この発明は、使用者の口を保護するマウスシールドに関する。
大気中には菌やウィルス等が存在しており、菌やウィルス等は、鼻や口等から人体に入り込み、病気をもたらすとされている。このような菌やウィルスへの対策として、鼻および口を覆うようなマスクを着用する方法が用いられている。
このようなマスクとしては、例えば3層構造の繊維不織布シートを折り重ねて形成したマスクが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、このような繊維不織布シートで構成されたマスクは、マスクと鼻頭が密着し、鼻および口とマスクとの間に形成される空間が狭いことから呼吸がしづらいという問題もあった。
この発明は、上述の問題に鑑みて、使用者の口を保護でき、かつ使用者の呼吸が容易であるマウスシールドを提供することを目的とする。
この発明は、全体が湾曲可能なシート状部材により形成され、前記シート状部材は、装着した使用者の少なくとも口の正面に配置されて、前記口の横方向への長さを有するシールド部と、前記使用者の顎をカバーする位置で前記横方向に長いバンド部と、前記シールド部と前記バンド部とを左右方向中央で接続する連結部とを備え、前記シールド部は、左右両方に前記バンド部の両端をそれぞれ固定するバンド固定部を有し、前記連結部は、前記シールド部および前記バンド部よりも短い横幅で、前記シールド部の下辺中央と、前記バンド部の上辺中央とを連結する構成であり、かつ、前記連結部から前記使用者側に立ちあがる顎当接部とを有するマウスシールドであることを特徴とする。
この発明により、使用者の口を保護でき、かつ使用者の呼吸が容易であるマウスシールドを提供することができる。
マウスシールドの裏面斜視図。
マウスシールドの表面斜視図。
シート状部材の正面図。
シート状部材の平面図。
シート状部材の左側面図。
シート状部材の右側面図。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本実施例の使用状態のマウスシールド1の裏面斜視図であり、図2は、本実施例の使用状態のマウスシールド1の表面斜視図であり、図3は、組み立て前のマウスシールド1であるシート状部材10(マウスシールド)の正面図であり、図4はシート状部材10の平面図であり、図5はシート状部材10の左側面図であり、図6はシート状部材10の右側面図である。なお、シート状部材の10の背面図は正面図と対称に表れ、シート状部材10の底面図は上面図と対称に表れるため省略する。
本発明のマウスシールド1は、全体が湾曲可能なシート状部材10と、シート状部材10に取り付けられ、使用者の耳に引っ掛ける耳掛け紐5とで構成される。
シート状部材10は、全体が透明かつ湾曲可能で、所定の力を加えるまでは弾性的に変形する。このような素材としては、例えば透明な樹脂素材を使用できる。
シート状部材10は、使用者が装着した際に使用者の口および鼻の正面に配置されるシールド部2と、使用者の顎をカバーするバンド部3と、シールド部2とバンド部3とを連結する連結部4とで構成される。
シールド部2は、横方向に長い略長方形の形状を有する。シールド部2は、左右それぞれの下方の角近傍に、耳掛け紐5を通す通し穴23を有する。また、通し穴23より内側にバンド差込口20を有する。
シールド部2の横方向の長さは、使用者が装着した際に使用者の頬をカバーできる程度である。また、シールド部2の四角の内、下方の2ヶ所の角は、丸められた曲線形状であって、上方の2ヶ所の角は、下方の2ヶ所よりさらに大きく丸められてゆるい曲線形状を有する。シールド部2の下辺は、左右の各端部と連結部4との交点の中点付近から、上方に傾きながら中央に向かって伸びる形状を有する。そして、中央部から下方に向かって連結部4が連続して成形されている。シールド部2の上辺は、2ヶ所の角から内側に曲線状の凹部を有し、さらに中央部には、上方の2ヶ所の角よりさらに上方に曲線状に盛り上がった鼻シールド部24を有する。すなわち、シールド部2の上辺は、3つの山を有する波形状であって、中央の山が最も高い構成である。
通し穴23は、シールド部2の左右それぞれの下方の角近傍において、近接した上下に2ヶ所(左右合計で4ヶ所)備えられる。また、左右それぞれの通し穴23は、対称となるように設けられる。使用者は、一本の耳掛け紐5の両端を左右どちらか一方の、上下に配置された通し穴23それぞれに挿通し、挿通した耳掛け紐5の両端を結んで耳にかけられる輪っかの形態とする。
バンド差込口20(切れ込み)は、上下方向に配置された同じ長さを有する2本の直線の切り込みである下方差込口21(下方の切れ込み)と上方差込口22(上方の切れ込み)とで構成され、左右の各通し穴23より内側にそれぞれ備えられる。また、左右それぞれのバンド差込口20は、対称となるように設けられる。バンド差込口20のシールド部2における位置は、シールド部2を平面上で左右方向に四分割した際に、最も外側の平面内にあたる。
上下方向に配置された2本のバンド差込口20(21,22)は、その切り込みが、通し穴23すなわちシールド部2の外側に向かって下方向に傾くように設けられている。すなわち、下方差込口21と上方差込口22は、いずれも、一直線の切れ目であって内端よりも外端が下方に位置するように傾斜して設けられている。また、2本のバンド差込口20の内、上方に配置された上方差込口22は、下方に配置された下方差込口21よりもさらにシールド部2の左右方向端部側に配置され、かつ下方向への傾きが大きい構成である。
バンド部3は、上辺32と下辺31とを有する横方向に長い帯形状であって、シールド部2の横方向の長さよりも若干短い。また、左右の端部37は、角がそれぞれ丸められており。上辺角35は下辺角36より大きく丸められてゆるい曲線形状を有する。バンド部3の左右方向の長さは、左右の端部が使用者の頬付近の位置となる長さで、シールド部2の左右方向の長さと同じ長さに形成されている。
