JP2020183491A - 発泡エラストマおよび発泡エラストマの製造方法 - Google Patents

発泡エラストマおよび発泡エラストマの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】減衰性と支持性とを両立させることができる発泡エラストマを提供する。【解決手段】発泡エラストマ10は、ベースポリマ11と発泡剤とを含み、前記発泡剤は、熱可塑性樹脂からなる外殻13a,13bと、外殻13a,13bに内包されかつ加熱によって気化する内包物14とにより構成された発泡性粒子12a,12bからなる。発泡エラストマ10は、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部B1と、発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部A1とを有し、発泡していない発泡性粒子12aの外殻13aが架橋されている。【選択図】図1

Description

本発明は、発泡エラストマおよび発泡エラストマの製造方法に関する。
従来、減衰性および衝撃吸収性等を有するクッション部材として発泡エラストマが知られている。発泡エラストマは、ゴム等のエラストマからなるベースポリマに発泡剤を添加し、この発泡剤を発泡させることで、減衰性および衝撃吸収性等を向上させている。
しかしながら、発泡によりエラストマの減衰性および衝撃吸収性等を向上させると、エラストマの剛性が低下してしまう。そのため、発泡エラストマに支持性(支持機能)を持たせることは難しい。
発泡エラストマの剛性を高める方法として、例えば、特許文献1には、発泡体表面の傷付き防止のために、発泡剤を含む樹脂層を電子線により架橋する技術が記載されている。
特開2005−89959号公報
特許文献1に記載されている技術によれば、発泡エラストマを構成するベースポリマを架橋することで、発泡エラストマに一定の剛性を持たせることができる。ただし、発泡エラストマを構成するベースポリマを架橋したとしても、このような発泡剤を含む発泡エラストマにおいては、発泡エラストマ全体としての剛性は支持性を有するほど高くすることはできない。一方、発泡エラストマにおいて、発泡剤の添加量を減らして支持性を有させるようにした場合には、十分な減衰性が得られない。
本発明の目的は、減衰性と支持性とを両立させることができる発泡エラストマを提供することである。
本発明に係る発泡エラストマは、ベースポリマと発泡剤とを含み、前記発泡剤は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、前記外殻に内包されかつ加熱によって気化する内包物とにより構成された発泡性粒子からなり、前記発泡エラストマは、前記発泡性粒子のうち、発泡した発泡性粒子を含む発泡部と、前記発泡性粒子のうち、発泡していない発泡性粒子を含む非発泡部とを有し、前記発泡していない発泡性粒子の前記外殻が架橋されている。
本発明の一態様では、前記発泡部と前記非発泡部とは一体に形成されている。
本発明の他の一態様では、さらに共架橋剤を含む。
本発明の他の一態様では、前記発泡エラストマは、前記ベースポリマ100質量部に対して、前記発泡剤を5質量部以上10質量部以下含む。
本発明に係る発泡エラストマの製造方法は、(a)ベースポリマと発泡剤とを含む発泡エラストマ用組成物に放射線を照射する工程、(b)前記(a)工程の後に、前記発泡エラストマ用組成物を加熱して前記発泡剤を発泡させ、発泡エラストマを形成する工程、を有し、前記発泡剤は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、前記外殻に内包されかつ加熱によって気化する内包物とにより構成された発泡性粒子からなり、前記(a)工程では、前記発泡性粒子のうちの一部の発泡性粒子に前記放射線を照射して、前記一部の発泡性粒子の前記外殻を架橋し、前記(b)工程では、前記発泡性粒子のうちの前記一部の発泡性粒子以外の発泡性粒子を発泡させる。
本発明の一態様では、前記(a)工程の前に、(c)前記ベースポリマと前記発泡性粒子とを、前記発泡性粒子の前記内包物が気化する温度よりも低い温度で混練し、前記発泡エラストマ用組成物を形成する工程、を含む。
本発明の他の一態様では、前記(a)工程において、前記放射線は電子線である。
本発明の他の一態様では、前記(a)工程では、前記発泡エラストマ用組成物のうち前記放射線が照射される表面における処理深さは、前記発泡性粒子の粒子径以上である。
本発明の他の一態様では、前記放射線が照射される表面を基準とした前記発泡エラストマ用組成物の厚さは、前記処理深さよりも厚く、前記(a)工程において、前記発泡エラストマ用組成物のうちの、前記処理深さよりも浅い領域に含まれる前記一部の発泡性粒子の前記外殻を架橋する。
本発明の他の一態様では、前記発泡エラストマ用組成物は、さらに共架橋剤を含み、前記共架橋剤は、分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、前記(a)工程では、前記ベースポリマと前記共架橋剤とを、前記放射線によって架橋する。
本発明の他の一態様では、前記(a)工程の前に、(d)前記発泡エラストマ用組成物の表面を放射線遮蔽層で覆う工程、を有し、前記(a)工程では、前記発泡エラストマ用組成物のうち前記放射線遮蔽層で覆われない部分に含まれる前記発泡性粒子の前記外殻を前記放射線によって架橋する。
本発明の他の一態様では、前記発泡エラストマ用組成物は、さらに共架橋剤を含み、前記共架橋剤は、分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、前記(a)工程では、前記発泡エラストマ用組成物のうち前記放射線遮蔽層で覆われない部分に含まれる前記ベースポリマと前記共架橋剤とを、前記放射線によって架橋する。
本発明によれば、発泡エラストマにおいて、減衰性と支持性とを両立させることができる。
第1実施形態に係る発泡エラストマを示す断面図である。 第1実施形態に係る発泡性粒子の一部切り欠き斜視断面図である。 第1実施形態に係る発泡エラストマの製造工程を示すフローである。 第1実施形態に係る発泡エラストマの製造工程中、放射線照射工程を示す模式図である。 第1実施形態に係る発泡エラストマの製造工程中、発泡工程を示す模式図である。 第1実施形態の変形例に係る発泡エラストマを示す断面図である。 第1実施形態の変形例に係る発泡エラストマの製造工程中、放射線照射工程を示す模式図である。 第2実施形態に係る発泡エラストマを示す断面図である。 第2実施形態に係る発泡エラストマの製造工程中、放射線照射工程を示す模式図である。 実施例に係る発泡エラストマを示す断面図である。 図10に示す発泡エラストマを説明する模式図である。 実施例に係る発泡エラストマにおいて、非発泡部および発泡部の組成を示す模式図である。 図12に示す実施例に係る発泡エラストマにおいて、非発泡部と発泡部との硬度差を示すグラフである。 実施例に係る発泡エラストマの製造工程中、放射線照射工程における処理深さと相対線量との関係を示すグラフである。
(第1実施形態)
<第1実施形態に係る発泡エラストマの構成>
以下、本発明の発泡エラストマの実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、原材料や組成、成分を表す場合には、「(B)発泡剤」のように大文字のアルファベットを先頭に付して表し、物として特定できるものを表す場合には、「発泡エラストマ10」のように符号を末尾に付して表す。
図1は、第1実施形態に係る発泡エラストマ10を示す断面図である。図2は、第1実施形態に係る発泡性粒子12a,12b,12cの一部切り欠き斜視断面図である。図1に示すように、第1実施形態に係る発泡エラストマ10は、(A)ベースポリマ11と(B)発泡剤とを含んでいる。ここで、厳密には、図1等に示す発泡エラストマ10を構成する組成物11が(A)ベースポリマからなるのであるが、簡略化のために、「(A)ベースポリマからなる組成物11」を「(A)ベースポリマ11」のように表している。
