JP2020185679A - 光学材料用硬化性組成物、光学材料及び光学材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
基材層及び重合体層を有する光学材料であって、
重合体層は、表面に微細な凹凸を有し、アミド基を有し、以下の性質を満たす樹脂層であることを特徴とする光学材料である。
ヤング率: 160〜432N/mm2
限界歪み: 10%以上
なお、本開示における限界歪みの評価は、次のようにして行った。硬化樹脂を、ダンベル状7号形(JIS K6251−5)の試験片として、JIS K7161法にしたがい25℃で引張速度60mm/分で引張試験した際に、硬化樹脂の割れが生じる硬化樹脂破断点伸びを測定した。限界歪みは、(硬化樹脂の割れが生じたときの硬化樹脂の長さ−硬化樹脂の元の長さ)/硬化樹脂の元の長さ×100から算出した。
重合体層は、表面に微細な凹凸を有し、微細な凹凸を有する表面を下記条件下でスチールウールを擦過した後の凹凸の残存率が80%以上であることを特徴とする光学材料でもある。
(擦過条件)
試験機として株式会社トリニティーラボ製「トライボマスターTL201Ts」を用い、ステージ上にフィルムを水平状態で固定した。日本スチールウール社製のスチールウール(製品名:#0000)を摩擦子として用い、荷重を200g/cm2、ストローク幅を60mm、速度を60mm/s、擦る回数を10往復として、フィルムの表面を擦過した。
上記重合体層の表面に存在する複数の凸部のピッチは、20nm以上、400nm以下であることが好ましい。
上記重合体層の表面に存在する複数の凸部の高さは、各々、50nm以上、500nm以下であることが好ましい。
上記重合体層の表面に存在する複数の凸部のアスペクト比は、各々、0.13以上、25以下であることが好ましい。
2以上のアクリルアミド基を有する化合物を含有し、1のアクリルアミド基を有する化合物を実質的に含有しないことを特徴とする光学材料用硬化性組成物でもある。
ヤング率: 160〜432N/mm2
限界歪み: 10%以上
を満たすものであることが好ましい。
(硬化条件)
JIS K 6215−5の7号形ダンベルを作製する金型に硬化性組成物を充填し、紫外線(照射量:1,200mJ/cm2)を照射して硬化した。
基材層を金型に押しあてて、光学材料用硬化性組成物の表面に凹凸構造を形成する工程(2)、
凹凸構造を表面に有する光学材料用硬化性組成物を硬化させる工程(3)及び
金型を重合体層から剥離する工程(4)
を有することを特徴とする光学材料の製造方法でもある。
上記光学材料の製造方法において、重合体層の表面に存在する複数の凸部のピッチは、20nm以上、400nm以下であることが好ましい。
上記光学材料の製造方法において、重合体層の表面に存在する複数の凸部の高さは、各々、50nm以上、500nm以下であることが好ましい。
上記光学材料の製造方法において、重合体層の表面に存在する複数の凸部のアスペクト比は、各々、0.13以上、25以下であることが好ましい。
本開示の光学材料について、図1を参照して以下に説明する。図1は、実施形態の防汚性フィルムを示す断面模式図である。
ヤング率: 160〜432N/mm2
限界歪み: 10%以上
との条件を満たす硬化樹脂によって重合体層が形成されたものである。
上記性能を満たすものとすることで、適度の柔軟性を有しつつ同時に荷重がかけられた際にも強度においても優れた性能を有するものとなる。
(測定用サンプル調製方法)
光学材料における重合体層の形成に使用される硬化性組成物をJIS K 6215−5の7号形ダンベルを作製する金型に充填し、紫外線(照射量:1,200mJ/cm2)を照射して硬化する
という条件で成形・硬化することでサンプルを作成する。これについて、以下に示す条件で引っ張り試験を行った。
(引っ張り試験方法)
硬化樹脂をダンベル状7号形(JIS K6215−5)の試験片とし、オートグラフ(島津製作所社製、AGS−100NX)を用いて、JIS K7161法にしたがい25℃で試験片を60mm/分の引張速度で引張り試験を行い、1N−5N荷重中のヤング率を測定した。
このように、スチールウールを擦過後でも、凹凸が消失しないような光学材料を使用することで、反射防止機能の耐久性に優れ、強度にも優れた光学材料とすることができる。
試験機として株式会社トリニティーラボ製「トライボマスターTL201Ts」を用い、ステージ上にフィルムを水平状態で固定した。日本スチールウール社製のスチールウール(製品名:#0000)を摩擦子として用い、荷重を200g/cm2、ストローク幅を60mm、速度を60mm/s、擦る回数を10往復として、フィルムの表面を擦過した。