下辺31は、中央部から上方に向かって連結部4が連続して成形されている。また、端部37から内側の位置に、切り欠き部30を有する。切り欠き部30は、バンド部3を、下辺31を一辺として三角形に切り抜いて形成され、下辺31、端部37と平行な端部37側の端部側切り欠き辺34、および中央側の中央側切り欠き辺33とで構成された略直角三角形の切り抜きである。また、端部側切り欠き辺34は、中央側切り欠き辺33との交点からさらにバンド部3の内側に延伸した切り込み39を有する。
上辺32は、切り欠き部30と対向する位置に凸部38を有する。凸部38は、外縁の中央側の角がゆるい曲線形状を有する。また、上辺32は、凸部38をはさんで中央側の辺より端部37側の辺がシールド部2に近くなる。すなわち、中央側の辺の長さが、端部37側の辺の長さよりも長い構成である。
連結部4は、シールド部2およびバンド部3と一体に形成され、シールド部2の下辺中央とバンド部3の上辺32中央とを連結する構成であって、シールド部2およびバンド部3よりも短い横方向の長さを有する。
連結部4は、シールド部2の下辺中央とバンド部3の上辺32の中央とを連結する。連結部4の横方向の長さは、図3に示すようなシート状部材10を展開した状態において、シールド部2の横方向の長さの20%程度である。本実施例のシート状部材10は、シールド部2の横幅が20cm、連結部4の横幅が4cmである。連結部4の横方向の長さは、シールド部2の横方向の長さの40%から10%の範囲とすることが好ましく、30%から15%の範囲とすることがより好ましく、20%とすることが好適である。また、連結部4の横方向の長さは、2cm〜8cmとすることができ、3cm〜6cmとすることが好ましく、3.5cm〜5cmとすることが好適である。
また、連結部4の上下方向の長さは、図3に示すようなシート状部材10を展開した状態において、シールド部2、連結部4、およびバンド部3を含む全体の上下方向の長さの5%程度である。本実施例のシート状部材10は、シールド部2、連結部4、およびバンド部3を含む全体の上下方向の長さが12.3cm、連結部4の上下方向の長さが2.4cmである。連結部4の上下方向の長さは、シールド部2、連結部4、およびバンド部3を含む全体の上下方向の長さの3%から8%の範囲とすることが好ましい。
連結部4は、平面的に連結する連結基部41と、バンド部3から使用者側に立ち上がって立体的に連結する顎当接部40と、顎当接部40と連結基部41との左右方向の境界に位置する連結部境界切れ込み42とを有する。
連結基部41は、顎当接部40の左右両側に左右対称に設けられており、上下方向に長く形成されている。この左右の連結基部41は、それぞれ上端付近と下端付近が同じ幅に形成されており、中央付近が互いに内側へ向かって凸になるように幅広に形成されている。これによって、連結基部41が上下方向に湾曲する際に、中央だけが小さく折れるように曲がることがなく、上端付近と下端付近がしっかりと湾曲することができる。したがって、連結基部41の全体の円弧の曲率ができるだけ小さくなって大きな円弧を描くことができる。この構成が、顎当接部40が広くゆったりと立ち上がる構成に寄与している。
連結部境界切れ込み42は、連結部4に左右対称に2ヶ所設けられており、上下の端部付近は上下方向に直線であり、中央付近がそれぞれ内側に丸く突出した形状を有する。
顎当接部40は、連結部4の中央付近に配置され、両側辺の中央付近が連結部境界切れ込み42に合わせて内側に丸く凹状になる形状を有する。すなわち、顎当接部は、上端付近と下端付近が同じ幅で幅広に形成され、中央付近が幅狭に形成されている。本実施例の顎当接部は、横幅2cm、上下方向の長さ4cmを有する。顎当接部40の横幅は、連結部4の横幅の40%から60%の範囲とすることが好ましい。言い換えれば、顎当接部40は、横幅を1〜3cmとすることができ、上下方向の長さを2cm〜6cmとすることができる。また、顎当接部40の上下方向の長さは、連結部4の上下方向の長さよりも大きいことが好ましい。
顎当接部40は、使用者がマウスシールド1装着した際に使用者の顎に当接する顎当接平面47と、顎当接平面47の上端とシールド部2とを接続する上脚48と、顎当接平面47の下端とバンド部3とを接続する下脚49と、上脚48とシールド部2との境界である上側谷折り部44と、上脚48と顎当接平面47との境界である上側山折り部46と、下脚49とバンド部3との境界である下側谷折り部43と、下脚49と顎当接平面47との境界である下側山折り部45とで構成される。顎当接平面47は、上下方向の長さが1cm〜3cmとすることができ、横方向の長さが1cm〜3cmとすることができ、中央の横方向の長さが0.5cm〜1.cmとすることができる。本実施例の顎当接平面47は、上下方向の長さ2cm、横方向の長さ2cmであって、中央の横方向の長さが1cmである。また、本実施例の上脚48および下脚49は、上下方向の長さが1cmである。顎当接平面47の中央が幅狭に構成されていることにより、使用者の顎への密着面積を小さくして装着による不快感を防止でき、かつ、上下端部が幅広であることにより上側山折り部46と下側山折り部45での折れの強度をしっかりと保つことができて、シールド部2と使用者との距離をしっかりと開ける(離間距離をしっかり保つ)ことができる。
上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45は、シート状部材10の成形時にあらかじめつけられた水平の折り目であり、すべてが互いに平行に形成されている。上側谷折り部44と下側谷折り部43は、使用者がマウスシールド1を装着した際に使用者側から見て谷折りとなる。一方、上側山折り部46と下側山折り部45は、使用者がマウスシールド1を装着した際に使用者側から見て山折りとなる。上側谷折り部44および下側谷折り部43は、30度以上曲げて立ち上がる構成とすることができ、45℃以上とすることが好ましく、60度以上とすることがより好ましい。また、上側山折り部46と下側山折り部45は、30度以上曲げた構成とすることができ、45℃以上とすることが好ましく、60度以上とすることがより好ましい。
