(第1実施形態)
<第1実施形態に係る支持装置の構成および効果>
以下、本発明に係る支持装置の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係るワイパ装置を搭載した車両を示す概略図である。図2は、図1のワイパ装置の詳細を示す斜視図である。図3は、第1実施形態に係る支持装置の装着状態を示す断面図である。図4は、第1実施形態に係る支持装置を示す斜視図である。図5は、第1実施形態に係る支持装置を示す断面図である。図6は、第1実施形態に係る発泡性粒子の一部切り欠き斜視断面図である。図7は、第1実施形態に係る支持装置の製造工程を示すフローである。図8は、第1実施形態に係る支持装置の製造工程中、放射線照射工程を示す模式図である。
後述するように、第1実施形態に係る支持装置は、例えば、マウントラバーとして構成され、図1~図3に示すように、ワイパ装置140に適用した場合を例に説明するが、まずは、第1実施形態に係る支持装置の主な特徴について説明する。
図3に示すように、第1実施形態に係る支持装置11は、固定対象物である第1支持部X,Y,Zおよび第1支持部X,Y,Zの延在方向と交差する方向に延びる第2支持部700に、駆動装置の被固定部160a,160b,510aを弾性支持させている。支持装置11は、ベースポリマ19と発泡剤とを含む発泡エラストマにより構成されている。図3、図5および図6に示すように、前記発泡剤は、熱可塑性樹脂からなる外殻13a,13bと、外殻13a,13bに内包されかつ加熱によって気化する内包物14とにより構成された発泡性粒子12a,12bからなる。
図3~図5に示すように、第1実施形態に係る支持装置11は、発泡性粒子12a,12bのうち、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部11bと、発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部11aとを有し、図5に示すように、発泡していない発泡性粒子12aの外殻13aが架橋されている。
詳細は後述するが、図6に示す発泡性粒子12a,12b,12cのうち、外殻13aが架橋された発泡性粒子を発泡性粒子12aと、発泡した発泡性粒子を発泡性粒子12bと、未反応(未架橋かつ未発泡)の発泡性粒子を発泡性粒子12cと、それぞれ称する。
ここで、「加熱によって気化する」とは、固体または液体である内包物14が、加熱によって蒸発、昇華または熱分解することにより気体になることを意味する。すなわち、「発泡性粒子が発泡する」とは、発泡性粒子12cを加熱した際に、熱可塑性樹脂からなる外殻13cが加熱によって軟化し、かつ、内包物14が加熱によって気化することによって発泡性粒子12c内の圧力が上昇し、外殻13cが膨張することを意味する。発泡した発泡性粒子12bにおいて、内包物14は、(1)そのまま冷却されて内包物14が凝縮した状態で留まるか、(2)外殻13cが膨張した際に生じる亀裂等から脱出するかのいずれかとなる。前記(2)の場合には、外殻13bの内部が空気と置換されて空洞となる。前記(1)および(2)のいずれの場合であっても、発泡した発泡性粒子12bの外殻13bは、冷却によってそのまま硬化し、膨張した状態が維持される。
第1実施形態に係る支持装置11は、以上の特徴的な構成を有することで、剛性および柔軟性を両立することができる。以下、その理由について説明する。
今般、本発明者は、図3および図5に示すように、支持装置11を構成する発泡エラストマ中の発泡性粒子12cの外殻13cを架橋することで、発泡性粒子の発泡を抑制できることを見出した。架橋された外殻13aは、網目状構造を有し、分子鎖の動きが抑制されるため、熱変形が抑制される。そのため、架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aを加熱した際に、未架橋の場合に比べて外殻13aが軟化しにくくなり、発泡性粒子12a内の圧力が上昇しても外殻13aが膨張しなくなると考えられる。このように、発泡性粒子の外殻を架橋することで、発泡性粒子の発泡を制御することができる。
従って、図3および図5に示す第1実施形態に係る支持装置11にあっては、架橋され発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部11aが剛性(支持性)を担保し、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部11bが柔軟性(減衰性)を担保することができる。その結果、第1実施形態に係る支持装置11にあっては、剛性および柔軟性を両立することができる。
また、図3に示すように、第1実施形態に係る支持装置11にあっては、好ましい構成として、第1支持部X,Y,Zにより軸方向への移動が規制され、かつ、第2支持部700により径方向への移動が規制される筒状部(非発泡部)11aと、筒状部11aの径方向外側に設けられ、筒状部11aの軸方向に沿って被固定部160a,160b,510aを挟持する挟持部(発泡部)11bとを備えている。すなわち、非発泡部11aは、筒状部11aとして、発泡部11bは、挟持部11bとして、それぞれ構成されている。こうすることで、図3に示す第1実施形態に係る支持装置11は、第1支持部X,Y,Zおよび第1支持部X,Y,Zの延在方向と交差する方向に延びる第2支持部700に、駆動装置の被固定部160a,160b,510aを弾性支持させることができる。
