JP2020180024A - 高温養生用セメント組成物及びこれを用いた硫酸塩劣化を抑制されたセメント組成物硬化体の製造方法 - Google Patents

高温養生用セメント組成物及びこれを用いた硫酸塩劣化を抑制されたセメント組成物硬化体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】強度発現性に優れるとともに内部硫酸塩劣化が抑制され、生産効率の優れたセメント組成物を得ることのできるセメント組成物および硫酸塩劣化を抑制されたセメント組成物硬化体の製造方法を実現することを目的とした。
【解決手段】ポルトランドセメントと、混和材を含むセメント組成物であって、前記セメント組成物100質量部に対して、前記混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部であることを特徴とするセメント組成物、を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高温養生用セメント組成物及びこれを用いた硫酸塩劣化を抑制されたセメント組成物硬化体の製造方法に関する。
コンクリートなどのセメント硬化体は、ポルトランドセメントやポルトランドセメントに混合材を混合したセメント組成物を用いて製造される。セメント硬化体の製造においては、セメント組成物の硬化促進を図る目的で、コンクリート打設後に蒸気養生などの高温養生を行うことで、脱枠時期を早めて施工の効率化を図り、あるいは、使用する型枠の回転率を向上させてコンクリート製造における生産性を高めることが行われる。
しかしながら、コンクリート打設後の高温養生温度が65℃を超える場合に、セメント組成物に含有される石こうや硫酸アルカリなどの硫酸塩によって、硬化後に長期的にエトリンガイトが生成し、膨張によってコンクリート強度の低下やひび割れ発生などの劣化が生じることが知られている。これは、遅延エトリンガイト生成と称される内部硫酸塩劣化の一つである。また、マッシブなコンクリートではセメントの水和反応により、コンクリート打設後からコンクリート温度が上昇し、同様に長期的に遅延エトリンガイト生成による劣化が懸念されている。
この問題に対して、コンクリート打設後の製造工程において温度が65℃以下となるように制御するなどの対策が施され、結果として、高温養生による硬化促進が制限されセメント硬化体の製造における生産性を損ない、あるいは、セメント硬化体の温度上昇を抑制するために低発熱性のセメントを用いる、あるいは、パイプクーリングなどの手法でセメント硬化体の温度上昇を抑制するなど、対策が必要であった。
このような内部硫酸塩劣化に対して、アルミネート相、フェライト相の合計含有率が2〜6.5質量%と、エトリンガイトが生成しにくいように、エトリンガイトの構成元素であるアルミニウムの供給源となるアルミネート相などの特定の鉱物含有率の低いセメントを用いる方法が知られている(特許文献1)が、一般に流通するものではないためセメント硬化体の製造において専用のセメントサイロを用意する必要性があるなど煩雑であった。また、コンクリートの可溶性塩素による劣化が起こりにくいものとする目的で、石炭灰、及び石こうを含み、さらに任意の構成成分として、高炉スラグ及び石灰石微粉末から選ばれる1種以上を含むセメント組成物を用いて高温養生するコンクリート製造方法が示されているが(特許文献2)、内部硫酸塩劣化が生じるおそれがあり、また、内部硫酸塩劣化に対して有効な混合材の組成が示されていなかった。
特開2011−073889号公報 特許第5946107号公報
そこで、高温養生をしても内部硫酸塩劣化が抑制され、生産効率の優れた硬化体を得ることのできるセメント組成物および内部硫酸塩劣化を抑制されたセメント硬化体の製造方法を実現することを課題とした。
また、一般的には混合材を使用すると強度が低下、または、強度発現速度が低下することが知られ、この傾向はポルトランドセメントの種類に限らず確認される現象である。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、生産効率の向上や初期強度を発現させるため65℃以上の養生をおこなっても、硫酸塩劣化を抑制されたセメント組成物硬化体で、長期における強度の伸びがなくならないセメント組成物及びこれを用いたセメント組成物硬化体を提供することを目的とした。