なお、上側谷折り部44は、上脚48とシールド部2との境界に設けられているが、シールド部2でなく連結基部41との境界に設けられていても良い。また、下側谷折り部43は、下脚49とバンド部3との境界に設けられているが、バンド部3ではなく連結基部41との境界に設けられていても良い。ただし、上側谷折り部44が上脚48とシールド部2との境界に設けられているか、下側谷折り部43が下脚49とバンド部3との境界に設けられているかのどちらかを満たし、両方満たしていることが好ましい。
使用者は、図3に示すような平面のシート状部材10を組み立てて、図1および図2に示すような立体のシート状部材10を作成する。すなわち、使用者は、バンド部3の左右の端部37をバンド部3およびシールド部2を横方向に湾曲させながらバンド差込口20に挿通する。さらに、バンド部3は、切り欠き部30および凸部38によって挿通されたまま固定され、挿通されるにあたって左右それぞれの中間付近でねじれながら上下方向にも湾曲する。このとき、バンド部3は使用者側に上下方向に半分程度折り込まれるような形となり、それに従って連結部4は使用者側から離れる方向が凸となるように上下に湾曲する。ここで、使用者が、連結部4が湾曲する際または湾曲した後、顎当接平面47を使用者側に押し込むことで、顎当接部40が各折り目(上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45)および連結部境界切れ込み42に従って連結部4から立ち上がる。
バンド差込口20のシールド部2上の位置は、シールド状部材10を組み立てた際にバンド部3の上辺中央付近の平面、すなわちバンド部3と連結基部41との境界近傍の平面と、シールド部2の下辺中央付近の平面、すなわちシールド部2と連結基部41との境界近傍の平面とのなす角度が45度以上となる位置であり、さらに60度以上となることが好ましく、80度以上となることがより好適である。
組み立てられたシート状部材10の通し穴23に、耳掛け紐5を挿通して輪っかに結ぶことで取り付けて作成されたマウスシールド1は、使用者が左右の耳掛け紐5を耳に引っ掛けることで装着すると、顎当接平面47が使用者の顎と当接し、左右の耳掛け紐5および顎当接平面47以外とは使用者の顔のいずれとも接触せず、使用者の顔とシート状部材10との間に空間が形成される。なお、使用者の顎の輪郭形状については個人差があるため、使用者は自分の顎の広がり方に合わせて、バンド部3を挿通するバンド差込口20を上方に配置された上方差込口22(切れ込み)または下方に配置された下方差込口21(下方の切れ込み)から選択する。下方差込口21に挿通した方が上方差込口22(上方の切れ込み)に挿通した場合と比較してバンド部3の湾曲が緩やかとなる。
以上の構成により、使用者の口を保護でき、かつ使用者の呼吸が容易であるマウスシールド1を提供することができる。
マウスシールド1を透明または半透明とすることにより、使用者の口を保護しながら口元を会話相手が認識可能とし、かつ使用者の呼吸が容易であるマウスシールドを提供できる。
マウスシールド1は、全体が湾曲可能な透明のシート状部材10で構成され、後から取り付けられる耳掛け紐5以外は一体に成形されている。この構成により、平面で製造して使用時に立体にすることができるため、製造工程が簡略化され、安価に製造することができる。
また、横長のシールド部2とバンド部3を中央の連結部4で連結した構成であるため、シールド部2を左右方向に大きく湾曲し、バンド部3を左右方向に大きく湾曲してその両端を異シールド部2に固定して、連結部4のみ上下方向に湾曲させる立体形状を容易に実現することができる。これにより、顎当接部40が好適に立ちあがり、顔からシールド部2およびバンド部3の距離を適切に保つことができる。したがって、顎当接部40以外が使用者の顔に接触しない適切な立体形状を容易に実現できる。
また、シート状部材10は、組み立てられた際に連結部4から使用者側に立ちあがる顎当接部40を有する。この構成により、使用者が装着した際に顎当接部40の顎当接平面47が使用者の顎と当接し、シート状部材10の顎当接平面47以外は使用者と当接せず、一定の空間を有する。すなわち、使用者が顔の一部を動かすなどしても、顔とシート状部材10とが接触することがない。すなわち、使用者は呼吸がしやすく、使用者の満足度を向上させることができる。
また、連結部4は、顎当接部40と連結基部41との左右の境界となる連結部境界切れ込み42を有し、顎当接部40は、横方向に折り目をつける型である上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45を有する。この構成により、使用者がバンド差込口20にバンド部3の端部を挿通すると、連結基部41が使用者から離れる方向に凸となるよう上下方向に湾曲し、その湾曲に合わせて顎当接部40が連結部境界切れ込み42で分離される。そして使用者は、分離した顎当接部40を上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45に従って折り曲げることで、簡単に使用者に向かって凸となるよう組み立てることができる。
また、顎当接部40は、山折りまたは谷折りをガイドする上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45を有し、使用者がガイドに沿って折り目をつけると上脚48、下脚49、および顎当接平面47が形成される。この構成により、使用者の顎を広い面で支えることができ、装着時の安定性が向上する。
また、バンド差込口20は、その切り込みが、シールド部2の外側に向かって下方向に傾くように設けられている。この構成により、使用者は、バンド部3の端部をバンド差込口20に差し込むことでバンド部3を使用者の顎の形状に合わせてゆるやかに湾曲させることができる。
