JP2017222541A - 水硬性組成物 - Google Patents

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【課題】中性化反応の進行を抑制した水硬性組成物を提供する。【解決手段】セメントと、難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤とを含み、全粉体量に対して、前記中性化抑制剤を酸化マグネシウム換算で2mass%以上15mass%以下含む水硬性組成物。【選択図】図6

Description

本発明は、水硬性組成物に関する。
セメントは、水との水和反応により硬化して硬化体となる。セメントを構成するクリンカー鉱物は、水と反応して強アルカリ性の水酸化カルシウムなどの水和物を生成し、硬化体中の細孔溶液は、強アルカリ性を示す。
硬化体は、大気中に放置しておくと、二酸化炭素が内部に侵入し、水酸化カルシウムなどのカルシウム塩が二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムを生成し、細孔溶液が強アルカリ性から中性へと変性する、いわゆる「中性化」が進行する。中性化は、硬化体表面から進行する。例えば、セメントを用いて鉄筋コンクリート構造物を構築する場合、中性化が鉄筋コンクリート構造物内部の鉄筋近くまで進行すると、鉄筋を被覆する不動態皮膜を破壊し、鉄筋腐食の一因となる。そして、鉄筋が、腐食前と比べて膨張することにより、硬化体のひび割れ、破壊等を引き起こし、また、腐食により鉄筋の断面欠損が生じ、鉄筋コンクリート構造物の強度が低下する。
近年、製造時の二酸化炭素排出量の少ない環境配慮型セメントが提案されている。これは、1種又は2種以上のJIS R5210、R5211、R5212、R5213、R5214に規定されるセメント(ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、エコセメント)の混合物のうち20〜100%を、スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、二水セッコウ、半水セッコウ、無水セッコウ、石灰石微粉末、消石灰、膨張材、シリカ質混合材、または、カルシウム塩やナトリウム塩に置き換えたものと同等の組成を持つ水硬性組成物である。環境配慮型セメントを用いたコンクリートを、環境配慮型のコンクリートと称する。例えば、特許文献1には、環境配慮型セメントとして、高炉スラグ微粉末と石灰石微粉末とカルシウムイオンを溶出する速度が異なる2種類以上の刺激剤とからなる水硬性組成物が、特許文献2には、環境配慮型コンクリートとして、細骨材、粗骨材、石灰石微粉末、スラグ微粉末、炭酸ナトリウム、化学混和剤を主成分とするスラグ硬化組成物が提案されている。非特許文献1には、環境配慮型コンクリートとして、ポルトランドセメントの20〜80%を高炉スラグを主成分とする混和材で置き換えたコンクリートの施工例が報告されている。
しかし、環境配慮型セメントを使用した硬化体や環境配慮型セメントを用いた環境配慮型コンクリートは、ポルトランドセメントの使用量が少なく、ポルトランドセメントを使用した硬化体やコンクリートと比較して中性化が進行しやすいという問題がある。
中性化を抑制する技術として、水セメント比を小さくすることにより、硬化体を緻密にして二酸化炭素を侵入しにくくする方法が知られている。ただし、使用する粉体の量が増加するため、コストが増加してしまう。また、水セメント比が小さいと、流動性が悪く、施工性が低下する。
その他の中性化抑制技術として、特許文献3には、骨材をケイフッ化マグネシウム溶液に浸漬して得られた改質骨材を使用するコンクリートの中性化抑制方法が提案されている。しかし、骨材を浸漬する工程が必要となり、労務が発生する。特許文献4には、γ−2CaO・SiO、α−CaO・SiO、及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物を含有する物質からなるコンクリート用混和剤により、中性化反応が抑制できることが記載されている。しかし、特許文献4には、γ−2CaO・SiO、またはα−CaO・SiOが存在しない場合には、混和剤無添加時と中性化速度が同等であることが示されている。
特開2014−148434号公報 特許第5743650号公報 特開2010−222205号公報 特開2004−292201号公報 陣内浩、加藤雅樹、立山香織、近藤憲二:主要構造部材を環境配慮型コンクリートで構築した建築物の実現とCO2削減効果、コンクリート工学、vol.52,No.6,pp.528−533,2014.6.