重合体層は、複数の凸部(突起)が可視光の波長(780nm)以下のピッチ(隣接する凸部4の頂点間の距離)で設けられる凹凸構造、すなわち、モスアイ構造(蛾の目状の構造)を表面に有していることが好ましい。このようにすることで、光学材料は、モスアイ構造による優れた反射防止性(低反射性)を示すことができる。
なお、上述したように、本開示の光学材料の樹脂層は、アミド基を有する。このように重合体層中にアミド基を導入する場合、アミド基を有する成分を原料の少なくとも一部として使用することが好ましい。
R12は、単結合または炭素数1〜3のアルキレン基である。R12としては、化合物(A1)を入手しやすい点から、メチレン基が好ましい。
rは、1〜6の整数である。rとしては、化合物(A1)を入手しやすい点から、1が好ましい。
R13は、炭素数1〜3のアルキレン基である。R13としては、化合物(A1)を入手しやすい点から、メチレン基が好ましい。
R14は、水素原子またはメチル基である。R14としては、重合反応性が良好である点から、水素原子が好ましい。
R16は、単結合または炭素数1〜3のアルキレン基である。R16としては、化合物(A2)を入手しやすい点から、プロピレン基が好ましい。
sは、0〜6の整数である。sとしては、化合物(A2)を入手しやすい点から、3が好ましい。
R17は、炭素数1〜3のアルキレン基である。R17としては、化合物(A2)を入手しやすい点から、メチレン基が好ましい。
R18は、水素原子またはメチル基である。R18としては、重合反応性が良好である点から、水素原子が好ましい。
R20は、単結合または炭素数1〜6のアルキレン基である。R20としては、化合物(A3)を入手しやすい点から、エチレン基が好ましい。
R21は、水素原子またはメチル基である。R21としては、重合反応性が良好である点から、水素原子が好ましい。
tは、1〜6の整数である。tとしては、化合物(A3)を入手しやすい点から、1または2が好ましい。
R22は、水素原子またはメチル基である。R22としては、重合反応性が良好である点から、水素原子が好ましい。
化合物(A2−1)の市販品としては、富士フィルム社製のFAM−201が挙げられる。
化合物(A3−1)の市販品としては、富士フィルム社製のFAM−301が挙げられる。
化合物(A3−2)の市販品としては、富士フィルム社製のFAM−402が挙げられる。
化合物(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
成分B(多官能アクリレート)は、アクリロイル基を少なくとも有し、かつ、アクリロイル基とアクリロイル基以外の重合性官能基とを1分子当たり合計で2個以上有するアクリレートを指す。アクリロイル基以外の重合性官能基は、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基、及び、アリル基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を指す。
パーフルオロポリエーテル基を有するフッ素系防汚剤は、フッ素系防汚剤中のフッ素含有モノマーが動きやすく、重合体層の表面(基材層とは反対側の表面)の滑り性が高まりやすいため、耐擦性が高まりやすい。
パーフルオロアルキル基を有するフッ素系防汚剤によれば、分子量が少ないために、重合体層の表面(基材層とは反対側の表面)に配向(移行)しやすく、配合量が少なくても、所望の防汚性及び耐擦性が得られやすい。これらのフッ素系防汚剤を使用すると、フッ素系防汚剤以外の種類の防汚剤(例えば、シリコン系防汚剤、リン酸エステル系防汚剤等)と比較して、防汚性及び耐擦性がより高まる。
Rf−PFPE1−Z−X (C−2−1i)
X−Z−PFPE2−Z−X (C−2−1ii)
−(OCF2CF2CF2)b− (C−2−1a)
(上記式(C−2−1a)中、bは、1〜200の整数であり、好ましくは5〜200の整数であり、より好ましくは10〜200の整数である。)
−(OCF2CF2CF2CF2)a−(OCF2CF2CF2)b−(OCF2CF2)c−(OCF2)d− (C−2−1b)
(上記式(C−2−1b)中、a及びbは、各々独立して、0〜30の整数である。c及びdは、各々独立して、1〜200の整数であり、好ましくは5〜200の整数、より好ましくは10〜200の整数である。a、b、c、又は、dを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、上記式(C−2−1b)中において任意である。)