バンド差込口20は下方差込口21と上方差込口22とで構成され、上方に配置された上方差込口22は、下方に配置された下方差込口21よりもさらにシールド部2の左右方向端部側に配置され、かつ下方向への傾きが大きい。この構成により、上方差込口22にバンド部3の端部を挿通した場合は、下方差込口21にバンド部3の端部を挿通した場合よりもバンド部3の湾曲がゆるやかとなり、使用者は差込口を選択することでバンド部3の湾曲度合いを調整することができる。すなわち、使用者は、自身の顎の形状に合わせて差込口を適宜選択することができる。
また、下辺31は、端部37から内側に切り欠き部30を有し、上辺32は、切り欠き部30と対向する位置に凸部38を有する。さらに、上辺角35および下辺角36がそれぞれ丸められており、上辺角35は下辺角36より大きく丸められてゆるい曲線形状を有する。この構成により、使用者はバンド3の端部37をバンド差込口20に差し込む際に下辺角36から差し込んで切り欠き部30に引っ掛けることで、簡単にバンド3をバンド差込口20に挿通することができる。さらに、凸部38で過剰に挿通されることが防止されるため、切り欠き部30と合わせてバンド3をしっかりと固定することができる。
また、切り欠き部30は、バンド部の下辺31の端部を三角形状に切り取った構成であり、さらにバンド部3の内側に延伸した切り込み39を有する。この構成により、バンド3をよりしっかりと固定することができる。
また、シールド部2の上辺は、2ヶ所の角から内側に曲線状の凹部を有し、中央部には上方の2ヶ所の角よりさらに上方に曲線状に盛り上がった鼻シールド部24を有する。この構成により、使用者が眼鏡をかけている場合であっても、鼻をカバーしながら眼鏡に接触することなく装着できる。
また、シールド部2の下辺は、左右の各端部と連結部4との交点の中点付近から、上方に傾きながら中央に向かって伸びる形状を有する。この構成により、シールド部2で顎の上方付近まで使用者を防護しながら、連結部4の上下方向の長さを十分に確保できる。
また、連結部4の横方向の長さは、シールド部2の横方向の長さの40%から10%の範囲とすることが好ましく、30%から15%の範囲とすることがより好ましく、20%とすることを好適としている。この構成により、顎当接部4が横方向に十分な長さを確保できる。すなわち、顎当接平面の大きさを十分に確保でき、使用者がマウスシールド1を装着したときに顎に違和感を生じず、満足度を向上させることができる。
連結部4の上下方向の長さは、シールド部2、連結部4、およびバンド部3を含む全体の上下方向の長さの3%から8%の範囲とすることを好ましいとしている。この構成により、マウスシールド1を組み立てた際に連結部4が十分に湾曲できる範囲を確保することができ、組み立て難易度が低下させ、使用者の満足度を向上させることができる。また、シールド部2からバンド部3までの間が適切な距離となり、シールド部2またはバンド部3が使用者と接触することを防止できる。
また、顎当接部40の上下方向の長さは、連結部4の上下方向の長さよりも大きく、さらに、顎当接部40は、上側谷折り部44が上脚48とシールド部2との境界に設けられているか、下側谷折り部43が下脚49とバンド部3との境界に設けられているかのどちらかを満たす。この構成により、顎当接部40が連結基部41から立ち上がる高さと、顎当接平面47の上下方向の長さとを十分に確保することができる。
また、バンド差込口20は、シールド部2上において、シールド状部材10を組み立てた際にバンド部3の上辺中央付近の平面、すなわちバンド部3と連結基部41との境界近傍の平面と、シールド部2の下辺中央付近の平面、すなわちシールド部2と連結基部41との境界近傍の平面とのなす角度が45度以上となる位置に設けられる。この構成により、より使用者の顎の形状に沿ったバンド部3および連結部4の変形が可能となる。
また、連結部境界切れ込み42は、連結部4に左右対称に2ヶ所設けられており、中央がそれぞれ内側に丸く凸出した形状を有する。この構成により、連結部境界切れ込み42および各折り目(上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45)に従って立ち上がった顎当接平面47は、両側辺の中央部が凹の形状を有し、使用者の顎が当接した際に顎の形状に合わせて容易に変形することができる。
この発明におけるバンド固定部は、バンド差込口20に対応し、以下同様に、
連結基部との左右の境界となる切れ込みは、連結部境界切れ込み42に対応し、
折り目ガイドは、上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45に対応し、
上端折り目ガイドは、上側谷折り部44に対応し、
下端折り目ガイドは、下側谷折り部43に対応し、
2つの内折り目ガイドは、上側山折り部46および下側山折り部45に対応し、
接触平面部は、顎当接平面47に対応し、
脚部は、上脚48および下脚49に対応し、
突出部は、凸部38に対応するが、この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本実施形態では、耳掛け紐5を取り付けて使用者の両耳および顎の三点で位置を固定する形状としたが、シールド部2の左右方向長さを延伸し、左右方向の両端同士を使用者の後頭部で固定し、使用者の後頭部および顎の二点で位置を固定する形状としてもよい。
また、平面状の状態におけるシート状部材10の片面または両面に適宜の印刷を施しても良い。この場合、シート状部材10が平面で形成されているため、様々な印刷を容易に施すことができる。従って、デザイン性の高いシート状部材10およびマウスシールド1を安価に提供することができる。
この発明は、使用者の口を保護するマウスシールドの製造販売の産業に利用することができる。
1…マウスシールド
10…シート状部材
2…シールド部
20…バンド差込口
3…バンド部
4…連結部
40…顎当接部
41…連結基部
42…連結部境界切れ込み
43…下側谷折り部
44…上側谷折り部
