれぞれ、図11に示した2次元MTFのうちx,y軸方向のMTFおよび±45°方向のMTFを示す。図11の中心部においてMTF0.8を示す等高線がほぼ円になっており、低い空間周波数の領域ではy軸方向とx軸方向とでローパスフィルタ効果の強度が互いに等しくなっている。また、x軸方向、y軸方向および±45°方向の全ての方向でカットオフ空間周波数が存在しており、このカットオフ空間周波数はナイキスト周波数の1.2倍から1.7倍程度の周波数である。
±45°方向においては、ナイキスト周波数の1.4倍から1.8倍の周波数において多少の折り返りが存在するが、MTFは20%以下に収まっており、問題はない。一方、x軸方向とy軸方向においては急激な折り返りは存在せず、x軸方向におけるナイキスト周波数の1.3倍から2.0倍の周波数およびy軸方向におけるナイキスト周波数の1.2倍から1.7倍の周波数でMTFが10%以下であり、良好なローパスフィルタ性能を示している。
さらに本実施例の光学ローパスフィルタも、実施例1と同様に撮像面位相差AFに対して好適である。
次に、実施例3の光学ローパスフィルタについて説明する。表1は、本実施例に対応する数値例3を示している。実施例3(数値例3)の光学ローパスフィルタは、実施例1,2の光学ローパスフィルタと光線分離幅aを同じとし、光線分離幅bを異ならせ、さらに分離経路の屈曲角θ1,θ2を異ならせたものである。また本実施例でも、実施例1と同様に、撮像素子の画素ピッチpを5μmとしている。
本実施例でも、実施例1,2と同様に、光学ローパスフィルタへの入射光線は第1、第2および第2の複屈折光学素子により8本の光線に分離される。8本の光線により形成される8つの点像を図13に示す。
光線分離の過程は実施例1,2で説明した通りである。本実施例における異常光線の分離経路の屈曲角θ1,θ2はともに129°である。
本実施例における8つの点像の強度は、実施例1,2と同様に、中段内側の2つの点像の強度が最も高く、上下段の4つの点像の強度がやや低く、中段左右の2つの点像の強度が最も低くなっている。
また表1に示すように、本実施例における点像のx軸方向とy軸方向の標準偏差σx,σyは、σx=σyと等しく、実施例1と同様に光線分離幅と強度分布の大小が逆になることで、x軸方向とy軸方向におけるローパスフィルタ効果の強度バランスをとっている。
図8と同様の図14は、図13に示した8つの点像の2次元MTFを示す。また、図9(a),(b)と同様の図15(a),(b)はそれぞれ、図11に示した2次元MTFのうちx,y軸方向のMTFおよび±45°方向のMTFを示す。図11の中心部においてMTF0.8を示す等高線がほぼ円になっており、低い空間周波数の領域ではy軸方向とx軸方向とでローパスフィルタ効果の強度が互いに等しくなっている。また、x軸方向、y軸方向および±45°方向の全ての方向でカットオフ空間周波数が存在しており、このカットオフ空間周波数はナイキスト周波数の1.4倍から1.8倍程度の周波数である。
±45°方向においては、完全なカットオフにはなっていないが、ナイキスト周波数の1.2倍から1.6倍の周波数でMTFが10%以下になり、色モアレを軽減する効果がある。またx軸方向、y軸方向および±45°方向の全ての方向で折り返りが存在しないため、全体として良好なローパスフィルタ性能を有する。特に、x軸方向において、ナイキスト周波数の1.4倍から2.0倍の周波数でMTFが10%以下であるため、本実施例の光学ローパスフィルタも撮像面位相差AFに対して好適である。
実施例1〜3によれば、3層の複屈折光学素子(光学異方性素子)により構成され、x軸方向、y軸方向および±45°方向において均等に偽色やモアレの発生を低減できる光学ローパスフィルタを実現することができる。
上記実施例1〜3では、複屈折光学素子を光線分離幅を用いて表現したが、一般的には、光学軸の傾斜角Ψを固定し、複屈折光学素子の厚さにより複屈折光学素子を表現することが多い。光学軸の傾斜角Ψとしては、厚さに対する光線分離幅が最大になる45°が用いられることが多い。しかし、本実施例では、以下の式(6)の範囲で45°以外の傾斜角Ψを用いてもよい。
25°≦Ψ≦40° (6)
表2は、傾斜角Ψが45°、40°および35°のときの各実施例における複屈折光学素子の厚さdを示す。傾斜角Ψが40°や35°のときは、45°のときよりも厚さdが大きくなるが、光学軸の傾きが浅くなるために複屈折光学素子を切り出す一軸性結晶材料(バルク)の高さを低くすることができ、低価格のバルクを用いることが可能となる。ただし、傾斜角Ψを浅くするほど必要なバルクの高さは減少するが、光線分離幅が減少するために複屈折光学素子を厚くする必要が生じ、かえってコストが高くなる。このため、傾斜角Ψを式(6)の範囲で設定するのが好ましく、さらには30°以上、40°以下の範囲が望ましい。
(比較例1)