図1および図2に示すように、(B)発泡剤は、熱可塑性樹脂からなる外殻13a,13b,13cと、外殻13a,13b,13cに内包されかつ加熱によって気化する内包物14とにより構成された発泡性粒子12a,12b,12cからなる。詳細は後述するが、発泡性粒子12a,12b,12cのうち、外殻13aが架橋された発泡性粒子を発泡性粒子12aと、発泡した発泡性粒子を発泡性粒子12bと、未反応(未架橋かつ未発泡)の発泡性粒子を発泡性粒子12cと、それぞれ称する。このような発泡性粒子からなる(B)発泡剤の例としては、マイクロカプセル型の発泡剤が挙げられる。
ここで、「加熱によって気化する」とは、固体または液体である内包物14が、加熱によって蒸発、昇華または熱分解することにより気体になることを意味する。すなわち、「発泡性粒子が発泡する」とは、発泡性粒子12cを加熱した際に、熱可塑性樹脂からなる外殻13cが加熱によって軟化し、かつ、内包物14が加熱によって気化することによって発泡性粒子12c内の圧力が上昇し、外殻13cが膨張することを意味する。発泡した発泡性粒子12bにおいて、内包物14は、(1)そのまま冷却されて内包物14が凝縮した状態で留まるか、(2)外殻13cが膨張した際に生じる亀裂等から脱出するかのいずれかとなる。前記(2)の場合には、外殻13bの内部が空気と置換されて空洞となる。前記(1)および(2)のいずれの場合であっても、発泡した発泡性粒子12bの外殻13bは、冷却によってそのまま硬化し、膨張した状態が維持される。
図1に示すように、第1実施形態に係る発泡エラストマ10は、発泡性粒子12a,12bのうち、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部B1と、発泡性粒子12a,12bのうち、発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部A1とを有している。そして、発泡していない発泡性粒子12aの外殻13aが架橋されている。
ここで、図1に示すように、第1実施形態においては、発泡エラストマ10のうち、厚さ方向に直交する方向(平面方向)の領域A1に存在する部分を「非発泡部A1」と、領域B1に存在する部分を「発泡部B1」と、それぞれ称する。なお、発泡エラストマ10の厚さをt1とする。発泡エラストマ10の厚さt1は、例えば2mm程度である。
図1に示すように、発泡した発泡性粒子12bの粒子径(外径、長径)φ2は、未反応の発泡性粒子12cの粒子径(外径、長径)φ1よりも大きい。一方、後述の図4に示すように、外殻13aが架橋された発泡性粒子12aの粒子径φ1は、未反応の発泡性粒子12cの粒子径φ1と略同一である。未反応の発泡性粒子12cの粒子径φ1は、例えば5μm以上50μm以下であり、外殻13cの厚さφ3は、例えば2μm以上15μm以下である。また、発泡した発泡性粒子12bの粒子径φ2は、例えば50μm以上300μm以下である。
外殻13a,13b,13cを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、または、アクリル系共重合体等が挙げられる。また、内包物14としては、例えば、イソブタンやイソペンタン等の炭化水素、またはこれらのハロゲン化物、あるいはテトラアルキルシラン等が挙げられる。内包物14は、前記した成分を単独で含んでいてもよいし、2種類以上の前記した成分が併用されていてもよい。
第1実施形態に係る発泡性粒子12cの外殻13cの架橋方法は、特に限定されるものではないが、後述する発泡エラストマ10の製造方法で説明するように、外殻13cの原材料、あるいは、発泡エラストマ10の温度または流動性の制限を受けない放射線架橋法が好ましい。
また、第1実施形態に係る発泡性粒子12aは、(1)未架橋の発泡性粒子12cをベースポリマ11と混練させた後に、発泡性粒子12cの外殻13cを架橋してもよいし、(2)発泡性粒子12cの外殻13cを予め架橋して、架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aを準備し、この発泡性粒子12aをベースポリマ11と混練させてもよい。ここで、ベースポリマ11に、架橋された外殻13cを有する発泡性粒子12aを含有させることにより、補強効果により硬度(剛性)を向上することができる。また、比重が低い発泡剤を選択すれば軽量化することもできる。なお、非発泡部A1と発泡部B1との位置(領域)制御を精度良くかつ容易にするという観点からは、前記(1)の製造方法が好ましい。そのため、後述する発泡エラストマ10の製造方法では、前記(1)の製造方法を例に説明する。
第1実施形態の発泡エラストマ10において、(B)発泡剤の含有量(添加量)は特に限定されるものではないが、(A)ベースポリマ100質量部に対して、(B)発泡剤を2質量部以上20質量部以下含むことが好ましく、(B)発泡剤を5質量部以上10質量部以下含むことがより好ましい。(A)ベースポリマ100質量部に対する(B)発泡剤の含有量が2質量部未満であると、十分な減衰性が得られず、(B)発泡剤の含有量が20質量部を超えると、発泡エラストマの加工性の低下や表面荒れ等の問題が生じる。
第1実施形態に係る発泡エラストマ10を構成する(A)ベースポリマは特に限定されるものではないが、1種または2種以上のゴム(熱硬化性エラストマ)又は熱可塑性エラストマが使用される。(A)ベースポリマとしてゴムを用いる場合には、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム物質等が挙げられる。耐老化性、耐オゾン性および耐候性の観点から、(A)ベースポリマとしては、非ジエン系ゴムであるシリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴムが好ましい。
また、(A)ベースポリマとして熱可塑性エラストマを用いる場合は、フッ素系エラストマ、ポリスチレン系エラストマ、ポリオレフィン系エラストマ、ポリ塩化ビニル系エラストマ、ポリウレタン系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、ポリエステル系エラストマが好ましい。
また、第1実施形態に係る発泡エラストマ10は、さらに(C)架橋剤を含んでいてもよい。(C)架橋剤としては、例えば、過酸化物架橋剤が挙げられ、中でも2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。(C)架橋剤は、(A)ベースポリマ11を架橋するためのものである。このように発泡エラストマ10に(C)架橋剤を添加した場合には、発泡エラストマ10全体としての剛性を高めることができる。(C)架橋剤の添加量は特に限定されるものではないが、(A)ベースポリマ100質量部に対して、通常(C)架橋剤を0.1質量部以上10質量部以下含むことが好ましい。
以上で説明したように、第1実施形態に係る発泡エラストマ10は、その特徴的な構成として、図1に示すように、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部B1と、発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部A1とを有している。そして、発泡していない発泡性粒子12aの外殻13aが架橋されている。こうすることで、第1実施形態に係る発泡エラストマ10において、減衰性と支持性とを両立させることができる。以下、その理由について説明する。