45…下側山折り部
46…上側山折り部
47…顎当接平面
48…上脚
49…下脚
この発明は、使用者の口を保護するマウスシールドに関する。
大気中には菌やウィルス等が存在しており、菌やウィルス等は、鼻や口等から人体に入り込み、病気をもたらすとされている。このような菌やウィルスへの対策として、鼻および口を覆うようなマスクを着用する方法が用いられている。
このようなマスクとしては、例えば3層構造の繊維不織布シートを折り重ねて形成したマスクが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、このような繊維不織布シートで構成されたマスクは、マスクと鼻頭が密着し、鼻および口とマスクとの間に形成される空間が狭いことから呼吸がしづらいという問題もあった。
この発明は、上述の問題に鑑みて、使用者の口を保護でき、かつ使用者の呼吸が容易であるマウスシールドを提供することを目的とする。
この発明は、全体が湾曲可能なシート状部材により形成され、前記シート状部材は、装着した使用者の少なくとも口の正面に配置されて、前記口の横方向への長さを有するシールド部と、前記使用者の顎若しくは顎下をカバーする位置で前記横方向に長いバンド部と、前記シールド部と前記バンド部とを左右方向中央で接続する連結部とを備え、前記シールド部は、左右両方に前記バンド部の両端をそれぞれ固定するバンド固定部を有し、前記連結部または前記バンド部と接続されて前記使用者側に立ちあがる顎当接部とを有するマウスシールドであることを特徴とする。
この発明により、使用者の口を保護でき、かつ使用者の呼吸が容易であるマウスシールドを提供することができる。
マウスシールドの裏面斜視図。
マウスシールドの表面斜視図。
シート状部材の正面図。
シート状部材の平面図。
シート状部材の左側面図。
シート状部材の右側面図。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本実施例の使用状態のマウスシールド1の裏面斜視図であり、図2は、本実施例の使用状態のマウスシールド1の表面斜視図であり、図3は、組み立て前のマウスシールド1であるシート状部材10(マウスシールド)の正面図であり、図4はシート状部材10の平面図であり、図5はシート状部材10の左側面図であり、図6はシート状部材10の右側面図である。なお、シート状部材の10の背面図は正面図と対称に表れ、シート状部材10の底面図は上面図と対称に表れるため省略する。
本発明のマウスシールド1は、全体が湾曲可能なシート状部材10と、シート状部材10に取り付けられ、使用者の耳に引っ掛ける耳掛け紐5とで構成される。
シート状部材10は、全体が透明かつ湾曲可能で、所定の力を加えるまでは弾性的に変形する。このような素材としては、例えば透明な樹脂素材を使用できる。
シート状部材10は、使用者が装着した際に使用者の口および鼻の正面に配置されるシールド部2と、使用者の顎をカバーするバンド部3と、シールド部2とバンド部3とを連結する連結部4とで構成される。
シールド部2は、横方向に長い略長方形の形状を有する。シールド部2は、左右それぞれの下方の角近傍に、耳掛け紐5を通す通し穴23を有する。また、通し穴23より内側にバンド差込口20を有する。
シールド部2の横方向の長さは、使用者が装着した際に使用者の頬をカバーできる程度である。また、シールド部2の四角の内、下方の2ヶ所の角は、丸められた曲線形状であって、上方の2ヶ所の角は、下方の2ヶ所よりさらに大きく丸められてゆるい曲線形状を有する。シールド部2の下辺は、左右の各端部と連結部4との交点の中点付近から、上方に傾きながら中央に向かって伸びる形状を有する。そして、中央部から下方に向かって連結部4が連続して成形されている。シールド部2の上辺は、2ヶ所の角から内側に曲線状の凹部を有し、さらに中央部には、上方の2ヶ所の角よりさらに上方に曲線状に盛り上がった鼻シールド部24を有する。すなわち、シールド部2の上辺は、3つの山を有する波形状であって、中央の山が最も高い構成である。
通し穴23は、シールド部2の左右それぞれの下方の角近傍において、近接した上下に2ヶ所(左右合計で4ヶ所)備えられる。また、左右それぞれの通し穴23は、対称となるように設けられる。使用者は、一本の耳掛け紐5の両端を左右どちらか一方の、上下に配置された通し穴23それぞれに挿通し、挿通した耳掛け紐5の両端を結んで耳にかけられる輪っかの形態とする。
バンド差込口20(切れ込み)は、上下方向に配置された同じ長さを有する2本の直線の切り込みである下方差込口21(下方の切れ込み)と上方差込口22(上方の切れ込み)とで構成され、左右の各通し穴23より内側にそれぞれ備えられる。また、左右それぞれのバンド差込口20は、対称となるように設けられる。バンド差込口20のシールド部2における位置は、シールド部2を平面上で左右方向に四分割した際に、最も外側の平面内にあたる。
上下方向に配置された2本のバンド差込口20(21,22)は、その切り込みが、通し穴23すなわちシールド部2の外側に向かって下方向に傾くように設けられている。すなわち、下方差込口21と上方差込口22は、いずれも、一直線の切れ目であって内端よりも外端が下方に位置するように傾斜して設けられている。また、2本のバンド差込口20の内、上方に配置された上方差込口22は、下方に配置された下方差込口21よりもさらにシールド部2の左右方向端部側に配置され、かつ下方向への傾きが大きい構成である。
バンド部3は、上辺32と下辺31とを有する横方向に長い帯形状であって、シールド部2の横方向の長さよりも若干短い。また、左右の端部37は、角がそれぞれ丸められており。上辺角35は下辺角36より大きく丸められてゆるい曲線形状を有する。バンド部3の左右方向の長さは、左右の端部が使用者の頬付近の位置となる長さで、シールド部2の左右方向の長さと同じ長さに形成されている。