ポルトランドセメントと、混和材を含むセメント組成物であって、前記セメント組成物100質量部に対して、前記混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部であることを特徴とするセメント組成物を提供する。
前記混和材が、フライアッシュ、高炉スラグ、焼成カオリン、水酸化アルミニウムの群から選ばれる1以上の混和材を含むセメント組成物であって、前記セメント組成物100質量部に対して、混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部であることを特徴とするセメント組成物を提供する。
前記混和材が、焼成カオリンまたは水酸化アルミニウムから選ばれる1以上の混和材を含むセメント組成物であって、前記セメント組成物100質量部に対して、混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部であることを特徴とするセメント組成物を提供する。
前記セメント組成物と水とを練り混ぜ、65℃を超え100℃以下の温度で高温養生を行うことを特徴とするセメント硬化体の製造方法を提供する。
(ポルトランドセメント)
ここで、ポルトランドセメントは、主成分として珪素,アルミニウム,鉄およびカルシウムを含む、石灰石、粘土、珪石、焼却灰などを適当な割合で混ぜ,その一部が溶融するまで焼成したクリンカーに適当量の石こうを加えて粉砕して粉末としたものを主成分としたものであり、JIS R 5210に示される普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩の各ポルトランドセメントおよびそれらの低アルカリ形ポルトランドセメント、ASTM C150に示される各ポルトランドセメント、EN 197に示されるCEM Iなどが例示される。ポルトランドセメントはJISで石こう量の上限値が4質量%に規定されており、SOの上限として2質量%を下回る。そこで混和材の影響は、内部硫酸塩をSO換算で5質量%と設定したセメントで内部硫酸塩劣化が認められなければ現実的な影響はクリアーできる。
(混合材料)
混合材料は、フライアッシュ、シリカフューム、水酸化アルミニウム、高炉スラグ微粉末、カオリン、ベントナイト、石灰石微粉末、火山灰シラスが例示され、これら混合材料を1種以上混合したものが好ましく、より好ましくは、フライアッシュ、高炉スラグ、カオリン、水酸化アルミニウムの群から選ばれる1以上、さらに好ましくは、焼成メタカオリンまたは水酸化アルミニウムを含むものである。これら混合材はポルトランドセメントとの反応性が良く、内部硫酸塩劣化を抑制する効果が大きい。
混合材はポルトランドセメント以外の粉末状のものでポルトランドセメントとともに水和反応するものである。水和反応性の観点から、比表面積が1500cm/g以上、望ましくは4000〜10000cm/gであり、JIS R 5201記載のブレーン空気透過装置を用いた粉末度試験による測定法が例示される。また、混合材の真密度は1.5〜3.2g/cmが望ましい。真密度が1.5g/cmを下回ると、反応性に富むがセメント組成物の練混ぜで多くの水を必要とし強度が低下するので望ましくなく、また、3.2g/cmを超えると、練混ぜ時に材料分離を生じる可能性があり望ましくない。
混合材は、元素としてアルミニウム(Al)を含有するもので、望ましくはアルミニウムとともに珪素(Si)を含むものである。用いる量は、混合材の化学組成による。すなわち、前記セメント組成物100質量部に対して、混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部とすると、内部硫酸塩劣化が抑制される。化学組成は、JIS R 5202に例示される方法のほか、各材料に適用可能な湿式による定量分析方法が適用可能で、特に、蛍光X線回折による方法で定量することが有効であり、JIS R 5204あるいはASTM C 114、ISO 29581−2等に規定される蛍光X線分析方法が適用できる。
「混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部とする」とは、選定した単独または複数の混和材の各SiO、Alの組成(質量%)を測定し、例えば、混和後のセメント組成物100質量部に対して、SiOが4〜20質量部の時にはAlが3〜8質量部、あるいはSiOが4質量部未満の時にはAlが4〜10質量部となるように各混和材量の混和量を定める意味である。石灰石微粉末等も希釈材として用いることができる。