−(OC2F4−R5)i− (C−2−1c)
(上記式(C−2−1c)中、R5は、OC2F4、OC3F6、又は、OC4F8である。iは、2〜100の整数であり、好ましくは2〜50の整数である。)
−(OCF2CF2CF2)b− (C−2−1d)
(上記式(C−2−1d)中、bは、1〜200の整数であり、好ましくは5〜200の整数であり、より好ましくは10〜200の整数である。)
−(OC2F4−R5)i− (C−2−1e)
(上記式(C−2−1e)中、R5は、OC2F4、OC3F6、又は、OC4F8である。iは、2〜100の整数であり、好ましくは2〜50の整数である。)
−(Y)f−(CR3 2)j− (D11)
−(Y)f−(CF2)g−(CH2)h− (D12)
Rf−PFPE1−R1−CH2OH (C−2−1i’)
HOCH2−R1−PFPE2−R1−CH2OH (C−2−1ii’)
−OC(O)−CR2=CH2 (D13)
HO(CH2CH2)iOCO(R)C=CH2 (D14)
(上記式(D14)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。iは、2〜10の整数である。)、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;
CH3CH(OH)CH2OCO(R)C=CH2 (D15)
(上記式(D15)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
CH3CH2CH(OH)CH2OCO(R)C=CH2 (D16)
(上記式(D16)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;
C6H5OCH2CH(OH)CH2OCO(R)C=CH2 (D17)
(上記式(D17)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート;
HOCH2C(CH2OCO(R)C=CH2)3 (D18)
(上記式(D18)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート;
C(CH2OCO(R)C=CH2)3CH2OCH2C(CH2OCO(R)C=CH2)2CH2OH (D19)
(上記式(D19)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、ジペンタエリスリトールポリアクリレート;
HOCH2CH2OCOC6H5OCOCH2CH2OCO(R)C=CH2 (D20)
(上記式(D20)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸;
H(OCH2CH2)nOCO(R)C=CH2 (D21)
(上記式(D21)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。nは、1〜30の整数である。)、例えば、ポリ(エチレングリコール)アクリレート;
H(OCH(CH3)CH2)nOCO(R)C=CH2 (D22)
(上記式(D22)中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。nは、1〜30の整数である。)、例えば、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート;
アリルアルコール;
HO(CH2)kCH=CH2 (D23)
(上記式(D23)中、kは2〜20の整数である。);
(CH3)3SiCH(OH)CH=CH2;及び、
スチリルフェノール
が挙げられる。
溶剤としては、例えば、アルコール(炭素数1〜10:例えば、メタノール、エタノール、n−又はi−プロパノール、n−、sec−、又は、t−ブタノール、ベンジルアルコール、オクタノール等)、ケトン(炭素数3〜8:例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル又はエーテルエステル(炭素数4〜10:例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート、エーテル(炭素数4〜10:例えば、EGモノメチルエーテル(メチルセロソロブ)、EGモノエチルエーテル(エチルセロソロブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソロブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、芳香族炭化水素(炭素数6〜10:例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(炭素数3〜10:例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、ハロゲン化炭化水素(炭素数1〜2:例えば、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等)、石油系溶剤(例えば、石油エーテル、石油ナフサ等)等が挙げられる。