このような第1実施形態に係る支持装置11において、駆動装置から被固定部160a,160b,510aを介して支持装置11に作用する荷重としては、第1支持部X,Y,Zの延在方向(基準線BL)に沿った荷重F1と、第2支持部700の延在方向(軸線C1)に沿った荷重F2とが考えられる。
この際、第1実施形態に係る支持装置11にあっては、架橋され発泡していない発泡性粒子12aを含む非発泡部11aが剛性(支持性)を担保し、荷重F1による支持装置11の変形を防止することができる。そして、図3および図5に示す第1実施形態に係る支持装置11にあっては、発泡した発泡性粒子12bを含む発泡部11bが柔軟性(減衰性)を担保し、荷重F2を減衰させ、固定部X,Y,Zに伝達しにくくすることができる。
また、特に、図5に示すように、第1実施形態に係る支持装置11にあっては、支持装置11の径方向の領域ごとに、柔軟性が必要な部分(領域B1)に発泡部11bを、剛性が必要な部分(領域A1)に非発泡部11aをそれぞれ配置している。そのため、第1実施形態に係る支持装置11にあっては、剛性および柔軟性の位置制御が可能となる。
また、図3および図5に示すように、第1実施形態に係る支持装置11において、発泡部11bと非発泡部11aとは一体に形成されていることが好ましい。発泡部11bと非発泡部11aとを別体で形成し接合した場合は、接合部分に応力が集中し、当該接合部分が破壊される可能性がある。この点、第1実施形態に係る支持装置11において、発泡部11bと非発泡部11aとが一体に形成されている場合には、支持装置11全体の強度を低下させることなく、柔軟性を高めた部分と剛性を高めた部分との両方を有する支持装置11を実現することができる。
<第1実施形態に係る発泡エラストマの構成>
以下、図3~図5に示す第1実施形態に係る支持装置11を構成する発泡エラストマについて図面を参照しながら詳細に説明する。
前述したように、図6に示す発泡性粒子12a,12b,12cのうち、外殻13aが架橋された発泡性粒子を発泡性粒子12aと、発泡した発泡性粒子を発泡性粒子12bと、未反応(未架橋かつ未発泡)の発泡性粒子を発泡性粒子12cと、それぞれ称する。このような発泡性粒子からなる発泡剤の例としては、マイクロカプセル型の発泡剤が挙げられる。
図6に示すように、発泡した発泡性粒子12bの粒子径(外径、長径)φ2は、未反応の発泡性粒子12cの粒子径(外径、長径)φ1よりも大きい。一方、後述の図4に示すように、外殻13aが架橋された発泡性粒子12aの粒子径φ1は、未反応の発泡性粒子12cの粒子径φ1と略同一である。未反応の発泡性粒子12cの粒子径φ1は、例えば5μm以上50μm以下であり、外殻13cの厚さφ3は、例えば2μm以上15μm以下である。また、発泡した発泡性粒子12bの粒子径φ2は、例えば50μm以上300μm以下である。
外殻13a,13b,13cを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、または、アクリル系共重合体等が挙げられる。また、内包物14としては、例えば、イソブタンやイソペンタン等の炭化水素、またはこれらのハロゲン化物、あるいはテトラアルキルシラン等が挙げられる。内包物14は、前記した成分を単独で含んでいてもよいし、2種類以上の前記した成分が併用されていてもよい。
第1実施形態に係る発泡性粒子12cの外殻13cの架橋方法は、特に限定されるものではないが、後述する支持装置11の製造方法で説明するように、外殻13cの原材料、あるいは、発泡エラストマの温度または流動性の制限を受けない放射線架橋法が好ましい。
また、第1実施形態に係る発泡性粒子12aは、(1)未架橋の発泡性粒子12cをベースポリマ19と混練させた後に、発泡性粒子12cの外殻13cを架橋してもよいし、(2)発泡性粒子12cの外殻13cを予め架橋して、架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aを準備し、この発泡性粒子12aをベースポリマ19と混練させてもよい。ここで、ベースポリマ19に、架橋された外殻13cを有する発泡性粒子12aを含有させることにより、補強効果により硬度(剛性)を向上することができる。また、比重が低い発泡剤を選択すれば軽量化することもできる。なお、非発泡部A1と発泡部B1との位置(領域)制御を精度良くかつ容易にするという観点からは、前記(1)の製造方法が好ましい。そのため、後述する支持装置11の製造方法では、前記(1)の製造方法を例に説明する。
第1実施形態に係る発泡エラストマにおいて、発泡剤の含有量(添加量)は特に限定されるものではないが、ベースポリマ100質量部に対して、発泡剤を2質量部以上20質量部以下含むことが好ましく、発泡剤を5質量部以上10質量部以下含むことがより好ましい。ベースポリマ100質量部に対する発泡剤の含有量が2質量部未満であると、十分な柔軟性が得られず、発泡剤の含有量が20質量部を超えると、発泡エラストマの加工性の低下や表面荒れ等の問題が生じる。ベースポリマ100質量部に対して、発泡剤を5質量部以上10質量部以下含むことで、発泡エラストマに適切な柔軟性を付与することができる。