硫酸塩劣化に対する抵抗性を向上させる方法として、特開2011−073889に示されるように、アルミニウムを含有するアルミネート相、フェライト相の合計含有率が2〜6.5質量%とし、内部硫酸塩膨張劣化の原因となるエトリンガイトの化学組成の一つであるアルミニウム(Al)を抑制する方法が知られているが、本発明では、驚くべきことに、逆に所定量のアルミニウムをSiO量に応じて混合材からセメント組成物に適当量を供給することで、内部硫酸塩劣化を抑制する効果を発揮する。
これは、おそらくは、セメント鉱物であるアルミネート相、フェライト相の持つアルミニウムは膨張に寄与するエトリンガイト生成に使われるが、混合材の持つアルミニウムから生成するエトリンガイトは膨張に寄与しないものである可能性があり、混合材からアルミニウムをセメント組成物として供給することで、膨張に寄与しないエトリンガイト生成を促し、膨張に寄与するエトリンガイト生成が抑制されるものと考えられる。
さらに、混合材のもつ珪素(Si)は、エトリンガイトの構成元素ではないが、ポルトランドセメントとともにエトリンガイト以外のセメント水和物の生成に寄与し、この生成物が、硬化体組織内で硫酸イオンを吸着する効果、あるいは、エトリンガイト生成に必要なCa,Al、SOなどの各イオンの組織内での移動を制限する効果を有し、結果として膨張に寄与するエトリンガイトの生成を抑制すること、エトリンガイトの構成元素であるCaと反応してエトリンガイトの生成を抑制する効果が推定される。
特に、養生による高温履歴を受けると、未水和セメント粒子の周りのCa,Al、SOなどの各イオンの移動に大きな変化が生じ、特定イオンが局在化して膨張に寄与するエトリンガイトの生成を抑制しうることに着目した。そして、上記の通り、混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAl3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部とすると、膨張に寄与するエトリンガイトの生成が抑制される。このとき、高温履歴による局在化の有無が、例えば1年後等の長期のセメント硬化体の膨張率に大きく影響すると考察される。因みに、20℃で養生したセメント硬化体では混和材の種類や置換率が変化しても初期水和時の未水和セメント粒子の周りの特定イオンの局在化はさほど顕著なものではない。
石灰石微粉末
なお、混合材としての石灰石微粉末の含有は、SiおよびAlを殆ど含まないが、セメント硬化体となった時に石灰石微粉末とセメントとの反応性生成物が水と結合するものであり、各イオンの組織内移動を抑制する効果を有する。
フライアッシュ
所定量までのフライアッシュ混和材の増量はセメント硬化体の膨張率を比例的に減少させる。また、他の混和材との併存による効果も大である。
高炉スラグ
所定量までの高炉スラグ混和材の増量はセメント硬化体の膨張率を比例的に減少させる。また、他の混和材との併存による効果も大である。
粘土鉱物
カオリン、ベントナイトなどの粘土鉱物は、焼成物、非焼成物の何れも利用できるが、特に600〜800℃程度の温度で焼成した焼成物は内部硫酸塩劣化に対して抑制効果が大きく、焼成メタカオリンはより好ましい混合材の構成材料であり、混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが効果を発揮する。
水酸化アルミニウム
混合材のAl源として、水酸化アルミニウムの使用は特に有効である。水酸化アルミニウムは粉末とすることでポルトランドセメントと反応し、また、水酸化アルミニウムゲルはポルトランドセメントとの反応性が良く、内部硫酸塩劣化に対して、混合材からもたらされるアルミニウムが、有効に作用する。水酸化アルミニウムは、工業用純度で良く、湿粉は発塵がなく、流動性のよい乾粉も用いることができる。
混和材の化学組成
前記セメント組成物100質量部に対して、混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部であるように、前記混和材を単独または複数で調合する。
骨材
骨材は通常の生コンで使用するものと同様のものを使用することが出来、特に限定されない。
水比
