JP2020179555A - 加飾物の製造方法 - Google Patents

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Hideki Imanishi
秀樹 今西
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Abstract

【課題】基材に水性インクを付与して曲げ加工する際に、曲げ加工部分の白化を防止して加飾物を提供することである。【解決手段】ガラス転移点が30℃以上である水分散性樹脂を含む水性インクを基材に付与し、水性インクが付与された領域で基材を曲げ加工し、基材の曲げ加工部分を水分散性樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱することを含む、加飾物の製造方法である。例えば、インクジェット記録方法を用いて水性インクを基材に付与することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、加飾物の製造方法に関する。
加飾が施された基材は、建築資材、家具、日用品等の屋内外の用途に広く用いられている。見た目や質感が重視される用途も多く、基材に対して様々な加飾方法が検討されている。各種基材の中でも、耐熱性、耐久性、加工性等の性質により、金属基材は様々な用途で活用されている。
金属基材への加飾方法としては、表面を立体加工して凹凸形状等を付与する方法や、塗装、印刷により色や模様をつける方法、ファブリックで覆う方法等がある。よりユーザーのニーズに対応し表現の幅を広げるためには、オンデマンド印刷による加飾方法が適している。
また、金属基材は、長方形の平板を曲げ加工し、多様な形状に対応させて建築資材等として提供される。曲げ加工部分は平坦ではなく複雑な形状であるため、曲げ加工部分への加飾が難しいという問題がある。
特許文献1(特開2007−245467号公報)では、基材周囲を折り曲げた後、基材に印刷を施し絵柄を付し、透明性樹脂層を形成する加飾パネルの製造方法が提案されている。
特許文献2(特開平10−296906号公報)では、金属基板上にインクジェット受理層を設けた後、このインクジェット受理層に着色模様を形成し、さらに透明な保護膜層でインクジェット受理層を覆った後、金属基板を所定のパネル形状に折り曲げ加工する金属装飾パネルの製造方法が提案されている。
特許文献3(特開2018−126924号公報)では、金属基材に、有色下地層、インク吹付塗布絵柄層、及びインク吹付塗布トップコート層を形成し、その後にフランジ加工する化粧金属板の製造方法において、インク吹付塗布絵柄層及びインク吹付塗布トップコート層がフランジの曲げ加工部にかからないようにしてこれらの層を形成してから、フランジ加工することが提案されている。
特許文献4(特開平6−218882号公報)には、電離放射線硬化性樹脂層の下面に絵柄印刷層、薄葉紙層、及び折り曲げ緩和層を順次積層してなる化粧シートが提案されている。
特許文献4の実施例では、基板に化粧シートを貼り合わせた後に、基材を曲げ加工しているが、折り曲げ緩和層がある程度の厚みを有することで、電離放射線硬化性樹脂層に割れが発生しないことを開示している。
特許文献5(特開2000−202976号公報)では、熱可塑性樹脂層と、この熱可塑性樹脂層上に設けられているインク受容層と、このインク受容層上に設けられ着色模様を形成している着色材とを有しているフィルム体を基材の表面に重ねる工程、及びこのフィルム体を加熱し熱可塑性樹脂層を基材上に溶着させる工程を含む装飾部材の製造方法が提案されている。
特許文献5の実施の形態1では、平板状の基板を曲げ加工し、この基板にフィルム体を重ねた状態で真空引きし、基板にフィルム体を密着させることが開示されている。
特開2007−245467号公報 特開平10−296906号公報 特開2018−126924号公報 特開平6−218882号公報 特開2000−202976号公報
特許文献1のように、基材を折り曲げた後に絵柄を付す方法では、基材の端近辺で、インクの塗布が不均一となって、画像が薄くなる問題がある。また、インクジェット印刷の場合では、基材の端近辺で、インクジェットヘッドから基材までの距離が遠くなって画像が歪む問題がある。
特許文献2及び特許文献3のように、平板状の基材に印刷を施してから、基板を曲げ加工する方法では、保護膜層等の樹脂被膜が基板とともに曲げ加工されるため、樹脂被膜にクラックが発生することがある。これによって、曲げ加工部分が白く変色して観察され、いわゆる白化現象として問題となる。
また、特許文献3のようにUVインクを用いてより強固な樹脂被膜を形成する場合では、曲げ加工によってよりクラックが発生しやすくなる問題があり、さらにUVインクの残留モノマーに起因して臭気が発生する問題がある。特許文献3の比較例では、インク吹付塗布絵柄層及びインク吹付塗布トップコート層がフランジの曲げ加工部にかかる場合では、曲げ加工部にクラックが発生することが開示されている。
特許文献4及び特許文献5のように、基材にシートを貼り合わせる方法では、シート状の複数の層を接着剤を介して貼り合わせるため、工程が複雑になる問題がある。
また、特許文献5では、基板を曲げ加工した後にフィルム体を密着させて重ねるために真空装置等を用いており、基材への加飾方法が複雑になる問題がある。
本発明の一目的としては、基材に水性インクを付与して曲げ加工する際に、曲げ加工部分の白化を防止することである。
本発明の一実施形態としては、ガラス転移点が30℃以上である水分散性樹脂を含む水性インクを基材に付与し、前記水性インクが付与された領域で前記基材を曲げ加工し、前記基材の曲げ加工部分を前記水分散性樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱することを含む、加飾物の製造方法である。
本発明の一実施形態によれば、基材に水性インクを付与して曲げ加工する際に、曲げ加工部分の白化を防止することができる。
以下、本発明を一実施形態を用いて説明する。以下の実施形態における例示が本発明を限定することはない。
一実施形態による加飾物の製造方法としては、ガラス転移点が30℃以上である水分散性樹脂を含む水性インクを基材に付与し、水性インクが付与された領域で基材を曲げ加工し、基材の曲げ加工部分を水分散性樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱することを含む、ことを特徴とする。
これによれば、基材に水性インクを付与して曲げ加工する際に、曲げ加工部分の白化を防止することができる。また、水性インクにガラス転移点(Tg)が30℃以上である水分散性樹脂が含まれることから、加飾物の耐擦過性及び耐傷性をそれぞれ高めることができる。
曲げ加工された基材に加飾を施す方法として、平板状の基材を曲げ加工した後に、基材にインクを付与する方法がある。この方法では、曲げ加工部分へのインクの付与が不十分になって画質が低下することがあり、さらに複数の曲げ加工された基材を並べると、曲げ加工部分で画質が低下しているため基材の継ぎ目部分が目立つという問題がある。
