JP2020186414A - 軟磁性粉末 - Google Patents

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【課題】高絶縁性と高透磁率とを併せ備えた軟磁性体の材料となりうる軟磁性粉末を提案する。【解決手段】軟磁性粉末は、1質量%以上10質量%以下のSiを含むFe−Si系軟磁性合金粒子と、合金粒子の表面に形成された酸化層又は酸化被膜とを備える軟磁性粒子の集合体である。合金粒子の平均粒径は、15μm以上100μm以下である。軟磁性粉末の単位比表面積あたりの酸素値(酸素値/比表面積)は、0.003g/m2以上0.030g/m2以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、軟磁性粉末に関する。
従来、軟磁性粉末を成形して得られる軟磁性体が知られている。軟磁性粉末を構成する粒子は、軟磁性合金粒子が絶縁層で被覆されてなる。軟磁性体としては、磁性シートや、磁心や、回転機、ソレノイド、リアクトル、チョークコイル、及びインダクタのコアなどの各種電磁気回路部品が例示される。特許文献1では、上記のような軟磁性体が開示されており、特許文献2、3では、上記のような軟磁性体の材料となる軟磁性粉末が開示されている。
特許文献1の圧粉磁心(軟磁性体)は、二酸化ケイ素(SiO)を主材とした絶縁被膜が形成されたFe−Si系の軟磁性合金粒子からなる圧粉磁心用粉末を、成形したものである。この絶縁被膜の厚さは、1nm〜100nmである。
特許文献2の軟磁性体は、鉄系酸化物からなる被膜で被覆された軟磁性金属粒子からなる粉末を、成形したものである。軟磁性金属粒子を被覆している鉄系酸化物を熱処理により還元することで、軟磁性金属粒子の絶縁性を向上させ、成形した圧粉磁心を低損失化している。熱処理前の粒子の酸素含有率は、1000〜8000ppmである。
特許文献3の軟磁性粉末は、軟磁性粉末を構成する粒子の表面が、Mg及びSiを含有する酸化物で被覆されたものである。このMg及びSi含有酸化物被覆軟磁性粉末は、酸化物被膜軟磁性体粉末に一酸化ケイ素の粉末を添加して加熱し、更に、マグネシウム粉末を添加し加熱することによって得たものである。
特開2005−146315号公報 特開2009−88502号公報 特開2017−135330号公報
上記のような軟磁性体のうち、磁性シートは、軟磁性粉末をポリマー材料に混練して、それをシート状に成形したものである。磁性シートは、磁力線を効率よく吸収させるために、高い透磁率が要求される。加えて、磁性シートは、磁気損失を低減するために、高い電気抵抗値(絶縁性)が要求される。ところが、一般に、軟磁性粉末の粒子表面の酸化被膜が薄くなるに従って当該軟磁性粉末からなる軟磁性体の絶縁性が低くなる傾向があり、逆に、軟磁性粉末の粒子表面の酸化被膜が厚くなるに従って当該軟磁性粉末からなる軟磁性体の透磁率が低くなる傾向がある。
特許文献1の軟磁性粉末は、絶縁被膜が1〜100nm以上と比較的厚いことに加えて、絶縁被膜に含まれるSiOによって保磁力が高いことが予想される。特許文献2の粉末は、第一次粒子の酸素含有率が1000〜8000ppmと高いため、内部組織の酸化が原因で、磁性シートの保磁力が高いことが予想される。特許文献3の軟磁性粉末は、特許文献1及び特許文献2の軟磁性粉末の製造工程と比較して工程数が多く、加えて、絶縁層に起因して保磁力が高いことが予想される。保磁力の高い軟磁性粉末からなる軟磁性体では、要求される高透磁率が得られないことがある。このように、特許文献1〜3の軟磁性粉末では、高絶縁性と高透磁率とを併せ備えた軟磁性体を得ることが難しい。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、高絶縁性と高透磁率とを併せ備えた軟磁性体の材料となりうる軟磁性粉末を提案することにある。
本発明の一態様に係る軟磁性粉末は、