中性化反応の進行を抑制した水硬性組成物を提供することを課題とする。
1.セメントと、難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤とを含むことを特徴とする水硬性組成物。
2.全粉体量に対して、前記中性化抑制剤を酸化マグネシウム換算で2mass%以上15mass%以下含むことを特徴とする1.に記載の水硬性組成物。
3.前記セメントが、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、エコセメント、環境配慮型セメントのいずれかであることを特徴とする1.または2.に記載の水硬性組成物。
4.前記中性化抑制剤が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウムのいずれか1種以上を含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の水硬性組成物。
5.1.〜4.のいずれかに記載の水硬性組成物からなる硬化体。
6.ハイドロタルサイトを含む5.に記載の硬化体。
7.難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤。
8.セメントに難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤を含有させることを特徴とする硬化体の中性化抑制方法。
本発明の水硬性組成物は、難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤を含むことにより、硬化体における中性化反応の進行を抑制することができる。セメントの一部を中性化抑制剤に置き換えることにより粉体量を増やすことなく、中性化反応を抑制することができる。本発明の水硬性組成物は、中性化抑制剤の有無で硬化物の強度が変化しない。そのため、従来の組成の一部を中性化抑制剤に置き換えた本発明の水硬性組成物は、新たに強度計算等することなくそのまま用いることができる。
本発明の水硬性組成物は、様々なセメントで中性化抑制効果を示し、特に、中性化反応が進行しやすい高炉セメント、フライアッシュセメント、環境配慮型セメントに好適に用いることができる。
中性化抑制剤の配合量を、酸化マグネシウム換算で2mass%以上15mass%以下の範囲で調整することにより、構造物の要求性能に合わせて中性化の進行を制御することができる。
本発明の中性化抑制剤は、難溶性マグネシウム化合物からなる。難溶性マグネシウム化合物である水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウムなどは、市販されている。前述したγ−2CaO・SiO、またはα−CaO・SiOといった中性化抑制剤は、一般に入手が困難であるが、市販品である中性化抑制剤は、安価であり、一定の品質を有するものを容易に入手できる。
実験1における促進中性化試験の結果を示す図。 実験1における促進中性化試験の結果を示す図。 本発明の硬化体のX線回折図形。 実験2における促進中性化試験の結果を示す図。 実験3における促進中性化試験の結果を示す図。 実験4における促進中性化試験の結果を示す図。
本発明の水硬性組成物は、セメントと、難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤とを含む。
「セメント」
本発明の水硬性組成物が含有するセメントとしては、水と水和反応を起こして硬化する水硬性粉体を特に限定されることなく用いることができる。例えば、JISで規定されているセメントであるポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、エコセメントを挙げることができる。また、環境配慮型セメントを用いることもできる。本発明の中性化抑制剤は、これらの中で、中性化が進行しやすい高炉セメント、フライアッシュセメント、および、環境配慮型セメントに好適に用いることができる。
「中性化抑制剤」
本発明の中性化抑制剤は、難溶性マグネシウム化合物からなる。本発明において、難溶性とは、25℃の水に対する溶解度が、水100mLに対して100mg以下であることを意味し、水に全く溶解しないことを指すものではない。難溶性マグネシウム化合物としては、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸水酸化マグネシウム(mMgCO・Mg(OH)・nHO、m=3〜5、n=3〜7)、等が挙げられる。これら難溶性マグネシウムは、2種以上を併用することもできる。
「水硬性組成物」
本発明の水硬性組成物は、セメントと中性化抑制剤を含む。本発明の水硬性組成物は、セメントと中性化抑制剤の他に、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、遅延剤、発泡剤、防水剤、着色剤、耐寒剤、早強剤、増粘剤等の化学混和剤や、砂利、砂、海砂、砕石、砕砂、各種スラグ骨材、重量骨材、軽量骨材、再生骨材等の細骨材および粗骨材や、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、鋼繊維、炭素繊維等の添加材や、水道水、河川水、湖沼水、地下水、レディミクストコンクリート工場における回収水、化学混和剤に含まれる水等の水を含むことができる。
本発明の水硬性組成物は、全粉体量に対して、中性化抑制剤を酸化マグネシウム換算で2mass%以上15mass%以下含むことが好ましい。ここで、本発明において、粉体とは、セメントと中性化抑制剤とを指す。中性化抑制剤の量が酸化マグネシウム換算で2mass%未満では、中性化の進行を抑制する効果が十分でない場合がある。中性化抑制剤の量が酸化マグネシウム換算で15mass%より多いと、練混ぜ後の粘性が高く、施工性が低下する場合がある。