図2(a)に示すように、光学材料用硬化性組成物5を基材層の表面上に塗布する。
図2(b)に示すように、光学材料用硬化性組成物5を間に挟んだ状態で、基材層を金型6に押し当てる。その結果、凹凸構造が光学材料用硬化性組成物5の表面(基材層とは反対側の表面)に形成される。
凹凸構造を表面に有する光学材料用硬化性組成物5を硬化させる。その結果、図2(c)に示すように、重合体層が形成される。
図2(d)に示すように、金型6を重合体層から剥離する。その結果、光学材料が完成する。
限界歪みの評価は、次のようにして行った。硬化樹脂を、ダンベル状7号形(JIS K6251−5)の試験片として、JIS K7161法にしたがい25℃で引張速度60mm/分で引張試験した際に、硬化樹脂の割れが生じる硬化樹脂破断点伸びを測定した。限界歪みは、(硬化樹脂の割れが生じたときの硬化樹脂の長さ−硬化樹脂の元の長さ)/硬化樹脂の元の長さ×100から算出した。
硬化樹脂をダンベル状7号形(JIS K6215−5)の試験片とし、オートグラフ(島津製作所社製、AGS−100NX)を用いて、JIS K7161法にしたがい25℃で試験片を60mm/分の引張速度で引張り試験を行い、1N−5N荷重中のヤング率を測定した。
密着性は、下記の方法によって評価された。まず、各例のフィルムの表面(基材側の重合体層の表面とは反対側の表面)に対して、カッターナイフで、碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて、100個の正方形状の升目(1mm角)を刻んだ。そして、日東電工社製のポリエステル粘着テープ「No.31B」を升目部分に圧着した後、粘着テープを升目部分の表面に対して90°の方向に、100mm/sの速度で剥がした。その後、基材上の重合体層の剥離状態を目視観察し、全ての升目で基材上の重合体層が剥がれずに残った場合を「○」とし、一つの升目でも剥がれた場合を「×」とした。
耐擦性は、下記の方法によって評価された。試験機として株式会社トリニティーラボ製「トライボマスターTL201Ts」を用い、ステージ上にフィルムを水平状態で固定した。日本スチールウール社製のスチールウール(製品名:#0000)を摩擦子として用い、荷重を200g/cm2、ストローク幅を60mm、速度を60mm/s、擦る回数を10往復として、フィルムの表面を擦過した。その後、フィルム表面の擦過状態を目視観察した。
○:擦過前と比べて全く変化が無かった。
△:わずかに白化して見えた。
×:明らかに白化して見えた。
ここで、評価結果が○又は△である場合を、許容可能なレベル(耐擦性が優れている)と判断した。
凹凸の残存率は、同一試料中の擦過面および非擦過面の走査型電子顕微鏡画像の比較により算出した。擦過面とは擦過した領域の内、擦過始点を0%、擦過終点を100%とした場合に30~70%の領域から任意に選択した箇所とし、非擦過面とは同一試料中で擦過していない領域から任意に選択した箇所とした。具体的には、60°傾斜台を用いて50,000倍率で走査型電子顕微鏡観察した傾斜画像に対して、一辺が2.0μm、もう一辺が1.5μmの長方形となる枠線をその重心が傾斜画像の重心と重なるよう画像上に描き、描いた枠線内に存在する凸部の数を数えた。この際に、画像に見る先端断面の直径が50nm以上である凸部、例えば円錐台状である凸部は、擦過によって破損した凸部として、数える凸部の対象から除いた。また、描いた枠線に重なる凸部は、画像に見る凸部の50%以上の面積が枠線内に存在するものを数える凸部の対象とした。同一試料中で任意の擦過面および任意の非擦過面からそれぞれ3箇所の走査型電子顕微鏡画像について、凸部の数を数え、擦過面の凸部数の平均値を非擦過面の凸部数の平均値で割り、その百分率を凹凸の残存率とした。凹凸の残存率は80%以上であることが好ましい。
(基材2)
富士フイルム社製の「フジタック(登録商標)TD−60」を用いた。その厚みは60μmであった。