1質量%以上10質量%以下のSiを含むFe−Si系軟磁性合金粒子と、前記合金粒子の表面に形成された酸化層又は酸化被膜とを備える軟磁性粒子からなり、
前記合金粒子の平均粒径が15μm以上100μm以下であり、
単位比表面積あたりの酸素値(酸素値/比表面積)が、0.003g/m以上0.030g/m以下であることを特徴としている。
上記軟磁性粉末は、合金粒子の平均粒径、及び、軟磁性粒子の表面に存在する酸化層又は酸化被膜に基づく軟磁性粉末の単位比表面積あたりの酸素値の組み合わせにより、高い電気抵抗(絶縁性)と低い保磁力とを併せ備える。その結果、この軟磁性粉末が成形されてなる軟磁性体は高絶縁性と高透磁率とを併せ備えることとなる。
また、上記軟磁性粉末において、合金粒子の表面に酸化被膜が形成されている場合には、望ましくは、前記酸化被膜の平均厚さが、50nm以下であり、前記酸化被膜は、70原子%以下のO、及び25原子%以下のSiを含む。
上記軟磁性粉末は、合金粒子の平均粒径、軟磁性粒子の表面に存在する酸化被膜に基づく軟磁性粉末の単位比表面積あたりの酸素値、酸化被膜の平均厚さ、及び、酸化被膜の組成の組み合わせにより、高い電気抵抗(絶縁性)と低い保磁力とを併せ備える。その結果、この軟磁性粉末が成形されてなる軟磁性体は高絶縁性と高透磁率とを併せ備えることとなる。
本発明によれば、高絶縁性と高透磁率とを併せ備えた軟磁性体の材料となりうる軟磁性粉末を提供することができる。
図1は、表面に酸化被膜が形成された軟磁性粒子の顕微鏡写真である。 図2は、表面に酸化被膜が形成されていない軟磁性粒子の顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態に係る軟磁性粉末は、軟磁性粒子の集合体である。軟磁性粒子の各々は、軟磁性合金粒子(以下、「合金粒子」と称する)と、合金粒子の表面に形成された酸化層又は酸化被膜とを備える。この軟磁性粉末は、合金粒子の平均粒径、及び、軟磁性粉末の単位比表面積あたりの酸素値の組み合わせに特徴を有する。
軟磁性粉末の保磁力(Hc)は、好ましくは600A/m以下であり、より好ましくは400A/m以下であり、更に好ましくは300A/m以下である。また、軟磁性粉末の充填体の体積抵抗率(ρ)は0.001Ω・cm以上が望ましい。
軟磁性粉末は、保磁力の値が低く、且つ、飽和磁化の値が高い粉末であることが好ましい。そこで、合金粒子として、Fe(鉄)−Si(シリコン)系軟磁性合金の球状粒子が採用される。一般に、Fe−Si系合金は、保磁力の値及び飽和磁化の値に優れる。
合金粒子の組成は、高い飽和磁束密度となるFe−Si系合金粉末であることが好ましい。即ち、合金粒子は、好ましくは、1質量%以上10質量%以下のSiを含むFe−Si系軟磁性合金からなる。換言すれば、Fe−Si系軟磁性合金は、1質量%以上10質量%以下のSiを含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる。合金粒子は、より好ましくは、2質量%以上7質量%以下のSiを含むFe−Si系軟磁性合金からなる。10質量%を超えるSiを含むFe−Si系軟磁性合金は、硬度が高く脆いため、成形工程の際、高い成形密度を得ることが難しくなる。また、1質量%未満のSiを含むFe−Si系軟磁性合金は体積抵抗率が小さい。
合金粒子(即ち、酸化処理前の軟磁性粒子)の平均粒径(D50)は、15μm以上100μm以下であり、15μm以上60μm以下であることが好ましく、20μm以上30μm以下であることが更に好ましい。平均粒径は、堆積累計分布のメジアン径(D50)で表す。球状の合金粒子の平均粒径は、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置によって測定できる。
合金粒子の平均粒径が15μm未満では、合金粒子に対する酸化層又は酸化被膜の体積率が過度に大きくなり、軟磁性粉末の保磁力が前述の保磁力範囲より高くなる。また、合金粒子の平均粒径が100μmを超えて大きくなると、合金粒子に対する酸化層又は酸化被膜の体積率が過度に小さくなり、十分な体積抵抗率が得られない。