次に、比較例1として、特許文献2に開示された光学ローパスフィルタについて説明する。図16は、特許文献2に開示された光学ローパスフィルタにより分離された光線より形成される点像の配置と強度を示している。この光学ローパスフィルタは、3層の複屈折光学素子を有し、隣り合う2層の複屈折光学素子の光線分離方向の差(分離角)は48°である。
25°≦Ψ≦40° (6)
表2は、傾斜角Ψが45°、40°および35°のときの各実施例における複屈折光学素子の厚さdを示す。傾斜角Ψが40°や35°のときは、45°のときよりも厚さdが大きくなるが、光学軸の傾きが浅くなるために複屈折光学素子を切り出す一軸性結晶材料(バルク)の高さを低くすることができ、低価格のバルクを用いることが可能となる。ただし、傾斜角Ψを浅くするほど必要なバルクの高さは減少するが、光線分離幅が減少するために複屈折光学素子を厚くする必要が生じ、かえってコストが高くなる。このため、傾斜角Ψを式(6)の範囲で設定するのが好ましく、さらには30°以上、40°以下の範囲が望ましい。
(比較例1)
次に、比較例1として、特許文献2に開示された光学ローパスフィルタについて説明する。図16は、特許文献2に開示された光学ローパスフィルタにより分離された光線より形成される点像の配置と強度を示している。この光学ローパスフィルタは、3層の複屈折光学素子を有し、隣り合う2層の複屈折光学素子の光線分離方向の差(分離角)は48°である。
ここでも、撮像素子の画素ピッチpを5[μm]とする。また、実施例との対比のために、特許文献2に開示された8つの点像の全体を回転させてx軸方向およびy軸方向に対称な配置とし、さらに45°方向のMTFが実施例と等しいものとする。これらのことは、後述する比較例2でも同じである。表3は、比較例1の光学ローパスフィルタの諸数値を示す。本比較例では、x軸方向とy軸方向において低周波数でのMTFが互いに等しくなるように、σx=σyとなるよう光線分離幅を調整した。
図16において、入射光線が第1の複屈折光学素子に中段左側の位置にて入射すると、該第1の複屈折光学素子により異常光線が上段左側の位置に分離される。さらにこの異常光線から、第2の複屈折光学素子により異常光線が上段右側の位置に分離される。その後、この異常光線から、第3の複屈折光学素子により異常光線が中段右側の位置に分離される。このときの異常光線の分離経路の屈折角θ1,θ2はともに132°である。他の光線も同様に分離される。こうして、x軸方向に延びる2辺を有する六角形の頂点に位置する6本の光線(6つの点像)と該六角形の内側に位置する2本の光線(2つの点像)に分離される。
図7と同様の図17は、図16に示した8つの点像の2次元MTFを示す。また、図9(a),(b)と同様の図18(a),(b)はそれぞれ、図17に示した2次元MTFのうちx,y軸方向のMTFおよび±45°方向のMTFを示す。この比較例でも、σx=σyとなるように光線分離幅bが調整されているので、x軸方向とy軸方向における低周波数におけるMTFは互いに等しい。
図17に示すように、±45°方向における上下に強い折り返りが存在している。図18(b)でも、±45°方向のMTFに急激な折り返りが発生している。MTFが10%以下である周波数帯域は、ナイキスト周波数の1.1倍から1.3倍程度の周波数とかなり狭い。このため、色モアレを防止できる領域がピンポイントでしか存在しないことになり、好ましくない。
(比較例2)
次に比較例2について説明する。図19は、特許文献2に開示された光学ローパスフィルタにより分離された光線より形成される点像の配置と強度を示している。この光学ローパスフィルタは、3層の複屈折光学素子を有し、隣り合う2層の複屈折光学素子の光線分離方向の差(分離角)は52°である。表3は、比較例2の光学ローパスフィルタの諸数値を示す。本比較例でも、x軸方向とy軸方向において低周波数でのMTFが互いに等しくなるように、σx=σyとなるよう光線分離幅を調整した。
(比較例2)
次に比較例2について説明する。図19は、特許文献2に開示された光学ローパスフィルタにより分離された光線より形成される点像の配置と強度を示している。この光学ローパスフィルタは、3層の複屈折光学素子を有し、隣り合う2層の複屈折光学素子の光線分離方向の差(分離角)は52°である。表3は、比較例2の光学ローパスフィルタの諸数値を示す。本比較例でも、x軸方向とy軸方向において低周波数でのMTFが互いに等しくなるように、σx=σyとなるよう光線分離幅を調整した。
図19において、光線分離の過程は比較例1で説明した通りであり、入射光線はx軸方向に延びる2辺を有する六角形の頂点に位置する6本の光線(6つの点像)と該六角形の内側に位置する2本の光線(2つの点像)に分離される。本比較例における異常光線の分離経路の屈曲角θ1,θ2はともに128°である。