第1実施形態に係る発泡エラストマを構成するベースポリマは特に限定されるものではないが、1種または2種以上のゴム(熱硬化性エラストマ)又は熱可塑性エラストマが使用される。ベースポリマとしてゴムを用いる場合には、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2-ポリブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム物質等が挙げられる。耐老化性、耐オゾン性および耐候性の観点から、ベースポリマとしては、非ジエン系ゴムであるシリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン-プロピレンゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴムが好ましい。
また、ベースポリマとして熱可塑性エラストマを用いる場合は、フッ素系エラストマ、ポリスチレン系エラストマ、ポリオレフィン系エラストマ、ポリ塩化ビニル系エラストマ、ポリウレタン系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、ポリエステル系エラストマが好ましい。
また、第1実施形態に係る発泡エラストマは、さらに架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、例えば、過酸化物架橋剤が挙げられ、中でも2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。架橋剤は、ベースポリマ19を架橋するためのものである。このように発泡エラストマに架橋剤を添加した場合には、発泡エラストマ全体としての剛性を高めることができる。架橋剤の添加量は特に限定されるものではないが、ベースポリマ100質量部に対して、通常架橋剤を0.1質量部以上10質量部以下含むことが好ましい。
なお、第1実施形態に係る発泡エラストマは、発泡性粒子以外の発泡剤(例えば、熱分解性発泡剤)を含んでいてもよい。この場合には、図3および図5に示す発泡部11bにおいて、発泡性粒子と発泡性粒子以外の発泡剤との両方が発泡している一方、非発泡部11aにおいて、発泡性粒子以外の発泡剤のみが発泡していることになる。こうすることで、発泡エラストマ全体として柔軟性を有させるとともに、発泡エラストマの非発泡部11aにも部分的に剛性を有させることができる。
<第1実施形態に係る支持装置の製造方法>
以下、第1実施形態に係る支持装置の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
第1実施形態に係る支持装置11の製造方法は、ベースポリマと発泡剤とを混練し混練物を生成する工程(図7に示す混練工程S1)と、混練工程S1の後に、前記混練物を成形し、図8に示す発泡エラストマ用組成物11cを形成する工程(図7に示す成形工程S2)と、成形工程S2の後に、図8に示すように、発泡エラストマ用組成物11cに放射線を照射する工程(図7に示す放射線照射工程S3)と、放射線照射工程S3の後に、発泡エラストマ用組成物11cを加熱し、発泡エラストマ用組成物11c中の発泡性粒子12cを発泡させ、発泡エラストマからなる支持装置11を形成する工程(図7に示す発泡工程S4)とを有している。ここで、「発泡エラストマ用組成物」とは、「発泡剤が発泡する前の状態の発泡エラストマ」を意味している。
以下では、第1実施形態に係る支持装置11の製造方法の各工程について、より詳細に説明する。
図7に示す第1実施形態に係る混練工程S1では、好ましくはベースポリマ19と、発泡剤である発泡性粒子12cと、必要に応じて架橋剤と、必要に応じて後述の共架橋剤とを、発泡性粒子12cの内包物14が気化する温度よりも低い温度で混練し混練物を生成する。そして、図7に示す第1実施形態に係る成形工程S2では、好ましくは、前記混練物を、発泡性粒子12cの内包物14が気化する温度よりも低い温度で成形し、発泡エラストマ用組成物11cを形成する。こうすることで、放射線照射工程S3において発泡性粒子12cの外殻13cを架橋する前に発泡性粒子12cが発泡するという事態を確実に防止できる。
ここで、図7に示す第1実施形態に係る混練工程S1および成形工程S2の具体的な内容について、ベースポリマとしてゴム(熱硬化性エラストマ)を用いる場合と、熱可塑性エラストマを用いる場合とに分けて説明する。
まず、ベースポリマとしてゴムを用いる場合は、図7に示す第1実施形態に係る混練工程S1では、ベースポリマ19と、発泡剤である発泡性粒子12cと、架橋剤と、必要に応じて後述の共架橋剤とを混練し、混練物を生成する。そして、図7に示す第1実施形態に係る成形工程S2では、前記混練物を加熱して、架橋剤によりベースポリマ19を架橋して硬化させ、発泡エラストマ用組成物11cとして成形する(図8参照)。
一方、ベースポリマとして熱可塑性エラストマを用いる場合は、図7に示す第1実施形態に係る混練工程S1では、ベースポリマ19と、発泡剤である発泡性粒子12cと、必要に応じて後述の共架橋剤とを混練し、混練物を生成する。そして、図7に示す第1実施形態に係る成形工程S2では、前記混練物を冷却して固化させ、発泡エラストマ用組成物11cとして成形する(図8参照)。なお、図7に示す第1実施形態に係る発泡工程S4では、発泡エラストマ用組成物11cへの加熱を部分的に、または瞬時に行うことによって、発泡エラストマ用組成物11cの熱による溶融を抑制できる。また、成形工程S2で使用した成形型に発泡エラストマ用組成物11cを入れたまま発泡工程S4を行うことで、発泡エラストマ用組成物11cの溶融による変形を抑制できる。