また、曲げ加工後の基材にインクジェット記録方法を用いてインクを付与する場合では、曲げ加工部分において基材とインクジェットヘッドとの距離が一定ではないため、基材へのインクの付与の均一性が低下することがあり、さらに、曲げ加工部分が鋭角であると、折り曲げられた面へのインクの付与が難しくなる。
これに対し、平板状の基材にインクを付与した後に、基材を曲げ加工する方法では、曲げ加工部分にも均一にインクを付与することができる。しかし、インクを付与した後に基材を曲げると、基材上でインク被膜が引き延ばされて、インク被膜にクラックが発生することがある。また、インク被膜上に透明な保護層が形成される場合では、保護層による樹脂被膜にもクラックが発生することがある。このようなクラックは、曲げ加工部分において白化現象として観察されて問題になる。
基材の曲げ加工において曲げ加工部分の白化を防止するために、インク又は保護層の成分に柔軟な樹脂を用いることができる。一方で、柔軟な樹脂は、一般的に被膜強度が低いため、加飾物の印刷面の耐擦過性が低下することがある。また、柔軟な樹脂による被膜はキズが付きやすく、曲げ加工における加工冶具等によって被膜表面に痕跡が残るという問題がある。
被膜強度を単に高めるだけでは、上記の通り曲げ加工部分において白化が発生する問題がある。また、被膜強度を高めるために、UV硬化インクを用いる場合では、残留モノマーによる臭気が発生する問題がある。
一実施形態によれば、水性インクが付与された領域で基材を曲げ加工し、曲げ加工部分を水性インク中の水分散性樹脂のTg以上の温度で加熱することで、基材が曲げ加工されて樹脂被膜に白化が発生したとしても、その後に所定温度で加熱することで、この白化を低減することができる。
さらに、一実施形態によれば、Tgが30℃以上である水分散性樹脂を含む水性インクを基材に付与することで、基材上に、耐擦過性及び耐傷性に優れた樹脂被膜を形成することができる。
「加飾物の製造方法」
加飾物用の基材としては、浸透性基材及び非浸透性基材のいずれにも加飾画像を形成することができるが、非浸透性基材に好ましく用いることができる。非浸透性基材に対して、水性インクの定着性をより改善し、加飾物の耐擦過性をより向上させることができる。また、加飾物用の基材としては、曲げ加工を施すために、剛性基材を用いることが好ましい。
非浸透性基材としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、チタン、錫、クロム、カドミウム、合金(例えばステンレス、スチール等)等の金属板等の金属基材;PETフィルム、アクリル板、ポリエステルシート、ポリプロピレンシート等の樹脂基材等が挙げられる。
これらの基材は、メッキ層、金属酸化物層、樹脂層等が形成されていてもよく、又は、界面活性剤、コロナ処理等を用いて表面処理されていてもよい。
なかでも金属基材に好ましく用いることができる。
基材の厚さは、特に制限されないが、建築資材等の用途に応じて、例えば0.5mm〜50mmであってよく、1mm〜20mmであってよく、1mm〜10mmであってよい。
以下、Tgが30℃以上である水分散性樹脂を含む水性インクを基材に付与する工程について説明する。
水分散性樹脂のTgは30℃以上が好ましい。これによって、水性インクが付与された基材表面には、室温において、水分散性樹脂が樹脂被膜を形成して、加飾物の耐擦過性をより高めることができる。また、Tgが30℃以上の水分散性樹脂による樹脂被膜は、被膜強度が高いため、加飾物の耐傷性をより高めることができる。
水分散性樹脂のTgは30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。
水分散性樹脂のTgは300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。これによって、基材表面の樹脂被膜の柔らかさを確保して、曲げ加工においてクラックの発生を抑制することができる。また、曲げ加工後の適度な加熱処理において、クラックを低減して加飾物の白化をより低減することができる。また、過剰な加熱を不要とするため、色材、基材、樹脂被膜等の変質を防止することができる。
水性インクを基材に付与する方法は、特に限定されないが、インクジェット記録方法、オフセット印刷方法、スクリーン印刷方法、グラビア印刷方法、フレキソ印刷方法等のいずれでもよい。なかでも、基材に非接触で、オンデマンドで簡便かつ自在に画像形成をすることができるため、インクジェット記録方法が好ましい。水性インクは、インクジェット記録方法に適したインクジェットインクであることが好ましい。
インクジェット記録装置は、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式等のいずれの方式であってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を基材に付着させるようにすることができる。
一実施形態による方法は、曲げ加工する前に平坦な基材に水性インクを付与し、その後に基材を曲げ加工するため、平坦な基材に対して水性インクを付与することができる。そのため、インクジェット記録方法を用いて加飾画像を適切に形成することができる。
基材への水性インクの付与量は、基材の単位面積当たり、4〜20g/mが好ましく、8〜14g/mがより好ましい。これによって、基材上への水分散性樹脂を含む水性インクの有効成分の付着量を好ましい範囲とすることができ、また、水性インク中の揮発分の乾燥性をより高めることができる。
水性インク中のTgが30℃以上である水分散性樹脂は、不揮発分量で、基材の単位面積当たり、0.04〜4g/mが好ましく、0.24〜1.4g/mがより好ましい。これによって、基材上への水分散性樹脂の付着量を適量として、曲げ加工後に加熱する際に、曲げ加工部分の白化をより低減することができる。また、基材上への水分散性樹脂の付着量を適量とすることで、樹脂被膜を適当な厚さとして、印刷面の耐擦過性及び耐傷性をそれぞれより改善することができる。
水性インクの付与後に、そのまま基材を曲げ加工してもよい。
また、水性インクの付与後、曲げ加工前に、基材表面に付与された水性インク中の揮発分を除去するために、乾燥工程を設けてもよい。
さらには、水性インクの付与後、曲げ加工前に、基材表面の水分散性樹脂による樹脂被膜の形成をより促進させるために、基材を加熱する工程を設けてもよい。水性インクの付与後、曲げ加工前に基材を加熱して基材に樹脂被膜を形成しておくことで、曲げ加工において加飾画像が傷ついたり、剥がれたりしないようにして、印刷面を保護することができる。
水性インクの付与後に曲げ加工前に基材を加熱する温度は、80〜300℃が好ましく、100〜200℃がより好ましい。また、加熱時間は、1分間〜5時間であってよく、10分間〜1時間であってよい。
次に、水性インクが付与された領域で基材を曲げ加工する工程について説明する。
基材の印刷面が、曲げ加工部分の外側又は内側になるようにして、曲げ加工をすることができる。曲げ加工部分の外側に基材の印刷面が形成される場合では、印刷面の伸びが大きくなり、曲げ加工部分での白化が発生しやすくなる。特に、基材の厚さが大きい場合に、曲げ加工部分の外側で、曲げ加工部分の曲げ半径が大きくなり、印刷面の伸びが大きくなる。この場合でも、一実施形態による方法では、曲げ加工後に加熱処理することによって、曲げ加工部分の白化を低減することができる。