今般、本発明者は、図1および図2に示す発泡性粒子12cの外殻13cを架橋することで、発泡性粒子の発泡を抑制できることを見出した。架橋された外殻13aは、網目状構造を有し、分子鎖の動きが抑制されるため、熱変形が抑制される。そのため、架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aを加熱した際に、未架橋の場合に比べて外殻13aが軟化しにくくなり、発泡性粒子12a内の圧力が上昇しても外殻13aが膨張しなくなると考えられる。このように、発泡性粒子の外殻を架橋することで、発泡性粒子の発泡を制御することができる。
従って、第1実施形態に係る発泡エラストマ10にあっては、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部B1が減衰性を担保し、かつ、架橋され発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部A1が支持性を担保するため、減衰性と支持性とを両立させることができる。
特に、図1に示すように、第1実施形態に係る発泡エラストマ10にあっては、発泡エラストマ10の平面方向の領域ごとに、減衰性が必要な部分に発泡部B1を、支持性が必要な部分に非発泡部A1をそれぞれ配置している。そのため、第1実施形態に係る発泡エラストマ10にあっては、減衰性および支持性の位置制御が可能となる。
また、図1に示すように、第1実施形態に係る発泡エラストマ10において、発泡部B1と非発泡部A1とは一体に形成されていることが好ましい。発泡部B1と非発泡部A1とを別体で形成し接合した場合は、接合部分に応力が集中し、当該接合部分が破壊される可能性がある。この点、第1実施形態に係る発泡エラストマ10において、発泡部B1と非発泡部A1とは一体に形成されている場合には、発泡エラストマ10全体の強度を低下させることなく、減衰性を高めた部分と支持性を高めた部分との両方を有する発泡エラストマ10を実現することができる。
なお、第1実施形態に係る発泡エラストマ10は、(B)発泡剤(すなわち発泡性粒子)以外の発泡剤(例えば、熱分解性発泡剤)を含んでいてもよい。この場合には、図1に示す領域B1は、(B)発泡剤と(B)発泡剤以外の発泡剤との両方が発泡している一方、領域A1は(B)発泡剤以外の発泡剤のみが発泡していることになる。こうすることで、発泡エラストマ全体として減衰性を有させるとともに、第1実施形態に係る発泡エラストマ10と同様に、発泡エラストマの領域A1に部分的に支持性を有させることができる。
以上で説明した発泡エラストマ10は、種々の用途に採用することができるが、例えば、減衰性と支持性とを必要とするワイパ装置に好適に用いることができる。
<第1実施形態に係る発泡エラストマの製造方法>
以下、本発明の発泡エラストマの製造方法の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。図3は、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造工程を示すフローである。図4は、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造工程中、放射線照射工程を示す模式図である。図5は、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造工程中、発泡工程を示す模式図である。
第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造方法は、(A)ベースポリマと(B)発泡剤とを混練し混練物を生成する工程(図3に示す混練工程S1)と、混練工程S1の後に、前記混練物を成形し、図4に示す発泡エラストマ用組成物100を形成する工程(図3に示す成形工程S2)と、成形工程S2の後に、図4に示すように、発泡エラストマ用組成物100に放射線を照射する工程(図3に示す放射線照射工程S3)と、放射線照射工程S3の後に、図5に示すように、発泡エラストマ用組成物100を加熱し、発泡エラストマ用組成物100中の発泡性粒子12cを発泡させ、発泡エラストマ10を形成する工程(図3に示す発泡工程S4)とを有している。ここで、「発泡エラストマ用組成物」とは、「(B)発泡剤が発泡する前の状態の発泡エラストマ」を意味している。
前述したように、(B)発泡剤は、図2に示す、熱可塑性樹脂からなる外殻13cと、外殻13cに内包されかつ加熱によって気化する内包物14とにより構成された発泡性粒子12cからなる。
第1実施形態に係る放射線照射工程S3では、図4に示すように、発泡性粒子12cのうちの一部、すなわち、発泡エラストマ用組成物100の領域A1に含まれる発泡性粒子12cに放射線50を照射して、当該発泡性粒子12cの外殻13cを架橋する。その結果、発泡エラストマ用組成物100の領域A1には、架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aが含まれることになる。一方、発泡エラストマ用組成物100の領域B1に含まれる発泡性粒子12cには放射線50が照射されないため、当該発泡性粒子12cの外殻13cは架橋されない。
そして、第1実施形態に係る発泡工程S4では、図5に示すように、発泡エラストマ用組成物100の領域B1に含まれる発泡性粒子12cを発泡させる。前述したように、発泡エラストマ用組成物100の領域A1に含まれる架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aは、加熱しても発泡しないため、発泡エラストマ用組成物100全体を加熱した場合に、領域B1に含まれる発泡性粒子12cは発泡する一方、領域A1に含まれる発泡性粒子12aは発泡しない。
以上より、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造方法によれば、発泡エラストマ10において、発泡した発泡性粒子12bを含み、減衰性を担保する発泡部B1と、架橋され発泡していない発泡性粒子12aを含み、支持性を担保する非発泡部A1とを一体に形成することができる。その結果、発泡エラストマ10全体の強度を低下させることなく、減衰性を高めた部分と支持性を高めた部分との両方を有する発泡エラストマ10を実現することができる。
また、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造方法によれば、発泡エラストマ用組成物100の任意の平面領域(具体的には非発泡部A1)に含まれる発泡性粒子12cを架橋して、発泡を制御することができるため、発泡エラストマ10において減衰性および支持性の位置制御が可能となる。従って、混練工程S1において、(B)発泡剤を(A)ベースポリマ全体に満遍なく混ぜたとしても、後工程である放射線照射工程S3において発泡させる箇所を選択できる。よって、混練工程S1において、(B)発泡剤を所定の箇所のみに混ぜるなどの作業が不要となり、製造工程を簡易化できる。
以下では、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造方法の各工程について、より詳細に説明する。
図3に示す第1実施形態に係る混練工程S1では、好ましくは(A)ベースポリマ11と、(B)発泡剤である発泡性粒子12cと、必要に応じて(C)架橋剤と、必要に応じて後述の(D)共架橋剤とを、発泡性粒子12cの内包物14が気化する温度よりも低い温度で混練し混練物を生成する。そして、図3に示す第1実施形態に係る成形工程S2では、好ましくは、前記混練物を、発泡性粒子12cの内包物14が気化する温度よりも低い温度で成形し、発泡エラストマ用組成物100を形成する(図4参照)。こうすることで、放射線照射工程S3において発泡性粒子12cの外殻13cを架橋する前に発泡性粒子12cが発泡するという事態を確実に防止できる。