水/セメント組成物比は、特に、限定するものではないが、25質量部〜80質量部の範囲、より好ましくは30質量部〜65質量部である。30質量部を下回ると成形に必要な流動性が得られず、また、65質量部を超えるとセメント硬化体の強度が得られず、材料分離等で均一混合が妨げられるおそれがある。
養生温度
養生温度は、セメント組成物と水との練混ぜ物の温度が65℃を超え、100℃以下とする。この温度は、例えば、中心部などで練混ぜ物の一部において達成されれば、熱伝導により、練混ぜ物全体にも十分に効果を発揮する温度である。65℃以下では、ポルトランドセメントと混合材との反応が十分に進まず、内部硫酸塩劣化を抑制する効果が得られないだけでなく、セメント硬化体の強度が低くなる。本発明のセメント組成物では、養生温度は、より好ましくは75℃を超え100℃以下であり、内部硫酸塩劣化を生じることなく、強度に優れたセメント硬化体とすることができる。
また、100℃を超えると、含有する水が気化し、水の量が不足して水和が進まず、十分な強度が得られないおそれがある。高温養生の方法は特に制限を受けないが、セメント組成物と水との練混ぜ直後から48時間までの間に温度上昇を開始することが望ましく、65℃を超える温度が、2時間以上24時間以下の時間、保持することが望ましい。高温養生後、硬化体は脱枠し、あるいは脱枠せずに、建設における構造物や部材として利用できる。
本発明のセメント組成物や、これを用いた硬化体は、強度発現性に優れ、遅延エトリンガイト生成による内部硫酸塩劣化を抑制することで、長期間の耐膨張性に優れる硬化体とすることができる。また、高温養生による型枠回転を促しセメント組成物硬化体の生産性の向上を図ることができる。さらに、65℃を越えるような高温環境に晒される高温養生されるコンクリートでは、コンクリート温度が低下することで内部硫酸塩劣化が生じるおそれがあるが、そのようなコンクリートにおいても、本発明によって長期間の耐久性に優れたコンクリートとすることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実験例に基づき説明するが、本発明は、これら実験例に限定されない。
実験例
各種セメント組成物を製造し、促進試験によって長期の膨張抑制性能を確認した。
混合材として、JIS A 6201に記載されるII種に適合するフライアッシュ(FA)、JIS A 6207に適合するシリカフューム(SF)、試薬特級水酸化アルミニウム(AH)、JIS A 6206 に記載される高炉スラグ微粉末4000に適合する高炉スラグ微粉末(BS)、焼成メタカオリン(HB、化学組成としてSiOおよびSiOがそれぞれ53質量%および45質量%)、非焼成メタカオリン(AS、化学組成としてSiOおよびSiOがそれぞれ46質量%および39質量%)、および焼成Na型ベントナイト(NB、化学組成としてSiOおよびSiOがそれぞれ74質量%および16質量%)を用いて、それぞれ単独または組み合わせて混合材の化学組成を調整した。
用いたセメントはJIS R 5210に適合する市販の早強ポルトランドセメント(HC)であり、表1に示した比率で、混合材と混合してセメント組成物として用いた。
混合材からセメント組成物に供給する化学組成は、まず、各材料の化学組成を、蛍光X線回折装置を用いて測定し、混合材中のSiO、Al、およびSOの質量含有率を求めた。ついで、混合材のセメント組成物における混合率から、混合材からセメント組成物にもたらされるSiOおよびAlのセメント組成物100質量部に対する質量含有量を求め、「混合材から供給する各元素の量」として、表1に合わせて示した。表2には各混和材の化学組成(質量%)を示した。
セメント組成物は、水とともにホバートミキサーを用いて練混ぜた。セメント組成物に対する水の量は(水比、W/B)は52〜53%とした。この時、セメント組成物中のSO含有率が、練混ぜたセメント組成物に対して5.0質量%となるように、試薬の硫酸カリウム(KSO)(KSと略す)を用いて練混ぜ水に溶かして添加した。ポルトランドセメントはJISで石こう量の上限値が4質量%に規定されており、SOの上限が2質量%を下回る。そこで混和材の影響は、内部硫酸塩をSO換算で5質量%と多めに設定し、遅延エトリンガイト生成による内部硫酸塩劣化を促進させた。