合金粒子の表面には、酸化層又は酸化被膜が形成されている。酸化層及び酸化被膜は、後述する酸化処理によって形成される。酸化被膜は、合金粒子の表面を連続的に被覆する酸化物層と定義される。TEM(transmission electron microscope)によって撮像された、表面に酸化被膜が形成された合金粒子(即ち、軟磁性粒子)の顕微鏡写真を図1に示し、表面に酸化被膜が形成されていない軟磁性粒子の顕微鏡写真を図2に示す。図1に示すように、軟磁性粒子をTEM観察した場合に、酸化被膜は5万倍の拡大画像中で白いコントラストとして連続する膜状に認められる。一方、図2に示す軟磁性粒子の表面には、酸化被膜は認められない。図2に示す軟磁性粒子は、合金粒子に酸化処理を施したものであることから、表面に酸化被膜は形成されていないが、酸化層が形成されていると推定される。酸化層は、膜状ではない不連続な酸化物を含む層と定義される。酸化層は、例えば、体心立方格子(BCC)にOが固溶したものからなる。
酸化被膜は、合金粒子を大気雰囲気下で酸化させることにより形成され得る。この場合、軟磁性合金粒子中のSi成分が表面に拡散して大気中の酸素と反応することにより、合金粒子の表面に酸化被膜が形成される。酸化被膜形成能は、Si>Feの順に高いため、合金粒子から酸化被膜への拡散はSi成分が大きくなる傾向にある。
合金粒子の表面に形成された酸化被膜は、70原子%以下のO(酸素)及び25原子%以下のSi(ケイ素)を含む。酸化被膜中のSi成分が25原子%を超えるか、O成分が70原子%を超える場合には、合金粒子の組成とのずれが大きくなることにより、軟磁性粉末の保磁力が前述の保磁力範囲より高くなる。
酸化被膜の平均厚さは、50nm未満であり、より好ましくは10nm未満であり、更に好ましくは実質なしである。換言すれば、軟磁性粒子は、酸化被膜よりも酸化層を有することが望ましい。酸化被膜の厚さが大きくなると、軟磁性粉末の体積抵抗率は向上するが、保磁力が大きくなる。
軟磁性粉末の単位比表面積(1m/g)あたりの酸素値(酸素値/比表面積)は、0.003g/m以上0.030g/m以下であり、より好ましくは0.005g/m以上0.030g/m以下であり、更に好ましくは0.010g/m以上0.030g/m以下である。軟磁性粉末の単位比表面積当たりの酸素値が0.003g/m未満では、十分な酸化層又は酸化被膜が生成されているといえず、十分な体積抵抗率が得られない。また、軟磁性粉末の単位比表面積あたりの酸素値が0.005g/mを超えて大きくなると、保磁力が前述の保磁力範囲より高くなる。
軟磁性粉末の単位比表面積あたりの酸素値は、軟磁性粉末の酸素値[質量分率]を、軟磁性粒子の比表面積[m/g]で割って得られる値である。軟磁性粉末の比表面積は、軟磁性粉末の単位質量[1g]あたりの総表面[m]であって、例えば、BET法と呼ばれるガス吸着法により測定され得る。軟磁性粉末の酸素値は、軟磁性粉末の単位質量[1g]あたりの酸素含有量[g](即ち、酸素含有率)であって、例えば、不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)により測定され得る。
〔軟磁性粉末の製造方法〕
ここで、上記軟磁性粉末の製造方法を説明する。軟磁性粉末の製造方法は、大きく分けて、軟磁性合金粒子を作製する粒子作製工程、合金粒子を熱処理する熱処理工程、及び、合金粒子の表面に酸化層又は酸化被膜を形成する酸化工程を含む。ここで、熱処理工程は、省略することで処理コストを抑えることができるため、適宜行われる。
(粒子作製工程)