ここで、図3に示す第1実施形態に係る混練工程S1および成形工程S2の具体的な内容について、(A)ベースポリマとしてゴム(熱硬化性エラストマ)を用いる場合と、熱可塑性エラストマを用いる場合とに分けて説明する。
まず、(A)ベースポリマとしてゴムを用いる場合は、(A)ベースポリマ11と、(B)発泡剤である発泡性粒子12cと、(C)架橋剤と、必要に応じて後述の(D)共架橋剤とを混練し、混練物を生成する。そして、図3に示す第1実施形態に係る成形工程S2では、前記混練物を加熱して、(C)架橋剤により(A)ベースポリマを架橋して硬化させ、発泡エラストマ用組成物100として成形する(図4参照)。
一方、(A)ベースポリマとして熱可塑性エラストマを用いる場合は、(A)ベースポリマ11と、(B)発泡剤である発泡性粒子12cと、必要に応じて後述の(D)共架橋剤とを混練し、混練物を生成する。そして、図3に示す第1実施形態に係る成形工程S2では、前記混練物を冷却して固化させ、発泡エラストマ用組成物100として成形する(図4参照)。なお、図3に示す第1実施形態に係る発泡工程S4では、発泡エラストマ用組成物100への加熱を部分的に、または瞬時に行うことによって、発泡エラストマ用組成物100の熱による溶融を抑制できる。また、成形工程S2で使用した成形型に発泡エラストマ用組成物100を入れたまま発泡工程S4を行うことで、発泡エラストマ用組成物100の溶融による変形を抑制できる。
また、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造方法において、好ましくは、図3に示す混練工程S1および成形工程S2の後であって、放射線照射工程S3の前に、図4に示すように、発泡エラストマ用組成物100の表面51を放射線遮蔽層52で覆う工程を有し、放射線照射工程S3では、発泡エラストマ用組成物100のうち放射線遮蔽層52で覆われない領域A1に含まれる発泡性粒子12cの外殻13cを放射線50により架橋する。放射線遮蔽層52は、放射線50を反射または吸収等する材料からなり、具体例としては鉛等の金属や耐放射線性プラスチック等が挙げられる。こうすることで、放射線照射工程S3において、発泡エラストマ用組成物100の平面方向において、放射線50の照射領域(具体的には非発泡部A1)を自由に選択して、その領域に含まれる発泡性粒子12cの外殻13cを架橋して、発泡を制御することができる。その結果、発泡エラストマ10において減衰性および支持性の位置制御を簡便かつ容易に行うことができる。特に、放射線遮蔽層52をμmオーダーで形成することによって、発泡エラストマ10において、減衰性および支持性のμmオーダーでの位置制御が可能となる。なお、図4に示す放射線遮蔽層52は、図3に示す発泡工程S4の前に、発泡エラストマ用組成物100から除去してもよいし、場合によって、完成した発泡エラストマ10にそのまま残存させてもよい。
また、図3に示す第1実施形態に係る放射線照射工程S3において、図4に示す放射線50としては、例えば、電子線、α線、β線、γ線、紫外線、X線等の電離性放射線が挙げられ、中でも電子線が好ましい。電子線は粒子線であり、エネルギー付与率(微小な距離を進む間に物質に与えるエネルギーの割合)が高く、かつ、加速方向への高い指向性を有し、吸収線量率が高いためである。
図4に示す放射線50に電子線を用いた場合において、電子線の加速電圧は、例えば、10kV以上500kV以下であり、電子線の照射線量は、例えば、10kGy以上500kGy以下である。
また、図3に示す第1実施形態に係る放射線照射工程S3において、好ましくは、図4に示すように、発泡エラストマ用組成物100のうち放射線50が照射される表面51における処理深さ(架橋処理深さ)は、発泡性粒子12cの粒子径φ1以上である。これにより、発泡エラストマ用組成物100の表面51から放射線50が発泡性粒子12cの粒子径φ1以上に侵入することになるため、発泡性粒子12cの外殻13cを確実に架橋することができる。そして、より好ましくは、発泡エラストマ用組成物100のうち放射線50が照射される表面51における処理深さは、発泡エラストマ用組成物100の厚さt1以上である。これにより、発泡エラストマ用組成物100の表面51から放射線50が発泡エラストマ用組成物100の厚さ以上に侵入することになるため、発泡エラストマ用組成物100の領域A1に含まれる全ての発泡性粒子12cの外殻13cを確実に架橋することができる。
後述の実施例に示すように、放射線50として電子線を用い、発泡性粒子12cの粒子径φ1が50μmである場合には、発泡エラストマ用組成物100における処理深さdが50μm以上であることが必要となり、これを満たす電子線の条件は、加速電圧が80kV以上、かつ、照射線量が80kGy以上である。
なお、図3に示す第1実施形態に係る放射線照射工程S3では、発泡エラストマ用組成物100のうち、放射線50が照射される非発泡部Aの表面51から処理深さまでの部分において、(A)ベースポリマ11が放射線50によって架橋される。すなわち、放射線50が照射される非発泡部A1の(A)ベースポリマ11は架橋される一方、放射線50が照射されない発泡部B1の(A)ベースポリマ11は架橋されない。こうすることで、第1実施形態に係る発泡エラストマ10において、発泡部B1は架橋されないため、減衰性を損なうことがなく、かつ、非発泡部A1は架橋により剛性が高められるため、支持性を向上することができる。
(変形例)
以下、前記第1実施形態の変形例について、図面を参照して説明する。なお、変形例を示す各図中において、第1実施形態の発泡エラストマと同一または同様の部分または構成要素は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さず、省略する(後述する第2実施形態についても同様)。
<変形例に係る発泡エラストマの構成>
以下、変形例に係る発泡エラストマ20の構成について説明する。図6は、変形例に係る発泡エラストマ20を示す断面図である。
図6に示すように、変形例に係る発泡エラストマ20は、基本的には第1実施形態の発泡エラストマと同様に構成されているが、変形例に係る発泡エラストマ20は、さらに(D)共架橋剤を含む点で、図1に示す第1実施形態の発泡エラストマ10と相違している。(D)共架橋剤とは、架橋助剤ともよばれ、化学架橋剤(例えば過酸化物架橋剤)または放射線によって、(A)ベースポリマ11とともに架橋される物質のことをいう。すなわち、(D)共架橋剤を添加することによって、(A)ベースポリマ同士だけでなく、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤との間、および/または(D)共架橋剤同士がそれぞれ架橋されることになる。図6に示すように、変形例に係る発泡エラストマ20において、非発泡部A1に存在する組成物15は、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋された組成物を表している。一方、変形例に係る発泡エラストマ20において、発泡部B1では、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とは架橋されていないため、発泡部B1に存在する組成物を、便宜上、前述の(A)ベースポリマと同符号の組成物11として表している。
変形例に係る(D)共架橋剤は、特に限定されるものではないが、「分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物」を用いることが好ましい。「分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物」とは、分子内にラジカル重合性の不飽和結合であるエチレン性不飽和結合(−C=C−)を複数有する共架橋剤(架橋助剤)であり、前述した(C)架橋剤によっては架橋反応が促進されない一方、図7に示す放射線50によって架橋反応が促進されるという特性を有する。