下辺31は、中央部から上方に向かって連結部4が連続して成形されている。また、端部37から内側の位置に、切り欠き部30を有する。切り欠き部30は、バンド部3を、下辺31を一辺として三角形に切り抜いて形成され、下辺31、端部37と平行な端部37側の端部側切り欠き辺34、および中央側の中央側切り欠き辺33とで構成された略直角三角形の切り抜きである。また、端部側切り欠き辺34は、中央側切り欠き辺33との交点からさらにバンド部3の内側に延伸した切り込み39を有する。
上辺32は、切り欠き部30と対向する位置に凸部38を有する。凸部38は、外縁の中央側の角がゆるい曲線形状を有する。また、上辺32は、凸部38をはさんで中央側の辺より端部37側の辺がシールド部2に近くなる。すなわち、中央側の辺の長さが、端部37側の辺の長さよりも長い構成である。
連結部4は、シールド部2およびバンド部3と一体に形成され、シールド部2の下辺中央とバンド部3の上辺32中央とを連結する構成であって、シールド部2およびバンド部3よりも短い横方向の長さを有する。
連結部4は、シールド部2の下辺中央とバンド部3の上辺32の中央とを連結する。連結部4の横方向の長さは、図3に示すようなシート状部材10を展開した状態において、シールド部2の横方向の長さの20%程度である。本実施例のシート状部材10は、シールド部2の横幅が20cm、連結部4の横幅が4cmである。連結部4の横方向の長さは、シールド部2の横方向の長さの40%から10%の範囲とすることが好ましく、30%から15%の範囲とすることがより好ましく、20%とすることが好適である。また、連結部4の横方向の長さは、2cm〜8cmとすることができ、3cm〜6cmとすることが好ましく、3.5cm〜5cmとすることが好適である。
また、連結部4の上下方向の長さは、図3に示すようなシート状部材10を展開した状態において、シールド部2、連結部4、およびバンド部3を含む全体の上下方向の長さの5%程度である。本実施例のシート状部材10は、シールド部2、連結部4、およびバンド部3を含む全体の上下方向の長さが12.3cm、連結部4の上下方向の長さが2.4cmである。連結部4の上下方向の長さは、シールド部2、連結部4、およびバンド部3を含む全体の上下方向の長さの3%から8%の範囲とすることが好ましい。
連結部4は、平面的に連結する連結基部41と、バンド部3から使用者側に立ち上がって立体的に連結する顎当接部40と、顎当接部40と連結基部41との左右方向の境界に位置する連結部境界切れ込み42とを有する。
連結基部41は、顎当接部40の左右両側に左右対称に設けられており、上下方向に長く形成されている。この左右の連結基部41は、それぞれ上端付近と下端付近が同じ幅に形成されており、中央付近が互いに内側へ向かって凸になるように幅広に形成されている。これによって、連結基部41が上下方向に湾曲する際に、中央だけが小さく折れるように曲がることがなく、上端付近と下端付近がしっかりと湾曲することができる。したがって、連結基部41の全体の円弧の曲率ができるだけ小さくなって大きな円弧を描くことができる。この構成が、顎当接部40が広くゆったりと立ち上がる構成に寄与している。
連結部境界切れ込み42は、連結部4に左右対称に2ヶ所設けられており、上下の端部付近は上下方向に直線であり、中央付近がそれぞれ内側に丸く突出した形状を有する。
顎当接部40は、連結部4の中央付近に配置され、両側辺の中央付近が連結部境界切れ込み42に合わせて内側に丸く凹状になる形状を有する。すなわち、顎当接部は、上端付近と下端付近が同じ幅で幅広に形成され、中央付近が幅狭に形成されている。本実施例の顎当接部は、横幅2cm、上下方向の長さ4cmを有する。顎当接部40の横幅は、連結部4の横幅の40%から60%の範囲とすることが好ましい。言い換えれば、顎当接部40は、横幅を1〜3cmとすることができ、上下方向の長さを2cm〜6cmとすることができる。また、顎当接部40の上下方向の長さは、連結部4の上下方向の長さよりも大きいことが好ましい。
顎当接部40は、使用者がマウスシールド1装着した際に使用者の顎に当接する顎当接平面47と、顎当接平面47の上端とシールド部2とを接続する上脚48と、顎当接平面47の下端とバンド部3とを接続する下脚49と、上脚48とシールド部2との境界である上側谷折り部44と、上脚48と顎当接平面47との境界である上側山折り部46と、下脚49とバンド部3との境界である下側谷折り部43と、下脚49と顎当接平面47との境界である下側山折り部45とで構成される。顎当接平面47は、上下方向の長さが1cm〜3cmとすることができ、横方向の長さが1cm〜3cmとすることができ、中央の横方向の長さが0.5cm〜1.cmとすることができる。本実施例の顎当接平面47は、上下方向の長さ2cm、横方向の長さ2cmであって、中央の横方向の長さが1cmである。また、本実施例の上脚48および下脚49は、上下方向の長さが1cmである。顎当接平面47の中央が幅狭に構成されていることにより、使用者の顎への密着面積を小さくして装着による不快感を防止でき、かつ、上下端部が幅広であることにより上側山折り部46と下側山折り部45での折れの強度をしっかりと保つことができて、シールド部2と使用者との距離をしっかりと開ける(離間距離をしっかり保つ)ことができる。
上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45は、シート状部材10の成形時にあらかじめつけられた水平の折り目であり、すべてが互いに平行に形成されている。上側谷折り部44と下側谷折り部43は、使用者がマウスシールド1を装着した際に使用者側から見て谷折りとなる。一方、上側山折り部46と下側山折り部45は、使用者がマウスシールド1を装着した際に使用者側から見て山折りとなる。上側谷折り部44および下側谷折り部43は、30度以上曲げて立ち上がる構成とすることができ、45℃以上とすることが好ましく、60度以上とすることがより好ましい。また、上側山折り部46と下側山折り部45は、30度以上曲げた構成とすることができ、45℃以上とすることが好ましく、60度以上とすることがより好ましい。