(硬化性組成物5)
表1〜3に示す硬化性組成物を用いた。表1〜3には、硬化性組成物の配合比率を示した。
硬化性組成物の内、防汚剤Aは、下記の方法で作製されたものであり、パーフルオロポリエーテル系化合物を含むものであった。
まず、反応器において、住友バイエルウレタン社製の「スミジュールN3300」(ヘキサメチレンジイソシアナートの環状三量体、NCO基の含有率:21.9%)57gを、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)H」1000gに溶解させ、和光純薬工業社製のジブチルスズジラウレート(一級試薬)0.1gを添加した。その後、室温で撹拌しながら、「CF3CF2O−(CF2CF2CF2O)11−CF2CF2CH2OH」244gを日本ゼオン社製の「ゼオローラH」300gに溶解させた溶液を滴下し、室温で終夜撹拌し続けた。その後、加温し、ヒドロキシエチルアクリレート24.4gを滴下して撹拌した。反応の終点は、IRによってNCOの吸収が完全に消失した時点とした。その結果、防汚剤Aが得られた。防汚剤A中の有効成分の含有率は、20重量%であった。
ウレタンオリゴマーU−10HA及びウレタンオリゴマーUA−122Pは、新中村化学社の商品名である。
下記の方法で作製したものを用いた。まず、金型6の材料となるアルミニウムを、10cm角のガラス基板上にスパッタリング法によって成膜した。成膜されたアルミニウムの層の厚みは、1.0μmであった。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチング(陽極酸化の直後)を交互に繰り返すことによって、多数の微小な穴(隣り合う穴(凹部)の底点間の距離が可視光の波長以下)が設けられた陽極酸化層を形成した。具体的には、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、及び、陽極酸化を順に行う(陽極酸化:5回、エッチング:4回)ことによって、凹凸構造を有する金型6を作製した。このように陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによれば、形成される微小な穴(凹部)は、金型の内部に向かって細くなる形状(テーパー形状)となる。陽極酸化は、シュウ酸(濃度:0.6重量%)を用いて、液温5°C、印加電圧80Vの条件下で行った。1回の陽極酸化を行う時間は、20秒とした。エッチングは、リン酸(濃度:1mol/l)を用いて、液温30℃の条件下で行った。1回のエッチングを行う時間は、25分とした。金型4を走査型電子顕微鏡で観察したところ、隣接する凹部間のピッチ(底点間の距離)は約180nm、凹部の深さは約180nmであった。なお、各凹部の形状は、円錐型であった。 金型6の表面には、離形剤加工を施した。離型剤はダイキン工業社製の「オプツールDSX」 を使用した。
実施例1の光学フィルムを、以下の製造方法によって作製した。
(a)硬化性組成物5の塗布、および金型の離形剤加工(プロセス(1))
硬化性組成物5を基材2の表面上に、バーコーターで塗布した。硬化性組成物5は、表1に示した。硬化性組成物5の厚みは7μmであった。
一方、金型6を準備した。金型6の表面には、離型剤加工が施されていた。具体的には、まず、離型剤をフロロテクノロジー社製の「S−135」で希釈した希釈液を作製した。希釈液中の離型剤の濃度は0.1%であった。次に、金型6の表面に対して、O2アッシングを200Wで20分間行った。そして、離型剤の希釈液を3分間浸漬させることによって、金型6の表面に塗布した。その後、離型剤が表面に塗布された金型6に対して、100°Cで1時間アニールを行い、その後、フロロテクノロジー社製の「S−135」で3分間リンスした。
硬化性組成物5を間に挟んだ状態で基材2を金型6に押し当てた。その結果、金型6の凹凸構造に硬化性組成物5が充填された。
金型6の凹凸構造に充填された部分を含む硬化性組成物5に、HERAEUS社製のUVランプ「LIGHT HANMAR6J6P3」を用いて、基材2側から紫外線(照射量:1,200mJ/cm2)を照射して硬化させ、重合体層3を形成した。重合体層3の厚みは、7μmであった。
金型6を重合体層3から剥離した。その結果、実施例1の光学フィルムが完成した。このフィルムの表面仕様は、下記の通りであった。表面仕様の評価は、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「S−4700」を用いて行われた。なお、評価時には、メイワフォーシス社製のオスミウムコーター「Neoc−ST」を用いて、重合体層3の基材2とは反対側の表面上に和光純薬工業社製の酸化オスミウムVIII(厚み:5nm)が塗布されていた。