分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、以下に示す2官能性化合物、および/または3官能以上の多官能性化合物が挙げられる。なお、以下、「(メタ)アクリレート」とは、「メタクリレート」および「アクリレート」から選ばれる1種以上を指す。
2官能性化合物としては、例えば、シリコーンジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートのジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリセリンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、2,2’−ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールのジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、ペンタンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(グリシジルオキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリル酸付加物などが挙げられる。
多官能性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロキシプロピル)イソシアヌレート、トリアリルトリメリット酸、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
これらの分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物は、(D)共架橋剤として、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
図6に示すように、変形例に係る発泡エラストマ20にあっては、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部B1と、発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部A1とを有している。そして、発泡していない発泡性粒子12aの外殻13aが架橋されている。そのため、変形例に係る発泡エラストマ20において、前記第1実施形態に係る発泡エラストマと同様に、減衰性と支持性とを両立させることができる。
特に、変形例に係る発泡エラストマ20にあっては、非発泡部A1に存在する組成物15は、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋された組成物である一方、発泡部B1に存在する組成物11は、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋されていない組成物である。こうすることで、変形例に係る発泡エラストマ20において、発泡部B1は減衰性を損なうことがなく、かつ、非発泡部A1は(D)共架橋剤により剛性が高められるため、支持性を向上することができる。
<変形例に係る発泡エラストマの製造方法>
以下、変形例に係る発泡エラストマ20の製造方法について説明する。図7は、変形例に係る発泡エラストマ20の製造工程中、放射線照射工程を示す模式図である。
変形例に係る発泡エラストマ20の製造方法は、基本的には第1実施形態の発泡エラストマと同様であるが、前述した(D)共架橋剤を含むことによる相違点を以下説明する。
図3に示す混練工程S1では、(A)ベースポリマと(B)発泡剤と(C)架橋剤と(D)共架橋剤とを混練し、混練物を生成する。図3に示す成形工程S2では、前記混練物を成形して、発泡エラストマ用組成物200を形成する。ここで、必須ではないが、第1実施形態と同様に、放射線照射工程S3の前に、発泡エラストマ用組成物200の表面51を放射線遮蔽層52で覆う工程を有することが好ましい。
そして、図3に示す放射線照射工程S3では、図7に示すように、発泡エラストマ用組成物200に放射線50を照射し、発泡エラストマ用組成物200のうち放射線遮蔽層52で覆われない領域A1に含まれる発泡性粒子12cの外殻13cを架橋する。ここで、前述したように、(D)共架橋剤が、図7に示す放射線50によって架橋反応が促進されるという特性を有している場合、図3に示す放射線照射工程S3では、図7に示すように、領域A1において、(A)ベースポリマ11と(D)共架橋剤とが放射線50によって架橋される。一方、発泡エラストマ用組成物200のうち放射線遮蔽層52で覆われた領域B1では、放射線50が照射されないため、(A)ベースポリマ11と(D)共架橋剤との架橋反応は進行しない。
その後、図3に示す発泡工程S4では、第1実施形態と同様に、発泡エラストマ用組成物200の領域A1に含まれる発泡性粒子12aを発泡させない一方で、領域B1に含まれる発泡性粒子12cを発泡させる(図示は省略する)。ここで、(D)共架橋剤は放射線50によって架橋反応を促進するが、加熱では反応しないため、発泡工程S4において(D)共架橋剤によりゴム全体の架橋が進み硬化するということはない。
以上より、変形例に係る発泡エラストマ20の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、発泡エラストマ20において、発泡した発泡性粒子12bを含み、減衰性を担保する発泡部B1と、架橋され発泡していない発泡性粒子12aを含み、支持性を担保する非発泡部A1とを一体に形成することができる。その結果、発泡エラストマ20全体の強度を低下させることなく、減衰性を高めた部分と支持性を高めた部分との両方を有する発泡エラストマ20を実現することができる。特に、変形例に係る発泡エラストマ20の製造方法にあっては、発泡エラストマ20のうち非発泡部A1を、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋された組成物15により構成することができる一方、発泡部B1を(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋されていない組成物11により構成することができる。その結果、変形例に係る発泡エラストマ20において、発泡部B1は減衰性を損なうことがなく、かつ、非発泡部A1は(D)共架橋剤により剛性が高められるため、支持性を向上することができる。そして、変形例に係る発泡エラストマ20の製造方法によれば、発泡エラストマ用組成物200の任意の平面領域において、発泡制御に加え、(D)共架橋剤による剛性制御も可能となる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照して説明する。
<第2実施形態に係る発泡エラストマの構成>
以下、第2実施形態の発泡エラストマの構成について説明する。図8は、第2実施形態に係る発泡エラストマ30を示す断面図である。ここで、図8に示すように、第2実施形態においては、発泡エラストマ30のうち、厚さ方向の領域A1に存在する部分を「非発泡部A1」と、領域B1に存在する部分を「発泡部B1」と、それぞれ称する。
図8に示すように、第2実施形態に係る発泡エラストマ30は、基本的には第1実施形態の発泡エラストマと同様に構成されている。ただし、図1に示すように第1実施形態に係る発泡エラストマ10は、発泡エラストマ10の平面方向の領域ごとに、発泡部B1および非発泡部A1をそれぞれ配置していたのに対して、図8に示すように、第2実施形態に係る発泡エラストマ30は、発泡エラストマ30の厚さ方向の領域ごとに、発泡部B1および非発泡部A1をそれぞれ配置している点で、図1に示す第1実施形態の発泡エラストマ10と相違している。