基材の曲げ加工方法は、特に限定されないが、型曲げ、ねじり曲げ、カーリング曲げ等が挙げられる。なかでも、ダイとパンチを用いた型曲げにおいて、V字曲げ、L字曲げ、Z字曲げ、U字曲げ等を行う際に、曲げ加工部分の伸びが大きくなるため、加飾物の白化が発生しやすいが、これをより効果的に低減することができる。特に、V字曲げ、L字曲げ、Z字曲げ等の曲げ加工部分が鋭角となる場合において、曲げ加工部分の白化をより効果的に防止することができる。
基材の曲げ加工において、基材の曲げ角度は、特に限定されないが、誤差範囲5°で、1°以上であってよく、10°以上であってもよく、30°以上であってもよい。また、基材の曲げ角度は、誤差範囲5°で、170°以下であってよく、150°以下であってもよい。基材の曲げ角度は、誤差範囲5°で、90°の直角曲げであってもよい。ここで、曲げ角度は、曲げ加工部分の内側角度を示す。
また、基材を曲げ加工する際に、基材の印刷面が加工冶具と接触することで、基材の印刷面に傷(圧痕)が発生する問題がある。例えば、V字金型を用いて曲げ加工する場合では、V字金型に印刷面が接触した状態で、パンチ部材で基材を押し込む際に、V字金型と印刷面が接触した状態で加圧されるため、印刷面に傷が発生する問題がある。一実施形態による加飾物は、Tgが30℃以上である水分散性樹脂を含む水性インクを用いて印刷されるため、被膜強度が高く耐傷性を備え、加工部材との接触においても傷の発生を抑制することができる。
次に、基材の曲げ加工部分を水分散性樹脂のTg以上の温度で加熱する工程について説明する。
基材の曲げ加工部分を加熱する温度は、水分散性樹脂のTg以上であることが好ましい。基材の印刷面には水分散性樹脂によって樹脂被膜が形成されており、曲げ加工によって、この樹脂被膜にクラックが入ることで、印刷面の白化として観察される。この樹脂被膜をTg以上で加熱することで、樹脂が軟化し、又は、樹脂が流動性を備えて、クラックにより無数の溝ができた樹脂被膜を平滑化するようになる。
基材の曲げ加工部分を加熱する温度は、水分散性樹脂のTg以上であればよいが、水分散性樹脂のTg+10℃以上がより好ましく、水分散性樹脂のTg+20℃以上がさらに好ましく、水分散性樹脂のTg+30℃以上が一層好ましい。
基材の曲げ加工部分を加熱する温度は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。これによって、印刷面及び基材がそれぞれ加熱によって変質しないようにすることができる。水性インクに含まれる成分の中には高温処理によって変質するものがあるため、熱処理温度を300℃以下にすることが好ましい。また、基材の種類によっては高温処理で変質するものがあるため、熱処理温度を300℃以下にすることが好ましい。
基材の曲げ加工部分を加熱する時間は、特に制限されず、基材の材質、大きさ、水性インク中の水分散性樹脂の種類、配合量等によって適宜設定可能であり、例えば、1分〜10時間であってよく、1時間〜5時間が好ましく、樹脂のクラックを十分に除去するために2時間〜5時間がより好ましい。
基材の曲げ加工部分を加熱する方法は、特に限定されず、基材の曲げ加工部分を部分的に加熱してもよく、基材全体を加熱してもよいが、曲げ加工部分において樹脂が軟化する状態又は流動性を備える状態で一定時間加熱することが好ましい。
加熱方法としては、例えば、恒温槽又は加熱炉内で基材を加熱する方法、少なくとも曲げ加工部分に温風を吹き付ける方法、少なくとも曲げ加工部分に赤外線等の熱線を照射する方法、少なくとも曲げ加工部分に超音波を照射する方法、ホットプレート又はヒーターによって基材を加熱する方法等が挙げられる。
上記した製造方法において、基材に水性インクを付与する前に、前処理剤を用いて基材を表面処理してもよい。また、基材に水性インクを付与した後に、曲げ加工する前、又は、曲げ加工した後に、後処理剤を用いて基材を表面処理してもよい。これらは、組み合わせて行ってもよい。
また、基材を曲げ加工する箇所は1箇所又は2箇所以上であってもよい。2箇所以上で曲げ加工する場合は、1箇所ずつ曲げ加工して加熱処理してもよいし、2箇所以上を曲げ加工して加熱処理してもよい。
「水性インク」
一実施形態による水性インクは、ガラス転移点(Tg)が30℃以上である水分散性樹脂を含む。水性インクは、水、水溶性有機溶剤、又はこれらの組み合わせである水性溶媒を含むことができる。また、水性インクは、顔料、染料、又はこれらの組み合わせである色材を含むことができる。
水性インクに、Tgが30℃以上である水分散性樹脂が含まれることで、基材に色材を定着させて、加飾物の耐擦過性をより高めることができる。また、基材に樹脂被膜が形成されて、加飾物の耐傷性をより改善することができる。また、少量の色材であっても、基材に色材を十分に定着させることができるため、高い着色性を得ることができる。好ましいTgの範囲については、上記した通りである。
水分散性樹脂としては、水性インク中に粒子状に配合可能な、すなわち水性インク中で水中油(O/W)型樹脂エマルションを形成可能な樹脂を用いることが好ましい。また、水分散性樹脂としては、水性インクの発色に影響を与えないように、透明の塗膜を形成する透明性樹脂を用いることが好ましい。
水分散性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン/(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、メラミン系樹脂、アミド系樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、シリコーン系樹脂等、又はこれらの複合樹脂等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル系樹脂」は、アクリル系樹脂、メタアクリル系樹脂、又はこれらの共重合体を示す(以下同じである。)。
これらの樹脂に親水性の官能基を導入するか、又は、分散剤等で表面処理することで、水中油型樹脂エマルションを形成し、これを水性インクに配合してもよい。
水分散性樹脂としては、粒子表面がマイナスに帯電し、負電荷を帯びたアニオン性の樹脂粒子を用いることが好ましい。これは、水に溶解することなく粒子状に分散して水中油型樹脂エマルションを形成できるものである。自己乳化型樹脂のように、樹脂が有するアニオン性の官能基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面にアニオン性の分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。アニオン性の官能基は、代表的にはカルボキシ基、スルホ基等であり、アニオン性の分散剤は、アニオン性界面活性剤等である。
水性インクにはアニオン性成分が用いられることが多いため、樹脂粒子表面がアニオン性であることで、水性インクの色材の分散性又は溶解性を良好に維持することができる。例えば、色材としてカーボンブラックを用いる場合では、水性インク中のカーボンブラックの分散安定性を維持するように、アニオン性の水分散性樹脂を好ましく用いることができる。
これらの水分散性樹脂のうち、基材への定着性の観点、及び記録ヘッドからの安定吐出性能の観点から、ウレタン系樹脂を用いることが好ましい。