練混ぜたセメント組成物は、直径5cm x 高さ10cmの円柱状型枠に成形した。練混ぜ開始から4時間後に、昇温速度46.7℃/時間として90℃12時間保持し、下降速度−7℃/時間で20℃まで冷却して硬化させ、セメント硬化体を製造した。練混ぜから7日後に脱枠し、円柱成形体の上下20mmを除いた部分から、10mm厚の円盤状試験体を切り出し、養生期間中の空気中の炭酸ガスによる炭酸化を防ぐ目的で水酸化カルシウム飽和溶液に浸漬させ室温にて材齢1年まで養生した。10mm厚の円盤状とすることで、遅延エトリンガイト生成が生じやすい環境となり、膨張を促進させることができる。
浸漬開始から1週間後および1年後に、円盤状セメント硬化体の直径を直交する2方向で測定してその平均値を求め、浸漬1週間後を基長として1年後の膨張率とし、表1に合わせて示した。
セメント組成物100質量部に対して、混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部とすることで、膨張が抑制されることが分かる。
Figure 2020180024
Figure 2020180024
コンクリートの実験例
早強ポルトランドセメントと、混合材として、セメント組成物100質量部あたり、フライアッシュ12質量部、焼成メタカオリン4質量部、水酸化アルミニウム3.5質量部とした混合材を用いた。使用材料は前記実施例と同じであり、混合材からもたらされるSiOおよびAlは、セメント組成物100質量部に対して、それぞれ、9.5質量部および7.5質量部である。
骨材は粗骨材として粒径5〜20mmの石灰石砕石と、細骨材として粒径5mm以下の石灰石砕砂を用いてセメント組成物とともに50リットルパン型ミキサーを用いて4分間練混ぜた。練混ぜでは、減水剤として花王マイティ150を用いた。練混ぜ後、10x10x40cmの鋼製型枠に成形し、練混ぜ開始から4時間後に高温養生を開始した。高温養生条件は、実施例1と同じである。練混ぜから1日経過後に脱枠してセメント硬化体としてコンクリート車止めブロックを得た。また、圧縮強度測定用にφ10x20の鋼製型枠3本に成形し、同様に高温養生を行い、高温養生後は練混ぜから材齢14日まで室温にて封かん養生を行った。
実施例Aは本発明の混和材を使用したもの、比較例Bは混和材を使用しない条件でセメント硬化体を製造したものである。減水剤使用量が実施例と比較例とで若干差異はあるが、コンシステンシーの指標であるスランプ値、および空気量に殆ど差異はなく、本発明の混合材を用いても比較例とした一般に用いられるコンクリートと同様な硬化前性状を示した。
また、一般的には混合材を使用すると強度が低下、または、強度発現速度が低下することが知られ、特に、フライアッシュを用いた場合は、例えば、「フライアッシュを使用するコンクリートの調合設計・施工指針・同解説」(建築学会2007年10月改訂版)に示されるように、養生材齢が短いほど圧縮強度が低下することが知られているが、材齢14日と短い期間であるにも関わらず、混合材を使用しない比較例とほぼ同じ圧縮強度を示した(表3)。
Figure 2020180024
高温養生をしても内部硫酸塩劣化が抑制され、生産効率の優れたセメント組成物を得ることのできるセメント組成物および硫酸塩劣化を抑制されたセメント組成物硬化体の製造方法を実現した。生産効率の向上や初期強度を発現させるため65℃以上の養生をおこなっても、硫酸塩劣化を抑制されたセメント組成物硬化体で、混合材を使用しても強度が低下、または、強度発現速度が低下せず、長期にわたって耐膨張性に優れたセメント組成物及びその硬化体を提供することを実現した。

Claims (3)

  1. ポルトランドセメントと、混和材を含むセメント組成物であって、前記セメント組成物100質量部に対して、前記混合材からもたらされる珪素およびアルミニウムが、それぞれ酸化物換算で、SiOが4〜20質量部かつAlが3〜8質量部、または、SiOが4質量部未満かつAlが4〜10質量部であることを特徴とするセメント組成物。
  2. 前記混和材が、フライアッシュ、高炉スラグ、焼成カオリン、水酸化アルミニウムの群から選ばれる1以上の混和材を含むセメント組成物であることを特徴とする請求項1記載のセメント組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物と水とを練り混ぜ、65℃を越え100℃以下の温度で高温養生を行うことを特徴とするセメント硬化体の製造方法。
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