なお、上側谷折り部44は、上脚48とシールド部2との境界に設けられているが、シールド部2でなく連結基部41との境界に設けられていても良い。また、下側谷折り部43は、下脚49とバンド部3との境界に設けられているが、バンド部3ではなく連結基部41との境界に設けられていても良い。ただし、上側谷折り部44が上脚48とシールド部2との境界に設けられているか、下側谷折り部43が下脚49とバンド部3との境界に設けられているかのどちらかを満たし、両方満たしていることが好ましい。
使用者は、図3に示すような平面のシート状部材10を組み立てて、図1および図2に示すような立体のシート状部材10を作成する。すなわち、使用者は、バンド部3の左右の端部37をバンド部3およびシールド部2を横方向に湾曲させながらバンド差込口20に挿通する。さらに、バンド部3は、切り欠き部30および凸部38によって挿通されたまま固定され、挿通されるにあたって左右それぞれの中間付近でねじれながら上下方向にも湾曲する。このとき、バンド部3は使用者側に上下方向に半分程度折り込まれるような形となり、それに従って連結部4は使用者側から離れる方向が凸となるように上下に湾曲する。ここで、使用者が、連結部4が湾曲する際または湾曲した後、顎当接平面47を使用者側に押し込むことで、顎当接部40が各折り目(上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45)および連結部境界切れ込み42に従って連結部4から立ち上がる。
バンド差込口20のシールド部2上の位置は、シールド状部材10を組み立てた際にバンド部3の上辺中央付近の平面、すなわちバンド部3と連結基部41との境界近傍の平面と、シールド部2の下辺中央付近の平面、すなわちシールド部2と連結基部41との境界近傍の平面とのなす角度が45度以上となる位置であり、さらに60度以上となることが好ましく、80度以上となることがより好適である。
組み立てられたシート状部材10の通し穴23に、耳掛け紐5を挿通して輪っかに結ぶことで取り付けて作成されたマウスシールド1は、使用者が左右の耳掛け紐5を耳に引っ掛けることで装着すると、顎当接平面47が使用者の顎と当接し、左右の耳掛け紐5および顎当接平面47以外とは使用者の顔のいずれとも接触せず、使用者の顔とシート状部材10との間に空間が形成される。なお、使用者の顎の輪郭形状については個人差があるため、使用者は自分の顎の広がり方に合わせて、バンド部3を挿通するバンド差込口20を上方に配置された上方差込口22(切れ込み)または下方に配置された下方差込口21(下方の切れ込み)から選択する。下方差込口21に挿通した方が上方差込口22(上方の切れ込み)に挿通した場合と比較してバンド部3の湾曲が緩やかとなる。
以上の構成により、使用者の口を保護でき、かつ使用者の呼吸が容易であるマウスシールド1を提供することができる。
マウスシールド1を透明または半透明とすることにより、使用者の口を保護しながら口元を会話相手が認識可能とし、かつ使用者の呼吸が容易であるマウスシールドを提供できる。
マウスシールド1は、全体が湾曲可能な透明のシート状部材10で構成され、後から取り付けられる耳掛け紐5以外は一体に成形されている。この構成により、平面で製造して使用時に立体にすることができるため、製造工程が簡略化され、安価に製造することができる。
また、横長のシールド部2とバンド部3を中央の連結部4で連結した構成であるため、シールド部2を左右方向に大きく湾曲し、バンド部3を左右方向に大きく湾曲してその両端を異シールド部2に固定して、連結部4のみ上下方向に湾曲させる立体形状を容易に実現することができる。これにより、顎当接部40が好適に立ちあがり、顔からシールド部2およびバンド部3の距離を適切に保つことができる。したがって、顎当接部40以外が使用者の顔に接触しない適切な立体形状を容易に実現できる。
また、シート状部材10は、組み立てられた際に連結部4から使用者側に立ちあがる顎当接部40を有する。この構成により、使用者が装着した際に顎当接部40の顎当接平面47が使用者の顎と当接し、シート状部材10の顎当接平面47以外は使用者と当接せず、一定の空間を有する。すなわち、使用者が顔の一部を動かすなどしても、顔とシート状部材10とが接触することがない。すなわち、使用者は呼吸がしやすく、使用者の満足度を向上させることができる。
また、連結部4は、顎当接部40と連結基部41との左右の境界となる連結部境界切れ込み42を有し、顎当接部40は、横方向に折り目をつける型である上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45を有する。この構成により、使用者がバンド差込口20にバンド部3の端部を挿通すると、連結基部41が使用者から離れる方向に凸となるよう上下方向に湾曲し、その湾曲に合わせて顎当接部40が連結部境界切れ込み42で分離される。そして使用者は、分離した顎当接部40を上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45に従って折り曲げることで、簡単に使用者に向かって凸となるよう組み立てることができる。
また、顎当接部40は、山折りまたは谷折りをガイドする上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45を有し、使用者がガイドに沿って折り目をつけると上脚48、下脚49、および顎当接平面47が形成される。この構成により、使用者の顎を広い面で支えることができ、装着時の安定性が向上する。
また、バンド差込口20は、その切り込みが、シールド部2の外側に向かって下方向に傾くように設けられている。この構成により、使用者は、バンド部3の端部をバンド差込口20に差し込むことでバンド部3を使用者の顎の形状に合わせてゆるやかに湾曲させることができる。