本発明の水硬性組成物は、水、あるいは、さらに化学混和剤を使用してペーストとして、あるいは、さらに細骨材、粗骨材、化学混和剤を使用してモルタル、またはコンクリートとして使用することができる。
コンクリートは、現場練りコンクリート、レディミクストコンクリート、およびコンクリートブロック、ボックスカルバート、セグメントなどのコンクリート製品に用いることができる。
本発明の水硬性組成物の製造方法は、従来の方法で行えばよい。すなわち、ペーストまたはモルタルまたはコンクリートとして使用する際に、中性化抑制剤と、水を除くその他の構成材料の一部または全部を注水前に予めプレミックスすることもでき、あるいはコンクリートミキサーにて、中性化抑制剤と、水を含むその他の構成材料を混合しながら練り混ぜてもよく、中性化抑制剤を除くその他の構成材料を練り混ぜ、ペーストまたはモルタルまたはコンクリートを製造した後に中性化抑制剤を添加して、再度練り混ぜることもできる。
本発明の水硬性組成物は、硬化体の中性化を抑制することができる。難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤は、硬化体の圧縮強度を高くさせない。硬化体の圧縮強度の高強度化は、硬化体のミクロ構造が緻密になったことを示しているため、難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤は、硬化体のミクロ構造を緻密化しないことが示唆される。一般に、硬化体は緻密になると、二酸化炭素が侵入しにくくなり、中性化反応が抑制されるが、本発明の水硬性組成物からなる硬化体は、ミクロ構造が緻密化していないため、未知のメカニズムにより中性化反応の進行を抑制していると推測される。なお、本発明の水硬性組成物が中性化反応の進行を抑制するメカニズムは不明である。
「実験1」環境配慮型セメント
全粉体量に対し高炉スラグを77mass%含有する環境配慮型セメントに対し、中性化抑制剤である水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウムのいずれか、および水を、それぞれ表1に示す質量比で配合し、セメントペーストとした。調製は、予め混合した粉体に注水し、3分間以上さじで十分に練り混ぜることにより行った。材料のうち、高炉スラグはJIS A 6206、膨張材はJIS A 6202、消石灰はJIS R 9001、石灰石微粉末はJIS A 5008を満足するものとし、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム(4MgCO・Mg(OH)・5HO)は、関東化学社製の特級試薬または鹿1級試薬を使用した。
水 :横浜市水道局、水道水
高炉スラグ(セッコウあり) :株式会社デイ・シイ製、商品名:セラメントA
(SO=2.1%、無水セッコウ添加品)
膨張材 :太平洋マテリアル株式会社製、商品名:エクスパン
消石灰 :奥多摩工業株式会社製、商品名:特号消石灰
石灰石微粉末 :宮城石灰工業株式会社製
このセメントペーストにて、φ約3cm×高さ約5cmの供試体を作製し、封かん養生した。材齢28日で脱型し、脱型後7日間、20℃、60%RHで保管した。その後、底面1面以外をアルミニウムテープでコーティングして、20℃、60%RH、CO濃度5%で促進中性化試験を行った。
所定の期間経過後に、供試体を割裂し、断面に濃度が1%のフェノールフタレインのアルコール溶液を噴霧して、中性化深さを測定した。結果を図1、2に示す。なお、比較例1は、中性化期間91日で観察面の全ての範囲が中性化していた。
中性化抑制剤を含まない環境配慮型セメントである比較例1と比較して、中性化抑制剤を、酸化マグネシウムに換算して3.0〜11.1mass%含む実施例1〜7は、中性化深さが約半分以下となった。また、中性化抑制剤を多く含むことにより、中性化深さがより小さくなることが確かめられた。また、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウムのいずれの難溶性マグネシウムにおいても中性化抑制効果が確認できた。
促進中性化期間56日後の実施例2の配合のセメントペーストの硬化体のうち、曝露面から3cm以上離れた未中性化部を粉砕し、粒径を75μm以下にした後、アルミナを10mass%加え、粉末法によりX線回折図形を得た。測定条件を表2に、回折図形を図3に示す。
回折図形から、Mg(OH)と、ハイドロタルサイト(MgAlCO(OH)16・4(HO))が同定された。本発明の中性化抑制剤が、セメント成分と反応して、ハイドロタルサイトを生成していることが確認できた。
「実験2」環境配慮型セメント−モルタル
表1に示す実施例2、及び比較例1の配合のセメントペーストに細骨材を加えて、4×4×16cmのモルタル供試体を作製した。細骨材はJIS A 5308附属書Aを満足する密度2.63g/cmの砕砂とし、細骨材と粉体の質量比を1:2、水粉体比を0.36とした。練混ぜにはモルタルミキサー(株式会社マルイ製、装置名:MIC−362−1−01)を用いた。
練り混ぜ後に4×4×16cmの大きさの型枠に打ち込んた。3日後に脱型し、材齢28日まで20℃の水中で養生した。その後、材齢56日まで20℃、60%RHで保管し、4×16cmの側面1面以外をアルミニウムテープでコーティングして、20℃、60%RH、CO濃度5%で促進中性化試験を行った。
所定の期間経過後に、供試体を割裂し、断面に濃度が1%のフェノールフタレインのアルコール溶液を噴霧して、中性化深さを測定した。結果を図4に示す。
細骨材を含むモルタルにおいても、中性化抑制剤により中性化を抑制できることが確かめられた。実施例2の水硬性組成物は、比較例1の水硬性組成物と比較して中性化深さが約半分であった。
「実験3」環境配慮型セメント−コンクリート