合金粒子は、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、及びディスクアトマイズ法など各種アトマイズ法、又は、機械的粉砕法によって作製される。合金粒子の含有酸素量は少ないことが好ましい。この観点から、粒子作製法として、上記の作製法の中ではガスアトマイズ法又はディスクアトマイズ法が好ましい。更に、量産性の観点からは、粒子作製法として、上記の作製法の中ではガスアトマイズ法が優れている。合金粒子の含有酸素量を更に低減するために、不活性ガスを用いたガスアトマイズ法が好ましい。
(熱処理工程)
熱処理工程では、合金粒子に熱処理を施すことにより、合金粒子作製時に蓄積された合金粒子内の歪みを緩和させ、軟磁性粉末の保磁力を低下させる効果が期待される。但し、熱処理工程は省略されてもよい。
熱処理工程では、合金粒子を、真空又は不活性ガス雰囲気、且つ、500℃以上900℃以下の温度域で、所定の熱処理時間だけ保持する。熱処理時間は、処理量や生産性に応じて任意の時間が設定される。但し、熱処理時間は、長時間となると生産性が低下するため、5時間以内が好適である。熱処理の雰囲気は、合金粒子の酸化を抑えるために、真空下又は不活性ガス雰囲気下とされる。不活性ガスは、窒素ガスよりもAr(アルゴン)ガスを採用することが、軟磁性粉末の低保磁力を保持するうえで好ましい。
(酸化工程)
酸化工程では、合金粒子に酸化処理が施される。これにより、合金粒子の表面に酸化層又は酸化被膜が形成される。
酸化工程では、合金粒子を大気雰囲気、且つ、150℃以上500℃以下の温度域で所定の酸化時間だけ保持する。酸化処理温度は、150℃以上500℃以下であるが、200℃以上400℃以下の温度域が更に好ましい。酸化処理温度が高いほど、酸化層又は酸化被膜の厚さが大きくなり、体積抵抗率が上昇する傾向があるが、一方で保磁力の値も上昇する傾向にある。従って、保磁力を上昇させないために、酸化処理温度は上記温度域内において低い値であることが好ましい。
酸化工程により、合金粒子の表面に酸化層又は酸化被膜が形成されて、軟磁性粒子が得られる。軟磁性粒子の集合体が軟磁性粉末である。酸化工程により合金粒子の表面に形成される酸化層又は酸化被膜の厚さ、及び、単位比表面積あたりの酸素値は、酸化処理温度及び酸化処理時間の調整によってコントロールされ得る。また、酸化被膜の組成は、酸化処理温度及び合金粒子の組成によってコントロールされ得る。
表1に示す実施例1〜16と比較例1〜5の試料を作製し、各試料を評価した。
(試料作製手順)
1)ガスアトマイズ法を用いて所定の成分の軟磁性合金粒子を作製した。具体的には、合金材料をアルミナ製坩堝に入れて溶融し、坩堝下の直径5mmのノズルから合金溶湯を出湯し、これに高圧Arを噴霧することにより、合金粒子を得た。合金粒子の集合体が原料粉末である。原料粉末の成分は、表1に「原料粉末組成」として示す。
2)得られた原料粉末を300μm以下に分級した。分級には分級篩を用いた。用いた篩のメッシュを表1に示す。
3)実施例の一部及び比較例の一部において、分級した原料粉末に対し熱処理を施した。熱処理の有無を表1に示す。熱処理では、Ar雰囲気且つ500℃以上900℃以下の温度域で2時間保持した。
4)原料粉末(又は、熱処理後の原料粉末)を、大気雰囲気且つ150℃以上500以下の温度域で2時間保持することにより、酸化処理を施した。酸化処理の温度を表1に示す。この酸化処理により、合金粒子はその表面に酸化層又は酸化被膜が形成された軟磁性粒子となる。軟磁性粒子の集合体が軟磁性粉末である。
5)酸化処理後の軟磁性粉末を自然冷却して、試料を得た。
(試料の評価)
各試料について、原料粉末(合金粒子)の平均粒径、軟磁性粉末の保磁力、及び、軟磁性粉末の粉末充填体の体積抵抗率を測定した。各試料の原料粉末の平均粒径(D50)は、粒子径分布測定装置(日機装株式会社製 マイクロトラックMT3000)を用いて、レーザー回折法により測定した。各試料の軟磁性粉末の保磁力の測定にはHcメーター(HJS社製 QumanoHC−801)を用い、直径6mm、高さ8mmの樹脂製容器に試料を充填して最大印加磁場144kA/mにおける保磁力を測定した。各試料の軟磁性粉末の粉末充填体の体積抵抗率の測定には、粉体抵抗測定システム(株式会社三菱ケミカルアナリテック製 MCP−PD51)を用い、プローブシリンダー内に投入した試料に2kNの荷重がかかるように圧力を調整し、低抵抗率計(株式会社三菱ケミカルアナリテック製 Loresta−GX MCP−T700)で粉末充填体の体積抵抗率を測定した。