次に、第1実施形態に係る放射線照射工程S3では、図8に示すように、発泡性粒子12cのうちの一部、すなわち、発泡エラストマ用組成物11cの領域A1に含まれる発泡性粒子12cに放射線50を照射して、当該発泡性粒子12cの外殻13cを架橋する。その結果、発泡エラストマ用組成物11cの領域A1には、架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aが含まれることになる。一方、発泡エラストマ用組成物11cの領域B1に含まれる発泡性粒子12cには放射線50が照射されないため、当該発泡性粒子12cの外殻13cは架橋されない。
また、第1実施形態に係る支持装置11の製造方法において、好ましくは、図7に示す混練工程S1および成形工程S2の後であって、放射線照射工程S3の前に、図8に示すように、発泡エラストマ用組成物11cの表面を放射線遮蔽層52で覆う工程を有している。放射線遮蔽層52は、放射線50を反射または吸収等する材料からなり、具体例としては鉛等の金属や耐放射線性プラスチック等が挙げられる。これにより、放射線照射工程S3では、発泡エラストマ用組成物11cのうち放射線遮蔽層52で覆われない領域A1に含まれる発泡性粒子12cの外殻13cが放射線50により架橋される。なお、図8に示す放射線遮蔽層52は、図7に示す発泡工程S4の前に、発泡エラストマ用組成物11cから除去してもよいし、場合によって、完成した発泡エラストマにそのまま残存させてもよい。
また、図7に示す第1実施形態に係る放射線照射工程S3において、図8に示す放射線50としては、例えば、電子線、α線、β線、γ線、紫外線、X線等の電離性放射線が挙げられ、中でも電子線が好ましい。電子線は粒子線であり、エネルギー付与率(微小な距離を進む間に物質に与えるエネルギーの割合)が高く、かつ、加速方向への高い指向性を有し、吸収線量率が高いためである。
第1実施形態において、図8に示す放射線50に電子線を用いた場合において、電子線の加速電圧は、例えば、10kV以上500kV以下であり、電子線の照射線量は、例えば、10kGy以上500kGy以下である。
次に、第1実施形態に係る発泡工程S4では、発泡エラストマ用組成物11cの領域B1に含まれる発泡性粒子12cを発泡させる。前述したように、発泡エラストマ用組成物11cの領域A1に含まれる架橋された外殻13aを有する発泡性粒子12aは、加熱しても発泡しないため、発泡エラストマ用組成物11c全体を加熱した場合に、領域B1に含まれる発泡性粒子12cは発泡する一方、領域A1に含まれる発泡性粒子12aは発泡しない。
以上より、第1実施形態に係る支持装置11の製造方法によれば、支持装置11を構成する発泡エラストマにおいて、発泡した発泡性粒子12bを含み、柔軟性を担保する発泡部11bと、架橋され発泡していない発泡性粒子12aを含み、剛性を担保する非発泡部11aとを一体に形成することができる。その結果、支持装置全体の強度を低下させることなく、柔軟性を高めた部分と剛性を高めた部分との両方を有する支持装置11を実現することができる。
また、第1実施形態に係る支持装置11の製造方法によれば、発泡エラストマ用組成物11cの任意の平面領域(領域A1)に含まれる発泡性粒子12cを架橋して、発泡を制御することができるため、発泡エラストマにおいて柔軟性および剛性の位置制御が可能となる。従って、混練工程S1において、発泡剤をベースポリマ全体に満遍なく混ぜたとしても、後工程である放射線照射工程S3において発泡させる箇所を選択できる。よって、混練工程S1において、発泡剤を所定の箇所のみに混ぜるなどの作業が不要となり、製造工程を簡易化できる。
特に、第1実施形態に係る支持装置11の製造方法において、図7に示す混練工程S1および成形工程S2の後であって、放射線照射工程S3の前に、図8に示すように、発泡エラストマ用組成物11cの表面を放射線遮蔽層52で覆う工程を有する場合には、放射線遮蔽層52によって、発泡エラストマ用組成物11cに対する放射線50の照射領域(領域A1)を自由に選択して、その領域に含まれる発泡性粒子12cの外殻13cを架橋して、発泡を制御することができる。その結果、支持装置において柔軟性および剛性の位置制御を簡便かつ容易に行うことができる。さらに、放射線遮蔽層52をμmオーダーで形成することによって、支持装置において、柔軟性および剛性のμmオーダーでの位置制御が可能となる。
<第1実施形態に係るワイパ装置>
以下、第1実施形態に係る支持装置の適用例であるワイパ装置について、詳細に説明する。
図1に示すように、自動車等の車両10の前方側には、フロントウィンドシールド110が設けられている。フロントウィンドシールド110上には、フロントウィンドシールド110の表面に付着した雨水や埃等を払拭する第1ワイパ部材120および第1ワイパ部材130が設けられている。
第1ワイパ部材120は、運転席側に対応して設けられ、第1ワイパブレード120aと第1ワイパアーム120bとを備えている。第1ワイパブレード120aは第1ワイパアーム120bの先端部に回動自在に取り付けられている。一方、第1ワイパ部材130は、助手席側に対応して設けられ、第2ワイパブレード130aと第2ワイパアーム130bとを備えている。第2ワイパブレード130aは第2ワイパアーム130bの先端部に回動自在に取り付けられている。
第1,第2ワイパブレード120a,130aは、フロントウィンドシールド110上の下反転位置LRPと上反転位置URPとの間に形成される第1,第2払拭範囲110a,110bを、それぞれ同期して同一方向に往復払拭動作するようになっている。つまり、第1,第2ワイパブレード120a,130aの払拭パターンは、タンデム型となっている。