水分散性のウレタン系樹脂の市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス128(エステル・エーテル系)、130(エーテル系)、170(エステル・エーテル系)、150HS(エステル・エーテル系)、830HS(芳香族イソシアネートエステル系)、870(芳香族イソシアネートエーテル系)」;三井化学株式会社製の「タケラックW−6010、W−6020、W−6061、W−605、WS−4000、WS−4022、WS−5100、WSA−5920、WSA−5984」等が挙げられる(いずれも商品名)。
また、インク中での安定性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、これらの共重合体を用いることも好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製の「モビニール6969D、6899D」;BASF社製の「ジョンクリル538J、PDX−7667、PDX−7700、PDX−7696、7641、780、7610、PDX−7643、PDX−7177(スチレン/アクリル樹脂エマルション)」;DSM社製の「NeoCrylシリーズA−614、A−633、A−639、A−662、A−1091、A−1105、A−2091、A−6016、A−6092、XK−52」;DIC株式会社製の「ボンコートCP−6450、EM−401」;日信化学工業株式会社製の「ビニブラン2580」;昭和電工株式会社製の「ポリゾールAT−860」等が挙げられる(いずれも商品名)。
ポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば、ユニチカ株式会社製の「エリーテルKA−1842S、KT−8803」等が挙げられる(いずれも商品名)。
また、水分散性樹脂としては、水性インクの電荷バランスへの影響が少ないことから、非イオン性又は両性の水分散樹脂を用いてもよい。市販品としては、例えば、三井化学株式会社製の「タケラックW−635」等が挙げられる。
上記した水分散性樹脂は、1種単独の樹脂から構成されてもよいし、又は、複数種の樹脂を組み合わせて複合樹脂として構成されてもよく、さらにはこれらの樹脂エマルションの混合物であってもよい。
Tgが30℃以上である水分散性樹脂は、水性インク全量に対し、不揮発分量の質量比で、色材1に対して0.1〜15が好ましく、1〜10がより好ましく、3〜7がさらに好ましい。樹脂の配合量をこの範囲にすることで、基材の表面に印刷された画像の定着性と画質を十分に確保することができる。色材1に対する樹脂の比率が0.1以上であることで、画像の定着性をより高めることができる。色材1に対する樹脂の比率が15以下であることで、水性インクの機上安定性をより改善することができる。
Tgが30℃以上である水分散性樹脂は、水性インク全量に対し、不揮発分量で、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。
また、Tgが30℃以上である水分散性樹脂は、水性インク全量に対し、不揮発分量で、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
例えば、Tgが30℃以上である水分散性樹脂は、水性インク全量に対し、不揮発分量で、1〜20質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜10質量%であってもよい。
Tgが30℃以上である水分散性樹脂粒子の平均粒子径は、1nm〜300nmが好ましく、5nm〜200nmがより好ましく、10nm〜150nmがさらに好ましい。これは、水中油型樹脂エマルションの状態で水分散性樹脂の粒子径を、動的光散乱法により体積基準で測定した平均粒子径である。
また、水性インクをインクジェット記録方法を用いて基材に付与する場合では、水分散性樹脂の平均粒子径は、インクジェット記録方法に適した粒子径であればよく、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。
また、水性インクをインクジェット記録方法を用いて基材に付与する場合では、水分散性樹脂の平均粒子径は、インクの貯蔵安定性の観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。
インクは、色材として、顔料、染料、又はこれらの組み合わせを含むことができる。加飾画像の耐候性及び耐水性の点から、色材として顔料を好ましく用いることができる。
顔料は、顔料分散体としてインクに好ましく配合することができる。
顔料分散体としては、顔料が溶媒中に分散可能なものであって、インク中で顔料が分散状態となるものであればよい。例えば、顔料を顔料分散剤で水中に分散させたもの、自己分散性顔料を水中に分散させたもの、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を水中で分散させたもの等を用いることができる。
顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料;及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料等の金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
顔料の体積基準の平均粒子径は、発色性の観点から50nm以上が好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。例えば、顔料の体積基準の平均粒子径は、50〜500nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。
色材として自己分散性顔料を配合してもよい。自己分散性顔料は、化学的処理又は物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入された顔料である。自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性又はカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基等が好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理等が挙げられる。
自己分散性顔料としては、例えば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ「CAB−O−JET200、CAB−O−JET300、CAB−O−JET250C、CAB−O−JET260M、CAB−O−JET270」、オリヱント化学工業株式会社製BONJETシリーズ「BONJET BLACK CW−1、BONJET BLACK CW−1S、BONJET BLACK CW−2、BONJET BLACK CW−3、CW−6」等を好ましく使用することができる(いずれも商品名)。
水中に顔料を安定して分散させるために、水性インクは顔料分散剤をさらに含んでもよい。顔料分散剤としては、例えば、高分子分散剤、界面活性剤等を用いることができる。
顔料分散剤を用いる場合では、顔料分散剤の添加量はその種類によって異なり特に限定はされない。例えば、顔料分散剤は、有効成分の質量比で、顔料1に対し、0.005〜0.5の範囲で添加することができる。
