JP2020181995A - 発光装置およびその製造方法、ならびに表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態に係る発光装置について、図1および図2を参照して説明する。図1は、実施形態に係る発光装置の構成を模式的に示す断面図である。図2は、実施形態に係る発光装置の多層膜の構成を模式的に示す、多層膜の部分断面図である。図2におけるナノ粒子71a,72aの形状および粒径、ならびに高屈折率層71および低屈折率層72の1層あたりの積み重ねの個数は、単なる例示に過ぎない。
発光素子1は、発光装置10における光源であり、光反射性部材2に形成された上側に開口した凹部に1個収容され、凹部の底面に設けられたリードフレーム3a上に載置されている。本実施形態において、発光素子1は、上面にn側、p側の一対の電極(図示省略)を備えるフェイスアップ実装型の発光素子であり、これらの電極が、ワイヤ4でリードフレーム3a,3cに接続されている。
光反射性部材2は、発光装置10の外装を構成し、発光素子1およびリードフレーム3a,3cを支持する基台であり、また、光を効率的に上方へ発するための光反射体である。さらに、光反射性部材2は、発光装置10の製造において、透光性部材5および多層膜7を形成するための堰になる。光反射性部材2は、外形が、リードフレーム3a,3cの並び方向に長い略直方体で、上方に広がって開口した凹部が形成されている。また、光反射性部材2は、この他に、例えば発光装置10の極性を識別するための切欠け等が形成されていてもよい。光反射性部材2の凹部は、発光素子1を収容し、さらにワイヤ4によるワイヤボンディングが可能な大きさであり、凹空間が四角錐台に形成されて、傾斜した側面で光を主に上方へ反射させる。また、光反射性部材2は、リードフレーム3a,3cと共にパッケージ20を構成し、リードフレーム3a,3cをそれぞれ凹部の内外に貫通されるように支持する。
リードフレーム3a,3cは、発光装置10の外部から発光素子1に電流を供給するための配線である。リードフレーム3aは、正極として、ワイヤ4で発光素子1のp側電極に接続される。リードフレーム3cは、負極として、別のワイヤ4で発光素子1のn側電極に接続される。リードフレーム3a,3cは、平板状であり、発光装置10において板面を水平にして光反射性部材2に支持されている。詳しくは、リードフレーム3a,3cは、光反射性部材2の凹部の底面上で互いに離間して光反射性部材2の長手方向に並べられ、それぞれが外側へ突出するように凹部の側壁を貫通して設けられる。また、リードフレーム3aは、凹部の底面において、発光素子1を載置されるために、リードフレーム3cよりも長く設けられている。リードフレーム3a,3cの光反射性部材2の凹部の底面上における領域は、インナーリード部と称し、ワイヤボンディング領域であり、また、光反射面を構成する。一方、リードフレーム3a,3cの光反射性部材2の外側へ突出させた領域は、アウターリード部と称し、発光装置10の外部の配線等に接続される。発光装置10において、アウターリード部は、インナーリード部から連続して平板状に示されているが、例えば光反射性部材2の下面側へ折り曲げられていてもよい。リードフレーム3a,3cは、CuやCu合金等の金属の板材で形成され、さらに、少なくともインナーリード部の上面に、良好な光反射面とするためにAgめっき等を施されていることが好ましい。
ワイヤ4は、発光素子1のp側、n側の電極とリードフレーム3a,3cのインナーリード部とを接続する導線であり、ワイヤボンディング用のワイヤ、例えばAu線である。
透光性部材5は、光反射性部材2の凹部に充填されて設けられ、発光素子1をワイヤ4と共に封止してこれらを外部環境から保護する封止部材である。また、透光性部材5は、蛍光体6が設けられるための母材である。透光性部材5は、絶縁性で光を透過する材料で形成され、熱硬化性樹脂、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等で形成される。
蛍光体6は、透光性部材5中に分散され、発光素子1が発光した青色光で励起されて、それぞれ特定の波長の光を放出する。蛍光体6は、緑色光、黄色光、または赤色光に変換するものが好ましい。発光装置10は、青色光と組み合わせて所望の色調の光が得られるように、1種類または2種類以上の蛍光体を備え、本実施形態においては、蛍光体6として2種類の蛍光体61,62を用いる。蛍光体61,62は、発光素子1が発光した青色光で励起され、蛍光体61は緑色光(ピーク波長540nm)を、蛍光体62は赤色光(ピーク波長630nm)を、それぞれ放出するものとする。