第1,第2ワイパブレード120a,130aは、ワイパ装置(駆動装置)140によって揺動駆動される。ワイパ装置140は、図2に示すように、第1ホルダ部材150aおよび第2ホルダ部材150bを備えている。第1ホルダ部材150aは、車両10の車体構造部材を形成するダッシュアッパーパネル(図示せず)の固定部(固定対象物)Xに固定される取付腕(被固定部)160aを備えている。一方、第2ホルダ部材150bは、ダッシュアッパーパネルの固定部(固定対象物)Yに固定される取付腕(被固定部)160bを備えている。
図2に示すように、各取付腕160a,160bには、支持装置(マウントラバー)11がそれぞれ装着されている。そして、各取付腕160a,160bは、各固定部X,Yに対して、それぞれ支持装置11を介してフローティング状態となるように、固定部材700(図3参照)で固定されている。これにより、ワイパ装置140の各取付腕160a,160bは、支持装置11によって弾性支持される。
第1ホルダ部材150aおよび第2ホルダ部材150bは、それぞれ中空のパイプ材よりなるフレーム部材170によって互いに連結されている。このように、ワイパ装置140は、いわゆる、フレーム一体型のモジュラー型ワイパ装置となっている。
第1,第2ホルダ部材150a,150bは、運転席側に対応した第1駆動軸180aおよび助手席側に対応した第2駆動軸180bをそれぞれ回動自在に支持している。これらの第1,第2駆動軸180a,180bの先端部分は、カウルトップパネル(図示せず)を介して車両10(図1参照)の外部に延出されている。そして、図1に示すように、第1駆動軸180aの先端部分には、第1ワイパアーム120bの基端部分が固定されている。一方、第2駆動軸180bの先端部分には、第2ワイパアーム130bの基端部分が固定されている。
第1,第2駆動軸180a,180bの基端部分には、運転席側に対応した第1駆動レバー190aおよび助手席側に対応した第2駆動レバー190bの一端部分がそれぞれ固定されている。これらの第1,第2駆動レバー190a,190bの他端部分には、それぞれボールジョイント(図示せず)を介して連結ロッド200の両端部分が回動自在に連結されている。
また、第2駆動レバー190bの他端部分には、さらに別のボールジョイント(図示せず)を介して、駆動ロッド210の一端部分が回動自在に連結されている。そして、駆動ロッド210の他端部分は、ボールジョイント(図示せず)を介してクランクアーム220の一端部分に回動自在に連結されている。
クランクアーム220の他端部分は、ワイパモータ300の出力軸330(図1参照)に固定されており、クランクアーム220は、出力軸330の回転に伴ってその一端部分、つまり駆動ロッド210との連結部分が回転するようになっている。ここで、クランクアーム220,駆動ロッド210,第2駆動レバー190b,連結ロッド200および第1駆動レバー190aによりリンク機構が形成されている。このリンク機構は、出力軸330の回転運動を揺動運動に変換して、第1,第2駆動軸180a,180bをそれぞれ揺動させるようになっている。
図2に示すように、フレーム部材170の軸方向に沿う第1ホルダ部材150a寄りの部分には、減速機構付きのワイパモータ(駆動源)300が固定されている。ワイパモータ300は、モータ部400とギヤ部500とを備えており、モータ部400およびギヤ部500は、複数の締結ネジ310(図示では1つのみ示す)によって互いに連結されている。そして、ギヤ部500のギヤハウジング510は、一対の締結ボルト320によってフレーム部材170に強固に固定されている。これにより、ワイパモータ300は、フレーム部材170に対してがたつくこと無く固定される。
モータ部400のモータハウジング410内には、固定子としての永久磁石(図示せず)が固定されている。また、永久磁石の径方向内側には、回転子としてのアーマチュア(図示せず)が回転自在に設けられている。そして、アーマチュアの回転は、ギヤハウジング510内の減速機構(図示せず)に伝達されて、当該減速機構により減速されて高トルク化された回転力が、出力軸330(図1参照)からクランクアーム220に伝達される。なお、ワイパモータ300の減速機構には、小型で大きな減速比が得られるウォーム減速機を採用している。
ギヤ部500は、ギヤハウジング510とギヤカバー520とを備えている。ギヤハウジング510は、溶融したアルミ材料等を鋳造成形することで略バスタブ形状に形成され、ギヤカバー520は、溶融したプラスチック材料等を射出成形することにより略バスタブ形状に形成されている。ギヤハウジング510およびギヤカバー520は、それぞれの開口部分を互いに突き合わせて密着させ、その状態のもとで複数の固定ネジS(図示では1つのみ示す)によって連結されている。
ギヤカバー520の内側には、制御基板(図示せず)が装着されている。また、ギヤカバー520のモータ部400側とは反対側には、コネクタ接続部520aが一体に設けられている。コネクタ接続部520aには、車両10側の外部コネクタ(図示せず)が電気的に接続され、外部コネクタには、車両10に設けたコントローラや操作スイッチ等(図示せず)が電気的に接続されている。これにより、操作スイッチをオン操作することで、コントローラから制御基板を介してモータ部400に駆動電流が流れる。