染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられ、これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものが使用できる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。
上記した色材は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
色材は、不揮発分量で、インク全量に対し、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましく、3質量%〜15質量%であることがさらに好ましい。
インクの溶媒は主に水を含むことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水、脱イオン水等が挙げられる。なお、上記した顔料分散体に溶媒として水が含まれる場合は、顔料分散体中の水はインク中の水の一部に換算して、インクを作製する。
水は揮発性の高い溶剤であり、基材に付与された後に基材から蒸発しやすく、加飾物の乾燥を促進することができる。また、水は、無害で安全性が高く、VOCのような問題が無いので、表面処理された基材を環境にやさしいものとすることができる。
水は、インク全量に対し30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上であってもよい。水は、インク全量に対し95質量%以下であってよく、90質量%以下であってもよい。例えば、水は、インク全量に対し30〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。
インクは、水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解又は混和可能な有機化合物を用いることができ、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合する水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。また、水溶性有機溶剤は、水との混合溶液において、上記した水分散性樹脂を良好に分散することが可能であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン;モノアセチン、ジアセチン等のアセチン類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。
これらの水溶性有機溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性有機溶剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、インク全量に対し1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。水溶性有機溶剤は、インク全量に対し80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下であってもよい。例えば、水溶性有機溶剤は、インク全量に対し1〜80質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜40質量%であってもよい。2種以上の水溶性有機溶剤を配合する場合は、その合計量がこの範囲であることが好ましい。
水性インクは、界面活性剤をさらに含むことができる。
界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のイオン性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤とに大別されるが、いずれの界面活性剤を用いてもよい。また、低分子系界面活性剤及び高分子系界面活性剤(一般には分子量が約2000以上のものを指す。)のいずれであってもよいが、高分子系界面活性剤を好ましく用いることができる。界面活性剤のHLB値は、3〜20が好ましい。
この界面活性剤を配合することにより、インクジェット記録装置を用いてインクをより安定に吐出させることができ、また、水性インクの基材への浸透をより適切に制御することができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。非イオン性界面活性剤は、水性インクの電荷バランスへの影響が少なく、色材の分散性及び溶解性を良好に維持することができる。
カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のイオン性界面活性剤は、水性インクの電荷バランスに影響して、色材を凝集させることがある。そのため、イオン性界面活性剤を用いる場合は、水性インクの電荷バランスに影響を与えないものを用いるとよい。例えば、水性インクの色材がカーボンブラックである場合は、アニオン性分散剤を用いる場合が多いため、アニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤等を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中からシリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、又はこれらの組み合わせを好ましく用いることができ、なかでもシリコーン系界面活性剤がより好ましい。
シリコーン系界面活性剤は、非常に高い表面張力低下能と接触角低下能を持つため、基材表面が親水性でなくても、基材表面に水性インクを速やかに付着させることができる。その結果、基材表面に水性インクを均一に付与することができ、より高発色で高品位の印刷画像を得ることができる。
シリコーン系界面活性剤のなかでも、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル・アラルキル共変性シリコーン系界面活性剤、アクリルシリコーン系界面活性剤等を好ましく用いることができる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製の「シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG001、シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG008」等が挙げられる(いずれも商品名)。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品として、例えば、アセチレングリコールである「サーフィノール104E、104H」、アセチレングリコールにエチレンオキサイドを付加した構造の「サーフィノール420、440、465、485」(以上、エアープロダクツアンドケミカルズ社製)、アセチレングリコールの「オルフィンE−1004、E−1010、E−1020、PD−002W、PD−004、EXP.4001、EXP.4200、EXP.4123、EXP.4300」(以上、日信化学工業株式会社製)、アセチレングリコールの「アセチレノールE00、E00P」、アセチレングリコールのエチレンオキサイドを付加した構造の「アセチレノールE40、E100」(以上、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる(いずれも商品名)。