図8に示すように、第2実施形態に係る発泡エラストマ30にあっては、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部B1と、発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部A1とを有している。そして、発泡していない発泡性粒子12aの外殻13aが架橋されている。そのため、第2実施形態に係る発泡エラストマ30において、前記第1実施形態に係る発泡エラストマと同様に、減衰性と支持性とを両立させることができる。
また、図8に示すように、第2実施形態に係る発泡エラストマ30にあっては、発泡エラストマ30の厚さ方向の領域ごとに、減衰性が必要な部分に発泡部B1を、支持性が必要な部分に非発泡部A1をそれぞれ配置している。そのため、第2実施形態に係る発泡エラストマ30にあっては、前記第1実施形態に係る発泡エラストマと同様に、減衰性および支持性の位置制御が可能となる。特に、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせることによって、発泡エラストマの平面方向および厚さ方向の任意の領域に発泡部B1および非発泡部A1を配置でき、設計の自由度を高めることができる。
<第2実施形態に係る発泡エラストマの製造方法>
以下、第2実施形態に係る発泡エラストマ30の製造方法について説明する。図9は、第2実施形態に係る発泡エラストマ30の製造工程中、放射線照射工程を示す模式図である。
第2実施形態に係る発泡エラストマ30の製造方法は、基本的には第1実施形態の発泡エラストマと同様であるため、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
前述したように、第1実施形態に係る放射線照射工程S3(図3参照)では、図4に示すように、発泡エラストマ用組成物100の表面51のうちの一部(領域A1)に放射線50を照射することによって、発泡エラストマ用組成物100の領域A1に含まれる発泡性粒子12cに放射線50を照射して、当該発泡性粒子12cの外殻13cを架橋していた。
それに対して、第2実施形態では、図9に示すように、放射線50が照射される表面51を基準とした発泡エラストマ用組成物300の厚さt2は、表面51における処理深さdよりも厚くしている。そして、図3に示す第2実施形態に係る放射線照射工程S3(図3参照)では、図9に示すように、発泡エラストマ用組成物300の表面51の全部に放射線50を照射するが、発泡エラストマ用組成物300のうちの、処理深さdよりも浅い領域A1に含まれる発泡性粒子12cの外殻13cを架橋する。その結果、発泡エラストマ用組成物300の領域A1には、架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aが含まれることになる。一方、発泡エラストマ用組成物300のうちの、処理深さdよりも深い領域B1に含まれる発泡性粒子12cには放射線50が照射されないため、当該発泡性粒子12cの外殻13cは架橋されない。なお、第2実施形態に係る放射線照射工程S3においては、図9に示すように、処理深さdは、発泡性粒子12cの粒子径φ1以上であることが必須となる。
以上より、第2実施形態に係る発泡エラストマ30の製造方法によれば、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造方法と同様に、発泡エラストマ30において、発泡した発泡性粒子12bを含み、減衰性を担保する発泡部B1と、架橋され発泡していない発泡性粒子12aを含み、支持性を担保する非発泡部A1とを一体に形成することができる。その結果、発泡エラストマ30全体の強度を低下させることなく、減衰性を高めた部分と支持性を高めた部分との両方を有する発泡エラストマ30を実現することができる。
また、第2実施形態に係る発泡エラストマ30の製造方法によれば、放射線50の加速電圧を変化させることによって、発泡エラストマ用組成物300の任意の厚さ領域(具体的には非発泡部A1)に含まれる発泡性粒子12cを架橋して、発泡を制御することができる。その結果、発泡エラストマ30において減衰性および支持性の位置制御が可能となる。
第2実施形態に係る発泡エラストマ30の製造方法にあっては、マスクとしての放射線遮蔽層52を設ける必要がない点で、第1実施形態よりも有利である。一方、放射線遮蔽層52によって位置制御が精度よく行える点で、第1実施形態に係る発泡エラストマ10の製造方法は、第2実施形態よりも有利である。
また、前述した変形例を第2実施形態に適用してもよい。すなわち、発泡エラストマのうち非発泡部A1を、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋された組成物により構成することができる一方、発泡部B1を(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋されていない組成物により構成することができる。その結果、変形例に係る発泡エラストマ20において、発泡部B1は減衰性を損なうことがなく、かつ、非発泡部A1は(D)共架橋剤により剛性が高められるため、支持性を向上することができる。そして、第2実施形態に変形例を適用することによって、発泡エラストマ用組成物の任意の厚さ領域において、発泡制御に加え、(D)共架橋剤による剛性制御も可能となる。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例および比較例の概要>
以下、実施例1,2,3,4,5(以下、実施例1〜5とする。)および比較例1,2,3,4,5,6(以下、比較例1〜6とする。)の試験片について説明する。実施例1〜5の発泡エラストマは、図1、図6および図8に示す発泡エラストマ10,20,30のいずれか、またはこれらを組み合わせた構成に対応する。また、比較例1〜6の試験片は、前記実施の形態とは異なる組成である。実施例1〜5および比較例1〜6で作製した試験片は、いずれも円柱形状であり、直径は29mm、厚さは12.5mmとした。
また、実施例1〜5および比較例1〜6の試験片における原材料の配合および放射線照射工程S3(図3参照)における放射線(電子線)の照射条件を表1に示している。
ここで、実施例1〜5および比較例1〜6で用いた原材料について説明する。(A)ベースポリマは、シリコーンゴム(KE−541、信越化学製)、(B)発泡剤は、マイクロカプセル型の発泡剤(FN−180D、平均粒子径50μm、松本油脂製薬製)、(C)架橋剤は、過酸化物架橋剤(C−8A、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、信越化学製)、(D)共架橋剤は、ライトエステルTMP(共栄社化学製)である。
実施例1〜5および比較例1〜6における配合の違いについて、表1を参照し説明する。表1に示すように、実施例1の試験片では(A)ベースポリマ100質量部に対して(B)発泡剤を5質量部含んでいるのに対して、実施例2の試験片では(A)ベースポリマ100質量部に対して(B)発泡剤を10質量部含んでいる点が相違している。また、実施例3の試験片は、実施例2の試験片に(D)共架橋剤をさらに添加している点が相違している。比較例1の試験片は、実施例1,2の試験片と異なり、(B)発泡剤を含んでいない点が相違している。比較例2の試験片は、比較例1の試験片に(D)共架橋剤をさらに添加している点が相違している。すなわち、比較例2の試験片は、実施例3の試験片と異なり、(B)発泡剤を含んでいない点が相違している。また、実施例4,5および比較例3,4,5,6の試験片は、実施例1の試験片と配合が同じである。