ギヤハウジング510のモータ部400側とは反対側には、第1ホルダ部材150a側に向けて突出するようにして、取付腕(被固定部)510aが設けられている。この取付腕510aには、各取付腕160a,160bに装着したものと同じ支持装置11が装着されている。そして、取付腕510aは、固定部(固定対象物)Zに対して、支持装置11を介してフローティング状態となるように、固定部材700(図3参照)で固定されている。ここで、固定部Zは、ダッシュアッパーパネルではなく、例えば、車両10の車体構造部材を形成するサスペンションマウント(図示せず)に設けられている。このように、ワイパ装置140の取付腕510aについても、支持装置11によって弾性支持される。
図3に示すように、支持装置11は、車両10(図1参照)の車体構造部材である各固定部X,Y,Zに、それぞれ固定部材700によって固定されている。つまり、ワイパ装置140(図2参照)の各取付腕160a,160b,510aは、各固定部X,Y,Zに対して、それぞれ支持装置11によって弾性支持されている。ここで、各固定部X,Y,Zは、車両10の略水平方向に延在しており、本発明における第1支持部を構成している。
固定部材700は、ボルト710およびナット720と、ボルト710のナット720に対するねじ込み量を規制するカラー部材730とを備えている。ここで、ボルト710およびカラー部材730は、各固定部X,Y,Zの延在方向と交差する方向(軸線C1方向)に延ばされている。すなわち、固定部材700は、本発明における第2支持部を構成している。
ボルト710の頭部710aには、略円盤状に形成された鍔部710bが一体に設けられている。この鍔部710bの直径寸法は、支持装置11の直径寸法よりも大きい寸法に設定されている。これにより、固定部材700の軸方向上方(図中上側)からボルト710を見たときに、支持装置11は鍔部710bによって隠される。
ここで、鍔部710bは、固定部材700の軸方向から各固定部X,Y,Zと対向しており、各固定部X,Y,Zとともに、支持装置11をその軸方向から挟持している。このように、鍔部710bも車両10の略水平方向に延在しており、本発明における第1支持部を構成している。ただし、鍔部710bは、頭部710aに一体に設けなくても良い。例えば、鍔部710bに換えて、頭部710aとは別体の円盤状の平座金を用いてもよい。
なお、ボルト710にねじ結合されるナット720は、溶接等の固定手段により、各固定部X,Y,Zの内側(裏側)に予め固定されている。これにより、ワイパ装置140の車両10への搭載時において、ボルト710をナット720に対して容易にねじ結合することができる。よって、作業性を向上させることができる。
カラー部材730は、鋼板等を湾曲させることで筒状に形成されている。カラー部材730は、ボルト710のナット720に対するねじ込み量を規制し、ボルト710のナット720に対する過剰なねじ込みやねじ込み不足を無くす機能を有している。これにより、支持装置11は、設計通りの防振性能を発揮することができる。
前述したように、支持装置11は、筒状部(非発泡部)11aと、挟持部(発泡部)11bとを備えている。筒状部11aは、カラー部材730の外周部に装着されている。筒状部11aは、カラー部材730の周囲全体を覆うように設けられ、支持装置11を各固定部X,Y,Zにそれぞれ装着した状態のもとで、各固定部X,Y,Zと鍔部710bとの間に挟持され、その軸方向への移動が規制された状態となっている。また、筒状部11aは、カラー部材730の周囲全体を覆うように設けられるため、カラー部材730によって、その径方向への移動が規制された状態となっている。
筒状部11aの軸方向長さは、カラー部材730の軸方向長さよりも若干長く設定されている。
筒状部11aの径方向外側、すなわちカラー部材730が装着される側とは反対側には、挟持部11bが設けられている。挟持部11bには、ワイパ装置140の各取付腕160a,160b,510aの先端部分(図2参照)が挟持されて装着されるようになっている。これにより、ワイパ装置140(各取付腕160a,160b,510a)は、各固定部X,Y,Zに対して、支持装置11を介してフローティング状態で支持される(図3参照)。
以上で説明した支持装置11の車両10への装着手順について、説明する。
まず、筒状部11aの径方向内側にカラー部材730を装着した支持装置11を準備するとともに、当該支持装置11を各取付腕160a,160b,510aの先端部分にそれぞれ装着しておく。このとき、カラー部材730の軸方向中央部の位置と、支持装置11の軸方向中央部の位置とを一致させておく。
次に、ワイパ装置140の各取付腕160a,160b,510aを、車両10の各固定部X,Y,Zに載置する。その後、それぞれのカラー部材730に、ボルト710をそれぞれ挿通する。そして、各固定部X,Y,Zに対応した各ボルト710を、それぞれボックストレンチ等の工具(図示せず)を用いて、回転させ、ボルト710をナット720にねじ込む。
その後、ボルト710のナット720へのねじ込み作業を進めていくと、図3に示すように、筒状部11aの軸方向長さが、カラー部材730の軸方向長さよりも若干長く設定されているため、筒状部11aの軸方向両側が、各固定部X,Y,Zおよび鍔部710bによって押し潰される。これにより、筒状部11aの軸方向に押圧力がバランス良く作用して、各固定部X,Y,Zと鍔部710bとの間の正規位置(中央部)に支持装置11が配置される。