バンド差込口20は下方差込口21と上方差込口22とで構成され、上方に配置された上方差込口22は、下方に配置された下方差込口21よりもさらにシールド部2の左右方向端部側に配置され、かつ下方向への傾きが大きい。この構成により、上方差込口22にバンド部3の端部を挿通した場合は、下方差込口21にバンド部3の端部を挿通した場合よりもバンド部3の湾曲がゆるやかとなり、使用者は差込口を選択することでバンド部3の湾曲度合いを調整することができる。すなわち、使用者は、自身の顎の形状に合わせて差込口を適宜選択することができる。
また、下辺31は、端部37から内側に切り欠き部30を有し、上辺32は、切り欠き部30と対向する位置に凸部38を有する。さらに、上辺角35および下辺角36がそれぞれ丸められており、上辺角35は下辺角36より大きく丸められてゆるい曲線形状を有する。この構成により、使用者はバンド3の端部37をバンド差込口20に差し込む際に下辺角36から差し込んで切り欠き部30に引っ掛けることで、簡単にバンド3をバンド差込口20に挿通することができる。さらに、凸部38で過剰に挿通されることが防止されるため、切り欠き部30と合わせてバンド3をしっかりと固定することができる。
また、切り欠き部30は、バンド部の下辺31の端部を三角形状に切り取った構成であり、さらにバンド部3の内側に延伸した切り込み39を有する。この構成により、バンド3をよりしっかりと固定することができる。
また、シールド部2の上辺は、2ヶ所の角から内側に曲線状の凹部を有し、中央部には上方の2ヶ所の角よりさらに上方に曲線状に盛り上がった鼻シールド部24を有する。この構成により、使用者が眼鏡をかけている場合であっても、鼻をカバーしながら眼鏡に接触することなく装着できる。
また、シールド部2の下辺は、左右の各端部と連結部4との交点の中点付近から、上方に傾きながら中央に向かって伸びる形状を有する。この構成により、シールド部2で顎の上方付近まで使用者を防護しながら、連結部4の上下方向の長さを十分に確保できる。
また、連結部4の横方向の長さは、シールド部2の横方向の長さの40%から10%の範囲とすることが好ましく、30%から15%の範囲とすることがより好ましく、20%とすることを好適としている。この構成により、顎当接部4が横方向に十分な長さを確保できる。すなわち、顎当接平面の大きさを十分に確保でき、使用者がマウスシールド1を装着したときに顎に違和感を生じず、満足度を向上させることができる。
連結部4の上下方向の長さは、シールド部2、連結部4、およびバンド部3を含む全体の上下方向の長さの3%から8%の範囲とすることを好ましいとしている。この構成により、マウスシールド1を組み立てた際に連結部4が十分に湾曲できる範囲を確保することができ、組み立て難易度が低下させ、使用者の満足度を向上させることができる。また、シールド部2からバンド部3までの間が適切な距離となり、シールド部2またはバンド部3が使用者と接触することを防止できる。
また、顎当接部40の上下方向の長さは、連結部4の上下方向の長さよりも大きく、さらに、顎当接部40は、上側谷折り部44が上脚48とシールド部2との境界に設けられているか、下側谷折り部43が下脚49とバンド部3との境界に設けられているかのどちらかを満たす。この構成により、顎当接部40が連結基部41から立ち上がる高さと、顎当接平面47の上下方向の長さとを十分に確保することができる。
また、バンド差込口20は、シールド部2上において、シールド状部材10を組み立てた際にバンド部3の上辺中央付近の平面、すなわちバンド部3と連結基部41との境界近傍の平面と、シールド部2の下辺中央付近の平面、すなわちシールド部2と連結基部41との境界近傍の平面とのなす角度が45度以上となる位置に設けられる。この構成により、より使用者の顎の形状に沿ったバンド部3および連結部4の変形が可能となる。
また、連結部境界切れ込み42は、連結部4に左右対称に2ヶ所設けられており、中央がそれぞれ内側に丸く凸出した形状を有する。この構成により、連結部境界切れ込み42および各折り目(上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45)に従って立ち上がった顎当接平面47は、両側辺の中央部が凹の形状を有し、使用者の顎が当接した際に顎の形状に合わせて容易に変形することができる。
この発明におけるバンド固定部は、バンド差込口20に対応し、以下同様に、
連結基部との左右の境界となる切れ込みは、連結部境界切れ込み42に対応し、
折り目ガイドは、上側谷折り部44、上側山折り部46、下側谷折り部43、および下側山折り部45に対応し、
上端折り目ガイドは、上側谷折り部44に対応し、
下端折り目ガイドは、下側谷折り部43に対応し、
2つの内折り目ガイドは、上側山折り部46および下側山折り部45に対応し、
接触平面部は、顎当接平面47に対応し、
脚部は、上脚48および下脚49に対応し、
突出部は、凸部38に対応するが、この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本実施形態では、耳掛け紐5を取り付けて使用者の両耳および顎の三点で位置を固定する形状としたが、シールド部2の左右方向長さを延伸し、左右方向の両端同士を使用者の後頭部で固定し、使用者の後頭部および顎の二点で位置を固定する形状としてもよい。
また、平面状の状態におけるシート状部材10の片面または両面に適宜の印刷を施しても良い。この場合、シート状部材10が平面で形成されているため、様々な印刷を容易に施すことができる。従って、デザイン性の高いシート状部材10およびマウスシールド1を安価に提供することができる。
この発明は、使用者の口を保護するマウスシールドの製造販売の産業に利用することができる。
1…マウスシールド
10…シート状部材
2…シールド部
20…バンド差込口
3…バンド部
4…連結部
40…顎当接部
41…連結基部
42…連結部境界切れ込み
43…下側谷折り部
44…上側谷折り部
45…下側山折り部
46…上側山折り部
47…顎当接平面
48…上脚
49…下脚