なお、試験片には(B)発泡剤を含むもの(実施例1〜5、比較例3〜6)と、(B)発泡剤を含んでいないもの(比較例1,2)との両方があるため、以下では、試験片のうち電子線が照射された領域を「非発泡部(照射領域)A1」と、電子線が照射されていない領域を「発泡部(非照射領域)B1」と便宜上呼ぶこととする。すなわち、(B)発泡剤を含んでいない試験片についても電子線が照射されていない領域を「発泡部B1」と呼ぶことがある。
<実施例および比較例の製造方法>
実施例1〜5および比較例1〜6の試験片の製造方法は次の通りである。まず、表1に示す実施例1〜5および比較例1〜6の各原材料を2本ロールにより混合した(図3に示す混練工程S1)。混合した原材料をプレス成型により120℃で加熱し、試験片用組成物を生成した(図3に示す成形工程S2)。その後、この試験片用組成物に表1に示す条件で電子線(電子線照射装置:アイコンパクトEB、岩崎電気製)を照射した(図3に示す放射線照射工程S3)。この際、電子線が照射される試験片用組成物の表面の一部を金属(放射線遮蔽層)で覆った。その後、電子線を照射した試験片用組成物を200℃に加熱し、試験片を作製した(図3に示す発泡工程S4)。
前記放射線照射工程S3において、電子線が照射された領域が非発泡部(照射領域)A1に相当し、金属で覆われたためか、処理深さよりも深いためかのいずれかの理由により電子線が照射されていない領域が発泡部(非照射領域)B1に相当する。
<実施例および比較例の評価方法>
実施例および比較例の試験片は、以下の(1)硬度および(2)発泡抑制について評価した。
(1)硬度
試験片の硬度(デュロメータ硬さ)を測定した。デュロメータはタイプAを使用し、試験片に接触させてから5秒後に指示値を読み取った。硬度の測定は、実施例1,2,3および比較例1,2に対して行った。なお、硬度の評価にあっては、実施例1,2,3および比較例1,2において、図1、図6および図8に示す非発泡部A1の硬度と発泡部B1の硬度とをそれぞれ測定し、その数値の差分を硬度差として評価した。
(2)発泡抑制
放射線(電子線)を照射した領域において発泡が抑制されているかどうかを評価した。具体的には、試験片の断面を目視で観察し、前記発泡工程S4の前後で発泡性粒子の大きさに変化がないものを発泡が抑制されているものとして「○」、発泡性粒子の大きさが大きくなっているものを発泡が抑制されてないものとして「×」とした。なお、発泡抑制の評価にあっては、比較例1,2は(B)発泡剤を含んでいないため、その評価を「−」とした。
<実施例の具体例>
以下、実施例に係る試験片の具体例を示す。図10は、実施例1に係る試験片40を示す断面図である。図11は、図10に示す試験片40を説明する模式図である。
図10に示すように、実施例1に係る試験片40では、ベースポリマ11と、発泡していない発泡性粒子12aと、発泡した発泡性粒子12bとが存在することが確認できる。発泡していない発泡性粒子12aの平均粒子径は約50μm、発泡した発泡性粒子12bの平均粒子径は約120μmであることがわかった。図11は、図10に示す試験片40を模式的に表したものであり、図11に示すように、実施例1に係る試験片40は、図1に示す第1実施形態の発泡エラストマ10と図8に示す第2実施形態の発泡エラストマ30とを組み合わせた態様になっている。すなわち、図11に示すように、試験片40は、試験片40の平面方向および厚さ方向の領域ごとに、発泡部B1および非発泡部A1が配置されている。
図示は省略するが、実施例2,3,4,5の試験片についても、同様の結果が得られている。
<実施例および比較例の評価結果>
以下、実施例1〜5および比較例1〜6の評価結果について説明する。
(1)硬度
図12は、実施例に係る試験片において、非発泡部A1および発泡部B1の組成を示す模式図である。図13は、図12に示す実施例に係る試験片40において、非発泡部(照射領域)A1と発泡部(非照射領域)B1との硬度差を示すグラフである。なお、図13中の縦軸は、簡単のため「非発泡部A1と発泡部B1との硬度差」と表記している。
前述した表1に示すように、比較例1,2は、(A)ベースポリマ11に(B)発泡剤を含んでいないため、比較例1,2における発泡部(非照射領域)B1は、放射線(電子線)が照射されていない領域であることを示す。実施例3および比較例2は、(D)共架橋剤を含んでいるため、前述したように、放射線(電子線)が照射された領域(非発泡部)A1では、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋された組成物15を有している。また、実施例2,3は、実施例1に比べて(B)発泡剤が2倍量含まれている。
以上を前提として、実施例1,2,3および比較例1,2の試験片において、非発泡部(照射領域)A1と発泡部(非照射領域)B1との硬度差を測定したところ、図13に示す結果となった。
実施例1の試験片では、非発泡部(照射領域)A1に含まれる発泡性粒子12aは外殻13aが架橋され発泡していないため、比較例1の試験片における非発泡部(照射領域)A1とほぼ同じ硬度であると考えられる。また、実施例1の試験片では、発泡部(非照射領域)B1に含まれる発泡性粒子12bが発泡しているため、非発泡部(照射領域)A1に比べ発泡部(非照射領域)B1の硬度が低くなる。一方、比較例1の試験片は、発泡部B1において発泡性粒子を含んでいないため、発泡性粒子の発泡に起因する硬度の低下は生じない。よって、実施例1は、比較例1に比べて非発泡部A1(照射領域)と発泡部(非照射領域)B1との硬度差が大きくなったものと考えられる。
なお、比較例1において非発泡部(照射領域)A1と発泡部(非照射領域)B1との間に硬度差が存在している。この理由としては、非発泡部A1では、前記放射線照射工程S3において、電子線照射によって試験片の表面近傍の(A)ベースポリマ11が架橋されたためと考えられる。
また、実施例1と実施例2とを比較すると、発泡性粒子の添加量(含有量)に応じて、非発泡部(照射領域)A1と発泡部(非照射領域)B1との硬度差が大きくなっていくことがわかった。また、比較例1と比較例2とを比較すると、非発泡部(照射領域)A1と発泡部B1との硬度差が大きくなっていることがわかった。比較例2の試験片に含まれる(D)共架橋剤は、放射線によって架橋反応が促進されるという特性を有しているため、電子線が照射された非発泡部(照射領域)A1においてのみ、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とが架橋される一方、電子線が照射されない発泡部(非照射領域)B1においては、(A)ベースポリマと(D)共架橋剤とは架橋されない。その結果、比較例2では、比較例1と比べて、発泡部(非照射領域)B1の硬度は変化がないのに対して非発泡部(照射領域)A1の硬度が高くなることが理由であると考えられる。
さらに、実施例3と比較例1とを比較すると、非発泡部(照射領域)A1と発泡部(非照射領域)B1との硬度差が他の実施例に比べて大きくなっていることがわかった。比較例2と比較例1との比較で述べたように、非発泡部(照射領域)A1の硬度は(D)共架橋剤の添加によって高くなる。そして、実施例1と比較例1との比較で述べたように、発泡部(非照射領域)B1の硬度は(B)発泡剤の添加によって低くなる。実施例3と比較例1で比較すると、これらの効果が両方とも起こっているため、非発泡部(照射領域)A1と発泡部(非照射領域)B1との硬度差が他の実施例に比べて大きくなったものと考えられる。
なお、本発明者の検討により、(A)ベースポリマに(B)発泡剤を添加した時点で、硬度が若干高くなることがわかった。これにより、(B)発泡剤が発泡していない非発泡部(照射領域)A1の硬度はより高くなる。一方、(A)ベースポリマに(D)共架橋剤を添加した時点で、硬度が若干低くなることがわかった。ここで、一般に(B)発泡剤は周囲の硬度が低いほど発泡しやすい。よって、実施例3のように(B)発泡剤と(D)共架橋剤とを併用した場合、(D)共架橋剤により硬度が低くなった発泡部(非照射領域)B1においては、実施例1のように(D)共架橋剤を含まないものに比べ(B)発泡剤が反応しやすく、より硬度が低くなる。これにより、実施例3では、非発泡部(照射領域)A1と発泡部(非照射領域)B1との硬度差がより顕著に現れたものと考えられる。