その後、鍔部710bがカラー部材730に接触して、それ以上のボルト710のナット720に対するねじ込み量が規制されて、ボルト710のナット720へのねじ込み作業が終了する。そして、各固定部X,Y,Zについて、それぞれ同様にねじ込み作業をすることで、ワイパ装置140(図2参照)の車両10(図1参照)への搭載が完了する。このようにして、各固定部X,Y,Zに対応した支持装置11が、それぞれ車両10に装着される。
以上で説明したように、図1~図3に示すように、第1実施形態に係る支持装置11を適用したワイパ装置140にあっては、車両10の各固定部X,Y,Zにより軸方向への移動が規制され、かつ、固定部材700により径方向への移動が規制される筒状部(非発泡部)11aと、筒状部11aの径方向外側に設けられ、筒状部11aの軸方向に沿って被固定部160a,160b,510aを挟持する挟持部(発泡部)11bとを備えている。こうすることで、第1実施形態に係るワイパ装置140は、車両10の各固定部X,Y,Zおよび各固定部X,Y,Zの延在方向と交差する方向に延びる固定部材700に、ワイパ装置140の各取付腕160a,160b,510aを弾性支持させることができる。
図1~図3に示す第1実施形態に係るワイパ装置140にあっては、架橋され発泡していない発泡性粒子12aを含む筒状部11aが剛性(支持性)を担保するため、支持装置11の径方向に対する剛性(横剛性)を高めることができる。その結果、ワイパアーム120b,130bの動作方向への変位量が小さくなり、ワイパ装置140を安定して動作させることができる。
そして、図1~図3に示す第1実施形態に係るワイパ装置140にあっては、発泡した発泡性粒子12bを含む挟持部11bが柔軟性(減衰性)を担保するため、支持装置11の軸方向に対する柔軟性を高めることができる。その結果、ワイパ装置140からの振動成分を支持装置11で減衰させ、当該振動が車両10に伝達されるのを防止することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る支持装置について説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態の支持装置と同一または同様の部分または構成要素は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さず、省略する(後述する変形例についても同様)。
<第2実施形態に係る支持装置の構成>
図9は、第2実施形態に係る支持装置を示す断面図である。図9に示すように、第2実施形態に係る支持装置21は、基本的には第1実施形態に係る支持装置と同様に構成されている。ただし、図5に示すように、第1実施形態に係る支持装置11は、支持装置11の径方向の領域ごとに、柔軟性が必要な部分(領域B1)に発泡部11bを、剛性が必要な部分(領域A1)に非発泡部11aをそれぞれ配置していたのに対して、図9に示すように、第2実施形態に係る支持装置21は、支持装置21の軸方向の領域ごとに、発泡部21bおよび非発泡部21aをそれぞれ配置している点で、第1実施形態に係る支持装置と相違している。
従って、第2実施形態に係る支持装置21にあっては、第1実施形態と同様に、剛性および柔軟性を両立することができる。特に、第2実施形態に係る支持装置21では、発泡部21bが支持装置21の径方向の全域に亘って配置されているため、径方向に沿った荷重を効果的に減衰させることができる点で、第1実施形態よりも有利である。一方で、図5に示す第1実施形態に係る支持装置11にあっては、非発泡部11aが支持装置11の軸方向の全域に亘って配置されているため、軸方向に沿った荷重による支持装置11の変形を効果的に防止することができる点で、第2実施形態よりも有利である。
また、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせることによって、支持装置の軸方向および径方向の任意の位置に発泡部および非発泡部を配置することができるため、剛性および柔軟性の位置制御をより精密に行うことができる。
なお、第2実施形態に係る支持装置21の製造方法は、第1実施形態に係る支持装置11の製造方法と同様であるため、その説明を省略する。
(変形例)
以下、前記第1実施形態および前記第2実施形態の変形例について説明する。
<変形例に係る支持装置の構成>
以下、変形例に係る支持装置を構成する発泡エラストマの構成について説明する。
変形例に係る発泡エラストマは、基本的には第1実施形態の発泡エラストマと同様に構成されているが、変形例に係る発泡エラストマは、さらに共架橋剤を含む点で、第1実施形態の発泡エラストマと相違している。共架橋剤とは、架橋助剤ともよばれ、化学架橋剤(例えば過酸化物架橋剤)または放射線によって、ベースポリマ19とともに架橋される物質のことをいう。すなわち、共架橋剤を添加することによって、ベースポリマ同士だけでなく、ベースポリマと共架橋剤との間、および/または共架橋剤同士がそれぞれ架橋されることになる。
変形例に係る共架橋剤は、特に限定されるものではないが、「分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物」を用いることが好ましい。「分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物」とは、分子内にラジカル重合性の不飽和結合であるエチレン性不飽和結合(-C=C-)を複数有する共架橋剤(架橋助剤)であり、前述した架橋剤によっては架橋反応が促進されない一方、図8に示す放射線50によって架橋反応が促進されるという特性を有する。