多層膜7は、透光性部材5の上、すなわち発光装置10の光の出射方向の側に設けられて、透光性部材5を透過して到達した光を、一部は透過させて発光装置10の外である上方へ出射させ、その他は下方へ反射させて透光性部材5に戻す。発光装置10において、多層膜7は、透光性部材5と共に光反射性部材2の凹部に設けられ、透光性部材5の上面の全体を被覆している。多層膜7は、分布ブラッグ反射器(Distributed Bragg Reflector:DBR)膜として機能し、青色光を選択的に強く反射させることにより、透光性部材5に含有された蛍光体61,62による波長変換効率を高くする。
n1・d1=(2N−1)/4・λ ・・・式(1)
n2・d2=(2N−1)/4・λ ・・・式(2)
n1´・d1=N/2・λ´ ・・・式(3)
n2´・d2=N/2・λ´ ・・・式(4)
これらの異なる実施形態に係る発光装置は、前記多層膜が誘電体多層膜であることが好ましい。
本実施形態に係る発光装置の動作について、図1および図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る発光装置の動作を説明するためのモデルで、発光装置の部分断面図である。発光装置10を駆動すると、外部電源からリードフレーム3a,3cおよびワイヤ4を経由して発光素子1に電流が供給され、発光素子1が発光する。発光素子1が発光した青色光LBは、透光性部材5を伝播し、その際、青色光LBの一部が透光性部材5に分散された蛍光体61または蛍光体62に当たって、緑色光LGまたは赤色光LRに変換される。また、発光素子1から直接にまたは透光性部材5を伝播して、光反射性部材2の凹部の各面にまたは底面上のリードフレーム3a,3cのインナーリード部に到達した光は、反射して、発光素子1内または透光性部材5を再び伝播する。そして、透光性部材5の上面から多層膜7に到達した青色光LB、緑色光LG、赤色光LRは、多層膜7を透過し、混色して白色光として発光装置10の外へ取り出される。このとき、光の一部が、特に青色光LBが強く、多層膜7で反射して透光性部材5へ戻る。透光性部材5に戻った光は、再び透光性部材5を伝播し、その際に、青色光LBが蛍光体61,62に当たると緑色光LG、赤色光LRに変換される。そして、光は、光反射性部材2の凹部の各面等で反射して、多層膜7をさらに一部が透過して発光装置10の外へ取り出される。
本実施形態に係る発光装置とカラーフィルターとを組み合わせた表示装置について説明する。図4は、実施形態に係る発光装置の発光スペクトルと3色のカラーフィルターの透過スペクトルとのマッチングを示す概念図である。図5は、実施形態に係る発光装置からの光、ならびに発光装置の発光素子および蛍光体からの光のカラーフィルター透過後の色度座標を示す。
本実施形態に係る発光装置の製造方法について、図6を参照して説明する。図6は、実施形態に係る発光装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。
発光装置の製造方法は、光反射性部材に発光素子が載置されて、蛍光体を含有する透光性部材で前記発光素子が覆われている発光装置を準備する工程S10と、多層膜を形成する多層膜形成工程S30と、を備える。また、前記の発光装置を準備する工程S10は、発光素子を準備する発光素子準備工程S11と、リードフレームと組み合わせて光反射性部材を形成してパッケージを準備するパッケージ準備工程S12と、を行った後に、発光素子をパッケージに実装する発光素子実装工程S13、透光性部材を形成する透光性部材形成工程S14を順に行う。発光素子準備工程S11とパッケージ準備工程S12とは、互いに独立した工程であり、順不同に、また、並行して行うことができる。さらに、発光素子を発光させて透光性部材を透過した光の色度を計測する色度計測工程S20を行った後に、多層膜を形成する多層膜形成工程S30を行って、発光装置を得ることができる。
発光素子準備工程S11において、発光素子1を準備する。一例として、サファイア等からなる基板に窒化物半導体を成長させて、n型半導体層、活性層(発光層)、p型半導体層を順次積層する。次に、一部の領域におけるp型半導体層および活性層を除去してn型半導体層を露出させ、n型半導体層、p型半導体層のそれぞれの上面に接続する電極を形成する。そして、1枚の基板上に二次元配列された状態の発光素子1を1個ずつに切断、分割する。
パッケージ準備工程S12において、パッケージ20を準備する。まず、所望の厚さのCu板を打ち抜き加工等によりリードフレーム3a,3cの形状に成形し、Agめっきを施して、リードフレーム3a,3cを準備する。次に、光反射性物質を添加した樹脂材料で、射出成形等により、光反射性部材2をリードフレーム3a,3cを挟んだ状態で形成して、パッケージ20とする。