(2)発泡抑制
まず、図3に示す放射線照射工程S3における、電子線の加速電圧の影響について調べた。表1に示す実施例1,4および比較例3,4は、前記放射線照射工程S3において、照射線量を100kGyで一定として、加速電圧を順に90kV,80kV,70kV,50kVと変化させたものに対応する。表1に示すように、実施例1,4では発泡が抑制されたのに対して、比較例3,4では発泡が抑制されなかった。この結果から、発泡性粒子の平均粒子径が50μmである場合には、発泡を抑制できる電子線の加速電圧は80kV以上であることが必要であるとわかった。
ここで、図14は、実施例に係る試験片の製造工程中、放射線照射工程における処理深さと相対線量との関係を示すグラフである。前述したように、電子線の処理深さは、発泡性粒子の平均粒子径(50μm)以上であることが好ましい。そのため、図14に示すように、加速電圧が80kVのとき、処理深さ50μmにおける相対線量は、照射線量100kGyのうち少なくとも30%以上であることが、発泡性粒子が架橋され、発泡が抑制される条件であるといえる。
次に、図3に示す放射線照射工程S3における、電子線の照射線量の影響について調べた。表1に示す実施例1,5および比較例5,6は、前記放射線照射工程S3において、加速電圧を90kVで一定として、照射線量を順に90kGy,80kGy,70kGy,50kGyと変化させたものに対応する。表1に示すように、実施例1,5では発泡が抑制されたのに対して、比較例5,6では発泡が抑制されなかった。この結果から、発泡性粒子の平均粒子径が50μmである場合には、発泡を抑制できる電子線の照射線量は80kGy以上であることがわかった。
なお、以上で評価した発泡抑制における電子線の条件は、使用する発泡性粒子の構成や添加量等によって最適なものとすればよく、本発明に係る製造方法は、実施例で示した条件に限定されるものではない。
<実施例および比較例のまとめ>
以上の結果から、本発明に係る発泡エラストマの構成を適用した実施例の試験片は、減衰性を高めた発泡部B1と支持性を高めた非発泡部A1とを両立できることが示された。特に、(D)共架橋剤を含む実施例3に係る試験片にあっては、発泡部B1の減衰性を損なうことなく、非発泡部A1の剛性を(D)共架橋剤により高めることができることが示された。また、実施例の試験片の製造方法によれば、試験片の任意の領域において、発泡制御が可能であることが示された。さらに、(D)共架橋剤を含む実施例3に係る試験片の製造方法によれば、発泡制御に加え、(D)共架橋剤による剛性制御も可能となることが示された。
本発明は前記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
10,20,30 発泡エラストマ
11 ベースポリマ
12a,12b,12c 発泡性粒子
13a,13b,13c 外殻
14 内包物
15 組成物
40 試験片
50 放射線
51 表面
52 放射線遮蔽層
100,200,300 発泡エラストマ用組成物
A1 非発泡部
B1 発泡部

Claims (12)

  1. ベースポリマと発泡剤とを含む発泡エラストマにおいて、
    前記発泡剤は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、前記外殻に内包されかつ加熱によって気化する内包物とにより構成された発泡性粒子からなり、
    前記発泡エラストマは、前記発泡性粒子のうち、発泡した発泡性粒子を含む発泡部と、前記発泡性粒子のうち、発泡していない発泡性粒子を含む非発泡部とを有し、
    前記発泡していない発泡性粒子の前記外殻が架橋されていることを特徴とする発泡エラストマ。
  2. 前記発泡部と前記非発泡部とは一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の発泡エラストマ。
  3. 請求項1記載の発泡エラストマにおいて、
    さらに共架橋剤を含むことを特徴とする発泡エラストマ。
  4. 前記発泡エラストマは、前記ベースポリマ100質量部に対して、前記発泡剤を5質量部以上10質量部以下含むことを特徴とする請求項1記載の発泡エラストマ。
  5. (a)ベースポリマと発泡剤とを含む発泡エラストマ用組成物に放射線を照射する工程、
    (b)前記(a)工程の後に、前記発泡エラストマ用組成物を加熱して前記発泡剤を発泡させ、発泡エラストマを形成する工程、
    を有し、
    前記発泡剤は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、前記外殻に内包されかつ加熱によって気化する内包物とにより構成された発泡性粒子からなり、
    前記(a)工程では、前記発泡性粒子のうちの一部の発泡性粒子に前記放射線を照射して、前記一部の発泡性粒子の前記外殻を架橋し、
    前記(b)工程では、前記発泡性粒子のうちの前記一部の発泡性粒子以外の発泡性粒子を発泡させることを特徴とする発泡エラストマの製造方法。
  6. 請求項5記載の発泡エラストマの製造方法において、
    前記(a)工程の前に、
    (c)前記ベースポリマと前記発泡性粒子とを、前記発泡性粒子の前記内包物が気化する温度よりも低い温度で混練し、前記発泡エラストマ用組成物を形成する工程、
    を含むことを特徴とする発泡エラストマの製造方法。
  7. 前記(a)工程において、
    前記放射線は電子線であることを特徴とする請求項5記載の発泡エラストマの製造方法。
  8. 前記(a)工程では、前記発泡エラストマ用組成物のうち前記放射線が照射される表面における処理深さは、前記発泡性粒子の粒子径以上であることを特徴とする請求項5記載の発泡エラストマの製造方法。
  9. 前記放射線が照射される表面を基準とした前記発泡エラストマ用組成物の厚さは、前記処理深さよりも厚く、
    前記(a)工程において、前記発泡エラストマ用組成物のうちの、前記処理深さよりも浅い領域に含まれる前記一部の発泡性粒子の前記外殻を架橋することを特徴とする請求項8記載の発泡エラストマの製造方法。
  10. 請求項5記載の発泡エラストマの製造方法において、
    前記発泡エラストマ用組成物は、さらに共架橋剤を含み、
    前記共架橋剤は、分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、
    前記(a)工程では、前記ベースポリマと前記共架橋剤とを、前記放射線によって架橋することを特徴とする発泡エラストマの製造方法。
  11. 請求項5記載の発泡エラストマの製造方法において、
    前記(a)工程の前に、
    (d)前記発泡エラストマ用組成物の表面を放射線遮蔽層で覆う工程、
    を有し、
    前記(a)工程では、前記発泡エラストマ用組成物のうち前記放射線遮蔽層で覆われない部分に含まれる前記発泡性粒子の前記外殻を前記放射線によって架橋することを特徴とする発泡エラストマの製造方法。
  12. 請求項11記載の発泡エラストマの製造方法において、
    前記発泡エラストマ用組成物は、さらに共架橋剤を含み、
    前記共架橋剤は、分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、
    前記(a)工程では、前記発泡エラストマ用組成物のうち前記放射線遮蔽層で覆われない部分に含まれる前記ベースポリマと前記共架橋剤とを、前記放射線によって架橋することを特徴とする発泡エラストマの製造方法。
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