界面活性剤は、水性インク全量に対し、有効成分量で、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。一方、界面活性剤量は、水性インク全量に対し、有効成分量で、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が一層好ましい。
インクには、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の成分以外に、例えば、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤等の任意成分をさらに添加してもよい。
インクの作製方法は、特に限定されないが、各成分を適宜混合することで所望のインクを得ることができる。例えば、水に適宜水溶性有機溶剤、界面活性剤等を添加した溶液に水分散性樹脂を分散させ、これに顔料分散体等の色材成分を混合することで得ることができる。
水性インクの粘度は特に限定されずに記録方法に応じて適宜調節可能である。インクジェット記録方法に適した水性インクの粘度は、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において1〜30mPa・sであることが好ましく、2〜20mPa・sであることがより好ましい。
「前処理剤」
一実施形態による加飾物の製造方法において、基材に水性インクを付与する前に、基材を前処理剤によって処理してもよい。
前処理剤には、水性インクの色材成分を凝集させる作用を有する前処理剤、水性インクと基材との湿潤性(濡れ性)を改善させる作用を有する前処理剤、又はこれらを組み合わせた作用を有する前処理剤等を用いることができる。
前処理剤に凝集剤が含まれることで、前処理された基材表面上で、水性インクの色材成分が凝集し、加飾物の画像の滲みを抑制して、画像濃度をより高め、画質をより改善することができる。
凝集剤としては、例えば、多価金属塩、カチオン性樹脂、有機酸等を好ましく用いることができる。
多価金属塩としては、例えば、2価以上の金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、脂肪酸塩、乳酸塩、塩素酸塩等を用いることができる。ハロゲン化物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が好ましい。2価以上の金属としては、Mg、Ca、Sr、Ba等の2価のアルカリ土類金属、Ni、Zn、Cu、Fe(II)等の2価の金属、Fe(III)、Al等の3価の金属等が挙げられ、なかでもアルカリ土類金属が好ましい。
より具体的には、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
上記した多価金属塩は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性樹脂としては、カチオン性水溶性樹脂及びカチオン性水分散性樹脂のいずれであってもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
カチオン性水溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン及びその塩、ポリビニルピリジン、カチオン性のアクリルアミドの共重合体等が挙げられる。より具体的には、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等を用いることができる。
カチオン性水分散性樹脂としては、透明の塗膜を形成する透明性樹脂を用いることが好ましい。また、前処理剤の製造に際しては、水中油型樹脂エマルションとして配合することが好ましい。
カチオン性水分散性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン/(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、メラミン系樹脂、アミド系樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びこれらの複合樹脂等において、これらの樹脂にカチオン性の官能基を導入するか、又は、カチオン性分散剤等で表面処理して、プラスの表面電荷を与えたものを用いることができる。
カチオン性の官能基は、代表的には第1級、第2級又は第3級アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ピラゾール基、又はベンゾピラゾール基等が挙げられる。カチオン性分散剤は、1級、2級、3級又は4級アミノ基含有アクリルポリマー、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリビニルアルコール樹脂、カチオン性水溶性多分岐ポリエステルアミド樹脂等が挙げられる。
上記したカチオン性樹脂は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸等のカルボン酸、乳酸、グリセリン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、アスコルビン酸、スルホン酸等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記した凝集剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、凝集剤は、前処理剤に対し、有効成分量で、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
前処理剤に湿潤剤が含まれることで、前処理された基材表面と、水性インクとの湿潤性(濡れ性)が高まり、基材と水性インクとの密着性をより高めて、色材の定着性をより高めることができる。
湿潤剤としては、例えば、界面活性剤、SP値14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤等、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができる。なかでも、非イオン性界面活性剤は、水性インクの電荷バランスに影響を与えないことから、湿潤剤として好ましく用いることができる。
また、界面活性剤は、低分子系界面活性剤及び高分子系界面活性剤(一般には分子量が約2000以上のものを指す。)のいずれであってもよいが、高分子系界面活性剤を好ましく用いることができる。
界面活性剤のHLB値は、5〜20であることが好ましい。
界面活性剤は、上記した水性インクに配合可能な界面活性剤の中から適宜選択して用いることができる。