表1に示す実施例2、比較例1の配合のセメントペーストに細骨材と粗骨材を加えて、10×10×40cmのコンクリート供試体を作製した。細骨材は実験2と同様のものを使用し、粗骨材は密度2.66g/cm、Gmaxが20mmであるJIS A 5005を満足する砕石を使用し、細骨材率を43%、水粉体比を0.36とし、AE剤、高性能AE減水剤を適量添加して空気量を6.0%とした。練り混ぜには強制二軸混練機(太平洋機工株式会社製、装置名:SD−55型)を用いた。
材齢3日で脱型し、材齢28日まで20℃の水中で養生した。その後、材齢56日まで20℃、60%RHで保管し、側面1面以外をアルミニウムテープでコーティングして、20℃、60%RH、CO濃度5%で促進中性化試験を行った。
所定の期間経過後に、供試体を割裂し、断面に濃度が1%のフェノールフタレインのアルコール溶液を噴霧して、中性化深さを測定した。結果を図5に示す。
粗骨材を含むコンクリートにおいても、中性化抑制剤により中性化を抑制できることが確かめられた。実施例2の水硬性組成物は、比較例1の水硬性組成物と比較して中性化深さが約半分であった。
また、上記で作成した実施例2、比較例1の配合のセメントペーストを使用したコンクリートにてΦ10×20cmの供試体を作製し、材齢3日で脱型し、材齢28日まで20℃の水中で養生したのち、JIS A 1108に従って、万能試験機(株式会社東京衝機製造所製、装置名:RU−30)を用いて圧縮強度測定を行った。結果を表3に示す。
中性化抑制剤を配合しても、圧縮強度はほとんど変わらなかった。水硬性組成物の硬化体は、ミクロ構造が緻密になると圧縮強度が高くなる。このことから、難溶性マグネシウム系化合物からなる中性化抑制剤は、組織を緻密にして二酸化炭素の侵入を防ぐ一般的な中性化抑制方法とは異なるメカニズムにより中性化反応の進行を抑制していることが示唆された。
「実験4」各種セメント
各種セメントに対して、表4〜8に示す質量比で中性化抑制剤を配合し、セメントペーストとした。使用材料を以下に示す。材料のうち、高炉スラグはJIS A 6206、早強ポルトランドセメントおよび普通ポルトランドセメントはJIS R 5210、高炉セメントB種はJIS R 5211、シリカフュームはJIS A 6207、フライアッシュはJIS A 6201を満足するものとした。水酸化マグネシウムは、関東化学社製の特級試薬を使用した。
水 :横浜市水道局、水道水
高炉スラグ(セッコウなし):株式会社デイ・シイ製、商品名:セラメント
早強ポルトランドセメント :太平洋セメント株式会社製
普通ポルトランドセメント :太平洋セメント株式会社製
高炉セメント :太平洋セメント株式会社製、B種(普通ポルトランド
セメントを40〜70mass%、
高炉スラグを30〜60mass%含む)
シリカフューム :株式会社デイ・シイ製
フライアッシュ :株式会社テクノ中部製、II種
無水セッコウ :株式会社デイ・シイ製
表4〜8において、比較例2、3、8、9、10は環境配慮型セメント、比較例4〜7は、それぞれ、普通ポルトランドセメント、高炉セメントB種、高炉セメントC種、フライアッシュセメントC種である。
表4〜8に記載の各水硬性組成物を用いて、実験1と同様にして促進中性化試験を行った。
中性化期間91日までの結果から、中性化速度係数を算出した。酸化マグネシウムに換算した中性化抑制剤の量と中性化速度係数との関係を求めた。
上記実施例1〜24、比較例1〜5として中性化試験を実施した配合の中性化結果を、図6に示す。
様々なセメントにおいて、難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤により、中性化の進行を抑制できることが確かめられた。また、中性化抑制剤の配合量を増やすことにより、中性化の進行をより抑えられることが確かめられた。
ペースト、モルタル、コンクリート中の粉体の構成を変更しても、中性化抑制剤により中性化深さを小さくすることができた。すなわち、本発明の中性化抑制剤は、様々な種類、配合のセメントペースト、モルタル、コンクリートに対して、中性化の進行を抑制できることが確かめられた。

Claims (8)

  1. セメントと、難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤とを含むことを特徴とする水硬性組成物。
  2. 全粉体量に対して、前記中性化抑制剤を酸化マグネシウム換算で2mass%以上15mass%以下含むことを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物。
  3. 前記セメントが、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、エコセメント、環境配慮型セメントのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の水硬性組成物。
  4. 前記中性化抑制剤が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウムのいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水硬性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の水硬性組成物からなる硬化体。
  6. ハイドロタルサイトを含む請求項5に記載の硬化体。
  7. 難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤。
  8. セメントに難溶性マグネシウム化合物からなる中性化抑制剤を含有させることを特徴とする硬化体の中性化抑制方法。
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