凸部の形状:釣鐘状
隣接する凸部間のピッチ:約180nm
凸部の高さ:約180nm
凸部のアスペクト比:1.0
表1に示すような組成に変更したこと以外、実施例1と同様にして、各例の光学フィルムを作製した。得られた光学フィルムの限界歪み、ヤング率、密着性、耐擦傷性、凹凸残存率、を測定した。結果を表1に示す。
なお、実施例2〜4比較例1〜4のフィルムは、IR測定によって1680−1515cm−1付近にアミド基に由来する吸収が存在することが確認できた。
比較例5のフィルムは、IR測定によって1680−1515cm−1付近のアミド基に由来する吸収は存在せず、アミド基を有さないことが確認できた。
等において好適に使用することができ、それらはテレビ、車載ディスプレイ、デジタルサイネージ、掲示板、ショールーム、スタジアム、レストラン、ショーケース、ショーウインドウ、美術館、インテリア加飾、エクステリア加飾等に用いることができる。
Claims (13)
- 基材層及び重合体層を有する光学材料であって、
重合体層は、表面に微細な凹凸を有し、アミド基を有し、表面に微細な凹凸を有し、以下の性質を満たす樹脂層であることを特徴とする光学材料。
ヤング率: 160〜432N/mm2
限界歪み: 10%以上 - 基材フィルム層及び重合体層を有する光学材料であって、
重合体層は、表面に微細な凹凸を有し、微細な凹凸を有する表面を下記条件下でスチールウールを擦過した後の凹凸の残存率が80%以上であることを特徴とする光学材料。
(擦過条件)
試験機として株式会社トリニティーラボ製「トライボマスターTL201Ts」を用い、ステージ上にフィルムを水平状態で固定した。日本スチールウール社製のスチールウール(製品名:#0000)を摩擦子として用い、荷重を200g/cm2、ストローク幅を60mm、速度を60mm/s、擦る回数を10往復として、フィルムの表面を擦過した。 - 前記重合体層の厚みは、1μm以上、20μm以下である請求項1又は2記載の光学材料。
- 前記重合体層の表面に存在する複数の凸部のピッチは、20nm以上、400nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光学材料。
- 前記重合体層の表面に存在する複数の凸部の高さは、各々、50nm以上、500nm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の光学材料。
- 前記重合体層の表面に存在する複数の凸部のアスペクト比は、各々、0.13以上、25以下である請求項1〜5のいずれかに記載の光学材料。
- 表面に微細な凹凸を有する重合体層を形成するために使用される光学材料用硬化性組成物であって、
2以上のアクリルアミド基を有する化合物を含有し、1のアクリルアミド基を有する化合物を実質的に含有しないことを特徴とする光学材料用硬化性組成物。 - 下記条件で硬化させた硬化物が、
ヤング率: 160〜432N/mm2
限界歪み: 10%以上
を満たすものである請求項7記載の光学材料用硬化性組成物。
(硬化条件)
JIS K 6215−5の7号形ダンベルを作製する金型に硬化性組成物を充填し、高圧水銀ランプを用いて、365nmの波長を含む紫外線(照射量:1,200mJ/cm2)を照射して硬化。 - 請求項7又は8記載の光学材料用硬化性組成物を、基材層の表面上に塗布する工程(1)、
基材層を金型に押しあてて、光学材料用硬化性組成物の表面に凹凸構造を形成する工程(2)、
凹凸構造を表面に有する光学材料用硬化性組成物を硬化させる工程(3)及び
金型を重合体層から剥離する工程(4)
を有することを特徴とする光学材料の製造方法。 - 前記重合体層の厚みは、1μm以上、20μm以下であることを特徴とする請求項9記載の光学材料の製造方法。
- 前記重合体層の表面に存在する複数の凸部のピッチは、20nm以上、400nm以下である請求項9又は10のいずれかに記載の光学材料の製造方法。
- 前記重合体層の表面に存在する複数の凸部の高さは、各々、50nm以上、500nm以下である請求項9〜11のいずれかに記載の光学材料の製造方法。
- 前記重合体層の表面に存在する複数の凸部のアスペクト比は、各々、0.13以上、25以下である請求項9〜12のいずれかに記載の光学材料の製造方法。
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