界面活性剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、前処理剤全量に対し、有効成分量で、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。前処理剤に樹脂成分等が含まれる場合は、樹脂成分等と水性溶媒との親和性の観点から、界面活性剤は、前処理剤全量に対し、有効成分量で、0.5質量%以上で配合してもよく、1質量%以上であってもよい。
湿潤剤としてSP値14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤を前処理剤に含ませることができる。
ここで、SP値は、Fedors式で求められるSP値であり、具体的には、Fedorsの提唱した下記式により算出した値である。下記式において、Δeiは、i成分の原子または原子団の蒸発エネルギーであり、Δviは、i成分の原子または原子団のモル体積である(Hansen Solubility Parameters:A User’s Handbook,Second Edition,Charles M.Hansen,CRC Press,2007参照)。
δ=[(sumΔei)/(sumΔvi)]1/2
SP値が14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤としては、例えば、1,2−ブタンジオール(SP値12.8)、1,6−ヘキサンジオール(SP値13.5)、1,2−プロパンジオール(SP値13.5)、グリセリン(SP値16.4)、ジプロピレングリコール(SP値13.6)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値10.9)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値10.5)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(SP値11.7)、ジエチレングリコールベンジルエーテル(SP値11.5)、エチレングリコールプロピルエーテル(SP値11.1)、ジエチレングリコールモノエチルアセテート(SP値9.3)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値8.4)、1−N−メチル−2−ピロリドン(SP値11.2)等が挙げられる。
カッコ内のSP値の単位は(cal/cm1/2である。
SP値が14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤は、前処理剤全量に対し、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。
SP値が14(cal/cm1/2以下の水溶性有機溶剤は、前処理剤全量に対し、100質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。湿潤剤としての水溶性有機溶剤は、湿潤剤と溶媒との両方の機能を備えるため、湿潤剤としての水溶性有機溶剤を単一成分として含む前処理剤を構成してもよい。
前処理剤は、水をさらに含むことができる。例えば、前処理液は、主溶剤として水を含むことが好ましい。水としては、特に制限されないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水、脱イオン水等が挙げられる。
水は、前処理剤全量に対し、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、50〜80質量%であってもよい。
前処理剤は、水とともに、又は水に代えて、水溶性有機溶剤を含んでもよい。
水溶性有機溶剤としては、上記した水性インクに配合可能な水溶性有機溶剤を用いてもよい。水溶性有機溶剤は、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、水との混合溶剤において単一相を形成することが好ましい。
水溶性有機溶剤は、前処理剤全量に対し、1〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
前処理剤は、樹脂成分をさらに含んでもよい。
樹脂成分としてバインダー樹脂を含むことで、前処理剤の基材への定着性をより高めることができる。また、水性インクの基材への定着をより促進させることができる。
バインダー樹脂としては、前処理剤のイオン性に影響を与えないように非イオン性樹脂を好ましく用いることができる。非イオン性樹脂は、水溶性及び水分散性のいずれであってもよい。また、非イオン性樹脂としては、上記した水性インクに配合可能な樹脂成分の中から非イオン性樹脂を選択して用いることができる。なお、前処理剤が、凝集剤としてカチオン性樹脂を含む場合は、このカチオン性樹脂がバインダー樹脂としての機能も併せ持つことができる。
また、樹脂成分としてTgが30℃以上である水分散性樹脂を好ましく用いることができる。このTgが30℃以上である水分散性樹脂を用いることで、基材上に塗膜強度の高い樹脂被膜を形成することができ、水性インクによる樹脂被膜の強度を補足することができる。前処理剤に配合可能なTgが30℃以上である水分散性樹脂は、上記した水性インクに配合可能なもの中から1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂成分は、前処理剤全量に対し、1〜20質量%が好ましい。
前処理剤は、上記した水性インクと同様に、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤等の任意成分をさらに含んでもよい。
前処理剤の製造方法は、特に限定されず、通常の方法により適宜製造することができる。例えば、前処理剤は、スリーワンモーター等の攪拌機に全成分を一括又は分割して投入して混合ないし分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより作製することができる。
基材への前処理剤の付与方法は、特に限定されず、例えば、インクジェット記録装置を用いてもよいし、ローラーやスプレー等で必要量を塗布するようにしてもよい。その付与領域は、基材全面でもよいし、加飾部のみに選択的に付着させてもよい。あるいは、ベタ画像部分など、単位面積当たりある一定以上のインクが付与される箇所にのみ前処理剤を塗布することもできる。
前処理剤は、特に乾燥工程を設ける必要はなく、続いて印刷工程を行なうことができる。必要に応じで、印刷工程前に25℃〜150℃の温度で乾燥させてもよい。
一実施形態による加飾物の製造方法において、基材に水性インクを付与した後に、基材を後処理剤によって処理してもよい。後処理剤は、基材を曲げ加工する前に基材に付与してもよく、基材を曲げ加工した後に基材に付与してもよく、又はこれらを組み合わせてもよい。
後処理剤としては、加飾物の印刷面を保護する作用を有する後処理剤等を用いることができる。一実施形態による水性インクには、Tgが30℃以上である水分散性樹脂が含まれることから、加飾物には樹脂被膜が形成されて、耐擦過性を備える加飾物を得ることができる。さらに後処理剤を付与することで、より耐擦過性を高めることができる。