各試料の軟磁性粉末について、単位比表面積あたりの酸素値を求めた。具体的には、株式会社マウンテック製の全自動BET比表面積測定装置(Macsorb(登録商標) HM−model 1201)を用いて、各試料の軟磁性粉末の比表面積を測定した。また、HORIBA社製の酸素・窒素・水素分析装置(EMGA−930)を用いて、各試料の酸素値を測定した。そして、各試料について、測定した酸素値を測定した比表面積で除算して、単位比表面積あたりの酸素値を得た。
更に、各試料の軟磁性粉末について、酸化被膜の有無を評価し、酸化被膜が生成されていれば酸化被膜の厚さ及び酸化被膜の成分の評価を行った。具体的には、各試料の軟磁性粉末をTEMを用いて観察し、軟磁性粒子の表面に酸化被膜が形成されているかどうかを評価した。TEM観察において、試料の5万倍の拡大画像中で白いコントラストとして連続する膜状の酸化物層が認められれば、軟磁性粒子の表面に酸化被膜が形成されていると評価した。一方、軟磁性粒子の表面に酸化被膜が認められず、且つ、外観に酸化の兆候(変色など)が認められた場合は、軟磁性粒子の表面に酸化被膜は形成されておらず、酸化層が形成されていると評価した。軟磁性粒子に酸化被膜が形成されている場合には、軟磁性粒子表面における酸化被膜の厚さを測定するとともに、酸化被膜の成分を分析した。
各試料の評価結果は、表1に示されている。なお、表1において、比較例の数値の下線は当該数値が所定範囲から外れていることを示す。表1の評価結果から、以下が明らかである。
実施例1〜16の試料において、原料粉末組成は、所定の含有範囲(1質量%以上10質量%以下)のSiを含むFe−Si系軟磁性合金である。また、実施例1〜16の試料において、原料粉末を構成する軟磁性合金粒子の平均粒径(D50)は、所定の粒径範囲(15μm以上100μm以下)にある。
実施例2,8,12,及び15の試料では、軟磁性粒子の表面に酸化被膜が形成されていた。実施例2,8,12,及び15を除く実施例1〜16では、軟磁性粒子の表面に酸化層が形成されていた。実施例2,8,12,及び15の試料において、軟磁性粉末の酸化被膜の平均厚さは、所定の厚さ範囲(50nm以下)にある。実施例2,8,12,及び15の試料において、軟磁性粉末の酸化被膜は、70原子%以下のO及び25原子%以下のSiを含む。
実施例1〜16の試料において、軟磁性粉末の保磁力は、軟磁性粉末として要求される所定の保磁力範囲(600A/m以下)にある。実施例1〜16の試料の軟磁性粉末からなる軟磁性体は、透磁率の実数部が大きく、高透磁率を備え得る。
実施例1〜16の試料において、軟磁性粉末の粉末充填体の体積抵抗率は、軟磁性粉末として要求される所定の体積抵抗率範囲(0.001Ω・cm以上)にある。更に、実施例1〜16の試料において、軟磁性粉末の単位比表面積あたりの酸素値は、所定の酸素値範囲(0.003g/m以上0.030g/m以下)にある。より詳細には、実施例に係る試料において、表面に酸化層が形成された軟磁性粒子からなる軟磁性粉末では、単位比表面積あたりの酸素値は0.003g/m以上0.018g/m以下であった。実施例に係る試料において、表面に酸化被膜が形成された軟磁性粒子からなる軟磁性粉末では、単位比表面積あたりの酸素値は0.009g/m以上0.028g/m以下であった。これにより、実施例1〜16の試料の軟磁性粉末からなる軟磁性体は、高絶縁性を備え得る。
比較例1の試料は、実施例の試料と対比して酸化処理が行われていない点で相違する。比較例1の試料では、軟磁性粉末の単位比表面積あたりの酸素値が所定の酸素値範囲に満たない。そのため、比較例1の試料は、粉末充填体の体積抵抗率が所定の体積抵抗率範囲に満たない。