分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、以下に示す2官能性化合物、および/または3官能以上の多官能性化合物が挙げられる。なお、以下、「(メタ)アクリレート」とは、「メタクリレート」および「アクリレート」から選ばれる1種以上を指す。
2官能性化合物としては、例えば、シリコーンジ(メタ)アクリレート、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル-2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオネートのジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリセリンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、2,2’-ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールのジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、ペンタンジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(グリシジルオキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリル酸付加物などが挙げられる。
多官能性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロキシプロピル)イソシアヌレート、トリアリルトリメリット酸、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
これらの分子内に2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物は、共架橋剤として、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
変形例の支持装置にあっては、非発泡部11aを構成する発泡エラストマが、ベースポリマと共架橋剤とが架橋された組成物である一方、発泡部11bを構成する発泡エラストマが、ベースポリマと共架橋剤とが架橋されていない組成物である。こうすることで、変形例に係る支持装置において、発泡部11bの柔軟性を低下させることなく、非発泡部11aの剛性を共架橋剤により高めることができる。
<変形例に係る支持装置の製造方法>
以下、変形例に係る支持装置の製造方法について説明する。
変形例に係る支持装置の製造方法は、基本的には第1実施形態および第2実施形態の発泡エラストマと同様であるが、前述した共架橋剤を含むことによる相違点を以下説明する。
図7に示す混練工程S1では、ベースポリマと発泡剤と架橋剤と共架橋剤とを混練し、混練物を生成する。図7に示す成形工程S2では、前記混練物を成形して、発泡エラストマ用組成物を形成する。ここで、必須ではないが、第1実施形態と同様に、放射線照射工程S3の前に、発泡エラストマ用組成物の表面を放射線遮蔽層(図8参照)で覆う工程を有することが好ましい。
そして、図7に示す放射線照射工程S3では、発泡エラストマ用組成物に放射線を照射し、発泡エラストマ用組成物のうち放射線遮蔽層で覆われない領域に含まれる発泡性粒子の外殻を架橋する。ここで、前述したように、共架橋剤が、放射線によって架橋反応が促進されるという特性を有している場合、図7に示す放射線照射工程S3では、放射線遮蔽層で覆われない領域において、ベースポリマと共架橋剤とが放射線によって架橋される。一方、発泡エラストマ用組成物のうち放射線遮蔽層で覆われた領域では、放射線が照射されないため、ベースポリマと共架橋剤との架橋反応は進行しない。
その後、図7に示す発泡工程S4では、第1実施形態と同様に、発泡エラストマ用組成物を加熱することによって、発泡エラストマ用組成物の放射線が照射された領域に含まれる発泡性粒子12aが発泡しない一方で、放射線が照射されなかった領域に含まれる発泡性粒子12cが発泡する。ここで、共架橋剤は放射線によって架橋反応を促進するが、加熱では反応しないため、発泡工程S4において共架橋剤によりゴム全体の架橋が進み硬化するということはない。
以上より、変形例に係る支持装置の製造方法によれば、非発泡部11aを、ベースポリマと共架橋剤とが架橋された発泡エラストマにより構成することができる一方、発泡部11bをベースポリマと共架橋剤とが架橋されていない発泡エラストマにより構成することができる。その結果、変形例に係る支持装置において、発泡部11bの柔軟性を低下させることなく、非発泡部11aの剛性を共架橋剤により高めることができる。そして、変形例に係る支持装置の製造方法によれば、発泡エラストマ用組成物の任意の平面領域において、発泡制御に加え、共架橋剤による剛性制御も可能となる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、支持装置11を、振動を発生しうるワイパ装置140に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、車両10に設けられるパワーウィンドウ装置や電動サンルーフ装置、さらには電動スライドドア装置等、振動を発生しうる他の駆動装置にも適用することができる。