後処理剤としては、例えば、水溶性樹脂、水分散性樹脂等の樹脂、水、水溶性有機溶剤等の水性溶媒と、分散剤、界面活性剤等の任意成分とを含むことができる。樹脂としては、透明被膜を形成可能な透明性樹脂を好ましく用いることができ、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。以下の説明において、共通する成分には同じものを用いている。特に説明のない成分については、富士フイルム和光純薬株式会社等から入手可能である。
(実施例1)
<基材への前処理>
基材には、0.5mm厚のスチール基材を用いた。
前処理剤には、質量%で、塩化マグネシウム六水和物を10%、界面活性剤「シルフェイスSAG002」(日信化学工業株式会社製、有効成分100%)を0.2%、ジエチレングリコールを10%、残部イオン交換水を含む前処理剤を用いた。
基材に前処理剤をバーコータで液厚18μmで塗布し、120℃で30分乾燥させた。
<水性インクの作製>
水性インクには、質量%で、顔料分散体「BONJET BLACK CW−6」(オリヱント化学工業株式会社製、有効成分15%)を30.0%、樹脂エマルション「スーパーフレックス870」(第一工業製薬株式会社製、有効成分30%、Tg78℃)を20.0%、界面活性剤「シルフェイスSAG002」(日信化学工業株式会社製、有効成分100%)を0.5%、ジエチレングリコールを15.0%、イオン交換水を34.5%で含む水性インクを用いた。
<加飾物の作製、曲げ加工、加熱処理>
株式会社マスターマインド製インクジェットプリンタ「MMP8130」に上記水性インクを装填して、上記前処理した基材に、5センチ四方のベタ画像を印刷し、150℃、20分乾燥し、加飾物を得た。基材への水性インクの付与量は、基材の単位面積当たり、10g/mとした。
株式会社アマダ製ベンディングマシン「FαBIII−5012」を用いて、88°のV字金型、溝幅4mmで、印刷面を外側に向けてベタ画像領域で曲がるように、加飾物を曲げ角度90°に曲げ加工した。なお、この曲げ加工部の最小曲げ半径は、内側で0.47mmであるが、印刷面である外側はスチール板と塗布及び印刷されたものの厚みを加えた値になり、およそ0.97mmになる。
次いで、曲げ加工後の加飾物を150℃の恒温槽に入れて120分加熱をした。
(実施例2、3)
実施例2では、上記実施例1において、水性インクに含まれる樹脂エマルション「スーパーフレックス870」を樹脂エマルション「エリーテルKA−1842S」(ユニチカ株式会社製、有効成分29%、Tg60℃)に変更し、さらに樹脂エマルション「エリーテルKA−1842S」とイオン交換水の配合量をそれぞれ20.7質量%、33.8質量%に変更した他は同様にした。
実施例3では、上記実施例2において、曲げ加工後の加熱温度を80℃に変更した他は同様にした。
(実施例4〜6)
実施例4では、上記実施例1において、水性インクに含まれる樹脂エマルション「スーパーフレックス870」を樹脂エマルション「エリーテルKT−8803」(ユニチカ株式会社製、有効成分30%、Tg65℃)に変更した他は同様にした。
実施例5では、上記実施例1において、水性インクに含まれる樹脂エマルション「スーパーフレックス870」を樹脂エマルション「エリーテルKT−8803」に変更し、さらに樹脂エマルション「エリーテルKT−8803」とイオン交換水の配合量をそれぞれ13.3質量%、41.2質量%に変更した他は同様にした。
実施例6では、上記実施例1において、水性インクに含まれる樹脂エマルション「スーパーフレックス870」を樹脂エマルション「エリーテルKT−8803」に変更し、さらに樹脂エマルション「エリーテルKT−8803」とイオン交換水の配合量をそれぞれ6.6質量%、47.9質量%に変更した他は同様にした。
(比較例1、2)
比較例1では、実施例1において、曲げ加工後の加熱処理を実施しない他は同様にした。
比較例2では、実施例2において、曲げ加工後の加熱温度を50℃に変更した他は同様にした。
(評価方法)
得られた加飾物について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<曲げ加工部分の白化の防止性能>
曲げ加工後に加熱処理した加飾物について、曲げ加工部分の白化の程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。比較例1では、曲げ加工後に加熱処理しない状態で観察した。
A:曲げ加工部分に白化が目立たない。
B:曲げ加工部分に白化がほとんど目立たない。
C:曲げ加工部分に白化が目立つ。
<印刷面の耐傷性>
曲げ加工後、加熱処理前の加飾物について、曲げ加工において印刷面がV冶具と接触した部分に、V冶具による線状傷跡が発生したか否かを目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:線状傷跡が目立たない。
B:線状傷跡がほとんど目立たない。
C:線状傷跡が目立つ。
Figure 2020179555
表1に示す通り、各実施例の加飾方法では、加飾物の曲げ加工部分の白化を防止でき、加飾部の耐傷性が良好であった。特に詳述しないが、各実施例による加飾物は良好な画質であった。
実施例1、2、4は、Tgが60〜78℃の樹脂を含む水性インクを用いて加飾し、曲げ加工後に150℃で加熱したものであり、曲げ加工部分の白化を防止することがき、加飾物の耐傷性が良好であった。
実施例2と実施例3とは、同じ水性インクを用いて加飾し、曲げ加工後の加熱温度が異なる例であり、曲げ加工後の加熱温度が水性インクに含まれる樹脂のTgよりも高いことで、曲げ加工部分の白化が防止されることがわかる。また、加熱温度がより高いことで、曲げ加工部分の白化がより防止されることがわかる。
実施例4〜6は、樹脂の配合量が異なる水性インクを用いて加飾し、曲げ加工後に150℃で加熱したものであり、曲げ加工部分の白化を防止することができた。また、水性インク中の樹脂の配合量がより多いことで、曲げ加工部分の白化がより防止されることがわかる。
実施例1〜3において水性インクに用いた樹脂は、実施例4〜6において水性インクに用いた樹脂に比べて樹脂被膜硬度が高いため、実施例1〜3による加飾物は耐傷性がより良好であった。
比較例1は、実施例1と同じ水性インクを用いて加飾し、曲げ加工後に加熱処理をしないものであり、曲げ加工部分が白化した状態となった。
比較例2は、実施例2と同じ水性インクを用いて加飾し、曲げ加工後の加熱温度が低いものであり、曲げ加工部分が白化した状態となった。

Claims (4)

  1. ガラス転移点が30℃以上である水分散性樹脂を含む水性インクを基材に付与し、前記水性インクが付与された領域で前記基材を曲げ加工し、前記基材の曲げ加工部分を前記水分散性樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱することを含む、加飾物の製造方法。
  2. インクジェット記録方法を用いて前記水性インクを前記基材に付与することを含む、請求項1に記載の加飾物の製造方法。
  3. 前記基材が金属基材である、請求項1又は2に記載の加飾物の製造方法。
  4. 前記基材の曲げ加工部分を加熱する温度は、前記水分散性樹脂のガラス転移点+30℃以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の加飾物の製造方法。
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