発光素子実装工程S13において、発光素子1をパッケージ20に実装する。光反射性部材2の凹部の底面上のリードフレーム3aに、発光素子1の下面を接着剤等で固定する。次に、ワイヤボンディングを行って、ワイヤ4で発光素子1の電極とリードフレーム3a,3cのインナーリード部とを接続する。
透光性部材形成工程S14において、透光性部材5を形成する。蛍光体61,62を含有した樹脂材料を、光反射性部材2の凹部にディスペンサー等で所定量滴下する。そして、加熱処理等の当該樹脂材料に応じた処理を行って凹部の樹脂材料を硬化させて、蛍光体61,62を含有した透光性部材5を形成する。
色度計測工程S20において、リードフレーム3a,3cのアウターリード部に電源を接続して発光素子1に電流を供給して発光させ、透光性部材5を透過した光の色度を計測する。計測した光の色度のx,y値から、完成後の発光装置10として所望の色調の光への必要な色度のシフト量Δx、Δyを算出する。
多層膜形成工程S30において、多層膜7を透光性部材5上に形成する。まず、高屈折率層71および低屈折率層72を形成するそれぞれのスラリーを調製する。TiO2、SiO2の各一次粒子を、トルエンやエタノール等の有機溶剤に分散させてスラリーを得る。このとき、必要に応じて、一次粒子に予め表面処理を施したり、スラリーにアクリル系等の高分子系分散剤を添加して、一次粒子を均一に分散させたりすることが好ましい。そして、得られた2種類のスラリーを交互に透光性部材5上に塗布する。スラリーの塗布方法は、単位面積あたりの塗布量を制御可能な方法であればよく、ポッティング法、インクジェット法、スプレー法、スピンコート法、ディッピング法等が挙げられる。本実施形態においては、高屈折率層71および低屈折率層72は、平面視サイズが光反射性部材2の凹部の形状によって決定されているので、スラリーの塗布量を制御すればよく、ここではポッティング法を適用して、透光性部材形成工程S14と同様にディスペンサー等を使用することができる。
多層膜7は、高屈折率層71、低屈折率層72の1層以上について、発光素子1が発光した青色光をレイリー散乱させる構造としてもよく、この場合、最下層の高屈折率層71に適用して、ナノ粒子71aの粒径を調整することが好ましい。また、多層膜7は、最下層に低屈折率層72を設けてもよく、特に低屈折率層72の方が透光性部材5との屈折率の差が大きい場合には反射率を高くすることができる。また、多層膜7は、最上層に低屈折率層72を設けてもよく、発光装置10の外部である空気との屈折率の差を小さくすることによって、上面での光の透過率を高くして、光の取出し効率を高めることができる。
1 発光素子
20 パッケージ
2 光反射性部材(基台)
3a,3c リードフレーム
4 ワイヤ
5 透光性部材
6,61,62 蛍光体
7 多層膜
71 高屈折率層(ナノ粒子が凝集されている膜、第1膜)
71a ナノ粒子(第1ナノ粒子)
72 低屈折率層(ナノ粒子が凝集されている膜、第2膜)
72a ナノ粒子(第2ナノ粒子)
S10 発光装置を準備する工程
S11 発光素子準備工程
S12 パッケージ準備工程
S13 発光素子実装工程
S14 透光性部材形成工程
S20 色度計測工程(色度を計測する工程)
S30 多層膜形成工程(多層膜を形成する工程)
Claims (20)
- 発光素子と、
前記発光素子を覆い、前記発光素子からの光を透過する透光性部材と、
前記透光性部材に含有されており、前記発光素子からの光を波長変換する蛍光体と、
第1ナノ粒子が凝集されている第1膜、および前記第1ナノ粒子と異なる屈折率を有する第2ナノ粒子が凝集されている第2膜を含む、ナノ粒子が凝集されている膜が2種以上積層されている多層膜と、を備える発光装置。 - 前記多層膜におけるそれぞれの膜は、厚さが750nm以下である請求項1に記載の発光装置。
- 前記多層膜におけるそれぞれの膜は、前記ナノ粒子の粒子径が5nm以上100nm以下である請求項1または請求項2に記載の発光装置。
- 前記多層膜における膜の少なくとも一つは、前記ナノ粒子の体積率が50%以上である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
- 前記第1膜と前記第2膜とは、前記発光素子からの光のピーク波長における屈折率の差が0.05以上である請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
- 前記第1ナノ粒子と前記第2ナノ粒子とは、前記発光素子からの光のピーク波長における屈折率の差が0.05以上である請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