図7と同様の図20は、図19に示した8つの点像の2次元MTFを示す。また、図9(a),(b)と同様の図21(a),(b)はそれぞれ、図20に示した2次元MTFのうちx,y軸方向のMTFおよび±45°方向のMTFを示す。この比較例でも、σx=σyとなるように光線分離幅bが調整されているので、x軸方向とy軸方向における低周波数におけるMTFは互いに等しい。
図20に示すように、x軸方向以外はカットオフ空間周波数が存在しない。また図21(b)に示すように、±45°方向においてもカットオフ空間周波数が存在せず、MTFが20%程度となる。このため、色モアレの防止効果が得られず、好ましくない。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
1 第1の複屈折光学素子(第1の光学異方性素子)
2 第2の複屈折光学素子(第2の光学異方性素子)
3 第3の複屈折光学素子(第3の光学異方性素子)
6 光学ローパスフィルタ
2 第2の複屈折光学素子(第2の光学異方性素子)
3 第3の複屈折光学素子(第3の光学異方性素子)
6 光学ローパスフィルタ
Claims (11)
- 光入射側から光出射側に順に配置され、それぞれ入射した光線を常光線と異常光線に分離する第1、第2および第3の光学異方性素子を有する光学ローパスフィルタであって、
前記第1、第2および第3の光学異方性素子の光学面に直交する方向視において、前記第1の光学異方性素子にて入射光線から第1の異常光線が分離し、さらに前記第2の光学異方性素子にて前記第1の異常光線から屈曲するように第2の異常光線が分離する際の屈曲角をθ1とし、その後、前記第3の光学異方性素子にて前記第2の異常光線から屈曲するように第3の異常光線が分離する際の屈曲角をθ2とするとき、
129°≦θ1≦131°
129°≦θ2≦131°
なる条件を満足することを特徴とする光学ローパスフィルタ。 - 前記第1および第3の光学異方性素子における光線分離幅は、互いに等しくかつ前記第2の光学異方性素子における光線分離幅とは異なることを特徴とする請求項1に記載の光学ローパスフィルタ。
- θ1=θ2
なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の光学ローパスフィルタ。 - 前記光学ローパスフィルタは、該光学ローパスフィルタを通過した光により形成される光学像を光電変換する撮像素子とともに用いられ、
前記撮像素子における互いに直交する2つの画素配列方向を第1および第2の方向とするとき、
前記第2の光学異方性素子における前記光線分離方向が、前記第1および第2の方向のうちいずれか一方と平行であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光学ローパスフィルタ。 - 前記光学ローパスフィルタから出射した複数の光線により前記撮像素子上に形成される複数の点像の前記第1および第2の方向での標準偏差をそれぞれσxおよびσyとするとき、
1/1.2≦σx/σy≦1.2
なる条件を満足することを特徴とする請求項4に記載の光学ローパスフィルタ。 - 前記第1および第3の光学異方性素子の光線分離幅をa、前記撮像素子における画素ピッチをpとするとき、
0.8≦p/a≦1.4
なる条件を満足することを特徴とする請求項4または5に記載の光学ローパスフィルタ。 - 前記撮像素子にカラーフィルタがベイヤー配列で設けられており、
前記撮像素子における画素ピッチをp[μm]とするとき、
1.0≦p≦7.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の光学ローパスフィルタ。 - 前記第1および第3の光学異方性素子として、表裏を反転させた同一の光学異方性素子が用いられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光学ローパスフィルタ。
- 請求項1から8のいずれか一項に記載の光学ローパスフィルタと、
該光学ローパスフィルタを通過した光により形成される光学像を光電変換する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。 - 前記撮像素子は、撮像光学系の射出瞳を分割して対の信号を出力する画素を有し、
前記撮像装置は、前記対の信号を用いて撮像面位相差検出方式によるオートフォーカスを行い、
前記射出瞳を分割する方向が前記第3の光学異方性素子における前記光線分離方向と平行であることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。 - 前記撮像素子の撮像面に直交する方向に対する前記第1および第3の光学異方性素子の光学軸の傾きΨが、
25°≦Ψ≦40°
なる条件を満足することを特徴とする請求項9または10に記載の撮像装置。
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