比較例2の試料は、原料粉末の平均粒径(D50)が所定の粒径範囲に満たない。なお、実施例の原料粉末の平均粒径(D50)は17.4μm〜97.5μmであるのに対し、比較例2の試料の原料粉末の平均粒径(D50)は8.1μmである。比較例2の試料の軟磁性粉末は、単位比表面積あたりの酸素値が所定の酸素値範囲を上回り、保磁力が所定の保磁力範囲を上回る。
比較例3の試料は、原料粉末の平均粒径(D50)が所定の粒径範囲を上回る。なお、実施例の原料粉末の平均粒径(D50)は17.4μm〜97.5μmであるのに対し、比較例3の試料の原料粉末の平均粒径(D50)は115.6μmである。比較例3の試料の軟磁性粉末は、単位比表面積あたりの酸素値が所定の酸素値範囲に満たず、粉末充填体の体積抵抗率が所定の体積抵抗率範囲に満たない。
比較例4の試料は、実施例と比較して、酸化処理温度が高い。なお、実施例の酸化処理温度が200℃〜500℃であるのに対し、比較例4の試料の酸化処理温度は600℃である。そのために、比較例4の試料の軟磁性粉末では、酸化被膜の平均厚さが所定の厚さ範囲を上回り、単位比表面積あたりの酸素値が所定の酸素値範囲を上回る。更に、比較例4の試料の軟磁性粉末は、酸化被膜のSi成分割合及びO成分割合が、O成分:70原子%以下及びSi成分:25原子%以下の範囲から外れる。そのため、比較例4の試料の軟磁性粉末は、原料粉末組成からの組成の差異が大きく、保磁力が所定の保磁力範囲を上回る。
比較例5の試料は、酸化被膜のSi成分割合が、Si成分:25原子%以下の範囲から外れる。そのため、比較例5の試料の軟磁性粉末は、原料粉末組成からの組成の差異が大きく、保磁力が所定の保磁力範囲を上回る。
比較例6の試料は、原料粉末の組成においてSi含有率が1質量%以上10質量%以下の範囲に満たない。そのため、比較例6の試料の原料粉末は、電気抵抗値が低く、熱処理による酸化層又は酸化被膜の形成が特に困難である。また、比較例6の試料の軟磁性粉末では、粉末充填体の体積抵抗率が所定の体積抵抗率に満たない。
以上に説明した通り、本実施例に係る軟磁性粉末は、1質量%以上10質量%以下のSiを含むFe−Si系軟磁性合金粒子と、この合金粒子の表面に形成された酸化層又は酸化被膜とを備える軟磁性粒子の集合体である。合金粒子の平均粒径は、15μm以上100μm以下である。軟磁性粒子の単位比表面積あたりの酸素値(酸素値/比表面積)は、0.003g/m以上0.030g/m以下である。実施例に係る軟磁性粉末が高い電気抵抗(絶縁性)と低い保磁力とを併せ備えることから、この軟磁性粉末が成形されてなる軟磁性体は高絶縁性と高透磁率とを併せ備え得ることが明らかである。

Claims (2)

  1. 1質量%以上10質量%以下のSiを含むFe−Si系軟磁性合金粒子と、前記合金粒子の表面に形成された酸化層又は酸化被膜とを備える軟磁性粒子からなり、
    前記合金粒子の平均粒径が15μm以上100μm以下であり、
    単位比表面積あたりの酸素値(酸素値/比表面積)が、0.003g/m以上0.030g/m以下である、
    軟磁性粉末。
  2. 前記酸化被膜の平均厚さが、50nm以下であり、
    前記酸化被膜は、70原子%以下のO、及び25原子%以下のSiを含む、
    請求項1に記載の軟磁性粉末。
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JP2005146315A (ja) * 2003-11-12 2005-06-09 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 磁心用粉末、圧粉磁心およびそれらの製造方法

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