- 前記第1膜は、前記第2膜よりも前記発光素子からの光のピーク波長における屈折率が高い請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
- 前記多層膜は、最上層に前記第1膜が形成されている請求項7に記載の発光装置。
- 前記多層膜は、前記透光性部材と接する側に前記第1膜が形成されており、前記第1膜の上に前記第2膜が形成されている請求項7または請求項8に記載の発光装置。
- 前記第1ナノ粒子がTiO2であり、前記第2ナノ粒子がSiO2である請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の発光装置。
- 前記発光素子は青色光を発光し、
前記蛍光体は、緑色光に変換する蛍光体、黄色光に変換する蛍光体、赤色光に変換する蛍光体の、少なくとも一種である請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の発光装置。 - 発光素子が前記発光素子からの光を透過する透光性部材で覆われており、前記発光素子からの光を波長変換する蛍光体が前記透光性部材に含有されている発光装置を準備する工程と、
前記透光性部材上に、第1ナノ粒子を第1溶媒に分散させてなる第1スラリーを塗布することにより前記第1ナノ粒子が凝集されている第1膜と、前記第1ナノ粒子と異なる屈折率を有する第2ナノ粒子を第2溶媒に分散させてなる第2スラリーを塗布することにより前記第2ナノ粒子が凝集されている第2膜と、を積層して多層膜を形成する工程と、を備える発光装置の製造方法。 - 前記多層膜を形成する工程において、前記第1スラリーを塗布した後に、前記第1溶媒を除去して、前記第1膜を形成する請求項12に記載の発光装置の製造方法。
- 前記多層膜を形成する工程において、前記第2スラリーを塗布した後に、前記第2溶媒を除去して、前記第2膜を形成する請求項12または請求項13に記載の発光装置の製造方法。
- 前記多層膜を形成する工程よりも前に、前記発光素子を発光させて色度を計測する工程を備え、
前記多層膜を形成する工程において、前記第1膜および前記第2膜の積層数、または少なくとも一つの前記第1膜または前記第2膜の膜厚を、前記色度に基づいて設定する請求項12ないし請求項14のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。 - 前記多層膜を形成する工程において、ポッティング法で前記第1スラリーおよび前記第2スラリーを塗布する請求項12ないし請求項15のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
- 発光素子と、
前記発光素子を覆い、前記発光素子からの光を透過する透光性部材と、
前記透光性部材に含有されており、前記発光素子からの光を波長変換する蛍光体と、
前記透光性部材上に設けられた多層膜と、を備え、
前記発光素子からの光のピーク波長をλで表したとき、前記多層膜における膜の少なくとも一つは、膜厚d1および前記波長における屈折率n1が、n1・d1=(2N−1)/4・λ(N:任意の自然数)の関係を有し、さらに、前記多層膜における膜の少なくとも一つは、膜厚d2および前記波長における屈折率n2(ただし、n2≠n1)が、n2・d2=(2N−1)/4・λ(N:任意の自然数)の関係を有する発光装置。 - 発光素子と、
前記発光素子を覆い、前記発光素子からの光を透過する透光性部材と、
前記透光性部材に含有されており、前記発光素子からの光を波長変換する蛍光体と、
前記透光性部材上に設けられた多層膜と、を備え、
前記蛍光体からの光のピーク波長をλ´で表したとき、前記多層膜における膜の少なくとも一つは、膜厚d1´および前記波長における屈折率n1´が、n1´・d1´=N/2・λ´(N:任意の自然数)の関係を有し、さらに、前記多層膜における膜の少なくとも一つは、膜厚d2´および前記波長における屈折率n2´(ただし、n2´≠n1´)が、n2´・d2´=N/2・λ´(N:任意の自然数)の関係を有する発光装置。 - 前記多層膜が誘電体多層膜である請求項17または請求項18に記載の発光装置。
- 請求項1ないし請求項11、請求項17ないし請求項19のいずれか一項に記載の発光装置を備える照明装置と、
少なくとも青色、緑色、赤色を呈する複数の着色部を有するカラーフィルターを備えて前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を有する表示装置。
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